説明

高所作業車

【課題】作業範囲を拡大させた高所作業車を提供する。
【解決手段】車体上に少なくとも起伏動自在に設けられたブーム10と、ブーム10の先
端部に上下に揺動自在に連結された中間リンク部材20と、中間リンク部材20の先端部
に上下に揺動自在に連結されたジブ30と、ジブ30の先端部に配設された作業台50と
、中間リンク部材20をブーム10に対して揺動させる第1油圧シリンダ21と、ジブ3
0を中間リンク部材20に対して揺動させる第2油圧シリンダ26とを備えて高所作業車
が構成され、第1油圧シリンダ21および第2油圧シリンダ26は、中間リンク部材20
の左右方向に互いに並列で、中間リンク部材20の側方から見て互いに交差するように、
中間リンク部材20の底面側にそれぞれ配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームの先端に揺動可能なジブと作業台が設けられた高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような高所作業車として、例えば、走行可能な車体と、車体上に起伏動自在に設
けられたブームと、ブームの先端に揺動可能に設けられたジブと、ジブの先端部に配設さ
れた作業台とを備えた高所作業車がある(例えば、特許文献1を参照)。このような高所
作業車の一例を図9に示す。
【0003】
図9に示す従来の高所作業車は、車体上に起伏動自在に設けられたブーム101と、ブ
ーム101の先端部に揺動自在に連結されたジブ102と、ブーム101に対してジブ1
02を揺動させる油圧式の屈折シリンダ103と、ジブ102の先端部に配設される作業
台(図示せず)とを主体に構成される。ブーム101の先端部近傍に第1リンク部材10
5の一端が連結されるとともに、ジブ102の基端部近傍に第2リンク部材106の一端
が連結され、第1リンク部材105および第2リンク部材106の他端部がともに屈折シ
リンダ103のシリンダチューブ側の端部と連結される。屈折シリンダ103のロッド側
の端部は、ジブ102の中間部に連結され、図9(a)に示すように、屈折シリンダ10
3を縮小させると、ジブ102がブーム101に対して折り重なるように揺動し、図9(
b)に示すように、屈折シリンダ103を伸長させると、ジブ102がブーム101に対
してほぼ真直ぐに伸びるように揺動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−246098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の高所作業車では、屈折シリンダ103を最大限に伸長
させても、ジブ102がブーム101に対して下方にオフセットして伸びる構造であるた
め、ジブ102およびブーム101が真直ぐに伸びない分(すなわちオフセットの分)だ
け、作業台の位置が最も高くなるブーム101の最大起伏角近傍での作業範囲が狭くなる

【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、作業範囲を拡大させた高所作
業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的達成のため、本発明に係る高所作業車は、走行可能な車体と、前記車体
上に少なくとも起伏動自在に設けられたブームと、前記ブームの先端部に、前記ブームの
起伏面に沿って上下に揺動自在に連結された中間リンク部材と、前記中間リンク部材の先
端部に、前記ブームの起伏面に沿って上下に揺動自在に連結されたジブと、前記ジブの先
端部に配設された作業台と、前記中間リンク部材を前記ブームに対して揺動させる第1油
圧シリンダと、前記ジブを前記中間リンク部材に対して揺動させる第2油圧シリンダとを
備え、前記第1油圧シリンダおよび前記第2油圧シリンダは、前記中間リンク部材の左右
方向に互いに並列で、前記中間リンク部材の側方から見て互いに交差するように、前記中
間リンク部材の底面側にそれぞれ配設されており、前記第1油圧シリンダの一端は、前記
