説明

(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物

本発明は、腸管細菌叢を有益に調節する、中程度の平均重合度を有する(アラビノ)キシランオリゴ糖を含有する調製物に関する。この調製物は、キシロオリゴ糖およびアラビノキシロオリゴ糖をともに含有する。好ましくは、アラビノキシロオリゴ糖は、ヒドロキシ桂皮酸によって部分的に置換され、抗酸化作用効果を発揮する。また、特に調製物を加熱した際の優れた感覚受容性および色に関する性質を保証するために、本発明に係わる調製物は、0.16%(w/w)未満の窒素含有量を有することが好ましい。さらに、該調製物を含有する食品、飲料、および栄養補助食品製品を、該調製物の調製方法とともに提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔本発明の分野〕
本発明は、食品もしくは飲料の原料または栄養補助食品として特に有用な、(アラビノ)キシランオリゴ糖を含有する調製物、およびこのような調製物を製造する方法に関する。本発明は、さらに、この調製物で食事を補充することによってヒトの消化管の健康を向上させるための、この調製物の使用に関する。
【0002】
〔本発明の背景〕
ペントサンとも称されるアラビノキシラン(arabinoxylan; AX)は、多数の植物種の細胞壁の主成分である。例えば、穀類の穀粒では、AXは穀粒の乾燥重量の5%〜10%の割合で存在する。一般に、穀類から得られるAXは、複数のβ−(1−4)−結合型D−キシロピラノシル残基(キシロース)の骨格からなり、これらの残基のうちのいくつかはα−L−アラビノフラノシル残基(アラビノース)で一置換または二置換されている(Izydorczyk and Biliaderis, 1995)。穀類のAX中の、キシロースに対するアラビノースの比(平均アラビノース置換度)は、組織および植物種によるが、0.10から1.0を超える範囲にある。また、アセチル側鎖、α−グルクロニル側鎖、α−4−O−メチルグルクロニル側鎖、ガラクツロニル側鎖、キシロシル側鎖、ラムノシル側鎖、ガラクトシル側鎖、もしくはグルコシル側鎖、または短いオリゴ糖側鎖などの、より微量な置換基が、キシロース残基に結合することもある(Izydorczyk and Biliaderis, 1995; Andersson and Aman, 2001)。さらに、置換基としては、ヒドロキシ桂皮酸(主にフェルラ酸)、および割合は低いが、デヒドロジフェルラ酸、p−クマル酸、またはシナピン酸も存在し、これらは一般に、末端のアラビノース単位のC−(O)−5の位置で結合している(Izydorczyk and Biliaderis, 1995; Andersson and Aman, 2001)。食事の観点から、アラビノキシランは関心を呼んでおり、これは、アラビノキシランを酵素で切断または化学的に切断することによって得られるいくつかの種類のオリゴ糖が、プレバイオティックな性質を示すことが示されたからである(国際特許出願公開第WO2006/002495号明細書;Courtin et al. 2008)。
【0003】
プレバイオティクスは、上部消化管の酵素で消化されることができないが、大腸における数種類の腸内細菌によって選択的に発酵される化合物(通常はオリゴ糖)である(Gibson and Roberfroid, 1995; Roberfroid, 1988; Van Loo, 2004)。プレバイオティクスを摂取すると、腸の細菌の個体群の構成を変化させる。この変化は、典型的にはラクトバチルス種およびビフィズス菌種が相対的に増加することを特徴とする。腸の微生物叢のこの変化は、全体的な健康の向上、腸の感染症の低減、ミネラルの吸収の改善、および結腸癌の開始の抑制に関連する(Van Loo, 2004; Macfarlane et al. 2006)。
【0004】
結腸の細菌によってプレバイオティクスが発酵すると、酢酸、プロピオン酸塩、酪酸、および乳酸などの、腸の嫌気的な環境で呼吸の電子の吸い込み口として作用する短鎖脂肪酸(short chain fatty acid; SCFA)の生成が起こる。腸内のSCFAの存在が、低pH、カルシウムおよびマグネシウムの生物学的利用率の向上、および潜在的に有害な細菌の抑制に寄与している(Teitelbaum and Walker, 2002; Wong et al. 2006)。SCFAのうち、酪酸がもっとも興味深いように思われるが、これは、酪酸が結腸細胞にとって好ましいエネルギー源であって(Roediger, 1982)、大腸の上皮細胞を刺激し、こうすることによって上皮の吸収能を増加させ(Topping and Clifton, 2001)、インビトロおよびインビボのどちらにおいても結腸癌細胞の成長を阻害する(Scheppach et al 1995)からである。食物繊維の癌を抑制する性質は、結腸での発酵の際に酪酸を生成する、食物繊維の能力と相関しているようである(Perrin et al. 2001)。
【0005】
乳酸桿菌およびビフィズス菌などの、典型的には糖分解の経路を使用してエネルギーの必要性を満たす、ある種の結腸の細菌をプレバイオティクスによって選択的に刺激することは、大腸内のタンパク質の発酵を抑制することに匹敵することもある(van Nuenen et al. 2003; De Preter et al. 2004; Geboes et al. 2005)。大腸内のタンパク質の発酵が低減することは好ましい結果であり、これは以下の理由による。すなわち、細菌内のアミノ酸の分解経路の結果、アンモニア、アミン、フェノール、インドール、チオールなどの、潜在的に有毒な異化産物が生成され、これらの一部が腸癌に関与(Bone et al 1976; Johnson, 1977; Visek 1978)し、また、潰瘍性大腸炎などの疾病増悪にも関与(Ramakrishna et al 1991)していると考えられているからである。
【0006】
2〜3の重合度(degree of polymerisation; DP)を有するオリゴ糖(キシロビオースおよびキシロトリオース)を圧倒的に多く含有する、キシロオリゴ糖の調製物(xylo−oligosaccharide;XOS、β−1,4−結合型D−キシロピラノシル単位からなるオリゴ糖)は、ラットの糞便および盲腸内のビフィズス菌およびSCFAのレベルの大幅な増加を引き起こすことが示され(欧州特許出願公開第0265970B1号明細書;Campbell et al., 1997;Hsu et al., 2004)、また、ヒトの大腸内のビフィズス菌およびSCFAのレベルの大幅な増加を引き起こすことが示された(Okazaki et al., 1990)。このようなキシロビオースを多く含有するXOSの調製物は、さらに、ラットにおいて、化学物質によって誘起された結腸癌発生の初期症状を抑制し(Hsu et al., 2004)、大腸内でカルシウムの吸収を増進させる(Toyoda et al., 1993)。主に3〜5のDPを有するアラビノキシロオリゴ糖(arabino−xylo−oligosaccharides; AXOS)(アラビノシルキシロビオース、アラビノシルキシロトリオース、アラビノシルキシロテトラオース、およびジアラビノシルキシロテトラオース)からなる調製物も、ラットおよびマウスの腸内のビフィズス菌のレベルを増加させることが示された(Yamada et al., 1993)。国際特許出願公開第2006/002495号明細書に記載された実験によって、5〜50の範囲の中程度の平均DP(average DP; avDP)を有するAXOSが、より高いavDPを有するAXOSに比べて、より良好なプレバイオティックな性質を有しており、より低いavDPを有するAXOSの調製物ほど甘くないということの証拠が提供されている。このようなAXOSの調製物を食事に加えると、ニワトリ盲腸内、ラットの盲腸内、およびヒトの糞便内に存在するビフィズス菌の個体数の大幅な増加を引き起こす(国際特許出願公開第2006/002495号明細書)。
【0007】
最適な健康改善効果を得るためには、ヒドロキシ桂皮酸、例えばフェルラ酸が、AXOSの化合物のアラビノース側鎖に結合していることがさらに望ましい。フェルロイル化されたAXOSは、エステル結合型フェルラ酸類の存在に起因する抗酸化作用を有し(Ohta et al 1997; Katapodis et al 2003; Yuan et al 2005)、抗酸化作用が健康関連に効果を発揮する(Ratnam et al 2006)ことは周知である。アラビノキシランのアラビノース側鎖にヒドロキシ桂皮酸を結合するエステル結合は、アルカリ性の培地中では切断される(Rosazza et al 1995; Lozovaya et al 1999)。この点について、Yamada et al (1993)に記載されたアラビノキシランオリゴ糖を含有する調製物は、アラビノキシランの抽出のために使用されるアルカリ処理によってフェルラ酸の側鎖の大部分が除去されてしまうので、最適とは言えない。
【0008】
食品、食品の原料、または栄養補助食品への適用を狙った、AXOSを含有する調製物の別の重要な側面は、この調製物がおいしいと感じる味、より好ましくは中間的な味を有していることであり、これは、そうでなければ、その調製物を含有する製品を摂取することの楽しみおよび知覚に対して悪影響を及ぼすからである。また、(アラビノ)キシランオリゴ糖を含有する調製物が、この調製物を含有してなる食品または栄養補助食品製品の色に対して影響を及ぼさない、または最低限の影響しか及ぼさないように、また、この調製物を含有してなる栄養補助食品製品を加熱しても、大きな色および味の変化が発生しないようにするためには、この調製物において、着色された不純物が存在することは避けるべきである。
【0009】
本発明の目的は、キシロオリゴ糖とアラビノキシロオリゴ糖との混合物を含有し、該アラビノキシロオリゴ糖の少なくとも一部がヒドロキシ桂皮酸で置換されている、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を提供することである。なお、該キシロオリゴ糖およびアラビノキシロオリゴ糖の、平均重合度および全体の平均アラビノース置換度は、これらのオリゴ糖を適切な量摂取すれば、消化管の健康に対して最適な効果が得られるように選択されている。同時に、この食品の原料は、中間的な味と、白色またはわずかに白色からずれた色とを有し、この味と色とは、原料の加熱処理を通じて安定している。この原料のもつ感覚受容および色に関する性質がこのように熱的に安定していることは、キシロオリゴ糖とアラビノキシロオリゴ糖との混合物などを豊富に含み、熱加工を受ける食品の製造において特に有用である。
【0010】
〔発明の概要〕
本発明は、アラビノキシランを含有する植物性素材から抽出される、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を提供する。これらの(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物は、食品の原料もしくは飲料の原料としてまたは栄養補助食品として特に有用であって、最適な健康上の利益を提供できるように最適化されている。その一方で、この調製物は、加工して広範囲な食料製品、特に熱加工を受ける食料製品を製造するのに非常に適している。本発明は、さらに、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物、特に、窒素含有量およびグルテン含有量が低い調製物を製造する方法を提供する。
【0011】
〔発明の詳細な説明〕
〔図面のリスト〕
図1:14日間摂取した後のラットの盲腸における、酢酸(A)、プロピオン酸塩(B)、酪酸(C)、およびイソ吉草酸およびイソ酪酸の合計(D)のレベルに対する、異なるオリゴ糖の効果を示す。1つまたは2つのアスタリスクで印をつけたバーは、それぞれp<0.05またはp<0.01であって、対照群とは大幅に異なる。バーの上の番号は測定値の平均を表わし、エラーバーは標準偏差を示す。
【0012】
図2:14日間摂取した後のラットの大腸における、酢酸(A)、プロピオン酸塩(B)、酪酸(C)、およびイソ吉草酸およびイソ酪酸の合計(D)のレベルに対する、異なるオリゴ糖の効果を示す。1つまたは2つのアスタリスクで印をつけたバーは、それぞれp<0.05またはp<0.01であって、対照群とは大幅に異なる。バーの上の番号は測定値の平均を表わし、エラーバーは標準偏差を示す。
【0013】
図3:14日間摂取した後のラットの盲腸における、アンモニウムのレベルに対する、異なるオリゴ糖の効果を示す。1つまたは2つのアスタリスクで印をつけたバーは、それぞれp<0.05またはp<0.01であって、対照群とは大幅に異なる。バーの上の番号は測定値の平均を表わし、エラーバーは標準偏差を示す。
【0014】
図4:14日間摂取した後のラットの盲腸における、細菌全体(A)およびビフィズス菌のレベルに対する、異なるオリゴ糖の効果を示す。1つまたは2つのアスタリスクで印をつけたバーは、それぞれp<0.05またはp<0.01であって、対照群とは大幅に異なる。バーの上の番号は測定値の平均を表わし、エラーバーは標準偏差を示す。
【0015】
図5:(A)XOSの調製物11(イオン交換処理を受けていない)と、それぞれイオン交換処理No.1、2、3、および4を受けた(A)XOSの調製物15、16、17、および18との、130℃で3時間の曝露の後における各0.5gずつの写真である。
【0016】
図6:(A)XOSを使わずに調製したクッキー、(A)XOSの調製物11(イオン交換処理を受けていない)を10%含有して調製したクッキー、および(A)XOSの調製物18(イオン交換処理No.4)を含有して調製したクッキーの写真である。
【0017】
〔説明〕
本発明は、アラビノキシランを含有する植物性素材から抽出される、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を提供する。これらの(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物は、食品の原料もしくは飲料の原料としてまたは栄養補助食品として特に有用であって、最適な健康上の利益が提供できるように最適化されている。その一方で、この調製物は、加工して広範囲な食料製品、特に熱加工を受ける食料製品を製造するのに非常に適している。
