説明

麺類の長期保存方法

【課題】沖縄そばや中華めん、うどん、そうめん、きしめん、ひやむぎ、パスタなどの麺類の長期保存方法に関し、極めて簡易で安価な手法によって、麺類の長期保存を実現することにある。
【解決手段】製麺後茹でられた茹で麺又は密封包装から取り出した既製の茹で麺に粉体をまぶして付着させるため、茹で麺の水分が粉体に吸水されて、水分が減少するので、腐敗菌の増殖が抑制される。その結果、粉体付着後に真空包装して加熱殺菌することにより、雑菌による腐敗がより確実に抑制され、日持ちが長くなるので、茹で麺の状態で土産品などとして持ち帰ったり、郵便や宅配便などで発送することが可能となる。従って、茹で麺の生産者や産地の独特の風味を長持ちさせ、遠く離れた他の地域でも賞味できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沖縄そばや中華めん、うどん、そうめん、きしめん、ひやむぎ、パスタなどの麺類の長期保存方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によると、レトルト食品における米飯等の穀類やうどん、蕎麦等の麺類の長期保存を可能にすべく、麺類保存処理方法並びに水蒸気加熱装置付き食品が提案されている。すなわち、まず、主食品をアルファ化し、水分をある程度除去する等の調理が行われ、調理された主食品が透明の袋に入れてヒートシール等によって密封され、加圧加熱殺菌されて、主食品のレトルト食品が製造される。次に、透明の袋におけるピンホール又はシール不良の有無が判別される。そして、ピンホール又はシール不良が有れば、その主食品は廃棄処分にする。一方、ピンホール又はシール不良が無ければ、その透明の袋の上から更に金属箔製の袋に封入し、二重包装にする。
【特許文献1】特開平9−184
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載の長期保存方法によると、保存性は向上するが、透明の袋の上から更に金属箔製の袋に封入して、二重包装にする必要があるので、構成が複雑で高価な保存方法となる。
特に、水蒸気加熱装置付きの食品にすると、食品が外部から水蒸気加熱されるという効果を奏するが、構成がさらに複雑化し嵩張るのでさらに高価となる。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、極めて簡易で安価な手法によって、麺類の長期保存を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、製麺後茹でられた茹で麺又は密封包装から取り出した既製の茹で麺に粉体をまぶして付着させた状態で、真空包装し、かつ加熱殺菌することを特徴とする麺類の長期保存方法である。
このように、製麺後茹でられた茹で麺に、充分に水切りした後に粉体をまぶして付着させると、茹で麺の水分が粉体に吸水されて、水分が減少するため、腐敗菌の増殖が抑制される。
すでに包装されている製品の場合は、密封包装から取り出した既製の茹で麺に粉体をまぶして付着させれば、既製の茹で麺であっても、茹で麺中の水分が粉体に吸水されて水分が減少するため、腐敗菌の増殖が抑制される。
その結果、粉体付着後に真空包装して加熱殺菌することにより、雑菌による腐敗がより確実に抑制され、日持ちが長くなるので、茹で麺の状態で土産品などとして持ち帰ったり、郵便や宅配便などで発送することが可能となる。従って、茹で麺の生産者や産地の独特の風味を長持ちさせ、遠く離れた他の地域でも賞味できる。
【0005】
請求項2は、茹で麺中の水分を押し出すように加圧しながら粉体を付着させ、粉体に吸水させることを特徴とする請求項1に記載の麺類の長期保存方法。
このように、茹で麺中の水分を押し出すように加圧しながら、粉体を付着させるため、茹で麺中の水分ができるだけ粉体に吸水されて、水分が可能なかぎり減少される。その結果、水分に起因する雑菌増殖などの腐敗をより抑制して、日持ちをさらに長引かせることが可能となる。
【0006】
請求項3は、前記粉体として、小麦粉、かたくり粉、コーンスターチ、粉炭、貝灰、灰又は石灰若しくはサンゴ粉又はこれらの中の任意の2以上の混合粉を使用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の麺類の長期保存方法である。
