説明

1−アルキルイミダゾールを用いて化学的反応混合物から酸を分離する方法

補助塩基により反応性混合物から酸を分離するための方法であって、その際、この補助塩基は、b)酸との塩を形成し、この塩は、価値のある生成物が液体塩の分離中にあまり分解されない温度で液状であり、およびc)前記補助塩基と価値のある生成物との塩または適当な溶剤中での価値のある生成物の溶液は、2つの不混和性の液相を形成する、補助塩基により反応性混合物から酸を分離するための方法において、補助塩基としてアルキルイミダゾールを使用し、このアルキルイミダゾールは、25℃で30質量%の塩化ナトリウム溶液中での溶解度10質量%またはそれ以下を有し、前記のアルキルイミダゾールの塩酸塩は、55℃未満の融点を有することを特徴とする、補助塩基により反応性混合物から酸を分離するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明には、1−アルキルイミダゾールをベースとするイオン性液体を用いて反応混合物から酸を簡単に分離する方法が記載されている。
【0002】
化学的当業者は、しばしば化学反応中に遊離された酸を捕捉するかまたは酸を反応混合物から分離するという問題を抱えている。酸が反応の経過中に遊離される反応の例は、ハロゲン化シランでのアルコールまたはアミンのシリル化、燐ハロゲン化物でのアミンまたはアルコールのホスホリル化、アルコールまたはアミンおよびスルホン酸クロリドまたはスルホン酸無水物からのスルホン酸エステルまたはスルホン酸アミドの形成、脱離または置換である。
【0003】
前記反応の場合には、酸が遊離され、そのために、付加的に補助塩基が添加され、この場合この補助塩基は、一般に反応体として固有の反応に関与しない。一般に、遊離された酸を塩の形成下に前記塩基と結合させ、副反応および後続反応を中断させるかまたは簡単に酸を望ましい反応生成物から除去し、場合によってはプロセス中に返送することが必要とされる。使用された塩基の塩を最初に分離しない場合には、この塩は、価値のある生成物の存在下に、例えば他の強塩基、例えばアルカリ水溶液、例えば苛性ソーダまたは苛性カリ液の添加によって後処理されてもよい。この場合には、本明細書中で添加される強塩基の塩が生成される。更に、元来使用される塩基は、放出される。前記の2つの成分、即ち強塩基の塩と放出され最初に使用される塩基(補助塩基)は、一般に同様に価値のある生成物と分離されなければならない。前記方法の場合には、しばしば、後処理の際に共存している価値のある生成物が添加された強塩基それ自体または前記塩基中、例えば水中の他の物質によってアルカリ水溶液中に分解されうるという欠点を有する。
【0004】
補助塩基と酸との塩は、一般に有機溶剤中で不溶性であり、高い融点を有し、したがって有機媒体中で懸濁液を形成し、この懸濁液は、例えば液体として取り扱うのが困難である。即ち、塩基の塩を液体の形で分離することができるのは、望ましい。その上、懸濁液の公知の処理技術的な欠点が排除されるであろう。前記の欠点は、例えば結垢の形成、熱移動の減少、劣悪な混合および攪拌可能性ならびに局所的な過剰濃度または不足濃度の形成および所謂ホットスポットである。
【0005】
それに応じて、公知技術水準は、工業的に実施された方法に関連して次の欠点を有する:
1)2つの助剤、即ち補助塩基と他の強塩基の添加、それにより発生する、2つの助剤と価値のある生成物を互いに分離するという課題、
2)懸濁液の取り扱い、
3)固体としての強塩基の塩基の分離。
【0006】
しかし、処理技術的に簡単な相分離は、液−液相分離により努力して得ることができる。
【0007】
WO 03/62171の記載から、できるだけイオン性の液体の一覧を枚挙することにより、イオン性の液体により、反応性混合物から酸を分離するための方法は、公知である。しかし、前記WO 03/62171中の一覧に記載された補助塩基は、部分的にまさに高い融点を有し、このことは、価値のある生成物の熱負荷を意味し、部分的には、相対的に高い水溶性のために、使用材料の損失下でのみ回収することができる。前記の補助塩基は、水溶性のために、相応する多数の分離段を有する費用のかかる蒸留で回収されなければならないかまたは液−液抽出により回収されなければならない。
【0008】
本発明の課題は、低い融点を有しかつ簡単に回収することができるイオン性液体を用いて、反応性混合物から酸を分離する方法を開発することであった。
【0009】
この課題は、本発明によれば、補助塩基により反応性混合物から酸を分離するための方法であって、その際、この補助塩基は、
b)酸との塩を形成し、この塩は、価値のある生成物が液体塩の分離中にあまり分解されない温度で液状であり、および
c)前記補助塩基と価値のある生成物との塩または適当な溶剤中での価値のある生成物の溶液は、2つの不混和性の液相を形成し、この場合には、補助塩基としてアルキルイミダゾールが使用され、このアルキルイミダゾールは、25℃で30質量%の塩化ナトリウム溶液中での溶解度10質量%またはそれ以下を有し、前記のアルキルイミダゾールの塩酸塩は、55℃未満の融点を有する、補助塩基により反応性混合物から酸を分離するための方法によって解決された。
【0010】
本発明の1つの好ましい実施態様において、25℃で30質量%の塩化ナトリウム溶液中での遊離アルキルイミダゾールの溶解度は、5質量%またはそれ以下、特に有利に3質量%またはそれ以下、殊に有利に1質量%またはそれ以下、殊に0.5質量%またはそれ以下である。
【0011】
この場合、30質量%の塩化ナトリウム溶液は、水性系中での本発明により適した1−アルキルイミダゾールの溶解度を測定するための標準化されたモデル系として使用される。本発明による方法を実施するためには、水性系中でのできるだけ僅かな溶解度が重要である。
【0012】
