説明

高次変調のための光変調器

本発明の一実施形態によれば、16−QAM光変調器は、2つの電気的バイナリ信号に基づいてマッハ・ツェンダ変調器(MZM)を駆動する駆動回路に結合された、MZMを有する。MZMの出力は、対応する同相/直交位相(I−Q)平面内で一直線上に整列された4つのコンステレーション・ポイントから成る中間コンステレーションに対応する。これらのコンステレーション・ポイントのうちの2つがゼロ位相に対応し、残りの2つのコンステレーション・ポイントがπラジアンの位相に対応する。さらに、16−QAM光変調器は、MZMの出力を、2つの追加の電気的バイナリ信号に基づいてMZMの出力を変調する、移相器を有する。結果として得られる光出力信号が、中間コンステレーションの増分回転で生成される、スター16−QAMコンステレーションに対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信装置に関し、より詳細には、振幅変調および/または位相変調信号を作り出すための光変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
本節は、本発明のより良き理解の促進に役立ちうる態様を紹介する。したがって、本節の表現は、この観点から読まれるべきであり、従来技術であるものまたは従来技術でないものについての容認として理解されるべきではない。
【0003】
光通信システムにおける伝送能力、およびスペクトル帯域幅に対する多様な制約に対する、増加の一途をたどる要求が、「スペクトル的に効率のよい(spectrally efficient)」変調形式の使用をもたらしている。一般に、そのような変調形式は、高次光変調、例えば、8変数(8−ary)以上のQAM(直交振幅変調(quadrature amplitude modulation))およびAPSK(振幅位相偏移変調(amplitude−and phase−shift keying))、に基づいている。QAMおよびAPSKの様々な亜種が、例えば、(1)A.P.T.LauおよびJ.M.Kahn、「Signal Design and Detection in Presence of Nonlinear Phase Noise」、Journal of Lightwave Technology、2007年、v.25、3008〜3016頁、(2)M.Seimetzら、「Optical Systems with High−Order DPSK and Star QAM Modulation Based on Interferometric Direct Detection」、Journal of Lightwave Technology、2007年、v.25、1515〜1530頁、(3)J.Hongoら、「1−Gsymbol/s 64−QAM Coherent Optical Transmission over 150 km」、IEEE Photonics Technology Letters、2007年、v.19、638〜640頁、(4)K.Sekineら、「Modulation Parameter Tolerance for 8−and 16−APSK Signals」、Proceedings of Optical Fiber Communications Conference(OFC’06)、paper JThB13、2006年、(5)M.OhmおよびJ.Speidel、「Receiver Sensitivity,Chromatic Dispersion Tolerance and Optimal Receiver Bandwidth for 40 Gbit/s 8−Level Optical ASK−DQPSK and Optical 8−DPSK」、ITG−Fachtagung Photonische Netze、Leipzig、Germany、2005年5月、211〜217頁、に説明されており、それらのすべてが、参照によりその全体を本明細書に組み込まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A.P.T.LauおよびJ.M.Kahn、「Signal Design and Detection in Presence of Nonlinear Phase Noise」、Journal of Lightwave Technology、2007年、v.25、3008〜3016頁
【非特許文献2】M.Seimetzら、「Optical Systems with High−Order DPSK and Star QAM Modulation Based on Interferometric Direct Detection」、Journal of Lightwave Technology、2007年、v.25、1515〜1530頁
【非特許文献3】J.Hongoら、「1−Gsymbol/s 64−QAM Coherent Optical Transmission over 150 km」、IEEE Photonics Technology Letters、2007年、v.19、638〜640頁
【非特許文献4】K.Sekineら、「Modulation Parameter Tolerance for 8−and 16−APSK Signals」、Proceedings of Optical Fiber Communications Conference(OFC’06)、paper JThB13、2006年
【非特許文献5】M.OhmおよびJ.Speidel、「Receiver Sensitivity,Chromatic Dispersion Tolerance and Optimal Receiver Bandwidth for 40 Gbit/s 8−Level Optical ASK−DQPSK and Optical 8−DPSK」、ITG−Fachtagung Photonische Netze、Leipzig、Germany、2005年5月、211〜217頁