【0018】
本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の健康上の利益は、そこに含まれるキシロオリゴ糖とアラビノキシロオリゴ糖との混合物の化学的性質に関連する。ヒト化食を与えられたラットの研究において、全体を平均すると4以上10以下の平均重合度(avDP)および0.15以上0.35以下の平均アラビノース置換度(avDAS)を有する、(アラビノ)キシランオリゴ糖の混合物を食事に組み入れると、最適なプレバイオティック効果が得られることが示された。さらに具体的には、上記のような(アラビノ)キシランオリゴ糖の混合物を含んだヒト化食をラット用に補充してやると、その結果、より低いavDPを有する(アラビノ)キシランオリゴ糖の混合物の場合およびより高いavDPを有する(アラビノ)キシランオリゴ糖の混合物の場合に比較して、タンパク質の発酵に対してより強力な抑制効果得られること、ならびにより強力な酢酸増加効果および酪酸増加効果が得られることが分かった。さらに、0.35を超えるavDASを有する(アラビノ)キシランオリゴ糖を食事に補充してやると、プレバイオティック効果はまったくなかったか、またはあってもわずかであった。
【0019】
本発明の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の健康上の利益の別の側面は、調製物に含まれるヒドロキシ桂皮酸、さらに具体的にはフェルラ酸に関する。なおどちらの酸も、本発明の調製物の抗酸化作用に大きく寄与する含有物である。ヒドロキシ桂皮酸は、主に、アラビノキシロオリゴ糖のアラビノース側鎖とエステル結合を形成している。この消化できないオリゴ糖との共有結合によって、上部消化管においてヒドロキシ桂皮酸の遊離および吸収が防止され、こうすることによって抗酸化作用活性が大腸領域へ輸送されることが可能になり、大腸領域では、オリゴ糖が発酵すると、ヒドロキシ桂皮酸が放出されることが可能になる。ヒドロキシ桂皮酸とアラビノース側鎖との間のエステル結合は、アルカリ性条件(pH>10)下では不安定である。したがって、ヒドロキシ桂皮酸で置換されたアラビノキシロオリゴ糖が存在することが望ましいのであれば、このようなアルカリ性条件は、製造過程を通じて避けるべきであり、好ましくは、さらに、アラビノキシランオリゴ糖の調製物の処理過程を通じて避けるべきである。
【0020】
さらに、例えば燃焼に基づく方法またはケルダール法で決定される窒素元素の濃度が、好ましくない味が存在することを示す優れたマーカーとして作用し、また、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の加熱時の味の変化および/または強い着色の発生の予測を可能にすることが見出された。窒素は、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物中で、例えばタンパク質、ペプチド、アミノ酸などの有機分子の一部として存在している。好ましくは、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の窒素含有量は、0.16%(w/w)以下である。この閾値以下であれば、調製物を加熱した際に、顕著な味の変化が起こらず、着色はわずかであった。乾燥させて粉末にした本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物のΔEの値(Good, 2002)は、15未満、より好ましくは12未満、例えば10未満である。なお、このΔEの値は、乾燥器内で130℃で3時間加熱処理を行う前後の粉末の色の違いを表している。
【0021】
したがって、第1の目的において、本発明は、食品の原料もしくは飲料の原料としてまたは栄養補助食品として用いるための(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を提供する。本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物は、調製物に含有されるアラビノキシラン分子のavDPが4〜10、avDASが0.15〜0.35であることを特徴とする。好ましくは、このavDPおよびavDASは、本発明の実施例1に記載したガスクロマトグラフィー法で決定される。
【0022】
本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の窒素含有量は、0.16%(w/w)以下であることがさらに好ましい。この窒素は、調製物中で、例えばタンパク質、ペプチド、アミノ酸などの有機分子の一部として存在している。窒素元素の含有量を測定する方法は、この技術分野において周知である。このような方法の例としては、燃焼に基づく方法(Protein (Crude) in Animal Feed: Combustion Method. (990.03) Official Methods of Analysis. 1990. Association of Official Analytical Chemists. 15th Edition)やケルダール法(Dr. D. Julian McClements. "Analysis of Proteins". University of Massachusetts, http://www-unix.oit.umass.edu/~mcclemen/581Proteins.html)などが挙げられる。
【0023】
好適な実施形態において、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物は、さらに、調製物における(アラビノ)キシランオリゴ糖の総含有量(T−AX)に対して、例えば1%(w/w)〜5%(w/w)、または2%(w/w)〜4%(w/w)などの、1%(w/w)〜10%(w/w)に対応する量のフェルラ酸を含有している。好ましくは、フェルラ酸は、調製物のアラビノキシロオリゴ糖のアラビノース側鎖と共有結合している。好ましくは、(アラビノ)キシランオリゴ糖の総含有量(T−AX)は、実施例2に記載したガスクロマトグラフィー法で決定される。
【0024】
別の好適な実施形態において、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物は、グルテン含有量が低い。このようにグルテン含有量が低いことによって、グルテンに対して敏感な人に大きな不自由を生じさせることなく、グルテンを通常含有しない食料製品または飲料製品にこれらの調製物を組み入れることが可能になる。本発明に係る調製物は、好ましくは、1000ppm未満、より好ましくは800ppm未満、例えば500ppm未満のグルテンを含有する。
【0025】
本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の灰分含有量が、調製物の乾燥総重量の1%(w/w)未満、より好ましくは0.5%(w/w)未満、例えば0.3%(w/w)未満であることがさらに好ましい。
【0026】
好ましくは、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物は、90%(w/w)〜99.9%(w/w)の乾燥物含有量を有する粉末として、または25%(w/w)〜75%(w/w)の乾燥物含有量を有するシロップとして提供される。好ましくは、この調製物は、調製物の乾燥総重量に対して40%(w/w)を超え、もっとも好ましくは50%(w/w)を超え、例えば60%(w/w)を超え、もっとも好ましくは70%(w/w)を超え、例えば80%(w/w)を超える(アラビノ)キシランオリゴ糖を含有している。好ましくは、本発明に係るアラビノキシランの調製物は、調製物の乾燥総重量に対して、最大90%(w/w)、より好ましくは最大95%(w/w)、例えば最大98%(w/w)の(アラビノ)キシランオリゴ糖を含有している。
【0027】
好ましくは、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物は、キシロオリゴ糖とアラビノキシロオリゴ糖とのバランスのよい混合物を含有し、最適なプレバイオティック効果を提供する。好ましくは、(アラビノ)キシランオリゴ糖(T−AX)の総含有量の割合で表した、調製物におけるキシロオリゴ糖の含有量が、少なくとも30%(w/w)、より好ましくは少なくとも35%(w/w)、もっとも好ましくは少なくとも40%(w/w)、例えば少なくとも45%(w/w)である。この(アラビノ)キシランオリゴ糖(T−AX)の総量は、好ましくは実施例1に記載したガスクロマトグラフィー法で決定される。好ましくは、(アラビノ)キシランオリゴ糖の総含有量の割合で表した、調製物におけるキシロオリゴ糖の含有量は、60%(w/w)未満、より好ましくは55%(w/w)未満、例えば50%(w/w)未満である。好ましくは、キシロオリゴ糖のキシランの骨格の重合度は、2〜9の任意の値である。好ましくは、(アラビノ)キシランオリゴ糖の総含有量の割合で表した、調製物におけるアラビノキシロオリゴ糖の含有量は、少なくとも40%(w/w)、より好ましくは少なくとも45%(w/w)、もっとも好ましくは少なくとも50%(w/w)、例えば少なくとも55%(w/w)である。好ましくは、(アラビノ)キシランオリゴ糖の総含有量の割合で表した、調製物におけるアラビノキシロオリゴ糖の含有量は、70%(w/w)未満、より好ましくは65%(w/w)未満、例えば60%(w/w)未満である。好ましくは、アラビノキシロオリゴ糖のキシランの骨格の重合度は、1〜9の任意の値である。さらに、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物に含有されているアラビノキシロオリゴ糖の少なくとも一部が、アラビノース側鎖に結合した1つ以上のフェルラ酸を含有することが好ましい。好適な実施形態において、1〜9の重合度を有するキシランの骨格を有するアラビノキシロオリゴ糖(AXOSDPX1−9)の含有量に対する、2〜9の重合度を有するキシランの骨格を有するキシロオリゴ糖(XOSDPX2−9)の含有量の比は、1.5未満、例えば1.4未満、1.3未満、または1.2未満である。好ましくは、1〜9の重合度を有するキシランの骨格を有するアラビノキシロオリゴ糖(AXOSDPX1−9)の含有量に対する、2〜9の重合度を有するキシランの骨格を有するキシロオリゴ糖(XOSDPX2−9)の含有量の比は、0.6を超え、例えば0.65を超え、0.7を超え、0.8を超え、または0.9を超える。また、本発明に係る調製物に含有される(アラビノ)キシランオリゴ糖の90%(w/w)を超える成分、例えば95%(w/w)を超える成分が、2〜9の任意の値の重合度を有するキシランの骨格を有するキシロオリゴ糖または1〜9の任意の値の重合度を有するアラビノキシロオリゴ糖のいずれかであることが好ましい。
【0028】
本発明の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物は、アラビノキシランを含有する植物性素材から、より好ましくは、穀物素材から抽出される。ただし、例えばオオバコ属またはワタ属の種子などの、穀類ではない素材もアラビノキシランに富む素材になる可能性がある。(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物は、単離された天然産(アラビノ)キシランオリゴ糖を含有してもよく、または天然産アラビノキシランを脱重合または断片化することによって入手されてもよい。あるいは、この調製物は、化学的なプロセス、酵素的なプロセス、および/または物理的なプロセスで製造される構造類似体であってもよい。好ましくは、アラビノキシランを含有する植物性素材は、糠(ふすま)、花序の副産物、茎の副産物、または使用済みの穀粒である。より好ましくは、アラビノキシランを含有する植物性素材は糠であり、もっとも好ましくは、例えばコムギ、デュラムコムギ、ライムギ、カラスムギ、オオムギ、トウモロコシ、モロコシ、米などの穀類に由来する糠である。もっとも好ましくは、アラビノキシランを含有する植物性素材は、例えばデュラムコムギのふすまなどの、小麦ふすまである。
【0029】
第2の目的において、本発明は、アラビノキシランを含有する植物性素材を出発物質として用いて、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を製造する方法を提供する。この方法は、アラビノキシランを含有する植物性素材を水中ですりつぶし、これを、適度な濃度のエンドキシラナーゼで処理することによって、植物性素材に含有されるアラビノキシランの一部を酵素的に脱重合する工程を包含する。この方法は、さらに、このすりつぶした植物性素材を、水不溶性成分と、可溶化されたキシロオリゴ糖およびアラビノキシロオリゴ糖を含む、可溶化されたアラビノキシランの脱重合生成物を含有する水可溶化成分とに分離することを包含する。その後、水可溶化成分を、イオン交換クロマトグラフィー法でさらに精製する。なお、この精製を行う前に、必要に応じて、水可溶化成分中の懸濁固形物の少なくとも一部を、例えば濾過または遠心分離によって除去する。好ましくは、このイオン交換精製法は、水可溶化成分を、まず強酸陽イオン交換樹脂上に、つぎに弱塩基性陰イオン交換樹脂上に通過させることを包含する。本発明の方法の好適な実施形態において、水可溶化成分を、はじめに1つのまたは一組の強酸陽イオン交換樹脂カラムに通し、つづいて1つのまたは一組の弱塩基性陰イオン交換カラムに通す。これらの2つまたは二組の第1のカラムの後に、強酸または弱酸陽イオン交換樹脂および弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いて、工程を反復してもかまわない。必要に応じて、最後のカラムが、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とを内蔵する混合床カラムであってもよい。この強酸陽イオン交換処理を、30℃より高い温度、好ましくは40℃より高い温度、例えば45℃より高い温度で実施することが好ましい。驚くべきことに、このイオン交換処理は、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物からグルテンのタンパク質を除去するためには、強酸陽イオン交換処理を、30℃を超える温度、例えば50℃を超える温度で実施した場合のほうが、より効率的であった。好ましくは、強酸陽イオン交換処理は、90℃未満、好ましくは80℃未満、例えば70℃未満または65℃未満の温度で実施される。好ましくは、弱塩基性陰イオン交換処理は、20℃以上の温度、例えば25℃を超える温度で実施される。好ましくは、弱塩基性陰イオン交換処理は、70℃未満、好ましくは60℃未満、例えば50℃未満の温度で実施される。さらに、強酸陽イオン交換樹脂のpH値を3.5未満、より好ましくは3未満、例えば約pH2.8で維持する際には、窒素を含有する物質を、水可溶化成分から除去することが好ましいことが観察された。強酸陽イオン交換樹脂上を通過する間に(アラビノ)キシランオリゴ糖が脱重合することを避けるためには、pHが2.0を超えた値で維持されることが好ましい。
