説明

高眼圧を低下させるための組成物及び方法

【課題】緑内障に関連する眼内圧を低下させるのに特に有用な、プロスタグランジン活性物質を含む、改良された眼用組成物の提供。
【解決手段】選択された非イオン性界面活性剤、保存料、及び非イオン性張度調整剤と共に、プロスタグランジン活性物質(例えば、F系プロスタグランジンの代謝物である、イソプロピルウノプロストン)を含む組成物であって、好ましい実施態様において本組成物は、(1)プロスタグランジン活性物質、(2)第1の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)、(3)第2の非イオン性界面活性剤[例えば、ブリジ(BRIJ)界面活性剤]及び(4)非イオン性張度増強剤、(5)キレート化剤(例えば、エデト酸ナトリウム)を含む。開示された組成物を利用することにより、IOP低下効力の改善、保存効力の改善及び添加物濃度の低下が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは眼に関する技術に関する。更に具体的には、本発明は、上昇した眼内圧、例えば、緑内障に関連する上昇した眼内圧を低下させるための、眼又は眼組織の処置に関する。
【0002】
2.関連技術の説明
医薬としてのプロスタグランジンの用途は、当該分野において知られている。例えば、米国特許第5,106,869号及び5,221,763号は、多くのPGFでは惹起される血圧の実質的な一過性の低下なしに、血圧を上昇させるための13,14−ジヒドロ−15−ケトPGF(F系プロスタグランジン)の使用を開示している。
【0003】
また、ある種の眼症状を治療するためのプロスタグランジン活性物質の使用が当該分野において知られている。本明細書において使用される「プロスタグランジン活性物質」という用語は、プロスタグランジン、これらの代謝物、これらの誘導体、これらの塩、プロスタグランジンのプロドラッグ及びこれらの混合物を意味する。例えば、米国特許第5,001,153号;5,151,444号;5,166,178号及び5,212,200号は、通常プロスタグランジンが引き起こす一時的眼圧低下応答を引き起こすことなしに眼圧を低下させるための、13,14−ジヒドロ−15−ケトプロスタグランジン代謝物の使用を開示している。これらの特許は、希釈剤としての水、等張化剤としてのBAK又はNaCl、ホウ酸又はリン酸緩衝化剤、安定化剤としてのEDTA、及びポリソルベート界面活性剤を含んでもよい、洗眼薬(すなわち、洗眼水(eyewash))を考察している。
【0004】
更には、1993年5月4日に発行したRyuji Uenoの米国特許第5,208,256号は、13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−低級アルキルプロスタグランジン、又はその塩もしくはエステルと、ポリオキシエチレン−ソルビタン不飽和高級脂肪酸モノエステルとの組合せを眼内投与することによる、眼低血圧の治療方法を教示している。脂肪酸の好ましい例は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドレイン酸及びリノール酸を含む。モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンは、ポリソルベート80としても知られており、特に、ソルレート(SORLATE)、クリレット(CRILLET)、トゥイーン80、モニタン(MONITAN)及びオロソーブ(OLOTHORB)の名称で販売されている。
【0005】
眼用界面活性剤に関しては、クレモフォール(CREMOPHOR)が点眼薬中の界面活性剤として使用されてきた(1994年12月16日に出願された日本特許07316060を参照のこと)。クレモフォールは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とも呼ばれる、エトキシ化された水素化ヒマシ油である。しかし、眼用送達システム中のプロスタグランジンと一緒のクレモフォールの使用は、開示又は示唆されていない。
【0006】
プロスタグランジン活性物質、特に13,14−ジヒドロ−15−ケトプロスタグランジン代謝物は、眼内圧を低下させるのに有利であるが、これらの医薬の効力を改善する必要がある。加えて、良好な効力及び良好な眼耐性を維持しながら、界面活性剤を含む眼用プロスタグランジン組成物の保存有効性を改善する必要がある。更には、眼用プロスタグランジン組成物の貯蔵寿命の改善が望ましい。また、製造上の困難が低減することは常に望ましい。更には、複雑さを最小限にして製造することができ、かつ効力、保存有効性、眼耐性、及び貯蔵寿命の長さのバランスを示す、プロスタグランジン含有眼用組成物に対する需要が存在する。
【0007】
発明の要約
本発明の目的は、プロスタグランジン含有眼用組成物の効力を改善することである。
【0008】
本発明の別の目的は、プロスタグランジン含有眼用組成物の保存有効性を改善することである。
【0009】
本発明の更に別の目的は、プロスタグランジン含有眼用組成物の貯蔵寿命を改善することである。
【0010】
本発明の更に別の目的は、プロスタグランジン含有眼用組成物の製造の複雑さを低減することである。
【0011】
本発明の更なる目的は、効力、保存有効性、眼耐性、及び貯蔵寿命の望ましいバランスを有するプロスタグランジン含有眼用組成物を製造することである。
【0012】
本発明のこれら及び他の目的及び利点は、本プロスタグランジン含有眼用組成物、使用法及び製造法の種々の実施態様により達成される。本発明の1つの実施態様は、プロスタグランジン、非イオン性界面活性剤(例えば、クレモフォール)及び保存料(例えば、塩化ベンザルコニウム)を含む眼用組成物である。別の実施態様は、プロスタグランジン、界面活性剤、非イオン性張度調整剤(例えば、マンニトール)及び保存料を含む眼用組成物である。更に別の実施態様は、プロスタグランジン、界面活性剤、強力な保存料(例えば、BAK)及び保存増強剤(例えば、EDTA)を含む眼用組成物である。本発明の更に別の実施態様は、製品の貯蔵寿命を改善し、かつ製造の複雑さを低減させるために緩衝化剤を加えることに関する。
【0013】
好ましい実施態様の説明
本発明の種々の実施態様は、特に眼内圧を低下させるのに有用なプロスタグランジン組成物における多くの改善点を提示する。本組成物は、緑内障に関連する上昇した眼内圧を処置するのに特に有用である。したがって、本組成物のすべての成分は、使用の濃度及びこれらが適用される条件下で、好ましくは眼に許容性である。本明細書において使用される「眼用に許容し得る」成分とは、指定の濃度で、かつ指定使用時間にわたって、認め得る眼への損傷又は眼への不快を全く引き起こさない成分を意味する。
【0014】
I.発明の典型的な実施態様
本発明は、数種の実施態様を包含するが、そのいくつかを、読者の理解を高めるために以下に略述する。本発明の実施態様の1つの群は、眼内圧、特に緑内障に関連する眼内圧を低下させるのに有用な眼用組成物である。本眼用組成物は、上昇した眼内圧を治療するのに有効な、プロスタグランジン、これらの代謝物、これらの塩、これらの誘導体又はこれらの組合せよりなる群から選択される、ある量のプロスタグランジン活性物質を含む。別の群の実施態様は、眼内圧を低下させる方法、及び上述の眼用組成物の局所適用により緑内障を処置する方法である。しかし当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本実施態様の要素のいくつかを変更することができよう。
【0015】
本発明の1つの実施態様は、強力な保存料の濃度を低下させ、これに対応して、眼への刺激が少なくなった組成物である。予期せぬことに、ある種の非イオン性張度調整剤を使用すると、プロスタグランジン活性物質を含有する組成物中の強力な保存料の保存有効性が増強されることが見い出された。これによって、組成物中の強力な保存料の濃度を低下させることができる。加えて、保存効力を更に高め、かつ強力な保存料の必要濃度を低下させるために、キレート化剤を加えることができる。すなわち、本発明の1つの実施態様は、(1)プロスタグランジン活性物質(例えば、イソプロピルウノプロストン(isopropyl unoprostone))、(2)強力な保存料(例えば、塩化ベンザルコニウム)、及び(3)強力な保存料を単独で含む組成物に比較して保存効力を増大させるのに有効な、非イオン性張度増強剤(例えば、マンニトールのような単糖)を含む、組成物である。
【0016】
