説明

(E)−2−シクロペンタデセノンの製造方法及びそれを用いたムスコンの製造方法

【課題】 (E)−体の割合が高い2−シクロペンタデセノンを製造する技術を提供すること。さらに、温和な製造条件で、収率良く(E)−体の割合が高い2−シクロペンタデセノンを製造する技術を提供すること。
【解決手段】 3−シクロペンタデセノン、あるいは2−シクロペンタデセノン及び3−シクロペンタデセノンからなる混合物を硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸化ジルコニア、硝酸、酢酸、塩化アルミニウム、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、メタンスルホン酸、陽イオン交換樹脂から選ばれた少なくとも1種の酸の存在下で異性化反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(E)−2−シクロペンタデセノンの製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、2−シクロペンタデセノン及び3−シクロペンタデセノンの混合物、あるいは3−シクロペンタデセノンを特定の酸の存在下で異性化反応させることを特徴とする(E)−2−シクロペンタデセノンの製造方法に関する。さらには、その方法で得た2−シクロペンタデセノンからムスコンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
麝香様香気成分は古くから使用されており、その特徴ある香気への憧れからであろうか、多用されているところである。近年、麝香様香気成分として大量に消費されてきたニトロムスクなどの代替品について、使用規制を含めた安全面・環境面での厳しい評価が下されて来ている。この結果、消費者の本物志向の拡大ともあいまって、生物分解性の高いとされる構造を持つ物質、即ち大環状ケトン等への利用が急速に図られてきている。特に、天然に存在し、かつムスク系香気物質の代表格であるムスコンの安価な供給が望まれている。
【0003】
これまでにもムスコンを工業的に製造しようとする多くの試みがなされてきた。特に(R)-ムスコンの製造法確立に重要な合成中間体である(E)−2−シクロペンタデセノンの効率的な合成法の確立が従来の課題であった。
従来技術による(E)−2−シクロペンタデセノンの製造法としては、2−ヒドロキシシクロペンタデカノンスルホネートをアンモニウムスルホネートと塩基触媒の存在下で高温で脱離反応させる方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法では、1)収率が最高でも69%でしかなく、クロマトグラフィ法以外の分離法が困難な3−シクロペンタデセノンが副生する、2)脱メシル化剤が高価である、3)反応温度が高い、等の不都合さが残っている。
【0004】
一方、上記方法と異なる方法として、2−ヒドロキシシクロペンタデカノンを固体酸触媒存在下で高温で脱水し、2−シクロペンタデセノンを合成する方法が提案されている(特許文献2)。しかし、この方法は、反応温度、反応時間が高く、生成する2−シクロペンタデセノンには分離困難な3−シクロペンタデセノンが混在する欠点が存在するものであった。
【0005】
このように、(E)−体の割合が高い2−シクロペンタデセノンの調製法を開発することは、ムスコンの工業的な製造上、極めて重要である。しかし、上記引用文献に記載された製法では、得られた生成物がどのような幾何異性体からなるのかの検討はなされていないし、ましてや、(E)−体の割合が高い2−シクロペンタデセノンを調製する目的もない。(E)−体の割合が高い2−シクロペンタデセノンを効率よく生産できる技術が開発できれば、それは極めて有利であり、意味のあることである。
【特許文献1】特開2003−171335号公報
【特許文献2】特開2002−220361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のような実情において、本発明の課題は、(E)−体の割合が高い2−シクロペンタデセノンを製造する技術を提供することにあり、さらに、2−シクロペンタデセノンを短い反応工程数で製造することができ、しかも(E)−体の割合が高い2−シクロペンタデセノンを製造する技術を提供することにある。また、温和な製造条件で、収率良く2−シクロペンタデセノンを製造することができ、しかもE−体の割合が高い2−シクロペンタデセノンを製造する技術を提供することにある。また、本発明の課題は上記方法で得た2−シクロペンタデセノンを基にムスコンを製造する方法を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成するためいろいろと工夫するなか、2−シクロペンタデセノン及び3−シクロペンタデセノンの混合物を特定の酸の存在下で異性化反応させると、意外にも、(E)−体含量が高い2−シクロペンタデセノンを得ることが出来るという知見を得た。しかも、(E)−体含量が高い2−シクロペンタデセノンを温和な反応条件で収率良く得ることが出来るという知見を得た。この知見を基に更に研究を重ね、ついに本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0008】