【非特許文献6】P.J.WinzerおよびR.J.Essiambre、「Advanced Optical Modulation Formats」、Proc.IEEE、2006年、vol.94(5)、952〜985頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
比較的高い変調速度(例えば、10ギガボー超)における高次変調に適する、代表的な従来技術の光変調器は、比較的多数の光変調要素を使用し、それらの各要素が、対応する駆動回路を有する。その結果、従来技術の高次光変調器の実施に伴う光学素子および電子機器の全体的な複雑度は、比較的高い。不利なことに、この複雑度は、それらの光変調器を、非実用的および/または費用的非効率にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、16−QAM光変調器は、2つの電気的バイナリ信号に基づくマッハ・ツェンダ変調器(Mach−Zehnder modulator:MZM)を駆動する駆動回路に結合されたMZMを有する。MZMの出力は、対応する同相/直交位相(in−phase/quadrature−phase:I−Q)平面内で一直線上に整列された4つのコンステレーション・ポイント(constellation point)から成る中間コンステレーションに対応する。これらのコンステレーション・ポイントのうちの2つがゼロ位相に対応し、残りの2つのコンステレーション・ポイントがπラジアンの位相に対応する。さらに、16−QAM光変調器は、MZMの出力を、2つの追加の電気的バイナリ信号に基づいて変調する移相器を有する。結果として得られる光出力信号は、中間コンステレーションの増分回転(incremental rotation)によって実質的に生成される、スター16−QAMコンステレーション(star 16−QAM constellation)に対応する。
【0007】
他の実施形態によれば、光デバイスは、(A)光入力信号の位相および振幅を変調するようになされたマッハ・ツェンダ変調器(MZM)と、(B)第1の位相偏移、または第1の位相偏移と約πラジアンだけ異なる第2の位相偏移のいずれかを、MZMが与えるようにさせるために、j+1個の電気的バイナリ信号に基づいてMZMを駆動するようになされた第1の駆動回路とを備え、ここでjは正整数である。光デバイスは、k−1個の追加の電気的バイナリ信号に基づいて、2k−1個の異なる位相偏移を加えて、位相をさらに変調し、スターM−QAMコンステレーションに対応する、被変調光出力信号を生成するようになされ、ここで、kは1より大きい整数であり、M=2j+kである。
【0008】
さらに他の実施形態によれば、光デバイスは、(A)光入力信号を変調して、被変調光出力信号を生成するようになされた光変調器と、(B)j+1個の電気的バイナリ信号に基づいて光変調器を駆動するようになされた駆動回路とを備え、ここでjは正整数である。駆動回路は、複数の増幅器を備え、各増幅器は、前記j+1個の電気的バイナリ信号の個別の1つを増幅し、対応する増幅された電気信号を生成するようになされている。さらに、駆動回路は、結果として得られたj+1個の増幅された電気信号を組み合わせて、光変調器を駆動するための、多段階(multilevel)の駆動信号を生成するようになされている。
【0009】
さらに他の実施形態によれば、光信号を変調する方法は、(A)マッハ・ツェンダ変調器(MZM)を使用し、j+1個の電気的バイナリ信号に基づいて、光入力信号の位相および振幅を変調するステップであって、MZMが、第1の位相偏移、または第1の位相偏移と約πラジアンだけ異なる第2の位相偏移のいずれかを与え、ここでjは正整数である、ステップと、(B)k−1個の追加の電気的バイナリ信号に基づいて2k−1個の異なる位相偏移を加えることによって位相をさらに変調し、スターM−QAMコンステレーションに対応する、被変調光出力信号を生成するステップとを含み、ここで、kは1より大きい整数であり、M=2j+kである。
【0010】
さらに他の実施形態によれば、光デバイスは、(A)光入力信号の位相および振幅を変調するようになされた光変調器と、(B)第1の位相偏移、または第1の位相偏移と約πラジアンだけ異なる第2の位相偏移のいずれかを、光変調器が与えるようにさせるために、j+1個の電気的バイナリ信号に基づいて、光変調器を駆動するようになされた第1の駆動回路とを備え、ここでjは正整数である。光デバイスは、k−1個の追加の電気的バイナリ信号に基づいて、2k−1個の異なる位相偏移を加えて位相をさらに変調し、スターM−QAMコンステレーションに対応する、被変調光出力信号を生成するようになされ、ここで、kは1より大きい整数であり、M=2j+kである。
【0011】
本発明の他の態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面から、より完全に明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による高次光変調器のブロック図である。
【図2】図1に示す変調器の光出力信号に対応する、スター16−QAMコンステレーションを示す図である。
【図3】本発明の他の実施形態による高次光変調器のブロック図である。
【図4】図3に示す変調器の光出力信号に対応する、スター16−QAMコンステレーションを示す図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態による高次光変調器のブロック図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態による高次光変調器のブロック図である。
【図7】図6に示す変調器の光出力信号に対応する、直線構成の16−QAM(rectilinear 16−QAM)コンステレーションを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による光送信器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による高次光変調器100のブロック図を示す。変調器100は、4つの電気的バイナリ信号Data1〜Data4を受け、対応する被変調光出力信号132を作り出す。信号132は、2−ASK/8−PSK信号として分類され、ここで、頭字語2−ASKおよび8−PSKは、それぞれ、バイナリ振幅偏移変調(binary amplitude−shift keying)および8変数位相偏移変調(8−ary phase−shift keying)を表す。
