説明

鶏卵選別装置

【課題】従来の鶏卵選別装置に係るひび卵検出部は、他の列を搬送されている鶏卵から発生した振動音の影響を受けることがあり、鶏卵の卵殻にひびが入っていないにもかかわらず「ひび有り」と誤判定したり、逆にひびが入っているにもかかわらず「ひび無し」と誤判定したりすることがあった。
【解決手段】本発明に係る鶏卵選別装置は、鶏卵Eを搬送する複数列の供給搬送部1上に設けられたひび卵検出部2に防音部23を設けることによって、他の列を搬送される鶏卵Eから発生した振動音に影響されなくなるので、誤判定率を下げることができる。さらに、複数のハンマーユニット20を隣接させて設置することができるので、従来よりも誤判定率を下げながら、ひび卵検出部2の全長を短くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鶏卵選別装置に関し、より詳しくは、従来よりも鶏卵の搬送方向への全長が短く、正確に卵殻のひび割れを検出することができるひび卵検出部を備えた鶏卵選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、鶏卵選別装置は供給搬送部・ひび卵検出部・汚卵検出部・計量部・移載部・分配搬送部・充填部・容器搬送部を備えており、鶏卵は供給搬送部によって複数列で整然と搬送されながらひび卵検出部や汚卵検出部、計量部により物理的性状が検査される。
【0003】
ひび卵検出部や汚卵検出部、計量部により物理的性状が検査された鶏卵は、移載部によって分配搬送部に移載され、物理的性状区分(通常は、2L・L・M・MS・S・SSサイズの6区分、規格外の大サイズ・小サイズの2区分、ひび卵等の不良卵に1区分の合計9区分)ごとに、それぞれの集合場所まで搬送され、集合場所の直上に設置されている充填部によって所定の容器に充填される。
【0004】
ここで、図を用いて従来の鶏卵選別装置を説明する。
図6は、従来技術に係る鶏卵選別装置の概略平面図である。鶏卵Eは洗卵乾燥工程(図示せず。)を通過して供給搬送部101によってX方向へ搬送され、卵殻にひびが入っていないかどうかを検査するためのひび卵検出部102に到達する。ひび卵検出部102に到達した鶏卵Eは、ひび卵検出部102のハンマーユニット120に備えられた複数の小型プラスチックハンマーで卵殻表面を複数回インパルス加振される。
【0005】
このとき、複数の鶏卵Eそれぞれについて発生する振動音がハンマーユニット120に取り付けられたマイクで集音され、集音された振動音特性から卵殻にひびが入っていないかどうかが判定される。鶏卵Eは、インパルス加振が行われると卵殻の表面状態に応じた特性の振動音を発生させるので、卵殻にひびが入った表面状態特有の振動音が集音された場合は、その鶏卵Eは不良卵であると判定される(特許文献1参照)。
【0006】
ひび卵検出部102を通過した鶏卵Eは、供給搬送部101によってさらにX方向へと搬送され、卵殻表面の汚れを検出するための汚卵検出部103に到達し、汚卵検出部103に設けられているカメラによって卵殻表面が撮像され、鶏卵Eの卵殻表面に汚れが検出された場合は不良卵であると判定される。
【0007】
汚卵検出部103を通過した鶏卵Eは、計量部104に到達する。計量部104は、供給搬送部101によって複数列で搬送されてきた鶏卵Eをそれぞれ独立に計量することができ、計量値に基づいて重量区分(2L・L・M・MS・S・SSサイズの6区分、規格外の大サイズ・小サイズの2区分)ごとに鶏卵Eを分類する。
【0008】
計量部104を通過した鶏卵Eは、移載部105によって長軸が鉛直となるように移載され、鈍端側を上にして分配搬送部106の収容座へ個別に収容される。分配搬送部106の収容座に収容された鶏卵EはY方向へ搬送される。
【0009】
分配搬送部106は、計量部104によって分類された重量区分に基づいて鶏卵Eを特定の容器搬送部109a上に設けられた充填部107まで搬送し、充填部107は容器搬送部109a上の容器108aへ鶏卵Eを充填する。
【0010】
容器108aは、一般的な10個詰めの透明樹脂製容器であり、鶏卵Eが充填された容器108aは、容器搬送部109aによってZ方向へ搬送され、封緘されたあとで出荷される。
分配搬送部106には、重量区分ごとに容器搬送部109aが設置されているので、このほかにも複数の容器搬送部109aが存在するが、図6では省略されている。
【0011】
ひび卵検出部102、または汚卵検出部103で不良卵であると判定された鶏卵Eは、容器搬送部109a上では放出されず、分配搬送部106によってさらにY方向へ搬送される。