更に、好ましい実施態様において、本発明により適した1−アルキルイミダゾールの塩酸塩の融点は、50℃またはそれ以下、特に有利に45℃またはそれ以下、殊に有利に40℃またはそれ以下、殊に35℃またはそれ以下、特に30℃またはそれ以下である。
【0013】
前記条件を満たす好ましいアルキルイミダゾールは、式(I)
【化1】

〔式中、R1およびR2は、互いに無関係にそれぞれ水素または線状または分枝鎖状のC1〜C6−アルキルであってよく、但し、R1〜R2は、総和で少なくとも1個の炭素原子および総和で6個以下の炭素原子を有し、有利に総和で1〜4個の炭素原子を有し、特に有利に総和で1〜2個の炭素原子を有し、殊に有利に総和で2個の炭素原子を有する〕で示されるアルキルイミダゾールである。
【0014】
1およびR2の例は、水素、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチルおよびn−ヘキシルである。好ましい基R1およびR2は、水素、メチルおよびエチルである。
【0015】
式(I)の化合物の例は、n−プロピルイミダゾール、n−ブチルイミダゾール、イソブチルイミダゾール、2′−メチルブチルイミダゾール、イソペンチルイミダゾール、n−ペンチルイミダゾール、イソヘキシルイミダゾール、n−ヘキシルイミダゾール、イソオクチルイミダゾールおよびn−オクチルイミダゾールである。
【0016】
好ましい化合物(I)は、n−プロピルイミダゾール、n−ブチルイミダゾールおよびイソブチルイミダゾールであり、特に有利には、n−ブチルイミダゾールおよびイソブチルイミダゾールであり、殊に有利には、n−ブチルイミダゾールである。
【0017】
補助塩基としては、本発明によれば、上記化合物のかかる補助塩基が使用され、この場合この化合物は、
b)反応中に分離される酸との塩を形成し、この塩は、価値のある生成物が液体塩の分離中に本質的に分解されない温度で液状であり、
c)補助塩基と価値のある生成物または適当な溶剤中の価値のある生成物の溶液との塩が2つの不混和性の液相を形成する。
【0018】
好ましいのは、
a)反応体として反応に関与しない補助塩基である。
【0019】
更に、有利には、前記補助塩基は、付加的に
d)同時に求核触媒として反応中に機能し、即ち前記補助塩基は、補助塩基の存在なしの実施と比較して反応の反応速度を少なくとも1.5倍、有利に少なくとも2倍、特に有利に5倍、殊に有利に少なくとも10倍、殊に少なくとも20倍上昇させることができる。
【0020】
本発明による方法の技術的有用性は、助剤を簡単な液−液相分離によって低い温度で分離することができ、したがって処理技術的に費用のかかる、固体での回避方法が省略されることにある。
【0021】
助剤の後処理は、価値のある生成物の存在下でも行なうことができ、したがって後者の価値のある生成物は、殆んど不利にならない。
【0022】
課題の記載内容は、本明細書中に記載の本発明によって解決される。これは、補助塩基が反応混合物中に含有されているかまたは事後に添加され、この場合この補助塩基と、反応の経過中に分離されるかまたは添加された、即ち反応中に分離されたものでない酸との塩は、反応条件下および/または後処理条件下で液状であり、場合によっては溶解された価値のある生成物と不混和性の相を形成することによって行なわれる。この種の液状の塩は、しばしばイオン性液体と呼称される。結合すべき酸は、反応混合物中で遊離して存在していてもよいし、価値のある生成物または反応混合物中に存在する別の物質との複合体または付加物を形成していてもよい。殊に、ルイス酸は、ケトンのような物質と複合体を形成する傾向にある。この複合体は、補助塩基によって分解されてよく、この場合には、本発明の範囲内で補助塩基と分離すべきルイス酸との塩を形成する。
【0023】
更に、本発明の課題に記載内容を満たすために、補助塩基の混合物または溶液が使用されてよい。
【0024】
不混和性とは、本明細書の範囲内で相界面によって分離された少なくとも2つの液相が形成されることを意味する。
【0025】
純粋に価値のある生成物が補助塩基と酸との塩と全面的にかまたは大部分混和性である場合には、価値のある生成物に助剤、例えば溶剤が添加されてもよく、脱混合または溶解度の減少が達成される。これは、例えば価値のある生成物中での塩の溶解度または反対に塩中での価値のある生成物の溶解度が20質量%またはそれ以上、有利に15質量%またはそれ以上、特に有利に10質量%またはそれ以上、殊に有利に5質量%またはそれ以上である場合には、重要である。溶解度は、それぞれの分離の条件下で定められる。有利には、溶解度は、塩の融点を上廻り、次の温度の最も低い温度を下廻り、特に有利に次の温度の最も低い温度を10℃下廻り、殊に有利に次の温度の最も低い温度:
価値のある生成物の沸点、
溶剤の沸点、
どちらの温度が最も低いかに応じて、価値のある生成物の重要な分解温度を20℃下廻る。
【0026】
溶剤は、価値のある生成物と溶剤との混合物が塩を上記の量よりも僅かに溶解する能力を有するかまたは塩が価値のある生成物または価値のある生成物と溶剤との混合物を上記の量よりも僅かに溶解する能力を有する場合に適当であると見なすことができる。
【0027】
溶剤として使用可能であるのは、例えばベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレンまたはp−キシレン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、アセトン、イソブチルメチルケトン、ジエチルケトン、ジエチルエーテル、第三ブチルメチルエーテル、第三ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エステル、酢酸メチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、メチルクロロホルムまたはこれらの混合物である。