このように、前記粉体として、小麦粉、かたくり粉、コーンスターチ、粉炭、貝灰、灰又は石灰若しくはサンゴ粉又はこれらの2以上の混合粉を使用することにより、これらの粉体に茹で麺中の水分を効果的に吸水させることができる。粉炭の場合は、炭特有の多孔性や浄化作用と相まって、より効果的に吸水し長期保存可能となる。
【0007】
請求項4は、製麺後茹でられた茹で麺又は密封包装から取り出した既製の茹で麺の表面に、小麦粉、かたくり粉、コーンスターチ、粉炭、貝灰、灰又は石灰若しくはサンゴ粉又はこれらの中の任意の2以上の混合粉などの粉体をまぶして付着させた状態で、真空包装し、かつ加熱殺菌してなることを特徴とする長期保存用の麺である。
このように、製麺後茹でられた茹で麺又は密封包装から取り出した既製の茹で麺の表面に、小麦粉、かたくり粉、コーンスターチ、粉炭、貝灰、灰又は石灰若しくはサンゴ粉又はこれらの2以上の混合粉などの粉体をまぶして付着させた状態で、真空包装して加熱殺菌されている麺は、茹で麺中の水分が粉体に吸水されて、茹で麺中の水分が減少した状態で、真空包装して加熱殺菌されている。その結果、水分に起因する腐敗菌の増殖を効果的に抑制でき、保存性が向上して日持ちが長くなり、茹で麺の生産者や産地の特有の風味を長持ちできるので、土産品などとして好適である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1のように、製麺後茹でられた茹で麺に、水切り後に粉体をまぶして付着させると、茹で麺の水分が粉体に吸水されて、水分が減少するため、腐敗菌の増殖が抑制される。
その結果、粉体付着後に真空包装して加熱殺菌することにより、雑菌による腐敗がより確実に抑制され、日持ちが長くなるので、茹で麺の状態で土産品などとして持ち帰ったり、郵便や宅配便などで発送することが可能となる。従って、茹で麺の状態で、生産者や産地の独特の風味を長持ちさせ、遠く離れた他の地域でも賞味できる。包装状態の既製の茹で麺を取り出して粉体をまぶしてもよい。
【0009】
請求項2のように、茹で麺中の水分を押し出すように加圧しながら、粉体を付着させるため、茹で麺中の水分ができるだけ粉体に吸水されて、水分が可能なかぎり減少される。その結果、水分に起因する雑菌増殖などの腐敗をより効果的に抑制して、日持ちをさらに長引かせることが可能となる。
【0010】
請求項3のように、前記粉体として、小麦粉、かたくり粉、コーンスターチ、粉炭、貝灰、灰又は石灰若しくはサンゴ粉又はこれらの2以上の混合粉を使用することにより、これらの粉体に茹で麺中の水分を効果的に吸水させることができ、しかも粉体の選択入手が容易になる。粉炭の場合は、木炭や竹炭などの炭特有の多孔性や浄化作用と相まって、より効果的に吸水と長期保存が可能となる。
【0011】
請求項4のように、製麺後茹でられた茹で麺又は密封包装から取り出した既製の茹で麺の表面に、小麦粉、かたくり粉、コーンスターチ、粉炭、貝灰、灰又は石灰若しくはサンゴ粉又はこれらの2以上の混合粉などの粉体をまぶして付着させた状態で、真空包装して加熱殺菌されている麺は、茹で麺中の水分が粉体に吸水されて、茹で麺中の水分が減少した状態で、真空包装して加熱殺菌されている。その結果、水分に起因する腐敗菌の増殖を効果的に抑制でき、保存性が向上して日持ちが長くなり、茹で麺の状態で、生産者や産地の独特の風味を長持ちできるので、土産品などとして好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明による麺類の長期保存方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は本発明による長期保存方法の実施形態を示すフローチャートであり、ステップS1は通常の製麺工程である。製麺工程の最終工程で、麺帯を切り出して麺線にした後、打粉をまぶすと互いに接着するのを防止できる。茹で麺の場合は、ステップS2において、茹で釜で茹でると茹で麺の完成である。
【0013】
茹で上がった状態では、互いに粘着してしまうので、ステップS3において、冷風を当てて冷却しながら、油脂類を付着させるなどの手法で、麺が互いに付着するのを防止する。
従来の茹で麺の状態で出荷する場合は、ステップS4のように包装し殺菌してから出荷し、ステップS5のように流通経路を経て、消費者や中間業者に到達する。
ところが、中間業者が、本発明の方法によって長期保存処理をする場合は、ステップS6で開封して取り出した後、ステップS7で粉体をまぶして付着させる。この場合の粉体としては、例えば小麦粉、かたくり粉、コーンスターチ、粉炭、貝灰、灰又は石灰若しくはサンゴ粉又はこれらの中の任意の2以上の混合粉などが適している。
