説明

高負荷伝動ベルト

【課題】センターベルトに積層したカバー帆布の摩耗を大幅に緩和することができるとともに発熱も少なく、ベルトの切断を防止できるとともに、熱によるブロックやセンターベルトの劣化を抑制した高負荷伝動ベルトを提供する。
【解決手段】上下ビーム11、12とセンターピラー13とで囲まれた前記センターベルト3を嵌合装着する嵌合溝8、9を有する複数のブロック2をセンターベルト3の長手方向に沿って所定ピッチで設けてなり、センターベルト3の上下面にカバー帆布10が被覆されている高負荷伝動ベルトにおいて、ブロック2の嵌合溝内でセンターベルト3の下面が当接する部位にはスラスト試験において摩擦係数が0.20〜0.45のすべりの良い摺動樹脂Rを配置してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センターベルトの長手方向に沿って所定ピッチでブロックを固定した高負荷伝動ベルトに関し、ベルト走行時におけるプーリへの進入や脱出する際の抵抗を軽減するとともにセンターベルトに対するブロックの傾きやがたつきの発生を低減した高負荷伝動ベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルト式無段変速装置に使用するベルトは、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻きかかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プーリに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでなくてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常のゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような高負荷伝動の用途には特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用いる必要がある。
【0003】
そのようなベルトとして使用されるものの中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方向の強度を高めた高負荷伝動ベルトがあり、具体的な構成としては、心体をゴムなどのエラストマー中に埋設したセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用いてセンターベルトに使用しているエラストマーよりも比較的硬質のエラストマーからなるブロックを止着固定したものや、特許文献1に示すようにブロックの両側面に溝を有しており、一対のセンターベルトを前記側面に設けた溝に嵌合したようなベルトがある。
【0004】
このようなベルトにおいては走行中にベルトがプーリに進入しブロックがプーリと接触した状態で回転するが、まずプーリからベルトが脱出する際にプーリとの間の摩擦抵抗が高いと騒音や発熱の原因になるということが挙げられる。またブロックがプーリに進入および脱出する際のプーリとの摩擦抵抗が大きいとセンターベルトに対する揺動が大きくなりブロックが進行方向に傾きを生じることがある。そのような動きをすることによって、ブロックとセンターベルトの間でも摩擦が生じ、ベルトの振動や騒音の発生、発熱といった問題につながりベルトの寿命を縮めることにもなる。
【0005】
特許文献1にはブロックの側面にプーリ半径方向の長さが略一定となる突起を設けることによってブロックが走行で摩耗してもプーリとの接触面積が変化せず、ベルト音、発熱、推力バランス等の経時変化を少なく抑えることができるベルトが開示されている。
【0006】
特許文献2には上記のようなセンターベルトにブロックを複数配置したベルトであって、ブロックの嵌合溝にセンターベルトを嵌め込む際に圧縮的に嵌合するような寸法を持たせたベルトが開示されている。ブロックをセンターベルトに圧縮的に嵌合することによって、ブロックのセンターベルトに対する揺動を防止して前記のような問題を解消しようとしたものである。
【0007】
【特許文献1】特開平10−176735号公報
【特許文献2】実開平1−55344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載されたベルトでもベルト走行時のブロックがプーリへ進入したり脱出したりする際の摩擦抵抗を小さくすることはできず、その際の発音や発熱はどうしても大きなものとなってしまう。またブロックの揺動も同じく大きなものとなり、ブロックとセンターベルトとの摩擦も大きくなる。
