説明

(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の製造方法及びポリマー合成用モノマーとしての使用

本発明は、式(I)(式中、R1は水素又はメチルを表し、各R2は独立して1から4個の炭素原子を含むアルキルを表し、各R3は独立してアルキル又はアラルキルを表し、各X-は独立してアニオンを表す)に一致する、高純度の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の製造、及びそれをカチオン性凝集剤として有用なポリマーを合成するためのモノマーとして用いることに関係する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度な(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の選択的製造及びカチオン凝集剤として有用なポリマー合成用モノマーとしての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリレートアンモニウム塩及びカチオン凝集剤として有用なポリマー合成用モノマーとしての使用は、WO01/55088、WO01/55089、WO01/55225及びUS2002/0035198に記載されている。これらの公報では、(メタ)アクリレートアンモニウム塩は、クロロホルムのような有機溶媒中で相当するジアミン(メタ)アクリレートと2当量未満のアルキル又はベンジルハライドを反応させ、かつ水を添加して、生成した(メタ)アクリレートアンモニウム塩を除去することにより合成する。EP1,253,137は、有機溶媒にアクリレートアンモニウム塩を用いる合成法を述べている。更に、反応終期近くで、水を添加して生成した塩を除去する。これらの方法は、(メタ)アクリレートジアンモニウム塩及び(メタ)アクリレートモノアンモニウム塩の混合物の水溶液を生成する。これらの方法は、(メタ)アクリレートジアンモニウム塩を高純度で分離できない。また、得られた混合物を精製することは、ほとんど不可能である。モノマーとしてポリマー合成に使用したならば、これらのポリマーは、モノアンモニウム塩から誘導された著しい量の単位を必然的に含有するであろう。二倍に荷電したモノマーをポリマーに効果的に組み込むためには、(メタ)アクリレートジアンモニウム塩を選択的に入手する必要がある。凝集作用のための高分子量のポリマー及びコポリマー製造用出発材料として用いるためには、ジアンモニウム塩がきわめて純粋でなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記の問題を克服する、(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の選択的製造方法、及びこれらの(メタ)アクリレートジアンモニウム塩から誘導された単位を含有するポリマーの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
それ故、本発明は、式(I)


(式中、R1は水素又はメチルを表し、各R2は独立して1から4個の炭素原子を含むアルキルを表し、各R3は独立してアルキル又はアラルキルを表し、各X-は独立してアニオンを表す)で表される(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の製造方法であって、
(a)式(II)


で表されるジアミノ(メタ)アクリレートと、好ましくは2当量を超える式R3Xで表される少なくとも1種のアルキル又はアラルキル化合物を、多くて5,000ppmの水を含有する有機溶媒中で反応させるステップであって、式(I)のジアンモニウム塩が、25℃で溶媒100g当たり1g未満の溶解度を有し、かつ式(V)


