説明

高電力密度超軽量発電機

高電力密度発電機が可撓性の多層構造体を備えるように形成される。多層構造体は燃料層の各側部に隣接する個別の燃料電池スタックを備えた燃料層を有する。構造体は可撓性とすることができ、種々の形として形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明はソリッドステート発電機(solid state electrical generators)に関する。特に、本発明は多層高電力密度発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]1つの形式の既知の燃料電池は膜の各側部に位置する電極と組み合わせた陽子交換膜と共に、種々のガス拡散層並びに関連する疎水性及び親水性コーティングを組み込んでいる。1つの形のこのような発電機は本出願人に譲渡された「陽子交換膜燃料電池」という名称の2005年10月25日に出願された米国特許出願第11/257,735号明細書に開示されている。多層燃料電池を組み込んだ別の形の発電機は電気及び副産物としての水を発生させる。水は回収することができ、固形の水素生成燃料との反応により付加的な水素ガスを生じさせるために使用することができる。このような発電機及び燃料電池は2005年11月9日に出願された「マイクロ発電機における水の回収」という名称の米国特許出願第11/270,848号明細書に開示されている。
【特許文献1】米国特許出願第11/257,735号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/270,848号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]既知のソリッドステート発電機はその意図する目的にとって有用で、適しているが、エネルギ密度ではなく、今まで利用されていたものよりも一層大きな電力密度の発電機のための未解決の満たされていない要求が依然として存在する。マイクロ又はナノの応用に適する高電力密度ソリッド発電機のための要求が依然として存在する。好ましくは、このような発電機は軽量であり、比較的安価であり、弁無しのものであり、高電圧軽量の応用にとって十分な電力を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
[0008]本発明の実施の形態は多くの異なる形をとることができるが、その特定の実施の形態を図面に示し、ここで詳細に説明する。ただし、本開示は本発明の原理の例示及びこれを実践する最良の形態として考えるべきであり、本発明を図示の特定の実施の形態に限定する意図ではないことを理解されたい。
【0005】
[0009]本発明に係る発電機は、水素発生化学反応を規制するために機内の水源又は弁のいずれをも必要とせずに、一層高い電力密度を与える。本発明の1つの態様においては、矩形形状の発電機はスタック間に燃料の薄い層を備えた燃料電池のスタックからほぼ全体的に形成することができる。このような発電機は大きな燃料電池領域を有するために(10ワット/リットルを越える)極めて高い電力密度を有することを期待することができる。
【0006】
[0010]上述の発電機は複数の可撓性の層を備えることができ、例えば超軽量航空車両の翼のように平坦状態で使用することができ、または、円筒形状に丸めることができる。本発明の更に別の態様においては、このような発電機は燃料の高い比エネルギの結果として本質的に軽量となることを期待することができ、適当に形状づけした場合は、超軽量航空車両を発進させるために使用できる電力レベルを生じさせることができる。
【0007】
[0011]本発明の更に別の態様においては、3層発電機は、水蒸気に曝されたときに酸素を発生させることのできるリチウムアルミニウム水酸化物又は他の化学水酸化物のような燃料層である比較的薄い可撓性シートを組み込んでいる。開示された実施の形態における燃料層は2つの燃料電池スタック間に挟まれる。各スタックは、当業者なら理解できるように、少なくとも1つの陽子交換膜と、ガス拡散層と、電極と、関連する疎水性及び親水性のコーティングとを組み込んでいる。複合発電機は可撓性であり、特定の応用の要求に応じて平坦、実質上円筒状又は他の形に形成することができる。
【0008】
[0012]本発明の更に別の態様においては、多層発電機は関連する燃料電池内で電気化学反応により発生した水を再生利用し、水素を発生させるために水を使用し、それによって、機内の水源のいかなる必要性をも排除する。更に、反応はそれ自体規制され、従って規制弁を必要としない。[0013]本発明に係る発電機は共通の燃料層を備えた列として履行することができる。燃料層の各側部に形成された複数の燃料電池の部材は出力電圧を増大させるために直列に相互接続することができる。多数のスタックは増大した出力電力を達成するために平行に、円筒形に又は平坦形に相互接続することができる。
