説明

黄色ブドウ球菌の検出およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の特定

本発明の様々な局面が、サンプルからのS.aureusを検出および/または定量するための方法および組成物、ならびに、S.aureusおよびMRSAを1回のアッセイにおいて検出および/または定量するために有用な方法および組成物に関連する。様々な実施形態には、S.aureus特異的nuc配列およびMREJ配列にハイブリダイゼーションする核酸が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国仮特許出願第60/870,823号(2006年12月19日出願、Jean他、題名「黄色ブドウ球菌の検出およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の特定」)に基づく優先権を主張し、、これは、その全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列表)
本出願は電子的形式での配列表と一緒に出願されている。配列表は、2007年11月29日に作成されたGENOM.072A.TXTと題されるファイル(大きさが124KBである)として提供される。配列表の電子的形式での情報はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の背景)
ブドウ球菌(Staphylococcus)属の細菌は、広範囲の様々な病院感染症および市中感染症を世界中で引き起こす主要なヒト病原菌である。コアグラーゼ陽性種の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)がヒトの日和見病原菌として十分に立証されている(Murray他編、2003年、Manual of Clinical Microbiology、第8版、ASM Press、Washington,D.C.)。S.aureusによって引き起こされる院内感染症は罹患および死亡の主要な原因である。S.aureusによって引き起こされる最も一般的な感染症のいくつかには皮膚が関係し、そのような感染症には、フルンケルまたはおでき、蜂巣炎、膿痂疹、および様々な部位における手術後の創傷感染症が含まれる。S.aureusによってもたらされるより重篤な感染症のいくつかには、菌血症、肺炎、骨髄炎、急性心内膜炎、心筋炎、心膜炎、脳炎、髄膜炎、熱傷様皮膚症候群および様々な膿瘍が含まれる。ブドウ球菌のエンテロトキシンによって媒介される食中毒は、S.aureusに関連する別の重要な症候群である。毒素性ショック症候群は市中疾患の1つであり、これもまた、毒素産生性のS.aureusによる感染またはコロニー形成に起因すると考えられている。
【0004】
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌は、1970年代以前は皮膚の無害な片利共生菌と見なされていたが、今では、ヒト感染症の重要な原因として認識されている(Kloos他(2004)、Clin.Microbiol.Rev.、7:117〜140)。臨床微生物学の研究室における最も頻繁に単離された細菌の1つであることに加えて、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌は抗生物質耐性決定因子のリザーバーとして作用する(Bastos他(1999)、Eur.J.Clin.Microbiol.Infect.Dis.、18:393〜398)。そのようなものとして、S.aureus菌株を特徴づけ、他のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌から区別することは重要である。
【0005】
様々なS.aureus菌株が、細胞外の熱安定性ヌクレアーゼ(熱安定性TNase)を、コアグラーゼを産生する頻度と類似する頻度で産生する。TNaseをコードする遺伝子(nuc)の配列が1985年に最初に開示された(Kovacevi他(1985)、J.Bact.、162:521〜528)。TNaseは、RNAおよびDNAの両方を100℃までの温度で分解する17kDaのタンパク質である。TNase活性はS.aureusについて特異的なものではないものの、S.aureus特異的な配列が存在する。例えば、Brackstad他(1992)、J.Clin.Microbiol.、30:1654〜1660;Zhang他(2004)、J.Clin.Microbiol.、42:4947〜4955;Chesneau他(1993)、Mol.Cell.Probes、7:301〜310;Wilson他(1991)、Appl.Environ.Microbiol.、57:1793〜1798;Poulsen他(2003)、J.Antimicrob.Chemo.、51:419〜421;Costa他(2005)、Diag.Microbiol.and Infect.Dis.、51:13〜17;Shittu他(2006)、Diagn Microbiol Infect Dis.(2006年7月17日)を参照のこと。今日まで、そのようなS.aureus特異的なnuc配列はどれも、大規模な特異性研究の手段として臨床的に有用であることが証明されていない。そのため、臨床サンプルからのS.aureusの迅速な検出および特定において有用である、高い特異性および感度の両方を有することが証明されているオリゴヌクレオチドが求められている。
【0006】
S.aureusおよびコアグラーゼ陰性ブドウ球菌はともに、さらなる抗生物質耐性決定因子を蓄積し、それにより、多剤耐性菌株の形成を生じさせる顕著な能力を有する。この耐性は処置のための治療的選択肢を制限し、患者の罹患率および死亡率を実質的に増大させる。メチシリン耐性S.aureus(MRSA)が、病院における大きな臨床的および疫学的な問題の1つとして1980年代に出現した(Oliveira他(2002)、Lancet Infect Dis.、2:180〜189)。MRSAは、S.aureus感染症を治療するために最も一般的に使用される抗生物質であるペニシリン系薬剤、セファロスポリン系薬剤、カルバペネム系薬剤およびモノバクタム系薬剤を含めて、すべてのβ−ラクタム剤に対して耐性である。MRSA感染症は、毒性がより大きく、より高価な抗生物質により処置され得るだけであり、そのため、そのような抗生物質は通常の場合には最後のとりでとして使用される。MRSAは職員を介して患者から患者に容易に拡大し得るので、世界中の病院が、MRSAを抑制するためにこの問題に直面している。
【0007】
S.aureusにおけるメチシリン耐性は、その耐性が、過剰の(surnumerary)β−ラクタム耐性ペニシリン結合タンパク質(PBP)をコードする、他のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)からのDNAの獲得に起因し、これにより、細胞がβ−ラクタム系抗生物質にさらされたときには、そのDNAが、正常なPBPの生合成機能を引き受けるという点で他に例がない。S.aureusは通常、4つのPBPを含有しており、そのうち、PBP1、PBP2およびPBP3が必須である。PBP2a(またはPBP2’)と呼ばれるMRSAにおける低親和性PBPが染色体のmecA遺伝子によってコードされ、β−ラクタム耐性トランスペプチダーゼとして機能する。このmecA遺伝子はメチシリン感受性S.aureusには存在しないが、ブドウ球菌の他の種の間には広く分布しており、高度に保存されている(Ubukata他(1990)、Antimicrob.Agents Chemother.、34:170〜172)。
【0008】
S.aureus菌株N315(これは1982年に日本で単離された)に由来するmecA遺伝子を取り囲むDNA領域のヌクレオチド配列決定では、mecA遺伝子が、染色体内に挿入される、ブドウ球菌カセット染色体mec(SCCmec)と称される新規な遺伝子エレメントによって運ばれるという発見がもたらされた。SCCmecは、末端の逆位反復および同方向反復、1組の部位特異的リコンビナーゼ遺伝子(ccrAおよびccrB)、ならびに、mecA遺伝子複合体の存在によって特徴づけられる可動性の遺伝子エレメントである(Ito他(1999)、Antimicrob.Agents Chemother.、43:1449〜1458;Katayama他(2000)、Antimicrob.Agents Chemother.、44:1549〜1555)。SCCmecが、ccrA遺伝子およびccrB遺伝子によりコードされるリコンビナーゼによってS.aureus菌株N315の染色体から正確に切り出され、特定のS.aureus染色体部位に同じ向きで一体化する。MRSA菌株のNCTC10442(1961年に英国で単離された最初のMRSA菌株)および85/2082(1985年に単離されたニュージーランド由来の菌株)に由来するmecA遺伝子を取り囲むDNAのクローニングおよび配列分析では、SCCmecの類似する構造的特徴を互いに有する2つの新規な遺伝子エレメントの発見がもたらされた。これら3つのSCCmecは、これらの菌株の単離年に基づいて、タイプI(NCTC10442)、タイプII(N315)およびタイプIII(85/2082)と呼ばれている(Ito他(2001)、Antimicrob.Agents Chemother.、45:1323〜1336)。Hiramatsu他は、これらのSSCmec DNAがメチシリン感受性S.aureus(MSSA)の染色体において特定の部位に組み込まれることを見出している。SSCmec DNAの左側境界および右側境界(すなわち、それぞれ、attLおよびattR)を取り囲む領域のヌクレオチド配列、ならびに、SSCmec DNAの組込み部位(すなわち、SSCmec DNAに対する細菌染色体付着部位であるattBscc)の周りの領域のヌクレオチド配列が分析された。attL部位、attR部位およびattBscc部位の配列分析では、attBsccが新規なオープンリーディングフレーム(ORF)のorfXの3’末端に位置することが解明された。このorfXは、機能が不明であるいくつかの以前に特定されたポリペプチドとの配列相同性を示す仮想的な159アミノ酸のポリペプチドをコードする(Ito他(1999)、Antimicrob.Agents Chemother.、43:1449〜1458)。近年、タイプIVおよびタイプVと称される2つの新しいタイプのSCCmecが記載された(Ma他(2002)、Antimicrob.Agents Chemother.、46:1147〜1152;Ito他(2004)、Antimicrob.Agents Chemother.、48:2637〜2651;Oliveira他(2001)、Microb.Drug Resist.、7:349〜360)。Oliveira他はまた、近年、SCCmecタイプVIの存在を報告した。Oliveira他(2006)、Antimicrob.Agents Chemother.、50:3457〜3459。SCCmecタイプIVとして分類されたいくつかのブドウ球菌属菌株の右側先端の配列が決定されている。Ma他(2002)、Antimicrob.Agents Chemother.、46:1147〜1152;Ito他(2001)、Antimicrob.Agents Chemother.、45:1323〜1336;Oliveira他(2001)、Microb.Drug Resist.、7:349〜360を参照のこと。SCCmecタイプIVとして分類されるS.aureus菌株のCA05および8/6−3Pからの配列が、S.aureus菌株N315のタイプII SSCmecの配列に対して2000ヌクレオチドにわたってほぼ同一であった(Ma他(2002)、Antimicrob.Agents Chemother.、46:1147〜1152;Ito他(2001)、Antimicrob.Agents Chemother.、45:1323〜1336)。
【0009】
MRSAをmecA遺伝子およびS.aureus特異的染色体配列の検出に基づいて検出および特定するための様々な方法が記載されている。Schuenck他、Res.Microbiol.、(2006)(印刷中);Shittu他(2006)、Diagn Microbiol Infect Dis(7月17日);Grisold他(2006)、Methods Mol.Biol.、345:79〜89;Costa他(2005)、Diag.Microbiol.and Infect.Dis.、51:13〜17;McDonald他(2005)、J.Clin.Microbiol.、43:6147〜6149;Zhang他(2005)、J.Clin.Microbiol.、43:5026〜5033;Hagen他(2005)、Int J Med Microbiol.、295:77〜86;Maes他(2002)、J.Clin.Microbiol.、40:1514〜1517;Saito他(1995)、J.Clin.Microbiol.、33:2498〜2500;Ubukata他(1992)、J.Clin.Microbiol.、30:1728〜1733;Murakami他(1991)、J.Clin.Microbiol.、29:2240〜2244;Hiramatsu他(1992)、Microbiol.Immunol.、36:445〜453)を参照のこと。さらには、LeviおよびTowner(2003)、J.Clin.Microbiol.、41:3890〜3892;および、Poulsen他(2003)、J Antimicrob Chemother.、51:419〜421は、EVIGENE(商標)MRSA Detectionキットを使用するコアグラーゼ陰性ブドウ球菌およびS.aureusにおけるメチシリン耐性の検出を記載する。
【0010】
しかしながら、mecA遺伝子はS.aureusおよびコアグラーゼ陰性ブドウ球菌の両方に広く分布するので、上記で記載された方法のそれぞれが、メチシリン感受性S.aureus(「MSSA」)およびメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌の両方を含有するサンプルと、MRSAのみを含有するサンプル、または、メチシリン感受性S.aureusおよびMRSAの両方を有するサンプルとを識別することができない。
【0011】
この問題に対処するために、Hiramatsu他は、SCCmecタイプI〜SCCmecタイプIIIのDNAの右側先端にハイブリダイゼーションするプライマーを、SCCmec組込み部位の右側のヌクレオチド配列に対応する、S.aureus染色体に対して特異的なプライマーとの組合せで用いる、MRSAについて特異的なPCR型アッセイを開発した(米国特許第6,156,507号、以下、「‘507号特許」という)。より近年には、Zhang他(2005)(J.Clin.Microbiol.、43:5026〜5033)は、SSCmecタイプI〜SSCmecタイプVのMRSAをサブタイプ決定するための多重アッセイを記載した。他のブドウ球菌種(例えば、S.epidermidisおよびS.haemolyticus)におけるSCCmec組込み部位を取り囲むヌクレオチド配列は、S.aureusにおいて見出されるヌクレオチド配列とは異なっており、従って、SSCmecの右側先端およびS.aureusの染色体にハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを用いる多重PCRアッセイは、MRSAの検出について特異的であるという利点を有する。
【0012】
‘507号特許に記載されるPCRアッセイはまた、SCCmec DNAの「MREPタイプ決定」(mec right extremiy polymorphism、mec右側先端多型)の開発に至った(Ito他(2001)、Antimicrob.Agents Chemother.、45:1323〜1336;Hiramatsu他(1996)、J.Infect.Chemother.、2:117〜129)。このMREPタイプ決定方法は、3つのMREPタイプのヌクレオチド配列が、3つのタイプのSSCmecの中では組込み部位に隣接するSSCmec DNAの右側末端において異なるという事実を利用する。タイプIと比較した場合、タイプIIIは特有のヌクレオチド配列を有し、一方、タイプIIはSSCmecの右側末端への102ヌクレオチドの挿入を有する。Hiramatsu他によって記載されるMREPタイプ決定法では、下記の命名法が使用される:SSCmecタイプIはMREPタイプiであり、SSCmecタイプIIはMREPタイプiiであり、SSCmecタイプIIIはMREPタイプiiiである。その後、Hiramatsuは、菌株N315および菌株Mu50のゲノムの配列が発表されたことを考慮して、すなわち、これらの配列により、SCCmecエレメントがorfXの下流側に位置することが解明されたので、この命名法を訂正した。その結果、今では、MREPはMLEP(mec左側先端多型)として示され得る(Chongtrakool他(2006)、Antimicrob.Agents Chemother.、50:1001〜1012)。
【0013】
近年、Chongtrakool他は、SSCmec命名法に代わる新しい命名法を使用することを提案した。Chongtrakool他(2006)、Antimicrob.Agents Chemother.、50:1001〜1012。Chongtrakool他により提案された命名法はSSCmecエレメントの構造に基づいており、3つの特徴を有する。第1の特徴はSCCタイプの記載であり、ccrタイプおよびmecクラスによって定義される。第2の特徴は、mec複合体ならびにccr複合体の間および周囲に位置するSCCmecエレメントの一部であるJ領域(ジャンクヤード領域)の記載である。第3の特徴は、それらの同定時期に従ったccrタイプおよびJ領域の番号付けを可能にする列挙である。
【0014】
上記で言及されたように、SCCmecタイプIIおよびSCCmecタイプIVは、右側先端に対する同じヌクレオチド配列を有する。その結果、上記で記載されるMREPタイプ決定法(または、近年の改訂によるMLEPタイプ決定法)は、Hiramatsu他によって記載されるSCCmecタイプIV(Ma他(2002)、Antimicrob.Agents Chemother.、46:1147〜1152)をSCCmecタイプIIと区別することができない。
【0015】
本発明者らは近年、MREJと名付けられた、MRSAにおけるDNA配列および領域を記載した(PCT出願番号PCT/CA02/00824)。MREJの表現はmec右側先端接合(Mec Right Extremity Junction)を示す。MREJは、長さがおよそ1キロベース(kb)であり、SCCmec組込み部位の右側に対する細菌の染色体DNAに加えてSCCmec右側先端に由来する配列を含む。重要なことに、MREJ/MLEJ配列は、SCCmecタイプIIおよびSCCmecタイプIVとして分類された菌株の間における鑑別を可能にするという点で、MREJ配列は、MRSAを分類することにおいてMREP/MLEP配列を上回る利点を提供する。PCT出願番号PCT/CA02/00824において議論されるように、HiramatsuがMREPタイプi〜MREPタイプiiiとして分類した菌株は、MREJタイプ決定システムによれば、MREJタイプi〜MREJタイプiiiに該当する。本発明者らは近年、新規なMREJタイプiv〜MREJタイプxxを特定し、また、MREJタイプi〜MREJタイプxxのMRSAの検出および特定を可能にする、遍在性が改善された核酸アッセイを開発した。(Huletsky他、2004、J Clin.Microbiol.、42:1875〜1884、国際特許出願PCT/CA02/00824、米国特許出願第11/248,438号)。MREPからMLEPへの改訂に基づいて、以前にMREJ呼ばれていたタイプのものが、今では、MLEJ(mec左側先端接合)として再分類され得ることを理解することができる。当業者は、様々な配列により、S.aureusを特異的に検出することができ、また、メチシリンに対して耐性であるS.aureusを特定することができるので、S.aureusおよびMRSAのいかなる分類システムも、本明細書中に開示される方法において意図されることが理解できる。
【0016】
Maes他は、S.aureusをコアグラーゼ陰性ブドウ球菌から識別し、かつ、血液培養におけるメチシリン耐性を決定するためのPCRアッセイを記載する(Maes他(2002)、J.Clin.Microbiol.、40:1514〜1517)。Maes他において記載されるアッセイは、MRSAをメチシリン耐性のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌から区別することができない。
【0017】
Poulsen他は、EVIGENE(商標)MRSA Detectionキットを使用する、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌におけるメチシリン耐性およびS.aureusにおけるメチシリン耐性の検出を記載する。Poulsen他において記載されるアッセイは、メチシリン感受性S.aureusおよびメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌の両方を有するサンプルと、MRSAのみを含有するサンプル、または、メチシリン感受性S.aureusおよびMRSAの両方を有するサンプルとを識別することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/870,823号
【特許文献2】米国特許第6,156,507号
【特許文献3】国際特許出願番号PCT/CA02/00824
【特許文献4】米国特許出願第11/248,438号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Murray他編、2003年、Manual of Clinical Microbiology、第8版、ASM Press、Washington,D.C.
