高流量較正試験先端部材
高流量較正試験先端部材は、入口ポート、流体流入ポート、流体流出ポート、及びばねによって偏らされるプランジャを有し、当該プランジャは、或る位置では、入口ポートと流体流入ポート及び流体流出ポートの両方との間の連通を提供し、別の位置では、入口ポートと流体流出ポートのみとの間の連通を提供し、さらに別の位置では、流体流入ポートと流体流出ポートとの間のみの連通を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、鉄道車両の空気ブレーキのような、空気圧システムを試験及び較正するのに使用される装置に関する。特に、本発明は、試験及び較正を必要とする空気圧システムに接続される高流量較正試験先端部材（high flow calibration test point）に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般的に言えば、空気圧システム及び油圧システムと共に用いる較正試験先端部材が公知である。この高流量較正試験先端部材によって、システム内の問題を分析するために、高価な圧力センサ又は計器をシステム内の臨界位置に一時的に接続することができる。試験が完了すると、センサは他の場所で用いるために取り出すことができ、空気圧システムは較正試験先端部材がなかったかのように安全なものとなる。本明細書で説明される高流量試験先端部材は、センサを接続することだけではなく、制御された流体圧力をシステムの隔離部分へ噴射することによって較正も可能にする。本発明による高流量較正試験先端部材は、鉄道輸送車両のブレーキシステムにおける応荷重弁と共に用いる特定の用途を有する。
【発明の開示】
【０００３】
［発明の概要］
簡潔には、本発明によると、高流量較正試験先端部材は、流体流入ポート及び流体流出ポートを有する搬送チャンバを画定する本体を備える。また、搬送チャンバと本体の軸方向端部との間を延びるプランジャシリンダは、本体内にあると共に搬送チャンバに接続される。
【０００４】
プランジャは、プランジャシリンダ内に摺動可能に位置付けられる。プランジャは、一方の軸方向端部に、本体の外部からアクセス可能な入口ポートを有する。軸方向通路は、入口ポートからプランジャを通って少なくとも部分的に延びる。プランジャは、軸方向通路と、プランジャの円筒外面と連通する半径方向通路を有する。プランジャの或る位置では、半径方向通路は搬送チャンバからシールされ、別の位置では、搬送チャンバと連通する。ばねは、プランジャの入口ポート及び半径方向通路を搬送チャンバからシールするように、プランジャを偏らせるために搬送チャンバ内に位置付けられる。
【０００５】
搬送チャンバの流体流入ポートは、プランジャと軸方向に並び、弁座を画定する。プランジャは、プランジャと連結される弁ストッパを有する。プランジャがばねに対して十分に押し下げられると、弁ストッパが着座し、プランジャの半径方向通路が搬送チャンバへ開く。この位置では、プランジャの入口ポートは、搬送チャンバの流体流出ポートのみと連通する。プランジャは、弁ストッパが着座していないと共に半径方向通路が依然として搬送チャンバと連通している中間位置を有する。この位置では、入口ポートは、流体流入ポート及び流体流出ポートの両方と連通している。
【０００６】
好ましくは、本発明によると、本体は、スナップリングによって共に保持される内側本体及び外側本体を含む。外側本体はプランジャシリンダを画定し、内側本体は流体流入ポート及び流体流出ポートを画定する。内側本体及び外側本体は共に、搬送チャンバを画定して囲む。
【０００７】
一つの実施形態によると、プランジャは、プランジャがプランジャシリンダから完全に滑り出るのを防止する拡大端部を有している。内側本体及び外側本体から成る本体によって、プランジャ及びばねの搬送チャンバへの組み付けが可能となる。
【０００８】
一つの実施形態によると、プランジャシリンダ内のプランジャは、本体全体を貫通するようには延びていない。本体の外側に隣接するプランジャシリンダの部分は、ねじ付きのプラグ又はプローブを受け入れるようにねじ山が付けられている。
【０００９】
好適な実施形態によると、ポリマー製のストッパディスクは、プランジャと、搬送チャンバの円筒状の壁の部分と係合している。ストッパディスクは、対向する面を有し、プランジャの位置に応じて、当該面の一方がプランジャシリンダを搬送チャンバからシールし、他方が流体流入ポートを搬送チャンバからシールしている。
