説明

1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及びグルコマンナンを含む組成物、及びII型糖尿病を有する又は有さない個体の脂質疾患の治療における該組成物の使用。

【課題】1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及びグルコマンナンを含む組成物、及びII型糖尿病を有する又は有さない個体の脂質疾患の治療における該組成物の使用の提供。
【解決手段】1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及び更にグルコマンナンを含む、食品、飲料、栄養又はビタミン補助品、及び栄養補助食品中へ配合するための組成物を提供する。該組成物は様々な種類の治療用途において有用であるが、好ましい形態においては、心臓血管疾患、及びアテローム性動脈硬化、高脂質血症、異脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高血圧症、高コレステロール血症及び内臓型肥満を含むその根底にある状態を治療又は予防するために使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質疾患の分野において有用な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
科学および技術における最近の進歩は人の生活の質を改善しそして寿命を伸ばしているけれども、アテローム性動脈硬化症、即ち心臓血管疾患(“CVD”)の根底にある原因の予防は十分に対処されていない。実際、心臓血管疾患は、様々な癌を組み合わせた総ての形態を含むいかなる他の疾患よりも、毎年、より多くの死亡原因となっている。米国内だけでも、毎年、百万以上の心臓発作が起こり、結果として、50万以上の人々が死亡している。この桁外れの死傷者数は、CVDの原因及びCVDを予防及び治療することができる方法を決定するための研究の継続を余儀なくさせている。
【0003】
CVDの主要な原因はアテローム性動脈硬化症であり、動脈管壁内におけるコレステロールを含む脂質の沈着によって特徴付けられる疾患は、管経路を狭くし、そして最終的には管系の硬化をもたらす。アテローム性動脈硬化症は、遺伝された(遺伝子的な)要因および食事および生活様式のような環境的な要因の相互作用から生じる変性プロセスである。現在までの研究は、コレステロールが血管中でアテローム性動脈硬化性プラークを形成し、動脈系図における該プラークの位置に依存して、心筋またはさもなくば脳もしくは肢への血液供給を最終的に断ち切ることにより、アテローム性動脈硬化症に作用し得ることを示唆している1、2。225−250mg/dlを超える総コレステロールは、管疾患を含む、かなり高められたCVDの危険性に関係する。全体的検討は、ヒトの総血清コレステロールにおける1%の減少が冠動脈イベントの危険性における2%の減少をもたらすことを示している4。統計的に、平均血清コレステロールにおける10%の減少(例えば、6.0mmol/Lから5.3mmol/Lへ)が米国における毎年100,000人の死亡の予防を生じさせ得る5
【0004】
コレステリルエステルは、アテローム性動脈硬化症の病巣の主要成分であり、かつ動脈壁細胞内のコレステロールの主要貯蔵形態である。コレステリルエステルの形成はまた、ホメオスタシスの調節機構による食事のコレステロールの腸の吸収工程でもある。これらの調節機構は、食事のコレステロール、コレステロールの生合成及びコレステロール含有血漿リポタンパク質の異化の相互に関連する調節を含む。コレステロールの生合成及び異化は主に肝臓内で起こるため、血漿コレステロール量の第一の決定要因である。
【0005】
リポタンパク質は、非共有結合によって一緒に結合している脂質とタンパク質の複合体である。各種類のリポタンパク質類は、特有の質量、化学組成、密度及び生理学的役割を有する。密度又は粒子サイズに関係なく、循環している脂質は、コレステリルエステル及びトリグリセリドの核、及びリン脂質、遊離コレステロール及びアポリポタンパク質のエンベロープ(囲い)からなる。アポリポタンパク質は、リポタンパク質の集合及び分泌に関与し、構造的な整合性を与え、リポタンパク質変性酵素を活性化し、かつレセプター及び膜タンパク質の大きな分類のための配位子である。血漿中に見られるリポタンパク質類は、HDL、LDL、中間密度リポタンパク質(IDL)及び極低密度リポタンパク質(VLDL)を含む。
