説明

1以上のデフォーカス画像又は低コントラスト対雑音比画像を検出し除去するシステム及び方法

【課題】
【解決手段】生物試料から取得した画像中の劣化を検出する方法を提供する本発明は、1以上の細胞の1以上の画像を準備し、上記1以上の細胞の画像を所定期間にわたって生成し、1以上の細胞の1以上の画像が劣化しているか否かを判定することと、上記1以上の画像を複数の低周波チャネル、複数の中間周波チャネル及び複数の高周波チャネルを有する複数の部分画像に分解するため、上記1以上の画像にウェーブレット変換、フーリエ変換又は他の周波数分解変換を適用し、上記複数の低周波チャネル及び複数の中間周波チャネルのエネルギーレベルに基づいて比を計算し、1以上の画像が劣化している場合、1以上の細胞の1以上の画像を除去することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物試料から取得した1以上の異常画像を検出して除去するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲノム配列決定プログラム及び他の広範囲にわたる機能性ゲノム研究の努力が実を結んでいるにもかかわらず、一般に、多くの遺伝子、細胞及びウィルスが人体及び他の有機生物体の中で機能する詳細なメカニズムはあまりわかっていない。従って、関連する生理環境における遺伝子機能の高スループット検査及び解明を可能にするスクリーニング方法が必要である。
【0003】
高スループット自動蛍光顕微鏡検査は、細胞に関して数十万に及ぶ遺伝子産物の機能のスクリーニング及び解析を可能にする。顕微鏡検査は他の検出方法と比べて部分細胞情報を提供する能力が著しく高いので、自動撮像プラットフォームを使用して検出されかつ定量化されるスクリーン及び分析物を説明するために「高コンテンツ」という用語を採用した。高コンテンツ解析システムにおけるスループットを最大限にするために、画像収集及び画像解析の双方を自動化し、その後、最適化することが可能である。自動化画像解析に必要とされる計算ツールの2つの主要な要素は、個別の細胞の区分化及び位置追跡である。
【0004】
腫瘍学、免疫学及び発生生物学を含むいくつかの研究分野で非常に重要な2つの基本細胞行動は、能動性及び分裂である。それら2つの行動はそれぞれ独自の解析条件を有するが、解析に関していくつかの重大な問題も共有している。それらの行動の検査には時間差撮影が要求される。大規模実験に際して時間差撮影を実現する場合、特定のデータセットで表現される多様な治療条件及び行動表現型に対して最適になる分析パラメータ、撮像パラメータ及び解析パラメータを発見することに関して問題が起こる。もう1つの問題は、収集画像に低コントラスト対雑音比が頻繁に現れることである。生細胞経時実験において、生細胞内のDNA複製を抑止するDNA結合などの望ましくない有害な副作用を回避するために染料濃度を慎重に減らすことにより、コントラスト対雑音比の不足の問題が起こる場合が多い。更なる問題は、高速画像収集プロトコルの要求を受けて、自動焦点メカニズムが故障する場合があるということである。通常、モデルシステムは、一般的なサーベイランスの用途で監視されるターゲット(細胞)の数よりはるかに多くのターゲットを含む。有糸分裂などの特定の生物学的事象も扱われる必要がある。
【0005】
細胞追跡に使用されている既存の解析ルーチンは2つの主要な方式、すなわち、個別に検出し、後にデータを関連付ける方法及びモデルベース追跡に大まかに分類できる。Li et alの"Online tracking of migrating and proliferating cells imaged with phase-contrast microscopy"と題する刊行物(Proc. CVPRW. (2006) pages 65-72)では、各フレームを個別に区分化すること並びにレベルセット及び確率モーションフィルタによるモデル伝播を利用するマルチターゲット追跡システムを使用することの双方によって、上記の2つの方式は組み合わされており、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。Padfield et alの"Spatio-temporal Cell Cycle Analysis using 3D level set segmentation of unstained nuclei in line scan confocal images"と題する刊行物(IEEE ISBI, Arlington, VA(April 2006))では、時空間区分化タスクとして追跡タスクに別の方式が利用されており、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0006】
欠陥画像の排除を可能にしかつ生物材料を含むオブジェクトの区分化及び追跡を改善するために生物材料の画像中の劣化を検出するシステム及び方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6075905号明細書
【特許文献2】米国特許第7298876号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/121454号
【特許文献4】国際公開第2007/028944号
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0012420号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明は、上述の技術的背景に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、生物試料から取得した劣化画像を検出するシステム及び方法を提供することである。
