高電圧パルス電源
【課題】半導体スイッチング素子の出力側にごく単純な回路素子を付加するだけで、半導体スイッチング素子の特性・性能を向上させたような動作を実現でき、高電圧及び急峻な高電圧パルスを出力することができる、低廉で小型化できる高電圧パルス電源を提供する。
【解決手段】半導体スイッチング素子1の出力側とトランス5の一次側との間に、半導体スイッチング素子1の出力を整流する高速リカバリダイオード4を接続し、スイッチング信号により半導体スイッチング素子1のターンオフが開始して終了するまでに、高速リカバリダイオード4の高速リカバリ動作により半導体スイッチング素子1をスイッチング信号とは無関係にターンオンさせる。
【解決手段】半導体スイッチング素子1の出力側とトランス5の一次側との間に、半導体スイッチング素子1の出力を整流する高速リカバリダイオード4を接続し、スイッチング信号により半導体スイッチング素子1のターンオフが開始して終了するまでに、高速リカバリダイオード4の高速リカバリ動作により半導体スイッチング素子1をスイッチング信号とは無関係にターンオンさせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ放電やコロナ放電等の放電用電源などとして使用される高電圧パルス電源に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の排ガス中の有害物質をプラズマ放電やコロナ放電を利用して、分解処理するガス浄化装置に対する社会的ニーズが高まっている。このガス浄化装置においては、排ガスの流路に設けた電極に10〜20kV1μSの高電圧パルスを印加することが、高効率のガス浄化を実現する上で有効であることが分かっている。
【0003】
そのための電源として、図1のようなロータリスパークギャップ(RSG)50を用いたものが知られているが、主に研究室等での研究用に開発されたもので、大型で高価であり、一般の実用的な排ガス浄化装置としては不向きである。
【0004】
また、特許文献1(特開平11−276842号公報)、特許文献2(特開2001−8471号公報)、特許文献3(特開2002−233168号公報)に開示されているように、充電電源により充電された主コンデンサの電荷を、半導体スイッチング素子により次段のコンデンサに移行し、可飽和リアクトルの飽和動作を利用して放電させるものがある。
【0005】
しかし、これによると、回路構成が複雑で、装置が大型化するなどの問題がある。
【0006】
また、基本的構成として、図2に示すように、半導体スイッチング素子51を用い、直流安定化電源52でLC充電回路53のコンデンサCを充電し、その電荷を半導体スイッチング素子51でスイッチングして急峻な電圧とし、これをパルストランス54で昇圧して、高周波の高電圧パルスを得るタイプがあり、特許文献4(特開2005−176416号公報)には、このタイプに属するプラズマ発生用の高電圧パルス発生回路が開示されている。
【0007】
このタイプの場合、得ようとする高電圧パルスが半導体スイッチング素子53自体の特性・性能に大きく依存し、できるだけ高電圧で、できるだけ急峻なパルスを出力するには、それに応じた仕様の半導体スイッチング素子を選ばなければならず、半導体スイッチング素子は、耐電圧のために複数個を積み重ねて使用することから、その価格が装置全体の価格を大きく左右していた。
【特許文献1】特開平11−276842号公報
【特許文献2】特開2001−8471号公報
【特許文献3】特開2002−233168号公報
【特許文献4】特開2005−176416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、図2に示したタイプにおいて、半導体スイッチング素子の出力側にごく単純な回路素子を付加するだけで、半導体スイッチング素子の特性・性能を向上させたような動作を実現でき、例えば、商用周波数用の低速型半導体スイッチング素子を用いても、高周波用の高速型半導体スイッチング素子を用いた場合と同等ないしそれ以上の高電圧及び急峻な高電圧パルスを出力することができる、低廉で小型化できる高電圧パルス電源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、半導体スイッチング素子に直流電圧を印加した状態で、スイッチング信号でスイッチング動作をさせ、その出力電圧をトランスで昇圧して、直流電源電圧よりはるかに高い電圧の高電圧パルスを生成する高電圧パルス電源において、半導体スイッチング素子の出力側とトランスの一次側との間に、半導体スイッチング素子の出力を整流する高速リカバリダイオードを接続し、スイッチング信号により半導体スイッチング素子のターンオフが開始して終了するまでに、高速リカバリダイオードの高速リカバリ動作により半導体スイッチング素子をターンオンさせることを特徴とする。
【0010】
図3にその基本回路構成例を示し、直流安定化電源2でLC充電回路3のコンデンサCを充電し、その電荷を半導体スイッチング素子1でスイッチングして放電させる。その際、ゲート信号(スイッチング信号)により半導体スイッチング素子1のターンオフが開始して終了するまでに、高速リカバリダイオード4の高速リカバリ動作により、ゲート信号に依存せずに半導体スイッチング素子1をターンオンさせ、高速リカバリダイオード4が無い場合(半導体スイッチング素子1をゲート信号で通常通りにターンオン・ターンオフさせる場合)に比べて、より高電圧、より急峻な電圧とし、これをトランス5で昇圧して高周波の高電圧パルスとし、これを負荷7に印加する。その負荷7をプラズマ放電用電極とすれば、プラズマ放電用の高電圧パルス電源となる。
【0011】
高速リカバリダイオードは、そのリカバリ時間が半導体スイッチング素子のターンオフ時間よりもはるかに短いことが望ましい。
【0012】
通常の整流用ダイオードのリカバリ時間は30μs〜100μs程度であるのに対し、一般に「高速リカバリダイオード」と言われているダイオードは、高速整流用で0.5μs〜3μs、超高速整流用で35ns〜100nsであるが、本発明では、使用する半導体スイッチング素子のターンオフ時間との関係から。そのターンオフ時間よりもリカバリ時間が桁違いに短い高速リカバリダイオードすることに意義があるので、リカバリ時間に上限・下限の範囲は特に無い。
【0013】
高速リカバリダイオードは、半導体スイッチング素子の出力側、入力側のいずれに接続しても良いが、高速リカバリダイオードによる効果を充分に引き出すとともに、出力の安定性の観点から、半導体スイッチング素子の出力側とトランスの一次側との間に直列接続するとよい。
半導体スイッチング素子としては、サイリスタやIGBTやMOSFETやスイッチング電源用トランジスタでよい。
【0014】
トランスの二次側にプラズマ放電用電極を接続し、プラズマ放電用の高電圧パルス電源とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、半導体スイッチング素子に、その出力を整流する高速リカバリダイオードを接続し、スイッチング信号により半導体スイッチング素子のターンオフが開始して終了するまでに、高速リカバリダイオードの高速リカバリ動作により半導体スイッチング素子をターンオンさせるので、半導体スイッチング素子のタ−ンオフが開始するのに伴い、高速リカバリダイオードに流れる電流も減少し、その電流が0を越えて下限に達した後、急に上昇に転ずる高速リカバリ動作(高di/dt)により、急峻な逆回復電流となる。そのため、高速リカバリダイオードの逆回復電荷量が急増し、LR回路の振動により電圧・電流の極性が反転する過渡現象も手伝って、半導体スイッチング素子の出力側に高dv/dtの逆起電力が生じ、半導体スイッチング素子のタ−ンオフが中断して、半導体スイッチング素子がスイッチング信号に依存せずに再びターンオンする(一旦、オフしかかっていた半導体スイッチング素子が、完全にオフしない前に、マイナス電圧で強制的に再びオンされるような恰好となる)。その結果、半導体スイッチング素子のスイッチング動作が、高速リカバリダイオードによって見掛け上、高速化されるとともに、マイナス電圧側まで活用できることにより、アノード/カソード間の電圧も上昇し、トランスの二次側に波高値の高い急峻な高電圧パルスが生成される。
【0016】