【0006】
各種類のリポタンパク質は、特有のアポリポタンパク質組成又は比を有する。HDL中
で最も顕著なリポタンパク質は、アポリポタンパク質A−I(apoA−I)であり、それは、タンパク質の質量の約70%を占め、apoA−IIが更に20%を占める。apoA−IとapoA−IIの比は、HDL機能及び抗アテローム発生特性を決定し得る。循環しているHDL粒子は、質量200ないし400キロダルトン、直径7ないし10nmの円板状及び球状の粒子の異質混合物からなる。
【0007】
HDLは、血漿中の脂質の輸送において機能するリポタンパク質の主な類の1つであり、コレステロールの逆輸送、胆汁酸合成のためのコレステロール分子基質の供給、クラスタリン(clusterin)の輸送、パラオキサネーゼ(paraoxanase)の輸送、リポタンパク質の酸化の防止及び副腎細胞によるコレステロールの選択的摂取を含む、身体内の様々な機能を有する。HDLに関連する主な脂質は、コレステロール、コレステリルエステル、トリグリセリド、リン脂質及び脂肪酸を含む。HDLは抗アテローム発生性である。
【0008】
アテローム性動脈硬化症のプロセスは、LDLが血管壁に取り込まれることから始まる。このLDLの酸化は、単核細胞が血管壁の内側をおおう内皮細胞へ結合することを生じさせる。これらの単核細胞は活性化され、そして内皮空間へ移動し、そこでそれらはマクロファージへ変形され、LDLの更なる酸化を導く。酸化されたLDLは、マクロファージ上のスカベンジャーレセプターを介して補足され、泡沫細胞の形成を導く。線維性被膜が動脈平滑筋細胞の増殖及び移動を通して発生させられ、これによって、アテローム性動脈硬化性プラークが形成される。
【0009】
HDLは、肝外組織から肝臓へコレステロールを輸送するための本質的要素であり、そして、肝臓において、遊離コレステロールとして、又はコレステロールから形成される胆汁酸として胆汁中に排出される。そのプロセスはいくつかの段階を必要とする。まず、肝臓及び腸内で原始型の又はプレ−βHDL粒子の形成がなされる。過剰のコレステロールは、ABCA輸送体の作用によって細胞膜を横切って、原始型HDL中に移動する。レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は、コレステロールをコレステリルエステルへ変換し、そしてその後、原始型HDLを成熟型HDLへ変換する。エステル化されたコレステロールは、その後、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)によって、HDLからアポリポタンパク質Bを含むリポタンパク質へ転送され、そして該リポタンパク質は、肝臓中で多数のレセプターによって捕捉される。原始型HDLは、肝トリグリセリドリパーゼ及びリン脂質転送タンパク質によって再生され、上記のサイクルが継続される。末梢細胞から除去されたコレステロールに加え、HDLは、LDL及び赤血球膜からコレステロールを受け取る。逆コレステロール輸送のもう一つの機構は、コレステロールが少ない膜とHDL又は他の受容体分子の間のコレステロールの受動的拡散を含み得る。
【0010】
HDLは、逆コレステロール輸送におけるその役割を通して及びおそらくLDLの酸化を妨げることの双方によってアテローム性動脈硬化症の進展を防止する。いくつかのHDL関連酵素が、このプロセスに関与している。パロキソナーゼ(paroxonase)(PON1)、LCAT、血小板活性因子アセチルヒドロラーゼ(PAFAH)の全てが、LDLの酸化の間に発生するリン脂質ヒドロペルオキシドを加水分解することによって関与し、かつLDL中の酸化脂質の蓄積を防止するために協同して作用する。これらの酵素がHDLの抗酸化性及び抗炎症性の要因である。研究は、HDLコレステロールの低い血漿濃度がアテローム性動脈硬化症の発生における重要な危険因子であること、及びHDLコレステロールの高い血漿濃度がアテローム性動脈硬化症を防ぐことを示している。
【0011】
肝臓は、VLDL類の合成及び分泌に関与する主要な臓器であり、そしてVLDL類は、上記したように、循環中にLDLへ代謝される。LDL類は、血漿中においてリポタン
