高解像度無標識撮像
読み取り装置の改良された空間分解能を有する光学読み取りシステムを有する装置及び標識非依存検出のための方法が記載されている。システムは、45°より大きい入射角(θ1)でマイクロプレート上のセンサに対してインターロゲーションを行い、接触されたセンサから受信した画像を画像記録装置で記録する光学的構成を含み、画像記録装置が反射ビームに対して約5゜よりも大きい反射角(θ2)で配向されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「先に出願された米国特許出願の利益の主張」
本願は、2010年2月22日に出願された米国特許仮出願第61/315,653号に基づく優先権の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
本開示は一般的に、光学読み取り装置の強化された空間分解能の装置及び方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、光学読み取り装置の強化された空間分解能のための装置及び方法を提供する。開示の実施形態において、
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、背景として、入射角(θ)の関数としての共振波長の厳密結合波解析(RCWA)のシミュレーションを示すグラフである。
【図2】図2は、背景として、垂直入射での20マイクロメートルのビームで照射され又は励起されたときのセンサグレーティングの波長依存画像を示すグラフである。
【図3】図3は、532nmにおけるエピック(登録商標)センサの角度共鳴を示すグラフである。
【図4】図4は、840nmにおけるエピック(登録商標)センサの角度共鳴を示すグラフである。
【図5】図5は、57.9°の入射角でのエピック(登録商標)センサのスペクトルにおける10nm厚のシミュレートされたバイオ層の結合前(実線)と結合後(破線)の共鳴波長シフトのシミュレーションを示すグラフである。
【図6】図6は、56°の入射角でのエピック(登録商標)センサのスペクトルにおける10nm厚のバイオ層の結合前(実線)と結合後(破線)の共鳴波長シフトを示すグラフである。
【図7】図7A及び図7Bはセンサの高解像度無標識撮像の光学系の概略図及び1つ又は複数のセンサを有する典型的な先行技術のマイクロプレートの概略斜視図である。
【図8】図8A及び図8Bは、それぞれ、暗視野モードと明視野モードで撮像されたエピックセンサ上のLH60細胞を示す写真である。
【図9】図9は、暗視野モードで撮像された低密度LH60細胞を示し、ほぼ単一画素解像度を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
定義:
“入射角(θ1)”の用語等は、コリメートされた線源ビーム(容器内の受容されたマイクロプレート上の光センサに接する)と受容されたマイクロプレート上の光センサからの正射影(直角又は垂直)との間に形成されたおおよその角度をいう。
【0006】
“反射角(θ2)”の用語等は、受容されたマイクロプレートの光センサから画像記録装置上に入射する反射光と画像記録装置の面から正射影(直角又は垂直)との間のおおよその角度をいう。
【0007】
“バイオセンサ”、“センサ”、の用語等は、のような適切な装置と組み合わせることで、所望の分析物又は条件を検出することができる物品をいう。バイオセンサは、物理化学的検出器コンポーネントと生物学的コンポーネントを結合する。バイオセンサは、通常、生物学的コンポーネント又は要素(例えば、組織、微生物、病原体、細胞、細胞成分、受容体、及びそれらの実体、又はそれらの組み合わせ等)と、検出コンポーネント(光学的、圧電的、電気化学的、温度的、磁気的又は同様の方法などの物理化学的方法で動作する)と、及び両方のコンポーネントに関連付けられるトランスデューサーと、の3つの部分から構成される。実施形態では、バイオセンサは、タンパク質又は受容体などの表面結合細胞成分や細胞で発生する分子認識や、分子間相互作用や、分子刺激のような事象を、検出可能でかつ定量化可能な信号に変換することができる。本明細書で使用されるバイオセンサは、静的、動的、又はそれらの組み合わせである液体ハンドリングシステムを含めることができる。開示の実施形態では、1つ又はそれ以上のバイオセンサは、マイクロ物品に組み入れることができる。バイオセンサは便利なツールであり、いくつかの典型的な用途と構成は、例えば、2006年12月10日に公開されたPCT出願PCT/US2006/013539号(公開WO2006/108183)、Fang, Y., et alによる“無標識バイオセンサ及び細胞”と米国特許第7175980号に開示されている。例えば、Fang, Y., et al. “Resonant waveguide grating biosensor for living cell sensing,” Biophys. J., 91, 1925-1940 (2006)には、侵入深さ、検出ゾーン、又は感知ボリュームを有するバイオセンサの細胞ベースアッセイが記載されている。微小流体物品も有用なツールであり、いくつかの典型的な使用法、構成、及び製造方法は、例えば、米国特許第6677131号、及び米国特許第7007709号で開示されている。米国特許出願公開公報第2007/0141231号及び米国特許第7175980号は、マイクロアセンブリ及び方法を開示している。
【0008】
開示の物品や方法は、特に、例えば、エピック(登録商標)システム又は表面プラズモン共鳴(SPR)に基づくもの等の標識に依存しない検出(LID)に基づくバイオセンサに適している。開示の物品及び方法はまた、二面偏波干渉法(DPI:Dual Polarized Intereferometry)などの代替LIDセンサと互換性がある。実施形態では、バイオセンサシステムは、例えば、共振導波路グレーティングバイオセンサのための掃引波長光インターロゲーション撮像システムや、共振導波路グレーティングバイオセンサのための角度インターロゲーションシステムや、空間的スキャン波長インターロゲーションシステムや、表面プラズモン共鳴装置や、表面プラズモン共鳴撮像システム又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0009】
共に所有され同時係属中の米国特許出願の公報第2007/0154356号(米国特許出願第11/436,923号)(R. Modavis)は段落(0042)で開口を有する添付マスクを有する光学的読み取り可能マイクロプレートを開示している。
【0010】
“約”で修飾する例えば、開示の実施形態を説明する際に用いられる量、寸法、処理温度、処理時間などの値及びその範囲は、例えば、使用される典型的な測定及び処理手続きを通して、これらの手順の不注意なミスを通して、製造、ソース、もしくはコンポーネント品質、又はそれらのような考慮事項の違いを通して、などの発生する可能性がある量の変化を意味する。“約”の用語は、コンポーネントへの環境影響や経年化による異なる量を網羅している。明細書に添付の特許請求の範囲は、これらの”約”の量の均等物を含む。
【0011】
“任意”や、“任意に”などの用語は、起こっても起こらなくすることができるその後に記載される事象又は状況をいい、事象若しくは状況が発生する場合又はそれが起こらない場合の説明を含む。例えば、“任意のコンポーネント”などの句は、コンポーネントが存在でき又は存在できないこと、そして開示がコンポーネントを含む実施形態及びコンポーネントを除外する実施形態の両方を含むことを意味する。
【0012】
実施形態における“本質的に成る”は、例えば、光学読み取り装置及び関連するコンポーネントや、アッセイや、化合物をスクリーニングするアッセイを使用する方法や、開示の物品類、デバイス類又は任意の装置をいい、特定のコンポーネント、特定の光源若しくは波長、特定の表面改質若しくは状態などの構造、材料若しくは選択されたプロセス変数などの開示の物品、製造装置、又は製造方法の基本的かつ新規な特性に影響を与えないコンポーネント又は手順に加えて、請求項に記載されたコンポーネント又は手順を含むことができる。開示のコンポーネント又は手順の基本的な特性に重大な影響を及ぼす可能性のある、又は開示の態様に含まれ得る望ましくない特性を付与する事項には、例えば、放射線源または画像記録装置の不利配向性(disfavored orientation)を有することを含む。
【0013】
不定冠詞“a”又は“an”及びそれに対応する定冠詞“the”という用語は、特記のない限り少なくとも1つ、又は1つ以上のことを意味する。
【0014】
従来技術における当業者にとって周知である略語、例えば、「h」又は「hR」は時間、「rt」は室温、「nm」はnm、及び同様の略語が用いられ得る。
【0015】
コンポーネント、時間などの態様のために記載した特定の好ましい値及びそれらの範囲は、説明のためだけであり、それらは定義された範囲内の他の定義された値やその他の値を除外しない。開示の物品、装置、及び方法は、本明細書に記載の任意の値又は値の任意の組み合わせに基づいて、特定の値を有するものを含み、より具体的な値、及び好ましい値を含む。
【0016】
