説明

鼻に噴霧を噴射する方法

鼻に噴霧を配送する方法。オロパタジン(olopatadine)を含む配合物を有する噴霧器が提供される。配合物の噴霧は主体の鼻へ配送される。噴霧は、20−45mmの長軸、14−20mmの短軸、および1−18の長円率を有する噴霧パターンを含む噴霧特性を有してよい。噴霧は、更に、15−30μmのD10、30−60μmのD50、50−150μmのD90、3よりも大きくないスパン(SPAN)、および4%未満である容量%<10μmを有する小滴寸法分布を含む噴霧特性を有してよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、鼻用噴霧器の噴射、更に詳細には、オロパタジン(olopatadine)含有鼻用噴霧器の噴射に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の鼻用噴霧器がアレルギー鼻炎治療に利用できる。製品例としてFLONASE(登録商標)鼻用噴霧器が英国のGlaxo Smith Klineから入手可能であり、NASONEX(登録商標)鼻用噴霧器がニージャジー州、KennilworthのShering Corporationから入手可能であり、かつASTELIN(登録商標)鼻用噴霧器がニージャジー州、SomersetのMedPointe Pharmaceuticalsから入手可能である。これらの製品はすべて、ドイツのPfeiffer、フランスのSaint-Gobain Calmar、またはフランスのValois等のサプライヤから入手可能である従来ポンプ式噴霧器を介して局所(topical)配合物を噴射する。
【0003】
Burroughs Wellcome Co.に譲渡されたUS特許第4,871,865号および同4,923,892号(”Burroughs Wellcome特許”)は、オロパタジン(化学名、Z-11(3-ジメチルアミノプロピリジエン)-6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-2-酢酸)を含むドキセピン(doxepin)の所定カルボン酸誘導体が抗ヒスタミンおよび喘息鎮静作用を有することを開示している。Burroughs Wellcome特許は、鼻噴霧配合物および眼科配合物を含む、ドキセピンのカルボン酸誘導体含有医薬配合物もしくは製剤(formulations)を種々教示している。例えば、’865号特許の7欄、7−26頁、および例8(H)および8(I)を参照。
【0004】
Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd.へ譲渡されたUS特許第5,116,863号(”Kyowa特許")は、ドキセピンの酢酸誘導体、そして特に、オロパタジンが抗アレルギーおよび抗炎症作用を有することを教示している。ドキセピンの酢酸誘導体に関するKyowa特許による薬物形態は広範囲の許容できるキャリアを含む。しかし、経口投与および注射投与形態のみが言及されている。
【0005】
Alcon Laboratories, Inc.およびKyowa Hakko Kogyo Co., Ltd.へ譲渡されたUS特許第5,641,805号は、アレルギー性眼病を治療するオロパタジン含有局所眼科製剤を教示する。’805号特許によれば、局所製剤は溶液、懸濁液、またはゲルである。
【0006】
テキサス州、Forth WorthのAlcon Laboratories, Inc.によるPATANOL(登録商標)(オロパタジン塩酸塩眼科溶液)0.1%は、現在、眼科用として市販されているオロパタジン製品である。ラベル情報によれば、この製品は、0.1%オロパタジンに相当するオロパタジン塩酸塩、0.01%ベンツアルコニウムクロリド、および不特定量の塩化ナトリウム、二塩基ナトリウムリン酸塩、塩酸、および/またはナトリウム水酸化物(pH調製用)および蒸留水を含有する。
【0007】
Alcon Laboratories, Inc.のUS特許出願公開第20030055102号は目または鼻のアレルギーまたは炎症障害を治療かつ/または予防に効果的な局所オロパタジン配合物を開示している。略0.2−0.6%オロパタジンを含む水溶性配合物が開示されている。
【0008】
