説明

(+)−1,4−ジヒドロ−7−[(3S,4S)−3−メトキシ−4−(メチルアミノ)−1−ピロリジニル]−4−オキソ−1−(2−チアゾリル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸の製造方法

(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸の製造方法が開示される。また、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を含む医薬組成物、及びこのような組成物を使用する治療方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1. 関連出願)
本出願は、「ボレロキシンの製造方法(METHOD OF PREPARING VORELOXIN)」という題名の2008年12月31日に出願の米国仮出願第61/141,856号に対する優先権を主張する。上述した出願の開示は、その全体が本明細書において参照により組み込まれる。
【0002】
(2. 分野)
(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1−ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を製造するための方法、該化合物の製造において有用な中間体を製造するための方法、該化合物を含む組成物、癌の治療のためのこのような組成物の使用方法、及びSNS-595の製造において該中間体を使用する方法が本明細書に提供される。
【背景技術】
【0003】
(3. 背景)
下記構造:
【化1】

を有する化合物(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸は、SNS-595、又はAG-7352としても公知である。米国採用名称会議(The United States Adopted Names Council:USANC)は、この化合物に名称「ボレロキシン」を割り当てた。
【0004】
SNS-595は、その抗腫瘍活性に関して公知である(Tsuzukiらの文献、J. Med. Chem., 47:2097-2106、2004、及びTomitaらの文献、J. Med. Chem., 45:5564-5575、2002を参照されたい)。SNS-595による種々の癌の治療が文献において提唱されており、種々の癌細胞株、及び異種移植に対して前臨床活性が示されている。この化合物の使用のための種々の投薬処方計画が報告されている。例えば、その全てが参照により本明細書にその全体が組み込まれる米国特許出願番号2005-0203120 A1;2005-0215583 A1、及び2006-0025437 A1を参照されたい。SNS-595は、現在、ヒト癌患者における安全性、及び有効性を評価するために臨床治験において試験されており、急性骨髄性白血病、及び卵巣癌に対して臨床活性が証明された。
【0005】
SNS-595は、当業者に公知の技術を使用して製造することができる。例えば、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる1998年10月6日に発行された米国特許第5,817,669号、1998年6月26日に公開された日本特願平10-173986号、WO 2007/146335、Tsuzukiらの文献、J. Med. Chem., 47:2097-2106、2004、及びTomitaらの文献、J. Med. Chem., 45:5564-5575、2002を参照されたい。
【0006】
SNS-595を製造する従来法は、SNS-595合成プロセスの間に生じる副反応により生じるか、又は反応していないままである試薬のいずれかであるその他の化合物を含む組成物を生成し得る。
【0007】
2007年12月21日に公開された国際特許出願WO2007/146335は、SNS-595、及び(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を含む組成物の製造を記述し、これは、その中で「N-デスメチル」化合物と記述されている。N-デスメチル化合物が細胞毒性アッセイにおいて活性なことを示すことを示唆するデータがある。N-デスメチル化合物は、SNS-595を合成するための従来のアプローチの顕著な副生成物である。
【0008】
従って、面倒な精製工程を必要とすることなく癌の治療のための医薬組成物への製剤化に十分に適した実質的に純粋な形態の化合物を提供するために、混入物を実質的に含まないSNS-595を製造するための改善された方法に対する需要が残っている。
【発明の概要】
【0009】
(4. 概要)
特定の副生成物がSNS-595製剤に存在することが公知であるが、最終的な薬物生成物におけるそのようなものの量を減少させることが重要である。癌患者は、有意な化学療法、及び放射線を受けて、免疫系を損ない得ることが多いので、癌患者に高度に純粋な薬物を送達することは有益である。更に、非経口的投与については、薬物が直接血流の中に入るので、送達される薬物の純度、及び割合は、極めて重要である。その結果、実質的に純粋なSNS-595を生成することができる方法が本明細書において記述される。加えて、提供される方法は、実質的に純粋なSNS-595を商業的に製造するほどまでスケールアップすることができる。
【0010】
一つの実施態様において、SNS-595の製造において必要とされる中間体を製造するための方法が本明細書に提供される。
【0011】
特定の実施態様において、SNS-595の製造のための方法が本明細書に提供される。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、SNS-595、及びN-デスメチル-SNS-595を含む組成物を生成する。一つの実施態様において、SNS-595の製造において有用な中間体を製造するための方法が本明細書に提供される。
【0012】
一つの実施態様において、スキーム1、及び2にて図示したように、SNS-595を製造するための方法が本明細書に提供される。
(スキーム1)
【化2】

【0013】
この経路において、化合物4は、メチルアミンによるエポキシド(化合物3)の求核開裂によって得られ、これにより不完全なメチル化により生じる不純物を除去する。特定の実施態様において、化合物2は、メチルアミン、及び炭酸水素ナトリウムなどの塩基での処理によって、化合物4に直接変換される。化合物4は、L-(-)-リンゴ酸、又はL-(-)-ピログルタミン酸などのキラル酸との反応によって分割されて、キラル塩を形成する。
【0014】
次いで、スキーム1、又はその他に従って製造された化合物8を、スキーム2にて図示したように、7-クロロ-4-オキソ-1-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロ-[1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸エチルエステルと反応させて、SNS-595を得る。
(スキーム2)
【化3】

【0015】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、組成物の総重量の、少なくとも約99.5%のSNS-595、及び約0.5%未満の不純物を含む組成物を生成し、割合は、組成物の総重量に基づく。特定の実施態様において、組成物は、組成物の総重量の、少なくとも約99.5%のSNS-595、及び約0.5%未満のN-デスメチル-SNS-595を含み、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。特定の実施態様において、組成物は、組成物の総重量の、少なくとも約99.5%のSNS-595、及び約0.5%未満のO-デスメチル-SNS-595を含み、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。特定の実施態様において、組成物は、組成物の総重量の、少なくとも約99.5%のSNS-595、並びに約0.5%未満の総O-デスメチル-SNS-595、及びN-デスメチル-SNS-595を含み、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。特定の実施態様において、組成物は、組成物の総重量の、少なくとも約99.5%のSNS-595、及び約0.5%未満のN,0-ビスデスメチル-SNS-595を含み、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。特定の実施態様において、組成物は、組成物の総重量の、少なくとも約99.5%のSNS-595、並びに約0.5%未満の総O-デスメチル-SNS-595、N-デスメチル-SNS-595、及びN,O-ビスデスメチル-SNS-595を含み、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。
【0016】
特定の実施態様において、実質的に純粋なSNS-595を製造するためのスケールアップ方法が本明細書に提供される。
【0017】
特定の実施態様において、組成物は、ヒト、又はその他の対象において1つ以上の癌を治療し、予防し、又は管理する方法において有用である。
【0018】
特定の実施態様において、癌の治療のための実質的に純粋なSNS-595を含む医薬組成物が本明細書に提供される。本明細書に提供される方法を使用して治療し、予防し、又は管理することができる癌のタイプは、固形腫瘍、及び血液由来腫瘍を含むが、限定されない。
【0019】
また、本明細書において記述される組成物、及び化合物を製造する方法が提供される。特定の実施態様において、SNS-595を製造するのに有用な中間体が本明細書に提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(5. 詳細な説明)
(5.1 定義)
別途定義されない限り、本明細書において使用される全ての専門用語、及び科学用語は、共通に当業者によって理解されているのと同じ意味を有する。全ての特許、出願、公開された出願、及びその他の刊行物は、これらの全体が参照により組み込まれる。本明細書において用語に対して複数の定義がある場合、明記しない限りこの説におけるものを特に優先する。
【0021】
本明細書に使用される、「保護基」は、分子における活性基のための十分に認識された保護基のいずれかである。本明細書に記述した方法において、遊離基は、ヒドロキシル、アミノ、及びカルボキシを含む。例示的な保護基は、ベンジルオキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル等を含むが、限定されない。本明細書に使用される、「保護反応」は、活性基との望ましくない反応を回避するために活性基が保護基でブロックされる反応をいう。本明細書に使用される、「保護すること」は、活性基との望ましくない反応を回避するために保護基で化合物上の活性基をブロックすることをいう。本明細書に使用される、「脱保護反応」は、活性基を再生するために保護基が除去される反応をいう。本明細書に使用される、「脱保護すること」は、活性基を再生するために化合物上の保護基を除去することをいう。例えば、t-ブトキシカルボニル保護基は、HCl/MeOH、トリメチルシラン、又はp-トルエンスルホン酸一水和物などの脱保護試薬との反応によってアミノ基から除去することができる。
【0022】
本明細書に使用される、「エポキシド開裂」は、遊離ヒドロキシル基を含む化合物を生成するために、エポキシド環が一級アミン、例えばメチルアミンなどの、求核試薬で開裂される反応をいう。
【0023】
本明細書に使用される、「メチル化」は、遊離ヒドロキシル基、又はアミン基がメチル化剤との反応を受けて、水素がメチル基によって置換される反応をいう。メチル化反応は、例えば、硫酸ジメチルで達成することができる。
【0024】
本明細書に使用される、「メチル化すること」は、メチル化剤との反応を介してメチル基によってヒドロキシル基、又はアミン基における水素を置換することをいう。メチル化反応は、例えば、硫酸ジメチルで達成することができる。
【0025】
本明細書に使用される「分割」、又は「キラル分割」は、ラセミ化合物のこれらのエナンチオマーへの分離のための方法をいう。
【0026】
本明細書に使用される、「分割すること」はラセミ化合物を、そのエナンチオマーに分離することをいう。
【0027】
本明細書に使用される「商業的スケール」、又は「プロセススケール」は、1キログラムを上回るSNS-595を生成するSNS-595のための方法をいう。
【0028】
本明細書に使用される、「不純物」は、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-メチルアミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸以外の化学種をいう。
【0029】
本明細書に使用される、「SNS-595」は、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-メチルアミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸、並びにその化合物の任意のイオン形態、塩、溶媒和物、例えば水和物、又はその混合物を含むその他の形態を意味する。従って、SNS-595を含む組成物は、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-メチルアミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸、又はそのイオン形態、塩、溶媒和物、例えば、水和物、又は化合物のその他の形態を含んでいてもよい。一部の実施態様において、SNS-595は、医薬として許容し得る塩として提供される。
【0030】
本明細書に使用される、「SNS-595物質」は、組成物の総重量に基づいて0.5%未満(質量による)の任意のその他の個々の化合物、又は不純物を含む(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-メチルアミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸から本質的になる組成物を意味する。一部の実施態様において、本明細書に提供される化学的方法は、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、又は0.05%未満の1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を含むSNS-595物質のキログラムスケール合成を可能にし、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。一部の実施態様において、本明細書に提供される化学的方法は、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、又は0.05%未満の1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-オキシ-4-メチルアミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を含むSNS-595物質のキログラムスケール合成を可能にし、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。一部の実施態様において、本明細書に提供される化学的方法は、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、又は0.05%未満の1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸、及び1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-オキシ-4-メチルアミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を含むSNS-595物質のキログラムスケール合成を可能にし、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。
【0031】
本明細書に使用される、「SNS-595活性成分」、又は「SNS-595API(活性医薬品成分)」は、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-メチルアミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸、及び0.1%未満の1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸、及び/又は1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-オキシ-4-メチルアミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を含む組成物を意味し、割合は、組成物の総重量に基づく。
【0032】
本明細書に使用される、「N-デスメチル-SNS-595」は、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸をいい、下記の化学構造を有する。
【化4】

【0033】
「O-デスメチル-SNS-595」は、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-ヒドロキシ-4-メチルアミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸をいい、下記の化学構造を有する。
【化5】

【0034】
「N,O-ビスデスメチル-SNS-595」は、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-ヒドロキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸をいい、下記の化学構造を有する。
【化6】