【非特許文献2】Kloos他(2004)、Clin.Microbiol.Rev.、7:117〜140
【非特許文献3】Bastos他(1999)、Eur.J.Clin.Microbiol.Infect.Dis.、18:393〜398
【非特許文献4】Kovacevi他(1985)、J.Bact.、162:521〜528
【非特許文献5】Brackstad他(1992)、J.Clin.Microbiol.、30:1654〜1660
【非特許文献6】Zhang他(2004)、J.Clin.Microbiol.、42:4947〜4955
【非特許文献7】Chesneau他(1993)、Mol.Cell.Probes、7:301〜310
【非特許文献8】Wilson他(1991)、Appl.Environ.Microbiol.、57:1793〜1798
【非特許文献9】Poulsen他(2003)、J.Antimicrob.Chemo.、51:419〜421
【非特許文献10】Costa他(2005)、Diag.Microbiol.and Infect.Dis.、51:13〜17
【非特許文献11】Shittu他(2006)、Diagn Microbiol Infect Dis.
【非特許文献12】Oliveira他(2002)、Lancet Infect Dis.、2:180〜189
【非特許文献13】Ubukata他(1990)、Antimicrob.Agents Chemother.、34:170〜172
【非特許文献14】Ito他(1999)、Antimicrob.Agents Chemother.、43:1449〜1458
【非特許文献15】Katayama他(2000)、Antimicrob.Agents Chemother.、44:1549〜1555
【非特許文献16】Ito他(2001)、Antimicrob.Agents Chemother.、45:1323〜1336
【非特許文献17】Ito他(1999)、Antimicrob.Agents Chemother.、43:1449〜1458
【非特許文献18】Ma他(2002)、Antimicrob.Agents Chemother.、46:1147〜1152
【非特許文献19】Ito他(2004)、Antimicrob.Agents Chemother.、48:2637〜2651
【非特許文献20】Oliveira他(2001)、Microb.Drug Resist.、7:349〜360
【非特許文献21】Oliveira他(2006)、Antimicrob.Agents Chemother.、50:3457〜3459
【非特許文献22】Ma他(2002)、Antimicrob.Agents Chemother.、46:1147〜1152
【非特許文献23】Ito他(2001)、Antimicrob.Agents Chemother.、45:1323〜1336
【非特許文献24】Oliveira他(2001)、Microb.Drug Resist.、7:349〜360
【非特許文献25】Ma他(2002)、Antimicrob.Agents Chemother.、46:1147〜1152
【非特許文献26】Ito他(2001)、Antimicrob.Agents Chemother.、45:1323〜1336
【非特許文献27】Schuenck他、Res.Microbiol.、(2006)(印刷中)
【非特許文献28】Shittu他(2006)、Diagn Microbiol Infect Dis(7月17日)
【非特許文献28】Grisold他(2006)、Methods Mol.Biol.、345:79〜89
【非特許文献29】Costa他(2005)、Diag.Microbiol.and Infect.Dis.、51:13〜17
【非特許文献30】McDonald他(2005)、J.Clin.Microbiol.、43:6147〜6149
【非特許文献31】Zhang他(2005)、J.Clin.Microbiol.、43:5026〜5033
【非特許文献32】Hagen他(2005)、Int J Med Microbiol.、295:77〜86
【非特許文献33】Maes他(2002)、J.Clin.Microbiol.、40:1514〜1517
【非特許文献34】Saito他(1995)、J.Clin.Microbiol.、33:2498〜2500
【非特許文献35】Ubukata他(1992)、J.Clin.Microbiol.、30:1728〜1733
【非特許文献36】Murakami他(1991)、J.Clin.Microbiol.、29:2240〜2244
【非特許文献37】Hiramatsu他(1992)、Microbiol.Immunol.、36:445〜453
【非特許文献38】LeviおよびTowner(2003)、J.Clin.Microbiol.、41:3890〜3892
【非特許文献39】Poulsen他(2003)、J Antimicrob Chemother.、51:419〜421
【非特許文献40】Ito他(2001)、Antimicrob.Agents Chemother.、45:1323〜1336
【非特許文献41】Hiramatsu他(1996)、J.Infect.Chemother.、2:117〜129
【非特許文献42】Chongtrakool他(2006)、Antimicrob.Agents Chemother.、50:1001〜1012
【非特許文献43】Chongtrakool他(2006)、Antimicrob.Agents ChemoMaes他(2002)、J.Clin.Microbiol.、40:1514〜1517ther.、50:1001〜1012
【非特許文献44】Ma他(2002)、Antimicrob.Agents Chemother.、46:1147〜1152
【非特許文献45】Huletsky他、2004、J Clin.Microbiol.、42:1875〜1884
【非特許文献46】Maes他(2002)、J.Clin.Microbiol.、40:1514〜1517
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そのため、現在においても、MRSAおよびメチシリン感受性S.aureusの両方を同じ反応において検出および特定し、かつ、同じ反応においてS.aureusをコアグラーゼ陰性ブドウ球菌から区別可能である迅速なアッセイが求められている。
【0021】
本明細書中には、1回のアッセイにおいて臨床サンプルから、黄色ブドウ球菌(S.aureus)菌株の存在を特異的に検出し、かつ、メチシリン耐性S.aureus(MRSA)菌株の存在を検出するための方法および組成物が開示される。本明細書によれば、サンプルからのS.aureusの特異的な検出のための方法および組成物もまた提供される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
いくつかの実施形態が、核酸を含むサンプルから、S.aureusを検出し、かつ、MRSAの存在を特定する方法に関連する。いくつかの実施形態において、サンプルを、nuc遺伝子のS.aureus特異的配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも10クレオチドの少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブ、ならびに、MRSA菌株について特異的な少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブと接触させることができる。様々なS.aureus菌株が、細菌の核酸において挿入されるmecA遺伝子を含有するSCCmecカセットが存在するためにメチシリン耐性であると見なされる。SCCmecカセットの挿入は多型の右側先端接合(MREJ)の1つを生じさせ得る。(1つまたは複数の)MRSA特異的なプライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、例えば、MREJタイプi〜MREJタイプxxを含めて、多型のMREJ核酸にストリンジェントな条件のもとでアニーリングすることができる。S.aureus特異的プライマーおよびMRSA特異的プライマーは、例えば、4mMのMgCl、100mMのTris(pH8.3)、10mMのKClおよび5mMの(NHSOの59℃における条件のもとでアニーリングされる。アニーリングした(1つまたは複数の)プローブの存在および/または量、あるいは、プライマーが核酸にアニーリングすることにより生じた増幅産物の存在および/または量は、サンプルにおけるS.aureus(MSSAおよびMRSA)およびMRSAの存在および/または量を示すものとして使用することができる。
【0023】
S.aureus菌株について特異的なプライマーの少なくとも1つは、配列番号200、その相補体、または、配列番号200とは1ヌクレオチド〜20ヌクレオチド異なる任意の配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングすることができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、S.aureus特異的nuc配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするプライマーおよび/またはプローブの少なくとも1つは、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つあるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションする。好ましくは、S.aureus特異的nuc配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするプライマーおよび/またはプローブの少なくとも1つは、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つを含むか、あるいは、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つから本質的になるか、あるいは、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つからなる。
【0025】
好ましい実施形態において、(1つまたは複数の)S.aureus特異的なプライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、長さが少なくとも10ヌクレオチドであり、配列番号1〜配列番号12のいずれか1つの核酸またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする。
【0026】
さらにより好ましい実施形態において、サンプルはまた、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12のいずれか1つの核酸あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするプローブと接触させられる。いくつかの実施形態において、プローブは分子ビーコンプローブである。好ましくは、プローブは、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の配列を含むか、あるいは、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の配列から本質的になるか、あるいは、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の配列からなる。
【0027】
いくつかの実施形態において、本発明の方法はまた、内部コントロールDNAをサンプルに加えること、ならびに、内部コントロールDNAにストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブを加えることを含む。例えば、いくつかの実施形態において、内部コントロールは、E.coliから精製された線状化されている4.23kbのプラスミドが可能である。内部コントロールは、試料に由来する阻害性物質の存在をモニターするために使用することができる。
【0028】
MRSA菌株について特異的なプライマーの少なくとも1つは、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87および配列番号88のいずれか1つ、または、その相補体、または、配列番号14〜配列番号88とは1ヌクレオチド〜20ヌクレオチド異なる任意の配列で定義されるようなタイプi〜タイプxxのMREJ配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングすることができる。
【0029】
好ましい実施形態において、S.aureus特異的およびMRSA特異的なプライマーおよび/またはプローブは、同じアニーリング条件のもとでサンプル核酸にアニーリングするように選ばれる。より好ましい実施形態において、そのような(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは同一の物理的容器に一緒に入れられる。
【0030】
好ましい実施形態において、MRSA特異的な(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、長さが少なくとも10ヌクレオチドであり、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号15、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号201(タイプi〜タイプix)、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号195、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197、配列番号198(タイプx〜タイプxx)または配列番号199のいずれか1つの核酸あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする。好ましくは、MRSA特異的な(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号15、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号201(タイプi〜タイプix)、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号195、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197(タイプxi〜タイプxx)または配列番号199のいずれか1つの核酸を含むか、あるいは、そのようないずれか1つの核酸から本質的になるか、あるいは、そのようないずれか1つの核酸からなる。いくつかの実施形態において、MRSA特異的プライマーはまた、S.aureus染色体のorf22にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを含み、この場合、このプライマーは、MREJタイプxを検出するために、配列番号197を用いた増幅反応において使用することができる。より好ましい実施形態において、MRSA特異的な(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、配列番号99、配列番号199、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163のいずれか1つの核酸またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングし、例えば、配列番号99、配列番号199、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163のいずれか1つの核酸を含むか、または、配列番号99、配列番号199、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163のいずれか1つの核酸から本質的になるか、または、配列番号99、配列番号199、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163のいずれか1つの核酸からなるプライマーおよび/またはプローブなどである。さらにより好ましい実施形態において、サンプルはまた、配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131のいずれか1つの核酸またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするプローブと接触させられる。いくつかの実施形態において、プローブは分子ビーコンプローブである。好ましくは、プローブは、配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131のいずれか1つの核酸を含むか、または、配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131のいずれか1つの核酸から本質的になるか、または、配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131のいずれか1つの核酸からなる。
【0031】
いくつかの実施形態において、上記で記載されるサンプルならびに(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは増幅反応において使用され、例えば、PCR反応、LCR反応、NABSA反応、3SR反応、SDA反応、bDNA反応、TMA反応、CPT反応、SPA反応、NDSA反応、ローリングサークル増幅反応、固定鎖置換増幅反応、固相(固定化)ローリングサークル増幅反応またはQβレプリカーゼ増幅反応などにおいて使用される。
【0032】
他の局面が、核酸を含むサンプルにおけるS.aureus菌株の特異的な検出に関連する。S.aureusのnuc遺伝子について特異的である少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブが提供される。そのようなプライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、ストリンジェントな条件のもとで、例えば、50mMのKCl、10mMのTris−HCl(pH9.0)、0.1%のTriton X−100、2.5mMのMgClの59℃における条件、または、4mMのMgCl、100mMのTris(pH8.3)、10mMのKClおよび5mMの(NHSOの59℃における条件などのもとで、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の核酸のいずれか1つあるいはその相補体の少なくとも11個の連続するヌクレオチドにアニーリングすることができる核酸を含む。そのような(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブはサンプルの核酸にアニーリングさせることができる。アニーリングした(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブにより、サンプルにおけるS.aureusの存在が示される。アニーリングした(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブを検出することができ、アニーリングした(1つまたは複数の)プローブの存在および/または量、プライマーが核酸にアニーリングすることにより生じる増幅産物の量により、サンプル中に存在するS.aureusの存在および/または量が示される。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記で記載されるサンプルならびに(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは増幅反応において使用され、例えば、PCR反応、LCR反応、NABSA反応、3SR反応、SDA反応、bDNA反応、TMA反応、CPT反応、SPA反応、NDSA反応、ローリングサークル増幅反応、固定鎖置換増幅反応、固相(固定化)ローリングサークル増幅反応またはQβレプリカーゼ増幅反応などにおいて使用される。
【0034】
好ましい実施形態において、配列番号1またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマー(例えば、配列番号1を含むか、または、配列番号1から本質的になるか、または、配列番号1からなるプライマーなど)と、配列番号6にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第2のプライマー(例えば、配列番号6を含むか、または、配列番号6から本質的になるか、または、配列番号6からなるプライマーなど)またはその相補体とを含むプライマー対を、サンプルの核酸にアニーリングさせることができる。より好ましい実施形態において、配列番号9または配列番号10にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするプローブ(例えば、配列番号9または配列番号10を含むか、あるいは、配列番号9または配列番号10から本質的になるか、あるいは、配列番号9または配列番号10からなるプローブなど)またはその相補体もまた提供される。
【0035】
他の好ましい実施形態において、配列番号3にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマー(例えば、配列番号3を含むか、または、配列番号3から本質的になるか、または、配列番号3からなるプライマーなど)またはその相補体と、配列番号8にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第2のプライマー(例えば、配列番号8を含むか、または、配列番号8から本質的になるか、または、配列番号8からなるプライマーなど)またはその相補体とを含むプライマー対を、サンプルの核酸にアニーリングさせることができる。より好ましい実施形態において、配列番号11または配列番号12にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするプローブ(例えば、配列番号11または配列番号12を含むか、あるいは、配列番号11または配列番号12から本質的になるか、あるいは、配列番号11または配列番号12からなるプローブなど)またはその相補体もまた提供される。
【0036】
さらに他の好ましい実施形態において、サンプルは、下記対の少なくとも1つの核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマーおよび第2のプライマーを含む少なくとも1つのプライマー対と接触させられる:
【0037】
配列番号1および配列番号5;
【0038】
配列番号1および配列番号6;
【0039】
配列番号2および配列番号5;
【0040】
配列番号2および配列番号6;
【0041】