詳細には、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の完全な根絶が望ましい。塩化ベンザルコニウム(BAK)は、ほぼすべてのシュードモナス(Pseudomonas)を死滅させるが、BAKに抵抗性のいくらかが残り得る。時間の経過と共に、BAK抵抗性シュードモナス(Pseudomonas)は、許容しがたい濃度まで増殖する。すなわち、BAK抵抗性シュードモナス(Pseudomonas)を排除するために、保存効力増強剤を含めることが好ましい。
【0017】
保存効力増強剤又は第2の保存料は、BAKとは異なる機作により作用する耐性の高い成分であることが好ましい。強力な保存料(例えば、BAK)は、汚染微生物数(bioburden)の大部分を処理する。第2の耐性の高い保存料又は増強剤の使用により、混入微生物の完全な死滅が保証され、その上、異常に高い濃度のBAKの使用に比較すると眼への刺激が小さくなる。これは、作用の機作が、強力な保存料とは異なる、耐性の高い添加剤を選択することにより達成される。
【0018】
好ましい種類の保存効力増強剤は、カルシウムキレート化剤のようなキレート化剤である。好ましいカルシウムキレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。EDTAは、眼適合性又はプロスタグランジン効力を実質的に変えることなく、BAK抵抗性シュードモナス(Pseudomonas)の根絶を助けることが証明された。加えて、EDTAは、同時に緩衝化剤として作用する利点をも提供する。
【0019】
すなわち、好ましい実施態様において本組成物は、(1)プロスタグランジン活性物質、(2)強力な保存料、及び(3)非イオン性張度増強剤、(4)キレート化剤(例えば、エデト酸ナトリウム)を含む。これらの組成物は、強力な保存料だけを含有する組成物に比較して保存有効性が改善されているという点で、特に有利である。これにより強力な保存料の必要濃度を低下させることができ、このため眼への刺激が少なくなる。
【0020】
本発明の別の実施態様は、総界面活性剤濃度が有利に低下した、プロスタグランジン活性物質を含有する組成物である。添加剤に関連する眼への刺激の可能性を最小にするために、眼用処方への添加剤の濃度を最小にすることは、一般に望ましい。しかしプロスタグランジン活性物質を可溶化するために、典型的には界面活性剤が必要である。単一の界面活性剤とは対照的に、2つ以上の非イオン性界面活性剤を組合せると、プロスタグランジン活性物質の所定レベルの溶解度を達成するのに必要な界面活性剤の総濃度を低下させることができることが、予想外に発見された。すなわち、本発明のこの実施態様は、(1)プロスタグランジン活性物質、(2)第1の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)、(3)第2の非イオン性界面活性剤[例えば、ブリジ(BRIJ)界面活性剤]及び(4)眼用に許容し得る担体を含む組成物に関する。本発明のこの実施態様は、眼への刺激の減少及び必要原料(界面活性剤)の減少という利点を提供する。
【0021】
本発明の更に別の実施態様は、プロスタグランジン活性物質の可溶性の達成における障害に関する。活性物質を可溶化するために、非イオン性界面活性剤、好ましくはポリソルベート80が処方に加えられる。すなわち、本明細書に記載される好ましい範囲までプロスタグランジン濃度を上昇させるには、溶液中のプロスタグランジンを維持するために界面活性剤濃度の相当する上昇を必要とする。しかしポリソルベート80界面活性剤は、通常使用される眼用保存料の塩化ベンザルコニウム(BAK)を非活性化する。すなわち、界面活性剤の増大は、保存有効性を減少させる。要するに、活性物質濃度を上昇させることによって達成される治療効力の増大により、ポリソルベート80濃度の上昇が必要になり、そのため保存有効性が減少する。したがって、引用される処方の保存有効性と効力の両方とも改善することは、達成するのが困難である。
【0022】
しかし予期せぬことに、非イオン性張度調整剤の使用が、界面活性剤の存在下での保存料の作用をかなり改善することが見い出された。すなわち、上述の保存料の非活性化の問題を最小にするために、好ましい組成物は、(1)プロスタグランジン活性物質、(2)強力な保存料(例えば、BAK)、(3)プロスタグランジン活性物質の溶解度を増大させるが、強力な保存料の保存有効性を減少させる非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)、及び(4)強力な保存料の有効性を増大させる保存増強剤(例えば、マンニトール又はEDTA)、及び(5)眼用に許容し得る担体を含む。すなわち、効力と保存有効性は、本処方では、溶液の形態を維持しながら、活性物質、界面活性剤、非イオン性張度調整剤、及び保存料の濃度を最適化することにより、同時に改善し得る。
【0023】
対照的に、いくつかの先行技術のプロスタグランジン処方では、塩化ナトリウムのような塩を使用して、眼用に許容し得るレベル(例えば、約0.8〜約1.0mg/ml NaCl当量)に張度を調整していた。しかしイオン性張度調整剤は、プロスタグランジン関連活性物質の溶解度を低下させる。すなわち、本発明における非イオン性張度調整剤(例えば、マンニトール)の使用の別の利点は、活性物質の塩の溶解度の増大である。
【0024】
本発明の更に別の実施態様は、製造効率の改善、貯蔵寿命の改善及び患者の快適さの改善を提供する、緩衝化プロスタグランジン組成物である。直接眼に点眼することが意図される点眼薬では、患者の快適さのためには、ほぼ中性pHが好ましいことが知られている。加えて、製造中のpHの調整は、消費者向けのディスペンサー容器内の溶液の容量が小さいために困難である。更に、経時的な活性プロスタグランジンの分解が処方物の酸性度を上昇させ、そして酸性度の上昇がプロスタグランジン分解の速度の上昇を引き起こす。すなわち、本実施態様は、製造から約1年の貯蔵寿命(好ましくは2年の貯蔵寿命)までの期間にわたり、約4.5〜約8.0(好ましくは約5〜7.5、更に好ましくは約6〜7.5)のpHを維持するのに充分に緩衝化されたプロスタグランジン組成物である。好ましい眼用に許容し得る緩衝化剤は、EDTA、ホウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩及びリン酸塩を含む。
【0025】
本明細書に開示される本発明のいくつかの好ましい実施態様により、好ましい組成物は、
(a)約0.06〜約0.24重量パーセントのイソプロピルウノプロストン;
(b)クレモフォールRH、ブリジ97、ブリジ98、クレモフォールEL、ポリソルベート80及びこれらの混合物よりなる群から選択される、約0.3〜約2重量パーセントの2つの非イオン性界面活性剤;
(c)約0.01〜約0.20重量パーセントの塩化ベンザルコニウム;
(d)約0.01〜約0.1重量パーセントのEDTA;
(e)約0.10〜約10.0重量パーセントのマンニトール;
(f)約0.01〜約0.05モルの眼用に許容し得る緩衝化剤;
(g)眼用に許容し得る担体;
を含み、そしてpHが約4.5〜約8.0に調整されている。
【0026】
II.組成物の成分
A.活性物質
本発明により有用な活性物質は、プロスタグランジン、これらの代謝物、これらの誘導体、これらの塩、プロスタグランジンのプロドラッグ及びこれらの混合物よりなる群から選択することができ、本明細書では「プロスタグランジン活性物質」又は単に「活性物質」と呼ばれる。すなわち、活性物質は、活性物質の具体的な形態(すなわち、遊離酸であるか又は塩の形態であるか)に限定されない。むしろプロスタグランジン活性物質は、眼内圧の低下を必要とする患者の眼の周辺に適用されると、眼内圧(IOP)の低下を引き起こすという点で活性である。
【0027】
本明細書において使用されるプロスタグランジンは、プロスタン酸骨格を含み、かつ種々の生理学的活性を示す、一群の脂肪酸を意味する。プロスタグランジンは、ヒト及び動物の組織及び器官に見い出され、そして合成により製造することができる。好ましいプロスタグランジンは、治療的眼用の適用において有用なもの、特に眼内圧を低下させるものである。
【0028】
眼内圧を低下させるのに有用であることが見い出された一群のプロスタグランジンは、米国特許第4,599,353号;5,296,504号;5,422,368号;及び5,578,618号に開示されている。これらの特許は、眼内圧を低下させるのに有用なプロスタグランジン活性物質の教示及び例として、参照することにより本明細書の一部とする。
【0029】
特に好ましい群の活性物質は、ある種のプロスタグランジン代謝物である。眼用の適用において有用な好ましいプロスタグランジン代謝物は、更に完全には米国特許第5,106,869号;5,221,763号;5,208,256号;5,001,153号;5,151,444号;5,166,178号及び5,212,200号に記載されているが、これらのそれぞれは、参照することにより本明細書の一部とする。