【0009】
本発明の好適な一実施形態では、生物試料から取得した劣化画像を検出する方法は、1以上の細胞の1以上の画像を準備し、上記1以上の細胞の画像を所定期間にわたって生成し、上記1以上の細胞の1以上の画像が劣化を含むか否かを判定し、上記1以上の画像を複数の低周波チャネル、複数の中間周波チャネル及び複数の高周波チャネルを有する複数の部分画像に分解するため、上記1以上の画像にウェーブレット変換、フーリエ変換又は他の周波数分解変換を適用し、上記複数の低周波チャネル及び複数の中間周波チャネルのエネルギーレベルに基づいて比を計算し、1以上の画像が劣化を含んでいれば1以上の細胞の1以上の画像を除去することを含む。
【0010】
本発明の別の好適な実施形態では、生物試料から取得した画像中の劣化を検出するシステムが開示される。上記画像送信装置は、1以上の細胞の1以上の画像を画像受信装置へ送信するように構成される。画像受信装置は、1以上の細胞の1以上の画像を準備し、上記1以上の細胞の1以上の画像が劣化を含むか否かを判定し、上記1以上の画像を複数の低周波チャネル、複数の中間周波チャネル及び複数の高周波チャネルを有する複数の部分画像に分解するため、上記1以上の画像にウェーブレット変換、フーリエ変換又は他の周波数分解変換を適用し、上記複数の低周波チャネル及び複数の中間周波チャネルのエネルギーレベルに基づいて比を計算し、かつ1以上の画像が劣化していた場合は1以上の細胞の1以上の画像を除去し、又は1以上の画像が劣化を含まない場合は1以上の細胞の1以上の画像の中のオブジェクトを区分化しかつ追跡するように構成される。
【0011】
本発明のさらに別の好適な実施形態では、画像中の劣化を検出する装置が開示される。上記画像受信装置は、1以上の細胞の1以上の画像を準備し、1以上の細胞の1以上の画像が劣化しているか否かを判定し、上記1以上の画像を複数の低周波チャネル、複数の中間周波チャネル及び複数の高周波チャネルを有する複数の部分画像に分解するため、上記1以上の画像にウェーブレット変換、フーリエ変換又は他の周波数分解変換を適用し、上記複数の低周波チャネル及び複数の中間周波チャネルのエネルギーレベルに基づいて比を計算し、かつ1以上の画像が劣化していれば1以上の細胞の1以上の画像を除去するように構成される。
【0012】
本発明の別の好適な実施形態では、生物材料の画像中の劣化を検出するコンピュータ画像処理方法が開示される。本方法は、1以上の細胞の1以上の画像を準備し、1以上の画像が劣化を含むか否かを判定することと、上記1以上の画像を複数の低周波チャネル、複数の中間周波チャネル及び複数の高周波チャネルを有する複数の部分画像に分解するため、上記1以上の画像にウェーブレット変換、フーリエ変換又は他の周波数分解変換を適用し、上記複数の低周波チャネル及び複数の中間周波チャネルのエネルギーレベルに基づいて比を計算し、1以上の画像が劣化を含んでいれば1以上の細胞の1以上の画像を除去することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の上記の利点及び他の利点は、添付の図面と関連して以下の説明を読むことによりさらに明らかになるだろう。
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る生物材料における劣化を検出するシステムを示したブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る図1の画像受信装置を示した概略図である。
【図3】図3は、生物試料から取得した画像中の劣化の検出が本発明に従って図1のシステムを使用してどのように用いられるかを示したフローチャートである。
【図4】図4は、本発明に係る生物試料の正常画像、デフォーカス画像及び低コンテンツ対雑音比(CNR)画像を示した図である。
【図5】図5は、本発明に係る5つのレベルのウェーブレット分解を示した図である。
【図6a】図6(a)は、本発明に係るデフォーカス検出画像及び低CNR検出画像の統計結果を示したグラフである。
【図6b】図6(b)は、本発明に係るデフォーカス検出画像及び低CNR検出画像の統計結果を示したグラフである。
【図7】図7は、本発明に係る時空間木を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本発明の現時点で好適な実施形態を説明する。図面中、同じ構成要素は同一の図中符号により示される。以下の好適な実施形態の説明は単なる例であり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0015】
図1は、生物材料の画像中の劣化を検出するシステムを含む典型的なデジタル顕微鏡システムの基本構成要素を示したブロック図である。自動デジタル顕微鏡システム100は、光源105、伝播/ビーム整形光学系(光送出)101、ビームフォールディング光学系109、対物レンズ123を保持する対物レンズタレット102、試料115、試料位置決め段113、通信リンク117、結像光学系(チューブレンズ)108、光学検出器107及び任意に設けられるコンピュータ103を含む。
【0016】
