説明

高速泡ポンプ

【課題】気泡が微細で多数で、泡が濃く滑らかとなるように液体と空気とを激しく混合する泡ディスペンサーをを提供。
【解決手段】液体室22及び空気室24をもつポンプハウジング20であって、液体を充填した容器と連通し、空気室が高圧空気源43と連通しているポンプハウジングである。また、ポンプハウジングの中の分与チューブ50で、ポンプハウジングの中に位置している閉鎖端を備えているワイパーシールポスト52と、ハウジングの外に位置している開放端を備えている出口チューブ54と、開放端の近くに設けられている逆止弁62とを有している。更に、出口チューブの開放端に泡スクリーン64と、シールポストに摺動自在かつ同軸に設けられているワイパーシール70である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡可能な液体と空気とを混合して泡製品を分与する泡ポンプの技術分野に属する。より詳細には、本発明は、高速でポンプに導入された空気がポンプを作動し、空気と発泡可能な液体との混合体を少なくとも1つのスクリーンを通して押し出し、均一な高品質の泡製品を生成するように機能する泡ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
石鹸、殺菌剤、洗浄剤、消毒剤等の液体を、液体を保持しまた液体を吐出するためのポンプ機構を有する詰め替えユニットを有するディスペンサーハウジングから吐出することは、長年にわたり知られている。このようなディスペンサーに用いられているポンプ機構は、一般的に、アクチュエータの動きにより所定量の液体を単に放出させる液体ポンプである。近年、効率性及び経済性の理由により、液体に空気を噴射することにより生成される泡の形態で、液体を吐出することが望ましくなっている。したがって、標準型液体ポンプは泡生成ポンプに取って代わられ、そのため、望ましい泡を生成するように空気と液体とを混合するための手段が必要となっている。
【0003】
典型的には、泡ディスペンサーは、空気を泡として発泡可能な液体中により良好に分配し、より均一な泡製品を生成するために、発泡可能な液体の流れと空気の流れとを混合区域に送り込み、それからスクリーンを通して混合体を押し出すことにより、泡を生成する。気泡がより微細で多数である程、泡はより濃く滑らかとなるが、空気を入れすぎると泡は乾きすぎた感触となる。望ましい泡製品への鍵は、気泡を液体中に分配するために発泡可能な液体と空気とを激しく混合することである。
【発明の概要】
【0004】
以上述べたこと鑑み、本発明による泡ポンプは、液体室及び空気室を有するポンプハウジングであって、前記液体室が発泡可能な液体を充填している容器と流体的に連通していると共に、前記空気室が空気入口を通して高圧空気源と流体的に連通しているポンプハウジングを包含する。泡ポンプは、また、前記ポンプハウジングの中に部分的に配置されている分与チューブであって、前記ポンプハウジングの中に位置している閉鎖端を備えているワイパーシールポストと、前記ポンプハウジングの外に位置している開放端を備えている出口チューブと、前記開放端の近くに設けられている逆止弁とを有し、前記ワイパーシールポストが前記液体室と流体的に連通している、少なくとも1つの入口穴を有している分与チューブを包含する。泡ポンプは、更に、前記出口チューブの開放端に設けられている、少なくとも1つの泡スクリーンと、前記ワイパーシールポストのまわりに摺動自在かつ同軸に設けられて、前記ポンプハウジングの内壁と前記ワイパーシールポストとに密封接触しているワイパーシールと、前記ポンプハウジングの中に設けられて、前記ワイパーシールを非作動位置に偏倚せしめているばね偏倚手段とを包含する。前記ワイパーシールは前記液体室と前記空気室との間の可動バリヤを形成し、前記ワイパーシールは、高圧空気により駆動されたときに、前記ワイパーシールポストに沿って軸方向に、前記出口チューブから離れて前記少なくとも1つの入口穴を通過して摺動するようにされている。前記ワイパーシールの動きは、高圧空気を前記分与チューブの中に進入させて、空気と発泡可能な液体とを前記分与チューブの中で混合させ、その混合体を前記逆止弁及び前記少なくとも1つの泡スクリーンを通して排出させる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明による泡ポンプ及び容器の斜視図である。
【図2】非作動状態にある、本発明の泡ポンプの断面図である。
【図3】作動状態にある、本発明の泡ポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の高速泡ポンプが、図1〜図3に総括的に符号10で示されている。泡ポンプ10は、例えば図1に示されるような詰め替えパウチ等の容器14の開口12に設けることができる。容器14は、その中に発泡可能な液体Sを有し、容器14内に位置する泡ポンプ10の部分は、発泡可能な液体S中に浸されている。容器14は、当技術分野で知られているような柔軟性のある袋又は押し出しボトルの形態であってもよい。
【0007】
