高脂血症、脂肪肝又は肥満の予防又は治療用組成物
本発明は、有効成分として、次の一般式Iで表される化合物を含む高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療用組成物に関する:
一般式I
S−(MS)p−(MS)q
式中、Sは、シアル酸、(MS)p及び(MS)qは、それぞれ独立して、単糖類残基である。
本発明の有効成分として利用される化合物は、体重減少、臓器脂肪の減少、総コレステロール濃度の減少、LDLコレステロール数値の減少及びレプチン数値の減少を誘発し、究極的に高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療活性を示す。なお、本発明の組成物は、細胞毒性及び皮膚副作用がなく、薬剤学的組成物、機能性食品(neutraceutical)組成物又は食品組成物に安全に適用することができる。
一般式I
S−(MS)p−(MS)q
式中、Sは、シアル酸、(MS)p及び(MS)qは、それぞれ独立して、単糖類残基である。
本発明の有効成分として利用される化合物は、体重減少、臓器脂肪の減少、総コレステロール濃度の減少、LDLコレステロール数値の減少及びレプチン数値の減少を誘発し、究極的に高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療活性を示す。なお、本発明の組成物は、細胞毒性及び皮膚副作用がなく、薬剤学的組成物、機能性食品(neutraceutical)組成物又は食品組成物に安全に適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は、様々な要因で発病する一般的な疾病であって、高脂血症、脂肪肝、動脈硬化、心脈疾患、高血圧又は糖尿病等の様々な合併症を伴い、最近食生活の西欧化により深刻な社会的な問題とされており、世界保健機構(WHO)では、1997年肥満を慢性疾患の一つと規定した。
【0003】
肥満は、糖尿、高血圧、高脂血症、胆石症等の様々な成人病を誘発する直接又は間接的な原因であって、人間に身体的又は精神的に致命的な傷を与る疾患であり、社会的又は経済的に莫大な損失をもたらすという点で、その問題の深刻性は大きいといえる。
【0004】
世界保健機構(WHO)は、現在10億に達する過体重及び肥満人口が、2015年には50%増加された15億名になって、深刻な健康問題を起こすと警告した(2005年9月22日)。過体重と肥満は、世界死亡原因1位に当たる心血管疾患の主要危険因子であって、毎年1,700万名以上が心血管疾患で死亡しており、この中、約80%は、米国などの先進国で発生している。先進国の問題であると考えられていた肥満が、食品中における脂肪、塩又は砂糖の含有量の増加と、身体活動量の減少又は移動手段の発達などにより、開発途上国を始めとして全世界的に拡大されているとWHOは分析した。実際に、30代以上の女性人口の75%以上が過体重である国は、米国を始めとして、エジプト、メキシコ、南アフリカ及びトルコなどであり、30代以上の男性人口の75%以上が過体重である国は、英国、アルゼンチン、ドイツ、ギリシア、クウェート及びニュージーランドなどである。
【0005】
また、WHOは、過体重と肥満人口の増加数値は、まさに驚くべきであると報告しながら、特に、貧国における過体重又は肥満人口の急速な増加は、何らかの措置がない限り、今後10年〜20年内に慢性疾患増加の主要原因になると予想した。
【0006】
このような肥満を治療するために行われる治療法は、大きく食餌療法と、運動療法と、薬物療法とに分類される。臨床試験結果によると、食餌療法及び運動療法のみで体重減量を試みた場合に比べ、薬物療法を一緒に行った場合が、2年後の結果において、体重減量が約2倍程度高いだけではなく、肥満に係わる血圧、血糖、コレステロール等の数値が著しく改善されたと報告された。
【0007】
したがって、肥満治療において、薬物療法に対する比重及び治療剤開発に対する関心が高まっている。
【0008】
肥満治療剤は、食欲抑制、新陳代謝の促進又は飲食内の特定栄養素の吸収を抑制するメカニズムを通じて肥満を抑制するが、食欲抑制効果があると知られたメラノコルチン(melanocortins)や、ボンベシン(bombesin)等のアノレクチックペプチド(anorectic peptides)の構造と機能が明かされ、肥満治療剤開発の重大な転換期を迎えた。
【0009】
現在、代表的な食欲抑制剤として使用中の治療剤としては、シブトラミン(sibutramine、商品名:リダクチル、米国の場合メリジア(Meridia))とオルリスタット(Orlistat、商品名:Xenical、Alli)がある。シブトラミンは、食欲調節に作用する神経ホルモンであるセロトニン(serotonin)とノルアドレナリンの再吸収を同時に抑制して、食欲を落とす薬物である。しかし、口腔乾燥症、逆説的な食欲亢進症、嘔吐、味覚の変化、胃腸障害、便秘、睡眠障害、めまい、眠気、月経痙攣/痛み、頭痛、関節/筋肉痛などが最も頻繁に観察される副作用である。また、患者によって血圧と脈拍が深刻に増加する場合があって、投与中の患者は、定期的に血圧と脈拍をチェックしなければならない。希には、不整脈、感覚の異常、精神異常などの症状が観察されて、医者の緊急な措置を必要とする場合がある。また、突然死、心臓麻痺、腎臓麻痺、胃腸管障害などの安全生に対する問題が提起されており、治療時、医者の緊密な観察が要求される短所がある。また、一般的な食欲抑制剤の場合、無分別な体重減少を誘発するため、脂肪以外の蛋白質、炭水化物代謝にも影響を与え、選択的な体重減量が不可能である。オルリスタットは、末梢的な脂肪吸収抑制を通じて肥満を治療するゼニカル(Xenical、成分名;orlistat)が開発されて利用されているが、脂肪便、腸内ガス発生、腹部膨満感などの副作用があり、飲食内脂肪が占める比率が少ない食習慣を有した人には、効果が減少するという短所を有している。
【0010】
その他にも、食欲抑制機能を利用した医薬品が開発されているが、ほとんどが精神的な副作用を示し、問題点として指摘されている。
【0011】
したがって、本発明者らは、このように医薬品の副作用と慢性疾患の問題点を克服するために、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療が可能な物質を開発するために鋭意研究した。
【0012】
本明細書全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療用組成物を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療方法を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲により、更に明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、体重減少又は血中脂質を減少させる物質を開発するために鋭意研究した。その結果、シアリルオリゴ糖が、高脂肪食餌肥満モデルにおいて、体重減少、HDLコレステロール数値の増加、LDLコレステロール数値の減少及びレプチン数値の減少を誘発し、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療が可能であることを確認して、本発明を完成した。
【0017】
本発明の一様態によると、本発明は、有効成分として、下記一般式Iで表される化合物を含む高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療用組成物を提供する。
一般式I
S−(MS)p−(MS)q
前記一般式(I)中、Sは、シアル酸を表し、(MS)p及び(MS)qは、それぞれ独立して、単糖類残基を表す。
【0018】
本発明の他の様態によると、本発明は、有効成分として、下記一般式Iで表される化合物を含む組成物を対象(subject)に投与する段階を含む高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療方法を提供する。
一般式I
S−(MS)p−(MS)q
前記一般式(I)中、Sは、シアル酸を表し、(MS)p及び(MS)qは、それぞれ独立して、単糖類残基を表す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】図1Aは、高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおける体重変化を示すグラフである。ND, HD及びHD+3’−SLは、それぞれ正常食餌マウス群(正常群)、高脂肪(60%脂肪)食餌群(対照群)及び高脂肪食餌群に3’−シアリルラクトース(sialyllatose, SL)を処理した実験群を示す。
【図1B】図1Bは、高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおける体重変化を示すグラフである。ND, HD及びHD+6’−SLは、それぞれ正常食餌マウス群(正常群)、高脂肪(60%脂肪)食餌群(対照群)及び高脂肪食餌群に6’−シアリルラクトース(sialyllatose, SL)を処理した実験群を示す。
【図2】図2は、3’−シアリルラクトース又は6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、体重変化を比較したグラフである。
【図3A】図3Aは、6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3B】図3Bは、6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3C】図3Cは、6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3D】図3Dは、6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3E】図3Eは、6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、レプチンレベルの変化を示すグラフである。
【図3F】図3Fは、3’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3G】図3Gは、3’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3H】図3Hは、3’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3I】図3Iは、3’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3J】図3Jは、3’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、レプチンレベルの変化を示すグラフである。
【図4】図4は、高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、3’−シアリルラクトースの投与が脂肪肝に及ぼす影響を示す写真である。
【図5A】図5Aは、高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、3’−シアリルラクトースの投与が皮下又は腹部脂肪に及ぼす影響を示すグラフである。
【図5B】図5Bは、高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、6’−シアリルラクトースの投与が皮下又は腹部脂肪に及ぼす影響を示すグラフである。
【図6A】図6Aは、高脂肪食餌SDラットにおける体重変化を示すグラフである。3’−シアリルラクトースを1mg/kg又は5mg/kg投与した。
【図6B】図6Bは、高脂肪食餌SDラットにおける体重変化を示すグラフである。3’−シアリルラクトースを1mg/kg又は5mg/kg投与した。
【図7】図7は、高脂肪食餌SDラットにおいて、3’−シアリルラクトースの投与が皮下、腎周囲及び後腹部脂肪に及ぼす影響を示すグラフである。
【図8A】図8Aは、高脂肪食餌SDラットにおいて、3’−シアリルラクトースの投与が脂肪肝に及ぼす影響を示す写真である。左側矢印は肝を、右側矢印は他の臓器を指す。
【図8B】図8Bは、高脂肪食餌SDラットにおいて、3’−シアリルラクトースの投与が脂肪肝に及ぼす影響を示す写真である。左側矢印は肝を、右側矢印は他の臓器を指す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは、体重減少又は血中脂質を減少させる物質を開発するために鋭意研究した。その結果、シアリルオリゴ糖が、高脂肪食餌肥満モデルにおいて体重減少、臓器脂肪の減少、総コレステロール濃度の減少、HDLコレステロール数値の増加、LDLコレステロール数値の減少及びレプチン数値の減少を誘発し、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療が可能であることを確認した。
【0021】
本発明において、有効成分は、前記一般式Iで表される化合物である。前記一般式Iにおいて、Sは、シアル酸を示す。シアル酸は、多様な方式で、(MS)pに結合されることができるが、α−2,3結合又はα−2,6結合により、単糖類化合物(MS)pに結合される。Sには、シアル酸の他に、修飾された(modified)シアル酸が位置することができる。例えば、シアル酸の4番炭素にある−OH基が修飾(例えば、C1〜C4アルキル基により修飾)されたものがSに位置することができる。最も好ましくは、修飾されなかったシアル酸がSに位置する。