従って、半導体スイッチング素子として、例えば、商用周波数用の低速型半導体スイッチング素子を用いた場合、高周波用の高速型半導体スイッチング素子を用いた場合と同等ないしそれ以上の高電圧及び急峻な高電圧パルスを出力することができ、また、高周波用の高速型半導体スイッチング素子を用いれば、より高電圧で、より急峻な高電圧パルスが得られる。
【0017】
自動車の排ガス中の有害物質をプラズマ放電にて分解処理する、自動車向けのプラズマ放電式ガス浄化装置は、その優れた効果が有望視されながら、その電源とする高電圧パルス電源がネックとなり、実用化するうえで、価格面や大きさや性能の面で満足できるような高電圧パルス電源は提供されていない。
【0018】
本発明による高電圧パルス電源は、単純な構造でありながら、上記のような効果があるので、種々の用途に適用できるが、プラズマ放電式ガス浄化装置の高電圧パルス電源とするのに好適で、その場合、請求項6に係る発明のように、トランスの二次側にプラズマ放電用電極を接続するだけで対応できる。
【0019】
請求項2に係る発明のように、高速リカバリダイオードのリカバリ時間が半導体スイッチング素子のターンオフ時間よりもはるかに短ければ、上記のような効果がより顕著になる。
【0020】
請求項3に係る発明のように、高速リカバリダイオードは、半導体スイッチング素子の出力側とトランスの一次側との間に直列接続するだけでよいので、回路設計も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
実施例1は、図4に示すように、半導体スイッチング素子としてサイリスタ(SCR)1を使用し、同図ではそれを1個しか図示していないが、耐電圧のためその複数個を直列に積み重ねてある。直流安定化電源2の直流電圧は、インダクタンスLとコンデンサCとによるLC充電回路3に印加され、そのコンデンサCが充電され。サイリスタドライブ回路6からの高い繰り返し周波数のゲート信号でサイリスタ1がスイッチングされることにより、コンデンサCの充電電荷が放電され、その放電による高周波の電圧がパルストランス5の一次側コイル5aに印加される。
【0023】
この一次側コイル5aとサイリスタ1の出力側(カソード側)との間には、高速リカバリダイオード4が直列に接続されている。高速リカバリダイオード4のリカバリ時間は、サイリスタ1のターンオフ時間よりもはるかに(桁違いに)短い。
【0024】
パルストランス5の二次側コイル5bには、電気的に見て静電容量C7と抵抗R7とを並列接続した負荷7が接続されている。
【0025】
このような構成において、直流安定化電源2からの直流電圧(例えば、1kV)によりコンデンサCが充電され、サイリスタドライブ回路6からの高い繰り返し周波数(例えば、1kHz)のゲート信号が「H」(High)になってサイリスタ1がターンオンすると、コンデンサCの電荷が放電される。このコンデンサCの電荷の放電に伴い、サイリスタ1のアノード電位がカソードより低下すると、サイリスタ1がターンオフを開始し、これに伴い、高速リカバリダイオード4に流れる電流も減少する。
【0026】
サイリスタ1は、高速リカバリダイオード4が無ければ、自らのターンオフ時間にて自らターンオフを終了するが、高速リカバリダイオード4のリカバリ時間がサイリスタ1のターンオフ時間よりも桁違いに短く、サイリスタ1のターンオフが開始した直後に高速リカバリダイオード4が高速でリカバリするため、すなわち、高速リカバリダイオード4に流れる電流が0を越えて下限に達した後、急に上昇に転ずる高速リカバリ動作(高di/dt)を行うため、急峻な逆回復電流が流れる。これにより、サイリスタ1のアノード・カソード間に急峻(高dV/dt)な逆起電力が生じ、ターンオフしかかっていたサイリスタ1が、ターンオフを中断して、ゲート信号(スイッチング信号)とは無関係にターンオン(点弧)に転ずる。そのため、サイリスタ1には、コンデンサCの充電による印加電圧よりも高い電圧が印加され、パルストランス5の一次側コイル5aには、共振作用も寄与することから、高速リカバリダイオード4が無い場合よりも、はるかに高い電圧が生ずる。
【0027】
<実験例1>
図4に示した回路構成で、サイリスタ1として、ターンオフ時間が通常(200μS位)である通常サイリスタ(東芝製、型番SF16JZ51)と、ターンオフ時間が高速(10μS)である高速サイリスタ(NEC製、型番20SS7SCD)の2種を用いて、それぞれ9段接続し、高速リカバリダイオード4として、リカバリ時間が1μSに満たない高速(0.15μS)である高速リカバリダイオード(富士電機製、型番ESJC32-08X)の場合と、高速リカバリダイオード4に代えてリカバリ時間が通常(30μS位)である商用周波数用の通常の整流ダイオード(富士電機製、型番ESJC13-09B)の場合と、このようなダイオードを用いない場合とについて、次のような条件で実験を行った。
【0028】
直流安定化電源2の直流電圧:1kV
サイリスタドライブ回路6のゲート信号の周期;1kHZ
インダクタンスL:200H
コンデンサ:0.007μF
負荷7の静電容量C7:150pF
負荷7の抵抗:1MΩ
【0029】
(A)サイリスタ1を通常サイリスタとし、
(A−1)これに高速リカバリダイオード4及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合と、
(A−2)高速リカバリダイオードに代えて通常の整流ダイオードを接続した場合と、
(A−3)高速リカバリダイオードを接続した場合
のそれぞれについて、パルストランス5の一次側コイル5aに流れる一次電流と、入力電力、及び負荷7に印加される出力パルスの波高値を測定したところ、次の表1のような結果が得られた。
【0030】
【表1】
【0031】
(B)サイリスタ1を上記のような高速サイリスタとし、
(B−1)これに高速リカバリダイオード4及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合と、
(B−2)高速リカバリダイオードに代えて通常の整流ダイオードを接続した場合と、
(B−3)高速リカバリダイオードを接続した場合
のそれぞれについて、同様の測定をしたところ、表2のような結果が得られた。
【0032】
【表2】
【0033】
これらの表から分かるように、通常サイリスタ及び高速サイリスタのいずれについても、通常の整流ダイオードを接続した場合には、ダイオードを接続しない場合と変わりはないが、高速リカバリダイオードを接続した場合には、一次電流、入力電力、出力パルスの波高値のいずれも上昇している。
【0034】
図5〜図25に上記(A−1)、(A−2)、(A−3)、及び(B−1)、(B−2)、(B−3)のそれぞれの場合において、図4のA〜D点で測定した電圧と電流の波形を示す。
【0035】
図5は、(A−1)の場合、つまり、通常サイリスタにダイオードを接続しない場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図6は、同じく(A−1)場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、逆起電力は生ぜず、一次電流波形は0を一度越えた後も波形が続いている。
図7は、同じく(A−1)場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、一次電流波形は0を一度越えた後も波形が続き、その電流の変化にサイリスタ1が反応していないことが分かる。
図8は、時間軸を2μS/divとした図7に対し、時間軸を200μS/divとして表したものである。
【0036】
図9は、(A−2)の場合、つまり、通常サイリスタに通常の整流ダイオードを接続した場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図10は、同じく(A−2)場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、一次電流波形は0を一度越えた後も波形が続き、その電流の変化にサイリスタ1が反応していないことが分かる。
図11は、時間軸を2μS/divとした図10に対し、時間軸を200μS/divとして表したものである。
図12は、B点の電圧波形とA点の電圧波形とを上下に対比して示す。
【0037】
図13は、(A−3)の場合、つまり、通常サイリスタに高速リカバリダイオードを接続した場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図14は、同じく(A−3)場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、一次電流波形は0を通過した時点で瞬時に切れ、一次コイル5aに逆起電力が生じていることが分かる。
