説明

鶏卵の搬送装置

【課題】 搬送装置を洗浄、殺菌・消毒作業等の保守作業を実施する場合、第1搬送手段と第2搬送手段とを個別に駆動させるとともに、各搬送手段の搬送速度をそれぞれ所望の速度に制御し、前記第1搬送手段と第2搬送手段とを同時に洗浄、殺菌・消毒作業を実施することが可能な鶏卵の搬送装置を提供する。
【解決手段】 通常操業時の場合、第2搬送手段3の駆動モータM2に設けられたパルスエンコーダ4から出力されるパルス信号の時間間隔を計測することにより該駆動モータM2の回転速度を検出し、その速度信号を用いて前記第1搬送手段1の駆動モータM1の回転速度を制御する構成とし、また、洗浄、殺菌・消毒する等の保守作業を実施する場合、第1搬送手段1と第2搬送手段3とを個別に駆動させるとともに、各搬送手段1、3の搬送速度をそれぞれ所望の速度に制御する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏卵をn列横隊(nは正の整数)で所定方向に搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段にて搬送されてくる鶏卵を受け取って単列の第2搬送手段に移し替える移載手段と、前記移載手段にて移し替えられた鶏卵を単列状態で所定方向に搬送する第2搬送手段とから構成された鶏卵の搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鶏卵の選別包装装置等に設けられている鶏卵の搬送装置Tr(以下、単に搬送装置Trと記す。)は、図2に示すように、大略、鶏卵Eをn列横隊(図では6列)でY方向に搬送する給卵コンベア1(本発明の第1搬送手段に相当する。)と、前記給卵コンベア1にて搬送されてくる鶏卵Eを受け取って単列コンベア3(本発明の第2搬送手段に相当する。)に移し替える移載手段2と、前記移載手段2にて移し替えられた鶏卵Eを単列状態でX方向に搬送する単列コンベア3とから構成されている。
【0003】
また、前記単列コンベア3には、駆動モータMが設けられている。そして、駆動モータMは制御装置5により制御され、単列コンベア3で搬送される鶏卵Eの搬送量が制御用エンコーダ4により検出されるとともに、その信号が制御装置5に送られる構成となっている。また、駆動モータMの動力は、給卵コンベア1にも供給され、該給卵コンベア1上の鶏卵Eの搬送量も制御用エンコーダ4により検出され、その信号が制御装置5に送られる構成となっている。
【0004】
このように、前記搬送装置Trの給卵コンベア1および単列コンベア3は連動して駆動する構成となっている。そして、例えば、給卵コンベア1により6列横隊で搬送される搬送方向(Y方向)の鶏卵間ピッチと、単列コンベア3により単列状態で搬送される搬送方向(X方向)の鶏卵間ピッチとが等しいと仮定した場合、前記単列コンベア3が鶏卵Eを搬送する速度は、前記給卵コンベア1が鶏卵Eを搬送する速度の6倍の速さとなる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−19722号公報(第3−4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
GPセンター(鶏卵選別包装施設)等においては、1日の作業が終了した後、選別包装装置を洗浄する作業が行われている。特に、近年では、食品の衛生管理が厳しく求められており、これに対応するためには、操業中、鶏卵と連続的に接触している搬送装置の重点的な洗浄、具体的には、給卵コンベア1の搬送ローラ(図示せず。)および単列コンベア3の鶏卵保持部材(図示せず。)を重点的に洗浄する必要がある。
【0007】
しかしながら、前記搬送装置Trは、給卵コンベア1と、単列コンベア3とが連動して駆動する構成であるため、当該搬送装置Trの洗浄作業を実施するときに次のような問題があった。
(1)前述のように、単列コンベア3の搬送速度が給卵コンベア1の搬送速度の6倍である場合、単列コンベア3の搬送速度を例えば、30cm/秒まで減速させて洗浄を行なおうとすると、給卵コンベア1の搬送速度はその1/6の5cm/秒となる。このようになると、搬送装置の動力源である駆動モータMが過負荷・過電流状態となる。
(2)逆に、前記駆動モータMが過負荷にならない程度まで給卵コンベア1を増速させると、単列コンベア3の搬送速度は、増速した給卵コンベア1の搬送速度の6倍となる。このような状態で単列コンベア3を洗浄しようとすると、洗浄が不十分になるばかりか、洗浄液が飛散しやすくなり、作業環境を悪化させる。
