説明

1−アルキル−/1−アリール−5−ピラゾールカルボン酸誘導体を調製する方法

本発明は、アルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンを用いて置換されている1,3−ジオキソラン類及び1,4−ジオキサン類を1−アルキル−置換ジヒドロ−1H−ピラゾール類又は1−アリール−置換ジヒドロ−1H−ピラゾール類に変換する段階、並びに、前記ピラゾール類をさらに反応させて1−アルキル−置換5−ピラゾールカルボン酸誘導体又は1−アリール−置換5−ピラゾールカルボン酸誘導体とする段階を含む、1−アルキル−置換5−ピラゾールカルボン酸誘導体又は1−アリール−置換5−ピラゾールカルボン酸誘導体を製造する方法に関し、ここで、該1−アルキル−置換5−ピラゾールカルボン酸誘導体又は1−アリール−置換5−ピラゾールカルボン酸誘導体は、殺虫効果を有するアントラニル酸アミド類を製造するための有益な中間生成物として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換されている1,3−ジオキソラン類及び1,4−ジオキサン類をアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンと反応させて1−アルキル−置換ジヒドロ−1H−ピラゾール類又は1−アリール−置換ジヒドロ−1H−ピラゾール類を生成させること、それらを水を除去することを含むさらなる反応に付して1−アルキル−置換ピラゾール類又は1−アリール−置換ピラゾール類を生成させること、及び、それらをさらなる処理に付して5−ピラゾールカルボン酸誘導体を生成させることを含んでいる、1−アルキル−置換5−ピラゾールカルボン酸誘導体又は1−アリール−置換5−ピラゾールカルボン酸誘導体を調製する方法に関する。
【0002】
1−アルキル−/1−アリール−置換ピラゾール類及び1H−ピラゾール類は、殺虫剤として使用することが可能なアントラニルアミド類を製造するための有益な中間体である。
【背景技術】
【0003】
1,3−ジカルボニル類又は対応する1,3−ビス−求電子試薬をモノアルキルヒドラジン類又はモノアリールヒドラジン類と反応させることによってピラゾール類を形成させることができるということは、既に文献に記載されている(Synthesis 2004, N1. pp 43−52)。しかしながら、モノアルキルヒドラジン類又はモノアリールヒドラジン類の場合、位置異性体ピラゾールの混合物が生じるということが報告されている(Tetrahedron 59(2003), 2197−2205; Martins et al., T. L. 45(2004) 4935)。単一の位置異性体のみを得る試みは、これまで成功していない(JOC 2007, 72, 8243−8250)。トリフルオロメチルピラゾール類を調製する方法も、文献に記載されている(WO 2003/016282)。アリール又はヘタリールで置換されているピラゾール類を調製する方法も記載されており(WO 2007/144100)、該方法においては、対応するピラゾール類は、ジエステル類をDIBAL又はLiAlHで還元することによって得られる。しかしながら、これには極めて低い温度が必要とされ、また、DIBALを使用することは非経済的である。WO 2010/112178には、アセチレンケトン類を環化させることによる5−ピラゾールカルボン酸誘導体の調製について記載されているが、ここで、アセチレンケトン類の合成には、BuLi及び極めて低い温度(−70℃〜−80℃)が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2003/016282号
【特許文献2】国際公開第2007/144100号
【特許文献3】国際公開第2010/112178号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Synthesis 2004, N1. pp 43−52
【非特許文献2】Tetrahedron 59(2003), 2197−2205; Martins et al., T. L. 45(2004) 4935
【非特許文献3】JOC 2007, 72, 8243−8250
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、ピラゾール環の3位にさらなる置換基(CH−R)を有している1−アルキル−/1−アリール−置換5−ピラゾールカルボン酸誘導体を調製するための経済的な新規方法を提供することである。該調製方法は、上記で記載されている不利点を有しているべきではなく、工業的規模においてさえ特に良好に且つ容易に実施することが可能なプロセス制御を特徴とすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、本発明に従って、一般式(I)
【0008】
【化1】

〔式中、
は、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシであり;
は、好ましくは、ヒドロキシ、ハロゲン、(C−C)アルコキシであり;
は、特に好ましくは、ヒドロキシ、ハロゲン、(C−C)アルコキシであり;
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールアルコキシ、ハロゲン、O−(C=O)アルキル、O−(C=O)O−アルキル、O(C=O)ハロアルキル、OSOアルキル、OSO−ハロアルキル、OSO−アリールであり;
は、好ましくは、ヒドロキシ、ハロゲン、O−(C=O)(C−C)アルキル、OSO(C−C)アルキル、OSO−ハロ(C−C)アルキルであり;
は、特に好ましくは、ヒドロキシ、ハロゲン、O−(C=O)CHであり;
Aは、アルキルであるか、又は、基
【0009】
【化2】

であり;
Aは、好ましくは、(C−C)アルキルであるか、又は、基
【0010】
【化3】

であり;
Aは、特に好ましくは、基
【0011】
【化4】

であり;
は、ハロゲン、CN、NO、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノであり;
は、好ましくは、ハロゲン、CN、NO、(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)−アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシであり;
は、特に好ましくは、F、塩素、臭素、ヨウ素、CN、(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)−アルキル又はハロ(C−C)アルコキシであり;
は、極めて特に好ましくは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり;
は、特に好ましくは、塩素であり;
Zは、CH、Nであり;
Zは、好ましくは、及び、特に好ましくは、Nである〕
で表される1−アルキル−/1−アリール−置換5−ピラゾールカルボン酸誘導体を調製する方法であって、式(II)
【0012】
【化5】

〔式中、
、Rは、互いに独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシであり;
、Rは、さらに、4員、5員、6員又は7員の置換されていてもよい飽和環(ここで、該飽和環は、N、S、Oから選択される1〜2個のヘテロ原子を含み得る)を形成することも可能であり;
は、トリハロメチル、(C=O)Oアルキル、(C=O)Oハロアルキルであり;
nは、0又は1であり;
nは、好ましくは、及び、特に好ましくは、0である〕
で表される置換されている1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサンを式(III)
【0013】
【化6】

〔式中、
Aは、アルキルであるか、又は、基
【0014】
【化7】

であり;
は、ハロゲン、CN、NO、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノであり;
Zは、CH、Nである〕
で表されるアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンと一緒に、式(IV)
【0015】
【化8】

〔式中、R、Aは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される1−アルキル−/1−アリール−置換ジヒドロ−1H−ピラゾールに変換し、これらを、さらに、場合により、水を除去して予め単離することなく、式(V)
【0016】
【化9】

〔式中、R、R及びAは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される1−アルキル−/1−アリール−置換ピラゾールに変換し、一般式(V)で表されるこれらの化合物を、式(I)
【0017】
【化10】