【００１０】
さらなる特徴及び他の目的、並びに利点は、図面を参照してなされる以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
図１及び図２を参照すると、高流量較正試験先端部材１０は、入口ポート１４及び内部の軸方向通路１６を備えた、ばねによって偏らされたプランジャ１２を有している。高流量較正試験先端部材１０は、流体流入ポート２４及び流体流出ポート２６を有する搬送チャンバ２２を画定すると共に、プランジャシリンダ２８を画定する本体２０を備えている。本体２０は、スナップリング２３によって共に接合された外側本体２０Ａ及び内側本体２０Ｂから構成されている。
【００１２】
外側本体２０Ａの詳細な構成を図７〜図１０に示す。外側本体２０Ａは、複数の内部直径を有する中空の円筒形状を有し、この内部直径のうちの１つがプランジャシリンダ２８を画定し、別の内部直径が搬送チャンバ２２を画定している。搬送チャンバ２２の端部に、内側本体２０Ｂを受け入れるくぼみ２９が設けられている。封止Ｏリング３３を受け入れる環状溝３０が設けられている。外側本体２０Ａは、その拡大端部に、試験される空気圧システムの部分に外側本体２０Ａを固定する締結具を受け入れる穴３２を備えたフランジ３１を有している。
【００１３】
内側本体２０Ｂの詳細な構成を図３〜図６に示す。内側本体２０Ｂは、中空の円筒形状を有している。内部の中空の空間は、高流量較正試験先端部材１０へつながる流体流入ポート２４を画定している。１つの軸方向端部に、封止Ｏリング３５を受け入れる環状溝が設けられている。内側本体２０Ｂは、半径方向のフランジ３９を有し、このフランジ３９は、外側本体２０Ａのくぼみ２９への軸方向移動を制限するために、外側本体２０Ａの内表面によって係合して抑止される表面を有して外方に延びている。フランジの他の側のスナップリング２３は、フランジ、したがって内側本体２０Ｂを外側本体２０Ａ内に捕捉する。図５及び図６に示されるように、フランジ３９は、流体が内側本体２０Ｂの外側と外側本体２０Ａの内側との間の環状空間を軸方向に通過できるように三角形形状を有している。この環状空間は、高流量較正試験先端部材１０の流体流出ポート２６を画定している。図１及び図２から分かるように、内側本体２０Ｂ及び外側本体２０Ａの円筒形部分は共通の円筒軸を有している。
【００１４】
プランジャ１２は、外側本体２０Ａのプランジャシリンダ内に摺動可能に位置付けられている。プランジャ１２の詳細な構成を図１１〜図１４に示す。プランジャ１２は、軸方向開放端部に入口ポート１４を有し、入口ポート１４からプランジャ１２を通って少なくとも部分的に延びる軸方向通路１６を有している。プランジャ１２は、軸方向通路１６と、プランジャ１２の円筒外面と連通する半径方向通路１８を有している。
【００１５】
半径方向通路１８付近のプランジャ１２の端部は、弁ストッパディスク４０に着座する。弁ストッパディスク４０は、軸方向に対向する２つの面を有し、これらの面の両方が、説明するように、流れを止めるように座部とともに作用する。図１５に示されるような弁ストッパディスクの外周は、当該弁ストッパディスクと搬送チャンバ２２の内壁との間の流れが可能となるように構成されている。
【００１６】
ばね３６は、内側本体２０Ｂの一方の端部に着座し、弁ストッパディスク４０の他方の端部において、プランジャ１２及び弁ストッパディスク４０を内側本体２０Ｂから離れる方向に偏らせている。ばね３６が完全に伸張した位置では、弁ストッパディスク４０の上面は、外側本体２０Ａをシールする。
【００１７】
プランジャ１２が弁ストッパディスク４０に対して部分的に押し下げられると、プランジャ１２の半径方向通路１８は、搬送チャンバ２２へ開く。プランジャ１２が完全に押し下げられると、弁ストッパディスク４０の底面が内側本体２０Ｂに着座して流体流入ポート２４をシールし、この位置では、プランジャ１２の入口ポート１４は、流体流出ポート２６のみと連通する。
【００１８】
高流量較正試験先端部材の１つの用途では、流体流入ポート２４が制御圧力源に接続され、流体流出ポート２６が、鉄道車両の空気圧ブレーキシステムにおいて使用される応荷重中継弁の荷重制御チャンバに接続される。このような用途の説明については、本願と同一の譲受人に譲渡された、「内部較正試験先端部材を備えた応荷重弁」と題する同時継続中の米国特許出願第１１／３７８，９７５号を参照されたい。