【0030】
イオン交換精製につづいて、可溶化成分は、蒸発および逆浸透のいずれかまたは両方によって濃縮して、(アラビノ)キシランオリゴ糖を含有するシロップにしてもよい。このシロップは、必要に応じて、例えば噴霧乾燥法で乾燥させて粉末にしてもよい。
【0031】
好適な実施形態において、本発明に係る抽出方法において出発物質として使用されるアラビノキシランを含有する植物性素材は、デンプンを除去した植物性素材である。より好ましくは、デンプンを除去したこの植物性素材は、アラビノキシランを含有する植物性素材を水中で適度な濃度のα−アミラーゼの存在下ですりつぶし、つづいて、可溶化した澱粉由来の物質を含有する液体画分から、デンプンを除去したこの不溶性の植物性素材を分離することによって得られる。
【0032】
本発明に係る方法における使用に適した、主にエンドキシラナーゼ活性を示す適切な市販の酵素の調製物の例としては、Shearzyme(商標) 500L(Novozymes)、Pentopan(商標) Mono BG(Novozymes)、Pulpzyme(商標)(Novozymes)、Ecopulp(商標) TX−200A(AB Enzymes)、Veron(商標) 191(AB Enzymes)、Veron(商標) Special(AB Enzymes)、Multifect(商標) CX 12 L(Genencor/Danisco)、Grindamyl(商標) H640(Danisco)、Grindamyl(商標) Powerbake(商標)(Danisco)などが挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。上述したアラビノキシランの加水分解のステップは、アラビノキシランの加水分解のために使用される酵素の混合物についての商業開発者が勧める温度およびpH値で、適切な時間(例えば1h〜24hの時間、ただしこの例に限定されるものではない)、スラリーをインキュベーションすることを包含する。好ましくは、エンドキシラナーゼは、WU−AXに対して高い選択性を有するエンドキシラナーゼであって、Moers et al. (2005)において規定されている基質選択性係数(substrate selectivity factor; SSFCHROM)が少なくとも2以上、好ましくは少なくとも3以上、例えば4以上であるエンドキシラナーゼである。このエンドキシラナーゼは、好ましくは、グリコシルヒドロラーゼファミリー11のエンドキシラナーゼである(Henrissat 1991)。この酵素調製物における酵素成分としては、例えば、アラビノフラノシダーゼ、β−グルカナーゼ、エキソキシラナーゼ、β−キシロシダーゼ、および/またはキシロビアーゼなどがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0033】
第3の目的において、本発明は、2〜9の重合度を有するキシランの骨格を有するキシロオリゴ糖(XOSDPX2−9)の含有量、および1〜9の重合度を有するキシランの骨格を有するアラビノキシロオリゴ糖(AXOSDPX1−9)の含有量を決定する方法を提供する。この方法は、それぞれpH値7.0および2.8、90℃で24時間、バッファー溶液中でインキュベーションした試料において、高速液体クロマトグラフィー法(High Performance Liquid Chromatography; HPLC)および310nmの光の吸収の検出によって、フェルラ酸の総含有量と遊離型フェルラ酸の含有量とを測定すること(Hartmann, G., Piber, M, Koehler, P. Isolation and chemical characterisation of water-extractable arabinoxylans from wheat and rye during breadmaking. Eur Food Res Technol (2005) 221:487-492)、およびアンペロメトリック電気化学検出法を用いた高速陰イオン交換クロマトグラフィー法(high−performance anion−exchange chromatography with pulsed amperometric detection; HPAEC−PAD)によって、キシロオリゴ糖の含有量を測定することを包含する。試料中の、2〜9の重合度を有するキシランの骨格を有するXOSの乾燥物の%(w/w)[% XOSDPX2−9]は、式(a)で決定される。また、試料中の、1〜9の重合度を有するキシランの骨格を有する(フェルロイル化された)アラビノキシロオリゴ糖の乾燥物の%(w/w)[%AXOSDPX1−9]は、式(b)で算出される。
【0034】
(a) [% XOSDPX2−9]=[%X2H2O + %X3H2O + ... + %X9H2O
(b) [% (F)AXOSDPX1−9]=[(AHCl − AH20 + 150/194xbFA)x0.88 + (%XHCl + %X2HCl + %X3HCl + ... + %X9HCl) − (%XH2O + %X2H2O + %X3H2O + ... + %X9H2O) + (0.907xbFA)]
【0035】
上記の式において、H0およびHClを下付きで示す化合物の略記は、それぞれ水で処理した試料およびHClで処理した試料中の、対応する化合物の乾燥物の試料の濃度(単位は%(w/w))を指している。係数「0.88」は、アラビノースの加水分解性の遊離の間に水が取り込まれることに対して補正を施している。bFAは、結合型フェルラ酸の含有量である(フェルラ酸総量から遊離型フェルラ酸を引き算することによって決定され、乾燥物の試料の% w/wで表される)。また、bFAx150/194は、フェルロイル化アラビノースの含有量(結合型フェルラ酸に等モルで結合したアラビノース)を指す。係数「0.907」は、フェルラ酸のアルカリ加水分解性の遊離の間に水が取り込まれることに対して補正を施している。式(a)および式(b)による上記XOSDPX2−9およびAXOSDPX1−9の計算では、(i)HClで処理した試料と水で処理した試料とを比較したときのX、X2、X3、...、X9の濃度の違いは、アラビノースが酸に媒介されて(F)AXOSDPX1−9から遊離することが原因となって生じるということと、(ii)HClで処理した試料中では、β−(1−4)−D−キシロピラノシル結合の加水分解が一切起こらないということと、(iii)試料中のすべてのヒドロキシ桂皮酸は、フェルラ酸の形態で存在しているということと、(iv)すべての結合型フェルラ酸は、アラビノキシロオリゴ糖のアラビノース側鎖に結合しているということとを仮定している。
【0036】
第4の目的において、本発明は、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を含有する食料製品または飲料製品を、このような食品または飲料を製造する方法とともに提供する。なお、この方法は、食品または飲料の製造中に、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を食品または飲料に添加することを包含する。好適な実施形態において、食料製品または飲料製品は、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を、一人分の給仕量当たり0.25g〜10gの分量で含有する。より好適な実施形態において、食料製品または飲料製品は、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を、一人分の給仕量当たり0.5g〜5gの分量で含有する。さらにより好適な実施形態において、食料製品または飲料製品は、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を、一人分の給仕量当たり1g〜5gの分量で含有する。別の好適な実施形態において、食料製品または飲料製品は、4〜10のavDPおよび0.15〜0.35のavDASを有する(アラビノ)キシランオリゴ糖を、一人分の給仕量当たり0.25g〜10gの分量で含有する。より好適な実施形態において、食料製品または飲料製品は、4〜10のavDPおよび0.15〜0.35のavDASを有する(アラビノ)キシランオリゴ糖を、一人分の給仕量当たり0.25g〜5gの分量で含有する。さらにより好適な実施形態において、食料製品または飲料製品は、4〜10の分量のavDPおよび0.15〜0.35のavDASを有する(アラビノ)キシランオリゴ糖を、一人分の給仕量当たり1g〜5gの分量で含有する。以上に示すように、本発明に係る調製物は、低カロリーの食品に加える、有益な添加物として特に適している。
【0037】
本発明の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を補充することが有益となる食料製品または飲料製品の例としては、乳、ヨーグルト、または新鮮なチーズなどの乳製品、アルコールを含まないソフトドリンク、フルーツジュース、フルーツジャム、ダイズ豆を主成分とする食品および飲料、チョコレート、クッキー、棒菓子、キャンディ、デザート用プディングなどのデザート、挽き肉製品、およびペットフードなどが挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0038】
一般に、穀類または穀類に由来する素材を成分として含む食料製品は、当然アラビノキシランを含有する。ただし、これらの食料製品に含有されるアラビノキシランは、6000を超えるDPを有する、長鎖からなる天然のアラビノキシランであるか、または少なくとも200〜300のDPを有する、部分的に脱重合したアラビノキシランであるかのいずれかである。したがって、本発明に係るアラビノキシランをこれらの食料製品に補充すれば、その栄養価の改善にもなる。好ましくは、このような補充は、ある任意の量の本発明の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を、穀類を含有する食料製品の調製の過程において、一成分として添加することによって達成される。このような補充の結果、200未満のDPを有する(アラビノ)キシランオリゴ糖の集合体に次いで、200以上のDPを有するアラビノキシランを包含する、穀類を含有する食料製品が得られることは明らかである。なお、200未満のDPを有する(アラビノ)キシランオリゴ糖の集合体は、4〜10のavDPおよび0.15〜0.35のavDASを有することを特徴とする。本発明の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を補充することが有益となると考えられる、穀類を含有する製品としては、例えば、パンなどのベーカリー製品、固形物などのペーストリー製品、加工済み穀類、穀類製棒菓子、またはパスタなどがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0039】
第5の目的において、本発明は、本発明に係る(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を含有する栄養補助食品を提供する。好適な実施形態において、栄養補助食品は、カプセル、錠剤、粉末、シロップなどである。より好適な実施形態において、栄養補助食品は、4〜10のavDPおよび0.15〜0.35のavDASを有する(アラビノ)キシランオリゴ糖を、1日当たり0.25g〜10g、より好ましくは0.5g〜5g、例えば1g〜5gの投与量で投与することができるように、処方される。
【0040】
本発明の文脈において「キシロオリゴ糖」という用語は、2〜100、好ましくは2〜20の重合度を有する、非置換型のβ−(1−4)−結合型D−キシロピラノシル残基(キシロース)からなる多糖またはオリゴ糖を指す。
【0041】
「アラビノキシロオリゴ糖」という用語は、AXOSと略記され、本発明の文脈では、β−(1−4)−結合型D−キシロピラノシル残基(キシロース)の骨格を有し、この骨格の重合度が1〜100、好ましくは1〜20であって、1分子につき少なくとも1つのα−L−アラビノフラノシル(アラビノース)残基が、骨格のキシロース残基のうちの一つに結合する、多糖またはオリゴ糖を指す。アセチル側鎖、α−グルクロニル側鎖、α−4−O−メチルグルクロニル側鎖、ガラクツロニル側鎖、キシロシル側鎖、ラムノシル側鎖、ガラクトシル側鎖、もしくはグルコシル側鎖、または短いオリゴ糖の側鎖などの、その他の置換基が、キシロース残基の1つ以上に結合していてもよい。また、フェルラ酸、デヒドロジフェルラ酸、p−クマル酸、コーヒー酸、またはシナピン酸などのヒドロキシ桂皮酸が、アラビノース単位の1つ以上に結合していてもよい。
【0042】
「(アラビノ)キシランオリゴ糖」という用語は、(A)XOSと略記され、本発明の文脈では、キシロオリゴ糖もしくはアラビノキシロオリゴ糖のいずれか、またはキシロオリゴ糖とアラビノキシロオリゴ糖との混合物を指す。
