説明

黒色重合性組成物、及び、黒色層の作製方法

【課題】アルカリ現像液耐性に優れた黒色重合性組成物、及び、ウェハレベルレンズ等を提供する。
【解決手段】(A)黒色材料と、(B)重合開始剤と、(C)重合性化合物と、(D)重量平均分子量が少なくとも3万であり、且つ、側鎖に重合性基を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーとを含有する黒色重合性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のアルカリ可溶性バインダーポリマーを用いた黒色重合性組成物、特に基板に複数のレンズが配列されたウェハレベルレンズアレイの遮光領域形成に用いられる黒色重合性組成物、及び、該黒色重合性組成物を用いた黒色層の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子と、固体撮像素子上に被写体像を結像するレンズとを備えている。
【0003】
携帯端末の小型化・薄型化、及び普及により、それに搭載される撮像ユニットにも更なる小型化・薄型化、生産性の向上が要請される。かかる要請に対して、複数のレンズが形成されたレンズ基板と、複数の固体撮像素子が形成されたセンサ基板とを一体に組み合わせ、その後、それぞれにレンズ及び固体撮像素子を含むようにレンズ基板及びセンサ基板を切断して撮像ユニットを量産する方法が知られている。また、レンズのみをガラスウェハ上等で作製し、個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせて撮像ユニットを作製する方法がある。その他、樹脂を金型で複数のレンズに形成し、得られたレンズをセンサ基板上に組み合わせて切断する方法や、レンズを個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせ、撮像ユニットを作製する方法等が知られている。
以下、本明細書においては、レンズ基板に形成された複数のレンズの個々のレンズを、適宜「ウェハレベルレンズ」と呼び、レンズ基板に形成されたレンズ群を、このレンズ基板を含めて、適宜「ウェハレベルレンズアレイ」と呼ぶ。
【0004】
従来のウェハレベルレンズアレイとしては、ガラス等の光透過性材料で形成された平行平板の基板の表面に硬化性樹脂材料を滴下し、この樹脂材料を金型にて所定の形状に整形した状態で硬化させ、複数のレンズを形成したものが知られている(例えば特許文献1、2参照)。ウェハレベルレンズのレンズ部以外や、レンズの一部には光の量を調整するため、黒色膜や金属膜等からなる遮光性の領域が形成されることがあり、一般には、硬化性の遮光性組成物を塗設したり、金属を蒸着したりすることで遮光性の領域が形成される。
【0005】
また、他のウェハレベルレンズアレイとして、シリコン基板に複数の貫通孔を形成し、別途形成した球体状のレンズ素材を各貫通孔に配置し、半田によりレンズ素材を基板に接合した後にレンズ素材を研磨して、複数のレンズを形成したものも知られている(特許文献3参照)。これらも光の量を調整するため、上記と同様の黒色膜や金属膜等を設けることがある。
【0006】
遮光性の領域を金属の蒸着により形成する場合、工程が煩雑であること、蒸着後にレンズが反ること等の問題点があるため、生産性、性能の双方の面から改善が求められている。
【0007】
一方、遮光性を発現させる為、塗布方式として、黒色重合性組成物が使用されている(特許文献4及び5)。
黒色重合性組成物が、可視域の遮光性を確保する場合、黒色重合性組成物の硬化に使用される露光光源であるg線、h線、及び/又は、i線等から選ばれる放射線の透過性が十分でない。そのために、膜の深部まで十分に硬化せず、画像様に露光した後に、未露光部を除去する為アルカリ現像工程において膜に剥れが生じる等の問題があった。
【0008】
しかし、これらのアルカリ現像液耐性に関する問題に対しては、いまだ十分な検討はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3926380号公報
【特許文献2】国際公開第2008/102648号パンフレット
【特許文献3】米国特許第6426829号明細書
【特許文献4】特開2010−8656号公報
【特許文献5】特開2006−276421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、アルカリ現像液耐性を有することにより、優れた遮光性を示す黒色重合性組成物を提供することにある。
また、スプレーにより塗布可能な黒色重合性組成物を提供することにある。
さらに、これらの黒色重合性組成物を用いた、ウェハレベルレンズの遮光領域に有用な黒色層の作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
通常、硬化系の組成物では、アルカリ可溶性基として、カルボン酸を含有する樹脂が使用されるが、未露光部の残渣を除去すべく現像を強化した場合、画像部が剥れるなどの問題を有していた。
特に、レンズのアパチャーなどに使用する場合には、可視域から赤外域まで幅広い遮光性が求められる。
黒色重合性組成物を用いて遮光膜を形成する場合、一般的に250nm〜500nmの光源で画像様に露光後、アルカリ現像液にて現像されるが、該硬化系は250nm〜500nmの波長領域を遮光する黒色材料を含有するため、露光光源の光透過性が不十分で、形成された膜の深部まで十分硬化しないことがある。そのため、残膜の低減を防止するために現像を強化した場合には、酸性の強いカルボン酸が画像部への現像液の浸透を引き起こし、画像部の強度低下により遮光膜(黒色膜)の剥れが生じる懸念があった。
また、ウェハレベルレンズのアパチャーなどに使用する場合、ガラスウェハ上に黒色重合性組成物を塗布し、その後、レンズを形成する方式や、ガラスウェハ上にレンズを形成後、黒色重合性組成物を塗布する方式等が考えられるが、特にレンズ形成後に黒色重合性組成物を塗布する場合には、スプレー塗布により構造基板上に塗布することが有効である。
すなわち、本発明者らは、各種黒色重合性組成物を詳細に検討した結果、アルカリ現像液耐性を有することにより、優れた遮光性を有する黒色重合性組成物を提供することができることを見出した。また、スプレーにより塗布可能な黒色重合性組成物を提供することができることを見出した。さらに、これらの黒色重合性組成物を用いた、ウェハレベルレンズの遮光領域に有用な黒色層の作製方法を提供することができることを見出した。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)黒色材料、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)重量平均分子量が少なくとも3万であり、且つ、側鎖に重合性基を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーを含有する黒色重合性組成物。
<2> 前記(A)黒色材料が、チタンブラックである<1>に記載の黒色重合性組成物。
<3> 前記(D)アルカリ可溶性バインダーポリマーが、重量平均分子量が5万以上10万以下であり、且つ、側鎖に重合性基を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーである<1>又は<2>のいずれかに記載の黒色重合性組成物。
<4> ウェハレベルレンズの遮光領域形成に用いられる<1>から<3の>いずれか1に記載の黒色重合性組成物。
<5> スプレーにより塗布可能な<1>から<4>のいずれか1に記載の黒色重合性組成物。
<6> 黒色重合性組成物中の全固形分が、20質量%から35質量%である<1>から<5>のいずれか1に記載の黒色重合性組成物。
<7> 固体表面に、<1>から<6>のいずれか1に記載の黒色重合性組成物をスプレー塗布により適用して黒色重合性組成物層を形成する工程と、
形成された黒色重合性組成物層にエネルギーを付与して硬化させる工程と、を含む黒色層の作製方法。
<8> 前記固体表面がウェハレベルレンズの周辺部表面であり、前記黒色層がウェハレベルレンズ周辺部に形成された遮光領域である<7>に記載の黒色層の作製方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明に従えば、アルカリ現像液耐性を有することにより、優れた遮光性を示す黒色重合性組成物を提供することができる。
また、スプレーにより塗布可能な黒色重合性組成物を提供することができる。
さらに、これらの黒色重合性組成物を用いた、ウェハレベルレンズの遮光領域に有用な黒色層の作製方法を提供することができることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ウェハレベルレンズアレイの一例を示す平面図である。
【図2】図1に示すA−A線断面図である。
【図3】基板にレンズとなる成形材料を供給している状態を示す図である。
【図4】図4A〜図4Cは、基板にレンズを型で成形する手順を示す図である。
【図5】図5A〜図5Cは、レンズが成形された基板にパターン状の遮光膜を形成する工程を示す概略図である。
【図6】ウェハレベルレンズアレイの一例を示す図である。
【図7】図7A〜図7Cは、遮光膜形成工程の他の態様を示す概略図である。
【図8】図8A〜図8Cは、パターン状の遮光膜を有する基板にレンズを成形する工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の黒色重合性組成物について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実形態様に限定されるものではない。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
【0015】
<(D)アルカリ可溶性バインダーポリマー>
本発明の黒色重合性組成物は、重量平均分子量が3万であり、且つ、側鎖に重合性基を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーを含有する。
本発明に用いられる(D)アルカリ可溶性バインダーポリマーの主鎖を構成するポリマーとしては、(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂 ノボラック樹脂、レゾール樹脂等のフェノール樹脂等が挙げられる。特に、(メタ)アクリル系重合体、スチレン樹脂、フェノール樹脂が好ましい。また、感度と解像性の観点から(メタ)アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル系重合体であることが最も好ましい。
【0016】
本発明における、「(メタ)アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アリルエステル等)、(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミド誘導体等の(メタ)アクリル酸誘導体を重合成分として有する共重合体のことを言う。
なお、本明細書においては、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれか或いは双方を表す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
本発明における、「ポリウレタン樹脂」とは、イソシアネート基を2つ以上有する化合物とヒドロキシル基を2つ以上有する化合物との縮合反応により生成されるポリマーのことをいう。
本発明における、「ポリビニルブチラール樹脂」は、ポリ酢酸ビニルを一部又は全てを鹸化して得られるポリビニルアルコールとブチルアルデヒドとを酸性条件下で反応(アセタール化反応)させて合成されるポリマーのことを言い、さらに、残存したヒドロキシル基と酸基等を有する化合物とを反応させる方法等により、酸基等を導入したポリマーも含まれる。
【0017】
本発明における、「スチレン樹脂」は、ビニル基等のアルケニル基が直接連結されたベンゼン、ナフタレン、アントラセン、複素環等の芳香族化合物と、(メタ)アクリル酸、及び/又は、(メタ)アクリル酸の誘導体とを、ラジカル重合により共重合することにより得られるポリマーのことを言う。
当該芳香族化合物は、例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、カルボニル基、エーテル基、アルコキシカルボニル基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリール基、アルコキシ基、スルフィド基、メルカプト基等で置換可能である。
重合は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合を行うことが可能であり、重合後、必要に応じアルカリ処理、酸処理等を行うことにより所望のスチレン樹脂を得ることが可能である。
【0018】
アルカリ可溶性バインダーポリマーの主鎖を構成するポリマーとして、本発明において使用可能なこの他の樹脂としては、公知の樹脂を使用することができ、例えば特開2005−250438号公報の段落番号[0029]〜[0108]等に記載のポリウレタン樹脂や特開2010−39121号公報の段落番号[0009]〜[0019]等に記載の分子内にアミドと重合性基を有する樹脂、特開2000−191737号公報の段落番号[0014]〜[0015]等に記載のアクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする樹脂にエポキシ基含有不飽和化合物を反応させて得られる樹脂等が好適である。
【0019】
本発明におけるアルカリ可溶性バインダーポリマーは、現像時、露光部である画像部の現像液への溶け出しを抑制する為に高分子量であることが好ましく、且つ、硬化性向上の為に重合性基を有する。
本発明におけるアルカリ可溶性バインダーポリマーは、重量平均分子量が少なくとも3万である。重量平均分子量が3万未満の場合、画像部の現像液に対する耐性が十分ではない。
また、画像部と非画像部の現像性の観点から、アルカリ可溶性バインダーポリマーは、重量平均分子量が、好ましくは3万以上50万以下であり、より好ましくは重量平均分子量が4万以上20万以下であり、さらに好ましくは重量平均分子量が5万以上10万以下である。
なお、本発明では、重量平均分子量は、GPC法によりスチレン換算で測定した値を用いている。
【0020】
本発明におけるアルカリ可溶性バインダーポリマーは、そのポリマーの側鎖に重合性基を有する。側鎖が有する重合性基としては、アクリル基、メタクリル基、スチリル基、アリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基、ビニルエーテル基等が挙げられるが、安定性と反応性の観点から、アクリル基、メタクリル基、アリル基が好ましく、最も好ましくはメタクリル基である。
側鎖が有する重合性基の量は、ポリマー中の重合性基を有するモノマーユニット中で10モル%以上80モル%以下が好ましく、感度、現像性、安定性の観点から30モル%以上60モル%以下がより好ましい。
【0021】
ここで、アルカリ可溶性バインダーポリマーのポリマーへの重合性基の導入方法としては、特開2000−187322号公報の段落番号[0014]等に記載されるように、バインダー中のカルボン酸基の一部にグリシジルメタクリレート等の環状エーテルと(メタ)アクリル基を有する化合物を反応させて導入する方法、特開2000−191737号公報記載のアクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする樹脂にエポキシ基含有不飽和化合物を反応させて共重合成分に水酸基を有するモノマーを用いたバインダーにメタクリル酸無水物やアクリル酸無水物、或いはアクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリドを反応させ得る方法、又は、共重合成分に水酸基を有するモノマーを用いたバインダーにメタクリル酸やアクリル酸を共存させ脱水縮合させる方法、特開2005−47947号公報の段落番号[0028]等に記載されるメタクリル酸誘導体及び/又はアクリル酸誘導体を側鎖に有するモノマーを重合し、塩基処理を行うことにより得る方法等が挙げられる。
【0022】
本発明におけるアルカリ可溶性バインダーポリマーは、アルカリ可溶性を発現させる官能基を有する。アルカリ可溶性を発現させる官能基として、分子内に酸基を有することが必要である。好ましい酸基としては、カルボン酸、リン酸、モノリン酸エステル、スルホン酸、スルフィン酸、スルホンアミド基、フェノール性水酸基、チオール基、アセチル酢酸アルキル基又はこれらの誘導体等が挙げられる。
感度、安定性、現像性の観点から、酸基としては、カルボン酸基が好ましい。
本発明におけるアルカリ可溶性バインダーポリマーがアルカリ可溶性基を有する場合、酸価が5mgKOH/g〜150mgKOH/gでありことが好ましく、30mgKOH/g〜100mgKOH/gが最も好ましい。
アルカリ可溶性を発現させる官能基の導入方法としては、ラジカル重合にて重合する場合、メタクリル酸、アクリル酸、ビニル安息香酸、ビニルフェノールなどのように酸基とエチレン基などの重合性基を有する化合物を重合することにより導入することができる。また、アセトキシビニルフェノールを重合し加水分解することにより得ることができる。
ウレタンバインダーの場合、カルボン酸を有するジオールをジイソシアネート化合物と縮重合することにより酸基を導入する等の方法が挙げられる。
【0023】
本発明におけるアルカリ可溶性バインダーポリマーの主鎖を構成するポリマーが(メタ)アクリル系重合体である場合には、カルボン酸基を有するポリマーはラジカル重合により得ることができる。
ラジカル重合に用いることが可能な酸基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、β-カルボキシエチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、フタル酸モノヒドロキシエチルメタクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノメタクリレート、β-カルボキシエチルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、4−カルボキシルスチレン等が挙げられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。また、この他の利用可能なモノマーを用いてもよい。
これらの酸基含有モノマーと共重合可能なモノマーとしては、以下の(1)から(12)が挙げられる。
【0024】
(1)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
【0025】
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
【0026】
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
【0027】
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
【0028】
(10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特開2002−309057号公報、特開2002−311569号公報等に記載されている化合物を挙げる事ができる。
【0029】
また、好適なものとして、側鎖にアリル基やビニルエステル基とカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合体及び特開2000−187322号公報に記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂や、特開2001−242612号公報に記載されている側鎖にアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂等を挙げることができる。
以下に、アルカリ可溶性バインダーポリマーとして最も好ましいものの例を挙げる。
【0030】
【化1】