で表される相当するアミノ(メタ)アクリレートアンモニウム塩の溶解度が、25℃で溶媒100g当たり少なくとも20gであるステップ、と
(b)式(I)の化合物を水に溶解させることなく反応混合物から分離するステップであって、この式(I)の化合物が、式(I)の化合物、及びこの化合物のモル当たり0.1モル未満の、好ましくは0.05モル未満の、より好ましくは0.01モル未満の式(V)の化合物を含有する固体生成物の形態で反応混合物から分離されるステップを含む方法に関するものである。
【0005】
式(I)で表される少なくとも1種の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩から誘導された単位を含むポリマーの製造方法は、ポリマーを得るために、固体生成物に含有された式(I)の化合物を少なくとも重合させる更なるステップ(c)を含んでいる。ポリマーを製造するためのモノマー組成物に式(V)の化合物を添加しない場合、このポリマーは、式(I)の少なくとも1種の化合物から誘導されたn単位当たり、0.1*n未満の単位、好ましくは0.05*n未満の単位、より好ましくは0.01*n未満の単位の、式(V)の少なくとも1種の化合物から誘導された単位を含有する。
【0006】
両生成物が塩であり、両塩が溶媒中の混合物か又は沈殿物として得られることが予測されるという事があるにも拘らず、有機溶媒を適切に選択することにより、(メタ)アクリレートモノアンモニウム塩から(メタ)アクリレートジアンモニウム塩を選択的に分離できることが判った。水を添加することなく、反応混合物からジアンモニウム塩を分離するので、これに2当量を超える式R3Xの化合物を添加して、一定の反応時間で、高収率及び/又は高純度のジアンモニウム塩を達成できる。実際に、水及び2当量を超える式R3Xの化合物を添加すると、水中に酸が発生して、これが(メタ)アクリレートエステルの加水分解を起こすであろう。
【0007】
本発明者等は、本発明に記載の方法により得られる(メタ)アクリレートジアンモニウム塩が、10重量%を超える量で1種又はそれ以上の他のモノマーと容易に共重合できることを見出した。荷電密度が向上したポリマーを得るために、好ましくは、本発明に従う方法のステップ(c)は、この固体生成物に含有された、12から99重量%の、好ましくは20から99重量%の式(I)の化合物と、1から88重量%の、好ましくは1から80重量%の少なくとも1種の別のモノマーを共重合することを含む。
【0008】
本明細書で用いる用語「アルキル」は、直鎖、分枝又は環状の成分を含む飽和の一価炭化水素基、又はそれらの組み合わせを含むと定義される。本明細書で用いる用語「アラルキル」は、式−(CH2n−アリールで表される基(式中、nは1から4の整数であり、かつアリールは6から24個の環状炭素原子をもつ任意の芳香族炭化水素を意味し、単環式又はアニールされていてもよい)と定義される。本明細書で用いる用語「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「(メタ)アクリレート」を意味する。
【0009】
本発明の方法で、ステップ(a)に用いる有機溶媒は、好ましくは多くて1,000ppmの水を含有する。用いる有機溶媒は、好ましくは、式(I)のジアンモニウム塩の溶解度が25℃で溶媒100g当たり0.5g未満である溶媒である。
【0010】
本発明の方法で、ステップ(a)に用いる有機溶媒は、通常非プロトン性双極溶媒であり、好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、エチルアセテート、ニトロメタン、アセトニトリル、又はそれらの混合物である。アセトニトリルが特に好ましい。ステップ(a)の反応は、好ましくは、溶媒に添加される式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートのモル当たり、500と5,000gの間の量の溶媒中で行われる。
【0011】
本発明の方法で、ステップ(a)は、好ましくは、40から100℃の範囲の、最も好ましくは70から90℃の範囲の温度で行われる。この方法は、好ましくは、密閉反応装置中で、自然発生的圧力で行われる。
【0012】
本発明の方法で、ステップ(a)は、式R3Xのアルキル又はアラルキル化合物と式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートのモル比が2を超える、最も好ましくは少なくとも2.1の比率で好都合に行われる。好ましくは、このモル比は、4.5を超えることがなく、最も好ましくは3を超えない。
【0013】
ステップ(a)の時間は、通常1から100時間、好ましくは10から30時間である。
【0014】
本発明の方法のステップ(b)で、式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩を含有する固体生成物の分離は、機械的分離に適した任意の手段で行うことができる。それは、反応混合物のろ過又は遠心分離により好都合に実施される。
【0015】
本発明の方法の実施形態では、ステップ(a)で用いた式R3Xの過剰のアルキル又はアラルキル誘導体は、ステップ(b)の分離を行う前に、例えばストリッピングにより反応混合物から取り除かれる。
【0016】
本発明の方法は、バッチとして又は連続的に行うことができる。後者の場合、ステップ(a)で形成された式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩を含有する固体生成物は、例えばろ過、傾斜又はそれに適した任意の他の手段により連続して反応混合物から分離することができ、その後、この反応混合物はリサイクルされ、次の反応ステップ(a)で溶媒として用いることができる。
【0017】
この方法の別の好ましい実施形態によれば、ステップ(b)後に得られた反応混合物がリサイクルされる。この実施形態では、ステップ(a)の後に得られた反応混合物がステップ(b)でろ過され、既に生成した式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩を含有する固体生成物を分離し、かつろ液を次のステップ(a)にリサイクルして反応を続けることが特に好ましい。このリサイクル操作は数回繰り返すことができる。ろ液のリサイクルは、式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の収率及び純度を一層向上することができる。
【0018】
本発明の方法の変形では、両実施形態が組み合わされる。
【0019】
本発明の方法のステップ(a)で用いられる式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートは、適切な任意の方法により得ることができる。これは、好ましくは、式(III)


(式中、R2は、独立して1から4個の炭素原子を含むアルキルを表す)で表される1,3−ジアミノ−2−プロパノールと、式(IV)


(式中、R4は1から4個の炭素原子を含むアルキルを表す)で表される(メタ)アクリレートを、リチウム系触媒の存在下でエステル交換して得られる。リチウム酸系触媒を用いて行ったエステル交換が、高純度のジアミノ(メタ)アクリレートを高収率で得ることを可能にすることが判った。式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートの合成は、既に、US3,586,711、FR1,568,382、FR1,529,000、Zh.Org.Khim.1969年、5(11)、1,947〜1,952頁、US2002/183,543(=EP1,254,891)に記載されている。これらの特許公報に従って製造される式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートは、本発明の方法において、(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の製造のために用いることができる。しかし、これらの文献に記載された方法は、比較的中程度の収率を与えることが判った。更に、これらの方法を実施するために必要な反応温度が高く、それ故にしばしばコントロール不能な副反応及び重合が起きた。驚いたことに、リチウム系触媒がこれらの問題を克服できることが判った。
【0020】
それ故、本発明は、式(III)


(式中、各R2は、独立して1から4個の炭素原子を含むアルキルを表す)で表される1,3−ジアミノ−2−プロパノールと、式(IV)