【0035】
本明細書に使用される、「SNS-595製品」は、水中に調製された約10mg/mL SNS-595API、約45mg/mL D-ソルビトール、及び有機酸を含むSNS-595の水性組成物を意味し、該組成物のpHは約2.3〜2.7である。一部の実施態様において、有機酸は、メタンスルホン酸である。一部の実施態様において、SNS-595製品のpHは、約2.5である。一部の実施態様において、SNS-595製品は、無菌である。
【0036】
本明細書に使用される、「組成物」は、SNS-595、及びチアゾリル-オキソ-ナフチリジン-3-カルボン酸骨格を有する不純物の組成物をいう。このような不純物は、N-デスメチル-SNS-595、O-デスメチル-SNS-595、及びN,O-ビスデスメチル-SNS-595を含む。
【0037】
本明細書に使用される、SNS-595に関して「実質的に純粋」という用語は、SNS-595の重量の、少なくとも約99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、又は約100%までを含み、残りがその他の化学種を含む組成物をいう。本明細書に提供されるSNS-595の純度は、このような純度を評価する当業者によって使用される高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)などの、標準分析法によって決定することができる。特定の実施態様において、SNS-595は、十分に純粋であり、その結果、さらなる精製により、化合物の生物学的活性などの、物理的、及び化学的特性を検出可能的に変化させないだろう。
【0038】
本明細書に使用される、「エナンチオマー的に純粋なSNS-595」は、(-)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を実質的に含まない(すなわち、エナンチオマー過剰の)SNS-595をいう。言い換えると、SNS-595は、(-)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を実質的に含まず、従って、「(-)」形態のエナンチオマー過剰である。「エナンチオマー的に純粋」、又は「純粋なエナンチオマー」という用語は、化合物が重量の約95%、96%、97%、98%、99%、99.5、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%を超える(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を含むことを意味する。
【0039】
本明細書に使用され、及び特に明記しない限り、「治療」、「治療すること」、及び「治療」という用語は、疾患、又は治療される疾患若しくは状態と関連する症候の重症度を軽減し、又は減少させることをいう。
【0040】
本明細書に使用される、「予防する」、「予防」、及び該語のその他の形態は、疾患、若しくは障害、又は特定の疾患、若しくは障害の症候の発症、又は進行の阻害を含む。一部の実施態様において、癌の家族病歴をもつ患者は、予防処方計画のための候補である。一般に、癌の状況において、「予防する」という用語は、特に癌のリスクのある患者において、癌の徴候、又は症候の発症より前の薬物の投与をいう。
【0041】
本明細書に使用され、及び特に明記しない限り、「管理する」という用語は、特定の疾患、又は障害の、それに罹患した患者における再発を予防すること、疾患、又は障害に罹患した患者が寛解期のままである時間を長くすること、患者の死亡率を減少すること、及び/又は管理される疾患若しくは状態に関連する重症度の減少、又は症候の回避を維持することを包含する。
【0042】
本明細書に使用される、「対象」は、動物、典型的にはヒトを含む哺乳動物を意味する。本明細書に使用される、「患者」は、ヒト対象を意味する。
【0043】
本明細書に使用される、「癌」という用語は、固形腫瘍、及び血液由来腫瘍を含むが、限定されない。一部の実施態様において、癌は、癌腫、又は肉腫でもよい。特定の実施態様において、癌は、白血病、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫)、又は骨髄腫などの血液系悪性腫瘍である。特定の実施態様において、白血病は、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、及び急性骨髄芽球白血病である。特定の実施態様において、癌は、固形腫瘍を含む。特定の実施態様において、癌は、膀胱癌、脳癌(例えば、神経膠星状細胞腫、神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、又はその他)、骨癌(例えば、骨肉腫)、乳癌、子宮頸癌、胆管癌、消化管癌(例えば、口頭癌、食道癌、胃癌、結腸癌、又は直腸癌)、頭頚部癌、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肝癌、肺癌(小細胞、又は非小細胞)、メラノーマ、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭癌、神経内分泌癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌、紡錘体細胞癌、精巣癌、甲状腺癌、又は子宮癌(例えば、子宮体癌)である。特定の実施態様において、癌は、以前の療法後に再発され得るか、又は従来の療法に対して不応性であり得る。特定の実施態様において、癌は、汎発性、又は転移性であり得る。
【0044】
本明細書に使用される、「前癌状態」という用語は、癌性に向かうか、若しくはそうなる可能性が高い状態、異常な組織成長、又は病変を意味する。前癌状態は、例えば、化学線角化症、結腸腺腫性ポリープ、頚部異形成、並びに骨髄繊維症、無形成性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、真性赤血球増加症、及び骨髄異形成症候群などの先の血液疾患を含む。
【0045】
本明細書に使用される、「再発」という用語は、癌療法の結果として以前に癌の改善、又は緩解があった対象において癌徴候、又は症候がもどることを意味する。
【0046】
本明細書に使用される、「不応性」という用語は、癌が癌療法に耐性である、又はそれに耐性を持つようになることを意味する。
【0047】
本明細書に使用され、及び特に明記しない限り、化合物の「治療上有効量」、及び「有効量」という用語は、治療される疾患、若しくは障害と関連する1つ以上の症候を遅延させ、又は最小化するために、疾患の治療、予防、及び/又は管理において治療的な利益を提供するために十分な量をいう。「治療上有効量」、及び「有効量」という用語は、全体の療法を改善し、症候、若しくは疾患若しくは障害の原因を減少させ、又は回避し、又は別の治療的薬剤の治療有効性を増強する量を包含することができる。
【0048】
本明細書に使用され、及び特に明記しない限り、「医薬として許容し得る塩」という用語は、本明細書に提供される化合物に存在し得る、酸性、又は塩基性の基の塩を含むが、限定されない。特定の酸性条件下で、化合物は、種々の無機酸、及び有機酸との広範な塩を形成することができる。塩基性化合物の医薬として許容し得る塩を製造するために使用することができる酸は、アセタート、ベンゼンスルホナート、ベンゾアート、ビカルボナート、ビタルトラート、ブロミド、カルシウムエデタート、カンシラート、カルボナート、クロライド、ブロミド、ヨージド、シトラート、ジヒドロクロリド、エデタート、エジシラート、エストラート、エシラート、フマラート、グルセプタート、グルコナート、グルタメート、グリコリルアルサニラート、ヘキシルレゾルシナート、ヒドラバミン、ヒドロキシナフトアート、イセチオナート、ラクタート、ラクトビオナート、マラート、マレアート、マンデラート、メタンスルホナート(メシラート)、メチルスルファート、ムスカート、ナプシラート、ニトラート、パントテナート、ホスファート/ジホスファート、ポリガラクツロナート、サリチラート、ステアラート、スクシナート、スルファート、タンナート、タルトラート、テオクラート、トリエチルヨージド、及びパモアートを含むが限定されない薬理学的に許容し得るアニオンを含む塩を形成するものである。特定の塩基性条件下で、化合物は、種々の薬理学的に許容し得るカチオンと塩基性塩を形成することができる。このような塩の非限定的な例は、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属の塩、及び特に、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウム、及び鉄の塩を含む。
【0049】
本明細書に使用され、及び特に明記しない限り、「水和物」という用語は、SNS-595、又はその塩を意味し、更に非共有分子間力によって結合された水の化学量論的、又は非化学量論的な量を含む。SNS-595の水和物は、結晶性、又は非結晶性であってよい。
【0050】
本明細書に使用され、及び特に明記しない限り、「溶媒和物」という用語は、本明細書に提供される化合物に対する1つ以上の溶媒分子の会合により形成される溶媒和物を意味する。「溶媒和物」という用語は、水和物(例えば、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物等)を含む。SNS-595の溶媒和物は、結晶性で、又は非結晶性であってよい。
【0051】
本明細書に使用される、移行句「から本質的になる」は、請求の範囲を、特定の材料、及び請求された主題の基本的、及び新規な特徴(類)に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。
【0052】
「同時投与」、及び「と組み合わせて」という用語は、特定の制限時間を伴わずに、同時に、並行して、又は連続してのいずれかでの2つの治療的薬剤(例えば、SNS-595、又は本明細書に提供される組成物、及び別の抗癌剤、又は第2の薬剤)の投与を含む。一つの実施態様において、両薬剤は、同時に細胞に、若しくは患者の体に存在するか、又は同時にこれらの生物学的、若しくは治療的効果を及ぼす。一つの実施態様において、2つの治療的薬剤は、同じ組成物、又は単位剤形中にある。別の実施態様において、2つの治療的薬剤は、別々の組成物、又は単位剤形中にある。
【0053】
「補助的治療薬」という用語は、SNS-595治療の有害な、又は望まれない効果を治療し、予防し、管理し、減少させ、又は回避する任意の物質をいう。
【0054】
(5.2 化合物、及び組成物)
特定の実施態様において、SNS-595の製造のための方法が本明細書に提供される。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、SNS-595物質を生成する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、SNS-595、N-デスメチル-SNS-595、及びO-デスメチル-SNS-595を含む組成物を生成する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、実質的に純粋なSNS-595を含む組成物を生成する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、SNS-595、N-デスメチル-SNS-595、及びO-デスメチル-SNS-595から本質的になる組成物を生成する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、SNS-595、及びN-デスメチル-SNS-595を含む組成物を生成する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、SNS-595、及びN-デスメチル-SNS-595から本質的になる組成物を生成する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、SNS-595、及びO-デスメチル-SNS-595を含む組成物を生成する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、SNS-595、及びO-デスメチル-SNS-595から本質的になる組成物を生成する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、SNS-595、及びN,O-ビスデスメチル-SNS-595を含む組成物を生成する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、SNS-595、及びN,O-ビスデスメチル-SNS-595から本質的になる組成物を生成する。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、SNS-595、N-デスメチル-SNS-595、O-デスメチル-SNS-595、及びN,O-ビスデスメチル-SNS-595から本質的になる組成物を生成する。
【0055】
特定の実施態様において、本明細書に提供される組成物は、組成物の総重量の、少なくとも約99.5%のSNS-595、及び約0.5%未満の不純物から本質的になり、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。特定の実施態様において、本明細書に提供される組成物は、組成物の総重量の、少なくとも約99.5%のSNS-595、及び約0.5%未満のN-デスメチル-SNS-595から本質的になり、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。一つの実施態様において、少なくとも99.9%のSNS-595、及び約0.1%未満のN-デスメチル-SNS-595から本質的になる組成物が本明細書に提供される。一つの実施態様において、少なくとも99.95%のSNS-595、及び約0.05%未満のN-デスメチル-SNS-595から本質的になる組成物が本明細書に提供される。一つの実施態様において、組成物は、組成物の重量の、少なくとも約99.96%、少なくとも約99.97%、少なくとも約99.98%、少なくとも約99.99%のSNS-595から本質的になる。特定の実施態様において、組成物におけるSNS-595、及びN-デスメチル-SNS-595の割合は、2つの成分の総重量に基づく。
【0056】
特定の実施態様において、SNS-595、及び約0.05重量%未満のN-デスメチル-SNS-595から本質的になる組成物が本明細書に提供される。一つの実施態様において、組成物は、SNS-595、及び組成物の総重量に基づいて約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、又は0.05%未満のN-デスメチル-SNS-595から本質的になる。
【0057】
特定の実施態様において、本明細書に提供される組成物は、組成物の総重量の、少なくとも約99.5%のSNS-595、及び約0.5%未満のO-デスメチル-SNS-595から本質的になり、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。一つの実施態様において、少なくとも約99.9%のSNS-595、及び約0.1%未満のO-デスメチル-SNS-595から本質的になる組成物が本明細書に提供される。一つの実施態様において、少なくとも約99.95%のSNS-595、及び約0.05%未満のO-デスメチル-SNS-595から本質的になる組成物が本明細書に提供される。一つの実施態様において、組成物は、組成物の重量の、少なくとも約99.96%、少なくとも約99.97%、少なくとも約99.98%、少なくとも約99.99%のSNS-595から本質的になる。特定の実施態様において、組成物におけるSNS-595、及びO-デスメチル-SNS-595の割合は、2つの成分の総重量に基づく。
【0058】
特定の実施態様において、SNS-595、及び約0.05重量%未満のO-デスメチル-SNS-595から本質的になる組成物が本明細書に提供される。一つの実施態様において、組成物は、SNS-595、及び組成物の総重量に基づいて約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、又は0.05%未満のO-デスメチル-SNS-595から本質的になる。
【0059】
特定の実施態様において、本明細書に提供される組成物は、SNS-595、及び組成物の総重量の、約0.5%、0.3%、0.1%、0.05%、0.03%、又は0.01%未満のN-デスメチル-SNS-595とO-デスメチル-SNS-595との総量から本質的になり、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。
【0060】
特定の実施態様において、組成物は、組成物の総重量の、少なくとも約99.5%のSNS-595、及び約0.5%、0.3%、0.1%、0.05%、0.03%、又は0.01%未満のN,O-ビスデスメチル-SNS-595から本質的になり、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。特定の実施態様において、組成物におけるSNS-595、及びN,O-ビスデスメチル-SNS-595の割合は、2つの成分の総重量に基づく。
【0061】
特定の実施態様において、本明細書に提供される組成物は、SNS-595、及び組成物の総重量の、約0.5%、0.3%、0.1%、0.05%、0.03%、又は0.01%未満のN-デスメチル-SNS-595、O-デスメチル-SNS-595、及びN,O-ビスデスメチル-SNS-595の総量から本質的になり、それぞれの割合は、組成物の総重量に基づく。特定の実施態様において、組成物におけるSNS-595、N-デスメチル-SNS-595、O-デスメチル-SNS-595、及びN,O-ビスデスメチル-SNS-595の割合は、4成分の総重量に基づく。
【0062】
特定の実施態様において、本明細書に提供されるSNS-595物質は、プロセススケールで合成することができる。
【0063】
特定の実施態様において、本明細書に提供されるSNS-595物質は、対象における1つ以上の癌を治療し、予防し、又は管理する方法において有用である。
【0064】
一つの実施態様において、SNS-595物質を投与することを含む1つ以上の癌の治療、予防、又は寛解の方法が本明細書に提供される。
【0065】
また、式5A及び5Bの化合物、並びに該化合物を製造する方法が本明細書に提供される。
【化7】