請求項1の発明は、2−シクロペンタデセノン及び3−シクロペンタデセノンからなる混合物を硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸化ジルコニア、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、メタンスルホン酸、陽イオン交換樹脂から選ばれた少なくとも1種の酸の存在下で異性化反応させることを特徴とする(E)−2−シクロペンタデセノンの製造方法である。
前記製造される(E)−2−シクロペンタデセノンには、(E)−2−シクロペンタデセノンが含まれる、さらに(E)−2−シクロペンタデセノンを高い割合で含む2−シクロペンタデセノンも含まれる。すなわち、本発明は、E−2−シクロペンタデセノンを高い割合で含む(E)−2−シクロペンタデセノン組成物の製造方法の発明でもある。
【0009】
請求項2の発明は請求項1の発明において、酸が、硫酸及び/又はトリフルオロメタンスルホン酸であることを特徴とする発明である。
請求項3の発明は上記請求項1又は2記載の方法で得た(E)−2−シクロペンタデセノンをメチル化することを特徴とするムスコンの製造方法である。なお、本発明には(E)−2−シクロペンタデセノンをアルキル化する発明も含む。ここでアルキルは、炭素数が1〜4までのアルキル基を意味する。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明により製造される(E)−2−シクロペンタデセノンは公知の化学物質である。本発明では、(E)体含量が高い2−シクロペンタデセノンが得られることに、一つの大きな特徴がある。すなわち、本発明により製造される(E)−2−シクロペンタデセノンには、(E)−2−シクロペンタデセノンが含まれるが、さらに(E)−2−シクロペンタデセノンを高い割合で含む(E)−2−シクロペンタデセノンも含まれる。前記高い割合で含む2−シクロペンタデセノンとは、生成された2−シクロペンタデセノンを基準として、E−2−シクロペンタデセノンを、70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、さらにより好ましくは95重量%以上をいう。
さらに、本発明により製造される(E)−2−シクロペンタデセノンとは、(E)−2−シクロペンタデセノンを高い割合で含む組成物であって、少量の3−シクロペンタデセノンを含んでもよい(E)−2−シクロペンタデセノン組成物でもある。なお、この組成物には、本発明の異性化反応により副生する化学物質が少量存在していてもよい。
【0011】
本発明では、上記(E)−2−シクロペンタデセノンを製造する出発物質として、2−シクロペンタデセノン及び3−シクロペンタデセノンからなる混合物も前記出発物質として挙げられる。前記2−シクロペンタデセノンとして、(E)−2−シクロペンタデセノンを用いてもよい。前記混合物を構成する2−シクロペンタデセノンと3−シクロペンタデセノンとの量割合は特に制限されない。
上記(E)−2−シクロペンタデセノンを製造する出発物質として、3−シクロペンタデセノンを用いてもよい。3−シクロペンタデセノンは公知の化合物であり、入手することができる。
【0012】
本発明では、有機酸、ルイス酸、特定の無機酸の存在下に異性化反応させることができる。その中でも、有用な酸として、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸化ジルコニア、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、メタンスルホン酸、陽イオン交換樹脂から選ばれた酸単独あるいは2種以上を異性化反応に際して共存させる。それら酸の中では特に硫酸及び/又はトリフルオロメタンスルホン酸が好ましい。
共存させる酸の量は本発明の目的を達成できる程度の量であれば特に制限されないのであり、用いる出発物質の種類や量、用いる酸の種類により変動するので一概に規定できないが、その酸の使用量の一例として、用いる出発物質に対して、0.1当量〜5当量とすると好ましい効果が得られる。
【0013】
本発明では、用いる溶媒は本発明の課題を達成できる溶媒であれば特に制限されないのであるが、具体的にはペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、アセトン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジシクロペンチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸を例示することができる。これらの中では、特に、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタンが好ましい。なお、本発明で用いる溶媒は複数の溶媒を混合した混合溶媒を使用することもできる。
【0014】
本発明では、少なくとも上記出発物質、酸、溶媒を容器内にて攪拌することによりワンポットで(E)−2−シクロペンタデセノンを製造するのであるが、上記出発物質、酸、溶媒を容器内に加える順番は特に制限されない。
攪拌するときの温度は特に制限されないが、室温から用いる溶媒の沸点よりも数度高めの温度まですることができる。
反応時間は、用いる出発物質、酸、溶媒の種類や量により変動するが、通常0.5〜48時間程度で十分である。
