説明

高速表面硬化シリコーン組成物

本発明は、アミノ末端封止シリコーンとイソシアネート官能化シランとを反応させることによって、高速硬化型シリコーンRTV組成物を製造する方法、及びこの方法によって形成された組成物に関する。特に、本発明は、α−尿素を含むシランで末端封止されたシリコーンを含む組成物を提供する。本発明の組成物の例示は、式(I):
【化1】


で表されるポリマーを含む組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ末端封止シリコーンとイソシアネート官能化シランとを反応させることによる高速硬化シリコーンRTV組成物の製造方法、及びこの方法により形成される組成物に関する。特に、本発明は、α−尿素を含有するシランで末端封止されたシリコーンを含む組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
湿気硬化型のシリコーン接着剤は、建設、電子的デバイス、包装組立、及び器具組立を含む広範囲の用途で使われている。典型的には、こうした用途で使われる硬化型接着剤は、用途で要求される強度と靱性を手元に提供できるように仕上げられている。こうした特性に加えて、多くの場合、高速硬化の速度及び製品安定性が望まれる。
【0003】
アルコキシ末端ポリシロキサン類は、望ましい特性を有する湿気硬化型シリコーン接着剤を製造するために使われてきた。これらの反応性ポリシロキサン類は、触媒の存在下、シラノール末端シリコーンをアルコキシシラン架橋剤で末端封止することで製造する。次いで、末端封止シラノールを触媒の存在下、環境条件に暴露することで硬化(即ち、反応性シリコーンの架橋)することができる。空気中の湿気がシリコン原子上のアルコキシ基を加水分解して、縮合反応によりシロキサン結合を形成し、シリコーン材料の硬化を促進する。
【0004】
有効ではあるが、これらのシリコーン接着剤は、多くの場合、ある特定の用途で硬化速度があまりにも遅い。特に、ある用途では、迅速なスキン・オーバータイムを有する接着剤を使うことが好ましい。硬化するときに組成物に支障を来たすことがなく、組成物が塗布される基材を上手く利用するための性能を含めて、迅速なスキン・オーバータイムを有する組成物を使うことに利点がある。
【0005】
例えば、シアノアクリレートの組成物のようないくつかのポリマー組成物は、高速硬化性能を有するが、しかし、これらは少し剛直であるという不都合さがあり、シリコーンの柔軟性、屈曲性を持っていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、硬化したときに柔らかさ、しなやかさを保持し、シアノアクリレートのような高速硬化ポリマーの硬化速度に近い速度を有する湿気硬化型シリコーンを製造することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
本発明の1つの態様において、式(I):
【0008】
【化1】

で表される組成物が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の態様では、組成物を製造するための方法が提供され、この方法は:
a)
i. 式(III):
【0010】
【化2】

で表されるポリマー及び
ii. 少なくとも2当量の式(IV):
【0011】
【化3】

で表される化合物を混合するステップ;及び
b) ステップa)の反応生成物と少なくとも2当量の式(V):
【0012】
【化4】

で表される化合物とを混合する、ステップを含む。
【0013】
本発明は、また、組成物を製造する方法を提供し、この方法は、
i. 式(II):
【0014】
【化5】

