説明

鼻炎パッド

【課題】小型で携帯に便利であって、鼻を確実に防護し、外さずに食事もできるようにする。また、通常のマスクと併用することもできるようにする。
【解決手段】人の鼻全体を包囲する外形の本体カバーと、本体カバーの周縁部に配置され、人の鼻の外周部に吸着する吸着部材と、本体カバーの鼻孔付近に配置され、花粉に相当する微粒子の透過を阻止する微細孔を多数有するフィルタとを備える。人の鼻だけを包囲してフィルタで花粉を除去するので、マスクのように口を塞がないから、息苦しくなく食事もできる。透明で柔軟な素材にすれば目立たず装着感もよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花粉症等の対策のために着用する鼻炎パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
花粉症等の対策のために、様々な種類のマスクが販売されている。また、例えば、目も防護することができるようなマスクが開発されている(特許文献1参照)。さらに、マスクをしているときの息苦しさを除去するための部材も開発されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−74045号公報
【特許文献2】特開2002−748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の花粉症用のマスクは装着したときに鼻の付近に隙間ができて、多少の花粉を吸い込むので花粉症を抑えるのが難しい。鼻の高い人は特にその傾向が大きい。マスクに鼻の形状に沿う曲面を付けるような工夫も多くされているが、息苦しくなり大型になる傾向がある。また、その取り扱いも携帯所持も容易でないという問題がある。また、食事の際にはマスクを取り外すが、このときに花粉を鼻から吸い込んでしまうという問題もある。
上記の課題を解決するために、本発明は、小型で携帯に便利であって、鼻を確実に防護し、外さずに食事もできて、通常のマスクと併用することもできる鼻炎パッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
人の鼻全体を包囲する外形の本体カバーと、前記本体カバーの周縁部に配置され、人の鼻の外周部に吸着する吸着部材と、前記本体カバーの鼻孔付近に配置され、花粉等を含む微粒子の透過を阻止する微細孔を多数有するフィルタとを備えたことを特徴とする鼻炎パッド。
【0006】
〈構成2〉
構成1に記載の鼻炎パッドにおいて、前記本体カバーに一端を固定し、他端を耳に掛ける構造をした支持バンドを備えたことを特徴とする鼻炎パッド。
【0007】
〈構成3〉
構成1,2に記載の鼻炎パッドにおいて、前記本体カバーは透明で人の鼻に密着する柔軟なゴムまたはプラスチックにより構成されたことを特徴とする鼻炎パッド。
【0008】
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、前記フィルタは前記本体カバーと脱着可能な手段で固定されていることを特徴とする鼻炎パッド。
【0009】
〈構成5〉
構成1乃至4のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、前記本体カバーに着色または装飾が施されていることを特徴とする鼻炎パッド。
【0010】
〈構成6〉
構成1乃至5のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、前記フィルタは左右の鼻孔を覆う略三角形状とされていることを特徴とする鼻炎パッド。
【0011】
〈構成7〉
構成1乃至6のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、前記本体カバーの一部に前記フィルタが一体化されていることを特徴とする鼻炎パッド。
【0012】
〈構成8〉
構成1乃至7のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、フィルタをフレームで支持したマスクを一体に固定したことを特徴とする鼻炎パッド。
【0013】
〈構成9〉
構成1乃至8のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、鼻と接する面に粘着性の表面処理を施したことを特徴とする鼻炎パッド。
【発明の効果】
【0014】
〈構成1の効果〉
人の鼻だけを包囲して、フィルタで花粉を除去するので、マスクのように口を塞がないから、息苦しくなく食事もできる。
〈構成2の効果〉
既知のマスクや眼鏡のように耳にかけて鼻炎パッドを支持できる。
〈構成3の効果〉
透明で柔軟な素材により鼻に密着させると、外観が目立たないので、違和感を軽減できる。
〈構成4の効果〉
本体カバーからフィルタを取り外して洗浄等や交換ができる。
〈構成5の効果〉