【0028】
価値のある生成物は、一般に非極性の有機化合物または無機化合物である。
【0029】
本発明の基礎となる化学反応としては、酸が遊離される全ての反応がこれに該当する。
【0030】
本発明による方法に使用されうる反応は、例えば
アルキルハロゲン化物またはアラルキルハロゲン化物、例えば塩化メチル、沃化メチル、塩化ベンジル、1,2−ジクロロエタンまたは2−クロロエタノールでのアルキル化、
アシル化、即ち酸ハロゲン化物とカルボン酸無水物との反応、任意の基質、例えばアルコールまたはアミンの反応、
シリル化、即ち少なくとも1つのSi−Hal結合を含有する化合物、例えばSiCl4、(H3C)2SiCl2またはトリメチルシリルクロリドとの反応、
ホスホリル化、即ち少なくとも1個のP−Hal結合を含有する化合物、例えばJulian Chojnowski, Marek Cypryk, Witold Fortuniak, Heteroatom, Chemistry, 1991, 2, 63-70に記載されているようなPCl3、PCl5、POCl3、POBr3、ジクロロフェニルホスフィンまたはジフェニルクロロホスフィンとの反応、
硫化、即ち例えばDobrynin, V.N.他, Bioorg. Khim. 9(5), 1983, 706-710に記載されているような塩化スルフリル(SO2Cl2)、塩化チオニル(SOCl2)、クロロスルホン酸(ClSO3H)、スルホン酸ハロゲン化物、例えばp−トルエンスルホン酸クロリド、メタンスルホン酸クロリドまたはトリフルオロメタンスルホン酸クロリドまたはスルホン酸無水物とのスルフィド化、硫酸エステル化、スルホン化および硫酸化、
C=C−二重結合を酸、例えばHCl、HBr、酢酸またはパラ−トルエンスルホン酸の分解下に形成させるような脱離または
酸の水素原子を補助塩基によって抽出させるような脱プロトン化である。
【0031】
記載された反応タイプの中で好ましいのは、アルキル化、シリル化、ホスホリル化、硫化、アシル化および脱離であり、特に好ましいのは、シリル化、ホスホリル化および硫化である。
【0032】
更に、本発明によれば、反応中に遊離されなかった酸を添加し、例えばpH値を調節するかまたは反応を促進させるように酸を反応混合物から分離することもできる。即ち、例えばフリーデル−クラフツ−アルキル化またはフリーデル−クラフツ−アシル化のために触媒として使用されたルイス酸は、簡単な方法で分離されることができる。
【0033】
本発明の範囲内で分離することができる酸は、ブレンステッド酸およびルイス酸であることができる。如何なる酸がブレンステッド酸およびルイス酸と呼称されるかは、Hollemann-Wiberg, Lehrbuch der Anorganischen Chemie, 第91-100版, Walter de Gruyter, Berlin New York 1985, 第235頁または第239頁中に記載されている。また、George A., Olah, Friedel-Crafts an Related Reactons, 第I巻, 191〜197, 201および284-290 (1963)中に記載されている、フリーデル−クラフツ触媒として使用されるルイス酸は、本発明の範囲内のルイス酸に属する。例としては、三塩化アルミニウム(AlCl3)、塩化鉄(III)(FeCl3)、三臭化アルミニウム(AlBr3)および塩化亜鉛(ZnCl2)が挙げられる。
【0034】
一般に、本発明による分離可能なルイス酸は、元素の周期律表の第Ib族、第IIb族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族、第IVb族、第Va族、第Vb族、第VIb族、第VIIb族および第VIII族の金属のカチオン形ならびに希土類、例えばランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムまたはルテチウムの金属のカチオン形を含有する。
【0035】
特に、亜鉛、カドミウム、ベリリウム、硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、エルビウム、ゲルマニウム、錫、バナジウム、ニオブ、スカンジウム、イットリウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、パラジウム、トリウム、鉄、銅およびコバルトが挙げられる。好ましいのは、硼素、亜鉛、カドミウム、チタン、錫、鉄、コバルトである。
【0036】
ルイス酸の対イオンとしては、F、Cl、ClO、ClO3、ClO4、Br、I、IO3、CN、OCN、SCN、NO2、NO3、HCO3、CO32−、S2、SH、HSO3、SO32−、HSO4、SO42−、S222−、S242−、S252−、S262−、S272−、S282−、H2PO2、H2PO4、HPO42−、PO43−、P274−、ジチオカルバメート、サリチレート、(OCn2n+1、(Cn2n-12、(Cn2n-32ならびに(Cn+12n-242−、但し、この場合nは、1〜20の数を表わすものとし、メタンスルホネート(CH3SO3)、トリフルオロメタンスルホネート(CF3SO3)、トルエンスルホネート(CH364SO3)、ベンゼンスルホネート(C65SO3)、水酸化物(OH)、芳香族酸、例えば安息香酸、フタル酸等のアニオンおよび1,3−ジカルボニル化合物のアニオンがこれに該当する。
【0037】
更に、カルボキシレートが挙げられ、殊に蟻酸塩、酢酸、トリフルオロアセテート、プロピオネート、ヘキサノエートおよび2−エチルヘキサノエート、ステアレートならびに蓚酸塩、アセチル−ラセトネート、酒石酸塩、アクリレートおよびメタクリレート、有利に蟻酸塩、酢酸塩、プロピオネート、蓚酸塩、アセチルアセトネート、アクリレートおよびメタクリレートを挙げることができる。