【0043】
「穀類」という用語は、本発明の文脈では、イネ科の植物学的なファミリーに属する植物を指し、例えば、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ライムギ、モロコシ、トウモロコシ、および米などの種を含むが、これらの例に限定されるものではない。
【0044】
「糠(ふすま)」という用語は、本発明の文脈では、穀類のそのままの穀粒ではなく、対応する穀粒の澱粉、果皮、種皮、萼片、および花弁から選択される組織のうちの任意の組織またはすべての組織を豊富に含む、穀類の穀粒に由来し、製粉された画分を意味する。
【0045】
「一人分の給仕量」または「一人分の給仕サイズ」という用語は、平均的な健常者が一度の食事で摂取する習慣的な量を指す。食品製造者は、通常、食料製品の栄養表示ラベルに一人分の給仕サイズを表示する。また、国の食品表示に関する法令によって、任意の食料製品の一人分の給仕サイズの規定方法について、具体的な指針を提供しているところもある。例えば、米国連邦規則第21章「食品および薬」§101.12を参照。
【0046】
本発明を、以下に記載する具体的な実施形態によって、さらに説明する。
【0047】
〔具体的な実施形態〕
〔実施例〕
〔実施例1:腸のパラメータに対する、(A)XOSの調製物の効果〕
(素材および方法)
<avDPが67、avDASが0.58である(A)XOS(AXOS−67−0.58)の調製>
調製物AXOS−67−0.58を得るための出発物質は、市販の製品Wheat Pentosan Concentrate (“WPC”、Pfeifer & Langen、Dormagen、ドイツ)であった。この製品の化学組成は、Courtin and Delcour (1998)に詳細に記載されている。WPCを脱イオン化水(1:10w/v)中で可溶化した。シリカを、水性懸濁液(20%w/v)として、シリカ/タンパク質の比が7:1になるまで添加した。混合物のDe pHを、0.1MのHClを使って4.8に調節して、タンパク質のシリカへの吸着を最大にした。30分撹拌した後、その懸濁液をブフナー濾過した。シリカ/タンパク質を含んだ残留物は破棄した。連続的に撹拌しながらエタノール(95%v/v)を濾液に添加して65%(v/v)の最終濃度を得た。さらに30分間撹拌し、沈殿(24時間、4℃)させ、遠心分離(10,000g、30分間、4℃)した後、得られた残留物を脱イオン化水中で溶解し、凍結乾燥した。得られた物質を均質化し、250μmの篩にかけた。
【0048】
<avDPが12、avDASが0.69である(A)XOS(AXOS−12−0.69)の調製>
市販の製品Wheat Pentosan Concentrate(“WPC”、Pfeifer & Langen、Dormagen、ドイツ)を出発物質として、AXOS−12−0.69を調製した。調製物AXOS−67−0.58について記載したのと同様にして、WPCをシリカで処理してタンパク質を除去した。Wheat Pentosan Concentrate1gにつき29ユニットの、Aspergillus aculeatusから得られる糖質加水分解酵素ファミリーy(GHF)10エンドキシラナーゼ(Shearzyme 500L、Novozymes、Bagsvaerd、デンマーク)とともに、回収した濾液を30℃で24時間さらにインキュベーションした。煮沸(30分間)によって酵素を不活性化した後、得られた溶液を冷却し、エタノール沈殿させた。連続的に撹拌しながらエタノール(95%v/v)を添加して65%(v/v)の最終濃度を得た。さらに30分間撹拌し、沈殿(24時間、4℃)させ、遠心分離(10,000g、30分間、4℃)した後、沈殿した物質を除去した。連続的に撹拌しながらエタノール(95%v/v)を上清に添加して、80%(v/v)の最終濃度を得た。さらに30分間撹拌し、沈殿(24時間、4℃)させ、遠心分離(10,000g、30分間、4℃)した後、得られた残留物を脱イオン水中で溶解し、凍結乾燥した。得られた物質を均質化し、250μmの篩にかけた。
【0049】
<avDPが15、avDASが0.26である(A)XOS(AXOS−15−0.26)の調製>
調製物AXOS−15−0.26には、市販の小麦ふすま(Dossche Mills & Bakery 、Deinze 、ベルギー)を出発物質として使用した。まず、小麦ふすまを水中に懸濁させた液(1:7w/v)を、耐熱性のα−アミラーゼ(Termamyl 120LS、Novozymes、Bagsvaerd、デンマーク;小麦ふすまgにつき1μl)を用いて90℃で90分間処理して、澱粉を加水分解した。50℃に冷却した後、高濃度のHClを使って懸濁液のpHを6.0に調節した。プロテアーゼ(Neutrase 0.8L、Novozymes、Bagsvaerd、デンマーク;小麦ふすまgにつき40μl)を用いて、懸濁液を、50℃で4時間インキュベーションして、残余タンパク質を加水分解した(調製過程における必要に応じて任意で実行するステップ)。その後、懸濁液を20分間沸騰して濾過し、濾液を破棄した。残留物を水で洗浄して、脱イオン水(1:14w/v)で再度懸濁した。デンプンおよびタンパク質を除去した小麦ふすま1gにつき1.4ユニットの、枯草菌(Bacillus subtilis)(Grindamyl H640、Danisco、デンマーク)から得られるGHF11エンドキシラナーゼとともに、連続的に撹拌しながら、懸濁液を50℃で10時間インキュベーションした。そして、デンプンおよびタンパク質を除去した小麦ふすま1gにつき1.1ユニットの、GHF11枯草菌エンドキシラナーゼを第2の投与量で添加した後に、50℃でさらに10時間インキュベーションした。煮沸(30分間)によって酵素を不活性化した後、溶液を、流下膜式の蒸発器で20%の乾燥物にまで濃縮し、最後に噴霧乾燥機で乾燥させた。
【0050】
<avDPが5、avDASが0.26である(A)XOS(AXOS−5−0.26)の調製>
1gのAXOS−15−0.26につき75ユニットの、アスペルギルス・アキュレータス(Aspergillus aculeatus)(Shearzyme 500L、Novozymes、Bagsvaerd、デンマーク)から得られるGHF10エンドキシラナーゼである、XAAとともに、AXOS−15−0.26の溶液(1:10w/v)を、30℃で1時間インキュベーションすることによって、AXOS−6−0.26を調製した。煮沸(30分間)によって酵素を不活性化した後、溶液を凍結乾燥し、得られた物質を均質化し、250μmの篩にかけた。
【0051】
<avDPが3、avDASが0.25である(A)XOS(AXOS−3−0.25)の調製>
AXOS−15−0.26の調製について記載したのと同様にして、市販の小麦ふすま(Dossche Mills & Bakery 、Deinze 、ベルギー)からデンプンおよびタンパク質を除去した。デンプンおよびタンパク質を除去した小麦ふすま1gにつき1.2ユニットの、枯草菌(Grindamyl H640、Danisco、デンマーク)から得られるGHF11エンドキシラナーゼとともに、デンプンおよびタンパク質を除去した小麦ふすまを、連続的に撹拌しながら50℃で10時間インキュベーションした。そして、デンプンおよびタンパク質を除去した小麦ふすま1gにつき21ユニットの、Aspergillus aculeatus(Shearzyme 500L、Novozymes、Bagsvaerd、デンマーク)から得られるエンドキシラナーゼを添加した後に、50℃でさらに10時間インキュベーションした。煮沸(30分間)によって酵素を不活性化した後、溶液を、流下膜式の蒸発器で20%の乾燥物にまで濃縮し、最後に噴霧乾燥機で乾燥させた。
【0052】
<XOSの調製>
XOSは市販のオリゴ糖の調製物(キシロオリゴ−95P(サントリー、東京、日本))である。この製品は、主にキシロビオース、キシロトリオース、およびキシロテトラオースからなる(Moura et al. 2006)。
【0053】
<FOSおよびイヌリンの調製>
フルクトオリゴ糖(FOS)の調製物は市販の製品(Raftilose (Orafti 、Tienen 、ベルギー))であった。イヌリン調製物は市販の製品(Raftilin (Orafti 、Tienen 、ベルギー))であった。
【0054】
<単離した調製物の特性特定>
上述したオリゴ糖の調製物の特性の決定には、それぞれ異なる手法を使用した。
【0055】
全体の糖の含有量および還元末端の糖の含有量を、Courtin et al. (2000)に記載されているように、ガス液体クロマトグラフィー法を用いた分析によって決定した。全体の糖の含有量の決定については、20mgの試料を、5mlの2.0Mトリフルオロ酢酸(2.0M)で懸濁し、110℃で60分間インキュベーションすることによって、加水分解した。加水分解の後に混合物を濾過し、内部標準溶液(50%飽和安息香酸溶液100mlにβ−D−アロースを100mg溶解させたもの)を1.0ml、アンモニア溶液(25%v/v)を1.0ml、および2−オクタノールを3滴添加することによって、該濾液3.0mlをさらに処理した。水素化ホウ素ナトリウム溶液(1.0mlの2Mアンモニアに200mgの水素化ホウ素ナトリウムを溶かしたもの)を200μl添加することによって、単糖類を還元してアルジトールを得た。試料は、40℃で30分間インキュベーションした。400μlの氷酢酸を添加することによって、反応を停止させた。アセチル化反応をざせるために、アルジトールを含有する試料500μlを、無水酢酸5.0mlおよび1−メチル−イミダゾール500μlに添加した。10分後、試料に900μlのエタノールを添加することによって、過剰な無水酢酸を除去した。それから、水(10ml)および水酸化カリウム溶液(数分間の中休みをはさんで7.5Mの溶液5.0mlを2回)を添加することによって、アルジトール酢酸を有機相で濃縮した。ブロモフェノールブルー溶液(500μl、0.04%w/v)を水相の指標として添加した。オートサンプラー、分配注入口(分配比1:20)、および水素炎イオン化検出器を装備したAgilentのクロマトグラフ(Agilent 6890シリーズ、Wilmington、DE、米国)内で、Supelco SP−2380(30m×0.32mm I.D.;膜厚0.2μm)(Supelco、Bellefonte、PA、米国)型の極性を有するカラムを使って、ガスクロマトグラフィー法によって、形成されたアルジトール酢酸を含有する有機相1μlからなる部分標本を分解した。精製された単糖類(D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−キシロース、およびL−アラビノース)を、較正を目的として、それぞれの試料セットを並行して処理した。
【0056】
還元末端の糖の含有量の決定については、内部標準溶液(50%飽和安息香酸溶液100mlにβ−D−アロースを100mg溶解させたもの)を500μl、アンモニア溶液(25%v/v)を50μl、および2−オクタノールを9滴添加して、40mgの試料を2.5mlの水中に懸濁した。水素化ホウ素ナトリウム溶液(1.0mlの2Mアンモニアに200mgの水素化ホウ素ナトリウムを溶かしたもの)を200μl添加することによって、糖類を還元してアルジトールを得た。試料は、40℃で30分間インキュベーションした。400μlの氷酢酸を添加することによって、反応を停止させた。低減された糖類を含有する試料の部分標本2.5mlを、500μlのトリフルオロ酢酸(99%)を添加することによって加水分解した。試料は、110℃で60分間インキュベーションした。加水分解の後に、アセチル化およびガスクロマトグラフィー分析を上述のように実施した。精製した単糖類(D−グルコース、D−キシロース、およびL−アラビノース)を、較正を目的として、それぞれの試料セットを並行して処理した。
【0057】
(A)XOS(avDP)の平均重合度を、式(1)を使って算出した。(A)XOSの平均アラビノース置換度(avDASまたはA/X比)を、式(2)を使って算出した。試料のアラビノキシラン総量(T−AX、以下の記載では(A)XOS含有量とも表記する)を、式(3)を使って算出した。
(1)avDP =(%アラビノース + %キシロース) / %還元末端キシロース
(2)avDAS =(%アラビノース − 0.7 x %ガラクトース)/ %キシロース)
(3)T−AX =(%アラビノース − 0.7 x %ガラクトース)132 / 150 +((132 x(avDP−1) + 150))/(150 x avDP) x %キシロース
式(2)および式(3)において%ガラクトースを引いているのは、穀類中の可溶性アラビノガラクタンの含有量について補正を施していることを意味している。
【0058】
水分および灰分の含有量を、それぞれAACC法44−19および08−01(Approved Methods of the American Association of Cereal Chemist, 10th edition. 2000. The Association, St. Paul, MN, USA)を用いて分析した。
【0059】
タンパク質の決定に関するAOACの公式な方法(Association of Official Analytical Chemists. Official Methods of Analysis, 16th edition. 1995. Method 990.03. AOAC Washington DC, USA)に準じる自動デュマタンパク質分析システム(EAS varioMax N/CN、Elt、Gouda、オランダ)を使って、デュマの燃焼法によって、窒素含有量および推定タンパク質含有量を決定した。タンパク質の含有量を、窒素含有量に係数「5.7」を乗じることによって推定した。
【0060】
<キシラン分解性酵素の活性の決定>
