説明

鼻内オピオイド組成物

本発明は、有効量のオピオイド、オピオイド用液体鼻用担体、および所望により甘味料、香味料、またはマスキング剤を含む哺乳動物に鼻内投与するための医薬組成物に関する。本発明のある態様において、該医薬組成物はバイオアベイラビリティが改善されている。本発明の他の態様において、該オピオイド組成物は患者の応諾を改善する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(背景技術)
痛みは多くの疾患(例えば、癌、関節炎、神経疾患、心臓発作など)の主な症状である。不適切な痛みの治療は、鬱病、怒り、疾患進行の恐れ、および極端な場合は自殺をもたらしうる。
【0002】
残念なことに、処方した薬物療法を受けることに患者のコンプライアンス(応諾)が得られない(非応諾)か成功しないのは痛みの処置が不十分であることに関連している。これは、多くの痛み治療法が注射経路(例えば、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、または皮下注射)により鎮痛剤を投与するので驚くべきことではない。静脈内経路は通常急速な痛みの緩和を達成するための鎮痛薬の最も不都合な投与経路の一つと考えられる。患者が注射を受けるのを恐れるだけでなく、注射部位に生じる痛み、刺激、および感染といった不快な経験も非応諾を生じるかもしれないので、静脈内投与は非応諾を招くかもしれない。
【0003】
鼻内経路は、特に痛み管理の領域で現在特に興味が持たれている。薬剤を鼻内経路を介して投与するときは、薬剤が吸収される鼻粘膜に適用する。鼻粘膜下の毛細血管の広範なネットワークは特に薬剤の急速で効果的な全身吸収をもたらすのに適している。鼻内投与経路は、静脈内経路と血漿濃度(バイオアベイラビリティ)および効果について同様の用量を達成するはずである。
【0004】
薬剤の鼻内投与は、静脈内経路より多くの利点をもたらす。鼻内経路の主な利点は、非侵襲送達、急速な薬剤吸収、および利便性である。静脈内経路は鼻内経路と異なり、注射器の滅菌が必要であり、制度的背景において、静脈内経路では汚染した針が偶発的に刺さると、医療関係者が病気にかかる危険性の心配がある。針およびシリンジを安全に廃棄するための厳密な要求も負担になっている。
【0005】
対照的に、鼻内投与は患者および担当医療関係者の側にほとんど時間がかからず、注射経路より制度上遙かに負担が少ない。薬剤の鼻内送達を行う場合、制度的背景において患者や医療関係者に重大な感染の危険性がない。
【0006】
鼻内投与の静脈内投与に対する第二の重要な利点は、患者が鼻内送達経路を受け入れることである。いくつかの場合では、注射は激しい水腫、腫脹、腫れ、硬化、および痛みをもたらす。対照的に、鼻内投与は、非侵襲性であると考えられ、痛みを伴わず、後遺症がなく、痛み症状を示す患者に速やかな緩和をもたらす。これは患者が子供である場合に特に有利である。ほとんどではないが多くの患者は不安を経験し、IMまたはIV経路を介した皮下注射に直面するとストレス症状を示す。さらに、ほとんどの患者は、患者や家族が日常的に用いている風邪やアレルギーの症状を軽減するための市販の充血除去剤の形の鼻用スプレーをいくらかよく知っている。別の重要な考慮すべきことは、患者が訓練された医療関係者を必要とせずに鼻用スプレーの所定用量を自分で投与できることである。
【0007】
痛みの治療に利用可能な多くの医薬のうち、オピオイド(例えば、モルヒネ、メタゾン、ヒドロモルホン、ブトルファノールなど)は最も重要な役割の一つを果たす。オピオイドの主な利点は、広範な使用の歴史があり、重症の痛みの治療において他のクラスの医薬、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェンなどより遙かに有効であることである。別の主な利点は、オピオイドは、悪心や便秘以外は、臓器、例えば胃、腎臓、または肝臓に対する副作用が少ないことである。これは、潰瘍、腎臓の問題、高血圧、または肝臓の炎症を引き起こすことがある他の医薬、例えばアスピリンまたは抗炎症剤より大きな利点である。鎮痛に加えて、オピオイドは、例えば心臓発作の治療時に心臓の酸素要求を減少させる利点をもたらす末梢動脈拡張のような他の有益な作用を有する。
【0008】
医薬の分野で知られた種々の鼻内オピオイド製剤がある。しかしながら、いくつかの鼻内オピオイド製剤は通常の用量でバイオアベイラビリティが低下している。これら製剤では患者により多くの薬剤を投与する必要があるか、または痛みの処置が不十分であろう。
【0009】
痛みの不十分な処置および患者の非応諾に関する問題の点から、バイオアベイラビリティが改善した鼻内オピオイド組成物の必要性がある。患者の応諾を改善する鼻内組成物の必要性もある。
(発明の要約)
【0010】
種々の態様において、本発明は従来技術の鼻内オピオイド組成物に比べてバイオアベイラビリティが改善している鼻内オピオイド組成物を提供する。他の態様において、本発明は患者の応諾を改善する鼻内オピオイド組成物を提供する。
【0011】
ある態様において、本発明は、有効量のオピオイド;オピオイド用液体鼻用担体;および1またはそれ以上の甘味料、香味料、またはマスキング剤、またはその組み合わせを含む哺乳動物に対する鼻内投与用医薬組成物を提供する。
【0012】
別の態様において、本発明は、有効量のブトルファノール、保存料不含液体鼻用担体を含む哺乳動物に対する鼻内投与のバイオアベイラビリティが改善された医薬組成物を提供する。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、有効量のヒドロモルホン、実質的に保存料を含まない液体鼻用担体を含み、少なくとも1の甘味料、香味料、またはマスキング剤を含む哺乳動物に対する鼻内投与のバイオアベイラビリティが改善された医薬組成物を提供する。
【0014】
ある好ましい態様において、本発明は、有効量のヒドロモルホン;塩化ナトリウム、クエン酸、水を含む保存料不含液体鼻用担体、および少なくとも1の甘味料、香味料、またはマスキング剤を含む哺乳動物に対する鼻内投与用医薬組成物を提供する。
【0015】
さらに別の好ましい態様において、本発明は、有効量のブトルファノールまたはヒドロモルホン;塩化ナトリウム、クエン酸、水を含む保存料不含液体鼻用担体、および少なくとも1の甘味料、香味料、またはマスキング剤を哺乳動物に鼻内投与することを含む痛みに苦しむ哺乳動物の治療方法を提供する。
【0016】
本発明を他のおよびさらなる利点および態様と共によりよく理解するために、以下の説明を実施例と合わせて参照する。本発明の範囲は添付の請求の範囲に記載している。
(図面の簡単な説明)
【0017】
本発明の好ましい態様は、例示および説明のために選んだものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。本発明のある局面の好ましい態様を添付の図に示す。
【0018】
図1は、2つの異なるブトルファノール組成物の血漿中ブトルファノール濃度対時間を図示する。
【0019】
図2は、より長期間にわたる図1のデータを図示する。
【0020】
図3は、IV、IM、および鼻内(IN)用量についての血漿中ヒドロモルホン濃度対時間を図示する。
【0021】
図4は、より長期間にわたる図3のデータを図示する。
【0022】
図5は、ある対象群についての血漿中ヒドロモルホン濃度対時間を図示する。
(本発明の詳細な説明)
【0023】
本発明の好ましい態様を、ここに説明する。これらの態様は、本発明の理解を助けるために示すものであり、本発明を何ら限定するものではなく、限定するものと解釈してはならない。開示内容から当業者に明らかになるであろうすべての代替物、修飾、および等価物は、本発明の精神および範囲内に含まれる。
【0024】