【0038】
更に、一般式BR''''3およびB(OR'''')3の硼水素化物およびオルガノ硼素化合物が当てはまり、上記式中、R''''は、それぞれ互いに独立に水素、C1〜C18−アルキル、場合によっては1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換または非置換のイミノ基によって中断されたC2〜C18−アルキル、C6〜C12−アリール、C5〜C12−シクロアルキルまたは5〜6員の、酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子を有する複素環を表わすか、または上記R''''の2個は、一緒になって不飽和環、飽和環または芳香環および場合によっては1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換または非置換のイミノ基によって中断された環を形成し、この場合記載された基は、それぞれ官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環によって置換されていてよい。基R''''は、互いに結合されていてもよい。
【0039】
ルイス酸の好ましい例としては、上記のAlCl3、FeCl3、AlBr3およびZnCl2と共に、BeCl2、ZnBr2、ZnI2、ZnSO4、CuCl2、CuCl、Cu(O3SCF32、CoCl2、CoI2、FeI2、FeCl2、FeCl2(THF)2、TiCl4(THF)2、TiCl4、TiCl3、CITi(OiPr)3、SnCl2、SnCl4、Sn(SO4)、Sn(SO42、MnCl2、MnBr2、ScCl3、BPh3、BCl3、BBr3、BF3・OEt2、BF3・OEt2、BF3・OMe2、BF3・MeOH、BF3・CH3OOH、BF3・CH3N、B(CF3OO)3、B(OEt)3、B(OMe)3、B(O/Pr)3、PhB(OH)2、3−MeO−PhB(OH)2、4−MeO−PhB(OH)2、3−F−PhB(OH)2、4−F−PhB(OH)2、(C253Al、(C252AlCl、(C25)AlCl2、(C817)AlCl2、(C8172AlCl、(イソ−C492AlCl、Ph2AlCl、PhAlCl2、Al(acac)3、Al(O/Pr)3、Al(OnBu)3、Al(OsecBu)3、Al(OEt)3、GaCl3、ReCl5、ZrCl4、NbCl5、VCl3、CrCl2、MoCl5、YCl3、CdCl2、CdBr2、SbCl3、SbCl5、BiCl3、ZrCl4、UCl4、LaCl3、CeCl3、Er(O3SCF3)、Yb(O2CCF33、SmCl3、SmI2、B(C653、TaCl5が挙げられる。
【0040】
ルイス酸は、アルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物、例えばLiClまたはNaClによって安定化されていてよい。そのために、(アルカリ土類金属)アルカリ金属ハロゲン化物がルイス酸に対してモル比0〜100:1で混合される。
【0041】
本明細書の範囲内でハロゲンまたはHalを用いる場合には、弗素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)または沃素(I)、有利に塩素が考えられる。
【0042】
一般に、少なくとも1個の遊離O−H−、S−H−またはN−H−結合を有する化合物は、場合によっては補助塩基による脱プロトン化後にシリル化、ホスホリル化または硫化の範囲内で反応される。
【0043】
塩基と塩を形成しうる酸は、例えば沃化水素酸(HI)、弗化水素(HF)、塩化水素(HCl)、硝酸(HNO3)、亜硝酸(HNO2)、臭化水素酸(HBr)、炭酸(H2CO3)、炭酸水素塩(HCO3)、メチル炭酸(HO(CO)OCH3)、エチル炭酸(HO(CO)OC25)、n−ブチル炭酸、硫酸(H2SO4)、硫酸水素塩(HSO4)、メチル硫酸(HO(SO2)OCH3)、エチル硫酸(HO(SO2)OC25)、燐酸(H3PO4)、燐酸二水素塩(H2PO4)、蟻酸(HCOOH)、酢酸(CH3COOH)、プロピオン酸、n−酪酸およびイソ酪酸、ピバリン酸、パラ−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸であり、好ましいのは、塩化水素、酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、2,4,6−トリメチル安息香酸およびトリフルオロメタンスルホン酸であり、特に好ましいのは、塩化水素である。
【0044】
ブレンステッド酸(プロトン酸)を分離するための好ましい実施態様において、このブレンステッド酸は、大量のルイス酸なしに分離され、即ち酸と補助塩基との分離された塩中で、ブレンステッド酸とルイス酸とのモル比は、4:1を上廻り、有利に5:1を上廻り、特に有利に7:1を上廻り、殊に有利に9:1を上廻り、殊に20:1を上廻る。
【0045】
好ましいのは、補助塩基と酸との塩が液相としての塩の分離の進行中に、即ち1時間当たり10モル%未満、5モル%/h未満、特に有利に2モル%/h未満、殊に有利に1モル%/h未満で価値のある生成物の重大な分解を起こさない溶融温度を有する補助塩基である。
【0046】
上記の補助塩基の中、塩がEγ(30)値35超、有利に40超、特に有利に42超を有する補助塩基が特に好ましい。Eγ(30)値は、極性の1つの基準であり、C. ReichardtによってReichardt, Christian Solvent Effects in Organic Chemistry Weinheim: VCH, 1979. -XI, (Monographs in Modern Chemistry;3), ISBN 3-527-25793-4 第241頁に記載されている。