【0066】
特定の実施態様において、化合物5A及び化合物5Bは、SNS-595の合成における中間体として有用である。
【0067】
(5.3 製造方法)
SNS-595は、実施例3に記載されているように(3S,4S)-4-メトキシ-N-メチルピロリジン-3-アミン・2TsOH、及び7-クロロ-4-オキソ-1-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロ-[1,8]ナフチリジン-3-カルボン酸エチルエステルから製造することができる。
【0068】
一つの実施態様において、本明細書に提供されるSNS-595の製造のための化学的方法は、約0.5%未満の不純物を含む少なくとも約99.5%のSNS-595から本質的になるSNS-595物質を生成する。別の実施態様において、化学的方法は、約0.3%の不純物を含む少なくとも約99.7%のSNS-595、少なくとも約99.9%のSNS-595及び約0.1%未満の不純物、少なくとも約99.95%のSNS-595及び約0.05%未満の不純物、少なくとも約99.97%のSNS-595及び約0.03%未満の不純物、少なくとも約99.98%のSNS-595及び約0.02%未満の不純物、又は少なくとも約99.99%のSNS-595及び約0.01%未満の不純物から本質的になるSNS-595物質を生成する。
【0069】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、約0.1%未満のN-デスメチル-SNS-595を含むSNS-595から本質的になるSNS-595物質を生成する。一つの実施態様において、本明細書に提供される方法は、組成物の総重量に基づいて、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、又は0.05%未満のN-デスメチル-SNS-595を含むSNS-595から本質的になるSNS-595物質を生成する。
【0070】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、約0.1%未満のO-デスメチル-SNS-595を含むSNS-595から本質的になるSNS-595物質を生成する。一つの実施態様において、本明細書に提供される方法は、組成物の総重量に基づいて、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、又は0.05%未満のO-デスメチル-SNS-595を含むSNS-595から本質的になるSNS-595物質を生成する。
【0071】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、約0.1%未満のN-デスメチル-SNS-595及びO-デスメチル-SNS-595の総量を含むSNS-595から本質的になるSNS-595物質を生成する。一つの実施態様において、本明細書に提供される方法は、組成物の総重量に基づいて、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、又は0.05%未満のN-デスメチル-SNS-595及びO-デスメチル-SNS-595の総量を含むSNS-595から本質的になるSNS-595物質を生成する。
【0072】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、約0.1%未満のN,O-ビスデスメチル-SNS-595を含むSNS-595から本質的になるSNS-595物質を生成する。一つの実施態様において、本明細書に提供される方法は、組成物の総重量に基づいて、約0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、又は0.05%未満のN,O-ビスデスメチル-SNS-595を含むSNS-595から本質的になるSNS-595物質を生成する。
【0073】
(3S,4S)-4-メトキシ-N-メチルピロリジン-3-アミン・2TsOHの製造のためにいくつかの方法が文献において報告されている(米国第5,817,669号、WO 2007/146335、Tsuzukiらの文献、J. Med. Chem., 47:2097-2106、2004、及びTomitaらの文献、J. Med. Chem., 45:5564-5575、2002を参照されたい)。これらの方法は、化合物8のN-デスメチル-、及びO-デスメチル-類似体、並びにその他を含む不純物の有意なレベルが混入した生成物を提供し得る。このような方法は、スキーム3に図示してある。
スキーム3
【化8】

【0074】
これまでに報告されたとおり(例えば、WO 2007/146335、Tsuzukiらの文献、J. Med. Chem, 47:2097-2106、2004、及びTomitaらの文献、J. Med. Chem., 45:5564-5575、2002を参照されたい)、この方法のスケールアップの間に、1.5%までの4-メトキシピロリジン-3-アミン、すなわち、N-デスメチル-化合物8不純物が、おそらくINT 12工程におけるINT11の不完全なメチル化の結果として観察された。この不純物は、スキーム4で示したように、SNS-595の合成の間に公知の不純物、N-デスメチル-SNS-595に変換される。
(スキーム4)
【化9】

【0075】
加えて、本方法は、再現性がなく、不純物の収率及び量は、温度及び反応時間のわずかな変動によって影響を受けた。二量体及び三量体不純物(これは、除去するのが困難だった)は、わずかに高い温度、及びより長い保持時間にて形成された。多くの例において、生成物を結晶化するのが困難であるほど不純物のレベルが高く、かつ収率が低かった。
【0076】
表1は、スキーム3に図示した合成経路についての不純物プロフィールを提供する。
【表1】

【0077】
表1において、「N,O-」は、下記式を有する、N,O-ビス-デスメチル-化合物8をいい、
【化10】

「O-」は、下記式を有するO-デスメチル-化合物8をいい、
【化11】

「N-」は、下記式を有するN-デスメチル-化合物8をいい、かつ
【化12】

「NR」は、データが報告されていなかったことを意味する。
【0078】
特定の実施態様において、N-デスメチル-化合物8不純物を生じる不完全なメチル化を減少させ、又は排除するようにデザインされたSNS-595製造のための方法が本明細書に提供される。例示的な方法をスキーム1に示してある。
(スキーム1)
【化13】

【0079】
スキーム1において、Nメチル基は、メチル化によってではなく、メチルアミンによるエポキシドの求核開裂によって導入され、これによって、不完全なメチル化により生じる不純物を排除する。
【0080】
特定の実施態様において、メチルアミンは、検出可能な量のアンモニアを含まない。このような実施態様において、化合物4は、対応するN-デス-メチル不純物を含まない。特定の実施態様において、メチルアミンは、約1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、若しくは0.1%未満、又はそれ以下のアンモニアを含む。
【0081】
存在するいずれの不純物も、化合物4、化合物5A、及び/又は化合物6工程における結晶化によって除去することができる。
【0082】
スキーム1にて図示したように、中間体化合物4は、市販のBoc-3-ピロリン(化合物1)からの方法によって製造することができ、例えば、Tetrahedron Asymmetry, 12(2002)2989-2997を参照されたい。
【0083】
中間体化合物4は、キラル酸と複合体を形成することによって分離することができる。当業者によって適切と考えられる任意のキラル酸を使用することができる。例示的なキラル酸は、リンゴ酸、ピログルタミン酸(PGA)、酒石酸、ジ-p-トルオイル酒石酸(DTTA)、カンファースルホン酸(CSA)、及びマンデル酸を含むが、限定されない。
【0084】
一つの実施態様において、キラル酸は、L-(-)-リンゴ酸、又はL-(-)-ピログルタミン酸である。一つの実施態様において、L-(-)-リンゴ酸は、化合物4と反応して化合物5Aを形成する。一つの実施態様において、L-(-)-ピログルタミン酸は、化合物4と反応して化合物5Bを形成する。特定の実施態様において、約0.25〜2当量のキラル酸が使用される。一つの実施態様において、約0.5〜1.5当量のキラル酸が使用される。一つの実施態様において、約0.9〜1.1当量のキラル酸が使用される。特定の実施態様において、約0.25〜2当量のL-(-)-リンゴ酸が使用される。一つの実施態様において、約0.5〜1.5当量のL-(-)-リンゴ酸が使用される。一つの実施態様において、約0.9〜1.1当量のL-(-)-リンゴ酸が使用される。
【0085】
一つの実施態様において、L-(-)-リンゴ酸は、約98%、99%、99.3%、99.5%、99.7%、99.8%、又は99.9%を超えるエナンチオマー過剰率で、L-(-)-リンゴ酸塩、化合物5Aを生成する。一つの実施態様において、L-(-)-リンゴ酸は、最大約100%のエナンチオマー過剰率で、L-(-)-リンゴ酸塩、化合物5Aを生成する。
【0086】
化合物5Aにおける二級アミンは、保護基によって保護されている。ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、アセチル、フェニルカルボニル、及びt-ブトキシカルボニルを含む任意の適切な保護基を使用することができる。遊離ヒドロキシル基のメチル化は、硫酸ジメチル、メチルp-トルエンスルホナート、又はメタンスルホナートなどのメチル化剤で実施される。化合物8は、酸性条件下での保護基の除去によって得られる。適切な脱保護薬は、p-トルエンスルホン酸一水和物を含む。スキーム1において、化合物5Aにおける二級アミンをt-ブチルオキシカルボニル基で保護して、Boc2Oでの処理によって、化合物6を得る。次いで、化合物6をカリウムヘキサメチルジシラザン(KHMDS)、及びMe2SO4などのメチル化条件を使用して、メチル化して、化合物7を与える。粗生成物をこれまでに公知の条件下で脱保護して(スキーム2を参照されたい)、一貫して高純度及び高収率で化合物8を与える。
【0087】
実施例1及び3に記載されているように、この経路は、研究室スケールバッチ(100g〜1kgのスケール)、及び市販のBoc-3-ピロリン(化合物1)から〜16kgスケールで化合物8のcGMPバッチを生じるように首尾よくスケールアップすることができる。実施例における全てのバッチは、ほとんどN-デスメチル不純物を有しなかった(表2)。その他の関連物質は、また約0.1%の定量限界未満であった。化合物8のエナンチオマー純度(HPLCによって決定される)は、高かった(>99.8% ee)。新たな不純物は、展開、又はスケールアップバッチにおいて同定されなかった。
【表2】