US特許第4,871,865号、同4,923,892号、同5,116,863号および同5,641,805号、ならびにUS特許出願公開第20030055102号はここに参考として全体が組み込まれる。
【0009】
鼻のアレルギーまたは炎症状態の治療に効果的である局所オロパタジン配合物を噴射する改良された方法が依然として所望されている。
【発明の開示】
【0010】
[発明の概要]
本発明の一つの特徴は、鼻用噴霧器を噴射する方法にある。オロパタジン(olopatadine)を含む配合物(formulation)を有する噴霧器が提供される。配合物の噴霧は主体の鼻に対して噴射される。この噴霧は、20−45mmの長軸、14−20mmの短軸、および1−18の長円率を有する噴霧パターンを含む噴霧特性を有する。
【0011】
他の特徴として、本発明は、鼻に噴霧を噴射もしくは配送(delivering)する方法を提供する。オロパタジンを含む配合物を有する噴霧器が提供される。配合物の噴霧が主体の鼻に対して噴射される。この噴霧は、15−30μmのD10、30−60μmのD50、50−150μmのD90、3よりも大きくないスパン(SPAN)、および4%未満の容量%<−10μmを有する小滴(droplet)寸法分布を含む噴霧特性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明、そしてその課題および利点の理解をより一層完全にするために、添付図面を参照して更に説明する。
【0013】
本発明の好適実施形態、およびその利点は、同様および対応する部については同一参照番号が使用されている図1を参照することにより最良に理解される。
【0014】
他に説明がない限り、全構成要素の量は%(w/v)ベースで提示されかつオロパタジンに関する説明はオロパタジンフリーベースについてされている。
【0015】
図1は本発明の好適形態による鼻用噴霧器10を示す。鼻用噴霧器10は、概ね、配合物14を保持するボトル12、ボトル12と封止可能に係合するポンプ16、ポンプ16の上部16aを取り外し自在に受けるアクチュエータ18、およびボトル12と取り外し自在に係合しかつアクチュエータ18を被覆するキャップ20を含む。ボトル12およびキャップ20は、好適には、高密度ポリエチレンから形成される。ポンプ16に好適なポンプは、Valois VP7/100S CS20(商品名)ポンプである。アクチュエータ18は、好適には、ポリプロピレンから形成される。配合物14は、好適には、鼻のアレルギーまたは炎症状態を治療かつ/または予防するために効果的な、オロパタジンを含む水性配合物である。配合物14は、好適には、0.38−0.62%オロパタジンを含有する。配合物14は、好適には、0.6%オロパタジンを含有する。キャップ20を除去しかつアクチュエータ18のノズル18aを挿入後に、使用者は、ポンプ16の管16bおよびアクチュエータ18を介してアクチュエータ18の表面18bを矢印22方向へ移動することによりボトル12から配合物14の一回の噴霧を噴射できる。鼻用噴霧器10は、従来方法により製造されてよい。
【0016】
0.6%オロパタジン含有、粘度1−2cps(好適には1.7cps)の、ノズル18aから発射される一定の噴霧特性を有する配合物14について、予期しない有利臨床結果を得た。更に具体的には、一つまたはそれ以上の次のパラメタを有する噴霧特性が好適である。射出重量が90−110mg、更に好適には100mg、噴霧パターンの最長軸が20−45mm、そして最も好適には23.5mm、噴霧パターンの最短軸が14−20mm、そして最適には17.5mm、噴霧パターンの長円率が1−18、更に好適には1−14、そして最も好適には1.24であり、かつ次の小滴寸法分布を有する。
【0017】
D10=15−30μm、更に好適には18−25μm、最適には22μm、
D50=30−60μm、更に好適には39−53μm、最適には47μm、
D90=50−150μm、更に好適には83−128μm、最適には106μm、
スパン=3より多くない、更に好適には1.6−2.1、最適には1.8、
容量%<10μm=4%より小さい、更に好適には0.8−2.4%、最適には1.6%
【0018】