【0030】
本発明のプロスタグランジンは、プロスタグランジン塩、又はエステル化されたカルボキシル基を含むプロスタグランジンであってもよい。適切なプロスタグランジン塩は、眼用に許容し得る塩であって、ナトリウム又はカリウムのようなアルカリ金属の塩;カルシウム又はマグネシウムのようなアルカリ土類金属の塩;アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノメチルモノエタノールアミン、トロメタミン、リシン及びテトラアルキルアンモニアの塩など、ならびにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。適切なプロスタグランジンエステルは、眼用に許容し得るエステルであって、不飽和結合を含有してもよい、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、直鎖又は分岐鎖アルキルエステルを含むが、これらに限定されない。適切なエステルは、シクロプロピル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル基のような脂環式基を有するエステル;ベンジル又はフェニル基のような芳香族基(ここで、芳香族基は、1つ以上の置換基を含有してもよい)を含有するエステル;ヒドロキシエチル、ヒドロキシイソプロピル、ポリヒドロキシイソプロピル、メトキシエチル、エトキシエチル又はメトキシイソプロピル基のような、ヒドロキシアルキル又はアルコキシアルキルエステル;アルキルシリルエステル(例えば、トリメチルシリル又はトリエチルシリルエステル);及びテトラヒドロピラニルエステルを含む。
【0031】
好ましい群のプロスタグランジンは、13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGを含むが、これは、本明細書において使用されるとき、13,14−位の炭素原子が飽和しており、かつ15位の炭素原子がカルボニル基を形成するプロスタグランジンを意味する。これらは、ヒト及び動物の代謝物中に見い出される。好ましい13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGの例は、13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGA1S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGA2S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGA3S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGB1S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGB2S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGB3S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGC1S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGC2S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGC3S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGA1S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGA2S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGA3S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGD1S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGD2S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGD3S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGE1S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGE2S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGE3S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGF1S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGF2S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGF3S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGJ1S;13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGJ2S;及び13,14−ジヒドロ−15−ケト−PGJ3Sを含むが、これらに限定されない。
【0032】
更に好ましいのは、米国特許第5,208,256号(参照することにより本明細書の一部とする)に開示されている、13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−低級アルキルプロスタグランジンである。特に好ましいプロスタグランジンは、イソプロピルウノプロストン又は13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチルPGF2αイソプロピルエステルである。イソプロピルウノプロストンの構造は、以下に与えられ、そして調製方法は、米国特許第5,212,200号(参照することにより本明細書の一部とする)に略述されている。
【0033】
【化1】

【0034】
好ましいプロスタグランジン濃度は、特に緑内障に罹患した患者において、眼内圧(IOP)の上昇した眼のIOPを実質的に低下させる量である。明らかに必要濃度は、他の成分の存在下でのプロスタグランジンの効力、適用される医薬の容量、ならびに適用の頻度及び期間を含む、多くの要因に依存する。
【0035】
約0.001〜約0.30重量パーセントの範囲の活性物質の濃度が、この範囲より高いか又は低い濃度よりも、眼内圧を低下させるのに有効であることが確認されている。特に、約0.06〜約0.24重量パーセントの活性物質の濃度が好ましく、そして約0.10〜約0.20の濃度が更に好ましい。しかし、任意の具体的な適用における好ましい濃度は、他の成分の濃度及び化学的性質、ならびに送達方法及び条件のような、多くの要因に依存する。更には、全く予期せぬことに、これらの好ましい範囲を超えて活性物質濃度を更に上昇させると、好ましい範囲の濃度よりも、引き起こされる所望の眼内圧の低下が実のところ少ない。
【0036】
B.界面活性剤
本明細書において使用される界面活性剤は、溶媒中の物質(例えば、活性成分又は薬剤)の溶解度を改善する界面活性物質を意味する。本明細書において使用される非イオン性界面活性剤は、容易にイオン化される基を含まない界面活性剤を意味する。
【0037】
米国特許第5,208,256号は、プロスタグランジン含有眼用組成物のための界面活性剤としてポリソルベート80の使用を開示している。高濃度のイソプロピルウノプロストンを溶液の形態で使用することができるように、ポリソルベート80は、イソプロピルウノプロストンの溶解度を改善する。
【0038】
しかし、ポリソルベート80濃度を上昇させると溶液中のプロスタグランジン濃度を上昇させることができるが、保存有効性は、ポリソルベート80濃度の上昇に伴い減少することが発見された。更には、既知のプロスタグランジン含有眼用処方物の効力(例えば、プロスタグランジン濃度を上昇させることによる)と保存有効性の両方を増大させることが望まれる。すなわち、多量のポリソルベート80を使用すると、保存有効性を減少させる不都合があり、一方ポリソルベート80を少なくすると、溶液中のプロスタグランジンを減少させ、このため効力を低下させる不都合がある。
【0039】
本発明の1つの実施態様は、2つ以上の非イオン性界面活性剤の組合せを使用することにより、これらの問題に解決策を提供する。非イオン性界面活性剤のある種の組合せは、同じ濃度のポリソルベート80単独と同等には保存有効性を減少させることなく、プロスタグランジン活性物質の溶解度を増大させることが見い出された。
