説明

高所作業車

【課題】正確に構造物を検知してバスケットの移動速度を低下させることにより、安全性を向上させることのできる高所作業車を提供する。
【解決手段】バスケット23の移動中において、構造物センサ34によってバスケット23の上方の第1所定距離D1以上第2所定距離D2以下の範囲内に対象物を検出すると、バスケット23の移動速度を低速にするようにしている。これにより、正確に構造物Sを検出してバスケット23の移動速度を低下させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が搭乗可能なバスケットと、バスケットを上下方向に移動可能なバスケット移動機構と、を備えた高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の高所作業車では、作業者が搭乗可能なバスケットと、バスケットを上下方向に移動可能なバスケット移動機構と、バスケットから構造物等の対象物までの距離を検出する距離センサと、距離センサにより検出される距離に応じてバスケットの移動速度を低下させる減速手段と、を備えたものが知られている(例えば、引用文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−231335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この高所作業車は、距離センサにより検出される距離が所定距離よりも小さくなる場合に、検出される距離に応じてバスケットの移動速度を低下させるようにしている。このため、この高所作業車では、バスケットと対象物との間の距離が所定距離よりも小さくなるとバスケットの移動速度が低下するため、バスケットと対象物との接触を防止することが可能である。しかし、この高所作業車においては、特にバスケットからバスケット上方に位置する構造物までの距離を検出する際に、距離センサによって作業者が構造物として検出される場合があり、この場合にはバスケットの移動速度の減速が不必要に生じ、バスケットの移動に係る制御を正確に行うことができない。
【0005】
本発明は、正確に構造物を検知してバスケットの移動速度を低下させることにより、安全性を向上させることのできる高所作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、作業者が搭乗するバスケットと、バスケットを上下方向に移動可能なバスケット移動機構と、を備えた高所作業車において、バスケットから上方に第1所定距離以上で、第1所定距離より大きい第2所定距離以下の範囲内に位置する構造物等の対象物を検知可能な対象物検知手段と、バスケットの上方への移動中に対象物検知手段によって対象物を検知すると、バスケットの移動速度を、対象物を検知する前のバスケットの移動速度よりも遅い速度となるようにバスケット移動機構を制御するバスケット減速手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載の発明は、前記バスケット減速手段によってバスケットの移動速度を低下させた後に、バスケット移動機構の駆動を停止させることが可能な駆動停止手段を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の発明は、前記駆動停止手段が、バスケットに搭乗している作業者によって操作されるスイッチであることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の発明は、前記バスケット減速手段によってバスケットの移動速度を低下させた後に、バスケットの上方への移動を規制する移動規制手段を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の発明は、前記移動規制手段は、バスケットの上端から上方に延びるように設けられ、バスケット上方に位置する対象物に接触することで、バスケットの上方への移動を規制可能な移動規制部材であることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の発明は、前記バスケット減速手段によってバスケットの移動速度を低下させた後に、バスケットに搭乗している作業者に対してバスケットの上方に対象物が近接していることを報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の発明は、前記バスケットを移動させる操作を入力する操作部と、前記バスケット減速手段によってバスケットの移動速度を低下させている状態において、バスケットを下方に移動させる操作が操作部に入力された場合に、バスケット減速手段によるバスケットの移動速度を低下させた状態を解除する減速解除手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、正確に対象物を検出してバスケットの移動速度を低下させることで、作業者に対して注意を喚起すると共にバスケットと対象物との間に挟まれる状態を回避する時間を確保することができるので、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0009】
本発明の請求項2に記載の発明によれば、バスケットに搭乗している作業者が対象物の近くに位置していることに気づくことが遅れた場合においても、バスケットの移動を停止させることが可能となるので、安全性を向上させることが可能となる。