(3)また、前記搬送装置Trの給卵コンベア1と、単列コンベア3とを共に洗浄するには、一方を所望の搬送速度に調節して洗浄し、その後、他方を所望の搬送速度に調節して洗浄しなければならず、洗浄作業の効率が悪かった。
【0008】
また、前記GPセンター(鶏卵選別包装施設)においては、1基の選別包装装置で例えば、褐色卵の鶏卵群と白色卵の鶏卵群とを連続的に処理する場合がある。このような場合、前記褐色卵の鶏卵群と、白色卵の鶏卵群とがそれぞれの等階級の選別集合場所で混じりあわないように処理する必要がある。
【0009】
前記搬送装置Trの構成で、前記褐色卵の鶏卵群と、白色卵の鶏卵群とがそれぞれの等階級の選別集合場所で混じりあわないように処理するには、例えば、褐色卵の鶏卵群の搬送装置Trへの供給完了から白色卵の鶏卵群の該搬送装置Trへの供給開始までに充分な時間をおき、前記褐色卵の鶏卵群と白色卵の鶏卵群とを厳密に区分する等の方法を取ることが考えられる。
【0010】
しかしながら、前記時間、すなわち、褐色卵の鶏卵群と白色卵の鶏卵群との間に存在する間隙は、段取り変更に何らかのトラブルが発生しても対応可能なように余裕をもって設けられているのが通常であり、この間隙が選別包装処理の待機時間となるため、前記間隙の数が多くなるほど前記待機時間が無視できなくなるほどに大きくなり、作業効率を著しく低下させる原因となっていた。
【0011】
したがって、本発明は、前記問題点を解決することを課題としてなされたものであり、搬送装置を洗浄、殺菌・消毒作業等の保守作業を実施する場合、第1搬送手段と第2搬送手段とを個別に駆動させるとともに、各搬送手段の搬送速度をそれぞれ所望の速度に制御し、前記第1搬送手段と第2搬送手段とを同時に洗浄、殺菌・消毒作業を実施することが可能な鶏卵の搬送装置を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、ロットの異なる鶏卵群を連続的に選別包装処理する場合、一の鶏卵群と、他の鶏卵群とがとがそれぞれの等階級の選別集合場所で混じりあわないように処理することが可能な鶏卵の搬送装置を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の鶏卵の搬送装置における発明では、鶏卵を進行方向に沿って所定間隔P1をもってn列横隊で所定方向に搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段により搬送されてくる鶏卵を受け取って単列の第2搬送手段に移し替える移載手段と、前記移載手段により移し替えられた鶏卵を、進行方向に沿って所定間隔P2をもって単列状態で所定方向に搬送する第2搬送手段とを備えた鶏卵の搬送装置であって、前記第1搬送手段および前記第2搬送手段は、それぞれ駆動源を備え、さらに、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段の少なくとも一方は、その駆動源の速度情報を検出する速度情報検出手段を備え、前記速度情報検出手段により検出された速度情報に基づいて前記第2搬送手段を前記第1搬送手段のn×(P2/P1)倍の搬送速度で駆動させることを特徴としたものである。
【0014】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記第1搬送手段および前記第2搬送手段は、さらに、前記速度情報検出手段により検出された他方の駆動源の速度情報に基づくことなく、それぞれの駆動源により独立して運転または停止することも可能であることを特徴としたものである。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記第1搬送手段は、移載手段により一のロットにおける最終列の鶏卵を前記第2搬送手段に移し替えた時点で停止し、前記第2搬送手段は、前記移載手段により移し替えられた前記一のロットにおける最後尾の鶏卵が所定距離搬送された時点で停止することを特徴したものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の鶏卵の搬送装置は、当該搬送装置を洗浄、殺菌・消毒作業等の保守作業を実施する場合、第1搬送手段と第2搬送手段との駆動方式を同期駆動から個別駆動に切換えるとともに、前記第1搬送手段および第2搬送手段の搬送速度をそれぞれ所望の速度に制御可能に構成したので、前記第1搬送手段および第2搬送手段を所望の搬送速度に調節して洗浄、殺菌・消毒作業を実施できるため、動力源である駆動モータに負担をかけることなく、また、作業環境を悪化させることなく当該搬送装置の洗浄、殺菌・消毒作業を効果的に実施することができる。
【0017】
