説明

高温耐熱性接着剤

【課題】本発明は、塗布する作業が容易で、接合強度が大きく、800℃以上の高温下でも強度低下の少ない高温耐熱性の接着剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンと、Agと、Inとを含有する接着剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス部材等を接合するために適した接着剤に関する。本発明は特に、接合強度が大きく、高温下でも強度低下の小さい接合部材を得ることのできる、セラミックス部材等を接合するための接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックスは、耐熱性、耐摩耗性、絶縁性等に優れている。しかし、セラミックスの大型部材や複雑な形状の部材を作成するためには、その成形、焼成、加工等の製造上の加工機の大型化等の問題点だけでなく、複雑形状部材は加工費が大幅に増大するため、製品は高価になっている。
【0003】
一般に、セラミックス同士を接合する方法としては、有機接着剤や無機接着剤で接合する方法や、メタライズ法、フッ化物法等が知られている。有機接着剤は、それを用いた接合体の耐熱温度が200〜300℃程度までしかないという欠点を有する。無機接着剤は、それを用いた接合体の接合強度が非常に小さいという欠点を有する。また、メタライズ法は、工程が他方法に比較して、複雑な上に、装置として、高真空炉が必要であり、コストがかかるという欠点を有する。
【0004】
また、セラミックス同士を接着する高温耐熱性の接着剤としてカオリンとCaF等のフッ化物の混合物ペーストが使用される。この技術によれば簡便に接着をすることができ、常温では高強度の接合体が得られる。しかしながらこの技術は、800℃以上の温度で強度が急激に低下し、800℃を超える領域では接合できないという欠点を有する。
【0005】
またアルミナセラミックス部材同士を接合するための接着剤として、SiO及びMgFを使用したもの(特許文献1)や、SiO及びMgOを使用したもの(特許文献2)が提案されているが、高温耐熱性は満足できるものではない。
【0006】
一方、特許文献3及び4には、少なくともフェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンから成ることを特徴とする接着剤が開示されているが、これらの接着剤もまた高温耐熱性が十分でない。
【特許文献1】特開平5−105535号公報
【特許文献2】特開平6−345552号公報
【特許文献3】特開2003−226858号公報
【特許文献4】特開2004−182959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、耐熱性、高強度を備えたセラミックス部材同士の接合体を簡便に得ることのできる方法はない。
【0008】
高強度、高信頼性の高い、セラミックス同士の接合技術の開発が強く望まれている。
【0009】
そこで本発明は、塗布する作業が容易で、接合強度が大きく、800℃以上の高温下でも強度低下の少ない高温耐熱性の接着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記した問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、セラミックス部材同士を接合するための接着剤として、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンと、Agと、Inとを含有する接着剤を用いた場合に、230℃以下の温度において塗布することができ、800℃以上で接着することができることを知見して本発明に到達した。
【0011】
すなわち本発明は以下の発明を包含する。
(1)フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンと、Agと、Inとを含有する接着剤。
(2)Ag及びInが微粒子である、(1)記載の接着剤。
(3)Agの含有量が、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して10重量%〜200重量%であり、かつ
Inの含有量が、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して10重量%〜200重量%である、(1)又は(2)記載の接着剤。
(4)SiOの超微粒子を更に含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の接着剤。
(5)SiOの超微粒子の含有量が、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して60重量%以下である、(4)記載の接着剤。
【0012】
(6)SiO、CaO、TiO及びSbOを含む複合酸化物粉末を更に含有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の接着剤。
(7)前記複合酸化物粉末の含有量が、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して1重量%〜60重量%である、(6)記載の接着剤。
(8)フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジン、Ag、In、及び有機溶媒を含む混合物を調製する工程と、
前記混合物を230℃以下の温度において加熱する工程とを含む、接着剤の製造方法。