配列番号3および配列番号7;
【0042】
配列番号3および配列番号8;
【0043】
配列番号4および配列番号7;ならびに
【0044】
配列番号4および配列番号8、または、それらの相補体。
【0045】
例えば、好ましい実施形態において、サンプルは、下記対の少なくとも1つの核酸配列を含むか、または、下記対の少なくとも1つの核酸配列から本質的になるか、または、下記対の少なくとも1つの核酸配列からなる第1のプライマーおよび第2のプライマーを含む少なくとも1つのプライマー対と接触させられる:
【0046】
配列番号1および配列番号5;
【0047】
配列番号1および配列番号6;
【0048】
配列番号2および配列番号5;
【0049】
配列番号2および配列番号6;
【0050】
配列番号3および配列番号7;
【0051】
配列番号3および配列番号8;
【0052】
配列番号4および配列番号7;ならびに
【0053】
配列番号4および配列番号8。
【0054】
好ましい実施形態において、サンプルはまた、下記対の少なくとも1つの核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマーおよび第2のプライマーを含む少なくとも1つのプライマー対と接触させられる:
【0055】
配列番号99および配列番号199;
【0056】
配列番号99および配列番号144;
【0057】
配列番号99および配列番号150;
【0058】
配列番号99および配列番号155;ならびに
【0059】
配列番号99および配列番号163、または、それらの相補体。
【0060】
例えば、いくつかの実施形態において、サンプルは、下記対の少なくとも1つを含むか、または、下記対の少なくとも1つから本質的になるか、または、下記対の少なくとも1つからなる第1のプライマーおよび第2のプライマーを含む少なくとも1つのプライマー対と接触させられる:
【0061】
配列番号99および配列番号199;
【0062】
配列番号99および配列番号144;
【0063】
配列番号99および配列番号150;
【0064】
配列番号99および配列番号155;ならびに
【0065】
配列番号99および配列番号163。
【0066】
好ましい実施形態において、サンプルは複数のプライマー対と接触させられ、この場合、プライマーは下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする:
【0067】
配列番号1および配列番号6;
【0068】
配列番号99および配列番号199;
【0069】
配列番号99および配列番号144;
【0070】
配列番号99および配列番号150;
【0071】
配列番号99および配列番号155;ならびに
【0072】
配列番号99および配列番号163、または、それらの相補体;例えば、
【0073】
配列番号1および配列番号6;
【0074】
配列番号99および配列番号199;
【0075】
配列番号99および配列番号144;
【0076】
配列番号99および配列番号150;
【0077】
配列番号99および配列番号155;ならびに
【0078】
配列番号99および配列番号163
の核酸配列を含むか、または、そのような核酸配列から本質的になるか、または、そのような核酸配列からなるプライマーなど。
【0079】
他の好ましい実施形態において、サンプルは複数のプライマー対と接触させられ、この場合、プライマーは、下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする:
【0080】
配列番号3および配列番号8;
【0081】
配列番号99および配列番号199;
【0082】
配列番号99および配列番号144;
【0083】
配列番号99および配列番号150;
【0084】
配列番号99および配列番号155;ならびに
【0085】
配列番号99および配列番号163、または、それらの相補体;例えば、
【0086】
配列番号3および配列番号8;
【0087】
配列番号99および配列番号199;
【0088】
配列番号99および配列番号144;
【0089】
配列番号99および配列番号150;
【0090】
配列番号99および配列番号155;ならびに
【0091】
配列番号99および配列番号163
の核酸配列を含むか、または、そのような核酸配列から本質的になるか、または、そのような核酸配列からなるプライマーなど。
【0092】
好ましくは、サンプルはまた、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131のいずれか1つの核酸配列またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプローブと接触させられ、例えば、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131のいずれか1つの核酸配列を含むか、または、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131のいずれか1つの核酸配列から本質的になるか、または、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131のいずれか1つの核酸配列からなるプローブなどと接触させられる。
【0093】
他の局面が、S.aureusの特異的な検出のために有用なオリゴヌクレオチドに関連する。いくつかの実施形態では、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つの核酸配列の少なくとも11個の連続するヌクレオチドとストリンジェントな条件のもとでアニーリングするオリゴヌクレオチドが提供される;例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つを含むか、あるいは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つから本質的になるか、あるいは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つからなる核酸など。
【0094】
さらに他の局面が、核酸を含むサンプルにおけるS.aureus菌株の存在を検出するためのキットに関連する。キットは、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つあるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含むことができる。例えば、キットは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12を含むか、あるいは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12から本質的になるか、あるいは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12からなる少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含むことができる。好ましい実施形態において、キットはまた、少なくとも1つのプローブを含み、この場合、プローブは、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の核酸配列あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングすることができる。好ましい実施形態において、プローブは、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12を含むことができるか、あるいは、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12から本質的になることができるか、あるいは、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12からなることができる。
【0095】
好ましい実施形態において、キットはまた、MRSA菌株について特異的な少なくとも1つのプライマーを含む。S.aureus菌株は、細菌の核酸において挿入されるmecA遺伝子を含有するSSCmecインサートが存在するためにメチシリン耐性であると見なされる。SCCmecインサートの挿入は多型の右側先端接合(MREJ)の1つを生じさせ得る。MRSA特異的なプライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、例えば、MREJタイプi〜MREJタイプxxを含めて、多型のMREJ核酸にストリンジェントな条件のもとでアニーリングすることができる。
【0096】
好ましい実施形態において、キットは、下記の配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87および配列番号88の1つまたはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのMRSA特異的オリゴヌクレオチドを含む。例えば、いくつかの実施形態において、キットは、長さが少なくとも10ヌクレオチドあり、かつ、下記の配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号15、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号201(タイプi〜タイプix)、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号195、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197(タイプxi〜タイプxx)または配列番号199のいずれか1つの核酸配列あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのMRSA特異的オリゴヌクレオチドを含有することができる。いくつかの実施形態において、MRSA特異的オリゴヌクレオチドはまた、S.aureus染色体のorf22にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを含むことができ、この場合、このオリゴヌクレオチドは、MREJタイプxを検出するために、配列番号197を用いた増幅反応において使用することができる。好ましくは、MRSA特異的オリゴヌクレオチドは、下記の配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号15、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号201(タイプi〜タイプix)、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号195、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197(タイプxi〜タイプxx)または配列番号199のいずれか1つを含むことができるか、あるいは、そのようないずれか1つから本質的になることができるか、あるいは、そのようないずれか1つからなることができる。
【0097】
いくつかの実施形態において、キットは、配列番号1、配列番号6、配列番号99、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする複数のオリゴヌクレオチドを含有する。例えば、好ましい実施形態において、キットは、配列番号1、配列番号6、配列番号99、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163を含むか、または、配列番号1、配列番号6、配列番号99、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163から本質的になるか、または、配列番号1、配列番号6、配列番号99、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163からなる複数のオリゴヌクレオチドを含有することができる。いくつかの実施形態において、キットは、配列番号3、配列番号8、配列番号99、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする複数のオリゴヌクレオチドを含有し、例えば、配列番号3、配列番号8、配列番号99、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163を含むか、または、配列番号3、配列番号8、配列番号99、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163から本質的になるか、または、配列番号3、配列番号8、配列番号99、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163からなる複数のオリゴヌクレオチドなどを含有する。好ましくは、キットはまた、下記の配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプローブを含み、例えば、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131を含むか、あるいは、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131から本質的になるか、あるいは、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131からなる少なくとも1つのプローブなどを含む。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1A】PCR増幅反応の生成物を示すアガロースゲルの写真を示す。テンプレートDNAのコピー数および供給源が示される(15cp=15コピー;185cp=185コピー)(S.aureus=MSSA菌株ATCC25923;MRSA=MRSA菌株ATCC43300)。矢印はPCR産物のサイズおよびプライマーの二量体を示す。
【図1B】PCR増幅反応の生成物を示すアガロースゲルの写真を示す。テンプレートDNAのコピー数および供給源が示される(15cp=15コピー;185cp=185コピー)(S.aureus=MSSA菌株ATCC25923;MRSA=MRSA菌株ATCC43300)。矢印はPCR産物のサイズおよびプライマーの二量体を示す。
【0099】
【図2A】分子ビーコンプローブを含有する反応液から測定されたPCR増幅曲線のグラフ表示を示す。反応液は、0コピー、2.5コピー、5コピー、10コピー、15コピーまたは20コピーのMSSAテンプレートDNA、ならびに3000コピーの内部コントロールDNAを含有した。分子ビーコンプローブをそれぞれの反応液に加え、反応液の蛍光を測定した。FAM標識のプローブがMRSA特異的配列にハイブリダイゼーションし、TET標識のプローブが内部コントロールDNA配列にハイブリダイゼーションし、テキサスレッド標識のプローブがS.aureus特異的nuc配列にハイブリダイゼーションする。
【図2B】分子ビーコンプローブを含有する反応液から測定されたPCR増幅曲線のグラフ表示を示す。反応液は、0コピー、2.5コピー、5コピー、10コピー、15コピーまたは20コピーのMRSAテンプレートDNA、ならびに3000コピーの内部コントロールDNAを含有した。分子ビーコンプローブをそれぞれの反応液に加え、反応液の蛍光を測定した。FAM標識のプローブがMRSA特異的配列にハイブリダイゼーションし、TET標識のプローブが内部コントロールDNA配列にハイブリダイゼーションし、テキサスレッド標識のプローブがS.aureus特異的nuc配列にハイブリダイゼーションする。
【発明を実施するための形態】
【0100】
本明細書中に開示される方法および組成物は、サンプル中のS.aureusの検出および/または定量に関連し、また、1回のアッセイにおけるサンプルからの黄色ブドウ球菌(S.aureus)菌株の検出および/または定量、ならびに、メチシリン耐性S.aureus菌株の特定にも関連する。本明細書中に開示される実施形態は、任意のタイプのサンプル(例えば、任意の臨床サンプル、任意の環境サンプル、任意の微生物培養物、任意の微生物コロニー、任意の組織および任意の細胞株など)からのS.aureusおよびMRSAの検出および/または定量のために有用である。
【0101】
ブドウ球菌はグラム陽性の球菌である。S.aureusは、血漿を凝固させる能力(コアグラーゼ反応)および凝集塊をフィブリノーゲンの存在下で形成する能力に基づいて結果が陽性であることによってブドウ球菌属の他の臨床的に関連した種から区別することができる。S.aureusは、いくつかの他のブドウ球菌のように、熱安定性ヌクレアーゼ(TNase)を産生する能力を有する(Becker他(2005)、Diagn Microbiol Infect Dis.、51:237〜244;Brakstad他(1995)、APMIS、103:219〜224;Chesneau他(1993)、Mol.Cell.Probes、7:301〜310)。それにもかかわらず、このヌクレアーゼをコードする遺伝子におけるいくつかのヌクレオチド配列はS.aureus菌株について特異的である(Costa他(2005)、Diag.Microbiol.and Infect.Dis.、51:13〜17;McDonald他(2005)、J.Clin.Microbiol.、43:6147〜6149;Zhang他(2004)、J.Clin.Microbiol.、42:4947〜4955;Maes他(2002)、J.Clin.Microbiol.、40:1514〜1517)。
【0102】
[S.aureusまたはS.aureusおよびMRSAを検出する方法]
いくつかの実施形態が、サンプル中のS.aureusを特異的に検出する方法に関連する。本明細書中には、nuc遺伝子のS.aureus特異的配列(これは配列番号200によって例示される)にアニーリングし、S.aureusを、他のブドウ球菌から、同様にまた、他のTNase産生の細菌種から区別するために有用である新規なプライマーおよび/またはプローブ(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11および配列番号12)が開示される。いくつかの実施形態において、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブが提供される。例えば、いくつかの実施形態において、そのような少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12を含むことができるか、あるいは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12から本質的になることができるか、あるいは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12からなることができる。そのような少なくとも1つのプライマーを、例えば、標準的なPCR条件またはストリンジェントな条件のもとで、サンプルの核酸にアニーリングさせることができる。アニーリングした(1つまたは複数の)プローブの存在および/または量、ならびに/もしくは、プライマーが核酸にアニーリングすることにより生じる増幅産物の量が検出され、それにより、サンプルに存在するS.aureusの存在または量が示される。
【0103】
核酸に関連して用いられる場合、用語「から本質的になる」は、指定された核酸配列を示すことができ、また、指定された配列の基本的特徴および新規な特徴に実質的に影響しない任意のさらなるヌクレオチドを含むことができる。用語「から本質的になる」はまた、配列を調べることによって判断されるように、参照配列に実質的に類似し、かつ、重要でない様式で参照配列とは異なる変化体を示すことができる。例えば、同じアミノ酸配列をコードする核酸配列は、縮重位置での違い、あるいは、いずれかの非コード領域の長さまたは組成におけるあまり大きくない違いにもかかわらず、実質的に類似している。
【0104】
[プライマーおよび/またはプローブならびにヌクレオチド]
本明細書において、用語「プライマー」および用語「プローブ」はオリゴヌクレオチドまたは核酸に限定されず、むしろ、ヌクレオチドと同様に、ヌクレオチドのアナログである分子を包含する。本明細書において、ヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、(2−デオキシ−D−リボースを含有する)ポリデオキシリボヌクレオチド、(D−リボースを含有する)ポリリボヌクレオチド、プリン塩基またはピリミジン塩基のN−グリコシドまたはC−グリコシドである任意の他のタイプのポリヌクレオチド、および、非ヌクレオチド骨格、例えば、ポリアミド(例えば、ペプチド核酸(PNA))、および、ポリモルホリノ(Anti−Virals,Inc.(Corvallis、Oreg)からNEUGENE(商標)ポリマーとして市販されている)を含有する他のポリマー、ならびに、ポリマーが、例えば、DNAおよびRNAにおいて見出されるような塩基対形成および塩基積み重なりを可能にする形態で核酸塩基を含有するならば、他の合成された配列特異的な核酸ポリマーに対する総称であるものとする。
【0105】
ヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの用語には、例えば、3’−デオキシ−2’,5’−DNA、オリゴデオキシリボヌクレオチドN3’→P5’ホスホルアミダート、2’−O−アルキル置換RNA、二本鎖DNAおよび一本鎖DNA、同様にまた、二本鎖RNAおよび一本鎖RNA、DNA:RNAハイブリッド、ならびに、PNAと、DNAまたはRNAとの間におけるハイブリッドが含まれる。これらの用語はまた、様々な周知のタイプの改変を含み、例えば、当該技術分野において周知の標識、メチル化、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドの1つまたは複数をアナログにより置換すること、ヌクレオチド間の改変(例えば、非荷電の連結(例えば、メチルホスホナート、ホスホトリエステル、ホスホルアミダート、カルバマートなど)を有するヌクレオチド間の改変、負荷電の連結(例えば、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアートなど)を有するヌクレオチド間の改変、および、正荷電の連結(例えば、アミノアルキルホスホルアミダート、アミノアルキルホスホトリエステル)を有するヌクレオチド間の改変など)、ペンダント状成分を含有する改変(例えば、タンパク質(ヌクレアーゼ、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リシンなどを含む)を含有する改変など)、インターカレーター(例えば、アクリジン、プソラレンなど)を有する改変、キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属など)を含有する改変、アルキル化体を含有する改変、改変された連結(例えば、α−アノマー核酸など)を有する改変を、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの非改変形態と同様に含む。