コーニング社のエピック(登録商標)システムは、生体分子間相互作用と生細胞を研究するための高スループットの無標識検出技術プラットフォームである。市販のエピック(登録商標)機器はマイクロプレートに各バイオセンサの平均応答を検出することができる。無標識撮像法は進化し続け、そして今では、各センサ内にて高空間分解能コンテンツ無標識応答を提供することができる(例えば、米国特許U.S. Patent 7,599,055, Gollier et al,“Swept wavelength imaging optical interrogation system and method for using same”、参照)。
【0017】
エピック(登録商標)センサの空間分解能はグレーティングカプラにおける漏洩波(“漏洩波”)の減衰長、約220マイクロメートルに制限されている。ノーマル(θ1=0°)入射角のインターロゲーションの場合、二次ブラッググレーティングは、低下する前方と後方の伝播波を結合し、得られた空間分解能は約100マイクロメートルに改善される。実施形態においては、本開示は約10マイクロメートル未満まで空間分解能を向上させた方法を提供する。実施形態では、改良された空間分解能はエピック(登録商標)センサの再設計することなく実現でき得る。
【0018】
実施形態では、本開示は、従来の導波路グレーティングセンサに基づいて、高解像度の無標識撮像方法を提供する。例えば、約45°より大きい高入射角でセンサに対してインターロゲーションを実行することによって、約θ1=0°の近垂直入射と比較して漏洩波の減衰長が大きく減少され得る。これは、ウェルに10マイクロメートル以下の空間分解能をもたらす。インターロゲーション方法により空間分解能が劇的に改善される。
【0019】
実施例において、開示は、生細胞用、生化学用などの標識に依存しない検出(LID)のアッセイのための光学読み取り装置の空間分解能を向上させる方法を提供する。
【0020】
本開示は、改善された画像の空間分解能を有する光学読み取り装置及び使用方法を提供する。
【0021】
実施例において、図7A及び図7Bを参照すると、開示は、例えば、無標識撮像する装置を提供し、無標識撮像する装置は、例えば、光学読み取り装置を含み、
かかる光学読み取り装置は、少なくとも1つの光センサを有するマイクロプレート(710)を受けるための容器(715)と、コリメートレンズ(706)、入射ビーム(708)及び反射ビーム(709)を有する放射源(705)と、画像記録装置(720)と、受容されたマイクロプレートと画像記録装置との間の一対のダブレットレンズ(730、740として示される)などの結像レンズ又はレンズ群を含み、
入射ビームが容器内のマイクロプレート上の光学センサに対して約45°より大きい入射角(θ1)で配向され、かつ、画像記録装置が反射されたビームに対して5゜を超える反射角(θ2)で配向される。上記の反射角(θ2)は画像記録装置の平面の法線に対する入射角である。
【0022】
光学読み取り装置は約0.5マイクロメートルから約1,000マイクロメートルの空間分解能、例えば、約1ないし約1,000メートル、約1ないし約100マイクロメートル、約1ないし約10マイクロメートル、約5ないし約10マイクロメートル、及びそれらの任意の中間範囲及び値を含む空間分解能を有する。
【0023】
装置は、更に、例えば、マイクロプレート、ウェルプレート、顕微鏡スライド、チップフォーマットなどの検体容器、支持部材、又はサンプル提示物品や、任意に微小流体流れ設備を含むことができる。実施形態では、装置は、少なくとも1つのウェル又はチャンバを有するマイクロプレートを更に含み、ウェル又はチャンバはその中に少なくとも1つの光センサを有し、光センサは信号領域及び参照領域を有する。マイクロプレートは、コーニング社からの市販のウェルの配列にすることができる。
【0024】
放射線源は、例えば、低又は非コヒーレント光源のような発光ダイオード(LED)とすることができる。その他の放射線源が必要に応じて選択され、適切に開示された装置及び方法に適用することができる。放射線源は、例えば、蛍光入射ビーム又は蛍光誘導入射ビームを提供することが可能な線源を代替的であるか、更に含むことができる。
【0025】
実施形態では、例えば、入射角(θ1)が約45゜から約70゜であり、例えば、反射角(θ2)が約5゜から約70゜であり、それらの中間の値の範囲を含むことができる。像の物体に対する拡大率が>1:1のとき、θ1<θ2である。像の物体に対する拡大率が<1:1のとき、θ1>θ2である。このようにθ2は、広い範囲をとる。
【0026】
実施形態では、コリメートレンズ(706)と入射ビーム(708)を有する放射線源(705)は更に、例えば、蛍光フィルタ(707)及び光コンディショニングコンポーネントを含めることができる。LED発光体のような効果的大きさの放射線源は、ほぼ平行ビームの角度広がりがセンサの共鳴角又は円錐角(後述)よりも小さくなるように選択することができる。実施形態では、画像記録装置は、例えば、CCD又はCMOSカメラのような画像記録装置とすることができる。非常に薄いカバーガラスを有する又はカバーガラスなしのCCDは厚いカバーガラスのものに比べて改善された画像品質を提供することができる。CCD又はCMOSカメラのような画像記録装置はカバーガラスなしのものでもよい。
【0027】
実施形態では、受容されたマイクロプレートは約10マイクロメートルから約10,000マイクロメートルのベースの厚さ、例えば、約50マイクロメートルないし約10,000メートル、約100マイクロメートルないし約1,000マイクロメートル、それらの任意の中間値の範囲の基材又は基板の厚さを有する。マイクロプレートベースの厚さの具体的な例としては、例えば、約0.1ミリメートルからの約10ミリメートルで、例えば、0.3ミリメートルないし約1.0ミリメートルである。より薄いマイクロプレートベースによれば、例えば、歪みを軽減することができ、画質を向上させることができる。薄いマイクロプレートベースは、例えば、約0.7mmないし1.0mmの厚さを有し、特定の商用製品に見られる厚さを表すガラスのような材料とすることができる。約0.4ミリメートル未満の厚さを有するガラス材料は薄いベースプレートの材料に好適である。
【0028】
実施形態では、入射ビームが、例えば、単一ウェル、2ウェル以上の複数のウェル、又は受容されたマイクロプレートの全ウェルの少なくとも1つにおける少なくとも1つのセンサに接触する。
【0029】
実施形態では、1つ又は複数のウェル中の1つ又は複数のセンサに、入射ビームが逐次又は系統的に操作される態様で接触し、照射され、あるいは励起することができるように装置が構成されている(米国特許出願USSN 61/231446、参照)。
【0030】
実施の形態では、本開示は専用のマイクロプレートを有する上記装置におけるエバネッセント波センサの読み出し方法を提供し、
少なくとも1つのセンサを有する少なくとも1つのウェルを有するマイクロプレートと容器を係合することにより、マイクロプレートアセンブリを形成するステップと、
45°より大きい入射角度で入射ビーム(θ1)を第1の位置のセンサに接触させるステップと、
接触されたセンサから受信した画像を画像記録装置で記録するステップと、を含み、
画像記録装置が反射ビームに対して約5゜よりも大きい反射角(θ2)で配向されている。
【0031】
エバネッセント波センサは、例えば、共振導波路バイオセンサ等のセンサ、又はそのようなセンサの組み合わせとすることができる。
【0032】
この読み出し方法は、入射ビームに対して第2の位置へ少なくとも1回、マイクロプレートを相対移動(すなわち、移動)させるステップと、その後、第2の位置で入射ビームをマイクロプレートの少なくとも1つのセンサに接触させるステップと、受信された画像を記録するステップと、を更に含む。入射ビームに対するマイクロプレートの相対移動は、例えば、少なくとも1つのセンサに亘って、ビームを段階的、継続的に、又はその組み合わせで並進させることを含むことで達成できる。
【0033】
実施形態では、センサは、その表面に生細胞、生物実体、化合物、被膜、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
記録した画像の空間分解能は例えば、約0.5マイクロメートルないし約10マイクロメートルであり、そしてそれらの中間の値と範囲をすることができ、かかる優れた空間分解能は、例えば、サブ細胞無標識撮像などの撮像を達成するために十分である。
【0035】
実施形態において、この方法は例えば、蛍光誘導入射ビームとセンサを同時又は順次に接触させ、受信された蛍光像を適切なレコーダで記録するステップを更に含む。すなわち、例えば、細胞又はサブ細胞蛍光撮像を達成する(米国特許出願US SN 12/151,175, entitled “SYSTEM AND METHOD FOR DUAL-DETECTION OF A CELLULAR RESPONSE”、参照)。
【0036】
実施形態では、本開示は共振導波路センサの空間分解能を向上させる方法を提供し、空間分解能を向上させる方法は例えば、45°より大きい入射角(θ1)でセンサに対してインターロゲーションを行うステップと、インターロゲーションされたセンサから受信した画像を画像記録装置で記録するステップと、を含み、画像記録装置が反射ビームに対して約5゜よりも大きい反射角(θ2)で配向されている。