【0014】
図2は、信号132に対応するスター16−QAMコンステレーション200を図表で示す。コンステレーション200は、(i)半径rの円の上に整列された8つのコンステレーション・ポイントと、(ii)半径Rの円の上に整列された8つのコンステレーション・ポイントとを有し、ここでR>rである。それぞれの円の上の、隣接するコンステレーション・ポイント間の角度分離は、45度である。コンステレーション200の4つのコンステレーション・ポイントが、同相(I)軸上に位置し、4つの他のコンステレーション・ポイントが、直交位相(Q)軸上に位置する。図2の各コンステレーション・ポイントの隣に配置された括弧付きバイナリ値は、信号Data1〜Data4(図1参照)から成る4ビット信号に対する代表的なビット・マッピングを示す。このビット・マッピングは、以下に、より詳細に説明される。ビット・マッピングが、例えば、適切なバイナリ事前コード化(precoding)法および/または外部事前コード化デバイス(図1に明確には示さず)を使用することによって、変更されうることは、当業者には容易に理解されよう。代表的実施形態では、r/Rの比は、約0.2と約0.8との間、例えば0.5である。
【0015】
図1に戻って参照すると、変調器100は、駆動回路140と結合されたマッハ・ツェンダ変調器(MZM)110を有する。MZM110は、レーザ(図1に明確には示さず)から光入力(例えば、連続波)信号102を受け、駆動回路140から受けた駆動信号108に応答して被変調光信号112を作り出す。次いで、信号112は、移相器120に加えられる。
【0016】
駆動回路140は、バイナリ信号Data1およびData2に基づいて、駆動信号108を作り出す。駆動回路140において、信号Data1およびData2が、それぞれ、増幅器142a〜142bに加えられる。典型的には、信号Data1およびData2は、同じレール分離(rail separation)を有するゼロ平均(例えば、ac結合された高速の)ディジタル信号である。例えば、それらの信号の下レール(lower rail)および上レール(upper rail)は、それぞれ、−1Vおよび+1Vであってよい。駆動回路140は、平均の駆動信号108を、MZM110において最大級の吸光(light extinction)(すなわち、MZMの光学的ヌルに相当)を生成する電圧周りに、両側に対称的に振動させる、dcバイアス電圧(V)を使用するように構成される。言い換えれば、駆動信号108が電圧Vであれば、MZM110は実質的に光を送信せず、それゆえ、ヌルにする信号112を送信する。
【0017】
増幅器142a〜142bは、それぞれ、信号利得gおよびgを供給するように構成され、それらの利得の相対的な値が、例えば下式、
【数1】

で表されうる。信号Data1に基づいて、増幅器142aは、電圧+gΔV1/2および−gΔV1/2を有する2段階の出力信号を生成し、ここでΔV1/2は、信号Data1/Data2における上レールと下レールとの間の分離の2分の1である。同様に、信号Data2に基づいて、増幅器142bは、電圧+gΔV1/2および−gΔV1/2を有する2段階の出力信号を生成する。増幅器142a〜142bの出力信号が合計され、結果として得られた信号が、バイアス電圧Vに重ねられる。
【0018】
表1は、バイナリ信号Data1およびData2の関数として、光信号112の特性を示す。
【表1】

この表において、IおよびIは、それぞれ、コンステレーション200の外側および内側の円に対応する強度を表す。
【0019】
表1に示す信号特性は、例えば、LiNbO、GaAs、もしくはInPなど、Xカット(X−cut)の電気光学材料を使用して実施されるか、またはプッシュ・プル構成で差動的に駆動される、チャープ・フリー(chirp−free)MZMの伝達特性を思い起こせば、理解されうる。より詳細には、MZMは、cosの伝達関数を有し、その関数の複数のローブは、対応するヌル・ポイントで分離される。MZMが、伝達関数の単一のローブの中に留まる駆動信号で駆動される場合、MZMは、実質的にチャープ・フリーである、振幅被変調光信号を生成する。しかし、駆動信号が、伝達関数の単一のローブに閉じ込められずに、ヌル電圧(例えば、V)を横断して隣接するローブに至る場合、そのような横断が、MZMの光出力において約πラジアンの離散的な位相増加を引き起こし、それにより、振幅変調および(ディジタル)位相変調の両方を付与する。
【0020】
上で説明したように、信号108は、電圧Vをベース電圧として使用し、電圧V周りに信号108が、往復して振動する。信号108における4つの可能な段階のうち、2つの段階が伝達関数の1つのローブに対応し、他の2つの段階が隣接するローブに対応する。その結果、表1の第2の列に表示する振幅変調に加えて、MZM110は、表1の第3の列に表示する位相変調を付与する。要約すると、上で説明した変調方式は、信号Data1およびData2から成る2ビットの入力信号を、I−Q平面内で一直線上に整列された4つのコンステレーション・ポイントから成る中間コンステレーションの上にマッピングする。これらのコンステレーション・ポイントのうちの2つが、ゼロ位相に対応し、残りの2つのコンステレーション・ポイントが、πラジアンの位相に対応する。
【0021】
移相器120は、駆動回路150で作り出された駆動信号118に応答して、光信号112の位相を変調する。機能的には、移相器120および駆動回路150は、一組の異なる離散的な角度によって、この特定の例では、各角度が、信号Data3およびData4から成る2ビット信号の異なるバイナリ値に対応する、一組の4つの異なる角度によって、光信号112に対応する4つのコンステレーション・ポイントを回転させるように働く。この回転で、移相器120で生成された、被変調光信号122が、コンステレーション200の16のコンステレーション・ポイントに対応する16の光シンボルのうちのいずれかを有することが可能になる。