中間リンク部材の先端側に回転自在に連結され、前記第2油圧シリンダの一端は、前記中
間リンク部材の基端側に回転自在に連結され、前記第1油圧シリンダおよび前記第2油圧
シリンダの他端側は、前記互いに交差して前記ブームの先端部および前記ジブの基端部に
それぞれ連結されるようになっている。
【0008】
なお、上述の発明において、前記中間リンク部材は、前記第1油圧シリンダの伸縮によ
って、前記ブームとのなす角度が180度近傍となる第1の前記中間リンク部材の揺動角
度位置と、前記ブームとのなす角度が90度近傍となる第2の前記中間リンク部材の揺動
角度位置との間で揺動可能であり、前記ジブは、前記第2油圧シリンダの伸縮によって、
前記中間リンク部材とのなす角度が180度近傍となる第1の前記ジブの揺動角度位置と
、前記中間リンク部材とのなす角度が90度近傍となる第2の前記ジブの揺動角度位置と
の間で揺動可能であることが好ましい。
【0009】
また、上述の発明において、前記作業台は、前記ジブの先端部に、前記ブームの起伏面
に沿って上下に揺動可能に配設されており、前記ブームの起伏角度位置、前記ブームに対
する前記中間リンク部材の揺動角度位置、および前記中間リンク部材に対する前記ジブの
揺動角度位置に拘らず、前記作業台の角度姿勢を一定に保持するレベリング装置を備える
ことが好ましい。
【0010】
また、上述の発明において、前記第1油圧シリンダの一端は、前記中間リンク部材と前
記ジブとの連結部もしくは該連結部近傍において、前記ジブの揺動軸と同軸上で回転自在
に連結され、前記第2油圧シリンダの一端は、前記ブームと前記中間リンク部材との連結
部もしくは該連結部近傍において、前記中間リンク部材の揺動軸と同軸上で回転自在に連
結されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1油圧シリンダの一端は、中間リンク部材の先端側に回転自在に連
結され、第2油圧シリンダの一端は、中間リンク部材の基端側に回転自在に連結され、第
1油圧シリンダおよび第2油圧シリンダの他端側は、互いに交差してブームの先端部およ
びジブの基端部にそれぞれ連結される。そのため、中間リンク部材によりジブがブームに
対してより真直ぐに伸びることから、作業範囲を拡大させることが可能になる。
【0012】
また、上述の発明において、中間リンク部材が、ブームとのなす角度が180度近傍と
なる揺動角度位置と、ブームとのなす角度が90度近傍となる揺動角度位置との間で揺動
可能であり、ジブが、中間リンク部材とのなす角度が180度近傍となる揺動角度位置と
、中間リンク部材とのなす角度が90度近傍となる揺動角度位置との間で揺動可能であれ
ば、ジブをブームに対して折り重なる状態からほぼ真直ぐに伸びる状態まで揺動させるこ
とができ、またこのとき、第1油圧シリンダおよび第2油圧シリンダによる中間リンク部
材およびジブの揺動角度範囲が従来の約半分になるため、油圧シリンダの大きさを小さく
することができる。
【0013】
また、上述の発明において、ブームの起伏角度位置、ブームに対する中間リンク部材の
揺動角度位置、および中間リンク部材に対するジブの揺動角度位置に拘らず、作業台の角
度姿勢を一定に保持するレベリング装置を備えることで、レベリング装置により作業台の
角度姿勢を一定に保持したまま、先端部に作業台が配設されたジブを中間リンク部材やブ
ームに対して揺動させることができる。
【0014】
また、上述の発明において、第1油圧シリンダの一端は、ジブの揺動軸と同軸上で回転
自在に連結され、第2油圧シリンダの一端は、中間リンク部材の揺動軸と同軸上で回転自
在に連結されることで、ジブがブームに対してより真直ぐに伸びることから、作業範囲を
より拡大させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ジブおよび中間リンク部材がブームに対してほぼ真直ぐに伸びる状態を示す図である。
【図2】高所作業車の側面図である。
