説明

(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤および(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を含む製品

ポリアミン、マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル、ならびに(メタ)アクリレートの反応生成物を含む(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤と、同時にその(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を製造する方法が開示されている。そのアクリレート/アスパルテートアミン硬化剤とイソシアネートとの反応生成物を含むポリ尿素も開示されており、同時にそのようなポリ尿素を含むコーティングおよびそのコーティングを被覆した基材が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、a)ポリアミン、b)マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル、ならびにc)(メタ)アクリレートの反応生成物を含む(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を対象とする。本発明は、さらに、この(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤とイソシアネートとの反応により形成されるポリ尿素を対象とする。本発明は、さらに、少なくとも一部が上記コーティングにより被覆されている基材を対象とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ポリ尿素を含むコーティング組成物は、多種多様の産業、例えば、自動車、船艇、航空機、工業製品、建造物、軍需、スポーツ用品を含めたレクリエーション装置などで使用される。これらの産業においては、被覆される基材または品物に望ましい特性を与えるコーティング組成物を開発するために相当な努力が払われてきた。例えば、コーティングは、腐食、磨耗、衝撃、化学薬品、紫外線、火炎、熱および/またはその他の環境暴露による被害から保護するために使用される。これらのいずれかの機能特性に加えて、コーティングはまた装飾目的のためにも使用することができる。
【0003】
ポリ尿素は、一般に、アミン類とイソシアネート類とを反応させることによって形成される。ポリアミン類等のアミン類を架橋剤または「硬化剤」として使用することは周知である。例えば、アミン類は、イソシアネート類と架橋して尿素化合物を形成することが知られている。アミン類は、また、活性不飽和基、エポキシ基、芳香族活性アルデヒド基、環状炭酸エステル基、ならびに酸および酸無水物およびエステル基と反応することが知られており、それ故それらと共に使用される。第一級アミノ基を有するポリアミン架橋剤は、周囲温度または低温条件下(すなわち、100℃未満)でこれらの官能基のいくつかと極めて反応性を有することができる。この高い反応性は、高圧のインピンジメントスプレーなどにおける塗装において短すぎるポットライフまたはその他の困難をもたらし得る。特定の脂肪族第二級アミン類は、しかしながら、これらのさまざまな官能基と十分に反応しない。従って、十分に反応性が有りながら適切なポットライフを提供するアミン硬化剤を提供することが望まれる。望ましい特徴をそれらが使用される最終組成物に与える上記のアミン硬化剤を提供することへのさらなる要求がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要旨
本発明は、
a)ポリアミン
b)マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル、ならびに
c)(メタ)アクリレート
の反応生成物を含む(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を対象とする。
【0005】
本発明は、さらに、
a)ポリアミン
b)マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル、および
c)(メタ)アクリレート
を反応させるステップを含む(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を調製する方法を対象とする。
【0006】
本発明は、また、(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤とイソシアネートとの反応生成物を含むポリ尿素を対象とし、その(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤は、
a)ポリアミン、
b)マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル、および
c)(メタ)アクリレート、
の反応生成物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は、a)ポリアミン、b)マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル、およびc)(メタ)アクリレートの反応生成物を含む(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を対象とする。用語「(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤」および「(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン」は、本明細書では互換的に使用される。用語「(メタ)アクリレート」は、当業者には当然のことであるが、アクリレートおよび対応するメタクリレートの両方を意味する。特定の実施形態において、硬化剤は、基本的に反応生成物からなり、特定の他の実施形態においてはその反応生成物は、基本的に、1つまたは複数のポリアミン、1つまたは複数のマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルならびに1つまたは複数の(メタ)アクリレートからなる。
【0008】
任意の適当なポリアミンを本発明によれば使用することができる。「ポリアミン」は、少なくとも2つの第一級アミノ基を有するアミンである。特定の実施形態において、そのポリアミンはジアミンであり、そのジアミンに基づくアミン窒素は、等しく反応し、つまり、すべてのアミン窒素は別の官能基と同程度に反応する。特定のその他の実施形態においては、そのジアミンのアミン窒素は、例えば、(メタ)アクリレートおよび/またはマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルに対する反応性が同等でない可能性がある。適当なジアミン類の例としては、以下に限定はされないが、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(DYTEK A、Invista社製)、1,3−ジアミノペンタン(DYTEK EP、Invista社製)、1,2−ジアミノシクロヘキサン(DCH−99、Invista社製)、1,6−ジアミノヘキサン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、3−(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、(イソホロンジアミン(「IPDA」))、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM−20、Air Products社製;DICYKAN、BASF社製)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(DIMETHYL DICYKANまたはLAROMIN C260、BASF社製;ANCAMINE 2049、Air Products社製)、3,3’−[1,4−ブタンジイルビス−(オキシ)ビス]−1−プロパンアミン、メタンジアミン、ならびに、例として、Huntsman Corporation社製のJEFFAMINE D−230、JEFFAMINE D−400、JEFFAMINE D−2000、およびJEFFAMINE D−4000が挙げられる脂肪族結合した第一級アミノ基を有するジアミノ官能性ポリエーテルポリアミン類が挙げられる。当然のことながら、アミンがヒンダードアミンであるとき、(メタ)アクリル化アミンとイソシアネートの間の反応時間はより遅くなる。これにより、より長い処理時間が必要であるような状況において、より長いポットライフまたは作業工程時間が与えられる。
【0009】
特定の実施形態において、ポリアミンはトリアミンである。適当なトリアミンの例としては、以下に限定はされないが、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンおよび脂肪族結合した第一級アミノ基を有するトリアミノ官能性ポリエーテルポリアミン類(JEFFAMINE T−403、T−3000、T−5000、Huntsman Corporation社製)が挙げられる。その他の実施形態においては、該アミンは、テトラアミンまたはその他のより高い官能基数のアミンであり得る。
【0010】
任意のマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルを、本発明によれば使用することができる。マレイン酸ジアルキルおよびフマル酸ジアルキルの例としては、以下に限定はされないが、マレイン酸およびフマル酸のモノアルコール類とのエステル、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−プロピル、マレイン酸ジ−イソプロピル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−sec−ブチル、マレイン酸ジ−t−ブチル、マレイン酸ジ−イソブチル、マレイン酸ジ−ペンチル、マレイン酸ジ−t−アミル、マレイン酸ジ−ヘキシル、マレイン酸シクロヘキシルおよびマレイン酸ジ−2−エチルヘキシルまたは対応するフマル酸エステル類が挙げられる。特定の実施形態においては、2つの異なるアルキル基を有するマレイン酸ジアルキルまたはフマル酸ジアルキル、および/またはマレイン酸ジアルキルおよびフマル酸ジアルキルの混合物を使用することができる。マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルのアルキル基は、さらなる官能基類、例えば、無水マレイン酸、アルコール、およびエポキシの反応生成物、マレイン酸またはフマル酸のアルコールおよびエポキシとの反応生成物、あるいはマレイン酸またはフマル酸のエポキシとの反応生成物などの水酸基などを含むことができる。適当なアルコール類としては、以下に限定はされないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、さまざまな異性体のペンタノール類、さまざまな異性体のヘキサノール類、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。適当なエポキシ類としては、以下に限定はされないが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、およびグリシジルネオデカノエート(その一例は、CARDURA E10P、Hexion Speciality Chemicals,Inc.社製、である)が挙げられる。
【0011】
(メタ)アクリレートは、任意の適当なモノまたはポリ(メタ)アクリレートであり得る。特定の実施形態において、該ポリアクリレートは、ジ(メタ)アクリレートを含み、特定の実施形態において、該ポリアクリレートは、トリ(メタ)アクリレートを含み、特定の実施形態において、該ポリアクリレートは、テトラ(メタ)アクリレートを含む。適当なモノアクリレートとしては、以下に限定はされないが、式:
【0012】
【化1】

