説明

+4価オキソバナジウムおよび/または+2価亜鉛を含有する単核および複核錯体による抗糖尿病薬剤

【課題】長期投与において安全性が高く、高血糖および耐糖能異常の治療が行える、+4価オキソバナジウム源および/または+2価亜鉛源から合成される単核および複核金属錯体を提供する。
【解決手段】上記目的を解決するにあたり、本発明では、サレン(Hfsaen)を基本骨格とする、+4価オキソバナジウム源から合成される単核および複核金属錯体および+4価オキソバナジウム・+2価亜鉛複核金属錯体が、インスリン様作用、血糖降下作用および耐糖能改善作用を有することを明らかにし、特に+4価オキソバナジウム・+2価亜鉛複核錯体が最も優れた効果を示すことを提案し、抗糖尿病薬剤の有効成分として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン様作用、血糖降下作用および耐糖能改善作用を示し、サレン(Hfsaen)を基本骨格とする種々の誘導体からなる化合物を配位子として含有する、+4価オキソバナジウム源および/または+2価亜鉛源から合成される単核および複核金属錯体を含む、糖尿病治療薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチプルリスクファクター症候群と言われてきた糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化症は相互の関連性や代謝性疾患・生活習慣病としての共通点からメタボリックシンドロームとよばれ、世間に定着している(非特許文献1)。
【0003】
インスリンの作用不足の機序には絶対的または相対的なインスリンの供給不足と(1型糖尿病)、インスリン作用臓器の感受性の低下に基づくもの(2型糖尿病)が知られている。糖尿病の治療薬としては1型糖尿病にはインスリン製剤が、2型糖尿病にはインスリンの分泌を促進するスルフォニルウレア剤や食後の血糖上昇を抑制するαグルコシダーゼ阻害薬などの経口薬剤が開発されているが、それぞれに精神的、肉体的負担や副作用の報告も多くあり、患者のQOLの低下が懸念されている。このような状況を反映して、新たな作用機序を持つ新薬の開発が望まれており、ここ数年来、様々な金属による抗糖尿病作用の報告が多くなされている(非特許文献2−3)。
【0004】
そのような背景の下、生体微量元素の一つであるバナジウムを含む化合物が、抗糖尿病作用を有することに注目が集まっている。バナジウムは、コレステロール合成の阻害や脂肪細胞でのグルコースの酸化および輸送促進作用が知られているが、その必須性については証明されていない。バナジウムの化学的・生物学的性質に関する研究は、1980年にDubyakらが+5価オキソバナジウム(V)の脂肪細胞へのグルコース取り込み促進作用を見出したことに始まり、インビボ実験においては、1型および2型糖尿病動物において、バナジウムは血糖降下作用を示すことが報告されている。さらに、バナジウムの糖尿病患者に対する臨床試験も実施され、1型および2型糖尿病患者の血糖値を低下させる報告もある(特許文献1、非特許文献4−6)。
【0005】
一方亜鉛は、生体内必須微量元素の一つであり、生体内に約2グラム存在し、遷移金属の中では鉄についで2番目に多い。生体内で亜鉛を含むたんぱく質は200種類以上が確認されており、欠乏症として小人症、味覚・嗅覚障害や腸性肢端性皮膚炎が知られている。亜鉛のインスリン様作用、抗糖尿病作用についてもいくつかの報告がされており、バナジウムと同様に糖尿病治療薬としての期待が高まっている(特許文献2−3、非特許文献7−8)。
【0006】
これまで、金属錯体による抗糖尿病作用の研究は、単核錯体に関する研究が多く、複核錯体の抗糖尿病作用の研究は、酒石酸の+4価オキソバナジウム錯体((VO)(tart))が、インビトロおよびインビボでインスリン様作用や血糖降下作用を示すことが明らかにされているだけである(非特許文献9−10)。また、亜鉛とバナジウムをそれぞれ含む混合複核錯体に関する報告は全くなされていない。
【0007】
そこで、本研究ではサレンを配位子とした+4価オキソバナジウム源および/または+2価亜鉛源から合成される単核および複核金属錯体を合成し、その物性、インスリン様作用および抗糖尿病作用について検討した。
【0008】
【非特許文献1】下村伊一郎、松澤佑次 編 メタボリックシンドローム 病態の分子生物学 南山堂 2005
【非特許文献1】K. Yokota et.al., J.Am.Coll.Nutr., 5, 506S, 2004
【非特許文献2】K.N. Jeejeebhoy et.al., Am.J.Clin.Nutr., 30, 531, 1977
【非特許文献3】C.E. Heylinger et.al., Science, 227, 1474, 1985
【非特許文献4】V.G. Yuen et.al., Diabetes Res.Clin.Pract., 43, 9, 1999
【非特許文献5】K. Cusi et al., J. Clin. Endocrinol. Metal, 86, 1410, 2001
【非特許文献6】H. Sakurai et al., Bull.Chem.Soc.Jpn., 79, 1645, 2006