【0022】
(MS)p及び(MS)qに位置する単糖類化合物は、当業界に公知されたあらゆる単糖類化合物が利用でき、例えば、4炭糖(例えば、エリトロース、トリオースなど)、5炭糖(例えば、リボース、アラビノース、キシロース、リソースなど)及び6炭糖(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロースなど)を含む。好ましくは、(MS)p及び(MS)qに位置する単糖類化合物は、5炭糖又は6炭糖であり、より好ましくは、6炭糖であって、更に好ましくは、グルコース、マンノース又はガラクトースであり、最も好ましくは、グルコース又はガラクトースである。(MS)p及び(MS)qに位置する単糖類化合物は、D−又はL−形態の立体異性体を有することができ、最も好ましくは、D−形態の立体異性体である。
【0023】
(MS)p及び(MS)qには、同一の又は相異なる単糖類化合物が結合でき、好ましくは、相異なる単糖類化合物が結合される。
【0024】
本発明の好ましい具体例によると、(MS)pには、ガラクトース又はグルコースが結合され、(MS)qには、グルコース又はガラクトースが結合され、最も好ましくは、(MS)pにはガラクトースが結合され、(MS)qには、グルコースが結合される。(MS)pにガラクトース、(MS)qにグルコースが結合されており、二糖類化合物、ラクトースが形成される。
【0025】
(MS)p及び(MS)qに位置する単糖類化合物は、修飾された又は修飾されなかったものである。例えば、修飾された単糖類化合物の場合、−OH基にアセチル基又はN−アセチル基が結合できる。好ましくは、(MS)p及び(MS)qに位置する単糖類化合物は、修飾されなかった単糖類化合物である。
【0026】
本発明の好ましい具体例によると、有効成分として利用される前記一般式Iで表される化合物は、シアリルラクトースである。本発明で有効成分として利用されるシアリルラクトースは、シアル酸にガラクトースとグルコースが順に結合されてなる化合物である。
【0027】
シアル酸は、多様な方式でガラクトースに結合することができ、例えば、α−2,3又はα−2,6結合で結合される。シアル酸は、修飾されることができ、例えば、シアル酸の4番炭素にある−OH基が修飾(例えば、C1〜C4アルキル基により修飾)されることができる。
【0028】
シアリルラクトースにおけるガラクトース及びグルコースは、D−又はL−形態の立体異性体を有することができ、最も好ましくは、D−形態の立体異性体である。シアリルラクトースにおけるガラクトース及びグルコースは、修飾されたあるいは修飾されなかったものである。例えば、修飾された単糖類化合物の場合、−OH基にアセチル基又はN−アセチル基が結合できる。好ましくは、シアリルラクトースにおけるガラクトース及びグルコースは、修飾されなかった単糖類化合物である。
【0029】
本発明の好ましい具体例によると、本発明で有効成分として利用されるシアリルラクトースは、α−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glc又はα−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである[NeuNAc: N−Acetylneuraminyl, Gal: Galactose, Glc: Glucose]。α−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcは、GM3ガングリオシドから発見される物質であり、α−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcは、前記物質の異性体である。
【0030】
より好ましくは、本発明で有効成分として利用されるシアリルラクトースは、α−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである。下記の実施例で立証したように、α−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcは、α−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcより高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療効能に優れている。
【0031】
本発明の組成物において、有効成分として利用されるものは、前記化合物そのものだけではなく、その薬剤学的に許容可能な塩、水和物又は溶媒和物である。
【0032】
用語、‘薬剤学的に許容可能な塩’は、所望の薬理学的効果、即ち、体重減少及びLDLコレステロール数値を減少させる前記化合物の塩を示す。このような塩は、ヒドロクロライド、ヒドロブロマイド及びヒドロアイオダイド等の無機酸、アセテート、アジペート、アルギナート、アスパルテート、ベンゾアート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、ビスルファート、スルファメート、スルファート、ナフチレート、ブチラート、シトレート、カンフォレート、カンファースルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルファート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノアート、グリセロホスファート、ヘミスルファート、ヘプタノアート、ヘキサノアート、2−ヒドロキシエタンスルファート、ラクテート、マレアート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、オキサレート、トシレート、及びウンデカノアートの等の有機酸を利用して形成される。
【0033】
用語、‘薬剤学的に許容可能な水和物’とは、所望の薬理学的効果を有する前記化合物の水和物を示す。用語、’薬剤学的に許容可能な溶媒和物’とは、所望の薬理学的効果を有する前記化合物の溶媒和物を示す。前記水和物及び溶媒和物も上記の酸を利用して製造できる。
【0034】
前記一般式Iで表される化合物、その薬剤学的に許容可能な塩、水和物又は溶媒和物を有効成分として含む本発明の組成物は、体重減少、臓器脂肪の減少、総コレステロール濃度の減少、HDLコレステロール濃度の増加、LDLコレステロール濃度の減少及びレプチンの増加を招来し、究極的に高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療活性を示す。
【0035】
本明細書で使用される用語‘高脂血症((Hyperlipidemia)’とは、血液内に遊離コレステロール、コレステロールエステル、リン脂質、中性脂肪等の脂肪質が異常に増加された状態をいう。高脂血症は、通常それ自体が症状を示すものではなく、血液内に脂肪成分が多いと、血管壁に接着し、動脈硬化(Arteriosclerosis)を起こし、これにより、冠動脈心臓疾患、脳血管疾患、末梢血管閉鎖等が発生する(E. Falk et al., Circulation 92, 657−671, 1995)。また、上記のような過度な脂肪成分は、肝組織に蓄積され、これにより脂肪肝(Fatty liver)が誘発される。
【0036】
本明細書で使用される用語‘脂肪肝’とは、肝臓における脂肪が占める重量の比率が5%を超過した状態をいい、過多な脂肪成分の摂取だけではなく、アルコールの摂取によっても誘発される。
【0037】
本発明の好ましい具体例によると、本発明の組成物により予防又は治療できる心血管疾患は、高血圧、心不全、冠動脈疾患、動脈瘤、動脈硬化症、粥状硬化症、心筋梗塞症、塞栓症、脳卒中、又は血栓症である。
【0038】
本発明の組成物は、薬剤学的組成物、機能性食品(neutraceutical)組成物、又は食品組成物に製造できる。
【0039】
本発明の好ましい具体例によると、本発明の組成物は、(a)本発明の前記一般式Iで表される化合物の薬剤学的有効量、及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む薬剤学的組成物である。
【0040】
本明細書において用語‘薬剤学的有効量’とは、前記一般式Iで表される化合物の効能又は活性を達成するのに充分な量を意味する。
【0041】
本発明の組成物が薬剤学的組成物に製造される場合、本発明の薬剤学的組成物は、薬剤学的に許容される担体を含む。本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常的に利用されるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤等を更に含むことができる。適した薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0042】
本発明の薬剤学的組成物は、経口又は非経口で投与でき、非経口投与の場合、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与、粘膜投与及び点眼投与などで投与できる。
【0043】
本発明の薬剤学的組成物の適した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性等の要因により多様に処方できる。好ましくは、本発明の薬剤学的組成物の投与量は、成人を基準とすると、1日当たり0.001mg/kg〜100mg/kg(体重)であり、より好ましくは、0.01mg/kg〜80mg/kg(体重)であって、最も好ましくは、0.1mg/kg〜60mg/kg(体重)である。また、医者又は薬事の判断にしたがって、一定時間間隔で1日1回乃至数回に分けて投与することもできる。
【0044】
本発明の薬剤学的及び健康食品上の組成物は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有したものが容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を利用して製剤化することにより、単位容量形態に製造するか、又は多用量容器内に入れて製造できる。
【0045】
本発明の好ましい具体例によると、本発明の組成物の剤形は、溶液、懸濁液、シロップ剤、エマルジョン、リポソーム、エキス剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、徐放性製剤、又はカプセル剤であり、分散剤又は安定化剤を更に含むことができる。
【0046】
具体的に投与経路によって、経口投与用固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が含まれる。このような固体剤形において、活性化合物は、一つ以上の不活性薬剤学的に許容される賦形剤又は担体(例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウムなど)及び/又はa)充填剤又は増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、珪酸など)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニールピロリドン、スクロース、アラビアゴムなど)、c)保湿剤(例えば、グリセロールなど)、d)崩解剤(例えば、寒天−寒天、炭酸カルシウム、イモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定珪酸塩、炭酸ナトリウムなど)、e)液状遅延剤(例えば、パラフィンなど)、f)吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物など)、g)湿潤剤(例えば、セチルアルコール、グリセロールモノステアレートなど)、h)吸収剤(例えば、カオリン、ベントナイト粘土なdp)及びi)潤滑剤(例えば、タルク、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、固体ポリエチレングリコール、ナトリウムラウリルサルフェート、及びこれらの混合物など)と混合できる。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、緩衝剤を更に含むことができる。
【0047】
更に、ラクトース又はミルクシュガーのような賦形剤に加えて、高分子量のポリエチレングリコールなどを使用した軟質及び硬質ゼラチンカプセルに充填剤として使用できる。
【0048】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤等の固体投与型は、腸溶皮及びその他の薬剤分野によく知られた被覆のような被覆物及びシェルに製造できる。これらは、任意に混濁化剤を含有することができ、また、これらが腸管の特定部位で任意に遅延された方式で活性成分のみを放出するか、活性成分を優先的に放出するように組成できる。また、必要な場合、活性化合物は、一つ以上の上記賦形剤と微細カプセル形態に存在することができる。
【0049】