【0106】
本明細書において、用語「ヌクレオシド」および用語「ヌクレオチド」は、周知のプリン塩基およびピリミジン塩基だけでなく、改変されている他の複素環式の塩基をも含有するそのような成分を含むことが理解される。そのような改変には、メチル化されたプリン類またはピリミジン類、アシル化されたプリン類またはピリミジン類、あるいは、他の複素環が含まれる。改変されたヌクレオシドまたはヌクレオチドはまた、様々な改変を糖成分に含む。この場合、例えば、ヒドロキシル基の1つまたは複数がハロゲンまたは脂肪族基により置換されるか、あるいは、エーテルまたはアミンなどとして機能化される。ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに対する他の改変は、それぞれの相補的なピリミジンまたはプリンへの水素結合を形成するプリン塩基上またはピリミジン塩基上の官能基を再配列すること、あるいは、そのような官能基を取り付けること、あるいは、そのような官能基に置換すること、あるいは、他の場合には変化させることを伴う。得られる改変されたヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、A、T、C、GまたはUとではなく、他のそのような改変されたヌクレオチドユニットとの塩基対を形成することができる。例えば、グアノシン(2−アミノ−6−オキシ−9−β−D−リボフラノシル−プリン)を、イソグアノシン(2−オキシ−6−アミノ−9−β−D−リボフラノシル−プリン)を形成するように改変することができる。そのような改変は、シトシンとの標準的な塩基対をもはや効果的に形成しないヌクレオシド塩基をもたらす。しかしながら、イソシトシン(1−β−D−リボフラノシル−2−アミノ−4−オキシ−ピリミジン)を形成するためのシトシン(1−β−D−リボフラノシル−2−オキシ−4−アミノ−ピリミジン)の改変は、グアノシンとの効果的な塩基対を形成せず、しかし、イソグアノシンとの塩基対を形成する改変されたヌクレオチドをもたらす。イソシトシンが、Sigma Chemical Co.(St.Louis、MO)から入手可能である;イソシチジンを、Switzer他(1993)、Biochemistry、32:10489〜10496、および、それにおいて引用される参考文献によって記載される方法によって調製することができる;2’−デオキシ−5−メチル−イソシチジンを、Tor他(1993)、J.Am.Chem.Soc.、115:4461〜4467、および、それにおいて引用される参考文献によって記載される方法によって調製することができる;イソグアニンヌクレオチドを、Switzer他(1993)(上掲)、および、Mantsch他(1993)、Biochem.、14:5593〜5601によって記載される方法を使用して、または、米国特許第5,780,610号(Collins他)に記載される方法によって調製することができる。κおよびπとして示される非天然型の塩基対を、2,6−ジアミノピリミジンおよびその相補体(1−メチルピラゾロ[4,3]−ピリミジン−5,7−(4H,6H)−ジオン)を合成するために、Piccirilli他(1990)、Nature、343:33〜37に記載される方法によって合成することができる。独特の塩基対を形成する他のそのような改変されたヌクレオチドユニットが、Leach他(1992)、J.Am.Chem.Soc.、114:3675〜3683;およびSwitzer他(上掲)に記載されており、あるいは、当業者には明らかである。
【0107】
プライマーおよび/またはプローブは、好ましくは、長さが10ヌクレオチド〜45ヌクレオチドの間である。例えば、プライマーおよび/またはプローブは、少なくとも10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、26ヌクレオチド、27ヌクレオチド、28ヌクレオチド、29ヌクレオチド、30ヌクレオチド、31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチド、36ヌクレオチド、37ヌクレオチド、38ヌクレオチド、39ヌクレオチド、40ヌクレオチド、41ヌクレオチド、42ヌクレオチド、43ヌクレオチド、44ヌクレオチド、45ヌクレオチドまたはそれ以上のヌクレオチドの長さが可能である。プライマーおよび/またはプローブは、例えば、固体支持体に結合された形態、液体、および、凍結乾燥された形態を含めて、任意の好適な形態で提供され得る。
【0108】
[アニーリングおよび特異的な結合]
標的核酸配列に対するプライマーおよび/またはプローブの結合またはアニーリングがハイブリダイゼーションによって達成される。特異的なハイブリダイゼーションが、標的核酸配列または参照核酸配列に対して少なくとも実質的に相補的である配列を選択することによって達成されることが当業者によって理解される。これには、オリゴヌクレオチド標的核酸配列がオリゴヌクレオチド配列の全長にわたって塩基対形成することが含まれる。そのような配列は、互いに関して「完全に相補的である」として示すことができる。オリゴヌクレオチドが、本明細書中の核酸配列に関して「実質的に相補的である」として示されている場合、これら2つの配列は完全に相補的であってもよく、または、それらは、ハイブリダイゼーションしたときにミスマッチを形成するものでもあってもよいが、下記で議論されるようなストリンジェントな条件または標準的なPCR条件のもとでハイブリダイゼーションする能力を保持している。
【0109】
正の相関が、プローブの長さと、プローブが標的配列にアニーリングする効率および正確性の両方との間に存在する。具体的には、より長い配列は、より短い配列よりも高い融解温度(T)を示し、また、所与の標的配列の内部において反復される可能性がより少ないため、無差別的なハイブリダイゼーションを最小限に抑える。
【0110】
本明細書において、「T」および「融解温度」は交換可能な用語であり、二本鎖ポリヌクレオチド分子からなる集団の50%が一本鎖に解離する温度を示す。ポリヌクレオチドのTを計算するための様々な式が当該技術分野では広く知られている。例えば、Tを下記の式によって計算することができる:
=69.3+0.41×(G+C)%−6−50/L
式中、Lはヌクレオチド単位でのプローブの長さである。
また、ハイブリッドポリヌクレオチドのTは、PCRプライマーのTを計算するために一般に用いられる式である、1Mの塩におけるハイブリダイゼーションアッセイから採用された式を使用して推定することができる。
(A+Tの数)×2℃+(G+Cの数)×4℃
例えば、C.R.Newton他、PCR(第2版)、Springer−Verlag(New York:1997年)、24頁を参照のこと。
当該技術分野では、他のより洗練された様々なコンピューター計算が存在しており、これらは、Tの計算のために、配列特徴に加えて構造的特徴を考慮に入れている。計算されたTは単なる推定値に過ぎず、最適な温度は一般には、経験的に決定される。
【0111】
大きいG+C含有量を有するプライマー配列またはプローブ配列、もしくは、回文配列を含むプライマー配列またはプローブ配列は、意図された標的部位がハイブリダイゼーションするように、自己ハイブリダイゼーションする傾向がある。なぜなら、このような配列に関しては、二分子のハイブリダイゼーション速度論ではなく、むしろ、一分子のハイブリダイゼーション速度論が溶液において一般に有利であるためである。しかしながら、十分な数のG:Cヌクレオチド対形成を含有するプローブを設計することもまた重要である。というのも、AおよびT(または、AおよびU)の塩基が標的配列と結合するために対形成する際の水素結合が2つであるのに対して、それぞれのG:C対は3つの水素結合により形成されるため、より堅固で、より強い結合を形成するからである。好ましいG+C含有量は約50%である。
【0112】
ハイブリダイゼーション温度は、ハイブリダイゼーション混合物に含まれ得る有機溶媒(例えば、ホルムアミド)の濃度と同様に、プローブのアニーリング効率とは逆の関係で変化するのに対して、塩濃度が増大すると、結合が促進される。ストリンジェントなアニーリング条件のもとでは、より長いハイブリダイゼーションプローブまたは合成プライマーは、より短いハイブリダイゼーションプローブまたは合成プライマーがハイブリダイゼーションするよりも効率的にハイブリダイゼーションするが、これはより許容性高いの条件のもとで十分である。好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーションが、参照核酸配列または標的核酸配列がプローブにハイブリダイゼーションすることを可能にする条件のもとでの好適な緩衝液において行われる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、(例えば、約1M未満の塩濃度から、より通常的には約500mM未満の塩濃度から、好ましくは約200mM未満の塩濃度から)変化させることができ、また、ハイブリダイゼーション温度は、例えば、0℃もの低さから、22℃超、約30℃超、(ほとんどの場合には)約37℃を超えるまでの範囲が可能であり、これらはプローブの長さおよび/または核酸組成に依存する。PCRのためのストリンジェントなハイブリダイゼーションの温度は、プライマーの長さおよび組成に依存して、40℃〜75℃の範囲であり、好ましくは45℃〜70℃の範囲である。より長いフラグメントは、特異的なハイブリダイゼーションのためにより高いハイブリダイゼーション温度を必要とする場合がある。いくつかの要因がハイブリダイゼーションのストリンジェント性に影響を及ぼすので、パラメーターの組合せは、1つだけの要因の絶対的尺度よりも重要である。従って、例として、用語「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」を、(1)洗浄のために低イオン強度および高温を採用する条件、例えば、50℃で、0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを用いる条件、(2)ハイブリダイゼーション期間中に変性剤(例えば、ホルムアミドなど)を採用する条件、例えば、42℃で、50%(v/v)ホルムアミドを、750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを伴う0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)とともに用いる条件、または、(3)42℃で、50%ホルムアミド、5xSSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5xデンハルト溶液、超音波処理されたサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDSおよび10%デキストラン硫酸を用い、42℃の0.2xSSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中での洗浄、および、55℃の50%ホルムアミド中での洗浄、その後、EDTAを含有する55℃の0.1xSSCからなる高ストリンジェント性洗浄を伴う条件によって特定することができる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェント性のさらなる詳細および説明については、Ausubel他、Current Protocols in Molecular Biology(Wiley Interscience Publishers、1995年)を参照のこと。例えば、用語「ストリンジェントな条件」は、下記で記載されるように、標準的なPCR条件を包含する。
【0113】
臨床微生物学に適用されるPCR技術(標準的PCR条件を含む)の総説については、DNA Methods in Clinical Microbiology、Singleton P.、Dordrechtによって発行;Boston:Kluwer Academic(2000)、Molecular Cloning to Genetic Engineering(White,B.A.編、Methods in Molecular Biology 67:Humana Press、Totowa(1997);および“PCR Methods and Applications”(1991年〜1995年)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照のこと。「PCR条件」の限定されない例には、本明細書中に引用される参考文献に開示される条件、および、下記の実施例において同様に開示される条件が含まれる:例えば、72℃のアニーリング温度を伴う50mMのKCl、10mMのTris−HCl(pH9.0)、0.1%のTriton X−100、2.5mMのMgCl;または、59℃のアニーリング温度を伴う4mMのMgCl、100mMのTris(pH8.3)、10mMのKCl、5mMの(NHSO、0.15mgのBSA、4%のトレハロース;または、55℃のアニーリング温度を伴う50mMのKCl、10mMのTris−HCl(pH9.0)、0.1%のTriton X−100、2.5mMのMgCl
【0114】
プライマーおよび/またはプローブを記載するために使用されるとき、本明細書中で使用される用語「特異的」または用語「種特異的」は、指定された種またはタイプ(例えば、S.aureusまたはMRSA)の核酸にストリンジェントな条件および/または標準的なPCR条件のもとでハイブリダイゼーションまたはアニーリングし、かつ、関係のない核酸(例えば、指定された種またはMREJタイプとは異なる核酸など)には同じ条件のもとで実質的にアニーリングまたはハイブリダイゼーションしないプライマーおよび/またはプローブを示す。
【0115】
1つの好ましい実施形態において、本明細書中に記載されるプローブまたはプライマーは、標的配列(例えば、S.aureus特異的nuc配列またはMREJ配列など)にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションする。別の好ましい実施形態において、本明細書中に記載されるプライマーまたはプローブは、長さにおいて少なくとも10ヌクレオチド〜45ヌクレオチドにわたって100%の相補性を示す。例えば、プライマーおよび/またはプローブは、少なくとも10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、26ヌクレオチド、27ヌクレオチド、28ヌクレオチド、29ヌクレオチド、30ヌクレオチド、31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチド、36ヌクレオチド、37ヌクレオチド、38ヌクレオチド、39ヌクレオチド、40ヌクレオチド、41ヌクレオチド、42ヌクレオチド、43ヌクレオチド、44ヌクレオチド、45ヌクレオチドまたはそれ以上のヌクレオチドにわたって標的配列に対する相補性を示す。いくつかの実施形態において、プライマーまたはプローブは、少なくとも1つの位置(例えば、プライマーおよび/またはプローブがミスマッチを含有する)、2つの位置、3つの位置、4つの位置、5つの位置、6つの位置、7つの位置またはそれ以上を除いて合計で10個〜45個の連続するヌクレオチドにわたって標的配列に対する100%の相補性を示す。
【0116】
本明細書中に記載されるようにハイブリダイゼーションすることができる配列を含み、かつ、標的配列にハイブリダイゼーションしない一部分(例えば、タグまたはマーカー)を同様に含むプローブまたはプライマーもまた意図される。例えば、いくつかの実施形態において、プライマーおよび/またはプローブは、検出可能な成分(例えば、蛍光性成分など)または任意の他の検出可能なマーカー(例えば、下記で記載される検出可能なマーカーなど)を含有することができる。いくつかの実施形態において、プライマーおよび/またはプローブは、その後の操作(例えば、重合反応など)または酵素反応(例えば、制限エンドヌクレアーゼによる消化など)およびその他を容易にする核酸成分または他の分子成分、あるいは、プライマーおよび/またはプローブを固体支持体にカップリングする核酸成分または他の分子成分を含有する場合がある。
【0117】
[増幅および検出]
本明細書中に記載される方法において、アニーリングしたプライマーおよび/またはプローブの検出は直接的であってもよく、間接的であってもよい。例えば、プローブを、試験対象のサンプルにアニーリングさせ、直接的に検出することができる。他方で、プライマーを、対象のサンプルにアニーリングさせ、その後、増幅工程を続けることもできる。増幅された生成物を直接的に検出することができ、あるいは、増幅産物にアニーリングするプローブの検出によって検出することができる。
【0118】
好ましい実施形態において、増幅工程および/または検出工程はアニーリング工程の後におこなわれる。他の好ましい実施形態において、検出はアニーリング工程の期間中に行われる。任意のタイプの核酸増幅技術を本明細書中に記載される方法に使用することができる。本明細書中に記載される方法において使用することができる増幅反応の限定されない例には、下記の技術が含まれるが、それらに限定されない:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(PCR PROTOCOLS,A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS、Innis編、Academic Press、N.Y.(1990)、および、PCR STRATEGIES(1995)、Innis編、Academic Press,Inc.、N.Y.(Innis)を参照のこと)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu(1989)、Genomics、4:560;Landegren(1988)、Science、241:1077;Barringer(1990)、Gene、89:117を参照のこと)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、自律的配列複製(3RS)(Guatelli(1990)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:1874を参照のこと)、鎖置換増幅(SDA)、分岐DNAシグナル増幅bDNA、転写媒介増幅(TMA)(Kwoh(1989)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:1173を参照のこと)、サイクリングプローブ技術(CPT)、ネスティドPCR、多重PCR、固相増幅(SPA)、ヌクレアーゼ依存シグナル増幅(NDSA)、ローリングサークル増幅技術(RCA)、固定鎖置換増幅、固相(固定化)ローリングサークル増幅、Qβレプリカーゼ増幅および他のRNAポリメラーゼ媒介技術(例えば、NASBA、Cangene、Mississauga、Ontario)。これらの技術および他の技術はまた、Berger(1987)、Methods Enzymol.、152:307〜316;Sambrook、Ausubel、Mullis(1987)、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号;Amheim(1990)、C&EN、36〜47;Lomell、J.Clin.Chem.、35:1826(1989);Van Brunt、Biotechnology、8:291〜294(1990);Wu(1989)、Gene、4:560;Sooknanan(1995)、Biotechnology、13:563〜564に記載される。
【0119】
好ましい実施形態において、PCRが、サンプル中の核酸を増幅するために使用される。PCRによるDNA増幅の期間中、微生物のゲノムに由来する熱変性された標的DNAのそれぞれの鎖にそれぞれ結合する2つのオリゴヌクレオチドプライマーが、標的DNAをインビトロ(in Vitro)で指数関数的に増幅するために使用される。連続した熱サイクルにより、それぞれのサイクルにおけるDNAの変性、プライマーのアニーリングおよび新しい標的の合成が可能となる。(Persing他(1993)、Diagnostic Molecular Microbiology:Principles and Applications、アメリカ微生物学会、Washington,D.C.)。
【0120】
当業者は、標準的な増幅プロトコルが、反応混合物に対する改変を含めて、核酸増幅効率を改善するために改変され得ることを理解するであろう。(Ralser他(2006)、Biochem Biophys Res Commun.、347:747〜51;Kang他(2005)、J.Biochem Biophys Methods、(2005)、64:147〜51;ChakrabartiおよびSchutt(2002)、Biotechniques、32:866〜874;Al−SoudおよびRadstrom(2000)、J.Clin.Microbiol.、38:4463〜4470;Al−SoudおよびRadstrom、1998、Appl.Environ.Microbiol.、64:3748〜3753;Wilson、1997、Appl.Environ.Microbiol.、63:3741〜3751)。増幅反応混合物のそのような改変には、様々なポリメラーゼの使用、または、核酸増幅促進因子(例えば、ベタイン、BSA、スルホキシド、タンパク質gp32、界面活性剤、カチオンおよびテトラメチルアンモニウム塩化物など)の添加が含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
増幅された核酸の検出には、当業者に知られている任意のリアルタイム技術または増幅後技術が含まれ得る。古典的には、PCR増幅産物の検出は標準的な臭化エチジウム染色アガロースゲル電気泳動によって行われるが、当業者は、日常的な分析のためにより速く、また、より実用的であり得る、特定の増幅産物を検出するための他の方法、例えば、同時係属中の特許出願WO01/23604A2に記載される方法などが使用され得ることを容易に理解するであろう。アンプリコンの検出はまた、増幅産物にハイブリダイゼーションする種特異的な内部DNAプローブを使用する固体支持体ハイブリダイゼーションまたは液体ハイブリダイゼーションによって行うことができる。そのようなプローブは、本明細書中に提供されるMREJ核酸配列またはnuc核酸配列に由来する任意の配列から作製することができ、また、本明細書中に開示される方法を利用して得られたDNA増幅産物に対して特異的にハイブリダイゼーションするように設計することができる。代替として、アンプリコンを配列決定によって特徴づけることができる。例えば、検出方法および配列決定方法の例については、同時係属中の特許出願WO01/23604A2を参照のこと。
【0122】