不溶性アズリンで架橋されたアラビノキシラン(Xylazyme AX錠剤、Megazyme、Bray、アイルランド)をMegazymeのデータシート9/95に記載されているように使用して、エンドキシラナーゼ活性を決定した。酵素Grindamyl H640(Danisco、コペンハーゲン、デンマーク)およびShearzyme 500L(Novozymes、Bagsvaerd、デンマーク)を、pHが4.7の25mMのナトリウム酢酸バッファーで適切に希釈して、40℃で10分間アッセイした。590nmにおける吸光度を、Ultraspec III型紫外線/可視光分光光度計(Pharmacia Biotech、Uppsala、スウェーデン)を用いて測定した。酵素活性の1ユニット(U)とは、アッセイ条件下に590nmで10分間おいた後に、吸光度1.0を示すために必要となる酵素量である。
【0061】
<短鎖脂肪酸の分析>
腸の試料(2g)を含有するバイアルに、9.2Mの硫酸を0.5ml、0.75%(v/v)の2−メチルヘキサン酸(内部標準)を0.4ml、塩化ナトリウムを0.4g、およびジエチルエーテルを2ml添加した。バイアルを2分間振盪した後に、バイアルを遠心分離(3000g、3分間)にかけ、ジエチルエーテル相がガラスのバイアルに転送された。EC−1000 Econo−Cap型カラム(Alltech、Laarne、ベルギー;寸法25mx0.53mm、膜厚1.2μm;液相として酸で修正したポリエチレングリコール)および水素炎イオン化検出器を装備したガス液体クロマトグラフ(Di200、島津)で、有機酸を含有するジエチルエーテル相を分析した。キャリアガスとして、窒素を毎分20mlの流速で使用し、カラムの温度および注入器の温度を、それぞれ130℃および195℃にセットした。それぞれ異なる酸を既知の濃度で含む標準に基づいて、SCFAの濃度を算出した。2−メチルヘキサン酸を内部標準として使用した。
【0062】
<アンモニウムの分析>
MgO(試料1gにつき0.4g)を添加することによって腸の試料中のアンモニウムがアンモニアとして遊離した。1062 Kjeltec 自動蒸留装置(FOSS Benelux、Amersfoort、オランダ)を使って、放出されたアンモニアを蒸留し、この試料からホウ酸溶液(20g/l)を得た。それから、665 Dosimat(Metrohm、Berchem、ベルギー)および686 Titroprocessor(Metrohm)を使用して、滴定によってアンモニアを決定した。
【0063】
<定量的PCRによる微生物学的分析>
製造業者の指示にしたがって、QIAamp DNA Stoolミニキット(Qiagen 、Venlo 、オランダ)を使用して、メタゲノムのDNAを盲腸の試料から抽出した。抽出は0.2gの試料から開始した。NanoDrop ND−1000型分光光度計(Isogen、IJselstein、オランダ)を用いて、DNAの濃度を分光光度的に測定した。qPCR Core Kit for SYBR(登録商標)Green Iとともに提供されているバッファーを、供給者(Eurogentec、Liege、ベルギー)の指示通りに、光学的キャップ(PE Applied Biosystems、Nieuwerkerk a/d Ijssel、オランダ)を備えたMicroAmp Optical 96穴式反応プレートにおいて使用し、ABIプリズムSDS7000型機器(PE Applied Biosystems)を使用することによって、25μlの反応混合物においてDNAを増幅した。細菌全体から16SリボソームRNAの遺伝子のコピーを検出するために、順方向プライマー338f(Lane et al 1991)および518r(Muyzer et al 1993)を、0.3μMの濃度で、以下のPCR温度プログラムにしたがって使用した。すなわち、50℃で2分間および95℃で10分間が終了後、94℃で1分間、53℃で1分間、および60℃で2分間を40サイクル繰り返した。ビフィズス菌属の細菌から16SリボソームRNAの遺伝子のコピーを検出するために、順方向プライマーおよび243fーおよび逆方向プライマー243r(Rinttilae et al., 2004)を、0.3μMの濃度で、以下のPCR温度プログラムにしたがって使用した。すなわち、50℃で2分間および95℃で10分間が終了後、94℃で20秒、58℃で30秒、および60℃で1分間を40サイクル繰り返した。3組の反応混合物中で、鋳型DNAを増幅した。細菌全体の定量化のために、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)(株LMG11042)の培養物およびラクトバチルス・ブレビス(株LMG12023)の培養物から抽出されたDNAの6つの異なる希釈物に対して行った、3組の反応におけるリアルタイムPCR増幅に基づいて、ビフィズス菌を定量化するための検量線を作製した。実験用試料から得られるリアルタイムPCRデータを検量線に対してプロットし、すべての試料のDNA濃度の平均を個々の実験用試料のDNA濃度で割り算して得られる係数を用いて、DNAの抽出の効率について補正した。
【0064】
<統計的分析>
異なるパラメータに対する食事の効果を、ソフトウェア「Analyse−it ver.2.07」を使って、非パラメトリックなクラスカル・ウォーリス試験によって95%の信頼度で分析した。要因となる食事について統計的に有意な効果が観察された場合、各試験食と対照食との間の違いを、ボンフェローニの誤り保護法で95%の信頼度で分析した。
【0065】
腸の健康に関するパラメータに対して最適な薬効をもたらす構造的要件を決定するために、平均重合度(avDP)および/またはアラビノース置換度(avDAS)がそれぞれ異なる(A)XOSを調製した。アラビノキシランの総含有量(T−AX)、avDAS、およびavDPがそれぞれ異なる調製物の性質を、表1に示す。調製物はすべて、(アラビノ)キシランの含有量について少なくとも70%の純度を有しており、そのavDPの範囲は3〜67、avDASの範囲は0.25〜0.69であった。それぞれ異なるこれらの(A)XOSの調製物を、平的均な西洋人の食事組成に似せたラット用「ヒト化」食(表2)に含めて、ラットの集団に与えた。比較目的のために、試験には、平均DPが3およびavDASが0.09である市販のキシロオリゴ糖類(XOS)(表1)、フルクタンタイプのオリゴ糖であるフルクトオリゴ糖(fructo−oligosaccharide; FOS)、およびイヌリンも含めた。このようにして、ラットは、哺乳類において異なる種類のオリゴ糖を食事に含める効果を研究する、インビボモデルとして使用された。
【0066】
6週齢の雄のラット(ウィスター系)90匹を、Elevage Janvier (Le Genest−St−Isle 、フランス)から購入し、環境を制御した部屋(22℃、明−暗サイクルは14−10時間)においたステンレス鋼の網底式ケージに(ケージ1つにカットを2匹ずつ)収容した。ラットが、水と「基礎的なヒト化食」のペレット(10mm)とを、6日間自由に得られるようにした。「基礎的なヒト化食」の組成を表2に示す。基礎的なヒト化食に順応する6日間の後、各ラットを9の異なる投与群(1群当たりラット10匹)のうちの一つにランダムに分配し、各群のラットが、以下の食事のうちの一つのペレット(10mm)を、14日間自由に得られるようにした。
・基礎的なヒト化食
・基礎的なヒト化食 + 5.48%のAXOS−67−0.58の調製物(純度3.9%の(アラビノ)キシラン)
・基礎的なヒト化食 + 4.49%のAXOS−12−0.69の調製物(純度4.0%の(アラビノ)キシラン)
・基礎的なヒト化食 + 5.26%のAXOS−15−0.26の調製物(純度3.8%の(アラビノ)キシラン)
・基礎的なヒト化食 + 5.15%のAXOS−5−0.26の調製物(純度3.8%の(アラビノ)キシラン)
・基礎的なヒト化食 + 4.44%のAXOS−3−0.25の調製物(純度3.6%の(アラビノ)キシラン)
・基礎的なヒト化食 + 4.61%のXOSの調製物(純度3.9%の(アラビノ)キシラン)
・基礎的なヒト化食 + 4.21%のイヌリンの調製物(純度4.0%のイヌリン)
・基礎的なヒト化食 + 4.21%のFOSの調製物(純度4.0%のFOS)
括弧内に示した濃度は、その重合体のAXの含有量またはフルクトオリゴ糖の含有量によって算出した純度について補正済みである。オリゴ糖を含有する食事については、基礎的なヒト化食の澱粉を、適切な量のオリゴ糖の調製物で置き替えた。
【0067】
動物の体重の計測および飼料の摂取量の測定を、1週間に3回行った。投与14日後に、すべての動物の体重を計測し、過量の5−エチル−5−(1−メチルブチル)−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン(Nembutal(商標))で安楽死させた。その後、動物を解剖して、盲腸の内容物および大腸の内容物を収集した。
【0068】
投与期間の第1週目および第2週目の飼料の摂取量は、平均するとそれぞれ21g/ラット/日および21.2g/ラット/日であった。ラットの体重は、投与開始時には平均252gであったが、投与1週間後および2週間後にはそれぞれ平均311gおよび360gに到達した(表3)。体重においても1日の飼料の摂取量においても、異なる処理間の有意な差は見られなかった。
【0069】
腸の高いSCFAレベルは、プレバイオティック化合物の摂取によって誘起される腸のミクロフローラに変化が起きた証拠であるから(Macfarlane et al 2006)、盲腸および大腸の主なSCFA、酢酸、プロピオン酸塩、および酪酸の濃度を、異なる投与群について測定した。図1に示すように、オリゴ糖投与群および対照群のどの群をとってみても、盲腸における酢酸、プロピオン酸塩、および酪酸のレベルには大きな差がなかった。ただし、AXOS−15−0.26、AXOS−5−0.26、AXOS−3−0.25、およびXOSを与えられた群では、盲腸の酪酸レベルが上昇する傾向が見られ、酪酸レベルが対照群と比較すると65%から70%高かった。AXOS−5−0.26、AXOS−3−0.25、XOS、イヌリン、またはFOSのいずれかを含有する食事を与えられたラットの大腸内では、酢酸レベルの大幅な増加が観察された(図2A)。一方で、プロピオン酸塩のレベルには有意な差がまったく見られなかった(図2B)。AXOS−15−0.26、AXOS−5−0.26、AXOS−3−0.25、およびXOSの群では、対照群(図2C)と比較すると、結腸の酪酸レベルが2倍を超える大幅な増加をした。
【0070】
分岐したSCFAイソ酪酸およびSCFAイソ吉草酸は、分岐鎖を有するアミノ酸、つまりバリン、ロイシン、およびイソロイシンの異化反応の際に形成され(Mortensen et al. 1992; Macfarlane and Macfarlane, 1995)、腸におけるタンパク質の発酵の指標となる。したがって、ラットの盲腸の内容物および結腸の内容物を、分岐したSCFAイソ酪酸およびSCFAイソ吉草酸について評価した。図1Dに示すように、盲腸の分岐したSCFAのレベルの有意な減少が、AXOS−67−0.58、AXOS−12−0.69、AXOS−15−0.26、およびAXOS−5−0.26の群では観察されたが、AXOS−3−0.25、XOS、イヌリン、およびFOSの群では観察されなかった。大腸内おける分岐したSCFAのレベルは、AXOS−67−0.58およびAXOS−5−0.26を与えられたラットでは大幅に下降したが、それ以外の群では減少しなかった(図2D)。
【0071】
盲腸におけるアンモニウムのレベルは、AXOS−12−0.69の群を除いた、オリゴ糖の調製物を与えられたすべての群で大幅に減少した(図3)。アンモニウムのレベルの減少は、タンパク質の発酵の減少によって説明がつくが、炭水化物を発酵させる細菌による同化の増加によっても説明がつく(Mortensen et al. 1992)。
【0072】
盲腸内における細菌の全体量およびビフィズス菌の量を、定量的PCRによって測定した。上述した投与法のいずれにおいても、細菌の全体量に有意な差は観察されなかった(図4A)。ただし、盲腸におけるビフィズス菌の含有量は、AXOS−67−0.58およびAXOS−12−0.69の群を除けば、どのオリゴ糖の調製物を与えられたラットにおいても、対照投与と比較して大幅に増加した(図4B)。盲腸のビフィズス菌のもっとも大きい増加は、FOSの群において観察された。AXOS−5−0.26、AXOS−3−0.25、XOS、およびイヌリンの群におけるビフィズス菌のレベルも同様であり、対照群より約1対数単位高かった。ビフィズス菌は、動物の健康およびヒトの健康に対して有益な影響を与える関係にあり、多数のプロバイオティック化合物の成分となっている。動物およびヒトにおいて良好なの健康状態を促進または維持し、また、結腸直腸癌に対する抑制効果を促進または維持するためにも、微生物性の調製物を直接摂取することに加えて、これらの細菌の個体群を消化管内で選択的に補充することに対する関心が強くなっている(Gibson and Roberfroid 1995)。
【0073】
結果は、試験を行った(A)XOSの調製物の中では、AXOS−5−0.26が、腸の健康パラメータに対する望ましい効果についての最良の組み合わせ、すなわち、大腸内の酢酸および酪酸のレベルを増加させ、腸のタンパク質の発酵におけるマーカーを減少させ(大腸および盲腸内における分岐したSCFAを減少させ、かつ盲腸内におけるアンモニアレベルを減少させ)、および盲腸内におけるビフィズス菌レベルを増加させるという組み合わせ、を示すことを示唆している。AXOS−15−0.26の効果は、AXOS−5−0.26の効果ほど概してはっきりしたものでないこと、ならびにAXOS−15−0.26が、結腸の酢酸レベルにおける顕著な増加、および大腸内の分岐したSCFAの濃度の顕著な減少を引き起こさなかったことを除けば、AXOS−5−0.26の効果と比較的同様であった。より低いavDP(AXOS−3−0.25およびXOS)を有する(A)XOSおよびXOSの調製物は、酢酸および酪酸の生成量の増加、ならびにビフィズス菌のレベルの上昇を引き起こしたが、分岐したSCFAのレベルを大幅に降下させなかった。一方、もっとも高いavDPを有する(A)XOSの調製物、つまりAXOS−67−0.58は、分岐したSCFAの抑制に対して効果的であり、それゆえタンパク質の発酵の抑制に対して効果的であったが、結腸の酪酸レベルを増加させることも、ビフィズス菌を刺激することもなかった。AXOS−15−0.26の効果とAXOS−12−0.69の効果との比較から推定されるように、(A)XOSのアラビノース置換度は、プレバイオティックの効力に対して強い影響力を有する。なお、AXOS−15−0.26とAXOS−12−0.69とは、同様のavDPを有するが、明瞭に異なるavDASを有する。最も高いavDASを有する調製物、すなわちAXOS−12−0.69は、盲腸内の分岐したSCFAが減少することを除けば、測定したどのパラメータに対しても有意な効果を有しない。一方、AXOS−15−0.26は、大腸内で酢酸および酪酸の生成を刺激し、盲腸内でビフィズス菌を増加させ、盲腸内でアンモニアおよび分岐したSCFAのレベルを低下させる。AXOS−5−0.26との比較では、フルクタン系オリゴ糖FOSおよびイヌリンは、同様のビフィズス菌産生効果を奏するが、SCFA酢酸の生成をわずかに増加させる。ただし、どちらも酪酸の生成は増加させず、分岐したSCFAの低減に対しては効果がない。