を有するものが挙げられ、式中、Rは、Hまたはメチルであり、Rは、限定されず、アルキルまたはヒドロキシアルキル、例えば、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、イソボルニル、ラウリル、ステアリルなどであり得る。モノ(メタ)アクリレート類の非限定の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシ(メタ)アクリレートのラクトン類との付加物、例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレートのε−カプロラクトンとの付加物などが挙げられる。適当なジアクリレートとしては、以下に限定はされないが、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,3−ジメチルプロパン1,3−ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、チオジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物が挙げられる。トリおよびさらに高次の(メタ)アクリレートの非限定の例としては、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。その他の適当な(メタ)アクリレートオリゴマー類としては、エポキシ化大豆油の(メタ)アクリレート、ポリイソシアネート類とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのウレタンアクリレート類およびポリエステルアクリレート類が挙げられる。モノ、ジ、トリ、および/またはテトラ(メタ)アクリレート類の混合物を含む(メタ)アクリレートモノマー類の混合物もまた使用することができる。
【0013】
その他の適当なポリ(メタ)アクリレート類としては、ウレタン(メタ)アクリレート類、例えば、ヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートのポリイソシアネートとの、またはポリイソシアネートおよびポリオールまたはポリアミンのNCO官能性付加物との反応によって形成されるものなどが挙げられる。適当なヒドロキシル官能性(メタ)アクリレート類としては、本明細書に記載されている任意のものが挙げられる。適当なポリイソシアネート類としては、限定されず、本明細書に記載されている任意のモノマーもしくはオリゴマーのイソシアネート類、またはイソシアネートプレポリマー類が挙げられる。
【0014】
ポリアミン:マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル:(メタ)アクリレートの当量比は、使用者の必要に応じて本発明に従って変動し得る。特定の実施形態において、アミンのマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルならびに(メタ)アクリレート基(総合して)に対する当量比は、化学量論的であり、他の特定の実施形態においては、そのアミンは、マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルおよび/または(メタ)アクリレート基当たり少し過剰の、例えば、1.05まで、または1.03未満のアミノ基で使用される。これらの比率は、残留マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルならびに(メタ)アクリレートを最小限にし、ならびに最終生成物中の未反応の第一級アミンの量を最小限にするために選択される。特定の実施形態において、該反応生成物は、未反応の第一級アミノ基を実質的に含まず、他の実施形態においては、本発明のコーティング組成物は、第一級アミン基を実質的に含まない。(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤中の残留第一級アミンの量の最小化は、イソシアネートとのその反応の速度を遅くし、かくして、ポリアミン:マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル:(メタ)アクリレートの比率を、得られる(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤において必要な反応性の度合いに応じて変化させることができる。
【0015】
特定の実施形態において、アミノ基のマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルに対する当量比は、1:0.1〜1:0.3であり、アミノ基の(メタ)アクリレートに対する当量比は、1:0.9〜1:0.7である。
【0016】
上記の反応生成物は、添加剤類、例えば、ヒドロキノン、4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール、およびフェノチアジン等のフリーラジカル重合防止剤類、以下に限定されないが、スズ化合物(ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート)、Zn化合物類、Ti化合物類、第三級アミン類等を含めた触媒類、および以下に限定されないが、アルコール類を含めた溶媒類を含むことができる。本発明の反応生成物は、それらの粘度を低下するためにその他のアミン硬化剤などにより希釈することができ、ポリアミン類、マレイン酸ジアルキル類および/またはフマル酸ジアルキル類、および/または(メタ)アクリレート類のさまざまな組合せからもたらされる反応生成物の組合せも所望の特性を得るために使用することができる。
【0017】
本発明は、さらに、a)ポリアミン、b)マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル、ならびにc)(メタ)アクリレートを反応させるステップを含む(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を調製する方法を対象とする。上記の任意のポリアミン類、マレイン酸ジアルキル類および/またはフマル酸ジアルキル類、ならびに(メタ)アクリレート類を、上記の比率のいずれかまたはその他の比率で使用することができる。ポリアミンは、マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルと最初に、次に(メタ)アクリレートと、最初に(メタ)アクリレートと、次にマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルと、あるいはマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルならびに(メタ)アクリレートと同時に反応させることができる。硬化剤を調製するためには、実施例において以下で述べているものを含めた任意の適当な方法を使用することができる。特定の実施形態において、マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルは、ジオール、トリオール、またはテトラオールとのエステル交換を受けない。従って、マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルのジオール、トリオール、またはテトラオールとのエステル交換によって調製される不飽和オリゴエステル類は、マレイン酸およびフマル酸のジオール、トリオール、またはテトラオールとのエステル化によって調製される不飽和オリゴエステル類と同じく特定の実施形態から特に排除される。
【0018】
本発明は、さらに、上記の(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤の1つまたは複数およびイソシアネートを含むポリ尿素を対象とする。上記の任意の(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン類またはそれらの組合せを、本発明のポリ尿素の調製において使用することができる。技術的に既知のその他のアミン硬化剤も、当該(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン類と組み合わせて使用することができる。
【0019】
本発明で使用するための適当なイソシアネート類としては、以下に限定はされないが、3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキシルイソシアネートであるイソホロンジイソシアネート(IPDI);水素化された材料、例えばシクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)など;混合アラルキルジイソシアネート類、例えば、テトラメチルキシリルジイソシアネート、OCN−C(CH−CC(CH−NCOなど;ポリメチレンイソシアネート類、例えば1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,7−ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートおよび2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネートなど;ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0020】
本発明において使用するための芳香族イソシアネート類の例としては、以下に限定はされないが、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、クロロフェニレン2,4−ジイソシアネート、ビトルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、アルキル化ベンゼンジイソシアネート、メチレン介在型芳香族ジイソシアネート類、例えばメチレンジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のアルキル化類似物を含む4,4’−異性体(MDI)、ポリマーのメチレンジフェニルジイソシアネートなど;およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0021】
特定の実施形態においては、過剰のポリイソシアネートモノマー(すなわち、プレポリマーの調製からの残留遊離モノマー)を使用して、ポリ尿素組成物の粘度を低下することができ、それによってその流動性を改善し、コーティングで使用するとき、予め塗布したコーティングおよび/または未被覆の基材に対するポリ尿素コーティングの改良された接着を提供することができる。例えば、基材に予め塗布されているコーティングは、イソシアネートと反応する官能基(例えば水酸基)を含み、それによってこのコーティングの上に塗布されるポリ尿素組成物に対するこのコーティングの付着力を高めることができる。低めの粘度のポリ尿素組成物は、また、高めの粘度を有する類似の組成物と比較して長時間にわたって「流動性を有した」ままであり得る。本発明の代替の実施形態においては、少なくとも1重量パーセントまたは少なくとも2重量パーセント、あるいは少なくとも4重量パーセントのイソシアネート成分が、少なくとも1つのポリイソシアネートモノマー(すなわち、残留遊離ポリイソシアネートモノマー)である。
【0022】
本発明のさらなる実施形態において、そのイソシアネートとしては、以下に限定はされないが、ダイマー類、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン(uretdione)など、トリマー類、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネートのビウレットおよびイソシアヌレートならびにイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートなど、ならびに重合体オリゴマー類を含めたオリゴマーのポリイソシアネート類を挙げることができる。以下に限定はされないが、カルボジイミド類およびウレトン(uretone)−イミン類、ならびにそれらの混合物を含めた改変ポリイソシアネート類も使用することができる。適当な材料としては、以下に限定はされないが、米国ペンシルベニア州ピッツバーグのBayer Corporation社からDESMODURの銘柄で入手できるものが含まれ、例えば、DESMODUR N3200、DESMODUR N3300、DESMODUR N3400、DESMODUR XP2410、およびDESMODUR XP2580が挙げられる。
【0023】