〔式中、R、R及びAは、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるピラゾールカルボン酸誘導体に変換することを特徴とする、前記方法によって達成された。
【0018】
特に、本発明による調製方法は、極めて短い合成経路、ピラゾール環を形成させる際の高い位置選択性、有利な原料(例えば、2,2−ジメチル−4−メチレン−1,3−ジオキソラン、4−メチレン−1,3−ジオキソラン、酸塩化物及びアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジン)を特徴とし、さらに、工業的規模においてさえ特に良好に且つ容易に実施することが可能なプロセス制御も特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による調製方法は、下記スキーム(I)を参照することにより説明することができる:
スキーム(I)
【0020】
【化11】

ここで、R、R、R、R、R、A 、nは、上記で与えられている意味を有する。
【0021】
式(IV)〔式中、Rは、(C=O)Oアルキルである〕で表される化合物は、さらにまた、段階(2a)において、式(I)〔式中、Rは、Oアルキルであり、Rは、ヒドロキシ、ハロゲン、O−(C=O)(C−C)アルキル、OSO(C−C)アルキル、OSOハロゲン(C−C)アルキルである〕で表される化合物に直接変換することも可能である。
【0022】
該調製方法のさらなる実施形態では、式(II)
【0023】
【化12】

〔式中、nは、0であり、並びに、R、R及びRは、上記で示されている定義を有する〕
で表される化合物を、最初に、式(VI)
【0024】
【化13】

〔式中、
Lは、O、NH又はNRであり;
は、アルキルである〕
で表される求核試薬と反応させて、式(VII)〔これは、2種類の互変異性体形態(VIIa)と(VIIb)の形態で存在することができ、また、式(VIIc)と(VIId)で表される環を形成することができる〕
【0025】
【化14】

で表されるヒドロキシ−2,4−ジオキソペンタノエート又はアミノヒドロキシオキソペンテノエートを生成させ、これを、次に、式(III)
【0026】
【化15】

〔式中、Aは、上記で示されている定義を有する〕
で表されるアリールヒドラジンと反応させて、式(IV)
【0027】
【化16】

〔式中、A及びRは、上記で示されている定義を有する〕
で表される1−アルキル−/1−アリール−置換ジヒドロ−1H−ピラゾールを生成させる。これらの化合物は、上記で示されているように、さらに反応させて、一般式(I)で表される化合物を生成させることができる。
【0028】
本発明による調製方法のこの実施形態は、下記スキーム(IA)によって例証することができる:
スキーム(IA)
【0029】
【化17】

ここで、式(II−1)で表される化合物は、一般式(II)〔式中、nは、0であり、及び、R、R、R、A及びLは、上記で示されている一般的な定義を有する〕で表される置換1,3−ジオキサランである。
【0030】
一般的な定義
本発明に関連して、特に別途定義されていない限り、用語ハロゲン(X)は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択される元素を包含し、ここで、好ましくはフッ素、塩素及び臭素が使用され、特に好ましくはフッ素及び塩素が使用される。置換されている基は、1置換又は多置換されることが可能であり、ここで、複合的に置換されている場合、その置換基は、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0031】
1個以上のハロゲン原子(−X)で置換されているアルキル基=(ハロアルキル基)は、例えば、トリフルオロメチル(CF)、ジフルオロメチル(CHF)、CCl、CFCl、CFCH、ClCH、CFCClから選択される。
【0032】
本発明に関連して、アルキル基は、特に別途定義されていない限り、直鎖又は分枝鎖の炭化水素基である。
【0033】
アルキル及びC−C12アルキルの定義は、例えば、以下の意味を包含する:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル。
【0034】
本発明に関連して、シクロアルキル基は、特に別途定義されていない限り、環状飽和炭化水素基である。
【0035】
本発明に関連して、アリール基は、特に別途定義されていない限り、O、N、P及びSから選択される1個又は2個以上のヘテロ原子を有することができ且つさらなる基で置換されていてもよい芳香族炭化水素基である。
【0036】
本発明に関連して、アリールアルキル基及びアリールアルコキシ基は、特に別途定義されていない限り、それぞれ、アリール基で置換されているアルキル基又はアルコキシ基であって、これらは、アルキレン鎖を有し得る。具体的には、アリールアルキルの定義は、例えば、「ベンジル」及び「フェニルエチル」の意味を包含し;アリールアルコキシの定義は、「ベンジルオキシ」の意味を包含する。
【0037】
本発明に関連して、アルキルアリール基(アルカリール基)及びアルキルアリールオキシ基は、特に別途定義されていない限り、それぞれ、アルキル基で置換されているアリール基又はアリールオキシ基であって、これらは、C1−8−アルキレン鎖を有することができ、また、当該アリール骨格又はアリールオキシ骨格内にO、N、P及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を有することができる。
【0038】
本発明による化合物は、場合により、種々の可能な異性体形態(特に、立体異性体、例えば、E−異性体及びZ−異性体、トレオ−異性体及びエリトロ−異性体、並びに、さらに、光学異性体、さらに、場合により、互変異性体)の混合物として存在し得る。E−異性体とZ−異性体の両方とも、及び、さらに、トレオ−異性体とエリトロ−異性体の両方とも、及び、さらに、光学異性体、それら異性体の任意の望ましい混合物、及び、さらに、可能な互変異性体形態が開示されており、そして、特許請求されている。
【0039】
式(II)で表される置換されている1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサン
本発明による調製方法を実施する場合に出発物質として使用される置換されている1,3−ジオキソラン類及び1,4−ジオキサン類は、式(II)
【0040】
【化18】

〔式中、
及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、アリールアルキル、アリール又はアルコキシであり;
、Rは、さらに、4員、5員又は6員の置換されていてもよい飽和環(ここで、該飽和環は、N、S、Oから選択される1〜2個のヘテロ原子を含み得る)を形成することも可能であり;
及びRは、互いに独立して、好ましくは、水素又は(C−C12)アルキルであり;
及びRは、互いに独立して、特に好ましくは、水素又はメチルであり;
nは、0又は1であり;
nは、好ましくは、及び、特に好ましくは、0であり;
は、トリハロメチル、(C=O)Oアルキル、(C=O)Oハロアルキルであり;
は、好ましくは、トリクロロメチル、(C=O)O(C−C)アルキルであり;
は、特に好ましくは、トリクロロメチル、(C=O)Oメチル及び(C=O)Oエチルである〕
によって一般的に定義される。
【0041】
本発明に従って適している式(II)で表されるジオキソラン誘導体の例は、1,1,1−トリクロロ−3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセトン;1,1,1−トリフルオロ−3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセトン;3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−2−オキソプロパン酸メチル;3−(1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−2−オキソプロパン酸メチル;3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−2−オキソプロパン酸エチル;又は、3−(5,5−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−イリデン)−2−オキソプロパン酸エチルである。
【0042】
式(II)で表される化合物は、新規であり、そして、一般式(II−a)
【0043】
【化19】