で表されるポリマー;及び
ii.少なくとも2当量の式(V):
【0015】
【化6】

で表される化合物を混合するステップを含む。
【0016】
他の態様において、本発明は:
a)
i.式(III):
【0017】
【化7】

で表されるポリマー;及び
ii. 式(IV):
【0018】
【化8】

で表される化合物の反応生成物;及び
b)式(V):
【0019】
【化9】

で表される化合物の反応生成物
を含む組成物を提供する。
【0020】
本発明のさらに他の態様は、
i. 式(II):
【0021】
【化10】

で表されるポリマー;及び
ii. 少なくとも2当量の式(V):
【0022】
【化11】

で表される化合物
との反応生成物を含む組成物を提供する。
【0023】
本発明のさらに他の態様は、式(I):
【0024】
【化12】

で表されるポリマーを含む、組成物を使う方法を提供する。
【0025】
上記の式(I)から(V)の各々において、R及びRは、各々独立して、H及びCからC10炭化水素基からなる群より選択されるものであり;R、R、R、R、及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基であり;Rは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、CからC10二価炭化水素基であり;nは1から約1,200であり;aは0、1、又は2であり;及びbは0又は1である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
本発明は、高速湿気硬化が可能なシリコーン組成物を提供する。
【0027】
本明細書で用いる場合、用語「炭化水素基」及び「二価炭化水素基」については、それぞれ、一価の基及び二価の基を意図し、これらは主として炭素及び水素原子からなる。従って、この用語は、例えば、アルキル、アルケニル、及びアルキニル基のような脂肪族基;例えば、フェニルのような芳香族基;及び、例えば、シクロアルキル及びシクロアルケニルのような脂環式基を包含する。本発明の炭化水素基は、基の炭化水素的な性質を損なわない範囲でヘテロ原子を含んでいてもよい。従って、炭化水素基としては、エーテル、アルコキシド、カルボニル、エステル、アミノ基、シアノ基、スルフィド、スルフェート、スルホキシド、スルホン、及びスルホンのような官能基を挙げることができる。
【0028】
本発明の炭化水素、アルキル、及びフェニル基並びに二価の基は、任意に置換されていてもよい。本発明で使用する場合、用語「任意に置換される」とは、1つの基の1個又はそれ以上の水素が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アジド、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、アルキルスルフォニル、アリールスルフォニル、アルキルスルフォニルアミノ、アリールスルフォニルアミノ、アルキルスルフォニルオキシ、アリールスルフォニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロキシ、ヘテロシクリルアミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオなどから選択される置換基で、対応する置換基の数だけ置換されうることを意味することを意図している。
【0029】
本明細書で用いる場合、用語「ハロ」及び「ハロゲン」とは、同義語を意図し、両者は塩素、フッ素、臭素、及びヨウ素を含むことを意図している。
【0030】
本発明は、RTV組成物に関し、これらの代表が式(I)で表される:
【0031】
【化13】