図15は、同じく(A−3)場合での、B点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図16は、同じく(A−3)場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図17は、時間軸を2μS/divとした図16に対し、時間軸を200μS/divとして表したものである。
【0038】
図18は、(B−1)の場合、つまり、高速サイリスタにダイオードを接続しない場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図19は、同じく(B−1)の場合での、D点の電圧波形と二次電流波形とを上下に対比して示す。
図20は、同じく(B−1)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図21は、同じく(B−1)の場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
【0039】
図22は、(B−3)の場合、つまり、高速サイリスタに高速リカバリダイオードを接続した場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図23は、同じく(B−3)の場合での、D点の電圧波形と二次電流波形とを上下に対比して示す。
図24は、同じく(B−3)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、一次電流波形は0を通過した時点で瞬時に切れ、一次コイル5aに逆起電力が生じていることが分かる。
図25は、同じく(B−3)の場合での、B点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、一次電流波形は0を通過した時点で瞬時に切れ、サイリスタ1に高dV/dtの電圧が印加されるが分かる。
【実施例2】
【0040】
実施例2は、図26に示すように、半導体スイッチング素子として、実施例1におけるサイリスタ1に代えてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)11を多段に接続し、これをIGBTドライブ回路16からのゲート信号により繰り返しスイッチングさせるようにしたもので、その他は実施例1と同様である。
【0041】
<実験例2>
図26に示した回路構成で、IGBT11として、東芝製、型番GT50J102のIGBTを6段接続し、高速リカバリダイオード4として、リカバリ時間が1μSに満たない高速(0.15μS)である高速リカバリダイオード(富士電機製、型番ESJC32-08X)の場合と、高速リカバリダイオード4に代えてリカバリ時間が通常(30μS位)である商用周波数用の通常の整流ダイオード(富士電機製、型番ESJC13-09B)の場合と、このようなダイオードを用いない場合とについて、次のような条件で実験を行った。
【0042】
直流安定化電源2の直流電圧:300V
IGBTドライブ回路16のゲート信号の周期;1kHZ
インダクタンスL:200H
コンデンサ:0.011μF
負荷7の静電容量C7:50pF
負荷7の抵抗:1MΩ
【0043】
(C)半導体スイッチング素子としてIGBTを用い、
(C−1)これに高速リカバリダイオード4及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合と、
(C−2)高速リカバリダイオードに代えて通常の整流ダイオードを接続した場合と、
(C−3)高速リカバリダイオードを接続した場合
のそれぞれについて、パルストランス5の一次側コイル5aに流れる一次電流と、入力電力、及び負荷7に印加される出力パルスの波高値を測定したところ、次の表3のような結果が得られた。
【0044】
【表3】
【0045】
図27〜図32に上記(C−1)、(C−2)、(C−3)のそれぞれの場合において、図26のA〜D点で測定した電圧と電流の波形を示す。
【0046】
図27は、(C−1)の場合、つまり、IGBTにダイオードを接続しない場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図28は、同じく(C−1)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図29は、(C−2)の場合、つまり、IGBTに通常の整流ダイオードを接続した場合のD点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図30は、同じく(C−2)の場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図31は、(C−3)の場合、つまり、IGBTに高速リカバリダイオードを接続した場合のD点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図32は、同じく(C−3)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。図33はその一部を拡大して示す。
これらの図から、A点の電圧波形の立ち下がりと同時に一次電流が瞬時に切れた直後に、一次電流が急峻に上昇して逆起電力が生じていることが分かる。
【実施例3】
【0047】
実施例3は、図34に示すように、半導体スイッチング素子として、実施例1におけるサイリスタ1に代えてMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)21を多段に接続し、これをMOSFETドライブ回路26からのゲート信号により繰り返しスイッチングさせるようにしたもので、その他は実施例1と同様である。
【0048】
<実験例3>
図34に示した回路構成で、MOSFET21として、日立製、型番2SK1205のMOSFETを6段接続し、高速リカバリダイオード4として、リカバリ時間が1μSに満たない高速(0.15μS)である高速リカバリダイオード(富士電機製、型番ESJC32-08X)の場合と、ダイオードを用いない場合とについて、次のような条件で実験を行った。
【0049】
直流安定化電源2の直流電圧:400V
MOSFETドライブ回路26のゲート信号の周期;1kHZ
インダクタンスL:200H
コンデンサ:0.011μF
負荷7の静電容量C7:50pF
負荷7の抵抗:1MΩ
【0050】
(D)半導体スイッチング素子としてMOSFETを用い、
(D−1)これに高速リカバリダイオード4を接続しない場合と、
(D−3)高速リカバリダイオードを接続した場合
のそれぞれについて、パルストランス5の一次側コイル5aに流れる一次電流と、入力電力、及び負荷7に印加される出力パルスの波高値を測定したところ、次の表4のような結果が得られた。
【0051】
【表4】
【0052】
図35〜図41に上記(D−1)、(D−3)のそれぞれの場合において、図34のA〜D点で測定した電圧と電流の波形を示す。
【0053】
図35は、(D−1)の場合、つまり、MOSFETに高速リカバリダイオードを接続しない場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図36は、同じく(D−1)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図37は、同じく(D−1)の場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図38は、(D−3)の場合、つまり、MOSFETに高速リカバリダイオードを接続した場合のD点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図39は、同じく(D−3)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図40は、同じく(D−3)の場合での、B点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図41は、同じく(D−3)の場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
