説明

高軟化温度を有する樹脂の粒子化方法

【課題】高軟化温度を有する樹脂の粒子化方法を提供する。
【解決手段】この粒子化方法は、溶融樹脂のストランドを製造するための孔開きプレート2と、プロセス流体および切断装置3を含むプロセスチャンバー1とを用い、プロセスチャンバー1からプロセス流体と粒子との混合物が排出され、粒子が冷却セクション7にて冷却される、特に120℃以上の高軟化温度を有する樹脂の粒子化方法である。この方法においては、プロセスチャンバー1には、特には水であるプロセス流体が、120℃以上の温度、および2bar以上の圧力で満たされており、プロセス流体と粒子との混合物は、圧力を維持しつつ冷却セクション(7)を通過し、セパレータ(8)に導入され、セパレータ(8)において、粒子は、大気圧まで減圧するための圧力ロック(10)を通過した後に、プロセス流体から分離され、排出される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高軟化温度、特に120℃以上の高軟化温度を有する樹脂の粒子化方法に関するものである。この方法は、溶融樹脂のストランドを製造するための孔開きプレートと、プロセス流体および切断装置を含むプロセスチャンバーとを用いる。このプロセスチャンバーは、プロセス流体と粒子の混合物を排出する。そして、冷却セクションにて上記粒子が冷却される。このような樹脂は、例えば、ポリカーボネート、ポリカーボネートブレンド、ポリスチレン、低粘性PET、または熱可塑性樹脂である。
【背景技術】
【0002】
プロセス可能な溶融ポリマーの粒子化は、WO2004/080679 A1に記載されている。10%以下の凹状部分を含み、その他は全体的に凸状である粒子を得るために樹脂の粒子化を行うとき、この公報に記載されているところによると、ストランド状の各溶融ポリマーは、プロセス液体に満たされたプロセスチャンバーに供給され、切断装置によって粒子に切断される。その結果生じる粒子とプロセス流体の混合物は、その後に、液体冷媒中において、60℃〜130℃の間の温度まで冷却される。
【0003】
WO2004/033174 A1は、以下に示すポリマー樹脂の粒子化方法をさらに記載している。この方法においては、粒子化プロセスは、100℃以上の温度に維持された液体槽において実行される。そして、粒子は、粒子化された後、即座に100℃以上の温度に維持された圧力容器のような液体層内にて処理される。なお、好ましくは、この液体槽は、水槽である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2004/080679 A1号公報
【特許文献2】WO2004/033174 A1号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、また、高軟化温度、特に120℃以上の高軟化温度を有する樹脂の粒子化方法に関するものであって、結果物としての粒子が、大部分に空洞を含まないように設計される、粒子方法に関するものである。本発明によれば、プロセスチャンバーが、120℃以上の温度、および2bar以上の圧力に維持されたプロセス流体、特には水に満たされている。そして、プロセス流体と粒子の混合物が、上記のように圧力が維持されつつ冷却セクションを通過し、セパレータに導入される。粒子は、まず、大気圧にまで圧力を下げるための圧力ロックを通過し、上記セパレータにおいて、プロセス流体と分離され、排出される。
【0006】
この粒子化方法は、プロセス流体の比較的に高い温度および圧力のコンビネーション、すなわち120℃以上の温度と2bar以上の圧力のコンビネーションを、意図的に使用している。120℃以上の比較的に高い温度のために、この方法は、高軟化温度を有する樹脂を粒子化するために用いることができる。それとともに、切断装置において2bar以上の比較的に高い圧力を適用することによって、空洞が形成されることが、事実上完全に防止される。ここで、圧力は特に、切断装置に続いて冷却セクションまでに及ぶ。
【0007】
冷却セクションの後、冷却された粒子は、圧力を負荷された状態でプロセス流体から分離され、排出される。冷却セクションの後に連結されたセパレータは、この目的のために用いられる。ここで、粒子は、圧力を負荷された状態でプロセス流体から分離され、大気圧にまで圧力を下げるための圧力ロックを通過するように案内される、その後、粒子は、更なる処理を施すことが可能な状態とされる。
【0008】