経口投与用液体剤形としては、薬剤学的に許容されるエマルジョン、溶剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤が含まれる。活性化合物の他に、液体剤形は、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(特に、綿実油、ピーナッツ油、玉蜀黍油、胚芽油、オリーブ油、蓖麻子油、ごま油など)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル及びこれらの混合物などのように、本分野でよく使用される不活性稀釈剤を含有することができる。不活性稀釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、風味剤、芳香剤等の補助剤を含有することができる。
【0050】
直腸又は膣内投与用剤形は、好ましくは、本発明の化合物を、室温で固体であるが体温では液体であって、直腸又は膣で溶けて活性化合物を放出する適した非刺激性補助剤又は担体(例えば、ココアバーター、ポリエチレングリコール又は座剤用ワックス)と混合して製造できる座剤である。
【0051】
非経口注射のために適した剤形は、生理学的に許容される滅菌水性又は非水性溶液、分散液、懸濁液、又はエマルジョン、及び滅菌注射溶液又は分散液に再構成するための滅菌粉末を含むことができる。適した水性及び非水性担体、稀釈剤、溶媒又はビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、植物性オイル(オリーブ油)、注射用有機エステル(例えば、エチルオレート)及びこれらの適した混合物が含まれる。
【0052】
また、本発明の組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤等の補助剤を含有することができる。各種抗菌剤及び抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など)により微生物の作用を抑制することができる。また、糖、塩化ナトリウム等の浸透圧調節剤を含むことが好ましい。吸収遅延剤(例えば、アルミニウムモノステアレート及びゼラチン)を使用して、注射用薬剤の吸収を遅延させることができる。
【0053】
懸濁剤は、活性化合物の他に、懸濁化剤(例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微細結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天−寒天及びトラガカント又はこれらの混合物など)を含有することができる。
【0054】
一部の場合、薬物の効果を持続させるために、皮下又は筋肉内注射から薬物の吸収を徐々にすることが好ましい。これは、水溶性の低い結晶形又は非結晶形物質の液体懸濁液を使用することにより達成することができる。この際、薬物の吸収速度は、溶解速度に左右されて、溶解速度は、結晶の大きさ及び結晶の形態に左右される。一方、非経口投与された薬物形態の遅延された吸収は、薬物をオイルビヒクル内に溶解させるか、懸濁させることにより達成される。
【0055】
注射用デポー形態は、薬物の微細カプセルマトリックスをポリラクチド−ポリグリコリドのような生体分解性重合体に形成することにより製造される。薬物と重合体の比率及び使用された特定重合体の性質によって、薬物の放出速度を調節することができる。
【0056】
他の生体分解性重合体の例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。また、デポー注射用剤形は、薬物を体組織適合性であるリポソーム又はマイクロエマルジョン内に捕獲させることにより製造される。
【0057】
注射用剤形は、例えば、細菌保有フィルターを通じてろ過するか、滅菌化剤を、使用直前に滅菌水又は他の滅菌注射用媒質中に溶解させるか分散させることができる滅菌固体組成物の形態で混入させることにより、滅菌させることができる。
【0058】
本発明の好ましい具体例によると、本発明の組成物は、経口投与用組成物であり、リポソーム又は徐放性製剤の剤形である。
【0059】
本発明の他の好ましい具体例によると、本発明の組成物は、非経口投与用組成物であり、リポソーム又は徐放性製剤の剤形である。
【0060】
本発明の薬剤学的組成物が経口投与剤形だけではなく、非経口投与(好ましくは、静脈投与)剤形に製造される場合、その剤形は、リポソーム又は徐放性製剤である。
【0061】
本発明の薬剤学的組成物をリポソームに内包(encapsulation)させて、薬物伝達のための剤形の安定性を提供することができる。本発明に利用されるリポソームは、ポリオール、界面活性剤、リン脂質、脂肪酸及び水を含む混合物により製造できる(Prescott, Ed., Methods in Cell Biology, (XIV),p.33et seq.(1976))。
【0062】
リポソームに利用されるポリオールは、特に制限されず、好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、メチルプロパンジオール、イソプレングリコール、ペンチルグリコール、エリスリトール、キシリトール及びソルビトールを含み、最も好ましくは、プロピレングリコールである。
【0063】
リポソームの製造に利用される界面活性剤は、当業界に公知されたいかなるものでも使用でき、例えば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が使用でき、好ましくは、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が使用される。陰イオン性界面活性剤の具体的な例は、アルキルアシルグルタメート、アルキルホスフェート、アルキルラクチレート、ジアルキルホスフェート及びトリアルキルホスフェートを含む。非イオン性界面活性剤の具体的な例は、アルコキシ化アルキルエーテル、アルコキシ化アルキルエステル、アルキルポリグリコシド、ポリグリセリルエステル及びシュガーエステルを含む。最も好ましくは、非イオン性界面活性剤に属するポリソルベート類が利用される。
【0064】
リポソームの製造に利用されるまた他の成分であるリン脂質は、両親和性脂質として利用されたもので、天然リン脂質(例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン、スフィンゴミエリンなど)及び合成リン脂質(例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン、水添レシチンなど)を含み、好ましくは、レシチンである。より好ましくは、前記レシチンは、大豆又は卵黄から抽出した天然由来の不飽和レシチン又は飽和レシチンである。一般的に、天然由来のレシチンは、ホスファチジルコリンの量が23%〜95%、そして、ホスファチジルエタノールアミンの量が20%以下である。
【0065】
リポソーム製造に利用される脂肪酸は、高級脂肪酸であって、好ましくは、C12〜22のアルキル鎖の飽和又は不飽和脂肪酸であり、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びリノレイン酸を含む。リポソームの製造に利用される水は、一般に脱イオン化された蒸留水である。
【0066】
リポソームは、当業界に公知された多様な方法を通じて製造できるが、最も好ましくは、前記成分を含む混合物を高圧ホモゲナイザーに適用して製造される。
【0067】
このように製造されたリポソームシステムは、様々な種類の難溶性物質を溶くと同時に、不安定な物質を安定化させて、薬物伝達を極大化する長所を有している。
【0068】
本発明の好ましい具体例によると、本発明の組成物は、スキンローラー方式で投与される。スキンローラーは、皮膚の表皮層と真皮層を直接貫通するマイクロニードルに、運搬しようとする薬物を搭載して、このマイクロニードルを通じて薬物を皮膚に直接運搬する方式である。
【0069】
本発明の薬剤学的組成物は、持続的に有効成分の有効血中濃度を維持することにより、薬剤の服用回数を減らし、服薬順応度を高めることができるように、徐放性製剤に製造できる。
【0070】
徐放性製剤は、本発明の有効成分の他に、徐放化担体及びその他の補助剤を含んで製剤化される。本発明で使用される徐放化担体は、当業界に公知された多様な徐放化担体を利用することができるが、好ましくは、ポリエチレンオキシドである。
【0071】
また、その他の補助剤として、薬剤学的分野で通常的に使用される希釈担体が使用できる。このような目的で使用される稀釈担体の例としては、ラクトース、デキストリン、デンプン、微細結晶性セルロース、リン酸一水素カルシウム、炭酸カルシウム、糖類及び二酸化珪素などがあり、その他、流動性を増加させるために、ステアリン酸亜鉛、マグネシウム等の滑沢剤や製薬分野で使用可能な他の補助剤を使用することもできる。
【0072】
本発明の薬剤学的組成物は、単独でも利用できるが、他の一般的な抗肥満剤を更に含むことができ、このような場合は、より効果的に抗肥満効果を奏することができる。本発明の薬剤学的組成物に含めることができる抗肥満剤は、例えば、オルリスタット、シブトラミン、メトホルミン、エクセナチド、プラムリンチド、リモナバント及びこれらの混合物などである。
【0073】
本発明の組成物が食品組成物(又は機能性食品組成物)に製造される場合、有効成分として、前記一般式Iで表される化合物だけではなく、食品製造時に一般的に添加される成分を含み、例えば、蛋白質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤及び香味剤を含む。前記炭水化物の例は、単糖類(例えば、ブドウ糖、果糖など)、二糖類(マルトース、スクロース、オリゴ糖など)、多糖類(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)のような一般的な糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。香味剤として、天然香味剤[ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイドA、グリチルリチンなど)]及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を使用することができる。
【0074】
例えば、本発明の食品組成物がドリンク剤に製造される場合は、本発明の一般式Iで表される化合物の他に、クエン酸、液状果糖、砂糖、ブドウ糖、酢酸、りんご酸、果汁、トチュウ抽出液、棗抽出液、甘草抽出液などを更に含むことができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【0076】
実施例1:C56BL/6マウス実験
高脂肪食餌マウスの体重増加の減少
4週齢のC56BL/6雄性マウスをDooyeul biotech(大韓民国)から購入した。水を自由摂取させ、市販のペレット餌(Dooyeul biotech, 大韓民国)を1週間摂取させした。このマウスを次のように6つの群(各群は、6匹のマウスで構成)に分類した:ND, 正常食餌マウス群(正常群); HD, Research Diets社(New Brunswick, U.S.A)から購入した高脂肪(60%脂肪)食餌群(対照群);高脂肪食餌群にシアリルラクトース(SL, Sigma)が処理された実験群であって、HD+SL(0.1 mg/kg)、HD+SL(0.5 mg/kg)、HD+SL(1.0mg/kg)及びHD+SL(5.0 mg/kg)。シアリルラクトース又はPBSは、毎日腹腔注射方式で投与した。マウスを50日間動物室に保管して、12時間絶食した後、犠牲させた。食餌摂取量及び体重変化量は、それぞれ7日毎に測定した。3’−シアリルラクトース(3′−N−Acetylneuraminyl−D−lactose, 3’−Sialyl−D−lactose又はα−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glc)、又は6’−シアリルラクトース(6’−N−Acetylneuraminyl−lactose, 6’−Sialyl−D−lactose又はα−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glc)は、Sigma−Aldrichから購入した。
【0077】
高脂肪食餌群のC56BL/6雄性マウスにおける体重変化は、下記表1a及び1b及び図1A及び1Bに記載されている。
【0078】
【表1a】
【0079】
【表1b】
【0080】
前記表1において、(*)で表されたデータは、6’−SLを投与したマウスに対するデーターであり、ND及びHDは、それぞれ正常食餌群及び高脂肪食餌群を示す。
【0081】
表1a及び1b及び図1A及び1Bから確認できるように、シアリルラクトースを投与したマウスにおいて体重増加程度が減少し、特に、6’−SLを投与したマウスにおいて、体重増加程度が大きく減少した。
【0082】
一方、図2は、3’−SL及び6’−SLの体重増加減少程度に対する比較グラフであって、明確に6’−SLが3’−SLより体重減少に更に効果的であることが分かる。
【0083】
3’−SL又は6’−SLを5mg/kg腹腔注射したマウスにおける体重増加パターンを、高脂肪食餌群及び正常対照群と直接比較してデータを処理し、これをまとめた(参照:表2)。
【0084】
【表2】
【0085】