(式中、R4は1から4個の炭素原子を含むアルキルを表す)で表される(メタ)アクリレートを、リチウム系触媒の存在下でエステル交換することによる、式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートの製造方法に関係する。
【0021】
この式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートの製造方法において、好ましくは、リチウム系触媒は、酸化リチウム(Li2O)、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(Li2CO3)、メトキシリチウム(LiOCH3)、tert−ブトキシリチウム(LiOtBu)などのリチウムアルコキシド、式(III)に相当する1,3−ジアルキルアミノ−2−プロパノールのリチウム塩、クエン酸リチウム、塩化リチウム(LiCl)、ステアリン酸リチウム(LiC18352)、LiClO4、Li2SO4、LiOAc、LiOOCPh及び/又は臭化リチウム(LiBr)及びそれらの混合物から選択される。特に、酸化リチウム、水酸化リチウム及びリチウムアルコキシド、特にリチウムメトキシドが好ましく、及びそれらの混合物が好ましい。
【0022】
このエステル交換法では、リチウム系触媒は、通常、式(III)の1,3−ジアミノ−2−プロパノールのモル当たり、Liとして1から20、好ましくは4から10当量の量で用いられる。
【0023】
このエステル交換法では、好ましくは、温度は120℃を超えることなく、より好ましくは、温度は110℃より低い。このエステル交換は、少なくとも80℃の温度で都合よく行われる。
【0024】
通常、このエステル交換法は、所望する反応温度に相応しい圧力で行われる。
【0025】
このエステル交換法は、好ましくは、500から3,000ppm(反応混合物の総量を基準にして)の少なくとも1種の安定剤、好ましくはキノン、ヒドロキノン、フェノチアジン、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどのラジカル抑制剤から選択された安定剤の存在下で行われる。好ましい安定剤は、ヒドロキノンのメチルエーテル、フェノチアジン、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、及びそれらの混合物である。
【0026】
このエステル交換法は、通常、式(IV)の(メタ)アクリレートと式(III)の1,3−ジアミノ−2−プロパノールのモル比を1から10、好ましくは3から6のモル比で行われる。
【0027】
このエステル交換法は、副生物の形成が一層減少するように、好ましくは、式(III)の1,3−ジアミンを、触媒及び式(IV)の(メタ)アクリレートを含有する反応混合物に徐々に導入することにより行われる。
【0028】
式中、R4がメチル又はエチル、特にメチルである、式(IV)の(メタ)アクリレートが好ましい。
【0029】
エステル交換反応後に、得られた式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートは、好ましくは反応混合物から蒸留によって分離され、より好ましくは真空下で行われ、かつ最も好ましくは例えばろ過及び/又はシリカ吸着によってリチウム系触媒を除去した後に行われる。
【0030】
式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートは、好ましくは、先に本明細書に述べたように、500ppm未満の1種以上の安定剤を添加することにより安定化される。
【0031】
本発明の方法では、R1がメチルである、式(I)、式(II)及び式(IV)の化合物が特に好ましい。
【0032】
本発明の方法では、R2がメチルである、式(I)、式(II)及び式(III)の化合物が特に好ましい。
【0033】
本発明の方法では、各R3が、独立して1から4個の炭素原子を含むアルキル又はベンジルである、式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩が好ましい。各R3が独立してメチル又はベンジルである化合物、特にメチルである化合物が最も好ましい。両R3が同一である、式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩が好ましい。
【0034】
本発明の方法では、各Xが、独立してハライド、特にクロライド及びブロマイド、及びメチルスルホネートから選択されたアニオンである、式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩が好ましい。特にクロライドが好ましい。
【0035】
本発明の方法は、高収率で所望する式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の達成を可能にする。少なくとも90%、さらには99%の収率の達成が可能になり、純度99+の式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩を得ることができる。ほとんど副生物は形成されない。最終生成物において、生成物の次の重合を妨害する恐れがあるアルキルハロゲナイド、アルコール及び酸などの不純物量は極めて低い。最終生成物中で、式(V)のアミノ(メタ)アクリレートアンモニウム塩の量は、きわめて低く(式(I)のジアンモニウム塩の量を基準にして)、通常10モル%未満、好ましくは5モル%未満、さらには1モル%未満である。さらに、本方法は、純粋な固体形状の生成物を得ることを可能にする。この形状で、この生成物は、高い安定性を示し、分解することなく長期間保存可能である。固体生成物を分離後、予定する用途に対する要求に従って、水溶液形成及び他のモノマーとの配合を行うことができる。
【0036】
それ故、本発明は、本発明に従う(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の製造方法により得られ、かつ式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩及びこの塩のモル当たり、0.1モル未満、好ましくは0.05モル未満、より好ましくは0.01モル未満の相当する式(V)のアミノ(メタ)アクリレートアンモニウム塩を含有する固体生成物に関係する。
【0037】
ポリマーの製造のために用いる場合には、得られたポリマーの性質をコントロール可能とするようにできる限り純粋な生成物を使用すること、及び重合を妨害する恐れがある不純物の存在を避けることが好ましい。本発明の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩を含有する固体生成物がこれらの要求を満足させることが判った。それ故、本発明は、10モル%未満(好ましくは5モル%未満、より好ましくは1モル%未満)の式(V)のアミノ(メタ)アクリレートアンモニウム塩から誘導された単位を含むポリマーを製造するために、本発明の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩を含有する固体生成物を使用すること、及びそれにより得ることができるポリマーに関係する。
【0038】
また、本発明は、本発明に従うポリマーの製造方法により得られるポリマーに関係する。これらのポリマーは、ポリマーが、式(I)の少なくとも1種の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩から誘導された単位、及びこのジアンモニウム塩から誘導されたn単位当たり、0.1*n未満の、好ましくは0.05*n未満の、より好ましくは0.01*n未満の、式(V)の少なくとも1種のアミノ(メタ)アクリレートアンモニウム塩から誘導された単位を含有する事実、及び/又はポリマーが12から99重量%の、好ましくは20から99重量%の式(I)の少なくとも1種の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩から誘導された単位、及び1から88重量%の、好ましくは1から80重量%の少なくとも1種の別のモノマーから誘導された単位を含有する事実により特徴づけられる。
【0039】
本発明のポリマーの製造方法では、好ましくは、重合ステップ(c)は、反応混合物から分離された固体生成物に含有された式(I)で表される1から99モル部の、好ましくは2から70モル部の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩と、式(VI)


