説明

高輝度発光ダイオードを利用した視覚航法援助システム

進入してくる飛行機、船舶、又は他の交通機関を進入経路に誘導する視覚航法援助システムを提供する。視覚航法援助システムは、高輝度の発光ダイオード(LED)またはLEDアレイと光ビーム整形装置とを含み、異なる色またはストロボモードを有する複合光ビームを発生させ、進入してくる飛行機、船舶、又は他の交通機関を予定の進入経路に誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に視覚航法援助システムに関し、より具体的には、高輝度発光ダイオードを利用した精密進入経路指示灯(PAPI)に関する。
【背景技術】
【0002】
進入角指示灯(VASI)または精密進入経路指示灯(PAPI)は、複合ビーム光源の色の変化を利用して、交通機関(例えば、飛行機)を正確な滑空角(glide slope)に誘導する。上述のVASI装置またはPAPI装置は、白熱灯、蛍光灯、又はアーク灯を利用した光源を使用する。いくつかの例が、米国特許第4,034,480号、第4,064,424号、第4,183,078号、第4,430,695号及び第4,532,512号に記載されている。
【0003】
Mehrtensによる、タイトルが“航空機の目視降下照準装置(VISUAL DESCENT SIGHTING DEVICE FOR AIRCRAFT)”である米国特許第4,034,480号には、着陸のためにパイロットが滑走路に最終進入を行っている間、パイロットに対して、目視下降ガイダンスを提供する独立式照準装置が記載されている。上記装置は、仮想の進入経路と平行に照準するフレームまたはウィンドウを有し、パイロットの視線を自動的に所望の進入経路と平行になるように向け、パイロットがスムーズに目的とする着陸点に進入することができるようにしている。
【0004】
Hergenrotherによる、米国特許第4,064,424号に、目視グライドパスビーコンシステムが記載されている。ビーコン灯が、対で、滑走路の両端に実装され、これにより、現在、滑走路を表すのに使用されている従来の滑走路灯を省くことができるようにしている。上記発明は、レンズが使用されるときに生じる収束(convergence)を取り巻く暗帯を埋めて、カラー領域の輝度を強めるために、レンズの反対側に設置された孔付きの反射鏡を用いている。これにより、パイロットは、強められたカラー領域のガイダンスの範囲内だけでなく、場周経路の全ての部分でビーコンを見ることができる。上記発明は、カラーフィルタに投射してカラー領域を形成する単一の光源を用いる代わりに、わずかに異なる(1度程度異なる)方向にカラー領域を投影する2つの光源(白熱灯など)を使用する。また、二つの光源を交替に点灯することにより、カラー領域のパターンの“スキャニング”作用を発生させる。
【0005】
Kiddによる、米国特許第4,183,078号に、空港滑走路の端で使用される進入角指示灯ユニットが記載されている。進入角指示灯ユニットは、光の分割ビームを生成する。ビームの境界面は、進入してくる飛行機を誘導する飛行路線の所望の角度に応じて調節される。上記指示灯ユニットは、少なくとも2つの投影管が取り付けられた支持組立部品を有する。各投影管は、移動可能で且つ予め位置合わせされたプロジェクタを収容する。プロジェクタは、光源と、赤色を通過させるフィルタと、光の分割ビームを生成するために設けられた発散レンズと、を含む。
【0006】
Payneらによる、米国特許第4,430,695号に、飛行機着陸補助プロジェクタを位置合わせする目視着陸補助装置が記載されている。上記着陸補助プロジェクタは、放物面反射鏡の焦点に位置する光源と、放物面反射鏡と同軸に配置されたレンズと、放物面反射鏡とレンズとの間でレンズ焦点の近くに配置されたフィルタと、を含む。上記装置は、プロジェクタを支持する表面部を備えた基座と、プロジェクタからの光を受像手段に集中させるレンズと、受像手段の観察を可能にする手段と、を有する。プロジェクタのフィルタは、フィルタが受像手段の焦点に現れるように、正しく配置される。
【0007】
Tannerによる、米国特許第4,532,512号に、ヘリポート用の全方向進入角指示灯ユニットが記載されている。上記ユニットは、回転軸に固定された、2つの逆方向の光ビーム生成器を含む。光ビーム生成器は異なる色の光ビームを生成し、進入する飛行機に対して、光ビームにより示される滑空角との相対位置を警告する。
【特許文献1】米国特許第4034480号明細書
【特許文献2】米国特許第4064424号明細書
【特許文献3】米国特許第4183078号明細書
【特許文献4】米国特許第4430695号明細書