ここで、D10は小滴の10%の小滴寸法分布であり、D50は小滴の50%の小滴寸法分布であり、D90は小滴の90%の小滴寸法分布であり、スパンは(D90−D10)/D50の比であり、容量%<10μmは直径における10μmより小さい滴のパーセンテージである。D10、D50およびD90は、小滴の直径の測定値である。上述の噴霧特性の好適または最適パラメタを具えた0.6%オロパタジン含有配合物14の二回分の噴霧が、4000人の主体に対して臨床実験として一日に二回、鼻孔に対して噴射されたときに、薬理共働運動試験は、この噴射もしくは配送方法がオロパタジンの生物学的利用可能性に特に有利であることを示した。更に具体的には、14.4−35.3ng/mL(平均23.3+/−6.1ng/mL)の高性能液体クロマトグラフィを使用した、投与後0.5−2時間以内の測定でオロパタジンのピークプラズマ濃度(Cmax)が観察され。この濃度レベルは、システマテックな(例えば経口)投与形態を介して得られることが予測される濃度に匹敵する。
【0019】
次に噴霧パターンを特徴付ける好適手順を説明する。TLCプレート(例えば、ガラス上で250μm厚層のシリカゲル60、F254(開花表示器)、およびニュージャージー州、GibbstownのEM Scienceから利用可能のTLCプレートホルダ、254nmフィルタ付き紫外線光源、および紫外線光で写真を撮るのに適したカメラ(例えばデジタルカメラ)を入手する。噴霧器10に配合物10を装填しかつアクチュエータ18を介してポンプ16を起動することにより準備して、微細ミストをノズル18aから発射する。噴霧器10およびTLCプレートホルダを、ノズル18aがTLCプレートから約3cmになるように配置する。従来機械式アクチュエータを介してポンプ16を定常力(好適には5kg)により作動させる。配合物14の噴霧結果は、TLCプレートへ浸透してよい。TLCプレートは、乾燥部へ移され、かつその手順が反復される。最良結果は、二つの噴霧パターンが噴霧器10の五個の分離ユニットから得られることである。二つの噴霧パターンは、254nmの濾過した紫外線光で観察され、写真が各パターンについて撮られる。
【0020】
印刷した写真を使用して、各パターンを鉛筆で囲う。単一線により噴霧パターンから離れたところに現れるいずれの密度領域を含む噴霧パターンの全てを囲む。接触後にプレート上に拡散する液体の結果でありかつしばしば視認可能である「外リング」は、囲まない。内側の暗色パターンが測定されるべきオリジナルの噴霧パターンである。鉛筆を使用して囲んだ各パターン内に認識され得る最長軸を描く。各最長軸の中心を通る最短軸を描く。各軸を最近(nearest)0.5mmまで測定する。各パターンの長円率(形状)を次のごとく計算する。
【0021】
長円率=最長軸/最短軸
【0022】
長円率は最近1/10まで報告する。各噴霧器10の各パターンの最長軸、最短軸、および長円率は平均化し、各噴霧器10について一組のパラメタを提供する。次に、五ユニットの噴霧器10全部についてのパラメタを平均化して単一組の噴霧パターンパラメタを所定配合物14について見出す。
【0023】
次に小滴寸法分布を特徴付ける好適手順を説明する。噴霧器10に配合物14を装填し、アクチュエータ18を介してポンプ16を起動することにより準備して微細ミストをノズル18aから発射する。噴霧器10および市販レーザー回折器具を、ノズル18aがレーザー回折器具のレーザービーム下方約5cmになるように配置する。ポンプ16を定常力(好適には5kg)により従来機械式アクチュエータを介して作動させる。結果としての配合物14の噴霧はレーザービームを横断する。データをD10、D50、D90、スパン、および容量%<10μmについて収集する。二回の噴霧に関し各パラメタについて平均値を計算する。
【0024】
上述の説明から理解されるように、本発明は鼻のアレルギーまたは炎症状態の治療に効果的な、局所オロパタジン配合物を配送する改良方法を提供する。本発明の作用および構成は、上述の説明から理解されると信じている。上述の方法は好適例として示されていて、種々の変更および改良が特許請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲から逸脱することなく可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の好適実施形態による鼻用噴霧器の前断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻に噴霧を噴射する方法であって、