【0009】
特許文献2に記載されたベルトでもブロックの揺動を防止できる効果を有しているが、ベルトが走行するうちにセンターベルトを構成するゴムなどのエラストマー材にへたりを生じて、ブロックとセンターベルトとの圧縮的な嵌合力が低下してくる。そうすると、ブロックの揺動を防止する効果が徐々に低下して最後にはなくなってしまう。特許文献1の方法では長期的な効果を得ることが難しい。
【0010】
そこで本発明では、このようなセンターベルトに多数のブロックを装着した高負荷伝動ベルトにおいて、ベルトがプーリに進入したり脱出したりする際のブロックとプーリとの摩擦抵抗が大きいことによる騒音や発熱の問題、またそれによってセンターベルトに対してブロックの揺動も大きくなり、発生する振動や騒音、発熱などが大きくなるのを防止し、より寿命の長い高負荷伝動ベルトの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような課題を解決するために本発明の請求項1では、センターベルトと、上ビームと下ビームとそれらの中央部同士を連結するセンターピラーからなっており、上下ビームとセンターピラーとで囲まれた前記センターベルトを嵌合装着する嵌合溝を有する複数のブロックをセンターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで設けてなる高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックの上ビームにおけるプーリとの接触面に摩擦係数が0.2〜0.45の摺動樹脂を配置してなることを特徴とする。
【0012】
請求項2では、摺動樹脂がポリアミド6Tもしくはポリアミド9T、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミドイミドとポリフェニレンサルファイドとのポリマーアロイからなる請求項1記載の高負荷伝動ベルトとしている。
【0013】
請求項3では、摺動樹脂が請求項2記載の樹脂100質量部に対し、超高分子量ポリエチレンもしくはポリエチレンテレフタレート(PTFE)、グラファイト、炭酸カルシウム、二硫化モリブデン、シリコン、アラミド繊維、アラミドパウダーからなる摺動添加剤を3〜67質量部添加したものからなる請求項1〜2のいずれかに記載の高負荷伝動ベルトとしている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1では、ブロックの上ビームにおけるプーリとの接触面に摩擦係数が0.30〜0.45の摺動樹脂を配置することによって、ベルトが走行してプーリへ進入する際やプーリから抜け出る際に上ビームのプーリからの抜けがよく、摩擦による発熱や騒音の発生、またブロックのセンターベルトに対する揺動を小さくし、ブロックが揺動することによりセンターベルトのブロックとの嵌合部が摩耗してしまうといった問題も軽減することができる。
【0015】
請求項2では、ブロックに配置する摺動樹脂としてポリエーテルエーテルケトンを用いるとしており、摩擦係数が低く、更に耐熱性や耐摩耗性に関しても優れており、本発明の効果を更に高めることができる。
【0016】
請求項3では、請求項2記載の摺動樹脂に摺動添加剤を添加するとしており、更に摺動性を高め、摩擦係数がより低く、耐熱性や耐摩耗性に関しても優れており、本発明の効果を更に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る高負荷伝動ベルト1の一例を示す斜視概略図であり、図2はその側断面図である。本発明の高負荷伝動ベルト1は、エラストマー4内にロープ状の心体5をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト3と、このセンターベルト3に所定ピッチで取り付けられた複数のブロック2とから構成されている。ブロックの側面6、7に嵌合溝8、9を有しており、該嵌合溝にセンターベルト3が装着されている。このブロック2の両側面6、7は、プーリのV溝と接触する傾斜面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取って、係止固定されているセンターベルト3を引張り、駆動側プーリの動力を従動側プーリに伝達する。また、センターベルト3の表面にはカバー帆布10がセンターベルトと一体的に積層配置されている。
【0019】