【0047】
同様に、イミダゾールの全ての上記誘導体の塩が35超、有利に40超、特に有利に42超のEγ(30)値を有し、液相としての塩の分離の進行中に価値のある生成物の重大な分解を起こさない溶融温度を有する、イミダゾールの全ての上記誘導体が使用されてよい。前記のイミダゾールの極性塩は、上記の記載と同様に殆んど極性でない有機媒体と不混和性の2つの相を形成する。
【0048】
前記反応の実施は、制限されておらず、前記反応は、本発明によれば、遊離されたかまたは添加された酸の捕捉下に場合によっては求核触媒反応の下で非連続的または連続的に空気に接してかまたは保護ガス雰囲気下で実施されてよい。
【0049】
温度に敏感な価値のある生成物の場合には、補助塩基と酸とからなる塩を固体の塩として反応中に沈殿させ、後処理時または価値のある生成物の主要量の分離後に初めて固体液体分離で溶融させることで十分である。それによって、生成物は、熱的にあまり負荷されない。
【0050】
本発明のもう1つの対象は、反応混合物に補助塩基1モル当たり少なくとも1モルの酸を添加することにより、上記の補助塩基または求核触媒として使用される補助塩基を分離する方法である。それによって、液−液分離によりイオン性液体としてのかかる補助塩基の分離が可能になる。
【0051】
1−アルキルイミダゾールの回収は、例えば補助塩基と強塩基、例えばNaOH、KOH、Ca(OH)2、石灰乳、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3またはKHCO3との塩を、場合によっては溶剤中、例えば水、メタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、またはブタノール異性体混合物またはペンタノール異性体混合物またはアセトン中で遊離することにより行なうことができる。
【0052】
本発明の1つの好ましい実施態様において、強塩基は、できるだけ濃縮された溶液中、特に有利に水溶液中で、例えば少なくとも5質量%、有利に少なくとも10質量%、特に有利に少なくとも15質量%で使用される。この結果、強塩基と酸とからの反応生成物は、同様にできるだけ濃縮されて生じ、それによって遊離され、別の相、即ち有利に水相中で僅かな溶解度を有する。
【0053】
また、強塩基として考えられるのは、アミン、有利に本発明による1−アルキルイミダゾールよりも強い塩基、即ちよりいっそう低いpKB値を有する第三級アミンである。この場合には、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンまたは強塩基性イオン交換樹脂が重要であることができる。生じる酸−塩基平衡が反応の実施、例えば遊離された1−アルキルイミダゾールまたは弱塩基の形成された塩の抽出、結晶または蒸留による分離によって相応してずれる場合には、本発明による1−アルキルイミダゾールとしての弱塩基の使用も考えられる。
【0054】
こうして遊離された補助塩基は、この補助塩基が固有の相を形成する場合には、分離されてよいし、この補助塩基が強塩基の塩または強塩基の塩の溶液と混和性である場合には、蒸留によって混合物から分離されてよい。必要な場合には、遊離された補助塩基は、抽出剤での抽出によって強塩基の塩または強塩基の塩の溶液と分離されうる。抽出剤は、例えば上記溶剤、アルコールまたはアミンである。
【0055】
公知技術水準と比較して本発明による1−アルキルイミダゾールの利点は、遊離された補助塩基が水溶液中であまり溶解性でなく、それによって殆んど損失なしに回収されうることである。
【0056】
必要な場合には、補助塩基は、水またはNaCl水溶液またはNa2SO4水溶液で洗浄されてよく、引続き、例えば場合によっては含有される水をベンゼン、トルエン、キシレン、ブタノールまたはシクロヘキサンでの共沸蒸留により分離することによって乾燥されてよい。
【0057】
必要な場合には、塩基は再度使用する前に蒸留されてよい。
【0058】
更に、本発明の対象は、次の工程:
1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩と価値のある生成物との混合物を形成させながら価値のある生成物の存在下で少なくとも1つの本発明による1−アルキルイミダゾールと少なくとも1つの酸とを反応させる工程、
少なくとも2つの分離された相が形成される条件下で1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩と価値のある生成物とを分離し、この場合この分離された相は、少なくとも一方が主に1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩を含有し、少なくとも1つの他方が主に価値のある生成物を含有する工程、
少なくとも1つの塩基を(B)から分離された相に添加し、この場合この相は、主に遊離された1−アルキルイミダゾールと塩基および酸からの反応生成物との混合物を形成しながら1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩を含有する工程、
遊離された1−アルキルイミダゾールと塩基および酸からの反応生成物との混合物を、少なくとも2つの分離された相が形成される条件下で分離し、この場合この分離された相は、少なくとも一方が主に遊離された1−アルキルイミダゾールを粗製物の形で含有し、少なくとも1つの他方が塩基と酸との反応生成物を含有する工程、
場合によっては、粗製物の形で生じる1−アルキルイミダゾールを後精製する工程および
場合によっては後精製されていてよい1−アルキルイミダゾールを工程(A)に返送する工程を含めて上記の1−アルキルイミダゾールの1つを用いて反応混合物から酸を分離するための方法である。