本明細書中に開示される実施形態において使用することができる核酸検出技術の他の限定されない例には、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)に基づく方法(例えば、プローブの隣接ハイブリダイゼーション(プローブ−プローブ法およびプローブ−プライマー法を含む)など)(J.R.Lakowicz、“Princples of Fluorescence Spectroscopy”(Kluwer Academic/Plenum Publishers、New York、1999)を参照のこと)、TaqManプローブ技術(欧州特許EP0543942を参照のこと)、分子ビーコンプローブ技術(Tyagi他(1996)、Nat.Biotech.、14:303〜308を参照のこと)、Scorpionプローブ技術(Thewell(2000)、Nucl.Acids Res.、28:3752を参照のこと)、ナノ粒子プローブ技術(Elghanian他(1997)、Science、277:1078〜1081を参照のこと)、および、Amplifluorプローブ技術(米国特許第5,866,366号、同第6,090,592号、同第6,117,635号および同第6,117,986号を参照のこと)の使用が含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
好ましい実施形態において、分子ビーコンが標的核酸の検出のために使用される。分子ビーコンは、標的に結合しない限り、ヘアピン配座で存在する一本鎖オリゴヌクレオチドである。このオリゴヌクレオチドの5’末端は蛍光性色素を含有する。クエンチャー色素がオリゴヌクレオチドの3’末端に取り付けられる。ビーコンが標的に結合していないとき、ヘアピン構造は蛍光団およびクエンチャーを非常に近くに位置させ、その結果、蛍光を観測することができないようにする。しかしながら、ビーコンが標的とハイブリダイゼーションすると、ヘアピン構造が乱され、それにより、蛍光団とクエンチャーが引き離され、蛍光の検出が可能になる。(Kramer FR、1996、Nat Biotechnol、3:303〜8を参照のこと)。他の検出方法には、免疫学的方法による標的遺伝子核酸の検出、フィルター、チップまたは任意の他の固体支持体における固相ハイブリダイゼーション方法が含まれる。これらのシステムにおいて、ハイブリダイゼーションを、蛍光、化学発光、ポテンシオメトリー、質量分析法、プラズモン共鳴、偏光法、比色法、フローサイトメトリーまたはスキャノメトリーを含めて、当業者に知られているいずれかの好適な方法によってモニターすることができる。ジデオキシ末端停止による配列決定、または、ハイブリダイゼーションによる配列決定(例えば、DNAチップを使用する配列決定)を含めて、ヌクレオチド配列決定は、標的核酸(例えば、nuc核酸配列またはMREJ核酸配列など)を検出し、特徴づけるための別の方法を表す。
【0124】
[方法]
好ましい実施形態において、サンプル中のS.aureus菌株を検出するための方法は、第1のプライマーおよび第2のプライマーを有するプライマー対を提供する工程を含む。第1のプライマーおよび第2のプライマーは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の少なくとも1つあるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングすることができる;例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12を含むか、あるいは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12から実質的になるか、あるいは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12からなるプライマーなど。好ましい実施形態において、プライマー対は、配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8、あるいは、それらの相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマーおよび第2のプライマーを含む。例えば、好ましい実施形態において、プライマー対は、配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8を含むことができるか、あるいは、配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8から本質的になることができるか、あるいは、配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8からなることができる。サンプルをプライマー対と接触させることができ、サンプルがプライマー対にアニーリングすることを可能にすることができる。好ましくは、増幅反応(例えば、PCR)が、本明細書中に記載される技術を使用してS.aureus特異的nuc配列を増幅するために、アニーリングしたプライマー対により行われる。その後、増幅産物を、本明細書中に記載される方法のいずれかを使用して検出することができる。
【0125】
いくつかの実施形態において、プライマー対は、配列番号1またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマーと、配列番号6またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第2のプライマーとを含む;例えば、配列番号1および配列番号6を含むか、または、配列番号1および配列番号6から本質的になるか、または、配列番号1および配列番号6からなるプライマー対など。いくつかの実施形態において、プライマー対は、サンプルに存在するnuc配列を増幅するために使用される。必要な場合には、配列番号9または配列番号10あるいはそれらの相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするプローブもまた提供され、例えば、配列番号9および配列番号10を含むか、または、配列番号9および配列番号10から本質的になるか、または、配列番号9および配列番号10からなるプローブが提供される。いくつかの実施形態において、プローブは分子ビーコンプローブであり、得られる増幅産物をこのプローブによって検出することができる。
【0126】
他の好ましい実施形態において、配列番号3またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマーと、配列番号8またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第2のプライマーとが提供され、例えば、配列番号3および配列番号8を含むか、または、配列番号3および配列番号8から本質的になるか、または、配列番号3および配列番号8からなるプライマー対などが提供される。いくつかの実施形態において、プライマー対は、サンプルに存在するnuc配列を増幅するために使用される。必要な場合には、配列番号11または配列番号12あるいはそれらの相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするプローブもまた提供され、例えば、配列番号11または配列番号12を含むか、あるいは、配列番号11または配列番号12から本質的になるか、あるいは、配列番号11または配列番号12からなるプローブが提供される。いくつかの実施形態において、プローブは分子ビーコンプローブである。
【0127】
本発明の他の局面が、1回のアッセイまたは反応においてサンプルから、S.aureus菌株の存在を検出し、かつ、MRSA菌株を特定するための方法および組成物に関連する。用語「1回のアッセイ」または用語「1回の反応」は、S.aureusを検出するための工程、および、MRSAを検出するための工程が、例えば、同一の物理的容器内で、同時に、または、実質的に同時に行われる状況を示すことが意図される。しかしながら、当業者は、S.aureusを検出するための工程、および、MRSAを検出するための工程はまた、連続して行われ得ることを理解する。好ましい実施形態において、S.aureusおよびMRSAが、例えば、多重PCR反応において同時に検出される。
【0128】
いくつかの実施形態は、サンプルを、S.aureusのnuc遺伝子の種特異的な配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブと接触させる工程と、サンプルを、MRSA菌株のMREJ配列に対して特異的である配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブと接触させる工程とを伴う。
【0129】
MRSA特異的な(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、例えば、MREJタイプi〜MREJタイプxxを含めて、多型のMREJ核酸にストリンジェントな条件のもとでアニーリングすることができる。MREJの表現はmec右側先端接合(Mec Right Extrimity Junction)を示す。MREJは、長さがおよそ1キロベース(bp)であり、SSCmec右側先端からの配列、同様にまた、SCCmec組込み部位の右側に対する細菌の染色体DNAを含む(Huletsky他(2004)、J.Clin.Microbiol.、42:1875〜1884を参照のこと)。菌株N315および菌株Mu50の全ゲノム配列の決定に基づいて、近年、命名法が改訂された。これは、SCCmecエレメントがorfXの(上流側ではなく)下流側に位置するからである。その結果、MREP(Mec右側先端多型)はまた、MLEP(Mec左側先端多型)として示される。同様な証拠によって、MREJタイプはMLEJ(mec左側先端接合)として示すことができる(Chongtrakool他(2006)、Antimicrob.Agents Chemother.、50:1001〜1012)。このような事情はあるものの、S.aureus菌株、すなわち、MRSA菌株を分類するための同等な様式はいずれも、本発明の範囲に含まれる。これは、様々な配列により、S.aureusを特異的に検出し、メチシリンに対して耐性であるS.aureusを特定することができるからである。
【0130】
MREJタイプi〜MREJタイプxxの配列の限定されない例が配列番号14〜配列番号88において列挙される。従って、いくつかの実施形態において、少なくとも1つのS.aureus特異的なnucプライマーおよび/またはnucプローブ(例えば、下記の配列番号200、その相補体、または、配列番号200とは1ヌクレオチド〜20ヌクレオチド異なる任意の配列の1つにストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチド)に加えて、MREJタイプi〜MREJタイプxx(例えば、配列番号14〜配列番号88)の少なくとも1つのMREJ配列またはその相補体にストリンジェントな条件のもとで特異的にアニーリングする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブが提供される。MREJタイプi〜MREJタイプxxのMRSAを検出するために有用な例示的なプライマーおよびプローブ、ならびに、そのようなプライマーおよびプローブの組合せは、例えば、国際特許出願PCT/CA02/00824、および、米国特許出願第11/248,438号に見出される(これらはそれらの全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる)。例えば、いくつかの実施形態において、方法において提供されるそのような少なくとも1つのMRSA特異的なプライマーおよび/またはプローブは、長さが少なくとも10ヌクレオチドであり、かつ、下記の配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号15、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号201(MREJタイプi〜MREJタイプix)、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号195、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197(MREJタイプxi〜MREJタイプxx)または配列番号199の1つあるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションすることができる。例えば、MRSA特異的プライマーは、下記の配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号15、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号201(MREJタイプi〜MREJタイプix)、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号195、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197(MREJタイプxi〜MREJタイプxx)または配列番号199の1つを含むことができるか、あるいは、そのような1つから本質的になることができるか、あるいは、そのような1つからなることができる。nuc特異的なプライマーおよび/またはプローブ(これは、例えば、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つあるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを含み、例えば、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12を含むか、あるいは、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12から本質的になるか、あるいは、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12からなるオリゴヌクレオチドなどを含む)、および、MRSA(すなわち、MREJ)特異的なプライマーおよび/またはプローブ(これは、例えば、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号15、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号201(タイプi〜タイプix)、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号195、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197(タイプxi〜タイプxx)または配列番号199あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを含む)が、サンプルの核酸にアニーリングさせられ、アニーリングしたプライマーおよび/またはプローブの存在、あるいは、それらから生じる増幅産物の存在が検出され、これにより、MRSAの存在および/または量に加えて、S.aureusの存在および/または量が示される。例えば、いくつかの実施形態において、サンプルが、(MREJタイプiを検出するための)配列番号92および配列番号82、配列番号92および配列番号83、配列番号92および配列番号84、配列番号104および配列番号86、配列番号104および配列番号87、配列番号104および配列番号88、配列番号99および配列番号89、配列番号99および配列番号199;(MREJタイプiiを検出するための)配列番号92および配列番号82、配列番号92および配列番号129、配列番号92および配列番号130、配列番号93および配列番号83、ならびに、配列番号92および配列番号84、配列番号99および配列番号89、配列番号99および配列番号199;(MREJタイプiiiを検出するための)配列番号92および配列番号136、配列番号92および配列番号137、配列番号92および配列番号138、配列番号99および配列番号202、配列番号99および配列番号144;(MREJタイプivを検出するための)配列番号92および配列番号141、配列番号99および配列番号105、配列番号99および配列番号150;(MREJタイプvを検出するための)配列番号92および配列番号146、配列番号99および配列番号196、配列番号99および配列番号155;(MREJタイプviを検出するための)配列番号92および配列番号152、配列番号99および配列番号161;(MREJタイプviiを検出するための)配列番号92および配列番号153、配列番号92および配列番号154、配列番号99および配列番号162、配列番号99および配列番号163;(MREJタイプviiiを検出するための)配列番号92および配列番号162、配列番号92および配列番号163、配列番号99および配列番号170;(MREJタイプixを検出するための)配列番号92および配列番号168、配列番号99および配列番号177;(MREJタイプxを検出するための)配列番号197、および、orf22にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチド;(MREJタイプxiを検出するための)配列番号189および配列番号106、配列番号189および配列番号99、配列番号189および配列番号190、配列番号189および配列番号109;(MREJタイプxii


を検出するための)配列番号194および配列番号106、配列番号194および配列番号99、配列番号104および配列番号191、配列番号194および配列番号109;(MREJタイプxiiiを検出するための)配列番号177および配列番号106、配列番号177および配列番号99、配列番号177および配列番号190、ならびに、配列番号177および配列番号109;(MREJタイプxivを検出するための)配列番号177および配列番号106、配列番号177および配列番号99、配列番号177および配列番号193、配列番号177および配列番号109;(MREJタイプxvを検出するための)配列番号184および配列番号106、配列番号108および配列番号99、配列番号184および配列番号191、配列番号184および配列番号191;(MREJタイプxviを検出するための)配列番号89および配列番号109;(MREJタイプxviiを検出するための)配列番号185および配列番号106、配列番号185および配列番号99、配列番号185および配列番号191、配列番号185および配列番号109;(MREJタイプxviiiを検出するための)配列番号186および配列番号106、配列番号186および配列番号99、配列番号186および配列番号193、配列番号186および109;(MREJタイプxixを検出するための)配列番号187および配列番号106、配列番号107および配列番号99、配列番号187および配列番号913、配列番号187および配列番号109;(MREJタイプxxを検出するための)配列番号188および配列番号106、配列番号188および配列番号99、配列番号188および配列番号913、ならびに、配列番号188および配列番号109、あるいは、それらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを含む少なくとも1つのプライマー対と接触させられる。
【0131】
最も臨床的に関連したMRSA菌株は、MREJタイプi、MREJタイプii、MREJタイプiii、MREJタイプiv、MREJタイプvおよびMREJタイプviiを有する。従って、好ましい方法および組成物は、サンプル中のS.aureus、ならびに、MREJタイプi〜MREJタイプvおよびタイプviiのMRSAの検出に関連する。少なくとも1つのS.aureus特異的なnuc特異的プライマーおよび/またはnuc特異的プローブが提供され、また、MREJタイプi、MREJタイプii、MREJタイプiii、MREJタイプiv、MREJタイプvおよびMREJタイプviiの特異的な検出のために有用なプライマーおよび/またはプローブが提供される。例えば、いくつかの実施形態において、下記の配列番号のそれぞれまたはそれらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするプライマーおよび/またはプローブが提供される:配列番号99、配列番号199、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163;例えば、下記の配列番号99、配列番号199、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163の少なくとも1つを含むか、または、下記の配列番号99、配列番号199、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163の少なくとも1つから本質的になるか、または、下記の配列番号99、配列番号199、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163の少なくとも1つからなるプライマーおよび/またはプローブなど。場合により、配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131またはそれらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを含む少なくとも1つのプローブが、タイプi、タイプii、タイプiii、タイプiv、タイプvおよびタイプviiのMREJ配列の検出のために提供される。例えば、下記の配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131の少なくとも1つを含むか、または、下記の配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131の少なくとも1つから本質的になるか、または、下記の配列番号126、配列番号128、配列番号130および配列番号131の少なくとも1つからなる少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブが提供される。
【0132】
他の好ましい実施形態において、MREJ配列にアニーリングするそのような少なくとも1つの(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、(タイプiおよびタイプiiのMREJを検出するための)配列番号99および配列番号199、(タイプiiiのMREJを検出するための)配列番号99および配列番号144、(タイプivのMREJを検出するための)配列番号99および配列番号150、(タイプvのMREJを検出するための)配列番号99および配列番号155、ならびに、(タイプviiのMREJを検出するための)配列番号99および配列番号163、または、それらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドの対を含む。場合により、(タイプiおよびタイプiiのMREJを検出するための)配列番号99および配列番号199、(タイプiiiのMREJを検出するための)配列番号99および配列番号144、(タイプivのMREJを検出するための)配列番号99および配列番号150、(タイプvのMREJを検出するための)配列番号99および配列番号155、ならびに、(タイプviiのMREJを検出するための)配列番号99および配列番号163のそれぞれにストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドが提供される。場合により、サンプルはまた、MREJ配列を検出するための、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131の核酸、あるいは、S.aureusのnucを検出するための、配列番号9、配列番号10、配列番号11および配列番号12の核酸、あるいは、それらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを含むプローブと接触させられる。
