説明

黒色アルカリ現像型感光性組成物、カラーフィルタ基板、及び液晶表示装置

【課題】遮光性向上のため相対的に厚いブラックマトリックスを形成しても、しわが発生せず、高感度でパターン形状の優れる黒色アルカリ現像型感光性組成物を提供すること及び額縁部分からの光漏れのないカラーフィルタ基板の提供を目的とした。
【解決手段】少なくとも顔料、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤、溶剤からなる黒色アルカリ現像型感光性組成物であって、顔料の含有量が黒色アルカリ現像型感光性組成物中の全固形分に対して、24%〜45%の範囲であり、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.5〜0.8の範囲となることを特徴とする黒色アルカリ現像型感光性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル等に使用されるカラーフィルタ基板に係り、特にはこのカラーフィルタ基板上にブラックマトリックスを形成するための黒色アルカリ現像型感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
感光性組成物は、紫外線あるいは電子線等を照射することにより重合硬化させることができるので、例えば光硬化性インキ、感光性印刷版、プリント配線板、各種フォトレジスト、及びカラーフィルタ等の用途に使用されている。
【0003】
近年、液晶表示装置においてさらなる軽量化、薄型化が求められており、カラーフィルタにおいては、十分な開口率で、十分な色純度及びコントラストを維持しつつ、微細なパターンを有する着色層及びブラックマトリクスを精度良くパターン加工し得る感光性組成物が望まれている(特許文献1,2参照)。一方、液晶表示装置のバックライトの輝度が向上し、液晶表示装置の額縁部からバックライトの光が漏れるという問題がある。ブラックマトリクスとしては、そのような光漏れを防ぐべく、遮光性向上が求められている。
【0004】
ところで、ブラックマトリックスの遮光性を向上させることについては、一般に感光性組成物中に含まれるカーボンブラックなどの遮光成分の含有量を多くする試みがなされている。しかしながら、遮光成分の含有量を多くすると、ガラス基板に対する該感光性組成物の密着性の低下および感度低下に加え、現像性、解像性、経時安定性などが悪化する等の問題があった。特に、黒色アルカリ現像型感光性組成物においては、現像後のパターン形状がオーバーハングと呼ばれる逆テーパー形状となり、形状が著しく悪化し、次工程での塗工ムラが発生し、その結果、カラーフィルタの品質や歩留まりの低下を招くという問題がある。
【0005】
遮光性向上の別の試みとしては、高いOD値を与えるカーボンブラック含有感光性組成物として、下記特許文献3には樹脂で被覆したカーボンブラックを使用する試みが提案されており、下記特許文献4には、金属酸化物、特にチタン酸窒化物を含有させる技術が開示されている。樹脂で被服したカーボンブッラクを使用すると、カーボンブラックの含有量が増えるほど、画像露光の為の紫外光が、塗膜下部まで達する量が減少し、硬化が不十分になり、現像特性不良の原因となるという問題を生ずる。基板への密着性が低いこと、アルカリ洗浄後の残渣が残りやすいという問題もある。
【0006】
さらに別の試みとして、遮光成分の濃度を上げずに膜厚を厚くすることによっても色純度及び遮光性を向上することが可能である。しかしブラックマトリスクの膜厚を厚くするとしわが発生しやすくなるという問題がある。なぜならブラックマトリスクの膜厚を厚くすると組成物中のモノマーの含有量も多くなり、ベーク時にモノマー成分が硬化すると塗膜が膜縮みしやすくなって、しわが発生するからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−51112号公報
【特許文献2】特開2003−161828号公報
【特許文献3】特開2004−251946号公報
【特許文献4】特開2005−75965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、遮光性向上のため相対的に厚いブラックマトリックスを形成しても、しわが発生せず、高感度でパターン形状の優れる黒色アルカリ現像型感光性組成物を提供すること及び額縁部分からの光漏れのないカラーフィルタ基板の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、少なくとも顔料、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤、溶剤からなる黒色アルカリ現像型感光性組成物であって、顔料の含有量が黒色アルカリ現像型感光性組成物中の全固形分に対して、24%〜45%の範囲であり、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.5〜0.8の範囲となることを特徴とする黒色アルカリ現像型感光性組成物としたものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記黒色アルカリ現像型感光性組成物を硬化させた後の単位厚み当たりの光学濃度が1.5〜2.8/μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の黒色アルカリ現像型感光性組成物としたものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記黒色アルカリ現像型感光性組成物を硬化させた後の厚みに依存する光学濃度が3.0〜5.6の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の黒色アルカリ現像型感光性組成物としたものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の黒色アルカリ現像型感光性組成物を用いて形成したブラックマトリックス及び複数色の着色層を備えることを特徴とするカラーフィルタ基板としたものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載のカラーフィルタ基板を用いたことを特徴とする液晶表示装置としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明になる黒色アルカリ現像型感光性組成物は、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとアルカリ可溶性樹脂aとの質量比率がb/a=0.5〜0.8の範囲であり、かつ、顔料濃度が全固形分中の24質量%から45質量%の範囲の配合比率とすることで、紫外線露光に対して高感度で、現像密着性が優れ、ベーク時にしわが発生しない。