本発明のある態様によれば、驚くべきことに、血漿オピオイドレベルに関してバイオアベイラビリティが改善された鼻内医薬組成物を製造することができることがわかった。これら鼻内組成物は、オピオイドおよびオピオイド用液体鼻用担体を含む。例えば、予期せず、とりわけ、ベンゼトニウムを含まない鼻内製剤を投与することにより、少なくとも約10〜約20%のより高いブトルファノールの血漿中濃度を達成することができることがわかった。すなわち、ベンゼトニウム不含のブトルファノール製剤はブトルファノールの改善された鼻吸収によりバイオアベイラビリティが改善されている。改善されたバイオアベイラビリティは、先行技術のオピオイド製剤に比べた血漿または血清オピオイド濃度の増加を含む。好ましい増加は、限定されるものではないが、オピオイドのバイオアベイラビリティの5%以上〜40%以上の増加を含む。
【0025】
本明細書に記載のオピオイドはアヘン由来のあらゆる天然または合成物質を含む。本発明に用いる適切なオピオイドには、限定されるものではないが、モルヒネ、アポモルヒネ、ヒドロモルホン、オキシモルホン、ジヒドロモルヒネ、レボルファノール、レバロルファン、レボフェナシルモルファン、ノルレボルファノール、ナロルフィン、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメキソン、オキシロルファン、シクロルファン、ケトベミドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、またはその組み合わせが含まれる。本発明に用いるのに最も好ましいオピオイドにはブトルファノールおよび/またはヒドロモルホンが含まれる。
【0026】
該オピオイドは遊離形または医薬的に許容される塩もしくはコンプレックス形であってよい。オピオイドの医薬的に許容される塩のいくつかの例には、該化合物の毒性を実質的に増加しないその塩形成酸および塩基を含むことができよう。適切な塩のいくつかの例には、マグネシウム、カリウム、およびアンモニウムのようなアルカリ金属の塩が含まれる。塩化水素酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸のような無機酸の塩、ならびに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリールスルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸などのような有機酸の塩。
【0027】
本発明の鼻内オピオイド組成物には、液体鼻用担体が含まれる。本明細書で用いている「液体鼻用担体」には、鼻粘膜にオピオイドを送達するために設計した溶液剤、エマルジョン剤、またはサスペンジョン剤が含まれる。液体鼻用担体には、鼻粘膜に適用するのに適した希釈剤が含まれる。適切な希釈剤には、水性または非水性希釈剤またはその混合物が含まれる。水性希釈剤の例には、限定されるものではないが生理食塩水、水、デキストロース、またはその組み合わせが含まれる。非水性希釈剤には、限定されるものではないが、アルコール、特にポリヒドロキシアルコール、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、および植物油および鉱油が含まれる。これら水性および/または非水性希釈剤を種々の濃度および組み合わせで加え、溶液剤、サスペンジョン剤、水中油エマルジョン剤、または油中水エマルジョン剤を形成することができる。好ましいブトルファノールまたはヒドロモルホン組成物において、希釈剤は生理食塩水または水である。
【0028】
本発明の鼻用担体は、賦形剤、例えば抗酸化剤、化学保存料、緩衝剤、界面活性剤、および/または粘性を増加する物質も含まれよう。抗酸化剤は、製剤の酸化を抑制する物質である。本発明に用いる適切な抗酸化剤には、限定されるものではないがブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、メタ重亜硫酸カリウムなどが含まれる。
【0029】
本発明のいくつかの態様において、該組成物は、該組成物を保存するが、鼻粘膜を刺激しない量で選ばれる保存料を含む。本発明のいくつかの態様に用いる適切な保存料には、限定されるものではないが、塩化ベンザルコニウム、メチル、エチル、プロピル、またはブチルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、ベンゼトニウム、またはその組み合わせが含まれる。典型的には、保存料は、約0.01%〜約0.5%(重量)の量で本発明組成物に添加する。しかしながら、本発明のある態様において、ベンゼトニウムを含むとバイオアベイラビリティが低下することがわかった。例えば、予期せず、少なくとも約10〜約20%のより高いブトルファノールの血漿レベルは保存料のベンゼトニウムを含まない鼻内組成物を投与することにより達成することができることがわかった。すなわち、ベンゼトニウム不含のブトルファノール製剤はブトルファノールの鼻内吸収の改善によりバイオアベイラビリティが改善している。
【0030】
本発明のある態様において、該製剤は保存料不含である。本明細書で用いている保存料不含にはいかなる保存料も含まない組成物が含まれる。すなわち、該組成物は、例えば塩化ベンザルコニウム、メチル、エチル、プロピル、またはブチルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、またはベンゼトニウムを含まない。
【0031】
緩衝剤を該組成物に用いる場合、好ましくは鼻粘膜を刺激しない量が選ばれる。緩衝剤にはpH変化を減少させる物質が含まれる。本発明に用いる好ましい緩衝剤には、限定されるものではないがクエン酸塩、酢酸塩、またはリン酸塩が含まれる。最も好ましい緩衝剤には、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、および/またはその組み合わせが含まれる。典型的には、緩衝剤は約0.01%〜約3%(重量)の量で本発明組成物に添加する。
【0032】
1またはそれ以上の界面活性剤を用いるときは、本発明組成物中に存在する量は選択する特定の界面活性剤、特定の投与方法(例えば滴またはスプレー)、および望む効果によって変化するであろう。しかしながら、一般的には、存在する量は、約0.1mg/ml〜約10mg/ml、好ましくは約0.5mg/ml〜5mg/ml、および最も好ましくは約1mg/mlのオーダーであろう。
【0033】
本発明の医薬組成物は、好ましくは鼻粘膜を刺激しない、鼻保持時間が増加する量の選ばれた粘性を増加させる1またはそれ以上の物質を含むことができよう。粘性を増加する好ましい物質には、限定されるものではないがメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、カラギーナン、カルボポール、および/またはその組み合わせが含まれる。粘性を増加させ、鼻保持時間を増加させるのに用いる最も好ましい物質は、メチルセルロースまたはカルボポールである。典型的には、粘性を増加する物質は本発明組成物に約0.1%〜約10%(重量)の量で添加する。
【0034】
本発明のある態様において、1またはそれ以上の甘味料または香味料を用いる。甘味料または香味料には医薬組成物に甘みや香味を与えるあらゆる物質が含まれ、甘味料または香味料は、医薬組成物が鼻内投与後に口の中に滴った場合に生じるかもしれないあらゆる苦み、または悪い風味を覆い隠すであろう。甘味料または香味料を鼻内組成物に加えることにより、患者が鼻内組成物を摂取しなければならない不快な風味によるあらゆる障壁が減少する。甘味料、香味料、またはマスキング剤を本発明の鼻内医薬組成物に加えることにより患者の応諾が増大または改善する。
【0035】