【0031】
【化2】

【0032】
【化3】

【0033】
本発明におけるアルカリ可溶性バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
アルカリ可溶性バインダーポリマーの含有量は、良好な画像部の強度と現像液耐性の観点から、黒色重合性組成物の全固形分に対して、5質量%〜75質量%が好ましく、10質量%〜70質量%がより好ましく、10質量%〜60質量%であるのが更に好ましい。
なお、本発明において「全固形分」とは、黒色重合性組成物中、溶剤を除く全成分の合計量を表す。
【0034】
<(A)黒色材料>
本発明の黒色重合性組成物は、黒色材料を含有する。
本発明に用いられる(A)黒色材料としては、黒色顔料、黒色染料、赤顔料、青顔料、緑顔料、黄色顔料、オレンジ顔料、バイオレット顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料又はグレー顔料等の組み合わせ、或いは、赤染料、青染料、緑染料、黄色染料、オレンジ染料、バイオレット染料、シアン染料、マゼンタ染料又はグレー染料等の組み合わせ等が挙げられる。遮光性、保存安定性、安全性等の観点から、好ましくは、黒色顔料が挙げられる。
黒色顔料としては、チタンブラックやカーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
カーボンブラック(C.I.Pigment Black 7)の市販品の例としては、カーボンブラックMA−100R(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
カーボンブラック以外の無機顔料の具体的な例としては、例えば、金属顔料、チタンブラック、亜鉛華、鉛白、リトポン、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、沈降性硫酸バリウム及びバライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)ジルコングレー、プラセオジムイエロー、クロムチタンイエロー、クロムグリーン、ピーコック、ビクトリアグリーン、紺青(プルシアンブルーとは無関係)、バナジウムジルコニウム青、クロム錫ピンク、陶試紅、サーモンピンク等が挙げられる。
また、黒色の無機顔料としては、Co、Cr、Cu、Mn,Ru、Fe、Ni、Sn、Ti及びAgからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属元素を含む金属酸化物、金属窒素物が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、また、2種以上の混合物として用いることもできる。
特に、紫外から赤外までの広い波長域での遮光性を発現する目的で、単独のみならず、複数種の顔料を混合し、使用することが可能である。
【0035】
金属顔料及びチランブラックは、遮光性と硬化性の観点から好ましい。
金属顔料としては、銀及び錫等が好ましく、銀と錫の混合物も好ましい。
また、紫外領域から赤外領域までを遮光するという観点からチタンブラックが最も好ましい。
【0036】
本発明においてチタンブラックとは、チタン原子を有する黒色粒子である。好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等である。
チタンブラック粒子は、分散性向上、凝集性抑制等の目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等で被覆することが可能であり、また、特開2007−302836号公報に示されるような撥水性物質での処理も可能である。
また、チタンブラックは、分散性、着色性等を調整する目的でCu、Fe、Mn、V、Ni等の複合酸化物、酸化コバルト、酸化鉄、カーボンブラック、アニリンブラック等の黒色顔料を1種あるいは2種以上の組み合わせで含有してもよい。この場合、顔料の50質量%以上をチタンブラック粒子が占めるものとする。
【0037】
チタンブラックの市販品の例としては、三菱マテリアル社製チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13R、13R−N、赤穂化成(株)ティラック(Tilack)D等が挙げられる。
【0038】
チタンブラックの製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)等があるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
チタンブラックの粒子の粒子径は特に制限は無いが、分散性、着色性の観点から、3nm〜2000nmであることが好ましく、更に好ましくは10nm〜500nmであり、最も好ましくは10nm〜100nmである。また、チタンブラックの粒子の平均一次粒子径は特に制限は無いが、分散性、着色性の観点から、3nm〜2000nmであることが好ましく、更に好ましくは10nm〜500nmであり、最も好ましくは、10nm〜100nmである。
チタンブラックの比表面積は、とくに限定されないが、チタンブラックを撥水化剤として使用した場合に、チタンブラックで表面処理した後の撥水性が所定の性能となることが好ましい。具体的には、BET法にて測定した値が通常5m/g〜150m/g程度、特に20m/g〜100m/g程度であることが好ましい。
【0040】
本発明における無機顔料の粒径は、平均粒径が5nm〜0.01mmであることが好ましく、分散性、遮光性、経時での沈降性の観点から平均粒径が10nm〜1μmであることがより好ましい。
本発明の黒色重合性組成物には、黒色材料は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、後述するように、遮光性の調整等を目的として、有機顔料や染料等を所望により併用してもよい。
黒色重合性組成物中の黒色材料の含有量は、全固形分に対し、5質量%〜70質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがさらに好ましい。
【0041】
(顔料分散剤)
(A)黒色材料として、顔料を用いて黒色重合性組成物に配合する場合には、予め顔料を公知の顔料分散剤に分散して、顔料分散物を作製し、これを配合することが、得られる組成物の均一性の観点から好ましい。
顔料分散剤(以下、単に「分散剤」とも称する)としては、例えば、公知の顔料分散剤や界面活性剤を適宜選択して用いることができる。
【0042】
顔料分散剤としては、具体的には、多くの種類の化合物を使用可能であり、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学工業(株)製)、W001(裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004,W005,W017(裕商(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46,EFKA−47,EFKA−47EA,EFKAポリマー100,EFKAポリマー400,EFKAポリマー401,EFKAポリマー450(いずれも、BASF社製),ディスパースエイド6,ディスパースエイド8,ディスパースエイド15,ディスパースエイド9100(いずれもサンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000,5000,9000,12000,13240,13940,17000,24000,26000,28000,32000,36000等の各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール(株)製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108,L121,P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)、Disperbyk 101,103,106,108,109,111,112,116,130,140,142,162,163,164,166,167,170,171,174,176,180,182,2000,2001,2050,2150(ビックケミー(株)社製)が挙げられる。
その他、アクリル系共重合体等、分子末端もしくは側鎖に極性基を有するオリゴマーもしくはポリマーが挙げられる。
また、川研ファインケミカル(株)製、ヒノアクトT−8000E等の両性分散剤を好適に用いることができる。
分散性、現像性、沈降性の観点から、好ましくは、特開2010−106268号公報に記載の以下に示す樹脂が好ましく、特に、分散性の観点から、側鎖にポリエステル鎖を有する高分子分散剤が好ましく、また、分散性と、フォトリソグラフィー法により形成されたパターンの解像性の観点から、酸基とポリエステル鎖とを有する樹脂が好ましい。顔料分散剤における好ましい酸基としては、吸着性の観点から、pKaが6以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸、スルホン酸、リン酸が好ましい。分散溶液への溶解性、分散性、現像性の観点から最も好ましくは、ポリエステル鎖がポリカプロラクトン側鎖であり、カルボン酸基を有する樹脂が好ましい。
【0043】
以下に、本発明において好ましく用いられる特開2010−106268号公報に記載される分散剤について説明する。
好ましい分散剤としては、分子内に、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であり、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、及びポリアクリレート構造から選択されるグラフト鎖を有するグラフト共重合体であり、少なくとも下記式(1)〜式(4)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましく、少なくとも、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3A)、下記式(3B)、及び下記(4)のいずれかで表される構造単位を含むことがより好ましい。
【0044】
【化4】

【0045】
式(1)〜式(4)において、W、W、W及びWはそれぞれ独立に酸素原子或いはNHを表し、特に酸素原子が好ましい。
式(1)〜式(4)において、X、X、X、X及びXはそれぞれ独立に水素原子或いは1価の有機基を表す。X、X、X、X及びXとしては、合成上の制約の観点から、好ましくは水素原子、或いは炭素数1から12のアルキル基であり、水素原子或いはメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)〜式(4)において、Y、Y、Y及びYはそれぞれ独立に2価の連結基であり、特に構造上制約されない。Y、Y、Y及びYで表される2価の連結基として、具体的には、下記の(Y−1)から(Y−21)の連結基などが挙げられる。下記構造でA、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基、右末端基との結合を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)、(Y−13)であることがより好ましい。
【0046】
【化5】

【0047】
式(1)〜式(4)において、Z、Z、Z及びZは、それぞれ独立に1価の有機基であり、特に、構造は限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、或いはヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、或いはヘテロアリールチオエーテル基、アミノ基などが挙げられる。この中でも、Z、Z、Z及びZで表される1価の有機基としては、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有することが好ましく、Z〜Zで表される有機基としては、各々独立に炭素数5から24のアルキル基又は炭素数5〜24のアルコキシ基が好ましく、その中でも、特に各々独立に炭素数5〜24の分岐アルキル基を有するアルコキシ基或いは炭素数5〜24の環状アルキル基を有するアルコキシ基が好ましい。また、Zで表される有機基としては、各々独立に炭素数5〜24のアルキル基が好ましく、その中でも、各々独立に炭素数5〜24の分岐アルキル基或いは炭素数5〜24の環状アルキル基が好ましい。
式(1)〜式(4)において、n、m、p及びqはそれぞれ1から500の整数である。
また、式(1)および式(2)において、jおよびkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)および式(2)におけるjおよびkは、分散安定性、現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
【0048】
式(3)中のRは、分岐又は直鎖のアルキレン基を表す。式(3)中のRは、炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基であることがより好ましい。
式(4)中のRは水素原子又は1価の有機基を表し、この1価の有機基としては特に構造上限定はされない。式(4)中のRとして好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基が挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。式(4)中のRがアルキル基である場合、該アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。また、式(4)中のRとしては、グラフト共重合体中に構造の異なるRを2種以上混合して用いてもよい。
【0049】
グラフト共重合体において、式(1)〜式(4)で表される構造単位は、質量換算で、グラフト共重合体の総質量に対し10%〜90%の範囲で含まれることが好ましく、30%〜70%の範囲で含まれることがより好ましい。式(1)〜式(4)で表される構造単位が、この範囲内で含まれると顔料の分散性が高く、遮光膜を形成する際の現像性が良好である。
【0050】
また、グラフト共重合体においては、2種以上の構造が異なるグラフト共重合体を含有することができる。
【0051】
前記式(1)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(1A)で表される構造単位であることがより好ましい。
また、前記式(2)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
【0052】
【化6】