【0059】
1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩と価値のある生成物との混合物の形成下で工程(A)の価値のある生成物の存在下での少なくとも1つの本発明による1−アルキルイミダゾールと少なくとも1つの酸との反応は、既にさらに上記に記載されている。酸は、上記したようにブレンステッド酸またはルイス酸であることができる。酸は、反応中に、例えば形成される価値のある生成物から生じてもよいし、カップリング生成物として生じてもよいし、反応混合物に添加されてもよい。圧力および温度は、この工程では本発明によれば本質的なことではない。同様に、1−アルキルイミダゾールの塩がこの工程で液状であるかまたは液状でないか、および価値のある生成物および1−アルキルイミダゾールの塩がこの工程で互いに混和性であるかまたは別の相を形成するかは、決定的なことではない。
【0060】
少なくとも2つの分離された相が形成される条件下で、この場合この分離された相は、少なくとも1つの一方が主に1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩を含有し、少なくとも1つの他方が主に価値のある生成物を含有する、1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩と価値のある生成物との分離は、工程(B)で行なわれる。この場合、工程(A)からの混合物は、1−アルキルイミダゾールの塩が液状であり、上記の記載と同様に価値のある生成物と不混和性の少なくとも2つの相を形成する温度にもたらされる。
【0061】
上記の記載と同様に、反応混合物には、場合によっては少なくとも1つの溶剤が添加されてよく、脱混合が達成される。
【0062】
分離は、有利に相分離(液−液分離)によって、例えばUllmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第6版, 2000 electronic release, "Liquid-Liquid Extraction"章, 特に細目の第4章"Phase-Separation Equipment"中に記載されているような技術によって、有利にデカンタ、相分離器、遠心分離器またはミキサー−沈降タンク装置、特に有利に相分離器によって行なうことができる。
【0063】
この場合には、主に全部の反応混合物中に含有されている、1−アルキルイミダゾールの塩または価値のある生成物の50質量%超、有利に少なくとも66質量%、特に有利に少なくとも75質量%、殊に有利に少なくとも85質量%、殊に少なくとも90質量%が重要である。
【0064】
引続き、分離された価値のある生成物は、自体公知の後精製にかけられ、この場合この後精製は、本発明によれば、本質的なことではない。
【0065】
工程(C)において、少なくとも1つの塩基は、(B)から分離された相に添加され、この場合この相は、主に遊離された1−アルキルイミダゾールと塩基および酸からの反応生成物との混合物を形成しながら1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩を含有する。
【0066】
塩基としては、上記の強塩基が、場合によっては溶剤中でかまたは必要な場合には、溶剤を添加しながら使用されてよい。
【0067】
本発明による好ましい実施態様において、強塩基は、水溶液中で使用される。本発明による1−アルキルイミダゾールが水溶液中で低い溶解度を有することによって、工程(C)で一般に少なくとも2つの相が形成され、この場合1つの相は、水性で、多くの場合に塩基と酸との反応生成物を含有し、もう1つは、遊離された1−アルキルイミダゾールを含有する。この脱混合過程は、必要な場合には、少なくとも1つの溶剤を添加することによって促進されるが、しかし、本発明による1−アルキルイミダゾールの僅かな溶解度によって、多くの場合には、有利に不必要である。
【0068】
塩基と酸との反応生成物は、一般に塩の水溶液、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムまたは塩化カルシウム、臭化ナトリウム、臭化カリウムまたは臭化カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムまたは酢酸カルシウムまたは蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウムまたは蟻酸カルシウムの水溶液である。
【0069】
上記したように、強塩基の濃度は、有利に塩基と酸との反応生成物ができるだけ濃縮されて生じるように調節されるが、しかし、有利には、分離条件下で沈殿を生じることはない。特に好ましくは、条件は、塩基と酸との反応生成物が少なくとも15質量%の溶液を生じ、特に有利に少なくとも20質量%の溶液、殊に少なくとも25質量%の溶液、特に少なくとも30質量%の溶液が生じるように選択される。
【0070】
塩基の量は、多くの場合に化学量論的割合に相応して選択され、したがって遊離すべき1−アルキルイミダゾールの量に対して0.8〜1.5当量、有利に0.9〜1.3当量、特に有利に0.95〜1.2当量、殊に有利に0.95〜1.1当量の塩基が使用される。殊に、塩基は、等モル量で使用される。
【0071】
反応の場合の温度は、本発明によれば、本質的なことでなく、一般に、塩基の添加の際には、昇温を予め考慮に入れることができ、したがって場合によっては、簡単に冷却されなければならない。例えば、塩基の添加は、20〜80℃の温度で行なうことができる。
【0072】