パク質を運ぶ主要なコレステロールであるため、それらの濃度の増加はアテローム性動脈硬化症に直接関係する。簡潔に言えば、腸のコレステロール吸収が減少しさえすれば、より少ないコレステロールしか肝臓へ配送されない。結果として、VLDL生産は減少し、大部分がLDLの形態の、血漿コレステロールの肝クリアランスが増加する。
【0012】
従って、コレステロールは、それ自身の合成を調節するため、3つの異なるレベルで作用する。第1に、それは、HMG CoA還元酵素を抑制することによって、内因性のコレステロール合成を抑える。第2に、それは、LCATを活性化する。第3に、それは、すでに十分な量のコレステロールを有する細胞が更にコレステロールを吸収しないことを確実にするLDL−レセプターの合成を調節する。
【0013】
ステロールは多くの重要な細胞機能を演じる天然由来の化合物である。植物におけるカムペステロール、スチグマステロール及びベータ−シトステロールのようなフィトステロール、カビにおけるエルゴステロール並びに動物におけるコレステロールはそれぞれ、それらの各細胞のタイプにおいて、細胞膜及びオルガネラ膜の主成分である。ヒトにおける食事由来のフィトステロールは、例えば、野菜及び植物油のような植物材料によってもたらされる。慣習的な西洋の食事における、おおよその一日のフィトステロールの含有量は、一日当たり約500ミリグラムを供給する菜食主義者の食事とは対照的に60−80ミリグラム前後である。
【0014】
フィトステロールは、ヒトを含む多くの哺乳類の種に食べさせたとき、血清コレステロールレベルを減少させる能力のため、多大の注目を受けている。正確な作用機構は殆ど不明のままであるが、コレステロールとフィトステロールの関係は、明らかにある程度、それぞれの化学構造の類似性のせいである(分子の側鎖に起因する差異)。コレステロールの吸収過程において、フィトステロールはミセル相からのコレステロールに置き換わり、それによりその吸収を減少させるか又はもしかしたら受容体及び/又はキャリア位置において競合することが推測される。
【0015】
40年以上前、イーライリリー(Eli Lilly)は、トール油及びCytellin(登録商標)というその後、大豆油からのステロール配合物を上市したが、それは一つの報告において血清コレステロールを約9%低下させることが観察された6。数々のその後の研究者らは、血漿脂質及びリポタンパク質濃度におけるシトステロール配合物の効果7及び血清コレステロールにおける大豆及びトール油供給源からのシトステロール及びカムペステロールの効果8を探求してきた。血清コレステロールの低下において高い効果が見出されてきたフィトステロールの組成物は、カトネイら(Kutney et al.)により特許文献1に開示されたが、それは70質量%より少ないベータ−シトステロール、少なくとも10質量%のカムペステロール及びシグマスタノール(ベータ−シトスタノール)を含有する。フィトステロールの成分間である種の相乗効果が存在し、以前に達成されたものよりも更に優れたコレステロール低下結果を与えることが、この特許において注目されている。
【0016】
多くの他のフィトステロールに基づく化合物及び組成物が、血清LDLコレステロールを低下させるため、血清HDLコレステロールを増加させるため及びCVDにおける他の重要な危険因子を予防するために、この10年間に渡り開発されてきた。
【0017】
糖尿病は、一般的に、インシュリン不足又はインシュリン抵抗性又はその両方を含む様々な病因を有する炭水化物代謝の異質性の主要疾患である。I型、又は若年発症糖尿病、又はインシュリン依存性糖尿病は、内因性のインシュリン分泌能力が少ない又はない患者に存在する。これらの患者は、極度の高血糖症(血流中にグルコース蓄積)を発生させ、応急の延命のために、外因性のインシュリン治療に完全に依存する。II型はまた、成人
発症糖尿病又はインシュリン非依存性糖尿病(‘‘NIDDM’’)と呼ばれ、ある程度の内因性のインシュリン分泌能力を保持する患者において発生するが、それらの非常に大多数は、インシュリン不足及びインシュリン抵抗性の双方である。インシュリン抵抗性は、不十分なインシュリンレセプター発現、減少したインシュリン結合親和力、又はインシュリン信号経路に沿ったあらゆる段階におけるあらゆる異常のために発生し得る。