また、第1搬送手段と第2搬送手段とを個別に駆動させることができるので、前記第1搬送手段および第2搬送手段を同時に洗浄、殺菌・消毒作業を実施することが可能になり、作業効率が向上する。
【0018】
さらに、ロットの異なる鶏卵群を連続的に選別包装処理する場合、前記第1搬送手段から一のロットにおける最終列の鶏卵が前記第2搬送手段に移し替えられた時点で当該第1搬送手段の駆動を停止させ、そして、前記第2搬送手段で搬送される前記一のロットにおける最後尾の鶏卵が所定距離搬送された時点で当該第2搬送手段を停止させる構成としたので、一のロットにおける鶏卵群の搬送装置への供給完了から他のロットにおける鶏卵群の該搬送装置への供給開始までに充分な時間、すなわち、段取り変更に何らかのトラブルが発生しても対応可能なように余裕もった間隙を設ける必要がなく、選別包装処理の効率低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
つぎに、本発明にかかる鶏卵の搬送装置の実施形態を添付図面に従って説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明にかかる鶏卵の搬送装置Tr(以下、単に搬送装置Trと記す。)を採用した鶏卵の選別包装装置Tの概略平面図である。
【0021】
図1に示すように、鶏卵の選別包装装置Tに設けられている搬送装置Trは、大略、鶏卵Eをn列横隊(図では6列)でY方向に搬送する第1搬送手段1と、前記第1搬送手段1にて搬送されてくる鶏卵Eを受け取って単列の第2搬送手段3に移し替える移載手段2と、前記移載手段2にて移し替えられた鶏卵Eを単列状態でX方向に搬送する第2搬送手段3とから構成されている。なお、符号5は、各部の制御を行なう制御手段であり、この制御手段5は、主にCPU、記憶手段等のハードウェア部分と、前記選別包装装置Tの作動プログラム等のソフトウェア部分とで構成されている。
【0022】
前記第1搬送手段1の排出端には、計量器1aが備えられており、この計量器1aで計量された各鶏卵Eの重量データが前記制御手段5に送られる構成となっている。
【0023】
前記第2搬送手段3の搬送経路上には、選別放出手段11a〜11cが設けられており、また、前記第2搬送手段3に直交して集合区画10a〜10cが配置されている。そして、Lサイズの鶏卵Eを選別放出手段11aにより集合区画10aへ選別放出して下方に待機している包装容器Pに充填し、Mサイズの鶏卵Eを選別放出手段11bにより集合区画10bへ選別放出して下方に待機している包装容器Pに充填し、MSサイズの鶏卵Eを選別放出手段11cにより集合区画10cへ選別放出して下方に待機している包装容器Pに充填する構成となっている。
【0024】
前記制御手段5には、前記計量器1aから出力された重量データに基づいて計量済みの鶏卵Eを、いずれの選別放出手段11a〜11cを制御していずれの集合区画10a〜10cに選別放出させるかの選別条件が設定されている。なお、これまでの説明については、一般的な鶏卵の選別包装装置の構成と同じであるのでこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0025】
つぎに、本発明にかかる搬送装置Trの特徴的な構成について説明する。同図1に示すように、搬送装置Trの第1搬送手段1には駆動モータM1が設けられ、第2搬送手段3には駆動モータM2が設けられている。さらに、前記駆動モータM2には、パルスエンコーダ4が設けられている。
【0026】
また、前記制御手段5には、「通常操業運転」を選択する押し釦Pb1と、「保守作業運転」を選択する押し釦Pb2とが備えられている。
【0027】
前記押し釦Pb1を押して「通常操業運転モード」を選択した場合、前記パルスエンコーダ4から駆動モータM2の回転速度に対応したピッチのパルス信号が制御手段5に出力される。そして、該制御手段5が、前記パルスエンコーダ4から出力されるパルス信号の時間間隔を計測することにより駆動モータM2の回転速度を検出し、その速度信号を用いて前記第1搬送手段1の駆動モータM1の回転速度を制御する構成となっている。これにより、前記第1搬送手段1と前記第2搬送手段3とが電気的に同期駆動する。
【0028】
なお、前記第1搬送手段1と、前記第2搬送手段3との搬送速度の関係については、次のとおりに制御することが望ましい。すなわち、前記第1搬送手段1により6列横隊で搬送される搬送方向(Y方向)の鶏卵間ピッチをP1とすると、このP1は通常、50.8mmであり、また、前記第2搬送手段3により単列状態で搬送される搬送方向(X方向)の鶏卵間ピッチをP2とすると、このP2は通常、76.2mmである。これらの鶏卵間ピッチP1およびP2を考慮し、第2搬送手段3の搬送速度v2=第1搬送手段1の搬送速度v1×6×(P2/P1)の関係となるように制御する。