【非特許文献7】H. Sakurai and Y.Adachi,Biometals, 18, 305, 2005
【非特許文献8】H. Sakurai et.al., J.Clin.Biochem.Nutr., 8, 193, 1990
【非特許文献9】H. Sakurai et al., Pure Appl.Chem., 77, 1629, 2005
【特許文献1】アミノ酸誘導体・オキソバナジウム(IV)錯体、特開2000−44584
【特許文献2】亜鉛錯体による抗糖尿病薬剤、特開2007−1899
【特許文献3】亜鉛(II)有機錯体からなる血糖降下剤、特開2001−220348
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、既存の糖尿病治療薬が有する低血糖障害などの副作用が少なく、低容量で高活性な糖尿病治療に有効な薬剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのような課題を克服するために、本発明では、金属イオンよりも毒性が低く、ほど良い安定性と、ほど良い脂溶性をもつサレン誘導体を配位子とする単核および複核錯体からなるインスリン様作用薬、糖尿病治療薬および耐糖能改善薬を提供することを試みた。インスリン様作用、血糖降下作用および耐糖能改善作用を有する単核+4価オキソバナジウムおよび+2価亜鉛錯体は、申請者らにより数多く開発されてきたが、バナジウムまたは亜鉛複核錯体、ならびにバナジウム・亜鉛複核錯体は今までに開発されてこなかった。さらに、サレン誘導体をバナジウムおよび亜鉛と結合させることにより、バナジウムおよび亜鉛イオンより低毒性、高吸収性を有する錯体を提案することが可能となった。
【0011】
この発明が解決しようとしている課題は、前記、+4価オキソバナジウムおよび+2価亜鉛の単核または複核錯体を有効成分として含有する医薬組成物であり、糖尿病を改善する為の医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、前記したバナジウムおよび亜鉛錯体のほかに、さらに製薬上許容される単体及びそれらの混合物を含有してなる医薬組成物が好ましい。
【0012】
本発明は、+4価オキソバナジウムおよび+2価亜鉛と錯体を形成し得る有機化合物とバナジウムおよび亜鉛源とを含んでなる薬剤に関する。バナジウムおよび亜鉛と錯体を形成し得る有機化合物としては、例えば、(化1)の他に、サリチル酸誘導体等が好ましいものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
本発明で用いられる+4価オキソバナジウム源および+2価亜鉛源としては、ヒトおよび/または他の動物への投与に好適なバナジウム源および亜鉛源であればどのようなものでもよいが、例えば、バナジウムおよび亜鉛の鉱産塩や有機錯体などが好ましいものとして挙げられる。バナジウムの鉱産塩としては、例えば、酢酸バナジウム、塩化バナジウム、硫酸バナジウム、硝酸バナジウム等が、亜鉛の鉱産塩としては、例えば、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、水酸化亜鉛、グルコン酸亜鉛等が挙げられる。なお、バナジウム源および亜鉛源としてバナジウムおよび亜鉛の鉱産塩を使用した場合には、pH調整剤として、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム等の塩基性水溶液や、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液等の緩衝液を併用してもよい。本発明にかかる薬剤の形状は、粉末状、顆粒状、錠剤型、カプセル、液状、ゲル状、その他いずれのものでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る、+4価オキソバナジウムおよび+2価亜鉛と錯体を形成し得る有機化合物とバナジウムおよび亜鉛源とを含んでなる薬剤は、バナジウムおよび亜鉛イオンよりも毒性が低く、ほど良い安定性と、ほど良い脂溶性をもち、かつインスリン様作用、血糖降下作用および耐糖能改善作用をもつ薬剤として大いに期待されるものである。さらに、糖尿病患者やその予備群などの健康状態をよくし、耐糖能障害、高脂質血症、アテロ−ム性動脈硬化症、心臓血管疾患、狭心症、高血圧、あるいは、味覚障害などの予防や治療に効果のある薬剤として大いに期待されるものである。また、本発明の錯体は、長期間の摂取においても、実質的な副作用を伴わず、安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の製造例および実施例は、この発明を説明するために示したものであり、本発明はこれらの実施例や試験例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】

本発明で用いた、+4価オキソバナジウムおよび/または+2価亜鉛―サレン誘導体単核または複核錯体は、Kahnらの方法を参考に合成した。(非特許文献11)
【0017】