【0037】
共振導波路グレーティング結合器(RWGC)の空間分解能。
【0038】
エピック(登録商標)センサは、導波路グレーティング結合器である。共振結合は位相整合条件が満たされる場合に発生する。
【0039】
【数1】
【0040】
式中、θ1は入射角であり、λは共振波長であり、Λはグレーティングピッチであり、neffは導波路の実効屈折率である。プラスの符号は前方伝搬漏洩波であり、負の符号は後方伝搬漏洩波を表す。グレーティング構造と導波路材料及び厚さを考えると、スペクトル共鳴のプロファイルは厳密結合波解析(RCWA)を使用してシミュレートすることができる。シミュレーションは、例えば、G−ソルバー(登録商標)(www.gsolver.com)等のグレーティングのシミュレーションソフトウェアを使用することで達成できる。エピック(登録商標)センサについて、グレーティングピッチが500nmで、深さが50nmで、ニオビア導波路の厚さが146nmであるとすることができる。入射角の関数としてのグレーティングの共振波長のRCWAシミュレーションが図1に示されている。
【0041】
物理的には、光がグレーティングに入射すると、自由空間波が導波路グレーティング構造における漏洩波に結合される。漏洩波は距離Lに亘って入射波とコヒーレントに結合する。
【0042】
共鳴幅と空間分解能との関係はまた、光回折の観点から理解することができる。遠視野での共鳴角度θ’の範囲は、画像解像度が回折(d)によって制限されることを示す。
【0043】
【数2】
【0044】
式中、Δθ’が共振角の半幅(こは円錐角とも呼ばれる)であり、それはRCWAを通して数値的にシミュレートされ得る。あるいは、共鳴角がより狭くなればなるほど、共鳴角(又は波長)がより正確に決定されることができる。したがって、検出感度と空間分解能との間のトレードオフが存在する。共鳴のスペクトル幅は、ほぼ垂直入射角で一定である。通常の入射角度で動作させると、開口数(NA=nsinθ’)は図に示されるように(θ’は共鳴角の幅である)、かなり増加する。点線は数式(1)に応じた線形近似である。実線はRCWA理論が提供するシミュレーション結果である。垂直入射下のグレーティングセンサの点像分布関数が実験で直接測定された。20マイクロメートルのウエスト径のビームがセンサ表面に位置された。漏洩波の広がりは、共振範囲内の波長の関数として画像化された。図2は、漏洩波が約±50マイクロメートルの距離に広がることを確認した。図2は、共鳴波長において、漏洩波が+/−50マイクロメートルを超えて拡張することを示す。波長は、0.1nmの増分又は間隔で829nmから831.5nmまで変化した。初期の比較的小さなシングルビームスポット(左上)は図2のフレームの左から右へと変化し、段階的に(上から下へ)高い共鳴(中段)の状態に変化してから、ほとんど又は全くないビーム(右下)になる。共鳴よりも長い波長では、ビームの高角度のコンポーネントが続き、共鳴を励起する。共焦点検出方式を使用することで2倍の画像解像度を向上させることができるが、そのような解像度は、ほとんどの細胞型の個々の細胞を撮像するには不十分な解像度のままである。
【0045】
空間分解能を向上させるために、共鳴幅を広げるようにセンサを再構成することができる。これは例えば、2次元グレーティング又はその変形を使用し、より深いグレーティングデザインを通して、達成することができる。
【0046】
しかし、別のアプローチは、いかなる物理的変形することなく、既存のエピック(登録商標)センサなどのセンサの空間分解能を向上させることができる。実施形態においては、約垂直(例えば、θ1=0°)入射角での動作の代わりに、大きな入射角のインターロゲーション手法の使用により開口数を大幅に増加可能にすることが発見された。図3は、532nm波長ビームでの角度共鳴のインターロゲーションのRCWAシミュレーションを示し、ここで、1/e2角度幅が8°である。比較すれば、約垂直入射角での角度共鳴は、図4に示すように840nmでほんの0.2°だけである。入射角の影響を考慮して、532nmにおける開口数は、近垂直入射に比べて24倍に上昇される。更に波長の違いを考慮すると、532nmにおける空間分解能は840nmでのそれよりも約38倍小さい約5.8ミリメートル、と推定される。この分解能は代表的な細胞の大きさに比べてかなり小さくなり、それ故に標準のエピック(登録商標)センサで単一細胞解像無標識撮像を行うことが実行可能となる。
【0047】
ピークグレーティング共鳴反射率が約70%に低減されているが、これは可視波長でのCCDカメラの強化された量子効率によって更に補償される。減少漏洩波の伝搬距離は、大きい入射角でのグレーティングによって強化されたカップリングによるものである。より短波長で動作させることは、更に解像度を向上させることができる。
【0048】
表面波長インターロゲーション感度(WIS)は0.27nm/nm、なるようにシミュレートされ、これは短い侵入深さに起因する830nmでそれよりも若干大きくなっている。センサはまた、可視波長を使用して、大きな入射角での横電界(TE)モード(すなわち、s偏光)におけるインターロゲーションを実行されることができ、その表面WISは横磁気(TM)モード(すなわち、p偏光)のものより実質的に低くなる(米国特許出願U.S. Provisional Application Serial No. 60/668,908, or published PCT application WO06/108183、参照)。
【0049】
センサは掃引波長撮像技術を用いてインターロゲーションを実行することができるが、広い共鳴幅である故に、一般的にSPR撮像法で使用されている単純な強度撮像技術を採用することができる。この方法は、寄生干渉縞を除去する低コヒーレンス光源を使用することにより容易に行うことができる(米国特許出願USSN 61/259802、参照)。
【0050】
図5は、57.9°の入射角における10nm厚のシミュレートバイオ層での結合前(実線)と結合後(破線)のエピック(登録商標)センサのスペクトルにおける波長シフト(すなわち、暗視野像)のシミュレーションを示す。約1.5の屈折率を有するシミュレートバイオ層は例えば、細胞構築物又はタンパク質混合物に類似する。センサ共鳴の負の傾き(上矢印)でのインターロゲーションの波長(実線)を固定することにより、表面の質量増加により誘発されるセンサ共振のシフトは、センサの反射率(破線)の増加として現れる。動作波長を最適化することにより、センサが約5nmの動的レンジをカバーすることができる。この動作モードでは、暗視野顕微鏡と類似している。
【0051】
図6は、共鳴の正の傾き(下向き矢印)の代替動作点を示し、表面質量の増加がグレーティング反射率の減少(破線)を引き起こす。この動作モードは、光フィールドモード画像あるいは明視野顕微鏡と類似している。
【0052】
両者の場合において、シミュレートされた質量増加は、細胞接着の効果に類似する10nm厚のバイオ層であった。従来のエピック(登録商標)アッセイでは、これは約2.4nmの波長シフトに対応している。暗視野モードの強度変化は80%を超えている。毎秒100フレーム(fps)のフレームレートのCCDカメラを使用すると、画素あたりのノイズの相対強度は約0.001Hz−1/2である。これはエピック(登録商標)の等価ノイズの約3pmHz−1/2に対応する。このような騒音レベルは掃引波長撮像機器に匹敵し、細胞アッセイのために十分である。
【0053】
グレーティング上の欠陥は暗視野と明視野画像の両者を用いて識別することができる。
【0054】
画像を取得するために様々な撮像法が使用することができる。これらは例えば、2次元イメージセンサ、ラスタースキャン、ラインスキャンなどの方法を用いる完全な視野撮像を含む。次の例は、CCDカメラを用いた高解像度撮像を示す。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は、より完全なる開示の様々な態様を実施するために考えられる最良の形態を記載するだけでなく、上述した開示の使用方法を説明する。これらの実施例は、本開示の範囲を限定するものではなく、例示的な目的のために提示されると理解される。有効な実施例は、開示の装置及び方法を作成し使用する方法について説明する。
【0056】
実施例1
高解像度無標識の例