【0040】
好ましい群の非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート80単独よりも良好な眼への耐性を示すもの、及び/又は保存有効性を減少させないか、もしくは同じ濃度のポリソルベート80単独よりも保存有効性を減少させないものである。
【0041】
第1及び第2の非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート20、60及び80のようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ブリジ系(Brij's)(例えば、ICIサーファクタンツ(ICI Surfactants)、ウィルミントン、デラウェア州からのブリジ97又はブリジ98)、クレモフォール系(クレモフォールRH又はクレモフォールEL)、ヴォルポ(Volpo)(例えば、クロダ社(Croda, Inc.)、パーシッパニー(Parsippany)、ニュージャージー州からのヴォルポ10及びヴォルポ20)及びその同等物のようなポリオキシエチレンアルキルエーテルを含むが、これらに限定されない、非イオン性界面活性剤よりなる群から選択することができる。好ましい群は、オレイン酸ポリオキシエチレン20(例えば、ポリソルベート80)、ポリオキシル10オレイルエーテル(例えば、ブリジ97)及びポリオキシル20オレイルエーテル(例えば、ブリジ98)を含む。
【0042】
特に好ましい界面活性剤の組合せは、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(特に、ポリソルベート80)とポリオキシエチレンアルキルエーテル(特にブリジ97又はブリジ98)との組合せである。
【0043】
すなわち、少なくとも2つの界面活性剤を一緒に使用すると、目的のプロスタグランジン活性物質の溶解度を達成するのに必要な界面活性剤の総濃度は、個々の界面活性剤について必要とされる濃度よりも小さいという、予期せぬ相乗作用的な結果が得られる。加えて、界面活性剤のある種の組合せは、実際に保存有効性を改善する。具体的には、ポリソルベート80とブリジ界面活性剤との組合せは、同じ濃度のポリソルベート80単独に比較してBAKの保存有効性を改善する。更には、この組合せの界面活性剤は、本処方物の乳化安定性を改善する。
【0044】
使用される界面活性剤の総濃度は、大部分、特定の界面活性剤の可溶化特性、ならびに界面活性剤により可溶化しようとする特定のプロスタグランジン活性物質の濃度及び化学的性質に依存する。一般に、総界面活性剤濃度は、約0.1〜5重量パーセントの範囲であろう。好ましい界面活性剤濃度は、約0.3〜2.0重量パーセントである。更に好ましくは、界面活性剤濃度は、約0.5〜1.5重量パーセントである。
【0045】
C.保存料及び保存増強剤
本明細書において使用される「保存料」とは、微生物の増殖を阻害し、かつ環境に暴露されている眼用液剤に偶然に混入している微生物を死滅させる添加物を意味する。保存料は、疎水性又は非荷電保存料、アニオン性保存料、及びカチオン性保存料を含む、種々の周知の保存料から選択することができる。本明細書において使用される「保存増強剤」とは、保存料の保存有効性、又は保存処方物の保存有効性を増大させるが、典型的には眼用処方物を保存するために単独では使用されない、添加物を意味する。
【0046】
1.強力な保存料
カチオン性保存料は、硫酸ポリミキシンB、第四級アンモニウム化合物、ポリ(第四級アンモニウム)化合物、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、ある種のフェノール及び置換アルコール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾオキソニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、クロルヘキシジン、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。ポリ(第四級アンモニウム)化合物は、ブサン(BUSAN)77、オナマー(ONAMER)M、ミラポール(MIRAPOL)A15、イオネンズ(IONENES)A、ポリクォーターニウム(POLYQUATERNIUM)11、ポリクォーターニウム7、ブラドソール(BRADOSOL)、及びポリクォート(POLYQUAT)D−17−1742を含む。眼用分野のために好ましい保存料は、塩化ベンザルコニウムである。
【0047】
アニオン性保存料は、1−オクタンスルホン酸(一ナトリウム塩);9−オクタデセン酸(スルホン化);シプロフロキサシン(ciprofloxacin);ドデシルジフェニルオキシド−ジスルホン酸;ドデシルベンゼンスルホン酸のアンモニウム、カリウム、又はナトリウム塩;脂肪酸又はトール油のナトリウム塩;ナフタレンスルホン酸;スルホン化オレイン酸のナトリウム塩;チメロサール(エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム);チメルホネートナトリウム(p−エチル水銀チオフェニルスルホン酸ナトリウム)のような有機水銀を含むが、これらに限定されない。
【0048】
疎水性又は非イオン性保存料は、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン;3−メチル−4−クロロフェノール(プリヴェントール(PREVENTOL)CMK);8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体;ベンジルアルコール;ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビスフェノール類;クロロブタノール;クロロキシレノール;ジクロロフェン[2,2’−メチレン−ビス(4−クロロフェノール)](パナサイド(PANACIDE));パラ−ブロモフェノール及びパラ−クロロフェノールのオルト−アルキル誘導体;オキシキノリン;オルト−クロロフェノール及びオルト−ブロモフェノールのパラ−アルキル誘導体;ラウリン酸ペンタクロロフェニル(ミストックス(MYSTOX)LPL);2−フェニルフェノール、2−ベンジル−4−クロロフェノール、2−シクロペンチル−4−クロロフェノール、4−t−アミルフェノール、4−t−ブチルフェノール、ならびに4−及び6−クロロ−2−ペンチルフェノールのようなフェノール系誘導体;フェノキシ脂肪酸ポリエステル(プリヴェントールB2);フェノキシエタノール;及びフェニルエチルアルコールを含むが、これらに限定されない。
【0049】
1つの実施態様において、保存料は、使用期間中にディスペンサー容器に偶然に入ってくる微生物を死滅させるのに充分な量で溶液中に存在する。望ましい濃度は、保存料の強度、ディスペンサー使用の条件、及びディスペンサーと溶液が使用される時間の長さを含む、多くの要因に依存する。一般に、強力な保存料は、約0.00005〜約0.2重量パーセントの濃度、更に好ましくは約0.005〜約0.2重量パーセントの濃度で存在してよく、そして更に好ましくは強力な保存料の濃度は、約0.01〜約0.015重量パーセントである。
【0050】
2.保存増強剤
保存料の有効性を増強する眼用に許容し得る物質が、有利には本処方物に加えられる。本発明により有用な保存増強剤の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、これらの誘導体、これらの塩及びこれらの混合物のような、キレート化剤を含むが、これらに限定されない。
【0051】
保存増強剤は、強力な保存料が圧倒できなかった、残った汚染微生物を克服することが意図される。例えば、BAKは、ほぼすべてのシュードモナス(Pseudomonas)を死滅させるが、幾分の耐性株が残ることがあり、これらが経時的に増殖し得る。すなわち、EDTAのような保存増強剤を加えて、残ったBAK耐性シュードモナス(Pseudomonas)を死滅させることが望ましい。EDTAは、Caイオンとのキレート化によりシュードモナス(Pseudomonas)を滅ぼすと考えられる。したがって、好ましい種類の弱い保存料は、キレート化剤、特にカルシウムキレート化剤である。
【0052】
EDTAがBAK耐性シュードモナス(Pseudomonas)の増殖を妨げるという理由もあって、EDTAの使用が特に好ましい。しかし、EDTAはまた、その保存増強機能に加えて利点を有することも見い出された。EDTAは、目的pHを達成するために本処方物を緩衝化するのに使用することができる。更に、EDTAは、プロスタグランジン活性物質のために安定化機能を提供し、これによって分解を阻害して貯蔵寿命を延長する。