【0015】
上記異性化反応により得られた反応液をそのまま常法により処理して、(E)−2−シクロペンタデセノンを収率良く得ることができる。また、上記反応液を必要に応じて常法の精製処理を施してもよい。
本発明では、上記出発物質からワンポットで(E)−2−シクロペンタデセノンを得ることができるので有利であるが、さらに(E)−2−シクロペンタデセノンは副生物の量が極めて微量であり、その点でも有利である。
ここで、ワンポットで生成物を得るとは、出発原料を含めて反応に必要な科学物質の種類及び量を反応容器内に加え、反応させ、目指す化学物質を調製できることをいう。
【0016】
以下、前記出発物質としての2−シクロペンタデセノン及び3−シクロペンタデセノンからなる混合物の生成について説明する。
2−シクロペンタデセノン及び3−シクロペンタデセノンからなる混合物は、例えば、2−置換シクロペンタデカノンの脱離反応により生成される。2-置換シクロペンタデカノンにおける置換基は、2−置換シクロペンタデカノンの脱離反応により前記混合物を調製することができるような置換基であれが特に制限されない。前記置換基として、たとえばヒドロキシ基、ハロゲン基、アルキルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0017】
例えば、2−ヒドロキシシクロペンタデカノンをメタンスルホン酸クロリドあるいはトルエンスルホン酸クロリドと溶媒中にて反応させて、2-アルキルスルホニルオキシ基置換シクロペンタデカノンを得ることができる。
メタンスルホン酸クロリドあるいはトルエンスルホン酸クロリドの配合量はシクロペンタデカノンとほぼ当量とすることが好ましいが、例えば2.5当量以内など、多めに配合しておいてもよい。
【0018】
かくして製造された2−シクロペンタデセノンを出発原料として公知の反応を利用してムスコンを製造することができる。本発明で製造される2−シクロペンタデセノンは本質的に純粋な(E)−体であるから、とくに(E)−体と(Z)−体との分離精製処理をする操作が不要となり、容易に(R)−ムスコンを製造できるので有利である。例えば、銅試薬、グリニアル試薬の存在下にマイケル反応によりムスコンを製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、(E)−2−シクロペンタデセノンを短い工程で、簡単に収率良く合成することができる。つまり、2−シクロペンタデセノンをワンポットで、容易に入手できる酸を用い、温和な条件で収率良く製造することができる。また、本発明により、(R)−体のムスコンを効率よく安価に製造することができるので、本発明は極めて実用的な発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではなく、また、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させることは可能である。
なお、下記に記載する処方においては、特に言及しない限り、%は重量%、部は重量部を意味するものとする。
【0021】
(実施例1) (E)−2−シクロペンタデセノンの調製
5mLサンプル瓶に(E)−2−シクロペンタデセノン(15.4mg:0.06938mmol)と3−シクロペンタデセノン(4.5mg:0.02008mmol)の混合物(0.08946mmol:1eq.)を加え、ヘキサン0.5mLに溶解させた後、硫酸(39.2mg:0.40mmol:4.5eq.)を加えて、25℃で1時間攪拌した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)上により原料が消失したことを確認後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液1mLを加えた後、反応液に酢酸エチル1mLを加え抽出処理した。この抽出操作をさらに2回繰り返した。集めた有機層を水3mL,飽和食塩水3mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥処理した後、目皿吸引ろ過後、溶媒を留去し、粗生成物を得た。シリカゲルろ過(SiO:2g、酢酸エチル)し、無色液体の粗生成物得た。粗生成物を機器分析して(E)−2−シクロペンタデセノンであることを確認し、ガスクロマトグラフィー(GC)測定により、(E)−2−シクロペンタデセノン19.3mg(収率97%)であった。
【0022】
(E)−2−シクロペンタデセノンの分析データを示す。
(E)-2-cyclopentadecenone
Formula: C15H26O
Mol. Wt.: 222.37
Rf = 0.63 (Hexane : AcOEt = 80: 20)
H NMR (CDCl, 300 MHz) δ =1.09-1.42 (m, 16H, 8×-CH2-), 1.48-1.60 (m, 2H, -CH2-CH2-CH=CH-), 1.60-1.76 (m, 2H, -CH2-CH2-C=O), 2.21-2.33 (m, 2H, -CH2-CH=CH-), 2.46-2.54 (m, 2H, -CH2-C=O ), 6.19 (td, J = 1.3, 15.7 Hz, 1H, -CH=CH-C=O), 6.82 (td, J = 7.4, 15.7 Hz, 1H, -CH=CH-C=O)