このプロセスにおいて、熱交換器により、特にプロセス流体に含まれる熱を復元することも可能である。これは、以下のように有利に達成される。プロセス流体と粒子の混合物は、一度冷却セクションを通過すると、その次に熱交換器に案内され、熱が復元される。そして、圧力ロックを通り、プロセス温度の沸点以下の温度で、セパレータに至る。このセパレータは、一方で粒子を排出し、他方で、プロセス流体を、上記熱交換器を介してプロセスチャンバーに復帰させる。
【0009】
切断装置は、有利には、高温樹脂ストランドが孔開きプレートを介して供給される水中造粒機の形態として設計される。これらのストランドは、孔開きプレートから出て、孔開きプレート上を横断する切断ロータによって粒子状に切断される。
【0010】
本発明に係る実施形態が、以下の図に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プロセス流体と粒子の混合物に圧力を加え、冷却セクションを通過後に、セパレータにおいて分離する方法に係る実施形態を表す図である。
【図2】プロセス流体と粒子の混合物が、圧力ロックを介してセパレータに導かれ、そこで熱を復元する方法に係る実施形態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示されているのは、本発明に係る方法のある特定の実施形態を示している。この方法においては、プロセスチャンバー1は、それ自体は公知の水中造粒機によって構成され、また、孔開きプレート2および切断ロータ3によって、通常の形式として構成されている。切断ロータ3の刃は、孔開きプレート2を横切るように設置されており、樹脂ストランドを切断する。樹脂ストランドは、プロセスチャンバー1に、溶融樹脂として供給ライン4を介して供給され、上記した孔開きプレート2から放出されて供給される。そして、る。切断プロセスは、プロセスチャンバー1に供給されるプロセス流体を用いた公知の方法で、プロセスチャンバー1において行われる。プロセス流体は、供給ライン5を介してプロセスチャンバー1の内部に強制的に導入される。プロセス流体は、特には水であって、120℃以上の温度、および2bar以上の圧力で、プロセスチャンバー1内部に満たされている。
【0013】
プロセスチャンバー1にて製造される粒子は、その後に、プロセス流体と混合され、その結果生成される混合物は、供給ライン6を経て冷却セクション7へと供給される。冷却セクションにおいては、圧力は維持されており、続くセパレータ8にて粒子をプロセス流体から分離するために要するのと同程度の熱が、粒子から抜かれることとなる。供給ライン9は、粒子を圧力ロック10に供給する。圧力ロック10は、特にはロータリーフィーダーとして構成され、供給された材料を大気圧まで減圧する。そして、さらなる処理に供される粒子として、出口11から排出される。
【0014】
セパレータ8によって分離されたプロセス流体は、供給ライン12を介して、フィルター/ポンプユニット13に供給される。フィルター/ポンプユニット13において、プロセス流体から微細な粒子が分離され、システムの圧力は、2bar以上に設定される。供給ライン14を介して、プロセス流体は、温度設定ユニット15へと導入される。この温度設定ユニット15において、エネルギーフロー16(加熱または冷却)により、120℃以上の温度に設定される。温度設定ユニット15から放出されたプロセス流体は、与えられた圧力および温度で、プロセスチャンバー1へ供給ライン5を介して供給される。
【0015】
本発明に係る方法を実行するための他の実施形態を、図2に示す。この実施形態は、熱の復元のための熱交換器17を備えている。この熱交換器17は、以下に示す方法による全体設計に組み込まれている。
【0016】
溶融樹脂が供給ライン4を介して供給されることや、プロセスチャンバー1の動作原則は、図1を参照して上記した方法と同様である。すなわち、図1に係る設計は、この実施形態にも同様に適用される。図1に示す実施形態と同様に、プロセス流体と粒子の混合物は、冷却セクション7を経て、図2に象徴的に図示されている熱交換器17へと送られる。この熱交換器17は、特に、公知のヒートポンプの形態で実現される。熱交換器17は、供給ライン18を介して混合物を受け取り、以下に説明するように熱を異なる目的のために用いつつ、混合物を低温度で排出口19へと送る。排出口19から排出された混合物は、その後に、圧力ロック10を通過する。圧力ロック10の排出口は、大気圧と同等の圧力の冷却された混合物を排出する。