は、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、H及びCからC10炭化水素基であってもよい。好ましい態様においては、Rは、H及びCからCアルキルから選択される。
【0032】
及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基である。置換基R及びRは、これらが結合するそれぞれの酸素との組合わせで加水分解性基を形成し、これによって本発明の組成物は、室温加硫(RTV)硬化を起こす能力を有する。RTV硬化は、典型的には、本発明の組成物を湿気に暴露することで起きる。
【0033】
本発明の組成物は、RTV(室温加硫)機構を介して柔軟性の樹脂へと硬化することができる。従って、本発明のさらなる態様は、本発明のシリコーンポリマー組成物の湿気への暴露による反応で形成された硬化ポリマーに関する。例えば、アルコキシ基のような加水分解性湿気硬化基の存在は、ポリマーが湿気硬化を起こすことを可能にしている。適した加水分解性基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシのようなアルコキシ基;アセトキシのようなアシルオキシ基;例えば、フェノキシのようなアリールオキシ基;例えば、メチルエチルオキシミノキシのようなオキシミノキシ基;例えば、イソプロペノキシのようなエノキシ基;及び、例えば、CHOCHCH−のようなアルコキシアルキル基が挙げられる。例えば、プロポキシ及びブトキシのようなより大きい基は、例えば、メトキシ及びエトキシのようなより小さい基よりも反応が遅い。本発明の組成物が湿気硬化を起こす速度は、置換基R及びRとして適切な基を選択することで調節することができる。異なったR基の混合物を一つのシリコン原子上に配置して、組成物の硬化に影響を与えることができる。同様に、異なったR基の混合物を一つのシリコン原子上に配置して、組成物の硬化に影響を与えることができる。有利には、R及びRは、CからCアルキルであってよい。より有利には、R及びRは、メチル又はエチルである。
【0034】
式(I)で表されるポリマーで、尿素とシリコン原子の間のC結合は、高速湿気硬化の性能に寄与すると考えられる。Rは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、H及びCからC10炭化水素基からなる群から選択されるものである。有利には、RはHである。
【0035】
及びRは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、各々独立して、CからC10炭化水素基である。R及びRは、好ましくは、CからCアルキルである。より有利には、R及びRはメチルである。
【0036】
は、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、CからC10炭化水素基である。有利には、RはCからCアルキルである。本発明の組成物の合成において有利に使われるポリジメチルシロキサン出発原料が広範囲に入手可能であるため、Rは、ほとんどの商業用途に対して、好ましくは、メチルであると考えられる。他の好ましい態様では、Rはフェニルであってもよい。
【0037】
シリコーンの分子量は、変化してもよく、最終生成物の特性に合わせるために選択することができる。繰返し単位の数、nを変えることができ、特定の分子量、粘度、及び他の化学的又は物理的特性を達成できる。一般的には、nは、25℃での粘度が約25cpsから約2,500,000cpsであるような、例えば、nが1から約1,200、好ましくは、約10から約1,000の整数である。有用なポリアルキルシロキサンの分子量の例としては、約500から約50,000原子質量単位である。有利には、シリコーンの平均分子量は、約10,000から約8,000原子質量単位である。
【0038】
は、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、CからC10二価炭化水素基である。Rとしては、CからC10アルキレンが有利である。さらに、Rとしては、メチレン、プロピレン、又はイソブチレンが有利である。
【0039】
式(I)で表されるポリマーで変数「a」は、0、1、又は2である。変数「b」は、0又は1である。変数「a」及び「b」は、それぞれ、式(I)で表されるポリマーのペンダント及び末端シリコン原子上のハイドロカルビル基の数を示す。対応して、変数「2−a」及び「3−b」は、それぞれ、シリコン原子上のハイドロカルビルオキシ置換基の数を示す。
【0040】
本発明の組成物は、1種またはそれ以上の湿気硬化触媒を有利に含むことができる。本発明の湿気硬化型組成物において使われる硬化システムは、限定はされないが、本発明の組成物の硬化を加速又は促進するように作用する触媒又は他の試薬を含んでいる。適切な湿気硬化触媒としては、チタン、スズ、又はジルコニウムのような金属を含有する化合物が挙げられる。チタン化合物の代表的な例としては、テトライソプロピルチタネート及びテトラブチルチタネートが挙げられる。スズ化合物の代表的な例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジカルボキシレート、ジメチルスズジカルボキシレート、及びジブチルスズジオクトエートが挙げられる。ジルコニウム化合物の代表的な例としては、ジルコニウムオクタノエートが挙げられる。さらに、例えば、テトラメチルグアジナミン(tetramethylguandinamine)、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(DBU)、トリエチルアミン、などの有機アミン類を使うことができる。湿気硬化触媒は、湿気硬化を達成するのに充分な量で用いられ、一般的には、約0.01重量%から約5.00重量%であり、約0.1重量%から約1.0重量%が有利である。
【0041】
追加的に様々な有用な成分を本発明の組成物に添加することができる。例えば、追加の架橋剤を添加することができる。このような架橋剤としては、例えば、アルコキシシラン、アセトキシシラン、エノキシシラン、オキシミノシラン、アミノシラン及びこれらの組合せのような縮合可能なシラン類が挙げられる。他の適したシラン類としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、及びα官能化シランが挙げられる。前記縮合可能なシランは、組成物の約0.5重量%から約10重量%の量で存在しうる。より好ましい範囲は、0.5−5.0重量%であろう。
【0042】
任意に、充填材を本発明の組成物に含有することができる。一般的に、任意の適した無機質、炭素質、ガラス、又はセラミックの充填材を使うことができ、限定されないが、ヒュームド・シリカ;粘土;金属炭酸塩;硫酸塩;リン酸塩;カーボンブラック;金属酸化物;二酸化チタン;酸化鉄(III);酸化アルミニウム;酸化亜鉛;石英;ジルコニウムケイ酸塩;ジプサム;窒化ケイ素;窒化ホウ素;ゼオライト;ガラス;プラスチック粉末;及びこれらの組合せなどが挙げられる。組成物中のこれらの充填材は、硬化性シリコーン組成物において任意の適した濃度で存在することができる。一般的には、組成物の約5重量%から約80重量%の濃度で充分である。しかしながら、より好ましい範囲は、20−60%であろう。
【0043】
補強シリカは、より好ましい充填材である。このシリカは、ヒュームド・シリカであってもよく、これはアジュバントで処理されていなくても(親水性)、又は疎水性にするために処理されていてもよい。ヒュームド・シリカ(fumed silica)は、あらゆる実質的な補強効果を得るために、組成物に対して少なくとも約5重量%の濃度で存在しなければならない。最適のシリカ濃度は、特定のシリカの特性によって変化するが、一般的には、最高の補強効果を達成する前に、シリカのチクソ(thixotropic)効果が非実際的に高い粘度の組成物をつくることが観測される。疎水性シリカ類は、チクソ比がより低い傾向があり、従って、好ましい整合性の組成物では、より多くの量を含むことができる。シリカ濃度を選ぶ際に、従って、所望の補強と現実的な粘度を調和させなければならない。特に好ましいヒュームド・シリカは、Degussa(登録商標)によるR8200である。
【0044】
本発明のある態様において、好ましくは、乾燥充填材を包含することができる。例えば、湿気硬化型の予備混合組成物は、式Iで表される反応性ポリマー及び少なくとも1種の乾燥充填材を含んでいてもよい。このような乾燥充填材は、一般的に、組成物に対して約0.5重量%未満の水を含有している。このような組成物は、好ましくは、実質的に湿気は添加されてないので、それにより反応性ポリ有機シロキサンの早期の硬化を防いでいる。予備混合組成物は、また、追加的な反応性シラン、接着促進剤又はこれらの組合せを含んでいてもよい。
【0045】
接着促進剤は、また、湿気硬化型組成物に含まれていてもよい。接着促進剤は、特定の基体(即ち、金属、ガラス、プラスチック、セラミック、及びこれらのブレンド)に対して湿気硬化型組成物の接着性を増強するように働くことができる。このような目的で、ある用途で使われる特定の基体成分に応じて、任意の適した接着促進剤を採用することができる。様々な有機シラン化合物、特に、アミノ官能性アルコキシシランは好ましいと言える。
【0046】
適した有機シラン接着促進剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、1,3,5−トリス(トリメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0047】
接着促進剤を存在させる場合は、組成物の約0.1重量%から約10重量%の量で使うことができる。好ましくは、接着促進剤は、組成物に対して約0.2重量%から約2.0重量%の量で存在する。
【0048】
組成物は、また、任意の添加剤、例えば、顔料又は色素、可塑剤、チクソ剤、アルコール捕捉剤、安定剤、抗酸化剤、難燃剤、UV−安定剤、殺生物剤、殺菌剤、熱安定剤、レオロジー添加剤、粘着付与剤など、又はこれらの組合せを含んでいてもよい。これらの添加剤は、意図する目的を達成するために適切な量で存在させなければならない。
【0049】
本発明は、また、式(I)で表されるポリマーを含む組成物の製造方法を提供する。式(I)で表されるポリマーを製造するための1つのアプローチは、次のステップ:
a)
i. 式(III):
【0050】
【化14】

