説明

1つ以上の応力感応性構成要素を1つ以上の応力から緩衝するため空隙を重合系材料内に導入する方法

【課題】光ファイバジャイロスコープの光ファイバコイルを保護するポッティングコンパウンドからの反発力がセンサファイバに加わることを減少する重合系材料を提供する。
【解決手段】複数の空隙208が重合系材料204内に導入される。重合系材料の一部分と当接した1つ以上の光ファイバ202は、複数の空隙の1つ以上の空隙を備える重合系材料の部分を採用することを通じて、1つ以上の応力から緩衝される。重合系材料の部分の動きには、1つ以上の空隙の1つ以上を圧縮することを通じて対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本出願と同一の譲受人に譲渡された、以下の出願の主題事項に関する主題事項を含むものである。以下に掲げた特許出願は、その内容の全体を参考として引用し本明細書に含めてある。
【0002】
本出願と同時に出願された、カールソン(Carlson)その他の者による、「圧縮して重合系材料が付与された力を吸収し且つ1つ以上のセンサファイバに対する反発力を減少させることを許容する空隙を有する重合系材料(POLYMERICMATERIAL WITHVOIDS THATCOMPRESS TOALLOW THEPOLYMERIC MATERIALTO ABSORBAPPLIED FORCEAND DECREASEREACTION FORCETO ONEOR MORESENSOR FIBERS)」。
【0003】
本発明は、全体として、応力感応性構成要素、より具体的には、応力感応性構成要素の緩衝に関する。
【背景技術】
【0004】
一例における重合系材料は、センサファイバを緩衝するために使用される。例えば、重合系材料は、センサファイバを保護するためセンサファイバを被覆する。一例において、重合系材料は、ポッティングコンパウンドを備え、センサファイバは光ファイバを備えている。ポッティングコンパウンドは、光ファイバに対する緩衝層を備えている。光ファイバは光ファイバコイルを形成し得るような巻きパターンにてスプールの周りに巻かれている。一例における光ファイバジャイロスコープは、光ファイバコイルを採用して回転速度を感知する。光ファイバコイルはスプールの長さに沿った複数の巻線部と、1つ以上の巻線層を備えている。光ファイバがスプールの周りに巻かれると、ポッティング材料が光ファイバの外面に施される。例えば、注射器及びブラシアプリケータは、光ファイバコイルをポッティング材料にて被覆する。ポッティング材料は、光ファイバコイルの巻きパターンの精度を向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一例におけるポッティングコンパウンドは、巻線部の各々と巻線層との間の空間を充填する。例えば、ポッティングコンパウンドは、巻線部の各々と巻線層との間の緩衝層として機能する。光ファイバコイルが膨張したとき、光ファイバコイルは、ポッティングコンパウンドに力を加える。ポッティングコンパウンドは、大きい体積弾性率を有している。このため、加えられた力に応答して、ポッティングコンパウンドは、光ファイバコイルに反発力を加える。反発力は、光ファイバコイルに圧力、応力及び(又は)歪みを加える。1つの欠点として、光ファイバに加えられた圧力、応力及び(又は)歪みは、光ファイバコイルの性能の低下を促進する可能性がある。例えば、光ファイバジャイロスコープに対する光ファイバコイルの回転測定値は、加えられた圧力、応力及び(又は)歪みのため大きい偏り誤差を生ずる可能性がある。
【0006】
このように、加えられた力の主要部分をセンサファイバから吸収する重合系材料が必要とされている。センサファイバに加えられる反発圧力、応力及び(又は)歪みの減少を促進する重合系材料が更に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、1つの実施の形態において、ある方法を包含する。複数の空隙が重合系材料に導入される。重合系材料の一部分と当接した1つ以上の応力感応性構成要素は、複数の空隙の1つ以上の空隙を備える重合系材料の部分を採用することを通じて1つ以上の応力から緩衝される。重合系材料の部分の動きには、1つ以上の空隙の1つ以上が圧縮することを通じて対応する。
【0008】