本発明のある態様に用いる好ましい甘味料または香味料またはマスキング剤には、限定されるものではないがアカシアシロップ、アネトール、アニス油、芳香エリキシル、ベンズアルデヒド、ベンズアルデヒドエリキシル、シクロデキストリン、化合物、キャラウェイ、キャラウェイ油、カルダモン油、カルダモンシード、カルダモン精、化合物、カルダモンチンキ、化合物、チェリージュース、チェリーシロップ、シナモン、シナモン油、シナモン水、クエン酸、クエン酸シロップ、クローブ油、ココア、ココアシロップ、コリアンダー油、デキストロース、エリオディクチオン、エリオディクチオン液エキス、エリオディクチオンシロップ、芳香族、エチルアセテート、エチルバニリン、フェンネル油、ジンジャー、ジンジャー液エキス、ジンジャーオレオレシン(ショウキョウ樹脂油)、デキストロース、グルコース、糖、マルトデキストリン、グリセリン、カンゾウ(甘草)、カンゾウエリキシル、カンゾウエキス、カンゾウ純エキス、カンゾウ液エキス、カンゾウシロップ、蜂蜜、イソアルコールエリキシル、ラベンダー油、レモン油、レモンチンキ、マンニトール、サリチル酸メチル、ナツメグ油、オレンジビター、エリキシル、オレンジビター、油、オレンジフラワー油、オレンジフラワー水、オレンジ油、オレンジピール、ビター、オレンジピールスイート、チンキ、オレンジ精、化合物、オレンジシロップ、ペパーミント、ペパーミント油、ペパーミント精、ペパーミント水、フェニルエチルアルコール、ラズベリージュース、ラズベリーシロップ、ローズマリー油、バラ油、バラ水、バラ水、強力、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、サルサパリラシロップ、サルサパリラ化合物、ソルビトール溶液、スペアミント、スペアミント油、ショ糖、スクラロース、シロップ、タイム油、トルバルサム、トルバルサムシロップ、バニラ、バニラチンキ、バニリン、野イチゴシロップ、またはその組み合わせが含まれる。
【0036】
本発明のある態様に用いる最も好ましい甘味料には、限定されるものではないが、サッカリン、サッカリンナトリウム、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、スクラロース、マルトデキストリン、ショ糖、アスパルターム、アセスルファームカリウム、デキストロース、グルコシド、マルトース、橙皮油、デキストロース、グルコース、蜂蜜、またはその混合物が含まれる。本発明のある態様に用いる最も好ましい香味料には、限定されるものではないが、グリセリン、ウインターグリーン油、ペパーミント油、ペパーミント水、ペパーミント精、メントール、シロップ、またはその組み合わせが含まれる。本発明に用いるのに最も好ましいマスキング剤には、限定されるものではないが、シクロデキストリン、シクロデキストリンエマルジョン、シクロデキストリン粒子、シクロデキストリンコンプレックス、またはその混合物が含まれる。
【0037】
本発明の種々の態様の医薬組成物は、もちろん、さらなる成分、例えば医薬的に許容される界面活性剤、共溶媒、接着剤、pHおよび浸透圧を調整する物質も含んでよい。
【0038】
本発明の医薬組成物はいかなる特定のpHにも限定されない。しかしながら、一般的に鼻投与では弱酸性のpHが好ましいであろう。約3〜6のpH範囲が好ましく、約3〜5のpH範囲がより好ましく、約4〜5のpH範囲が最も好ましい。pH調整が必要であれば、適切な酸、例えば塩化水素酸、または塩基、例えば水酸化ナトリウムを添加することにより達成することができる。本発明の好ましい態様において、ブトルファノールまたはヒドロモルホン製剤はそれぞれpH約5.0およびpH約4である。
【0039】
本発明のある態様において医薬組成物は、無菌条件下、室温で、例えば該オピオイドと液体鼻用担体および/または甘味料、香味料、またはマスキング剤、またはその組み合わせを混合して混合物を形成することにより製造することができる。本発明の他の態様において、該混合物をろ過する。混合の順序が重要でないことは当業者は理解するであろうし、本発明には限定されるものではないがあらゆる順序の製剤の混合が含まれる。
【0040】
本発明の医薬組成物は鼻用スプレー、滴、溶液、サスペンジョン、ゲルなどにより鼻内投与することができる。ある好ましい態様において、本発明の医薬組成物は無菌溶液またはサスペンジョンである。
【0041】
該医薬組成物が液体であるときは、該液体の好ましい容量は鼻粘膜を通して吸収される。該液体の好ましい容量は成人で約0.025ml〜約2ml、より好ましくは約0.25ml〜1ml、最も好ましくは約0.05ml〜約15mlであり、子供にはより少ない量である。しかしながら、本発明の医薬組成物はある特定の容量に限定されない。
【0042】
本発明の医薬組成物の鼻内送達用の好ましい用具は、例えば、Pfeffer of America(Princeton、New Jersey)およびValois of America、Inc.(Greenwich、Connecticut)から利用可能である。これら用具は医薬組成物を一定して送達する能力があるので好ましい。これら用具は、患者が容易に操作でき、使用後用具内にオピオイドが実質的に残らず、その後、他の者がオピオイドまたは他の管理物質を乱用する心配なしに捨てることができる。
【0043】
該用具には単用量または多用量のオピオイドを充填することができる。好ましくは、該用具には単用量のオピオイドを充填する。好ましい態様において、該医薬組成物を入れる容器は滅菌可能であり、最も好ましくは、少なくとも医薬組成物と接触する用具の部分が滅菌することができる構造に構成され、組み立てられる。1またはそれ以上の単位用量を含む用具は、当該分野でよく知られた方法および技術を用いて包装の前または後に滅菌することができる。個々の用具は、包装、滅菌、および輸送することができ、あるいはまた、完全な輸送および保存包装を同時に滅菌することができ、該用具を残る単位の無菌性を損なうことなく投薬のために個々にとりだすことができる。
【0044】
本発明の組成物および方法に従って鼻内投与することができるオピオイドの量は、選択した特定のオピオイド、治療すべき病状、望ましい投与頻度、および望む効果によるであろう。本明細書で用いているオピオイドの有効量には痛みに関連する症状、病状、および/または疾患の緩和または軽減を達成するのに有効な量が含まれる。痛みを生じる疾病および/または病状には、限定されるものではないが癌、関節炎、神経疾患、心臓発作、外傷、出産、片頭痛、または外科手術が含まれる。
【0045】
哺乳動物のための本発明の医薬組成物の最大用量は、鎮痛または麻酔を誘導し、望ましくないかまたは耐えられない副作用、例えば呼吸抑制を起こさない、最高用量である。オピオイドの最小用量は、望む結果を達成する最低用量である。いずれにしても、実施者は当該分野の技術および知識により手引きされ、本発明には限定されるものではないが哺乳動物における痛み緩和効果を達成するのに有効な用量が含まれる。鼻内投与用のオピオイドの好ましい用量には、限定されるものではないが、ヒドロモルホンHCL約0.lmg〜約30mg;ブトルファノール酒石酸塩約0.1〜約10.0mg;フェンタニルクエン酸塩約5mcg〜約500mcg;メタゾンHCl約0.5〜約50mg;オキシモルホンHCL約0.1mg〜約30mg;およびモルヒネHCL約1mg〜約40mgが含まれる。
【0046】
本発明の鼻内オピオイドは、例えば痛みを緩和または軽減する麻酔または鎮痛反応を誘導するのに用いることができる。本発明のオピオイドは、哺乳動物が感情または感覚の喪失、特に外科手術または他の痛みを伴う処置の実施を可能にする痛み感情の喪失を経験する麻酔または麻酔反応を生じるのに用いることもできよう。オピオイドはオピオイド処置が必要な病状および/または疾患に罹患した哺乳動物に投与される。哺乳動物には、例えばヒト、およびペット動物、例えばイヌおよびネコ、実験動物、例えばラットおよびマウス、ならびに家畜、例えばウマおよび乳牛が含まれる。
【実施例】
【0047】
以下の実施例は、先行技術の医薬組成物に比べて本発明の好ましい組成物のバイオアベイラビリティが改善されていることを証明する。実施例は、患者の応諾を改善する甘味料、香味料、もしくはマスキング剤、またはその組み合わせを含む医薬組成物も示す。