(R5は水素又はメチル、R6及びR7は、独立して水素、1から6個の炭素原子を含有し、任意選択で1個又はそれ以上の水酸基又はアルコキシ基で置換されたアルキルである)で表される1から99モル部の、好ましくは30から98モル部の少なくとも1種のアクリルアミドモノマーを共重合させるステップを含む。
【0040】
式(VI)のアクリルアミドモノマーは、好ましくはアクリルアミドである。
【0041】
本発明のポリマーの製造方法において、使用は、
(c)0から60モル部の少なくとも1種の水溶性モノマーであって、pHを変更することにより潜在的にアニオン性であり、好ましくはエチレン性不飽和カルボン酸及びそれらの塩、及びエチレン性不飽和スルホン化モノマー及びそれらの塩(アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそれらの塩など)から選択される水溶性モノマー、
(d)式(VII)


(式中、R8は水素又はメチルであり、Aは−O−又は−NH−であり、Bは−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−、又は−CH2−CHOH−CH2−であり、R9及びR10は独立して1から16個の炭素原子を含むアルキルであり、R11は水素又は1から16個の炭素原子を含むアルキルであり、かつYは1価アニオン((メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム及び(メタ)アクリロイル−オキシエチルトリメチルアンモニウムハライドなど)である)で表される0から90モル部の少なくとも1種のカチオン性水溶性モノマー、
(e)0から10モル部の少なくとも1種の疎水性モノマーであって、好ましくはアルキル(メタ)アクリレート及びビニル芳香族モノマー(エチルアクリレート、ブチルアクリレート、スチレンなど)から選択されるモノマー、及び/又は
(f)(a)(b)(c)及び(d)以外の、0から30モル部の少なくとも1種の水溶性モノマーであって、好ましくは、ポリエトキシル化(メタ)アクリレート、疎水性単位又はアリール単位を含有するポリエトキシル化(メタ)アクリレート、及びN−ビニルピロリドンから選択されたモノマーから更に製造されてもよい。
【0042】
本発明の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩含有固体生成物に基づいて、例えば、溶液重合又は分散媒中での重合(乳化及び懸濁)により、高分子量のポリマー及びコポリマーを得ることができる。このようなポリマーの製造に適した手段は、逆乳化及び懸濁重合法である。逆マクロ乳化重合により、異なる電荷を有する高分子量カチオン性アクリルアミド系コポリマー及びターポリマーを得ることができる。本発明の方法により得られた(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の重合速度がきわめて高かったこと、及び重合の3時間後に、残留カチオン性モノマーが存在しなかったことが判明した。アクリレートは、メタクリレートに比較して一層反応性であった。この重合は、良好な温度管理で円滑に進行した。得られたポリマーは、高い分子量、通常少なくとも7,000,000g/モル(25℃、0.5モル/LのNaClで固有粘度測定に基づいて)である。得られた乳化液は高率の活性物質(40重量%)を有し、かつ凝集塊を含まなかった。90%を超えるカチオン性モノマーがポリマー中に取り込まれる可能性があることが判った。
【0043】
それ故、本発明のポリマーは、種々の目的にきわめて有用であり、一般的に水性の固体−液体分離が必要になるものであれば何に対しても、きわめて有用であった。これらのポリマーは、イオン交換樹脂、コーティング、個人医療製品、化粧品、繊維柔軟剤、殺虫剤、凝集剤、染料固着剤、油田化学薬品、分散剤及び表面活性剤に使用できる。また、これらのポリマーは、製紙で微粒子保持剤、都市及び産業廃水、鉱業所、砕石所及び掘さく泥水、石油の補助回収、及び飲料水処理における凝集剤、乳化重合用及び医薬品における安定剤として使用できる。
【0044】
本発明のポリマーは、凝集剤として、特に産業及び都市廃水処理のための凝集剤として用いた時に、良好な結果を示す。また、本発明は、本発明のポリマーを凝集剤として使用することに関係する。
【0045】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。下記の省略語を用いる。
AM:アクリル酸メチルエステル
MAM:メタアクリル酸メチルエステル