【特許文献5】米国特許第4532512号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した、ランプを利用するVASI装置またはPAPI装置の欠点は、耐用寿命が短い(2000時間より少ない(<2,000時間))ことである。この問題を解消するため、レーザーを利用したVASI装置またはPAPI装置が、Shemwellによる米国特許第5,278,104号(着陸する飛行機を援助する方法及び装置を記述している。)により、提案された。三種類の色のレーザー光線が生成され、その一つのレーザー光線は、飛行機が進入してくる方向を含む平面内に送信され、もう一つの光線は、飛行機の一方の側面に送信され、三番目の光線は、飛行機の他方の側面に送信される。飛行機のパイロットは、見える光の色により、飛行機が平面上か一方の側面かまたは他方の側面に位置しているかどうかを判断できる。必要に応じて、飛行機の一方の側面の方向に送信される色のレーザー光線の少なくとも一つが、複数の隣り合う扇形ビームに分岐されうる。その扇形ビームの少なくとも一つの光は、間欠的に中断される。しかしながら、レーザーを利用したVASI装置またはPAPI装置には、一般的に、コストが高く、ルミナスパワー、すなわち、光束が低い、という欠点がある。
【0009】
そのため、耐用寿命が長く、コストが低く、且つルミナスパワーが高い、改良されたVASI装置またはPAPI装置が必要とされる。
【0010】
本発明は、最近開発された高輝度発光ダイオード(LED)またはLEDアレイを光源として利用する、新型のPAPI装置又はVASI装置を提供する。LEDは、従来のランプや他の照明装置を越える利点を有する。例えば、白熱灯に比べて、各単位パワー消費(ワット)あたり、より多くの光を発生させることができる。また、LEDは、カラーフィルタを必要とせずに、目的とする色を発光できる。よって、効率がより良くなり、且つ初期コストがより低くなる。更に、低輝度で作動するときに発光色合いが黄色に傾く白熱灯と異なり、LEDの発光色合いは、駆動電流が低下しても変化しない。一般的に、LEDは、LEDを保護する固いケース内に組み込まれるため、白熱灯や放電ランプと異なり、非常に耐久性がある。定格パワーで動作するときのLEDの耐用寿命は長く、一般的には100,000時間以上である。これは、蛍光灯の2倍であり、白熱灯の20倍である。他の利点としては、例えば、点灯時間が短く、通信設備に適している。また、LED光源は、FAA、ICAO、UK−CAA、NATO及び飛行機や他の交通機関の進入灯に関する他の国際組織標準の要求を満たす、高いルミナスパワーと光度(luminous intensity)を実現できる。
【0011】
本発明は、LEDビームの異なる色(または異なるストロボモード(flash patterns))間の遷移域が、精密進入経路指示に適した小さな広がり角に絞り込まれるように、LED光のビームの形状を制御する、新規の光学系を提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の目的は、PAPI装置の性能を制御する複数のセンサー素子を提供することである。それらのセンサー素子は、LEDビームの仰角を測定する傾斜角センサーと、環境温度を測定する温度センサーと、LEDの光強度及び環境光の状態を測定する光検出素子と、を含む。センサーにより収集された情報は、マイクロコントローラに送信され、PAPIの動作条件に従って、LEDの光強度が調節されうる。
【0013】
本発明は、手動制御、又は無線送受信機を利用して遠隔制御される、PAPI装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、交通機関を予定の進入経路に誘導する視覚航法援助システム(visual navigational aid)を提供する。この視覚航法援助システムは、異なる色及び/又はストロボモード(flash patterns)を有する複合光ビームを発生させる複数の高輝度の発光ダイオードまたは発光ダイオードアレイと、上記光ビームの形状を制御して、異なる色及び/又はストロボパターンの光ビームを狭い遷移域により層構造に分離し、光ビームの色及び/又はストロボモードの変化を用いて、交通機関を進入経路に沿って誘導する、複数の光ビーム整形装置と、を有する。
【0015】
本発明は、交通機関を着陸させるための、予定の進入経路に関連する着陸域(landing area)を構築する方法を提供する。この方法は、着陸域付近又は着陸域内に、視覚航法援助システムを設置するステップを含み、上記視覚航法援助システムは、異なる色及び/又はストロボモードを有する複合光ビームを発生させる複数の高輝度の発光ダイオードまたは発光ダイオードアレイと、上記光ビームの形状を制御して、異なる色及び/又はストロボモードの光ビームを狭い遷移域により層構造に分離し、光ビームの色及び/又はストロボモードの変化を用いて、交通機関を進入経路に沿って誘導する、複数の光ビーム整形装置と、を有する。