同時にこのブッラクマリクスをなす硬化膜は、OD(光学濃度)値が1.5/μm以上、2.8/μm以下の優れた遮光性を有する。したがって額縁部分からの光漏れが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るカラーフィルタ基板の部分断面視の図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
これまで、高遮光性の検討では黒色顔料種等の検討はされてきた。しかし低い光学濃度値であっても膜厚を厚くすることで、光学濃度を稼ぐという観点から感光性組成物を見直すという検討は少ない。本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、アルカリ可溶性樹脂とエチレン性不飽和二重結合を有する化合物との質量比率に着目し、本発明に至ったものである。
【0017】
まず、本発明の遮光膜形成用黒色樹脂組成物である、黒色アルカリ現像型樹脂組成物に
ついて説明する。少なくとも顔料、アルカリ可溶性樹脂、不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤、溶剤を含有する。以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
ブラックマトリクスに遮光性を付与する色材としては、カーボンブラック顔料が最適である。カーボンブラック顔料としては具体的には三菱化学社製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CF9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックII、ダイヤブラック339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSF、ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR。キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908。旭カーボン社製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭F−200、旭#66、旭#66HN、旭#60H、旭#60U、旭#60、旭#55、旭#50H、旭#51、旭#50U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグサ社製のカーボンブラックColorBlack Fw200、ColorBlack Fw2、ColorBlack Fw2V、ColorBlack Fw1、ColorBlack
Fw18、ColorBlackS170、ColorBlack S160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V等が挙げられる。
【0019】
遮光材料として、上記の無機顔料に補助顔料として有機顔料を加えても良い。有機顔料は無機顔料の補色を呈するものを適切に選択して加えることにより次の様な効果が得られる。例えば、カーボンブラックは赤みがかった黒色を呈する。したがって、カーボンブラックに補助顔料として赤色の補色である青色を呈する有機顔料を加えることによりカーボンブラックの赤みが消え、全体としてより好ましい黒色を呈する。有機顔料の具体例をカラーインデックス<C.I.>ナンバーで示す。
・Pigment Blue:
<C.I>1,1:2,1:x,9:x,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:5,15:6,16,24,24:x,56,60,61,62
・Pigment Green:
<C.I>1,1:x,2,2:x,4,7,10,36
・Pigment Orange:
<C.I>2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,59,60,61,62,64
・Pigment Red:
<C.I>1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52 :1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:3,81:x,83,88,90,112,119,122,123,144,146,149,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,224,226,254
・Pigment Violet:
<C.I>1,1:x,3,3:3,3:x,5:1,19,23,27,32,42・Pigment Yellow:
<C.I>1,3,12,13,14,16,17,24,55,60,65,73,74,81,83,93,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,156,175
【0020】
これらの顔料はそのままの状態では顔料同士が凝集しているため、分散処理が必要である。顔料に分散剤及び溶剤を加えてミルベースをつくり、それをボールミル、サンドミル、ビーズミル、3本ロール、ペイントシェーカー、超音波、バブルホモジナイザーなどの方法により分散することができる。これらの処理方法は2つ以上組み合わせることも可能である。分散剤には樹脂あるいは公知の分散剤が使用可能である。
【0021】