図7Aに示すような結像光学撮像システムは、CCD(720)カメラ((Point GREY Research, Dragonfly Express)上のマイクロプレート(710)内の単一の光センサ(図示せず)の1:1画像を提供する。二重レンズのペア(730、740)のような撮像レンズ又はレンズ群は、約50mm、例えば、焦点距離を有することができる。CCDの画素サイズは7.4×7.4マイクロメートルであった。マイクロプレートの物体面の大きな入射角である故に、従来の撮像は、視野内のフォーカスが非常に狭い中にある。この例では、CCD面が焦点に全視野を有するように傾けた。これはまた、シャインプルーフカメラの設定として知られている。光学系の収差は、CCDのカバーガラスとグレーティングセンサ基板の厚さが主な要因である。例えばレンズ設計や、又はCCDのカバーガラスを除去し、グレーティング基板の厚さ若しくはそれらの組合せを減らすことによって、収差を補正して画質が改善することができる。図7Bは、1つ又は複数のセンサを有する典型的な先行技術のマイクロプレート(710)などの支持部材の斜視図である。マルチウェルプレート(710)(例えば、マイクロプレート)は周縁スカート12及び上面14を含み、上面14にはそれぞれがアッセイすべき試料の等分量を受けることが可能なウェル16の配列が設けられている。マルチウェルプレート(710)は、マルチウェルプレートのための業界標準に準拠している。マルチウェルプレート(710)はウェルフォーマットとして、例えば、96個すなわち8×12のマトリクスのウェル16を有することができるだけでなく、12個、96個、386個等のようなウェルフォーマットを有することができる。また、マルチウェルプレート(710)の高さ、長さ、幅も業界標準に準拠させることができる。しかし、本開示は、ウェルの任意の数を有し、任意の特定の寸法と構成に限定されないマルチウェルプレートで実装することができる。プレートの各ウェルの底部は、プレートの透明基盤又は底部(図示せず)を介して、放射線の入射ビームに晒されることができる1つ又は複数のセンサを含むことができる。
【0057】
光源は真緑色のLED(Osram)である。中心波長は527nmで、スペクトル半値幅は33nmである。中心波長532nmと通過帯域2nmを有する標準的蛍光フィルタは、LEDからの平行出力をフィルタリングするために使用される。約58の入射角゜は、暗視野モードで動作するように選定された。蛍光フィルタは短波長(例えば、約30nm)に向かって伝送をシフトするように角度チューニングでき、明視野モードにシステムを切り替えることができる。
【0058】
個々の細胞の大きさが約10マイクロメートルの低密度HL60細胞は、開示されたシステムにより暗視野と明視野の両方のモードで撮像された。図8A及び図8Bは比較される暗視野と明視野像をそれぞれ示す。輝点(図8A)及びダークスポット(図8B)は画像の間に相関させることができ、それらは細胞の付着によって引き起こされることを示している。強度変化の大きさは、シミュレーションとよく一致した。画像のわずかな歪みはシャインプルーフ撮像法(Scheimpflug imaging)の構成に固有である。画像強度は必要に応じて行単位で補正することが可能で、バックグラウンド強度のバランスをとることができる。
【0059】
画質は、CCDのカバーガラスが原因で発生す非点収差の影響を受けることがある。画像のフォーカスはグレーティング漏れ波伝搬方向であるY方向で最適化することができる。図9は、ほぼ単一画素の解像度を示す暗視野モードでの撮像低密度LH60細胞を示す。図9に示すように単一画素の解像度の能力が実証され、約7.4マイクロメートルの空間分解能を示唆している。
【0060】
実施形態において、開示された撮像技術はコンパクトなエピック(登録商標)構成に適用することができ、例えば、再設計することにより、4×3のウェルプレート構成をカバーする視野に応用できる。実施形態において、開示されたシステムは精密な波長掃引機構を回避することができるので、開示されたシステムは高い空間分解能を低コストで提供する。システムの全体的なシンプルさは全体的に低コストを有する光学読み取り装置を提供する。しかし、この動作モードでは読み出しはセンサ表面上の欠陥に対してより敏感である。
【0061】
開示されたシステムのように、可視波長源の使用は更に蛍光撮像機能を備えた無標識撮像能力の組み合わせを容易にすることができる(米国特許出願U.S. Serial No.12/151179, filed May 5, 2008, entitled “SYSTEM AND METHOD FOR DUAL-DETECTION OF A CELLULAR RESPONSE”、参照)。
【技術分野】
【0001】
「先に出願された米国特許出願の利益の主張」
本願は、2010年2月22日に出願された米国特許仮出願第61/315,653号に基づく優先権の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
本開示は一般的に、光学読み取り装置の強化された空間分解能の装置及び方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、光学読み取り装置の強化された空間分解能のための装置及び方法を提供する。開示の実施形態において、
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、背景として、入射角(θ)の関数としての共振波長の厳密結合波解析(RCWA)のシミュレーションを示すグラフである。
【図2】図2は、背景として、垂直入射での20マイクロメートルのビームで照射され又は励起されたときのセンサグレーティングの波長依存画像を示すグラフである。
【図3】図3は、532nmにおけるエピック(登録商標)センサの角度共鳴を示すグラフである。
【図4】図4は、840nmにおけるエピック(登録商標)センサの角度共鳴を示すグラフである。
【図5】図5は、57.9°の入射角でのエピック(登録商標)センサのスペクトルにおける10nm厚のシミュレートされたバイオ層の結合前(実線)と結合後(破線)の共鳴波長シフトのシミュレーションを示すグラフである。
【図6】図6は、56°の入射角でのエピック(登録商標)センサのスペクトルにおける10nm厚のバイオ層の結合前(実線)と結合後(破線)の共鳴波長シフトを示すグラフである。
【図7】図7A及び図7Bはセンサの高解像度無標識撮像の光学系の概略図及び1つ又は複数のセンサを有する典型的な先行技術のマイクロプレートの概略斜視図である。
【図8】図8A及び図8Bは、それぞれ、暗視野モードと明視野モードで撮像されたエピックセンサ上のLH60細胞を示す写真である。
【図9】図9は、暗視野モードで撮像された低密度LH60細胞を示し、ほぼ単一画素解像度を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
定義:
“入射角(θ1)”の用語等は、コリメートされた線源ビーム(容器内の受容されたマイクロプレート上の光センサに接する)と受容されたマイクロプレート上の光センサからの正射影(直角又は垂直)との間に形成されたおおよその角度をいう。
【0006】
“反射角(θ2)”の用語等は、受容されたマイクロプレートの光センサから画像記録装置上に入射する反射光と画像記録装置の面から正射影(直角又は垂直)との間のおおよその角度をいう。
【0007】
“バイオセンサ”、“センサ”、の用語等は、のような適切な装置と組み合わせることで、所望の分析物又は条件を検出することができる物品をいう。バイオセンサは、物理化学的検出器コンポーネントと生物学的コンポーネントを結合する。バイオセンサは、通常、生物学的コンポーネント又は要素(例えば、組織、微生物、病原体、細胞、細胞成分、受容体、及びそれらの実体、又はそれらの組み合わせ等)と、検出コンポーネント(光学的、圧電的、電気化学的、温度的、磁気的又は同様の方法などの物理化学的方法で動作する)と、及び両方のコンポーネントに関連付けられるトランスデューサーと、の3つの部分から構成される。実施形態では、バイオセンサは、タンパク質又は受容体などの表面結合細胞成分や細胞で発生する分子認識や、分子間相互作用や、分子刺激のような事象を、検出可能でかつ定量化可能な信号に変換することができる。本明細書で使用されるバイオセンサは、静的、動的、又はそれらの組み合わせである液体ハンドリングシステムを含めることができる。開示の実施形態では、1つ又はそれ以上のバイオセンサは、マイクロ物品に組み入れることができる。バイオセンサは便利なツールであり、いくつかの典型的な用途と構成は、例えば、2006年12月10日に公開されたPCT出願PCT/US2006/013539号(公開WO2006/108183)、Fang, Y., et alによる“無標識バイオセンサ及び細胞”と米国特許第7175980号に開示されている。例えば、Fang, Y., et al. “Resonant waveguide grating biosensor for living cell sensing,” Biophys. J., 91, 1925-1940 (2006)には、侵入深さ、検出ゾーン、又は感知ボリュームを有するバイオセンサの細胞ベースアッセイが記載されている。微小流体物品も有用なツールであり、いくつかの典型的な使用法、構成、及び製造方法は、例えば、米国特許第6677131号、及び米国特許第7007709号で開示されている。米国特許出願公開公報第2007/0141231号及び米国特許第7175980号は、マイクロアセンブリ及び方法を開示している。
【0008】