【0053】
好ましい保存増強剤の濃度は、選択した濃度での強力な保存料の効力、及び保存増強剤の保存増強有効性のような、多くの要因に依存する。保存増強剤の濃度は、患者に対して危険な量のシュードモナス(Pseudomonas)を非活性化するのに充分に高い必要があるが、この濃度は、いかなる実質的な眼への不快さをも回避するのに充分に低い必要がある。
【0054】
EDTAのようなキレート化剤を使用するならば、約0.01〜約0.1重量パーセントの濃度が好ましい。更に好ましくは、濃度は約0.03%〜約0.07%である。
【0055】
全く予想外に、プロスタグランジン活性物質を含有する処方物の保存有効性を増強することが確認された別の添加剤は、マンニトールである。眼適合性を改善するために、例えば、ほぼ等張状態に調整することにより、マンニトールを使用して、溶液の張度を調整することは知られている。しかし、保存増強作用は、プロスタグランジン活性物質を含有する処方物において予想外に見い出された。一般に、他の非イオン性張度調整剤、特に他の単糖は、同じ機能を果たすと考えられる。
【0056】
すなわち、1つ以上の保存増強剤の使用によって、少なくとも2つの利点が与えられる。第1に、所定レベルの保存を達成するために必要とされる、ある患者に刺激を引き起こし得る強力な保存料の量を減少することができる。第2に、保存増強剤は、処方物の保存性を改善することの他に機能を果たすように選択することができる。
【0057】
3.弱い保存料
追加の弱い保存料を容器に加えてもよい。弱い保存料は、使用濃度で、溶液が接触する標的組織に刺激を惹起するほど強力であってはならない。本発明に有用な弱い保存料の例は、過酸化水素のような過酸化物;アルカリ過ホウ酸塩、又は過ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、及びホウ酸ナトリウムの組合せのような過酸化物生成種;過酸化尿素;過酸化ナトリウム炭酸塩(sodium peroxide carbonate);過硫酸ナトリウム;過リン酸ナトリウム;及びポリ(ビニルピロリドン)過酸化水素を含むが、これらに限定されない。好ましい弱い保存料は、過ホウ酸ナトリウムのような過ホウ酸塩である。
【0058】
過酸化物又は過酸化物生成種を使用する場合、過酸化物濃度は、約0.1重量パーセント未満、好ましくは約0.004〜0.05重量パーセント、更に好ましくは約0.001〜0.02重量パーセントである。
【0059】
D.緩衝化剤及びpH
緩衝化剤の添加には、少なくとも2つの利点がある。第1に、緩衝化剤は、処方物のpHを、眼への直接の点眼のための眼用に許容し得るレベルに維持する助けとなる。第2に、製造プロセスの初期に緩衝化剤を取り込むと、製造中のpH制御の複雑さが低減する。
【0060】
種々の眼用に許容し得る緩衝化剤を使用することができる。例えば、ホウ酸とホウ酸ナトリウムの組合せのようなホウ酸緩衝化剤、リン酸緩衝化剤、クエン酸塩、乳酸塩、これらの同等物及びこれらの混合物。
【0061】
また、好ましい弱い保存料である前述のEDTAも、緩衝化機能を発揮し得る。したがって、少なくとも2つの機能を果たすために、すなわち、pHを調整及び維持し、かつ保存増強剤として作用させるために、有利にはEDTAを使用することができる。EDTAは更に、活性物質の安定化剤として作用し得る(すなわち、(例えば、分解を触媒し得る金属イオンをキレート化するか、又は抗酸化剤として作用することにより)活性物質の分解を阻害する)ことにも注目してよい。
【0062】
E.張度調整剤
眼適合性を改善するために、すなわち、張度を涙のそれに近づけるべく調整するために、眼用組成物に張度調整剤を加えてもよい。広範な張度調整剤を使用することができる。有用な眼用張度調整剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、塩化ベンザルコニウム、塩化フェドリン(phedrine chloride)、塩化プロカイン、クロラムフェニコール、クエン酸ナトリウム、これらの混合物などを含むが、これらに限定されない。
【0063】
しかし、非イオン性のプロスタグランジンの溶解度を最大にするためには、非イオン性張度調整剤が好ましい。有用な非イオン性張度調整剤の例は、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ソルビトール及びこれらの混合物を含む。好ましい非イオン性張度調整剤は、マンニトールである。
【0064】
保存有効性の予期しない増強の他に、ある種の非イオン性張度調整剤は、プロスタグランジン活性物質を含有する眼用処方物中で更に別の機能を発揮する。例えば、マンニトールは、好ましい活性物質であるイソプロピルウノプロストンの溶解度を増大させることが予期せずに発見された。すなわち、適切な非イオン性張度調整剤の使用により、(1)眼への刺激を引き起こし得る強力な保存料の必要量を低下させ、(2)溶解度増強剤の濃度を低下させるか、かつ/又は溶液中の選択された活性濃度を達成するのに必要な活性物質の量を低下させ、そして(3)張度を眼用に許容し得るレベルに調整することができる。
【0065】
張度調整剤濃度は、典型的には、患者の快適さを最大にするために、実質的に等張性の処方物を製造するのに充分な張度調整剤を加えることにより決定される。等張性溶液とは、脱イオン水中の約0.9mg/mlの塩化ナトリウムと同等な濃度を有するものとして表される溶液である。本明細書において使用される実質的に等張性とは、約0.8〜1.0mg/mlのNaClと同等である処方物を意味する。
【0066】
実質的に等張性の溶液に到達するためには、約0.1〜10重量パーセントの非イオン性張度調整剤を処方物に加える必要がある。更に好ましくは、本処方物は約1〜7重量パーセントの非イオン性張度調整剤を含む。更にいっそう好ましくは、本処方物は約3〜5重量パーセントの非イオン性張度調整剤を含む。
【0067】
F.眼用に許容し得る担体
本発明の好ましい溶媒は、例えば、蒸留水又は生理食塩水の形態の、水である。しかし、その溶媒が、目的とする使用の条件下で眼適合性でなければならないことを除いては、本発明は、特定の溶媒又は希釈剤に限定されるものではない。非水性懸濁液を製造するための希釈剤の他の例は、食用油、流動パラフィン、鉱物油、プロピレングリコール、p−オクチルドデカノール、これらの混合物などを含むが、これらに限定されない。
【0068】
G.他の眼用活性物質
本明細書に記載されるプロスタグランジン処方物は、追加の活性物質なしに高眼圧を処置するのに有用であるが、追加の活性物質を含むことが望ましいこともあり、これも本発明の範囲内である。例えば、本処方物は、ピロカルピン(pilocarpin)又はカルバコール(carbachol)のような従来のコリン作動性高眼圧剤;デメカリウム(demecarium)、D.F.P.又はエコチオフェート(echothiophate)のような抗コリンエステラーゼ;サリチル酸フィゾスチグミン又は塩酸ピロカルピンのような縮瞳薬;及びジクロフェナク、ペニシリン、スルホンアミド、クロラムフェニコール、コルチゾン又はクロルフェニラミンのような抗炎症薬を含むことができる。
【0069】
上述の活性物質は、本発明の種々の実施態様の読者の更なる理解のために挙げるものである。すなわち、本処方物に加えるための上に挙げた活性物質のリストは、網羅的なものではなく、そして本発明はそれに限定されるものではない。
【0070】
III.組成物の使用方法
本眼用組成物は、多くの方法により眼組織又は涙液に適用することができる。例えば、眼用組成物の溶液又はスラリーは、液滴、噴霧又はミストの形態で眼に直接点眼することができる。あるいは、眼用組成物を保持するリザーバー(例えば、ポリマー網)を伴う薬物送達装置を、眼腔(ocular cavity)(例えば、眼瞼の下)に挿入して、長期に入れておくことができる。本組成物はまた、好ましくは眼の周りの皮膚領域への電気的輸送(electrotransport)を含めて経皮的に適用することができる。皮下又は眼内のいずれかの注射、及び経口投与もまた、有用な送達経路である。
【0071】
しかし、滴下による涙液への本眼用組成物の適用が、今のところ好ましい方法である。液滴の数及び1日の投与回数は、特に組成物の効力、患者の耐性及び疾患の相対的状態に依存して変化させることができる。
【0072】