50日間高脂肪食餌をさせたマウスの場合、正常食餌マウス体重増加量の300%以上の体重増加を示して、高脂肪食餌にシアリルラクトース(SL)を5mg/kg腹腔注射した場合、6’−SLは、4.7%体重が減って、3’−SLの場合は、51.5%の増加を示した。6’−SLの場合、正常食餌マウスの体重増加より低い体重増加を示した。したがって、6’−SLの体重減少効果が3’−SLに比べて大きいことが分かる。
【0086】
高脂肪食餌マウスにおける脂質数値及び肥満に対する影響分析
C56BL/6雄性マウスの血液を肝臓から摘出した。血液を凝固させて15分間、13,000rpmで遠心分離した後、血清を分析するまで−20℃で保管した。高密度脂蛋白(HDL)−コレステロールは、HDLキット(ヨンドン製薬、大韓民国)で測定した。中性脂肪(TG)は、酵素学的方法に基づいたTGキット(ヨンドン製薬)を利用して分析した。総コレステロールは、コレステロールEキット(ヨンドン製薬)で分析した。低密度脂蛋白(LDL)−コレステロールは、下記数学式1を利用して中性脂肪、総コレステロール及びHDL−コレステロール濃度から計算した:
数学式1
LDL−コレステロール=総コレステロール−{(HDL−コレステロール−中性脂肪)÷5}
【0087】
一方、レプチンのレベルは、ミリポア社のマウスレプチンELISAキット及びラットレプチンELISAキットで測定した。
【0088】
実験結果は、表3a−3b及び図3A〜3Jに記載されている。
【0089】
【表3a】
【0090】
【表3b】
【0091】
上記表3において、(*)で表されたデータは、6’−SLを投与したマウスに対するデーターであり、ND及びHDは、それぞれ正常食餌群及び高脂肪食餌群を示す。
【0092】
表3a−3b及び図3A〜3Jから確認できるように、本発明のシアリルラクトースを処理した実験群において、LDLコレステロール、総コレステロール及び中性脂肪(TG: Triglycerides)の数値がHD高脂肪食餌群より大きく減少した。
【0093】
一方、レプチンの減少は、脂肪細胞が減少するという指標であり、且つ、アテローム性動脈硬化症が予防できることを示す。本発明のシアリルラクトースを処理した実験群において、レプチンのレベルがHD高脂肪食餌群より大きく減少した。
【0094】
また、LDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪及びレプチンの濃度減少効果は、6’−SLが3’−SLに比べ著しく優れていた。
【0095】
結論的に、シアリルラクトース、特に6’−SLは、LDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪及びレプチンのレベルを減少させ、肥満、高脂血症又は心血管疾患を改善する効果を有することが分かる。
【0096】
高脂肪食餌マウスにおける脂肪肝改善効果
3’−シアリルラクトースの脂肪肝改善効果を確認するために、高脂肪食餌群のC56BL/6雄性マウスを解剖して、肝臓及びその他の臓器の状態を確認した。
【0097】
図4から確認できるように、高脂肪食餌をしたマウスは、脂肪肝症状を示して、肝以外の他の臓器からも脂肪が蓄積されていることを確認することができた。しかし、3’−シアリルラクトースを腹腔投与したラットの場合は、正常食餌マウス(ND)とほぼ同一な状態の肝臓を示して、肝臓以外の他の臓器からも脂肪蓄積が観察されなかった。
【0098】
皮下脂肪及び腹部脂肪に及ぼす影響
上記のように、4週齢のC56BL/6雄性マウスに対して高脂肪食餌とシアリルラクトースを6週間処理した。次いで、マウスの皮下脂肪及び腹部脂肪を分離して重量を測定した。図5A及び5Bから分かるように、シアリルラクトースを腹腔注射した場合は、処理量に依存的に皮下脂肪及び腹部脂肪が減少した。
【0099】
実施例2:SDラット実験
高脂肪食餌ラットの体重増加の減少
4週齢のSprague−Dawley(SD)ラットをDooyeul biotech(大韓民国)から購入した。ラットに水を自由摂取させ、市販のペレット餌(Dooyeul biotech, 大韓民国)を1週間摂取させた。ラットを次のように4つの群(各群は、6匹のラットで構成)に分類した:ND, 正常食餌SDラット群(正常群); HD, Research Diets社(New Brunswick, U.S.A)から購入した高脂肪(60%脂肪)食餌群(対照群);高脂肪食餌群にシアリルラクトース(SL, Sigma)が処理された実験群であって、HD+SL(1mg/kg)及びHD+SL(5mg/kg)。3’−シアリルラクトース又はDWを毎日経口投与方式で投与した。ラットを7週間動物室に保管して、12時間絶食した後、犠牲させた。食餌摂取量及び体重変化量は、それぞれ5日毎に測定した。
【0100】
高脂肪食餌Sprague−Dawley(SD)ラットにおける体重変化は、下記表4及び図6A及び6Bに記載されている。
【0101】
【表4】
【0102】
上記表4において、SLは、3’−シアリルラクトース、ND及びHDは、それぞれ正常食餌群及び高脂肪食餌群を示す。
【0103】
表4及び図6a−6bから確認できるように、シアリルラクトースを投与したラットにおいて、体重増加程度が処理量依存的に減少した。
【0104】
皮下脂肪、腎周囲(perirenal)脂肪及び後腹部(retroperitoneal)脂肪に及ぼす影響
上記のように、4週齢のスプラーグドーリラットに対して高脂肪食餌と3’−シアリルラクトースを6週間処理した。次いで、マウスの皮下脂肪、腎周囲脂肪及び後腹部脂肪を分離して重量を測定した。
【0105】
図7から分かるように、3’−シアリルラクトースを経口投与した場合は、処理量に依存的に皮下脂肪、腎周囲脂肪及び後腹部脂肪が減少して、総脂肪重量も減少した。
【0106】
血清の脂質濃度分析
SDラットの血液を肝から収集して、前記C57BL/6雄性マウスに対する実験と同一に血清の脂質濃度を分析した。
【0107】
【表5】
【0108】
前記表5から確認できるように、3’−シアリルラクトースを処理した実験群(HD+SL 1mg/kg)において、HDLコレステロール数値は高いが、LDLコレステロール、総コレステロール及び中性脂肪の数値が対照群より低いことが分かる。また、HD+SL実験群は、中性脂肪に対するHDLコレステロール数値は対照群より高いが、LDLコレステロール数値は対照群より低いことを確認することができる。したがって、3’−シアリルラクトースは、血中HDLコレステロールを増加させて、LDLコレステロールを減少させ、高脂血症又は心血管疾患を改善する効果を有することが分かる。
【0109】
肥満モデルにおける脂肪肝改善効果
3’−シアリルラクトースの脂肪肝改善効果を確認するために、高脂肪食餌群のSDラットを解剖して、肝臓及び他の臓器の状態を確認した。
【0110】
図8Aは、高脂肪食餌群(対照群)、及び図8Bは、高脂肪食餌群に3’−シアリルラクトースを処理した実験群を示す。図8aから確認できるように、高脂肪食餌をしたラットは、脂肪肝症状を示して、肝以外の他の臓器からも脂肪が蓄積されていることを確認することができた。しかし、3’−シアリルラクトースを経口投与したラットの場合は、肝及び他の臓器における脂肪蓄積が大きく減少した。
【0111】
以上詳細に説明したように、本発明は、有効成分として上述の一般式Iで表される化合物を含む高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療用組成物を提供する。本発明の有効成分として利用される化合物は、体重減少、臓器脂肪の減少、総コレステロール濃度の減少、HDL−コレステロール濃度の増加、LDL−コレステロール濃度の減少及びレプチンの減少を招来し、究極的に高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療活性を示す。なお、本発明の組成物は、細胞毒性及び皮膚副作用がなく、薬剤学的組成物、機能性食品(neutraceutical)組成物又は食品組成物に安全に適用することができる。
【0112】
以上、本発明の特定な部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具体例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は、様々な要因で発病する一般的な疾病であって、高脂血症、脂肪肝、動脈硬化、心脈疾患、高血圧又は糖尿病等の様々な合併症を伴い、最近食生活の西欧化により深刻な社会的な問題とされており、世界保健機構(WHO)では、1997年肥満を慢性疾患の一つと規定した。
【0003】
肥満は、糖尿、高血圧、高脂血症、胆石症等の様々な成人病を誘発する直接又は間接的な原因であって、人間に身体的又は精神的に致命的な傷を与る疾患であり、社会的又は経済的に莫大な損失をもたらすという点で、その問題の深刻性は大きいといえる。
【0004】
世界保健機構(WHO)は、現在10億に達する過体重及び肥満人口が、2015年には50%増加された15億名になって、深刻な健康問題を起こすと警告した(2005年9月22日)。過体重と肥満は、世界死亡原因1位に当たる心血管疾患の主要危険因子であって、毎年1,700万名以上が心血管疾患で死亡しており、この中、約80%は、米国などの先進国で発生している。先進国の問題であると考えられていた肥満が、食品中における脂肪、塩又は砂糖の含有量の増加と、身体活動量の減少又は移動手段の発達などにより、開発途上国を始めとして全世界的に拡大されているとWHOは分析した。実際に、30代以上の女性人口の75%以上が過体重である国は、米国を始めとして、エジプト、メキシコ、南アフリカ及びトルコなどであり、30代以上の男性人口の75%以上が過体重である国は、英国、アルゼンチン、ドイツ、ギリシア、クウェート及びニュージーランドなどである。
【0005】
また、WHOは、過体重と肥満人口の増加数値は、まさに驚くべきであると報告しながら、特に、貧国における過体重又は肥満人口の急速な増加は、何らかの措置がない限り、今後10年〜20年内に慢性疾患増加の主要原因になると予想した。
【0006】
このような肥満を治療するために行われる治療法は、大きく食餌療法と、運動療法と、薬物療法とに分類される。臨床試験結果によると、食餌療法及び運動療法のみで体重減量を試みた場合に比べ、薬物療法を一緒に行った場合が、2年後の結果において、体重減量が約2倍程度高いだけではなく、肥満に係わる血圧、血糖、コレステロール等の数値が著しく改善されたと報告された。
【0007】
したがって、肥満治療において、薬物療法に対する比重及び治療剤開発に対する関心が高まっている。
【0008】
肥満治療剤は、食欲抑制、新陳代謝の促進又は飲食内の特定栄養素の吸収を抑制するメカニズムを通じて肥満を抑制するが、食欲抑制効果があると知られたメラノコルチン(melanocortins)や、ボンベシン(bombesin)等のアノレクチックペプチド(anorectic peptides)の構造と機能が明かされ、肥満治療剤開発の重大な転換期を迎えた。
【0009】
現在、代表的な食欲抑制剤として使用中の治療剤としては、シブトラミン(sibutramine、商品名:リダクチル、米国の場合メリジア(Meridia))とオルリスタット(Orlistat、商品名:Xenical、Alli)がある。シブトラミンは、食欲調節に作用する神経ホルモンであるセロトニン(serotonin)とノルアドレナリンの再吸収を同時に抑制して、食欲を落とす薬物である。しかし、口腔乾燥症、逆説的な食欲亢進症、嘔吐、味覚の変化、胃腸障害、便秘、睡眠障害、めまい、眠気、月経痙攣/痛み、頭痛、関節/筋肉痛などが最も頻繁に観察される副作用である。また、患者によって血圧と脈拍が深刻に増加する場合があって、投与中の患者は、定期的に血圧と脈拍をチェックしなければならない。希には、不整脈、感覚の異常、精神異常などの症状が観察されて、医者の緊急な措置を必要とする場合がある。また、突然死、心臓麻痺、腎臓麻痺、胃腸管障害などの安全生に対する問題が提起されており、治療時、医者の緊密な観察が要求される短所がある。また、一般的な食欲抑制剤の場合、無分別な体重減少を誘発するため、脂肪以外の蛋白質、炭水化物代謝にも影響を与え、選択的な体重減量が不可能である。オルリスタットは、末梢的な脂肪吸収抑制を通じて肥満を治療するゼニカル(Xenical、成分名;orlistat)が開発されて利用されているが、脂肪便、腸内ガス発生、腹部膨満感などの副作用があり、飲食内脂肪が占める比率が少ない食習慣を有した人には、効果が減少するという短所を有している。
【0010】
その他にも、食欲抑制機能を利用した医薬品が開発されているが、ほとんどが精神的な副作用を示し、問題点として指摘されている。
【0011】
したがって、本発明者らは、このように医薬品の副作用と慢性疾患の問題点を克服するために、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療が可能な物質を開発するために鋭意研究した。
【0012】
本明細書全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療用組成物を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療方法を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲により、更に明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、体重減少又は血中脂質を減少させる物質を開発するために鋭意研究した。その結果、シアリルオリゴ糖が、高脂肪食餌肥満モデルにおいて、体重減少、HDLコレステロール数値の増加、LDLコレステロール数値の減少及びレプチン数値の減少を誘発し、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療が可能であることを確認して、本発明を完成した。