【0053】
式(1A)中、X、Y、Z及びnは、式(1)におけるX、Y、Z及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(2A)中、X、Y、Z及びmは、式(2)におけるX、Y、Z及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、前記式(3)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(3A)又は下記式(3B)で表される構造単位であることがより好ましい。
【0054】
【化7】



【0055】
式(3A)又は(3B)中、X、Y、Z及びpは、前記式(3)におけるX、Y、Z及びpと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0056】
グラフト共重合体としては、前記式(1A)で表される構造単位を有するものであることがより好ましい。
【0057】
グラフト共重合体の具体例として、以下に示す化合物が挙げられる。なお、下記例示化合物中、各構造単位に併記される数値は、当該構造単位の含有量〔質量%:適宜、(wt%)と記載〕を表す。
【0058】
【化8】

【0059】
【化9】

【0060】
【化10】

【0061】
【化11】

【0062】
【化12】

【0063】
【化13】

【0064】
【化14】

【0065】
【化15】

【0066】
【化16】

【0067】
【化17】

【0068】
【化18】

【0069】
【化19】

【0070】
【化20】



【0071】
【化21】



【0072】
【化22】



【0073】
【化23】



【0074】
【化24】

【0075】
【化25】

【0076】
【化26】

【0077】
【化27】

【0078】
【化28】

【0079】
【化29】

【0080】
【化30】

【0081】
【化31】

【0082】
【化32】

【0083】
【化33】

【0084】
【化34】

【0085】
【化35】

【0086】
【化36】

【0087】
【化37】

【0088】
【化38】

【0089】
【化39】

【0090】
【化40】

【0091】
【化41】

【0092】
【化42】

【0093】
本発明における分散剤としては、例示化合物72のようにポリエステル鎖を有する化合物が好ましい。
【0094】
本発明における顔料分散物を調製する際の分散剤の含有量としては、顔料分散物中の着色剤(黒色顔料及び他の着色剤を含む)の全固形分質量に対して、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。
【0095】
<(B)重合開始剤>
本発明の黒色重合性組成物は、重合開始剤を含有する。
本発明の重合性組成物に用いる重合開始剤としては、光、熱のいずれか或いはその双方により重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光で重合を開始させる場合、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。
また、熱で重合を開始させる場合には、150℃〜250℃で分解する開始剤が好ましい。
【0096】
本発明に用いうる重合開始剤としては、少なくとも芳香族基を有する化合物であることが好ましく、例えば、(ビス)アシルホスフィンオキシド又はそのエステル類、アセトフェノン系化合物、α−アミノケトン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシムエステル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、トリハロメチル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、ジアゾニウム化合物、ヨードニウム化合物、スルホニウム化合物、アジニウム化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、メタロセン化合物等のオニウム塩化合物、有機硼素塩化合物、ジスルホン化合物等が挙げられる。
感度の観点から、オキシムエステル化合物、アセトフェノン系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、α−アミノケトン化合物、トリハロメチル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、及び、チオール化合物が好ましく、アシルホスフィンオキシド系化合物、オキシムエステル化合物、α−アミノケトン化合物等がより好ましい。
以下、本発明に好適な重合開始剤の例を挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0097】
アセトフェノン系化合物としては、具体的には、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、及び、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。なかでも好ましく用いられる2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、商品名「イルガキュア−907(BASF社製)」として入手可能である。
【0098】
トリハロメチル化合物として、より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0099】
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0100】
オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979)1653−1660、J.C.S. Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物が挙げられ、市販品としては、BASF社製 IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム))等が好適なものとして挙げられる。
さらに、特開2007−231000号公報、及び、特開2007−322744号公報に記載される環状オキシム化合物も好適に用いることができる。
【0101】
アシルホスフィンオキシド系化合物としては、特開平5−345790号公報記載の化合物や、特開平6−298818号公報の段落番号[0027]記載の化合物が挙げられる。例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)イソブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチトキシベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメチトキシベンゾイル−2,4,6−トリメチルベンゾイル−n−ブチルホスフィンオキシドなどが挙げられる。また、市販品としては、BASF社製 DAROCURE TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド)等が好適なものとして挙げられる。
【0102】
αーアミノケトン化合物としては、例えば、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられ、これは、商品名「イルガキュア−379(BASF社製)」として入手可能である。
【0103】
重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の黒色重合性組成物における重合開始剤の含有量は、黒色重合性組成物の全固形分に対して、0.01質量%〜30質量%が好ましく、0.1質量%〜20質量%がより好ましく、0.1質量%〜15質量%が特に好ましい。
【0104】
<(C)重合性化合物>
本発明の黒色重合性組成物は、重合性化合物を含有する。
(C)重合性化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましい。
【0105】
前記少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートを挙げることができる。
更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
【0106】
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も用いることができる。
【0107】
中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらのアクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
また、特公昭48−41708号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた黒色重合性組成物を得ることができる。市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120(日本化薬社製)等が挙げられる。
また、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適であり、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382等が挙げられる。
【0108】
また、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸変性モノマー又はペンタエリスリトールトリアクリレート等も好適である。
本発明に用いられる重合性化合物としては、4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
【0109】
重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合性化合物の黒色重合性組成物中における含有量としては、十分な硬化反応が進行する量であれば特に限定はされないが、質量換算で全固形分100部に対して、3質量%〜55質量%が好ましく、より好ましくは10質量%〜50質量%である。
【0110】
<(E)その他の添加剤>
本発明の黒色重合性組成物には、前記(A)〜(D)の必須成分及び顔料分散剤に加え、目的に応じて種々の添加剤を使用することができる。
(E−1)(D)成分とは構造の異なるバインダーポリマー
黒色重合性組成物においては、皮膜特性向上等の目的で、必要に応じて、(D)成分とは構造の異なる、更に別のバインダーポリマー〔以下、(E−1)他のバインダーポリマーとも称する〕を、本発明の黒色重合性組成物がその特性を失わない範囲で使用することができる。
【0111】
ここで、バインダーポリマーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。
【0112】
例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭54−92723号公報、特開昭59−53836号公報、特開昭59−71048号公報に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたもの等が有用である。
【0113】
また、特公平7−12004号公報、特公平7−120041号公報、特公平7−120042号公報、特公平8−12424号公報、特開昭63−287944号公報、特開昭63−287947号公報、特開平1−271741号公報、特願平10−116232号公報等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、低露光適性の点で有利である。
また、欧州特許第993966号明細書、欧州特許第1204000号明細書、特開2001−318463号公報等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
本発明の黒色重合性組成物の全固形分中に対する共存させうるバインダーポリマーの含有量は、0.1質量%〜7.0質量%が好ましく、パターン剥がれ抑制と現像残渣抑制の両立の観点より、0.3質量%〜6.0質量%がより好ましく、1.0質量%〜5.0質量%がさらに好ましい。
【0114】
(E−2)(A)成分とは異なる着色剤
本発明では、所望の遮光性を発現させるべく、必要に応じて、前記(A)成分とは異なる、さらに別の着色剤を併用することが可能である。
着色剤として併用することができる有機顔料としては、例えば、特開2008−224982号公報段落番号〔0030〕〜〔0044〕に記載の顔料や、C.I.Pigment Green 58、C.I.Pigment Blue 79のCl置換基をOHに変更したもの等が挙げられる。これらのなかでも、好ましく用いることができる顔料としては、C.I.Pigment Yellow 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.Pigment Orange 36,
C.I.Pigment Red 122,150,171,175,177,209,224,242,254、255
C.I.Pigment Violet 19,23,29、32,
C.I.Pigment Blue 15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.Pigment Green 7,36,37、58
C.I.Pigment Black 1等を挙げることができる。
但し、併用することができる着色剤はこれらに限定されない。
【0115】