【００１９】
プランジャ１２は、弁ストッパディスク４０が着座していないと共に半径方向通路１８が搬送チャンバ２２と連通している中間位置を有し、この位置では、プランジャ１２の入口ポート１４は、流体流入ポート２４及び流体流出ポート２６の両方と連通している。
【００２０】
試験又は較正が行われない形態では、流体は流体流入孔２４を通ってベースに流入し、搬送チャンバ２２及び流体流出ポート２６へ流れる。プランジャ１２はばね３６によってプランジャシリンダ２８内に保持され、プランジャ１２の半径方向通路１８及び軸方向通路１６への流れを防止する。
【００２１】
較正するために、較正される装置に制御圧力が送達されなければならない。カバー４２（図１を参照）は、取り外されてプローブ４４（図２を参照）と取り替えられなければならない。プローブ４４は、プランジャ１２を弁ストッパディスク４０に着座させるようにし、したがって流体流入ポート２４をシールする。この形態では、装置の上流にある空気圧システムの部分に影響を与えることなく、制御流体を流体流出ポート２６へ噴射することができる。
【００２２】
空気圧システムを監視するために、プローブ４４は完全には押し下げられず、弁ストッパディスク４０が着座しないままにする。この形態では、試験される空気圧装置の入口の圧力を、流れを妨害することなく動作中に観察することができる。
【００２３】
本明細書で説明した高流量較正試験先端部材は、流体源と、制御流体圧力の射出による較正が必要な任意の装置との間で作用するように設計される。現行の装置はこの機能を提供するが、高流量較正試験先端部材を通る流れを制限する。この流れの制限によって、高流量較正試験先端部材の下流にある装置の動作に影響を与える可能性がある。高流量較正試験先端部材は、漏洩保護を維持しつつも、流体が、高流量較正試験先端部材を現行の設計よりも高流量で流れるようにする。
【００２４】
このように、本発明を詳細に、特に特許法によって必要とされる程度に説明してきたが、特許証によって保護されることが望まれるものは添付の特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明による、縮小位置にある高流量較正試験先端部材の断面図である。
【図２】本発明による、試験位置のうちの１つにある高流量較正試験先端部材の断面図である。
【図３】下部弁座を画定する内側本体の断面図である。
【図４】下部弁座を画定する内側本体の側面図である。
【図５】下部弁座を画定する内側本体の上面図である。
【図６】下部弁座を画定する内側本体の底面図である。
【図７】上部弁座を画定する外側本体の断面図である。
【図８】上部弁座を画定する外側本体の側面図である。
【図９】上部弁座を画定する外側本体の上面図である。
【図１０】上部弁座を画定する外側本体の底面図である。
【図１１】プランジャの断面図である。
【図１２】プランジャの側面図である。
【図１３】プランジャの上面図である。
【図１４】プランジャの底面図である。
【図１５】プランジャシールの上面図である。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、鉄道車両の空気ブレーキのような、空気圧システムを試験及び較正するのに使用される装置に関する。特に、本発明は、試験及び較正を必要とする空気圧システムに接続される高流量較正試験先端部材（high flow calibration test point）に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般的に言えば、空気圧システム及び油圧システムと共に用いる較正試験先端部材が公知である。この高流量較正試験先端部材によって、システム内の問題を分析するために、高価な圧力センサ又は計器をシステム内の臨界位置に一時的に接続することができる。試験が完了すると、センサは他の場所で用いるために取り出すことができ、空気圧システムは較正試験先端部材がなかったかのように安全なものとなる。本明細書で説明される高流量試験先端部材は、センサを接続することだけではなく、制御された流体圧力をシステムの隔離部分へ噴射することによって較正も可能にする。本発明による高流量較正試験先端部材は、鉄道輸送車両のブレーキシステムにおける応荷重弁と共に用いる特定の用途を有する。
【発明の開示】
【０００３】