不良卵であると判定された鶏卵Eは、不良卵を集合させるための容器搬送部109bまで搬送され、容器搬送部109b上に設けられた充填部107は、不良卵を集合させるためのトレイである容器108bに不良卵と判定された鶏卵Eを充填する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−361118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図6に示されるように、従来技術に係る鶏卵選別装置のひび卵検出部102に設けられた複数のハンマーユニット120は、隣接しないようにX方向へ離して設置されている。
これは、ハンマーユニット120に取り付けられたマイクが、他の列を搬送されている鶏卵Eから発生した振動音を集音することにより、卵殻にひびが入っていない鶏卵Eが「ひび有り」と誤判定されたり、逆にひびが入っている鶏卵Eが「ひび無し」と誤判定されたりすることを極力避けるためである。
【0014】
1個のハンマーユニット120には16本の小型プラスチックハンマーが備えられている。また、ハンマーユニット120は、ひび卵検出部102に6個設けられているので、すべてのハンマーを合計すると96本になる。通常、これら96本のハンマーは、同時に鶏卵Eをインパルス加振することがないように別々のタイミングが設定されている。
【0015】
しかし、近年の鶏卵選別装置は、1時間あたり12万個以上の処理能力を備えるようになり、供給搬送部101の列数は6列から12列へ倍増し、1列あたりの鶏卵Eを搬送する速度は1時間で1万個以上と非常に高速化している。そうすると、ハンマーで鶏卵Eをインパルス加振するテンポを速めるか、ハンマーユニット120の数を増やさなければ、すべての鶏卵Eを検査することができない。
【0016】
ハンマーで鶏卵Eをインパルス加振するテンポを速めると、ひび卵検出部102内で、ほぼ同時に異なった鶏卵Eに対してインパルス加振が行われる。また、ハンマーユニット120の数を増やしても、それに比例してハンマーユニット120に備えられたハンマーの数が増えるので、やはり、ひび卵検出部102内で、ほぼ同時に異なった鶏卵Eに対してインパルス加振が行われる。
【0017】
ほぼ同時に異なった鶏卵Eに対してインパルス加振が行われると、別の鶏卵Eから発生した振動音をハンマーユニット120に取り付けられたマイクが集音することで誤判定が起きるので、複数のハンマーユニット120を離して設置しなければならない。
【0018】
複数のハンマーユニット120を離すには、鶏卵Eの搬送方向であるX方向に沿ってハンマーユニット120を設置する必要があり、ひび卵検出部102が大型化するといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る鶏卵選別装置は、鶏卵を搬送する複数列の供給搬送部上に設けられたひび卵検出部に防音部を設けることによって、他の列を搬送される鶏卵から発生した振動音に影響されることがなくなるので、卵殻にひびが入っていない鶏卵が「ひび有り」と誤判定されたり、逆にひびが入っている鶏卵が「ひび無し」と誤判定されたりすることを防ぐことができる。
【0020】
さらに、供給搬送部の列間隔を約90mm以上とすることにより、約10mmの厚みがある防音部を供給搬送部の列間に設けることで、他の列を搬送されている鶏卵から発生した振動音を効果的に遮断することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る鶏卵選別装置であれば、他の列を搬送されている鶏卵から発生した振動音が、ひび卵検出部に設けられた防音部によって遮断されるので、ハンマーユニットを供給搬送部の搬送方向へ離さずに設置することができ、従来よりも誤判定率を低下させながら、ひび卵検出部の全長を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一実施例に係る鶏卵選別装置の概略平面図である。
【図2】図1のひび鶏卵選別装置に係る卵検出部の拡大図である。
【図3】図2のひび卵検出部をP方向から見た図である。
【図4】第二実施例に係るひび卵検出部の拡大図である。
【図5】図4のひび卵検出部をP方向から見た図である。
【図6】従来技術に係る鶏卵選別装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る鶏卵選別装置の実施例について、図面を参照して具体的に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の第一実施例に係る鶏卵選別装置の概略平面図であり、図2は、図1の鶏卵選別装置に係るひび卵検出部2の拡大図である。図3は、図2のひび卵検出部2をP方向から見た図である。