【0022】
駆動回路150では、信号Data3およびData4が、駆動回路140の増幅器142a〜142bそれぞれに類似する増幅器152a〜152bに加えられる。増幅器152a〜152bの出力信号が合計されて、駆動信号118が作り出される。駆動信号118に応答して、移相器120が、光信号112と122との間に、駆動電圧に比例する相対的な位相偏移をもたらす。
【0023】
信号Data3に基づいて、増幅器152aは、電圧+ΔVπ/4および−ΔVπ/4を有する2段階の出力信号を生成し、ここでΔVπ/4は、移相器120における45度の位相偏移に対応する電圧である。同様に、信号Data4に基づいて、増幅器152bは、電圧+ΔVπ/8および−ΔVπ/8を有する2段階の出力信号を生成し、ここでΔVπ/8は、移相器120における22.5度の位相偏移に対応する電圧であり、線形移相器方式において、ΔVπ/8=ΔVπ/4/2である。信号Data3およびData4が、同じレール分離を有する場合、増幅器152aの信号利得は、増幅器152bの信号利得より約2倍大きくなるように設定される。
【0024】
表2は、駆動回路150によって移相器120に印加される駆動電圧V、および結果として移相器によって誘導された位相偏移を、バイナリ信号Data3およびData4の関数として示す。
【表2】

MZM110および移相器120が組み合わされた作用は、図2の各コンステレーション・ポイントの隣に配置された、対応する括弧付きバイナリ値によって表示されるように、信号Data1〜Data4から成る4ビット信号を、コンステレーション200の上にマッピングすることである。各バイナリ値において、第1のビットが信号Data1に対応し、第2のビットが信号Data2に対応し、以下同様である。
【0025】
光信号122は、その信号を、所望のデューティ・サイクルを有するゼロ復帰(return−to−zero:RZ)光信号132に変換するように構成されたパルス・カーバ(pulse carver)130に、任意選択で加えられてよい。図1に示す実施形態では、パルス・カーバ130は、適切に拡縮されたクロック信号で駆動されるMZMを使用して実施される。様々なパルス・カーバが、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、P.J.WinzerおよびR.J.Essiambre、「Advanced Optical Modulation Formats」、Proc.IEEE、2006年、vol.94(5)、952〜985頁に要約されるように、パルス・カーバ130として使用されてよいことは、当業者には理解されよう。
【0026】
典型的な従来技術のスター16−QAM光変調器よりも有利なことに、変調器100は、MZMと移相器、および/またはより少ない段階を有する駆動信号など、より少ない光変調用要素を使用する。例えば、従来技術のスター16−QAM光変調器は、典型的には、8−PSK変調方式に基づいており、8段階の駆動信号または8つの個別の移相器を使用して実施される。対照的に、変調器100は、4−PSK変調方式に基づいており、4段階の駆動信号および単一の移相器を使用して実施される。
【0027】
図3は、本発明の他の実施形態による、高次光変調器300のブロック図を示す。変調器300は、変調器100(図1)に全体的に類似しており、多くの同じ構成要素を有する。しかし、変調器300では、駆動電流150は、駆動電流350で置き換えられる。駆動電流350は、それが追加の増幅器352を有する点で、駆動電流150と異なる。また、変調器300は、信号Data1およびData2が入力信号として働くXORゲート360を有する。XORゲート360で生成される出力データ信号362が、増幅器352に加えられる。増幅器352の出力信号が、増幅器152a〜152bの出力信号と共に合計される。
【0028】
増幅器352は、増幅器152a〜152bのそれぞれに類似する。データ信号362に基づいて、増幅器352は、電圧+ΔVπ/16および−ΔVπ/16を有する2段階の出力信号を生成し、ここでΔVπ/16は、移相器120における11.25度の位相偏移に対応する電圧である。移相器120の線形範囲内で、ΔVπ/16=ΔVπ/8/2=ΔVπ/4/4である。データ信号362が、信号Data3およびData4と同じレール分離を有する場合、増幅器352の信号利得は、増幅器152bの信号利得の約1/2、すなわち増幅器152aの信号利得の約1/4となるように設定される。
【0029】
図4は、変調器300で生成される光出力信号332に対応する、スター16−QAMコンステレーション400を図表で示す。コンステレーション400は、全体的に、コンステレーション200(図2)に類似する。しかし、コンステレーション200と400との間の1つの違いは、後者のコンステレーションでは、内側の円が外側の円に対して、約22.5度回転されることである。ある状況において、コンステレーション400の使用は、ある信号障害、例えば検出ノイズおよびファイバの非線形性、に対してコンステレーションに復元力があるため、有利でありうる。
【0030】
表1と、図2に示すビット・マッピングとから明らかなように、コンステレーション200の内側の円は、最初の2ビットが「01」または「10」のいずれかであるコンステレーション・ポイントを有する。これらのビットの組合せのいずれかに適用されるXOR関数は、バイナリ「1」を結果としてもたらす。同様に、コンステレーション200の外側の円は、最初の2ビットが「00」または「11」のいずれかであるコンステレーション・ポイントを有する。これらのビットの組合せのいずれかに適用されるXOR関数は、バイナリ「0」を結果としてもたらす。このように、信号362の2つのバイナリ状態が、コンステレーション200の2つの円に対する個別の識別子として使用されうる。これらの識別子で、変調器300が、コンステレーションの異なる円に対応するコンステレーション・ポイントを見分けることが、可能になる。変調器300において信号362に基づいて、内側の円が外側の円に対して22.5度だけ回転することで、コンステレーション200がコンステレーション400に、効率的に変換する。図4において、各コンステレーション・ポイントの隣に配置された括弧付きバイナリ値が、結果として得られた、コンステレーション400に対するビット・マッピングを示す。