【0016】
本発明は、交通機関を着陸させるための、予定の進入経路に関連する着陸域を提供する。この着陸域は、着陸域内に組み込まれたまたは着陸域に関連した、少なくとも一つの視覚航法援助システムを含み、各視覚航法援助システムは、異なる色及び/又はストロボモードを有する複合光ビームを発生させる複数の高輝度の発光ダイオードまたは発光ダイオードアレイと、上記光ビームの形状を制御して、異なる色及び/又はストロボモードの光ビームを狭い遷移域により層構造に分離し、光ビームの色及び/又はストロボモードの変化を用いて、交通機関を進入経路に沿って誘導する、複数の光ビーム整形装置と、を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本出願は、申請番号60/766,371、申請日2006年1月13日、“高輝度発光ダイオードを利用した視覚航法援助システム(Visual Navigational Aids Based on High Intensity LEDs)”を名称とする、米国の仮出願の優先権を主張する。米国特許法35USC§119(e)に基づく、上記米国の仮出願の利益を要求する。上記仮出願は、参照することにより、この明細書に組み込まれる。
【0018】
添付の図面は、種々の実施形態を示し、且つ本発明の種々の原理及び利点を説明するために用いる。異なる図面中、同一の参照符号は、同一又は機能的に類似の要素を示す。図面は、以下の詳細な説明と共に、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する。
【0019】
当業者には、図中の要素は、簡素且つ明瞭にするために描かれたものであり、必ずしも縮尺して描かれていないことがわかる。例えば、本発明の実施形態に対する理解を促進するために、図中のある要素の寸法は他の要素と比較して、誇張されている場合がある。
【0020】
本発明の具体的な実施形態を記述する前に、これらの実施形態が、主に、高輝度発光ダイオードを利用した視覚航法援助システムに関する方法のステップ及び装置の構成要素の組み合わせであることを述べておく。図において、装置の構成要素及び方法のステップが、慣習的な符号を割り当てられて示されており、明細書が不明確にならないように本発明の実施形態の理解に直接関係する特定の項目のみを記述し、当業者が容易に理解できる内容について説明を省略する。これにより、ここに記述の利点を備える。
【0021】
本明細書において、第一と第二や上部と下部などの関係用語は、単に、一つの実体や動作を他の実体や動作から区別するために使用されるものであり、実体や動作間において、実際の関係や順番を必ずしも必要としない又は意味しない。用語“有する("comprises"、"comprising"、またはその変化形)”は開放形式である。複数の構成要素を含む、プロセス、方法、物件(article)、または装置は、列挙された構成要素のみを含むものではなく、特に列挙されていないその他の構成要素や、それらのプロセス、方法、物件、または装置に固有の構成要素を含んでもよい。また、構成要素の前方に“一つ”が付けられる場合("comprises ...a")でも、さらなる制限はなく、複数の同一の構成要素が、プロセス、方法、物件、又は装置内に含まれることもある。
【0022】
図1は、本発明の好ましい実施形態のブロック図である。図1は、精密進入経路指示灯(PAPI)100を示している。精密進入経路指示灯(PAPI)100は、2つのグループである高輝度のLED102、104を有する。LED102、104は、それぞれ、二つの異なる色の光ビーム、例えば、白色と赤色の光ビームを生成する。適用要件に応じて、LED光ビームの最大光度(luminous intensity)は、30,000カンデラより大きくなる(>30,000cd)。このような高光度は、LEDチップが直接、熱伝導性基板に表面実装されて、より良い放熱が得られる、チップオンボード(COB)LED技術により実現できる。COBパッケージにより、LEDチップは、より大きい発光面積とより高い駆動電流を得られるため、その出力パワーが増加する。COBパッケージにより、耐用寿命は長くなり、波長及び輝度が安定する。2つのLED電流制御器106、108及びマイクロコントローラ110によってLEDの駆動電流を制御することにより、LEDの光強度を調節できる。マイクロコントローラ110は、前面パネルや無線送受信機(両者とも図示せず。)からの指令を受信できる。
【0023】