【0025】
まず、本実施例の鶏卵選別装置の構成について説明を行う。
供給搬送部1は、洗卵乾燥工程(図示せず。)を通過した鶏卵EをX方向へ搬送するためのローラーコンベアであり、図3に示されるように、つづみ型ローラー11は、従来の鶏卵選別装置に係る供給搬送部と同じ76.2mmの間隔でローラー軸10に取り付けられている。
【0026】
ひび卵検出部2は、鶏卵Eの卵殻にひびが入っていないかどうかを検査することができる装置であり、供給搬送部1によって6列で搬送されてくる鶏卵Eを列ごとに検査するため、1列に対して1つのハンマーユニット20が設けられている。
【0027】
図2に破線で示されるように、ハンマーユニット20は、鶏卵Eの卵殻をインパルス加振するためのハンマー21を16本備えており、ハンマー21の間には、ハンマー21のインパルス加振によって鶏卵Eから発生する振動音を集音するためのマイク22が8個取り付けられている。
【0028】
図3に示されるように、ハンマーユニット20の間には、隣り合う他の列を搬送されている鶏卵Eから発生する振動音を遮音、または吸音するための防音部23が設けられている。防音部23は、厚さが約2mmのシリコンゴムシートであり、防音部23の上端はひび卵検出部2の天板に固定され、下端は固定されていない。また、防音部23の下端は供給搬送部1のローラー軸10から1mm程度の隙間ができるような位置まで延びている。
【0029】
本実施例では、防音部23に厚さ約2mmのシリコンゴムシートを用いているが、実験では厚さ2mmのゴム板、厚さ2mmのコルク板、厚さ0.5mmの塩化ビニールシートを用いてもほぼ同様の防音効果を得られることが確認されている。
【0030】
また、本実施例では、防音部23の下端は供給搬送部1のローラー軸10から1mm程度の隙間ができるような位置まで延びているが、上記のどの材質を使用していても、下端をできるだけ延ばしてローラー軸10に近づけることで防音効果が向上することが確認されている。
【0031】
汚卵検出部3にはカメラが設けられており、鶏卵Eの卵殻表面を撮像し、解析することで、卵殻に付着している汚れを検出する。
また、計量部4は、供給搬送部1によって搬送される鶏卵Eを列ごとに独立して計量するためのロードセルを有しており、計量部4に計量された鶏卵Eは、計量値に基づいて特定の重量区分(2L・L・M・MS・S・SSサイズの6区分、規格外の大サイズ・小サイズの2区分)に分類される。
【0032】
移載部5は、供給搬送部1から分配搬送部6へ鶏卵Eを移載するための装置であり、供給搬送部1では長軸を水平にして搬送されていた鶏卵Eを、長軸が鉛直となるように分配搬送部6へ移載する。
分配搬送部6は、鶏卵Eを重量区分ごとの集合場所や、不良卵の集合場所へ搬送するためのコンベアであり、本実施例では、4列のコンベアで構成されている。
【0033】
充填部7は、分配搬送部6によって搬送される鶏卵Eを物理的性状区分ごとの集合場所である容器8a,8bへ鶏卵Eを充填するための装置である。
容器搬送部9aは、計量部4の計量値に基づいて分類された鶏卵Eを集合させるための容器8aを搬送するコンベアであり、空の容器8aをZ方向へ搬送し、充填部7によって鶏卵Eが充填された容器8aをさらにZ方向へ搬送する。
【0034】
容器搬送部9bは、ひび卵検出部2、または汚卵検出部3によって不良卵と判定された鶏卵Eを集合させるための容器8bを搬送するコンベアであり、空の容器8bをZ方向へ搬送し、充填部7によって鶏卵Eが充填された容器8bをさらにZ方向へ搬送する。
【0035】
次に、本実施例の鶏卵選別装置が行う選別処理について説明を行う。
洗卵乾燥工程(図示せず。)を通過した鶏卵Eは、供給搬送部1によってX方向へ搬送され、ひび卵検出部2に到達する。ひび卵検出部2に到達した鶏卵Eは、ひび卵検出部2のハンマーユニット20に備えられた複数のハンマー21で卵殻表面を複数回インパルス加振される。
【0036】
複数の鶏卵Eそれぞれについて発生する振動音は、ハンマーユニット20に取り付けられたマイク22で集音され、集音された振動音特性から卵殻にひびが入っていないかどうかが判定される。
【0037】
このとき、隣り合う列の鶏卵Eが同時にインパルス加振されたとしても、発生する振動音は防音部23によって遮音、または吸音されるので、他の列を搬送される鶏卵Eから発生する振動音に影響されることがなくなり、卵殻にひびが入っていない鶏卵Eが「ひび有り」と誤判定されたり、逆にひびが入っている鶏卵Eが「ひび無し」と誤判定されたりすることを防ぐことができる。