開示の物品や方法は、特に、例えば、エピック(登録商標)システム又は表面プラズモン共鳴(SPR)に基づくもの等の標識に依存しない検出(LID)に基づくバイオセンサに適している。開示の物品及び方法はまた、二面偏波干渉法(DPI:Dual Polarized Intereferometry)などの代替LIDセンサと互換性がある。実施形態では、バイオセンサシステムは、例えば、共振導波路グレーティングバイオセンサのための掃引波長光インターロゲーション撮像システムや、共振導波路グレーティングバイオセンサのための角度インターロゲーションシステムや、空間的スキャン波長インターロゲーションシステムや、表面プラズモン共鳴装置や、表面プラズモン共鳴撮像システム又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0009】
共に所有され同時係属中の米国特許出願の公報第2007/0154356号(米国特許出願第11/436,923号)(R. Modavis)は段落(0042)で開口を有する添付マスクを有する光学的読み取り可能マイクロプレートを開示している。
【0010】
“約”で修飾する例えば、開示の実施形態を説明する際に用いられる量、寸法、処理温度、処理時間などの値及びその範囲は、例えば、使用される典型的な測定及び処理手続きを通して、これらの手順の不注意なミスを通して、製造、ソース、もしくはコンポーネント品質、又はそれらのような考慮事項の違いを通して、などの発生する可能性がある量の変化を意味する。“約”の用語は、コンポーネントへの環境影響や経年化による異なる量を網羅している。明細書に添付の特許請求の範囲は、これらの”約”の量の均等物を含む。
【0011】
“任意”や、“任意に”などの用語は、起こっても起こらなくすることができるその後に記載される事象又は状況をいい、事象若しくは状況が発生する場合又はそれが起こらない場合の説明を含む。例えば、“任意のコンポーネント”などの句は、コンポーネントが存在でき又は存在できないこと、そして開示がコンポーネントを含む実施形態及びコンポーネントを除外する実施形態の両方を含むことを意味する。
【0012】
実施形態における“本質的に成る”は、例えば、光学読み取り装置及び関連するコンポーネントや、アッセイや、化合物をスクリーニングするアッセイを使用する方法や、開示の物品類、デバイス類又は任意の装置をいい、特定のコンポーネント、特定の光源若しくは波長、特定の表面改質若しくは状態などの構造、材料若しくは選択されたプロセス変数などの開示の物品、製造装置、又は製造方法の基本的かつ新規な特性に影響を与えないコンポーネント又は手順に加えて、請求項に記載されたコンポーネント又は手順を含むことができる。開示のコンポーネント又は手順の基本的な特性に重大な影響を及ぼす可能性のある、又は開示の態様に含まれ得る望ましくない特性を付与する事項には、例えば、放射線源または画像記録装置の不利配向性(disfavored orientation)を有することを含む。
【0013】
不定冠詞“a”又は“an”及びそれに対応する定冠詞“the”という用語は、特記のない限り少なくとも1つ、又は1つ以上のことを意味する。
【0014】
従来技術における当業者にとって周知である略語、例えば、「h」又は「hR」は時間、「rt」は室温、「nm」はnm、及び同様の略語が用いられ得る。
【0015】
コンポーネント、時間などの態様のために記載した特定の好ましい値及びそれらの範囲は、説明のためだけであり、それらは定義された範囲内の他の定義された値やその他の値を除外しない。開示の物品、装置、及び方法は、本明細書に記載の任意の値又は値の任意の組み合わせに基づいて、特定の値を有するものを含み、より具体的な値、及び好ましい値を含む。
【0016】
コーニング社のエピック(登録商標)システムは、生体分子間相互作用と生細胞を研究するための高スループットの無標識検出技術プラットフォームである。市販のエピック(登録商標)機器はマイクロプレートに各バイオセンサの平均応答を検出することができる。無標識撮像法は進化し続け、そして今では、各センサ内にて高空間分解能コンテンツ無標識応答を提供することができる(例えば、米国特許U.S. Patent 7,599,055, Gollier et al,“Swept wavelength imaging optical interrogation system and method for using same”、参照)。
【0017】
エピック(登録商標)センサの空間分解能はグレーティングカプラにおける漏洩波(“漏洩波”)の減衰長、約220マイクロメートルに制限されている。ノーマル(θ1=0°)入射角のインターロゲーションの場合、二次ブラッググレーティングは、低下する前方と後方の伝播波を結合し、得られた空間分解能は約100マイクロメートルに改善される。実施形態においては、本開示は約10マイクロメートル未満まで空間分解能を向上させた方法を提供する。実施形態では、改良された空間分解能はエピック(登録商標)センサの再設計することなく実現でき得る。
【0018】
実施形態では、本開示は、従来の導波路グレーティングセンサに基づいて、高解像度の無標識撮像方法を提供する。例えば、約45°より大きい高入射角でセンサに対してインターロゲーションを実行することによって、約θ1=0°の近垂直入射と比較して漏洩波の減衰長が大きく減少され得る。これは、ウェルに10マイクロメートル以下の空間分解能をもたらす。インターロゲーション方法により空間分解能が劇的に改善される。
【0019】
実施例において、開示は、生細胞用、生化学用などの標識に依存しない検出(LID)のアッセイのための光学読み取り装置の空間分解能を向上させる方法を提供する。
【0020】
本開示は、改善された画像の空間分解能を有する光学読み取り装置及び使用方法を提供する。
【0021】
実施例において、図7A及び図7Bを参照すると、開示は、例えば、無標識撮像する装置を提供し、無標識撮像する装置は、例えば、光学読み取り装置を含み、
かかる光学読み取り装置は、少なくとも1つの光センサを有するマイクロプレート(710)を受けるための容器(715)と、コリメートレンズ(706)、入射ビーム(708)及び反射ビーム(709)を有する放射源(705)と、画像記録装置(720)と、受容されたマイクロプレートと画像記録装置との間の一対のダブレットレンズ(730、740として示される)などの結像レンズ又はレンズ群を含み、
入射ビームが容器内のマイクロプレート上の光学センサに対して約45°より大きい入射角(θ1)で配向され、かつ、画像記録装置が反射されたビームに対して5゜を超える反射角(θ2)で配向される。上記の反射角(θ2)は画像記録装置の平面の法線に対する入射角である。
【0022】
光学読み取り装置は約0.5マイクロメートルから約1,000マイクロメートルの空間分解能、例えば、約1ないし約1,000メートル、約1ないし約100マイクロメートル、約1ないし約10マイクロメートル、約5ないし約10マイクロメートル、及びそれらの任意の中間範囲及び値を含む空間分解能を有する。
【0023】
装置は、更に、例えば、マイクロプレート、ウェルプレート、顕微鏡スライド、チップフォーマットなどの検体容器、支持部材、又はサンプル提示物品や、任意に微小流体流れ設備を含むことができる。実施形態では、装置は、少なくとも1つのウェル又はチャンバを有するマイクロプレートを更に含み、ウェル又はチャンバはその中に少なくとも1つの光センサを有し、光センサは信号領域及び参照領域を有する。マイクロプレートは、コーニング社からの市販のウェルの配列にすることができる。
【0024】
放射線源は、例えば、低又は非コヒーレント光源のような発光ダイオード(LED)とすることができる。その他の放射線源が必要に応じて選択され、適切に開示された装置及び方法に適用することができる。放射線源は、例えば、蛍光入射ビーム又は蛍光誘導入射ビームを提供することが可能な線源を代替的であるか、更に含むことができる。
【0025】
実施形態では、例えば、入射角(θ1)が約45゜から約70゜であり、例えば、反射角(θ2)が約5゜から約70゜であり、それらの中間の値の範囲を含むことができる。像の物体に対する拡大率が>1:1のとき、θ1<θ2である。像の物体に対する拡大率が<1:1のとき、θ1>θ2である。このようにθ2は、広い範囲をとる。
【0026】
実施形態では、コリメートレンズ(706)と入射ビーム(708)を有する放射線源(705)は更に、例えば、蛍光フィルタ(707)及び光コンディショニングコンポーネントを含めることができる。LED発光体のような効果的大きさの放射線源は、ほぼ平行ビームの角度広がりがセンサの共鳴角又は円錐角(後述)よりも小さくなるように選択することができる。実施形態では、画像記録装置は、例えば、CCD又はCMOSカメラのような画像記録装置とすることができる。非常に薄いカバーガラスを有する又はカバーガラスなしのCCDは厚いカバーガラスのものに比べて改善された画像品質を提供することができる。CCD又はCMOSカメラのような画像記録装置はカバーガラスなしのものでもよい。
【0027】