［発明の概要］
簡潔には、本発明によると、高流量較正試験先端部材は、流体流入ポート及び流体流出ポートを有する搬送チャンバを画定する本体を備える。また、搬送チャンバと本体の軸方向端部との間を延びるプランジャシリンダは、本体内にあると共に搬送チャンバに接続される。
【０００４】
プランジャは、プランジャシリンダ内に摺動可能に位置付けられる。プランジャは、一方の軸方向端部に、本体の外部からアクセス可能な入口ポートを有する。軸方向通路は、入口ポートからプランジャを通って少なくとも部分的に延びる。プランジャは、軸方向通路と、プランジャの円筒外面と連通する半径方向通路を有する。プランジャの或る位置では、半径方向通路は搬送チャンバからシールされ、別の位置では、搬送チャンバと連通する。ばねは、プランジャの入口ポート及び半径方向通路を搬送チャンバからシールするように、プランジャを偏らせるために搬送チャンバ内に位置付けられる。
【０００５】
搬送チャンバの流体流入ポートは、プランジャと軸方向に並び、弁座を画定する。プランジャは、プランジャと連結される弁ストッパを有する。プランジャがばねに対して十分に押し下げられると、弁ストッパが着座し、プランジャの半径方向通路が搬送チャンバへ開く。この位置では、プランジャの入口ポートは、搬送チャンバの流体流出ポートのみと連通する。プランジャは、弁ストッパが着座していないと共に半径方向通路が依然として搬送チャンバと連通している中間位置を有する。この位置では、入口ポートは、流体流入ポート及び流体流出ポートの両方と連通している。
【０００６】
好ましくは、本発明によると、本体は、スナップリングによって共に保持される内側本体及び外側本体を含む。外側本体はプランジャシリンダを画定し、内側本体は流体流入ポート及び流体流出ポートを画定する。内側本体及び外側本体は共に、搬送チャンバを画定して囲む。
【０００７】
一つの実施形態によると、プランジャは、プランジャがプランジャシリンダから完全に滑り出るのを防止する拡大端部を有している。内側本体及び外側本体から成る本体によって、プランジャ及びばねの搬送チャンバへの組み付けが可能となる。
【０００８】
一つの実施形態によると、プランジャシリンダ内のプランジャは、本体全体を貫通するようには延びていない。本体の外側に隣接するプランジャシリンダの部分は、ねじ付きのプラグ又はプローブを受け入れるようにねじ山が付けられている。
【０００９】
好適な実施形態によると、ポリマー製のストッパディスクは、プランジャと、搬送チャンバの円筒状の壁の部分と係合している。ストッパディスクは、対向する面を有し、プランジャの位置に応じて、当該面の一方がプランジャシリンダを搬送チャンバからシールし、他方が流体流入ポートを搬送チャンバからシールしている。
【００１０】
さらなる特徴及び他の目的、並びに利点は、図面を参照してなされる以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
図１及び図２を参照すると、高流量較正試験先端部材１０は、入口ポート１４及び内部の軸方向通路１６を備えた、ばねによって偏らされたプランジャ１２を有している。高流量較正試験先端部材１０は、流体流入ポート２４及び流体流出ポート２６を有する搬送チャンバ２２を画定すると共に、プランジャシリンダ２８を画定する本体２０を備えている。本体２０は、スナップリング２３によって共に接合された外側本体２０Ａ及び内側本体２０Ｂから構成されている。
【００１２】
外側本体２０Ａの詳細な構成を図７〜図１０に示す。外側本体２０Ａは、複数の内部直径を有する中空の円筒形状を有し、この内部直径のうちの１つがプランジャシリンダ２８を画定し、別の内部直径が搬送チャンバ２２を画定している。搬送チャンバ２２の端部に、内側本体２０Ｂを受け入れるくぼみ２９が設けられている。封止Ｏリング３３を受け入れる環状溝３０が設けられている。外側本体２０Ａは、その拡大端部に、試験される空気圧システムの部分に外側本体２０Ａを固定する締結具を受け入れる穴３２を備えたフランジ３１を有している。
【００１３】