で表されるポリマーと
ii. 少なくとも2当量の式(IV):
【0051】
【化15】

で表される化合物と
を混合するステップ;及び
b) ステップa)の反応生成物と少なくとも2当量の式(V):
【0052】
【化16】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、a、b、及びnは、以上に説明されたと同様である)
で表される化合物とを混合するステップを含む。
【0053】
下の反応図式1に示されているように、式(III)で表されるヒドロキシ末端シロキサンとステップa)において式(III)で表されるアミノアルキレンアルコキシシランとの反応によって、式(II)で表されるアミノアルキレンアルコキシ末端ポリジアルキルシロキサンが生成する。この方法は、ヘンケル社に譲渡された米国特許第6,750,309号(B1)に記載されており、全体として本明細書に組込まれる。式(III)で表されるポリマーに対して2モル当量の式(IV)で表される化合物を使うことが有利でありうる。過剰量の2モル当量を用いて、式(I)で表されるポリマーの完全な末端封止を確保することが有利でありうる。
【0054】
【化17】

下の反応図式2に示されているように、次いで、ステップa)の反応生成物をC結合を含む式(V)で表されるイソシアネートシランと混合し、これによって各末端に尿素結合を含有する式(I)で表されるポリマーを形成する。完全な末端封止を確保するために、少なくとも2当量のイソシアネートシランを使うことができる。しかしながら、2当量より著しく過剰量の使用を回避することが有利であり、このことは、残存しうる未反応イソシアネートを最小限にすることに役立つ。
【0055】
【化18】

従って、他の態様では、本発明は、また、式(II)で表されるポリマーと式(V)で表されるイソシアネートとの反応を介して、式(I)で表されるポリマーを含有する組成物を製造する方法に関する。この方法は、
i. 式(II):
【0056】
【化19】