本発明は、別の実施の形態において、ある方法を包含する。複数の空隙がポッティング材料に導入される。光ファイバジャイロスコープの光ファイバ感知コイルは、複数の空隙の1つ以上の空隙を備えるポッティングコンパウンドの一部分にて封入される。1つ以上の空隙の1つ以上を圧縮することにより、光ファイバ感知コイルの膨張に対応することを通じて光ファイバ感知コイルの偏り誤差の減少が促進される。
【0009】
本発明は、更に別の実施の形態において、ある方法を包含する。複数の空隙が重合系材料に導入される。1つ以上の応力感応性構成要素は複数の空隙の1つ以上を備える重合系材料の一部分にて被覆される。1つ以上の空隙の1つ以上を圧縮することを通じて1つ以上の応力感応性構成要素の膨張に対応する。
【0010】
本発明の一例としての実施の形態の特徴は、以下の説明、特許請求の範囲及び添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】1つ以上のスプールと、1つ以上のファイバセンサコイルとを備える装置の一例としての実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の線2−2に沿ったセンサファイバコイルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、一例における装置100は、機器構成要素のような複数の構成要素を備えている。かかる構成要素の多数は、装置100の一例にて組み合わせ又は分割することができる。装置100は、一例において、任意の(例えば、水平方向、斜め方向又は垂直方向)向きを有し、以下の説明及び図面は、説明の目的のため、装置100の一例としての向きを示す。
【0013】
装置100は、一例において、1つ以上のスプール102と、1つ以上のセンサファイバコイル104とを備えている。例えば、装置100は、光ファイバジャイロスコープの感知構成要素を備えている。光ファイバジャイロスコープは、一例において、光源と、光線スプリッタと、センサファイバコイル104と、処理電子機器とを備えている。光源からの光は、2つの反対方向に伝搬する波に分割され、これらの波は光線スプリッタによりセンサファイバコイル104を通って進む。処理電子機器は、センサファイバコイル104の両端から出る光の2つの反対方向に伝搬する光線間の相関係を測定する。2つの光線が経験する相変化の間の差は、当該技術分野の当業者により理解されるように、サニャック効果のため、光ファイバジャイロスコープの回転速度に比例する。
【0014】
スプール102は、センサ光ファイバ104に対する支持構造体を提供する。スプール102は、ハブ106と、フランジ108とを備えている。ハブ106は、一例において、中実又は中空の円筒状部材を備えている。フランジ108は、ハブ106の一端に縁部を備えている。フランジ108の直径はハブ106の直径よりも大きい。ハブ106及びフランジ108は、一例において、スチールのような剛性な材料を備えている。更なる例において、ハブ106及びフランジ108は、単一体構造及び(又は)一体的形成物を備えている。
【0015】
一例において、ハブ106及びフランジ108は、センサファイバコイル104を直接支持している。別の例において、緩衝層110、112はセンサファイバコイル104を支持している。緩衝層110はハブ106に配置され、緩衝層112はフランジ108に配置される。例えば、緩衝層110がハブ106とセンサファイバコイル104との間に配置され、また、緩衝層112がフランジ108とセンサファイバコイル104との間に配置される。緩衝層110、112は可圧縮性で且つ(又は)弾性的な層を備えている。例えば、緩衝層110、112は、ポッティングコンパウンドのような重合系材料を備えている。緩衝層110は、一例において、ハブ106に被覆を備えている。緩衝層112は、一例において、フランジ108に被覆を備えている。緩衝層110、112は、センサファイバコイル104の歪み及び歪み勾配の減少を促進させる作用を果たす。
【0016】
緩衝層110、112は、一例において、センサファイバコイル104がハブ106の周りに巻かれる前に、スプール102に付与される。例えば、緩衝層110、112は、液体又はペースト形態にてスプール102に付与される。次に、緩衝層110、112は保存され且つ(又は)仕上げが行われる。例えば、緩衝層110、112は硬化させる。別の例において、緩衝層110、112は予め形成して、その後に、スプール102に付与される。
【0017】