【0031】
図5は、本発明のさらに他の実施形態による、高次光変調器500のブロック図を示す。変調器500は、駆動回路570a〜570bに結合された、デュアル駆動(dual−drive)MZM510を有する。MZM510は、レーザ(図5に明確には示さず)から光入力(例えば、連続波)信号502を受け、駆動回路570a〜570bそれぞれから受けた駆動信号508a〜508bに応答して、被変調光信号512を作り出す。次いで、信号512が、任意選択のパルス・カーバ130に加えられ、RZ出力信号532を生成する。信号512および532は共に、コンステレーション200(図2)に対応する。変調器500は、8つの電気的バイナリ信号を受けるが、それらの信号のうちの4つ、Data1〜Data4だけが、独立したデータ信号である。8つの信号のうちの残りの4つは、個別の4つの独立した信号から導き出された、複製された信号または反転された信号のいずれかである。
【0032】
デュアル駆動MZMであることで、MZM510は、プッシュ・プルおよびプッシュ・プッシュの両動作を可能にする。プッシュ・プル動作は、表1で説明される振幅変調および位相変調を実施するために使用される。プッシュ・プッシュ動作は、表2で説明される位相偏移変調を実施するために使用される。上ですでに説明したように、これら2つの変調方式が組み合わされた作用が、図2に示すビット・マッピングである。
【0033】
駆動回路570a〜570bのそれぞれが、4つの増幅器572〜572を有する。増幅器572および572は、全体的に、増幅器142aおよび142bそれぞれ(図1参照)に類似する。しかし、駆動回路570aの増幅器572および572とは違って、駆動回路570bの増幅器572および572は、Data1およびData2が反転された信号を受けるように構成されている。図5では、反転動作が、個別の信号タグの上の水平のバーで表示される。デュアル駆動のMZMを、それぞれ、データおよび反転されたデータに対応する2つの駆動信号で駆動することで、プッシュ・プル動作が結果としてもたらされることは、当業界でよく知られている。MZM510では、二対の増幅器572および572で可能となるプッシュ・プル動作が、表1で説明される振幅変調および位相変調を生成する。
【0034】
増幅器572および572は、全体的に、増幅器152aおよび152bそれぞれ(図1参照)に類似する。しかし、増幅器572および572の信号利得は、移相器120の特性よりもMZM510の特性に適合するように設定される。デュアル駆動MZMを、2つの同一の駆動信号で駆動することで、プッシュ・プッシュ動作が結果としてもたらされることは、当業界でよく知られている。MZM510では、二対の増幅器572および572で可能となるプッシュ・プッシュ動作が、表2で説明される位相変調を与える。
【0035】
高次変調器100、300、および500のそれぞれが、コンステレーション200(図2)またはコンステレーション400(図4)など、対応するスター16−QAMコンステレーションに対して設計されるが、同様のアプローチが、任意のスターM−QAMコンステレーションに対する高次変調器を実施するために使用されてよく、ここで、M=2であり、nは2より大きい整数である。例えば、スターM−QAMコンステレーションが、2個の同心円を有すると仮定すると、各同心円は、2個のコンステレーション・ポイントを有し、ここでjおよびkのそれぞれは正整数であり、j+k=nである。次いで、このコンステレーションに適応された高次変調器が、例えば、以下のように実施されうる。
【0036】
変調器は、n個の独立したバイナリ・データ信号を受けるように構成される。それらのn個のデータ信号のうち、j+1個のデータ信号が、表1で説明されるものと類似の振幅変調および位相変調を実施するために使用される。より詳細には、変調器は、例えば増幅器142(図1参照)に類似のj+1個の増幅器を有する、例えば駆動回路140に類似の駆動回路を有する。駆動回路は、MZMを駆動するように構成され、MZMは、I−Q平面内で一直線上に設置された、2j+1個のコンステレーション・ポイントを有する中間コンステレーションに対応する被変調光信号を生成する。それらの2j+1個のコンステレーション・ポイントのうち、2個のコンステレーション・ポイントが、0ラジアンの光位相を有し、残りの2個のコンステレーション・ポイントが、πラジアンの光位相を有する。
【0037】
残りのk−1(=n−(j+1))個のデータ信号が、位相偏移変調を実施するために使用される。より詳細には、変調器は、例えば増幅器152(図1参照)に類似のk−1個の増幅器を有する、例えば駆動回路150に類似の駆動回路を有する。この駆動回路は、移相器を駆動するように構成され、移相器は、MZMで生成された被変調光信号をさらに変調する。この変調の作用は、中間コンステレーションを、2k−1個の異なる角度だけ実質的に回転させ、それにより、所望のスターM−QAMコンステレーションを生成することである。高次変調器100、300、および500のそれぞれに対して、パラメータ値は以下の通り、n=4、j=1、およびk=3であることに、留意されたい。
【0038】
所望の場合、スターM−QAMコンステレーションの構成要素の円のいくつかまたはすべてが、1つまたは複数の他の円に対して回転されうる。例えば、適切な論理関数を、MZMを駆動するために使用されるj+1個のデータ信号のいくつかまたはすべてに適用することによって、変調器は、スターM−QAMコンステレーションの構成要素の円のそれぞれに対して、ユニークな識別子を生成することができる。例えば、スターM−QAMコンステレーションにおけるビット・マッピング・パターンを解析することによってそのような関数を見出すことは、比較的容易である。変調器300(図3)の場合、適切な論理関数は排他的OR関数であることを、想起されたい。その上、ユニークな識別子は、異なる個別の位相偏移を、スターM−QAMコンステレーションの異なる円の上に整列されたコンステレーション・ポイントに与えるために使用可能であり、それにより、I−Q平面内のそれらの円の所望の回転が引き起こされる。さらに、当技術分野で知られているように、論理信号を駆動回路に加える前に、論理信号を事前コード化することにより、任意の所望のビット・パターンのシンボルへのマッピングが、達成されうる。