特定の実施形態において、イソシアネートはプレポリマーの形態である。本明細書で用いる「プレポリマー」とは、ポリアミンおよび/または別のイソシアネート反応性の基、例えば、ポリオールなどと、予め反応したポリイソシアネートを意味する。適当なポリイソシアネート類としては、本明細書に開示されているものが挙げられる。適当なポリアミン類は、多数あり、技術的に知られている幅広い種類から選択される。適当なポリアミン類の例としては、以下に限定はされないが、第一級および第二級アミン類、ならびにそれらの混合物、例えば上で記載した任意のものなどが挙げられる。第三級アミン官能性を含むアミン類は、そのアミンが少なくとも2つの第一級および/または第二級アミノ基をさらに含むという条件で使用することができる。適当なポリオール類は、多数あり、技術的に知られている幅広い種類から選択される。適当なポリオール類の例としては、以下に限定はされないが、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリ尿素ポリオール類(例えば、アミノ官能性ポリ尿素のヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートとのマイケル反応生成物)、ポリカプロラクトンポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリウレタンポリオール類、ポリビニルアルコール類、ペンダント水酸基を有する不飽和モノマー類(例えば、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート類、アリルアルコール類およびそれらの混合物など)の付加重合体を挙げることができる。
【0024】
当該(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤およびイソシアネートを含むポリ尿素は、その他のアミン類、例えば、以下に限定はされないが、本明細書に記載されている任意のポリアミン類またはそれらの組合せを含めた技術的に既知のものなどをさらに含むことができる。その他のアミン類としては第二級脂環式ジアミン類、例えば、JEFFLINK754(米国テキサス州ヒューストンのHuntsman Corporation社製)およびCLEARLINK1000(Dorf−Ketal Chemicals,LLC社製)、アスパラギン酸エステル官能性アミン類、例えば、銘柄DESMOPHENの下で入手できるもの、例えば、DESMOPHEN NH1220、DESMOPHEN NH1420、およびDESMOPHEN NH1520(Bayer Corporation社製)など、その他のアスパラギン酸エステル官能性材料、例えば、以下に限定はされないが、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、およびビス−ヘキサメチレントリアミンの本明細書に記載されているようなマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルとの反応生成物を含めたマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルと反応する前の少なくとも1つの第二級アミノ基を含むトリアミン類の反応生成物など(そのような材料の例としては、ジプロピレントリアミンとマレイン酸ジエチルとの付加物、ジプロピレントリアミンとマレイン酸ジブチルとの付加物、ビス−ヘキサメチレントリアミンとマレイン酸ジエチルとの付加物、およびビス−ヘキサメチレントリアミンとマレイン酸ジブチルとの付加物が挙げられる)が挙げられる。ポリオキシアルキレンアミン類も適している。ポリオキシアルキレンアミン類は、例えば、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの混合物から誘導された主鎖に結合している2つ以上の第一級または第二級アミノ基を含む。そのようなアミン類の例としては、呼称JEFFAMINEの下で入手できるもの、例えば、限定されず、JEFFAMINE D−230、D−400、D−2000、HK−511、ED−600、ED−900、ED−2003、T−403、T−3000、T−5000、SD−231、SD−401、SD−2001、およびST−404(Huntsman Corporation社製)が挙げられる。かかるアミン類は、おおよそ200から7500までの範囲の分子量を有する。
【0025】
当該組成物に含有させることができるその他の第二級アミンは、(メタ)アクリレート改変アミン類である。「(メタ)アクリレート改変アミン類」とは、アミン類のモノ−および/またはポリ(メタ)アクリレート類との反応生成物ならびにモノ−および/またはポリアミン類の(メタ)アクリレート類との反応生成物を意味する。適当なアミン類の例としては、本明細書に既に記載した第一級アミノ官能基を含むすべてのアミン類ならびにモノアミン類が挙げられる。適当なモノアミン類としては、以下に限定はされないが、式R−NHの第一級アミン類が挙げられ、ここでRは、直鎖のまたは枝分かれしたアルキル基、アリール−アルキル基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基によって表すことができる炭化水素基である。適当な(メタ)アクリレート類としては、本明細書に記載したものを含むがそれらに限定されないすべての(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0026】
本組成物に含むことができるその他の適当な第二級アミン類は、第一級アミン官能基を含む材料のアクリロニトリルとの反応生成物である。適当なアミン類としては第一級アミノ官能基を含む本明細書に記載されている任意のポリアミンが挙げられる。そのような材料の一例は、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとアクリロニトリルとの付加物である。市販材料の一例は、呼称POLYCLEAR 136の下(Hansen Group LLC)で販売されているイソホロンジイソシアネートとアクリロニトリルとの付加物である。
【0027】
ポリオール類も、例えば、既に本明細書に記載されているものなどを、本組成物に含めることができる。
【0028】
本発明は、さらに、イソシアネートとアミンとを含み、そのアミンが(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤、例えば、任意の1つまたは複数の上記の(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤などを含む反応混合物から形成されたポリ尿素を含むコーティング組成物を対象とする。特定の実施形態において、そのポリ尿素中のイソシアネート基当量のアミン基当量に対する比は、1より大きく、そのイソシアネートおよびアミンは、1:1の体積混合比で基材に塗布することができる。
【0029】
本明細書で用いる用語「ポリ尿素」としては、イソシアネートとアミン、例えば、本明細書に記載の(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン、との反応生成物が挙げられる。当業者には当然のことであるが、本発明の反応における副生成物としてポリウレタンが形成され得る。従って、本明細書で用いられる用語「ポリ尿素」は、ポリ尿素およびポリ尿素とポリウレタンとのブレンドの両方を含む。
【0030】
本発明のコーティング組成物は、技術的に既知のさまざまな技法を用いて調合し、塗布することができる。一実施形態においては通常の吹付け技術を使用することができる。特定の実施形態において、イソシアネートと(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を含めたアミンとは、イソシアネート基当量のアミン基当量に対する比が1より大きく、そのイソシアネートとアミンとを1:1の体積混合比で基材に塗布することができるように組み合わせることができ、その反応混合物は、未被覆のまたは被覆されている基材に塗布して、被覆されていない基材上の最初の被膜または被覆されている基材上の次の被膜を形成することができる。
【0031】
一実施形態において、吹付け可能なコーティング組成物は、2成分混合装置を用いて調製することができる。この実施形態において、そのイソシアネート成分およびアミン成分は、高圧の衝突混合装置に加えられる。例えば、イソシアネートは「Aサイド」に加えられ、アミンは「Bサイド」に加えられる。そのAサイドとBサイドの流れが互いに衝突し、直ちに未被覆のまたは被覆されている基材の少なくとも一部に吹付けられる。そのイソシアネートおよびアミンは、反応して、その未被覆のまたは被覆されている基材に塗布された後に硬化するコーティング組成物を形成する。そのAサイドおよび/またはBサイドは、塗布する前に、例えば140°Fといった温度に加熱することもできる。加熱することによってより良好な混合を促進することができる。
【0032】
特定の実施形態においては、イソシアネート基のアミン基に対する当量比を選択して、本発明のコーティング組成物の硬化速度を制御することができることが考えられる。1:1の体積比であって、イソシアネート基のアミン基に対する当量比(反応指数としても知られる)が1より大きい、例えば、1.01〜1.10:1、または1.03〜1.10:1、または1.05〜1.08:1または1.01〜1.4:1または1.01〜1.5:1などであるコーティングを塗布するとき、硬化および付着力の有利性が生じることが見出されている。例えば、硬化後低い表面官能性を有する透明塗料、例えば、カルバメートメラミン、ヒドロキシルメラミン、2Kウレタンおよびシラン含有透明塗料などの上にこれらの比率の本コーティングを用いるときに、良好な付着力が観察されている。用語「1:1体積比」とは、体積比が各成分に対して最大20%まで、または最大10%まで、もしくは最大5%まで変動することを意味する。
【0033】
非限定の実施形態において、GUSMER Model GX−7スプレーガンを備えた比例配分装置付きの呼称GUSMER VR−H−3000の下で入手できる市販の混合装置を使用することができる。この装置においては、AサイドおよびBサイド成分の加圧された流れが、2つの別々のチャンバーから送り込まれ、互いに高速で激突または衝突して2つの成分が混合してコーティング組成物を形成し、それを、スプレーガンを使用して未被覆のまたは被覆されている基材に塗布することができる。成分流によって受ける混合の力は、単位時間当たりに混合チャンバーに入る各流れの体積およびその成分流が供給される圧力に依存し得る。単位時間当たりのイソシアネートとアミンとの1:1の体積比は、これらの力を均一にすることができる。
【0034】
当該産業で知られているもう1つの適切な塗装装置としては、「静圧混合管(static mix tube)」塗装装置が挙げられる。この装置においては、イソシアネートとアミンは、それぞれ別々のチャンバー中に保存することができる。圧力が加えられると、それぞれの成分は、1:1の体積比で混合管中に持ち込まれる。その成分の混合は、その管内の曲がったまたはらせん状の経路を経由して達成される。その管の出口端は、反応混合物の吹付け塗装に役立つ噴霧化能を有することができる。別法では、その液体反応混合物は、ビーズとして基材に塗布することができる。静圧混合管塗装装置は、Cammda Corporation社から市販されている。その他の塗装方法およびその他のイソシアネート:アミン比を使用することができる。
【0035】
本発明のコーティング組成物は、多種多様の基材に塗布することができる。適当な基材の非限定の例として、以下に限定はされないが、金属、天然および/または合成石材、セラミック、ガラス、レンガ、セメント、コンクリート、シンダーブロック、木材ならびにそれらの複合材および積層品、人造壁板、乾式壁、シートロック、セメント板、プラスチック、紙、PVC、発泡スチレン、プラスチック複合材、アクリル複合材、アスファルト、グラスファイバー、土、砂利などを挙げることができる。金属としては、以下に限定はされないが、アルミニウム、冷延鋼板、電気亜鉛メッキ鋼、溶融亜鉛メッキ鋼、チタンおよび合金類を挙げることができ、プラスチック類としては、以下に限定はされないが、TPO、SMC、TPU、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリアミド類(ナイロン)を挙げることができる。その基材は、下塗りされた金属および/またはプラスチックであり得、つまり、有機または無機層がそこに塗布されていてもよい。さらに、本発明のコーティング組成物は、前記基材に塗布して、1つまたは複数の多種多様の特性、例えば、以下に限定はされないが、耐腐食性、耐摩耗性、耐衝撃損傷、耐火炎および/または耐熱性、耐化学薬品性、耐紫外線性、構造的完全性、衝撃緩和性、防爆性、消音性、装飾性などを与えることができる。非限定の例において、本発明のコーティング組成物は、次の基材、すなわちそれに限定はされないが乗物等の製品の少なくとも一部に塗布することができる。「乗物」としては、以下に限定はされないが、一般市民用、商用、および軍用の乗物、例えば、乗用車、トラック、ボート、船舶、潜水艦、航空機、ヘリコプター、軍事用ジープおよびタンク車を含めた陸上、水上および航空乗物が挙げられる。その製品は、建造物であり得る。「建造物」としては、以下に限定はされないが、住居用、商用および軍用の構造物、例えば、屋根、床、支持梁、壁などを含めた構造物の少なくとも一部が挙げられる。本明細書で使用される用語「基材」は、製品の少なくとも一部または製品それ自体の外側または内側の表面を指すことができる。一実施形態において、基材は、トラックの荷台である。