【0014】
ボールなどの容器中であれば、容易に万遍なく充分に粉体を付着させることができる。このとき、茹で麺中の水分を押し出すように加圧しながら粉体を付着させるのがよい。茹で麺の水分を可能なかぎり粉体に吸水させるためである。
次いで、ステップS8で真空包装してから、ステップS9で加熱殺菌する。この加熱殺菌は、例えば公知の手法によって湯に入れ、例えば数十分ないし1〜2時間加熱する。あるいは、釜やオーブン、炉などに入れて加熱殺菌してもよく、加熱殺菌の手法は限定されない。
最後に冷却すると、長期保存処理が完了であり、ステップS10のように出荷可能となる。
【0015】
製麺業者が長期保存処理することも可能である。この場合は、ステップS3で冷却しながら油脂類を塗って付着防止処理した後、直ちにステップS7の粉体まぶし工程に移行して、前記のような各種の粉体をまぶして万遍なく付着させる。
次いで、ステップS8で真空包装してから、ステップS9で加熱殺菌し、ステップS10のように出荷する。
なお、以上の工程において、ステップS8で真空包装する場合は、脱酸素剤も同封するのがよい。
【0016】
以上のようにして粉体を付着させる場合は、粉体自体が打粉のように、麺糸同士の付着防止を兼ねることもできるので、ステップS3における油脂類の付着処理を省くこともできる。ただし、充分に水切りしてからまぶす。
ステップS9で加熱殺菌した後は、一旦大気中で自然に放冷してから冷蔵庫に入れて充分に冷却した後に、常温に戻すと、長期保存性がより向上する。
本発明の方法で長期保存処理すると、常温でも2〜3週間は保存可能であり、冷蔵庫で保存すれば、2か月以上も保存可能である。
【0017】
なお、こうして長期保存処理された麺は、包装から取り出し、一旦茹でてから食べることになるので、ステップS7で付着させた粉体は、茹でる際に脱落する。従って、食べる際には、全く支障は生じない。また、粉体として粉炭を用いた場合は、炭による清浄作用によって、保存性がさらに長期化される。また、炭は多孔質なため吸水性も向上する。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上のように、茹で麺に粉体を付着させることによって、茹で麺の水分を粉体に吸水させる方法によると、極めて簡易で安価な手法によって、茹で麺の状態で長期保存が可能となり、各地名産の茹で麺を、生産者や産地の独特の風味を劣化させずに、かつ防腐剤などを使用せず自然の状態で、遠く離れた他の地域に送って賞味させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による長期保存方法の実施形態を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製麺後茹でられた茹で麺又は密封包装から取り出した既製の茹で麺に粉体をまぶして付着させた状態で、真空包装し、かつ加熱殺菌することを特徴とする麺類の長期保存方法。
【請求項2】
茹で麺中の水分を押し出すように加圧しながら粉体を付着させ、粉体に吸水させることを特徴とする請求項1に記載の麺類の長期保存方法。
【請求項3】
前記粉体として、小麦粉、かたくり粉、コーンスターチ、粉炭、貝灰、灰又は石灰若しくはサンゴ粉又はこれらの中の任意の2以上の混合粉を使用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の麺類の長期保存方法。
【請求項4】
製麺後茹でられた茹で麺又は密封包装から取り出した既製の茹で麺の表面に、小麦粉、かたくり粉、コーンスターチ、粉炭、貝灰、灰又は石灰若しくはサンゴ粉又はこれらの中の任意の2以上の混合粉などの粉体をまぶして付着させた状態で、真空包装し、かつ加熱殺菌してなることを特徴とする長期保存用の麺。

【図1】
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【公開番号】特開2010−68717(P2010−68717A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236022(P2008−236022)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(591233045)
【Fターム(参考)】