光源105は、ランプ、1つのレーザー、複数のレーザー、1つの発光ダイオード(LED)、複数のLED又はビーム106を発生する当業者には周知である任意の種類の光源であってもよい。試料115を照明するために、伝播/ビーム整形光学系101、ビームフォールディング光学系109及び対物レンズ123によりビーム106の方向が規定される。試料115は、細胞、タンパク質、小分子、オリゴヌクレオチド、タンパク質(例えば、酵素、抗体など)、組織標本、DNA、RNA及び他の通常の生物材料などの生物材料を含む。試料115からの光信号は、対物レンズ123及び結像光学系108により集束され、光学検出器107に画像を形成する。光学検出器107は、光電子増倍管、電荷結合素子(CCDD)、相補形金属酸化物半導体(CMOS)画像検出器又は当業者には周知である任意の光学検出器であってもよい。光学検出器107は、通信リンク117によりコンピュータ103に電気的に接続されるか又は無線接続される。別の実施形態では、標本の詳細を観察できるように中間画像をさらに拡大するために、対物レンズタレット102に装着された対物レンズと協働する通常の顕微鏡接眼レンズが光学検出器107の代わりに使用されてもよい。通常のマイクロタイタープレート、顕微鏡スライド、マイクロウェルプレート、チップ、ガラス板、ペトリ皿、プラスチック、シリコン又は任意の種類の通常のホルダと呼ばれてもよい試料ホルダ121に試料115は収納される。マイクロウェルプレートは、当業者には周知である任意の高さ、幅、長さ、底面積、ウェル直径、ウェル深さを有するマイクロウェル板に96個のウェル、384個のウェル、1534個のウェル又は任意の典型的な数のウェルを有してもよい。試料ホルダ121は2以上あってもよい。
【0017】
別の実施形態では、顕微鏡システム100は通常のリンク117により従来のコンピュータ103に電気的に接続されるか又は無線接続されてもよい。通信リンク117は、ローカルアクセスネットワーク(LAN)、無線ローカルネットワーク、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ユニバーサルサービスバス(USB)、イーサネット(登録商標)リンク、光ファイバのような、自動顕微鏡システム100とコンピュータ103との間のデータの転送を容易にすることが可能な任意のネットワークであってもよい。顕微鏡は複数の対物レンズ123をさらに有してもよい。コンピュータ103は画像受信装置103又は画像検出装置103と呼ばれてもよい。本発明の別の実施形態では、画像受信装置103は画像送信装置100の中に配置されてもよい。画像受信装置103は、光学検出器107から試料115の画像を受信可能な典型的なコンピュータとして動作し、その後、画像受信装置103は、標準画像処理ソフトウェアプログラム、解析ルーチン、アルゴリズム又は式を利用することにより画像を表示、セーブ又は処理することが可能である。また、コンピュータ103は、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、移動電話、ハードドライブ系装置又は通信リンク117を介して情報を受信し、送出しかつ格納することが可能な任意の装置であってもよい。本発明において1つのコンピュータが用いられるが、コンピュータ103の代わりに複数のコンピュータを利用してもよい。
【0018】
図1において、顕微鏡システム100は、基本構成要素のみを強調して概略的に示される。ブロック図が対物レンズを使用するすべての顕微鏡を説明していることは、当業者には自明だろう。実施例は、従来の広視域顕微鏡、蛍光顕微鏡、従来の共焦点顕微鏡、線走査共焦点顕微鏡を含むが、それらに限定されない。高スループットスクリーニングなどの種々の用途に対応するために、それらの種類の顕微鏡に自動化機器を追加してもよい。しかし、それらは本発明の範囲を妨げるものではない。さらに、顕微鏡システム100は、GE Healthcare社(米国ニュージャージー州ピスカタウェイ)製のINCELL(商標) Analyzer 1000又は3000であってもよい。
【0019】
図2は、図1の劣化検出システムの画像受信装置を示した概略図である。画像受信装置又は撮像受信装置103は、従来のコンピュータと関連する通常の構成要素を含む。画像受信装置103は画像送信システム100に格納されてもよい。画像受信装置103は、プロセッサ103a、入出力(I/O)コントローラ103b、大容量記憶装置103c、メモリ103d、ビデオアダプタ103e、接続インタフェース103f及びシステム構成要素103b〜103fをプロセッサ103aに動作可能に結合するか、電気的に結合するか又は無線結合するシステムバス103gを含む。さらに、システムバス103gは、通常のコンピュータシステム構成要素とプロセッサ103aを電気的に結合するか又は無線結合するか、動作可能に結合する。プロセッサ103aは、処理装置、中央処理装置(CPU)、複数の処理装置又は並列処理装置と呼ばれてもよい。システムバス103gは従来のコンピュータと関連する通常のバスであってもよい。メモリ103dは読み取り専用メモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。ROMは、始動時にコンピュータの構成要素間の情報の転送を補助する基本ルーチンを含む通常の入出力システムを含む。
【0020】
入出力コントローラ103bはバス103gによりプロセッサ103aに接続される。入出力コントローラ103bは、オプションのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)などの自動劣化検出手段並びにキーボード及びポインティングデバイスなどの入力装置104を介してユーザがコンピュータに指令及び情報を入力することを可能にするインタフェースとして動作する。用いられる典型的なポインティングデバイスは、ジョイスティック、マウス、ゲームパッドなどである。ディスプレイ106は、ビデオアダプタ103eによりシステムバス103gに電気的に接続されるか又は無線接続される。ディスプレイ106は、通常のコンピュータモニタ、プラズマテレビ、液晶ディスプレイ(LCD)又はコンピュータ103により生成される文字及び/又は静止画像を表示可能な任意の装置であってもよい。コンピュータ103のビデオアダプタ103eに接続インタフェース103fが併設される。接続インタフェース103fは、ネットワークインタフェースと呼ばれてもよく、前述のように、通信リンク117により光学検出器107に接続される。画像受信装置103は、画像受信装置103を他のコンピュータに結合可能にするネットワークアダプタ又はモデムをさらに含んでもよい。