【0133】
好ましい実施形態において、nuc特異的な(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、サンプル中のS.aureusを検出するために下記のオリゴヌクレオチド対またはそれらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションする少なくとも1つの第1のプライマー対を含む:配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8。例えば、いくつかの実施形態において、nuc特異的な(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8を含むか、あるいは、配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8から本質的になるか、あるいは、配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8からなる少なくとも1つの第1のプライマー対を含む。場合により、サンプルが、配列番号1および配列番号5、または、配列番号1および配列番号6、または、それらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号1および配列番号5、または、配列番号1および配列番号6を含むか、あるいは、配列番号1および配列番号5、または、配列番号1および配列番号6から本質的になるか、あるいは、配列番号1および配列番号5、または、配列番号1および配列番号6からなるオリゴヌクレオチド)を含む第1のプライマー対と接触させられる実施形態において、サンプルはまた、配列番号9にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号10)またはその相補体を含むプローブと接触させることができる。場合により、サンプルが、配列番号3および配列番号7、または、配列番号3および配列番号8、または、それらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号3および配列番号7、または、配列番号3および配列番号8を含むか、あるいは、配列番号3よび配列番号7、または、配列番号3および配列番号8から本質的になるか、あるいは、配列番号3および配列番号7、または、配列番号3および配列番号8からなるオリゴヌクレオチド)を含む第1のプライマー対と接触させられる実施形態において、サンプルはまた、配列番号11にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号12)またはその相補体を含むプローブと接触させることができる。好ましくは、第1のプライマー対は、配列番号1および配列番号6、または、配列番号3および配列番号8、または、それらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを含む。
【0134】
場合により、サンプルはまた、S.aureusのnuc配列を検出するために、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12に、あるいは、MREJ配列を検出するために、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131に、あるいは、それらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチドを含む少なくとも1つのプローブと接触させられ、例えば、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131を含むか、あるいは、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131から本質的になるか、あるいは、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131からなる少なくとも1つのプローブなどと接触させられる。
【0135】
S.aureusの存在および/または量を示すものとして、また、MRSAの存在および/または量を示すものとして、アニーリングした(1つまたは複数の)プローブの存在および/または量を検出することができ、あるいは、プライマーが核酸にアニーリングすることから生じる増幅産物の量を検出することができる。
【0136】
[組成物およびキット]
さらに、本明細書によれば、本明細書中に記載されるオリゴヌクレオチドを含むか、または、本明細書中に記載されるオリゴヌクレオチドから本質的になるか、または、本明細書中に記載されるオリゴヌクレオチドからなる組成物およびキットが提供される。好ましくは、オリゴヌクレオチドは長さが10ヌクレオチド〜45ヌクレオチドの間である。例えば、オリゴヌクレオチドは、長さが、少なくとも10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチドまたはそれ以上のヌクレオチドであってもよい。当業者によって理解されるように、本明細書中に開示される実施形態の核酸は一本鎖(コード鎖またはアンチセンス鎖)であってもよく、二本鎖であってもよい。また、DNA分子(ゲノム、cDNAまたは合成)またはRNA分子であってもよい。さらなるコード配列または非コード配列が、本明細書中に開示される実施形態の核酸に存在してもよく(ただし、必ずしも存在する必要はない)、また、核酸は他の分子および/または支持体物質に連結されてもよい(ただし、必ずしも連結されている必要はない)。
【0137】
従って、いくつかの実施形態は、S.aureusのnuc配列に由来する下記の配列のいずれかまたはその相補体の核酸とストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションする、約10ヌクレオチド〜約45ヌクレオチドの間である少なくとも1つのオリゴヌクレオチド(好ましくは、長さが、少なくとも10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチドである少なくとも1つのオリゴヌクレオチド)を含むか、または、そのような少なくとも1つのオリゴヌクレオチドから本質的になるか、または、そのような少なくとも1つのオリゴヌクレオチドからなる:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12;例えば、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の少なくとも1つを含むか、あるいは、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の少なくとも1つから本質的になるか、あるいは、下記の配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の少なくとも1つからなるオリゴヌクレオチド。好ましい実施形態は、下記の配列番号1および配列番号5の対、配列番号1および配列番号6の対、配列番号2および配列番号5の対、配列番号2および配列番号6の対、配列番号3および配列番号7の対、配列番号3および配列番号8の対、配列番号4および配列番号7の対、または、配列番号4および配列番号8の対のいずれか、あるいは、それらの相補体とストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするプライマー対を含むか、あるいは、そのようなプライマー対から本質的になるか、あるいは、そのようなプライマー対からなる;例えば、下記の配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8を含むか、あるいは、下記の配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8から本質的になるか、あるいは、下記の配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8からなるプライマー対。いくつかの実施形態において、配列番号9および配列番号11とストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号10および配列番号12)またはその相補体を含む少なくとも1つのプローブが提供される。
【0138】
他の局面が、S.aureusおよびMRSAを1回の反応において検出するために有用な組成物に関連する。従って、いくつかの実施形態は、S.aureus特異的nuc配列にハイブリダイゼーションする、長さが好ましくは約10ヌクレオチド〜約45ヌクレオチドの間である少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブ(例えば、長さが、少なくとも10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドなど)と、MREJタイプi〜MREJタイプxxの少なくとも1つのMREJ配列にハイブリダイゼーションする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブとを含むか、あるいは、S.aureus特異的nuc配列にハイブリダイゼーションするそのような少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブと、MREJタイプi〜MREJタイプxxの少なくとも1つのMREJ配列にハイブリダイゼーションする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブとから本質的になるか、あるいは、S.aureus特異的nuc配列にハイブリダイゼーションするそのような少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブと、MREJタイプi〜MREJタイプxxの少なくとも1つのMREJ配列にハイブリダイゼーションする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブとからなる。いくつかの実施形態は少なくとも2つのプライマー対を提供し、この場合、第1のプライマー対はS.aureus特異的nuc配列にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションし(例えば、配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8)、第2のプライマー対はMREJ配列にハイブリダイゼーションする(例えば、(MREJタイプiを検出するための)配列番号92および配列番号82、配列番号92および配列番号83、配列番号92および配列番号84、配列番号104および配列番号86、配列番号104および配列番号87、配列番号104および配列番号88、配列番号99および配列番号89、配列番号99および配列番号199;(MREJタイプiiを検出するための)配列番号92および配列番号82、配列番号92および配列番号129、配列番号92および配列番号130、配列番号93および配列番号83、ならびに、配列番号92および配列番号84、配列番号99および配列番号89、配列番号99および配列番号199;(MREJタイプiiiを検出するための)配列番号92および配列番号136、配列番号92および配列番号137、配列番号92および配列番号138、配列番号99および配列番号202、配列番号99および配列番号144;(MREJタイプivを検出するための)配列番号92および配列番号141、配列番号99および配列番号105、配列番号99および配列番号150;(MREJタイプvを検出するための)配列番号92および配列番号146、配列番号99および配列番号196、配列番号99および配列番号155;(MREJタイプviを検出するための)配列番号92および配列番号152、配列番号99および配列番号161;(MREJタイプviiを検出するための)配列番号92および配列番号153、配列番号92および配列番号154、配列番号99および配列番号162、配列番号99および配列番号163;(MREJタイプviiiを検出するための)配列番号92および配列番号162、配列番号92および配列番号163、配列番号99および配列番号170;(MREJタイプixを検出するための)配列番号92および配列番号168、配列番号99および配列番号177;(MREJタイプxを検出するための)配列番号197、および、orf22にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチド;(MREJタイプxiを検出するための)配列番号189および配列番号106、配列番号189および配列番号99、配列番号189および配列番号190、配列番号189および配列番号109;(MREJタイプxiiを検出するための)配列番号194および配列番号106、配列番号194および配列番号99、配列番号104および配列番号191、配列番号194および配列番号109;(MREJタイプxiiiを検出するための)配列番号177および配列番号106、配列番号177および配列番号99、配列番号177および配列番号190、ならびに、配列番号177および配列番号109;(MREJタイプxivを検出するための)配列番号177および配列番号106、配列番号177および配列番号99、配列番号177および配列番号193、配列番号177および配列番号109;(MREJタイプxvを検出するための)配列番号184および配列番号106、配列番号108および配列番号99、配列番号184および配列番号191、配列番号184および配列番号191;(MREJタイプxviを検出するための)配列番号89および配列番号109;(MREJタイプxviiを検出するための)配列番号185および配列番号106、配列番号185および配列番号99、配列番号185および配列番号191、配列番号185および配列番号109;(MREJタイプxviiiを検出するための)配列番号186および配列番号106、配列番号186および配列番号99、配列番号186および配列番号193、配列番号186および109;(MREJタイプxixを検出するための)配列番号187および配列番号106、配列番号107および配列番号99、配列番号187および配列番号913、配列番号187および配列番号109;(MREJタイプxxを検出するための)配列番号188および配列番号106、配列番号188および配列番号99、配列番号188および配列番号913、ならびに、配列番号188および配列番号109)。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるS.aureus特異的nucプライマー対および/またはMREJ特異的プライマー対によって生じる増幅産物にハイブリダイゼーションすることができる少なくとも1つのプローブもまた提供される(例えば、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131)。
【0139】
従って、いくつかの実施形態は、下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするプライマー対を含むか、または、下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするプライマー対から本質的なるか、または、下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするプライマー対からなる:
【0140】
配列番号1および配列番号6;
【0141】
配列番号99および配列番号199;
【0142】
配列番号99および配列番号144;
【0143】
配列番号99および配列番号150;
【0144】
配列番号99および配列番号155;ならびに
【0145】
配列番号99および配列番号163、または、それらの相補体。
【0146】
他の実施形態は、プライマーが下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする複数のプライマー対を含むか、または、プライマーが下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする複数のプライマー対から本質的なるか、または、プライマーが下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする複数のプライマー対からなる:
【0147】
配列番号3および配列番号8;
【0148】
配列番号99および配列番号199;
【0149】
配列番号99および配列番号144;
【0150】
配列番号99および配列番号150;
【0151】
配列番号99および配列番号155;ならびに
【0152】
配列番号99および配列番号163、または、それらの相補体。
【0153】
さらに他の局面が、S.aureus、または、S.aureusおよびMRSAを検出および/または定量するためのキットに関連する。いくつかの実施形態において、キットは、S.aureusのnuc配列に由来する下記配列の核酸のいずれかまたはその相補体とストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションする、長さが約10ヌクレオチド〜約45ヌクレオチドの間である少なくとも1つのオリゴヌクレオチド(例えば、長さが、少なくとも10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチドである少なくとも1つのオリゴヌクレオチドなど)を含むか、あるいは、S.aureusのnuc配列に由来する下記配列の核酸のいずれかまたはその相補体とストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするそのような少なくとも1つのオリゴヌクレオチドから本質的になるか、あるいは、S.aureusのnuc配列に由来する下記配列の核酸のいずれかまたはその相補体とストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするそのような少なくとも1つのオリゴヌクレオチドからなる:配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号尾4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12。好ましい実施形態は、下記の配列番号1および配列番号5の対、配列番号1および配列番号6の対、配列番号2および配列番号5の対、配列番号2および配列番号6の対、配列番号3および配列番号7の対、配列番号3および配列番号8の対、配列番号4および配列番号7の対、または、配列番号4および配列番号8の対のいずれか、あるいは、それらの相補体とストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするプライマー対を含むか、または、そのようなプライマー対から本質的になるか、または、そのようなプライマー対からなるキットを提供する。いくつかの実施形態において、キットは、配列番号9および配列番号11とストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチド(例えば、配列番号10および配列番号12)またはその相補体を含む少なくとも1つのプローブを提供する。
【0154】