【0036】
一実施形態において、本発明のコーティング組成物は、キャリヤーフィルムに塗布することができる。そのキャリヤーフィルムは、多種多様の技術的に既知のそのような材料から選択することができる。適当なキャリヤーフィルムの非限定の例としては、以下に限定はされないが、熱可塑性材料、熱硬化性材料、金属箔、セルロース紙、合成紙、およびそれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用される用語「熱可塑性材料」とは、加熱されたときに軟化または融解し、冷却したとき再び固化(硬質化)することができる任意の材料を指す。適当な熱可塑性材料の非限定の例としては、ポリオレフィン類、ポリウレタン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリ尿素類、アクリル樹脂類、およびそれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用される用語「熱硬化性材料」とは、加熱および/または硬化された後、永久に硬質化する任意の材料を指す。非限定の例としては、ポリウレタンポリマー類、ポリエステルポリマー類、ポリアミドポリマー類、ポリ尿素ポリマー類、ポリカーボネートポリマー類、アクリルポリマー類、樹脂類、それらの共重合体類、アミノプラスト類、イソシアネート類、エポキシ樹脂類、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0037】
上で述べたように、特定の実施形態において、本発明のコーティング組成物は、裸の(例えば、未処理の、未被覆の)基材、前処理されている基材および/または少なくとも1つのその他のコーティングを有する被覆された基材に塗布することができる。非限定の実施形態において、本発明のコーティング組成物は、多層コーティング複合体の一部として塗布することができる。基材に塗布する最初のコーティングは、表面被覆基材用の技術的に知られているさまざまなコーティング組成物から選択することができる。非限定の例としては、以下に限定はされないが、電着可能なフィルム形成性組成物、プライマー組成物、色素有りまたは色素無しのモノコート組成物、色素有りまたは色素無しのベースコート組成物、透明なトップコート組成物、工業塗料組成物などを挙げることができる。もう1つの非限定の実施形態において、本発明のコーティング組成物は、前処理した基材ならびにコーティング層、例えば、以下に限定はされないが、電着塗膜、プライマー、下塗り、透明塗膜、および/またはそれらの組合せなどを含む多層コーティング組成物の一部として塗布することができる。一実施形態において、その透明塗膜は、架橋および硬化の前または後のシラン官能基を含む。
【0038】
さらなる実施形態において、本発明のコーティング組成物は、テクスチャ構造を生ずる2回塗り塗装で使用することができる。最初の被膜は、滑らかな実質的に不粘着な層を生成するために、未被覆のまたは被覆されている基材に塗布する。「不粘着性測定法」は、その層が実質的に不粘着であるか否かを断定するために使用される。不粘着性測定法は、1つの被膜のコーティング組成物を非粘着性のプラスチックシート上に10〜15ミル(254〜381ミクロン)の厚さに吹付けるステップを含む。吹付けが完了したとき、作業者は、ブカブカの使い捨てのビニール手袋、例えば、米国ジョージア州ノークロスのMarigold Industrial社製のアンビデックス使い捨てビニール手袋(AMBIDEX Disposable Vinyl Glove)として市販されているものなどを使用して、コーティングの表面にそっと触れる。そのコーティングは、異なる指先を用いて複数回触れることができる。その手袋の先端がその層の表面にもはや粘着しないか、そこから引き戻さなくてもよいとき、その層は実質的に不粘着であるという。吹付けの完了から始まってそのコーティングが実質的に不粘着となるまでの時間を不粘着時間と言う。非限定の実施形態において、不粘着時間および硬化時間は、さまざまな組成物成分の量、例えば第一級アミンの第二級アミンに対する比率を均衡させることによって制御することができ、第二級アミンとしては、本発明の(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤が含まれる。
【0039】
2番目の被膜を次にテクスチャ層または「ダストコート」として最初のコーティング層に塗布することができる。その2番目のコーティング層は、塗装/混合装置と被覆される基材との間の間隔を広げることによってその被覆される基材と接触する前にコーティング組成物の分離した液滴を形成するように塗布し、それによって第2層の表面の制御された非不均一性を形成することができる。実質的に不粘着のコーティングの最初の層は、2番目の層に対して少なくともある程度は耐性があり、すなわち、2番目の層またはダストコートとしてその上に吹付けられたコーティング組成物の液滴の融合に対して少なくともある程度は耐性があり、その結果、その液滴は、その前の層(1つまたは複数)と接着はするが融合はせずに表面のテクスチャを形成する。最後のコーティング層は、一般的には最初のまたはその前のコーティング層よりさらに多くの表面テクスチャを見せる。コーティング層の全体の厚さは、20〜1000ミル、または40〜150ミル、または60〜100ミル(1520〜2540ミクロン)、あるいは500〜750ミルの範囲であり得る。非限定の実施形態において、最初の層は、全体の厚さの大部分であり得、ダストコートは、15〜50ミル(381〜1270ミクロン)であり得る。
【0040】
本発明のさまざまな実施形態において、「最初の」コーティング層は、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の層を含むことができ、「2番目の」コーティング層は、その上に塗布された1つまたは複数のその後の層であり得る。例えば、4番目の層がダストコートであり、各層が15〜25ミル(381〜635ミクロン)の厚さを有する4つのポリ尿素の層を塗布することができる。当然のことながらこれらのコーティング層は、相対的に「厚い」。本発明のコーティング組成物は、また、そのうえ、0.1〜15ミル未満の、例えば、0.1〜10、0.5〜3または1〜2ミルといったずっと薄い層としても塗布することができる。そのような層は、単独で、もしくはその他のコーティング層、例えば技術的に知られている任意のものまたはさもなければ本明細書に記載されているものと併せて使用することができる。
【0041】
別の実施形態において、そのコーティング層は、同一か異なるポリ尿素コーティング組成物を含むことができる。例えば、最初の層は、脂肪族および/または芳香族アミンならびに/あるいは脂肪族および/または芳香族ポリイソシアネートを含むポリ尿素であり得、2番目の層は、脂肪族および/または芳香族アミンならびに/あるいは脂肪族および/または芳香族ポリイソシアネートの同じか異なる組合せを含むことができる。最初のおよび/または2番目の層のアミンは、本明細書に記載の(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を含むことができる。さらなる実施形態において、最も外側のコーティング層は、所望の耐久性を提供するコーティング組成物を含んでよい。所望の耐久性は、本発明のコーティング組成物の使用および/またはそれを塗布することができる基材によって決まり得る。一実施形態において、脂肪族および/または芳香族アミンならびに/あるいはポリイソシアネートの組合せは、最も外側の層の組成が実質的な耐久性を有するように選択することができる。例えば、最も外側の層は、SAE J1960の方法に従い、ウェザロメーター(Atlas Material Testing Solutions社製)を用いて試験したとき、1000kJ〜6000kJ、または800時間〜4000時間の耐久性を有することができる。この実施形態において、その最初の層は、ポリイソシアネートおよびアミンを含み、そのアミンおよび/またはポリイソシアネートの少なくとも1つが芳香族部分を含んでもよいポリ尿素組成物であり得、2番目の層は、芳香族の殆ど無い大部分が脂肪族アミンおよび脂肪族イソシアネートであるポリ尿素組成物であり得る。
【0042】
本発明のコーティング組成物は、以下に限定はされないが、充填剤、難燃剤、グラスファイバー、安定剤、増粘剤、接着促進剤、触媒、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、レオロジー調整剤、流動性添加剤、帯電防止剤および表面コーティングの技術で知られているその他の性能または特性調整剤、ならびにそれらの混合物を含めた当技術分野において標準的な材料を任意で含むことができる。別の実施形態において、上記の添加剤類は、イソシアネート、アミン、またはその両方と組み合わせることができる。
【0043】
本明細書で使用される用語「着色剤」とは、色および/またはその他の不透明性および/またはその他の視覚効果をその組成物に与える任意の物質を意味する。着色剤は任意の適当な形態、例えば、別個の粒子、分散体、溶液および/またはフレークなどでコーティングに加えることができる。単一の着色剤または2つ以上の着色剤の混合物を本発明のコーティング中に使用することができる。
【0044】
着色剤の例としては、顔料、染料およびティント剤、例えばペイント産業で使用されているものおよび/またはDry Color Manufacturers Association(DCMA)ならびに特殊効果組成物に列挙されているものが挙げられる。着色剤としては、例えば、不溶性であるが使用条件下で濡らすことができる微粉化した固体粉末を挙げることができる。着色剤は、有機または無機であり得、凝集していても凝集していなくても良い。着色剤は、その使用が当業者には馴染みのアクリル系粉砕ビヒクル等の粉砕ビヒクルを使用することにより、粉砕してコーティング中に組み込むことができる。その粉砕ビヒクルもまた、本発明の(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を、単独または任意のその他の本明細書に記載のアミン類および/またはポリオール類との組合せで含むことができる。
【0045】
顔料および/または顔料組成物の例としては、以下に限定はされないが、カルバゾールジオキサジン粗顔料、アゾ、モノアゾ、ジスアゾ、ナフトールAS、塩タイプ(レーキ類)、ベンゾイミダゾロン、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリンおよび多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アンタントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、二酸化チタン、カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛、その他の導電性顔料類および/または充填材ならびにそれらの混合物が挙げられる。用語「顔料」および「着色充填材」は、互換的に使用することができる。
【0046】
染料の例としては、以下に限定はされないが、フタログリーンまたはブルー、酸化鉄、バナジウム酸ビスマス、アントラキノン、ペリレン、アルミニウム、およびキナクリドン等の溶液型であるものが挙げられる。
【0047】
ティント剤の例としては、以下に限定はされないが、水性のまたは水混和性のキャリヤー中に分散させた顔料、例えば、Degussa,Inc.社から市販されているAQUA−CHEM 896、Eastman Chemical,Inc.社のAccurate Dispersions部門から市販されているCHARISMA COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTSなどが挙げられる。
【0048】