【図3】高所作業車の平面図である。
【図4】高所作業車の後面図である。
【図5】高所作業車のブームが起立・伸長した状態を示す図である。
【図6】中間リンク部材を下方から見た斜視図である。
【図7】(a)はジブがブームに対して折り重なる状態を示す図であり、(b)はジブが中間リンク部材およびブームに対してほぼ直角に伸びる状態を示す図である。
【図8】ジブおよび中間リンク部材がブームに対してほぼ直角に伸びる状態を示す図である。
【図9】(a)は従来の高所作業車においてジブがブームに対して折り重なる状態を示す図であり、(b)はジブがブームに対してほぼ真直ぐに伸びる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本実施形態に係る
高所作業車1を図2〜図4に示している。この高所作業車1は、前後輪3a,3bを有し
て走行可能であり、前部に運転キャブ2aを有したトラック車両をベースに構成される。
このトラック車両の車体2の上に図示しない旋回モータ(油圧モータ)により駆動されて
水平旋回可能に構成された旋回台5が配設されている。また、車体2の前後左右の四カ所
に下方に伸縮自在なアウトリガ6が設けられており、高所作業を行うときには、アウトリ
ガ6を下方に張り出して車体2を持ち上げ支持できるようになっている。
【0017】
旋回台5には基端部が枢結されてブーム10が取り付けられており、このブーム10は
起伏シリンダ7により起伏動されるようになっている。なお、本実施形態において、ブー
ム10を起伏動させたときのブーム10の軌跡を含む平面を、ブーム10の起伏面と称す
ることにする。ブーム10は、図5に示すように、基端ブーム11、第1中間ブーム12
、第2中間ブーム13、および先端ブーム14を入れ子式に組み合わせて、内蔵の伸縮シ
リンダ(図示せず)により伸縮動可能に構成されている。先端ブーム14は先端部にブー
ムヘッド15を有し、このブームヘッド15の先端部には、中間リンク部材20がブーム
10の起伏面に沿って上下に揺動自在に連結される。さらに、中間リンク部材20の先端
部には、ジブ30がブーム10の起伏面に沿って上下に揺動自在に連結される。
【0018】
中間リンク部材20は、図1および図6に示すように、左右の側部が先端ブーム14お
よびジブ30と連結される枠板状に形成される。中間リンク部材20の底面側には、第1
油圧シリンダ21および第2油圧シリンダ26が、中間リンク部材20の左右方向に互い
に並列で、中間リンク部材20の側方から見て互いに交差するように配設される。
【0019】
ブームヘッド15の上側先端部には、ブーム側リンク連結部16が形成されており、不
図示の連結ピン等を用いて、ブーム側リンク連結部16の内側に中間リンク部材20の基
端部が連結される。ブームヘッド15の下側先端部には、ブーム側第1シリンダ連結部1
7が形成されており、図示の連結ピン等を用いて、第1油圧シリンダ21のシリンダチュ
ーブ22側の端部が回転自在に連結される。なお、詳細な図示を省略するが、ブーム側リ
ンク連結部16の近傍に位置する中間リンク部材20の基端部には、第2油圧シリンダ2
6のピストンロッド28側の端部が回転自在に連結されるブーム側第2シリンダ連結部が
形成される。
【0020】
ジブ30は基端部にジブベース31を有し、このジブベース31に中間リンク部材20
等が連結される。ジブベース31の揺動中心側基端部には、ジブ側リンク連結部32が形
成されており、不図示の連結ピン等を用いて、ジブ側リンク連結部32の外側に中間リン
ク部材20の先端部が連結される。ジブベース31におけるジブ側リンク連結部32の内
側近傍には、ジブ側第1シリンダ連結部33が形成されており、第1油圧シリンダ21の
ピストンロッド23側の端部が回転自在に連結される。ジブベース31の揺動内周側基端
部には、ジブ側第2シリンダ連結部34が形成されており、図示の連結ピン等を用いて、
第2油圧シリンダ26のシリンダチューブ27側の端部が回転自在に連結される。
【0021】