〔式中、R、Rは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を、塩基の存在下で、一般式(II−b)
【0044】
【化20】

〔式中、Rは、ハロゲン又は−O(C=O)Rであり、Rは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される無水物又は酸塩化物と反応させることによって調製することができる(cf. スキーム(II)):
【0045】
【化21】

スキーム(II)
〔ここで、上記スキームにおいて、R、R及びRは、上記で与えられている意味を有し、Rは、ハロゲン又は−O(C=O)Rである〕。
【0046】
一般式(III)で表されるアルキルヒドラジン及びアリールヒドラジン
本発明に従って使用されるアルキルヒドラジン類及びアリールヒドラジン類は、一般式(III)
【0047】
【化22】

〔式中、
Aは、アルキルであるか、又は、基
【0048】
【化23】

であり;
Aは、好ましくは、(C−C)アルキルであるか、又は、基
【0049】
【化24】

であり;
Aは、特に好ましくは、基
【0050】
【化25】

であり;
は、ハロゲン、CN、NO、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノであり;
は、好ましくは、ハロゲン、CN、NO、(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)−アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシであり;
は、特に好ましくは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、CN、(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)−アルキル又はハロ(C−C)アルコキシであり;
は、極めて特に好ましくは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり;
は、とりわけ好ましくは、塩素であり;
Zは、CH、Nであり;
Zは、好ましくは、及び、特に好ましくは、Nである〕
で表される化合物である。
【0051】
本発明に従って適切なヒドラジンの例は、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、3−クロロ−2−ヒドラジノピリジン、フェニルヒドラジン、o−クロロフェニルヒドラジン、p−クロロフェニルヒドラジン、o−メチルフェニルヒドラジン、p−メチルフェニルヒドラジン、ニトロフェニルヒドラジンである。これらの化合物は、市販されている。
【0052】
段階(1)
本発明の調製方法の第1の実施形態では、最初に、式(II)で表される置換されている1,3−ジオキソラン又は1,4−ジオキサンを式(III)で表されるアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンと反応させる:
【0053】
【化26】

ここで、R、R及びRは、上記で与えられている意味を有する。
【0054】
驚くべきことに、式(II)で表される置換されている1,3−ジオキソラン又は1,4−ジオキサンと式(III)で表されるアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンの反応は、選択的に起こって、式(IV)で表される1−アルキル−/1−アリール−置換ジヒドロ−1H−ピラゾールを生成するということが分かった。可能な第2の位置異性体は、観察されなかった。式(II−1)で表されるジオキソランとの反応の終わりに、ごく一部(約3%未満)の一般式(III)で表されるヒドラジンが当該反応から除去された一般式(VIII)で表されるケトンと反応することによって一般式(IX)で表されるヒロラゾンに変換されたということも、驚くべきものであると考えられる。驚くべきことに、一般式(IX)で表されるヒドラゾンは、式(II−1)で表されるジオキソランと反応して、式(IV)で表される化合物を生成する。
【0055】
【化27】

本発明によるプロセス段階(1)は、好ましくは、−20℃〜+100℃の温度範囲内で、特に好ましくは、−10℃〜+80℃の温度で、特に好ましくは、20℃〜60℃の温度で実施する。
【0056】
本発明によるプロセス段階(1)は、一般に、大気圧下で実施する。しかしながら、代替的に、当該調製方法において形成されたケトンをその反応混合物から除去するために減圧下で実施することも可能である。
【0057】
反応時間は、重要ではなく、そして、基体、バッチサイズ及び温度に応じて、2,3時間〜数時間の範囲内で選択することができる。
【0058】
本発明による該プロセス段階を実施する場合、1molの式(II)で表される置換されている1,3−ジオキソラン又は1,4−ジオキサンを、0.8mol〜2mol、好ましくは、0.9mol〜1.7mol、特に好ましくは、1.0〜1.2molの式(III)で表されるアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンと反応させる。
【0059】
適切な溶媒は、例えば、以下のものである:脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素類、例えば、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン、及び、ハロゲン化炭化水素類、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン又はトリクロロエタン、エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;スルホキシド類、例えば、ジメチルスルホキシド、又は、スルホン類、例えば、スルホラン、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール。特に好ましくは、トルエン、エタノール、メチルtert−ブチルエーテル、THF、イソプロパノール、アセトニトリルを使用する。
【0060】
段階(1a)
本発明の調製方法のさらなる実施形態では、最初に、式(II−1)で表される置換されている1,3−ジオキソランを式(VI)で表される求核試薬と反応させる(cf. スキーム(IA))。これは、一般式(VIII)で表されるケトンを放出し、そして、そのケトンは、段階(1b)を実施する前に除去する。
【0061】
【化28】

一般式(VII)で表される化合物は、新規である。
【0062】
それらは、さまざまな互変異性体形態で(例えば、ヒドロキシアセトン誘導体として)存在し得るか、又は、環(例えば、環状2−ヒドロキシ−4−オキソテトラヒドロフランの形態にある環)を形成し得る。本発明による調製方法のこの実施形態を実施する場合、一般式(VII)で表される化合物は、同じ反応性を示す。溶媒の極性及び酸性度に応じて、並びに、温度に応じて、一般式(VII)で表される化合物の異なった形態が存在する。
【0063】
本発明によるプロセス段階(1a)は、好ましくは、−20℃〜+100℃の温度範囲内で、さらに好ましくは、−10℃〜+80℃の温度で、さらに好ましくは、+20℃〜60℃の温度で実施する。かくして、一般式(II−1)で表されるジオキソランは0℃で数分間以内でアンモニアと反応して、4−アミノ−5−ヒドロキシ−2−オキソペンタ−3−エン酸アルキルを生成する。それに反して、式(II−1)で表されるジオキソランを水と反応させる場合、室温で多くの時間が必要である。
【0064】
本発明によるプロセス段階(1a)は、一般に、大気圧下で実施する。減圧下で実施すのが特に有利であるが、その場合、形成された一般式(VIII)で表されるケトンは当該混合物から除去される。
【0065】
反応時間は、重要ではなく、そして、基体、バッチサイズ及び温度に応じて、数分間〜数時間の範囲から選択することができる。
【0066】
本発明によるプロセス段階(1a)を実施する場合、1molの式(II)で表される置換されている1,3−ジオキソランを、0.8mol〜2mol、好ましくは、0.9mol〜1.7mol、さらに好ましくは、1〜1.3molの式(VI)で表される求核試薬と反応させる。当該反応は水の中で実施することが可能であり、その際、その水は、試薬及び溶媒として働く。
【0067】
式(VIIa)で表される化合物は、例えば固体(例えば、4−アミノ−5−ヒドロキシ−2−オキソペンタ−3−エン酸メチル)の場合、濾過によって単離し、又は、液状中間体の場合は、抽出によって単離する。
【0068】
該化合物は、それ以上単離することなく反応させることも可能である。
【0069】
適切な溶媒の例としては、以下のものを挙げることができる:脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素類、例えば、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン、例えば、及び、ハロゲン化炭化水素類、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン又はトリクロロエタン、例えば、エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;スルホキシド類、例えば、ジメチルスルホキシド、又は、スルホン類、例えば、スルホラン、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール及びイソプロパノール、並びに、水。特に好ましくは、アセトニトリル、イソプロパノール及び水を使用する。
【0070】
段階(1b)
本発明による調製方法のこの実施形態では、段階(1)で形成された式(VII)で表される化合物を式(III)で表されるアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンと反応させる:
【0071】
【化29】