図1及び図2を参照すると、センサファイバコイル104は、一例において、1つ以上のセンサファイバ202と、重合系材料204とを備えている。例えば、1つ以上のセンサファイバ202は、1つ以上の応力感応性構成要素を備え、重合系材料204は、応力感応性構成要素を1つ以上の応力から緩衝する。センサファイバ202は、一例において、光を伝搬する光路又は導波路を備えている。センサファイバ202は、相対的に大きい熱膨張率を有する。熱が増大する間、センサファイバ202は膨張する。熱が減少する間、センサファイバ202は収縮する。膨張及び(又は)収縮はセンサファイバ202のガラスコアに周方向歪みを加える。
【0018】
センサファイバ202は、例えば、1つ以上の層にてハブ106の周りに巻かれる。一例において、層の各々は、ハブ106から外方にそれぞれおおよその距離に配置される。例えば、第一の層はハブ106に直接、巻かれる。別の例において、第一の層はハブ106の頂部まで緩衝層110に巻かれる。後続の層は第一の層の周りに巻かれる。センサファイバコイル104は、一例において、4極巻きパターンを備えている。別の例において、センサファイバコイル104は、当該技術分野の当業者により理解されるように、2極巻きパターンを備えている。
【0019】
重合系材料204は、一例において、炭素を充填したシリコン材料又は銀を充填したシリコン材料を備えている。例えば、重合系材料204は、ポッティングコンパウンドを備えている。重合系材料204は、センサファイバコイル104の巻き部分を互いに接合する作用を果たす。センサファイバ202がスプール102の周りに巻かれると、重合系材料204がセンサファイバ202の外面に付与される。例えば、手動ポンプ及びブラシアプリケータはセンサファイバ202を重合系材料204にて被覆する。重合系材料204は、センサファイバコイル104をスプール102の周りに巻かれたユニットとして保持する作用を果たす。例えば、重合系材料204は、センサファイバ202の隣接する部分の間に配置される。
【0020】
重合系材料204は、固体材料206と、複数の空隙208とを備えている。空隙208は重合系材料204の制御された容積率だけ充填する。空隙208は、一例において、重合系材料204の全容積の25%まで充填する。更なる例において、空隙208は、重合系材料204の全容積の10%を充填する。空隙208を重合系材料204内に導入することは重合系材料204の密度を低下させることになる。空隙208を重合系材料204内に導入することは、また重合系材料204の体積弾性率の減少を促進することにもなる。更なる例において、空隙208を重合系材料204内に導入することは、重合系材料204のヤング弾性率を実質的に変更せずに体積弾性率を減少させることを促進する。重合系材料204の体積弾性率(「B」)は次の一例としての等式により規定される。
【0021】
B=V(dP/dV)
ここで「V」は重合系材料204の容積を表わす。
【0022】
ここで「P」は外部圧力を表わす。
【0023】
重合系材料204の体積弾性率(「B」)対ヤング弾性率(「E」)の比は次の一例としての等式により規定される。
【0024】
B/E=1/[3(1−2ρ)]
ここで「ρ」はポアソン比を表わす。
【0025】
一例において、空隙208を有する重合系材料204は、空隙の無い固体材料206よりも小さいポアソン比を有する。空隙208は固体材料206のヤング弾性率を顕著に変化させないため、ポアソン比の減少の結果、重合系材料204の体積弾性率は減少することになる。このように、一例において、ポアソン比が0.499から0.490に減少する結果、体積弾性率対ヤング弾性率の比は10の率だけ減少することになる。
【0026】
一例における固体ポリマーの体積弾性率は、気体の体積弾性率よりも実質的に大きい。例えば、固体ポリマーの体積弾性率は、気体の体積弾性率よりも10000倍以上大きいことがある。また、一例において、固体ポリマーの熱圧力係数は、気体の熱圧力係数よりも実質的に大きい。例えば、固体ポリマーの熱圧力係数は、気体の熱圧力係数よりも3000倍以上大きいことがある。このように、重合系材料204の空隙208の量を制御することにより、重合系材料204の体積弾性率及び熱圧力係数が減少する。
【0027】
空隙208は、一例において、固体材料206内に空間を保持する構造体を備えている。一例において、該空隙208は、例えば中空のエラストマー的極小球体のような中空のエラストマー的泡を備えている。中空のエラストマー的極小球体は、一例において、極小バルーン及び微小繊維の1つ以上を備えている。例えば、極小バルーンの結果、固体材料206内に微細な泡が生じ、微小繊維の結果、固体材料206内に極小通路が生じる。中空のエラストマー的極小球体は、容易に圧縮することを許容し得るよう気体を封入する薄い壁を備えている。例えば、中空のエラストマー的極小球体の壁は、圧力下にて破壊されないように十分強力であるが、容易に圧縮するのに十分に薄い。固体材料206内で硬化したならば、中空のエラストマー的極小球体は、気泡と実質的に同様の可圧縮性の性質を備えている。