【0018】
糖尿病は、世界における主な死亡及び病的状態の原因の1つである。米国内だけでも、米国人口の約5%、そして60歳以上の米国人口の約10%が該疾患に冒されている。米国内には、診断された又は診断されていない糖尿病患者が約12万人存在すると見られている。この数は毎年増加し、過去10年間においてのみで、米国では、肥満の増加及び不適当な生活様式に関連して、糖尿病は劇的な33%の増加を示した。はるかに高い最大パーセント(90%)の糖尿病患者が様々なII型種を有することは注目に値する。
【0019】
また、中国においては、30万以上の人々が糖尿病に冒されており、多数の糖尿病患者が年に5%増加している。約5%のみがI型糖尿病患者であり、残りは様々なII型種を有する。
【0020】
食品からの炭水化物は、腸においてグルコース及び他の単純な糖に分解される。
【0021】
これらの糖は、血流中に吸収され、全ての体の細胞に運ばれる(他の栄養分と一緒に)。しかし、血液からグルコースを吸収するため、細胞はインシュリン(膵臓で作られるホルモン)を必要とする。膵臓、胃の後に位置する大きな腺は、様々な機能を有する。それは、消化酵素(腸中の食品を分解するのを助けるタンパク質)を生産する。それはまた、‘‘ランゲルハンス島’’と呼ばれる分化された細胞群を含む。これらの島細胞は、いくつかの種類があり、各々が異なるホルモンを生産する。血液グルコース量を調節する2つの主要なホルモン(インシュリン及びグルコガン)がある。双方はランゲルハンス島内で生産される(α細胞によりグルコガン、β細胞によりインシュリン)。
【0022】
食事後、グルコースが血流中につぎ込まれるにつれ、血液グルコース量は増加し、β細胞にインシュリンを分泌する信号を送る。インシュリン(グルコースと一緒に)は、血流によって体中の細胞に運ばれる。様々な体組織(特に、筋肉、肝臓及び脂肪)は、それらの細胞表面上にインシュリンレセプターと呼ばれる分化された分子を有する。インシュリンは、これらのレセプターに、錠における鍵のように結合する(グルコースを細胞に入れるチャンネルを開く)。
【0023】
一旦、グルコースが細胞内部に入れば、それは、エネルギー及び成長のために使用され得る。過剰なグルコースは、グリコーゲンと呼ばれる複合炭水化物の形態で肝臓中に貯蔵される。同時に、血液グルコース量が減少するにつれ、インシュリン分泌は減速する。血液グルコース量が低下し始める時、それはα細胞にペプチドホルモンであるグルカゴンを分泌する信号を送る。次ぎに、グルカゴンは肝臓にグリコーゲンをグルコースに転化する信号を送る(糖原分解と呼ばれるプロセス)。これは、体の細胞が、食事間に、グルコースの安定供給を有することを確実にするために、血液グルコース量があまりにも低く減少することを予防する。グルカゴンはまた、肝臓を刺激し、糖新生と呼ばれるプロセスによってアミノ酸(タンパク質構成ブロック)等の他の栄養分から新しいグルコースを作り、それによって、次の食事までグルコースの予備源を確保する。
【0024】
グルコース、インシュリン及びグルカゴンの相互作用は、通常、血液グルコース量が特定の範囲内にとどまることを確実にする。しかしながら、糖尿病の個体は、この繊細なバランスがくずれている。
【0025】
現在のところ、インシュリンはI型及び多くのII型糖尿病を有する全ての患者において、主要な治療方法である。
【0026】
II型糖尿病は、通常、成人期(典型的には、40歳以降)において始まるが、若い人々においても発症し得る。一般的に、この状態の人々において、膵臓はインシュリンを生産するが、体の細胞はそれに効果的に応ずることができない。これは、インシュリン抵抗性と呼ばれる。インシュリン抵抗性を克服するために十分なインシュリンがある間は、ヒトは糖尿病にならずにインシュリン抵抗性を有し得る。しかし、もしもインシュリン抵抗性が増加するのが続き、及び/又はインシュリン生産が補うために必要な量以下に低下するならば、糖尿病が発生し得る。
【0027】
最も多くのII型糖尿病は、膵臓インシュリン分泌を高める及び/又はインシュリン抵抗性を低くする経口薬物によって治療され得る。しかし、血液グルコース量が高い場合、時間とともに、膵臓β細胞はだんだん反応性が減少し、それによって少ししかインシュリンを分泌しなくなり得る。結局、ヒトは、血液グルコース量を調節するのを助けるインシュリン注射を必要とし得る。