上で述べたように、着色剤は、ナノ粒子分散体を含むがそれに限定はされない分散体の形態であることができる。ナノ粒子分散体としては、望ましい可視色および/または不透明性および/または視覚効果を生ずる1つまたは複数の高度に分散したナノ粒子着色剤および/または着色剤粒子を挙げることができる。ナノ粒子分散体としては、150nm未満、例えば、70nm未満、または30nm未満といった粒径を有する顔料または染料等の着色剤を挙げることができる。ナノ粒子は、原料の有機または無機顔料を、0.5mm未満の粒径を有する粉砕媒体と共に粉砕することによって製造することができる。ナノ粒子分散体およびそれを製造する方法の例は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6875800号B2中で確認される。ナノ粒子分散体は、また、結晶化、沈殿、気相凝縮、および化学磨耗(すなわち、部分溶解)によっても製造することができる。コーティング中のナノ粒子の再凝集を最小限にするために、樹脂を被覆したナノ粒子の分散体を使用することができる。本明細書で用いられる「樹脂を被覆したナノ粒子の分散体」とは、ナノ粒子およびそのナノ粒子上に樹脂コーティングを含む目立たない「複合微小粒子」が分散している連続相を指す。樹脂を被覆したナノ粒子の分散体およびそれらを製造する方法の例は、参照により本明細書に組み込まれている2004年6月24日出願の米国特許仮出願第10/876031号、および同じく参照により本明細書に組み込まれている2003年6月24日出願の米国特許仮出願第60/482167号において確認される。
【0049】
本発明のコーティング中に使用することができる特殊効果組成物の例としては、1つまたは複数の外観効果、例えば、反射率、真珠光沢、金属光沢、りん光、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、ゴニオクロミズム(goniochromism)および/または色変化などを生ずる顔料および/または組成物が挙げられる。さらなる特殊効果組成物は、その他の知覚できる特性、例えば不透明性またはテクスチャを提供することができる。非限定の実施形態において、特殊効果組成物は、コーティングの色が、そのコーティングを異なる角度から見たときそのコーティングの色が変化するように、色ずれを引き起こすことができる。色彩効果組成物の例は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6894086号において確認される。さらなる色彩効果組成物としては、透明な被覆雲母および/または合成雲母、被覆シリカ、被覆アルミナ、透明な液晶顔料、液晶コーティング、および/または干渉が材料の表面と空気の間の屈折率の差のためではなく材料内部の屈折率の差によって生じる任意の組成物を挙げることができる。
【0050】
特定の非限定の実施形態において、1つまたは複数の光源にさらしたときその色を可逆的に変える感光性組成物および/または光発色性組成物を、本発明のコーティングに使用することができる。光発色性および/または感光性組成物は、特定の波長の放射線にさらすことによって活性化することができる。その組成物が励起されるとその分子構造が変化し、その改変された構造が、その組成物の元の色とは異なる新たな色を示す。放射線への暴露を取り除くと、その光発色性および/または感光性組成物は、静止状態に戻ることができ、その組成物の元の色が戻る。非限定の一実施形態において、その光発色性および/または感光性組成物は、励起されていない状態では無色であり、励起状態で発色することができる。完全な色の変化はミリ秒〜数分の範囲、例えば20秒〜60秒などで現れ得る。光発色性および/または感光性組成物の例としては、フォトクロミック染料類が挙げられる。
【0051】
非限定の実施形態において、該感光性組成物および/または光発色性組成物は、ポリマーおよび/またはポリマー材料の重合可能な成分と関係し、かつ/または少なくとも部分的に共有結合などによって結合することができる。感光性組成物がコーティングから移行し、基材内で結晶化することがあり得るいくつかのコーティングとは対照的に、本発明の非限定の実施形態に従うポリマーおよび/または重合可能な成分に関係し、かつ/または少なくとも部分的に結合している該感光性組成物および/または光発色性組成物は、コーティングからの最小限の移行性を有する。感光性組成物および/または光発色性組成物ならびにそれらを製造する方法の例は、2004年7月16日に出願され、参照により本明細書に組み込まれている米国特許仮出願第10/892919号において確認される。
【0052】
一般に、着色剤は、望ましい可視および/または色彩効果を与えるのに十分な任意の量でコーティング組成物中に存在させることができる。その着色剤は、組成物の全体の重量に基づく重量パーセントで、本組成物の1〜65重量パーセント、例えば、3〜40重量パーセントまたは5〜35重量パーセント、を含むことができる。
【0053】
一実施形態において、本発明のポリ尿素コーティング組成物は、そのコーティングの色が周囲の基材のそれと十分に調和するように1つまたは複数の着色剤を含む。色合わせを指すときに本明細書で用いる用語の「調和する」または類似の用語は、本発明のコーティング組成物の色が、望ましい色または関連する基材の色に十分対応することを意味する。例えば、ポリ尿素コーティング組成物を塗布する基材が、トラックの荷台などの乗物の一部であるとき、そのコーティングの色は、関連する車体のそれと十分に調和する。これは、分光装置を用いて視覚的に観察または確認することができる。
【0054】
他で明確に特定されていない限り、本明細書で使用されるすべての数、例えば、値、範囲、量または百分率を表すものなどは、その語がはっきりと現れなくても、「約」の単語が前にあるかのように読み取ることができる。同様に、本明細書に繰り返し出てくるどの数値範囲も、その中に含まれるすべての部分的な範囲を含めることが意図されている。単数形は、複数形を包含し、逆も同様である。例えば、本明細書では特許請求の範囲を含めて、単数形の(「a」または「an」のついた)ポリアミン、マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン、イソシアネートなどについて言及されているが、これらの任意の混合物を使用することができる。本明細書で使用される用語「ポリマー」は、オリゴマーならびにホモポリマーとコポリマーの両方を指し、接頭辞「ポリ」は、2つ以上を指す。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は、本発明を説明するために意図されており、本発明を多少なりとも限定するものと解釈してはならない。当業者には、分かるように、MWは、平均分子量を表し、Mは、重量平均分子量を表し、Mは、数平均分子量を表す。
【0056】
(実施例A)
アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
イソホロンジアミン 2982.0
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 3.5
投入物2
マレイン酸ジブチル 1995.0
投入物3
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 3.5
投入物4
ブチルアクリレート 3270.4
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、およびN導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物をNブランケット下に置いた。21℃の温度で開始し、投入物2をそのフラスコに5.75時間かけて加えた。その添加中、軽い発熱が観察された。この投入物の添加中、35℃の最高温度が観察された。投入の完了時、その反応混合物の温度は33℃であった。その反応混合物の温度を外部熱源により35〜37℃の温度に加熱し、この温度で3時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、マレイン酸ジブチルの消費(1646cm−1のピークの消滅)が示された。投入物3をその反応器に加え、その反応混合物を43℃に加熱した。投入物4をその反応混合物に3.6時間にわたって加え、軽い発熱が観察された。投入物4の間のその反応混合物の温度範囲は、43℃と50℃の間であり、投入物4の完了時にその温度は45℃であった。その反応混合物の温度を次いで50℃に上げ、3時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、未反応のアクリレート(1621、1635cm−1のピーク)の存在が示された。その反応混合物の温度を70℃に上げ、10.9時間にわたって保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、アクリレートに起因する前記のピークはベースラインノイズから区別することができないことが示され、この時点で反応は完了したものと断定した。得られた材料は、98.9パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、ガードナーホルトスケールでDの粘度、8.17ポンド/ガロンの密度、4.21meq/gの合計アミン含量、0.230meq/gの残留第一級アミン含量、3.985meq/gの第二級アミン含量、0.000meq/gの第三級アミン含量、ならびにポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、450のMおよび406のMを有することが見出された。
【0057】
(実施例B)
アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
イソホロンジアミン 383.4
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 0.45
投入物2
マレイン酸ジエチル 193.5
投入物3
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 0.45
投入物4
エチルアクリレート 328.5
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、およびN導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物をNブランケット下に置いた。23℃の温度で開始し、投入物2をそのフラスコに20分かけて加えた。その添加中、軽い発熱が観察され、それを、氷浴を用いて制御した。この投入物の添加中、33℃の最高温度が観察された。投入物の完了時、その反応混合物の温度は28℃であった。その反応混合物の温度を外部熱源により35〜38℃の温度に加熱し、この温度で2.2時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、マレイン酸ジエチルの存在(1646cm−1のピーク)が示された。その温度を50〜51℃に上げ、その反応混合物を7.6時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、マレイン酸ジエチルの消費が示された。その反応混合物の温度を41℃に戻し、投入物3をその反応器に加えた。投入物4をその反応混合物に25分かけて加え、投入物4の完了時にその温度は39℃であった。その反応混合物の温度を次いで50℃に上げ、3時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、未反応のアクリレート(1621、1635cm−1のピーク)の存在が示された。その反応混合物の温度を70℃に上げ、7.5時間にわたって保持し、その後80℃に上げ、3.75時間にわたって保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、アクリレートに起因する前記のピークは存在しないことが示され、この時点で反応は完了したものと断定した。得られた材料は、95.5パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、ガードナーホルトスケールでBの粘度、8.34ポンド/ガロンの密度、5.096meq/gの合計アミン含量、0.003meq/gの残留第一級アミン含量、5.093meq/gの第二級アミン含量、0.000meq/gの第三級アミン含量、ならびにポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、356のMおよび321のMを有することが見出された。