実施例1
【0048】
本実施例は、本発明のブトルファノール製剤とBristol-Myers Squibbが登録商標STADOL(登録商標)NSで市販している先行技術の鼻内投与用ブトルファノールと比較する。1mlのSTADOL(登録商標)NS(参考製剤)は、精製水中の10mgブトルファノール酒石酸塩、6.5mg塩化ナトリウム、1.0mgクエン酸、0.20mg塩化ベンゼトニウムを含み、1.2mg水酸化ナトリウムおよび塩化水素酸を加えてpH5.0に調整している。先行技術製剤は、その標示により使用者が活性化時に計量して0.1mLの液体組成物を投与することを目的とする多用量スプレーである。
【0049】
本発明のある態様において、ブトルファノール組成物(試験製剤)は、精製水中、10mgブトルファノール酒石酸塩、6.5mg塩化ナトリウム、1.0mg無水クエン酸を含み、1N水酸化ナトリウムおよび/または1N塩酸を加えてpH5.0に調整している。ブトルファノール試験製剤は塩化ベンゼトニウムを含まなかった。本発明のブトルファノール組成物の1を投与するのに用いた送達系は、指定「単位用量第二世代」のもとでPfeffer of Americaから市販されている単位用量ディスポーザブル鼻内アプリケーターであった。「各Pfefferスプレーアプリケーターに十分な液体を満たし、0.1mL用量の塩化ベンゼトニウム不含ブトルファノール試験製剤を送達した。ガラス容器を清浄条件下、ピペットで充填し、密封し、次いで組み立ててアプリケーターとする。各アプリケーターの重量を使用の前および後に測定する。資格のある医療関係者が、該薬剤が各患者の自己投与(各鼻孔に1用量)に処方され、参加している医薬の使用状況において患者に各アプリケーターを使用し、次いでアプリケーターを回収し計量した。単位用量アプリケーター(試験製剤)の場合、各患者は2つの用具を用い、その両用具を使用後計量し、廃棄した。本発明の方法および系および比較する先行技術の方法のこれら試験結果を以下に示す。
表I:用量重量送達の試料特性
【0050】

単位用量
【0051】
試験製剤の単位用量送達系について用量1および用量2の統計的比較を対応のあるt検定を用いて行った。データ分析は、Pfeffer用具を用いる2つの適用のスプレーの平均値間の差が統計的に有意でないことを示した(t=1.0;p=0.3)。23スプレー器(単用量であったため、実際には2スプレー器23セット)の試料は、2スプレーの平均総用量は0.206g(グラム)で標準偏差は0.00660gであった。
多用量
【0052】
2スプレーにより投薬された総用量を記録した。24個の多用量スプレー器試料の2スプレーの平均総用量は0.180gのであり、標準偏差は0.0285であった。
平均総用量の比較
【0053】
単位用量および多用量スプレー器を比較するための2試料t検定は、該試料の大きさを考慮した平均総用量間の統計的有意差を示した。単位用量平均総用量は、多用量平均総用量より処方した標的および用量に有意に近かった(t=4.3;p<0.001)。差の95%信頼区間は平均で(0.0140、0.0380)である。
変動性の比較
【0054】
変動を比較するためのF検定は、多用量スプレー器(参考製剤)により投薬された総用量の変動性が単位用量スプレー器により投薬した重量の変動性より有意に高かった(F=18.7;p<0.001)ことを示した。多用量スプレー器の変動性は、単位用量スプレー器(試験製剤)の18.6倍である。用量送達における高い変動性は過剰用量でより高率に副作用を生じ、用量が低い場合は処置が不十分となる。両結果は患者に害を与えるので、処方用量を正確に送達することが目標となる。
0.2gの標準品と各スプレー器の比較
【0055】
t検定を各場合に用い、観察された試料の平均を0.2gの望ましい重量と比較した。単位用量スプレー器は、目標の0.2gより有意に高い平均総重量を投薬した(t=4.4;p<0.001)。単位用量スプレー器により投薬された平均総重量の95%信頼区間は(0.203、0.209)である。多用量スプレー器は、目標の0.2gより有意に低い平均総重量を投薬した(t=3.4;p<0.003)。多用量スプレー器により投薬された平均総重量の95%信頼区間は(0.168、0.192)である。上記に基づき、本試験製剤の単位用量送達系は、0.1gに対応する液体組成物の容量の鼻内投与において遙かに高度の精度を示す:+3%vs-10%。
生物学的等価性
【0056】
本実施例は、2つの異なるブトルファノール製剤の生物学的等価性を評価する。参考製剤は、精製水中、10mgブトルファノール酒石酸塩、6.5mg塩化ナトリウム、1.0mgクエン酸、0.20mg塩化ベンゼトニウムを含み、1.2mgの水酸化ナトリウムおよび塩酸を加えてpH5.0に調整した1mLのSTADOL(登録商標)NSである。多用量スプレー器を伴うSTADOL(登録商標)NSは、その標記により0.1mLの液体を投与することを目的とする。試験製剤は、精製水中、10mgブトルファノール酒石酸塩、6.5mg塩化ナトリウム、1.0mg無水クエン酸を含み、1N水酸化ナトリウムおよび/または1N塩酸を加えてpH5.0に調整する。該ブトルファノール試験製剤は、塩化ベンゼトニウムを含まなかった。該試験製剤の送達用具は0.1mlの液体を送達する。
【0057】
第二の分析は、2つの製剤の対象内変動性が等しいか否かを検討することであった。該試験は、16対象で開始し、そのうち15は本分析用データを提供するための試験を完了し、1対象は第二期後に脱落した。以下の分析は生および正規化データを共に考慮し、後者は投薬用量に対して標準化した。
【0058】
生および正規化データは共に、log変換を適用し、薬物動態的終末点、Cmax、AUC (00891ast)、およびAUC (inf.)を適用する。混合効果モデルを各パラメーターについて検討した。因子配列(4レベル、期間3レベル)および製剤(2レベル)に対する固定効果がモデルに含まれた。さらに、性別、および性別と各系列、期間、および製剤間の相互作用を、、男と女で別個の分析が必要であるか否かを決定するために各モデルに因子として含めた。さらに、合計7モデルを考慮した:Tmax、log生Cmax値、log正規化Cmax値、生および正規化AUC(last)のlog変換値、ならびに生および正規化AUC(inf.)のlog変換値。すべての例において、性別および製剤間の相互作用は、有意でなく、男及び女の別個のモデルを正当化しないことを示した。さらに、各モデルに含まれる効果の有意性がないことは、先行技術の送達系と本発明のある態様の送達系の間に不適当な持ち越しの証拠がないことを示した。
【0059】
対象血液の血漿の分析から得たブトルファノールの平均レベル(pg/ml)を図1および2に対時間でプロットした。試験製剤の薬剤濃度は、参考製剤より予想以上に高かった。生物学的等価性の試験は、2回の片側t検定法を用いて行った(Bolton、S.、Pharmaceutical Statistics. Marcel Decker、Inc. 、New York、1997、415頁 ff.に記載)。各パラメーターについて、試験単位用量の参考多用量製剤に対する比の90%信頼区間を下記表2に示す。
表2:PKパラメーターに対する2回の片側仮説検定の要約
【0060】

【0061】
非正規化データに対するこれら信頼区間はいずれも0.8〜1.25の区間に含まれないので、2つの製剤(試験および参考)は生値と比較して等価ではないと結論される。Tmaxに関するHoの一側t検定:試験/参考<0.8は棄却されない。Hoの検定:試験/参考>1.25は、あらゆるlog変換生値について棄却されない。投薬した用量による正規化は2製剤の比較可能性を改善するが、3パラメーターのうちの2つは帰無仮説Ho:試験/参考>1.25を棄却できない。生物学的等価性は、正規化、log変換AUC(inf)に対する片側検定の対によってのみ支持される。各7パラメーターに対する両片側t検定は0.05のアルファレベルで行った。