本発明に係るカーボンブラック顔料の含有量としては、遮光膜形成用黒色樹脂組成物の全固形分中の24%〜45%の範囲で使用することが良い。含有量が23%未満では、顔料濃度に対しアルカリ可溶性樹脂量が多く、パターンを高細線化したとき現像密着性は低下する。またブラックマトリクスとしての光学濃度(OD値)が小さくなり、パネル化した際に光漏れなど発生し、パネルコントラストを低減させる。一方、46%を超えると、画素のパターン形状がオーバーハングと呼ばれる逆テーパー形状となり、形状が著しく悪化し、次工程での塗工ムラが発生し、不具合が生じてしまう。
【0022】
本発明において適用されるアルカリ可溶性樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸グリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の通常の光重合可能な樹脂等やカルド樹脂も使用できる。
【0023】
本発明において適用されるエチレン性不飽和結合を有する化合物として、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類があげられ、多官能アクリレート及び/又は多官能メタクリレートを使用する場合は、単独、及び二種類以上を混合して使用しても良い。
【0024】
エチレン性不飽和結合を有する化合物1分子中のエチレン性不飽和二重結合の数は、2〜6であることが好ましい。二重結合の数が3個より小さいと、化合物の分子量が小さくなり、現像密着性が低下する。一方、二重結合が6個以上であると、硬化性が向上することにより、残膜率が高くなり、見かけのOD値が低下する。さらに、現像性が低下することにより、パターンのエッジ部分の形状が悪化する。
【0025】
遮光膜形成用黒色樹脂組成物の固形分中のアルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bの比率がb/a=0.5〜0.8の範囲が最適である。b/aが
0.5より小さい場合、遮光膜形成用黒色樹脂組成物中のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の量が少なくなることで二重結合当量も少なくなり感度が低くなる。逆にb/aが0.8以上の場合、モノマー量が多くなることでベーク時に塗膜が膜縮みしやすくしわが発生する。露光工程により塗膜表面のモノマーが硬化し、現像により未露光部が現像される。ベーク時、熱により硬化したモノマーで膜収縮が生じる。表面の光硬化した部分は、熱収縮に追随できずシワとなってしまう。そのため、熱によって硬化するモノマー量が多いほどしわが発生しやすくなる。
【0026】
本発明において適用される光重合開始剤としては、オキシム系光重合開始剤、アミノケトン系光重合開始剤から選ばれる少なくとも一種を用いることが望ましい。さらにパターン形状や直線性が良好化することを確認した。
【0027】
オキシム系化合物としては、例えば、1 - [ 9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル)
- 9. H . -カルバゾール- 3 -イル] -ビシクロヘプチル- 1 -オンオキシム- O -アセタート、1 - [ 9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル) - 9 . H . -カルバゾール- 3 -イル] -アダマンチルメタン- 1 -オンオキシム- O -ベンゾアート、1 - [ 9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル) - 9 . H . -カルバゾール-3 -イル] -アダマンチルメタン- 1 -オンオキシム- O -アセタート、1 - [ 9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル) − 9 . H . -カルバゾール- 3 -イル] -テトラヒドロフラニルメタン- 1 -オンオキシム- O -ベンゾアート、1 - [ 9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル) - 9 . H . -カルバゾール- 3 -イル] -テトラヒドロフラニルメタン- 1 -オンオキシム- O -アセタート、1 - [ 9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル) - 9 . H . -カルバゾール- 3 -イル] -チオフェニルメタン- 1 -オンオキシム- O -ベンゾアート、1 - [ 9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル) - 9 . H . -カルバゾール- 3 -イル] -チオフェニルメタン- 1 -オンオキシム- O -アセタート、1 - [ 9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル)- 9 . H . -カルバゾール- 3 -イル] -モロフォニルメタン- 1 -オンオキシム- O -ベンゾアート、1 - [9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル) - 9 . H . -カルバゾール- 3 -イル] -モロフォニルメタン- 1-オンオキシム- O -アセタート、1 - [ 9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル) - 9 . H . -カルバゾール- 3 -イル] -エタン- 1 -オンオキシム- O -ビシクロヘプタンカルボキシレート、1 − [9 − エチル− 6 − ( 2 − メチルベンゾイル) − 9 .H .− カルバゾール- 3 -イル] -エタン- 1 -オンオキシム- O -トリシクロデカンカルボシキレート、1 - [9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル)- 9 . H . -カルバゾール- 3 -イル] -エタン- 1 -オンオキシム- O -アダマンタンカルボシキレート、1 , 2− オクタンジエン, 1 - [ 4 - (フェニルチオ) - , 2 -( O -ベンゾイルオキシム) ]( チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 製品名イルガキュアO X E 0 1) 、エタノン, 1 - [ 9 -エチル- 6 -( 2 -メチルベンゾイル) -9 H -カルバゾール-3 -イル] - , 1 - ( O -アセチルオキシム) ( チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製製品名イルガキュアO X E 0 2)などが挙げられる。
