説明

高電圧リチウム電池正極材料

高電圧リチウム電池正極材料の一つであり、その構成の一般式:LiMn1.5Ni0.5−X、そのうち:0<X≦0.2、Mが銅、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カドミウム、ジルコニウム、チタン元素のいずれかまたはいくつかである。その整備方法は、液相共沈法による合成及び高温焼成結晶である。本発明の高電圧リチウム電池正極材料は、液相共沈法を通じて遷移金属元素を混合し、各元素を原子レベルで混合させる。取得した生成物が均一で、結晶体構造を安定し、材料循環プロセスの構造落ち込みに起因する容量衰退を避け、導電性を向上させ、5Vプラットフォーム容量を増加し、電解液分解に起因するバッテリーシステムに重大な障害をもたらすことを避ける。従って、良い電気化学性能、循環性を備えている高電圧リチウムイオン電池正極材料を取得した。液相共沈法合成法が便利で、操作プロセスが簡単で制御しやすく、高収率、低エネルギー消費、工業化生産されやすい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウムイオン電池材料に関する。特に高電圧リチウム電池正極材料に関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用されているリチウムイオン電池正極材料、例えばLiCoO、LiMn及び新しいタイプのニッケル・コバルト・マンガン三元材料の電圧が約4Vであり、電池のパワーを制限していた。そして、コバルト系正極材料は、コバルト資源の希少性のため、価格が高く、幅広く大型動力ツールに応用できない。マンガン酸リチウムの資源が豊富で、価格が安く、安全、無公害であるが、高温循環安定性が弱く、容量衰退が深刻である問題が良く解決されていないので、その商品化生産に問題が生じる。
【0003】
LiMn性質変更研究によると、遷移金属が取って代わるLiMn2−X(M=Cr,Co,Ni,Cu,Fe,Mo,V)の性能は明らかにLiMnより良い。そして、遷移金属混合量の増加に伴い、材料は5V付近で放電プラットフォームを生成する。これらのスピネルLiMn2−X材料には、LiMn1.50.5はより循環性と比較的大容量を備えるので、広く重視されている。その理論容量が147mAh/gであり、エネルギー密度が690Wh/kgである。しかし、単純なLiMn1.50.5材料の充放電プロセスには、マンガンの溶解のため、スピネル構造が落ち込む。また、ヤン-タイ効力及び電解質の分解が存在するので、その容量衰退が速い。
【0004】
現在、高電圧リチウムイオン電池正極材料の整備方法は主にゾル-ゲル法、フラックス法、複合炭酸塩法、乳化乾燥法、超音波噴霧熱分解及び従来の固相反応法などである。しかし、これらの方法を利用して合成した材料は、低い初期放電容量、弱い循環の安定性、低い反応収率、操作不便など問題を抱えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高電圧リチウムイオン電池の製造の要求を満たすために、本発明は、高電圧リチウム電池正極材料及び整備方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために創案された請求項1の発明は、高電圧リチウム電池正極材料の整備方法の一つである。その特徴は、上述の正極材料の構成の一般式がLiMn1.5Ni0.5-XMXO4であり、そのうち:0<X≦0.2、Mが銅、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カドミウム、ジルコニウム、チタン元素のいずれかまたはいくつかである。
【0007】
前記課題を解決するために創案された請求項2の発明は、上述の高電圧リチウム電池正極材料の外形が、いくつかの単結晶粒子団によって集められた球状大粒子であり、Fd-3m立方スピネル結晶構造を備えている。
【0008】
前記課題を解決するために創案された請求項3の発明は、高電圧リチウム電池正極材料整備方法であり、上述の高電圧リチウム電池正極材料が、次の技術ステップを通じて整備される:
1)水溶性マンガン塩、水溶性ニッケル塩と混合金属Mの可溶性塩をMn:Ni:Mのモル比1.5:(0.5-X):X、そのうち、0<X≦0.2の割合で、金属イオン濃度が0.5-2.0mol/L(好ましくは0.8〜1.2 mol/L、最適1.0 mol/L)である可溶性塩混合溶液Iに調合する。そのうち、Mが銅、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カドミウム、ジルコニウム、チタン元素のいずれかまたはいくつかである。