第1油圧シリンダ21は、第1シリンダチューブ22と、第1ピストンロッド23とを
有し、油圧力を利用して第1ピストンロッド23を第1シリンダチューブ22に対して出
入させることにより、伸縮可能に構成される。第1ピストンロッド23の端部は、ジブベ
ース31のジブ側第1シリンダ連結部33に、ジブ30の揺動軸と同軸上で回転自在に連
結される。一方、第1シリンダチューブ22の端部は、ブームヘッド15のブーム側第1
シリンダ連結部17に、中間リンク部材20の揺動軸と平行な軸上で回転自在に連結され
る。これにより、第1油圧シリンダ21の伸縮によって、図1に示すようにブーム10と
のなす角度が180度近傍となる第1の中間リンク部材20の揺動角度位置(以下、第1
リンク揺動角度位置と称する)と、図7(a)および図8に示すようにブーム10とのな
す角度が90度近傍となる第2の中間リンク部材20の揺動角度位置(以下、第2リンク
揺動角度位置と称する)との間で、中間リンク部材20が揺動可能に構成される。
【0022】
第2油圧シリンダ26は、第2シリンダチューブ27と、第2ピストンロッド28とを
有し、油圧力を利用して第2ピストンロッド28を第2シリンダチューブ27に対して出
入させることにより、伸縮可能に構成される。第2ピストンロッド28の端部は、中間リ
ンク部材20のブーム側第2シリンダ連結部(図示せず)に、中間リンク部材20の揺動
軸と同軸上で回転自在に連結される。一方、第2シリンダチューブ27の端部は、ジブベ
ース31のジブ側第2シリンダ連結部34に、ジブ30の揺動軸と平行な軸上で回転自在
に連結される。これにより、第2油圧シリンダ26の伸縮によって、図1に示すように中
間リンク部材20とのなす角度が180度近傍となる第1のジブ30の揺動角度位置(以
下、第1ジブ揺動角度位置と称する)と、図7に示すように中間リンク部材20とのなす
角度が90度近傍となる第2のジブ30の揺動角度位置(以下、第2ジブ揺動角度位置と
称する)との間で、ジブ30が揺動可能に構成される。
【0023】
ジブ30の先端部には、支持部材40がブーム10の起伏面に沿って上下に揺動自在に
枢結される。この支持部材40は垂直ポスト部41を有し、レベリング装置42により支
持部材40の揺動制御が行われ、ブーム10の起伏角度位置、ブーム10に対する中間リ
ンク部材20の揺動角度位置、および中間リンク部材20に対するジブ30の揺動角度位
置に拘らず、垂直ポスト部41が常に垂直に延びて位置するように支持部材40が揺動制
御される。なお、レベリング装置42は、一端がジブ30の中間部に枢結されたレベリン
グシリンダ43と、両端がジブ30と支持部材40とに枢結されるとともに、中間部がレ
ベリングシリンダ43の他端に枢結されて、レベリングシリンダ43の伸縮作動に応じて
支持部材40(垂直ポスト部41)を上下に揺動させるリンク機構44とを有して構成さ
れる。
【0024】
このように常時垂直に保持される垂直ポスト部41に水平旋回自在に(首振り自在に)
作業台50が取り付けられおり、作業台50は、上述したブーム10の起伏角度位置、中
間リンク部材20の揺動角度位置、およびジブ30の揺動角度位置に拘らず、常に水平に
保持される。なお、作業台50には上部操作装置51が配設されている。また、旋回台5
にも下部操作装置8が配設されている。
【0025】
以上のように構成される高所作業車1において、図2に示すように、ブーム10が縮小
して車体2上に倒伏されるとともに、ジブ30がブーム10に対して折り重なる状態で格
納される。このとき、第1油圧シリンダ21が縮小作動して、ブーム10とのなす角度が
90度近傍となる第2リンク揺動角度位置まで中間リンク部材20が揺動するとともに、
第2油圧シリンダ26が縮小作動して、中間リンク部材20とのなす角度が90度近傍と
なる第2ジブ揺動角度位置までジブ30が揺動する。
【0026】
ジブ30をブーム10に対して折り重なる状態からほぼ真直ぐに伸びる状態まで揺動さ
せるには、まず、上部操作装置51または下部操作装置8の操作により、起伏シリンダ7