【0062】
データは、多年にわたり販売され、投薬されてきたFDA承認製剤(STADOL(登録商標)NS)の予想以上に高度の非生物学的等価性を示す。非等価性の程度は、Pfeiffer用具を用いる本発明方法より有意に大きかった。試験製剤はより高い血清薬剤濃度を達成するので、単位用量投与のわずかな過剰はさらに該送達用具に入れた容量および/または薬剤濃度を調整することにより減少させることができる。すなわち、薬剤容器を実際により少量の薬剤で充填することができる。
等分散性
【0063】
Pitman-Morgan修正F検定を用いて単位用量および多用量パラメーターの分散を比較した(Chow、S-C. and Liu、J-P、Design and Analysis of Bioavailability and Bioequivalence Studies. Marcel Dekker、Inc.、New York (2000)参照)。この検定は3期デザインに一般化できず、ブトルファノール試験の最初の2期を用いたため、
この分析の目的では2製剤、2期、および2系列がある。Pitman-Morgan修正F検定は、時期効果が有意であり、時期効果のない単純化形を有する場合でも用いることができる。検討した7PKパラメーターのうち、Tmaxのみが有意な時期効果を示した。表3は同等性検定の結果を要約する。帰無仮説は分散が等しく、小p-値は同等性からの逸脱を示すことである。
表3:PKパラメーターに対するPitman-Morgan修正F検定の要約
【0064】

【0065】
等価分散検定は、Tmax以外のすべてのPKパラメーターについて2製剤の変動性が有意に異なることを示し、単位用量系が血中薬剤レベルの変動性が遙かに低いことを示した。Cmax、AUC(last)、およびAUC(inf)パラメーターの正規化は、幾分、分散間の差を減少させたが(わずかにF値が少ないことにより証明された)、それにも関わらず、分散は有意に異なった。単位用量系と関連した変動性は、先行技術の多用量系のそれより少なく、これは送達容量重量試験の知見と一致している。
【0066】
上記から、用量重量/容量データは血液レベル(薬物動態的)分析により確認されることが明らかである。参考製剤は、本発明の試験製剤の90%である曲線下面積をもたらす。すなわち、試験製剤は参考製剤に比べて10%高い曲線下面積と10%高い血清レベルを達成した。この差は患者の治療の観点から極めて有意である。FDA処方生物学的等価性統計法を適用すると、患者に投与する生成物が等価ではないと結論される。すなわち、本発明のある態様においてブトルファノール試験製剤は、ブトルファノールの鼻内投与に予期しない改善をもたらす。
【0067】
当業者が理解するであろうように、ブトルファノールの鼻内投与試験から得た上記結果および結論を、本発明の実施において液体スプレーの形で鼻内投与することができる他のオピオイドに広げることができる。さらに、本発明の組成物および方法は、他のオピオイドおよび規制物質の鼻内投与について、患者、医療施設、および医療従事者、および全体として社会の利点および利益のために実施することができる。
実施例2
ヒドロモルホン鼻内溶液
【0068】
上記組成物および方法に従って、ヒドロモルホンHCL(HM HCL)を本発明のある態様の実施に用いるために液体組成物に製剤化した。HM HCLは、モルヒネと同様の特徴を有するオピエート鎮痛剤に対する有力なmu-レセプターである。HM HCLは、モルヒネ、オキシモルホン、およびコデインと化学的に同様であり、多くの鎮痛および薬理学的特性を共有する。
【0069】
HM HCLは、DILAUDID(登録商標)(Merck Index、1983)の登録商標でより一般に知られている処方薬の麻薬性鎮痛薬である。Dilaudid(C17H19O3N.H2O)は、A. G. Knoll chemical社(Ludwigshafen、Germany)により発見され、1923特許の対象であった。この医薬の合成および試験について説明する最初の文献は1920年に出現し、それ以来痛みの臨床管理に用いられてきた。最初の広範な文献レビューは、1933年に、Council on Pharmacy and ChemistryによりJournal of the American Medical Associationに発表された(Eddy、N. B. Dilaudid(Dihydromorphoninone hydrochloride) J Am Med Assoc 1933;100: 1032-1035)。該薬剤は承認され、安全で有効な鎮痛剤として医学界に広く受け入れられている。現在、登録商標DilaudidおよびDilaudid-HPでAbbott laboratoriesが市販している。
【0070】
HM HCLは経口または坐剤で投与すると肝臓の一次通過代謝を受けることが知られている。すなわち、鼻内投与すると、有効単位用量は経口または直腸経路で投与した用量に比べて実質的に少なくなりうる。
【0071】
HM HCLは、正確な用量を手で作動させるポンプにより鼻内投与するための単回または単位用量鼻用スプレーの形で製造するのが好ましい。各1mLの鼻用スプレー溶液を、医薬製剤中、10mgHM塩酸、ならびに0.2%塩化ナトリウム、0.2%クエン酸ナトリウム、0.2%クエン酸溶液、および無菌水(すなわち、注射用水、USP)、許容される抗酸化剤濃度、および緩衝剤を含むよう製剤化することが好ましい。この製剤のpHは約pH4.0であった。この製剤を下記ヒドロホルモン臨床試験に用いた。
【0072】
当業者が理解するであろうように、より低濃度のヒドロホルモンの剤形を、子供やかなり小さな大人の場合に患者の低い体重に基づいて投与するために製造することができる。鼻用スプレー溶液は、pHの範囲が約3〜約7であり、pH約4〜5が好ましい。
【0073】
好ましい送達系において、鼻用スプレーポンプの各作動は1mg用量を構成するこの10mg/ml HM HCL溶液0.1mLを送達する。より少ない用量を子供に投与することができよう。充填したアプリケーターは当該分野で知られた方法により滅菌することができる。HM HCL鼻用スプレーアプリケーターは15〜30℃(59〜86°F)で保存され、遮光して最大保存寿命を得る。アプリケーターの胴体は透明ではないので、該薬剤製品の変質の徴候を目視検査することはできず、有効期限と保存状態に対する注意が重要である。あらゆる期限切れ製品は適切な方法で廃棄される。
【0074】
麻酔薬の鼻内(IN)投与を説明する先の研究の分析は、HM HCLがその有効性および水溶性からみてIN経路により良好なバイオアベイラビリティを有する可能性が高いことを示唆した。ヒドロモルホンの広範な文献の再検討は、いかなる比較IV/IM/IN濃度対時間または薬物動態データも示さなかった。筋肉内投与したHM HCLおよび鼻内投与したHM HCLの薬物動態をIV経路で投与したHM HCLと比較することによりIMおよびIN経路によるHM HCLのバイオアベイラビリティを測定するためにプロトコールを設計した。具体的には、本研究の目的は、(1)2mg用量のHM HCLの鼻内、筋肉内、および静脈内投与を介したHMの薬物動態を比較し、(2)鼻内、IM、およびIV経路の投与後の2mgHM HCLのバイオアベイラビリティを標準3期クロスオーバーデザインで評価することであった。
【0075】
鼻内投与用のHM HCL製剤は、0.1L中、濃度1.0mgのHM HCLの液体組成物の形に製造した。該組成物を用いて必要数の、Pfeffer of America、Inc.が製造し、市販している単用量の定量スプレー器を充填する。各対象は各鼻孔に合計2.0mgの単回スプレーを受けた。2.0mg用量が、痛み管理のために処方される一般的、安全、および標示用量内にあるものとして好ましい。市販のHM HCL(非経口投与用Dilaudide(登録商標)(Knoll Pharmaceutical Company))をIM/IV投与用に購入した。