ここで、R、R、R、A及びLは、上記で示されている定義を有する。
【0072】
驚くべきことに、一般式(VII)で表される5−ヒドロキシ−2,4−ジオキソペンタン酸アルキル又はアミノアルコールと式(III)で表されるアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンの反応は、選択的に起こって、式(IV)で表される1−アルキル−/1−アリール−置換ジヒドロ−1H−ピラゾールを形成するということが分かった。
【0073】
本発明によるプロセス段階(1b)は、好ましくは、−20℃〜+100℃の温度範囲内で、さらに好ましくは、−10℃〜+80℃の温度で、極めて好ましくは、+20℃〜+60℃の温度で実施する。
【0074】
本発明によるプロセス段階(1b)は、一般に、大気圧下で実施する。しかしながら、代替的に、減圧下で実施することも可能である。
【0075】
反応時間は、重要ではなく、そして、バッチサイズ及び温度に応じて、数時間の範囲内で選択することができる。
【0076】
本発明によるプロセス段階(1b)を実施する場合、1molの式(VII)で表される化合物を、0.8mol〜2mol、好ましくは、0.9mol〜1.7mol、さらに好ましくは、1〜1.3molの式(III)で表されるアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンと反応させる。
【0077】
該反応は、酸を添加することによって、促進することができる。適切な酸は、HCl、HSO、CFCOOH、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びメタンスルホン酸である。
【0078】
該酸は、式(VII)で表される化合物に基づいて、0.2〜2mol、好ましくは、0.5〜1.1molの量で使用する。
【0079】
適切な溶媒の例は、以下のものである:脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素類、例えば、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン、例えば、及び、ハロゲン化炭化水素類、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン又はトリクロロエタン、例えば、エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;スルホキシド類、例えば、ジメチルスルホキシド、又は、スルホン類、例えば、スルホラン、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール及びイソプロパノール。特に好ましくは、トルエン、エタノール、メチルtert−ブチルエーテル、THF、イソプロパノール及びアセトニトリルを使用する。
【0080】
形成された式(IV)で表される1−アルキル−/1−アリール−置換ジヒドロ−1H−ピラゾールは、予め後処理することなく、次の段階(2、又は、2a)(ここでは、水除去が起こる)で使用することができる。
【0081】
あるいは、式(IV)で表される化合物は、適切な後処理段階によって単離することが可能であり、また、さらに精製してもよい。しばらく経過してからのみ、水を除去することができる。
【0082】
段階(2)及び段階(2a):水を除去することによる芳香族化
本発明による調製方法の好ましい1実施形態では、段階(1)で形成された式(IV)で表される化合物を、水を除去して、式(V)で表される1−アルキル−置換ピラゾール又は1−アリール−置換ピラゾールに変換する(cf. スキーム(I)の段階(2))。
【0083】
【化30】

ここで、A、R、Rは、上記で与えられている意味を有する。
【0084】
水を除去するためには、以下の試薬が適している:HCl、HSO、CFCOOH、トリフルオロメタンスルホン酸、塩化ピバロイル、PCl、POCl、P10、ポリリン酸、SOCl、(CHCO)O、(CFCO)O、塩化オキサリル、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ホスゲン及びジホスゲン、メタンスルホニルクロリド(MeSCl)、SiO
【0085】
HCl、(CFCO)O、MeSCl、塩化チオニル、無水酢酸(acetanhydride)、塩化オキサリル、ホスゲン及びP10が好ましい。
【0086】
無水物又はハロ無水物(例えば、SOCl、POCl、塩化オキサリル、ホスゲン、MeSCl)を用いて水を除去している間に、CHOH基の誘導体化も起こるが、このことは、1段階のみにおいて、式(V)〔式中、Rは、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、O−(C=O)アルキル、O−(C=O)O−アルキル、(C=O)ハロアルキル、OSOアルキル、OSO−ハロアルキル又はOSO−アリールである〕で表される化合物が得られるということを意味する。
【0087】
酸(例えば、HCl、HSO、HPO、ポリリン酸)との反応によって、式(V)〔式中、Rは、OHである〕で表される化合物が生成される。Rが(C=O)Oアルキルである場合、式(V)〔式中、Rは、(C=O)Oアルキルであり、及び、Rは、OHである〕で表される生成物を高収率で得るために、メタノール中のHClを用いて実施するのが有利である。
【0088】
熱ストレス(加熱)によって水を切断除去することも可能である。
【0089】
本発明によるプロセス段階(2)は、好ましくは、−20℃〜+180℃の温度範囲内で、特に好ましくは、−10℃〜+150℃の温度で実施する。
【0090】
本発明によるプロセス段階(2)は、一般に、大気圧下で実施する。しかしながら、代替的に、減圧下で実施することも可能であり、又は、大気圧を超える圧力下で実施することも可能である(例えば、ホスゲンとの反応)。
【0091】
反応時間は、重要ではなく、そして、バッチサイズ及び温度に応じて、数分間〜数時間の範囲内で選択することができる。
【0092】
本発明による該プロセス段階を実施する場合、1molの式(III)で表される化合物を、0.1mol〜2.5mol、好ましくは、1mol〜1.8mol、特に好ましくは、等モル量の脱水剤と反応させる。
【0093】
誘導体化を付加的に起こさせる場合、1molの式(IV)で表される化合物を、1mol〜3mol、好ましくは、1.5mol〜2.5mol、特に好ましくは、1.8〜2.5molの脱水剤と反応させる。
【0094】
当該水は、触媒的(HCl、SiO、HSO)に除去することも可能である。
【0095】
適切な溶媒は、例えば、以下のものである:脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素類、例えば、石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン、及び、ハロゲン化炭化水素類、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン又はトリクロロエタン、エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル又はベンゾニトリル;ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン;アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;スルホキシド類、例えば、ジメチルスルホキシド、又は、スルホン類、例えば、スルホラン。アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール。特に好ましくは、メタノール、メチルtert−ブチルエーテル、トルエン、キシレン、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロベンゼン、シクロヘキサン又はメチルシクロヘキサンを使用し、極めて特に好ましくは、メタノール、トルエン、キシレン、THF、CHCl、ジクロロエタン、メチルtert−ブチルエーテル、アセトニトリルを使用する。当該反応は、溶媒なしで(例えば、希釈することなく)実施することも可能である。
【0096】
さらに、該芳香族化は、式(I)〔式中、R及びRは、OHである〕で表される化合物を1段階のみで得るために、塩基性条件下で実施することも可能である(cf. スキーム(I)の段階(2a))。このためには、例えば、LiOH、NaOH、KOH又はCsOHなどの塩基が適切である。適切な溶媒は、アルコール類又は水である。
【0097】
【化31】