【0017】
本発明の一様態によると、本発明は、有効成分として、下記一般式Iで表される化合物を含む高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療用組成物を提供する。
一般式I
S−(MS)p−(MS)q
前記一般式(I)中、Sは、シアル酸を表し、(MS)p及び(MS)qは、それぞれ独立して、単糖類残基を表す。
【0018】
本発明の他の様態によると、本発明は、有効成分として、下記一般式Iで表される化合物を含む組成物を対象(subject)に投与する段階を含む高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療方法を提供する。
一般式I
S−(MS)p−(MS)q
前記一般式(I)中、Sは、シアル酸を表し、(MS)p及び(MS)qは、それぞれ独立して、単糖類残基を表す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】図1Aは、高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおける体重変化を示すグラフである。ND, HD及びHD+3’−SLは、それぞれ正常食餌マウス群(正常群)、高脂肪(60%脂肪)食餌群(対照群)及び高脂肪食餌群に3’−シアリルラクトース(sialyllatose, SL)を処理した実験群を示す。
【図1B】図1Bは、高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおける体重変化を示すグラフである。ND, HD及びHD+6’−SLは、それぞれ正常食餌マウス群(正常群)、高脂肪(60%脂肪)食餌群(対照群)及び高脂肪食餌群に6’−シアリルラクトース(sialyllatose, SL)を処理した実験群を示す。
【図2】図2は、3’−シアリルラクトース又は6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、体重変化を比較したグラフである。
【図3A】図3Aは、6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3B】図3Bは、6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3C】図3Cは、6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3D】図3Dは、6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3E】図3Eは、6’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、レプチンレベルの変化を示すグラフである。
【図3F】図3Fは、3’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3G】図3Gは、3’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3H】図3Hは、3’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3I】図3Iは、3’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、脂質パラメーターの変化を示すグラフである。
【図3J】図3Jは、3’−シアリルラクトースが投与された高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、レプチンレベルの変化を示すグラフである。
【図4】図4は、高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、3’−シアリルラクトースの投与が脂肪肝に及ぼす影響を示す写真である。
【図5A】図5Aは、高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、3’−シアリルラクトースの投与が皮下又は腹部脂肪に及ぼす影響を示すグラフである。
【図5B】図5Bは、高脂肪食餌C56BL/6雄性マウスにおいて、6’−シアリルラクトースの投与が皮下又は腹部脂肪に及ぼす影響を示すグラフである。
【図6A】図6Aは、高脂肪食餌SDラットにおける体重変化を示すグラフである。3’−シアリルラクトースを1mg/kg又は5mg/kg投与した。
【図6B】図6Bは、高脂肪食餌SDラットにおける体重変化を示すグラフである。3’−シアリルラクトースを1mg/kg又は5mg/kg投与した。
【図7】図7は、高脂肪食餌SDラットにおいて、3’−シアリルラクトースの投与が皮下、腎周囲及び後腹部脂肪に及ぼす影響を示すグラフである。
【図8A】図8Aは、高脂肪食餌SDラットにおいて、3’−シアリルラクトースの投与が脂肪肝に及ぼす影響を示す写真である。左側矢印は肝を、右側矢印は他の臓器を指す。
【図8B】図8Bは、高脂肪食餌SDラットにおいて、3’−シアリルラクトースの投与が脂肪肝に及ぼす影響を示す写真である。左側矢印は肝を、右側矢印は他の臓器を指す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは、体重減少又は血中脂質を減少させる物質を開発するために鋭意研究した。その結果、シアリルオリゴ糖が、高脂肪食餌肥満モデルにおいて体重減少、臓器脂肪の減少、総コレステロール濃度の減少、HDLコレステロール数値の増加、LDLコレステロール数値の減少及びレプチン数値の減少を誘発し、高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療が可能であることを確認した。
【0021】
本発明において、有効成分は、前記一般式Iで表される化合物である。前記一般式Iにおいて、Sは、シアル酸を示す。シアル酸は、多様な方式で、(MS)pに結合されることができるが、α−2,3結合又はα−2,6結合により、単糖類化合物(MS)pに結合される。Sには、シアル酸の他に、修飾された(modified)シアル酸が位置することができる。例えば、シアル酸の4番炭素にある−OH基が修飾(例えば、C1〜C4アルキル基により修飾)されたものがSに位置することができる。最も好ましくは、修飾されなかったシアル酸がSに位置する。
【0022】
(MS)p及び(MS)qに位置する単糖類化合物は、当業界に公知されたあらゆる単糖類化合物が利用でき、例えば、4炭糖(例えば、エリトロース、トリオースなど)、5炭糖(例えば、リボース、アラビノース、キシロース、リソースなど)及び6炭糖(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロースなど)を含む。好ましくは、(MS)p及び(MS)qに位置する単糖類化合物は、5炭糖又は6炭糖であり、より好ましくは、6炭糖であって、更に好ましくは、グルコース、マンノース又はガラクトースであり、最も好ましくは、グルコース又はガラクトースである。(MS)p及び(MS)qに位置する単糖類化合物は、D−又はL−形態の立体異性体を有することができ、最も好ましくは、D−形態の立体異性体である。
【0023】
(MS)p及び(MS)qには、同一の又は相異なる単糖類化合物が結合でき、好ましくは、相異なる単糖類化合物が結合される。
【0024】
本発明の好ましい具体例によると、(MS)pには、ガラクトース又はグルコースが結合され、(MS)qには、グルコース又はガラクトースが結合され、最も好ましくは、(MS)pにはガラクトースが結合され、(MS)qには、グルコースが結合される。(MS)pにガラクトース、(MS)qにグルコースが結合されており、二糖類化合物、ラクトースが形成される。
【0025】
(MS)p及び(MS)qに位置する単糖類化合物は、修飾された又は修飾されなかったものである。例えば、修飾された単糖類化合物の場合、−OH基にアセチル基又はN−アセチル基が結合できる。好ましくは、(MS)p及び(MS)qに位置する単糖類化合物は、修飾されなかった単糖類化合物である。
【0026】
本発明の好ましい具体例によると、有効成分として利用される前記一般式Iで表される化合物は、シアリルラクトースである。本発明で有効成分として利用されるシアリルラクトースは、シアル酸にガラクトースとグルコースが順に結合されてなる化合物である。
【0027】
シアル酸は、多様な方式でガラクトースに結合することができ、例えば、α−2,3又はα−2,6結合で結合される。シアル酸は、修飾されることができ、例えば、シアル酸の4番炭素にある−OH基が修飾(例えば、C1〜C4アルキル基により修飾)されることができる。
【0028】
シアリルラクトースにおけるガラクトース及びグルコースは、D−又はL−形態の立体異性体を有することができ、最も好ましくは、D−形態の立体異性体である。シアリルラクトースにおけるガラクトース及びグルコースは、修飾されたあるいは修飾されなかったものである。例えば、修飾された単糖類化合物の場合、−OH基にアセチル基又はN−アセチル基が結合できる。好ましくは、シアリルラクトースにおけるガラクトース及びグルコースは、修飾されなかった単糖類化合物である。
【0029】
本発明の好ましい具体例によると、本発明で有効成分として利用されるシアリルラクトースは、α−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glc又はα−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである[NeuNAc: N−Acetylneuraminyl, Gal: Galactose, Glc: Glucose]。α−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcは、GM3ガングリオシドから発見される物質であり、α−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcは、前記物質の異性体である。
【0030】
より好ましくは、本発明で有効成分として利用されるシアリルラクトースは、α−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである。下記の実施例で立証したように、α−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcは、α−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcより高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療効能に優れている。
【0031】
本発明の組成物において、有効成分として利用されるものは、前記化合物そのものだけではなく、その薬剤学的に許容可能な塩、水和物又は溶媒和物である。
【0032】
用語、‘薬剤学的に許容可能な塩’は、所望の薬理学的効果、即ち、体重減少及びLDLコレステロール数値を減少させる前記化合物の塩を示す。このような塩は、ヒドロクロライド、ヒドロブロマイド及びヒドロアイオダイド等の無機酸、アセテート、アジペート、アルギナート、アスパルテート、ベンゾアート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、ビスルファート、スルファメート、スルファート、ナフチレート、ブチラート、シトレート、カンフォレート、カンファースルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルファート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノアート、グリセロホスファート、ヘミスルファート、ヘプタノアート、ヘキサノアート、2−ヒドロキシエタンスルファート、ラクテート、マレアート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、オキサレート、トシレート、及びウンデカノアートの等の有機酸を利用して形成される。
【0033】
用語、‘薬剤学的に許容可能な水和物’とは、所望の薬理学的効果を有する前記化合物の水和物を示す。用語、’薬剤学的に許容可能な溶媒和物’とは、所望の薬理学的効果を有する前記化合物の溶媒和物を示す。前記水和物及び溶媒和物も上記の酸を利用して製造できる。
【0034】
前記一般式Iで表される化合物、その薬剤学的に許容可能な塩、水和物又は溶媒和物を有効成分として含む本発明の組成物は、体重減少、臓器脂肪の減少、総コレステロール濃度の減少、HDLコレステロール濃度の増加、LDLコレステロール濃度の減少及びレプチンの増加を招来し、究極的に高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療活性を示す。
【0035】