実施形態では、受容されたマイクロプレートは約10マイクロメートルから約10,000マイクロメートルのベースの厚さ、例えば、約50マイクロメートルないし約10,000メートル、約100マイクロメートルないし約1,000マイクロメートル、それらの任意の中間値の範囲の基材又は基板の厚さを有する。マイクロプレートベースの厚さの具体的な例としては、例えば、約0.1ミリメートルからの約10ミリメートルで、例えば、0.3ミリメートルないし約1.0ミリメートルである。より薄いマイクロプレートベースによれば、例えば、歪みを軽減することができ、画質を向上させることができる。薄いマイクロプレートベースは、例えば、約0.7mmないし1.0mmの厚さを有し、特定の商用製品に見られる厚さを表すガラスのような材料とすることができる。約0.4ミリメートル未満の厚さを有するガラス材料は薄いベースプレートの材料に好適である。
【0028】
実施形態では、入射ビームが、例えば、単一ウェル、2ウェル以上の複数のウェル、又は受容されたマイクロプレートの全ウェルの少なくとも1つにおける少なくとも1つのセンサに接触する。
【0029】
実施形態では、1つ又は複数のウェル中の1つ又は複数のセンサに、入射ビームが逐次又は系統的に操作される態様で接触し、照射され、あるいは励起することができるように装置が構成されている(米国特許出願USSN 61/231446、参照)。
【0030】
実施の形態では、本開示は専用のマイクロプレートを有する上記装置におけるエバネッセント波センサの読み出し方法を提供し、
少なくとも1つのセンサを有する少なくとも1つのウェルを有するマイクロプレートと容器を係合することにより、マイクロプレートアセンブリを形成するステップと、
45°より大きい入射角度で入射ビーム(θ1)を第1の位置のセンサに接触させるステップと、
接触されたセンサから受信した画像を画像記録装置で記録するステップと、を含み、
画像記録装置が反射ビームに対して約5゜よりも大きい反射角(θ2)で配向されている。
【0031】
エバネッセント波センサは、例えば、共振導波路バイオセンサ等のセンサ、又はそのようなセンサの組み合わせとすることができる。
【0032】
この読み出し方法は、入射ビームに対して第2の位置へ少なくとも1回、マイクロプレートを相対移動(すなわち、移動)させるステップと、その後、第2の位置で入射ビームをマイクロプレートの少なくとも1つのセンサに接触させるステップと、受信された画像を記録するステップと、を更に含む。入射ビームに対するマイクロプレートの相対移動は、例えば、少なくとも1つのセンサに亘って、ビームを段階的、継続的に、又はその組み合わせで並進させることを含むことで達成できる。
【0033】
実施形態では、センサは、その表面に生細胞、生物実体、化合物、被膜、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
記録した画像の空間分解能は例えば、約0.5マイクロメートルないし約10マイクロメートルであり、そしてそれらの中間の値と範囲をすることができ、かかる優れた空間分解能は、例えば、サブ細胞無標識撮像などの撮像を達成するために十分である。
【0035】
実施形態において、この方法は例えば、蛍光誘導入射ビームとセンサを同時又は順次に接触させ、受信された蛍光像を適切なレコーダで記録するステップを更に含む。すなわち、例えば、細胞又はサブ細胞蛍光撮像を達成する(米国特許出願US SN 12/151,175, entitled “SYSTEM AND METHOD FOR DUAL-DETECTION OF A CELLULAR RESPONSE”、参照)。
【0036】
実施形態では、本開示は共振導波路センサの空間分解能を向上させる方法を提供し、空間分解能を向上させる方法は例えば、45°より大きい入射角(θ1)でセンサに対してインターロゲーションを行うステップと、インターロゲーションされたセンサから受信した画像を画像記録装置で記録するステップと、を含み、画像記録装置が反射ビームに対して約5゜よりも大きい反射角(θ2)で配向されている。
【0037】
共振導波路グレーティング結合器(RWGC)の空間分解能。
【0038】
エピック(登録商標)センサは、導波路グレーティング結合器である。共振結合は位相整合条件が満たされる場合に発生する。
【0039】
【数1】
【0040】
式中、θ1は入射角であり、λは共振波長であり、Λはグレーティングピッチであり、neffは導波路の実効屈折率である。プラスの符号は前方伝搬漏洩波であり、負の符号は後方伝搬漏洩波を表す。グレーティング構造と導波路材料及び厚さを考えると、スペクトル共鳴のプロファイルは厳密結合波解析(RCWA)を使用してシミュレートすることができる。シミュレーションは、例えば、G−ソルバー(登録商標)(www.gsolver.com)等のグレーティングのシミュレーションソフトウェアを使用することで達成できる。エピック(登録商標)センサについて、グレーティングピッチが500nmで、深さが50nmで、ニオビア導波路の厚さが146nmであるとすることができる。入射角の関数としてのグレーティングの共振波長のRCWAシミュレーションが図1に示されている。
【0041】
物理的には、光がグレーティングに入射すると、自由空間波が導波路グレーティング構造における漏洩波に結合される。漏洩波は距離Lに亘って入射波とコヒーレントに結合する。
【0042】
共鳴幅と空間分解能との関係はまた、光回折の観点から理解することができる。遠視野での共鳴角度θ’の範囲は、画像解像度が回折(d)によって制限されることを示す。
【0043】
【数2】
【0044】
式中、Δθ’が共振角の半幅(こは円錐角とも呼ばれる)であり、それはRCWAを通して数値的にシミュレートされ得る。あるいは、共鳴角がより狭くなればなるほど、共鳴角(又は波長)がより正確に決定されることができる。したがって、検出感度と空間分解能との間のトレードオフが存在する。共鳴のスペクトル幅は、ほぼ垂直入射角で一定である。通常の入射角度で動作させると、開口数(NA=nsinθ’)は図に示されるように(θ’は共鳴角の幅である)、かなり増加する。点線は数式(1)に応じた線形近似である。実線はRCWA理論が提供するシミュレーション結果である。垂直入射下のグレーティングセンサの点像分布関数が実験で直接測定された。20マイクロメートルのウエスト径のビームがセンサ表面に位置された。漏洩波の広がりは、共振範囲内の波長の関数として画像化された。図2は、漏洩波が約±50マイクロメートルの距離に広がることを確認した。図2は、共鳴波長において、漏洩波が+/−50マイクロメートルを超えて拡張することを示す。波長は、0.1nmの増分又は間隔で829nmから831.5nmまで変化した。初期の比較的小さなシングルビームスポット(左上)は図2のフレームの左から右へと変化し、段階的に(上から下へ)高い共鳴(中段)の状態に変化してから、ほとんど又は全くないビーム(右下)になる。共鳴よりも長い波長では、ビームの高角度のコンポーネントが続き、共鳴を励起する。共焦点検出方式を使用することで2倍の画像解像度を向上させることができるが、そのような解像度は、ほとんどの細胞型の個々の細胞を撮像するには不十分な解像度のままである。
【0045】
空間分解能を向上させるために、共鳴幅を広げるようにセンサを再構成することができる。これは例えば、2次元グレーティング又はその変形を使用し、より深いグレーティングデザインを通して、達成することができる。
【0046】
しかし、別のアプローチは、いかなる物理的変形することなく、既存のエピック(登録商標)センサなどのセンサの空間分解能を向上させることができる。実施形態においては、約垂直(例えば、θ1=0°)入射角での動作の代わりに、大きな入射角のインターロゲーション手法の使用により開口数を大幅に増加可能にすることが発見された。図3は、532nm波長ビームでの角度共鳴のインターロゲーションのRCWAシミュレーションを示し、ここで、1/e2角度幅が8°である。比較すれば、約垂直入射角での角度共鳴は、図4に示すように840nmでほんの0.2°だけである。入射角の影響を考慮して、532nmにおける開口数は、近垂直入射に比べて24倍に上昇される。更に波長の違いを考慮すると、532nmにおける空間分解能は840nmでのそれよりも約38倍小さい約5.8ミリメートル、と推定される。この分解能は代表的な細胞の大きさに比べてかなり小さくなり、それ故に標準のエピック(登録商標)センサで単一細胞解像無標識撮像を行うことが実行可能となる。
【0047】
ピークグレーティング共鳴反射率が約70%に低減されているが、これは可視波長でのCCDカメラの強化された量子効率によって更に補償される。減少漏洩波の伝搬距離は、大きい入射角でのグレーティングによって強化されたカップリングによるものである。より短波長で動作させることは、更に解像度を向上させることができる。
【0048】
表面波長インターロゲーション感度(WIS)は0.27nm/nm、なるようにシミュレートされ、これは短い侵入深さに起因する830nmでそれよりも若干大きくなっている。センサはまた、可視波長を使用して、大きな入射角での横電界(TE)モード(すなわち、s偏光)におけるインターロゲーションを実行されることができ、その表面WISは横磁気(TM)モード(すなわち、p偏光)のものより実質的に低くなる(米国特許出願U.S. Provisional Application Serial No. 60/668,908, or published PCT application WO06/108183、参照)。
【0049】