(9)フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジン、SiOの超微粒子、Ag、In、及び有機溶媒を含む混合物を調製する工程と、
前記混合物を230℃以下の温度において加熱する工程とを含む、接着剤の製造方法。
(10)Ag及びInが表面酸化された微粒子である、(8)又は(9)記載の方法。
(11)前記加熱工程において更に脱泡が行われる、(8)〜(10)のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の接着剤を用いることにより、接合強度が大きく、800℃以上の高温下でも強度低下の小さいセラミックス部材同士の接合体を得ることができる。
【0014】
本発明の接着剤はセラミックスを用いた構造部材へ応用できるものと期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明についてより詳細に説明する。
(シリコンレジン)
本発明において「シリコンレジン」とは、有機基を持つケイ素が酸素と交互に結合した結合を骨格に持つ高分子の樹脂を意味する。骨格は一部に架橋構造を有している。有機基としてはアルキル基(例えばメチル基、エチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、トリル基等)等が挙げられる。
【0016】
本発明に使用されるシリコンレジンは、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、及び2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンの少なくとも一方、好ましくは両方を含有する。このようなシリコンレジンは各成分から調製したものを使用してもよいし、市販されているものを使用してもよい。市販品としては(株)エス・エフ・シーから市販されているIシール(商品名Iシール-N)を使用できる。Iシール-Nはフェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含有するシリコンレジンである。
【0017】
(Ag)
本発明で使用されるAgの形状は特に限定されないが、微粒子であることが好ましく、表面酸化された微粒子であることがより好ましい。Ag微粒子の粒子径としては、数nm〜数百μmのものを使用することができ、より具体的には粒子径44μm以下のものを使用することができる。
【0018】
本発明に係る接着剤におけるAgの含有量は、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して10重量%〜200重量%であることが好ましく、50重量%〜150重量%であることがより好ましい。機構は明らかではないが、この組成範囲を外れると、接合時の熱処理の温度パターンを工夫しても、良好な接合体の作製が困難となることがある。なお本発明において、「フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量」とは、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンと、シリコンレジンとの合計重量を意味する。例えば実施例1〜3において、同重量はいずれも60gである。
【0019】
(In)
本発明で使用されるInの形状は特に限定されないが、微粒子であることが好ましく、表面酸化された微粒子であることがより好ましい。In微粒子の粒子径としては、数nm〜数百μmのものを使用することができ、より具体的には、粒子径44μm以下のものを使用することができる。
【0020】
本発明に係る接着剤におけるInの含有量は、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して10重量%〜200重量%であることが好ましく、50重量%〜150重量%であることがより好ましい。機構は明らかではないが、この組成範囲を外れると、接合時の熱処理の温度パターンを工夫しても、良好な接合体の作製が困難となることがある。
【0021】
(その他の成分)
本発明に係る接着剤は、上記の成分の他に、SiOの超微粒子や、より粒子径の大きいSiOの微粒子を含んでもよいし、SiO、CaO、TiO、SbO等を含む複合酸化物粉末を含んでもよい。
【0022】
本発明において「SiOの超微粒子」とは、粒子径0.1μm以下のSiO粒子を指す。本発明に係る接着剤中におけるSiOの超微粒子の含有量は、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して60重量%以下であることが好ましく、1重量%〜10重量%がより好ましい。この組成範囲を外れると、接合時の熱処理の温度パターンを工夫しても、良好な接合体の作製が困難となることがある。「SiOの超微粒子」の具体的な市販品としては「アエロジル」が挙げられる。
【0023】
その他のより粒子径の大きいSiOの微粒子としては、例えば、粒子径0.1μm〜10μm程度のものが使用できる。
【0024】
本発明に使用できる「SiO、CaO、TiO、SbO等を含む複合酸化物粉末」は、例えば粒子径が100μm以下程度のものである。本発明に係る接着剤中における当該複合酸化物粉末の含有量は、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して1重量%〜60重量%であることが好ましく、2重量%〜10重量%がより好ましい。
【0025】
(接着剤の製造方法)
本発明に係る接着剤は例えば次のように製造できる。