観察方法
【0076】
年齢22〜28歳の健康男性対象9人がこの入院試験に参加した。試験参加者は、試験対象/除外基準、病歴、および健康診断、臨床検査、および他の慣例的手順に基づいて選ばれた。対象の人口統計を記録した。これらには、年齢範囲:22〜28歳;身長範囲:175〜188cm;体重範囲:70.3〜95.3/kg;人種:白人6人、アジア人2人、ネイティブアメリカン1人が含まれ、すべて非喫煙者であった。対象9人はすべてプロトコールに従って試験を完了した。各対象に別個に3回、2mgのHM HCLを3用量投与した。臨床的に重要なプロトコール違反は試験中生じなかった。試験対象基準は試験前および試験中の処方および非処方薬を絶つことを記載していたので、試験前14日間および試験中に受けたあらゆる薬物療法を記録した。
臨床試験
試験薬製剤:
【0077】
鼻内投与用のHM HCLはUniversity of Kentucky College of Pharmacyから供給された。静脈内投与用のHM HClは、Dilaudide(登録商標) 1mg/mLとして第1日に対象1、3、8、および9に、第2試験日に対象2、4、5、6、7に供給された。筋肉内投与用のHMHC1は、Dilaudid(登録商標) 4mg/mLとして第1試験日に対象2、4、5、6、および7に、第2試験日に対象1、3、8、および9に供給した。遊離塩基含有量は1.77mgまたは記載したHM HCl強度の88.7%であった(分子量:321.8〜36.46=285.34、285.34/321.8=88.7%)。要約すると、3投与経路それぞれの用量は以下のごとくであった。
処置A:2.0mg静脈内用HM HCL
処置B:2.0mg筋肉内用HM HCl、および
処置C:2.0mg鼻内HM HCl溶液
試験薬剤投与
【0078】
第1日および第8日に、2.0mgのHM HClは一夜絶食後、順不同に静脈内または筋肉内に投与した。第15日に、3.0mgのHM HClを一夜絶食後(ただし給水は自由)に鼻内投与した。対象は薬剤投与後4時間横になることを許されず、これら試験日には4時間(昼食まで)絶食を続けた。
【0079】
University of Kentucky Hospital Dietetics and Nutrition departmentが用意した食事および軽食を各対象に与えた。対象は、食事すべてを食べるよう指示された。すべての対象は、各処置日に同じ食事および軽食を与えられたが、別の試験日には異なる食事を与えられた。
安全対策
【0080】
体重、血圧、および脈拍を投薬前および試験終了時に測定した。血圧および脈拍数を真っ直ぐに座った患者で測定し、次いであらゆる対応する血液試料を収集した。血圧および脈拍数を、試験中同じ腕で、0(投薬前)および30分、1、2、4、8、および16時間に測定し、記録した。
臨床的有害事象
【0081】
自発的に報告される有害事象は、試験を通して対象が記録した。有害事象は無指導面接によっても誘導された。
試料収集
【0082】
I期〜III期の血液試料を下記スケジュールに従って各対象から収集した:HM HCl投与後0(投与前)、5、10、15、20、30、および45分、および1、2、3、4、6、8、12、および16時間。IV投与の開始を0時と考えた。収集後、血液を冷却遠心器中、40℃で遠心して血漿と細胞を分離し、血漿をポリプロピレンチューブに移した。血漿を独立した分析サービスに輸送するまで試験現場で約-70℃で保存した。血漿は輸送中凍結したまま維持し、遠隔分析施設に到着次第、試料を分析まで約-20℃に保存した。
生物分析法
ヒドロホルモンのLC/MS/MSアッセイ
【0083】
試料分析は樹立されたプロトコールに従って独立したサービスが実施した。20pg/mL以下の濃度は、定量限界以下(BQL)として報告した。濃度2,000pg/mL以上の試料は、アッセイ濃度を20〜2,000pg/mLの範囲内にするため希釈して再分析した。QC試料も希釈した。検証中、精度(precision)を変動係数パーセント(%CV)で、正確度(accuracy)を理論値からの差パーセント(相対誤差に同じ)で表した。
薬理学的方法
【0084】
HMの血漿濃度対時間データをノンコンパートメンタル薬物動態法を用いて分析した。
【0085】
最大血漿濃度(Cmax)および対応サンプリング時間(Tmax)は観察により確認した。濃度対時間データを片対数スケール上にプロットし、末端log-直線位相を目視検査により確認した。消失速度定数(λz)は、濃度対時間曲線の末端log-直線位相に対する直線回帰の傾斜として測定した。末端半減値(terminal half-life value)(t1/2)は0.693÷λzとして計算した。
【0086】
血漿濃度対曲線をプロットする曲線下面積(AUC)を台形法則により計算し、無限時間に外挿した。最終時点に対するAUC(AUC0-last)を直線台形法則により計算した。平均血漿濃度はグラフ表示だけのために計算した。平均計算値に含まれるデータは、名目サンプリング時間の5%以内の測定可能な濃度を有する試料のものであった。
安全成績
【0087】
生命徴候の臨床測定および体重測定の結果を記録し、鼻検査を行った。このデータを再検討してもいかなる臨床的に重要な安全に対する心配は認められなかった。重大な有害事象はなく、副作用により中断した対象もいなかった。対象は、薬物効果の強さはIVまたはIM投与に比べてIN経路で低かったと述べた。
生物分析的結果
LC/MS/MSによる血漿中ヒドロホルモン
【0088】
コントロール試料の結果および較正曲線を試験試料を用いて分析し、方法の検証を報告した。精度を反映する全CVはQC試料で<7.4%であった。正確度を反映するQC濃度200.0、500.0、および1000について94.5〜100,1%の範囲の回収パーセントは、QC試料について<6%であった。
薬物動態成績
【0089】
対象9人それぞれの血漿ヒドロモルホンHCL濃度および実際の回収時間を表にし、対象9人それぞれの血漿濃度時間曲線を作成した。図3および4の平均濃度時間曲線は、ほとんどの対象について代表的である(平均データの表形式化)。図3は、投与後6時間の2mgヒドロモルホンHCLのIV、IM、およびIN投与後の平均(n=9)ヒドロモルホン濃度対時間グラフのプロットである。図4は、投与後16時間についてプロットした同じデータである。IN投与後6時間の全対象についての曲線は対象9人に2mgヒドロモルホンHClをIN投与後のヒドロモルホン濃度対時間のグラフとして図5に示す。
【0090】
ノンコンパートメンタル薬物動態分析を用いて、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、および鼻内(IN)経路でヒドロモルホンHCL 2.0mgを単回投与後のヒドロホルモンの血漿濃度対時間曲線を評価した。すべての対象について個々の血漿ヒドロモルホン濃度対時間プロフィールを記録した。消失速度定数を推定するのに用いた時点の数も記録し、対象9人すべてについて個々および平均薬物動態パラメーターの完全な一覧を記録した。表4.2は、ヒドロモルホンの薬物動態パラメーターに対する記述統計学のまとめである。
【0091】
ヒドロモルホンHClの急速吸収がIMおよびIN投与後に観察された。Tmax値はIMおよびIN投与それぞれにつき平均で約9および18分間であった。IV注入の平均Tmaxは、2つの理由で注入終了後の最初の血液試料ではなかった。ある対象のIV投与後の最高濃度は、IV注入終了後の最初の血液試料ではなく、次の時点のものであった。対象4の場合、IV注入直後に血液試料を得るのが遅れ、平均Tmaxに影響が生じた。予期した通り、ヒドロモルホンCmaxおよびAUCは、IN投与に比べてIMおよびIV投与後に有意に高かった。平均血漿半減期およびクリアランス(バイオアベイラビリティについて補正後)はすべての3処置で同様であった。