【非特許文献10】O. Kahn and P. Tola, Inorg. Chim. Acta., 31, L405, 1978
【0018】
VOHfsaenの合成は、配位子であるHfsaenを炭酸ナトリウム水溶液に溶解し、VOSO・1.2水和物を配位子:金属=1:1の割合で加え、60℃で12時間攪拌した。得られた沈殿物を減圧乾燥し目的物を得た。構造式を(化2)に示し、物性データを表1−4に示す。
【実施例2】
【0019】
(VO)fsaenの合成は、配位子であるHfsaenを炭酸ナトリウム水溶液に溶解し、VOSO・1.2水和物を配位子:金属=1:3.5の割合で加え、60℃で12時間攪拌した。得られた沈殿物を減圧乾燥し、目的の化合物を世界で始めて得た。構造式を(化2)に、物性データを表1−4に示し、IRスペクトルを図1に、ESRスペクトルを図2に示す。
【実施例3】
【0020】
VOZnfsaenの合成は、VOHfsaenを水酸化リチウム/メタノール溶液に溶解し、ZnClをVOHfsaen:ZnCl=1:1の割合で加え、室温で12時間攪拌した。得られた沈殿物を減圧乾燥し目的物を得た。構造式を(化2)に示し、物性データを表1−4に示す。
【実施例4】
【0021】
ZnHfsaenの合成は、配位子であるHfsaenを炭酸ナトリウム水溶液に溶解し、ZnSO・7水和物を配位子:金属=1:1の割合で加え、60度で12時間攪拌した。得られた沈殿物を減圧乾燥し、目的の化合物を得た。構造式を(化2)に示し、物性データを表1−4に示す。
【実施例5】
【0022】
Znfsaenの合成は、配位子であるHfsaenを炭酸ナトリウム水溶液に溶解し、ZnSO・7水和物を配位子:金属=1:10の割合で加え、60度で12時間攪拌した。得られた沈殿物を減圧乾燥し、目的の化合物を得た。構造式を(化2)に示し、物性データを表1−4に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
【化2】

【0028】
(薬理試験例1)
非特許文献12に記載の方法に従い、以下の実験を行った。すなわち、ラット脂肪細胞の分離は、体重200 gの雄性Wistarラットをエーテル麻酔下で放血致死させ、副睾丸周辺の脂肪組織から脂肪細胞を分離した。脂肪細胞をはさみで切り、1 mLあたり20 mgの牛血清アルブミン(BSA)および0.4 mgコラナーゼを含むKRBバッファー(pH=7.4)中、37℃で1時間消化した。脂肪細胞をナイロンメッシュを通して濾過することにより未消化組織より分離し、コラゲナーゼを含まない上記バッファーで3回洗浄し、1.5×10細胞/mLに調製した。
【0029】
ラット脂肪細胞に対する効果は、シリコン処理されたバイアル中、上記で分離された脂肪細胞(1.5×10細胞/mL)を、各種濃度(10−4,5×10−4,10−3 M)のポジティブコントロールや被験物質と共に、KRBバッファー中で37℃、0.5時間プレインキュベートし、ついで、10−5 Mのエピネフリンを反応混合物に加え、得られた溶液を37℃で3時間インキュベートする事により評価した。3時間インキュベート後、反応混合物を氷冷し、3000 rpmで10分間遠心分離した。細胞外溶液について、遊離脂肪酸(FFA)濃度をNEFAキットWAKOを用いて測定し、IC50値を測定した(表5)。
【0030】
【非特許文献11】M. Nakai et al., Biol. Pharm. Bull., 18, 719, 1995
【0031】
(薬理試験例2)
単回投与における抗糖尿病作用の評価には、1型糖尿病モデル動物のSTZマウスを用い、本発明に関わる有機錯体を196.4 μmol metal/kg体重となるように単回腹腔内投与し、投与後24時間の血糖値推移を測定することでその評価を試みた。評価結果を図3と4に示す。
【0032】
(薬理試験例3)
腹腔内投与における抗糖尿病作用の評価には、糖尿病モデル動物のSTZマウスを用いた。STZマウスに一日一回、22日間、58.9〜196.4 μmol metal/kg体重となるように、腹腔内投与を行った。錯体投与時には、血糖値、体重、摂餌量、摂水量を同時にモニターした。22日間投与終了後、12時間絶食させ、体重1 kgあたり1 gのグルコースを経口投与し、糖負荷試験を行った。また、投与終了後にHbA1c値の測定を行った。
錯体投与群としてVOHfsaen、(VO)fsaen、VOZnfsaen、およびZnHfsaenを腹腔内投与したときの血糖値の変化をそれぞれ図5と6に示し、糖負荷試験の結果を図7に示す。さらにHbA1c値の測定結果を表6に示す。
【0033】
(結果)
表5に示すように、VOSO、ZnSOおよびVOSO+ZnSO(1:1)、ならびに本発明のVOHfsaen、(VO)fsaenおよびVOZnfsaenは、ラット脂肪細胞からの脂肪酸の遊離を抑制することができ、インスリン様作用を有する化合物として提案することができた。
【0034】
【表5】

p<0.05 vs. VOSO##p<0.01 vs. VOSO+ZnSO (1:1)
【0035】
図3および4に示すように、VOZnfsaenは単回投与で劇的に血糖値を降下させる働きを有することが明らかとなった。VOHfsaen、(VO)fsaenおよびZnHfsaenは、錯体非投与群と比べ血糖値降下作用を示したが、その効果はVOZnfsaenと比較すると弱いものであった。