泡ポンプ10はハウジング20を包含し、ハウジング20はその中に液体室22及び空気室24を有する。ハウジング20は、ハウジング20の開放端30に設けられているキャップ28を備える。キャップ28は、穴32を有する頂部平面31と、開放端30の外周部のまわりに形成されてキャップ28を適所に固定する機能をなす外側リップ34と、頂部平面31から延在して液体室22内に入るフランジ36とを有する。キャップ28の穴32は、重力の効果又は液体室22内に形成される真空の効果により発泡可能な液体Sが液体室22内に流入することができるように、液体室22と容器14との間の流体的な連通を可能にする。ハウジング20は、また、空気室24を画定するハウジング20の一部分に空気入口40を包含する。空気入口40はまたシール42を包含し、例えばフットポンプ、ベローズポンプ、又は圧縮空気ポンプ等の高圧空気源43に接続され、これにより空気室24と高圧空気源43との間の流体的な連通を可能にする。当業者には既知の、使用者が作動せしめる従来のいかなる高圧空気生成方法も使用可能である。シール42は、高圧空気源43と空気室24との間の圧力損失を最小限に留め、これにより泡ポンプ10の効率を高める。
【0008】
ハウジング20は、更に、分与チューブ50が中に配置されている穴46を包含する。分与チューブ50は、穴46を通って延在して、ハウジング20の中の分与チューブ50の一部分としてワイパーシールポスト52を画定すると共に、穴46を通ってハウジング20の外に延在する部分として出口チューブ54を画定する。分与チューブ50から放射状に延在する複数の間隔を置いたフランジ56は、分与チューブ50を穴46に適切に固定する。より詳細には、これらのフランジ56は、ハウジング20の底壁57上に載り、分与チューブ50がハウジング20から滑り落ちるのを防ぐ。これらのフランジ56は、単一のフランジ、すなわち、分与チューブ50の外周を完全に取り囲み、複数の間隔を置いたフランジ56と同一の方法で機能する、単一のフランジで置き換えることができる。ハウジング20内に位置するワイパーシールポスト52は、閉鎖端を有すると共に、発泡可能な液体Sを液体室22から分与チューブ50内に流入させるための、少なくとも1つの入口穴60を備えているが、2つ以上の入口穴60を有することが好ましい。分与チューブ50の出口チューブ54は、その中に設けられて、液体の流出を制御するための逆止弁62を有する。逆止弁62は、入口穴60から離れる方向からの増加した圧力により開き、圧力が低下すると閉鎖状態に戻る。出口チューブ54は、また、その中に設けられて、分与チューブ50の開放端の出口66に隣接する、少なくとも1つの泡スクリーンを包含する。図示されるように、少なくとも1つの泡スクリーンは、両端にそれぞれメッシュスクリーン68及び69が結合されている中空チューブ67から成る混合カートリッジ64の形態であってもよい。
【0009】
泡ポンプ10は、更に、ハウジング20内のワイパーシールポスト52のまわりに摺動自在かつ同軸に配置されているワイパーシール70を包含する。ワイパーシール70は、ハウジング20の側壁74の内壁72とワイパーシールポスト52とに密封接触し、これにより、液体室22を空気室24から分離する。より詳細には、液体室22は、ワイパーシール70の上方及びハウジング20の側壁74の内方の容積として画定される。液体室22は、キャップ28の穴32を通して容器14と自由に連通しているが、泡ポンプ10を画定する目的で、液体室22は、側壁74により取り囲まれるハウジング20内の容積としてのみ考慮されるべきである。空気室24は、ワイパーシール70、ハウジング20の側壁74及び底壁57、ならびにワイパーシールポスト52の周囲により閉じ込められる内部容積として画定される。ワイパーシール70はハウジング20内で摺動することができ、したがって、液体室22及び容器14、ならびに空気室24の容積は、ワイパーシール70の位置に直接依存する。ワイパーシール70がキャップ28に向かう動きによって空気室24の容積は増加し、液体室22と容器14とを組み合わせた容積は低下し、またその逆も成り立つ。図2に見られるように、ワイパーシール70は、キャップ28とワイパーシール70との間に位置する偏倚ばね80により非作動位置に偏倚されている。偏倚ばね80は、フランジ36によりハウジング20の開放端30の近くで適所に保持されている。
【0010】
作動において、泡ポンプ10は、使用者により行われる、高圧空気源43から空気入口40を通る高圧空気の導入により作動する。導入された高圧空気による空気室24内の増加した圧力によって、泡ポンプ10は作動を開始し、ワイパーシール70を偏倚ばね80の偏倚力に抗してキャップ28に向かって摺動させる。ワイパーシール70が少なくとも1つの入口穴60を完全に通過して摺動すると、ここで露出した少なくとも1つの入口穴60から高圧空気が分与チューブ50内に進入し、すでに分与チューブ50内に存在している発泡可能な液体Sと混合する。高圧空気源43から空気を導入することにより確立される圧力は、逆止弁62を開放位置に押し、混合体が分与チューブ50を通り出口66に流れることを可能にする。
【0011】
空気と発泡可能な液体Sとの混合体は、出口66から分与チューブ50を出る前に、少なくとも1つの泡スクリーン64を通して押し出される。このプロセスの結果、高品質の泡が出口66から分与される。分与チューブ50内での高圧混合、及び混合体の少なくとも1つの泡スクリーン64の通過により、均一に混合された泡製品が生成される。
【0012】