本発明の請求項3に記載の発明によれば、バスケットと対象物との間に作業者が挟まれる前にバスケットの動作を確実に停止させることができ、安全性を向上させることが可能となる。
本発明の請求項4および5に記載の発明によれば、上方へ移動するバスケットの手摺が対象物に接触することはなく、バスケットの手摺と対象物との間で作業者が挟まれることを防止することが可能となる。
本発明の請求項6に記載の発明によれば、バスケットの減速およびアラーム音によってバスケットに搭乗している作業者に対して対象物が近接していることを報知することができるので、安全性を向上させることが可能となる。
本発明の請求項7に記載の発明によれば、バスケットを下方に移動させる操作を行わない限りバスケットの移動速度を低下させた状態を保持することができるので、安全性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態を示す高所作業車の側面図である。
【図2】バスケットの全体斜視図である。
【図3】タッチスイッチを示すバスケットの斜視図である。
【図4】制御系を示すブロック図である。
【図5】動作速度規制処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態を示す移動規制部材を有するバスケットの斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態の制御系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図5は、本発明の第1実施形態を示すものである。
【0012】
本発明の高所作業車1は、図1に示すように、道路等を走行するための車両10と、高所作業を行うための高所作業装置20と、を備えている。
【0013】
車両10は、前部および後部のそれぞれに左右一対の車輪11を有し、エンジン(図示せず)を動力源として走行する。車両の前側に位置する車輪11の上方には、車両10の走行に関する操作を行うためのキャビン12が設けられている。また、車両10の前側および後側の左右両側には、車両10を地面に対して安定的に支持するためのアウトリガ13が設けられている。アウトリガ13は、ジャッキシリンダ(図示せず)によって下方に伸長させ、下端を接地させることにより使用される。
【0014】
高所作業装置20は、車両10の後部に旋回可能に設けられた旋回台21と、旋回台21に対して起伏可能に設けられるとともに、伸縮可能に設けられたブーム22と、ブーム22の先端に設けられたバスケット23と、を有している。
【0015】
旋回台21は、ボールベアリング式やローラーベアリング式の旋回サークル(図示せず)によって車両10に対して旋回自在に設けられ、旋回用の油圧モータ(図示せず)の駆動によって旋回するように構成されている。
【0016】
ブーム22は、複数のブーム部材からなり、ブーム部材の内部に先端側に隣り合うブーム部材が収納可能な多段式に構成されている。最基端側のブーム部材22a内には、油圧シリンダ(図示せず)が設けられ、油圧シリンダの伸縮によってブーム22が伸縮可能となる。また、最基端側のブーム部材22aは、基端部が旋回台21のブラケット21aに上下方向に旋回自在に連結されている。ブーム部材22aの伸長方向中央部と旋回台21との間には、起伏用の油圧シリンダ22bが連結され、油圧シリンダ22bの伸縮によってブーム22を起伏可能にしている。
【0017】
バスケット23は、図2に示すように、略四角形状の作業床23aと、作業床23aの床面から上方に所定距離をおいて外周部を囲むように設けられた手摺23bと、を有している。バスケット23は、最先端側のブーム部材(図示せず)に対して上下方向を中心軸として旋回可能に支持されている。バスケット23と最先端側のブーム部材との連結部には、油圧モータ(図示せず)が設けられ、油圧モータの駆動によってバスケット23がブーム22に対して水平方向に旋回する。バスケット23は、旋回台21の旋回、ブーム22の伸縮および起伏、ブーム22に対するバスケット23の旋回によって上下方向および水平方向の位置が調整される。
【0018】
また、高所作業車は、旋回台21の旋回動作、ブーム22の伸縮動作、ブーム22の起伏動作およびバスケット23の回転動作を制御するためのコントローラ30を備えている。
【0019】
コントローラ30は、CPU、ROM、RAMを有している。コントローラ30は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0020】
コントローラ30の出力側には、図4に示すように、コントロールバルブ31が接続されている。コントロールバルブ31は、旋回台21用の油圧モータ、ブーム22伸縮用の油圧シリンダ、ブーム22起伏用の油圧シリンダ22bおよびバスケット23用の油圧モータ等の複数のアクチュエータが接続された油圧供給装置(図示せず)に設けられ、各アクチュエータに対する作動油の供給量および流通方向を制御するためのものである。
【0021】
コントローラ30の入力側には、図4に示すように、バスケット23内に搭乗した作業者Mが旋回台21、ブーム22およびブーム22に対するバスケット23の動作に関する操作を行うための操作部32と、手摺23bと対象物としての構造物Sとの間に挟まれる直前の作業者Mの姿勢を検知するためのタッチセンサ33(請求項3におけるバスケットに搭乗している作業者によって操作されるスイッチ)と、バスケット23の上方に位置する構造物Sを検知するための構造物センサ34と、が接続されている。
【0022】