最初に、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジン、Ag、Inを含有する混合物を調製する。該混合物は、必要に応じて、SiOの超微粒子、より粒子径の大きいSiO微粒子、SiO、CaO、TiO、SbO等を含む複合酸化物粉末等を含むものであってよい。各成分の添加順序は特に限定されない。フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジン、Ag、In、及び必要に応じてその他の成分を同時又は順次に混合して混合物を得ることができる。また、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンを有機溶媒(例えばトルエン、キシレン等)に添加して混合物を得、この混合物を加熱して溶媒を蒸発させて縮合反応を進行させた後に、Ag、In、及び必要に応じてその他の成分を添加して混合物を得てもよい。
【0026】
次いで、この混合物を230℃以下の温度、好ましくは60〜150℃(安全性の面から120℃前後が最も好ましい)で2〜5時間加熱する。
【0027】
この加熱工程では、溶媒が蒸発するとともに縮合反応が進行するので、混合物の粘度が徐々に上昇し、ペースト状となる。ペースト状となった混合物の粘度は、本発明の接着剤を使用する際の膜厚およびコーティング方法に合わせて適宜調整すればよい。例えば数μm以下の膜厚で使用する場合は、ペースト状混合物の粘度は数cps〜100cpsであることが好ましい。一方、数μm以上の膜厚で使用する場合は、ペースト状混合物の粘度は100cps〜10000cpsであることが好ましく、そのためには、混合物を、好ましくは60〜150℃で2〜5時間加熱することが好ましい。
【0028】
好ましくは、上記加熱工程の際に、減圧下(好ましくは1Pa〜100Pa範囲の減圧下)で混合物を脱泡(脱気処理)する。減圧条件は、真空チャンバー中で真空排気することにより形成される。
【0029】
加熱工程(脱泡を行う場合は脱泡工程も含む)においては、混合も同時に行うことがより好ましい。
【0030】
こうして得られたペースト状混合物はそのままで接着剤として使用できる。ペースト状の接着剤は形状が複雑なセラミックス部材やシート状の接着材を設置できない箇所のセラッミクス部材同士を接合する場合に適している。
【0031】
前記ペースト状混合物は、更にシート状の形状に加工して使用することもできる。シート状とすると、比較的取り扱いが容易である。また、接合体の強度に影響を及ぼす接着剤層の厚さを厳密に把握することが可能である。即ち、同一の厚さのシート状の接着剤を使用して接合したセラミックス部材同士の接合体の強度のばらつきは小さい。
【0032】
前記ペースト状混合物をシート状とする方法は、特に限定されないが、ドクターブレード法やディスペンサー法等が挙げられる。
【0033】
好適なシートの厚さは、接合時の熱処理パターン、被接合物の大きさ等により影響されるが、通常0.01〜0.5mmの範囲内である。シートの厚さが0.01mmより薄くなると、接合に寄与する接着剤量が少なすぎて、高強度の良好な接合体の作製が困難となることがある。一方、シートの厚さが0.5mmより厚くなると、接着剤が均一に溶融せず、被接合物であるアルミナセラミックスと反応不十分となる問題があるうえ、十分反応させるために接合温度を上げたり接合温度での保持時間を長くしたりすると、接合部で被接合物がずれたり、強度が低下する原因となることがある。
【0034】
(接着剤の使用方法)
本発明に係る接着剤は、セラミックス部材(特にアルミナ含有、ジルコニア系、炭素含有のセラミックス部材)同士を接合する目的に適したものであるが、それには限定されず、Al、Ag、SUS等の金属、ソーダガラス、無アルカリガラス等のガラスの接合にも好適に使用できる。
本発明に係る接着剤は例えば以下のようにして使用できる。
【0035】
接着面に接着剤を適用し、接着するものの接着面同士を合わせて荷重を加え、加熱して接合する。接合時の好適な熱処理温度は、組成、使用量、被接合物の大きさ、被接合物の接合面の表面粗さ等により異なるが、概ね800〜1300℃である。セラミックス等を接着するための温度は800℃〜1300℃の範囲であればよいが、900℃〜1100℃の範囲の方が好ましい。
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。
【実施例】
【0036】
以下の実験で使用した代表的な材料は次の通りである。
フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンとして(株)エス・エフ・シーのIシール(商品名Iシール-N)を用いた。
【0037】
Ag粒子として(株)ニラコ製のAg(粒子径44μm以下、99.9%)を使用した。
In粒子として三津和化学薬品(株)製のIn(商品名、粒子径44μm以下、99.99%)を使用した。
SiO超微粒子として日本アエロジル(株)製のアエロジル200(商品名)を使用した。
【0038】
(実施例1)
Iシール-Nを60gと、Ag粒子60gと、In粒子60gを混ぜた。次いで、この前駆体をさらにホットプレート上で温度120℃で60分間熱処理を行い本発明の接着材を得た。
【0039】
接合体の作製方法
ホットプレート上に用意しておいた幅10mm、長さ100mm、厚さ1mmの2枚のアルミナ板のうちの一枚のアルミナ板の一面の、当該面の一短辺を長辺とする長さ10mm、幅5mmの領域に高温接着材を長さ10mm、幅5mm、厚さ500μmで塗布し、さらにホットプレートの温度140℃で30分間熱処理を行った。その後、前記接着剤塗布部と、もう一枚のアルミナ板の一面の、当該面の一短辺を長辺とする長さ10mm、幅5mmの領域とを、2枚のアルミナ版が接着面でのみ対向するように貼り合せ、1kg/cmの加重を加えながら高温焼成炉で1000℃で30分間焼成し接合させた。