すなわち、本発明の1つの実施態様は、高眼圧を低下させる方法であって、プロスタグランジン、これらの代謝物、これらの誘導体、これらの塩、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるプロスタグランジン活性物質;眼用保存料;非イオン性張度調整剤;及び眼用に許容し得る担体を含む眼用組成物を、涙液又は眼組織に投与することを含む方法である。非イオン性張度調整剤は、好ましくは組成物の張度を調整し、かつ保存有効性を増大させるのに充分な濃度で存在する。本組成物は、眼内圧を低下させる必要のある患者に投与すると、眼内圧を低下させるのに有効である。
【0073】
本発明の別の実施態様は、高眼圧を低下させる方法であって、プロスタグランジン活性物質;第1の非イオン性界面活性剤;第2の非イオン性界面活性剤;及び眼用に許容し得る担体を含む眼用組成物を、涙液又は眼組織に投与することを含む方法である。総界面活性剤濃度は、個々の非イオン性界面活性剤がプロスタグランジン活性物質を可溶化するのに必要な界面活性剤濃度よりも低い。
【0074】
更に別の実施態様は、高眼圧を低下させる方法であって、プロスタグランジン活性物質;強力な保存料;プロスタグランジン活性物質の溶解度を増大させるが、強力な保存料の保存有効性を低下させる、非イオン性界面活性剤;強力な保存料の有効性を増大させる保存増強剤;及び眼用に許容し得る担体を含む眼用組成物を、涙液又は眼組織に投与することを含む方法である。
【0075】
前記開示により、当業者は本発明を実施することができる。読者が具体的な実施態様及びそれの利点を更に充分に理解できるように、下記実施例を参考にすることが提案される。しかし本発明は、実施例に例示される種々の実施態様に限定されるものではない;本実施例は、読者の本発明の理解を高めるために提供されるに過ぎない。
【0076】
実施例1
0.12%イソプロピルウノプロストン眼用処方物を、以下の手順により調製した。界面活性剤溶液は、ポリソルベート−80約0.517グラム及びブリジ−97約0.221グラムを蒸留水約70グラムに溶解することにより調製した。この界面活性剤溶液をイソプロピルウノプロストン(ウエノ・ファイン・ケミカルズ(Ueno Fine Chemicals)、大阪、日本)約0.132グラムに加えて、一晩撹拌した。約1.06重量パーセント塩化ベンザルコニウム(BAK)溶液約1.034グラム、0.01モルのリン酸緩衝液約11.0グラム、及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)約0.011グラムをイソプロピルウノプロストン溶液に加えて、溶解するまで混合した。得られた溶液に蒸留水を加えて、重量を最終目的重量(110グラム)の90%にした。マンニトール約5.153グラムをこの溶液に加えて、溶解するまで撹拌した。最後に、蒸留水を加えて溶液を110グラムの最終重量とした。
【0077】
生じた溶液は、重量に基づき:
0.12% イソプロピルウノプロストン、
0.47% ポリソルベート80、
0.20% ブリジ97、
0.011% BAK、
0.01% EDTA、及び
4.7% マンニトール、
という組成であった。
【0078】
清澄な溶液を観察した。したがって、0.67%の総重量百分率である界面活性剤が、イソプロピルウノプロストンを完全に可溶化した。
【0079】
本処方物約30マイクロリットルを、ウサギの眼に点眼してこの時点をt=0とした。眼内圧(IOP)を点眼のt=0、30、60、120、180、240、300、及び360分後に測定した。IOPは、呼吸圧測定法により測定した。試験した試料の平均値及びt=0の圧力の百分率として表したIOPを表Iに示した。
【0080】
実施例2
イソプロピルウノプロストン眼用処方物を、この処方物が、重量百分率で0.18%イソプロピルウノプロストン、0.70%ポリソルベート80及び0.30%ブリジ97を含むことを除いて、実質的に実施例1の手順により調製した。更には、リン酸緩衝液は必要としなかったが、pHはNaOHで調整した。実施例1と同様にイソプロピルウノプロストンは完全に可溶化した。
【0081】
本処方物のIOP低下作用は、実質的に実施例1に記載される手順により試験した。t=0の圧力の百分率として表した眼内圧を表Iに示した。
【0082】
実施例3
イソプロピルウノプロストン眼用処方物を、この処方物が、重量百分率で0.24%イソプロピルウノプロストン、0.95%ポリソルベート80及び0.42%ブリジ97を含むことを除いて、実質的に実施例1の手順により調製した。実施例1と同様にイソプロピルウノプロストンは完全に可溶化した。
【0083】
本処方物のIOP低下作用は、実質的に実施例1に記載される手順により試験した。t=0の圧力の百分率として表した眼内圧を表Iに示した。
【0084】
実施例1〜3から得られたデータの検討により、0.18%イソプロピルウノプロストンは、0.12%又は0.24%イソプロピルウノプロストン処方物よりも有効であることが判った。したがって、イソプロピルウノプロストン濃度の好ましい範囲は、約0.12%〜約0.24%であった。イソプロピルウノプロストンの更に好ましい濃度範囲は、0.18%前後であった。
【0085】
【表1】

【0086】
実施例4
イソプロピルウノプロストン眼用処方物を、成分の相対濃度を変更して、実質的に実施例1の手順により調製した。得られた処方物は、重量百分率で:
0.12% イソプロピルウノプロストン、
0.47% ポリソルベート80、
0.20% ブリジ97、
0.010% BAK、
0.01% EDTA、及び
4.4% マンニトール、
であった。
【0087】
すなわち、総界面活性剤濃度は0.67%であった。実施例1と同様にイソプロピルウノプロストンは完全に可溶化した。比較結果は表IIに示した。
【0088】
実施例5
イソプロピルウノプロストン眼用処方物を、ブリジ97をヴォルポ10に置換することを含めて、成分の相対濃度を変更して、実質的に実施例2の手順により調製した。得られた処方物は、重量百分率で:
0.12% イソプロピルウノプロストン、
0.47% ポリソルベート80、
0.20% ヴォルポ10、
0.013% BAK、
0.05% EDTA、及び
4.3% マンニトール、
であった。
【0089】
すなわち、総界面活性剤濃度は0.67%であった。実施例1と同様にイソプロピルウノプロストンは完全に可溶化した。比較結果は表IIに示した。
【0090】
実施例6
0.12%イソプロピルウノプロストン眼用処方物を、以下の手順により調製した。塩化ナトリウム約6グラム及び塩化ベンザルコニウム約0.2グラムを蒸留水約1リットルに溶解した。イソプロピルウノプロストン約0.12グラム及びポリソルベート80約1グラムを混合してBAK溶液に加えた。得られた処方物は、重量百分率で:
0.12% イソプロピルウノプロストン、
1.0% ポリソルベート80、
0.020% BAK、
0.6% 塩化ナトリウム、
を含んでいた。
【0091】
すなわち、総界面活性剤濃度は1.0%であった。イソプロピルウノプロストンは可溶化した(すなわち、溶液は清澄に見えた)。比較結果は表IIに示した。
【0092】
実施例7
0.12%イソプロピルウノプロストン眼用処方物を、ポリソルベート80の使用量を低下させたことを除いて、実質的に実施例6により調製した。得られた処方物は:
0.12% イソプロピルウノプロストン、
0.85% ポリソルベート80、
0.020% BAK、
0.6% 塩化ナトリウム、
を含んでいた。
【0093】
すなわち、総界面活性剤濃度は0.85%であった。イソプロピルウノプロストンは可溶化した(すなわち、溶液は清澄に見えた)。比較結果は表IIに示した。
【0094】
実施例8
0.12%イソプロピルウノプロストン眼用処方物を、ポリソルベート80の使用量を低下させたことを除いて、実質的に実施例7により調製した。得られた処方物は:
0.12% イソプロピルウノプロストン、
0.80% ポリソルベート80、
0.020% BAK、
0.6% 塩化ナトリウム、
を含んでいた。
【0095】
すなわち、総界面活性剤濃度は0.80%であった。イソプロピルウノプロストンは完全に可溶化しなかった(すなわち、溶液は混濁して見えた)。比較結果は表IIに示した。
【0096】
イソプロピルウノプロストンは完全に可溶化しなかった(すなわち、相分離を観察した)。比較結果は表IIに示した。
【0097】
【表2】

【0098】
表IIと共に実施例1及び4〜8により、ポリソルベート80と、ブリジ97又はヴォルポ10との組合せが、ポリソルベート80単独よりも良好にイソプロピルウノプロストンを可溶化することを示した。実施例8では、ポリソルベート80単独を含む0.80%総界面活性剤処方物が、活性成分を充分に可溶化しなかったが、一方界面活性剤の組合せを含む0.67%総界面活性剤処方物は、完全な可溶性を与えた。すなわち、プロスタグランジン活性物質を含有する処方物において、1つの界面活性剤よりは2つ以上の界面活性剤を使用することにより、低い総界面活性剤濃度を達成することができる。