【0058】
(実施例C)
メタクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
イソホロンジアミン 173.4
メチルメタクリレート 163.2
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 2.2
メタノール 54.9
ジブチルスズジラウレート 1.68
投入物2
マレイン酸ジエチル 49.4
投入物3
4−メトキシフェノール 0.7
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、およびガス吹込み管を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物を、ほぼ0.5SCFH(毎時の標準立法フィート)の軽い空気吹き込みの下に置いた。その反応混合物を、80℃の温度に加熱し、この温度でほぼ27時間保持した。反応の進行は、固形分を測定(110℃、1時間)することによって追跡した。その反応混合物を実測固形分77.9%まで保持した。その反応混合物を49℃の温度に合わせた。投入物2を5分間かけて反応器に加え、この添加の終点でその温度は52℃であった。その反応混合物を60℃に加熱し、4.75時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査は、マレイン酸ジエチルの存在(1646cm−1のピーク)を示した。その反応温度を70℃に上げ、3.9時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査は、マレイン酸ジエチルの消費を示した。その反応混合物の温度を50℃に下げた。投入物3を加え、その反応器を真空蒸留に向けて設定した。任意の揮発性物質を除去するために、1.25時間にわたってその反応混合物に真空をかけ、その温度範囲は、45〜61℃であり、得られた最大の真空度は75mmHgであった。得られた材料は、95.8パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、ガードナーホルトスケールでZ1−の粘度、8.41ポンド/ガロンの密度、4.945meq/gの合計アミン含量、0.118meq/gの残留第一級アミン含量、4.827meq/gの第二級アミン含量、0.000meq/gの第三級アミン含量、ガスクロマトグラフィーにより、0.15、0.19、および0.11パーセントのメチルメタクリレート、メタノール、およびマレイン酸ジエチル含量、ならびにポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、389のMおよび330のMを有することが見出された。
【0059】
(実施例D)
ヒドロキシアクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
イソホロンジアミン 165.3
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 0.2
投入物2
マレイン酸ジブチル 110.6
投入物3
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 0.2
投入物4
アクリル酸ヒドロキシエチル 164.3
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、およびN導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物をNブランケット下に置いた。23℃の温度で開始し、投入物2をそのフラスコに13分かけて加えた。その添加中、軽い発熱が観察され、それを、氷浴を用いて制御した。この投入物の添加中、32℃の最高温度が観察された。投入の完了時、その反応混合物の温度は25℃であった。その反応混合物の温度を外部熱源により34〜35℃の温度に加熱し、この温度で3.6時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、マレイン酸ジブチルの存在(1646cm−1のピーク)が示された。その温度を48〜50℃に上げ、その反応混合物を6.6時間保持した。この時点でのその反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、マレイン酸ジブチルの消費が示された。投入物3をその反応器に加え、その反応混合物の温度を39℃に戻した。投入物4をその反応混合物に24分かけて加えた。その添加中、48℃の最高温度が観察された。投入物4の完了時にその温度は44℃であった。その反応混合物の温度を次いで50℃に上げ、3.1時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、未反応のアクリレート(1621、1635cm−1のピーク)の存在が示された。その反応混合物の温度を70℃に上げ、4.75時間にわたって保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、アクリレートに起因する前記のピークは存在しないことが示され、この時点で反応は完了したものと断定した。得られた材料は、94.4パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、ガードナーホルトスケールでZ6+の粘度、8.86ポンド/ガロンの密度、4.266meq/gの合計アミン含量、0.000meq/gの残留第一級アミン含量、4.266meq/gの第二級アミン含量、0.000meq/gの第三級アミン含量、ならびにポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、669のMおよび498のMを有することが見出された。
【0060】
(実施例E)
ヒドロキシ官能性マレイン酸エステルを、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
無水マレイン酸 294.2
投入物2
1−プロパノール 189.0
投入物3
トリフェニルホスフィン 1.45
トリフェニルホスファイト 1.45
投入物4
1,2−エポキシブタン 237.7
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、ドライアイス冷却器、およびN導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物をNブランケット下に置いた。投入物を、すべての無水マレイン酸ブリケットが融解するまで水浴により加熱した(最高温度67℃)。加熱を次にマントルヒーターに切り替え、投入物を80℃の温度にした。投入物2をその反応混合物に28分かけて加えた。この投入が完了した時点のその反応混合物の温度は89℃であった。その反応混合物を、この温度で1.5時間、次いで90℃で0.8時間保持した。この時点で、無水マレイン酸の1−プロパノールとの反応は、その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により完了したものと断定した。その反応器に投入物3を、続いて投入物4を、ほぼ1.75時間かけて加えた。その投入の途中の最高温度は、101℃であった。その材料を90℃で20.75時間保持した。その反応混合物の酸価は、26.0であることが分かり、エポキシ当量は無限大であることが分かった。その反応器に追加の1,2−エポキシブタン(30.6g)を加え、その反応混合物を90℃で新たに11時間にわたって保持した。その反応混合物の酸価はこの時点で7.85であることが分かり、エポキシ当量は、9259と測定された。その反応混合物をさらに2.3時間保持し、次いでその反応混合物の温度を100℃に上げ、この温度で7.6時間保持した。酸価はこの時点で4.77と測定され、エポキシ当量は、18868であることが分かった。50℃の温度でその反応混合物に1.9時間にわたって真空(40mmHg)を加え、揮発性物質を除去した。その最終反応生成物は、ガードナーホルトスケールでAの粘度、4.0の酸価、および19608のエポキシ当量を有した。
【0061】
(実施例F)
アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
イソホロンジアミン 149.1
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 0.18
投入物2
実施例Eの無水マレイン酸/1−プロパノール/1,2−エポキシブタンマレイン酸エステル付加物 201.3
投入物3
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 0.18
投入物4
ブチルアクリレート 107.5
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、およびN導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物をNブランケット下に置いた。24℃の温度で開始し、投入物2をそのフラスコに28分かけて加えた。その添加中、軽い発熱が観察され、それを、氷浴を用いて制御した。この投入物の添加中、37℃の最高温度が観察された。投入の完了時、その反応混合物の温度は31℃であった。その反応混合物の温度を外部熱源により35℃の温度に加熱し、この温度で3.8時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、実施例Eの付加物の存在(1646cm−1のピーク)が示された。その温度を40℃に上げ、その反応混合物をさらに4.75時間保持した。この時点でのその反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、実施例Eの付加物の消費が示された。29℃の温度で、投入物3をその反応器に加えた。投入物4をその反応混合物に7分かけて加えた。投入物4の間その反応混合物の温度範囲は、29℃と31℃の間であった。その反応混合物の温度を次いで49℃に上げ、16.8時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、アクリレートの消費が示された(1621、1635cm−1のピークがない)。得られた材料は、95.7パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、ガードナーホルトスケールでZ2の粘度、8.47ポンド/ガロンの密度、3.719meq/gの合計アミン含量、0.022meq/gの残留第一級アミン含量、3.697meq/gの第二級アミン含量、0.000meq/gの第三級アミン含量、ならびにポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、692のMおよび501のMを有することが見出された。
【0062】
(実施例G)
部分アスパルテート官能性アミンを、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
イソホロンジアミン 596.4
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 0.7
投入物2
マレイン酸ジブチル 798.0
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、およびN導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物をNブランケット下に置いた。22℃の温度で開始し、投入物2をそのフラスコに2.7時間かけて加えた。その添加中、軽い発熱が観察され、それを、氷浴を用いて制御した。この投入物の添加中、32℃の最高温度が観察された。投入の完了時、その反応混合物の温度は31℃であった。その反応混合物の温度を外部熱源により35℃の温度に加熱し、この温度で3.8時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、マレイン酸ジブチルの存在(1646cm−1のピーク)が示された。その反応混合物をさらに4.9時間にわたって加熱した。この時点でのその反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、マレイン酸ジブチルの消費が示された。得られた材料は、89.0パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、ガードナーホルトスケールでDの粘度、8.18ポンド/ガロンの密度、4.926meq/gの合計アミン含量、2.541meq/gの第一級アミン含量、2.385meq/gの第二級アミン含量、0.000meq/gの第三級アミン含量を有することが見出された。