で表されるポリマーを、
ii. 少なくとも2当量の式(V):
【0057】
【化20】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、a、b、及びnは、以上に説明されたものと同様である)
で表される化合物と反応させるステップを含む。
【0058】
本発明は、さらに、式(I)で表されるポリマーを含む組成物を製造するため、上に記載された方法での反応生成物を包含する。
【0059】
また、本発明によって、式(I):
【0060】
【化21】


(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、a、b、及びnは、上に説明されたものと同様である)
で表されるポリマーを含む組成物を使う方法が提供され、この方法は、a)組成物を提供し;b)この組成物を基体上に塗布し;c)及びこの組成物を硬化させる、ステップを含む。
【0061】
これらの組成物を、例えば、非限定的に、ガスケットのような基体を密封又は結合するために使うことができる。ガスケット用途では、湿気硬化型組成物をガスケットの一部を形成する基体の1つに塗布し、硬化又は少なくとも部分的に硬化し、次いで、第2の基体に接続してガスケット組立品を形成することができる。このようなガスケット用途は、例えば、現場成形ガスケットを含む。例えば、これらの組成物を基体に塗布し、硬化条件下に暴露することができる。これらの組成物を使って、2つの基体表面の少なくとも1つに組成物を塗布し、組立品を形成するために当接して基体表面をはめ合わせ、そして硬化するため組成物を湿気に暴露して基体を一緒に密封することができる。硬化するのに十分な時間、基体を合わせていなければならない。これらの組成物を、使用まで湿気への暴露を最小限にするために密封容器に入れて提供することが有利と考えられる。
【実施例】
【0062】
<合成実施例1−流体A>
アミノプロピルジメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサンの合成
2Lの反応フラスコに1000gのシラノール末端ポリジメチルシロキサン(3500cps)を仕込んだ。次いで、アミノプロピルトリメトキシシラン(14.06g)を前記液体に添加した。この混合物を激しく攪拌しながら70℃で加熱し、その後、混合物が透明になるまで揮発物成分を真空下で除去した。
【0063】
<合成実施例2−流体B>
エチルアミノイソブチルジメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサンの合成
アミノプロピルトリメトキシシランをエチルアミノイソブチルトリメトキシシラン(17.36g)で置換えたこと以外は、実施例1と同じ手順を用いた。
【0064】
<合成実施例3−流体C>
シクロヘキシルアミノメチルジメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサンの合成
アミノプロピルトリメトキシシランをシクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン(18.31g)で置換えたこと以外は、実施例1と同じ手順を用いた。
【0065】
<合成実施例4−流体D>
トリメトキシシリルメチルウレイドプロピルジメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサンの合成
1Lの反応フラスコに合成実施例2の流体Bを500g仕込んだ。激しく攪拌しながらこの流体に、さらに、6.32gのイソシアネートメチルトリメトキシシランを添加し、その後、真空脱気した。
【0066】
<合成実施例5−流体E>
メチルジメトキシシリルメチルウレイドプロピルジメトキシシリル末端ポリジメトキシシランの合成
イソシアネートメチルトリメトキシシランを、5.75gのイソシアネートメチルジメトキシシランで置換えたこと以外は、実施例4と同じ手順を用いた。
【0067】
表1は、配合物1から5と称する本発明の典型的な配合物に含まれる成分を示す。流体AからEは、各々、Degussa(登録商標)ヒュームド・シリカ R8200及びDBUとジメチルスズジカルボキシレートの2:1混合物からなる触媒で配合された。
【0068】
【表1】

【0069】
表2は、配合物1から5に対するスキン・オーバータイムを示す。表に示すように、各々の配合物は、5分の最高スキンタイムを有し、一方、配合物3から5は、わずか5秒のスキンタイムを有する。
【0070】
【表2】