【実施例4】
【0054】
実施例4は、図42に示すように、半導体スイッチング素子として、実施例1におけるサイリスタ1に代えてスイチング電源用トランジスタ31を多段に接続し、これをトランジスタドライブ回路36からのスイッチング信号により繰り返しスイッチングさせるようにしたもので、その他は実施例1と同様である。
【0055】
<実験例4>
図42に示した回路構成で、スイッチング電源用トランジスタ31として、三洋電機製、型番2SC4427のトランジスタを6段接続し、高速リカバリダイオード4として、リカバリ時間が1μSに満たない高速(0.15μS)である高速リカバリダイオード(富士電機製、型番ESJC32-08X)の場合と、ダイオードを用いない場合とについて、次のような条件で実験を行った。
【0056】
直流安定化電源2の直流電圧:400V
トランジスタドライブ回路36のスイッチング周期;1kHZ
インダクタンスL:200H
コンデンサ:0.011μF
負荷7の静電容量C7:50pF
負荷7の抵抗:1MΩ
【0057】
(E)半導体スイッチング素子としてスイッチング電源用トランジスタを用い、
(E−1)これに高速リカバリダイオード4を接続しない場合と、
(E−3)高速リカバリダイオードを接続した場合
のそれぞれについて、パルストランス5の一次側コイル5aに流れる一次電流と、入力電力、及び負荷7に印加される出力パルスの波高値を測定したところ、次の表5のような結果が得られた。
【0058】
【表5】
【0059】
図43又は図44に示すように、半導体スイッチング素子1と高速リカバリダイオード4の組み合わせを2個として並列接続するとともに、パルストランス5の一次コイルのコイル5aを2個にして互いに逆極性の電圧を印加すると、両極性の高電圧パルスを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
排ガス浄化装置のためのパルス電源に限らず、電気集塵装置のパルス電源、殺菌装置のパルス電源、オゾン発生用電源、プラスチックの表面処理装置、厨房排ガス・排煙の浄化、水中放電による浄化等に広範囲に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ロータリスパークギャップを用いた従来例の回路図である。
【図2】半導体スイッチング素子を用いた従来例の回路図である。
【図3】本発明の基本構成例を示す回路図である。
【図4】半導体スイッチング素子としてサイリスタを用いた本発明の実施例1の回路図である。
【図5】図4においてサイリスタを通常サイリスタとし、これに高速リカバリダイオード及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合の実測波形図である。
【図6】同様の波形図である。
【図7】同様の波形図である。
【図8】同様の波形図である。
【図9】図4においてサイリスタを通常サイリスタとし、これに通常の整流ダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図10】同様の波形図である。
【図11】同様の波形図である。
【図12】同様の波形図である。
【図13】図4においてサイリスタを通常サイリスタとし、これに高速リカバリダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図14】同様の波形図である。
【図15】同様の波形図である。
【図16】同様の波形図である。
【図17】同様の波形図である。
【図18】図4においてサイリスタを高速のサイリスタとし、これに高速リカバリダイオード及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合の実測波形図である。
【図19】同様の波形図である。
【図20】同様の波形図である。
【図21】同様の波形図である。
【図22】図4においてサイリスタを高速のサイリスタとし、これに高速リカバリダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図23】同様の波形図である。
【図24】同様の波形図である。
【図25】同様の波形図である。
【図26】半導体スイッチング素子としてIGBTを用いた本発明の実施例2の回路図である。
【図27】図26においてIGBTに高速リカバリダイオード及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合の実測波形図である。
【図28】同様の波形図である。
【図29】図26においてIGBTに通常の整流ダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図30】同様の波形図である。
【図31】図26においてIGBTに高速リカバリダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図32】同様の波形図である。
【図33】同様の波形図である。
【図34】半導体スイッチング素子としてMOSFETを用いた本発明の実施例3の回路図である。
【図35】図34においてMOSFETに高速リカバリダイオードを接続しない場合の実測波形図である。
【図36】同様の波形図である。
【図37】同様の波形図である。
【図38】図34においてMOSFETに高速リカバリダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図39】同様の波形図である。
【図40】同様の波形図である。
【図41】同様の波形図である。
【図42】半導体スイッチング素子としてスイッチング電源用トランジスタを用いた本発明の実施例4の回路図である。
【図43】半導体スイッチング素子と高速リカバリダイオードの組み合わせを2個とした変形例の回路図である。
【図44】同様の回路図である。
【符号の説明】
【0062】
1 半導体スイッチング素子
2 直流安定化電源
3 LC充電回路
4 高速リカバリダイオード
5 トランス
5a 一次側コイル
5b 二次側コイル
6 サイリスタドライブ回路
7 負荷
11 IGBT
16 IGBTドライブ回路
21 MOSFET
26 MOSFETドライブ回路
31 スイチング電源用トランジスタ
36 トランジスタドライブ回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ放電やコロナ放電等の放電用電源などとして使用される高電圧パルス電源に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の排ガス中の有害物質をプラズマ放電やコロナ放電を利用して、分解処理するガス浄化装置に対する社会的ニーズが高まっている。このガス浄化装置においては、排ガスの流路に設けた電極に10〜20kV1μSの高電圧パルスを印加することが、高効率のガス浄化を実現する上で有効であることが分かっている。
【0003】
そのための電源として、図1のようなロータリスパークギャップ(RSG)50を用いたものが知られているが、主に研究室等での研究用に開発されたもので、大型で高価であり、一般の実用的な排ガス浄化装置としては不向きである。
【0004】
また、特許文献1(特開平11−276842号公報)、特許文献2(特開2001−8471号公報)、特許文献3(特開2002−233168号公報)に開示されているように、充電電源により充電された主コンデンサの電荷を、半導体スイッチング素子により次段のコンデンサに移行し、可飽和リアクトルの飽和動作を利用して放電させるものがある。
【0005】
しかし、これによると、回路構成が複雑で、装置が大型化するなどの問題がある。
【0006】
また、基本的構成として、図2に示すように、半導体スイッチング素子51を用い、直流安定化電源52でLC充電回路53のコンデンサCを充電し、その電荷を半導体スイッチング素子51でスイッチングして急峻な電圧とし、これをパルストランス54で昇圧して、高周波の高電圧パルスを得るタイプがあり、特許文献4(特開2005−176416号公報)には、このタイプに属するプラズマ発生用の高電圧パルス発生回路が開示されている。
【0007】
このタイプの場合、得ようとする高電圧パルスが半導体スイッチング素子53自体の特性・性能に大きく依存し、できるだけ高電圧で、できるだけ急峻なパルスを出力するには、それに応じた仕様の半導体スイッチング素子を選ばなければならず、半導体スイッチング素子は、耐電圧のために複数個を積み重ねて使用することから、その価格が装置全体の価格を大きく左右していた。