2)アンモニア水と1.0-4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を体積比1:(5-15)の割合で、混合溶液IIに調合する。
3)上述の可溶性塩混合溶液Iと混合溶液IIを均等で連続に反応器に入れて反応させる。反応制御のpH値が9−11であり、反応温度が40−60℃である。反応と同時にかき混ぜ、原料送り込み終了後、撹拌を0.5-5時間続け、可溶性塩反応生成物の水溶液、固体沈殿の混合材料を取得する。
4)上述の混合材料を濾過してから、脱イオン水で固体生成物を洗浄し、乾燥して、球状または類球状のニッケルマンガンMの水酸化物前駆体を取得する。
5)上述の水酸化物前駆体とリチウム塩を、LiとMn+Ni+Mのモル比が0.5-0.55:1である割合で均等に混合し、または脱イオン水や脱水エタノールに均等に混合し、乾燥したら、乾燥した混合物を取得する。
6)上述の乾燥した混合物を400−600℃の温度で恒温0.5-10時間置き、暗赤色結晶の不完全な中間生成物を得る。上述の中間生成物を冷却したら研磨し、800−1000℃の温度で恒温5−20時間焼成し、冷却、研磨した後、200メッシュのふるいで濾過し、最終製品を得る。
【0009】
前記課題を解決するために創案された請求項4の発明は、上述の可溶性Ni塩が、NH4NiCl3、Ni(NH4)2(SO4)2、NiBr2、Ni(ClO3)2、NiCl2、NiF2、NiI2、Ni(NO3)2、NiSO4;好ましくはNi(NH4)2(SO4)2、NiCl2、NiSO4のいずれかまたはいくつかを含む。
【0010】
前記課題を解決するために創案された請求項5の発明は、上述の可溶性Mn塩が、Mn(C2H3O2)2、MnBr2、MnCl2、MnF2、MnI2、Mn(NO3)2、MnSO4、Mn(C2H3O2)3、Mn2O7;好ましくはMnCl2、MnSO4、Mn(NO3)2のいずれかまたはいくつかを含む。
【0011】
前記課題を解決するために創案された請求項6の発明は、上述のリチウム塩が、LiC2H3O2、LiBrO3、LiBr、Li2CO3、LiClO3、LiCl、Li3C6H5O7、LiF、Li(CHO2)、LiHCO3 、LiOH、LiOCl、LiIO3、LiI、Li2C2O4、LiClO、Li2SO4、Li2S,のいずれかまたはいくつか、好ましくはLi2CO3、LiOHを含む。
【0012】
前記課題を解決するために創案された請求項7の発明は、Mの可溶性塩がMであるハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩または他の水溶性塩のいずれかまたはいくつかであり、Mの可溶性塩は、CuCl、CuBr、CuF、CuI、CuBr2、CuCl2、Cu(NO3)2;Zn(BrO3)2、ZnBr、ZnCl2、Zn(BF4)2、ZnI2、Zn(NO2)2;MgBr2、MgCl2、MgF2、MgI2、Mg(NO3)2、MgSO4;AlBr3、Al(ClO3)3、AlCl3、AlCl(C4H9)2、AlF3、Al2(SiF6)3、AlI3、Al(NO3)3、Al(ClO4)3、Al2(SO4)3;Cd(C2H3O2)2、CdBr2、CdCl2、CdI2、Cd(NO3)2、CdSO4、Cd(BF4)2;ZrBr2、ZrCl2、ZrF2、ZrI2、ZrI4、Zr(NO3)4、Zr(SO4)2、ZrOCl2;TiBr3、Ti(SO4)2;好ましくはCuCl、CuCl2、ZnCl2、MgSO4、AlCl3、CdSO4、ZrCl2、Ti(SO4)2のいずれかまたはいくつかを含む。
【0013】
前記課題を解決するために創案された請求項8の発明は、上述のステップ1)のMn:Ni:Mのモル比が1.5:(0.5-X):Xであり、そのうち、好ましくは:0.05<X≦0.15;最適0.08<X≦0.12である。
【0014】
前記課題を解決するために創案された請求項9の発明は、上述のステップ1)の可溶性塩混合水溶液Iの金属イオン濃度が、好ましくは0.8〜1.2 mol/L、最適1.0 mol/Lである。
【0015】
前記課題を解決するために創案された請求項10の発明は、上述のステップ3)の反応pH値が好ましくは10.0であり、反応温度が好ましくは55℃である。
【0016】