【0071】
表3は、室温で5日間、硬化した後の硬化配合物1から5の様々な物理的特性を示す。
【0072】
【表3】

【0073】
表4は、配合物1から5について、硬化試料を、さらに、加熱及び湿気条件下(85℃、85%の湿度)に14日間暴露した後の物理的データを示す。示されているように、配合物4及び5は、加熱及び湿気老朽化に対して最も抵抗力がある。
【0074】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
及びRは、各々独立して、H及びCからC10炭化水素基より選択され;
、R、R、R、及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基であり;
は、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、CからC10二価炭化水素基であり;
nは、1から約1,200であり;
aは、0、1、又は2であり;
及びbは、0又は1である。)
で表されるポリマーを含む組成物。
【請求項2】
及びRが、各々独立して、H及びCからCアルキルからなる群より選択されるものであり;
及びRが、各々独立して、CからCアルキルであり;
、R、及びRが、各々独立して、メチル及びフェニルからなる群より選択されるものであり;
及びRが、CからC10アルキレンである請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに、湿気硬化触媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物の、湿気への暴露による反応生成物。
【請求項5】
さらに、充填材を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
組成物を製造する方法であって、
a)
i. 式(III):
【化2】

(式中、Rは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、CからC10炭化水素基であり;nは1から約1,200である。)
で表されるポリマー;と
ii. 少なくとも2当量の式(IV):
【化3】

(式中、Rは、H及びCからC10炭化水素基からなる群より選択されるものであり;R及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基であり;Rは、CからC10二価炭化水素基であり;及びaは、0、1、又は2である。)
で表される化合物
とを混合するステップ;及び
b) ステップa)の反応生成物と、少なくとも2当量の式(V):
【化4】

(式中、R及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基であり;Rは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、H及びCからC10炭化水素基からなる群より選択されるものであり;及びbは、0又は1である。)で表される化合物とを混合するステップ
を含む方法。
【請求項7】
式(IV)で表される化合物が、少なくとも2当量存在する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式(V)で表される化合物が、少なくとも2当量存在する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
組成物を製造する方法であって、
i. 式(II):
【化5】

(式中、Rは、H及びCからC10炭化水素基からなる群より選択されるものであり;R、R、及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基であり;Rは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、CからC10二価炭化水素基であり;nは、1から約1,200であり;aは、0、1、又は2である)
で表されるポリマー;と
ii. 少なくとも2当量の式(V):
【化6】

(式中、R及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基であり;Rは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、H及びCからC10炭化水素基からなる群より選択されるものであり;及びbは、0又は1である)
で表される化合物と
を反応させるステップを含む方法。
【請求項10】
a)
i. 式(III):
【化7】

(式中、Rは、CからC10炭化水素基であり;及びnは、1から約1,200である)で表されるポリマー;と
ii. 式(IV):
【化8】

(式中、Rは、H及びCからC10炭化水素基からなる群より選択されるものであり;R及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基であり;Rは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、CからC10二価炭化水素基であり;及びaは、0、1、又は2である)
で表される化合物
との反応生成物、及び
b)式(V):
【化9】

(式中、R及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基であり;Rは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、H及びCからC10炭化水素基からなる群より選択されるものであり;及びbは、0又は1である)
で表される化合物
との反応生成物を含む組成物。
【請求項11】
i. 式(II):
【化10】

(式中、Rは、H及びCからC10炭化水素基からなる群より選択されるものであり;R、R、及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基であり;Rは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、CからC10二価炭化水素基であり;nは、1から約1,200であり;aは、0、1、又は2である)で表されるポリマー;と
ii. 少なくとも2当量の式(V):
【化11】

(式中、R及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基であり;Rは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、H及びCからC10炭化水素基からなる群より選択されるものであり;及びbは、0又は1である)
で表される化合物
との反応生成物を含む組成物。
【請求項12】
式(I):
【化12】


(式中、R及びRは、各々独立して、H及びCからC10炭化水素基からなる群より選択されるものであり;R、R、R、R、及びRは、各々独立して、CからC10炭化水素基であり;Rは、出現するごとに同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、CからC10二価炭化水素基であり;nは、1から約1,200であり;aは、0、1、又は2であり;bは、0又は1である)で表されるポリマーを含む組成物を使う方法であって、
a)前記組成物を提供し;
b)前記組成物を基体上に塗布し;
c)及び前記組成物を硬化させる、ことを含む方法。
【請求項13】
組成物が、さらに、湿気硬化触媒を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップa)が、前記組成物を密封容器で提供することを含む、請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2009−516065(P2009−516065A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541369(P2008−541369)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/044678
【国際公開番号】WO2007/061847
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】