【0028】
アセトケトン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2 -ヒドロキシ-
2 -メチル- 1 -フェニルプロパン- 1 -オン、ベンジルジメチルケタール、2 -ヒドロキシ- 2 -メチル- 1 -〔4 -( 2 -ヒドロキシエトキシ) フェニル〕プロパン- 1 -オン、1
-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2 -メチル- 2 -モルホリノ- 1 -( 4 -メチルチオフェニル) プロパン- 1 -オン、2 -ベンジル- 2 -ジメチルアミノ- 1 -( 4 -モルホリノフェニル) ブタン- 1 -オン、2 -ヒドロキシ- 2 -メチル- 1 -〔4 -( 1 -メチルビニル) フェニル〕プロパン- 1 -オンのオリゴマーなどが挙げられる。特に2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、チバスペシャリティケミカルズ(株)社製:製品名イルガキュア369を用いることが望ましい。
【0029】
光重合開始剤としては、上述のオキシム系、アミノケトン系化合物のうち少なくとも1種類の光重合開始剤を使用するが、エチレン性不飽和結合を有し付加重合可能な化合物の重合を開始させうる化合物であれば、特に限定されるものではない。例えば、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。
【0030】
トリアジン系化合物としては、例えば、2 , 4 , 6 -トリス( トリクロロメチル) - 1
, 3 , 5 -トリアジン、2 -メチル− 4 , 6 -ビス( トリクロロメチル) - 1 , 3 , 5 -トリアジン、2 -フェニル- 4、6 -ビス( トリクロロメチル) - 1 , 3 , 5 -トリアジン、2 - ( 4 -クロロフェニル) - 4 , 6 -ビス( トリクロロメチル) - 1 , 3 , 5 -トリアジン、2 - ( 4 -メトキシフェニル) - 4 , 6 -ビス( トリクロロメチル) - 1 , 3 , 5 -トリアジン、2 - ( 4 -メトキシナフチル) - 4 , 6 -ビス( トリクロロRメチル) - 1 ,3 , 5 -トリアジン、2 - ( 4 -メトキシスチリル) - 4 , 6 -ビス( トリクロロメチル) - 1 , 3 , 5 -トリアジン、2 - ( 3 , 4 , 5 -トリメトキシスチリル) - 4 , 6 -ビス( トリクロロメチル) - 1 , 3 , 5 -トリアジン、2 - ( 4 -メチルチオスチリル) - 4 , 6 -ビス( トリクロロメチル) - 1 , 3 , 5 -トリアジン、2 -(ピプロニル) - 4 , 6 -ビス( トリクロロメチル) - 1 , 3 , 5 -トリアジンなどが挙げられる。ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0031】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o -ベンゾイル安息香酸メチル、4 -フェニルベンゾフェノン、4 -ベンゾイル- 4’ -メチルジフェニルサルファイド、3, 3’ , 4 , 4’ -テトラ( t e r t -ブチルパーオキシカルボニル) ベンゾフェノン、2 , 4 , 6 -トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0032】
黒色アルカリ現像型感光性組成物が、光重合開始剤として上述の少なくとも一種もしくは二種の化合物を含有することで、極めてわずかな照射量の光によって効率的に活性化することができる。これは、電子バンドスペクトルの異なる化合物が共存することで、光重合開始剤が高い感度を有する光の正味の波長領域を広げるか、もしくは少なくとも二種の化合物が相互作用することによる。こうして感光性組成物の感度や現像マージンをさらに高めることで、ブラックマトリクスパターンを直線性が高く、ハガレや残さのない良好な形態にすることがさらに容易となる。
【0033】
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチルセロソルブ、エチルセロソルプアセテート、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、ジグライム、シクロヘキサノン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸イソアミル、酢酸nアミル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール、トリエチリングリコールモノメチルエーテル、トリエチリングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、液体ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エステル、及びエチルエトキシプロピオネートなどが挙げられ、これらを単独で、あるいは二種以上混合して使用することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、各種の添加剤等を配合することができる。
【0034】
以下に、フォトリソグラフィーを用いた本発明のカラーフィルタ製造方法の一例を図1で説明する。
【0035】