【0021】
メモリ103dの上位に大容量記憶装置103cがあり、大容量記憶装置103cは、1.ハードディスクに対する読み取り及び書き込みを実行するハードディスクドライブコンポーネント(図示せず)及びハードディスクドライブインタフェース(図示せず)、2.磁気ディスクドライブ(図示せず)及び磁気ディスクドライブインタフェース(図示せず)並びに3.CD‐ROM又は他の光媒体などの取り出し可能光ディスクに対する読み取り又は書き込みを実行する光ディスクドライブ(図示せず)及び光ディスクドライブインタフェース(図示せず)を含む。ここで挙げたドライブ及び関連するコンピュータ可読媒体は、コンピュータ103に対してコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール及び他のデータの不揮発性記憶装置を構成する。上述のドライブは、以下に図3のフローチャートに関して説明するように生物材料の画像に劣化又は問題が存在するか否かを判定するためのアルゴリズム、解析ルーチン、ソフトウェア又は式を有するという技術的効果をさらに含む。本出願において使用される場合の劣化、問題又は欠陥という用語は、画像がデフォーカスであるか又は画像のコントラスト対雑音比が低く、そのために区分化/追跡に障害を引き起こす可能性があることを示す。
【0022】
ソフトウェアは劣化検出グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を有する。劣化検出グラフィカルユーザインタフェースは、コンピュータのユーザがコンピュータ103と容易に対話できるように設計されたソフトウェアプログラムである通常のGUIと同一の機能性のうち一部を有する特別にプログラムされたGUIである。
【0023】
図3は、ソフトウェアアプリケーションにおいて生物試料の画像の劣化がどのようにして検出されるかを示したフローチャートである。1つの細胞の画像に関連して説明するが、以下の説明は、顕微鏡システム100により検出される1つの細胞の複数の画像又は複数の細胞の複数の画像にも同様に適用される。ユーザは生物試料(例えば、1以上の細胞)を顕微鏡システム100に挿入する。試料の画像は、接続インタフェース103f(図2)により通信リンク117を介して光学検出器107へ転送され、ブロック301において、画像は画像受信装置103により受信される。
【0024】
ブロック303において、ユーザは、ポインティングデバイス104を使用して、ある期間にわたって1以上の細胞からなる個体群の1以上の画像を生成する。通常の分析において、検出システムに応じて1つの画像の露光時間は1〜100ミリ秒の範囲であってもよいだろう。通常の生細胞経過時間検定において、定義された期間にわたって指定の間隔で一連の画像が収集される。この期間は1〜100ミリ秒から数日の範囲であってもよいだろう。収集された細胞のデータは、1つの細胞の1つの画像又は複数の画像を有する複数の細胞を含んでもよいだろう。ブロック305において、ユーザは、劣化検出グラフィカルユーザインタフェースのポインティングデバイス104を利用して、例えば、STARTを示すアイコンを指示する。これにより、生物材料又は細胞の画像が劣化しているか否かの判定を開始できる。前述のように、この劣化検出グラフィカルユーザインタフェース及びソフトウェアは、画像受信装置103のプロセッサにある。画像が劣化を示さない場合、処理はブロック307の正常区分化及び細胞追跡の手続きを実行し、次にブロック301に戻り、別の画像が順次受信される。しかし、劣化画像が存在すると判定された場合、その画像は放棄され、次の画像が処理される。
【0025】
図4は、正常画像、デフォーカス画像及び低コンテンツ対雑音(CNR)画像を示した図である。デフォーカス画像(b)及び低CNR画像(c)は、区分化ルーチン及び追跡ルーチンの障害を引き起こす可能性がある。デフォーカス画像は、顕微鏡のアルゴリズムに関して問題があることを示す。デフォーカス画像は焦点が合っていない画像である。簡単に言えば、焦点は、撮像される試料又は試料の特徴の弁別性又は鮮明度が最大である状態として定義できる。デフォーカス画像は、画像平面が関心試料と同一の平面に位置していないためにぼやけて見えるか又はピントが外れて見える画像である。低コントラスト対雑音比画像は、顕微鏡のプロトコル又はレンズに問題があることを示す。造影剤(例えば、蛍光プローブ)の濃度が低いこと、造影剤又はそのターゲットが劣化していること、焦点が適正ではないこと、試料からの背景信号が高いこと(例えば、プローブが取り入れられていない場合)、露光時間の不足、露光過度、レンズ収差、レンズの汚れ、試料支持台の汚れ(例えば、プレート底面の指紋)、真正信号を妨害する試料中のアーチファクト(例えば、塵芥)などを含めて、低CNRには多くの原因がある。基本的には、低CNRを引き起こす要因は、系全体、例えば、プローブ、試料、試料支持台、収集条件、検出システムを含む種々の要素に由来すると考えてよい。区分化及び追跡の障害を防止するために、区分化及び追跡の実行に先立って異常な画像を解析から除外できるように、図3で説明される関連アルゴリズム、ルーチン、ソフトウェア又は式は、異常な画像を解析から除外できるようにデフォーカスであるか又は低いCNRを有する画像を自動的に検出するために用いられる。また、アルゴリズムは、CNRが低くはないが、以降の処理を実行するには低すぎることを発見する。