鼻炎パッドに装飾性を持たせることができる。
〈構成6の効果〉
左右の鼻孔を覆う広さだと息苦しくないし目立たない。
〈構成7の効果〉
本体カバーとフィルタとをまとめて洗浄したり交換することができる。
〈構成8の効果〉
口を覆うマスクと併用できると、さらに便利である。
〈構成9の効果〉
粘着剤によって鼻に固定すると、耳に掛ける紐等は不要で、位置ずれや脱落を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の鼻炎パッドを示し、(a)は正面図、(b)はそのA−A縦断面図、(c)はその側面図である。
【図2】鼻炎パッド10を人の鼻に装着する状態を示し、(a)は装着前、(c)は装着後の状態を示し、(b)は人の側面図である。
【図3】フィルタの説明図で、(a)は鼻炎パッド10を鼻孔側から見上げた底面図、(b)はフィルタの斜視図、(c)は(a)のB−B横断面図、(d)は変形例の横断面図である。
【図4】マスクとの併用構造を示し、(a)は鼻炎パッド10全体の側面図、(b)はその正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は実施例1の鼻炎パッドを示し、(a)は正面図、(b)はそのA−A縦断面図、(c)はその側面図である。
この鼻炎パッド10は、人の鼻全体を包囲する外形の本体カバー12を備えている。この実施例では、シリコンゴムをモールド加工して製造した。本体カバー12はゴムまたはプラスチックにより構成するとよい。本体カバー12の周縁部14には、人の鼻の外周部に吸着する吸着部材18が配置されている。また、本体カバー12の鼻孔付近には、フィルタ20が配置されている。フィルタ20は、花粉等を含む微粒子の透過を阻止する微細孔を多数有するものである。フィルタ20には、十分に薄くて柔軟なプラスチック網やセラミックフィルタを使用することが好ましい。
【0018】
図1(b)に示すように、本体カバー12の内面には、例えば、多数のディンプル(凹窪)による吸着部材18が設けられている。本体カバー12がゴム状の弾性体であれば、これらの吸着部材18は吸盤のように肌に密着して、本体カバー12を鼻に固定する。また、本体カバー12の全周を鼻の周囲に密着させることができるので、花粉の侵入を確実に防止できる。なお、本体カバー12の鼻に接する面を、肌に粘着するような粘着面にしておいてもよい。このような粘着性の素材は多種多様なものが市販されており、いずれかを利用すればよい。フィルタの取付けは後で図3を用いて説明する。
【実施例2】
【0019】
図2は、鼻炎パッド10を人の鼻に装着する状態を示し、(a)は装着前、(c)は装着後の状態を示し、(b)は人の側面図である。
図2に示す本体カバー12には、例えば、図の破線のように、既知のマスクのような支持バンド26を取り付けることができる。これは、しっかりと固定をして脱落を防止する場合に適する。しかし、適切な吸着構造を採用すれば、図の(c)に示すように、人の鼻16に、鼻孔22を完全に覆うように、本体カバー12を、何の支持も無く装着することができる。
【0020】
図2の例において、支持バンド26を肌色でできるだけ細いものにすれば、目立たずに違和感を無くすことができる。本体カバー12を、シリコンゴムのような、透明で柔軟な薄い素材で製造すると、全体として目立たず違和感も少なく、誰にでも広く利用し易くなる。
【実施例3】
【0021】
図3は、フィルタの説明図で、(a)は鼻炎パッド10を鼻孔側から見上げた底面図、(b)はフィルタの斜視図、(c)は(a)のB−B横断面図、(d)は変形例の横断面図である。
図の(a)に示すように、この実施例のフィルタ20は、左右の鼻孔22を覆う略三角形状とされている。フイルタ20は、下から見たときの鼻の形状より小さいことが好ましい。これにより、正面や側面からはフィルタが目立たなくなる。即ち、鼻孔を含むできるだけ広い面積にフィルタ20を配置して息苦しくないようにしている。
【0022】
フィルタ20は、多孔質の特殊合金やセラミックによるものが好ましい。しかし、簡略的には不織布や発泡プラスチックを使用することができる。フィルタ20を選択することにより、花粉、黄砂、最近、ガス、煙等を阻止することができる。携帯して防災用具としても利用できる。多孔質の特殊合金を使用したときには、図の(b)に示すようなフィルタ20をいくつか携帯しておき、空気の通りが悪くなったら交換するとよい。
【0023】
この場合、図の(c)に示すように、フィルタ20を本体カバー12に嵌め込むように、本体カバー12の内面にホルダ溝28を形成しておくとよい。ホルダ溝28はフィルタ20の全周をゴム弾性により締め付けるようにしてフィルタ20を保持するのが好ましい。また、あるいは、図の(d)に示すように、フィルタ20を本体カバー12に粘着剤で貼り付けたり、面ファスナで固定するようにしてもよい。
【0024】