【0074】
腸の健康パラメータに対する望ましい効果の最適な組み合わせを有するXOSの調製物は、avDPが4〜10、avDASが0.15〜0.35の調製物である。
【0075】
〔実施例2:(A)4〜10の平均DPを有するXOSの調製物、フェルラ酸含有量の特性特定〕
(素材および方法)
<デンプンを除去した穀類のふすまの調製>
小麦ふすま(乾燥型ローラー製粉機から得られたもの)を、攪拌タンクの水中(1:8w/v)で懸濁し、その結果得られたマッシュを90℃まで加熱した。α−アミラーゼの調製物(Termamyl 120LS、Novozymes、Bagsvaerd、デンマーク;糠1kg当たり1ml)を添加し、連続的に撹拌しながら90℃で90分間反応させて、澱粉を加水分解した。スラリーを濾過し、脱塩水の体積と固形物の体積との比を3:1として、濾過した固形物を脱塩水で80℃で洗浄した。洗浄した残留物を、デンプン除去済み小麦ふすまと称した。このデンプン除去済み小麦ふすまのアラビノキシラン総含有量(T−AX)は、37%(w/w乾燥物)であった。
【0076】
ライムギの糠(乾燥型ローラー製粉機から得られたもの)を、攪拌タンクの水中(1:8w/v)で懸濁し、その結果得られたマッシュを90℃まで加熱した。α−アミラーゼの調製物(Termamyl 120LS、Novozymes、Bagsvaerd、デンマーク;小麦ふすま1kg当たり1ml)を添加し、連続的に撹拌しながら90℃で90分間反応させて、澱粉を加水分解した。スラリーを濾過し、脱塩水の体積と固形物の体積との比を3:1として、濾過した固形物を脱塩水で80℃で洗浄した。洗浄した残留物を、デンプン除去済みライムギ糠と称した。このデンプン除去済みライムギ糠のアラビノキシラン総含有量(T−AX)は、40%(w/w乾燥物)であった。
【0077】
<単離した調製物の化学特性の特定>
(A)XOSの調製物の特性特定を、実施例1に記載するように実施した。(A)XOSの試料中のフェルラ酸の総含有量を、水酸化ナトリウム(2ml、2M、無酸素)中に懸濁された30mg〜50mgの試料について決定した。溶液の上のヘッドスペースを窒素で脱気し、結合型フェルラ酸の加水分解を室温で18時間実施した。o−クマル酸(100μl、100mg/l)を内部標準として添加し、この溶液を塩酸(1ml、25%m/m)で酸性化した。その後、溶液を酢酸エチル(各回とも3ml)で3回抽出し、有機相をそれぞれ組み合わせ、窒素を用いて乾燥させた。HPLC分析に先立って、残留物をメタノール(1ml)に溶解させ、濾過(0.45μmの孔径のフィルター)した。522ポンプモジュール、535UV検出器、および、Hyperclone 5μm オクタデシルシラン(C18)カラム(250x4.6mm;Phenomenex)を取り付けた、Kontron Kroma System 2000 HPLCシステム(Biotek)を使用した。溶媒系は、以下のようであった。すなわち、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid; TFA)を水に溶解させた溶媒Aと、0.1%(v/v)TFAをメタノールに溶解させた溶媒Bとである。注入体積は100μl、流速は0.8ml/分、検出は310nmにおいて吸光度を測定することによって実施した。35%の溶媒Bで均一濃度で溶出を開始し、45分目までの35%〜95%の直線勾配となるように溶媒Bを適用した。310nmにおけるピーク領域に基づいて定量化を行い、フェルラ酸と内部標準とのモル比(1:5、1:1、5:1)がそれぞれ異なる規準液を注入することによって、検量線を得た。(A)XOSの試料における遊離型フェルラ酸含有量は、水酸化ナトリウム中における初期の加水分解のステップを省略した以外は、フェルラ酸の全量についての方法と同じ方法によって決定した。(A)XOSの試料における結合型(主にエステル結合)フェルラ酸含有量は、フェルラ酸の総含有量から遊離型フェルラ酸の含有量を減ずることによって算出した。
【0078】
<キシラン分解性酵素の活性の決定>
不溶性アズリンで架橋したアラビノキシラン(Xylazyme AX錠剤、Megazyme、Bray、アイルランド)をMegazymeのデータシート9/95に説明されているように使用して、エンドキシラナーゼ活性を決定した。Grindamyl H640(Danisco、コペンハーゲン、デンマーク)、Shearzyme 500L(Novozymes、Bagsvaerd、デンマーク)、Multifect CX 12 L(Danisco、コペンハーゲン、デンマーク)、Ecopulp TX200 A(AB Enzymess、Darmstadt、ドイツ)、およびBrewlyve AXC 1500L(Lyven、Colombelles、フランス)の各酵素を、pH5.6の25mMのナトリウム酢酸バッファーで適切に希釈した形態で35℃で10分間アッセイした。590nmにおける吸光度を、Ultraspec III UV/Visible分光光度計(Pharmacia Biotech、Uppsala、スウェーデン)を用いて測定した。酵素活性の1ユニット(U)を、アッセイ条件下に590nmで10分後置いた後、吸光度1.0を得るために必要な酵素の量と定義した。
【0079】
<酸化性ラジカル吸収能(oxidative radical absorbance capacity; ORAC)の決定>
Ou et al (2001)に記載の方法をHuang et al (2002)のミクロプレート読み取り装置に合わせて用いて、ペルオキシラジカルを生成する化合物2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオナミジン)二塩酸(AAPH)の存在下で、フルオレセインの蛍光の減衰を経時的にモニターすることによって、ORAC値を測定した。水溶性ビタミンのE類似体(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(トロロクス))の希釈系列を標準として用いて、ORAC値を決定し、1g当たりのμmolのトロロクス当量(μmol Trolox equivalent per gram; TE/g)を単位として表した。
【0080】
デンプン除去済み小麦ふすまおよびライムギの糠を、素材および方法に記載したようにして調製した。このデンプンを除去された糠の調製物を、水10kg当たり乾燥物1kgの割合で、攪拌タンクの水中で懸濁し、連続的に撹拌しながら、キシラナーゼの調製物と反応させた。適切な酵素を用いて適切な温度で適切な時間をかけてインキュベーションした後、すりつぶしたものを濾過した。濾液を90℃で10分間加熱して酵素を失活させ、10000gの遠心分離にかけ、上清を蒸発および噴霧乾燥によって濃縮した。
【0081】
4〜10のavDPおよび0.15〜0.35のavDASを有する、(A)XOSの調製物を調製するために、表4に記載したインキュベーション条件を最適化した。この調製物の窒素含有量には、デンプン除去済み小麦ふすまを酵素(Brewlyve AXC 1500 L)とともにインキュベーションすることによって調製した試料の場合の1.7%(w/w)から、デンプン除去済み小麦ふすまを酵素(Multifect CX 12 L)とともにインキュベーションすることによって調製した試料の場合の0.6%(w/w)までと、ばらつきがあった。遊離型フェルラ酸含有量は、試料が異なっても、常に非常に低く、0.4mg/g未満であった。(A)XOS含有量に対する結合型(主にエステル結合)デンプン除去済み小麦ふすまをBrewlyve AXC 1500 Lとともにインキュベーションすることによって調製した試料におけるフェルラ酸含有量の比は、1%より高く、最高で3.4%であった。
【0082】
ORACアッセイを使って、(A)XOSの調製物3(表4)の抗酸化能を確認した。この調製物のORAC値は410TE/gであった。
【0083】
実施例1に記載した、(A)XOSの調製物(AXOS−5−0.26)中の遊離型フェルラ酸および結合型(エステル結合型)フェルラ酸の含有量を決定した。この調製物中の遊離型フェルラ酸の含有量は0.25mg/gであり、(A)XOS含有量に対する結合型フェルラ酸含有量の比は2.5%であった。。
【0084】
〔実施例3:攪乱混入物を(A)XOSの調製物から除去する〕
(素材および方法)
<単離した調製物の特性特定>
実施例1および実施例2に記載したようにして、(A)XOSの調製物の特性特定を実施した。
【0085】
<イオン交換樹脂の精製>
食品グレードのイオン交換樹脂(Amberlite FPC22(強酸陽イオン交換樹脂)、Amberlite FPA51(弱塩基性陰イオン交換樹脂)、およびFPA90(強塩基性陰イオン交換樹脂))を、Rohm & Haasから購入した。使用に先立って、陽イオン交換樹脂をHの形態にし、陰イオン交換樹脂をOHの形態にした。(A)XOSの溶液のイオン交換樹脂に対する通過は、1時間当たり4ベッドボリュームで実施した。
【0086】
<単離した調製物の色の特定>
比色計(Colorquest 45/ 0LAVモデル、CQ/UNI−1600、HunterLab、Reston、VA、米国)を使用してすべての色を決定した。この機器は、白色および黒色の較正タイルを用いて較正を行った。比色計を、発光状態D65(中程度の昼光)および10°の標準観察者にセットした。それぞれの試料を透明なペトリ皿に載置し、白色のプレートで覆った。1976年に国際照明委員会(Commission International de l’Eclairage;CIE)が策定したL色空間として、色を測定した。Lは黒色(0)から白色(100)までの明るさの尺度である。aは赤色から緑色を表しており、a値がプラスであれば赤色が強いことを示唆し、a値がマイナスであれば緑色が強いことを示唆している。bは黄色から青色を示しており、b値がプラスであれば黄色が強いことを示唆し、b値がマイナスであれば青色が強いことを示唆している。試料と乾燥器内で130℃で3時間加熱した試料との間の、L、a、およびbの差によって、色の違い(ΔL、Δa、Δb)を評価した。全体の色の違い(ΔE)を下記の式を用いて算出した(Good, 2002)。
【0087】
ΔE=[(ΔL + (Δa + (Δb1/2
<クッキーの調製>
(A)XOSを含まないクッキーを、100gのきめの細かい小麦粉、72gの糖、45gのベーキングマーガリン、12gの水、および2gの炭酸水素ナトリウムを含有する生地から作製した。(A)XOSを含んだクッキーを、89gのきめの細かい小麦粉、64gの糖、40gのベーキングマーガリン、12gの水、2gの炭酸水素ナトリウム、および23gの(A)XOSを含有する生地から作製した。生地を4mm厚のシート状に広げて、生地から円い形状を切り出した。これを、190℃で15分間焼いた。
【0088】
実施例1および実施例2に記載した、4〜10の平均DPを有する(A)XOSの調製物は、食品としての調製物中で使用するには次の2つの短所がある。まず、この調製物は不快な味を有している点、2つ目は、加熱すると製品が着色するという点である。加熱後には、製品の味はさらに悪化する。
【0089】
(A)XOSの調製物11(実施例2、表4を参照)を、以下の4とおりに処理した。
1)イオン交換処理法1:20℃の温度でカラムFPA90を通過させ、つぎに20℃の温度で連続カラムFPC22を通過させる(調製物15)
2)イオン交換処理法2:50℃の温度でカラムFPA90を通過させ、つぎに35℃の温度で連続カラムFPC22を通過させる(調製物16)
3)イオン交換処理法3:20℃の温度でカラムFPC22を通過させ、つぎに20℃の温度で連続カラムFPA51を通過させ、さらに20℃の温度で連続カラムFPA90を通過させる(調製物17)
4)イオン交換処理法4:50℃の温度でカラムFPC22を通過させ、つぎに35℃の温度で連続カラムFPA51を通過させ、さらに25℃の温度で連続カラムFPA90を通過させる(調製物18)。
【0090】
イオン交換処理法1〜4を実施した後に得られた調製物を、pH6.5に調節し、蒸発および噴霧乾燥によって濃縮した。つぎに調製物を分析した。その結果を表5に示す。イオン交換処理方法が異なっても調製物中の(A)XOSのavDPおよびavDASに対する有意な効果はなかったが、これらの処理方法によって、(A)XOS含有量が増加し、調製物中のミネラルおよび窒素の含有量が低減した。イオン交換処理法3および4では、同様のミネラル含有量であった(乾燥物に対して0.4%w/w〜0.5%w/w)。窒素含有量は、イオン交換処理法4の場合に得られた量が最も少なく、具体的には乾燥重量に対して0.09%w/wであった(表5)。
【0091】
イオン交換処理法1〜4を実施する前後の粉末を、5%(w/w)で水に溶解させて、12人からなる試食者グループにどれがどの試料を明かさないで提供した。12人の試食者は(12人中12人が)一致して、イオン交換処理をする前の(A)XOSの調製物の味がもっともまずいと感じた。12人の試食者中10人は、イオン交換処理法4を実施した後の調製物の味がもっともおいしいと感じ、12人の試食者中2人は、イオン交換処理法3を実施した後の調製物の味がもっともおいしいと感じた。