【0040】
強度評価方法
サンプルに4kg/cmの加重を加えた状態で高温焼成炉で1000℃で1時間保持し、接合評価を行った。
【0041】
結果
接合状態に変化なく、接合を確認した。
【0042】
(実施例2)
Iシール-Nを60gと、アエロジル200を1.8gと、Ag粒子60gと、In粒子60gを混ぜた後、120℃に加熱しながら、約3時間縮合反応させた。次いで、この反応生成物を真空チャンバー中のホットプレート上に移し、ホットプレートを加熱しながら真空排気を行った。真空チャンバーの真空度が1Pa程度、ホットプレートの温度120℃で60分間、脱泡処理を行った以外は実施例1と同様の手順で接着材を調製した。
【0043】
接合体の作製方法、強度評価方法は実施例1と同様の手順で行った。接合状態に変化なく、接合を確認した。
【0044】
(実施例3)
Iシール-Nを60gと、アエロジル200を2gと、SiO、CaO、TiO、SbO等を含む複合酸化物粉末を3gと、Ag粒子60gと、In粒子60gを混ぜた後、120℃に加熱しながら、約3時間縮合反応させた。次いで、この反応生成物を真空チャンバー中のホットプレート上に移し、ホットプレートを加熱しながら真空排気を行う。真空チャンバーの真空度が1Pa程度、ホットプレートの温度140℃で60分間、脱泡処理を行った以外は実施例1と同様の手順で接着材を調製した。
【0045】
接合体の作製方法、強度評価方法は実施例1と同様の手順で行った。接合状態に変化なく、接合を確認した。
【0046】
(比較例1)
本比較例では、アロンセラミックD(東亜合成社製)を接着剤として用いた。接合体の作製方法、強度測定方法は実施例1と同様の手順で行った。強度評価の結果、常温強度は20kg/cm程度であったが、1000℃では剥離してしまった。
【0047】
(比較例2)
本比較例では、InとAgの混合物(実施例1で使用したInとAgを混合したもの)を接着剤として用いた。接合体の作製方法、強度評価方法は実施例1と同様の手順で行った。強度評価の結果、常温強度は20kg/cm程度であったが、1000℃では剥離してしまった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の接着剤を用いた接合体の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 セラミックス
2 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンと、Agと、Inとを含有する接着剤。
【請求項2】
Ag及びInが微粒子である、請求項1記載の接着剤。
【請求項3】
Agの含有量が、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して10重量%〜200重量%であり、かつ
Inの含有量が、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して10重量%〜200重量%である、請求項1又は2記載の接着剤。
【請求項4】
SiOの超微粒子を更に含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の接着剤。
【請求項5】
SiOの超微粒子の含有量が、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して60重量%以下である、請求項4記載の接着剤。
【請求項6】
SiO、CaO、TiO及びSbOを含む複合酸化物粉末を更に含有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の接着剤。
【請求項7】
前記複合酸化物粉末の含有量が、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジンの重量に対して1重量%〜60重量%である、請求項6記載の接着剤。
【請求項8】
フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジン、Ag、In、及び有機溶媒を含む混合物を調製する工程と、
前記混合物を230℃以下の温度において加熱する工程とを含む、接着剤の製造方法。
【請求項9】
フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又は2,6−シス−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサンを含むシリコンレジン、SiOの超微粒子、Ag、In、及び有機溶媒を含む混合物を調製する工程と、
前記混合物を230℃以下の温度において加熱する工程とを含む、接着剤の製造方法。
【請求項10】
Ag及びInが表面酸化された微粒子である、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記加熱工程において更に脱泡が行われる、請求項8〜10のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−314680(P2007−314680A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146594(P2006−146594)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(500357552)株式会社エス・エフ・シー (20)
【Fターム(参考)】