【0099】
実施例9
0.12%イソプロピルウノプロストンを含む眼用処方物約100グラムを、以下の手順により調製した。イソプロピルウノプロストン約0.12グラム及びポリソルベート80約1.0グラムをビーカーに加えて、次いで蒸留水約90グラムを加えた。この混合物を溶解するまで撹拌した。約1% BAK溶液約1.2グラム及びEDTA約0.05グラムを、得られた溶液に加えた。マンニトール約3.3グラムを加えて、溶解が達成されるまで混合した。
【0100】
得られた処方物は:
0.12% イソプロピルウノプロストン
1.0% ポリソルベート80
0.012% BAK
0.05% EDTA
3.3% マンニトール
を含有していた。
本処方物を、米国薬局方(U.S. Pharmacopia)及びヨーロッパ薬局方基準(European Pharmacopia Criteria)「A」及び「B」の保存有効性試験に付した。本処方は、3つ全部の試験に合格した。結果は表IIIに要約した。
【0101】
実施例10
処方物を、マンニトールの代わりに張度調整剤として塩化ナトリウムを使用したことを除いて、実質的に実施例9に記載される手順により調製した。本処方物は、以下の組成:
0.12% イソプロピルウノプロストン
1.0% ポリソルベート80
0.012% BAK
0.05% EDTA
0.6% 塩化ナトリウム
であった。
【0102】
本処方は、ヨーロッパ薬局方基準「A」及び「B」保存有効性試験には不合格であったが、一方米国薬局方試験には合格した。結果は表IIIに要約した。
【0103】
実施例11
処方物は、マンニトールの代わりに張度調整剤として塩化ナトリウムを使用し、かつBAKとEDTAを追加して使用したことを除いて、実質的に実施例9に記載される手順により調製した。本処方は、以下の組成:
0.12% イソプロピルウノプロストン
1.0% ポリソルベート80
0.013% BAK
0.10% EDTA
0.6% 塩化ナトリウム
であった。
【0104】
本処方物は、ヨーロッパ薬局方基準「A」及び「B」保存有効性試験には不合格であったが、一方米国薬局方試験には合格した。結果は表IIIに要約した。
【0105】
実施例12
処方物は、実施例9に比較してBAKとEDTAを追加して使用したことを除いて、実質的に実施例9に記載される手順により調製した。本処方物は、以下の組成:
0.12% イソプロピルウノプロストン
1.0% ポリソルベート80
0.013% BAK
0.10% EDTA
3.3% マンニトール
であった。
【0106】
本処方物は、ヨーロッパ薬局方基準「A」及び「B」試験、更には米国薬局方試験に合格した。結果は表IIIに要約した。
【0107】
実施例13
処方物は、マンニトールを塩化ナトリウムで置き換え、かつ実施例12に比較してBAKを追加して使用したことを除いて、実質的に実施例12に記載される手順により調製した。本処方物は、以下の組成:
0.12% イソプロピルウノプロストン
1.0% ポリソルベート80
0.014% BAK
0.10% EDTA
0.6% 塩化ナトリウム
であった。
【0108】
本処方物は、ヨーロッパ薬局方基準「A」及び「B」保存有効性試験には不合格であったが、一方米国薬局方試験には合格した。結果は表IIIに要約した。
【0109】
実施例14
処方物は、実施例13に比較してBAKを追加して使用したことを除いて、実質的に実施例13に記載される手順により調製した。本処方物は、以下の組成:
0.12% イソプロピルウノプロストン
1.0% ポリソルベート80
0.015% BAK
0.10% EDTA
0.6% 塩化ナトリウム
であった。
【0110】
本処方物は、ヨーロッパ薬局方基準「A」(EPA)及び「B」(EPB)保存有効性試験には不合格であったが、一方米国薬局方(USP)試験には合格した。結果は表IIIに要約した。
【0111】
【表3】

【0112】
実施例9〜14及び表IIIにより、非イオン性張度調整剤のマンニトールが、イオン性張度調整剤の塩化ナトリウムに比較して保存有効性を増強することを例証した。
【0113】
本発明は、読者が、過度の実験を行うことなく本発明を実施することができるように、いくつかの好ましい実施態様を参照しながら詳細に記述した。しかし、当業者であれば、本発明の範囲と精神を逸脱することなく、多くの成分とパラメーターをある程度まで変更又は修飾することができることを容易に認識するであろう。更には、発明の名称、見出し、定義などは、本明細書の読者の理解を深めるために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして読んではならない。したがって、本発明の知的所有権は、以下の請求の範囲及び合理的なその拡大内容と同等内容によってのみ定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)プロスタグランジン、これらの代謝物、これらの誘導体、これらの塩、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、プロスタグランジン活性物質;
(b)眼用保存料;
(c)非イオン性張度調整剤(ここで、該非イオン性張度調整剤は、
(i)組成物の張度を調整し、かつ
(ii)保存有効性を増大させるのに充分な濃度で存在する);及び
(d)眼用に許容し得る担体、
を含む、組成物。
【請求項2】
更にキレート化剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該キレート化剤が、エチレンジアミン四酢酸又はその塩である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
0.1〜10重量パーセントの非イオン性張度調整剤及び0.01〜0.10重量パーセントのキレート化剤を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
該活性物質が、13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステルである、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
0.001〜0.30重量パーセントの活性物質を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
0.06〜0.24重量パーセントの活性物質を含む、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
0.10〜0.20重量パーセントの活性物質を含む、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
更に非イオン性界面活性剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、約0.1〜5.0重量パーセントの非イオン性界面活性剤を含む、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート80であり、かつ約0.3〜2.0重量パーセントの濃度で存在する、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
硫酸ポリミキシンB;第四級アンモニウム化合物;ポリ(第四級アンモニウム)化合物;p−ヒドロキシ安息香酸エステル;ある種のフェノール及び置換アルコール;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゾオキソニウム;塩化セチルピリジニウム;塩化ベンゼトニウム;臭化セチルトリメチルアンモニウム;クロルヘキシジン;ポリ(ヘキサメチレンビグアニド);1−オクタンスルホン酸(一ナトリウム塩);9−オクタデセン酸(スルホン化);シプロフロキサシン;ドデシルジフェニルオキシド−ジスルホン酸;ドデシルベンゼンスルホン酸のアンモニウム、カリウム、又はナトリウム塩;脂肪酸又はトール油のナトリウム塩;ナフタレンスルホン酸;スルホン化オレイン酸のナトリウム塩;チメロサールのような有機水銀;チメルホネートナトリウム;2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン;3−メチル−4−クロロフェノール;8−ヒドロキシキノリン;ベンジルアルコール;ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビスフェノール類;クロロブタノール;クロロキシレノール;ジクロロフェン[2,2’−メチレン−ビス(4−クロロフェノール)];パラ−ブロモフェノール及びパラ−クロロフェノールのオルト−アルキル誘導体;オキシキノリン;オルト−クロロフェノール及びオルト−ブロモフェノールのパラ−アルキル誘導体;ラウリン酸ペンタクロロフェニル;2−フェニルフェノール、2−ベンジル−4−クロロフェノール、2−シクロペンチル−4−クロロフェノール、4−t−アミルフェノール、4−t−ブチルフェノール、ならびに4−及び6−クロロ−2−ペンチルフェノールのようなフェノール系誘導体;フェノキシ脂肪酸ポリエステル;フェノキシエタノール;フェニルエチルアルコール;これらの誘導体及び混合物よりなる群から選択される、約0.001〜約0.05重量パーセントの眼用保存料を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