【0039】
図6は、本発明のさらに他の実施形態による高次光変調器600のブロック図を示す。変調器600は、4つの電気的バイナリ信号Data1〜Data4を受け、対応する被変調光出力信号632を作り出す。信号632は、直線構成の16−QAM信号である。
【0040】
図7は、信号632に対応する直線構成の16−QAMコンステレーション700を図表で示す。隣接するコンステレーション・ポイント間の水平(すなわち、I軸に沿った)分離はdであり、隣接するコンステレーション・ポイント間の垂直(すなわち、Q軸に沿った)分離はdである。様々な実施形態では、dおよびdは、同じ値または異なる値を有することができる。I軸およびQ軸の原点は、内側の4つのコンステレーション・ポイントで画定される矩形の内部に中心を置く。各コンステレーション・ポイントの隣に配置された括弧付きバイナリ値が、信号Data1〜Data4から成る4ビット信号に対するビット・マッピングを示す。
【0041】
図6に戻って参照すると、変調器600は、2つの変調分岐606a〜606bを有し、各分岐が、パワー・スプリッタ604とパワー・コンバイナ608との間で結合される。変調分岐606a〜606bのそれぞれが、それぞれの駆動回路640に結合されたMZM610を有する。MZM610のそれぞれが、パワー・スプリッタ604から、光入力信号602のそれぞれの部分を受け、それぞれの駆動回路640から受けた駆動信号608に応答してその部分を変調し、それぞれの被変調光信号612を作り出す。変調分岐606bに設置された移相器620が、90度の位相偏移を信号612bに与え、信号612b’を生成する。信号612aおよび612b’が、パワー・コンバイナ608において組み合わされる。この変調器構成は、多くの場合、QPSK変調器、I/Q変調器、またはシングル・サイドバンド変調器と呼ばれる。パワー・コンバイナ608の出力が、任意選択の(図1を参照して上で説明された)パルス・カーバ130に加えられる。パルス・カーバ130の出力は、信号632である。
【0042】
駆動回路640a〜640bのそれぞれは、全体的に、駆動回路140(図1)に類似する。駆動回路640aは、その駆動回路の増幅器642a〜642bにそれぞれ加えられるバイナリ信号Data1およびData2に基づいて、駆動信号608aを作り出す。同様に、駆動回路640bは、その駆動回路の増幅器642c〜642dにそれぞれ加えられるバイナリ信号Data3およびData4に基づいて、駆動信号608bを作り出す。増幅器642a〜642dでもたらされる信号利得の相対的な値が、例えば、以下のように、
【数2】

で表現されうる。
【0043】
対応するデータ信号に基づいて、増幅器642a〜642dのそれぞれが、電圧+gΔV1/2および−gΔV1/2を有する2段階の出力信号を生成し、ここで、gは式(2a)〜式(2d)のうちの1式で与えられる、対応する信号利得であり、ΔV1/2は信号Data1〜Data4におけるレール分離の2分の1である。駆動回路640aでは、増幅器642a〜642bの出力信号が合計され、結果として得られた信号が、MZM610aに対応する、ヌルにするバイアス電圧に重ねられる。駆動回路640bでは、増幅器642c〜642dの出力信号が同様に合計され、結果として得られた信号が、MZM610bに対応する、ヌルにするバイアス電圧に重ねられる。表1を参照して上ですでに説明したように、MZM610a〜610bのそれぞれが、そのように駆動され、I−Q平面内で一直線上にある4つのコンステレーション・ポイントから成る中間コンステレーションの上に、個別の2ビット入力信号を実質的にマッピングする。それらの4つのコンステレーション・ポイントのうち、2つのコンステレーション・ポイントが、0ラジアンの光位相を有し、残りの2つのコンステレーション・ポイントが、πラジアンの光位相を有する。
【0044】
移相器620の作用は、MZM610bに対応する中間コンステレーションを、MZM610aに対応する中間コンステレーションに対して90度だけ回転させることである。その結果、パワー・コンバイナ608は、変調分岐606aおよび606bが、実数部および虚数部をそれぞれ提供する複素数発生器として実質的に機能する。変調分岐606aおよび606bが組み合わされた作用は、図7における各コンステレーション・ポイントの隣に配置された、対応する括弧付きバイナリ値によって表示されるように、信号Data1〜Data4から成る4ビット信号を、コンステレーション700の上にマッピングすることである。それらのバイナリ値のそれぞれにおいて、第1のビットは信号Data1に対応し、第2のビットは信号Data2に対応し、以下同様である。異なるビットからシンボルへの割当てが、バイナリ入力信号を駆動回路に加える前に、バイナリ入力信号を事前コード化することによって達成されうる。
【0045】
駆動回路140、150、350、570、および640の1つの共通の特性は、それらの駆動回路のそれぞれが、最初に、対応するバイナリ・データ信号を増幅し、次いで、結果として得られた、増幅された信号を組み合わせて、コンステレーション200、400、または700など、対応する高次コンステレーションの作成に使用される、多段階の駆動信号を形成するように設計されることである。本明細書で使用されるように、用語「多段階」は、3段階以上を有する信号を意味する。対照的に、典型的な従来技術のアプローチは、最初に、対応するバイナリ・データ信号を組み合わせて多段階の信号を形成し、その次にようやく、その多段階の信号を増幅し、対応する高次コンステレーションの作成に使用される多段階の駆動信号を形成するために、変調分岐606a〜606bを駆動することである。バイナリ・データ信号は、例えば1V程度の、比較的低電圧の信号であり、多段階の駆動信号は、例えば10V程度の、比較的高電圧の信号であるので、従来技術のアプローチは、比較的大きな電圧範囲にわたって比較的高度の線形性を持っている増幅器を使用するための駆動回路を必要とする。さらに、変調分岐606a〜606bを有する変調器の使用は、一般に、比較的厳しい量子化要求を結果としてもたらすであろうことに、留意されたい。それゆえ、変調器100または300に類似の変調器および/または駆動回路140、150、350、570、および640に類似の駆動回路を使用することが有利であり、後者の駆動回路は、増幅器の線形性の仕様を大幅に緩和することに役立ち、それにより、あまり複雑でなく、および/またはより費用効率の高い増幅デバイスの使用が可能になる。