操作部32は、図2に示すように、バスケット23の手摺23bの外周側に設けられている。操作部32は、上方に延びるように設けられ、中立位置から傾動操作可能に設けられた一対の操作レバー32aを有している。各操作レバー32aは、傾倒操作量および傾倒操作方向が対応付けられた操作信号をコントローラ30に入力する。操作レバー32aの傾倒操作量には、アクチュエータの動作速度が対応付けられており、傾倒操作量が大きくなるに従って速い動作速度が対応付けられている。コントローラ30には、傾倒操作量に対応付けられた動作速度の信号が入力される。
【0023】
また、タッチセンサ33は、図3に示すように、バスケット23内の操作部32側に設けられ、バスケット23の手摺23bに沿って幅方向に延びるロープ状の部材からなる。タッチセンサ33は、バスケット23の手摺23bと構造物Sとの距離が小さくなった場合に、手摺23bと構造物Sとの間に挟まれる前に作業者Mの体が接触することで操作される。タッチセンサ33は、作業者Mの体が接触して操作されると、操作信号をコントローラ30に入力する。
【0024】
構造物センサ34は、超音波を発信するとともに、構造物Sで反射した超音波を受信し、超音波の発信から受信までの時間を計測することで構造物Sまでの距離を検出可能な超音波センサからなる。構造物センサ34は、図2に示すように、操作部32の近傍からバスケット23の上方に向かって超音波を発信するように取り付けられている。構造物センサ34は、構造物Sを検出する上下方向の範囲を設定することが可能に構成されている。具体的には、バスケット23に搭乗した作業者Mの作業範囲である第1所定距離D1(例えば、バスケット23の手摺上端から1m)以上で第2所定距離D2(例えば、バスケット23の手摺上端から2m、D1<D2)以下の範囲内の構造物Sを検知するように設定されている。
【0025】
以上のように構成された高所作業車において、バスケット23に搭乗している作業者Mによって操作部32がバスケット23を上方に移動させる操作がなされている状態において、コントローラ30は、図5に示すように、バスケット23の移動速度規制処理を行う。
【0026】
(ステップS1)
ステップS1において、CPUは、構造物Sが近接している状態を示す構造物近接フラグが01Hであるか否かを判定する。構造物近接フラグが00Hであると判定した場合にはステップS2に処理を移し、構造物近接フラグが01Hであると判定した場合にはステップS5に処理を移す。
【0027】
(ステップS2)
ステップS1において構造物近接フラグが00Hであると判定した場合に、ステップS2においてCPUは、操作部32の操作がバスケット23を上方に移動させる操作か否かを判定する。バスケット23を上方に移動させる操作であると判定した場合には、ステップS3に処理を移し、バスケット23を上方に移動させる操作でないと判定した場合には、動作速度規制処理を終了する。
【0028】
(ステップS3)
ステップS2において操作部32の操作がバスケット23を上方に移動させる操作であると判定した場合に、ステップS3においてCPUは、構造物センサ34によってバスケット23の上方の所定範囲内において構造物Sの有無を判定する。バスケット23の上方の所定範囲内に構造物Sがある場合にはステップS4に処理を移し、構造物Sがない場合には動作速度規制処理を終了する。
【0029】
(ステップS4)
ステップS3においてバスケット23の上方の所定範囲内に構造物Sがあると判定した場合に、ステップS4においてCPUは、構造物近接フラグを01Hに設定し、ステップS5に処理を戻す。
【0030】
(ステップS5)
ステップS1において構造物近接フラグが01Hであると判定した場合、または、ステップS4において構造物近接フラグが01Hに設定された場合に、ステップS5においてCPUは、バスケット23の移動速度を低速に切換えて、ステップS6に処理を移す。
具体的には、構造物近接フラグが01Hに設定されていると、バスケット23の移動速度は、構造物近接フラグ00Hに設定されている場合の操作レバー32aの傾倒操作量に対応付けられた移動速度の50%の速度となる。
【0031】
(ステップS6)
ステップS6において、CPUは、ステップS5においてバスケット23の移動速度を低速に切換えた後、バスケット23が所定距離以上下方に移動したか否かを判定する。バスケット23が所定距離以上下方に移動したと判定した場合にはステップS7に処理を移し、バスケット23が所定距離以上下方に移動したと判定しなかった場合にはステップS8に処理を移す。
【0032】
(ステップS7)
ステップS6において、バスケット23が所定距離以上下方に移動したと判定した場合に、ステップS7においてCPUは、構造物近接フラグを00Hに設定し、動作速度規制処理を終了する。
【0033】
(ステップS8)
ステップS6において、バスケット23が所定距離以上下方に移動しなかったと判定した場合に、ステップS8においてCPUは、タッチセンサ33の操作がなされたか否かを判定する。タッチセンサ33の操作がなされたと判定した場合にはステップS9に処理を移し、タッチセンサ33の操作がなされたと判定しなかった場合には動作速度規制処理を終了する。
【0034】
(ステップS9)
ステップS8においてタッチセンサ33の操作がなされたと判定した場合に、ステップS9においてCPUは、バスケット23の動作を停止して動作速度規制処理を終了する。
【0035】