【0029】
次に、前記制御手段5の押し釦Pb2を押すと「保守作業運転モード」が選択される。前記押し釦Pb2を押して「保守作業運転モード」を選択した場合、前記第1搬送手段1および第2搬送手段3の同期駆動が電気的に解除され、前記第1搬送手段1と前記第2搬送手段3とがそれぞれが個別駆動する。
【0030】
前記第1搬送手段1および前記第2搬送手段3の搬送速度調節については、制御手段5に備えられている速度設定器V1およびV2を調節することにより、駆動モータM1および駆動モータM2の回転速度を自在に手動制御できる構成となっている。
【0031】
したがって、前記速度設定器V1により第1搬送手段1の搬送速度を所望の速度に制御することができ、同様に、前記速度設定器V2により第2搬送手段3の搬送速度を所望の速度に制御することができる。
【0032】
つぎに、本発明にかかる搬送装置Trを消毒・殺菌する場合の作業例について説明する。
【0033】
先ず、制御手段5の押し釦Pb2を押して「保守作業運転モード」を選択し、前記第1搬送手段1と第2搬送手段3との駆動方式を「同期駆動」から「個別駆動」にする。そして、制御手段5の速度設定器V1およびV2を手動調節して第1搬送手段1の搬送速度を例えば、30〜50cm/秒となるように制御し、同様に、第2搬送手段3の搬送速度を例えば、30〜50cm/秒となるように制御する。
【0034】
前記第1搬送手段1と、第2搬送手段3とがそれぞれ所望の搬送速度に調整された時点で、前記第1搬送手段1で順次送られてくる搬送ローラ(図示せず。)に対して例えば、アルコールや、濃度が約200ppmに希釈された次亜塩素酸水を噴霧して搬送ローラを消毒・殺菌する。
【0035】
前記第2搬送手段3については、該第2搬送手段3の復路、すなわち、搬送方向がX′方向に方向転換された直線搬送経路Aの領域を消毒・殺菌区域にする。そして、前記A部の領域において、順次送られてくる第2搬送手段3の鶏卵保持部材(図示せず。)に対して例えば、アルコールや、濃度が約200ppmに希釈された次亜塩素酸水を噴霧して該鶏卵保持部材を消毒・殺菌する。
【0036】
なお、前記消毒・殺菌区域では、作業環境の悪化を抑えるために前記鶏卵保持部材に噴霧して滴下した消毒・殺菌液を該鶏卵保持部材の下方で受ける受け皿を設けておくことが望ましい。
【0037】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる鶏卵の搬送装置Trは、通常操業時の場合、第2搬送手段3の駆動モータM2に設けられたパルスエンコーダ4から出力されるパルス信号の時間間隔を計測することにより該駆動モータM2の回転速度を検出し、その速度信号を用いて前記第1搬送手段1の駆動モータM1の回転速度を制御する構成としている。
【0038】
また、当該搬送装置Trを洗浄、殺菌・消毒する等の保守作業を実施する場合、第1搬送手段1と第2搬送手段3とを個別に駆動させるとともに、各搬送手段1、3の搬送速度をそれぞれ所望の速度に制御する構成としている。
【0039】
したがって、前記第1搬送手段1および第2搬送手段3を所望の搬送速度に調節して洗浄、殺菌・消毒作業を実施できるため、動力源である駆動モータに負担をかけることなく、また、作業環境を悪化させることなく当該搬送装置Trの洗浄、殺菌・消毒作業を効果的に実施することができる。
【0040】
また、第1搬送手段1と第2搬送手段3とを個別に駆動させることができるので、前記第1搬送手段1および第2搬送手段3を同時に洗浄、殺菌・消毒作業を実施することが可能になり、作業効率が向上する。
【0041】
本実施例では、第2搬送手段3の駆動モータM2にパルスエンコーダ4を設け、前記パルスエンコーダ4から出力されるパルス信号の時間間隔を計測することにより該駆動モータM2の回転速度を検出し、その速度信号を用いて前記第1搬送手段1の駆動モータM1の回転速度を制御する例を説明したが、本実施例に限定するものではなく、例えば、第1搬送手段1の駆動モータM1にパルスエンコーダ4を設け、該パルスエンコーダ4から出力されるパルス信号の時間間隔を計測することにより駆動モータM1の回転速度を検出し、その速度信号を用いて前記第2搬送手段3の駆動モータM2の回転速度を制御してもよい。
【0042】
また、本実施例では搬送装置Trを、鶏卵をサイズ毎に選別して所定の集合区画に選別放出する鶏卵の選別包装装置Tに設けた例を説明したが、これに限らず、鶏舎で採卵された鶏卵を選別することなくアメリカントレー等の仮容器に充填する鶏卵の充填装置(ファームパッカー)等にも適用できる。