【0028】
空隙208は、一例において、実質的に均一な分配状態にて固体材料206の樹脂に加えられる。例えば、中空のエラストマー的極小球体は、固体材料206の樹脂内で攪拌される。一例において連結剤を使用して中空のエラストマー的極小球体と固体材料206との間の接着状態を増大させる。連結剤は、一例において、有機官能反応性シランを備えている。連結剤は、固体材料206内における中空のエラストマー的極小球体の静置率を減少させるのを促進させる。例えば、連結剤は、固体材料206内における中空のエラストマー的極小球体の実質的に均一な分配状態を維持する。固体材料206及び空隙208は、硬化させて固体材料206内における空隙208の実質的な均一な分配状態を維持する。
【0029】
一例において、空隙208は、固体材料206内に1つ以上の気体(例えば、空気)泡を備えている。例えば、重合系材料204は、エラストマー的フォーム材を備えている。重合系材料204は、曝気装置構成要素を通じて噴霧し、空隙208を固体材料206内に導入する。曝気装置構成要素は、エローゾル噴霧装置又はエアブラシを備えている。曝気装置構成要素は、気泡を固体材料206内に導入する。曝気装置構成要素は、一例において、重合系材料204を1つ以上の応力感応性構成要素に付与して応力感応性構成要素を1つ以上の応力から緩衝する。
【0030】
空気導入装置は、一例において、空隙208を固体材料206内に導入し且つ安定化させる。空気導入装置は、複数の気泡を固体材料206内に混合する。空気導入装置は、重合系材料204の化学的フォーミュラに基づいて複数の空気導入装置から選ばれる。一例において、空気導入装置は、疎水性端部及び親水性端部を有する界面活性剤を備えている。親水性端部は基材料に吸引され、また疎水性端部は混合に起因する気泡を遊離させ且つ安定化させる作用を果たす。別の実施例において、空気導入装置は、重合系材料204に吸引される第一の端部と、重合系材料204により反発される第二の端部とを備えている。重合系材料204がシリコーンを備える場合、空気導入装置は、一例において、自然に組み立つ単層材料を備えている。自然に組み立つ単層材料は、一例において、オクタデシルトリクロロシランを備えている。オクタデシルトリクロロシランは、シリコンに吸引される一端と、シリコンにより反発される一端とを備えている。このように、オクタデシルトリクロロシランは、固体材料206内での気泡の安定化を促進する。
【0031】
膨張剤は、一例において、空隙208を固体材料206内に導入する。例えば、膨張剤は、化学的膨張剤を備えている。化学的膨張剤は、分解のため高温度まで加熱される。分解したとき、化学的膨張剤は、固体材料206内に取り込まれた気泡を解放して空隙208を形成する。膨張剤は、一例において、アゾジカーボンアミド又はp−トルエントルホニルヒドラジド(p−toluenetulfonyl hydrazide)である。膨張剤は、好ましい分解温度に基づいて選ばれる。例えば、アゾジカーボンアミドは約210℃にて分解し、p−トルエントルホニルヒドラジドは約120℃にて分解する。
【0032】
ディフューザが一例において空隙208を固体材料206内に導入する。該ディフューザは、気泡を解放することができる小さい穴を有するディフューザ円板を備えている。重合系材料204が硬化する前、ディフューザ円板は固体材料206を保持する容器の底部に配置される。ディフューザ円板は作動され且つ、気泡を容器の底部付近にて固体材料206内に解放し始める。ディフューザ円板は、一定の速度にて固体材料206を通じて持ち上がり、気泡を容器の頂部まで均一な分配状態にて固体材料206内に解放する。その後、ディフューザ円板は、容器から除去され、重合系材料204は硬化して気泡を保持する。
【0033】
複数の溶解可能な構造体は、一例において、空隙208を固体材料206内に導入する。例えば、溶解可能な構造体は溶解可能な極小構造体を備えている。溶解可能な極小構造体は、固体材料206内に混合される。溶解可能な極小構造体は、溶解可能な極小構造体を溶解させる活性化温度まで加熱される。溶解可能な極小構造体が放散したならば、固体材料206内に空隙208が残る。