着色剤として併用することができる染料としては、特に制限はなく、公知の染料を適宜選択して使用することができる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特許第2592207号明細書、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に記載の色素である。
また、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の化学構造を有する染料も使用することができる。
【0116】
(E−3)有機溶剤
本発明の黒色重合性組成物には、溶剤を添加してもよい。有機溶剤は、各成分の溶解性や黒色重合性組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はないが、特に紫外線吸収剤、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。また、本発明における黒色重合性組成物を調製する際には、少なくとも2種類の有機溶剤を含むことが好ましい。
【0117】
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0118】
これらの有機溶剤は、紫外線吸収剤及びアルカリ可溶性樹脂の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0119】
有機溶剤の黒色重合性組成物中における含有量は、塗布性の観点から、組成物の全固形分濃度が5質量%〜80質量%になる量とすることが好ましく、5質量%〜60質量%が更に好ましく、10質量%〜50質量%が特に好ましい。
【0120】
(E−4)界面活性剤
本発明の黒色重合性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の各種界面活性剤を使用できる。
【0121】
特に、本発明の黒色重合性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する黒色重合性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0122】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色感光性組成物中における溶解性も良好である。
【0123】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0124】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
【0125】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0126】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0127】
シリコン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、黒色重合性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
【0128】
(E−5)増感剤
黒色重合性組成物には、重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、併用する重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
増感剤の好ましい例としては、特開2008−214395号公報の段落番号〔0085〕〜〔0098〕に記載された化合物を挙げることができる。
増感剤の含有量は、感度と保存安定性の観点から、黒色重合性組成物の全固形分の質量に対し、0.1質量%〜30質量%の範囲が好ましく、1質量%〜20質量%の範囲がより好ましく、2〜15質量%の範囲が更に好ましい。
【0129】
(E−6)重合禁止剤
黒色重合性組成物には、該組成物の製造中或いは保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。重合禁止剤としては、公知の熱重合防止剤を用いることができ、具体的には、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、黒色重合性組成物の全固形分に対し約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
【0130】
(E−7)密着向上剤
黒色重合性組成物には、支持体等の硬質表面との密着性を向上させるために、密着向上剤を添加することができる。密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
シラン系カップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランが好ましく、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく挙げられる。
密着向上剤の添加量は、黒色重合性組成物の全固形分中0.5質量%〜30質量%が好ましく、0.7質量%〜20質量%がより好ましい。
特に本発明のレジストがガラス基板のレンズを作成する場合には、感度向上の観点から添加することが好ましい。
【0131】
(E−8)その他の添加剤
更に、本発明の黒色重合性組成物に対しては、増感色素や開始剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による光重合性化合物の重合阻害を抑制する等の目的で共増感剤を含有してもよい。また、硬化皮膜の物性を改良するために界面活性剤、希釈剤、可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤を必要に応じて加えてもよい。
【0132】
本発明の黒色重合性組成物は、既述の(A)黒色材料(好ましくは、顔料分散剤を含む顔料分散組成物として)、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、(D)アルカリ可溶性のバインダーポリマー、及び、所望により併用される各種添加剤を、(E−3)有機溶剤と共に含有させ、これに必要に応じて界面活性剤等の添加剤を混合し調製することができる。
【0133】
本発明の黒色重合性組成物は、上記構成としたことから、アルカリ現像液耐性に優れた遮光膜を形成しうる。そのため、ウェハレベルレンズの遮光領域形成に有用である。
なお、遮光膜の形成に際しては、後述するように、スプレー塗布により固体表面に適用させることが好ましい。
そのため、曲面に適用した場合の液だれ防止の観点からは、黒色重合性組成物中の全固形分が20質量%から35質量%であることが好ましく、21質量%から33質量%であることがより好ましく、25質量%から30質量%であることが最も好ましい。
【0134】
<ウェハレベルレンズ>
本発明のウェハレベルレンズは、既述の本発明の黒色重合性組成物からなる遮光膜(黒色層)を備えることを特徴とする。
以下、本発明のウェハレベルレンズについて説明する。
【0135】
図1は、複数のウエハレベルレンズを有するウエハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。
図1に示されるように、ウエハレベルレンズアレイは、基板10と、該基板10に配列されたレンズ12とを備えている。ここで、図1では、複数のレンズ12は、基板10に対して2次元に配列されているが、1次元に配列されていてもよい。
また、図2は、図1に示すA−A線断面図である。
図2に示すように、ウエハレベルレンズアレイにおいて、基板10に配列された複数のレンズ12の間には、レンズ12以外の箇所からの光透過を防止する遮光膜14が設けられている。
本発明のウエハレベルレンズは、基板10上に存在する1つのレンズ12とその周縁部に設けられた遮光膜14により構成される。本発明の黒色硬化性組成物は、この遮光膜14の形成に用いられ、遮光領域を形成する。
【0136】
以下、図1のように、複数のレンズ12が、基板10に対して2次元に配列されているウエハレベルレンズアレイの構成を例に説明する。
【0137】
レンズ12は、一般的には、基板10と同じ材料から構成され、該基板10上に一体的に成形されるか、或いは、別の構造体として成形され、基板上に固定化されたものである。ここでは、一例を挙げたが、本発明のウエハレベルレンズは、この態様に限定されず、多層構造をとるもの、ダイシングによりレンズモジュールに分離されたものなど種々の態様をとり得る。
【0138】
レンズ12を形成する材料としては、例えば、ガラスを挙げることができる。ガラスは種類が豊富であり、高屈折率を有するものを選択できるので、大きなパワーを持たせたいレンズの素材に好適である。また、ガラスは耐熱性に優れ、撮像ユニット等へのリフロー実装に耐えるという利点をも有する。
【0139】
レンズ12を形成する他の材料としては、樹脂が挙げられる。樹脂は加工性に優れており、型等でレンズ面を簡易且つ安価に形成するのに適している。
【0140】
ウエハレベルレンズの形成には、エネルギー硬化性の樹脂を用いることが好ましい。該エネルギー硬化性の樹脂は、熱により硬化する樹脂、或いは活性エネルギー線の照射(例えば、熱、紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
撮像ユニットのリフロー実装を考慮すると、軟化点が例えば200℃以上といった、軟化点の比較的高い樹脂が好ましく、軟化点が250℃以上の樹脂がより好ましい。
以下、レンズ材料として好適な樹脂について説明する。
【0141】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性シリコン樹脂、紫外線硬化性エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を例示することができる。エポキシ樹脂としては、線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。
【0142】
熱硬化性樹脂としては、熱硬化性シリコン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等を例示できる。例えば、シリコン樹脂としては、線膨張係数が30〜160[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.55のものを用いることができる。エポキシ樹脂としては、線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。フェノール樹脂としては、線膨張係数が30〜70[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70のものを用いることができる。アクリル樹脂としては、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.60、好ましくは1.50〜1.60のものを用いることができる。
【0143】
これらの熱硬化性樹脂としては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、富士高分子工業株式会社製SMX−7852・SMX−7877、株式会社東芝製IVSM−4500、東レ・ダウコーニング社製SR−7010、等を例示することができる。
【0144】
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等を例示することができる。ポリカーボネートとしては、線膨張係数が60〜70[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。ポリサルフォン樹脂としては、線膨張係数が15〜60[10−6/K]で、屈折率が1.63のものを用いることができる。ポリエーテルサルフォン樹脂としては、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.65のものを用いることができる。
【0145】
なお、一般に、光学ガラスの線膨張係数は20℃で4.9〜14.3[10−6/K]であり、屈折率は波長589.3nmで1.4〜2.1である。また、石英ガラスの線膨張係数は0.1〜0.5[10−6/K]であり、屈折率は約1.45である。
【0146】
レンズの形成に適用しうる硬化性の樹脂組成物としては、モールド形状の転写適性等、成形性の観点から、硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には、常温で液体であり、粘度が1000mPa・s〜50000mPa・s程度のものが好ましい。
【0147】
一方、レンズの形成に適用しうる硬化性の樹脂組成物は、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。かかる観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’−ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば、特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で調整することが好ましい。
【0148】
形状転写精度の観点からは、硬化反応による体積収縮率が小さい、硬化性の樹脂組成物を用いることが好ましい。樹脂組成物の硬化収縮率としては、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
【0149】
硬化収縮率の低い樹脂組成物としては、例えば、(1)高分子量の硬化剤(プレポリマーなど)を含む樹脂組成物(例えば、特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基;例えば、エポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)等)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)等)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