MeOH:メタノール
MeCl:メチルクロライド
BzCl:ベンジルクロライド
BDMAP:1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール
BDMAPA:1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロピルアクリレート
BDMAPMA:1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロピルメタアクリレート
BDMAPA.2MeCl:1,3−ビス(トリメチルアンモニウム)−2−プロピルアクリレートクロライド
BDMAPMA.2MeCl:1,3−ビス(トリメチルアンモニウム)−2−プロピルメタアクリレートクロライド
BDMAPA.MeCl:1−(ジメチルアミノ)−3−(トリメチルアンモニウム)−2−プロピルアクリレートクロライド
BDMAPMA.MeCl:1−(ジメチルアミノ)−3−(トリメチルアンモニウム)−2−プロピルメタアクリレートクロライド
BDMAPA.2BzCl:1,3−ビス(ベンジルジメチルアンモニウム)−2−プロピルアクリレートクロライド
BDMAPMA.2BzCl:1,3−ビス(ベンジルジメチルアンモニウム)−2−プロピルメタアクリレートクロライド
BDMAPA.BzCl:1−(ジメチルアミノ)−3−(ベンジルジメチルアンモニウム)−2−プロピルアクリレートクロライド
BDMAPMA.BzCl:1−(ジメチルアミノ)−3−(ベンジルジメチルアンモニウム)−2−プロピルメタアクリレートクロライド
MEHQ:ヒドロキノンのメチルエーテル
PTZ:フェノチアジン
TNPP:トリス(ノニルフェニル)ホスファイト
DPPD:N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
DBTO:ジブチル酸化スズ
【実施例】
【0046】
(実施例1:1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロピルメタアクリレートの合成及び精製)
エステル交換反応は、攪拌機、温度プローブ、空気拡散器、及び7構造(7 structured)の金網充填材(Sulzer type DX)で満たされた断熱カラムを装備した3Lのジャケット付ガラス反応容器(Sovirel)内で行われる。蒸留速度は、カラム頂部の、水冷コンデンサーにより温度管理された還流装置により制御される。反応容器は、1950gのMAM(19.5モル)、1.4gのMEHQ、1.4gのPTZ、及び1.4gのTNPPで満たされる。この混合物は、大気圧で加熱され、還流され(96℃)、かつ微量の水を含有する95gのMAMが蒸留除去される。4.5gの乾燥Li2O(0.15モル)が加えられる。反応容器は、反応混合物に比べて、25℃高い温度でオイルを用いて加熱され、かつ空気が、3L/時間の量で焼結金属拡散器を通して散布される。100分の時間をかけて、447gのBDMAP(3.06モル)が導入される。エステル交換により生成したメタノールが、78〜94℃、還流比5/1〜15/1で蒸留除去される。全量で755gのMeOH/MAMが回収され、97gのMeOH(3.03モル)を含有する。反応は約6時間行う。終わりに、反応容器の内部温度が、108〜110℃に達する。過剰なMAMの一部が蒸留され、最後の微量のMeOHを除去する。冷却された反応混合物は、薄層シリカ(メルクシリカゲル60)で被覆したブフナーフィルター上を通過させられ、触媒を除去する。この段階で、BDMAPの転化率は98%であり、BDMAPMAの収率は95%である(GCで測定)。MAMが、真空度を20から2kPaに上げて、65℃の最高ボイラー温度で蒸留除去される。得られた反応混合物(663g)は、0.5kPaで、16構造のSS充填材(Sulzer DX)を含有するカラムを設けた分留装置内で精製される。31gのトップ留分が、60〜91.5℃(還流比10/1)で得られ、リサイクルされるBDMAP及びBDMAPMAを含有する。中間留分の518gのBDMAPMA(2.4モル)(>99.5%の純度)が、91.5℃(還流比1/1)で蒸留される。底部温度は105℃から110℃まで上昇する。回収された生成物は、500ppmのMEHQで安定化される。蒸留残渣(102g)は、なお、約60%のBDMAPMAを含有する。
【0047】
(実施例2〜6及び比較例7〜14)
実施例1で説明したエステル交換が、別の条件で、かつ一連の別の触媒を用いて反復された。結果が表1に示される。
【0048】
【表1】