オロパタジン(olopatadine)を含む配合物を有する噴霧器を提供する工程、および
20−45mmの最長軸、14−20mmの最短軸、および1−18の長円率を有する噴霧パターンを含む噴霧特性を有する前記配合物の噴霧を主体の鼻に配送する工程を含む、鼻に噴霧を噴射する方法。
【請求項2】
前記最長軸は23.5mmである、請求項1の方法。
【請求項3】
前記最短軸は17.5mmである、請求項1の方法。
【請求項4】
前記長円率は1−14である、請求項1の方法。
【請求項5】
前記配合物は0.38−0.62%オロパタジンを含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記配合物は0.6%オロパタジンを含む、請求項5の方法。
【請求項7】
前記噴霧特性は90−110mgの射出重量を更に含む、請求項1の方法。
【請求項8】
前記最長軸は23.5mmであり、前記最短軸は17.5mmであり、前記長円率は1−14であり、前記配合物は0.6%オロパタジンを含み、かつ前記噴霧特性は90−110mgの射出重量を更に含む、請求項1の方法。
【請求項9】
オロパタジン(olopatadine)を含む配合物を有する噴霧器を提供する工程、および
15−30μmのD10、30−60μmのD50、50−150μmのD90、3よりも大きくないスパン(SPAN)、および4%未満である容量%<10μmを有する小滴寸法分布を含む噴霧特性を有する前記配合物の噴霧を主体の鼻に配送する工程を含む、鼻に噴霧を噴射する方法。
【請求項10】
前記配合物は0.38−0.62%オロパタジンを含む、請求項9の方法。
【請求項11】
前記配合物は0.6%オロパタジンを含む、請求項11の方法。
【請求項12】
前記噴霧特性は90−110mgの射出重量を更に含む、請求項1の方法。
【請求項13】
D10が18−25μm、D50が39−53μm、D90が83−128μm、スパンが1.6−2.1、および容量%<10μmが0.8−2.4%である、請求項9の方法。
【請求項14】
小滴寸法分布が18−25μmのD10、39−53μmのD50、83−128μmのD90、1.6−2.1のスパン、および0.8−2.4%の容量%<10μmを有し、
前記配合物が0.6%オロパタジンを含み、かつ
前記噴霧特性が90−110mgの射出重量を更に含む、請求項9の方法。
【請求項15】
鼻に噴霧を噴射する方法であって、
オロパタジン(olopatadine)を含む配合物を有する噴霧器を提供する工程、ならびに
20−45mmの最長軸、14−20mmの最短軸、および1−18の長円率を有する噴霧パターン、ならびに
15−30μmのD10、30−60μmのD50、50−150μmのD90、3よりも大きくないスパン、および4%未満の容量%<10μmを有する小滴寸法分布、を含む噴霧特性を有する前記配合物の噴霧を主体の鼻に対して配送する工程を含む、鼻に噴霧を噴射する方法。
【請求項16】
前記配合物は0.38−0.62%オロパタジンを含む、請求項15の方法。
【請求項17】
前記配合物は0.6%オロパタジンを含む、請求項15の方法。
【請求項18】
前記噴霧特性は90−110mgの射出重量を更に含む、請求項15の方法。
【請求項19】
前記最長軸は23.5mmであり、前記最短軸は17.5mmであり、前記長円率は1−14であり、D10は18−25μmであり、D50は39−53μmであり、D90は83−128μmであり、スパンは1.6−2.1であり、容量%<10μmは0.8−2.4%であり、前記配合物は0.6%オロパタジンを含み、かつ前記噴霧特性は90−110mgの射出重量を更に含む、請求項15の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−521488(P2008−521488A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543080(P2007−543080)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/039268
【国際公開番号】WO2006/057769
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(501449322)アルコン,インコーポレイティド (140)
【Fターム(参考)】