工程(D)において、遊離された1−アルキルイミダゾールと塩基および酸からの反応生成物との混合物は、少なくとも2つの分離された相が形成される条件下で分離され、この場合この分離された相は、少なくとも一方が主に遊離された1−アルキルイミダゾールを粗製物の形で含有し、少なくとも他方が塩基と酸との反応生成物を含有する。
【0073】
この場合には、主に全部の反応混合物中に含有されている、1−アルキルイミダゾールまたは酸と塩基との反応生成物の50質量%超、有利に少なくとも66質量%、特に有利に少なくとも75質量%、殊に有利に少なくとも85質量%、殊に少なくとも90質量%が重要である。
【0074】
本明細書中で、粗製とは、少なくとも75質量%、有利に少なくとも85質量%、特に有利に少なくとも95質量%の純度を有することを意味し、この場合、本明細書中では溶剤は考慮されない。
【0075】
この場合には、多くの場合に有利に、工程(B)で記載されているように一般に行なうことができる、2つの液相の分離は、重要である。例外的に固体からの液体の分離が重要である場合には、これは、例えば1回または数回の抽出または濾過によって行なうことができ、この場合残存する固体は、溶剤で洗浄されてよく、付着する液体は除去される。
【0076】
工程(D)から得られる粗製の1−アルキルイミダゾールは、場合によってはもう1つの工程(E)で後精製されることができる。これは、例えば1回または数回の洗浄、乾燥、濾過、ストリッピング、蒸留および/または精留によって行なうことができる。
【0077】
洗浄のために、1−アルキルイミダゾールは、少なくとも1つの洗浄装置中で水または5〜30質量%、有利に5〜20質量%、特に有利に5〜15質量%の食塩溶液、塩化カリウム溶液、塩化アンモニウム溶液、硫酸ナトリウム溶液または硫酸アンモニウム溶液、有利に食塩溶液で処理される。洗浄は、例えば攪拌容器中または別のジュライの装置中、例えば塔またはミキサー−沈降タンク装置中で実施されてもよい。
【0078】
例えば、場合によっては含有される水を蒸留または共沸蒸留によりベンゼン、トルエン、キシレン、ブタノールまたはシクロヘキサンで分離することによって、乾燥されてよい。
【0079】
濾過は、例えば沈殿された固体を除去するかまたは場合によっては発生した色を、例えば活性炭、酸化アルミニウム、セライトまたはシリカゲル上での濾過によって除去するために重要なことである。
【0080】
例えば、場合によっては含有されている溶剤を分離するための蒸留は、有利に落下型蒸発器または薄膜蒸発器により、場合によっては真空下で行なうことができ、この場合には、分離の改善のために、塔が載置されていてよい。
【0081】
溶剤は、前記の形または場合によっては後精製された形で再使用されてよい。
【0082】
引続き、後処理され、場合によっては後精製された1−アルキルイミダゾールは、再びプロセス中に返送されてよい(工程(F))。
【0083】
本発明による利点は、例えばWO 03/62171からの公知技術で公知の補助塩基よりも僅かな融点を有することにあり、このことは、価値のある生成物の僅かな熱的負荷および僅かなエネルギー費用を意味し、付加的に僅かな溶解度を有し、このことは、良好な回収可能性を生じる。
【0084】
次の実施例は本発明を説明するが、それにより本発明は制限されない。
【0085】
実施例
"部"または"%"としては、本明細書中で、別記しない限り、"質量部"または"質量%"を意味するものと解してよい。
【0086】
イミダゾール塩酸塩の製造および融点の測定
イミダゾールをトルエンに溶解し、氷冷却下に飽和するまでHClガスで処理した。一般に、直ちに固体の沈殿物が形成されるかまたは油が形成される。また、多くの場合には、部分的に固体で、部分的に油状の生成物を得ることができた。第1の場合には、固体の沈殿物を直接にデカントし、キシレン中に移した。第2の場合のために、塩酸塩をエタノールの添加によって完全に溶解し、引続き真空中で溶剤を完全に除去した。更に、多くの場合の塩酸塩は、冷却箱中での貯蔵後に晶出された。
【0087】
融点を測定するために、それぞれのイミダゾール塩酸塩にキシレンを添加した。この不均質な混合物を油浴中で加熱した際に、融点が130℃未満であった場合には、下相の融点が観察された。キシレンの内部温度を融点または溶融範囲として記録した。この試験の結果は、表中に記載されている。
【0088】
【表1】

【0089】
30%のNaCl溶液に対する1−アルキルイミダゾールの挙動の測定
脱塩水100g中の塩化ナトリウム30gの溶液を製造した。この溶液5gに記載されたイミダゾール誘導体5gを振盪型漏斗中で添加し、強力に振盪させた。その後に、相を分離し、計量した。
【0090】
その際、良好に可溶性のイミダゾールの場合には、NaClの一部分は、下方の水相中で沈殿し、十分に下相中に搬出された。上相の質量を記録した。
【0091】
分析のために、上相中での水の測定を(カール−フィッシャー滴定により)実施した。下相を、存在する場合には、分離し、1N KOH溶液を添加し、2回キシレンで抽出した。硫酸マグネシウム上での乾燥後、内部標準(ヘプタデカン)を添加し、GCにより溶解されたイミダゾールの量を計算した。
【0092】
【表2】

【0093】
ブチルイミダゾールを用いてのジエトキシフェニルホスフィン(DEOPP)の製造