【0063】
(実施例H)
アクリレート末端アミン付加物を、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
1,6−ヘキサメチレンジアクリレート 684.8
4−メトキシフェノール 0.5
投入物2
2,2’−ジメチル−4,4’−メチレンビス
シクロヘキシルアミン 361.2
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、および空気導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物を空気ブランケット下に置き、37℃に加熱した。投入物2をこの温度で40分かけてそのフラスコに加えた。投入物2が完了した直後、試料を取って減衰全反射(ATR)赤外線分光法により検査した。次の1.5時間を通してその反応混合物の温度を77℃まで徐々に上げた。その反応混合物をこの時点で再びATR赤外線分光法のためにサンプリングした。その反応混合物は、ATR赤外線分光法のために周期的にサンプリングしながら74〜77℃の間に12.1時間にわたって保持した。その反応は、1621および1635cm−1におけるピークのさらなる変化が無くなったとき完了したものと断定した。得られた材料は、87.6パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、ガードナーホルトスケールでZ1の粘度、2.882meq/gの合計アミン含量、0.007meq/gの第一級アミン含量、2.875meq/gの第二級アミン含量、0.000meq/gの第三級アミン含量、ポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、2070のMおよび891のM、ならびに3079のMを有することが見出された。
【0064】
(実施例I)
オリゴマーアスパルテート/アクリレートアミン硬化剤を、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
実施例Gの部分アスパルテート官能性アミン 246.3
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 0.4
投入物2
実施例Hのアクリレート末端アミン付加物 207.5
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、および空気導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物を空気ブランケット下に置き、40℃に加熱した。投入物2を40〜41℃の間で75分かけてその反応混合物に加えた。その反応温度を75℃に上げ、6.1時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、未反応のアクリレートの存在(1621、1635cm−1のピーク)が示された。その反応混合物の温度を85℃に上げ、4.8時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、アクリレートの存在が依然として示された。投入物1の追加の5.6gをその反応混合物に加え、反応をさらに4.8時間持続した。この時点で、その混合物の赤外線スペクトルはアクリレートが消費されたことを示した。得られた材料は、99.9パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、8.52ポンド/ガロンの密度、ガードナーホルトスケールでZ6の粘度、3.967meq/gの合計アミン含量、0.021meq/gの第一級アミン含量、3.855meq/gの第二級アミン含量、0.091meq/gの第三級アミン含量、ポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、2424のMおよび825のM、ならびに3896のMを有することが見出された。
【0065】
(実施例J)
アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
イソホロンジアミン 170.4
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 0.2
投入物2
マレイン酸ジブチル 114.0
ブチルアクリレート 179.2
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、およびN導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物をNブランケット下に置いた。22℃の温度で開始し、投入物2をそのフラスコに50分かけて加えた。その添加中、軽い発熱が観察された。投入の完了時、その反応混合物の温度は41℃であった。その反応混合物の温度を外部熱源により50℃の温度に加熱し、この温度で6.7時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、マレイン酸ジブチルおよびブチルアクリレートの存在(1621、1635、1646cm−1のピーク)が示された。その反応混合物の温度を70℃に上げ、4.25時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、反応が完了したことが示された。得られた材料は、97.2パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、ガードナーホルトスケールでA〜Bの粘度、8.13ポンド/ガロンの密度、4.35meq/gの合計アミン含量、0.432meq/gの残留第一級アミン含量、3.773meq/gの第二級アミン含量、0.154meq/gの第三級アミン含量、およびポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、468のMおよび438のMを有することが見出された。
【0066】
(実施例K)
アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
イソホロンジアミン 170.4
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 0.2
投入物2
ブチルアクリレート 179.2
投入物3
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 0.2
投入物4
マレイン酸ジブチル 114.0
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、およびN導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物をNブランケット下に置いた。22℃の温度で開始し、投入物2をそのフラスコに1時間かけて加えた。その添加中、軽い発熱が観察された。その投入の完了時、その反応混合物の温度は28℃であった。その反応混合物を外部熱源により35℃の温度に加熱し、この温度で3時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、ブチルアクリレートの存在(1621、1635cm−1のピーク)が示された。その反応混合物を次に50℃に加熱して3.25時間保持し、次いで70℃に加熱して4.25時間保持し、次いで80℃に加熱して1.25時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査は、アクリレートの消費を示した。その反応混合物を冷却し、38℃の温度で投入物3をその反応混合物に加えた。35℃の温度で50分かけて投入物4の添加を開始した。その添加の終了時点でその反応混合物の温度は38℃であった。その反応混合物の温度を50℃に上げ、2.9時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、反応が完了した(1646cm−1のピークがない)ことが示された。得られた材料は、95.9パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、ガードナーホルトスケールでA〜Bの粘度、8.14ポンド/ガロンの密度、4.328meq/gの合計アミン含量、0.445meq/gの残留第一級アミン含量、3.691meq/gの第二級アミン含量、0.192meq/gの第三級アミン含量、ならびにポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、458のMおよび421のMを有することが見出された。
【0067】
(実施例L)
アクリレート改変アミン硬化剤を、以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
JEFFAMINE D2000 3490.5
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 7.77
ジブチルスズジラウレート 19.4
投入物2
ブチルアクリレート 437.9
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、および空気導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物を空気ブランケット下に置いた。22℃の温度で開始し、投入物2をそのフラスコに18分かけて加えた。発熱は観察されなかった。その反応温度を70℃に上げ、2.9時間保持した。その反応混合物の赤外線スペクトルの検査により、未反応のアクリレート(1621、1635cm−1のピーク)の存在が示された。その反応混合物の温度を90℃に上げ、8.8時間保持した。この時点でその混合物の赤外線スペクトルは、アクリレートが消費されたことを示した。得られた材料は、95.4パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、ガードナーホルトスケールでG−の粘度、0.884meq/gの合計アミン含量、0.155meq/gの残留第一級アミン含量、0.702meq/gの第二級アミン含量、0.022meq/gの第三級アミン含量、ポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、2180のM、769のM、および2993のMを有することが見出された。
【0068】
Huntsman Corporation社から入手できるほぼ2000の分子量の二官能ポリオキシアルキレンアミン。
【0069】
(実施例M)
第二級非アスパルテートアミノ基を有するアスパルテート改変アミン硬化剤を以下の成分から調製した。
成分 g重量
投入物1
ジプロピレントリアミン 2292.5
2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール 10.5
投入物2
マレイン酸ジエチル 5779.2
投入物1を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、冷却器、およびN導入口を備えた適当なフラスコに加えた。その投入物をNブランケット下に置いた。22℃の温度で開始し、投入物2をそのフラスコに6時間かけて加えた。その添加中、発熱が観察された。49℃の最高温度がこの投入物の添加中に観察された。48℃の温度(投入に入って3.75時間)で冷却を気流方式でその反応器に加えた。49℃の温度(投入に入って4.5時間)で氷浴をその反応器に適用した。投入物の完了時点でその反応混合物の温度は41℃であった。その反応混合物を50℃の温度まで外部熱源により加熱し、この温度で3.6時間保持した。反応混合物の赤外線スペクトル検査により、マレイン酸ジエチルの消費(1646cm−1のピークの消失)が示された。得られた材料は、97.4パーセントの実測固形分(110℃、1時間)、ガードナーホルトスケールでEの粘度、8.93ポンド/ガロンの密度、6.303meq/gの合計アミン含量、0.298meq/gの残留第一級アミン含量、6.011meq/gの第二級アミン含量、0.044meq/gの第三級アミン含量、ならびにポリスチレン標準に対するゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、248のMおよび178のMを有することが見出された。
【0070】
(実施例1)
イソシアネート官能性「A」サイド調合物を以下の成分から調製した。