このように、本実施形態の高所作業車によれば、バスケット23の移動中において、構造物センサ34によってバスケット23の上方の第1所定距離D1以上第2所定距離D2以下の範囲内に対象物を検出すると、バスケット23の移動速度を低速にするようにしている。これにより、正確に構造物Sを検出してバスケット23の移動速度を低下させることが可能となる。これにより、作業者Mに対して注意を喚起すると共にバスケット23と構造物Sとの間に挟まれる状態を回避する時間を確保することができるので、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0036】
また、構造物センサ34によって構造物Sを検知してバスケット23の移動速度を低下させた後、バスケット23に搭乗している作業者Mによってバスケット23の移動を停止可能としている。これにより、バスケット23に搭乗している作業者Mが構造物Sの近くに位置していることに気づくことが遅れた場合においても、バスケット23の移動を停止させることが可能となるので、安全性を向上させることが可能となる。
【0037】
また、バスケット23が上方に移動してバスケット23と構造物Sとの距離が小さくなった場合に、バスケット23に搭乗した作業者Mの体が接触することで操作されるタッチセンサ33によってバスケット23の動作を停止させるようにしている。これにより、バスケット23と構造物Sとの間に作業者Mが挟まれる直前にバスケット23の動作を確実に停止させることができ、安全性を向上させることが可能となる。
【0038】
また、バスケット23の移動速度を低下させている状態において、バスケット23を下方に移動させる操作が操作部32に入力された場合に、バスケット23の移動速度を低下させた状態を解除するようにしている。これにより、バスケット23を下方に移動させる操作を行わない限りバスケット23の移動速度を低下させた状態を保持することができるので、安全性を向上させることが可能となる。
【0039】
図6は本発明の第2実施形態を示すものである。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0040】
この高所作業車は、構造物センサ34によって構造物Sが検知され、バスケット23の移動速度が低下した後、上方に移動するバスケット23の手摺23bが構造物Sに接触する前に、バスケット23の上方への移動を規制する移動規制部材24を有している。移動規制部材24は、バスケット23の手摺23bの四隅からそれぞれ上方に延びる円筒形状に形成されており、上端部が構造物Sに接触することによってバスケット23の上方への移動が規制される。移動規制部材24は、バスケット23の手摺23bと構造物Sとの間に作業者Mの体が挟まることのない寸法(例えば、30cm)に形成されている。
【0041】
以上のように構成された高所作業車において、前記第1実施形態と同様の動作を行なう。また、構造物センサ34によって構造物Sが検知され、低速で上方に移動するバスケット23は、移動規制部材24の上端が構造物Sに接触することによって、上方への移動が規制されて停止する。
【0042】
このように、本実施形態の高所作業車によれば、前記第1実施形態と同様に、作業者Mに対して注意を喚起すると共にバスケット23と構造物Sとの間に挟まれる状態を回避する時間を確保することができる。
【0043】
また、上方に移動するバスケット23の手摺23bが構造物Sに接触する前に、バスケット23の上方への移動を規制する移動規制部材24を備えている。これにより、上方へ移動するバスケット23の手摺23bが構造物Sに接触することはなく、バスケット23の手摺23bと構造物Sとの間で作業者Mが挟まれることを防止することが可能となる。
【0044】
図7は、本発明の第3実施形態を示すものである。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0045】
この高所作業車は、構造物センサ34によって構造物Sが検知された場合に、バスケット23に搭乗している作業者Mに対して構造物Sが近接していることを報知するための警報装置25を備えている。警報装置25は、所定のアラーム音を出力することが可能なものであり、コントローラ30の出力側に接続されている。
【0046】
以上のように構成された高所作業車において、構造物センサ34によってバスケット23の移動速を低下させると同時に、警報装置25によってアラーム音を出力させる。
【0047】
このように、本実施形態の高所作業車によれば、前記第1および第2実施形態と同様の動作を行なう。また、構造物センサ34によって構造物Sが検知され、バスケット23の移動速度を低下させるとともに、警報装置25によってアラーム音を出力するようにしている。これにより、バスケット23の減速およびアラーム音によってバスケット23に搭乗している作業者Mに対して構造物Sが近接していることを報知することができるので、安全性を向上させることが可能となる。
【0048】
尚、前記実施形態では、構造物センサ34として超音波センサを用いたものを示したが、これに限られるものではない。バスケット23と構造物Sとの距離を計測可能であれば、例えば、レーザーセンサ等でもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、バスケット23を上方に移動させている状態において、上方の所定範囲内に構造物Sを検出した場合にバスケット23の上方への移動速度を低下させるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、バスケット23を水平方向に移動させている状態において、上方の所定範囲内に構造物Sを検出した場合にバスケット23の水平方向の移動速度を低下させるようにしてもよい。この場合、水平方向に移動しているバスケット23の上方の所定範囲内に構造物Sがあることを、バスケット23に搭乗している作業者Mに対して気付かせることが可能となり、前記実施形態度同様に安全性を向上させることが可能となる。