*モードC=BDMAPを連続添加、モードB=BDMAPをバッチ方式で添加、nd=測定されない)
【0049】
リチウム含有触媒だけが、良好なエステル交換触媒であることを証明する。ナトリウムメチラート、アルキルチタネート、又はスズ触媒を115℃未満の温度で用いた場合、反応は観察されないか、ほとんど観察されなかった。禁止剤を添加したにもかかわらず、より高い温度で重合が起きた。
【0050】
(実施例15:1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロピルアクリレートの合成及び精製)
実施例1と同様な装置に、2,000g(20モル)のエチルアクリレート、1.4gのMEHQ、1.4gのPTZ、及び1.4gのTNPPが導入され、3L/時間の空気散布が行われる。80℃/75kPaで120gのエチルアクリレートを蒸留することにより微量の水が除去される。4.5gの乾燥Li2O(0.15モル)が加えられる。2時間かけて、447gのBDMAP(3.06モル)が導入される。生成したエタノール(〜3モル)が、蒸留カラムのトップで、66〜80℃の温度、75kPaでエチルアクリレートの一部とともに蒸留除去され、ボイラー内の最高温度は102℃に達する。11時間後、混合物が冷却され、シリカ上でろ過される。この段階で、BDMAPの転化率は93%であり、BDMAPAの収率は87%に達する(GCで測定)。1.5gのDPPDが添加され、低減された圧力(20から2kPa)下でエチルアクリレートが蒸留除去される。530gのBDMAPAを含有する750gの反応混合物が、実施例1に記載と同様な分留装置で、0.4kPaで蒸留される。426.5g(2.13モル)、>99%の純度のBDMAPA(GC)が、0.4kPa、80℃で中間留分として得られる。
【0051】
(実施例16〜17及び比較例18〜21)
実施例15で説明したエステル交換が、別の条件で、かつ一連の別の触媒を用いて反復された。結果が表2に示される。
【0052】
【表2】


*モードC=BDMAPを連続添加、モードB=BDMAPをバッチ方式で添加、nd=測定されない)
【0053】
(実施例22〜23:圧力下で1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロピルアクリレートの合成)
100℃を超える反応温度を得るために、エチルアクリレートを用いて実施例15に記載したように、BDMAPによるAMのエステル交換が、圧力下で反復された。その結果が表3に示される。実施例1に説明した装置が、これらの試行のために316SSに構築された。BDMAPが、計量ポンプで添加された。
【0054】
【表3】


*モードC=BDMAPを連続添加、モードB=BDMAPをバッチ方式で添加)
【0055】
(実施例24〜28:BDMAPMAとメチルクロライドの反応)
四級化反応24〜28が、攪拌機、プランジャー、温度及び圧力プローブを設け、かつ底部バルブを設けた、ジャケット付の2Lのガラス製オートクレーブ(Buchi AG)内で行われた。実施例28において、115g(2.27モル)のメチルクロライドが、800gのアセトニトリル中の193g(0.9モル)のBDMAPMAに1時間にわたって添加される。この混合物が82℃に加熱され、圧力が2バールに上昇する。白色の固体が沈殿し始める。80〜82℃で23時間後、混合物が室温に冷却され、過剰のMeClが窒素とともに除去され、固体が圧力フィルター上でろ過される。空気で乾燥及び減圧下(10kPa)4時間後、285gのBDMAPMA.2MeClが得られる(表4を参照)。このBDMAPMA.2MeClから、水溶液が50重量%に近づけられる。これらの溶液は、100ppm未満のアセトニトリルを含有する(GCヘッドスペース分析)。表4に特定した反応条件が用いられることを除いて、実施例24〜27が同様な手段に従って実施される。
【0056】
【表4】

【0057】
(実施例29〜31:BDMAPMAとメチルクロライドの反応及びろ液のリサイクル)
四級化反応29〜31が、実施例28と同様の反応条件で、10Lの、SS Hoferオートクレーブ内で行われた。ろ液が下記反応に再利用される。
【0058】
【表5】

【0059】
(実施例32〜34:BDMAP(M)Aのベンジルクロライド又はメチルクロライドによる四級化)
実施例28の方法に従い、2Lの反応容器を用いて、ベンジルクロライド/BDMAPMA、メチルクロライド/BDMAPA、及びベンジルクロライド/BDMAPAの反応について、比較できる結果が得られた。その結果が表6に示される。
【0060】
【表6】

【0061】
(比較例35及び36)
実験35及び36として、特許WO01/55089に記載された方法に従って、四級化が実施された。生成した塩が水で抽出され、〜50%水溶液を作成した。
【0062】
【表7】

【0063】
水溶液中でMeCl又はBzClによる四級化を行う我々の試みにおいて、第二級アミン官能基の四級化のための長い反応時間(12〜24時間)が原因で、部分加水分解が観察された。溶液中では純粋なビス四級化生成物を得ることができず、かつ得られた混合物を精製することは、ほとんど不可能である。
【0064】
【表8】