【特許文献1】特開平11−276842号公報
【特許文献2】特開2001−8471号公報
【特許文献3】特開2002−233168号公報
【特許文献4】特開2005−176416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、図2に示したタイプにおいて、半導体スイッチング素子の出力側にごく単純な回路素子を付加するだけで、半導体スイッチング素子の特性・性能を向上させたような動作を実現でき、例えば、商用周波数用の低速型半導体スイッチング素子を用いても、高周波用の高速型半導体スイッチング素子を用いた場合と同等ないしそれ以上の高電圧及び急峻な高電圧パルスを出力することができる、低廉で小型化できる高電圧パルス電源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、半導体スイッチング素子に直流電圧を印加した状態で、スイッチング信号でスイッチング動作をさせ、その出力電圧をトランスで昇圧して、直流電源電圧よりはるかに高い電圧の高電圧パルスを生成する高電圧パルス電源において、半導体スイッチング素子の出力側とトランスの一次側との間に、半導体スイッチング素子の出力を整流する高速リカバリダイオードを接続し、スイッチング信号により半導体スイッチング素子のターンオフが開始して終了するまでに、高速リカバリダイオードの高速リカバリ動作により半導体スイッチング素子をターンオンさせることを特徴とする。
【0010】
図3にその基本回路構成例を示し、直流安定化電源2でLC充電回路3のコンデンサCを充電し、その電荷を半導体スイッチング素子1でスイッチングして放電させる。その際、ゲート信号(スイッチング信号)により半導体スイッチング素子1のターンオフが開始して終了するまでに、高速リカバリダイオード4の高速リカバリ動作により、ゲート信号に依存せずに半導体スイッチング素子1をターンオンさせ、高速リカバリダイオード4が無い場合(半導体スイッチング素子1をゲート信号で通常通りにターンオン・ターンオフさせる場合)に比べて、より高電圧、より急峻な電圧とし、これをトランス5で昇圧して高周波の高電圧パルスとし、これを負荷7に印加する。その負荷7をプラズマ放電用電極とすれば、プラズマ放電用の高電圧パルス電源となる。
【0011】
高速リカバリダイオードは、そのリカバリ時間が半導体スイッチング素子のターンオフ時間よりもはるかに短いことが望ましい。
【0012】
通常の整流用ダイオードのリカバリ時間は30μs〜100μs程度であるのに対し、一般に「高速リカバリダイオード」と言われているダイオードは、高速整流用で0.5μs〜3μs、超高速整流用で35ns〜100nsであるが、本発明では、使用する半導体スイッチング素子のターンオフ時間との関係から。そのターンオフ時間よりもリカバリ時間が桁違いに短い高速リカバリダイオードすることに意義があるので、リカバリ時間に上限・下限の範囲は特に無い。
【0013】
高速リカバリダイオードは、半導体スイッチング素子の出力側、入力側のいずれに接続しても良いが、高速リカバリダイオードによる効果を充分に引き出すとともに、出力の安定性の観点から、半導体スイッチング素子の出力側とトランスの一次側との間に直列接続するとよい。
半導体スイッチング素子としては、サイリスタやIGBTやMOSFETやスイッチング電源用トランジスタでよい。
【0014】
トランスの二次側にプラズマ放電用電極を接続し、プラズマ放電用の高電圧パルス電源とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、半導体スイッチング素子に、その出力を整流する高速リカバリダイオードを接続し、スイッチング信号により半導体スイッチング素子のターンオフが開始して終了するまでに、高速リカバリダイオードの高速リカバリ動作により半導体スイッチング素子をターンオンさせるので、半導体スイッチング素子のタ−ンオフが開始するのに伴い、高速リカバリダイオードに流れる電流も減少し、その電流が0を越えて下限に達した後、急に上昇に転ずる高速リカバリ動作(高di/dt)により、急峻な逆回復電流となる。そのため、高速リカバリダイオードの逆回復電荷量が急増し、LR回路の振動により電圧・電流の極性が反転する過渡現象も手伝って、半導体スイッチング素子の出力側に高dv/dtの逆起電力が生じ、半導体スイッチング素子のタ−ンオフが中断して、半導体スイッチング素子がスイッチング信号に依存せずに再びターンオンする(一旦、オフしかかっていた半導体スイッチング素子が、完全にオフしない前に、マイナス電圧で強制的に再びオンされるような恰好となる)。その結果、半導体スイッチング素子のスイッチング動作が、高速リカバリダイオードによって見掛け上、高速化されるとともに、マイナス電圧側まで活用できることにより、アノード/カソード間の電圧も上昇し、トランスの二次側に波高値の高い急峻な高電圧パルスが生成される。
【0016】
従って、半導体スイッチング素子として、例えば、商用周波数用の低速型半導体スイッチング素子を用いた場合、高周波用の高速型半導体スイッチング素子を用いた場合と同等ないしそれ以上の高電圧及び急峻な高電圧パルスを出力することができ、また、高周波用の高速型半導体スイッチング素子を用いれば、より高電圧で、より急峻な高電圧パルスが得られる。
【0017】
自動車の排ガス中の有害物質をプラズマ放電にて分解処理する、自動車向けのプラズマ放電式ガス浄化装置は、その優れた効果が有望視されながら、その電源とする高電圧パルス電源がネックとなり、実用化するうえで、価格面や大きさや性能の面で満足できるような高電圧パルス電源は提供されていない。
【0018】
本発明による高電圧パルス電源は、単純な構造でありながら、上記のような効果があるので、種々の用途に適用できるが、プラズマ放電式ガス浄化装置の高電圧パルス電源とするのに好適で、その場合、請求項6に係る発明のように、トランスの二次側にプラズマ放電用電極を接続するだけで対応できる。
【0019】
請求項2に係る発明のように、高速リカバリダイオードのリカバリ時間が半導体スイッチング素子のターンオフ時間よりもはるかに短ければ、上記のような効果がより顕著になる。
【0020】
請求項3に係る発明のように、高速リカバリダイオードは、半導体スイッチング素子の出力側とトランスの一次側との間に直列接続するだけでよいので、回路設計も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
実施例1は、図4に示すように、半導体スイッチング素子としてサイリスタ(SCR)1を使用し、同図ではそれを1個しか図示していないが、耐電圧のためその複数個を直列に積み重ねてある。直流安定化電源2の直流電圧は、インダクタンスLとコンデンサCとによるLC充電回路3に印加され、そのコンデンサCが充電され。サイリスタドライブ回路6からの高い繰り返し周波数のゲート信号でサイリスタ1がスイッチングされることにより、コンデンサCの充電電荷が放電され、その放電による高周波の電圧がパルストランス5の一次側コイル5aに印加される。
【0023】
この一次側コイル5aとサイリスタ1の出力側(カソード側)との間には、高速リカバリダイオード4が直列に接続されている。高速リカバリダイオード4のリカバリ時間は、サイリスタ1のターンオフ時間よりもはるかに(桁違いに)短い。
【0024】
パルストランス5の二次側コイル5bには、電気的に見て静電容量C7と抵抗R7とを並列接続した負荷7が接続されている。
【0025】
このような構成において、直流安定化電源2からの直流電圧(例えば、1kV)によりコンデンサCが充電され、サイリスタドライブ回路6からの高い繰り返し周波数(例えば、1kHz)のゲート信号が「H」(High)になってサイリスタ1がターンオンすると、コンデンサCの電荷が放電される。このコンデンサCの電荷の放電に伴い、サイリスタ1のアノード電位がカソードより低下すると、サイリスタ1がターンオフを開始し、これに伴い、高速リカバリダイオード4に流れる電流も減少する。
【0026】