LEDの輝度を自動制御するために、複数のセンサー素子がPAPI装置100に組み込まれている。図1を参照すると、光検出素子112は環境光の状態を測定するのに用いられる。取得された情報がマイクロコントローラ110に送信されて、PAPI100を昼モードの動作(最大LED光強度の90〜100%に対応する。)と夜モードの動作(最大LED光強度の5%又は20%に対応する。)との間で切り替える。もう一つの光検出素子113は、LED光源102、104の光強度を測定するのに利用される。光検出素子113は、マイクロコントローラ110にフィードバック制御情報を提供し、構成部品の老朽や動作条件及び環境状況にかかわらず、LED光強度を一定レベルに維持する。傾斜角センサー114は、PAPI装置100の仰角を測定するのに使用される。測定されたデータは前面パネルに表示されて、ビーム照準に利用される。同時に、上記データは、マイクロコントローラ110が、傾斜角制御器116を利用して、自動的にPAPI100の仰角を制御できるように、マイクロコントローラ110に送信される。さらに、測定された仰角が所定の許容範囲を超える時、マイクロコントローラ110は、LED光源102、104を消光することができる。また、PAPI100には、更に、温度センサー118が含まれる。温度センサー118は、検知した温度情報をマイクロコントローラ110に送信し、検知した環境温度の変化に基づいて、LED駆動電流を調節することを可能にする。これにより、温度変化によるLEDの光強度の変化を除去する。開示されたPAPI装置100は、標準の交流(AC)電源120で動作する。交流−直流変換器122がPAPI装置100に内蔵され、装置100のすべての構成部品にDC(直流)電力を供給する。
【0024】
図2は、上記PAPI装置の動作モードを示している。白色LED102は、上部の白色光ビーム101を発生させ、赤色LED104は、下部の赤色光ビーム103を発生させる。LEDビームの形状を制御することにより、白色照明領域101と赤色照明領域103が、水平面にある狭い遷移域105によって分離される。遷移域105の垂直広がり角(α)は、弧の3分以下(<3’)である。説明の便宜上、図では、広がり角αが大きく表示されていることに注意すべきである。LEDモジュールの傾斜角(β)は、種々の滑空角の要件に応じて、所定の範囲内(例えば、2°から8°までの間)に調節されうる。
【0025】
図3は、ビーム整形光学系の詳細を示している。COBパッケージされた赤色LED104は、ヒートシンク124上に垂直に実装される。赤色LED104から放射された光は、一組の光学レンズ126、128によって集められて、レンズペア126、128の像平面上にLEDの画像を形成する。ビーム整形装置130は、上記像平面上に設置される。上記ビーム整形装置は、瞳132と、鋭いエッジを有するブレード134とからなる。ブレード134によりLED画像の下部が遮断されて、鋭い線形エッジを有する照明パターンが水平面に形成される。ビーム整形装置130の傾斜角と垂直位置は、二つの調整ねじ138で、精度良く調節されうる。照明パターンは、もう一つの光学レンズ136の焦点面上に位置付けられる。光学レンズ136は、LEDビームを平行にして、鋭いエッジと固定仰角を有する赤色LEDビームを形成する。LEDビームの仰角は、LED装置の傾斜により、決められる。鋭いエッジを有する白色LEDビームは、類似の方法で生成されうる。この場合、ブレードは、LED画像の上部を遮断する箇所に位置付けられる。二つのLEDビームを、それらの線形エッジを合わせて組み立てると、上部に白色光、下部に赤色光を備えた、二色のLEDビームが形成される。各LEDのビーム整形装置130の位置を精度良く調節することにより、白色から赤色への遷移域をできるだけ狭くすることができる。本実施形態の変形例として、標準光学レンズ136の代わりに、円柱光学レンズを利用して、遷移域の幅や垂直の広がり角をさらに狭くしてもよい。
【0026】
図4は、本発明の図1で説明されたPAPI装置100により定義された、飛行機402などの交通機関のための進入経路400を示す。交通機関は、飛行機402や宇宙船等を含む。滑走路404の一部などに、PAPI装置100を備えた着陸域が設けられる。PAPI装置100は、例えば、滑走路404上またはその近辺に実装される。着陸域は、滑走路404の他に、海港の埠頭等の物理的な実体であっても良い。PAPI装置100を提供することにより、いずれの着陸域も有利に効果を得ることができる。
【0027】
本発明の他の実施形態では、可視LEDの代わりに、赤外LEDを利用して、暗視ゴーグルを掛けるパイロットに対して、航法援助を提供する。この実施形態では、LEDまたはLEDアレイが二つの光ビームを生成し、光ビームの一つが強度調整によりストロボモードを発生する。第1の実施形態に類似する光ビーム整形装置を利用して、定常光のLEDビームとストロボ光のLEDビームが組み合わされ、異なるストロボモード間に狭い遷移域を備えた複合パターンの光ビームが形成される。LEDビームの強度とストロボモードは、種々の環境条件に応じて、マイクロコントローラにより、自動的に制御されうる。