【0088】
特定の実施態様において、エナンチオマー濃縮は、化合物8の結晶化の間に生じる。特定の実施態様において、化合物8のキラル純度は、さらなる結晶化によって増強することができる。
【0089】
特定の実施態様において、90%ee程度の低さの化合物5Aが、>99.5%eeをもつ化合物8を生成するように導かれる。
【0090】
化合物6の不完全なメチル化は、工程不純物としてO-デスメチル-化合物6を生じる。この不純物のレベルは、表2に示したバッチにおいて定量限度未満(<0.1%)であった。2つの良好なアプローチを評価して、該工程におけるこの不純物を制御した。
【0091】
a.メチル化工程における製造過程制御(化合物6の化合物7への変換)。現在の製造過程制限限界は、HPLCによる<2%の化合物6である。2%までの化合物6を含む化合物7のバッチが化合物8に導かれ、単離される場合、O-デスメチル-化合物6のレベルは、0.1%未満であった。
【0092】
b.O-デスメチル-化合物8のパージは、化合物8の結晶化の間に生じることが示された。従って、O-デスメチル-化合物8は、形成される場合、さらなる結晶化によって減少させることができる。
【0093】
記述した方法に基づいて、スキーム1において図示し、及び実施例1において記述した合成経路は、スケールアップに対して強く、かつ一貫して高い化学的、及び鏡像異性的純度の化合物8を生成することができる。具体的には、この経路は、もしあっても、わずかな以前に公知の不純物(N-デスメチル-化合物8、及びO-デスメチル-化合物8)を伴う化合物8を生成し、新たな不純物を生成しない。
【0094】
スキーム1において生成される化合物8は、実施例3に記載されているように7-クロロ-4-オキソ-1-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロ-[l ,8]ナフチリジン-3-カルボン酸エチルエステルと更に反応して、SNS-595を得ることができる。本明細書において記述した方法によって得られたSNS-595の十分な解析試験は、検出可能な新たな不純物が形成されないことを示した。
【0095】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法によって生成されたSNS-595は、約0.1%未満のN-デスメチル-SNS-595、及びO-デスメチル-SNS-595を含む。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法によって生成されたSNS-595は、約0.1%未満のN-デスメチル-SNS-595を含む。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法によって生成されたSNS-595は、約0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、又は0.01%未満のN-デスメチル-SNS-595を含む。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法によって生成されたSNS-595は、約0.1%未満のO-デスメチル-SNS-595を含む。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法によって生成されたSNS-595は、約0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、又は0.01%未満のO-デス-メチル-SNS-595を含む。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法によって生成されたSNS-595は、約0.1%未満のN-デスメチル-SNS-595及びO-デスメチル-SNS-595の総量を含む。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法によって生成されたSNS-595は、約0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、又は0.01%未満のN-デスメチル-SNS-595及びO-デスメチル-SNS-595の総量を含む。
【0096】
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、プロセススケールでSNS-595物質を製造するのに有用である。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、0.1、0.3、0.5、1、2、3、4、5、7、10、15、20、25、50、及び100 kg、又はそれ以上のSNS-595物質を製造するのに有用である。
【0097】
(5.4 使用方法)
本明細書において記述される方法に従って製造されたSNS-595物質を投与することを含む、種々の癌を治療し、予防し、及び/又は管理する方法が本明細書に提供される。特定の実施態様において、本方法は、実質的に純粋なSNS-595を投与することを包含する。癌の例は、固形腫瘍、及び血液癌を含む。本明細書に提供される方法は、また前癌状態の治療、又は予防のために使用してもよい。
【0098】
従って、癌、又は前癌状態を治療し、管理し、又は予防する方法であって、このような治療、管理、又は予防を必要とする対象に対して約10〜100mg/m2のSNS-595物質の用量を投与することを含む、方法が本明細書に提供される。癌の種類は、卵巣癌、乳癌、小細胞肺癌、及び非小細胞肺癌を含むが、限定されない。一つの実施態様において、癌は、再発性である。一つの実施態様において、癌は、不応性である。一つの実施態様において、癌は、従来の療法に対して抵抗性である。一つの実施態様において、癌は、従来の療法に耐性の卵巣癌である。一つの実施態様において、癌は、白金耐性の上皮卵巣癌である。
【0099】
一つの実施態様において、本明細書に提供される方法は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、及び急性骨髄性白血病(AML)、又は急性骨髄芽球性白血病(AML)などの対象における種々のタイプの白血病を治療し、予防し、又は管理することを包含する。
【0100】
一つの実施態様において、急性骨髄性白血病の治療のための方法が本明細書に提供される。一つの実施態様において、不応性、又は再発性の急性骨髄性白血病の治療のための方法が本明細書に提供される。
【0101】
本明細書に提供される方法は、癌について以前に治療されたが、標準的な療法に非応答である患者、並びに以前に治療を受けていない者を治療することを包含する。また、いくつかの疾患又は障害は、特定の年齢群においてより共通であるが、患者の年齢に関係なく患者を治療する方法が包含される。疾患、又は問題になっている状態を治療する試みにおいて外科手術を受けた患者、並びにそうではない者を治療する方法が更に提供される。癌患者は、不均一な臨床症状、及び様々な臨床結果を有するので、患者に施される治療は、彼/彼女の予後に応じて、変更してもよい。当業者であれば、過度の実験なしで、個々の癌患者を治療するために有効に使用することができる具体的な第2の薬剤、外科手術のタイプ、及び非薬物に基づいた標準的な療法の種類を容易に決定することができるだろう。
【0102】
(4.5 投薬量)
特定の代表的な実施態様において、本明細書に提供される癌を治療し、予防し、又は管理する方法は、体表面積に基づいて、約10mg/m2〜100mg/m2のSNS-595物質の用量を患者に投与することを含む。特定の代表的な実施態様において、本明細書に提供される癌を治療し、予防し、又は管理する方法は、体表面積に基づいて、約10mg/m2〜110mg/m2のSNS-595物質の用量を患者に投与することを含む。特定の実施態様において、本方法は、実質的に純粋なSNS-595を投与することを包含する。別の実施態様において、本方法は、約20mg/m2〜90mg/m2のSNS-595物質の用量を投与することを含む。別の実施態様において、本方法は、約40mg/m2〜80mg/m2のSNS-595物質の用量を投与することを含む。別の実施態様において、本方法は、約30mg/m2〜50mg/m2のSNS-595物質の用量を投与することを含む。別の実施態様において、本方法は、約50mg/m2〜110mg/m2のSNS-595物質の用量を投与することを含む。
【0103】
癌治療における当業者は、典型的には、投与される活性成分に対する対象の曝露の概算を可能にする投薬量単位を使用する。例えば、使用される投薬量単位は、体表面積の算出に基づいて曝露を概算してもよい。ヒト対象のための体表面積(BSA)算出は、例えば、下記のMosteller式を使用して算出することができる。
BSA(m2)= [(高さ(cm)*体重(kg)/3600]1/2
最も一般的なこのような投薬量単位は、体表面積の平方メートル当たりの活性化合物のミリグラム数である(mg/m2)。
【0104】
SNS-595の投与される用量は、mg/m2以外の単位で表すことができる。例えば、用量は、体重のキログラム当たりの活性化合物のミリグラム(mg/kg)として表すことができる。当業者であれば、患者の身長、及び/又は体重を考慮して、患者の用量をmg/m2からmg/kgへ変換する方法が容易に分かるであろう(http:///www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htmを参照されたい)。例えば、65kgのヒトについて、1mg/m2〜30mg/m2の用量は、0.026mg/kg〜0.79mg/kgにほぼ等しい。その他の投薬量単位を、また使用してもよい。
【0105】
特定の実施態様において、本明細書に提供されるSNS-595物質の投与される用量は、単一のボーラスとして(例えば、静脈内注射)、又はより長期間にわたって(例えば、連続注入、又は周期的なボーラス用量)送達することができる。SNS-595物質の投与は、対象が安定な疾患、若しくは後退を経験するまで、又は対象が疾患進行、又は容認できない毒性を経験するまで、繰り返してもよい。安定な疾患、又はその欠如は、症候、物理的検査、及びその他の共通に認められたパラメーターの評価などの、当該技術分野において公知の方法によって決定される。
【0106】
本明細書に提供される方法に従って投与されるSNS-595物質の量は、治療される患者の全体の健康、障害又は障害の症候の重症度、投与される活性成分、投与の様式、投与の頻度、存在するその他の薬物療法、及び処方する医師の判断などの種々の要因に依存するだろう。投与される量は、医師が経験的に決定することができる。
【0107】
一部の実施態様において、投与の頻度は、約1日の用量から約毎月の用量の範囲である。特定の実施態様において、投与は、1日につき1回、1日おきに1回、1週毎に1回、1週毎に2回、1週毎に3回、2週毎に1回、3週毎に1回、又は4週毎に1回である。一つの実施態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、3週間の間1週毎に1回投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、3週間の間1週毎に1回投与される。一つの実施態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、3週毎に1回投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、4週毎に1回投与される。
【0108】
特定の実施態様において、本明細書に提供されるSNS-595物質は、1以上の投与のサイクルで患者に投与される。サイクリング療法は、SNS-595物質の1以上の用量の投与、続く休止期間、及びこの投与/休止サイクルの繰り返しを含む。サイクリング療法は、1つ以上の療法に対する耐性の発現を低下させ、1つ以上の療法に対する副作用を回避し、若しくは減少し、及び/又は治療の有効性、若しくは期間を改善することができる。
【0109】
結果的に、一つの実施態様において、本明細書に提供されるSNS-595物質は、単一用量において、又は分割用量において、投与間に約1〜約30日の休止時間をともなって3〜6週間のサイクルで、1週毎に1回投与される。一部の実施態様において、待機期間は、14日であり、1日目に最初の用量が与えられ、15日目に次の用量が与えられる。従って、このような場合における治療は、「14日サイクル」を使用するといわれるであろう。一部の実施態様において、用量は、28日間隔、すなわち、28日サイクルで与えられてもよい。
【0110】
別の実施態様において、投薬方法は、サイクルが3週間の間1週当たり1回患者にSNS-595物質の用量を投与し、続いて化合物、又は組成物が患者に投与されない少なくとも14日の期間を含むサイクルを含み、該サイクルが複数回繰り返される。別の実施態様において、化合物、又は組成物が投与されない期間は、18日である。別の実施態様において、化合物、又は組成物が投与されない期間は、21日である。別の実施態様において、化合物、又は組成物が投与されない期間は、28日である。投与サイクルの頻度、数、及び長さは、増減することができる。
【0111】
一つの実施態様において、本明細書に提供される方法は、i)患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約40〜80mg/m2の用量を投与すること;ii)該患者がいずれのSNS-595物質も投与されない少なくとも6日の期間待機すること;及びiii)該患者にSNS-595物質の約40〜80mg/m2の別の用量を投与することを含む。一つの実施態様において、工程ii)〜iii)は、複数回繰り返される。
【0112】
一つの実施態様において、本明細書に提供される方法は、i)患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約30〜50mg/m2の用量を投与すること;ii)該患者がいずれのSNS-595物質も投与されない少なくとも6日の期間待機すること;及びiii)該患者にSNS-595物質の約30〜50mg/m2の別の用量を投与することを含む。一つの実施態様において、工程ii)〜iii)は、複数回繰り返される。
【0113】
一つの実施態様において、本明細書に提供される方法は、i)患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約50〜110mg/m2の用量を投与すること;ii)該患者がいずれのSNS-595物質も投与されない少なくとも6日の期間待機すること;及びiii)該患者にSNS-595物質の約50〜110mg/m2の別の用量を投与することを含む。一つの実施態様において、工程ii)〜iii)は、複数回繰り返される。
【0114】
別の実施態様において、本方法は、前述の工程i)、及びiii)のそれぞれにおいて、本明細書に提供されるSNS-595物質の約40mg/m2、約45mg/m2、約48mg/m2、約50mg/m2、約60mg/m2、約72mg/m2、約75mg/m2、約80mg/m2、又は約90mg/m2の用量を投与することを含む。
【0115】
別の実施態様において、3週毎に1回患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約48mg/m2の用量を投与することを含む、固形腫瘍の治療のための方法が本明細書に提供される。別の実施態様において、4週毎に1回患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約60mg/m2の用量を投与することを含む、このような固形腫瘍の治療のための方法が本明細書に提供される。別の実施態様において、4週毎に1回患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約75mg/m2の用量を投与することを含むこのような固形腫瘍の治療のための方法が本明細書に提供される。このような実施態様において、本方法は、白金耐性の上皮卵巣癌などの卵巣癌の治療のために使用してもよい。
【0116】
別の実施態様において、1週毎に1回患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約50mg/m2の用量を投与することを含む、白血病の治療のための方法が本明細書に提供される。別の実施態様において、1週毎に1回患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約60mg/m2の用量を投与することを含む、白血病の治療のための方法が本明細書に提供される。別の実施態様において、1週毎に1回患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約72mg/m2の用量を投与することを含む、白血病の治療のための方法が本明細書に提供される。別の実施態様において、2週の間1週毎に1回患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約72mg/m2の用量を投与することを含む、白血病の治療のための方法が本明細書に提供される。別の実施態様において、3週の間1週毎に1回患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約72mg/m2の用量を投与することを含む、白血病の治療のための方法が本明細書に提供される。別の実施態様において、3週の間1週毎に1回患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約90mg/m2の用量を投与することを含む、白血病の治療のための方法が本明細書に提供される。別の実施態様において、1週毎に2回患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約40mg/m2の用量を投与することを含む、白血病の治療のための方法が本明細書に提供される。一つの実施態様において、本方法は、急性骨髄性白血病の治療のためのものである。
【0117】
特定の実施態様において、投薬方法は、2週の間1週毎に2回対象にSNS-595物質の用量を投与することを含む(1、4、8、及び11日に投薬)。別の実施態様において、投薬方法は、1週毎に1回対象にSNS-595物質の用量を投与することを含む。別の実施態様において、投薬方法は、2週毎に1回対象にSNS-595物質の用量を投与することを含む。別の実施態様において、投薬方法は、3週毎に1回対象にSNS-595物質の用量を投与することを含む。別の実施態様において、投薬方法は、4週毎に1回対象にSNS-595物質の用量を投与することを含む。
【0118】
一つの実施態様において、SNS-595物質の約40〜80mg/m2の用量は、3週毎に1回患者に投与され、該3週間の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも1回繰り返される。別の実施態様において、本方法は、4週毎に1回患者にSNS-595物質の約40〜80mg/m2の用量を投与することを含み、該4週間の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも1回繰り返される。別の実施態様において、本方法は3週毎に1回患者にSNS-595物質の約48mg/m2の用量を投与することを含み、該3週間の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも1回繰り返される。別の実施態様において、本方法は、4週毎に1回患者にSNS-595物質の約60mg/m2の用量を投与することを含み、該4週間の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも1回繰り返される。別の実施態様において、本方法は、4週毎に1回患者にSNS-595物質の約75mg/m2の用量を投与することを含み、該4週間の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも1回繰り返される。
【0119】
一つの実施態様において、本方法は、1週毎に1回患者にSNS-595物質の約40〜80mg/m2の用量を投与することを含み、該1週の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも3回繰り返される。一つの実施態様において、本方法は、1週毎に1回患者にSNS-595物質の約50〜110mg/m2の用量を投与することを含み、該1週の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも3回繰り返される。別の実施態様において、本方法は、1週毎に2回患者にSNS-595物質の約30〜50mg/m2の用量を投与することを含み、該1週の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも2回繰り返される。別の実施態様において、用量は、1週毎に1回のSNS-595物質の約50mg/m2であり、該1週の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも3回繰り返される。別の実施態様において、用量は、1週毎に1回のSNS-595物質の約60mg/m2であり、該1週の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも3回繰り返される。別の実施態様において、用量は、1週毎に1回のSNS-595の物質の約72mg/m2であり、該1週の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも3回繰り返される。別の実施態様において、用量は、1週毎に1回のSNS-595物質の約90mg/m2であり、該1週の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも3回繰り返される。別の実施態様において、本方法は、1週毎に2回患者にSNS-595物質の40mg/m2の用量を投与することを含み、該1週の期間は、治療サイクルを含み、かつ該治療サイクルは、少なくとも2回繰り返される。特定の実施態様において、本方法は、実質的に純粋なSNS-595を投与することを包含する。
【0120】
本明細書において記述した全ての方法、及び投薬量は、癌、若しくは前癌状態の治療、又は予防に適用される。
【0121】
(4.6 第2の活性薬剤)
本明細書において記述される方法に従って製造されるSNS-595物質、及びSNS-595物質を含む医薬組成物は、その他の活性薬剤、又は医学的手順との相補的併用療法において使用することができることが、また認識されるだろう。特定の実施態様において、実質的に純粋なSNS-595は、併用療法において使用される。
【0122】
SNS-595物質、及びその医薬組成物は、1つ以上のその他の所望の活性薬剤、又は医学的手順と同時に、前に、又はその後に投与することができる。併用処方計画において使用するための療法(薬剤、又は手順)の特定の組み合わせは、所望の治療、及び/又は手順、並びに達成される所望の治療効果の適合性を考慮するだろう。使用される療法が同じ障害に対して所望の効果を達成し得る(例えば、SNS-595物質は、同じ障害を治療するために使用される別の活性薬剤と同時に投与してもよい)こと、又はこれらは異なる効果(例えば、任意の有害作用の制御)を達成してもよいことも、認識されるであろう。このような薬剤、及び手順の非限定的な例は、外科手術、放射線療法(例えば、γ-放射線、中性子線放射線療法、電子ビーム放射線療法、プロトン療法、近接照射療法、及び全身放射性同位元素)、内分泌療法、生物学的反応修飾物質(少数の例をあげるとインターフェロン、インターロイキン、及びガン破壊因子(TNF))、高体温及び寒冷療法、任意の有害作用を減弱する薬剤(例えば、抗嘔吐薬)、並びにその他の承認された化学療法抗癌剤を含む。
【0123】