NMR


GLC

【0023】
(実施例2) (E)−2−シクロペンタデセノンの調製
5mLサンプル瓶に(E)−2−シクロペンタデセノン(17.6mg:0.07895mmol)と3−シクロペンタデセノン(5.1mg:0.02285mmol)の混合物(0.1018mmol:1eq.)を加え、ジクロロメタン0.5mLに溶解させた後、トリフルオロメタンスルホン酸(14.9mg:0.09928mmol:1.0eq.)を加えて、25℃で1時間攪拌した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)上により原料が消失したことを確認後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液1mLを加えた後、反応液にジクロロメタン1mLを加え抽出処理した。この抽出操作をさらに2回繰り返した。これ以降は実施例1と同様に操作し、無色液体の粗生成物を得た。実施例1と同様な方法で生成物は(E)−2−シクロペンタデセノンであることを確認し、GC測定から、(E)−2−シクロペンタデセノン22.3mg(収率99%)を確認した。
【0024】
(比較例1) 塩酸の存在下での(E)−2−シクロペンタデセノンの調製
5mLサンプル瓶に(E)−2−シクロペンタデセノン(15.3mg:0.06870mmol)と3−シクロペンタデセノン(4.4mg:0.01989mmol)の混合物(0.08859mmol:1eq.)を加え、ヘキサン0.5mLに溶解させた後、塩酸(12.4μL:14.6mg:0.40mmol:4.52eq.)を加えて、25℃で9時間攪拌した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)上により原料が消失したことを確認後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液1mLを加えた後、反応液に酢酸エチル1mLを加え抽出処理した。この抽出操作をさらに2回繰り返した。これ以降は実施例1と同様に操作し、無色液体の粗生成物を得た。実施例1と同様なGC測定から、(E)−2−シクロペンタデセノン7.7mg(収率39%)と3−シクロペンタデセノン3.6mg(収率18%)を確認した。
【0025】
実施例3〜6 (E)−2−シクロペンタデセノンの調製
(E)−2−シクロペンタデセノンと3−シクロペンタデセノンの量割合が表1の混合物20mgを、表1記載の量のトリフルオロメタンスルホン酸を共存する表1記載の溶媒中にて、表1の時間反応させ、それ以外は実施例1と同様に操作し、(E)−2−シクロペンタデセノンを得た。収率及び(E)−2−シクロペンタデセノンの存在割合は表1のとおりであった。
【0026】
表1


表中、2−は(E)−2−シクロペンタデセノン、3−は3−シクロペンタデセノンを示し、出発物質の数字は重量比で表し、反応時間の単位は時間であり、生成物質の収率は出発物質に対する%で表し、生成物質の存在割合は%で表す。(以下、同様)
【0027】
実施例7〜8 (E)−2−シクロペンタデセノンの調製
(E)−2−シクロペンタデセノンと3−シクロペンタデセノンの量割合が表1の混合物20mgを、表2記載の量の硫酸を共存する表2記載の溶媒中にて、表2の時間反応させ、それ以外は実施例1と同様に操作し、(E)−2−シクロペンタデセノンを得た。収率及び(E)−2−シクロペンタデセノンの存在割合は表2のとおりであった。
【0028】
表2

【0029】
実施例9〜17 (E)−2−シクロペンタデセノンの調製
(E)−2−シクロペンタデセノンと3−シクロペンタデセノンの量割合が表1の混合物20mgを、表3記載の量の酸を共存するヘキサン中にて、表3の時間反応させ、それ以外は実施例1と同様に操作し、(E)−2−シクロペンタデセノンを得た。収率及び(E)−2−シクロペンタデセノンの存在割合は表3のとおりであった。
【0030】
表3


表中、Sc(OTf)はトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウムを示す。また、Dowex50(ダウケミカル社製)は樹脂の末端にスルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂であり、Nafion(デュポン社製)は陽イオン交換樹脂である。
*硫酸化ジルコニアの使用量の単位はmg/mmolである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−シクロペンタデセノン及び3−シクロペンタデセノンからなる混合物を硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸化ジルコニア、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩化アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、メタンスルホン酸、陽イオン交換樹脂から選ばれた少なくとも1種の酸の存在下で異性化反応させることを特徴とする(E)−2−シクロペンタデセノンの製造方法。
【請求項2】
酸が、硫酸及び/又はトリフルオロメタンスルホン酸であることを特徴とする請求項1記載の(E)−2−シクロペンタデセノンの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法で得た(E)−2−シクロペンタデセノンをメチル化することを特徴とするムスコンの製造方法。

【公開番号】特開2009−114145(P2009−114145A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291343(P2007−291343)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(304023318)国立大学法人静岡大学 (416)
【Fターム(参考)】