【0028】
本発明の更に他の実施形態では、複合色(紫外、可視、または赤外)及び/又は複合ストロボモードのLED光が中心線指示灯として使用され、飛行機を空港滑走路の中心線に誘導する。この実施形態では、LEDビームは、狭い遷移域と滑走路中心線とが一致するように、水平方向に分離される。進入する飛行機のパイロットは、観察した色やストロボモードに従って、その進入経路を調整することができる。
【0029】
以上の説明では、本発明の特定の実施形態が記述されたが、当業者は、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正や変形が可能であることがわかる。例えば、半導体技術の発展とともに、より高い輝度のLEDを容易に利用できる。これにより、PAPI装置に用いられるLEDの数を更に低減することができる。追加の色やストロボモードをLEDビームに加えることにより、さらに精密な進入経路指示を提供することができる。特定の実施形態で言及されたLEDの色、ストロボモード、及び光度は、例証であって、限定するものではない。LEDを利用した進入経路指示灯は、照準機能を必要とするいずれの航法援助の応用にも用いることができる。例えば、上記LED光を、ターミナルゲートに進入する飛行機を誘導するためのゲートマーカー(gate marker)として、又は荷積み埠頭内のゲートマーカーとして、使用することができる。また、本発明は、進入する船の照準を、船舶用水路/港/船橋に合わせる海上ナビゲーションとして、使用されうる。本明細書及び図面は例証であり、限定的意味はない。上記のような全ての変形は、本発明の範囲内に含まれる。利益、利点、問題の解決、及びいずれの構成要素(利益、利点、又は解決を発生させ又はさらに明白にさせる。)も、いくつかの又は全ての請求項の、臨界の、必要とされる、又は本質的な特徴又は要素として、解釈されることはない。本発明は、添付の特許請求の範囲(本出願の係属中に行われる補正を含む。)と、特許証発行時の特許請求の範囲と同等のものによってのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】LEDを利用した精密進入経路指示灯(PAPI)のブロック図
【図2】精密進入経路指示灯の動作モードを示す図
【図3】精密進入経路指示灯の光学系設計を示す図
【図4】本発明に適した、着陸域に関連する視覚航法援助システムを備えた、交通機関の着陸域を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関を予定の進入経路に誘導する視覚航法援助システムであって、
異なる色及び/又はストロボモードを有する複合光ビームを発生させる複数の高輝度の発光ダイオードまたは発光ダイオードアレイと、
上記光ビームの形状を制御して、異なる色及び/又はストロボモードの光ビームを狭い遷移域により層構造に分離し、上記光ビームの色及び/又はストロボモードの変化を用いて、交通機関を進入経路に沿って誘導する、複数の光ビーム整形装置と、
を有することを特徴とする視覚航法援助システム。
【請求項2】
上記光ビーム整形装置は、少なくとも1つの鋭い線形エッジを備えたビームブロッキング素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の視覚航法援助システム。
【請求項3】
上記発光ダイオードまたは上記発光ダイオードアレイは、紫外光線、可視光線、及び/又は赤外光線を発生させることを特徴とする請求項1に記載の視覚航法援助システム。
【請求項4】
近場及び遠隔地からの指令を受信して、発光ダイオードの輝度を制御する制御器をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の視覚航法援助システム。
【請求項5】
複数のセンサー素子をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の視覚航法援助システム。
【請求項6】
上記センサー素子は、光検出素子、温度センサー、及び/又は傾斜角センサーを含むことを特徴とする請求項5に記載の視覚航法援助システム。
【請求項7】
上記センサー素子により収集された情報が上記制御器に送信されて、自動的に発光ダイオードの輝度が調節されることを特徴とする請求項5に記載の視覚航法援助システム。
【請求項8】
上記視覚航法援助システムの傾斜状態または位置を制御する傾斜角制御器をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の視覚航法援助システム。
【請求項9】
交通機関を着陸させるための予定の進入経路に関連する着陸域を構築する方法であって、