【0036】
図5および6に示すように、VOHfsaen、(VO)fsaenおよびVOZnfasenを腹腔内投与すると、血糖値は錯体投与後低下し始め、22日間の投与終了時には、投与前と比較してVOHfsaen、(VO)fsaenおよびVOZnfsaen投与群ではそれぞれ、約180、200、230 mg/dL低下した。しかし、ZnHfsaenには血糖降下作用は認められなかった。体重は投与期間中に大きな変化はみられなかった。
28日間の投与終了後に行った糖負荷試験では、図7に見られるように、VOHfsaen、(VO)fsaenおよびVOZnfsaen投与群は、錯体非投与群と比較して血糖値の上昇が抑制されており、耐糖能の改善効果がみられた。しかし、ZnHfsaenには耐糖能改善効果は認められなかった。
表6に見られるように、HbA1c値も、VOHfsaen、(VO)fsaenおよびVOZnfsaen錯体投与群は、錯体非投与群と比較して有意に低下しており、これらの錯体の血糖値の低下は一時的なものではなく、長期にわたって持続的であることが明らかとなった。
【0037】
【表6】

p<0.001、**p<0.005、p<0.05 vs. 錯体非投与群
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係わる(VO)fsaen錯体の赤外吸収スペクトル
【図2】本発明に係わる(VO)fsaen錯体の電子スピン共鳴スペクトル
【図3】本発明に係わるVOZnfsaenを、STZマウスに単回腹腔内投与したときの血糖値の推移を示したものである。錯体非投与群(●)、VOSO投与群(×)、ZnSO投与群(■)、VOSOおよびZnSO等モル混合物投与群(◆)、VOZnfsaen投与群(△)。
【図4】本発明に係わるVOHfsaen、(VO)fsaen、ZnHfsaenおよびZnfsaenを、STZマウスに単回腹腔内投与したときの血糖値の推移を示したものである。錯体非投与群(●)、VOHfsaen投与群(○)、(VO)fsaen投与群(▲)、ZnHfsaen投与群(◇)、Znfsaen投与群(□)。
【図5】本発明に係わるVOZnfsaenを、STZマウスに22日間連続腹腔内投与したときの血糖値の推移を示したものである。錯体非投与群(●)、VOSO投与群(×)、ZnSO投与群(■)、VOSOおよびZnSO等モル混合物投与群(◆)、VOZnfsaen投与群(△)。
【図6】本発明に係わるVOHfsaen、(VO)fsaenおよびZnHfsaenを、STZマウスに22日間連続腹腔内投与したときの血糖値の推移を示したものである。錯体非投与群(●)、VOHfsaen投与群(○)、(VO)fsaen投与群(▲)、ZnHfsaen投与群(◇)。
【図7】本発明に係わるVOHfsaen、(VO)fsaen、ZnHfsaenおよびVOZnfsaenを、STZマウスに22日間連続腹腔内投与した後に実施した、糖負荷試験の際の血糖値の推移を示したものである。錯体非投与群(●)、VOSOおよびZnSO等モル混合物投与群(◆)、VOHfsaen投与群(○)、(VO)fsaen投与群(▲)、ZnHfsaen投与群(◇)、VOZnfsaen投与群(△)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(化1)で表されるサリチリデンエチレンジアミン(サレン:Hfsaen)誘導体と、+4価オキソバナジウム源および/または+2価亜鉛源から合成される単核および複核金属錯体。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含有することを特徴とする抗糖尿病薬剤。
【請求項3】
+4価オキソバナジウム源または+2価亜鉛源が、バナジウムまたは亜鉛の鉱産塩又は有機錯体である請求項2に記載の薬剤。
【請求項4】
サレン誘導体が、構造式(化1)
【化1】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の、鎖状または環状の、飽和もしくは不飽和の炭化水素基;これら炭化水素基に置換していてもよい、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルバメート基、ウレア基、スルホニル基、スルフェニル基、ホスフェニル基、ホスフィニル基、チオール基、チオエーテル基、チオエステル基等の各種の官能基等の任意のものであってよい。)で表される化合物。
【請求項5】
抗糖尿病薬剤が、インスリン様作用、血糖降下作用および耐糖能改善作用を有する化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−201705(P2008−201705A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38795(P2007−38795)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(305029830)
【Fターム(参考)】