SNS-595物質と組み合わせて第2の活性薬剤として使用してもよい化学療法抗癌剤の例は、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、抗代謝剤(例えば、メトトレキセート)、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、SNS-314)、プリンアンタゴニスト及びピリミジンアンタゴニスト(例えば、6-メルカプトプリン、5-フルオロウラシル(5-FU)、シタラビン(Ara-C)、ゲムシタビン)、紡錘体阻害剤(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソ尿素(例えば、カルマスティン、ロムスチン)、無機イオン(例えば、白金複合体、例えばシスプラチン、カルボプラチン)、酵素(例えば、アスパラギナーゼ)、ホルモン(例えば、タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、及びメゲストロール)、トポイソメラーゼII阻害剤又は毒、EGFR(Her1、ErbB-1)阻害剤(例えば、ゲフィチニブ)、抗体(例えば、ベバシズマブ、リツキシマブ)、IMID(例えば、サリドマイド、レナリドマイド)、種々のターゲットされた薬剤(例えば、ボリノスタットなどのHDAC阻害剤)、Bcl-2阻害剤、VEGF阻害剤、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、サイクリン依存性キナーゼ(cdk)阻害剤(例えば、SNS-032、セリシクリブ)、及びデキサメタゾンを含むが、限定されない。
【0124】
一つの実施態様において、SNS-595物質と組み合わせて第2の活性薬剤として使用してもよい化学療法抗癌剤の例は、ドセタキセル、ビノレルビン、カペシタビン、ドキソルビシン、ゴセレリ(gosereli)、ゾレドロン酸、パクリタキセル、パミドロナート、アナストロゾール、エキセメスタン、シクロホスファミド、エピルビシン、フルベストラント、レトロゾール、ゲムシタビン、ロイプロリド、フィルグラスチム(G-CSF、又は顆粒球コロニー刺激因子)、トレミフェン、タモキシフェン、ペグフィルグラスチム、エポエチンアルファ、及びダーベポエチンアルファを含む。特定の実施態様において、SNS-595は、これらの第2の薬剤と組み合わせて、乳癌治療のために使用することができる。
【0125】
SNS-595物質と組み合わせて使用することができるいくつかの具体的抗癌剤は、シタラビン、カルボプラチン、シスプラチン、ゲムシタビン、及びその任意の2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0126】
(4.7 第2の活性薬剤との併用療法)
特定の実施態様において、本明細書に提供される方法は、1つ以上の第2の活性薬剤と組み合わせて、及び/又は放射線治療、若しくは外科手術と組み合わせて本明細書に提供される、SNS-595物質又は医薬組成物を投与することを含む。特定の実施態様において、本方法は、1つ以上の第2の活性薬剤と組み合わせて、及び/又は放射線治療、若しくは外科手術と組み合わせて、実質的に純粋なSNS-595を投与することを包含する。
【0127】
患者に対するSNS-595物質、及び第2の活性薬剤の投与は、同じ、又は異なる投与経路によって同時に、又は連続して行うことができる。特定の活性薬剤のために使用される特定の投与経路の適合性は、活性薬剤それ自体(例えば、それが血流に入る前に分解を伴わずに経口投与することができるかどうか)、及び治療される疾患に依存するだろう。第2の活性薬剤のための推奨される投与経路は、当業者に公知である。例えば、医師机上参考書、1755-1760(第56版、2002)(以下「医師机上机参考書」)を参照されたい。
【0128】
一つの実施態様において、第2の活性薬剤は、静脈内に、又は皮下に、及び1日1回、又は2回、約1〜約1,000 mg、約5〜約500 mg、約10〜約375 mg、又は約50〜約200mgの量で投与される。
【0129】
別の実施態様において、血液系悪性腫瘍を治療し、予防し、及び/又は管理する方法が本明細書に提供され、これは、外科手術、免疫剤治療法、生物学的療法、放射線治療、又は現在癌を治療し、予防し、若しくは管理するために使用されるその他の非薬物に基づいた療法を含むが、限定されない従来の療法と組み合わせて(例えば、前に、間に、又は後に)本明細書に提供されるSNS-595物質を投与することを含む。
【0130】
一つの実施態様において、SNS-595物質は、単独で、又は従来の療法の使用の前に、間に、若しくは後に、本明細書に開示される第2の活性薬剤(例えば、4.6節を参照されたい)と組み合わせて、約10〜100mg/m2、20〜90mg/m2、40〜80mg/m2、又は30〜50mg/m2の量で投与することができる。
【0131】
一つの実施態様において、第2の薬剤は、シタラビン、カルボプラチン、シスプラチン、ゲムシタビン、及びその任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0132】
特定の実施態様において、SNS-595物質は、約5〜1500mg/m2のシタラビンと組み合わせて投与してもよい。例えば、一つの実施態様は、約200〜400mg/m2の用量でのシタラビンの連続的な1日の投与を含む。シタラビンの投与は、静脈内注入、静脈内プッシュ、ボーラス注射、又は皮下注射によって行うことができる。特定の実施態様において、シタラビンの投与は、例えば、5日間毎日であり、一方で、SNS-595の投与は、週1〜2回行う。本明細書において考察したように、一週間における前述のようなSNS-595、及びシタラビンの投与は、毎週のサイクルと考えられる。本方法は、1回の毎週サイクルを行うこと、シタラビンもSNS-595も与えられない1週から数週までの期間待機すること、次いで毎週のサイクルを繰り返すことを包含する。また本方法は、例えば4週、又は28日間、連続的に毎週のサイクルを繰り返すことを想定する。加えて、本方法は、数サイクルの間サイクルを繰り返すこと、シタラビンもSNS-595物質も与えられない1週から数週までの期間待機すること、次いで1回以上のサイクルを繰り返すことを想定する。最後に、本方法は、SNS-595物質/シタラビンの毎週のサイクル、続いてシタラビン、又はSNS-595のみのサイクルの投与を提供する。
【0133】
また、1日のシタラビンが約5〜50mg/m2の用量で投与され、かつSNS-595物質が1週毎に1回、又は1週毎に2回投与される方法が提供される。例えば、シタラビンは10日間毎日投与してもよく、及びSNS-595物質は、3週の間1週毎に1回、又は2週の間1週毎に2回のスケジュールで投与してもよい。
【0134】
シタラビンとのSNS-595物質の使用は、例えば、急性骨髄性白血病などの白血病の治療において使用することができる。1つの例示的な実施態様において、約20〜90mg/m2又は約40〜80mg/m2のSNS-595物質を、28日サイクルの1日目及び4日目に、患者に投与すること、及びサイクルの1〜5日目に約400mg/m2のシタラビンを患者に投与することを含む治療サイクルを使用してもよい。このような方法において、SNS-595物質の用量は、静脈内(IV)注射によって、かつシタラビンの用量は、連続的な静脈内(CIV)注入によって投与してもよい。代わりの例示的な実施態様において、AMLを有する患者は、1日目及び4日目に、約20〜90mg/m2又は約40〜80mg/m2のSNS-595物質を患者に投与すること、及び1〜5日目に約1000mg/m2/日を患者に投与することを含む治療サイクルを使用して治療してもよい。このような方法において、SNS-595物質の用量は、IV注射によって、かつシタラビンの用量は2時間にわたるIV注入によって投与してもよい。
【0135】
一つの実施態様において、併用療法は、SNS-595物質、及びカルボプラチンを投与することを含む。一つの実施態様において、併用療法は、SNS-595物質、及びシスプラチンを投与することを含む。一つの実施態様において、併用療法は、SNS-595物質、及びゲムシタビンを投与することを含む。
【0136】
一つの実施態様において、提供される方法は、約5mg/m2〜約200mg/m2のシスプラチンと組み合わせたSNS-595物質の投与を含む。例えば、一つの実施態様は、3〜4週毎に1回、約50又は70mg/m2の用量でのシスプラチンの投与を含む。一つの実施態様は、3週毎に1回、約50又は70mg/m2の用量でのシスプラチンの投与を含む。別の実施態様は、3週毎に1回、約75又は100mg/m2の用量でのシスプラチンの投与を含む。別の実施態様において、シスプラチンの投与は、5日までの間毎日約20mg/m2の用量である。シスプラチンの投与は、静脈内注入、静脈内プッシュ、ボーラス注射、又は皮下注射によって行うことができる。一つの実施態様において、シスプラチンの投与は、3〜4週毎に1回であり、一方で、SNS-595物質の投与は、3週の間1週毎に1回、又は3週毎に1回行う。一つの実施態様において、シスプラチンの投与は、5日間毎日であり、一方で、SNS-595物質の投与は、3週の間1週毎に1回、又は3週毎に1回行う。一つの実施態様において、シスプラチンの投与は、3週の間1週毎に1回であり、一方で、SNS-595物質の投与は、3週の間1週毎に1回、又は3週毎に1回行う。
【0137】
一つの実施態様において、提供される方法は、約50mg/m2〜約400mg/m2のカルボプラチンと組み合わせたSNS-595物質の投与を含む。例えば、一つの実施態様は、3週毎に1回、約300又は約360mg/m2の用量でのカルボプラチンの投与を含む。一つの実施態様は、4週毎に1回、約300又は360mg/m2の用量でのカルボプラチンの投与を含む。カルボプラチンの投与は、静脈内注入、静脈内プッシュ、ボーラス注射、又は皮下注射によって行うことができる。一つの実施態様において、カルボプラチンの投与は、3週毎に1回であり、一方で、SNS-595物質の投与は、3週の間1週毎に1回、又は3週毎に1回行う。一つの実施態様において、カルボプラチンの投与は、3週の間週に1回であり、一方で、SNS-595物質の投与は、3週の間1週毎に1回、又は3週毎に1回行う。
【0138】
一つの実施態様において、提供される方法は、約100mg/m2〜約1500mg/m2のゲムシタビンと組み合わせたSNS-595物質の投与を含む。例えば、一つの実施態様は、少なくとも4週間毎週1回、約1000又は1250mg/m2の用量でのゲムシタビンの投与を含む。ゲムシタビンの投与は、静脈内注入、静脈内プッシュ、ボーラス注射、又は皮下注射によって行うことができる。一つの実施態様において、ゲムシタビンの投与は4週までの間週に1回であり、一方で、SNS-595物質の投与は、3週の間1週毎に1回、又は3週毎に1回行う。一つの実施態様において、ゲムシタビンの投与は、2週の間週2回であり、一方で、SNS-595物質は、3週の間1週毎に1回行う。
【0139】
特定の実施態様において、第2の活性薬剤は、本明細書に提供されるSNS-595物質と共に同時投与され、又は1〜50時間遅れて投与される。特定の実施態様において、本明細書に提供されるSNS-595物質が最初に投与され、続いて、1〜50時間遅れて第2の活性薬剤と共に投与される。その他の実施態様において、第2の活性薬剤が最初に投与され、続いて、1〜50時間遅れて本明細書に提供されるSNS-595物質が投与される。一部の実施態様において、該遅れは、24時間である。
【0140】
別の実施態様において、本明細書に提供される方法は、a)その必要のある患者に本明細書に提供されるSNS-595物質の約10〜100mg/m2の用量を投与すること、及びb)補助治療薬剤の治療上有効な量を投与することを含む。
【0141】
補助治療薬剤は、本明細書に提供されるSNS-595物質での治療による有害な、若しくは望まれない効果を治療し、予防し、管理し、回避し、又は減少させる任意の物質であり、その物質のために適した投薬処方計画に従って投与される。例えば、悪心を治療するための異なる補助治療薬剤は、異なる投薬処方計画を有する。いくつかのこのような薬剤は、予防的に投与されるが、その他は、本明細書に提供される化合物、又は組成物と共に同時投与され、一方で更にその他は、SNS-595の投与の後に投与される。補助治療薬剤の例示的な例の、これらの用量、及び投薬処方計画は、医師机上参考書において見いだされる。いくつかの例示的な補助治療薬剤は、米国出願公開番号2006-0025437に開示されており、これは、その全体が引用例によって組み込まれる。
【0142】
(4.8 医薬組成物及び投薬形態)
本明細書に提供される方法は、本明細書に提供されるSNS-595物質、及び希釈剤又はアジュバントなどの医薬として許容し得る担体を、又は別の抗癌剤などのその他の活性成分と組み合わせて含む医薬組成物を使用する。特定の実施態様において、本方法は、実質的に純粋なSNS-595を含む医薬組成物の使用を包含する。臨床実務において、SNS-595物質は、経口的、非経口的、直腸、又は吸入(例えば、エアロゾルの形態で)によるものを含むが、限定されない任意の従来の経路によって投与してもよい。非経口的投薬形態は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、及び動脈内を含むが、限定されない種々の経路によって患者に投与することができる。これらの投与は、典型的には混入物に対する患者の天然の防御を迂回するので、非経口的投薬形態は、無菌であるか、又は患者への投与の前に滅菌することができる。非経口的投薬形態の例は、注射用の溶液、注射のための医薬として許容し得る媒体に溶解又は懸濁させるための乾燥生成物、注射用の懸濁液、及び乳剤を含むが、限定されない。一つの実施態様において、SNS-595物質は、IV注射によって投与される。
【0143】
非経口的投与のための医薬組成物は、乳剤、又は均一な溶液であってよい。非経口的投薬形態を提供するために使用することができる適切な媒体は、当業者に周知である。例として、以下を含むが、限定されない:注射用水USP;限定されないが塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、ブドウ糖注射、ブドウ糖及び塩化ナトリウム注射、並びに乳酸化リンゲル注射などの水性媒体;限定されないがエチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどの水混和性媒体;並びに限定されないが石油系油分、動物の油、植物又は合成起源のもの、例えば落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及びベンジル安息香酸などの非水溶媒体。
【0144】
これらの医薬組成物はまた、アジュバント、特に湿潤剤、等張化剤、乳化剤、分散剤、及び安定化剤を含むことができる。滅菌はいくつかの方法で、例えば、0.2ミクロンフィルターを使用して、放射線によって、又は加熱によって実施することができる(レミントンの医薬品化学(Remington's Pharmaceutical Science)、第21版、Mack Publishing、Easton、PA(2005))(以下「レミントンの医薬品化学(Remington's Pharmaceutical Science)」)を参照されたい)。これらは、また滅菌水、又は任意のその他の注射可能な無菌の媒体中の使用時に溶解することができる無菌の固体の医薬組成物の形態で製造することができる。
【0145】
医薬組成物は、個々の、単一の単位剤形の製造において使用することができる。医薬組成物、及び投薬形態は、化合物、及び1つ以上の賦形剤を含む。
【0146】
医薬組成物、及び投薬形態は、また1つ以上のさらなる活性成分を含むことができる。随意の第2の(又はさらなる)活性成分の例は、本明細書に開示してある。
【0147】
特定の実施態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、単一の単位剤形である。本明細書に提供される医薬組成物、及び単一の単位剤形は、化合物又は組成物の予防的に、又は治療的に有効な量、及び典型的には1つ以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む。「担体」という用語は、治療薬が共に投与される希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全、及び不完全)、賦形剤、又は媒体をいう。適切な医薬担体の例は、レミントンの医薬品化学(Remington's Pharmaceutical Science)に記述されている。
【0148】
典型的な医薬組成物、及び投薬形態は、1つ以上の賦形剤を含む。適切な賦形剤は、薬学の当業者に周知であり、適切な賦形剤の非限定的な例は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等を含む。特定の賦形剤が医薬組成物、又は投薬形態に組み込むのに適するかどうかは、投薬形態が対象に投与されるであろう方法、及び投薬形態における特異的活性成分を含むが、限定されない、当該技術分野において周知の多様な要因に依存する。医薬組成物、又は単一の単位剤形は、また、必要に応じて、微量の湿潤剤、若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含むことができる。
【0149】
本明細書において開示した活性成分の1つ以上の溶解性を増加させる化合物は、また非経口的投薬形態に組み込まれることができる。例えば、シクロデキストリン、及びその誘導体を、活性成分の溶解性を増加させるために使用することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,134,127号を参照されたい。
【0150】
医薬組成物、又は投薬形態のpHは、また1つ以上の活性成分の送達を改善するように調整してもよい。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、又は張性を、送達を改善するように調整することができる。ステアラートなどの化合物は、また送達を改善するように1つ以上の活性成分の親水性、又は親油性を都合よく変化させるために、医薬組成物、又は投薬形態に添加することができる。この点に関しては、ステアラートは、製剤のための脂質媒体として、乳化剤又は表面活性物質として、及び送達増強剤又は透過増強剤として役に立ち得る。活性成分の異なる塩、水和物、又は溶媒和物を使用して、生じる医薬組成物の特性を更に調整することができる。
【0151】
活性成分が分解する割合を減少させる1つ以上の化合物を含む医薬組成物、及び投薬形態が更に本明細書に提供される。このような化合物は、本明細書において、「安定化剤」と称され、アスコルビン酸、pH緩衝液、又は塩緩衝液などの抗酸化剤を含むが、限定されない。
【0152】
医薬組成物、及び単一の単位剤形は、溶液、懸濁液、乳剤、粉末等の形態をとることができる。このような組成物、及び投薬形態は、対象に対する適切な投与のための形態を提供するように、特定の実施態様において、担体の適切な量と共に、精製した形態において、予防的、又は治療的薬剤の予防的、又は治療的有効量を含むだろう。製剤は、投与様式に適合すべきである。一つの実施態様において、医薬組成物、又は単一の単位剤形は、無菌であり、かつヒト、又はその他の対象に対する投与のために適した形態である。
【0153】
本明細書に提供される医薬組成物は、その意図された投与経路に適合性であるように製剤化される。投与経路の例は、非経口的経路(すなわち、消化管を介するもの以外)、例えば、静脈内、皮内、皮下、筋肉内、吸入、鼻腔内、経皮、局所的、経粘膜、腫瘍内、及び滑液嚢内投与を含むが、限定されない。具体的実施態様において、組成物は、ヒトに対して静脈内、皮下、筋肉内、鼻腔内、又は局所的投与のために適応された医薬組成物として、ルーチン手順に従って製剤化される。特定の実施態様において、医薬組成物は、ヒトに対する皮下投与のためのルーチン手順に従って製剤化される。一つの実施態様において、静脈内投与のための医薬組成物は、無菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、医薬組成物は、また可溶化剤、及び注射の部位における疼痛を和らげるためのリグノカインなどの局所麻酔剤を含んでいてもよい。
【0154】
投薬形態の例は:対象に対する非経口的投与に適した液体の投薬形態;及び対象に対する非経口的投与に適した液体の投薬形態を提供するために再構成することができる無菌の固体(例えば、結晶性、又は非結晶性の固体)を含むが、限定されない。例示的な固体形態は、凍結乾燥された固体である。
【0155】
本明細書に提供される医薬組成物、形状、及び投薬形態のタイプは、典型的にはこれらの用途に応じて変化するだろう。例えば、疾患の最初の治療において使用される投薬形態は、同じ感染の維持治療において使用される投薬形態よりも、それが含む活性成分の1つ以上において多くの量を含んでいてもよい。同様に、非経口的投薬形態は、同じ疾患、又は障害を治療するために使用される経口投薬形態よりも、それが含む活性成分の1つ以上において少ない量を含んでいてもよい。本明細書において包含される特異的投薬形態が互いに変化するであろうこれらの、及びその他の方法は、当業者にとって容易に明らかとなろう。例えば、レミントンの医薬品化学(Remington's Pharmaceutical Science)を参照されたい。
【0156】
一般に、本明細書に提供される医薬組成物の成分は、例えば活性薬剤の量を示すアンプル又は小袋などの密封した容器において、乾燥凍結乾燥粉末又は水のない濃縮物として、別々に供給されるか、又は単位剤形として共に混合される。医薬組成物が注入によって投与される場合、これは、無菌の医薬品級の水、又は生理食塩水を含む注入瓶で分配される。医薬組成物が注射によって投与される場合、成分が投与の前に混合され得るように、注射又は生理食塩水のための滅菌水のアンプルを提供することができる。一つの実施態様において、本明細書に提供される投薬形態は、1日につき、又は1週につき約10〜100mg/m2の範囲内でSNS-595物質の用量の投与を可能にするために十分なSNS-595物質を含み、単一の1日1回用量として、又は1日の全体にわたって分割された用量として与えられ、任意に食物と共に摂取される。
【0157】
特定の実施態様において、本明細書に提供される薬学的投薬形態は、SNS-595物質を含む一次容器を含む。特定の実施態様において、一次容器は、不透明な二次容器内にある。一つの実施態様において、一次容器は、透明なガラスバイアルなどのガラスバイアルであり、及び二次容器は、不透明な金属箔を有するポーチ、例えば不透明なアルミニウム箔を有するポーチを含む不透明な箔を有するポーチである。一つの実施態様において、本明細書に提供される薬学的投薬形態は、SNS-595物質を含む透明なガラスバイアルを含み、該透明なガラスバイアルは、不透明なアルミニウム箔を有するポーチ内にある。さらに、例示的な医薬品投薬形態は、その全体が引用例によって組み込まれるWO 2008/016668に記述されているものを含む。一つの実施態様において、本明細書に提供される投薬形態は、約1〜2000、1〜1000、1〜500、1〜300、1〜100、又は1〜50mgのSNS-595物質を含む。本明細書に提供される特定の投薬形態は、約10、15、18、20、24、25、30、40、48、50、60、70、72、75、80、90、100、150、200、300、又は500mgのSNS-595物質を含む。
【実施例】
【0158】
(5. 実施例)
請求された主題の特定の実施態様は、以下の非限定的な実施例によって例証される。
【0159】
以下の略語が実施例において使用される:
BOC2O=ジ-tert-ブチル-ジカルボナート
KHMDS=カリウムヘキサメチルジシラザン
DBDMH=1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン
TsOH=p-トルエンスルホン酸一水和物
CDI=カルボニルジイミダゾール
PGA=ピログルタミン酸
DTTA=ジ-p-トルオイル酒石酸
CSA=カンファースルホン酸
DBTA=ジベンゾイル酒石酸
ACN=アセトニトリル
IPA=イソプロピルアルコール
MeOH=メタノール
THF=テトラヒドロフラン、及び
MTBE=メチルtert-ブチルエーテル。
(実施例1:(+)-(4-メトキシ-ピロリジン-3-イル)-メチル-アミンの製造)
【化14】