ここで、Rは(C=O)Oアルキルであり、及び、Aは上記で与えられている意味を有する。
【0098】
段階(3)
本発明による調製方法の好ましいさらなる実施形態では、式(V)で表される1−アルキル−/1−アリール−置換ピラゾールを、直接、式(I)で表される化合物に変換する(cf. スキーム(I)の段階(3))。
【0099】
【化32】

ここで、R、R、A、Rは、上記で与えられている意味を有する。ここで、該変換は、R基及び/又はR基で実施する。
【0100】
=トリハロメチルをR=OHに変換するために、当該反応は、一般に、酸性条件下又は塩基性条件下で実施する。好ましいのは、鉱酸、例えば、HSO、HCl、HSOCl、HF、HBr、HI、HPOなど、又は、有機酸、例えば、CFCOOH、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などである。上記反応の速度は、触媒(例えば、FeCl、AlCl、BF、SbCl、NaHPO)を添加することによって、増大させることができる。該反応は、同様に、酸を加えることなく、まさに水の中で実施することもできる。
【0101】
塩基性加水分解は、有機塩基(例えば、トリアルキルアミン類、アルキルピリジン類、ホスファゼン類及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU))、無機塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば、NaCO、KCO、及び、アルカリ金属酢酸塩、例えば、NaOAc、KOAc、LiOAc、及び、さらに、アルカリ金属アルコラート類、例えば、NaOMe、NaOEt、NaOt−Bu、KOt−Bu)の存在下で実施される。
【0102】
本発明によるプロセス段階(3)は、好ましくは、20℃〜+150℃の温度範囲内で、特に好ましくは、30℃〜+110℃の温度で実施する。
【0103】
本発明によるプロセス段階(3)は、一般に、大気圧下で実施する。しかしながら、代替的に、減圧下で実施することも可能であり、又は、大気圧を超える圧力下で実施することも可能である(例えば、オートクレーブ内での水性HClとの反応、又は、メタノールとの反応)。
【0104】
反応時間は、バッチサイズ及び温度に応じて、1時間〜数時間の範囲内で選択することができる。
【0105】
=トリハロメチルをR=アルコキシに変換するために、例えば、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール若しくはプロパノールを使用するか、又は、アルコール/HCl、アルコール/FeCl、アルコール/HSO若しくはアルコール/アルコラートの組合せを使用する。ここで、該アルコールは、試薬として働き、及び、同時に、溶媒として働く。例えばメタノール又はエタノールとの反応の場合、当該反応は、90℃の反応温度又は90℃〜100℃の反応温度を達成し、それによって、反応時間を短くするために、加圧下で実施するのが有利である。
【0106】
反応段階(3)は、希釈せずに実施することが可能であるか、又は、溶媒中で実施することが可能である。該反応は、好ましくは、溶媒中で実施する。適切な溶媒は、例えば、以下のものからなる群から選択される:水、脂肪族及び芳香族の炭化水素類、例えば、n−ヘキサン、ベンゼン又はトルエン、ここで、これらは、フッ素原子及び塩素原子で置換されていてもよい、例えば、塩化メチレン、ジクロロエタン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼン;エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、ジオキサン、ジグリム、ジメチルグリコール、ジメトキシエタン(DME)又はTHF;ニトリル類、例えば、メチルニトリル、ブチルニトリル又はフェニルニトリル;アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)又はN−メチルピロリドン(NMP)、又は、そのような溶媒の混合物。水、アセトニトリル、ジクロロメタン及びアルコール類が、特に極めて適している。
【0107】
調製実施例
下記調製実施例によって本発明について例証するが、それら調製実施例は本発明を限定するものではない。特に、実施例1、実施例2、実施例10、実施例11は、式(IV)で表されるピラゾール化合物の調製について例証している(段階(1))。実施例7、実施例12、実施例13は、段階(2)について例証している。実施例3、実施例5、実施例6は、段階(2a)について例証しており、実施例9は、段階(3)について例証している。
【0108】
実施例1
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチル
【0109】
【化33】

40mLのイソプロパノールの中の3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−2−オキソプロパン酸メチル(20g,0.1mol)と2−ヒドラジノ−3−クロロピリジン(14.3g,0.1mol)の混合物を35℃で18時間撹拌した。その沈澱物を濾去し、15mLのイソプロパノールで洗浄した。これにより、24.2g(85%)の当該生成物が113℃の融点を有する淡黄色の固体として得られた。
【0110】
分析的特徴付け
H NMR(DMSO d)δ: 7.99(1H,d);7.65(1H,d);6.85(1H,dd);6.4(1H,b.s);4.51(2Н,b.s);3.25(1H,d);3.05(1H,d),2.55(s,1H)ppm。
【0111】
実施例2
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸エチル
【0112】
【化34】

50mLのエタノールの中の(3E)−3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−2−オキソプロパン酸エチル(21.4g,0.1mol)と2−ヒドラジノ−3−クロロピリジン(14.3g,0.1mol)の混合物を35℃で18時間撹拌した。エタノールを減圧下に除去し、その残渣を取って100mLのメチル(tert)−ブチルエーテルの中に入れた。その有機相を50mLの1%強度HClで1回洗浄し、エバポレーターで留去し濃縮した。これにより、26.2g(収率86%)の当該生成物が97%の純度(HPLC)を有する粘性油状物として得られた。
【0113】
分析的特徴付け
H NMR(DMSO d)δ: 7.99(1H,d);7.65(1H,d);6.85(1H,dd);6.0(OH,b.s);4.51(2Н,b.s);4.25(2H,q);3.25(1H,d);3.05(1H,d),1.28(t,3H)ppm。
【0114】
実施例3
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチル
【0115】
【化35】