他の実施形態では、S.aureusおよびMRSAを一緒に検出するために有用なキットが提供される。いくつかの実施形態において、キットは、S.aureus特異的nuc配列にハイブリダイゼーションする、長さが約10ヌクレオチド〜約45ヌクレオチドの間である少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブ(例えば、長さが、少なくとも10ヌクレオチド、11ヌクレオチド、12ヌクレオチド、13ヌクレオチド、14ヌクレオチド、15ヌクレオチド、16ヌクレオチド、17ヌクレオチド、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド、23ヌクレオチド、24ヌクレオチド、25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、31ヌクレオチド、32ヌクレオチド、33ヌクレオチド、34ヌクレオチド、35ヌクレオチドである少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブなど)と、MREJタイプi〜MREJタイプxxの少なくとも1つのMREJ配列にハイブリダイゼーションする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブとを含むか、あるいは、S.aureus特異的nuc配列にハイブリダイゼーションするそのような少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブと、MREJタイプi〜MREJタイプxxの少なくとも1つのMREJ配列にハイブリダイゼーションする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブとから本質的になるか、あるいは、S.aureus特異的nuc配列にハイブリダイゼーションするそのような少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブと、MREJタイプi〜MREJタイプxxの少なくとも1つのMREJ配列にハイブリダイゼーションする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブとからなる。いくつかの実施形態は、少なくとも2つのプライマー対を含むキットを提供する。第1のプライマー対はS.aureus特異的nuc配列にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションすることができ(例えば、長さが少なくとも10ヌクレオチドであり、かつ、配列番号1および配列番号5、配列番号1および配列番号6、配列番号2および配列番号5、配列番号2および配列番号6、配列番号3および配列番号7、配列番号3および配列番号8、配列番号4および配列番号7、または、配列番号4および配列番号8、あるいは、それらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションすることができるプライマー)、第2のプライマー対はMREJ配列にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションすることができる(例えば、長さが少なくとも10ヌクレオチドであり、かつ、(MREJタイプiを検出するための)配列番号92および配列番号82、配列番号92および配列番号83、配列番号92および配列番号84、配列番号104および配列番号86、配列番号104および配列番号87、配列番号104および配列番号88、配列番号99および配列番号89、配列番号99および配列番号199;(MREJタイプiiを検出するための)配列番号92および配列番号82、配列番号92および配列番号129、配列番号92および配列番号130、配列番号93および配列番号83、ならびに、配列番号92および配列番号84、配列番号99および配列番号89、配列番号99および配列番号199;(MREJタイプiiiを検出するための)配列番号92および配列番号136、配列番号92および配列番号137、配列番号92および配列番号138、配列番号99および配列番号202、配列番号99および配列番号144;(MREJタイプivを検出するための)配列番号92および配列番号141、配列番号99および配列番号105、配列番号99および配列番号150;(MREJタイプvを検出するための)配列番号92および配列番号146、配列番号99および配列番号196、配列番号99および配列番号155;(MREJタイプviを検出するための)配列番号92および配列番号152、配列番号99および配列番号161;(MREJタイプviiを検出するための)配列番号92および配列番号153、配列番号92および配列番号154、配列番号99および配列番号162、配列番号99および配列番号163;(MREJタイプviiiを検出するための)配列番号92および配列番号162、配列番号92および配列番号163、配列番号99および配列番号170;(MREJタイプixを検出するための)配列番号92および配列番号168、配列番号99および配列番号177;(MREJタイプxを検出するための)配列番号197、および、orf22にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチド;(MREJタイプxiを検出するための)配列番号189および配列番号106、配列番号189および配列番号99、配列番号189および配列番号190、配列番号189および配列番号109;(MREJタイプxiiを検出するための)配列番号194および配列番号106、配列番号194および配列番号99、配列番号104および配列番号191、配列番号194および配列番号109;(MREJタイプxiiiを検出するための)配列番号177および配列番号106、配列番号177および配列番号99、配列番号177および配列番号190、ならびに、配列番号177および配列番号109;(MREJタイプxivを検出するための)配列番号177および配列番号106、配列番号177および配列番号99、配列番号177および配列番号193、配列番号177および配列番号109;(MREJタイプxvを検出するための)配列番号184および配列番号106、配列番号108および配列番号99、配列番号184および配列番号191、配列番号184および配列番号191;(MREJタイプxviを検出するための)配列番号89および配列番号109;(MREJタイプxviiを検出するための)配列番号185および配列番号106、配列番号185および配列番号99、配列番号185および配列番号191、配列番号185および配列番号109;(MREJタイプxviiiを検出するための)配列番号186および配列番号106、配列番号186および配列番号99、配列番号186および配列番号193、配列番号186および109;(MREJタイプxixを検出するための)配列番号187および配列番号106、配列番号107および配列番号99、配列番号187および配列番号913、配列番号187および配列番号109;(MREJタイプxxを検出するための)配列番号188および配列番号106、配列番号188および配列番号99、配列番号188および配列番号913、ならびに、配列番号188および配列番号109、あるいは、それらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションすることができるプライマー)。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書中に記載されるS.aureus特異的nucプライマー対および/またはMREJ特異的プライマー対によって生じる増幅産物にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションすることができる少なくとも1つのプローブ(例えば、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131あるいはそれらの相補体にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションすることができるオリゴヌクレオチドを含むプローブ)を含む。
【0155】
従って、いくつかの実施形態は、下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするプライマー対を含むか、または、下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするプライマー対から本質的になるか、または、下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでハイブリダイゼーションするプライマー対からなるキットを提供する:
【0156】
配列番号1および配列番号6;
【0157】
配列番号99および配列番号199;
【0158】
配列番号99および配列番号144;
【0159】
配列番号99および配列番号150;
【0160】
配列番号99および配列番号155;ならびに
【0161】
配列番号99および配列番号163、または、それらの相補体。
【0162】
他の実施形態は、プライマーが下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする複数のプライマー対を含むか、または、プライマーが下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする複数のプライマー対から本質的になるか、または、プライマーが下記の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする複数のプライマー対からなるキットを提供する:
【0163】
配列番号3および配列番号8;
【0164】
配列番号99および配列番号199;
【0165】
配列番号99および配列番号144;
【0166】
配列番号99および配列番号150;
【0167】
配列番号99および配列番号155;ならびに
【0168】
配列番号99および配列番号163、または、それらの相補体。
【0169】
本明細書に開示される診断キット、プライマーおよびプローブは、インビトロ(invitro)適用および/またはインサイチュー(in situ)適用の両方において、S.aureusと、MREJタイプi〜MREJタイプxxのMRSAとを検出および/または特定することに加えて、S.aureusを検出および/または特定するために使用することができる。例えば、キットは、MREJタイプi〜MREJタイプxxのMRSAを検出するために、何らかの以前に記載されたプライマー/プローブとの組合せで使用され得ることが意図される。本明細書に開示される診断キット、プライマーおよびプローブは、単独で、あるいは、微生物を検出および/または特定するために好適な何らかの他のアッセイとの組合せで使用され得ることもまた意図されている。そのようなアッセイには、核酸の検出に基づく任意のアッセイ、任意の免疫アッセイ、任意の酵素アッセイ、任意の生化学的アッセイ、任意の溶菌型アッセイ、任意の血清学的アッセイ、任意の鑑別培養培地、任意の濃縮培養培地、任意の選択培養培地、任意の特異的アッセイ培地、任意の同定培養培地、任意の計数用培養培地、任意の細胞染色、特定の細胞株での任意の培養、および、動物での任意の感染性アッセイが含まれるが、これらに限定されない。
【0170】
本発明を一般的に記載してきたが、ここに記載される具体的な実施例を参照することにより、さらに本発明が理解されるであろう。ここに記載される具体的な実施例は例示目的のために記載するものであり、本発明をこれらの実施例に限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0171】
本実施例は、PCRを使用するサンプルからのS.aureusの最適化された特異的な検出のために選ばれた様々なプライマー対の有用性を例示する。配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8は、nuc遺伝子のS.aureus特異的領域にアニーリングするように設計された。PCR反応混合物には、それぞれが0.5μMの前記のプライマー、0.2mMの各dNTP(Roche)、2mMのMgCl(SIGMA)、1ユニットのFASTSTART(商標)Taq DNAポリメラーゼ(Roche)、50mMのTris(EMD)、10mMのKCl(Laboratoire Mat)および5mMの(NHSO(SIGMA)が含まれた。
【0172】
試験対象のそれぞれのプライマー対について、異なる量の染色体テンプレートDNAを含有する3つの反復反応を行った。1つの反応組では、S.aureus菌株ATCC43300(MRSA)に由来する15コピーの染色体テンプレートDNAが含まれた。別の反応組では、185コピーのATCC43300テンプレートDNAが含まれた。添加されたテンプレートDNAを何ら有していない陰性コントロールもまた行った。並行した反応組を、S.aureus菌株ATCC25923(MSSA)に由来する染色体テンプレートDNAを用いて行った。
【0173】
PCR反応を、SMARTCYCLER(登録商標)QT−PCR装置(Cepheid)を使用して行った。サイクル処理パラメーターは以下の通りであった:
95℃で900分間の後、95℃で5秒間、59℃で15秒間、20秒間の72℃で20秒間を45サイクル。
増幅された生成物をアガロースゲルで可視化した(図1Aおよび図1B)。
【0174】
図1Aおよび図1Bに示されるように、下記のプライマー対は、MSSAおよびMRSAの両方のS.aureus菌株から得られるDNAの特異的な増幅において特に良好な結果を示した:
【0175】
配列番号1および配列番号5;
【0176】
配列番号1および配列番号6;
【0177】
配列番号2および配列番号6;
【0178】
配列番号4および配列番号7;
【0179】
配列番号4および配列番号8;
【0180】
配列番号3および配列番号7;ならびに
【0181】
配列番号3および配列番号8。
【0182】
生じた増幅産物の相対的な量からわかるように、配列番号2および配列番号5のプライマー対は、他のプライマー対と比較して感度が低かった。
【実施例2】
【0183】
1回の反応でS.aureusを検出し、かつ、MRSAを特定することができるかを調べた。多重PCR反応は、S.aureusの種特異的なorfX配列、および最も一般的に臨床的に遭遇されるMRSAタイプ(すなわち、MREJタイプi、MREJタイプii、MREJタイプiii、MREJタイプiv、MREJタイプv、MREJタイプviiのMRSA)のSCCmec右側先端接合(MREJ)の配列に標準的PCR条件のもとでアニーリングするプライマーを含めるよう設計された。配列番号99、配列番号199、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163を、MREJタイプi、MREJタイプii、MREJタイプiii、MREJタイプiv、MREJタイプvおよびMREJタイプviiのMRSAを検出するために使用した。nuc遺伝子のS.aureus特異的領域に同じ条件のもとでアニーリングするプライマー(配列番号3および配列番号8)を、MRSA菌株およびMSSA菌株の両方を試験反応において検出するための反応で使用した。SMARTCYCLER(登録商標)装置において、FAMチャンネル、テキサスレッドチャンネルまたはTETチャンネルで検出可能である分子ビーコンプローブを、MRSA特異的反応の増幅産物に対するハイブリダイゼーションのために(配列番号126および配列番号130)、nuc/S.aureus特異的反応の増幅産物に対するハイブリダイゼーションのために(配列番号12)、また、内部コントロールの増幅産物に対するハイブリダイゼーションのためにそれぞれ設計した。
【0184】
PCR反応液には、0.9μMの配列番号99、0.4μMの配列番号199、0.6μMの配列番号144、0.3μMの配列番号150、0.2μMの配列番号155、0.7μMの配列番号163、0.1μMの配列番号3、0.1μMの配列番号8、0.1μMの配列番号126、0.1μMの配列番号130、0.25μMの配列番号12、0.2μMのコントロールDNA、0.3mMの各dNTP(Roche)、4mMのMgCl(SIGMA)、2.8ユニットのFASTSTART(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ(Roche)、100mMのTris(pH8.3)(EMD)、10mMのKCl(Laboratoire Mat)、5mMの(NH4)SO(SIGMA)、0.15mg/mLのBSA(SIGMA)、4%のトレハロース(SIGMA)、3000コピーの内部コントロールテンプレートDNA、2780コピーのS.epidermidis染色体DNA、および、0コピー、2.5コピー、5コピー、10コピー、15コピーまたは20コピーのMSSA染色体DNA(ATCC菌株25923から単離されたもの)、あるいは、0コピー、2.5コピー、5コピー、10コピーまたは20コピーのMRSA染色体DNA(ATCC菌株43300から単離されたもの)のいずれかが含まれた。
【0185】
PCR反応をSMARTCYCLER(登録商標)装置(Cepheid)で行った。サイクル処理パラメーターは以下の通りであった:
95℃で900分間の後、95℃で5秒間、59℃で15秒間、20秒間の72℃で20秒間を45サイクル。
適切な波長で蛍光を連続して測定した。その測定結果は図2Aおよび図2Bにグラフで示してある。
【0186】
図2Aは、MSSAテンプレートDNAを含有する反応液の蛍光読み取り値を示す。これらの反応条件のもとにおいて、2.5コピーのMSSA DNAが容易に検出されており(テキサスレッドチャンネル)、多重PCRにおける配列番号3、配列番号8および配列番号12の有用性を示している。予想された通り、TETチャンネルには陽性シグナルも存在している。このことは、内部コントロールが正しく働いたこと、および、阻害剤が反応液中に存在しなかったことを示している。
【0187】
図2Bは、MRSAテンプレートDNAを含有する反応液の蛍光読み取り値を示す。これらの反応条件のもとにおいて、2.5コピーのMRSA DNAが容易に検出されており(FAMチャンネル)、MRSAを含むすべてのS.aureus菌株を検出することができる多重PCRにおける配列番号99、配列番号199、配列番号150、配列番号155、配列番号144、配列番号126および配列番号130の有用性を示している。テキサスレッドチャンネルにおいて示されるように、nuc特異的なプライマーおよびプローブ(配列番号3、配列番号8および配列番号12)により、2.5コピーのDNAが検出された。TETチャンネルには陽性シグナルも存しており、内部コントロールが正しく働いたこと、および、阻害剤が反応液に存在しなかったことを示している。
【0188】
本実施例は、MRSA由来のMREJ配列およびS.aureus由来のnuc配列を内部コントロールとともに増幅するPCR多重アッセイを用いて得ることができる感度が非常に高いことを強調している。
【実施例3】
【0189】
MRSA由来のMREJ配列およびS.aureus由来のnuc配列を増幅する多重PCRアッセイの特異性を分析した。S.aureus以外の80の細菌種に由来する染色体DNAを、実施例2において記載されるような多重PCRアッセイにおけるテンプレートDNAとして使用した。試験対象とした菌株が表2に列挙されている。
【0190】
0.9μMの配列番号99、0.4μMの配列番号199、0.6μMの配列番号144、0.3μMの配列番号150、0.2μMの配列番号155、0.7μMの配列番号163、0.1μMの配列番号3、0.1μMの配列番号8、0.1μMの配列番号126、0.1μMの配列番号131、0.25μMの配列番号11、0.2μMの内部コントロールDNA、0.3mMの各dNTP(Roche)、4mMのMgCl(SIGMA)、2.8ユニットのFASTSTART(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ(Roche)、100mMのTris(pH8.3)(EMD)、10mMのKCl(Laboratoire Mat)、5mMの(NHSO(SIGMA)、0.15mg/mLのBSA(SIGMA)、4%のトレハロース(SIGMA)、3000コピーの内部コントロールテンプレートDNAおよび2780コピーのS.epidermidis DNAを含有する各別のシーケンス反応溶液に、表1に示されるそれぞれの細菌種から単離された染色体DNAの1ngを用いた。
【0191】
それぞれの反応は三連で行った。反応を実施例2において示されるパラメーターに従って進行させた。表2には、反応の結果がまとめられる。試験対象とされた80の異なる細菌種について、FAMチャンネルおよびテキサスレッドチャンネルにおいては、陽性シグナルが認められなかった。試験対象とされた80の異なる細菌種のそれぞれについて、TETチャンネルにおいては陽性シグナルが検出された。このことは、反応液が阻害剤を含有しなかったことを示している。結果を解釈するアルゴリズムが表3にまとめられている。
【0192】
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【0193】
【表3】

【0194】
本実施例は、MRSA由来のMREJ配列およびS.aureus由来のnuc配列を内部コントロールとともに増幅するPCR多重アッセイにより達成される特異性が完全であることを強調している。
【実施例4】
【0195】
MRSA由来のMREJ配列およびS.aureus由来のnuc配列を増幅するPCR多重アッセイが、正確にS.aureusを検出し、創傷試料から直接MRSAを特定することができるかを調べた。
【0196】
多重PCR反応を、すべてのS.aureus菌株のnuc遺伝子のS.aureus特異的領域にアニーリングするプライマー(例えば、MRSAおよびMSSA)に加えて最も臨床的に関連したMRSAのMREJ領域に対して特異的な配列を増幅するためのプライマー(例えば、S.aureus種特異的orfX配列およびSCCmec配列にアニーリングするプライマー)を同条件のもとで含めるよう設計した。概略を記載すると、配列番号99、配列番号199、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163を、MREJタイプi、MREJタイプii、MREJタイプiii、MREJタイプiv、MREJタイプvおよびMREJタイプviiの様々なMRSAのMREJ領域の配列を増幅するために使用した。MRSA菌株およびMSSA菌株の両方を検出するための試験反応において、nuc遺伝子のS.aureus特異的領域に同じ条件のもとでアニーリングするプライマー(配列番号3および配列番号8)を使用した。SMARTCYCLER(登録商標)装置において、FAMチャンネル、テキサスレッドチャンネルおよびTetチャンネルで検出可能である分子ビーコンプローブを、MRSA特異的反応(配列番号126および配列番号130)、nuc/S.aureus特異的反応(配列番号12)、および部コントロールのそれぞれの増幅産物に対するハイブリダイゼーション用に設計した。
【0197】
Amies液体スワブ(Copan Diagnostics,Inc.)を使用して、103の創傷サンプルを、様々な患者について集めた。サンプルを血液寒天平板(Becton Dickinson)で培養および継代培養した。それらの形態学に基づいて、疑われるS.aureusを、コアグラーゼ試験(Jorgenson,J.H.およびW.E.Kloos、1987、ブドウ球菌感染症(B.B.Wentworth(編)、Diagnostic procedures for bacterial infections、第7版、アメリカ公衆衛生協会、Washington,D.C.))により特定し、一部の場合にはラテックス凝集(Staphaurex,Remel Inc.)により特定した。メチシリン耐性を、VITEK(商標)細菌同定システム(bioMerieux、Durham、NC)を使用して決定した。
【0198】
IDI(商標)溶解キット(GeneOhm Sciences,Inc.)を使用して、単離体からDNAを単離した。単離体のスワブを1mLのTE緩衝液(10mM Tris、1mM EDTA、pH8.0)の中で壊し、高速度で1分間ボルテックス処理した。50μLの細胞懸濁物を、ガラスビーズを含有する溶解チューブに移し、高速度で5分間ボルテックス処理した。チューブを13,000rpmで2分間遠心分離し、95℃で2分間加熱した。チューブは反応で使用するまで氷上に置いた。
【0199】
0.9μMの配列番号99、0.4μMの配列番号199、0.6μMの配列番号144、0.3μMの配列番号150、0.2μMの配列番号155、0.7μMの配列番号163、0.1μMの配列番号3、0.1μMの配列番号8、0.1μMの配列番号126、0.1μMの配列番号130、0.25μMの配列番号12、0.2μMの内部コントロールDNA、0.3μMの各dNTP(Roche)、4mMのMgCl(SIGMA)、2.8ユニットのFASTSTART(登録商標)Taqポリメラーゼ(Roche)、100mMのTris(pH8.3)(EMD)、10mMのKCl(LaboratoireMat)、5mMの(NHSO(SIGMA)、0.15mg/mLのBSA(SIGMA)、4%のトレハロース(SIGMA)、3000コピーの内部コントロールDNAおよび2780コピーのS.epidermidis染色体DNAを含有するPCRミックスに3μLの溶解反応液を加えた。
【0200】
実施例2において示されるのと同じサイクル処理パラメーターを使用してSMARTCYCLER(登録商標)(Cepheid)でPCRを行った。SMARTCYCLER(登録商標)ソフトウエアを使用して、それぞれの試料について、FAMチャンネル、テキサスレッドチャンネルおよびTETチャンネルにおけるサイクル閾値(CT)を、決定した。アッセイ結果は、表3に示されるように解釈された。
【0201】
上記の多重PCRアッセイは、テキサスレッドチャンネルにおいてすべてのS.aureus菌株が陽性シグナルを生じるように設計される。臨床的に関連したMRSAの存在はFAMチャンネルにおいて陽性シグナルを生じさせる。従って、テキサスレッドチャンネルにおける陽性の結果とFAMチャンネルにおける陰性の結果の組合わせは、MSSAの存在を示している。
【0202】
上記の培養アッセイと、多重PCR反応との間で結果の不一致が見られた場合、スワブを含有するTE緩衝液チューブにTryptic Soy Brothを加え、35℃で一晩インキュベーションした。50μLの一晩培養物を血液寒天平板に置床し、単離体を、MRSA、MSSAまたは陰性(非S.aureus)として特定した。