【0160】
((±)-3-ブロモ-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステル(2))
(Tetrahedron Asymmetry、12(2002)2989-2997)
【0161】
N-Boc-3-ピロリン1(296g、1.75モル)をアセトニトリル(ACN、1800mL)及び水(296mL)中の1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(270g、0.94モル)のスラリーに添加し、その一方で、0〜10℃にて容器の温度を維持した。添加後、反応混合物を室温に暖めて、反応が完了したと判断されるまで(TLC又はHPLC)撹拌した。反応を5%のチオ硫酸ナトリウム水溶液(600mL)の添加によってクエンチして、生成物をジクロロメタン(2×750mL)で抽出した。合わせた有機層を、水(300mL)及び鹹水(200mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4(75g)で乾燥して、減圧下で濃縮し、2(450g)を得て、これを次の工程において直接使用した。
【0162】
(6-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.1.0|ヘキサン-3-カルボン酸、tert-ブチルエステル(3))
水酸化ナトリウムの水溶液(NaOH、1.55L、2N)を化合物2(450g、1.69モル)に添加して、反応を約室温にて2時間撹拌した。生成物をジクロロメタン(2×1.25L)で抽出して、合わせた有機層を中性のpHに水(2×750 mL)で洗浄して、次いで無水Na2SO4で乾燥した。減圧蒸発によりエポキシド3(291.0g)を得た。
【0163】
((±)-3-ヒドロキシ-4-メチルアミノ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステル(4))
メチルアミン水溶液(40%溶液、812mL、3.8mol)を室温にてエポキシド3(140g、0.65mol)に添加して、反応が完了するまで撹拌した。過剰なメチルアミンを減圧蒸留によって除去した。得られた残基に、ジイソプロピルエーテル(800mL)を添加して、混合物を約30分間撹拌した。固体を濾過して、ジイソプロピルエーテル(200mL)で洗浄して、次いで乾燥し、化合物4(135g)を得た。
【0164】
((±)-3-ヒドロキシ-4-メチルアミノ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステル(4)、2から)
【0165】
10グラム(10g)のブロモヒドリン2を、40%のメチルアミン水溶液(50mL)及び炭酸水素ナトリウム(3.1g)で室温にて処理して、化合物4(8.5g)を得た。
【0166】
(L-(-)-リンゴ酸を使用する(±)-3-ヒドロキシ-4-メチルアミノ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステルの分割)
アミノアルコール4(100g、0.46モル)を、室温でアセトン(600mL)及び水(13mL)の混合物に溶解した。反応混合物を約40℃に加熱して、L-(-)-リンゴ酸(62g、0.48モル)を添加した。混合物を約50〜55℃に加熱して、透明な溶液を形成し、次いで、室温に、次いで5〜10℃に段階的に冷却した。形成された結晶を濾過して、アセトン(2×70mL)で洗浄して、減圧下で乾燥し、キラルHPLCによるS対Rエナンチオマー比(S:R)=100:0の純度をもつ、マレイン酸塩5A(60g、37%)を得た。
【0167】
少量の試料を、化合物6への変換によってエナンチオマー純度を分析して、キラルHPLC(Chiracel OD-H SC 522;移動相:ヘキサン:IPA 95:5;1mL/分)によって生じる6を分析した。S-エナンチオマーについての保持時間は、7.725分である。
【0168】
((L)-(-)-ピログルタミン酸を使用する(±)-3-ヒドロキシ-4-メチルアミノ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステルの分割)
アセトン(120mL)及び水(4mL)中の(L)-(-)-ピログルタミン酸(3.58g)での4(10g)の分割により、ピログルタミン酸塩(5.7g)を得た。アセトン-水からの結晶化により、ジアステレオマーの94:6の比で4.2gのPGA塩を得た。アセトン-水からのさらなる再結晶化により、ジアステレオマー的に純粋なPGA塩(2.3g、>99% de)を得た。
【0169】
(L-(-)-リンゴ酸塩(5A)からの3-(tert-ブトキシカルボニル-メチル-アミノ)-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステル(6)の調製)
【0170】
メタノール(MeOH、220mL)中の化合物5A(57g、0.16モル)の混合物に、K2CO3(68.0g、0.49モル)を室温で添加した。Boc無水物(40g、0.18モル)を約1時間にわたって反応混合物に滴下して、反応が完了するまで(約2時間)、反応混合物を撹拌した。メタノールを約55〜60℃にて減圧下で蒸留して、水(150mL)を反応混合物に添加して、生成物をメチルtert-ブチルエーテル(MTBE、2×150mL)で抽出した。合わせた有機層を水(200mL)及び鹹水(100mL)で洗浄し、次いで、無水Na2SO4で乾燥した。減圧下での濃縮により、白色固体(52g)として化合物6を得た。
【0171】
(3-(tert-ブトキシカルボニル-メチル-アミノ)-4-メトキシ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステル(7))
【0172】
テトラヒドロフラン(THF、150mL)中の6(52g、0.16mol)の懸濁液を約30分間室温で撹拌して、-10〜-15℃に冷却した。カリウムヘキサメチルジシリルアミド(KHMDS、THF中の40%溶液、144mL、0.256mol)の溶液をゆっくり添加し、一方で、-5〜-15℃の間に温度を制御する。15分後、硫酸ジメチル(18.7mL、1.20mol)を反応混合物に滴加し、一方で-10〜0℃の間に温度を維持して、次いで生じる反応混合物を約30分間この温度にて撹拌した。反応混合物を水(100mL)、続いて酢酸(50mL)の添加によってクエンチした。生成物をメチルtert-ブチルエーテル(2×150mL)で抽出した。合わせた有機層を、水(100mL)、鹹水(50mL)で洗浄して、無水Na2SO4で乾燥した。減圧下での蒸発により、油(54g)として、化合物7を得た。
【0173】
(トルエン-4-スルホン酸を使用して製造される(+)-(4-メトキシ-ピロリジン-3-イル)-メチルアミン(2:1))
THF(180mL)及びMeOH(90mL)中の化合物7(54.0g、0.163モル)の溶液に、p-トルエンスルホン酸一水和物(84g、0.442モル)を添加して、反応混合物を約5時間55〜60℃に加熱し、その時、脱保護が完了した。約40〜45℃に冷却後、0.2gの8の種晶を反応混合物に添加し、直ちに結晶化を生じた。スラリーを約30分間40〜45℃にて維持して、次いで0〜5℃に段階的に冷却した。0〜5℃にて2時間撹拌した後に、固体を濾過して、THF(2×50mL)で洗浄して、乾燥し、HPLC純度=98.9%をもつ白色固体(66g)としてトシル酸塩8を得た。
【0174】
HPLC条件は、以下の通りだった:カラム:Chiralcel AD−H、SC 523;移動相:ヘプタン:IPA(0.5%TFA)= 85:15;流速:1.0mL/分、及び実行時間:20分。
【0175】
化合物8は、12.66分の保持時間を有する。この材料のエナンチオマー過剰は、99%eeを上回った。
【0176】
(実施例2:キラル酸を使用する(±)-3-ヒドロキシ-4-メチルアミノ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステルの分割)
(±)-3-ヒドロキシ-4-メチルアミノ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステルの分割を種々のキラル酸と塩を形成することによって試みた。表3は、反応の概要を提供する。表において、「化合物4」は、(±)-3-ヒドロキシ-4-メチルアミノ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステルをいう。表3において、キラルHPLCによるエナンチオマー比は、S:Rとして表してある。実験番号72、74、及び75以後において、HPLC分析は、化合物6の段階で行った。
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【表3−4】