成分 重量%
TERATHANE 650 21.0
1,2−ブタンジオール 1.2
ネオペンチルグリコール 1.2
イソホロンジイソシアネート 27.1
DESMODUR N3400 49.4
Invista社から入手できるポリテトラメチレンエーテルグリコール。
Bayer Corporation社から入手できるヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネート樹脂。
【0071】
TERATHANE 650、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、および触媒量のジブチルスズジラウレート(3つのグリコールの0.013重量%)を、窒素下の適当な反応器に入れた。イソホロンジイソシアネートを、36〜37℃の温度範囲でその反応器に105分かけて加えた。50分間でその混合物の温度は52℃に上昇した。60分間でその温度は最高の125℃まで上昇した。さらに60分後得られたプレポリマーの当量は、規格内であることが見出された。その得られたプレポリマーを、71℃まで冷却し、DESMODUR N3400の87.9%に注ぎ、30分かき混ぜた。残りのDESMODUR N3400を加えて最終イソシアネート当量の264.9に調整した。
【0072】
(実施例2〜4)
顔料粉砕物を表1の調合に従って調製した。
【0073】
【表1】

Huntsman Corporation社から入手できるほぼ3000のMWのポリオキシアルキレントリアミン。
Dorf Ketal Chemicals,LLC社から入手できる第二級脂環式ジアミン。
Huntsman Corporation社から入手できる脂肪族第二級アミン。
Bayer Corporation社から入手できるアスパラギン酸エステルアミン。
Ciba Speciality Chemicals Corporation社から入手できるヒンダードアミン光安定剤。
Cabot Corporation社から入手できるカーボンブラック顔料。
10Elementis Specialities,Inc.社から入手できる有機クレーレオロジー添加剤。
【0074】
各実施例において、その成分を組み合わせてモデルM250ビーズミル(Eiger Machinery,Inc.社製)に188mLのZirconox 1.0mmビーズ(Jyoti Ceramic Industries Pvt.Ltd.社製)と共に入れ、3500rpmのミルスピードで粉砕した。その粉砕物は、粒径が、粒ゲージの細かさに関するドローダウンで7.5ヘグマンであることが見出されたとき完了したものと判定した。
【0075】
(実施例5〜8)
以下の「Bサイド」調合物を表2に示されているように製造した。
【0076】
【表2】

上の表2のBサイド調合物および実施例1のAサイド調合物を、別々の小型容器に入れ、吹付け前にオーブン中140°Fで4〜6時間加熱した。ポリ尿素コーティング組成物は、1:1の体積比のAサイド成分対各Bサイド成分をCammda Corporation社から入手できる静圧混合管塗装装置の中で混合することによって製造した。そのコーティング組成物を、電着プライマーおよびエポキシ酸透明塗料(ACT Laboratories,Inc.社から入手できるAPR26241)が被覆されている冷延鋼パネルに塗布した。そのコーティングについての粘着時間を前述の手袋をはめた手でそのパネルに周期的にタッチすることによって測定し、その手袋がコーティングにもはやくっつかなくなったとき不粘着と判断した。
【0077】
硬度値は、AサイドおよびBサイド成分を静圧混合管および「空気圧式アプリケーター」(PC Cox Limited社製)を備えた双筒式シリンジに入れ、1:1の比率の成分を型に注入し、ほぼ直径が6cm、厚さが0.2cmの丸い「パック」を形成することによって測定した。そのポリ尿素コーティングパックの周囲温度における硬度を、塗布した1日後に、モデル212ペンシルスタイルデジタルデュロメーター(Model212 Pencil Style Digital Durometer)(Pacific Transducer Corp.社製)によりショアDスケールについて測定した。そのパックを次に140°Fの「高温の部屋」に1日置き、その高温の部屋のパックが冷めるのを防ぎながら、そのコーティングのショアD硬度を測定した。そのパックをその高温の部屋から周囲温度のところに取り出し、1日後に周囲温度で再度硬度を測定した。
【0078】
イソシアネート対アミンの当量の比は、実施例5のBサイド成分を含むポリ尿素調合物については1.059、実施例6のBサイド成分を含むポリ尿素調合物については1.072、実施例7のBサイド成分を含むポリ尿素調合物については1.092、実施例8のBサイド成分を含むポリ尿素調合物については1.082であると計算された。
【0079】
ポリ尿素コーティングの以下の特性が測定された。
【0080】
【表3】

本発明の特定の実施形態を説明のために記述してきたが、当業者には本発明の細部の多数の変形が添付の特許請求の範囲で定義されている本発明から逸脱することなく案出することができることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリアミン、
b)マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル、ならびに
c)(メタ)アクリレート
の反応生成物を含む(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤。
【請求項2】
前記マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルが、マレイン酸ジエチルまたはマレイン酸ジブチルを含む、請求項1に記載のアミン硬化剤。
【請求項3】
前記マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルが、ヒドロキシル基を含む、請求項1に記載のアミン硬化剤。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレートが、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、および/またはメチルメタクリレートを含む、請求項1に記載のアミン硬化剤。
【請求項5】
前記ポリアミンが、イソホロンジアミンを含む、請求項1に記載のアミン硬化剤。
【請求項6】
前記ポリアミンが、2,2’−ジメチル−4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミンを含む、請求項1に記載のアミン硬化剤。
【請求項7】
前記ポリアミンが、ポリエーテルジアミンを含む、請求項1に記載のアミン硬化剤。
【請求項8】
ポリアミン:マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルの当量比が、1:0.1から1:0.3の間であり、ポリアミン:(メタ)アクリレートの当量比が、1:0.9から1:0.7である、請求項1に記載のアミン硬化剤。
【請求項9】
前記反応生成物が、マレイン酸ジアルキルまたはフマル酸ジアルキルのジオール、トリオール、もしくはテトラオールとのエステル交換によって調製された不飽和オリゴエステルまたはマレイン酸もしくはフマル酸のジオール、トリオール、もしくはテトラオールとの直接エステル化によって調製された不飽和オリゴエステルを含まない、請求項1に記載のアミン硬化剤。
【請求項10】
アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤を調製する方法であって、
a)ポリアミン、
b)マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキル、ならびに
c)(メタ)アクリレート
を反応させるステップを含む方法。
【請求項11】
前記ポリアミンを、最初にマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルと反応させ、次に(メタ)アクリレートと反応させる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリアミンを、最初に(メタ)アクリレートと反応させ、次にマレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルと反応させる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記アミンを、マレイン酸ジアルキルおよび/またはフマル酸ジアルキルならびに(メタ)アクリレートと同時に反応させる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の前記(メタ)アクリレート/アスパルテートアミン硬化剤とイソシアネートとの反応生成物を含むポリ尿素。
【請求項15】
前記イソシアネートが、プレポリマーを含む、請求項14に記載のポリ尿素。
【請求項16】
前記イソシアネートプレポリマーが、イソシアネートおよびポリエーテルポリオールを含む、請求項15に記載のポリ尿素。
【請求項17】
前記イソシアネートプレポリマーが、イソシアネートおよびポリエーテルアミンを含む、請求項15に記載のポリ尿素。
【請求項18】
前記反応生成物が、マレイン酸ジアルキルまたはフマル酸ジアルキルのジオール、トリオール、もしくはテトラオールとのエステル交換によって調製された不飽和オリゴエステルまたはマレイン酸もしくはフマル酸のジオール、トリオール、もしくはテトラオールとの直接エステル化によって調製された不飽和オリゴエステルを含まない、請求項14に記載のポリ尿素。
【請求項19】
1つまたは複数の追加のアミンをさらに含む、請求項14に記載のポリ尿素。
【請求項20】
前記追加のアミンが、
a.構造
【化2】

(式中、R3〜R6は、独立して、C1〜C10アルキルである)
のジアミン、
b.構造
【化3】

(式中、R7〜R10は、独立して、C1〜C10アルキルである)
のジアミン、
c.第一級および/または第二級アミノ基を含むポリオキシアルキレンジアミンおよび/またはポリオキシアルキレントリアミン、
d.イソシアネートと反応するその他の官能基を持たないアスパラギン酸エステル官能性ジアミン、ならびに/あるいは
e.ジプロピレントリアミンとマレイン酸ジエチルおよび/またはマレイン酸ジブチルとの反応生成物
を含む、請求項19に記載のポリ尿素。
【請求項21】
請求項14に記載の前記ポリ尿素を含むコーティング組成物。
【請求項22】
請求項18に記載の前記ポリ尿素を含むコーティング組成物。
【請求項23】
請求項21に記載の前記コーティング組成物により少なくとも一部が被覆されている基材。
【請求項24】
前記基材が、乗物の少なくともを構成する、請求項23に記載の基材。
【請求項25】
前記乗物がトラックであり、前記乗物の一部がトラックの荷台を含む、請求項24に記載の基材。
【請求項26】
前記基材が、建造物の少なくとも一部を構成する、請求項23に記載の基材。
【請求項27】
イソシアネート基当量のアミン基当量に対する比が、1より大きく、前記イソシアネートおよびアミンを1:1の体積混合比で基材に塗布することができる、請求項14に記載のポリ尿素。
【請求項28】
前記追加のアミンが、
【化4】

を含み、前記ポリ尿素が、140°Fで測定したとき、少なくとも30のショアD硬度を有する、請求項19に記載のポリ尿素。
【請求項29】
前記ポリ尿素が塗布される前に、前記トラックの荷台が、硬化後低い表面官能性を有する透明塗料により少なくとも一部被覆されている、請求項25に記載の基材。
【請求項30】
請求項19に記載の前記ポリ尿素を含むコーティング組成物。
【請求項31】
アミンのイソシアネートに対する反応指数が1.01〜1.5:1であり、前記指数が、前記アミン硬化剤および前記1つまたは複数の追加のアミンの当量の合計に基づいて計算される、請求項30に記載のコーティング。


【公表番号】特表2010−513691(P2010−513691A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543065(P2009−543065)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/087092
【国際公開番号】WO2008/076714
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ インコーポレーテツド (267)
【Fターム(参考)】