まず、図1に示すように、例えばガラス等の透明基板1を用意する。ガラス以外の基板としては、シリコン基板、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、芳香族ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板、Al基板、GaAs基板等の表面が平坦な基板などを用いてもよい。
【0036】
色材にカーボンブラックを用いた遮光膜形成用のアルカリ現像型黒色樹脂組成物を調製し、例えばスピンコート法で塗布した後、必要に応じて加熱、たとえば100℃で3分間加熱して溶剤などの揮発成分を乾燥させる(プリベーク)。次いで、所定のマスクを用い、光源として超高圧水銀ランプ等を用いて露光した後、例えば炭酸ナトリウム水溶液等でアルカリ現像し、水洗乾燥後、例えば230℃で1時間ベークしてブラックマトリクス2を形成する。
【0037】
塗布方法としては、例えばスプレーコート法、スピンコート法、ロールコート法、及びカーテンコート法等の公知の方法を使用することができる。
【0038】
露光に用いられる活性光の光源としては、波長300〜450nmの光を用いることができ、例えば、上記した超高圧水銀ランプに加えて、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等から照射される光を用いることができる。
【0039】
また、現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
【0040】
形成されたブラックマトリクス2の厚みに依存する光学濃度(OD値)は3.0〜6.0の範囲で使用することが好ましい。3.0より小さい場合では、液晶ディスプレイのブラックマトリックスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができず、バックライトの光が漏れる。また6.0より大きい場合では十分な遮光性は得られるが、顔料濃度が高くなりパターンを形成する際、形状がオーバーハングしやすくなる。厚みに依存するとは、単位の厚み(1μm)当たりに還元しないその厚さの光学濃度という意味である。
【0041】
次いで、ブラックマトリクス2が形成された透明基板1上に、赤色感光性組成物を、スプレーコート、スピンコート、スリットコート又はロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥されたこの赤色感光性樹脂層に、所定のパターンを有するフォトマスクを介して、光源として例えば超高圧水銀ランプを用いて活性エネルギー線を露光する。
【0042】
その後、未露光部を、アルカリ現像液、例えば2、5%炭酸ナトリウム水溶液で現像後、よく水洗し、さらに水洗乾燥する。このようにして、図1に示すように、ブラックマトリクス2が形成された透明基板1上に、パターン加工された赤色層3を得る。この現像液には必要に応じて消泡剤や界面活性剤を添加することができる。現像後、例えば230℃で60分間加熱処理を行い、本硬化(ポストベーク)する。これを所望の色数の画素部が形成されるまで繰り返して着色層のパターン加工を行うことにより、例えば緑色感光性組成物を用いてパターン加工された緑色着色層4を、青色感光性組成物を用いてパターン加工された青色着色層5を得る。このようにして、透明基板1と所定のパターンで配列した着色層、例えば赤色着色層3、緑色着色層4、及び青色着色層5から構成される複数色の画素部と、隣接する各着色層間を遮光するブラックマトリスク2とを有する本発明のカラーフィルタ基板を得ることができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0044】
フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度= 55.4重量%、新日鐵化学(株)社製V259ME)12.1gに対し、エチレン性不飽和結合を有する化合物として、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート3.9g、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−、1−(O−アセチルオキシム)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア OXE02)0.8g、溶剤として、シクロヘキサノン32.9g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート32.9g、添加剤にアデカポリエーテルG−400を1.0g加え、感光性組成物を得た。さらに、遮光剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 TPBK−234C)16.5gを加えてよく撹拌し、顔料濃度24%、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.5である黒色アルカリ現像型感光性組成物100gを得た。
【実施例2】
【0045】
フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度= 55.4重量% 、新日鐵化学(株)社製V259ME)6.3gに対し、エチレン性不飽和結合を有する化合物として、トリメチロールプロパントリメタアクリレート2.8g、光重合開始剤として、イルガキュア OXE02を0.6g、溶剤として、シクロヘキサノン29.2g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート29.2g、添加剤にアデカポリエーテルG−400を1.0g加え、感光性組成物を得た。さらに、遮光剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 TPBK−234C)33.0gを加えてよく撹拌し、顔料濃度30.9%、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.5である黒色アルカリ現像型感光性組成物100gを得た。
【実施例3】