前記課題を解決するために創案された請求項11の発明は、上述のステップ4)の濾過プロセスにおいて、織物または濾紙を濾過媒質として、その両端に一定の圧力差を加え、混合物を高圧側から入れる。圧力差のため、水溶液が低圧側から流れ出すが、固体生成物が濾過媒質に差し止められ、濾過終了まで引き続き累積し、ステップ3)に得た固液混合物を分離する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の高電圧リチウム電池正極材料は、液相共沈法を通じて遷移金属元素を混合し、各元素を原子レベルで混合させる。取得した生成物が均一で、結晶体構造を安定し、材料循環プロセスの構造落ち込みに起因する容量衰退を避け、導電性を向上させ、5Vプラットフォーム容量を増加し、電解液分解に起因するバッテリーシステムに重大な障害をもたらすことを避ける。従って、良い電気化学性能を備え、循環性が未修正の高電圧リチウムイオン電池正極材料より大幅に向上した。合成法が便利で、操作プロセスが簡単で制御しやすく、高収率、低エネルギー消費、工業化生産されやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
高電圧リチウムイオン電池の製造の要求を満たすために、本発明は、高電圧リチウム電池正極材料及び整備方法を提供する。
本発明の高電圧リチウム電池正極材料の構成の一般式:LiMn1.5Ni0.5−X
そのうち:0<X≦0.2、Mが銅、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カドミウム、ジルコニウム、チタン元素のいずれかまたはいくつかである。
【0019】
上述の高電圧リチウム電池正極材料の外形は、いくつかの単結晶粒子団によって集められた球状大粒子であり、立方スピネル(Fd−3m)結晶構造を備えている。
【0020】
上述の高電圧リチウム電池正極材料は、次の技術ステップを通じて整備される:
1)水溶性マンガン塩、水溶性ニッケル塩と混合金属Mの可溶性塩をMn:Ni:Mのモル比1.5:(0.5−X):X、そのうち、0<X≦0.2の割合で、金属イオン濃度が0.5−2.0mol/L(好ましくは0.8−1.2mol/L、最適1.0mol/L)である可溶性塩混合溶液Iに調合する。そのうち、Mが銅、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カドミウム、ジルコニウム、チタン元素のいずれかまたはいくつかである。
【0021】
2)アンモニア水と1.0−4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を体積比1:(5−15)の割合で、混合溶液IIに調合する。
【0022】
3)上述の可溶性塩混合溶液Iと混合溶液IIを均等で連続的に反応器に入れて反応させる。反応制御のpH値が9−11であり、反応温度が40−60℃である。反応と同時にかき混ぜ、原料送り込み終了後、撹拌を0.5−5時間続け、可溶性塩反応生成物(例えば、NaSO、(NHSO、NaCl、NHClなどを含む。ただし、限定されない。使用された原料による)の水溶液、固体沈殿(Ni0.5Mn1.5(OH))の混合材料を取得する。この沈殿プロセスは理論的に次の反応プロセス通りに行われる:
Ni2+(aq.)+Mn2+(aq.)+4OH(aq.)→Ni0.5Mn1.5(OH)(s)
【0023】
4)上述の混合材料を濾過してから、脱イオン水で固体生成物を洗浄し、乾燥して、球状または類球状のニッケルマンガンMの水酸化物前駆体を取得する。
【0024】
5)上述の水酸化物前駆体とリチウム塩を、LiとMn+Ni+Mのモル比が0.5−0.55:1の割合で均等に混合し、または脱イオン水や脱水エタノールに均等に混合し、乾燥したら、乾燥した混合物を取得する。
【0025】
6)上述の乾燥した混合物を400−600℃の温度で恒温0.5−10時間置き、暗赤色結晶の不完全な中間生成物を得る。この中間生成物は理論的にLiMn1.5Ni0.5−X+Y(Y≧0)の化学計量構造を備えている。上述の中間生成物を冷却したら研磨し、800−1000℃の温度で恒温5−20時間焼成し、冷却、研磨した後、200メッシュのふるいで濾過し、最終製品を得る。このプロセスの主要目的は、中間生成物の結晶を良好にして、金属イオンに一定のエネルギーを与えて、結晶格子内部の適切な位置に遷移させることである。また、一定の二次再結晶プロセスを含んでいる。
【0026】
上述の可溶性Ni塩は、NHNiCl、Ni(NH(SO、NiBr、Ni(ClO、NiCl、NiF、NiI、Ni(NO、NiSO;好ましくはNi(NH(SO、NiCl、NiSOのいずれかまたはいくつかを含む。
【0027】
上述の可溶性Mn塩は、Mn(C、MnBr、MnCl、MnF、MnI、Mn(NO、MnSO、Mn(C、Mn;好ましくはMnCl、MnSO、Mn(NOのいずれかまたはいくつかを含む。