高圧空気を除去すると、逆止弁62は閉鎖位置に戻り、再び、発泡可能な液体Sが分与チューブ50を通って流出するのを防ぐ。また、圧力低下の結果、偏倚ばね80の偏倚力によりワイパーシール70が非作動位置に戻ることになる。ワイパーシール70は、分与チューブ50に沿って軸方向に空気入口40に向かって移動して、少なくとも1つの入口穴60を通過し、発泡可能な液体は、重力と、液体室22及び容器14内の膨張容積により生成する若干の真空による力とに起因して、分与チューブ50内に再び流入する。このように、非作動状態に戻ると、泡ポンプ10は後続の作動に備える。
【0013】
高圧空気源43は、センサ又は当技術分野で知られるような他の非接触型の駆動機構により始動されてもよく、又はいかなる従来の手動型の駆動機構を包含してもよい。高圧空気源43は、ワイパーシール70をキャップ28に向かって押し、分与チューブ50内の発泡可能な液体Sと混合して出口66から押し出すのに十分な所定量の空気を空気室24に供給する。空気の量は、泡ポンプ10を作動して分与チューブ50内の発泡可能な液体Sを分与するのに必要な量を超えるべきではない。これは、空気の量が必要の量を越えると、発泡可能な液体Sがすべて出口66から出た後に、空気のみが泡ポンプ10から流出するためである。しかし、所定量の空気は、残留した液体が出口66から滴るのを防ぐために、空気と発泡可能な液体との混合体をすべて排出するのに十分であるようにすべきである。したがって、高圧空気源43は、好ましくは、泡を排出するのに十分であるが過剰とはならない、特定の一定量の高速空気を空気室24及び分与チューブ50内に供給する。
【0014】
以上述べたことから、本発明は、高速空気により作動される泡ポンプを提供することにより、技術を改善することは明白である。本発明を開示する目的で本発明の特定の実施例に注目しているが、本発明はここに教示する一般概念を逸脱しない範囲で、様々な方法で変形することができることが理解されるべきである。したがって、本発明は以上述べた特定の実施例に限定され、又はこの実施例によって限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載が本発明を限定するものである。
【符号の説明】
【0015】
10 泡ポンプ
12 開口
14 容器
20 ハウジング
22 液体室
24 空気室
28 キャップ
30 開放端
31 頂部平面
32 穴
34 外側リップ
36 フランジ
40 空気入口
42 シール
43 高圧空気源
46 穴
50 分与チューブ
52 ワイパーシールポスト
54 出口チューブ
56 フランジ
57 底部壁
60 入口穴
62 逆止弁
64 混合カートリッジ(泡スクリーン)
66 出口
67 中空チューブ
68 メッシュスクリーン
69 メッシュスクリーン
70 ワイパーシール
72 内壁
74 側壁
80 偏倚ばね
S 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡ポンプにおいて
(a)液体室及び空気室を有するポンプハウジングであって、前記液体室が発泡可能な液体を充填している容器と流体的に連通していると共に、前記空気室が空気入口を通して高圧空気源と流体的に連通しているポンプハウジングと、
(b)前記ポンプハウジングの中に部分的に配置されている分与チューブであって、前記ポンプハウジングの中に位置している閉鎖端を備えているワイパーシールポストと、前記ポンプハウジングの外に位置している開放端を備えている出口チューブと、前記開放端の近くに設けられている逆止弁とを有し、前記ワイパーシールポストが前記液体室と流体的に連通している、少なくとも1つの入口穴を有している分与チューブと、
(c)前記出口チューブの前記開放端に設けられている、少なくとも1つの泡スクリーンと、
(d)前記ワイパーシールポストのまわりに摺動自在かつ同軸に設けられているワイパーシールであって、前記ポンプハウジングの内壁と前記ワイパーシールポストとに密封接触しているワイパーシールと、
(e)前記ポンプハウジングの中に設けられて、前記ワイパーシールを非作動位置に偏倚せしめているばね偏倚手段と、
を包含し、前記ワイパーシールが前記液体室と前記空気室との間の可動バリヤを形成し、前記ワイパーシールが、高圧空気により駆動されたときに、前記ワイパーシールポストに沿って軸方向に、前記出口チューブから離れて前記少なくとも1つの入口穴を通過して摺動するようにされ、前記ワイパーシールの動きが、高圧空気を前記分与チューブの中に進入させて、空気と発泡可能な液体とを前記分与チューブの中で混合させ、その混合体を前記逆止弁及び前記少なくとも1つの泡スクリーンを通して排出させることを特徴とする泡ポンプ。
【請求項2】
請求項1記載の泡ポンプにおいて、更に、前記ポンプハウジングの末端の外周部のまわりに前記液体室に隣接して前記ポンプハウジングに取り付けられているキャップを包含し、前記キャップが穴を有していることを特徴とする泡ポンプ。
【請求項3】
請求項1記載の泡ポンプにおいて、前記高圧空気源が、泡ポンプを作動し、前記出口チューブを通して前記空気と発泡可能な液体との混合体を排出するのに十分な所定量の高圧空気を供給することを特徴とする泡ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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