【0046】
図8は、本発明の一実施形態による、光送信器800のブロック図を示す。送信器800は、それぞれが偏波スプリッタ804と偏波コンバイナ810との間で結合される、2つの変調分岐806a〜806bを使用して、偏波多重被変調光信号812を作り出す。偏波スプリッタ804は、レーザ802で作り出された光ビームを、2つの直交する偏波成分に分割し、それらの偏波成分を変調分岐806a〜806bそれぞれに加える。変調分岐806a〜806bのそれぞれは、個別の偏波成分を、変調器が受ける信号に基づいて変調する、個別の光変調器808を有する。典型的には、変調器808a〜808bは、異なる独立したデータ信号を受ける。様々な実施形態では、変調器808は、変調器100、300、500、および600のうちの任意の1つであってよい。偏波コンバイナ810は、変調器808a〜808bから受けた被変調偏波成分を組み合わせて、光信号812を生成する。比較的弱い偏波依存性を持っている変調器が、光送信器800において使用されている場合、2つのパルス・カーバが、変調器808a〜808bで、任意選択で使用される代わりに、偏波コンバイナ810の出力に配置された、共有の任意選択の、1つのパルス・カーバを有することもできる。
【0047】
本明細書で使用されるように、用語「スターM−QAMコンステレーション」は、2つ以上の同心円上に整列されたM個のコンステレーション・ポイントから成るコンステレーションを意味する。一実施形態では、コンステレーション・ポイントは、各スポーク(半径)が、異なる円に対応する2つ以上のコンステレーション・ポイントを含む状態の、車輪とスポークのパターンに整列される。他の実施形態では、コンステレーション・ポイントは、どのスポーク(半径)も、規定の数のコンステレーション・ポイントより多くを含むことができないように、それらの個別の円上に整列される。例えば、N個の円を有するコンステレーションでは、コンステレーション・ポイントは、各スポーク(半径)が、異なる円に対応するn個のコンステレーション・ポイントを含むように、それらの個別の円上に整列されてよく、ここでnは、任意に選択された、N+1より小さい正整数である。典型的な実施形態では、それぞれの円の上の2つの隣接するコンステレーション・ポイント間の角度分離は、同じであるが、各円は、同じ数のコンステレーション・ポイントを有しても有さなくてもよい。
【0048】
光位相が、通常、なんらかの選択された基準位相に対して測定されることは、当業者には理解されよう。さらに、2πの整数倍だけ異なる光位相は、一般に、同じ値を有するものとみなされる。したがって、別段に明記しない限りは、句「0ラジアンの位相偏移」は、位相偏移がないことに限定されるものと解釈されるべきではない。同様に、句「1つまたは複数の異なる位相偏移」の中で言及される位相偏移のうちの1つは、「0ラジアンの位相偏移」であってよい。
【0049】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明されてきたが、この説明は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。例えば、本発明のある実施形態は、MZMタイプの変調器以外の光変調器で実施されうる。例えば、I−Q平面内で一直線上に整列された2j+1個のコンステレーション・ポイント、ここでjは正整数、から成る中間コンステレーションを生成することができる光変調器は、(i)2個の異なる信号振幅を作り出すように構成された振幅変調器と、(ii)ゼロ位相偏移またはπラジアンの位相偏移を、振幅変調器の出力に、制御可能に与えるように構成された移相器とから構成されうる。そのような光変調器は、j+1個の入力バイナリ信号に基づいて動作し、高次光変調器の実施形態において、例えば、MZM110(図1もしくは図3)またはMZM610(図6)の実施形態に類似の位置において、使用されるように構成されてよい。
【0050】
QAM−コンステレーション円の識別子を作り出すための論理回路が、光変調器500に組み込まれうる。異なるバイナリ信号、例えばData1〜Data4が、異なるレール分離を有することができる。説明した実施形態の種々の改変形態ならびに本発明の他の実施形態は、本発明が関連する当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲で示される本発明の原理および範囲の中に存在するものとみなされる。
【0051】
本発明の実施形態は、単一の集積回路(混成オプトエレクトロニック集積回路など)、マルチチップ・モジュール、シングル・カード、またはマルチカード回路パックとして可能な実施を含めて、回路ベースのプロセスとして実施されうる。
【0052】
別段に明記しない限りは、それぞれの数値および範囲は、単語「約(about)」または「およそ(approximately)」が、その値または範囲の値の前に置かれるかのごとく、近似的であるものと解釈されるべきである。
【0053】
さらに、本発明の本質を明白にするために説明され例示されてきた部品の詳細、材料、および配列における様々な変更が、以下の特許請求の範囲で示される本発明の範囲を逸脱することなく、当業者によってなされうることが理解されよう。
【0054】
以下の方法クレームにおける要素は、要素が存在する場合、対応する標識を付けて特定の順番で記述されるけれども、特許請求の範囲の記述が、それらの要素のいくつかまたはすべてを実施するために、特定の順番を別段に暗示しないならば、それらの要素は、必ずしも、その特定の順番で実施されるように限定されることを意図するものではない。