【0150】
本発明のウエハレベルレンズの形成には、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂組成物の使用が望ましい。
高アッベ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。
このような樹脂組成物に含有される樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に、脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
【0151】
低アッベ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。
このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば、9,9’‐ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開2006/095610号公報、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
【0152】
また、ウエハレベルレンズの形成に使用される樹脂組成物には、屈折率を高める目的やアッベ数を調整する目的のために、無機微粒子をマトリックス中に分散させてなる有機無機複合材料を使用することも好ましい態様である。
有機無機複合材料中の無機微粒子としては、例えば、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
【0153】
無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。
また、無機微粒子には、光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面をシリカやアルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)、又は有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾してもよい。
無機微粒子の数平均1次粒子サイズは、通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号公報に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。
ここで上述の数平均1次粒子サイズとは、例えば、X線回折(XRD)装置或いは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
【0154】
無機微粒子の屈折率としては、22℃、589.3nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。
【0155】
有機無機複合材料において、無機微粒子のマトリックスである樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%〜70質量%が更に好ましく、30質量%〜60質量%が特に好ましい。
【0156】
有機無機複合材料に用いられる、マトリックスとなる樹脂としては、ウエハレベルレンズの材料として前記した、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、高アッベ数の樹脂、低アッベ数の樹脂のいずれもが使用できる。また、特開2007−93893号に記載された屈折率1.60より大きい樹脂、特開2007−211164号に記載された疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体、特開2007−238929号、特願2008−12645号、同2008−208427号、同2008−229629号、同2008−219952号に記載された高分子末端又は側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂、特願2008−197054号、同2008−198878号に記載された熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
なお、有機無機複合材料には、必要に応じて、可塑剤、分散剤等の添加剤を加えることができる。
【0157】
ここで、マトリックスである樹脂と無機微粒子との好ましい組み合わせとしては以下のようなものがある。
即ち、上記のごとき高アッベ数の樹脂をマトリックスとした場合には、無機微粒子として、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂をマトリックスとした場合には、無機微粒子として、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。
【0158】
なお、無機微粒子を均一に分散させるためには、例えば、マトリックスを形成する樹脂のモノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば、特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば、特開2007−211164号公報に記載)、或いは高分子末端又は側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば、特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いることが望ましい。
【0159】
また、ウエハレベルレンズの形成に用いられる樹脂組成物には、シリコン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤が適宜配合されていてもよい。
【0160】
更に、ウエハレベルレンズの形成に用いられる樹脂組成物には、必要に応じて、硬化触媒又は開始剤を配合することができる。具体的には、例えば、特開2005−92099号公報段落番号〔0065〕〜〔0066〕等に記載の熱又は活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合或いはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、或いは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には樹脂組成物の全固形分に対して0.1質量%〜15質量%程度が好ましく、0.5質量%〜5質量%程度がより好ましい。
【0161】
本発明のウエハレベルレンズの作製に用いる樹脂組成物は、上記成分を適宜配合して製造することができる。この際、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には、別途溶剤を添加する必要はないが、このケースに当てはまらない場合には溶剤を用いて各構成成分を溶解することにより樹脂組成物を製造することができる。該樹脂組成物に使用できる溶剤としては、組成物が沈殿することなく、均一に溶解又は分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。樹脂組成物が溶剤を含む場合には該組成物を基板及び/又は型の上にキャストし溶剤を乾燥させた後にモールド形状転写操作を行うことが好ましい。
【0162】
基板10は、レンズ12の成形材料と同じものを用いることができる。また、基板10が可視光に対して透明なガラスなどの材料からなるものであれば、レンズ12の成形材料とは異なる材料により形成されていてもよい。この場合には、基板10を形成する材料としては、レンズ12を形成する材料と線膨張係数が同じか極めて近い材料であることが好ましい。レンズ12を形成する材料と基板10を形成する材料との線膨張係数が互いに同じか近似する場合には、撮像ユニットへのウエハレベルレンズのリフロー実装において、線膨張率が異なることで生じる加熱時のレンズ12の歪みや割れを抑制しうる。
【0163】
なお、図1及び図2中に図示してはいないが、基板10の光入射側の面には、赤外線フィルタ(IRフィルタ)が形成されていてもよい。
【0164】
以下、図3〜図8を参照して、ウエハレベルレンズの形態及び作製について、ウエハレベルレンズアレイの作製方法の例にとり、具体的に説明する。
【0165】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(1)〕
−レンズの形成−
まず、図3及び図4(A)〜(C)を参照して、基板10上にレンズ12を形成する方法について説明する。
ここで、図3は、基板10に、レンズ形成用の樹脂組成物である成形材料(図3中にMと記載)を供給している状態を示す図である。
また、図4(A)〜(C)は、基板10にレンズ12を型60で成形する手順を示す図である。
【0166】
図3に示すように、基板10のレンズ12を成形する部位にディスペンサ50を用いて成形材料Mを滴下する。ここでは、供給する1つの部位には、1つのレンズ12に相当する量の成形材料Mが供給される。
【0167】
基板10に成形材料Mを供給した後、基板10の成形材料Mを供給された面側に、図4(A)に示すように、レンズ12を成形するための型60を配置する。
ここで、型60には、レンズ12の形状を転写するための凹部62が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
【0168】
図4(B)に示すように、型60を基板10上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部62の形状に倣って変形させる。そして、型60を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には、型60の外側から熱又は紫外線を照射して、成形材料Mを硬化させる。
【0169】
成形材料Mを硬化させた後、図4(C)に示すように、型60から基板10及びレンズ12を離型する。
【0170】
−遮光膜の形成−
次に、図5(A)〜(C)を参照して、レンズ12の周縁部に遮光膜14を形成する方法について説明する。
ここで、図5(A)〜(C)は、レンズ12が成形された基板10に遮光膜14を設ける工程を示す概略断面図である。
【0171】
遮光膜14の形成方法は、基板10上に、本発明の黒色硬化性組成物を塗布して遮光性塗布層14Aを形成する遮光性塗布層形成工程(図5(A)参照。)と、該遮光性塗布層14Aを、マスク70を介してパターン露光する露光工程(図5(B)参照。)と、露光後の遮光性塗布層14Aを現像して未硬化部を除去し、パターン状の遮光膜14を形成する現像工程(図5(C)参照。)と、を含む。
【0172】
なお、遮光膜14の形成は、レンズ12を作製する前でも、レンズ12を作製した後でも任意に行うことができるが、ここでは、レンズ12を作製した後の方法について詳述する。
以下、遮光膜14の形成方法における各工程について説明する。
【0173】
<遮光性塗布層形成工程>
遮光性塗布層形成工程では、図5(A)に示すように、基板10上に、黒色硬化性組成物を塗布して該黒色硬化性組成物からなる光反射率の低い遮光性塗布層14Aを形成する。このとき、遮光性塗布層14Aは、基板10の表面、及び、レンズ12のレンズ面12aとレンズ縁部12bの表面を全て覆うように形成される。
【0174】
本工程に用いうる基板10としては、特に制限はない。例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及び透明樹脂等が挙げられる。
なお、ここで言う基板10とは、レンズ12と基板10を一体形成する態様においては、レンズ12と基板10の両方を含む形態を言う。
また、これらの基板10上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは基板10表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
【0175】
基板10及びレンズ12上に黒色硬化性組成物を塗布する方法としては、スリット塗布、スプレー塗布法、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
黒色硬化性組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のし易さの観点から、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが更に好ましい。
【0176】
基板10上に塗布された遮光性塗布層14Aの乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等を用い、50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
【0177】
黒色硬化性組成物の乾燥後の塗布膜厚(以下、適宜、「乾燥膜厚」と称する)は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
【0178】
<露光工程>
露光工程では、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層14Aをパターン状に露光する。パターン露光は走査露光でもよいが、図5(B)に示すように、所定のマスクパターンを有するマスク70を介して露光する態様が好ましい。
【0179】
本工程における露光においては、遮光性塗布層14Aのパターン露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、この露光により遮光性塗布層14Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、レンズ縁部12bの表面とレンズ12間の基板10の表面に光を照射するマスクパターンを用いる。こうすることで、レンズ面12aを除く領域の遮光性塗布層14Aのみが光照射によって硬化し、この硬化領域が遮光膜14を形成することとなる。