【表3−5】

【表3−6】

【表3−7】

【表3−8】

【表3−9】

【表3−10】

【表3−11】

【表3−12】

【表3−13】

【0177】
データから分かるように、L-(-)-リンゴ酸での(±)-3-ヒドロキシ-4-メチルアミノ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステルの分割(1:1)により、最大100%のエナンチオマー過剰のSエナンチオマーが生成される。
【0178】
(実施例3:SNS-595のための大規模製造)
(化合物8の合成)
【化15】

【0179】
N-Boc-3-ピロリン(1)(16kg)をACN水溶液中の1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)(15.2kg)で処理して、ブロモヒドリン(2)を形成した。反応完了後、過剰な臭素化剤をチオ硫酸ナトリウム水溶液でクエンチして、粗製反応混合物をNaOH水溶液で処理した。生じたエポキシドをMTBEで抽出して、有機層を濃縮し、粗製エポキシド(3)を得た。このエポキシドを40%の水性メチルアミンに添加して、反応完了後、過剰なメチルアミン、及び水を蒸留によって除去して、生成物(4)(18.5kg)をジイソプロピルエーテルから単離した。
【0180】
ラセミ化合物4(18.4kg)を、水性アセトン中のL-(-)-リンゴ酸(11.4kg)での処理によって分割した。(S,S)異性体(5)をL-(-)-リンゴ酸塩(5A)として結晶化した。これを濾過して、フィルターケーキをアセトンで洗浄して、乾燥し化合物5A(11.8kg)を得た。
【0181】
メタノール中の化合物5A(11.8kg)及び炭酸カリウム(11.7kg)のスラリーを、反応が完了するまでBoc-無水物(Boc2O)(8.3kg)で処理した。生成物をMTBEで抽出した。有機層を蒸留によって乾燥して、石油エーテルを添加した。スラリーを濾過して、石油エーテルで洗浄して、乾燥し、化合物6(9.9kg)を得た。
【0182】
化合物6(9.9kg)をTHF中のKHMDS(35kg、20% w/w)の溶液、続いて硫酸ジメチル(4.7kg)で処理した。反応完了後、反応混合物を水中5%の酢酸でクエンチした。生成物をMTBEで抽出して、有機層を濃縮し、粗生成物(7)を得た。これをテトラヒドロフラン-メタノール混合物中のp-トルエンスルホン酸一水和物(TsOH)で処理した。反応完了後、スラリーを冷却して、生成物を濾過によって単離し、12.2kgの化合物8を得た。
【0183】
(化合物10の合成)
【化16】