【0046】
フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度=55.4重量%、新日鐵化学( 株)社製V259ME)9.5gに対し、エチレン性不飽和結合を有する化合物として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート5.1g、光重合開始剤として、イルガキュア OXE02を1.0g、溶剤として、シクロヘキサノン33.4g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート33.4g、添加剤にアデカポリエーテルG−400を1.0g加え、感光性組成物を得た。さらに、遮光剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 EX−2806)16.5gを加えてよく撹拌し、顔料濃度24%、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.8である黒色アルカリ現像型感光性組成物100gを得た。
【実施例4】
【0047】
フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物のプロピレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度=55.4重量%、新日鐵化学( 株)社製V259ME)4.4gに対し、エチレン性不飽和結合を有する化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3.7g、光重合開始剤として、イルガキュア OXE02を0.7g、シクロヘキサノン29.6g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート29.6g、添加剤にアデカポリエーテルG−400を1.0g加え、感光性組成物を得た。さらに、遮光剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 EX−2806)30.9gを加えてよく撹拌し、顔料濃度45%、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.8である黒色アルカリ現像型感光性組成物100gを得た。
【0048】
<比較例1>
フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度= 55.4重量% 、新日鐵化学(株)社製V259ME)11.5gに対し、エチレン性不飽和結合を有する化合物として、ジジペンタエリスリトールテトラメタアクリレート3.1g、光重合開始剤としてイルガキュア OXE02を0.6g、溶剤として、シクロヘキサノン31.6g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート31.6g、添加剤にアデカポリエーテルG−400を1.0g加え、感光性組成物を得た。さらに、遮光剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 EX−2806)20.6gを加えてよく撹拌し、顔料濃度30%、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.4である黒色アルカリ現像型感光性組成物100gを得た。
【0049】
<比較例2>
フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度= 55.4重量% 、新日鐵化学(株)社製V259ME)7.4gに対し、エチレン性不飽和結合を有する化合物として、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート5.0g、光重合開始剤として、イルガキュア OXE02を1.0g、溶剤として、シクロヘキサノン32.5g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート32.5g、添加剤にアデカポリエーテルG−400を1.0g加え、感光性組成物を得た。さらに、遮光剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 TPBK−234C)20.6gを加えてよく撹拌し、顔料濃度30%、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.9である黒色アルカリ現像型感光性組成物100gを得た。
【0050】
<比較例3>
フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度= 55.4重量%、新日鐵化学(株)社製V259ME)4.7gに対し、エチレン性不飽和結合を有する化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3.4g、光重合開始剤として、イルガキュアOXE02を0.7g、溶剤として、シクロヘキサノン29.3g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート29.3g、添加剤にアデカポリエーテルG−400を1.0g加え、感光性組成物を得た。さらに、遮光剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 TPBK−234C)31.6gを加えてよく撹拌し、顔料濃度49%、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.7である黒色アルカリ現像型感光性組成物100gを得た。
【0051】
<比較例4>
フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度= 55.4重量%、新日鐵化学(株)社製V259ME)10.5gに対し、エチレン性不飽和結合を有する化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート4.8g、光重合開始剤として、イルガキュアOXE02を1.0g、溶剤として、シクロヘキサノン33.5g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート33.5g、添加剤にアデカポリエーテルG−400を1.0g加え、感光性組成物を得た。さらに、遮光剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 TPBK−234C)15.8gを加えてよく撹拌し、顔料濃度23%、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.7である黒色アルカリ現像型感光性組成物100gを得た。
【0052】
得られた着色アルカリ現像型感光性組成物について、以下の手順で評価を行った。
基板上に、上記アルカリ現像性感光性組成物をスピンコート(500r.p.m、50秒間)し乾燥させた。100℃で3分間プリベークを行った後、所定のマスクを用い、光源として超高圧水銀ランプを用いて露光後、2.5重量%炭酸ナトリウム溶液に25℃で30秒間浸漬して現像し、良く水洗した。水洗乾燥後、230℃で1時間ベークしてブラックマトリクス(線幅30μm、厚み2.0μm)を形成した。得られたブラックマトリクスパターンについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0053】
<OD値>
ブラックマトリクスの遮光性の指標となる光学濃度(OD値)についてはGretag Macbeth社製D―200IIを用いて測定を行った。得られたOD値を、塗工膜の厚み(2.0μm)で割り、1μmあたりの光学濃度(OD値)を算出した。
【0054】
<しわ>
積算露光量を100mJ/cm2で露光し、アルカリ現像後、塗布基板を230℃で20分加熱後、放冷し、得られた黒色組成物を光学顕微鏡で観察した。しわが発生しなかったものを○、しわが発生したものを×とした。
【0055】
<感度>
露光時に、露光量が100mJ/cm2で十分だったものを○、100mJ/cm2では不十分で、200mJ/cm2で露光したものを×とした。
【0056】
<断面形状>
形成したブラックマトリクスパターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立製S−4500)を用いて観察した。ブラックマトリクスのテーパー角度を計測し、40〜85°となるものを順テーパー形状で○、85°以上となるものを垂直〜逆テーパー形状×として評価した。
【0057】
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた着色アルカリ現像型感光性組成物について、全て同じ手順で評価を行った。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
実施例1〜4の着色アルカリ現像型感光性組成物から形成されたブラックマトリクスは、しわが発生せず、高感度で、テーパー角度40〜85°以下となる順テーパー形状となるものであった。
【0061】
それに対して、比較例1では、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.4であるために遮光膜形成用黒色樹脂組成物中のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の量が少なくなることで二重結合当量も少な
くなり感度が低くなった。比較例2では、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.9であるためにモノマー量が多くなることでベーク時に塗膜が膜縮みしたためしわが発生した。比較例3では、顔料濃度が46%であるために、テーパー角度が85°以上となり形状が著しく悪化が確認された。
【0062】
[着色材料の作製]
カラーフィルタ作製に用いる着色材料を着色する着色剤としては、以下のものを使用した。
【0063】
<赤色着色樹脂組成物>
赤色顔料として、C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B-CF」) 18gとC.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)2g、分散剤(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」)2g、変性エポキシ樹脂溶液(A−1)108gの混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
【0064】
その後、上記分散体130g、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学(株)製「NKエステルATMPT」)13g、光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」)3g、増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB-F」)1g、溶剤としてシクロヘキサノン253gの混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色着色樹脂組成物を得た。
【0065】
<緑色着色樹脂組成物>
緑色顔料として、C.I.Pigment Green 36(東洋インキ製造(株)製「リオノールグリーン 6YK」)16g、黄色顔料C.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y-5688」)8g、分散剤(ビックケミー社製「Disperbyk-163」)2g、変性エポキシ樹脂溶液(A−1)100部の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して緑色顔料の分散体を作製した。
【0066】