【0180】
露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。この放射線は単一波長の光源であってもよいし、高圧水銀灯のように全ての波長を含んだ光源を用いてもよい。
【0181】
<現像工程>
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、露光における光未照射部分、即ち、遮光性塗布層14Aの未硬化領域をアルカリ水溶液に溶出させ、光照射により硬化した領域だけを残す。
具体的には、図5(B)に示すように露光された遮光性塗布層14Aは、現像されることにより、図5(C)に示すように、レンズ面12aに形成された遮光性塗布層14Aのみが除去され、それ以外の領域に硬化された遮光膜14が形成される。
【0182】
現像工程で用いられる現像液(アルカリ性水溶液)に含まれるアルカリ剤としては、有機又は無機のアルカリ剤、及びそれらの組み合わせのいずれも用いることができる。本発明における遮光膜形成においては周囲の回路などに損傷を与えがたいという観点からは有機アルカリ剤を用いることが望ましい。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物(有機アルカリ剤)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機化合物(無機アルカリ剤)等が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
【0183】
現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間は20秒〜90秒の範囲で行なわれる。
【0184】
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像液により塗布膜の未露光部を除去した後、純水で洗浄(リンス)する。即ち、現像処理後には、余剰の現像液を純水により十分に洗浄、除去し、更に、乾燥工程に付す。
【0185】
なお、上述した、遮光性塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要に応じて、形成された遮光膜(遮光パターン)を、加熱(ポストベーク)及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0186】
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜250℃の熱硬化処理を行う。ポストベークの温度、及び時間などの条件は、基板10又はレンズ12の素材により、適宜設定することができる。例えば、基板12がガラスである場合は上記温度範囲の中でも180℃〜240℃が好ましく用いられる。
このポストベーク処理は、現像後に形成された遮光膜14を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。
【0187】
なお、以上の手順では、レンズ12の形状が凹状である場合を例に説明したが、形状は特に限定されず、凸状や非球面の形状であってもよい。また、上記手順では、基板10の一方の面に複数のレンズ12が成形されたウエハレベルレンズを例に説明したが、基板10の両方の面に複数のレンズ12が成形された構成としてもよく、その場合には、両方の面に、レンズ面を除く領域にパターン状の遮光膜14が形成される。
【0188】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(2)〕
図6は、ウエハレベルレンズアレイの他の構成例を示す図である。
図6に示すウエハレベルレンズは、基板10とレンズ12とを同一の成形材料で同時に成形した構成(モノリシックタイプ)である。
このようなウエハレベルレンズを作成する際には、成形材料としては上述したものと同じものを用いることができる。また、この例では、基板10の一方の面(図中の上側の面)には、凹状のレンズ12が複数形成され、他方の面(図中の下側の面)には、凸状のレンズ20が複数形成されている。また、基板10のレンズ面12aを除く領域、つまり、基板10の表面及びレンズ縁部12bの表面にパターン状の遮光膜14が形成されている。遮光膜14を形成する際のパターニング方法としては、上述した手順を適用することができる。
【0189】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(3)〕
次に、図7(A)〜(C)及び図8(A)〜(C)を参照して、ウエハレベルレンズアレイの更なる他の構成例と、それを作製する手順について説明する。
ここで、図7(A)〜(C)は、パターン状の遮光膜14を形成する他の工程を示す概略図である。
また、図8(A)〜(C)は、まず、パターン状の遮光膜14を形成した後、レンズ12を成形する工程を示す概略図である。
【0190】
図3〜図6に示すウエハレベルレンズアレイの例では、レンズ12が設けられた基板10にパターン状の遮光膜14を形成するものであったが、以下に説明する手順では、まず、基板10にパターン状の遮光膜14を形成した後、基板10にレンズ12を成形する手順である。
【0191】
−遮光膜の形成−
先ず、図7(A)に示すように、基板10上に黒色硬化性組成物を塗布して遮光性塗布層14Aを形成する遮光性塗布層形成工程を行う。
【0192】
その後、基板10上に塗布された遮光性塗布層14Aの乾燥をホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行う。黒色硬化性組成物の乾燥膜厚は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
【0193】
次に、図7(B)に示すように、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層14Aを、マスク70を介してパターン状に露光する露光工程を行う。マスク70は、所定のマスクパターンを有する。
本工程における露光においては、遮光性塗布層14をパターン露光することで、遮光性塗布層14Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、後工程でレンズ12を成形した際にレンズ12のレンズ開口14aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層14Aにのみ光を照射するマスクパターンを用いる。この方法によりレンズ12のレンズ開口14aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層14Aのみが光照射によって硬化する。なお、露光に際して用いることができる放射線としては、先に説明した手順と同様に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0194】
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、上記パターン露光における遮光性塗布層14Aの未硬化領域であるレンズ12のレンズ開口14aに相当する領域の遮光性塗布層14Aのみがアルカリ水溶液に溶出される。この際、図7(C)に示すように、レンズ12のレンズ開口14aの領域を除く領域の光硬化した遮光性塗布層14Aが基板10上に残存して、遮光膜14を形成する。
ここで、現像液であるアルカリ水溶液中のアルカリ剤としては、先に説明した手順と同じものを用いることができる。
現像処理後は、その後、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施す。
【0195】
本実施形態においても、上述した、遮光性塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された遮光膜を上述のポストベーク及び/又は露光により硬化する硬化工程を施してもよい。
【0196】
−レンズの形成−
次に、遮光膜14を形成後に、レンズ12を形成する工程について説明する。
図8(A)に示すように、パターン状の遮光膜14が形成された基板10の上に、レンズ12を構成する成形材料Mがディスペンサ50により滴下される。成形材料Mは、レンズ12のレンズ開口14aに相当する領域を覆うように、該開口に隣接する遮光膜14の端部を一部含むように供給される。
【0197】
基板10に成形材料Mを供給した後、基板10の成形材料Mを供給された面側に、図8(B)に示すように、レンズを成形するための型80を配置する。型80には、レンズ12の形状を転写するための凹部82が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
【0198】
型80を基板10上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部の形状に倣って変形させる。そして、型80を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には型の外側から熱又は紫外線を照射することで、成形材料Mを硬化させる。
【0199】
成形材料Mを硬化させた後、型80から基板10及びレンズ12を離型し、図8(C)に示すように、基板10にパターン状の遮光膜14を備えるウエハレベルレンズを得る。
【0200】
上述のように、ウエハレベルレンズに備えられるパターン状の遮光膜14は、図5に示すようにレンズ12のレンズ面12aを除く領域に設けた構成だけでなく、図8(C)に示すように、遮光膜14をレンズ12のレンズ開口14aを除く領域に設けた構成としてもよい。
【0201】
ウエハレベルレンズは、基板10の少なくとも一方の表面にパターン上に形成された、光反射率が低い遮光膜14によって、レンズ12のレンズ面12a又はレンズ開口14a以外の領域で遮光を十分にしつつ、反射光の発生を抑制できる。このため、固体撮像素子を備えた撮像モジュールに適用した場合に、撮像時に反射光に伴うゴーストやフレアといった不具合の発生を防止できる。
【0202】
また、遮光膜14は基板の表面に設けられるため、ウエハレベルレンズに別の遮光部材などを取り付ける必要がなく、製造コストの増加を抑えることができる。
【0203】
なお、前掲した特許文献2に示される構成のように、レンズの周囲に表面が凹凸の構造物を設ける構成の場合には、該構造物に入射した光が反射又は発散することで、ゴースト等の不具合が生じやすいことが懸念される。そこで、図5に示すようにレンズ12のレンズ面12aを除く領域にパターニングされた遮光膜14を設けた構成とすれば、レンズ面12a以外では光を遮光することができ、光学性能を改善できる。
【実施例】
【0204】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
【0205】
<チタンブラック分散液(TB−1分散液)の調製>
下記組成Iに示す成分を二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。この際の分散物の粘度は40,000mPa・sであった。
なお、高粘度分散処理の前にニーダーで30分混練することを行ってもよい。
【0206】
(組成I)
・平均一次粒径75nmチタンブラック13M−C 40部
(三菱電子化成マテリアルズ(株)製)(PigmentBlack35)
・ベンジルメタアクリレート(BzMA)/メタアクリル酸(MAA)共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 8部
(BzMA/MAA=60/40〔モル比〕、Mw:30,000、固形分40質量%)
・ソルスパース5000(日本ルーブリゾール(株)製) 2部
【0207】
得られた分散物に、下記組成IIに示す成分を添加し、3,000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、0.3mm径のジルコニアビーズを用いた、分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して、チタンブラック分散液(以下、TB−1分散液と表記する)を得た。
この際の、TB−1分散液の粘度は6.8mPa・sであった。
【0208】
(組成II)
・ベンジルメタアクリレート(BzMA)/メタアクリル酸(MAA)共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 10部
(BzMA/MAA=70/30〔モル比〕、Mw:30000、固形分40質量%)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200部
【0209】
<チタンブラック分散液(TB−2分散液)の調製>
下記組成IIIに示す成分を二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。この際の分散物の粘度は40,000mPa・sであった。
なお、高粘度分散処理の前にニーダーで30分混練することを行ってもよい。
【0210】
(組成III)
・平均一次粒径40nmチタンブラック(三菱電子化成マテリアルズ(株)製)
40部
・例示化合物72 5部
【0211】
得られた分散物に、下記組成IVに示す成分を添加し、3,000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、0.3mm径のジルコニアビーズを用いた、分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して、チタンブラック分散液(以下、TB−2分散液と表記する。)を得た。
この際の、TB−2分散液の粘度は6.8mPa・sであった。
【0212】
(組成IV)
・例示化合物72 5部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200部
【0213】
【化43】