内側本体２０Ｂの詳細な構成を図３〜図６に示す。内側本体２０Ｂは、中空の円筒形状を有している。内部の中空の空間は、高流量較正試験先端部材１０へつながる流体流入ポート２４を画定している。１つの軸方向端部に、封止Ｏリング３５を受け入れる環状溝が設けられている。内側本体２０Ｂは、半径方向のフランジ３９を有し、このフランジ３９は、外側本体２０Ａのくぼみ２９への軸方向移動を制限するために、外側本体２０Ａの内表面によって係合して抑止される表面を有して外方に延びている。フランジの他の側のスナップリング２３は、フランジ、したがって内側本体２０Ｂを外側本体２０Ａ内に捕捉する。図５及び図６に示されるように、フランジ３９は、流体が内側本体２０Ｂの外側と外側本体２０Ａの内側との間の環状空間を軸方向に通過できるように三角形形状を有している。この環状空間は、高流量較正試験先端部材１０の流体流出ポート２６を画定している。図１及び図２から分かるように、内側本体２０Ｂ及び外側本体２０Ａの円筒形部分は共通の円筒軸を有している。
【００１４】
プランジャ１２は、外側本体２０Ａのプランジャシリンダ内に摺動可能に位置付けられている。プランジャ１２の詳細な構成を図１１〜図１４に示す。プランジャ１２は、軸方向開放端部に入口ポート１４を有し、入口ポート１４からプランジャ１２を通って少なくとも部分的に延びる軸方向通路１６を有している。プランジャ１２は、軸方向通路１６と、プランジャ１２の円筒外面と連通する半径方向通路１８を有している。
【００１５】
半径方向通路１８付近のプランジャ１２の端部は、弁ストッパディスク４０に着座する。弁ストッパディスク４０は、軸方向に対向する２つの面を有し、これらの面の両方が、説明するように、流れを止めるように座部とともに作用する。図１５に示されるような弁ストッパディスクの外周は、当該弁ストッパディスクと搬送チャンバ２２の内壁との間の流れが可能となるように構成されている。
【００１６】
ばね３６は、内側本体２０Ｂの一方の端部に着座し、弁ストッパディスク４０の他方の端部において、プランジャ１２及び弁ストッパディスク４０を内側本体２０Ｂから離れる方向に偏らせている。ばね３６が完全に伸張した位置では、弁ストッパディスク４０の上面は、外側本体２０Ａをシールする。
【００１７】
プランジャ１２が弁ストッパディスク４０に対して部分的に押し下げられると、プランジャ１２の半径方向通路１８は、搬送チャンバ２２へ開く。プランジャ１２が完全に押し下げられると、弁ストッパディスク４０の底面が内側本体２０Ｂに着座して流体流入ポート２４をシールし、この位置では、プランジャ１２の入口ポート１４は、流体流出ポート２６のみと連通する。
【００１８】
高流量較正試験先端部材の１つの用途では、流体流入ポート２４が制御圧力源に接続され、流体流出ポート２６が、鉄道車両の空気圧ブレーキシステムにおいて使用される応荷重中継弁の荷重制御チャンバに接続される。このような用途の説明については、本願と同一の譲受人に譲渡された、「内部較正試験先端部材を備えた応荷重弁」と題する同時継続中の米国特許出願第１１／３７８，９７５号を参照されたい。
【００１９】
プランジャ１２は、弁ストッパディスク４０が着座していないと共に半径方向通路１８が搬送チャンバ２２と連通している中間位置を有し、この位置では、プランジャ１２の入口ポート１４は、流体流入ポート２４及び流体流出ポート２６の両方と連通している。
【００２０】
試験又は較正が行われない形態では、流体は流体流入孔２４を通ってベースに流入し、搬送チャンバ２２及び流体流出ポート２６へ流れる。プランジャ１２はばね３６によってプランジャシリンダ２８内に保持され、プランジャ１２の半径方向通路１８及び軸方向通路１６への流れを防止する。
【００２１】
較正するために、較正される装置に制御圧力が送達されなければならない。カバー４２（図１を参照）は、取り外されてプローブ４４（図２を参照）と取り替えられなければならない。プローブ４４は、プランジャ１２を弁ストッパディスク４０に着座させるようにし、したがって流体流入ポート２４をシールする。この形態では、装置の上流にある空気圧システムの部分に影響を与えることなく、制御流体を流体流出ポート２６へ噴射することができる。
【００２２】
空気圧システムを監視するために、プローブ４４は完全には押し下げられず、弁ストッパディスク４０が着座しないままにする。この形態では、試験される空気圧装置の入口の圧力を、流れを妨害することなく動作中に観察することができる。
【００２３】
本明細書で説明した高流量較正試験先端部材は、流体源と、制御流体圧力の射出による較正が必要な任意の装置との間で作用するように設計される。現行の装置はこの機能を提供するが、高流量較正試験先端部材を通る流れを制限する。この流れの制限によって、高流量較正試験先端部材の下流にある装置の動作に影響を与える可能性がある。高流量較正試験先端部材は、漏洩保護を維持しつつも、流体が、高流量較正試験先端部材を現行の設計よりも高流量で流れるようにする。