【0050】
また、前記第1実施形態では、タッチセンサ33を用いて移動しているバスケット23を停止させるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、過負荷防止装置を備えた高所作業車において、バスケット23が上方に移動する際に、バスケット23に作用する荷重を検出し、バスケット23に作用する荷重の変化量が所定以上となった場合にバスケット23を停止させるようにしてもよい。
【0051】
また、前記第1実施形態では、タッチセンサ33をバスケット23内の操作部32側の手摺23bのみに設けたものを示したが、バスケット23内の手摺23bの全周に亘って設けるようにしてもよい。この場合、バスケット23内において作業者Mがどの方向を向いていても作業者Mを検知することが可能となる。
【0052】
また、前記第1実施形態では、バスケット23に搭乗している作業者Mによって操作されるスイッチとして、手摺23bと構造物Sとの間に挟まれる前に作業者Mの体が接触することで操作されるタッチセンサ33を示したが、これに限られるものではない。作業者Mによって操作されるものであれば、例えば、作業者Mの判断によって操作される押ボタン等の操作スイッチであってもよい。
【0053】
また、前記実施形態では、構造物センサ34によって構造物Sを検知してバスケット23の上方への移動速度を低下させた後に、タッチセンサ33によって作業者Mを検知してバスケット23を停止させるようにしたものを第1実施形態として示している。また、構造物センサ34によって構造物Sを検知してバスケット23の上方への移動速度を低下させた後に、移動規制部材24によってバスケット23の上方への移動を規制するようにしたものを第2実施形態として示している。さらに、構造物センサ34によって構造物Sを検知してバスケット23の上方への移動速度を低下させた後に、警報装置25によって構造物Sが近接していることを報知するようにしたものを第3実施形態として示している。しかし、構造物センサ34を備えると同時に、タッチセンサ33、移動規制部材24および警報装置25の全てまたはその内の2つを備えるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
22 ブーム
23 バスケット
24 移動規制部材
25 警報装置
30 コントローラ
31 コントロールバルブ
32 操作部
32a 操作レバー
33 タッチセンサ
34 構造物センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が搭乗するバスケットと、バスケットを上下方向に移動可能なバスケット移動機構と、を備えた高所作業車において、
バスケットから上方に第1所定距離以上で、第1所定距離より大きい第2所定距離以下の範囲内に位置する構造物等の対象物を検知可能な対象物検知手段と、
バスケットの上方への移動中に対象物検知手段によって対象物を検知すると、バスケットの移動速度を、対象物を検知する前のバスケットの移動速度よりも遅い速度となるようにバスケット移動機構を制御するバスケット減速手段と、を備えた
ことを特徴とする高所作業車。
【請求項2】
前記バスケット減速手段によってバスケットの移動速度を低下させた後に、バスケット移動機構の駆動を停止させることが可能な駆動停止手段を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の高所作業車。
【請求項3】
前記駆動停止手段は、バスケットに搭乗している作業者によって操作されるスイッチである
ことを特徴とする請求項2に記載の高所作業車。
【請求項4】
前記バスケット減速手段によってバスケットの移動速度を低下させた後に、バスケットの上方への移動を規制する移動規制手段を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の高所作業車。
【請求項5】
前記移動規制手段は、バスケットの上端から上方に延びるように設けられ、バスケット上方に位置する対象物に接触することで、バスケットの上方への移動を規制可能な移動規制部材である
ことを特徴とする請求項4に記載の高所作業車。
【請求項6】
前記バスケット減速手段によってバスケットの移動速度を低下させた後に、バスケットに搭乗している作業者に対してバスケットの上方に対象物が近接していることを報知する報知手段を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の高所作業車。
【請求項7】
前記バスケットを移動させる操作を入力する操作部と、
前記バスケット減速手段によってバスケットの移動速度を低下させている状態において、バスケットを下方に移動させる操作が操作部に入力された場合に、バスケット減速手段によるバスケットの移動速度を低下させた状態を解除する減速解除手段と、を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の高所作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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