その後、上記分散体128g、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学(株)製「NKエステルATMPT」)14部 、光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」)4g、増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB-F」)2g、シクロヘキサノン257gの混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して緑色着色樹脂組成物を得た。
【0067】
<青色着色樹脂組成物>
青色顔料として、C.I.Pigment Blue 15(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)50g、紫色顔料としてC.I.Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット5890」) 2g、分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」)6g、変性エポキシ樹脂溶液(A−1)200gの混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して青色顔料の分散体を作製した。
【0068】
上記分散体268g、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学(株)製「NKエステルATMPT」)19g、光開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」)4g、増感剤(保土ヶ谷化学工業(株)製「EAB-F」)2g、溶剤として、シクロヘキサノン214gの混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して青色着色樹脂組成物を得た。
【0069】
[カラーフィルタの作製]
得られた赤色着色樹脂組成物、緑色着色樹脂組成物及び青色着色樹脂組成物を用いて下記の要領でカラーフィルタを作製した。ブラックマトリクス形成用レジストとして実施例1を用いた場合を実施例5〜6、比較例2のブラックマトリクス形成用黒色レジストを用いた場合を比較例4〜5とした。
【0070】
基板に、赤色着色樹脂組成物をスピンコートにより膜厚2μmとなるように塗布した。乾燥の後、露光機にてストライプ状のパターン露光をし、アルカリ現像液例えば2、5%炭酸ナトリウム水溶液にて90秒間現像後よく水洗した。続いて210℃のオーブンで30分間ポストベークを行い、ストライプ状の着色層である赤色画素を透明基板上に形成した。次に、緑色着色樹脂組成物も同様にスピンコートにて膜厚が2μmとなるように塗布、乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素とはずらした場所に露光し現像後ポストベークすることで、前述赤色画素と隣接した緑色画素を形成した。
【0071】
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、青色着色樹脂組成物についても膜厚2μmで赤色画素、緑色画素と隣接した青色画素を形成した。これで、透明基板上に赤、緑、青の3色のストライプ状の画素を持つカラーフィルタが得られた。
【0072】
実施例1、2および比較例4のカラーフィルタについて、光漏れの評価結果を表3に示した。バックライトを当てたとき、ブラックマトリクスと着色層の間に光漏れ及び白抜けが確認できなかった場合を○、確認された場合を×とした。
【0073】
【表3】

【0074】
表1より明らかなとおり、本発明の実施例1〜4で得られた黒色アルカリ現像型感光性組成物は、高い遮光性、良好なパターン形状いずれをも両立するという点で、比較例1〜2で得られた黒色アルカリ現像型感光性組成物よりも優れている。
また、表3より明らかなとおり、実施例1、2から得られた実施例5,6のカラーフィルタは白抜けのない良好なものとなった。
【0075】
実施例5,6のカラーフィルタを用いた液晶表示装置は、額縁部、画素部から光漏れのない、コントラストの高い良好なものとなった。一方、比較例5のカラーフィルタを用いた液晶表示装置は、光漏れが発生した。
【符号の説明】
【0076】
1、基板
2、ブラックマトリックス
3、赤色着色画素
4、緑着色画素
5、青着色画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも顔料、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、光重合開始剤、溶剤からなる黒色アルカリ現像型感光性組成物であって、顔料の含有量が黒色アルカリ現像型感光性組成物中の全固形分に対して、24%〜45%の範囲であり、アルカリ可溶性樹脂aとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物bとの質量比率がb/a=0.5〜0.8の範囲となることを特徴とする黒色アルカリ現像型感光性組成物。
【請求項2】
前記黒色アルカリ現像型感光性組成物を硬化させた後の単位厚み当たりの光学濃度が1.5〜2.8/μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の黒色アルカリ現像型感光性組成物。
【請求項3】
前記黒色アルカリ現像型感光性組成物を硬化させた後の厚みに依存する光学濃度が3.0〜5.6の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の黒色アルカリ現像型感光性組成物。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の黒色アルカリ現像型感光性組成物を用いて形成したブラックマトリックス及び複数色の着色層を備えることを特徴とするカラーフィルタ基板。
【請求項5】
請求項4に記載のカラーフィルタ基板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−169934(P2011−169934A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30939(P2010−30939)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】