【0034】
一例にて複数の中空の剛毛を備えるアプリケータブラシが空隙208を固体材料206内に導入する。アプリケータブラシは気体供給源に接続される。重合系材料204を応力感応性構成要素に付与する間、アプリケータブラシは、中空の剛毛を通じて気体を固体材料206内に排出する。例えば、中空の剛毛は固体材料206内に気泡を形成する。
【0035】
1つの実施例における圧力感応性フォーム材テープは、一例において、空隙208を応力感応性構成要素を封入するポッティングコンパウンド内に導入する。例えば、圧力感応性フォーム材テープが空隙208を有する重合系材料204から形成される。圧力感応性フォーム材テープは応力感応性構成要素に付与される。圧力感応性フォーム材テープ及び応力感応性構成要素は、次にポッティングコンパウンドにて封入する。圧力感応性フォーム材テープは、ポッティングコンパウンドの体積弾性率の減少を促進する。
【0036】
空隙208は、センサファイバ202の隣接する部分210、212の間の距離よりも小さい直径を備えている。例えば、1つ以上の空隙208がセンサファイバ202の隣接する部分210、212の間に嵌まる。空隙208は、一例において、センサファイバ202の隣接する部分210、212の間に嵌まるのに十分に小さい直径の中空のエラストマー的極小球体を備えている。例えば、1つの具体例において、光ファイバジャイロスコープ用のセンサファイバコイル104の空隙208の直径は50μm以下である。更なる例において、中空のエラストマー的極小球体の直径は12μmである。
【0037】
1つの実施例において、空隙208は、重合系材料204の可圧縮性を増大させるべく固体材料206内に空間を保持する。例えば、空隙208は、重合系材料204が付与された力を吸収できる量を増大させるのを促進する。加えられた力を重合系材料204の一部分に導入すると、1つ以上の空隙208は圧縮して重合系材料204の部分がその加えられた力の一部を吸収するのを許容する。例えば、加えられた力は固体材料206の一部分をその前に空隙208により保持された空間内に押し込む。空隙208は、また加えられた力に応答して重合系材料204の部分により発生される反発力の減少を促進する。空隙208は重合系材料204は、加えられた力のより大部分を吸収するのを許容するから、重合系材料204からの反発力の程度は減少する。
【0038】
一例において、センサファイバコイル104の温度が上昇すると、センサファイバ202及び重合系材料204の1つ以上が膨張する。膨張のため、センサファイバ202は重合系材料204に熱圧力を加え、重合系材料204はセンサファイバ202に熱圧力を加える。空隙208は圧縮して、重合系材料204がセンサファイバ202に加える熱応力を減少させるのを促進する。例えば、重合系材料204が膨張すると、固体材料206は、重合系材料204がセンサファイバ202に加える熱圧力を増すことなく、それ以前に空隙208により保持された空間内に膨張する。
【0039】
一例において、センサファイバ202と重合系材料204との接触は、センサファイバ202内に応力、歪み、応力勾配及び(又は)歪み勾配を導入する。応力及び(又は)歪みはセンサファイバ202の性能を劣化させる可能性がある。例えば、応力及び(又は)歪みは、センサファイバ202の分極維持性質を低下させる可能性がある。空隙208は圧縮して、重合系材料204によりセンサファイバ202に加えられる全ての応力、歪み、応力勾配及び(又は)歪み勾配の程度を減少させるのを促進する。
【0040】
一例において、重合系材料204は、光ファイバジャイロスコープ用のセンサファイバ202を封入する。空隙208の圧縮は、光ファイバジャイロスコープの測定偏り誤差の減少を促進する。例えば、重合系材料204によりセンサファイバ202に加えられる応力、歪み、応力勾配及び(又は)歪み勾配の程度の減少は、精度の向上及び光ファイバジャイロスコープの回転感知偏り誤差の減少を促進する。空隙208の圧縮は、光ファイバジャイロスコープのシューぺ(Shupe)係数の減少を促進する。
【0041】