【００２４】
このように、本発明を詳細に、特に特許法によって必要とされる程度に説明してきたが、特許証によって保護されることが望まれるものは添付の特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明による、縮小位置にある高流量較正試験先端部材の断面図である。
【図２】本発明による、試験位置のうちの１つにある高流量較正試験先端部材の断面図である。
【図３】下部弁座を画定する内側本体の断面図である。
【図４】下部弁座を画定する内側本体の側面図である。
【図５】下部弁座を画定する内側本体の上面図である。
【図６】下部弁座を画定する内側本体の底面図である。
【図７】上部弁座を画定する外側本体の断面図である。
【図８】上部弁座を画定する外側本体の側面図である。
【図９】上部弁座を画定する外側本体の上面図である。
【図１０】上部弁座を画定する外側本体の底面図である。
【図１１】プランジャの断面図である。
【図１２】プランジャの側面図である。
【図１３】プランジャの上面図である。
【図１４】プランジャの底面図である。
【図１５】プランジャシールの上面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
高流量較正試験先端部材であって、
流体流入ポート及び流体流出ポートを有する搬送チャンバを画定すると共に、該搬送チャンバと高流量較正試験先端部材のポートとを連通するプランジャシリンダを画定する本体と、
前記プランジャシリンダ内に摺動可能に位置付けられるプランジャであって、軸方向開放端部に入口ポートと、該入口ポートから前記プランジャを通って少なくとも部分的に延びる軸方向通路と、前記プランジャの円筒外面と連通する半径方向通路とを有するプランジャと、
前記搬送チャンバ内のばねであって、前記プランジャの前記半径方向通路が前記搬送チャンバから遮断されるように、前記搬送チャンバから離れる方向へ前記プランジャを偏らせるばねと、
を備え、
前記流体流入ポートは、前記プランジャと軸方向に並ぶと共に弁座を画定し、
前記プランジャは、前記ばねに対して押し下げられると、前記流体流入ポートの前記弁座に着座する弁ストッパを一端に有し、前記プランジャの前記半径方向通路は前記搬送チャンバへ開き、この位置では、前記プランジャの前記入口ポートは、前記搬送チャンバの前記流体流出ポートのみと連通し、
前記プランジャは、前記弁ストッパが着座しないと共に前記半径方向通路が前記搬送チャンバと連通する中間位置を有し、この位置では、前記プランジャの前記入口ポートは、前記搬送チャンバの前記流体流入ポート及び前記流体流出ポートの両方と連通する、高流量較正試験先端部材。
【請求項２】
前記本体は内側本体及び外側本体を含み、該外側本体は前記プランジャシリンダを画定し、前記内側本体は前記搬送チャンバの前記流体流入ポート及び前記流体流出ポートを画定し、前記内側本体及び前記外側本体はともに前記搬送チャンバを画定する、請求項１に記載の高流量較正試験先端部材。
【請求項３】
前記プランジャは、前記ばねの一端を固定すると共に前記プランジャが前記搬送チャンバから滑り出てしまうのを防止する拡大端部を有する、請求項２に記載の高流量較正試験先端部材。
【請求項４】
前記内側本体は、前記外側本体内に軸方向に並んで位置付けられ、スナップリングによって所定位置に保持される、請求項１に記載の高流量較正試験先端部材。
【請求項５】
ポリマー製の弁ストッパは、前記プランジャと、前記搬送チャンバの円筒状の壁の部分と係合し、前記弁ストッパは対向する面を有し、前記プランジャの位置に応じて、前記面の一方は、前記プランジャシリンダを前記搬送チャンバからシールするように位置付け可能であり、前記面の他方は、前記流体流入ポートを前記搬送チャンバからシールするように位置付け可能である、請求項１に記載の高流量較正試験先端部材。
【請求項１】
高流量較正試験先端部材であって、
流体流入ポート及び流体流出ポートを有する搬送チャンバを画定すると共に、該搬送チャンバと高流量較正試験先端部材のポートとを連通するプランジャシリンダを画定する本体と、