センサは掃引波長撮像技術を用いてインターロゲーションを実行することができるが、広い共鳴幅である故に、一般的にSPR撮像法で使用されている単純な強度撮像技術を採用することができる。この方法は、寄生干渉縞を除去する低コヒーレンス光源を使用することにより容易に行うことができる(米国特許出願USSN 61/259802、参照)。
【0050】
図5は、57.9°の入射角における10nm厚のシミュレートバイオ層での結合前(実線)と結合後(破線)のエピック(登録商標)センサのスペクトルにおける波長シフト(すなわち、暗視野像)のシミュレーションを示す。約1.5の屈折率を有するシミュレートバイオ層は例えば、細胞構築物又はタンパク質混合物に類似する。センサ共鳴の負の傾き(上矢印)でのインターロゲーションの波長(実線)を固定することにより、表面の質量増加により誘発されるセンサ共振のシフトは、センサの反射率(破線)の増加として現れる。動作波長を最適化することにより、センサが約5nmの動的レンジをカバーすることができる。この動作モードでは、暗視野顕微鏡と類似している。
【0051】
図6は、共鳴の正の傾き(下向き矢印)の代替動作点を示し、表面質量の増加がグレーティング反射率の減少(破線)を引き起こす。この動作モードは、光フィールドモード画像あるいは明視野顕微鏡と類似している。
【0052】
両者の場合において、シミュレートされた質量増加は、細胞接着の効果に類似する10nm厚のバイオ層であった。従来のエピック(登録商標)アッセイでは、これは約2.4nmの波長シフトに対応している。暗視野モードの強度変化は80%を超えている。毎秒100フレーム(fps)のフレームレートのCCDカメラを使用すると、画素あたりのノイズの相対強度は約0.001Hz−1/2である。これはエピック(登録商標)の等価ノイズの約3pmHz−1/2に対応する。このような騒音レベルは掃引波長撮像機器に匹敵し、細胞アッセイのために十分である。
【0053】
グレーティング上の欠陥は暗視野と明視野画像の両者を用いて識別することができる。
【0054】
画像を取得するために様々な撮像法が使用することができる。これらは例えば、2次元イメージセンサ、ラスタースキャン、ラインスキャンなどの方法を用いる完全な視野撮像を含む。次の例は、CCDカメラを用いた高解像度撮像を示す。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は、より完全なる開示の様々な態様を実施するために考えられる最良の形態を記載するだけでなく、上述した開示の使用方法を説明する。これらの実施例は、本開示の範囲を限定するものではなく、例示的な目的のために提示されると理解される。有効な実施例は、開示の装置及び方法を作成し使用する方法について説明する。
【0056】
実施例1
高解像度無標識の例
図7Aに示すような結像光学撮像システムは、CCD(720)カメラ((Point GREY Research, Dragonfly Express)上のマイクロプレート(710)内の単一の光センサ(図示せず)の1:1画像を提供する。二重レンズのペア(730、740)のような撮像レンズ又はレンズ群は、約50mm、例えば、焦点距離を有することができる。CCDの画素サイズは7.4×7.4マイクロメートルであった。マイクロプレートの物体面の大きな入射角である故に、従来の撮像は、視野内のフォーカスが非常に狭い中にある。この例では、CCD面が焦点に全視野を有するように傾けた。これはまた、シャインプルーフカメラの設定として知られている。光学系の収差は、CCDのカバーガラスとグレーティングセンサ基板の厚さが主な要因である。例えばレンズ設計や、又はCCDのカバーガラスを除去し、グレーティング基板の厚さ若しくはそれらの組合せを減らすことによって、収差を補正して画質が改善することができる。図7Bは、1つ又は複数のセンサを有する典型的な先行技術のマイクロプレート(710)などの支持部材の斜視図である。マルチウェルプレート(710)(例えば、マイクロプレート)は周縁スカート12及び上面14を含み、上面14にはそれぞれがアッセイすべき試料の等分量を受けることが可能なウェル16の配列が設けられている。マルチウェルプレート(710)は、マルチウェルプレートのための業界標準に準拠している。マルチウェルプレート(710)はウェルフォーマットとして、例えば、96個すなわち8×12のマトリクスのウェル16を有することができるだけでなく、12個、96個、386個等のようなウェルフォーマットを有することができる。また、マルチウェルプレート(710)の高さ、長さ、幅も業界標準に準拠させることができる。しかし、本開示は、ウェルの任意の数を有し、任意の特定の寸法と構成に限定されないマルチウェルプレートで実装することができる。プレートの各ウェルの底部は、プレートの透明基盤又は底部(図示せず)を介して、放射線の入射ビームに晒されることができる1つ又は複数のセンサを含むことができる。
【0057】
光源は真緑色のLED(Osram)である。中心波長は527nmで、スペクトル半値幅は33nmである。中心波長532nmと通過帯域2nmを有する標準的蛍光フィルタは、LEDからの平行出力をフィルタリングするために使用される。約58の入射角゜は、暗視野モードで動作するように選定された。蛍光フィルタは短波長(例えば、約30nm)に向かって伝送をシフトするように角度チューニングでき、明視野モードにシステムを切り替えることができる。
【0058】
個々の細胞の大きさが約10マイクロメートルの低密度HL60細胞は、開示されたシステムにより暗視野と明視野の両方のモードで撮像された。図8A及び図8Bは比較される暗視野と明視野像をそれぞれ示す。輝点(図8A)及びダークスポット(図8B)は画像の間に相関させることができ、それらは細胞の付着によって引き起こされることを示している。強度変化の大きさは、シミュレーションとよく一致した。画像のわずかな歪みはシャインプルーフ撮像法(Scheimpflug imaging)の構成に固有である。画像強度は必要に応じて行単位で補正することが可能で、バックグラウンド強度のバランスをとることができる。
【0059】
画質は、CCDのカバーガラスが原因で発生す非点収差の影響を受けることがある。画像のフォーカスはグレーティング漏れ波伝搬方向であるY方向で最適化することができる。図9は、ほぼ単一画素の解像度を示す暗視野モードでの撮像低密度LH60細胞を示す。図9に示すように単一画素の解像度の能力が実証され、約7.4マイクロメートルの空間分解能を示唆している。
【0060】
実施形態において、開示された撮像技術はコンパクトなエピック(登録商標)構成に適用することができ、例えば、再設計することにより、4×3のウェルプレート構成をカバーする視野に応用できる。実施形態において、開示されたシステムは精密な波長掃引機構を回避することができるので、開示されたシステムは高い空間分解能を低コストで提供する。システムの全体的なシンプルさは全体的に低コストを有する光学読み取り装置を提供する。しかし、この動作モードでは読み出しはセンサ表面上の欠陥に対してより敏感である。
【0061】
開示されたシステムのように、可視波長源の使用は更に蛍光撮像機能を備えた無標識撮像能力の組み合わせを容易にすることができる(米国特許出願U.S. Serial No.12/151179, filed May 5, 2008, entitled “SYSTEM AND METHOD FOR DUAL-DETECTION OF A CELLULAR RESPONSE”、参照)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光学センサを有するマイクロプレートを受ける容器と、
コリメートレンズ、入射ビーム及び反射ビームを有する放射線源と、
画像記録装置と、
前記マイクロプレート及び前記画像記録装置の間のレンズと、を含む光学読み取り装置を含み、
前記入射ビームが前記容器内の前記マイクロプレート上の前記光学センサに対して約45°より大きい入射角(θ1)で配向され、かつ、前記画像記録装置が前記反射ビームに対して5゜を超える反射角(θ2)で配向されていることを特徴とする無標識撮像する装置。
【請求項2】
前記光学読み取り装置は約0.5ないし約100マイクロメートルの空間分解能を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つのウェル又はチャンバを有するマイクロプレートを更に含み、
前記ウェル又はチャンバはその中に少なくとも1つの光センサを有し、
前記光センサは信号領域及び参照領域を有し、
前記ウェル又はチャンバは微小流体流れ設備を任意に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記放射線源は、発光ダイオードを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記入射角(θ1)が約45゜から約70゜であり、前記反射角(θ2)が約5゜から約70゜であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
前記画像記録装置は、CCD又はCMOSカメラであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