【0038】
ハンマーユニット20に備えられたハンマー21によって鶏卵Eにインパルス加振が行われると、卵殻の表面状態に応じた特性の振動音が発生するので、卵殻にひびが入った表面状態特有の振動音がハンマーユニット20に取り付けられたマイク22で集音された場合は、その鶏卵Eは不良卵であると判定される。
【0039】
ひび卵検出部2を通過した鶏卵Eは、供給搬送部1によってさらにX方向へと搬送され、卵殻表面の汚れを検出するための汚卵検出部3に到達し、汚卵検出部3に設けられているカメラによって卵殻表面が撮像され、鶏卵Eの卵殻に汚れが検出された場合は不良卵であると判定される。
【0040】
汚卵検出部3を通過した鶏卵Eは、計量部4に到達する。計量部4は、供給搬送部1によって複数列で搬送されてきた鶏卵Eをそれぞれ独立に計量することができ、計量値に基づいて重量区分(2L・L・M・MS・S・SSサイズの6区分、規格外の大サイズ・小サイズの2区分)ごとに鶏卵Eを分類する。
【0041】
計量部4を通過した鶏卵Eは、移載部5によって長軸が鉛直となるように移載され、鈍端側を上にして分配搬送部6の収容座へ個別に収容される。分配搬送部6の収容座に収容された鶏卵EはY方向へ搬送される。
【0042】
分配搬送部6は、計量部4によって分類された重量区分に基づいて鶏卵Eを特定の容器搬送部9a上に設けられた充填部7まで搬送し、充填部7は、容器搬送部9a上の容器8aへ鶏卵Eを充填する。
容器8aは、一般的な10個詰めの透明樹脂製容器であり、鶏卵Eが充填された容器8aは、容器搬送部9aによってZ方向へ搬送され、封緘されたあとで出荷される。
分配搬送部6には、鶏卵Eの重量区分ごとに容器搬送部9aが設置されているので、このほかにも複数の容器搬送部9aが存在するが、図1では省略されている。
【0043】
ひび卵検出部2、または汚卵検出部3で不良卵であると判定された鶏卵Eは、容器搬送部9a上では放出されず、分配搬送部6によってさらにY方向へ搬送される。
不良卵であると判定された鶏卵Eは、不良卵を集合させるための容器搬送部9bまで搬送され、容器搬送部9b上に設けられた充填部7は、不良卵を集合させるためのトレイである容器8bに不良卵と判定された鶏卵Eを充填する。
【0044】
本実施例に係る鶏卵選別装置によれば、他の列を搬送されている鶏卵Eから発生した振動音が、ひび卵検出部2に設けられた防音部23によって遮断されるので、ハンマーユニット20を供給搬送部1の搬送方向であるX方向へ離して設置する必要がなくなり、ひび卵検出部2の全長を短くすることができる。
【0045】
本実施例に係る鶏卵選別装置のひび卵検出部2は、防音部23を備えることにより、従来よりも誤判定率を低下させることができ、さらに供給搬送部1の列が異なれば同時に鶏卵Eの卵殻がインパルス加振されても他の列へは影響がないので、供給搬送部1の搬送速度が高速化しても鶏卵Eにひびが入っていないかどうかを正確に検査することできる。
【実施例2】
【0046】
続いて、本発明の第二実施例に係る鶏卵選別装置の説明を行う。
図4は、第二実施例の鶏卵選別装置に係るひび卵検出部2の拡大図であり、図5は、図4のひび卵検出部2をP方向から見た図である。
【0047】
供給搬送部1は、洗卵乾燥工程(図示せず。)を通過した鶏卵EをX方向へ搬送するためのローラーコンベアであり、図5に示されるように、つづみ型ローラー11は90mmの間隔でローラー軸10に取り付けられている。
【0048】
ひび卵検出部2は、鶏卵Eの卵殻にひびが入っていないかどうかを検査することができる装置であり、供給搬送部1によって6列で搬送されてくる鶏卵Eを列ごとに検査するため、1列に対して1つのハンマーユニット20が設けられている。
【0049】
図4に破線で示されるように、ハンマーユニット20は、鶏卵Eの卵殻をインパルス加振するためのハンマー21を16本備えており、ハンマー21の間には、ハンマー21のインパルス加振によって鶏卵Eから発生する振動音を集音するためのマイク22が8個取り付けられている。
【0050】
図5に示されるように、ハンマーユニット20の間には、隣り合う他の列を搬送されている鶏卵Eから発生する振動音を遮音、または吸音するための防音部24が設けられている。
防音部24は、厚さが約10mmである単泡タイプのシリコンスポンジであり、防音部24の上端はひび卵検出部2の天板に固定され、下端は固定されていない。また、防音部24の下端は供給搬送部1のローラー軸10から1mm程度の隙間ができるような位置まで延びている。