【0092】
IN製剤からのヒドロモルホンの絶対的バイオアベイラビリティの算術平均値は64%である。範囲は、IV投与と比較して50%〜81%のバイオアベイラビリティであった。IMヒドロモルホンHCLの見かけのバイオアベイラビリティは、IV投与の同じ用量のそれより約30%大きかった。この異常な現象の原因は分からなかったが、非経口投与後の異常な分布現象はこの分野の他の研究者も報告している。
統計学的評価
【0093】
表4.3中の薬物動態パラメーターを分析し、投与経路の影響を評価し、期間および系列(sequence)効果を試験した。このプロットデータの分析は、2つの部分で考えられる。第一部分は、最初の2期間のみを考慮し、処置、系列(すなわち、持ち越し効果の試験)、および期間の因子を含む。第二部分は、全3期間および処置を含むが、系列および期間の効果は無視する。2期間分析を、期間1vs.2として表4.3に示し、最後のカラムは3期間モデルを含む。
【0094】
これら9通りの結果では、さらにより有意な処置効果がある。Post-hoc分析は、Fisherの最小有意差法に基づき、表4.3に示す。有意な期間または系列効果はなかった(0.05のアルファレベルを用いる)こと、およびこれは予備計画であることから、上記分析が適切であることには議論の余地がある。
【0095】
対象07のCmax値は、含まれたすべての測定値で平均の2標準偏差より大きかったので、この対象についてはこの値を省く客観的方法がある。この異常値を含む結果と含まない結果は同じ結果をもたらした。
表4:IN2期間および3期間モデルからの有意レベルのまとめ
【0096】
【表1】

* NSと報告したすべてのp値は>0.1である。
【0097】
IV、IM、およびIN経路で2mgヒドロホルモンHCLを投与された9人の健常男性対象のこの試験において、生物学的等価性のためのIM投与とIN投与の比較は、IM投与でのヒドロモルホン濃度がIN投与のものに比べて顕著な差があることがわかった場合は完結しないかもしれない。
【0098】
薬物動態データのノンコンパートメンタル分析は、本研究と以前の研究の比較は分析技術の差があるため注意すべきではあるが、半減期、クリアランス、組織内への急速分布、および大きな見かけの分布容量に関する以前の研究(Parab et al. 1988; Hill et al.1991)と同様の結果をもたらした。ヒドロモルホンHCLは鼻経路によりよく吸収される。鼻内バイオアベイラビリティは平均約64%であった。個人間変動は、IN経路ではIVおよびIM経路に比べてCmaxおよびTmaxが同様であった。3コンパートメント特性は、3相濃度対時間曲線により示唆されたが、コンパートメンタル分析は行わなかった。
【0099】
短IV注入後、ヒドロモルホン濃度は1対象を除くすべてで予期したように注入終了時にピークとなった。IM投与後のピーク濃度は、予期せず急速であり、IMおよびIN用量の生物学的等価性を示すデータの分析が不可能であり、分析を続行しなかった。
【0100】
薬物動態パラメーターの推定値は、Vss(CV 46%)を除きINパラメーターではCVが27%以下であった。対象内変動の推定値は、IVヒドロモルホンHCLの公表された研究の推定値より小さかった(Parab et al.; Hill et al.; Vallner et al.)。クロスオーバーデザインを使用し、本研究の食事時間を標準化することは対象内変動性を低下させるのを助けるようであった。
【0101】
クリアランスは経路に関わらず3投与経路すべてで同様である。CLおよびVss推定値の変動性はIV投与後ではIN投与に比べて少ない。IV投与は吸収および一次通過代謝の対象間変動を回避するので、変動性の低下が予想される。
【0102】
有害事象は、IN投与後IVおよびIM投与に比べて頻度が低く、より軽度であった。用量反応関係を仮定すると、この効果はIN投与のバイオアベイラビリティがより少なく、ピーク濃度がより低いという事実に起因すると考えられ、対象はよりゆっくり吸収される、より低用量を有効に受ける。鼻刺激はIN投与後ほとんどの対象により報告された喉の後味が悪いこと以外は観察されなかった。まとめると、ヒドロモルホンHCLはバイオアベイラビリティ64%で鼻経路によりよく吸収される。CmaxおよびTmaxは、IMおよびIV経路で同様であった。クリアランスは経路に関わらず同様である。
【0103】
ヒドロモルホンHCLは、注射により普通に経験されるもの以上の全身有害事象は生じなかった。単回IN投与後、対象は製剤の唯一の局所投与効果として苦い後味を訴えた。苦い後味は製剤に甘味料を添加することにより覆い隠すことができる。詳細な鼻検査では、HM HCL製剤の単回投与後の鼻咽頭に対する病変はみられなかった。さらなる一連の研究において、ヒドロモルホンHCLは上記の本発明方法に従って以下のカテゴリーから選ばれるより大きなボランティア群に投与される。
【0104】
1.健康良好、年齢18〜40歳、
2.健康良好、年齢60〜80歳、
3.鼻炎の患者、
4.乳伝達のための分娩後の授乳、
5.女性の手術後の痛み、
6.癌の子供および若者
7.男性の膝外科手術患者、および
8.女性の外科手術患者。
【0105】
これらの試験結果は、HM HCLが、別の投与経路で報告されているものよりいかなる有意な副作用なしに、種々の背景において痛みからの軽減をもたらすのに用いるのに適しており、好都合な利点および急速な発現をもたらす。
【0106】
液体製剤は、下記の全身鎮痛剤それぞれの鼻用担体において完全に溶解した溶液剤として製造される:モルヒネ、アポモルヒネ、メトポン、オキシモルホン、デソモルヒネ、ジヒドロモルヒネ、レボルファノール、シクラゾシン、フェナゾエイン、レバロルファン、3-ヒドロキシ-N-メチルチアオルフィナン、レボフェナシルモルファン、メタゾシン、ノルレボルファノール、フェノモルファン、ナロルフィン、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ペンタゾシン、ナロキソン、ナルトレキソン、ジプレノルフィン、ナルメキソン、シプレノルフィン、アラゾエイン、オキシロルファン、シクロルファン、ケトベミドン、アポコデイン、プロファドール、シクロルファン、シプレノルフィン、ジヒドロモルヒネ、ホルコジン、ヒドロキシペチジン、フェンタニル、スフェンタニル、およびアルフェンタニル。
【0107】
Pfeffer単位用量アプリケーターを用いるヒドロモルホンHCL臨床試験で実施される本発明方法に従った上記各液体組成物の臨床試験は、ヒドロモルホンHCL研究において得られたものと同程度の結果をもたらす。
実施例3
【0108】
本実施例は本発明の好ましい鼻内組成物について説明した。オピオイドは希釈剤、緩衝系、抗酸化剤、1またはそれ以上の粘性調節剤、および甘味料、香味料、またはマスキング剤を含む鼻用担体に溶解することができる。鼻内投与すべき用量および容量は、患者の特異的パラメーター(例えば、体重、年齢、腎臓、および肝機能など)に従って調整することができる。鼻内組成物の好ましい薬剤および範囲を以下に列記し、各群から選ぶことができる。
【0109】
1. オピオイド(1またはそれ以上)
ヒドロモルホンHCl 0.1-30mg
ブトルファノール酒石酸塩 0.1-10.0mg
フェンタニルクエン酸塩 5-200mcg
メタゾンHCl 0.5-50mg
オキシモルホン HCl 0.1-30mg
モルヒネHCl 1-40mg
2. 緩衝剤(1またはそれ以上-所望により)
クエン酸ナトリウム 0.01-5%
酢酸ナトリウム 0.01-5%
リン酸ナトリウム 0.01-5%
3. 抗酸化剤 (所望により):
ブチル化ヒドロキシトルエン 0.01-5%
4. 甘味料、香味料、またはマスキング剤 (1またはそれ以上)
糖、例えばショ糖 0.1-5%
アスパルターム 0.1-5%
サッカリン 0.1-5%
油、例えばウインターグリーン、オレンジ 0.1-5%