ブロック2は、図1に示すように、上ビーム部11および下ビーム部12と、上下ビーム部11、12の中央部同士を連結したセンターピラー13からなっており、ブロック2の両側面には前述のようにセンターベルト3の嵌合溝8、9が形成されており、嵌合溝8、9内の溝上面および溝下面にはセンターベルト3の上面に設けた凹条部15と下面に設けた凹条部16に係合する凸条部17、18が設けられている。
【0020】
本発明においては、ブロック2の上ビーム11におけるプーリとの接触面に摩擦係数が0.2〜0.45の摺動樹脂R1を配置している。本発明のようなベルトを走行させたときに、ベルトがプーリに進入する際やプーリから抜け出る際に、上ビーム11と下ビーム12が別々のタイミングでプーリに接触または離脱することで、ブロック2のセンターベルト3に対する回転方向の動き(揺動)が発生し、そのことによりブロック2とセンターベルト3の嵌合部において摩擦が発生し、両者の摩耗、特にセンターベルト3側が摩耗してしまう。そうするとブロック2とセンターベルト3の嵌合が緩み、ガタツキが発生してブロック2が破損したり、センターベルト3が切断したりするといった故障につながることになる。
【0021】
本発明のように上ビーム11のプーリに対する滑りをよくしておくことで、ベルト1が走行してプーリへ進入する際やプーリから抜け出る際に上ビーム11のプーリからの抜けがよく、摩擦による発熱や騒音の発生、またブロック2のセンターベルト3に対する揺動を小さくし、ブロック2が揺動することによりセンターベルト3のブロック2との嵌合部が摩耗してしまうといった問題も軽減することができる。
【0022】
摺動樹脂R1の摩擦係数は本発明においては、前述もしたように上ビーム11のプーリとの接触面においては、スラスト試験の摩擦係数が0.2〜0.45の摺動樹脂R1を配置しているが、摺動樹脂R1のスラスト試験における摩擦係数は、更に好ましくは0.2〜0.40の範囲内であることにより、上ビーム11のプーリへの侵入、またプーリからの抜けをスムーズにし、ブロック2の揺動を防止して、センターベルト3の摩耗といった不具合を低減することができる。
【0023】
摺動樹脂Rとして用いることができる樹脂素材としては、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、POM、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミドイミドとポリフェニレンサルファイドとのポリマーアロイを挙げることができる。フッ素系樹脂としては、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化アルコキシエチレンなどが挙げられる。これらの中でもポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレンが、摩擦係数が十分に低く耐熱性にも優れることから好ましい樹脂であるといえる。
【0024】
また、摺動樹脂Rは、上記樹脂素材に摺動添加剤を添加した摺動樹脂も用いることができ、更に摩擦係数が低減できるために好ましい。摺動添加剤としては、超高分子量PEもしくはPTFE、グラファイト、炭酸カルシウム、二硫化モリブデン、シリコン、アラミド繊維、アラミドパウダーを挙げることができる。摺動添加剤の添加量は摺動樹脂100質量部に対し3〜67質量部、好ましくは5〜43質量部である。摺動添加剤の添加量が3質量部未満であると摺動付与効果の発現が少なく、67質量部を超えると混練が困難になることと、物性が著しく低下してしまうためである。
【0025】
更に、持続性や摩擦係数の低減をより図るために、摺動樹脂表面にコーティングを施すことができる。コーティングの種類はDLCコーティング、グラファイトコーティング、二硫化モリブデンコーティング、シリコンコーティング、フッ素コーティングが挙げられる。また、コーティング層は1〜100μmが好ましく、1μm未満の場合、持続性の効果が薄く、100μmを超える場合、コスト高になってしまう。
【0026】
摺動樹脂Rは、例えば図3に示すように上ビームのプーリと接触する端面を含む端部のみを摺動樹脂Rで形成してもよいし、図4に示すように上ビーム全体を摺動樹脂で構成しても良い。樹脂の色成形を行うことによって、このように部分的に特定の樹脂を配置したブロックを成形することができる。しかし、ブロックは、元々駆動軸から従動軸へ高負荷を伝達するもので、プーリから大きな側圧に耐えられることと、大きな剪断力に十分耐えうるものでなければならず、前記摺動樹脂R以外の部分はそれなりの強度を備えた樹脂Rで構成することが好ましい。
【0027】