【0026】
図3に戻ると、ブロック305において、1以上の細胞の画像にウェーブレット変換、フーリエ変換又は他の標準周波数分解変換が適用される。ウェーブレットは、低域フィルタ係数h(k)及び高域フィルタ係数g(k)=(−1)k+1h(L+1−k)から構成されるフィルタを含む1対のフィルタを使用する。尚、k=1...Lは分解のレベルを示し、Lはレベルの数である。これらの関数は、空間領域及び周波数領域の双方に局在化する単一の母ウェーブレットを平行移動しかつ膨張することにより構成される。母ウェーブレットは次のようなスケーリング関数から構成される。
【0027】
【数1】

このウェーブレット分解を2D信号に適用するために、式1のスケーリング関数を使用して逐次1Dフィルタリングから分離可能2Dフィルタを得ることができる。そのような演算の結果、以下の式に示すような1つの近似チャネル及び3つの詳細チャネルが得られる。
【0028】
【数2】

式中、iはxインデックスであり、jはyインデックスである。ψはx及びyの双方で低域フィルタリングを実行することによりオリジナルの平滑バージョンに至り、Ψ1はxで低域フィルタリングを実行しかつyで高域フィルタリングを実行することにより水平エッジに至り、Ψ2は垂直エッジに至りかつΨ3は対角エッジに至ることが式2の演算の直観的認識である。分解を逐次反復することにより、低域画像は4つのチャネルにさらに分解され、その結果、各レベルの画像は10分割されるか又は2でサブサンプリングされることになる。ウェーブレット分解の一実施例が図5に示される。この場合、各Ψの添え字は分解のレベルを表す。図5の場合、ウェーブレット分解のレベルは5つであり、ウェーブレットは複数の部分画像として示される。複数の部分画像は、第1の複数の部分画像及び第2の複数の部分画像に対して複数の低周波チャネルを有し、第3の複数の部分画像及び第4の複数の部分画像に対して複数の中間周波チャネルを有しかつ第5の複数の部分画像に対して複数の高周波チャネルを有する。本発明の別の実施形態では、6以上又は4以下のレベルのウェーブレット又は複数の部分画像を分解してもよい。各チャネルは近似チャネル(Φ)又は詳細チャネル(Ψ)のいずれかとして識別される。各詳細チャネルは、式2において定義される添え字及び分解のレベルを示す数字により示され、値が小さいほど周波数は低くなる。近似チャネルは1つしかない。
【0029】
ウェーブレット分解を使用して、各チャネルのエネルギーにより画像のテクスチャを判別できる。本出願に参考として取り入れられているPorter R.、Canagarajah C.N.の文献に記載されるように、平滑な画像はエネルギーの大半を低周波チャネルに集中するが、テクスチャを含む画像のウェーブレット分解は全チャネルに拡散されたエネルギーを示す。Porter R. Canagarajah, C.N., which is hereby incorporated by reference. Porter, R., Canagaraja, C.N.: A Robust Automatic Clustering Scheme for Image Segmentation using Wavelets. IEEE Transactions on Image processing 5(4) (1996) pages 662-665。デフォーカス画像への適用の場合、高周波雑音は依然として存在しており、従って、判別情報はわずかしか提供されない。しかし、合焦点画像と比較して中間周波数は減衰される。ブロック305においてこの情報を使用して、低周波チャネルと中間周波チャネルとのデフォーカス比Rdを次のように計算する。
【0030】
【数3】

式中、E(.)はエネルギー演算子を示し、数字は分解のレベルを示す。数字が小さいほど、周波数は低くなる。エネルギーは、そのサブバンドに対するウェーブレット係数の平均値であるとして定義される。
【0031】
【数4】

式中、IJはチャネルxにおける係数の数であり、x(i,j)は係数の値である。このデフォーカス比を使用して、合焦点画像とデフォーカス画像とを識別可能である。デフォーカス画像の場合、比は大きく、合焦点画像では比は小さい。
【0032】
有用な副次効果として、デフォーカス比は低コントラスト対雑音比画像の発見に役立つ。これは、低コントラスト対雑音比画像では中間周波エネルギーも低周波エネルギーと比較して低いからである。低コントラスト対雑音比画像も同様に発見することが望ましいのであるが、それらの画像をデフォーカス画像から分離できると、ユーザに対して、可能であれば顕微鏡に対して追加フィードバックが提供されるので有効である。ブロック305において、低コントラスト画像の輝度分布は高コントラスト画像の分布より一様であるので、それらの画像を分離するために情報エントロピーH(X)値が用いられる。
【0033】
【数5】

この場合、Xは、画像輝度の標準確率密度関数のビンに対応して可能な値(x1,...xn)をとりうる離散ランダム変数である。コントラスト対雑音比の低い画像にはランダム性があるため、デフォーカス画像であっても、低コントラスト対雑音比画像は高コントラスト対雑音比画像と比較して低いエントロピーを有する。次に、ブロック305において、計算されたエントロピーの値及びデフォーカス比は、プロセッサに格納されていてもよい所定の試験値と比較される。この比較に基づいて、画像が劣化しているか否かが示される。低コントラスト対雑音比画像がデフォーカス画像から分離された後、ブロック309において、処理はその画像を放棄又は除去し、次に処理はブロック301に戻り、次の画像が順次受信される。
【0034】