【0055】
本明細書における「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれうることを意味する。本明細書の様々な場所における、「一実施形態では」の句の出現が、必ずしもすべて、同じ実施形態に言及するものではなく、または、別個の、もしくは代替の実施形態が、必ずしも、他の実施形態を互いに排除するものではない。同様のことが、用語「実施」に適用される。
【0056】
詳細な説明を通して、図面は、縮尺どおりではなく、例示のためだけであり、本発明を限定するためではなく説明するために使用される。
【0057】
また、この説明のために、用語「結合する」、「結合している」、「結合された」、「接続する」、「接続している」、または「接続された」は、当技術分野で知られているか、またはその後拡張された、なんらかの仕方に言及しており、そこではエネルギーを、2つ以上の要素の間で伝達することができ、1つまたは複数の追加の要素の介在物が想定されるが、不可欠ではない。反対に、用語「直接結合された」、「直接接続された」などは、そのような追加の要素が存在しないことを暗示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入力信号の位相および振幅を変調するよう構成されたマッハ・ツェンダ変調器(MZM)と、
第1の位相偏移、または第1の位相偏移と約πラジアンだけ異なる第2の位相偏移のいずれかをMZMが与えるようにさせるように、j+1個の電気的バイナリ信号に基づいてMZMを駆動するよう構成された第1の駆動回路とを備え、光デバイスが、k−1個の追加の電気的バイナリ信号に基づいて2k−1個の異なる位相偏移を加えて位相をさらに変調し、スターM−QAMコンステレーションに対応する被変調光出力信号を生成するように構成され、jは正整数であり、kは1より大きい整数であり、M=2j+kである、光デバイス。
【請求項2】
前記第1の駆動回路が、2個の異なる振幅を前記被変調光出力信号の中に生成するために、前記j+1個の電気的バイナリ信号に基づいて前記MZMを駆動するよう構成された、請求項1に記載の装置発明。
【請求項3】
前記MZMが、前記2k−1個の異なる位相偏移を加えて、前記被変調光出力信号を生成するよう構成された、請求項1に記載の装置発明。
【請求項4】
前記MZMがデュアル駆動MZMであり、
前記第1の駆動回路が、さらに、前記MZMを、前記k−1個の追加の電気的バイナリ信号に基づいて駆動するよう構成され、
前記光デバイスはさらに、前記MZMを、前記j+1個の電気的バイナリ信号および前記k−1個の追加の電気的バイナリ信号に基づいて駆動するよう構成された第2の駆動回路を備え、
前記第1の駆動回路および前記第2の駆動回路が、
前記MZMを駆動して、前記j+1個の電気的バイナリ信号を使用してプッシュ・プル変調を可能にし、そして、
前記MZMを駆動して、前記追加のk−1個の電気的バイナリ信号を使用してプッシュ・プッシュ変調を可能にする、よう構成された、請求項3に記載の装置発明。
【請求項5】
前記MZMの外部の移相器をさらに備え、前記移相器が、前記2k−1個の異なる位相偏移を加えるよう構成された、請求項1に記載の装置発明。
【請求項6】
前記MZMが、対応する同相/直交位相平面内で一直線上に整列された2j+1個のコンステレーション・ポイントからなる中間コンステレーションに対応する中間の被変調光信号を作り出すよう構成され、
前記2k−1個の異なる位相偏移を前記中間の被変調光信号に加えることが、前記中間コンステレーションの増分回転を結果としてもたらし、前記回転が前記スターM−QAMコンステレーションを生成する、請求項5に記載の装置発明。
【請求項7】
j=1およびk=3である、請求項1に記載の装置発明。
【請求項8】
前記j+1個の電気的バイナリ信号のいくつかまたはすべてを処理して、前記スターM−QAMコンステレーションの1つまたは複数の円に対する1つまたは複数の識別子を導き出すよう構成された論理回路をさらに備え、前記光デバイスがさらに、前記位相に、前記1つまたは複数の識別子に基づいて追加の位相偏移を加えるよう構成された、請求項1に記載の装置発明。
【請求項9】
前記第1の駆動回路が複数の増幅器を備え、各増幅器が、前記j+1個の電気的バイナリ信号のうちの個別の1つを増幅して、対応する増幅信号を生成するよう構成され、
前記第1の駆動回路が、前記結果として得られたj+1個の増幅された電気信号を組み合わせて、前記MZMを駆動するための多段階の駆動信号を生成するよう構成され、
前記駆動回路が、さらに、
前記多段階の駆動信号を、前記MZMの光学的ヌルに対応するバイアス電圧に重ね、っそして、
前記MZMを、前記結果として得られた重ねられた信号で駆動する、ように構成された、請求項1に記載の装置発明。
【請求項10】
光信号を変調する方法であって、
マッハ・ツェンダ変調器(MZM)を使用し、j+1個の電気的バイナリ信号に基づいて、光入力信号の位相および振幅を変調するステップを含み、前記MZMが、第1の位相偏移、または前記第1の位相と約πラジアンだけ異なる第2の位相偏移のいずれかを与え、jが正整数であり、さらに、
スターM−QAMコンステレーションに対応する被変調光出力信号を生成するために、k−1個の追加の電気的バイナリ信号に基づいて、2k−1個の異なる位相偏移を加えることによって前記位相をさらに変調するステップであって、kが1より大きい整数であり、M=2j+kである、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−527026(P2011−527026A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516325(P2011−516325)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/003846
【国際公開番号】WO2010/005500
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】