【0092】
イオン交換処理法1〜4を実施する前後の(A)XOSの調製物の乾燥粉末を、130℃で3時間加熱した。イオン交換処理を実施する前の粉末は、加熱処理時に明らかな褐変を示した。イオン交換処理法4を実施した後の粉末は色形成がもっとも少なく、これにつづいたのはイオン交換処理法3を実施した後の粉末であった。一方で、イオン交換処理法1および2を実施した後に得られた粉末は、明らかな色形成を褐色の染みの形態で示した(図5)。調製物の色を、130℃で3時間の加熱処理を行う前後に、CIEの色空間によって数量化した(表6)。この数量化によって、調製物18が調製物16および11より白いこと、ならびにイオン交換処理法4では加熱処理時の色形成が低減されることが確認できる。
【0093】
イオン交換処理前の(A)XOSの調製物を10%(w/w)含んだクッキー、およびイオン交換処理法4を実施した後の(A)XOSの調製物を10%(w/w)含んだクッキーを作製した。イオン交換処理前の(A)XOSの調製物を含めて作製したクッキーは明らかな褐変(暗化)を示す一方、イオン交換処理法4を実施した後の(A)XOSの調製物を10%含んだクッキーは、(A)XOSを添加しないクッキーと同じ色であった(図6)。
【0094】
イオン交換処理前の(A)XOSの調製物のORAC値は、370TE/gであり、一方で、イオン交換処理法4を実施した後の(A)XOSの調製物のORAC値は、280TE/gであった。このことは、(A)XOSの抗酸化能が、精製過程の後もほぼ維持されていることを示唆している。このことは、イオン交換処理前後の結合型フェルラ酸のレベルにも反映されている(表5)。
【0095】
実施例2に記載したように調製したデンプン除去済み小麦ふすまを、表4の調製物4について記載した条件下でキシラナーゼを用いて処理することによって、(A)XOSの調製物を作製した(調製物19)。この調製物を、イオン交換樹脂法によって以下のように処理した。
1)イオン交換処理法5:50℃の温度でカラムFPC22を通過させ、つぎに20℃の温度で連続カラムFPA51を通過させる(調製物20)
2)イオン交換処理法6:20℃の温度でカラムFPC22を通過させ、つぎに20℃の温度で連続カラムFPA51を通過させる(調製物21)。
【0096】
イオン交換処理法5〜6を実施した後に得られた調製物を、pH6.5に調節し、蒸発および噴霧乾燥によって濃縮した。つぎに調製物を分析した。その結果を表5に示す。窒素含有量は、イオン交換処理法5(調製物20)の場合に得られた量が最も少なく、具体的には乾燥重量に対して0.07%w/wであった(表5)。調製物20は、130℃での加熱処理時の色形成ももっとも少なかった(表6)。イオン交換処理法5における最終的な(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物中のグルテン濃度は、最も低かった。イオン交換による精製を実施する前の(アラビノ)キシランオリゴ糖の抽出物におけるグルテン濃度は、乾燥重量に対するグルテンのレベルが24000ppm以上であり、その一方で、処理法5を実施した後には、調製物中のグルテンのレベルが、乾燥重量に対して約900ppmであった。ELISA法を使って、グルテンのレベルを、Eurofins Food BV (Heerenveen,オランダ)によって決定した。
【0097】
〔実施例4:平均DPが4〜10の(A)XOSの調製物:キシロオリゴ糖の含有量およびアラビノキシロオリゴ糖の含有量の特定〕
(素材および方法)
<化学物質>
単糖類であるL−ラムノース、D−キシロース(X)、L−アラビノース(A)、およびカバノキから得られるキシランを、Sigma−Aldrich(Bornem、ベルギー)から購入した。キシロビオース(X2)、キシロトリオース(X3)、キシロテトラオース(X4)、キシロペンタオース(X5)、およびキシロヘキサオース(X6)を、Megazyme(Bray、アイルランド)から入手した。Megazyme(Bray、アイルランド)から入手したカバノキから得られるキシランを、枯草菌のキシラナーゼ(Grindamyl H640、Danisco、コペンハーゲン、デンマーク)を用いてキシラン分解性加水分解し、つづいて、Bio−Gel P4のマトリックスおよびBio−Gel P2のマトリックス(Bio−Rad、Hercules、CA、米国)をそれぞれ充填した2つの連続カラムでゲルを濾過することによって、キシロヘプタオース(X7)、キシロオクタオース(X8)、およびキシロノナオース(X9)、およびキシロデカオース(X10)(X7、X8およびX9である)を調製した。
【0098】
<(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物中の結合型フェルラ酸含有量の決定>
水酸化ナトリウム(5ml、2M、無酸素)に懸濁させた10mg〜50mgの試料について、フェルラ酸の総含有量を決定した。溶液の上のヘッドスペースを窒素で脱気し、結合型フェルラ酸の加水分解を室温で18時間実施した。o−クマル酸(100μl、50mg/100ml)を内部標準として添加し、その溶液を塩酸(4ml;4M)で酸性化した。それから、溶液を酢酸エチル(各回3ml)で3回抽出し、有機相をそれぞれ組み合わせて窒素で乾燥させた。残留物をメタノール(5ml)に溶解させ、HPLC分析に先立って濾過(0.45μm孔径のフィルター)した。
【0099】
塩酸(2ml;0.1M)に懸濁した200mgの試料について、遊離型フェルラ酸含有量を決定した。O−クマル酸(50μl、50mg/100ml)を内部標準として添加した。それから、溶液を酢酸エチル(各回3ml)で3回抽出し、有機相をそれぞれ組み合わせて窒素で乾燥させた。残留物をメタノール(2.5ml)に溶解させ、HPLC分析に先立って濾過(0.45μm孔径のフィルター)した。
【0100】
522ポンプモジュール、535UV検出器、およびSuperspher 60 RP8カラム(125x4.0mm;Merck)を取り付けたKontron Kroma System 2000 HPLCシステム(Biotek)を使用して、フェルラ酸全体および遊離型フェルラ酸の両方のHPLC分析を行った。なお、Superspher 60 RP8カラムには、ODS2プレカラム(25x4.0mm;Waters)が取り付けられている。注入体積は100μl、流速0.8ml/分、検出は310nmにおいて吸光度を測定することによって実施した。溶媒(水:アセトニトリル:酢酸;75:25:0.04v/v/v)を、均一濃度で適用した。量子化を310nmにおけるピーク領域に基づいて行い、フェルラ酸と内部標準とのモル比(1:5、1:1、5:1)がそれぞれ異なる規準液を注入することによって、検量線を得た。結合型(主にエステル結合)フェルラ酸含有量を、フェルラ酸の総含有量から遊離型フェルラ酸含有量を差し引くことによって算出した。
【0101】
<HPAEC−PAD法による、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物中のキシロオリゴ糖の含有量および(フェルロイル化)アラビノキシロオリゴ糖の含有量の決定>
(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の乾燥試料を、以下のように並列に処理した。
・無処理の試料の溶液:試料25mgを、100mlのメスフラスコ内で90mlの蒸留水に溶解させた。0.1MのNaOHまたは0.1MのHClのいずれかを添加することによって、pHを7.0に調節した。蒸留水を添加することによって、体積を100mlに調節した。
・HClで処理した試料の溶液:無処理の試料から30mlを取って、平底ねじ口付き試験管に移し変えた。連続的に撹拌しながら、1MのHClを、量を測定して添加することによって、pHを2.8に調製した。この酸性化した溶液を水浴中で90℃まで加熱し、(ねじ口を閉じた)乾燥器内で90℃で24時間維持した。室温まで冷却した後、連続的に撹拌しながら、0.1MのNaOHを、量を測定して添加することによって、pHを7.0に調節した。
【0102】
弱酸性のHCl処理の結果、キシランの骨格(Swennen et al 2005)の加水分解は最低限におさえつつ、(A)XOSのアラビノース側鎖をほぼ定量的に遊離させることができた。ただし、この処理では、フェルラ酸とアラビノース側鎖との間のエステル結合の加水分解は起こらなかった。
【0103】
無処理の試料およびHClで処理した試料をそれぞれ900μlずつ取って、0.2mg/mlのL−ラムノース(内部標準)100μlに添加した。アンペロメトリック電気化学検出法(HPAEC−PAD法)による高速陰イオン交換クロマトグラフィー法に先立って、試料を遠心分離(10000gで10分間)にかけた。最大20個の試料からなる各セットから、2つの較正用試料を分析した。第1の較正用試料は、既知の量のL−ラムノース、D−キシロース(X)、L−アラビノース(A)、キシロビオース(X2)、キシロトリオース(X3)、キシロテトラオース(X4)、キシロペンタオース(X5)、およびキシロヘキサオース(X6)を含有していた。第2の較正用試料は、既知の量のL−ラムノース、D−キシロース、キシロヘプタオース(X7)、キシロオクタオース(X8)、およびキシロノナオース(X9)を含有していた。HPAEC−PAD法を、Dionex ICS−3000クロマトグラフィーシステム(Sunnyvale、CA、米国)を用いて実施した。試料の部分標本(25μl)を、CarboPac PA−100陰イオン交換カラム(250x4mm)に接続したCarboPac PA−100ガードカラム(25x4mm)に注入した。100mMの水酸化ナトリウムを用いて、溶出(1.0ml/分)を5分間実施し、その後、100mMの水酸化ナトリウム中で0mM〜125mMの酢酸ナトリウムの直線勾配によって溶出を30分間実施した。この直線勾配につづいて、100mMの水酸化ナトリウム中で400mMの酢酸ナトリウムを用いて溶出を5分間実施して、カラムを洗浄した。この溶出は、電気化学的検出器をアンペロメトリック電気化学検出法モードで使用してモニターして、炭水化物分析を行った。
【0104】
既知の量のL−ラムノース、L−アラビノース(A)、D−キシロース(X)、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、およびX9を含有する較正用溶液の分析に基づいて、それぞれ異なる種類の糖類(saccharide; SA)について、応答係数(response factor; RF)を決定した。L−ラムノースを内部標準(IS)として使用して、クロマトグラムのピーク領域をすべて規格化した。RFを以下の式を用いて算出した。
【0105】
RF=[(ppm SA / ppm IS)x(ピーク領域 IS / ピーク領域 SA)]
上記式中のppm SAおよびppm ISは、それぞれ、較正用溶液中のSAおよびISの、ppm(μg/ml)で表した濃度を指す。
【0106】
水で処理した試料中の糖類の濃度[%SAH2O](単位は、もとの試料の乾燥物に対するSAの%(w/w))を、正規化したピーク領域および対応するRFから、以下の式を用いて算出した。
【0107】
[%SAH2O]=(ピーク領域 SAH20 / ピーク領域 ISH2O)×RF×(ppm IS / ppm 試料)×0.1 / (0.9x%DM試料)x100
上記式中の「ppm 試料」は、無処理の試料の溶液中の試料の濃度(単位はppm(μg/ml))を指す。上記式中のppm ISは、IS溶液中のL−ラムノースの濃度(単位はppm(μg/ml))を指す。係数「0.1」および「0.9」は、HPAEC−PAD法用に調製した最終的な試料において、IS溶液および試料の原液を希釈することをそれぞれ考慮したものである。%DM試料は、もとの乾いた試料における乾燥物の割合(w/w)である。
【0108】
HClで処理した試料中の糖類の濃度[%SAHCl](単位は、もとの試料の乾燥物に対するSAの%(w/w))を、正規化したピーク領域および対応するRFから、以下の式を用いて算出した。
【0109】
[%SAHCl]=(ピーク領域 SAHCl / ピーク領域 ISHCL)×RF×(ppm IS / ppm 試料)×0.1 / (0.9xDFpHx%DM試料)x100
上記式中の「ppm 試料」は、無処置の試料の溶液中の試料の濃度(単位はppm(μg/ml))を指す。上記式中のppm ISは、IS溶液中のL−ラムノースの濃度(単位はppm(μg/ml))を指す。係数「0.1」および「0.9xDFpH」は、HPAEC−PAD法用に調製した最終的な試料において、IS溶液および試料の原液を希釈することをそれぞれ考慮したものである。DFpHは、HClおよびNaOHの添加に起因する希釈係数であって、HClおよびNaOHの添加後の体積に対する、HClおよびNaOHの添加前の体積の比として表される。%DM試料は、もとの乾いた試料における乾燥物の割合(w/w)である。
【0110】
試料における、キシランの骨格の重合度が2〜9[% XOSDPX2−9]であるXOSの乾燥物の割合(w/w)は、式(a)によって決定される。試料における、キシランの骨格の重合度が1〜9[% (F)AXOSDPX1−9]である(フェルロイル化された)アラビノキシロオリゴ糖の乾燥物の割合(w/w)は、式(b)によって算出される。
【0111】
(a) [% XOSDPX2−9]=[%X2H2O + %X3H2O + ... + %X9H2O
(b) [% (F)AXOSDPX1−9]=[(AHCl − AH20 + 150/194xbFA)x0.88 + (%XHCl + %X2HCl + %X3HCl + ... + %X9HCl) − (%XH2O + %X2H2O + %X3H2O + ... + %X9H2O) + (0.907xbFA)]