サイリスタ1は、高速リカバリダイオード4が無ければ、自らのターンオフ時間にて自らターンオフを終了するが、高速リカバリダイオード4のリカバリ時間がサイリスタ1のターンオフ時間よりも桁違いに短く、サイリスタ1のターンオフが開始した直後に高速リカバリダイオード4が高速でリカバリするため、すなわち、高速リカバリダイオード4に流れる電流が0を越えて下限に達した後、急に上昇に転ずる高速リカバリ動作(高di/dt)を行うため、急峻な逆回復電流が流れる。これにより、サイリスタ1のアノード・カソード間に急峻(高dV/dt)な逆起電力が生じ、ターンオフしかかっていたサイリスタ1が、ターンオフを中断して、ゲート信号(スイッチング信号)とは無関係にターンオン(点弧)に転ずる。そのため、サイリスタ1には、コンデンサCの充電による印加電圧よりも高い電圧が印加され、パルストランス5の一次側コイル5aには、共振作用も寄与することから、高速リカバリダイオード4が無い場合よりも、はるかに高い電圧が生ずる。
【0027】
<実験例1>
図4に示した回路構成で、サイリスタ1として、ターンオフ時間が通常(200μS位)である通常サイリスタ(東芝製、型番SF16JZ51)と、ターンオフ時間が高速(10μS)である高速サイリスタ(NEC製、型番20SS7SCD)の2種を用いて、それぞれ9段接続し、高速リカバリダイオード4として、リカバリ時間が1μSに満たない高速(0.15μS)である高速リカバリダイオード(富士電機製、型番ESJC32-08X)の場合と、高速リカバリダイオード4に代えてリカバリ時間が通常(30μS位)である商用周波数用の通常の整流ダイオード(富士電機製、型番ESJC13-09B)の場合と、このようなダイオードを用いない場合とについて、次のような条件で実験を行った。
【0028】
直流安定化電源2の直流電圧:1kV
サイリスタドライブ回路6のゲート信号の周期;1kHZ
インダクタンスL:200H
コンデンサ:0.007μF
負荷7の静電容量C7:150pF
負荷7の抵抗:1MΩ
【0029】
(A)サイリスタ1を通常サイリスタとし、
(A−1)これに高速リカバリダイオード4及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合と、
(A−2)高速リカバリダイオードに代えて通常の整流ダイオードを接続した場合と、
(A−3)高速リカバリダイオードを接続した場合
のそれぞれについて、パルストランス5の一次側コイル5aに流れる一次電流と、入力電力、及び負荷7に印加される出力パルスの波高値を測定したところ、次の表1のような結果が得られた。
【0030】
【表1】
【0031】
(B)サイリスタ1を上記のような高速サイリスタとし、
(B−1)これに高速リカバリダイオード4及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合と、
(B−2)高速リカバリダイオードに代えて通常の整流ダイオードを接続した場合と、
(B−3)高速リカバリダイオードを接続した場合
のそれぞれについて、同様の測定をしたところ、表2のような結果が得られた。
【0032】
【表2】
【0033】
これらの表から分かるように、通常サイリスタ及び高速サイリスタのいずれについても、通常の整流ダイオードを接続した場合には、ダイオードを接続しない場合と変わりはないが、高速リカバリダイオードを接続した場合には、一次電流、入力電力、出力パルスの波高値のいずれも上昇している。
【0034】
図5〜図25に上記(A−1)、(A−2)、(A−3)、及び(B−1)、(B−2)、(B−3)のそれぞれの場合において、図4のA〜D点で測定した電圧と電流の波形を示す。
【0035】
図5は、(A−1)の場合、つまり、通常サイリスタにダイオードを接続しない場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図6は、同じく(A−1)場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、逆起電力は生ぜず、一次電流波形は0を一度越えた後も波形が続いている。
図7は、同じく(A−1)場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、一次電流波形は0を一度越えた後も波形が続き、その電流の変化にサイリスタ1が反応していないことが分かる。
図8は、時間軸を2μS/divとした図7に対し、時間軸を200μS/divとして表したものである。
【0036】
図9は、(A−2)の場合、つまり、通常サイリスタに通常の整流ダイオードを接続した場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図10は、同じく(A−2)場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、一次電流波形は0を一度越えた後も波形が続き、その電流の変化にサイリスタ1が反応していないことが分かる。
図11は、時間軸を2μS/divとした図10に対し、時間軸を200μS/divとして表したものである。
図12は、B点の電圧波形とA点の電圧波形とを上下に対比して示す。
【0037】
図13は、(A−3)の場合、つまり、通常サイリスタに高速リカバリダイオードを接続した場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図14は、同じく(A−3)場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、一次電流波形は0を通過した時点で瞬時に切れ、一次コイル5aに逆起電力が生じていることが分かる。
図15は、同じく(A−3)場合での、B点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図16は、同じく(A−3)場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図17は、時間軸を2μS/divとした図16に対し、時間軸を200μS/divとして表したものである。
【0038】
図18は、(B−1)の場合、つまり、高速サイリスタにダイオードを接続しない場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図19は、同じく(B−1)の場合での、D点の電圧波形と二次電流波形とを上下に対比して示す。
図20は、同じく(B−1)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図21は、同じく(B−1)の場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
【0039】
図22は、(B−3)の場合、つまり、高速サイリスタに高速リカバリダイオードを接続した場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図23は、同じく(B−3)の場合での、D点の電圧波形と二次電流波形とを上下に対比して示す。
図24は、同じく(B−3)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、一次電流波形は0を通過した時点で瞬時に切れ、一次コイル5aに逆起電力が生じていることが分かる。
図25は、同じく(B−3)の場合での、B点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。この場合、一次電流波形は0を通過した時点で瞬時に切れ、サイリスタ1に高dV/dtの電圧が印加されるが分かる。
【実施例2】
【0040】
実施例2は、図26に示すように、半導体スイッチング素子として、実施例1におけるサイリスタ1に代えてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)11を多段に接続し、これをIGBTドライブ回路16からのゲート信号により繰り返しスイッチングさせるようにしたもので、その他は実施例1と同様である。
【0041】
<実験例2>
図26に示した回路構成で、IGBT11として、東芝製、型番GT50J102のIGBTを6段接続し、高速リカバリダイオード4として、リカバリ時間が1μSに満たない高速(0.15μS)である高速リカバリダイオード(富士電機製、型番ESJC32-08X)の場合と、高速リカバリダイオード4に代えてリカバリ時間が通常(30μS位)である商用周波数用の通常の整流ダイオード(富士電機製、型番ESJC13-09B)の場合と、このようなダイオードを用いない場合とについて、次のような条件で実験を行った。