要するに、ウェーブレットエネルギースコアは正常画像をデフォーカス画像から分離するために使用される。次に、エントロピー尺度を使用して、デフォーカス画像は、真にデフォーカスである画像と、低コントラスト対雑音比の画像とに分離される。このシーケンスは図3のフローチャートに見られる。それらの試験に合格した画像は、ブロック305の区分化段階及び追跡段階でさらに処理される。
【0035】
図3で説明した細胞追跡システムの前処理モジュールとして、デフォーカス検出アルゴリズム及び低CNR検出アルゴリズムが使用された。種々の実験機器構成及び種々の細胞処理条件の下で収集されかつデフォーカス画像と低CNRの画像との混合から構成される4384の画像を1組として、上述のアルゴリズムが実行された。各画像は、デフォーカス画像であるか、低いCNRを有するか又は正常画像であるかに関して手動操作で注釈を付けられる。合わせて190のデフォーカス画像、100の低CNR画像及び4094の正常画像があった。
【0036】
図6(a)は、デフォーカス画像及び正常画像のデフォーカススコアを比較して示したボックスプロットである。アルゴリズムは2つのクラスを明確に分離する。すなわち、閾値を2にした結果、検出ミスは1回であり(0.03%の誤差)かつ偽肯定は21(5%未満の誤差)である。図6(b)は、デフォーカス画像及び低CNR画像のエントロピー尺度を比較して示したボックスプロットである。アルゴリズムは2つのクラスを有効に分離し、2.5の閾値に対して完璧な分離が実行された。
【0037】
それらのアルゴリズムを組み合わせることにより、4384の画像すべてに対してデフォーカス及び低CNRは有効に検出される。さらに、異なる顕微鏡を使用して異なる方式で収集されたデータセットに対してアルゴリズムが試験された。それらの位相‐コントラスト画像は、場合によってデフォーカスドリフトを示した。この実験において上記と同一のパラメータを使用して、アルゴリズムは300の画像のすべてを正しい合焦点/デフォーカスクラスに分離することができた。
【0038】
デフォーカス画像及び低CNR画像が除去された後、データセットに細胞区分化アルゴリズム及び細胞追跡アルゴリズムが適用された。アルゴリズムは4つのデータセット、すなわち、未処理の2つのデータセット(対照)及びRoscovitineで処理した2つのデータセットに対して適用された。識別を助けるために、相対的に低濃度の核DNA染色剤Hoechst(商標)33342によって細胞核を染色した。
【0039】
図7は、それらのアルゴリズムにより抽出された時空間木のいくつかの実例を示す。上述のアルゴリズムは区分化及び追跡に関連する。細胞は複数のクラスタをなして移動し、互いに接触しかつ有糸分裂するが、アルゴリズムはそれらのクラスタを個々のトラックに適切に分離可能である。図7の各図は、アルゴリズムがトラックのみならず、時間の経過に伴う細胞の形状をも抽出できることを示す。実施された実験のうち1つの実験の細胞ごとに、手動操作により規定された重心から自動的に分割された細胞の重心までの距離が計算された。平均距離は5.5μmであり、標準偏差は6.8μmであった。これらの実験における平均細胞直径は約35μmであった。手動操作により識別された細胞の総数は6157であり、自動的に検出されたのは5758個であったので、未区分化の細胞はわずか6%であった。
【0040】
先にブロック307に関して説明したように画像の雑音を除去しかつ細胞を区分化するために、標準細胞区分化アルゴリズムが用いられる。例えば、画像のシフト不変ウェーブレットフレーム変換並びに非突出ウェーブレット係数のフィルタリングに基づくアルゴリズムが用いられる。
【0041】
本出願に参考として取り入れられているGenevesio他及びOlivio−Marin J.による文献に記載される生物医学データに関する従来の研究によれば、A Trous(穴を有する)ウェーブレット変換は局所雑音変化に対して頑健でありかつ背景中の低周波オブジェクトを放棄することが実証されている。Genovesio, A., Liedl, T., Emiliani, V., Parak, W.J., Coppey-Moisan, M., Olivo-MainJ.: Multiple particle tracking in 3-d+t microscopy: method and application to the tracking of endocytosed quantum dots. IEEE Trans. Image Proc. 15(5) (2006) pages 1062-1070及びOlivo-Marin, J.: Automatic detection of spots in biological images by a wavelet-based selective filtering technique. In ICIP (1996)I: pages 311-314。分解は次のように表現される。
【0042】
【数6】

式中、Iiは各スケールiにおける近似画像を示しかつWiは各スケールiにおける詳細画像を示し、h(m,n)はスケーリング関数を示す。
【0043】
画像雑音が加法的雑音であると仮定すると、対応するウェーブレット変換の結果、基礎信号WIにより生成される係数及び画像雑音WNに対応する係数が得られる。信号項を近似するために、スケールi及び位置(x,y)に対してジェフリーズ無情報事前分布を使用して振幅‐スケール‐不変ベイズ推定量(ABE)によって画像スタックを閾値処理する。
【0044】
【数7】

式中、σi2は所定のスケールでの推定雑音分散である。雑音をさらに低減して複数の解像度にまたがって延在するオブジェクトを改善するために、相関スタックCs(x、y)を計算するが、これは所定のスケールに対応する雑音除去ウェーブレット係数のサブセットの乗算である。