を伸長作動させて、ジブ30を下方に揺動させても作業台50が車体2および地面に当接
しない起伏角度位置までブーム10を起立させる。次に、上部操作装置51または下部操
作装置8の操作により、第1油圧シリンダ21を伸長作動させて、ブーム10とのなす角
度が90度近傍となる第2リンク揺動角度位置から、ブーム10とのなす角度が180度
近傍となる第1リンク揺動角度位置まで中間リンク部材20を(上方に)揺動させる。そ
うすると、ジブ30は、図7(a)に示すようなブーム10に対して折り重なる状態から
、図7(b)に示すようなブーム10に対して下方に90度だけ折れ曲る状態となる。
【0027】
そして、上部操作装置51または下部操作装置8の操作により、第2油圧シリンダ26
を伸長作動させて、中間リンク部材20とのなす角度が90度近傍となる第2ジブ揺動角
度位置から、中間リンク部材20とのなす角度が180度近傍となる第1ジブ揺動角度位
置までジブ30を(上方に)揺動させる。そうすると、ジブ30は、図7(b)に示すよ
うなブーム10に対して下方に90度だけ折れ曲る状態から、図1に示すようなブーム1
0に対してほぼ真直ぐに伸びる状態となる。なお、ジブ30をブーム10に対して任意の
角度だけ折り曲げる場合には、例えば、図5に示すように、ジブ30を第1ジブ揺動角度
位置に揺動させたまま(すなわち、ジブ30が中間リンク部材20に対してほぼ真直ぐに
伸びる状態のまま)、中間リンク部材20だけをブーム10に対して揺動させることがで
きる。また例えば、図7(b)に示すように、中間リンク部材20を第1リンク揺動角度
位置に揺動させたまま(すなわち、中間リンク部材20がブーム10に対してほぼ真直ぐ
に伸びる状態のまま)、ジブ30だけを中間リンク部材20に対して揺動させることもで
きる。
【0028】
また、ジブ30をブーム10に対してほぼ真直ぐに伸びる状態から折り重なる状態まで
揺動させるには、上述の場合と逆の動作を行えばよい。すなわち、第2油圧シリンダ26
を縮小作動させて、中間リンク部材20とのなす角度が180度近傍となる第1ジブ揺動
角度位置から、中間リンク部材20とのなす角度が90度近傍となる第2ジブ揺動角度位
置までジブ30を揺動させた後、第1油圧シリンダ21を縮小作動させて、ブーム10と
のなす角度が180度近傍となる第1リンク揺動角度位置から、ブーム10とのなす角度
が90度近傍となる第2リンク揺動角度位置まで中間リンク部材20を揺動させればよい

【0029】
この結果、本実施形態によれば、第1油圧シリンダ21の一端(第1ピストンロッド2
3の端部)は、中間リンク部材20の先端側に回転自在に連結され、第2油圧シリンダ2
6の一端(第2ピストンロッド28の端部)は、中間リンク部材20の基端側に回転自在
に連結され、第1油圧シリンダ21および第2油圧シリンダ26の他端側は、互いに交差
してブーム10の先端部およびジブ30の基端部にそれぞれ連結される。そのため、中間
リンク部材20によりジブ30がブーム10に対してより真直ぐに伸びることから、作業
台50の位置が最も高くなるブーム10の最大起伏角近傍での作業範囲を拡大させること
ができる。また、当該作業範囲を得るために必要なジブ30の屈伸角(またはブーム10
の起伏角)を少なくすることができるため、レベリング装置42の作動範囲が少なくなり
、レベリング装置42すなわちジブ30の先端側をコンパクトにすることができる。また
、ジブ30がブーム10に対して伸びる状態で、各油圧シリンダ21,26および中間リ
ンク部材20においてブーム10より下方もしくは上方に突出する部分が少ないので、ブ
ーム10を起伏動または伸縮動させたときに、他の構造物と干渉するおそれが少なく、作
業性を向上させることができる。
【0030】
また、中間リンク部材20が、ブーム10とのなす角度が180度近傍となる第1リン
ク揺動角度位置と、ブーム10とのなす角度が90度近傍となる第2リンク揺動角度位置
との間で揺動可能であり、ジブ30が、中間リンク部材20とのなす角度が180度近傍