CCD又はCMOSカメラにはカバーガラスがないことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記マイクロプレートは約10マイクロメートルから約10,000マイクロメートルのベースの厚さを有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記入射ビームは、単一ウェル、2ウェル以上の複数のウェル、又はマイクロプレートの全ウェルの少なくとも1つにおける少なくとも1つのセンサに接触することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
前記放射線源は、蛍光入射ビーム及び蛍光画像記録装置を有する蛍光源を更に含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
請求項3の装置におけるエバネッセント波センサを読み出す方法であって、
少なくとも1つのセンサを有する少なくとも1つのウェルを有するマイクロプレートと容器を係合することにより、マイクロプレートアセンブリを形成するステップと、
45°より大きい入射角度で入射ビーム(θ1)を第1の位置のセンサに接触させるステップと、
接触されたセンサから受信した画像を画像記録装置で記録するステップと、を含み、
画像記録装置が反射ビームに対して約5゜よりも大きい反射角(θ2)で配向されていることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記入射ビームに対して第2の位置へ少なくとも1回、マイクロプレートを相対移動させるステップと、その後、第2の位置で入射ビームをマイクロプレートの少なくとも1つのセンサに接触させるステップと、受信された画像を記録するステップと、を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記入射ビームに対して第2の位置へマイクロプレートを相対移動させるステップは、少なくとも1つのセンサに亘って、ビームを段階的、継続的に、又はその組み合わせで並進させることを含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
センサは、その表面に生細胞、生物実体、化合物、被膜、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
記録画像の空間分解能は、サブ細胞無標識撮像のために十分である約0.5マイクロメートルないし約10マイクロメートルであることを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
蛍光入射ビームとセンサを接触させ、受信された蛍光像を記録することを更に含むことを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
共振導波路センサの空間分解能を向上させる方法であって、
45°より大きい入射角(θ1)でセンサに対してインターロゲーションを行うステップと、
インターロゲーションされたセンサから受信した画像を画像記録装置で記録するステップと、を含み、
画像記録装置が反射ビームに対して約5゜よりも大きい反射角(θ2)で配向されていることを特徴とする方法。
【請求項1】
少なくとも1つの光学センサを有するマイクロプレートを受ける容器と、
コリメートレンズ、入射ビーム及び反射ビームを有する放射線源と、
画像記録装置と、
前記マイクロプレート及び前記画像記録装置の間のレンズと、を含む光学読み取り装置を含み、
前記入射ビームが前記容器内の前記マイクロプレート上の前記光学センサに対して約45°より大きい入射角(θ1)で配向され、かつ、前記画像記録装置が前記反射ビームに対して5゜を超える反射角(θ2)で配向されていることを特徴とする無標識撮像する装置。
【請求項2】
前記光学読み取り装置は約0.5ないし約100マイクロメートルの空間分解能を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つのウェル又はチャンバを有するマイクロプレートを更に含み、
前記ウェル又はチャンバはその中に少なくとも1つの光センサを有し、
前記光センサは信号領域及び参照領域を有し、
前記ウェル又はチャンバは微小流体流れ設備を任意に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記放射線源は、発光ダイオードを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記入射角(θ1)が約45゜から約70゜であり、前記反射角(θ2)が約5゜から約70゜であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
前記画像記録装置は、CCD又はCMOSカメラであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
CCD又はCMOSカメラにはカバーガラスがないことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記マイクロプレートは約10マイクロメートルから約10,000マイクロメートルのベースの厚さを有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記入射ビームは、単一ウェル、2ウェル以上の複数のウェル、又はマイクロプレートの全ウェルの少なくとも1つにおける少なくとも1つのセンサに接触することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
前記放射線源は、蛍光入射ビーム及び蛍光画像記録装置を有する蛍光源を更に含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
請求項3の装置におけるエバネッセント波センサを読み出す方法であって、
少なくとも1つのセンサを有する少なくとも1つのウェルを有するマイクロプレートと容器を係合することにより、マイクロプレートアセンブリを形成するステップと、
45°より大きい入射角度で入射ビーム(θ1)を第1の位置のセンサに接触させるステップと、
接触されたセンサから受信した画像を画像記録装置で記録するステップと、を含み、
画像記録装置が反射ビームに対して約5゜よりも大きい反射角(θ2)で配向されていることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記入射ビームに対して第2の位置へ少なくとも1回、マイクロプレートを相対移動させるステップと、その後、第2の位置で入射ビームをマイクロプレートの少なくとも1つのセンサに接触させるステップと、受信された画像を記録するステップと、を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記入射ビームに対して第2の位置へマイクロプレートを相対移動させるステップは、少なくとも1つのセンサに亘って、ビームを段階的、継続的に、又はその組み合わせで並進させることを含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
センサは、その表面に生細胞、生物実体、化合物、被膜、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
記録画像の空間分解能は、サブ細胞無標識撮像のために十分である約0.5マイクロメートルないし約10マイクロメートルであることを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
蛍光入射ビームとセンサを接触させ、受信された蛍光像を記録することを更に含むことを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
共振導波路センサの空間分解能を向上させる方法であって、
45°より大きい入射角(θ1)でセンサに対してインターロゲーションを行うステップと、
インターロゲーションされたセンサから受信した画像を画像記録装置で記録するステップと、を含み、
画像記録装置が反射ビームに対して約5゜よりも大きい反射角(θ2)で配向されていることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公表番号】特表2013−520653(P2013−520653A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553930(P2012−553930)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/023855
【国際公開番号】WO2011/102981
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/023855
【国際公開番号】WO2011/102981
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
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