【0203】
集められたデータが、下記の表4A、表4Bおよび表4Cに示されている。
【0204】
【表4A】

【0205】
【表4B】

【0206】
【表4C−1】

【表4C−2】

【表4C−3】

【表4C−4】

【0207】
表4Aおよび表4Bに示されるように、多重アッセイはMRSAについて100%の感度であり、このことは、PCRアッセイで達成された陽性のMRSA結果のいずれもが、解明前および解明後の両方で、培養での同定における陽性の結果に対応したことを示している。解明後におけるS.aureus検出についてのPCRアッセイの感度は90.5%であり、21のMSSA菌株のうちの19がPCRアッセイにおける陽性の結果を示した。しかしながら、重要なことに、MSSAでないとして誤って特定された2つの菌株は、以前にはMSSAであったものの、SCCmeエレメントの一部を失い、PCR増幅プライマーがハイブリダイゼーションするorfX付近の接合部を保持していた菌株である。
【0208】
表4Cは、不一致の結果を解明した後での、103の創傷試料のそれぞれについての個々のPCR結果および培養結果を示す。影が付けられた項目部分は、培養試験およびPCRアッセイで得られた結果が一致していたことを示している。印が付けられた欄(CT)は、陽性シグナルがバックグランドノイズを超えて検出可能になるPCRサイクルを示す。表に示されるように、4つのサンプルが、サンプルにおける反応阻害剤の存在のためにPCRアッセイでは解明することができなかった。
【0209】
上記の結果は、創傷試料に対して直接に適用された多重PCRアッセイの感度および特異性が大きいことを示している。従って、この多重アッセイは、MRSAおよびMSSAの両方について特異的であり、これまでにない、使い勝手がよく、信頼性が高い、高感度な特異的アッセイを提供する。
【0210】
本明細書中に記載される方法、組成物およびデバイスは、現時点での好ましい実施形態を表すものである。それらは例示であって、本発明の範囲にの限定を意図するものではない。当業者であれば、本発明の精神に包含され、あるいは本開示の範囲によって規定されるその様々な変更および他の用途を想起するであろう。従って、様々な置換および修正が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書中に開示される発明に対して行われ得ることが、当業者には明らかである。
【0211】
本発明の特許請求の範囲および本明細書の開示を通して、表現「から本質的になる」が用いられる場合、この表現の後に列記された何らかのエレメントで、列記されたエレメントについての開示において具体的に述べられる活性または作用を妨げない他のエレメント、あるいは、そのような活性または作用に寄与する他のエレメントに限定される何らかのエレメントを含むことを意味する。従って、表現「から本質的になる」は、列記されたエレメントが要求されるかあるいは必須であるが、他のエレメントは選択的であり、他のエレメントの存否は、列記されたエレメントの活性または作用に影響を及ぼすか否かに依存することを示す。
【0212】
数多くの文献および特許参考文献が本特許出願において引用されている。本特許出願において引用される参考文献はいずれもそれぞれがその全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1回のアッセイにおいて臨床サンプルから、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus、S.aureus)菌株の存在を特異的に検出し、かつ、メチシリン耐性S.aureus菌株を特定する方法であって、
前記サンプルを、配列番号200に含まれるS.aureus特異的配列またはその相補体、あるいは、配列番号200とは1ヌクレオチド〜20ヌクレオチド異なる任意の配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも11ヌクレオチドの少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブと接触させる工程;
前記サンプルを、MREJ特異的な配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87または配列番号88の少なくとも1つあるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも10ヌクレオチドの少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブと接触させる工程;および
S.aureusの存在および/または量を示すものとして、また、MRSAの存在および/または量を示すものとして、アニーリングした1つまたは複数のプローブの存在および/または量を検出する工程、あるいは、前記プライマーが核酸にアニーリングすることにより生じた増幅産物の量を検出する工程
を含み、
前記ストリンジェントな条件は、59℃において4mMのMgCl、100mMのTris(pH8.3)、10mMのKCl、5mMの(NHSO、0.15mg/mLのBSA、4%のトレハロースを含む、方法。
【請求項2】
配列番号200の配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする前記少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12のいずれか1つあるいはその相補体の核酸の少なくとも11個の連続するヌクレオチドにストリンジェントな条件のもとでアニーリングするオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
核酸を含むサンプルにおけるS.aureus菌株の存在を検出する方法であって、
配列番号1、配列番号6、配列番号3または配列番号8の1つあるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブを提供する工程;
前記サンプルの核酸を前記(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブとアニーリングさせる工程(ただし、アニーリングした(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブにより、前記サンプルにおけるS.aureus菌株の存在が示される);および
S.aureusの存在および/または量を示すものとして、アニーリングした(1つまたは複数の)プローブの存在および/または量を検出する工程、あるいは、前記プライマーが核酸にアニーリングすることにより生じた増幅産物の量を検出する工程
を含み、
前記ストリンジェントな条件は、59℃において4mMのMgCl、100mMのTris(pH8.3)、10mMのKCl、5mMの(NHSO、0.15mg/mLのBSA、4%のトレハロースを含む、方法。
【請求項4】
前記提供する工程が、配列番号1またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマーと、配列番号6またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第2のプライマーとを含むプライマー対を提供する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
配列番号9または配列番号10にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするプローブを提供する工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記提供する工程が、配列番号3またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマーと、配列番号8またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第2のプライマーとを含むプライマー対を提供する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
配列番号11または配列番号12あるいはそれらの相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするプローブを提供する工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
メチシリン感受性S.aureusおよびメチシリン耐性S.aureus(MRSA)を1回のアッセイにおいて検出および特定する方法であって、
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブを提供する工程;
メチシリン耐性S.aureus(MRSA)菌株について特異的な少なくとも1つのプライマーを提供する工程(ただし、前記MRSA菌株は、細菌の核酸において挿入され、それにより、多型の右側先端接合(MREJ)または何らかの同等な術語によるものを生じさせる、mecA遺伝子を含有するSCCmecインサートが存在するために耐性であり、この場合、前記MRSA特異的な(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブは、MREJタイプi〜MREJタイプxxを含む多型MREJ核酸にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする);
サンプルの核酸を前記(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブとアニーリングする工程(ただし、配列番号1〜配列番号12を含むアニーリングした(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブにより、サンプルにおけるS.aureus菌株の存在が示され、また、MREJタイプi〜MREJタイプxxを含む多型のMREJ核酸にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするアニーリングした(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブにより、サンプルにおけるMRSA菌株の存在が示される);および
S.aureusの存在および/または量を示すものとして、また、MRSAの存在および/または量を示すものとして、アニーリングした(1つまたは複数の)プローブの存在および/または量を検出する工程、あるいは、前記プライマーが核酸にアニーリングすることにより生じた増幅産物の量を検出する工程
を含み、
前記ストリンジェントな条件が、59℃において4mMのMgCl、100mMのTris(pH8.3)、10mMのKCl、5mMの(NHSO、0.15mg/mLのBSA、4%のトレハロースを含む、方法。
【請求項9】
前記プライマーおよび/またはプローブが同じアニーリング条件のもとで前記サンプルの核酸にアニーリングする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プライマーおよび/またはプローブが同一の物理的容器に一緒に入れられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記MRSA特異的な(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブが、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87または配列番号88のいずれか1つで定義されるMREJタイプi〜MREJタイプxxの少なくとも1つにストリンジェントな条件のもとでアニーリングする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記MRSA特異的な(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブが、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号15、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号201(タイプi〜タイプix)、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号195、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197(タイプxi〜タイプxx)または配列番号199のいずれか1つの核酸あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記MRSA特異的な(1つまたは複数の)プライマーおよび/または(1つまたは複数の)プローブが、配列番号99、配列番号199、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163のいずれか1つの核酸またはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131のいずれか1つあるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプローブをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルが少なくとも1つのプライマー対と接触させられ、前記プライマー対が、
配列番号1および配列番号5;
配列番号1および配列番号6;
配列番号2および配列番号6;
配列番号4および配列番号7;
配列番号4および配列番号8;
配列番号3および配列番号7;ならびに
配列番号3および配列番号8、または、それらの相補体
の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマーおよび第2のプライマーを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
前記サンプルを、
配列番号99および配列番号199;
配列番号99および配列番号144;
配列番号99および配列番号150;
配列番号99および配列番号155;ならびに
配列番号99および配列番号163、または、それらの相補体
の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマーおよび第2のプライマーを含む少なくとも1つのプライマー対と接触させる工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記サンプルが複数のプライマー対と接触させられ、ただし、前記プライマー対が、
配列番号3および配列番号7;
配列番号99および配列番号199;
配列番号99および配列番号144;
配列番号99および配列番号150;
配列番号99および配列番号155;ならびに
配列番号99および配列番号163、または、それらの相補体
の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマーおよび第2のプライマーを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプルを、配列番号9、配列番号10、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131のいずれか1つあるいはその相補体の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプローブと接触させる工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サンプルが複数のプライマー対と接触させられ、前記プライマー対が、
配列番号1および配列番号6;
配列番号99および配列番号199;
配列番号99および配列番号144;
配列番号99および配列番号150;
配列番号99および配列番号155;ならびに
配列番号99および配列番号163、または、それらの相補体
の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする第1のプライマーおよび第2のプライマーを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項20】
前記サンプルを、配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131のいずれか1つあるいはその相補体の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプローブと接触させる工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つの核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするオリゴヌクレオチド。
【請求項22】
核酸を含むサンプルにおけるS.aureus菌株の存在を検出するためのキットであって、
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の1つあるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含み、
前記ストリンジェントな条件が、4mMのMgCl、100mMのTris(pH8.3)、10mMのKCl、5mMの(NHSO、0.15mg/mLのBSA、4%のトレハロースを59℃において含むキット。
【請求項23】
前記プローブが、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号12の核酸配列あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングするプローブをさらに含む、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
MRSA菌株について特異的な少なくとも1つのプライマーをさらに含み、
前記MRSA菌株は、mecA遺伝子を含有するSCCmecインサートが存在するために耐性であり、
前記SCCmecは細菌の核酸において挿入されているために、多型の右側先端接合(MREJ)を生じさせ、
前記MRSAについて特異的なプライマーおよび/またはプローブは、MREJタイプi〜MREJタイプxxを含む少なくとも1つの多型MREJ核酸にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする、請求項22に記載のキット。
【請求項25】
配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87または配列番号88あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのMRSA特異的オリゴヌクレオチドを含む、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
前記少なくとも1つのMRSA特異的オリゴヌクレオチドが、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号15、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号201(タイプi〜タイプix)、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号195、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197(タイプxi〜タイプxx)または配列番号199のいずれか1つあるいはその相補体の核酸配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする、請求項24に記載のキット。
【請求項27】
配列番号1、配列番号6、配列番号99、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163またはそれらの相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする複数のオリゴヌクレオチドを含む、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
配列番号9、配列番号10、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプローブをさらに含む、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
配列番号3、配列番号8、配列番号99、配列番号144、配列番号150、配列番号155および配列番号163またはそれらの相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする複数のオリゴヌクレオチドを含む、請求項26に記載のキット。
【請求項30】
配列番号11、配列番号12、配列番号126、配列番号128、配列番号130または配列番号131あるいはその相補体にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも1つのプローブをさらに含む、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記サンプルを、配列番号200に含まれるS.aureus特異的配列、その相補体、または配列番号200とは1ヌクレオチド〜20ヌクレオチド異なる任意の配列にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも11ヌクレオチドの少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブと接触させて、S.aureus菌株の存在を特異的に検出する方法。
【請求項32】
前記サンプルを、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11および配列番号12またはそれらの相補体からなる群から選択される少なくとも1つの核酸にストリンジェントな条件のもとでアニーリングする少なくとも10ヌクレオチドの少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブと接触させて、S.aureus菌株の存在を特異的に検出する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2010−512799(P2010−512799A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543155(P2009−543155)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/088004
【国際公開番号】WO2008/140612
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(504377851)ジーンオーム サイエンシーズ、インク. (9)
【Fターム(参考)】