【0042】
直流安定化電源2の直流電圧:300V
IGBTドライブ回路16のゲート信号の周期;1kHZ
インダクタンスL:200H
コンデンサ:0.011μF
負荷7の静電容量C7:50pF
負荷7の抵抗:1MΩ
【0043】
(C)半導体スイッチング素子としてIGBTを用い、
(C−1)これに高速リカバリダイオード4及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合と、
(C−2)高速リカバリダイオードに代えて通常の整流ダイオードを接続した場合と、
(C−3)高速リカバリダイオードを接続した場合
のそれぞれについて、パルストランス5の一次側コイル5aに流れる一次電流と、入力電力、及び負荷7に印加される出力パルスの波高値を測定したところ、次の表3のような結果が得られた。
【0044】
【表3】
【0045】
図27〜図32に上記(C−1)、(C−2)、(C−3)のそれぞれの場合において、図26のA〜D点で測定した電圧と電流の波形を示す。
【0046】
図27は、(C−1)の場合、つまり、IGBTにダイオードを接続しない場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図28は、同じく(C−1)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図29は、(C−2)の場合、つまり、IGBTに通常の整流ダイオードを接続した場合のD点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図30は、同じく(C−2)の場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図31は、(C−3)の場合、つまり、IGBTに高速リカバリダイオードを接続した場合のD点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図32は、同じく(C−3)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。図33はその一部を拡大して示す。
これらの図から、A点の電圧波形の立ち下がりと同時に一次電流が瞬時に切れた直後に、一次電流が急峻に上昇して逆起電力が生じていることが分かる。
【実施例3】
【0047】
実施例3は、図34に示すように、半導体スイッチング素子として、実施例1におけるサイリスタ1に代えてMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)21を多段に接続し、これをMOSFETドライブ回路26からのゲート信号により繰り返しスイッチングさせるようにしたもので、その他は実施例1と同様である。
【0048】
<実験例3>
図34に示した回路構成で、MOSFET21として、日立製、型番2SK1205のMOSFETを6段接続し、高速リカバリダイオード4として、リカバリ時間が1μSに満たない高速(0.15μS)である高速リカバリダイオード(富士電機製、型番ESJC32-08X)の場合と、ダイオードを用いない場合とについて、次のような条件で実験を行った。
【0049】
直流安定化電源2の直流電圧:400V
MOSFETドライブ回路26のゲート信号の周期;1kHZ
インダクタンスL:200H
コンデンサ:0.011μF
負荷7の静電容量C7:50pF
負荷7の抵抗:1MΩ
【0050】
(D)半導体スイッチング素子としてMOSFETを用い、
(D−1)これに高速リカバリダイオード4を接続しない場合と、
(D−3)高速リカバリダイオードを接続した場合
のそれぞれについて、パルストランス5の一次側コイル5aに流れる一次電流と、入力電力、及び負荷7に印加される出力パルスの波高値を測定したところ、次の表4のような結果が得られた。
【0051】
【表4】
【0052】
図35〜図41に上記(D−1)、(D−3)のそれぞれの場合において、図34のA〜D点で測定した電圧と電流の波形を示す。
【0053】
図35は、(D−1)の場合、つまり、MOSFETに高速リカバリダイオードを接続しない場合のD点(出力点)の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図36は、同じく(D−1)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図37は、同じく(D−1)の場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図38は、(D−3)の場合、つまり、MOSFETに高速リカバリダイオードを接続した場合のD点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図39は、同じく(D−3)の場合での、A点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図40は、同じく(D−3)の場合での、B点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
図41は、同じく(D−3)の場合での、C点の電圧波形と一次電流波形とを上下に対比して示す。
【実施例4】
【0054】
実施例4は、図42に示すように、半導体スイッチング素子として、実施例1におけるサイリスタ1に代えてスイチング電源用トランジスタ31を多段に接続し、これをトランジスタドライブ回路36からのスイッチング信号により繰り返しスイッチングさせるようにしたもので、その他は実施例1と同様である。
【0055】
<実験例4>
図42に示した回路構成で、スイッチング電源用トランジスタ31として、三洋電機製、型番2SC4427のトランジスタを6段接続し、高速リカバリダイオード4として、リカバリ時間が1μSに満たない高速(0.15μS)である高速リカバリダイオード(富士電機製、型番ESJC32-08X)の場合と、ダイオードを用いない場合とについて、次のような条件で実験を行った。
【0056】
直流安定化電源2の直流電圧:400V
トランジスタドライブ回路36のスイッチング周期;1kHZ
インダクタンスL:200H
コンデンサ:0.011μF
負荷7の静電容量C7:50pF
負荷7の抵抗:1MΩ
【0057】
(E)半導体スイッチング素子としてスイッチング電源用トランジスタを用い、
(E−1)これに高速リカバリダイオード4を接続しない場合と、
(E−3)高速リカバリダイオードを接続した場合
のそれぞれについて、パルストランス5の一次側コイル5aに流れる一次電流と、入力電力、及び負荷7に印加される出力パルスの波高値を測定したところ、次の表5のような結果が得られた。
【0058】
【表5】
【0059】
図43又は図44に示すように、半導体スイッチング素子1と高速リカバリダイオード4の組み合わせを2個として並列接続するとともに、パルストランス5の一次コイルのコイル5aを2個にして互いに逆極性の電圧を印加すると、両極性の高電圧パルスを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
排ガス浄化装置のためのパルス電源に限らず、電気集塵装置のパルス電源、殺菌装置のパルス電源、オゾン発生用電源、プラスチックの表面処理装置、厨房排ガス・排煙の浄化、水中放電による浄化等に広範囲に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ロータリスパークギャップを用いた従来例の回路図である。
【図2】半導体スイッチング素子を用いた従来例の回路図である。
【図3】本発明の基本構成例を示す回路図である。
【図4】半導体スイッチング素子としてサイリスタを用いた本発明の実施例1の回路図である。
【図5】図4においてサイリスタを通常サイリスタとし、これに高速リカバリダイオード及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合の実測波形図である。
【図6】同様の波形図である。
【図7】同様の波形図である。
【図8】同様の波形図である。
【図9】図4においてサイリスタを通常サイリスタとし、これに通常の整流ダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図10】同様の波形図である。
【図11】同様の波形図である。
【図12】同様の波形図である。