エタノール(9.44g、0.205モル)中のブチルイミダゾール(26.1g、0.21モル)の溶液に、氷浴冷却下にジクロロフェニルホスフィン(17.9g、0.10モル)を30分間に亘って滴加し、したがって内部温度は、40℃を上廻らなかった。次に、なおさらに30分間、前記温度で攪拌し、引続き反応混合物を熱時に分離漏斗中に移した。30分後、まさに粘稠な下相を放出し、上相をデカントした。下相にトルエン約30mlを添加し、強力に混合した。熱時での再度の相分離により、トルエン上相をもたらし、このトルエン上相をガスクロマトグラフィーにより内部標準(ペンタデカン)を用いて分析した。次に、下相に徐々にNaOH溶液16.8g(50%で)ならびに若干量の水(13.5g)を添加し、得られた相を強力に混合した。再度の相分離の後に、ブチルイミダゾール上相をガスクロマトグラフィーにより分析した。下相を2回キシレンで抽出し、有機相を乾燥し、内部標準(ペンタデカン)で同様にガスクロマトグラフィーにより分析した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助塩基により反応性混合物から酸を分離するための方法であって、その際、この補助塩基は、
A)酸との塩を形成し、この塩は、価値のある生成物が液体塩の分離中にあまり分解されない温度で液状であり、および
B)前記補助塩基と価値のある生成物との塩または適当な溶剤中での価値のある生成物の溶液は、2つの不混和性の液相を形成する、補助塩基により反応性混合物から酸を分離するための方法において、補助塩基としてアルキルイミダゾールを使用し、
このアルキルイミダゾールは、25℃で30質量%の塩化ナトリウム溶液中での溶解度10質量%またはそれ以下を有し、
前記のアルキルイミダゾールの塩酸塩は、55℃未満の融点を有することを特徴とする、補助塩基により反応性混合物から酸を分離するための方法。
【請求項2】
1−アルキルイミダゾールを使用し、この1−アルキルイミダゾールの塩酸塩が45℃未満の融点を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
1−アルキルイミダゾールを使用し、この1−アルキルイミダゾールは、25℃で30質量%の塩化ナトリウム溶液中での溶解度3質量%またはそれ以下を有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
補助塩基として、式(I)、
【化1】

〔式中、R1およびR2は、互いに無関係に、それぞれ水素または線状または分枝鎖状のC1〜C6−アルキルであってよく、但し、R1およびR2は、総和で少なくとも1個の炭素原子を有し、総和で6個以下の炭素原子を有するものとする〕で示される1−アルキルイミダゾールを使用する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
1およびR2は、互いに無関係に、水素、メチルおよびエチルからなる群から選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
1−アルキルイミダゾールを1−n−プロピルイミダゾール、1−n−ブチルイミダゾールおよび1−イソブチルイミダゾールからなる群から選択する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1記載の1−アルキルイミダゾールにより反応混合物から酸を分離するための方法において、次の工程:
A)少なくとも1つの1−アルキルイミダゾールを少なくとも1つの酸と、価値のある生成物の存在下で、1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩と価値のある生成物との混合物の形成下に反応させる工程、
B)1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩と価値のある生成物とを、少なくとも1つの一方が主に1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩を含有し、少なくとも1つの他方が主に価値のある生成物を含有する少なくとも2つの別々の相を形成する条件下で分離する工程、
C)遊離した1−アルキルイミダゾールと塩基および酸からの反応生成物との混合物の形成下に主に1−アルキルイミダゾールの少なくとも1つの塩を含有する、(B)から分離された相に少なくとも1つの塩を添加する工程、
D)少なくとも1つの一方が主に遊離された1−アルキルイミダゾールを粗製物の形で含有し、少なくとも1つの他方が塩基と酸との反応生成物を含有する少なくとも2つの別々の相を形成する条件下で遊離された1−アルキルイミダゾールと塩基および酸からの反応生成物との混合物を分離する工程、
E)場合によっては粗製物の形で生じた1−アルキルイミダゾールを後精製する工程および
F)場合によっては後精製されていてよい1−アルキルイミダゾールを工程(A)に返送する工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の1−アルキルイミダゾールにより反応混合物から酸を分離するための方法。
【請求項8】
相の分離を工程(B)で相分離器中で行なう、請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程(C)で添加された少なくとも1つの塩基の濃度を、塩基と酸とからの反応生成物が工程(D)で少なくとも15質量%の溶液中で生じるように選択する、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
工程(E)での後精製が1回または数回の洗浄、乾燥、濾過、ストリッピング、蒸留および/または精留を含む、請求項7から9までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−534647(P2007−534647A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544349(P2006−544349)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014386
【国際公開番号】WO2005/061416
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】