(例示化合物72の合成法)
例示化合物72は、特開2010-106268号公報の段落番号[0338]〜[0340]に記載の製造方法に従い、合成することができる。
【0214】
<カーボンブラック分散液(CB分散液)の調整>
TB−1分散液のチタンブラックを、同質量のカーボンブラック(カーボンブラックMA−100R(三菱化成工業(株)製))に置き換え、カーボンブラック分散液(CB分散液)を得た。
【0215】
<銀錫分散液(ST分散液)の調製>
60℃に保温した純水200mlに錫コロイド(平均粒子系:20nm、固形分:20重量%、住友大阪セメント社製)15gと、銀コロイド(平均粒子系:7nm、固形分:20重量%、住友大阪セメント社製)60gとポリビニルピロリドン0.75gを水100mlに溶解した溶液を加え、コロイド溶液とした。
次いで、このコロイド溶液を60℃に保持した状態で60分間攪拌し、その後、超音波を5分間照射した。次いでこのコロイド溶液を遠心分離により濃縮し、固形分が25%の混合液を得た。当該混合液をフリーズドライ方法により乾燥し、粉末試料を得た。
TB−1分散液におけるチタンブラックを、ここで得られた同質量の粉末試料に置き換え、銀錫分散液(ST分散液)を得た。
【0216】
〔実施例1〜5、比較例1及び比較例2〕
1.黒色重合性組成物の調製
下記組成A−1の成分を攪拌機で混合して実施例1〜5及び比較例1及び比較例2で使用する各黒色重合性組成物を調製した。
(組成A−1)
・表1に記載の各(D)アルカリ可溶性バインダーポリマー 2.5部
・(C)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 2.0部
・(C)重合性化合物:ペンタエリスリトールトリアクリレート 1.0部
・表1に記載の各(B)重合開始剤 0.3部
・(A)黒色顔料を含有する表1に記載の各分散液 24部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10部
・シクロヘキサノン 8部
【0217】
2.遮光膜(遮光領域)の作製及び評価
上記で得られた各黒色重合性組成物をガラスウェハにスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上で120℃2分加熱して黒色重合性組成物塗布層を得た。
次いで、得られた塗布層を、i線ステッパーを用い、500mJ/cmで露光した。
前記露光後の遮光膜層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液を用い、23℃60秒間パドル現像を繰り返し5回行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、パターン状の遮光膜を得た。
得られた遮光膜パターンについて、光学顕微鏡を用いて露光部が剥れを発生した時の現像回数を下記表1に示す。
現像回数が4回以上であれば、アルカリ現像液耐性は良好と判断できる。
【0218】
【表1】