【0045】
【数8】

次に、相関スタック中の接続された領域の抽出として区分化が得られる。図8は、低線量Hoechst染色部分の区分化の一実施例を示し、コントラスト対雑音比が非常に低い場合であっても区分化方法の精度が高いことを実証している。これは、いくつかの低CNR画像が低CNR検出アルゴリズムによって合格となった場合でも、区分化の結果は高いCNRを有する画像ほど一般に明瞭ではないが、低CNR画像を区分化モジュールにより処理可能であることを示す。次に、区分化済み時空間ボリュームは3Dでラベル付けされる。その結果、時間の経過に伴って移動する細胞に対応する区分化「チューブ」の3Dセットが得られる。
【0046】
3Dラベル付けされた「チューブ」は2種類のトラック、すなわち、1つずつの細胞に対応するトラック(シングルトラック)と、クラスタ化された複数の細胞に対応するトラック(マルチトラック)とを含む。時空間クラスタ区分化ステップの目標は、学習済みオブジェクト記述子を利用することによりマルチトラックを個別のトラックに区分化することである。細胞の外観fit(iは細胞番号であり、tは時間スライスである)を捕捉する学習済み特徴の分布pはシングルトラックから容易に習得できる。あるいは、データセット中にシングルトラックがほとんど存在しない場合、実験条件が一定に保持されていると仮定して、他のデータセットからそれらの特徴を習得可能である。
【0047】
マルチトラックが識別された後、細胞を分割するための最良の方法を判定するために時間文脈を利用することにより、細胞クラスタは分割される。1つのオブジェクトが個別の細胞に分割されるか又は1つの細胞を形成するためにオブジェクトのセットを併合するかの判定が実行される。尤度の高い細胞区分化を尤度の低いスライスへ伝播することにより、時間情報は用いられる。どの区分化オブジェクトが複数のスライスにまたがって伝播されるかを判定するために統計試験が組み込まれており、また、複数のスライスにまたがって細胞領域の相対面積が保持されるように最良の区分化を発見する曲線展開アルゴリズムが使用される。
【0048】
所定のマルチトラックに対して、アルゴリズムは、多数のオブジェクトを有するスライスからオブジェクトの数の少ないスライスへと区分化オブジェクトを伝播する。曲線展開の終了時に、隣接するフレームにおけるオブジェクトの数は基準フレームのオブジェクトの数と同一になり、1以上のオブジェクトが区分化されている。次に、各分割セグメントの特徴fitを使用し、習得された分布パラメータμ及びΣを使用して、そのセグメントが細胞様であるか否かの尤度が計算される。
【0049】
【数9】

曲線展開が実行され、尤度が与えられかつ基準フレームが隣接フレームより多くのオブジェクトを有するという事実があるため、オブジェクト全体の尤度をそのオブジェクトの各部分の平均と比較することにより、基準フレームのラベルを併合するか又は隣接フレームのラベルを分割するかを判定できる。
【0050】
【数10】

式中、Oは基準フレームからのオフセットであり、Iは併合/分割のために考慮されるラベルのセットである。Lmerge>Lsplitである場合、基準フレームでラベルが併合されるが、そうでない場合には隣接フレームでラベルが分割される。基準フレームにおける組み合わせラベルが個別のラベルより高い尤度を有する場合、Lmergeが高く、隣接フレームにおける個別のラベルが組み合わせ状況よりも高い尤度を有する場合、Lsplitが高い。一方が正であれば、他方は負であり、最終決定は双方の尺度を組み合わせる。
【0051】
有糸分裂では、1つの細胞は1つのフレームでは1つのオブジェクトであり、次のフレームでは2つになるので、この処理において有糸分裂は特殊なケースである。先行フレームにおける細胞を分割すること及び次のフレームにおいて細胞を併合することの双方により尤度が低くなる場合に領域を不変のままにすることにより、このケースは暗黙に処理される。この場合、細胞は時間の経過に伴って分割することはありうるが、併合されることはありえないので、因果関係も考慮に入れられる。
【0052】
フレームにまたがって細胞を正しく関連付けるためにクラスタ中の細胞を番号付けし直すステップは、シングルトラックから習得された分布のパラメータμd、Σdを使用して実行される。次のスライスの全細胞のj=1:Lである特徴fjt+1をi=1:Lである現在のスライスにおける各細胞の特徴fitとμd及びΣdを用いて比較する。
【0053】
【数11】

フレームにまたがった細胞からの最適割り当てを規定するハンガリアンアルゴリズムからの割り当てを使用して、スライス間で細胞ラベルが整合される。
【0054】
本発明は、画像中に異常が存在するか否かをユーザにより判定可能にするシステム及び方法を提供する。画像中に異常が存在する場合、ユーザは、どの型の劣化が画像中にあるかを判定可能である。ユーザは、画像が細胞区分化及び追跡アルゴリズムの処理を受ける前に異常画像を除去するために異常画像の有無を迅速に判定可能である。ユーザは、画像が劣化を含むか否かを迅速に判定しかつその画像を除去することにより、細胞の画像を観察するための撮像条件を容易に最適化できる。従って、本発明は、実験のための撮像条件を容易に最適化するための手段をユーザに提供する。
【0055】
以上、特定の実施形態に関して本発明を説明したが、当業者には自明なように、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の多くの変更及び変形を実施可能である。
【符号の説明】
【0056】
100 自動デジタル顕微鏡システム(画像送信装置、画像送信システム)
101 伝播/ビーム整形光学系