別の例において、重合系材料204は、例えば、電子的及び光学的センサ装置のような1つ以上の電気的構成要素を封入する。電源は、一例において、電気的構成要素に対するポッティングコンパウンドとして重合系材料204を採用する。重合系材料204の空隙208は、一例において、圧力下にて圧縮してガラス体ダイオードのような電気的構成要素の1つの構造的故障を回避する。空隙208に起因する重合系材料204の減少した体積弾性率率及び増大した可圧縮性は、電気的構成要素の封入にとって有益な点である。例えば、重合系材料204の減少した体積弾性率及び増大した可圧縮性は、重合系材料204との接触が電気的構成要素を損傷させるであろう可能性の減少を促進する。一例において、重合系材料204は光カプラーを封入する。重合系材料204の減少した体積弾性率は光カプラーを重合系材料204にて完全に覆うことを許容する。聴覚的センサは、一例において、重合系材料204を採用して光ファイバを感知構成要素から緩衝する。例えば、重合系材料204の減少した体積弾性率は、光ファイバに到達する聴覚的雑音の量の減少を促進する。
【0042】
更に別の例において、複数の空隙208を有する重合系材料204を使用して緩衝層110、112を形成する。例えば、緩衝層110、112は複数の空隙208を備えている。更なる例として、センサファイバコイル104及び緩衝層110、112の重合系材料204は実質的に同一の材料にて出来ている。このように、本明細書に記載した重合系材料204の減少した体積弾性率及び増大した可圧縮性の特徴は、複数の空隙208を備える緩衝層110、112の体積弾性率及び可圧縮性の特徴と実質的に同様である。緩衝層110、112の空隙208は、スプール102とセンサファイバコイル104との間の接触力の減少を促進する。
【0043】
本明細書に記載したステップ又は工程は単に一例である。本発明の精神から逸脱せずに、ステップ又は工程に対する多数の変更例が可能である。例えば、ステップは異なる順序にて行い、又はステップを追加し、削除し又は変更することができる。
【0044】
本発明の一例としての具体例について図示し且つ、本明細書にて詳細に説明したが、関連技術分野の当業者には、本発明の精神から逸脱せずに色々な形態変更、追加、置換及び同様のものを為すことが可能であることが明らかであろうし、これらは、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に属するものと見なされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空隙(208)を重合系材料(204)内に導入するステップであって、該空隙(208)は重合系材料内に空間を保持して重合系材料の可圧縮性を増大させ、且つ前記複数の空隙(208)は圧縮可能の中空の弾性的微小球体であり、また該中空の弾性的微小球体は気体を封入する薄い壁を有しており、該中空の弾性的微小球体の薄い壁は圧力下にて破壊されないように十分強力であるが、容易に圧縮されるよう十分に薄い状態で、前記圧縮を許容する前記空隙導入ステップと、
複数の空隙(208)を備える、重合系材料の一部を採用して、重合系材料の該一部と当接する1つ以上の応力感応性構成要素を1つ以上の応力から緩衝するステップであって、該空隙は、加えられた力に応答して応力感応性の構成要素上に重合系材料の一部により発生される反発力の減少を促進するステップと、
1つ以上の空隙の1つ以上を圧縮することを通じて重合系材料の一部の動きに対応するステップとを備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
複数の空隙を重合系材料内に導入するステップは、
複数の空隙を重合系材料の樹脂内に追加するステップと、
複数の空隙及び樹脂を硬化させ、複数の空隙を備えるポッティングコンパウンド(pottingcompound)を形成するステップとを備える、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
1つ以上の応力感応性構成要素の1つ以上をポッティングコンパウンド内に封入するステップと、
1つ以上の空隙の1つ以上を圧縮することを通じて1つ以上の応力感応性構成要素の膨張に対応するステップとを備える、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
複数の空隙を重合系材料内に導入するステップは、
複数の中空のエラストマー的極小球体を重合系材料に追加するステップを備える、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
中空のエラストマー的極小球体は、気体を封入し、且つ
中空のエラストマー的極小球体は、気体のため重合系材料内の空隙(208)内の空間を保持することを促進し、
中空のエラストマー的極小球体の圧縮変形を許容する気体の圧縮を通じて1つ以上の応力感応性構成要素の動きに対応するステップを備える、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法において、