【0219】
以下に、表1及び表2で用いた、B−1〜B−3及びHB−1〜HB−3の構造を示す。下記構造における組成比の数値は、当該構造単位の含有量(質量%(wt%))を示す。
また、重合開始剤I−1〜I−3の構造を示す。
【0220】
【化44】

【0221】
【化45】



【0222】
【化46】

【0223】
上記表1の結果より、本発明の黒色重合性組成物からなる遮光膜を有するウェハレベルレンズは、アルカリ現像液耐性に優れることがわかる。
【0224】
〔実施例6〜10、比較例3〕
1.黒色重合性組成物の調製
下記組成A−2の成分を攪拌機で混合して実施例6〜10及び比較例3の各黒色重合性組成物を調製した。
(組成A−2)
・表2に記載の各(D)アルカリ可溶性バインダーポリマー 2.5部
・(C)重合性化合物:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸変性モノマー 2.0部
・(C)重合性化合物:ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.0部
・3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン 0.1部
・表2に記載の各(B)重合開始剤 0.4部
・(A)黒色顔料を含有する表1に記載の各分散液 24部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10部
・シクロヘキサノン 8部
【0225】
2.遮光膜(遮光領域)の作製及び評価
ガラスウェハ上に、下記組成Vを膜厚15μmで塗布し、直径50μmの円筒形状となるように50μmのホールマスクを用い、高圧水銀灯によりパターン露光し、直径50μmの円筒形状のホールを有する透明樹脂層を形成した。その後、200℃で5分間ホットプレートにより加熱し、ホールを形成した透明樹脂層を備えるウェハを作製した。
その後、透明樹脂層を形成した該ウェハ上に、上記で得られた各黒色重合性組成物を、二流体方式のスプレー塗布装置を用いてスプレー塗布し、120℃で2分間乾燥し、平均膜厚3μmの黒色重合性組成物層を得た。なお、形成された黒色重合性組成物層は、このような凹凸を有する構造においても、ガラスウェハの表面及び透明樹脂層の表面にそれぞれ均一に形成されていた。
さらに、直径50μmの遮光されたホール部分を有するフォトマスクを用いて、上記で形成された透明樹脂層のホール形成領域と、フォトマスクのホール部分とを合わせて位置決めし、黒色重合性組成物層の上から、高圧水銀灯を用いて、ホールと合せて露光量1000mJ/cmで露光した。露光により、ホール形成部以外の領域において黒色重合性組成物層が硬化し、ホール形成部の黒色重合性組成物層はホールマスクにより未硬化の状態にて存在する。
(組成V)
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
〔モル比70/30〕 Mw=50,000 1.6部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔(C)重合性化合物〕 2.0部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート〔(C)重合性化合物〕 1.0部
・IRGACURE OXE-01(BASF社製) 0.3部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 5部
【0226】
前記露光後の塗布層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液を用い、23℃60秒間パドル現像を繰り返し行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、パターン状の遮光膜を得た。
剥れが見られた現像回数を表2に示す。現像回数が大きいほど、アルカリ現像液耐性が良好と判断できる。
また、円筒形状透明樹脂層部の残渣を2回現像し、残渣が見られない場合は○、残渣が見られる場合は×とした。
結果を下記表2に示す。
【0227】
【表2】

【0228】
上記表2の結果より、本発明の黒色重合性組成物からなる遮光膜を有するウェハレベルレンズは、非画像部の残渣が低下すると同時に、画像部の剥れが低下しており、アルカリ現像液耐性に優れることがわかる。また、本発明の黒色重合性組成物はスプレーにより塗布可能であることがわかる。
【0229】
以上の結果より、本発明の黒色重合性組成物は、アルカリ現像液耐性に優れていることが明らかとなった。また、スプレーにより塗布可能な黒色重合性組成物を提供することができることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)黒色材料、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、及び、(D)重量平均分子量が少なくとも3万であり、且つ、側鎖に重合性基を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーを含有する黒色重合性組成物。
【請求項2】
前記(A)黒色材料が、チタンブラックである請求項1に記載の黒色重合性組成物。
【請求項3】
前記(D)アルカリ可溶性バインダーポリマーが、重量平均分子量が5万以上10万以下であり、且つ、側鎖に重合性基を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーである請求項1又は請求項2のいずれかに記載の黒色重合性組成物。
【請求項4】
ウェハレベルレンズの遮光領域形成に用いられる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の黒色重合性組成物。
【請求項5】
スプレーにより塗布可能な請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の黒色重合性組成物。
【請求項6】
黒色重合性組成物中の全固形分が、20質量%から35質量%である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の黒色重合性組成物。
【請求項7】
固体表面に、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の黒色重合性組成物をスプレー塗布により適用して黒色重合性組成物層を形成する工程と、
形成された黒色重合性組成物層にエネルギーを付与して硬化させる工程と、を含む黒色層の作製方法。
【請求項8】
前記固体表面がウェハレベルレンズの周辺部表面であり、前記黒色層がウェハレベルレンズ周辺部に形成された遮光領域である請求項7に記載の黒色層の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−98688(P2012−98688A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3422(P2011−3422)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】