【0065】
(実施例37:BDMAPMA.2MeClとアクリルアミドの逆乳化共重合)
この方法は、25%のBDMAPMA.2MeClを含有する40%活性剤を用い、1kgのコポリマー乳化液合成を代表するものである。
水性相の調製:182gの脱イオン水に溶解された300gのアクリルアミドに、200gのBDMAPMA.2MeClの50%水溶液、0.2gのEDTA、及び0.2gの臭素酸カリが添加された。30分間攪拌後、0.7gの乳酸、及び5gのアジピン酸が添加された(pH=3.5)。
油相の調製:機械式攪拌機を設けた2LのSSビーカー内で、240gのアイソパーM(イソパラフィン溶媒、ExxonMobil社)、18gのモンタン70(ソルビタンモノイソステアレート、Seppic社)、及び4.6gのアトラスG−1086(ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、Uniqema社)が混合された。
攪拌下で、水性相が迅速に油相に移された。この混合物は、ホモジナイザーを用いて8,000rpmで30秒間乳化された。
重合:得られた乳化液が、3翼軸流インペラーを設けた1Lの防爆形CEMCO反応容器に導入された。この乳化液は、窒素流(1.5L/分)で45分間連続的にパージされた。反応容器トップのセプタムを通して、40℃で、0.2gのアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)触媒を含むキシレン溶液0.5gが添加された。窒素流が1mL/分に制限された。反応が、40℃で2時間維持され、続いて3時間の時間スパンで48℃に上げられ、反応3時間後及び4時間後に0.12gの触媒が再導入された。5時間後、1.2gのナトリウムメタビサルファイトを含む3gの水が添加され、反応温度が1時間で55℃に上げられた。得られた乳化液は、アクリルアミドを含まず(100ppm未満)、凝集物を含有せず、かつ11dL/gの固有粘度(IV)である(表9参照)。
【0066】
(実施例38〜46)
アクリルアミド及びモノマーBDMAPMA.2MeCl又はBDMAPA.2MeClの量を変更して、実施例37と同様な方法が続いて実施され、40%活性剤を含有する乳化液を得た。結果が表9に示される。また、MAPTAC(ローム社)(メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)及びAOETAC(2−(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、三井化学社)をコモノマーとして用いることにより、同様な方法で、実施例45及び46で、ターポリマーが製造された。
【0067】
【表9】


(nd=測定されない)
【0068】
実施例37で得られたポリマーが、カオリン懸濁液(6.6g/L)を用い標準試験法で、凝集特性について試験され、市販のカチオン性ポリマーAlpinefloc(登録商標)E1+(50%カチオン性モノマー:AOETAC)と比較された。ろ液の濁り度が、ポリマー濃度の関数として測定された。pH7.02及びpH8で得られた結果が、それぞれ図1及び2で表される。これらの図において、実施例37のポリマーを用いて得られた結果が、◆で表示され、Alpinefloc(登録商標)E1+を用いて得られた結果が、■で表示される。これらの結果は、より多量のカチオン性モノマーを含有する市販ポリマーに比較して、実施例37のポリマーを用いてより優れた性能が、ポリマー濃度とろ液透明度に関して得られることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例で得られたポリマーの凝集特性を、市販のカチオン性ポリマーと比較して示す説明図である。
【図2】実施例で得られたポリマーの凝集特性を、市販のカチオン性ポリマーと比較して示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)


(式中、R1は水素又はメチルを表し、各R2は独立して1から4個の炭素原子を含むアルキルを表し、各R3は独立してアルキル又はアラルキルを表し、各X-は独立してアニオンを表す)で表される(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の製造方法であって、
(1)式(II)


で表されるジアミノ(メタ)アクリレートと、式R3Xで表される少なくとも1種のアルキル又はアラルキル誘導体を、多くて5,000ppm、好ましくは多くて1,000ppmの水を含有する有機溶媒中で反応させるステップであって、式(I)の化合物が、25℃で溶媒100g当たり1g未満の溶解度、好ましくは溶媒100g当たり0.5g未満の溶解度を有し、かつ式(V)


で表される相当するアミノ(メタ)アクリレートアンモニウム塩の溶解度が、25℃で溶媒100g当たり少なくとも20gであるステップ、と
(2)式(I)の化合物を水に溶解させることなく反応混合物から分離するステップであって、式(I)の化合物が、式(I)の化合物のモル当たり0.1モル未満の、好ましくは0.05モル未満の、より好ましくは0.01モル未満の式(V)の化合物を含有する固体生成物の形態で反応混合物から分離されるステップを含む方法。
【請求項2】
式(I)


(式中、R1は水素又はメチルを表し、各R2は独立して1から4個の炭素原子を含むアルキルを表し、各R3は独立してアルキル又はアラルキルを表し、各X-は独立してアニオンを表す)で表される少なくとも1種の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩から誘導された単位を含むポリマーの製造方法であって、
(1)式(II)


で表されるジアミノ(メタ)アクリレートと、式R3Xで表される少なくとも1種のアルキル又はアラルキル誘導体を、多くて5,000ppm、好ましくは多くて1,000ppmの水を含有する有機溶媒中で反応させるステップであって、式(I)の化合物が、25℃で溶媒100g当たり1g未満の溶解度、好ましくは溶媒100g当たり0.5g未満の溶解度を有し、かつ式(V)