前記プランジャシリンダ内に摺動可能に位置付けられるプランジャであって、軸方向開放端部に入口ポートと、該入口ポートから前記プランジャを通って少なくとも部分的に延びる軸方向通路と、前記プランジャの円筒外面と連通する半径方向通路とを有するプランジャと、
前記搬送チャンバ内のばねであって、前記プランジャの前記半径方向通路が前記搬送チャンバから遮断されるように、前記搬送チャンバから離れる方向へ前記プランジャを偏らせるばねと、
を備え、
前記流体流入ポートは、前記プランジャと軸方向に並ぶと共に弁座を画定し、
前記プランジャは、前記ばねに対して押し下げられると、前記流体流入ポートの前記弁座に着座する弁ストッパを一端に有し、前記プランジャの前記半径方向通路は前記搬送チャンバへ開き、この位置では、前記プランジャの前記入口ポートは、前記搬送チャンバの前記流体流出ポートのみと連通し、
前記プランジャは、前記弁ストッパが着座しないと共に前記半径方向通路が前記搬送チャンバと連通する中間位置を有し、この位置では、前記プランジャの前記入口ポートは、前記搬送チャンバの前記流体流入ポート及び前記流体流出ポートの両方と連通する、高流量較正試験先端部材。
【請求項２】
前記本体は内側本体及び外側本体を含み、該外側本体は前記プランジャシリンダを画定し、前記内側本体は前記搬送チャンバの前記流体流入ポート及び前記流体流出ポートを画定し、前記内側本体及び前記外側本体はともに前記搬送チャンバを画定する、請求項１に記載の高流量較正試験先端部材。
【請求項３】
前記プランジャは、前記ばねの一端を固定すると共に前記プランジャが前記搬送チャンバから滑り出てしまうのを防止する拡大端部を有する、請求項２に記載の高流量較正試験先端部材。
【請求項４】
前記内側本体は、前記外側本体内に軸方向に並んで位置付けられ、スナップリングによって所定位置に保持される、請求項１に記載の高流量較正試験先端部材。
【請求項５】
ポリマー製の弁ストッパは、前記プランジャと、前記搬送チャンバの円筒状の壁の部分と係合し、前記弁ストッパは対向する面を有し、前記プランジャの位置に応じて、前記面の一方は、前記プランジャシリンダを前記搬送チャンバからシールするように位置付け可能であり、前記面の他方は、前記流体流入ポートを前記搬送チャンバからシールするように位置付け可能である、請求項１に記載の高流量較正試験先端部材。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【公表番号】特表２００９−５４３９８４（Ｐ２００９−５４３９８４Ａ）
【公表日】平成２１年１２月１０日（２００９．１２．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−５１９５９１（Ｐ２００９−５１９５９１）
【出願日】平成１９年７月３日（２００７．７．３）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＵＳ２００７／０７２７４１
【国際公開番号】ＷＯ２００８／００８６６８
【国際公開日】平成２０年１月１７日（２００８．１．１７）
【出願人】（５０６１９０６８１）ワブテク・ホールディング・コーポレイション (13)
【氏名又は名称原語表記】ＷＡＢＴＥＣ ＨＯＬＤＩＮＧ ＣＯＲＰ．
【住所又は居所原語表記】１００１ Ａｉｒ Ｂｒａｋｅ Ａｖｅｎｕｅ， Ｗｉｌｍｅｒｄｉｎｇ， ＰＡ １５１４８， Ｕ．Ｓ．Ａ．
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成２１年１２月１０日（２００９．１２．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年７月３日（２００７．７．３）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＵＳ２００７／０７２７４１
【国際公開番号】ＷＯ２００８／００８６６８
【国際公開日】平成２０年１月１７日（２００８．１．１７）
【出願人】（５０６１９０６８１）ワブテク・ホールディング・コーポレイション (13)
【氏名又は名称原語表記】ＷＡＢＴＥＣ ＨＯＬＤＩＮＧ ＣＯＲＰ．
【住所又は居所原語表記】１００１ Ａｉｒ Ｂｒａｋｅ Ａｖｅｎｕｅ， Ｗｉｌｍｅｒｄｉｎｇ， ＰＡ １５１４８， Ｕ．Ｓ．Ａ．
【Ｆターム（参考）】
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