本明細書で使用される用語‘高脂血症((Hyperlipidemia)’とは、血液内に遊離コレステロール、コレステロールエステル、リン脂質、中性脂肪等の脂肪質が異常に増加された状態をいう。高脂血症は、通常それ自体が症状を示すものではなく、血液内に脂肪成分が多いと、血管壁に接着し、動脈硬化(Arteriosclerosis)を起こし、これにより、冠動脈心臓疾患、脳血管疾患、末梢血管閉鎖等が発生する(E. Falk et al., Circulation 92, 657−671, 1995)。また、上記のような過度な脂肪成分は、肝組織に蓄積され、これにより脂肪肝(Fatty liver)が誘発される。
【0036】
本明細書で使用される用語‘脂肪肝’とは、肝臓における脂肪が占める重量の比率が5%を超過した状態をいい、過多な脂肪成分の摂取だけではなく、アルコールの摂取によっても誘発される。
【0037】
本発明の好ましい具体例によると、本発明の組成物により予防又は治療できる心血管疾患は、高血圧、心不全、冠動脈疾患、動脈瘤、動脈硬化症、粥状硬化症、心筋梗塞症、塞栓症、脳卒中、又は血栓症である。
【0038】
本発明の組成物は、薬剤学的組成物、機能性食品(neutraceutical)組成物、又は食品組成物に製造できる。
【0039】
本発明の好ましい具体例によると、本発明の組成物は、(a)本発明の前記一般式Iで表される化合物の薬剤学的有効量、及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む薬剤学的組成物である。
【0040】
本明細書において用語‘薬剤学的有効量’とは、前記一般式Iで表される化合物の効能又は活性を達成するのに充分な量を意味する。
【0041】
本発明の組成物が薬剤学的組成物に製造される場合、本発明の薬剤学的組成物は、薬剤学的に許容される担体を含む。本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常的に利用されるものであって、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤等を更に含むことができる。適した薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0042】
本発明の薬剤学的組成物は、経口又は非経口で投与でき、非経口投与の場合、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与、粘膜投与及び点眼投与などで投与できる。
【0043】
本発明の薬剤学的組成物の適した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性等の要因により多様に処方できる。好ましくは、本発明の薬剤学的組成物の投与量は、成人を基準とすると、1日当たり0.001mg/kg〜100mg/kg(体重)であり、より好ましくは、0.01mg/kg〜80mg/kg(体重)であって、最も好ましくは、0.1mg/kg〜60mg/kg(体重)である。また、医者又は薬事の判断にしたがって、一定時間間隔で1日1回乃至数回に分けて投与することもできる。
【0044】
本発明の薬剤学的及び健康食品上の組成物は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有したものが容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を利用して製剤化することにより、単位容量形態に製造するか、又は多用量容器内に入れて製造できる。
【0045】
本発明の好ましい具体例によると、本発明の組成物の剤形は、溶液、懸濁液、シロップ剤、エマルジョン、リポソーム、エキス剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、徐放性製剤、又はカプセル剤であり、分散剤又は安定化剤を更に含むことができる。
【0046】
具体的に投与経路によって、経口投与用固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が含まれる。このような固体剤形において、活性化合物は、一つ以上の不活性薬剤学的に許容される賦形剤又は担体(例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウムなど)及び/又はa)充填剤又は増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、珪酸など)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニールピロリドン、スクロース、アラビアゴムなど)、c)保湿剤(例えば、グリセロールなど)、d)崩解剤(例えば、寒天−寒天、炭酸カルシウム、イモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定珪酸塩、炭酸ナトリウムなど)、e)液状遅延剤(例えば、パラフィンなど)、f)吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物など)、g)湿潤剤(例えば、セチルアルコール、グリセロールモノステアレートなど)、h)吸収剤(例えば、カオリン、ベントナイト粘土なdp)及びi)潤滑剤(例えば、タルク、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、固体ポリエチレングリコール、ナトリウムラウリルサルフェート、及びこれらの混合物など)と混合できる。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、緩衝剤を更に含むことができる。
【0047】
更に、ラクトース又はミルクシュガーのような賦形剤に加えて、高分子量のポリエチレングリコールなどを使用した軟質及び硬質ゼラチンカプセルに充填剤として使用できる。
【0048】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤等の固体投与型は、腸溶皮及びその他の薬剤分野によく知られた被覆のような被覆物及びシェルに製造できる。これらは、任意に混濁化剤を含有することができ、また、これらが腸管の特定部位で任意に遅延された方式で活性成分のみを放出するか、活性成分を優先的に放出するように組成できる。また、必要な場合、活性化合物は、一つ以上の上記賦形剤と微細カプセル形態に存在することができる。
【0049】
経口投与用液体剤形としては、薬剤学的に許容されるエマルジョン、溶剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤が含まれる。活性化合物の他に、液体剤形は、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(特に、綿実油、ピーナッツ油、玉蜀黍油、胚芽油、オリーブ油、蓖麻子油、ごま油など)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル及びこれらの混合物などのように、本分野でよく使用される不活性稀釈剤を含有することができる。不活性稀釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、風味剤、芳香剤等の補助剤を含有することができる。
【0050】
直腸又は膣内投与用剤形は、好ましくは、本発明の化合物を、室温で固体であるが体温では液体であって、直腸又は膣で溶けて活性化合物を放出する適した非刺激性補助剤又は担体(例えば、ココアバーター、ポリエチレングリコール又は座剤用ワックス)と混合して製造できる座剤である。
【0051】
非経口注射のために適した剤形は、生理学的に許容される滅菌水性又は非水性溶液、分散液、懸濁液、又はエマルジョン、及び滅菌注射溶液又は分散液に再構成するための滅菌粉末を含むことができる。適した水性及び非水性担体、稀釈剤、溶媒又はビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、植物性オイル(オリーブ油)、注射用有機エステル(例えば、エチルオレート)及びこれらの適した混合物が含まれる。
【0052】
また、本発明の組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤等の補助剤を含有することができる。各種抗菌剤及び抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など)により微生物の作用を抑制することができる。また、糖、塩化ナトリウム等の浸透圧調節剤を含むことが好ましい。吸収遅延剤(例えば、アルミニウムモノステアレート及びゼラチン)を使用して、注射用薬剤の吸収を遅延させることができる。
【0053】
懸濁剤は、活性化合物の他に、懸濁化剤(例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微細結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天−寒天及びトラガカント又はこれらの混合物など)を含有することができる。
【0054】
一部の場合、薬物の効果を持続させるために、皮下又は筋肉内注射から薬物の吸収を徐々にすることが好ましい。これは、水溶性の低い結晶形又は非結晶形物質の液体懸濁液を使用することにより達成することができる。この際、薬物の吸収速度は、溶解速度に左右されて、溶解速度は、結晶の大きさ及び結晶の形態に左右される。一方、非経口投与された薬物形態の遅延された吸収は、薬物をオイルビヒクル内に溶解させるか、懸濁させることにより達成される。
【0055】
注射用デポー形態は、薬物の微細カプセルマトリックスをポリラクチド−ポリグリコリドのような生体分解性重合体に形成することにより製造される。薬物と重合体の比率及び使用された特定重合体の性質によって、薬物の放出速度を調節することができる。
【0056】
他の生体分解性重合体の例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。また、デポー注射用剤形は、薬物を体組織適合性であるリポソーム又はマイクロエマルジョン内に捕獲させることにより製造される。
【0057】
注射用剤形は、例えば、細菌保有フィルターを通じてろ過するか、滅菌化剤を、使用直前に滅菌水又は他の滅菌注射用媒質中に溶解させるか分散させることができる滅菌固体組成物の形態で混入させることにより、滅菌させることができる。
【0058】
本発明の好ましい具体例によると、本発明の組成物は、経口投与用組成物であり、リポソーム又は徐放性製剤の剤形である。
【0059】
本発明の他の好ましい具体例によると、本発明の組成物は、非経口投与用組成物であり、リポソーム又は徐放性製剤の剤形である。
【0060】
本発明の薬剤学的組成物が経口投与剤形だけではなく、非経口投与(好ましくは、静脈投与)剤形に製造される場合、その剤形は、リポソーム又は徐放性製剤である。
【0061】
本発明の薬剤学的組成物をリポソームに内包(encapsulation)させて、薬物伝達のための剤形の安定性を提供することができる。本発明に利用されるリポソームは、ポリオール、界面活性剤、リン脂質、脂肪酸及び水を含む混合物により製造できる(Prescott, Ed., Methods in Cell Biology, (XIV),p.33et seq.(1976))。
【0062】
リポソームに利用されるポリオールは、特に制限されず、好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、メチルプロパンジオール、イソプレングリコール、ペンチルグリコール、エリスリトール、キシリトール及びソルビトールを含み、最も好ましくは、プロピレングリコールである。
【0063】
リポソームの製造に利用される界面活性剤は、当業界に公知されたいかなるものでも使用でき、例えば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が使用でき、好ましくは、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が使用される。陰イオン性界面活性剤の具体的な例は、アルキルアシルグルタメート、アルキルホスフェート、アルキルラクチレート、ジアルキルホスフェート及びトリアルキルホスフェートを含む。非イオン性界面活性剤の具体的な例は、アルコキシ化アルキルエーテル、アルコキシ化アルキルエステル、アルキルポリグリコシド、ポリグリセリルエステル及びシュガーエステルを含む。最も好ましくは、非イオン性界面活性剤に属するポリソルベート類が利用される。
【0064】
リポソームの製造に利用されるまた他の成分であるリン脂質は、両親和性脂質として利用されたもので、天然リン脂質(例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン、スフィンゴミエリンなど)及び合成リン脂質(例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン、水添レシチンなど)を含み、好ましくは、レシチンである。より好ましくは、前記レシチンは、大豆又は卵黄から抽出した天然由来の不飽和レシチン又は飽和レシチンである。一般的に、天然由来のレシチンは、ホスファチジルコリンの量が23%〜95%、そして、ホスファチジルエタノールアミンの量が20%以下である。
【0065】
リポソーム製造に利用される脂肪酸は、高級脂肪酸であって、好ましくは、C12〜22のアルキル鎖の飽和又は不飽和脂肪酸であり、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びリノレイン酸を含む。リポソームの製造に利用される水は、一般に脱イオン化された蒸留水である。