樹脂Rとして使用できる樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド4.6、ポリアミド6.6、ポリアミド6、ポリアミド9.T、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリブチレンテレフタレートなどを上げることができる。なかでもポリアミド4.6を使用することが好ましい。ポリアミド4.6は結晶樹脂であり、前記熱可塑性樹脂の中でも高温での曲げ剛性及びたい摩耗性に優れ炭素繊維などの繊維状補強材を添加することで、これらの特性が一層向上するものである。また、熱可塑性樹脂を用いることで射出成形が可能であり、ブロックの製造を容易に行うことができる。
【0028】
熱硬化性樹脂としては、硬度90°JIS A以上の硬質ゴム、硬質ポリウレタン樹脂、液晶樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0029】
樹脂Rに配合する繊維状補強材としては、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿繊維等を挙げることができ、その中でもブロック2を構成する樹脂として好ましい例であるポリアミド4.6と炭素繊維を組み合わせて用いることによって炭素繊維がポリアミド4.6の吸水性の欠点を改善し、剛性を大幅に向上させることができて、かつポリアミド4.6の有する耐摩耗性や、耐衝撃性、耐疲労性を生かすことができる。炭素繊維の中でも、PAN系炭素繊維を用いることが好ましい。また、炭素繊維と組み合わせてアラミド繊維を配合することによってブロックの靭性を向上し、耐摩耗性や、耐衝撃性を一層向上させることができる。
【0030】
ここで使用されるPAN系炭素繊維は、熱可塑性樹脂と相性がよく、用いる炭素繊維の長さは1〜5mmのものが好ましい。1mm未満であると、ブロックの補強が十分になされず、また、5mmを超えると樹脂との混練が困難になること、また、混練時に折れて短くなってしまうので好ましくない。
【0031】
また、繊維状補強材として前記の有機繊維のほかにも酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維を配合してもよい。これらの中では酸化亜鉛ウィスカを用いることが好ましい。酸化亜鉛ウィスカは、テトラポット状に四方に手が伸びた立体形状をしている。この酸化亜鉛ウィスカは、これ単独でも耐熱性、耐摩耗性に優れたものであるが、前述のようにテトラポット状の立体形状をしているため、炭素繊維とともに配合すると、炭素繊維の配向が抑制され、成形時のそりや成形収縮の異方性が改良される。更に、このように炭素繊維の配向を低減できるため、ブロック2の靭性、曲げ剛性などの強度についての異方性も低減することができ、かつ摩擦係数が安定するため、耐摩耗性が向上する。
【0032】
また、酸化亜鉛ウィスカは、高比重、高剛性であるため、プーリとの接触時の振動を低減でき、ノイズの発生を小さくすることができる。尚、この酸化亜鉛ウィスカの配合量が少ない場合は、添加した効果が発現せず、多すぎると、混練ができなくなり成形自体が困難となる。
【0033】
このような材料構成とすることによって、プーリと接する際に受ける側圧にも十分に耐えうる剛性、靭性などの強度を有するとともに、耐摩耗性に優れ更には、摩擦時に発生する熱に対しても強いブロックとすることが可能となり、プーリから受ける動力を効率よくセンターベルト3に引張力として伝えることができ、引張伝動式の高負荷伝動ベルトを構成することができる。
【0034】
具体的には、繊維状補強材の配合量は30〜50質量%の範囲としているが、より具体的にはアラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿繊維などのような有機繊維からなる短繊維は1〜60質量%、酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維からなるウィスカ状の補強材は1〜30質量%の割合で配合することが好ましい。このような材料構成とすることによって、プーリと接する際に受ける側圧にも十分に耐えうる剛性、靭性等の強度を有するとともに、耐摩耗性に優れ、更には、摩擦時に発生する熱に対しても強いブロックとすることが可能となり、プーリから受ける動力を効率よくセンターベルト3に引張力として伝えることができ、引張伝動式の高負荷伝動ベルトを構成することができる。
【0035】
また、ブロック2としては、樹脂材中にインサート材Sを埋設したものでもよく、インサート材Sは、ブロック2の耐側圧性や曲げ剛性を持たせる部分となるインサート材Sであり、素材としてはアルミ合金、セラミックス、セラミックスとアルミニウムとの複合材料、炭素繊維強化樹脂や鉄などの素材が挙げられる。