【0028】
上述のリチウム塩は、LiC、LiBrO、LiBr、LiCO、LiClO、LiCl、Li、LiF、Li(CHO)、LiHCO、LiOH、LiOCl、LiIO、LiI、Li、LiClO、LiSO、LiSのいずれかまたはいくつか、好ましくはLiCO、LiOHを含む。
【0029】
Mの可溶性塩がMであるハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩または他の水溶性塩のいずれかまたはいくつかであり、Mの可溶性塩は:
CuCl、CuBr、CuF、CuI、CuBr、CuCl、Cu(NO
Zn(BrO、ZnBr、ZnCl、Zn(BF、ZnI、Zn(NO;MgBr、MgCl、MgF、MgI、Mg(NO、MgSO;AlBr、Al(ClO、AlCl、AlCl(C、AlF、Al(SiF、AlI、Al(NO、Al(ClO、Al(SO;Cd(C、CdBr、CdCl、CdI、Cd(NO、CdSO、Cd(BF;ZrBr、ZrCl、ZrF、ZrI、ZrI、Zr(NO、Zr(SO、ZrOCl;TiBr、Ti(SO;好ましくはCuCl、CuCl、ZnCl、MgSO、AlCl、CdSO、ZrCl、Ti(SOのいずれかまたはいくつかを含む。
【0030】
上述のステップ1)のMn:Ni:Mのモル比が1.5:(0.5−X):Xである。そのうち、好ましくは:0.05<X≦0.15;最適0.08<X≦0.12である。
上述のステップ1)の可溶性塩混合水溶液Iの金属イオン濃度は、好ましくは0.8−1.2mol/L、最適が1.0mol/Lである。
上述のステップ3)の反応pH値は好ましくは10.0であり、反応温度は好ましくは55℃である。
上述のステップ4)の濾過プロセスの詳細:織物または濾紙を濾過媒質として、その両端に一定の圧力差を加え、混合物を高圧側から入れる。圧力差のため、水溶液が低圧側から流れ出すが、固体生成物が濾過媒質に差し止められ、濾過終了まで引き続き累積し、ステップ3)に得た固液混合物を分離する。
【実施例1】
【0031】
4.5mol硫酸マンガン、1.38mol硫酸ニッケル、0.12mol硫酸銅を3000ml水溶性塩混合溶液に調合し、12.0mol水酸化ナトリウムと280mlアンモニア水を3000ml混合溶剤に調合する。上述の水溶性塩混合溶液と混合溶剤を3.0ml/minの同じ速度で、10Lの反応器に入れる。反応制御の温度が50℃であり、pH値が9.0である。そして、反応完了まで撹拌し続ける。反応終了後、0.5時間撹拌し、取得した黒い沈殿物を分離、濾過、乾燥し、前駆体を得る。前駆体200gを取って、Li:(Mn+Ni+Cu)のモル比0.5の割合で、水酸化リチウムと均等に混合し、脱水エタノールを入れて混合し、乾燥する。乾燥物を500℃の恒温で2時間乾燥したら、冷却、研磨し、950℃で7時間焼成し、冷却、研磨し、200メッシュのふるいで濾過し、黒い高電圧リチウムイオン電池正極材料を得る。
【0032】
取得した材料のタップ密度が2.2g/cmである。0.5mA/cmの電流密度で充放電を行い、初回の放電容量が134.6mA/gである。2.0mA/cmの電流密度で充放電を行う。200回の循環後、相対の初期容量は減衰していない。
【実施例2】
【0033】
3.0mol塩化マンガン、0.92mol塩化ニッケル、0.08mol塩化マグネシウムを3000ml水溶性塩混合溶液に調合し、8.0mol水酸化ナトリウムと300mlアンモニア水を3000ml混合溶剤に調合する。上述の水溶性塩混合溶液と混合溶剤を5.0ml/minの同じ速度で、10Lの反応器に入れる。反応制御の温度が55℃であり、pH値が10.0である。そして、反応完了まで撹拌し続ける。反応終了後、取得した黒い沈殿物を分離し、脱イオン水で三回洗浄し、濾過、乾燥し、前駆体を得る。前駆体200gを取って、Li:(Mn+Ni+Mg)のモル比0.51の割合で、脱イオン水を入れて均等に混合し、乾燥する。乾燥物を500℃の恒温で2時間乾燥したら、冷却、研磨し、850℃で10時間焼成し、冷却、研磨し、200メッシュのふるいで濾過し、黒い高電圧リチウムイオン電池正極材料を得る。
【0034】
取得した材料のタップ密度が2.0g/cmである。0.5mA/cmの電流密度で充放電を行い、初回の放電容量が130mA/gである。2.0mA/cmの電流密度で充放電を行う。200回の循環後、容量維持率が95%である。
【比較例1】
【0035】