100mLのメタノールの中の(28.5g,0.1mol)の1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチルの懸濁液に、HClの溶液(9.1g,メタノール中の4%溶液)を添加した。25〜30℃で約30〜60分間経過した後、透明な黄色の溶液が形成された。メタノールを減圧下に除去し、沈澱物を水で洗浄した。収量:26.7g、100%。M.p.:104℃。
【0116】
分析的特徴付け
H NMR(DMSO d)δ: 8.52(1H,d);8.06(1H,d),7.55(1H,dd);7.10(1H,s);5.4(1H,b.s),4.5(2H,s);3.75(3H,s)ppm。
【0117】
実施例4
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチル
【0118】
【化36】

(32.6g,0.1mol)の[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール及び300mLのメタノールを、オートクレーブ内で90℃で3時間加熱した。メタノールを減圧下に除去し、沈澱物を水で洗浄した。収量:25g、88%。M.p.:104℃。
【0119】
実施例5
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチル
【0120】
【化37】

150mLのTHFの中に、初期装入物として、1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチル(28.5g,0.1mol)及び15gのトリエチルアミンを添加し、その溶液を5℃に冷却した。(11.4g,0.1mol)の塩化メシルを0〜5℃で20分間以内で添加し、その混合物を、0℃で2時間、後撹拌した。その反応混合物を水で希釈し、生成物を酢酸エチルで抽出した。その酢酸エチル溶液を洗浄し、乾燥し、エバポレーターで留去し濃縮した。その粘性の残渣(生成物の重量31g)は、LC/MSによれば、98%の当該生成物を含んでいた。
【0121】
分析的特徴付け
H NMR(DMSO d)δ: 8.58(1H,d);8.27(1H,d);7.73(1H,dd);7.29(1H,s);5.35(2Н,s);3.75(3H,q);3.25(3H,s)ppm。
m/e 345。
【0122】
実施例6
3−(クロロメチル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチル
【0123】
【化38】

1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチル(28.5g,0.1mol)を100mLのCHCNに溶解させ、得られた溶液を70℃に加熱した。その温度で、(26g,0.22mol)のSOCl(0.12mol)をゆっくりと滴下して加えた。その混合物を、70℃で1時間、後撹拌し、減圧下に蒸発させることにより濃縮した。これにより、27.6g(92%)の生成物が95%の純度を有する粘性油状物として得られた。
【0124】
分析的特徴付け
H NMR(CDCN)δ: 8.52(1H,d);8.06(1H,d),7.55(1H,dd);7.10(1H,s);4.75(2H,s);3.75(3H,s)ppm。
【0125】
実施例7
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアセテート
【0126】
【化39】

1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−5−(トリクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−オール(34.3g,0.1mol)及び(12.2g,0.12mol)の無水酢酸(acetanhydride)を80℃で1時間加熱し、その反応混合物を1mbarの減圧下、エバポレーターで完全に濃縮した。これにより、35gの生成物が粘性油状物として得られた。これは、室温で約8時間経過した後、結晶化する。M.p.:40℃。
【0127】
分析的特徴付け
H NMR(DMSO d)δ: 8.5(1H,dd);8.1(1H,dd);7.6(1H,dd);7.0(1H,s);5.1(2H,dd),2.0(3H,s)ppm。
【0128】
実施例8
[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール
【0129】
【化40】

1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メチルアセテート(36.9g,0.1mol)を100mLのエタノールに溶解させ、10gのNaOH(40%水溶液として)を添加した。1時間経過した後、その混合物を300mLの水で希釈し、そして、その生成物を濾去し、水で洗浄し、乾燥した。これにより、31g(95%)の生成物が白色の固体として得られた。M.p.:109〜111℃。
【0130】
分析的特徴付け
H NMR(DMSO d)δ: 8.5(1H,dd);8.05(1H,dd);7.55(1H,dd);6.95(1H,s);5.35(1H,bs);4.55(2H,s)ppm。
【0131】
実施例9
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸
【0132】
【化41】

38.7g(0.1mol)の[1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]メタノールと10gのHSO(10%水溶液として)を80℃で3時間撹拌した。その混合物を0℃に冷却し、NaHCO溶液を用いて中性とし、そして、その沈澱物を濾去し、アセトニトリルで洗浄し、乾燥した。収率:90%。M.p.:178〜180℃。
【0133】
分析的特徴付け
H NMR(DMSO d)δ: 12.8(1H,b.s);8.45(1H,dd);8.1(1H,dd);7.55(1H,dd);6.95(1H,s);5.2(1H,b.s);4.50(2H,s)ppm。
【0134】
実施例10
3−(ヒドロキシメチル)−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−オール
【0135】
【化42】

手順は、フェニルヒドラジンと1,1,1−トリフルオロ−3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセトンを使用することを除いて、実施例1に記載されているとおりである。収率(62%)、M.p.:72〜74℃。
【0136】
分析的特徴付け
H NMR(DMSO d)δ: 7.98(1Н,b.s);7.32(2Н,m),7.24(2H,m),6.94(1H,m),5.50−5.00(1H,b.s),4.20(2H,s,CHOH),3.43及び3.21(2H,ABシステム,JHH=19.1Hz,CH)ppm。
【0137】
実施例11
3−(ヒドロキシメチル)−1−フェニル−5−(トリクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−オール
【0138】
【化43】

手順は、フェニルヒドラジンと1,1,1−トリクロロ−3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)アセトンを使用することを除いて、実施例2に記載されているとおりである。収率(68%)、M.p.:122〜124℃(分解)。
【0139】
分析的特徴付け
H NMR(DMSO d)δ: 8.17(1Н,b.s),7.49(2Н,m),7.21(2H,m),6.96(1H,m),4.70−4.30(1H,b.s),4.18(2H,s),3.64及び3.34(2H,ABシステム,JHH=19.3Hz,CH)ppm。
【0140】
実施例12
(1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル)メタノール
【0141】
【化44】

3−(ヒドロキシメチル)−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−オール(5g)を100〜120℃で30分間加熱した。当該生成物を単離し、カラムクロマトグラフィー(溶離液: 酢酸エチル:ヘキサン 1/1混合物)で精製した。収量:1.5g(32%)。
【0142】
分析的特徴付け
H NMR(CDCl)δ: 7.46(5Н,m),6.80(1Н,s),4.73(2H,s),2.50(1H,br.s);
19F NMR(CDCl)δ: −58.16(s,CF)ppm。
【0143】
実施例13
1−フェニル−5−(トリクロロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル)メタノール
【0144】
【化45】