以上のように構成すれば、例えば、本体カバー12からフィルタ20を取り外して洗浄し、繰り返し使用することもできる。また、本体カバー12の一部にフィルタ20がモールドされて完全に一体化されていてもよい。この場合には、本体カバー12とフィルタ20とをまとめて、コンタクトレンズの洗浄装置を用いて洗浄したり交換することができる。全体としても十分に小型化できるので、一括洗浄ができるほうがいつも清潔に繰り返し気持ちよく使用できる。
【0025】
できるだけ肌になじんで目立たないようにする方法のほかに、本体カバー12の形状や模様を装飾性のあるものにしても構わない。本体カバー12を肌色に着色してもよい。ビアスやタトゥーで顔に装飾を施す場合と同様に、ファッション性により利用者を増やすこともできる。
【0026】
人の鼻16だけを包囲して、フィルタ20で花粉等を除去するので、マスクのように口を塞がないから、息苦しくなく食事もできる。従って、重度の花粉症の利用者の症状緩和に役立つ。通常のマスクを併用しているときは、通常のマスクのみを外して食事をすればよい。
【実施例4】
【0027】
図4は、マスクとの併用構造を示し、(a)は鼻炎パッド10全体の側面図、(b)はその正面図である。マスクとの併用構造を示し、(a)は主要部拡大横断面図、(b)は使用状態の側面図である。
この実施例では、図の(a)のように、本体カバー12の下縁に、マスク32を一体化している。マスク32はフレームの部分とフィルタ34の部分とで構成されており、フレームの部分には図1(b)と同様に、口の周りの肌に密着する吸着部材18を設けるとよい。フィルタ34は、フィルタ20と全く同様のものでよい。
【0028】
このようにマスク32を一体化すると、口で呼吸する人に有効である。口から花粉や細菌や異物が入るのを防止できる。また、会話をするときに、細菌の飛散や唾液の飛散を防止することができる。なお、マスク32の部分だけ、切り離して独立に着脱できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
10 鼻炎パッド
12 本体カバー
14 周縁部
16 人の鼻
18 吸着部材
20 フィルタ
22 鼻孔
26 支持バンド
28 ホルダ溝
30 耳
32 マスク
34 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の鼻全体を包囲する外形の本体カバーと、
前記本体カバーの周縁部に配置され、人の鼻の外周部に吸着する吸着部材と、
前記本体カバーの鼻孔付近に配置され、花粉等を含む微粒子の透過を阻止する微細孔を多数有するフィルタとを備えたことを特徴とする鼻炎パッド。
【請求項2】
請求項1に記載の鼻炎パッドにおいて、
前記本体カバーに一端を固定し、他端を耳に掛ける構造をした支持バンドを備えたことを特徴とする鼻炎パッド。
【請求項3】
請求項1,2に記載の鼻炎パッドにおいて、
前記本体カバーは透明で人の鼻に密着する柔軟なゴムまたはプラスチックにより構成されたことを特徴とする鼻炎パッド。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、
前記フィルタは前記本体カバーと脱着可能な手段で固定されていることを特徴とする鼻炎パッド。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、
前記本体カバーに着色または装飾が施されていることを特徴とする鼻炎パッド。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、
前記フィルタは左右の鼻孔を覆う略三角形状とされていることを特徴とする鼻炎パッド。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、
前記本体カバーの一部に前記フィルタが一体化されていることを特徴とする鼻炎パッド。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、
フィルタをフレームで支持したマスクを一体に固定したことを特徴とする鼻炎パッド。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の鼻炎パッドにおいて、
鼻と接する面に粘着性の表面処理を施したことを特徴とする鼻炎パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−115314(P2011−115314A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274375(P2009−274375)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(509332017)有限会社スキルテック (1)
【Fターム(参考)】