【0184】
THF中のカルボニルジイミダゾール(CDI)(16.4kg)の溶液を、THF中の2,6-ジクロロニコチン酸(9)(16kg)のスラリーに添加した。約2時間後、マロン酸エチルカリウム(EtO2CCH2CO2K)(19.4kg)、トリエチルアミン(25.9kg)、及び塩化マグネシウム(11.9kg)を添加して、反応を約24時間撹拌した。反応混合物を希HClでクエンチして、酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮して、NaCl水溶液及びNaHCO3の混合物で洗浄した。有機層をメチルシクロヘキサンで希釈して、真空蒸留によって乾燥した。溶液を約90〜110℃にて、トリエチルオルトホルマート(17.1kg)及び酢酸無水物(59kg)で処理した。反応が完了したと判断された後、過剰な酢酸無水物をメチルシクロヘキサンとの蒸留によって除去した。粗生成物をTHF中の2-アミノチアゾール(8.2kg)の溶液で処理した。約2時間後、反応混合物を炭酸カリウム(13.6kg)で処理して、該混合物を約6時間撹拌した。生成物を水の添加によっ沈殿させて、濾過によって単離し、ACN-水、ACNで洗浄して、乾燥し、化合物10(13.1kg)を得た。
【0185】
(SNS-595の合成)
【化17】

【0186】
ACN中の化合物8(8.0kg)のスラリーに約5℃にて、N,N'-ジイソプロピルエチルアミン(EtN1Pr2)(8.7kg)を添加した。約15分後、化合物10(5.0kg)を反応混合物に添加した。反応混合物を約3時間約45℃に加熱して、冷却して、生成物を濾過した。フィルターケーキをACNで洗浄して、乾燥し、化合物11(5.5kg)を得た。
【0187】
水(19.5kg)中のNaOH(0.8kg)の溶液に、化合物10(5.5kg)及びエタノール(EtOH、0.5kg)を添加した。加水分解が完了した後、反応混合物を濾過して、濾液を酢酸の添加によってpH 7.3〜7.7に酸性化した。次いで、混合物を約2時間約55〜65℃に加熱した。周囲温度に冷却後、反応混合物を濾過して、水で、次いでエチルアルコールで洗浄した。フィルターケーキを真空下で乾燥した。粗生成物を約80℃にてEtOH中にスラリー化した。冷却後、生成物を濾過して、EtOHで洗浄して、乾燥し、SNS-595(3.8kg)を得た。SNS-595の重量パーセント純度は、99.9%であることが決定された。
【0188】
(実施例4:注射又は静脈内の注入に適した医薬組成物)
適切な医薬組成物の例示的な例は、メタンスルホン酸でpH 2.5に調整したソルビトールの4.5%の水溶液のミリリットル(mL)あたり10mgのSNS-595、及び(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸(SNS-595の量は、少なくとも99.95%であり、かつ(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸の量は、約0.05%未満である)を含む。このような溶液を作製するための1つのプロトコルは、100mg/10mLプレゼンテーションを作製するために以下を含む:100mgの活性組成物(これは、本質的に少なくとも99.95%のSNS-595、及び0.05%未満の(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸からなる)、及び450mgのD-ソルビトールを蒸留水に添加し;容積を、10mLの容積までにし;かつ生じる溶液を、メタンスルホン酸でpH 2.5に調整する。生じる組成物は、凍結乾燥にも適する。凍結乾燥された形態は、次いで使用前に適切な濃度に滅菌水で再構成される。
【0189】
(実施例5:注射又は静脈内の注入に適した医薬組成物)
適切な医薬組成物の例示的な例は、メタンスルホン酸でpH 2.5に調整したソルビトールの4.5%の水溶液の1mLあたり10mgの総量のSNS-595、及び不純物(SNS-595の量は、少なくとも99.95%であり、かつ不純物の総量は約0.05%未満である)を含む。このような溶液を作製するための1つのプロトコルは、100mg/10mLプレゼンテーションを作製するために以下を含む:少なくとも約99.95%のSNS-595、及び約0.05%未満の不純物から本質的になる100mgの組成物、並びに450mgのD-ソルビトールを、蒸留水に添加し;容積を、10mLの容積までにし;かつ生じる溶液のpHを、メタンスルホン酸で2.5に調整する。生じる組成物は、凍結乾燥にも適する。凍結乾燥された形態は、次いで使用前に適切な濃度に滅菌水で再構成される。
【0190】
上に記述された特許請求される主題の実施態様は、単に例示的なだけであることが意図され、当業者であればせいぜいルーチン試験、多数の特異的化合物、材料、及び手順の均等物を使用して認識するであろうし、又は確認することができるであろう。全てのこのような均等物は、特許請求の範囲の主題の範囲内であると考えられ、かつ添付の特許請求項によって包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸の製造方法であって、
i)化合物3をメチルアミンでエポキシド開裂して、化合物4を得ること、
【化1】

ii)化合物4を、L-(-)-リンゴ酸及びL-(-)-ピログルタミン酸から選択されるキラル酸で分割して、化合物5A又は5Bを提供すること、
【化2】

iii)化合物5A又は5Bの二級アミンを、tert-ブトキシカルボニル保護基で保護して、化合物6を提供すること、
【化3】

iv)化合物6の遊離ヒドロキシル基を、メチル化剤でメチル化すること、
v)アミノ基をp-トルエンスルホン酸一水和物で脱保護して、化合物8を得ること、及び
【化4】

vi)化合物8を化合物10と反応させて、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を得ることを含む前記製造方法
【化5】


【請求項2】
前記メチル化剤が硫酸ジメチルである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記工程ii)におけるキラル酸が、L-(-)-リンゴ酸である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
約0.25〜2当量の前記L-(-)-リンゴ酸が、工程ii)において使用される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
約0.5〜1.5当量の前記L-(-)-リンゴ酸が、工程ii)において使用される、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
約0.9〜1.1当量の前記L-(-)-リンゴ酸が、工程ii)において使用される、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記L-(-)-リンゴ酸が、約40℃で化合物4の溶液に添加されて、反応混合物を形成する、請求項3記載の方法。
【請求項8】
前記反応混合物が、加熱されて透明な溶液を形成する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記透明な溶液が、前記反応混合物を約50〜55℃に加熱することによって得られる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記透明な溶液を冷却して、化合物5Aの結晶を得る、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記化合物5Aの結晶が、前記透明な溶液を段階的に5〜10℃に冷却することによって得られる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記化合物5Aの二級アミンをboc-無水物で保護して、化合物6を得る、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記遊離ヒドロキシル基を硫酸ジメチルとの反応によってメチル化して、化合物7を得る、請求項12記載の方法
【化6】


【請求項14】
化合物3が、水酸化ナトリウムによる3-ブロモ-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステルのエポキシ化によって製造される、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
3-ブロモ-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸、tert-ブチルエステルが、N-boc-3-ピロリン及び1,3-ジブロモ-5 ,5-ジメチルヒダントインを反応させることによって製造される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
化合物10がカルボニルジイミダゾール、2,6-ジクロロニコチン酸、2-アミノチアゾール、及びマロン酸エチルカリウムを反応させることによって製造される、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
化合物8及び化合物10が、N,N'-ジイソプロピルエチルアミンの存在下において反応される、請求項1〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
化合物8及び化合物10の反応が、約3時間約45℃で行われる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
化合物4を、L-(-)-リンゴ酸及びL-(-)-ピログルタミン酸から選択されるキラル酸と反応させることを含む、化合物4の分割方法であって、化合物4が下記式である、前記方法
【化7】


【請求項20】
前記キラル酸がL-(-)-リンゴ酸である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記キラル酸がL-(-)-ピログルタミン酸である、請求項19記載の方法。
【請求項22】
化合物8の製造方法であって、
【化8】

i)化合物3をメチルアミンでエポキシド開裂して、
【化9】

化合物4を得ること、
【化10】

ii)化合物4を、L-(-)-リンゴ酸及びL-(-)-ピログルタミン酸から選択されるキラル酸で分割して、化合物5A又は5Bを提供すること、
【化11】

iii)化合物5A又は5Bの二級アミンを、tert-ブトキシカルボニル保護基で保護して、化合物6を提供すること、
【化12】

iv)化合物6の遊離ヒドロキシル基を、メチル化剤でメチル化すること、及び
v)アミノ基をp-トルエンスルホン酸一水和物で脱保護して、化合物8を得ることを含む、前記製造方法。
【請求項23】
前記メチル化剤が硫酸ジメチルである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記工程ii)におけるキラル酸が、L-(-)-リンゴ酸である、請求項22記載の方法。
【請求項25】
約0.9〜1.1当量の前記L-(-)-リンゴ酸が、工程ii)において使用される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸の製造方法であって、
i)化合物2をメチルアミン及び塩基と反応させて、化合物4を得ること、
【化13】

ii)化合物4を、L-(-)-リンゴ酸及びL-(-)-ピログルタミン酸から選択されるキラル酸で分割して、化合物5A又は5Bを提供すること、
【化14】

iii)化合物5A又は5Bの二級アミンを、tert-ブトキシカルボニル保護基で保護して、化合物6を提供すること、
【化15】

iv)化合物6の遊離ヒドロキシル基を、メチル化剤でメチル化すること、及び
v)アミノ基をp-トルエンスルホン酸一水和物で脱保護して、化合物8を得ること、及び
【化16】

vi)化合物8を化合物10と反応させて、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を得ることを含む、前記製造方法
【化17】


【請求項27】
化合物8の製造方法であって、
【化18】

i)化合物2を、メチルアミン及び塩基と反応させて、
【化19】

化合物4を得ること、
【化20】

ii)化合物4を、L-(-)-リンゴ酸及びL-(-)-ピログルタミン酸から選択されるキラル酸で分割して、化合物5A又は5Bを提供すること、
【化21】

iii)化合物5A又は5Bの二級アミンを、tert-ブトキシカルボニル保護基で保護して、化合物6を提供すること、
【化22】

iv)化合物6の遊離ヒドロキシル基を、メチル化剤でメチル化すること、及び
v)アミノ基をp-トルエンスルホン酸一水和物で脱保護して、化合物8を得ることを含む、前記製造方法。
【請求項28】
請求項1〜18のいずれか一項記載の方法によって製造された、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸。
【請求項29】
組成物の総重量に基づいて、少なくとも99.95%の(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸、及び0.05%未満の(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸から本質的になる組成物。
【請求項30】
組成物の総重量に基づいて、0.02%未満の(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を有する、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
組成物の総重量に基づいて、0.01%未満の(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を有する、請求項29記載の組成物。
【請求項32】
医薬として許容し得る担体、賦形剤、又はアジュバントを更に含む、請求項29〜31のいずれか一項記載の組成物。
【請求項33】
その必要のある対象に、請求項29〜32のいずれか一項記載の組成物を投与することを含む、癌の治療方法。
【請求項34】
前記癌が固形腫瘍を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記癌が卵巣癌である、請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記卵巣癌が、白金耐性の上皮卵巣癌である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記癌が血液系悪性腫瘍である、請求項33記載の方法。
【請求項38】
前記血液系悪性腫瘍が、急性骨髄性白血病である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記癌が乳癌である、請求項33記載の方法。
【請求項40】
第2の薬剤の治療的に有効な用量を投与することを更に含む、請求項33〜39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
前記第2の薬剤がシタラビン、カルボプラチン、シスプラチン、ゲムシタビン、抗嘔吐薬、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
下記から選択される化合物
【化23】


【請求項43】
1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸、及び1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-オキシ-4-メチルアミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸からなる群から選択される不純物を実質的に含まない、(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸。
【請求項44】
ヒトへの使用に適した、少なくとも1キログラムの(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸であって、
【化24】

1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-アミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸、及び1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-オキシ-4-メチルアミノ-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸を実質的に含まない、前記(+)-1,4-ジヒドロ-7-[(3S,4S)-3-メトキシ-4-(メチルアミノ)-1-ピロリジニル]-4-オキソ-1-(2-チアゾリル)-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸。

【公表番号】特表2012−514041(P2012−514041A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544574(P2011−544574)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/069645
【国際公開番号】WO2010/078294
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(500586635)サネシス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (29)
【Fターム(参考)】