【0066】
リポソームは、当業界に公知された多様な方法を通じて製造できるが、最も好ましくは、前記成分を含む混合物を高圧ホモゲナイザーに適用して製造される。
【0067】
このように製造されたリポソームシステムは、様々な種類の難溶性物質を溶くと同時に、不安定な物質を安定化させて、薬物伝達を極大化する長所を有している。
【0068】
本発明の好ましい具体例によると、本発明の組成物は、スキンローラー方式で投与される。スキンローラーは、皮膚の表皮層と真皮層を直接貫通するマイクロニードルに、運搬しようとする薬物を搭載して、このマイクロニードルを通じて薬物を皮膚に直接運搬する方式である。
【0069】
本発明の薬剤学的組成物は、持続的に有効成分の有効血中濃度を維持することにより、薬剤の服用回数を減らし、服薬順応度を高めることができるように、徐放性製剤に製造できる。
【0070】
徐放性製剤は、本発明の有効成分の他に、徐放化担体及びその他の補助剤を含んで製剤化される。本発明で使用される徐放化担体は、当業界に公知された多様な徐放化担体を利用することができるが、好ましくは、ポリエチレンオキシドである。
【0071】
また、その他の補助剤として、薬剤学的分野で通常的に使用される希釈担体が使用できる。このような目的で使用される稀釈担体の例としては、ラクトース、デキストリン、デンプン、微細結晶性セルロース、リン酸一水素カルシウム、炭酸カルシウム、糖類及び二酸化珪素などがあり、その他、流動性を増加させるために、ステアリン酸亜鉛、マグネシウム等の滑沢剤や製薬分野で使用可能な他の補助剤を使用することもできる。
【0072】
本発明の薬剤学的組成物は、単独でも利用できるが、他の一般的な抗肥満剤を更に含むことができ、このような場合は、より効果的に抗肥満効果を奏することができる。本発明の薬剤学的組成物に含めることができる抗肥満剤は、例えば、オルリスタット、シブトラミン、メトホルミン、エクセナチド、プラムリンチド、リモナバント及びこれらの混合物などである。
【0073】
本発明の組成物が食品組成物(又は機能性食品組成物)に製造される場合、有効成分として、前記一般式Iで表される化合物だけではなく、食品製造時に一般的に添加される成分を含み、例えば、蛋白質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤及び香味剤を含む。前記炭水化物の例は、単糖類(例えば、ブドウ糖、果糖など)、二糖類(マルトース、スクロース、オリゴ糖など)、多糖類(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)のような一般的な糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。香味剤として、天然香味剤[ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイドA、グリチルリチンなど)]及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を使用することができる。
【0074】
例えば、本発明の食品組成物がドリンク剤に製造される場合は、本発明の一般式Iで表される化合物の他に、クエン酸、液状果糖、砂糖、ブドウ糖、酢酸、りんご酸、果汁、トチュウ抽出液、棗抽出液、甘草抽出液などを更に含むことができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【0076】
実施例1:C56BL/6マウス実験
高脂肪食餌マウスの体重増加の減少
4週齢のC56BL/6雄性マウスをDooyeul biotech(大韓民国)から購入した。水を自由摂取させ、市販のペレット餌(Dooyeul biotech, 大韓民国)を1週間摂取させした。このマウスを次のように6つの群(各群は、6匹のマウスで構成)に分類した:ND, 正常食餌マウス群(正常群); HD, Research Diets社(New Brunswick, U.S.A)から購入した高脂肪(60%脂肪)食餌群(対照群);高脂肪食餌群にシアリルラクトース(SL, Sigma)が処理された実験群であって、HD+SL(0.1 mg/kg)、HD+SL(0.5 mg/kg)、HD+SL(1.0mg/kg)及びHD+SL(5.0 mg/kg)。シアリルラクトース又はPBSは、毎日腹腔注射方式で投与した。マウスを50日間動物室に保管して、12時間絶食した後、犠牲させた。食餌摂取量及び体重変化量は、それぞれ7日毎に測定した。3’−シアリルラクトース(3′−N−Acetylneuraminyl−D−lactose, 3’−Sialyl−D−lactose又はα−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glc)、又は6’−シアリルラクトース(6’−N−Acetylneuraminyl−lactose, 6’−Sialyl−D−lactose又はα−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glc)は、Sigma−Aldrichから購入した。
【0077】
高脂肪食餌群のC56BL/6雄性マウスにおける体重変化は、下記表1a及び1b及び図1A及び1Bに記載されている。
【0078】
【表1a】
【0079】
【表1b】
【0080】
前記表1において、(*)で表されたデータは、6’−SLを投与したマウスに対するデーターであり、ND及びHDは、それぞれ正常食餌群及び高脂肪食餌群を示す。
【0081】
表1a及び1b及び図1A及び1Bから確認できるように、シアリルラクトースを投与したマウスにおいて体重増加程度が減少し、特に、6’−SLを投与したマウスにおいて、体重増加程度が大きく減少した。
【0082】
一方、図2は、3’−SL及び6’−SLの体重増加減少程度に対する比較グラフであって、明確に6’−SLが3’−SLより体重減少に更に効果的であることが分かる。
【0083】
3’−SL又は6’−SLを5mg/kg腹腔注射したマウスにおける体重増加パターンを、高脂肪食餌群及び正常対照群と直接比較してデータを処理し、これをまとめた(参照:表2)。
【0084】
【表2】
【0085】
50日間高脂肪食餌をさせたマウスの場合、正常食餌マウス体重増加量の300%以上の体重増加を示して、高脂肪食餌にシアリルラクトース(SL)を5mg/kg腹腔注射した場合、6’−SLは、4.7%体重が減って、3’−SLの場合は、51.5%の増加を示した。6’−SLの場合、正常食餌マウスの体重増加より低い体重増加を示した。したがって、6’−SLの体重減少効果が3’−SLに比べて大きいことが分かる。
【0086】
高脂肪食餌マウスにおける脂質数値及び肥満に対する影響分析
C56BL/6雄性マウスの血液を肝臓から摘出した。血液を凝固させて15分間、13,000rpmで遠心分離した後、血清を分析するまで−20℃で保管した。高密度脂蛋白(HDL)−コレステロールは、HDLキット(ヨンドン製薬、大韓民国)で測定した。中性脂肪(TG)は、酵素学的方法に基づいたTGキット(ヨンドン製薬)を利用して分析した。総コレステロールは、コレステロールEキット(ヨンドン製薬)で分析した。低密度脂蛋白(LDL)−コレステロールは、下記数学式1を利用して中性脂肪、総コレステロール及びHDL−コレステロール濃度から計算した:
数学式1
LDL−コレステロール=総コレステロール−{(HDL−コレステロール−中性脂肪)÷5}
【0087】
一方、レプチンのレベルは、ミリポア社のマウスレプチンELISAキット及びラットレプチンELISAキットで測定した。
【0088】
実験結果は、表3a−3b及び図3A〜3Jに記載されている。
【0089】
【表3a】
【0090】
【表3b】
【0091】
上記表3において、(*)で表されたデータは、6’−SLを投与したマウスに対するデーターであり、ND及びHDは、それぞれ正常食餌群及び高脂肪食餌群を示す。
【0092】
表3a−3b及び図3A〜3Jから確認できるように、本発明のシアリルラクトースを処理した実験群において、LDLコレステロール、総コレステロール及び中性脂肪(TG: Triglycerides)の数値がHD高脂肪食餌群より大きく減少した。
【0093】
一方、レプチンの減少は、脂肪細胞が減少するという指標であり、且つ、アテローム性動脈硬化症が予防できることを示す。本発明のシアリルラクトースを処理した実験群において、レプチンのレベルがHD高脂肪食餌群より大きく減少した。
【0094】
また、LDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪及びレプチンの濃度減少効果は、6’−SLが3’−SLに比べ著しく優れていた。
【0095】
結論的に、シアリルラクトース、特に6’−SLは、LDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪及びレプチンのレベルを減少させ、肥満、高脂血症又は心血管疾患を改善する効果を有することが分かる。
【0096】
高脂肪食餌マウスにおける脂肪肝改善効果
3’−シアリルラクトースの脂肪肝改善効果を確認するために、高脂肪食餌群のC56BL/6雄性マウスを解剖して、肝臓及びその他の臓器の状態を確認した。
【0097】
図4から確認できるように、高脂肪食餌をしたマウスは、脂肪肝症状を示して、肝以外の他の臓器からも脂肪が蓄積されていることを確認することができた。しかし、3’−シアリルラクトースを腹腔投与したラットの場合は、正常食餌マウス(ND)とほぼ同一な状態の肝臓を示して、肝臓以外の他の臓器からも脂肪蓄積が観察されなかった。
【0098】
皮下脂肪及び腹部脂肪に及ぼす影響
上記のように、4週齢のC56BL/6雄性マウスに対して高脂肪食餌とシアリルラクトースを6週間処理した。次いで、マウスの皮下脂肪及び腹部脂肪を分離して重量を測定した。図5A及び5Bから分かるように、シアリルラクトースを腹腔注射した場合は、処理量に依存的に皮下脂肪及び腹部脂肪が減少した。
【0099】
実施例2:SDラット実験
高脂肪食餌ラットの体重増加の減少
4週齢のSprague−Dawley(SD)ラットをDooyeul biotech(大韓民国)から購入した。ラットに水を自由摂取させ、市販のペレット餌(Dooyeul biotech, 大韓民国)を1週間摂取させた。ラットを次のように4つの群(各群は、6匹のラットで構成)に分類した:ND, 正常食餌SDラット群(正常群); HD, Research Diets社(New Brunswick, U.S.A)から購入した高脂肪(60%脂肪)食餌群(対照群);高脂肪食餌群にシアリルラクトース(SL, Sigma)が処理された実験群であって、HD+SL(1mg/kg)及びHD+SL(5mg/kg)。3’−シアリルラクトース又はDWを毎日経口投与方式で投与した。ラットを7週間動物室に保管して、12時間絶食した後、犠牲させた。食餌摂取量及び体重変化量は、それぞれ5日毎に測定した。
【0100】
高脂肪食餌Sprague−Dawley(SD)ラットにおける体重変化は、下記表4及び図6A及び6Bに記載されている。
【0101】
【表4】
【0102】
上記表4において、SLは、3’−シアリルラクトース、ND及びHDは、それぞれ正常食餌群及び高脂肪食餌群を示す。
【0103】
表4及び図6a−6bから確認できるように、シアリルラクトースを投与したラットにおいて、体重増加程度が処理量依存的に減少した。
【0104】
皮下脂肪、腎周囲(perirenal)脂肪及び後腹部(retroperitoneal)脂肪に及ぼす影響
上記のように、4週齢のスプラーグドーリラットに対して高脂肪食餌と3’−シアリルラクトースを6週間処理した。次いで、マウスの皮下脂肪、腎周囲脂肪及び後腹部脂肪を分離して重量を測定した。
【0105】
図7から分かるように、3’−シアリルラクトースを経口投与した場合は、処理量に依存的に皮下脂肪、腎周囲脂肪及び後腹部脂肪が減少して、総脂肪重量も減少した。
【0106】
血清の脂質濃度分析
SDラットの血液を肝から収集して、前記C57BL/6雄性マウスに対する実験と同一に血清の脂質濃度を分析した。
【0107】
【表5】
【0108】
前記表5から確認できるように、3’−シアリルラクトースを処理した実験群(HD+SL 1mg/kg)において、HDLコレステロール数値は高いが、LDLコレステロール、総コレステロール及び中性脂肪の数値が対照群より低いことが分かる。また、HD+SL実験群は、中性脂肪に対するHDLコレステロール数値は対照群より高いが、LDLコレステロール数値は対照群より低いことを確認することができる。したがって、3’−シアリルラクトースは、血中HDLコレステロールを増加させて、LDLコレステロールを減少させ、高脂血症又は心血管疾患を改善する効果を有することが分かる。
【0109】
肥満モデルにおける脂肪肝改善効果
3’−シアリルラクトースの脂肪肝改善効果を確認するために、高脂肪食餌群のSDラットを解剖して、肝臓及び他の臓器の状態を確認した。
【0110】
図8Aは、高脂肪食餌群(対照群)、及び図8Bは、高脂肪食餌群に3’−シアリルラクトースを処理した実験群を示す。図8aから確認できるように、高脂肪食餌をしたラットは、脂肪肝症状を示して、肝以外の他の臓器からも脂肪が蓄積されていることを確認することができた。しかし、3’−シアリルラクトースを経口投与したラットの場合は、肝及び他の臓器における脂肪蓄積が大きく減少した。