更に、過酸化物、過酸化物生成種及びこれらの混合物よりなる群から選択される、弱い保存料を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
更に、EDTA、ホウ酸塩及びリン酸塩よりなる群から選択される、眼用に許容し得る緩衝化剤を含む(ここで、該緩衝化剤は、貯蔵1年までの期間にわたり5.5〜8.5のpHに組成物を維持するのに充分な量で存在する)、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
マンニトール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ソルビトール及びこれらの混合物よりなる群から選択される、約0.1〜10重量パーセントの眼用に許容し得る非イオン性張度調整剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
(a)眼圧降下剤として有効な約0.001〜0.30重量パーセントの13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチルPGF2αイソプロピルエステル;
(b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、約0.1〜5.0重量パーセントの非イオン性界面活性剤;
(c)約0.005〜約0.2重量パーセントの眼用保存料;及び
(d)眼用に許容し得る担体、
を含む、請求項9記載の組成物。
【請求項17】
(a)眼圧降下剤として有効な約0.06〜約0.24重量パーセントの13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチルPGF2αイソプロピルエステル;
(b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、約0.1〜
約5.0重量パーセントの非イオン性界面活性剤;
(c)約0.01〜約0.015重量パーセントの塩化ベンザルコニウム;
(d)約0.01〜約0.10重量パーセントのEDTA又はその塩;
(e)マンニトール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ソルビトール及びこれらの混合物よりなる群から選択される、約3〜5重量パーセントの眼用に許容し得る非イオン性張度調整剤;
(f)眼用に許容し得る担体、
を含む(ここで、該組成物は、約4.5〜約8.0のpHを有する)、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
(1)プロスタグランジン活性物質;
(2)第1の非イオン性界面活性剤;及び
(3)第2の非イオン性界面活性剤;及び
(4)眼用に許容し得る担体、
を含む組成物であって、総界面活性剤濃度が、個々の非イオン性界面活性剤がプロスタグランジン活性物質を可溶化するのに必要な界面活性剤濃度よりも低い組成物。
【請求項19】
該非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
該第1の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであり、かつ該第2の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
該第1の非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート化合物であり、かつ該第2の非イオン性界面活性剤が、ブリジ化合物である、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
組成物中の総非イオン性界面活性剤濃度が、約0.3〜2.0重量パーセントである、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
(1)プロスタグランジン活性物質;
(2)強力な保存料;
(3)プロスタグランジン活性物質の溶解度を増大させるが、強力な保存料の保存有効性を低下させる、非イオン性界面活性剤;
(4)強力な保存料の有効性を増大させる、保存増強剤;及び
(5)眼用に許容し得る担体、
を含む組成物。
【請求項24】
該保存増強剤が、マンニトール、エチレンジアミン四酢酸、その塩、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
該保存増強剤が、マンニトールである、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
該保存増強剤が、エチレンジアミン四酢酸である、請求項24記載の組成物。
【請求項27】
該保存増強剤が、エチレンジアミン四酢酸とマンニトールとの混合物である、請求項24記載の組成物。
【請求項28】
高眼圧の低下方法であって、涙液又は眼組織に、
(a)プロスタグランジン、これらの代謝物、これらの誘導体、これらの塩、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、プロスタグランジン活性物質;
(b)眼用保存料;及び
(c)非イオン性張度調整剤(ここで、該非イオン性張度調整剤は、
(i)組成物の張度を調整し、かつ
(ii)保存有効性を増大させるのに充分な濃度で存在する);及び
(d)眼用に許容し得る担体、
を含む眼用組成物(ここで、該組成物は、眼内圧の低下を必要とする患者に投与するとき、眼内圧を低下させるのに有効である)を投与する方法。
【請求項29】
高眼圧の低下方法であって、涙液又は眼組織に、
(1)プロスタグランジン活性物質;
(2)第1の非イオン性界面活性剤;及び
(3)第2の非イオン性界面活性剤;及び
(4)眼用に許容し得る担体、
を含む眼用組成物(ここで、総界面活性剤濃度は、個々の非イオン性界面活性剤がプロスタグランジン活性物質を可溶化するのに必要な界面活性剤濃度よりも低い)を投与する方法。
【請求項30】
高眼圧の低下方法であって、涙液又は眼組織に、
(1)プロスタグランジン活性物質;
(2)強力な保存料;
(3)プロスタグランジン活性物質の溶解度を増大させるが、強力な保存料の保存有効性を低下させる、非イオン性界面活性剤;
(4)強力な保存料の有効性を増大させる、保存増強剤;及び
(5)眼用に許容し得る担体、
を含む眼用組成物を投与する方法。
【請求項31】
(a)プロスタグランジン、これらの代謝物、これらの誘導体、これらの塩、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、約0.06〜約0.24重量パーセントのプロスタグランジン活性物質;
(b)眼用保存料;
(c)非イオン性張度調整剤;
(d)非イオン性界面活性剤;及び
(e)眼用に許容し得る担体、
を含む、眼用組成物。
【請求項32】
高眼圧の治療のための、前記請求項のいずれか1項記載の組成物。
【請求項33】
高眼圧の治療における眼用組成物の調製における、前記請求項のいずれか1項記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2010−43110(P2010−43110A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−235214(P2009−235214)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【分割の表示】特願平10−540126の分割
【原出願日】平成10年3月13日(1998.3.13)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】