【図13】図4においてサイリスタを通常サイリスタとし、これに高速リカバリダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図14】同様の波形図である。
【図15】同様の波形図である。
【図16】同様の波形図である。
【図17】同様の波形図である。
【図18】図4においてサイリスタを高速のサイリスタとし、これに高速リカバリダイオード及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合の実測波形図である。
【図19】同様の波形図である。
【図20】同様の波形図である。
【図21】同様の波形図である。
【図22】図4においてサイリスタを高速のサイリスタとし、これに高速リカバリダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図23】同様の波形図である。
【図24】同様の波形図である。
【図25】同様の波形図である。
【図26】半導体スイッチング素子としてIGBTを用いた本発明の実施例2の回路図である。
【図27】図26においてIGBTに高速リカバリダイオード及び通常の整流ダイオードのいずれも接続しない場合の実測波形図である。
【図28】同様の波形図である。
【図29】図26においてIGBTに通常の整流ダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図30】同様の波形図である。
【図31】図26においてIGBTに高速リカバリダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図32】同様の波形図である。
【図33】同様の波形図である。
【図34】半導体スイッチング素子としてMOSFETを用いた本発明の実施例3の回路図である。
【図35】図34においてMOSFETに高速リカバリダイオードを接続しない場合の実測波形図である。
【図36】同様の波形図である。
【図37】同様の波形図である。
【図38】図34においてMOSFETに高速リカバリダイオードを接続した場合の実測波形図である。
【図39】同様の波形図である。
【図40】同様の波形図である。
【図41】同様の波形図である。
【図42】半導体スイッチング素子としてスイッチング電源用トランジスタを用いた本発明の実施例4の回路図である。
【図43】半導体スイッチング素子と高速リカバリダイオードの組み合わせを2個とした変形例の回路図である。
【図44】同様の回路図である。
【符号の説明】
【0062】
1 半導体スイッチング素子
2 直流安定化電源
3 LC充電回路
4 高速リカバリダイオード
5 トランス
5a 一次側コイル
5b 二次側コイル
6 サイリスタドライブ回路
7 負荷
11 IGBT
16 IGBTドライブ回路
21 MOSFET
26 MOSFETドライブ回路
31 スイチング電源用トランジスタ
36 トランジスタドライブ回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体スイッチング素子に直流電圧を印加した状態で、スイッチング信号でスイッチング動作をさせ、その出力電圧をトランスで昇圧して、直流電源電圧よりはるかに高い電圧の高電圧パルスを生成する高電圧パルス電源において、前記半導体スイッチング素子の出力側と前記トランスの一次側との間に、半導体スイッチング素子の出力を整流する高速リカバリダイオードを接続し、前記スイッチング信号により半導体スイッチング素子のターンオフが開始して終了するまでに、前記高速リカバリダイオードの高速リカバリ動作により半導体スイッチング素子をターンオンさせることを特徴とする高電圧パルス電源。
【請求項2】
高速リカバリダイオードは、そのリカバリ時間が半導体スイッチング素子のターンオフ時間よりもはるかに短いことを特徴とする請求項1に記載の高電圧パルス電源。
【請求項3】
高速リカバリダイオードを、半導体スイッチング素子の出力側と前記トランスの一次側との間に直列接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載の高電圧パルス電源。
【請求項4】
半導体スイッチング素子がサイリスタであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高電圧パルス電源。
【請求項5】
半導体スイッチング素子がIGBTであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高電圧パルス電源。
【請求項6】
半導体スイッチング素子がMOSFETであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高電圧パルス電源。
【請求項7】
半導体スイッチング素子がスイッチング電源用トランジスタであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高電圧パルス電源。
【請求項8】
トランスの二次側にプラズマ放電用電極を接続し、プラズマ放電用の高電圧パルス電源としたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の高電圧パルス電源。
【請求項1】
半導体スイッチング素子に直流電圧を印加した状態で、スイッチング信号でスイッチング動作をさせ、その出力電圧をトランスで昇圧して、直流電源電圧よりはるかに高い電圧の高電圧パルスを生成する高電圧パルス電源において、前記半導体スイッチング素子の出力側と前記トランスの一次側との間に、半導体スイッチング素子の出力を整流する高速リカバリダイオードを接続し、前記スイッチング信号により半導体スイッチング素子のターンオフが開始して終了するまでに、前記高速リカバリダイオードの高速リカバリ動作により半導体スイッチング素子をターンオンさせることを特徴とする高電圧パルス電源。
【請求項2】
高速リカバリダイオードは、そのリカバリ時間が半導体スイッチング素子のターンオフ時間よりもはるかに短いことを特徴とする請求項1に記載の高電圧パルス電源。
【請求項3】
高速リカバリダイオードを、半導体スイッチング素子の出力側と前記トランスの一次側との間に直列接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載の高電圧パルス電源。
【請求項4】
半導体スイッチング素子がサイリスタであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高電圧パルス電源。
【請求項5】
半導体スイッチング素子がIGBTであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高電圧パルス電源。
【請求項6】
半導体スイッチング素子がMOSFETであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高電圧パルス電源。
【請求項7】
半導体スイッチング素子がスイッチング電源用トランジスタであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高電圧パルス電源。
【請求項8】
トランスの二次側にプラズマ放電用電極を接続し、プラズマ放電用の高電圧パルス電源としたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の高電圧パルス電源。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公開番号】特開2007−174734(P2007−174734A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364796(P2005−364796)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(504325667)株式会社 電子制御国際 (9)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(504325667)株式会社 電子制御国際 (9)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【Fターム(参考)】
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