上記の式において、H0およびHClを下付きで示す化合物の略記は、それぞれ、4.Bおよび4.Cで説明したように決定される、水で処理した試料およびHClで処理した試料中の、対応する化合物の乾燥物の試料の濃度(単位は%(w/w))を指している。係数「0.88」は、アラビノースの加水分解性の遊離の間に水が取り込まれることに対して補正を施している。bFAは、結合型フェルラ酸の含有量である(フェルラ酸総量から遊離型フェルラ酸を減ずることによって決定され、乾燥物の試料の%w/wで表される)。また、bFAx150/194は、フェルロイル化アラビノースの含有量(結合型フェルラ酸に等モルで結合したアラビノース)を指す。係数「0.907」は、フェルラ酸のアルカリ加水分解性の遊離の間に水が取り込まれることに対して補正を施している。これらの式では、(i)HClで処理した試料と水で処理した試料とを比較したときのX、X2、X3...、X9の濃度の違いは、アラビノースが酸に媒介されて(F)AXOSDPX1−9から遊離することが原因となって生じるということと、(ii)HClで処理した試料中では、β−(1−4)−D−キシロピラノシル結合の加水分解が一切起こらないということと、(iii)試料中のすべてのヒドロキシ桂皮酸は、フェルラ酸の形態で存在しているということと、(iv)すべての結合型フェルラ酸は、アラビノキシロオリゴ糖のアラビノース側鎖に結合しているということとを仮定している。
【0112】
XOSDPX2−9の含有量および(F)AXOSDPX1−9の含有量に関して、複数の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の特性が、本実施例(表7)に記載のHPAEC−PAD法を使って特定される。実施例1の調製物AXOS−5−0.26は、実施例1に記載した実験において腸の健康パラメータに対して望ましい効果についての最良の組み合わせを示すことがわかったが、この調製物は、XOSDPX2−9を33%(乾燥物を基準としたw/w)および(F)AXOSDPX1−9を38%(乾燥物を基準としたw/w)含有し、XOSDPX2−9/(F)AXOSDPX1−9の比は0.87である。AXOS−5−0.26におけるXOSDPX2−9/(F)AXOSDPX1−9の比は、調製物AXOS−12−0.26(0.12)の同比より大幅に高い。調製物18および調製物20におけるXOSDPX2−9/(F)AXOSDPX1−9の比(それぞれ0.92および1.09)は、AXOS−5−0.26の同比と同じ範囲内にある。また、調製物18および調製物20における、XOSDPX2−9の含有量および(F)AXOSDPX1−9の含有量は、それぞれ77%(乾燥物を基準としたw/w)および78%(表7)である。
【0113】
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〔表〕
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
【表5】

【0119】
【表6】

【0120】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】14日間摂取した後のラットの盲腸における、酢酸(A)、プロピオン酸塩(B)、酪酸(C)、およびイソ吉草酸およびイソ酪酸の合計(D)のレベルに対する、異なるオリゴ糖の効果を示す。
【図2】14日間摂取した後のラットの大腸における、酢酸(A)、プロピオン酸塩(B)、酪酸(C)、およびイソ吉草酸およびイソ酪酸の合計(D)のレベルに対する、異なるオリゴ糖の効果を示す。
【図3】14日間摂取した後のラットの盲腸における、アンモニウムのレベルに対する、異なるオリゴ糖の効果を示す。
【図4】14日間摂取した後のラットの盲腸における、細菌全体(A)およびビフィズス菌のレベルに対する、異なるオリゴ糖の効果を示す。
【図5】(A)XOSの調製物11(イオン交換処理を受けていない)と、それぞれイオン交換処理No.1、2、3、および4を受けた(A)XOSの調製物15、16、17、および18との、130℃で3時間の曝露の後における各0.5gずつの写真である。
【図6】(A)XOSを使わずに調製したクッキー、(A)XOSの調製物11(イオン交換処理を受けていない)を10%含有して調製したクッキー、および(A)XOSの調製物18(イオン交換処理No.4)を含有して調製したクッキーの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キシロオリゴ糖の分子およびアラビノキシロオリゴ糖の分子をともに含有する、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物であって、
該(アラビノ)キシランオリゴ糖が、該調製物の乾燥総重量の少なくとも50%(w/w)を占め、
該(アラビノ)キシランオリゴ糖は、平均重合度が4以上10以下であり、かつ平均アラビノース置換度が0.15以上0.35以下である、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項2】
上記調製物が、加熱処理をしても優れた味の安定性または色の安定性を有し、
該調製物の窒素含有量が、該調製物の乾燥総重量に対して0.16%(w/w)以下である、請求項1に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項3】
上記調製物のグルテン含有量が、該調製物の乾燥総重量に対して1000ppm未満である、請求項1または2に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項4】
上記調製物のフェルラ酸含有量が、(アラビノ)キシランオリゴ糖の総含有量の1%(w/w)以上10%(w/w)以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項5】
上記調製物の平均重合度が、4以上7以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項6】
上記調製物が、該調製物における(アラビノ)キシランオリゴ糖の総含有量に対して、30%(w/w)以上60%(w/w)以下の量のキシロオリゴ糖を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項7】
上記キシロオリゴ糖が、2以上9以下の任意の値の重合度を有するキシランの骨格を有する、請求項6に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項8】
上記調製物が、該調製物における(アラビノ)キシランオリゴ糖の総含有量に対して、40%(w/w)以上70%(w/w)以下の量のアラビノキシロオリゴ糖を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項9】
上記アラビノキシロオリゴ糖が、1以上9以下の任意の値の重合度を有するキシランの骨格を有する、請求項8に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項10】
1〜9の重合度を有するキシランの骨格を有するアラビノキシロオリゴ糖の含有量に対する、2〜9の重合度を有するキシランの骨格を有するキシロオリゴ糖の含有量の比が、0.6以上1.5以下である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項11】
上記調製物に含有される(アラビノ)キシランオリゴ糖の90%(w/w)を超える成分が、2以上9以下の任意の値の重合度を有するキシランの骨格を有するキシロオリゴ糖または1以上9以下の任意の値の重合度を有するアラビノキシロオリゴ糖のいずれかである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項12】
上記調製物が、25%(w/w)以上75%(w/w)以下の乾燥物含有量を有するシロップである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項13】
上記調製物が、90%(w/w)以上99.9%(w/w)以下の乾燥物含有量を有する粉末である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項14】
上記調製物のΔEの値は15未満であり、
該ΔEの値は、乾燥器内で130℃で3時間加熱処理を行う前後の、上記粉末の色の違いを表わす、請求項13に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項15】
上記調製物が、アラビノキシランを含有する植物性素材に由来する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項16】
上記アラビノキシランを含有する植物性素材が、穀類または穀類に由来する素材である、請求項15に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項17】
上記穀類に由来する素材が糠である、請求項16に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を製造する方法であって、
上記方法は、アラビノキシランを含有する植物性素材を水中ですりつぶし、これを、適度な濃度のエンドキシラナーゼで処理することによって、該植物性素材に含有される上記アラビノキシランの一部を酵素的に脱重合する工程を含み、
上記方法は、すりつぶした上記植物性素材を、水不溶性成分と、可溶化されたキシロオリゴ糖およびアラビノキシロオリゴ糖を含有する水可溶化成分とに分離し、つづいて、該水可溶化成分を、まず強酸陽イオン交換樹脂を用い、つぎに弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いて、イオン交換クロマトグラフィー法によって精製する工程をさらに含む、方法。
【請求項19】
上記可溶化成分を、上記強酸陽イオン交換樹脂を用いて、30℃以上90℃以下の温度で処理する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記可溶化成分を、上記弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いて、20℃以上70℃以下の温度で処理する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
上記可溶化成分を、上記強酸陽イオン交換樹脂を用いて、2以上3.5以下のpHで処理する、請求項18〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を製造するための、請求項18〜21のいずれか一項に記載の方法の使用であって、
該(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の窒素含有量が、0.16%(w/w)以下である、使用。
【請求項23】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を製造するための、請求項18〜21のいずれか一項に記載の方法の使用であって、
該(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物のグルテン含有量が、1000ppm未満である、使用。
【請求項24】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物を製造するための、請求項18〜21のいずれか一項に記載の方法の使用であって、
該(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物のフェルラ酸含有量が、該(アラビノ)キシランオリゴ糖の総含有量の1%(w/w)以上10%(w/w)以下である、使用。
【請求項25】
食料製品または飲料製品の製造における原料としての、請求項1〜17のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の使用であって、
上記食料製品または飲料製品は、4以上10以下の平均重合度および0.15以上0.35以下の平均アラビノース置換度を有する(アラビノ)キシランオリゴ糖を、該製品の一人分の給仕量当たり0.25g以上10g以下の分量で含有する、(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の使用。
【請求項26】
穀類を含有する食料製品または飲料製品の製造における、請求項25に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の使用であって、
上記食料製品または飲料製品は、4以上10以下の平均重合度および0.15以上0.35以下の平均アラビノース置換度を有する(アラビノ)キシランオリゴ糖の集合体に次いで、200以上のDPを有するアラビノキシラン分子の集合体を包含する、使用。
【請求項27】
栄養補助食品を製造するための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の(アラビノ)キシランオリゴ糖の調製物の使用であって、
上記栄養補助食品は、4以上10以下の平均重合度および0.15以上0.35以下の平均アラビノース置換度を有する(アラビノ)キシランオリゴ糖を含有する、使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−515419(P2011−515419A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501065(P2011−501065)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【国際出願番号】PCT/BE2009/000020
【国際公開番号】WO2009/117790
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(510108249)フゲイア ナムローゼ フェンノートシャップ (2)
【氏名又は名称原語表記】FUGEIA NV
【住所又は居所原語表記】Gaston Geenslaan 1,B−3001 Heverlee,Belgium
【Fターム(参考)】