メントールおよび/またはカンファー 0.1-5%
5. 粘性調節 (1またはそれ以上−所望により)
メチルセルロース 0.1-10%
カルボポール 0.1-10%
6. 希釈剤
QS(水または生理食塩水で所定容量とする)
【0110】
本発明を一般的に説明したが、本発明は下記参考文献から下記例を通してより容易に理解することができよう。これらは例示のために提供するものであり、特記しない限り本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】2つの異なるブトルファノール組成物の血漿中ブトルファノール濃度対時間を図示する。
【図2】より長期間にわたる図1のデータを図示する。
【図3】IV、IM、および鼻内(IN)用量についての血漿中ヒドロモルホン濃度対時間を図示する。
【図4】より長期間にわたる図3のデータを図示する。
【図5】ある対象群についての血漿中ヒドロモルホン濃度対時間を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のオピオイド;オピオイド用液体鼻用担体;および1またはそれ以上の甘味料、香味料、またはマスキング剤、またはその組み合わせを含む哺乳動物に対する鼻内投与用医薬組成物。
【請求項2】
オピオイドがモルヒネ、アポモルヒネ、ヒドロモルホン、オキシモルホン、ジヒドロモルヒネ、レボルファノール、レバロルファン、レボフェナシルモルファン、ノルレボルファノール、ナロルフィン、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメキソン、オキシロルファン、シクロルファン、ケトベミドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、またはその組み合わせである請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
オピオイドがヒドロモルホンである請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】
オピオイドがブトルファノールである請求項2記載の医薬組成物。
【請求項5】
該組成物の容量が約0.1mlである請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
保存料不含である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
緩衝剤を含有する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項8】
無菌溶液またはサスペンジョンである請求項1記載の医薬組成物。
【請求項9】
1またはそれ以上の甘味料、香味料、またはマスキング剤がサッカリン、サッカリンナトリウム、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、スクラロース、マルトデキストリン、アスパルターム、アセスルファームカリウム、デキストロース、グリコシド、マルトース、橙皮油、グリセリン、ウインターグリーン油、ハッカ油、ハッカ水、ハッカ精、メントール、またはその組み合わせである請求項1記載の医薬組成物。
【請求項10】
pHが約5.0である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項11】
有効量のブトルファノール、保存料不含液体鼻用担体を含む哺乳動物に対する鼻内投与のバイオアベイラビリティが改善された医薬組成物。
【請求項12】
保存料不含液体鼻用担体が無水クエン酸、精製水を含み、pH約5.0である、保存料のベンゼトニウムを含まない請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
無菌溶液またはサスペンジョンである請求項11記載の医薬組成物。
【請求項14】
さらに少なくとも1の甘味料、香味料、またはマスキング剤を含む請求項11記載の医薬組成物。
【請求項15】
甘味料、香味料、またはマスキング剤が、サッカリン、サッカリンナトリウム、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、スクラロース、マルトデキストリン、アスパルターム、アセスルファームカリウム、デキストロース、グリコシド、マルトース、橙皮油、グリセリン、ウインターグリーン油、ハッカ油、ハッカ水、ハッカ精、メントール、またはその組み合わせである請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
pHが約5.0である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項17】
有効量のヒドロモルホン、実質的に保存料を含まない液体鼻用担体を含み、少なくとも1の甘味料、香味料、またはマスキング剤を含む哺乳動物に対する鼻内投与のバイオアベイラビリティが改善された医薬組成物。
【請求項18】
有効量のヒドロモルホン;塩化ナトリウム、クエン酸、水を含む保存料不含液体鼻用担体、および少なくとも1の甘味料、香味料、またはマスキング剤を含む哺乳動物に対する鼻内投与用医薬組成物。
【請求項19】
無菌溶液またはサスペンジョンである請求項18記載の医薬組成物。
【請求項20】
少なくとも1の甘味料、香味料、またはマスキング剤がサッカリン、サッカリンナトリウム、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、スクラロース、マルトデキストリン、アスパルターム、アセスルファームカリウム、デキストロース、グリコシド、マルトース、橙皮油、グリセリン、ウインターグリーン油、ハッカ油、ハッカ水、ハッカ精、メントール、またはその組み合わせである請求項17記載の医薬組成物。
【請求項21】
pHが約5.0である請求項18記載の医薬組成物。
【請求項22】
少なくとも4000および5000pg/mlの血漿ブトルファノール濃度を達成する請求項12記載の医薬組成物。
【請求項23】
少なくとも4000および5000pg/mlの血漿ヒドロモルホン濃度を達成する請求項18記載の医薬組成物。
【請求項24】
有効量のブトルファノールまたはヒドロモルホン;塩化ナトリウム、クエン酸、水を含む保存料不含液体鼻用担体、および少なくとも1の甘味料、香味料、またはマスキング剤を哺乳動物に鼻内投与することを含む痛みに苦しむ哺乳動物の治療方法。
【請求項25】
少なくとも1の甘味料、香味料、またはマスキング剤がサッカリン、サッカリンナトリウム、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、アスパルターム、アセスルファームカリウム、デキストロース、グリコシド、マルトース、橙皮油、グリセリン、ウインターグリーン油、ハッカ油、ハッカ水、ハッカ精、メントール、またはその組み合わせである請求項24記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−503448(P2007−503448A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524802(P2006−524802)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/027496
【国際公開番号】WO2005/020906
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(503300203)ユニバーシティ・オブ・ケンタッキー・リサーチ・ファウンデーション (2)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF KENTUCKY RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】