【0009】
[0014]本発明の更に別の態様においては、スタックが近接して配置された場合、高電力密度を発生させるのに必要な酸素の流れはスタックを通して周囲の大気を強制的に送ることにより達成することができる。これは、例えばロータ又は翼によって発生した空気流をスタックに対して通過させることにより航空機において達成することができる。他の応用においては、ファン又はポンプを使用して同じ効果を達成することができる。
【0010】
[0015]図1は本発明に係る高電力密度超軽量発電機10を示す。発電機10は水蒸気に曝されたときに水素を生じさせる例えばリチウムアルミニウム水酸化物又は他の化学水酸化物のような燃料層12を組み込んでいる。細長くすることができて、図1に示すようにほぼ矩形の形状を有する燃料層12は、その各側部において1つずつ、これに関連する燃料電池スタック14、16を有する。発電機16のすべての層12、14、16は可撓性であり、いかなる制限をも伴わずに、平坦、実質上平坦、円筒形のような湾曲形状に形成できることを理解されたい。
【0011】
[0016]当業者はまた、図1にほぼ矩形形状で示すが、発電機10の層12−16がいかなる特定の形状にも限定されないことを理解できよう。発電機10は、いかなる制限をも伴わずに及び本発明の精神及び要旨から逸脱することなく、種々の物理的な形状をとることができる。[0017]図2は図1の2−2面における断面図である。図2は発電機10の種々の層間の関係を示す。
【0012】
[0018]燃料電池スタック14、16の各々は、このような燃料電池スタックの履行にとって有用であるか又は望ましい、当業者にとって理解できるような陽極、陰極、陽子交換膜及び他の層を有する平坦な多層の燃料電池を組み込んでいる。発電機10のような燃料発電機の利点の1つは、燃料電池スタック14、16が大きな領域を伴って形成できるという事実に由来する。これは、利用できる燃料の量に応じて、限られた時間量で極めて高い電力密度を生じさせることができる。
【0013】
[0019]図3、4は本発明に係る1つの特定の形の発電機30を一緒になって示す。発電機30は燃料層36の一側に形成された直列に接続された燃料電池32aの列と、燃料層36の反対側に形成された第2の複数の燃料電池32bとを組み込んでいる。複数32a及び複数32bの部材の各々は、単一の燃料電池で容易に達成できるものよりも一層高い出力電圧を接続部40a、b間に発生させるように直列に相互接続することができる。[0020]列30の燃料電池は絶縁層34a、b、c、dを介在させることにより互いに離間されることを理解されたい。また、列30内に存在する燃料電池の数は本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0014】
[0021]上述のことから、本発明の精神及び要旨から逸脱することなく、多数の変形及び修正を行うことができることが分かろう。ここに示す特定の装置に関する限定を意図するものでもなく推測すべきではないことを理解されたい。もちろん、特許請求の範囲に入るようなすべてのこのような修正は特許請求の範囲により保護されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る発電機の斜視図である。
【図2】図1の2−2面における断面図である。
【図3】燃料電池の列を組み込んだ本発明に係る発電機を示す図である。
【図4】4−4面に沿った図3の発電機を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機であって、
可撓性の燃料層を有する少なくとも1つの多層構造体、及び第1及び第2の可撓性の燃料電池層を備え、
前記燃料層が、第1及び第2の離間した側部と、その長さ又は幅のうちの1つよりも実質上小さな厚さとを有し、
前記燃料電池層が、前記燃料層のそれぞれの側部に位置し、前記燃料電池層の各々が、その電極長さ又は電極幅のうちの1つよりも実質上小さな厚さパラメータを有し、
前記構造体が、電気エネルギを発生させ、10ワット/リットルを越える電力密度を与えるように構成されることを特徴とする発電機。
【請求項2】
構造体が細長く、実質上円筒形状に丸まることができることを特徴とする請求項1の発電機。
【請求項3】
複数の実質上同一の多層構造体を含み、構造体が直列又は並列に接続されたものの1つであることを特徴とする請求項1の発電機。