【0111】
以上詳細に説明したように、本発明は、有効成分として上述の一般式Iで表される化合物を含む高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療用組成物を提供する。本発明の有効成分として利用される化合物は、体重減少、臓器脂肪の減少、総コレステロール濃度の減少、HDL−コレステロール濃度の増加、LDL−コレステロール濃度の減少及びレプチンの減少を招来し、究極的に高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療活性を示す。なお、本発明の組成物は、細胞毒性及び皮膚副作用がなく、薬剤学的組成物、機能性食品(neutraceutical)組成物又は食品組成物に安全に適用することができる。
【0112】
以上、本発明の特定な部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具体例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、下記一般式Iで表される化合物を含むことを特徴とする高脂血症、脂肪肝、心血管疾患、又は肥満の予防又は治療用組成物。
一般式I
S−(MS)p−(MS)q
前記一般式(I)中、Sは、シアル酸を表し、(MS)p及び(MS)qは、それぞれ独立して、単糖類残基を表す。
【請求項2】
一般式Iにおいて、(MS)pがガラクトースであり、(MS)qがグルコースである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
一般式Iで表される化合物が、シアリルラクトースである請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
シアリルラクトースが、α−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glc又はα−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
シアリルラクトースが、α−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
心血管疾患が、高血圧、心不全、冠動脈疾患、動脈瘤、動脈硬化症、粥状硬化症、心筋梗塞症、塞栓症、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、及び血栓症からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、薬剤学的組成物である請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、溶液、懸濁液、シロップ剤、エマルジョン、リポソーム、散剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、徐放性製剤及びカプセル剤からなる群から選択された剤形である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、経口投与用組成物であり、前記経口投与用組成物の剤型がリポソーム又は徐放性製剤である請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物が、非経口投与用組成物であり、前記非経口投与用組成物の剤型がリポソーム又は徐放性製剤である請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、スキンローラー方式で投与される請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、機能性食品(neutraceutical)組成物又は食品組成物である請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
有効成分として、下記一般式Iで表される化合物を含む組成物を対象(subject)に投与する段階を含むことを特徴とする高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療方法。
一般式I
S−(MS)p−(MS)q
前記一般式(I)中、Sは、シアル酸を表し、(MS)p及び(MS)qは、それぞれ独立して、単糖類残基を表す。
【請求項14】
一般式Iにおいて、(MS)pが、ガラクトースであり、(MS)qが、グルコースである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
一般式Iの化合物が、シアリルラクトースである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
シアリルラクトースが、α−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glc又はα−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
シアリルラクトースが、α−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
心血管疾患が、高血圧、心不全、冠動脈疾患、動脈瘤、動脈硬化症、粥状硬化症、心筋梗塞症、塞栓症、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、及び血栓症からなる群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項19】
組成物が、薬剤学的組成物である請求項13から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
組成物が、溶液、懸濁液、シロップ剤、エマルジョン、リポソーム、散剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、徐放性製剤及びカプセル剤からなる群から選択された剤形である請求項13に記載の方法。
【請求項21】
組成物が、経口投与用組成物であり、前記経口投与用組成物の剤型がリポソーム又は徐放性製剤である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
組成物が、非経口投与用組成物であり、前記非経口投与用組成物の剤型がリポソーム又は徐放性製剤である請求項20に記載の方法。
【請求項23】
組成物が、スキンローラー方式で投与される請求項13に記載の方法。
【請求項1】
有効成分として、下記一般式Iで表される化合物を含むことを特徴とする高脂血症、脂肪肝、心血管疾患、又は肥満の予防又は治療用組成物。
一般式I
S−(MS)p−(MS)q
前記一般式(I)中、Sは、シアル酸を表し、(MS)p及び(MS)qは、それぞれ独立して、単糖類残基を表す。
【請求項2】
一般式Iにおいて、(MS)pがガラクトースであり、(MS)qがグルコースである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
一般式Iで表される化合物が、シアリルラクトースである請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
シアリルラクトースが、α−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glc又はα−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
シアリルラクトースが、α−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
心血管疾患が、高血圧、心不全、冠動脈疾患、動脈瘤、動脈硬化症、粥状硬化症、心筋梗塞症、塞栓症、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、及び血栓症からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、薬剤学的組成物である請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、溶液、懸濁液、シロップ剤、エマルジョン、リポソーム、散剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、徐放性製剤及びカプセル剤からなる群から選択された剤形である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、経口投与用組成物であり、前記経口投与用組成物の剤型がリポソーム又は徐放性製剤である請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物が、非経口投与用組成物であり、前記非経口投与用組成物の剤型がリポソーム又は徐放性製剤である請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、スキンローラー方式で投与される請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、機能性食品(neutraceutical)組成物又は食品組成物である請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
有効成分として、下記一般式Iで表される化合物を含む組成物を対象(subject)に投与する段階を含むことを特徴とする高脂血症、脂肪肝、心血管疾患又は肥満の予防又は治療方法。
一般式I
S−(MS)p−(MS)q
前記一般式(I)中、Sは、シアル酸を表し、(MS)p及び(MS)qは、それぞれ独立して、単糖類残基を表す。
【請求項14】
一般式Iにおいて、(MS)pが、ガラクトースであり、(MS)qが、グルコースである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
一般式Iの化合物が、シアリルラクトースである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
シアリルラクトースが、α−NeuNAc−(2→3)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glc又はα−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
シアリルラクトースが、α−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glcである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
心血管疾患が、高血圧、心不全、冠動脈疾患、動脈瘤、動脈硬化症、粥状硬化症、心筋梗塞症、塞栓症、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、及び血栓症からなる群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項19】
組成物が、薬剤学的組成物である請求項13から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
組成物が、溶液、懸濁液、シロップ剤、エマルジョン、リポソーム、散剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、徐放性製剤及びカプセル剤からなる群から選択された剤形である請求項13に記載の方法。
【請求項21】
組成物が、経口投与用組成物であり、前記経口投与用組成物の剤型がリポソーム又は徐放性製剤である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
組成物が、非経口投与用組成物であり、前記非経口投与用組成物の剤型がリポソーム又は徐放性製剤である請求項20に記載の方法。
【請求項23】
組成物が、スキンローラー方式で投与される請求項13に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2011−529877(P2011−529877A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521048(P2011−521048)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004301
【国際公開番号】WO2010/013978
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(511028618)ベネバイオシス カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004301
【国際公開番号】WO2010/013978
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(511028618)ベネバイオシス カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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