で表される相当するアミノ(メタ)アクリレートアンモニウム塩の溶解度が、25℃で溶媒100g当たり少なくとも20gであるステップ、
(2)式(I)の化合物を水に溶解させることなく反応混合物から分離するステップであって、式(I)の化合物が、式(I)の化合物のモル当たり0.1モル未満の、好ましくは0.05モル未満の、より好ましくは0.01モル未満の式(V)の化合物を含有する固体生成物の形態で反応混合物から分離されるステップ、と
(3)前記ポリマーを得るために、前記固体生成物に含有された少なくとも式(I)の化合物を重合させるステップを含む方法。
【請求項3】
ステップ(3)が、前記固体生成物に含有された、少なくとも12重量%の、好ましくは少なくとも20重量%の、より好ましくは少なくとも25重量%の式(I)の化合物と、多くて88重量%の、好ましくは多くて80重量%の、より好ましくは多くて75重量%の少なくとも1種の別のモノマーとを共重合させるステップであって、式(I)の化合物を、好ましくは99重量%未満の量で、より好ましくは85重量%未満の量で、前記別のモノマーと共重合させるステップを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、乳化又は懸濁重合技術によりモノマー水溶液をラジカル共重合させることを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(3)が、前記固体生成物に含有された、1から99モル部の式(I)の化合物と、式(VI)


(R5は水素又はメチル、R6及びR7は、独立して水素又は1から6個の炭素原子を含有し、任意選択で1個又はそれ以上の水酸基又はアルコキシ基で置換されたアルキルである)で表される1から99モル部の少なくとも1種のアクリルアミドモノマーを共重合させることを含む請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
溶媒が、非プロトン性双極溶媒、具体的にはアセトン、メチルエチルケトン、エチルアセテート、ニトロメタン、アセトニトリル、又はそれらの混合物からなる群から選択された溶媒であり、この溶媒が好ましくはアセトニトリルである請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
反応混合物からの式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩の分離が、機械的分離法により、具体的にはろ過又は遠心分離により行われる請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(2)後に得られる反応混合物をリサイクルする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(1)で用いた式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートが、式(III)


(式中、R2は、独立して1から4個の炭素原子を含むアルキルを表す)で表される1,3−ジアミノ−2−プロパノールと、式(IV)


(式中、R1は水素又はメチルを表し、R4は1から4個の炭素原子を含むアルキルを表す)で表される(メタ)アクリレートを、リチウム触媒の存在下でエステル交換して製造される請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
XがClである請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートを、ステップ(1)で、2当量を超える、好ましくは2.1当量を超える式R3Xの前記アルキル又はアラルキル誘導体と反応させる請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(1)の反応が、式(II)のジアミノ(メタ)アクリレートのモル当たり、500から5,000gの量の溶媒中で行われる請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に従う時、式(I)の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩、及びこの塩のモル当たり0.1モル未満の、好ましくは0.05モル未満の、より好ましくは0.01モル未満の相当する式(V)のアミノ(メタ)アクリレートアンモニウム塩を含有する、請求項1に記載の方法又は請求項6から12のいずれか一項に記載の方法により得ることができる固体生成物。
【請求項14】
請求項2から4のいずれか一項に従う時、式(I)の少なくとも1種の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩から誘導された単位、及びこのジアンモニウム塩から誘導されたn単位当たり、0.1*n未満の、好ましくは0.05*n未満の、より好ましくは0.01*n未満の、式(V)の少なくとも1種のアミノ(メタ)アクリレートアンモニウム塩から誘導された単位を含有する、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法又は請求項6から12のいずれか一項に記載の方法により得ることができるポリマー。
【請求項15】
請求項3に従う時、少なくとも12重量%の、好ましくは少なくとも20重量%の、より好ましくは少なくとも25重量%の、式(I)の少なくとも1種の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩から誘導された単位、及び多くて88重量%の、好ましくは多くて80重量%の、より好ましくは多くて75重量%の少なくとも1種の別のモノマーから誘導された単位を含有する、請求項3に記載の方法により、又は請求項4から12のいずれか一項に記載の方法により得ることができるポリマーであって、好ましくは99重量%未満の、より好ましくは85重量%未満の、式(I)の少なくとも1種の(メタ)アクリレートジアンモニウム塩を含有するポリマー。
【請求項16】
凝集剤として請求項14又は15に記載のポリマーの使用。
【請求項17】
式(III)


(式中、各R2は、独立して1から4個の炭素原子を含むアルキルを表す)で表される1,3−ジアミノ−2−プロパノールと、式(IV)


(式中、R1は水素又はメチルを表し、R4は1から4個の炭素原子を含むアルキルを表す)で表される(メタ)アクリレートを、リチウム触媒の存在下でエステル交換して、式(II)


で表されるジアミノ(メタ)アクリレートを製造する方法。
【請求項18】
リチウム触媒が、Li2O、LiOCH3、LiOH及びそれらの混合物から選択される請求項9又は17に記載の方法。
【請求項19】
エステル交換が、120℃を超えない温度で、好ましくは110℃を超えない温度で行われ、かつこのエステル交換が、好ましくは少なくとも80℃の温度で行われる請求項9、17又は18に記載の方法。
【請求項20】
1がメチルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の、又は請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
2がメチルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の、又は請求項17から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
3がメチルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の、又は請求項17から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
3がベンジルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の、又は請求項17から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
4がメチルである、請求項9から12のいずれか一項に記載の、又は請求項17から23のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−504264(P2007−504264A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525822(P2006−525822)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052056
【国際公開番号】WO2005/023754
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(506074691)タミンコ エヌ.ブイ. (1)
【Fターム(参考)】