【0036】
耐側圧性や曲げ剛性を持たせるという面では金属材料が好ましく、金属材料の中ではアルミ合金の弾性率が7000kgf/mmで比重が2.8であるのに対し、鉄は弾性率が22000kgf/mmで比重が7.8であり、強度的には鉄を用いるほうが高いといえるが、高速で回転するベルトにとって、ベルト重量は寿命に大きく影響を与えるため軽量化の面で有利なアルミ合金を用いることが好ましい。ただし、耐側圧性や曲げ剛性を持たせるという面では金属材料が優れており、インサート材Sに樹脂を被覆したブロック2を用いることが好ましい。
【0037】
この場合、ブロック2の大きさよりもひと回り小さい金属材料からなるインサート材Sを用いてそのほぼ全面を樹脂材で被覆したものを用いると、樹脂材の剥離などの問題が発生しにくいので好ましい形態ということができるが、部分的にインサート材Sが露出したような形態のものでも構わない。
【0038】
なお、本発明にかかる高負荷伝動ベルトに用いられるブロックには、本実施形態に示した形態に限定されるものではない。
【0039】
センターベルト3のエラストマー4として使用されるものは、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレンなどの単一材またはこれらを適宜ブレンドしたゴムあるいはポリウレタンゴム等が挙げられる。そして、心体5としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチールワイヤ等から選ばれたロープが用いられる。また、心体5はロープをスパイラル状に埋設したもの以外にも、上記の繊維の織布、編布や金属薄板等を使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
自動車や自動二輪車、農業機械の無段変速装置など、プーリの有効径が変化し大きなトルクを伝達するようなベルトの製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の高負荷伝動ベルトの要部斜視図である。
【図2】本発明の高負荷伝動ベルトの側面図である。
【図3】本発明に用いられるブロックの例を示す正面図である。
【図4】本発明に用いられるブロックの例を示す正面図である。
【図5】本発明に用いられるブロックの例を示す正面図である。
【図6】本発明に用いられるブロックの例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 高負荷伝動ベルト
2 ブロック
3 センターベルト
4 エラストマー
5 心線
6 側面
7 側面
8 嵌合溝
9 嵌合溝
10 カバー帆布
11 上ビーム部
12 下ビーム部
13 センターピラー
15 凹条部
16 凹条部
17 凸条部
18 凸条部
摺動樹脂
樹脂
S インサート材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センターベルトと、上ビームと下ビームとそれらの中央部同士を連結するセンターピラーからなっており、上下ビームとセンターピラーとで囲まれた前記センターベルトを嵌合装着する嵌合溝を有する複数のブロックをセンターベルトの長手方向に沿って所定ピッチで設けてなる高負荷伝動ベルトにおいて、ブロックの上ビームにおけるプーリとの接触面に摩擦係数が0.2〜0.45の摺動樹脂を配置してなることを特徴とする高負荷伝動ベルト。
【請求項2】
摺動樹脂がポリアミド6Tもしくはポリアミド9T、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミドイミドとポリフェニレンサルファイドとのポリマーアロイからなる請求項1記載の高負荷伝動ベルト。
【請求項3】
摺動樹脂が請求項2記載の樹脂100質量部に対し、超高分子量ポリエチレンもしくはポリエチレンテレフタレート(PTFE)、グラファイト、炭酸カルシウム、二硫化モリブデン、シリコン、アラミド繊維、アラミドパウダーからなる摺動添加剤を3〜67質量部添加したものからなる請求項1〜2のいずれかに記載の高負荷伝動ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−127413(P2010−127413A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303639(P2008−303639)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】