3.0mol二酸化マンガン、0.92mol水酸化ニッケル、0.08mol酢酸銅及び2.0mol水酸化リチウムを均等に混合し、有機アルコール溶剤を入れて均等に混合し、乾燥する。乾燥物を500℃の恒温で2時間乾燥した後、冷却、研磨し、850℃で7時間焼成し、冷却、研磨し、200メッシュのふるいで濾過し、黒い高電圧リチウムイオン電池正極材料を得る。
【0036】
取得した材料のタップ密度が2.19g/cmである。0.5mA/cmの電流密度で充放電を行い、初回の放電容量が123.2mA/gである。2.0mA/cmの電流密度で充放電を行う。100回の循環後、容量維持率が97.5%である。
【0037】
図3、図4、図5、図6のように、実施例と比較例を比べた結果、液相共沈法で整備した5V正極材料は、従来の固相法より、初回放電容量や循環性が大幅に向上し、5Vプラットフォーム容量が増加し、4Vプラットフォーム容量が減少する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の高電圧リチウム電池正極材料は、液相共沈法を通じて遷移金属元素を混合し、各元素を原子レベルで混合させる。取得した生成物が均一で、結晶体構造を安定し、材料循環プロセスの構造落ち込みに起因する容量衰退を避け、導電性を向上させ、5Vプラットフォーム容量を増加し、電解液分解に起因するバッテリーシステムに重大な障害をもたらすことを避ける。従って、良い電気化学性能、循環性を備えている高電圧リチウムイオン電池正極材料を取得した。液相共沈法合成法が便利で、操作プロセスが簡単で制御しやすく、高収率、低エネルギー消費、工業化生産されやすい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る高電圧リチウム電池正極材料のXRD図録である。
【図2】本発明の一実施形態に係る高電圧リチウム電池正極材料のSEM図録である。
【図3】本発明の一実施形態に係る高電圧リチウム電池正極材料の初回充放電曲線である。
【図4】本発明の一実施形態に係る高電圧リチウム電池正極材料の循環性図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る比較材料の初回充放電曲線である。
【図6】本発明の一実施形態に係る比較材料の循環性図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧リチウム電池正極材料の整備方法の一つである。その特徴:上述の正極材料の構成の一般式:


そのうち:0<X≦0.2、Mが銅、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カドミウム、ジルコニウム、チタン元素のいずれかまたはいくつかである。
【請求項2】
請求項1に記載された高電圧リチウム電池正極材料、その特徴:上述の高電圧リチウム電池正極材料の外形は、いくつかの単結晶粒子団によって集められた球状大粒子であり、Fd-3m立方スピネル結晶構造を備えている。
【請求項3】
高電圧リチウム電池正極材料整備方法である。その特徴:上述の高電圧リチウム電池正極材料は、次の技術ステップを通じて整備される:
1)水溶性マンガン塩、水溶性ニッケル塩と混合金属Mの可溶性塩をMn:Ni:Mのモル比1.5:(0.5-X):X、そのうち、0<X≦0.2の割合で、金属イオン濃度が0.5-2.0mol/L(優選0.8〜1.2 mol/L、最適1.0 mol/L)である可溶性塩混合溶液Iに調合する。そのうち、Mが銅、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カドミウム、ジルコニウム、チタン元素のいずれかまたはいくつかである。
2)アンモニア水と1.0-4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を体積比1:(5-15)の割合で、混合溶液IIに調合する。
3)上述の可溶性塩混合溶液Iと混合溶液IIを均等で連続に反応器に入れて反応させる。反応制御のpH値が9−11であり、反応温度が40−60℃である。反応と同時にかき混ぜ、原料送り込み終了後、撹拌を0.5-5時間続け、可溶性塩反応生成物の水溶液、固体沈殿の混合材料を取得する。
4)上述の混合材料を濾過してから、脱イオン水で固体生成物を洗浄し、乾燥して、球状または類球状のニッケルマンガンMの水酸化物前駆体を取得する。
5)上述の水酸化物前駆体とリチウム塩を、LiとMn+Ni+Mのモル比が0.5-0.55:1である割合で均等に混合し、または脱イオン水や脱水エタノールに均等に混合し、乾燥したら、乾燥した混合物を取得する。