【0051】
本実施例では、防音部24に厚さが約10mmである単泡タイプのシリコンスポンジを用いているが、他にも厚さが約10mmである連泡タイプのシリコンスポンジを用いてもほぼ同様の防音効果を得ることができる。
【0052】
従来のつづみ型ローラーの間隔は76.2mmだが、防音部24に厚さが約10mmである単泡タイプのシリコンスポンジを用いているため、最低でも86.2mmが必要となる。本実施例では、鶏卵Eが防音部24に接触することで姿勢が崩れてつづみ型ローラーからはずれたり、防音部の汚れが鶏卵Eに付着したりすることを防ぐために列間隔を90mmとしている。
【0053】
なお、防音部24の下端は供給搬送部1のローラー軸10から1mm程度の隙間ができるような位置まで延びているが、第一実施例と同じく本実施例においても、下端をできるだけ延ばしてローラー軸10に近づけることで防音効果が向上することが確認されている。
【0054】
また、供給搬送部1の下方には、さらに防音部25が設けられている。防音部25は、ひび卵検出部2の外部からの雑音や、他の列を搬送されている鶏卵Eから発生した振動音が床などに反射してハンマーユニット20に取り付けられたマイク22に集音されることを防ぐことができ、防音部24と同様に厚さが約10mmの単泡タイプのシリコンスポンジを用いている。
【0055】
防音部25は、第二実施例のひび卵検出部2のみに設けられるのではなく、第一実施例のひび卵検出部2にも設けることができる。また、防音部25を設けずにハンマーユニット20の間に防音部24を設けるだけで、隣り合う他の列を搬送されている鶏卵Eから発生する振動音を効果的に遮音、または吸音することができる。
【0056】
本実施例の防音部24および防音部25は、厚さが約10mmの単泡タイプのシリコンスポンジを用いているので、特に吸音性が優れている。
実験では、第一実施例の防音部23に使用されている厚さ約2mmのシリコンゴムシートに比べて、鶏卵Eから発生する振動音の反響を押さえる効果があるので、さらに誤判定率を低下させることができる。
【0057】
さらに、供給搬送部1の列間隔を76.2mmから90mmに広げることで、ひび卵検出部2よりも上流側の洗卵乾燥工程において、洗浄による水分が付着した鶏卵Eを乾燥させるために吹き付ける風が通りやすくなるので、従来よりも効率よく乾燥させることができる。
【0058】
そして、計量部4においては、従来では複数のロードセルが、鶏卵Eの搬送面よりも下方に設置されているが、本実施例の供給搬送部1は列間隔が90mmと広くなっているので、つり下げ型の計量器を用いることができる。つり下げ型の計量器であれば鶏卵Eが割れても黄身や白身が計量器の内部に浸入するおそれがなくなるといった効果がある。
【0059】
なお、本発明の実施例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されない。
【符号の説明】
【0060】
1,101 供給搬送部
2,102 ひび卵検出部
3,103 汚卵検出部
4,104 計量部
5,105 移載部
6,106 分配搬送部
7,107 充填部
8a,8b,108a,108b 容器
9a,9b,109a,109b 容器搬送部
10 ローラー軸
11 つづみ型ローラー
20,120 ハンマーユニット
21 ハンマー
22 マイク
23,24,25 防音部
E 鶏卵

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏卵選別装置であって、
鶏卵を搬送する複数列の供給搬送部と、
前記供給搬送部上に設けられた複数の小型ハンマーで鶏卵の卵殻を加振することによって発生する振動音からひび割れを検出するひび卵検出部とを備え、
前記ひび卵検出部は、前記供給搬送部の列間に防音部を有し、
前記ひび卵検出部がひび割れを検出した鶏卵を不良卵の集合場所に搬送する分配搬送部とをさらに備える鶏卵選別装置。
【請求項2】
前記供給搬送部は、列同士が約90mm以上の間隔で鶏卵を搬送する請求項1に記載の鶏卵選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−11322(P2012−11322A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150613(P2010−150613)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(597017812)株式会社ナベル (56)
【Fターム(参考)】