【実施例2】
【0043】
つぎに、前記選別包装装置Tで例えば、褐色卵の鶏卵群と白色卵の鶏卵群とを連続的に処理する場合について説明する。
【0044】
このような場合、例えば、褐色卵のロットにおける最終列の位置情報を追跡する手段で監視しておき、前記第1搬送手段1から褐色卵のロットにおける最終列の鶏卵Eが移載手段2により前記第2搬送手段3に移し替えられた時点で当該第1搬送手段1の駆動を停止させる。そして、前記第2搬送手段3で搬送される前記褐色卵のロットにおける最後尾の鶏卵Eが所定の集合区画まで搬送され、該集合区画に選別放出された時点で当該第2搬送手段3を停止させる。
【0045】
その後、各集合区画10a〜10cにおいて白色卵用の段取り変更を行なったのち、前記第1搬送手段1および前記第2搬送手段3を再度駆動させる。
【0046】
前記第2搬送手段3を停止させるタイミングについては、制御用エンコーダ(図示せず。)から出力されるパルス信号に基づいて前記最後尾の鶏卵Eが選別放出される所定の集合区画までの距離情報を監視するようにしてもよいし、前記距離情報および搬送速度情報から当該最後尾の鶏卵Eが選別放出される所定の集合区画までの到達時間を監視するようにしてもよい。
【0047】
このように、ロットの異なる鶏卵群を連続的に選別包装処理する場合、前記第1搬送手段1から一のロットにおける最終列の鶏卵Eが、前記第2搬送手段3に移し替えられた時点で当該第1搬送手段1の駆動を停止させる。そして、前記第2搬送手段3で搬送される前記一のロットにおける最後尾の鶏卵Eが所定の集合区画まで搬送され、該集合区画に選別放出された時点で当該第2搬送手段3を停止させる構成とした。
【0048】
したがって、一のロットにおける鶏卵群の搬送装置Trへの供給完了から他のロットにおける鶏卵群の該搬送装置Trへの供給開始までに充分な時間、すなわち、段取り変更に何らかのトラブルが発生しても対応可能なように余裕もった間隙を設ける必要がなく、選別包装処理の効率低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明にかかる鶏卵の搬送装置を採用した鶏卵の選別包装装置の概略平面図である。
【図2】鶏卵の選別包装装置等に設けられている従来の鶏卵の搬送装置を説明する概略平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 第1搬送手段
2 移載手段
3 第2搬送手段
4 パルスエンコーダ
5 制御手段
E 鶏卵
M1、M2 駆動モータ
Tr 鶏卵の搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏卵を進行方向に沿って所定間隔P1をもってn列横隊で所定方向に搬送する第1搬送手段と、
前記第1搬送手段により搬送されてくる鶏卵を受け取って単列の第2搬送手段に移し替える移載手段と、
前記移載手段により移し替えられた鶏卵を、進行方向に沿って所定間隔P2をもって単列状態で所定方向に搬送する第2搬送手段とを備えた鶏卵の搬送装置であって、
前記第1搬送手段および前記第2搬送手段は、それぞれ駆動源を備え、さらに、前記第1搬送手段と前記第2搬送手段の少なくとも一方は、その駆動源の速度情報を検出する速度情報検出手段を備え、
前記速度情報検出手段により検出された速度情報に基づいて前記第2搬送手段を前記第1搬送手段のn×(P2/P1)倍の搬送速度で駆動させることを特徴とする鶏卵の搬送装置。
【請求項2】
前記第1搬送手段および前記第2搬送手段は、さらに、前記速度情報検出手段により検出された他方の駆動源の速度情報に基づくことなく、それぞれの駆動源により独立して運転または停止することも可能であることを特徴とする請求項1に記載の鶏卵の搬送装置。
【請求項3】
前記第1搬送手段は、移載手段により一のロットにおける最終列の鶏卵を前記第2搬送手段に移し替えた時点で停止し、
前記第2搬送手段は、前記移載手段により移し替えられた前記一のロットにおける最後尾の鶏卵が所定距離搬送された時点で停止することを特徴とする請求項2に記載の鶏卵の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−44859(P2006−44859A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226935(P2004−226935)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(597017812)株式会社ナベル (56)
【Fターム(参考)】