【請求項4】
直列に接続された複数の構造体が10ワット/リットルを越える電力密度を有し、並列に接続された複数の構造体が10ワット/リットルを越える電力密度を有することを特徴とする請求項3の発電機。
【請求項5】
外部の負荷に結合できる第1及び第2の電極を備えた実質上円筒状になるように構成されることを特徴とする請求項4の発電機。
【請求項6】
燃料電池層の少なくともいくつかが各々固形の可撓性電解質により離間された陽極及び陰極を有することを特徴とする請求項1の発電機。
【請求項7】
燃料電池層の選択された部材が互いに電気的に隔離され、直列又は並列の1つとして相互接続されることを特徴とする請求項6の発電機。
【請求項8】
構造体が平坦状又は円筒状の1つとして構成されることを特徴とする請求項1の発電機。
【請求項9】
燃料電池層の選択された部材が互いに電気的に隔離され、直列又は並列の1つとして相互接続されることを特徴とする請求項8の発電機。
【請求項10】
その中に発生した水が付加的な水素を生じさせるように再生利用されることを特徴とする請求項9の発電機。
【請求項11】
発電機であって、
固形の可撓性電解質により離間された陽極及び陰極を組み込んだ少なくとも1つの多層燃料電池;及び
多層燃料電池と組み合わさって多層燃料電池に隣接して位置し、電気エネルギを発生させ、10ワット/リットルを越える電力密度を与えるように構成された燃料層;
を有することを特徴とする発電機。
【請求項12】
少なくとも1つの燃料電池の1つにおいてそれに隣接して位置する第2の多層燃料電池を含み、燃料層が両方の燃料電池に対して共通の表面を有するか、または、第2の多層燃料電池が間に燃料層を伴って少なくとも1つの燃料電池から変位していることを特徴とする請求項11の発電機。
【請求項13】
燃料電池及び燃料層が、引き続きの反応に使用するための水素を発生させるために、燃料電池により実行された電気化学反応によって発生した水を使用するように形状付けられることを特徴とする請求項12の発電機。
【請求項14】
水素発生反応が自己規制式のものであり、燃料電池及び燃料層が規制弁無しで電気エネルギを発生させることを特徴とする請求項13の発電機。
【請求項15】
組み合わされた燃料電池及び燃料層が可撓性であることを特徴とする請求項14の発電機。
【請求項16】
電池及び燃料層が各々それぞれの長さ、幅及び厚さパラメータを有し、電池及び燃料層の厚さの複合厚さパラメータがそれぞれの長さ及び幅パラメータよりも実質上小さく、それによって、電力密度を向上させることを特徴とする請求項14の発電機。
【請求項17】
燃料電池及び燃料層が可撓性であり、選択された形状へ変形できることを特徴とする請求項14の発電機。
【請求項18】
燃料電池が周囲の大気及びその中の酸素に対して曝されるように構成され、それによって、電力密度を向上させることを特徴とする請求項17の発電機。
【請求項19】
燃料層により離間された第1及び第2の複数の燃料電池を有することを特徴とする請求項17の発電機。
【請求項20】
燃料電池が並列の列又は直列の列のうちの少なくとも1つとして相互接続されることを特徴とする請求項19の発電機。
【請求項21】
可撓性の燃料層を提供する工程と;
燃料電池の第1及び第2の可撓性の層を提供する工程と;
所定の形状に従ってそれぞれの電池を相互接続する工程と;
その間に燃料層を備えるように電池の層を位置決めし、それによって、多層発電機を形成する工程と;を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
発電機を所定の形状に形成する工程を含むことを特徴とする請求項21の方法。
【請求項23】
燃料電池のそれぞれ1つを酸素に曝す工程を含むことを特徴とする請求項22の方法。
【請求項24】
多層発電機内で電気化学反応を開始させ、それによって、10ワット/リットルを越える電力密度を有する電流を発生させる工程を含むことを特徴とする請求項23の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−524912(P2009−524912A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552491(P2008−552491)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/002468
【国際公開番号】WO2007/089740
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】