となる第1ジブ揺動角度位置と、中間リンク部材20とのなす角度が90度近傍となる第
2ジブ揺動角度位置との間で揺動可能であるので、ジブ30をブーム10に対して折り重
なる状態からほぼ真直ぐに伸びる状態まで揺動させることができ、またこのとき、第1油
圧シリンダ21および第2油圧シリンダ26による中間リンク部材20およびジブ30の
揺動角度範囲が従来の約半分になるため、油圧シリンダの大きさを小さくすることができ
る。
【0031】
また、ブーム10の起伏角度位置、ブーム10に対する中間リンク部材20の揺動角度
位置、および中間リンク部材20に対するジブ30の揺動角度位置に拘らず、作業台50
の角度姿勢を一定に保持するレベリング装置42を備えることで、レベリング装置42に
より作業台50の角度姿勢を一定に保持したまま、先端部に作業台50が配設されたジブ
30を中間リンク部材20やブーム10に対して揺動させることができる。
【0032】
また、第1油圧シリンダ21の一端(第1ピストンロッド23の端部)は、中間リンク
部材20とジブ30との連結部近傍において、ジブ30の揺動軸と同軸上で回転自在に連
結され、第2油圧シリンダ26の一端(第2ピストンロッド28の端部)は、ブーム10
と中間リンク部材20との連結部近傍において、中間リンク部材20の揺動軸と同軸上で
回転自在に連結されることで、ジブ30がブーム10に対してより真直ぐに伸びることか
ら、作業範囲をより拡大させることが可能になる。
【0033】
なお、上述の実施形態において、ブーム10が伸縮動自在に構成されているが、これに
限られるものではなく、ブームが少なくとも起伏動自在な構成であれば、伸縮動しなくて
もよい。
【0034】
また、上述の実施形態において、伸縮動自在なブーム10が4段のブームから構成され
ているが、これに限られるものではなく、3段のブームから構成されてもよい。
【0035】
また、上述の実施形態において、ブーム10に限らず、ジブ30が伸縮動自在に構成さ
れてもよい。
【0036】
また、上述の実施形態において、ジブ30をブーム10に対して折り重なる状態からほ
ぼ真直ぐに伸びる状態まで揺動させる際、第1油圧シリンダ21を伸長作動させて、ブー
ム10とのなす角度が90度近傍となる第2リンク揺動角度位置から、ブーム10とのな
す角度が180度近傍となる第1リンク揺動角度位置まで中間リンク部材20を(上方に
)揺動させた後、第2油圧シリンダ26を伸長作動させて、中間リンク部材20とのなす
角度が90度近傍となる第2ジブ揺動角度位置から、中間リンク部材20とのなす角度が
180度近傍となる第1ジブ揺動角度位置までジブ30を(上方に)揺動させているが、
これに限られるものではない。例えば、図8に示すように、第2油圧シリンダ26を伸長
作動させて、第2ジブ揺動角度位置から第1ジブ揺動角度位置までジブ30を(下方に)
揺動させた後、第1油圧シリンダ21を伸長作動させて、第2リンク揺動角度位置から第
1リンク揺動角度位置まで中間リンク部材20を(上方に)揺動させるようにしてもよい

【0037】
また、上述の実施形態において、第1油圧シリンダ21の一端は、中間リンク部材20
とジブ30との連結部近傍に設けられたジブ側第1シリンダ連結部33に連結され、第2
油圧シリンダ26の一端は、ブーム10と中間リンク部材20との連結部近傍に設けられ
たブーム側第2シリンダ連結部(図示せず)に連結されているが、これに限られるもので
はない。例えば、第1油圧シリンダ21の一端が中間リンク部材20とジブ30との連結
部に一体的に連結される構成であってもよく、第2油圧シリンダ26の一端がブーム10
と中間リンク部材20との連結部に一体的に連結される構成であってもよい。また、第1
油圧シリンダ21の一端がジブ30の揺動軸と同軸上に連結されなくてもよく、第2油圧
シリンダ26の一端が中間リンク部材20の揺動軸と同軸上に連結されなくてもよい。
【0038】
また、上述の実施形態において、高所作業車としてトラック式の高所作業車1を例に説
明を行っているが、これに限られるものではなく、例えば、ホイール式の高所作業車やク