着陸域付近又は着陸域内に視覚航法援助システムを設置するステップを含み、
上記視覚航法援助システムは、
異なる色及び/又はストロボモードを有する複合光ビームを発生させる複数の高輝度の発光ダイオードまたは発光ダイオードアレイと、
上記光ビームの形状を制御して、異なる色及び/又はストロボモードの光ビームを狭い遷移域により層構造に分離し、上記光ビームの色及び/又はストロボモードの変化を用いて、交通機関を進入経路に沿って誘導する、複数の光ビーム整形装置と、
を有することを特徴とする着陸域を構築する方法。
【請求項10】
上記光ビーム整形装置は、少なくとも1つの鋭い線形エッジを備えたビームブロッキング素子を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記発光ダイオード又は上記発光ダイオードアレイは、紫外光線、可視光線、及び/又は赤外光線を発生させることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
上記視覚航法援助システムは、近場及び遠隔地からの指令を受信して、発光ダイオードの輝度を制御する制御器をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
上記視覚航法援助システムは、複数のセンサー素子をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記センサー素子は、光検出素子、温度センサー、及び/又は傾斜角センサーを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記センサー素子により収集された情報が上記制御器に送信されて、自動的に発光ダイオードの輝度が調節されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記視覚航法援助システムは、上記視覚航法援助システムの傾斜状態または位置を制御する傾斜角制御器をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項17】
着陸域内に組み込まれたまたは着陸域に関連した少なくとも一つの視覚航法援助システムを含む、交通機関を着陸させるための予定の進入経路に関連する着陸域であって、
各視覚航法援助システムは、
異なる色及び/又はストロボモードを有する複合光ビームを発生させる複数の高輝度の発光ダイオードまたは発光ダイオードアレイと、
上記光ビームの形状を制御して、異なる色及び/又はストロボモードの光ビームを狭い遷移域により層構造に分離し、上記光ビームの色及び/又はストロボモードの変化を用いて、交通機関を進入経路に沿って誘導する、複数の光ビーム整形装置と、
を有することを特徴とする着陸域。
【請求項18】
上記光ビーム整形装置は、少なくとも1つの鋭い線形エッジを有するビームブロッキング素子を含むことを特徴とする請求項17に記載の着陸域。
【請求項19】
上記発光ダイオードまたは上記発光ダイオードアレイは、紫外光線、可視光線、及び/又は赤外光線を生成することを特徴とする請求項17に記載の着陸域。
【請求項20】
各視覚航法援助システムは、近場及び遠隔地からの指令を受信して、発光ダイオードの輝度を制御する制御器をさらに有することを特徴とする請求項17に記載の着陸域。
【請求項21】
各視覚航法援助システムは、複数のセンサー素子をさらに有することを特徴とする請求項20に記載の着陸域。
【請求項22】
上記センサー素子は、光検出素子、温度センサー、及び/又は傾斜角センサーを含むことを特徴とする請求項21に記載の着陸域。
【請求項23】
上記センサー素子により収集された情報が上記制御器に送信されて、自動的に発光ダイオードの輝度が調節されることを特徴とする請求項21に記載の着陸域。
【請求項24】
各視覚航法援助システムは、上記視覚航法援助システムの傾斜状態または位置を制御する傾斜角制御器をさらに有することを特徴とする請求項17に記載の着陸域。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−524133(P2009−524133A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550543(P2008−550543)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/060523
【国際公開番号】WO2007/133819
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508211993)
【氏名又は名称原語表記】Sean Xiaolu WANG
【出願人】(508211971)
【Fターム(参考)】