手順は、3−(ヒドロキシメチル)−1−フェニル−5−(トリクロロメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−オールを使用することを除いて、実施例12に記載されているとおりである。収率:21%。
【0145】
分析的特徴付け
H NMR(CDCl)δ: 7.6−7.5(5Н,m),7.00(1Н,br.s),4.74(2H,s),2.47(1H,b.s)ppm。
【0146】
さらに、特に、調製実施例14、調製実施例15、調製実施例16及び調製実施例17は、式(VII)で表される中間体の調製について例証しており〔本発明による調製方法のさらなる実施形態の(段階1a)〕、並びに、調製実施例18、調製実施例19、調製実施例20及び調製実施例21は、式(IV)で表されるピラゾール化合物の調製について例証している〔(段階1b)〕。
【0147】
実施例14
【0148】
【化46】

(Z)−エチル 4−アミノ−5−ヒドロキシ−2−オキソペンタ−3−エノエート、及び、(E)−エチル 4−アミノ−5−ヒドロキシ−2−オキソペンタ−3−エノエート
(6g,28mmol)の(E)−エチル 3−(1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−2−オキソプロパノエートを25mLのアセトニトリルに溶解させた溶液を2.7mL(28mmol)のアンモニア(19%水溶液として)と混合させた。
【0149】
次に、その反応混合物を25℃で3時間撹拌し、減圧下に濃縮した。その残渣をヘキサンで洗浄した。これにより、3.8g(78.4%)が得られた。
H NMR(DMSO d)δ: シス異性体(約90%): 9.89(1H,b.s,NH),8.28(1H,b.s,1H,NH),5.66(1H,s,CH),5.61(1H,b.s,OH),4.15(2H,q,OCH),4.14(2H,s,CH),1.22(3H,t,CH); トランス異性体(約10%): 8.37(1H,b.s,NH),7.11(1H,b.s,NH),5.75(1H,s,CH),4.57(2H,s,CH)。
【0150】
実施例15
【0151】
【化47】

(Z)−メチル 4−アミノ−5−ヒドロキシ−2−オキソペンタ−3−エノエート、及び、(E)−メチル 4−アミノ−5−ヒドロキシ−2−オキソペンタ−3−エノエート
(9g,45mmol)の(3E)−3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−2−オキソプロパン酸メチルを50mLのアセトニトリルに溶解させた溶液をアンモニア溶液(2.32g,45mmol,33%水溶液)と混合させた。約2時間経過した後、白色の固体を吸引濾過によって単離し、冷アセトニトリルで洗浄した。これにより、130〜132℃の融点を有する5.36g(75%)の生成物が得られた。
H NMR(DMSO d)δ: シス異性体(95%): 9.91(1H,b.s,NH),8.35(1H,b.s,NH),5.68(1H,s),5.67(1H,b.s,1H,OH),4.15(2H,s),3.7(3H,s); トランス異性体約(約5%): 8.36(1H,b.s,NH),7.12(1H,b.s,NH),5.76(1H,s,CH),4.15(2H,s),3.68(3H,s)ppm。
【0152】
実施例16
5−ヒドロキシ−5−(トリフルオロメチル)ジヒドロフラン−3−(2H)−オン
【0153】
【化48】

3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−1,1,1−トリフルオロアセトン(5.21g,24.8mmol)と20mLの水の混合物を20℃で24時間撹拌した。揮発性成分を20mbarの減圧下に除去した。生成物をジクロロメタンで抽出し、その有機相をMgSOで乾燥し、濃縮した。その沈澱物をトルエンから結晶化させることによって精製した。
収量:3.0g(71.1%)、m.p.:45〜47℃。
H NMR(DMSO d)δ: 8.08(1H,s),4.28(2H,m),3.05及び2.65(ABシステム,CH,JHH=18.2Hz)ppm。
19F NMR(DMSO−d) −85.24(s)ppm。
【0154】
実施例17
2−ヒドロキシ−4−オキソテトラヒドロフラン−2−カルボン酸エチル
【0155】
【化49】

3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−2−オキソプロパン酸エチルを使用することを除いて、実施例16に記載されている手順を繰り返す。
収率:77%。
H NMR(CDCl)δ: 4.62(1H,b.s),4.28(2H,q),4.22及び4.12(ABシステム,JHH=16.6Hz),3.05及び2.59(ABシステム,JHH=18.3Hz),1.30(3H,t)ppm。
【0156】
実施例18
2−ヒドロキシ−4−オキソテトラヒドロフラン−2−カルボン酸メチルを介した1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチルの調製
【0157】
【化50】

2g(10mmol)の3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イリデン)−2−オキソプロパン酸メチル及び20mLの水を室温で18時間撹拌した。沈澱物が溶液状態になる。その溶液を100mbarの減圧下で1時間撹拌し、その間に、約10mLの液体が除去された。10mLのイソプロパノール及び(1.43g,10mmol)の3−クロロピリジン−2−イルヒドラジンを添加し、次に、その混合物を室温で24時間撹拌した。その沈澱物を濾過により単離し、イソプロパノールで洗浄した。これにより、111〜113℃の融点を有する。2.1g(74%)の生成物が得られた。
【0158】
実施例19
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸エチル
【0159】
【化51】

4−アミノ−5−ヒドロキシ−2−オキソペンタ−3−エン酸エチル(2.5g,14mmol)と3−クロロピリジン−2−イルヒドラジン(2.07g,14mmol)とp−トルエンスルホン酸一水和物(2.5g,13mmol)の混合物を25mLのアセトニトリルの中で25℃で5時間撹拌した。その沈澱物を濾過によって単離し、濾液を減圧下に濃縮した。生成物をSiO上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液: ヘキサン/酢酸エチル)で精製した。油状物。収量:4.2g(90%)。
H NMR(DMSO d)δ: 8.02(1H,m),7.78(1H,m),6.88(1H,m),5.60(1H,b.s),5.29(1H,b.s),4.24(2H,s),4.13(2H,q),3.18及び2.94(2H,ABシステム,JHH=17.9Hz),1.08(3H,t)ppm。
【0160】
実施例20
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチル
【0161】
【化52】

4−アミノ−5−ヒドロキシ−2−オキソペンタ−3−エン酸メチル(1.59g,10mmol)と3−クロロピリジン−2−イルヒドラジン(1.43g,10mmol)とHCl(1g,10mmol,37%水溶液)の混合物を15mLのアセトニトリルの中で25℃で20時間撹拌した。その溶液を減圧下に濃縮し、残渣を水及びイソプロパノールで洗浄した。これにより、111〜113℃の融点を有する2.13g(75%)の生成物が得られた。
【0162】
分析的特徴付け
H NMR(DMSO d)δ: 7.99(1H,d);7.65(1H,d);6.85(1H,dd);6.4(1H,b.s);4.51(2H,b.s);3.25(1H,d);3.05(1H,d),2.55(s,1H)ppm。
【0163】
実施例21
1−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−(ヒドロキシメチル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸エチル
【0164】
【化53】