複数の中空のエラストマー的極小球体を重合系材料に追加するステップは、
複数の中空のエラストマー的極小球体と重合系材料との間の接着を促進すべく連結剤を採用するステップと、
重合系材料内の複数の中空のエラストマー的極小球体の静置速度の低下を促進すべく連結剤を採用するステップとを備える、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
1つ以上の空隙の1つ以上を圧縮することを通じて重合系材料の一部の動きに対応するステップは、
重合系材料の一部から1つ以上の応力感応性構成要素の1つ以上への応答力の減少を促進すべく、付与された力に応答して1つ以上の空隙の1つ以上が圧縮するのを許容するステップを備える、方法。
【請求項8】
複数の空隙をポッティングコンパウンド内に導入するステップであって、該空隙(208)はポッティングコンパウンド内に空間を保持してポッティングコンパウンドの可圧縮性を増大させ、、且つ前記複数の空隙(208)は圧縮可能の中空の弾性的微小球体であり、また該中空の弾性的微小球体は気体を封入する薄い壁を有しており、該中空の弾性的微小球体の薄い壁は圧力下にて破壊されないように十分強力であるが、容易に圧縮されるよう十分に薄い状態で、前記圧縮を許容する前記空隙導入導入ステップと、
光ファイバジャイロスコープの光ファイバ感知コイルを複数の空隙の1つ以上の空隙を備えるポッティングコンパウンドの一部分にて封入するステップと、
1つ以上の空隙の1つ以上を圧縮することにより、光ファイバ感知コイルの膨張に対応することを通じて光ファイバ感知コイルの偏り誤差の減少を促進するステップとを備える、方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法において、
複数の空隙をポッティングコンパウンド内に導入するステップは、
複数の中空のエラストマー的極小球体をポッティングコンパウンドに追加するステップを備える、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法において、
1つ以上の空隙の1つ以上を圧縮することにより光ファイバ感知コイルの膨張に対応することを通じて、光ファイバ感知コイルの偏り誤差の減少を促進するステップは、
接触したとき、1つ以上の空隙の1つ以上を圧縮することにより、光ファイバ感知コイルとポッティングコンパウンドとの間の接触に起因する光ファイバ感知コイルにおける歪みの減少を促進するステップを備える、方法。
【請求項11】
方法において、
複数の空隙(208)を重合系材料内に導入するステップであって、該空隙(208)は重合系材料内に空間を保持して重合系材料の可圧縮性を増大させ、且つ前記複数の空隙(208)は圧縮可能の中空の弾性的微小球体であり、また該中空の弾性的微小球体は気体を封入する薄い壁を有しており、該中空の弾性的微小球体の薄い壁は圧力下にて破壊されないように十分強力であるが、容易に圧縮されるよう十分に薄い状態で、前記圧縮を許容する前記空隙導入ステップと、
複数の空隙の1つ以上を備える、重合系材料の一部分にて1つ以上の応力感応性構成要素を被覆するステップと、
1つ以上の空隙の1つ以上を圧縮することを通じて、1つ以上の応力感応性構成要素の膨張に対応するステップとを備える、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
複数の空隙を重合系材料内に導入するステップは、
複数の中空のエラストマー的極小球体を重合系材料に追加するステップを備える、方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−18057(P2011−18057A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181742(P2010−181742)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【分割の表示】特願2006−517306(P2006−517306)の分割
【原出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(503123152)ノースロップ・グラマン・コーポレーション (31)
【氏名又は名称原語表記】NORTHROP GRUMMAN CORPORATION
【Fターム(参考)】