ローラ式の高所作業車であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 高所作業車
2 車体
10 ブーム
11 基端ブーム
12 第1中間ブーム
13 第2中間ブーム
14 先端ブーム
15 ブームヘッド
16 ブーム側リンク連結部
17 ブーム側第1シリンダ連結部
20 中間リンク部材
21 第1油圧シリンダ
26 第2油圧シリンダ
30 ジブ
31 ジブベース
32 ジブ側リンク連結部
33 ジブ側第1シリンダ連結部
34 ジブ側第2シリンダ連結部
40 支持部材
41 垂直ポスト部
42 レベリング装置
50 作業台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車体と、
前記車体上に少なくとも起伏動自在に設けられたブームと、
前記ブームの先端部に、前記ブームの起伏面に沿って上下に揺動自在に連結された中間
リンク部材と、
前記中間リンク部材の先端部に、前記ブームの起伏面に沿って上下に揺動自在に連結さ
れたジブと、
前記ジブの先端部に配設された作業台と、
前記中間リンク部材を前記ブームに対して揺動させる第1油圧シリンダと、
前記ジブを前記中間リンク部材に対して揺動させる第2油圧シリンダとを備え、
前記第1油圧シリンダおよび前記第2油圧シリンダは、前記中間リンク部材の左右方向
に互いに並列で、前記中間リンク部材の側方から見て互いに交差するように、前記中間リ
ンク部材の底面側にそれぞれ配設されており、
前記第1油圧シリンダの一端は、前記中間リンク部材の先端側に回転自在に連結され、
前記第2油圧シリンダの一端は、前記中間リンク部材の基端側に回転自在に連結され、
前記第1油圧シリンダおよび前記第2油圧シリンダの他端側は、前記互いに交差して前
記ブームの先端部および前記ジブの基端部にそれぞれ連結されることを特徴とする高所作
業車。
【請求項2】
前記中間リンク部材は、前記第1油圧シリンダの伸縮によって、前記ブームとのなす角
度が180度近傍となる第1の前記中間リンク部材の揺動角度位置と、前記ブームとのな
す角度が90度近傍となる第2の前記中間リンク部材の揺動角度位置との間で揺動可能で
あり、
前記ジブは、前記第2油圧シリンダの伸縮によって、前記中間リンク部材とのなす角度
が180度近傍となる第1の前記ジブの揺動角度位置と、前記中間リンク部材とのなす角
度が90度近傍となる第2の前記ジブの揺動角度位置との間で揺動可能であることを特徴
とする請求項1に記載の高所作業車。
【請求項3】
前記作業台は、前記ジブの先端部に、前記ブームの起伏面に沿って上下に揺動可能に配
設されており、
前記ブームの起伏角度位置、前記ブームに対する前記中間リンク部材の揺動角度位置、
および前記中間リンク部材に対する前記ジブの揺動角度位置に拘らず、前記作業台の角度
姿勢を一定に保持するレベリング装置を備えることを特徴とする請求項1または2に記載
の高所作業車。
【請求項4】
前記第1油圧シリンダの一端は、前記中間リンク部材と前記ジブとの連結部もしくは該
連結部近傍において、前記ジブの揺動軸と同軸上で回転自在に連結され、
前記第2油圧シリンダの一端は、前記ブームと前記中間リンク部材との連結部もしくは
該連結部近傍において、前記中間リンク部材の揺動軸と同軸上で回転自在に連結されるこ
とを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の高所作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−14418(P2013−14418A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149333(P2011−149333)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000116644)株式会社アイチコーポレーション (168)
【Fターム(参考)】