1−(3−クロロピリジン−2−イル)−5−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸エチルを使用することを除いて、実施例3に記載されている手順を繰り返す。
収率:98%。粘性油状物。
H NMR(DMSO d)δ: 8.56(1H,m),8.24(1H,m),7.68(1H,m),7.07(1H,s),5.39(1H,b.s),4.54(2H,s),4.14(2H,q),1.09(3H,t)ppm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

〔式中、
は、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシであり;
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールアルコキシ、ハロゲン、O−(C=O)アルキル、O−(C=O)O−アルキル、O(C=O)ハロアルキル、OSOアルキル、OSO−ハロアルキル、OSO−アリールであり;
Aは、アルキルであるか、又は、基
【化2】

であり;
は、ハロゲン、CN、NO、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノであり;
Zは、CH、Nである〕
で表される1−アルキル−/1−アリール−置換5−ピラゾールカルボン酸誘導体を調製する方法であって、式(II)
【化3】

〔式中、
、Rは、互いに独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシであり;
、Rは、さらに、4員、5員又は6員の置換されていてもよい飽和環(ここで、該飽和環は、N、S、Oから選択される1〜2個のヘテロ原子を含み得る)を形成することも可能であり;
は、トリハロメチル、(C=O)Oアルキル、(C=O)Oハロアルキルであり;
nは、0又は1である〕
で表される置換されている1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサンを式(III)
【化4】

〔式中、
Aは、アルキルであるか、又は、基
【化5】

であり;
は、ハロゲン、CN、NO、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルアミノであり;
Zは、CH、Nである〕
で表されるアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンと一緒に、式(IV)
【化6】

〔式中、R、Aは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される1−アルキル−/1−アリール−置換ジヒドロ−1H−ピラゾールに変換し、これらを、さらに、場合により、水を除去して予め単離することなく、式(V)
【化7】

〔式中、R、R及びAは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される1−アルキル−/1−アリール−置換ピラゾールに変換し、一般式(V)で表されるこれらの化合物を、式(I)
【化8】

〔式中、R、R及びAは、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるピラゾールカルボン酸誘導体に変換することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
が、ヒドロキシ、ハロゲン、(C−C)アルコキシであり;
が、ヒドロキシ、ハロゲン、O−(C=O)(C−C)アルキル、OSO(C−C)アルキル、OSO−ハロ(C−C)アルキルであり;
Aが、(C−C)アルキルであるか、又は、基
【化9】

であり;
が、ハロゲン、CN、NO、(C−C)−アルキル、ハロ(C−C)−アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルコキシであり;
Zが、Nである;
請求項1に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項3】
が、ヒドロキシ、ハロゲン、(C−C)アルコキシであり;
が、ヒドロキシ、ハロゲン、O−(C=O)CHであり;
Aが、基
【化10】

であり;
が、塩素であり;
Zが、Nである;
請求項1及び2のいずれかに記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項4】
nが0であることを特徴とする、請求項1〜3の一に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項5】
式(II)
【化11】

〔式中、nは、0であり、並びに、R、R及びRは、上記で示されている定義を有する〕
で表される化合物を、最初に、式(VI)
【化12】

〔式中、
Lは、O、NH又はNRであり;
は、アルキルである〕
で表される求核試薬と反応させて、式(VII)〔これは、2種類の互変異性体形態(VIIa)と(VIIb)の形態で存在することができ、また、式(VIIc)と(VIId)で表される環を形成することができる〕
【化13】

で表されるアミノヒドロキシオキソペンテノエート又はヒドロキシ−2,4−ジオキソペンタノエートを生成させ、これを、次に、式(III)
【化14】

〔式中、Aは、上記で示されている定義を有する〕
で表されるアリールヒドラジンと反応させて、式(IV)
【化15】

〔式中、A及びRは、上記で示されている定義を有する〕
で表される1−アルキル−/1−アリール−置換ジヒドロ−1H−ピラゾールを生成させることを特徴とする、請求項1〜4の一に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項6】
プロセス段階(1)を−20℃〜+100℃の温度範囲内で実施することを特徴とする、請求項1〜5の1項に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項7】
1molの式(II)で表される化合物を0.8mol〜2molの式(III)で表されるアルキルヒドラジン又はアリールヒドラジンと反応させることを特徴とする、請求項1〜4の一に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項8】
式(IV)で表される化合物を、塩基を添加して、直接的に式(I)〔式中、R及びRは、ヒドロキシであり、Rは、(C=O)Oアルキルであり、並びに、R、R、R、A及びZは、請求項1における意味と同じ意味を有する〕で表される化合物に変換することを特徴とする、請求項1〜7の一に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項9】
前記塩基がLiOH、NaOH、KOH及びCsOHからなる群から選択され、且つ、溶媒としてアルコール類又は水を使用することを特徴とする、請求項8に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項10】
プロセス段階(3)を20℃〜+150℃の温度範囲内で実施することを特徴とする、請求項1〜7の一に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項11】
プロセス段階(3)を、鉱酸若しくは有機酸を用いて酸性条件下で実施するか、又は、有機塩基若しくは無機塩基を用いて塩基性条件下で実施することを特徴とする、請求項1〜7又は10の一に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項12】
プロセス段階(3)を、アルコールを用いて実施するか、又は、アルコール/HCl、アルコール/FeCl、アルコール/HSO若しくはアルコール/アルコラートの組合せを用いて実施することを特徴とする、請求項1〜7又は10の一に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項13】
式(IV)で表される化合物を、酸(HCl)を添加して、直接的に式(I)〔式中、Rは、(C=O)Oアルキルであり、Rは、ヒドロキシであり、及び、Rは、(C=O)Oアルキルであり、並びに、R、R、R、A及びZは、請求項1における意味と同じ意味を有する〕で表される化合物に変換することを特徴とする、請求項1〜7の一に記載の式(I)で表される化合物を調製する方法。
【請求項14】
式(IV)
【化16】

〔式中、Rは、(C=O)Oアルキルであり、及び、Aは、請求項1において与えられている意味を有する〕
で表される化合物。
【請求項15】
2種類の互変異性体形態(VIIa)と(VIIb)の形態で存在することができ且つ式(VIIc)と(VIId)で表される環を形成することができる一般式(VII)で表される化合物であって、LがO又はNHであり、RがCF又は(C=O)Oアルキルである、前記化合物。

【公表番号】特表2013−513635(P2013−513635A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543631(P2012−543631)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069385
【国際公開番号】WO2011/073101
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】