ここから、混合物は、供給ライン20を介してセパレータ8へと供給される。セパレータ8の排出口21にて、セパレータ8は、純粋な粒子を、さらなる処理に供するために、大気圧且つ冷却された温度で排出する。分離されたプロセス流体は、供給ライン22を介して、セパレータ8からフィルター/ポンプユニット13へと供給される。そして、上記フィルター/ポンプユニット13は、純化されたプロセス流体を、供給ライン23を介して、熱交換器17の流入口24へと供給する。この流入口24は、プロセス流体を熱交換器17内へと案内する。そこでプロセス流体は、熱交換器17に蓄積された熱を吸収し、加熱される。そして、さらなる利用のために、プロセス流体は、熱交換器17の排出口25にて熱を放出し、図1に示す方法による温度設定ユニット15に供給される。温度設定ユニット15は、高温・高圧のプロセス流体が供給ライン5を介してプロセスチャンバー1に供給されることを確証する。
【符号の説明】
【0017】
1 プロセスチャンバー、2 孔開きプレート、3 切断ロータ、4,5,6,9,12,14,18,20,22,23 供給ライン、7 冷却セクション、8 セパレータ、10 圧力ロック、11 出口、13 フィルター/ポンプユニット、15 温度設定ユニット、16 エネルギーフロー、17 熱交換器、19,21,25 排出口、24 流入口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融樹脂のストランドを製造するための孔開きプレート(2)と、プロセス流体および切断装置(3)を含むプロセスチャンバー(1)とを用い、前記プロセスチャンバー(1)から前記プロセス流体と粒子との混合物が排出され、前記粒子が冷却セクション(7)にて冷却される、特に120℃以上の高軟化温度を有する樹脂の粒子化方法であって、
前記プロセスチャンバー(1)には、特には水である前記プロセス流体が、120℃以上の温度、および2bar以上の圧力で満たされており、
前記プロセス流体と前記粒子との混合物は、圧力を維持しつつ冷却セクション(7)を通過し、セパレータ(8)に導入され、
前記セパレータ(8)において、前記粒子は、大気圧まで減圧するための圧力ロック(10)を通過した後に、前記プロセス流体から分離され、排出されることを特徴とする、粒子化方法。
【請求項2】
前記プロセス流体と前記粒子との混合物が前記冷却セクション(7)を通過した後に、前記粒子は、前記セパレータにおいて高圧力下で前記プロセス流体から分離され、その後に前記圧力ロック(10)に供給されることを特徴とする、請求項1に記載の粒子化方法。
【請求項3】
前記プロセス流体と前記粒子との混合物が前記冷却セクション(7)を通過した後に、当該混合物は、熱の復元のために熱交換器(17)に案内され、前記圧力ロック(10)を介して、前記プロセス流体の沸点以下の温度で前記セパレータ(8)に供給され、
前記セパレータ(8)は、一方で前記粒子を排出し、他方で前記プロセス流体を、熱交換器(17)を介して前記プロセスチャンバーへと戻すことを特徴とする、請求項1に記載の粒子化方法。
【請求項4】
エネルギの復元のためにヒートポンプを用いることを特徴とする、請求項3に記載の粒子化方法。
【請求項5】
前記切断装置として、水中造粒機を用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子化方法。
【請求項6】
粒子化される樹脂は、ポリカーボネート、ポリカーボネートブレンド、ポリスチレン、低粘性PET、または熱可塑性樹脂であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の粒子化方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−512051(P2012−512051A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539966(P2011−539966)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008996
【国際公開番号】WO2010/072361
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(509147765)アオトマーティック プラスティックス マシナリー ゲーエムベーハー (6)
【Fターム(参考)】