102 レンズタレット
103 コンピュータ(画像受信装置)
103a プロセッサ
103b 入出力コントローラ
103c 大容量記憶装置
103d メモリ
103e ビデオアダプタ
103f 接続インタフェース
103g システムバス
104 入力装置
105 光源
106 ディスプレイ
106 ビーム
107 光学検出器
108 結像光学系
109 ビームフォールディング光学系
113 試料位置決め段
115 試料
117 通信リンク
121 試料ホルダ
123 対物レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
劣化画像を検出する方法であって、
1以上の細胞の1以上の画像を準備し、
上記1以上の細胞の画像を所定期間にわたって生成し、
上記1以上の細胞の1以上の画像が劣化を含むか否かを判定し、
上記1以上の画像を複数の低周波チャネル、複数の中間周波チャネル及び複数の高周波チャネルを有する複数の部分画像に分解するため、上記1以上の画像にウェーブレット変換、フーリエ変換又は他の周波数分解変換を適用し、
上記複数の低周波チャネル及び複数の中間周波チャネルのエネルギーレベルに基づいて比を計算し、
1以上の画像が劣化を含んでいれば1以上の細胞の1以上の画像を除去する
ことを含む方法。
【請求項2】
前記複数の部分画像が、第1組の複数の部分画像、第2組の複数の部分画像、第3組の複数の部分画像、第4組の複数の部分画像などに分割される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数の部分画像が、所望の画像が得られるまで再帰的に分解される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
低周波限界が得られたときに所望の画像が取得される、請求項4記載の方法。
【請求項5】
エントロピー測定値を計算することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記エントロピー測定値が、1以上の画像中の劣化がデフォーカス型の劣化であるか否かを判定するために用いられる、請求項6記載の方法。
【請求項7】
前記エントロピー測定値が、1以上の画像中の劣化が低コントラスト対雑音比型の劣化であるか否かを判定するように構成される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
生物試料中の劣化を検出するシステムであって、当該システムが、
1以上の細胞の1以上の画像を画像受信装置へ送信するように構成された画像送信装置を備えており、該画像受信装置が、
1以上の細胞の1以上の画像を準備し、
上記1以上の細胞の1以上の画像が劣化を含むか否かを判定し、
上記1以上の画像を複数の低周波チャネル、複数の中間周波チャネル及び複数の高周波チャネルを有する複数の部分画像に分解するため、上記1以上の画像にウェーブレット変換、フーリエ変換又は他の周波数分解変換を適用し、
上記複数の低周波チャネル及び複数の中間周波チャネルのエネルギーレベルに基づいて比を計算し、かつ
1以上の画像が劣化していれば1以上の細胞の1以上の画像を除去し、1以上の画像が劣化を含まないときは1以上の細胞の画像中のオブジェクトを追跡するように構成されている、システム。
【請求項9】
画像中の劣化を検出する装置であって、当該装置が、
画像受信装置を備えており、該画像受信装置が、
1以上の細胞の1以上の画像を準備し、
上記1以上の細胞の1以上の画像が劣化しているか否かを判定し、
上記1以上の画像を複数の低周波チャネル、複数の中間周波チャネル及び複数の高周波チャネルを有する複数の部分画像に分解するため、上記1以上の画像にウェーブレット変換、フーリエ変換又は他の周波数分解変換を適用し、
上記複数の低周波チャネル及び複数の中間周波チャネルのエネルギーレベルに基づいて比を計算し、かつ
1以上の画像が劣化していれば1以上の細胞の1以上の画像を除去するように構成されている、装置。
【請求項10】
生物試料から取得した画像中の劣化を検出するためのコンピュータ画像処理方法であって、
1以上の細胞の1以上の画像を準備し、
上記1以上の画像が異常を含むか否かを判定し、
上記1以上の画像を複数の低周波チャネル、複数の中間周波チャネル及び複数の高周波チャネルを有する複数の部分画像に分解するため、上記1以上の画像にウェーブレット変換、フーリエ変換又は他の周波数分解変換を適用し、
上記複数の低周波チャネル及び複数の中間周波チャネルのエネルギーレベルに基づいて比を計算し、
1以上の画像が劣化を含んでいれば1以上の細胞の1以上の画像を除去すること
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−525009(P2011−525009A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511567(P2011−511567)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/SE2009/050623
【国際公開番号】WO2009/145723
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(598041463)ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・コーポレイション (43)
【住所又は居所原語表記】800 Centennial Avenue, P.O.Box 1327,Piscataway,New Jersey 08855−1327,United States of America
【Fターム(参考)】