6)上述の乾燥した混合物を400−600℃の温度で恒温0.5-10時間置き、暗赤色結晶の不完全な中間生成物を得る。上述の中間生成物を冷却したら研磨し、800−1000℃の温度で恒温5−20時間焼成し、冷却、研磨した後、200メッシュのふるいで濾過し、最終製品を得る。
【請求項4】
請求項3に記載された高電圧リチウム電池正極材料整備方法に従って、その特徴:上述の可溶性Ni塩は、NH4NiCl3、Ni(NH4)2(SO4)2、NiBr2、Ni(ClO3)2、NiCl2、NiF2、NiI2、Ni(NO3)2、NiSO4;優選Ni(NH4)2(SO4)2、NiCl2、NiSO4のいずれかまたはいくつかを含む。
【請求項5】
請求項4に記載された高電圧リチウム電池正極材料整備方法に従って、その特徴:上述の可溶性Mn塩は、Mn(C2H3O2)2、MnBr2、MnCl2、MnF2、MnI2、Mn(NO3)2、MnSO4、Mn(C2H3O2)3、Mn2O7;優選MnCl2、MnSO4、Mn(NO3)2のいずれかまたはいくつかを含む。
【請求項6】
請求項5に記載された高電圧リチウム電池正極材料整備方法に従って、その特徴:上述のリチウム塩は、LiC2H3O2、LiBrO3、LiBr、Li2CO3、LiClO3、LiCl、Li3C6H5O7、LiF、Li(CHO2)、LiHCO3 、LiOH、LiOCl、LiIO3、LiI、Li2C2O4、LiClO、Li2SO4、Li2S,のいずれかまたはいくつか、優選Li2CO3、LiOHを含む。
【請求項7】
請求項6に記載された高電圧リチウム電池正極材料整備方法に従って、その特徴:Mの可溶性塩がMであるハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩または他の水溶性塩のいずれかまたはいくつか。Mの可溶性塩の詳細:
CuCl、CuBr、CuF、CuI、CuBr2、CuCl2、Cu(NO3)2
Zn(BrO3)2、ZnBr、ZnCl2、Zn(BF4)2、ZnI2、Zn(NO2)2
MgBr2、MgCl2、MgF2、MgI2、Mg(NO3)2、MgSO4
AlBr3、Al(ClO3)3、AlCl3、AlCl(C4H9)2、AlF3、Al2(SiF6)3、AlI3、Al(NO3)3、Al(ClO4)3、Al2(SO4)3
Cd(C2H3O2)2、CdBr2、CdCl2、CdI2、Cd(NO3)2、CdSO4、Cd(BF4)2
ZrBr2、ZrCl2、ZrF2、ZrI2、ZrI4、Zr(NO3)4、Zr(SO4)2、ZrOCl2
TiBr3、Ti(SO4)2
優選CuCl、CuCl2、ZnCl2、MgSO4、AlCl3、CdSO4、ZrCl2、Ti(SO4)2のいずれかまたはいくつかを含む。
【請求項8】
請求項7に記載された高電圧リチウム電池正極材料整備方法に従って、その特徴:上述のステップ1)のMn:Ni:Mのモル比が1.5:(0.5-X):Xである。そのうち、優選:0.05<X≦0.15;最適0.08<X≦0.12。
【請求項9】
請求項8に記載された高電圧リチウム電池正極材料整備方法に従って、その特徴:上述のステップ1)の可溶性塩混合水溶液Iの金属イオン濃度の優選が0.8〜1.2 mol/L、最適が1.0 mol/Lである。
【請求項10】
請求項9に記載された高電圧リチウム電池正極材料整備方法に従って、その特徴:上述のステップ3)の反応pH値の優選が10.0であり、反応温度の優選が55℃である。
【請求項11】
請求項10に記載された高電圧リチウム電池正極材料整備方法に従って、その特徴:上述のステップ4)の濾過プロセスの詳細:織物または濾紙を濾過媒質として、その両端に一定の圧力差を加え、混合物を高圧側から入れる。圧力差のため、水溶液が低圧側から流れ出すが、固体生成物が濾過媒質に差し止められ、濾過終了まで引き続き累積し、ステップ3)に得た固液混合物を分離する。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−529752(P2012−529752A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528221(P2012−528221)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/CN2010/079097
【国際公開番号】WO2012/019399
【国際公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【出願人】(511211221)シティック グオアン ムオングーリー パワー テクノロジー カンパニー エルティーディー (1)
【Fターム(参考)】