【0028】
異常なグルコース耐性及びインシュリン抵抗性は、様々な心臓血管危険因子、特にHDLの減少、血漿トリグリセリドの増加及び高血圧症に関連する9。集中発生した場合、これらの異常はCVD病的状態及び死亡の危険を増加させ、そしてそのことは、他の危険因子と独立した作用である10。高血糖症及び糖尿病の双方は、CVD死亡において、重要な独立した危険因子である11。糖尿病を有する人々がCVDで死亡する危険性は、普通の米国人がCVDで死亡する危険性のほぼ2倍である12ため、高いグルコース量及び重要なCVD危険因子の調節は、予防のための最も効果的な手段である13
従って、血漿コレステロールを含むCVD危険因子を調節することは、糖尿病の個体、及び、同様に、非糖尿病の個体の双方に重大である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の概要
本発明は、1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及び更にグルコマンナンを含む、食品、飲料、栄養又はビタミン補助品、及び栄養補助食品(nutraceutical)中へ配合するための組成物を提供する。
【0030】
本発明は、更に、動物における心臓血管疾患、及びアテローム性動脈硬化症、高脂質血症、異脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高血圧症、高コレステロール血症及び内臓型肥満を含むその根底にある状態を治療又は予防するための方法であって、1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及びグルコマンナンを含む組成物の非毒性かつ治療有効量を投与することからなる方法を提供する。
【0031】
本発明の組成物が、CVD及びその根底にある状態の治療又は予防の双方のために、特に、以下の1つ以上:血清LDLコレステロールの低下、血清HDLコレステロールの増加及び血清トリグリセリドの増加の優れた活性を示すことを見出した。これらの全てに関して、少なくとも相加的な予防及び/又は治療効果があり得る。同じく重要に、この組成物の成分が組合される場合、より少ない投与量の各々の選択された成分が、これらの所望な効果を達成するために必要とされ得ると考えられる。これは、大量のグルコマンナン投与において報告された副作用のために重要である。これらの効果及び他の重要な利点は以下で明かにし得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図面の簡単な説明
【図1】図1は、総コレステロール量の週単位の変化を示すグラフであり、
【図2】図2は、低密度リポタンパク質コレステロール量の週単位の変化を示すグラフであり、そして、
【図3】図3は、2時間の50mgグルコース耐性試験間の血液グルコースの変化を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の好ましい態様
下記の詳細な説明は、本発明を実施するにあたり当業者を助けるために提供されている。しかしながら、この詳細な説明は、本発明の範囲を不当に限定するものと解釈されるべきではない。本明細書中で論じられている実施態様の改良及び変形は、本発明の精神及び範囲を離れることなく当業者により行われ得る。
【0034】
ここで使用される‘‘動物’’は、このましくはヒトを含む動物界のいかなるものも意味する。
【0035】
ここで使用される‘‘食品’’は、ヒト用を含む、動物用のあらゆる安全で消化可能な物品を意味し、‘‘機能食品’’、‘‘設計食品’’及び‘‘医療用食品’’を含む。
【0036】
ここで使用される‘‘機能食品’’は、普通の食事の一部として消費される慣用の食品と外見は同様であるが、生理的な利得が証明され及び/又は基本栄養の機能よりもすぐれて疾患の危険性を減少させる物品を意味する。
【0037】
ここで使用される‘‘栄養補助食品’’は、丸剤、粉末、頓服水剤の形態、及び一般的に、食品を連想させないが、生理的な利得を有する又は疾患に対する保護を提供する他の医薬形態で製造された非医療用物品を意味する。
【0038】
世界中どこでも、栄養補助食品、機能食品、設計食品及び医療用食品は、疾患の予防及び治療を含む、医療又は健康利得を提供すると考えられる食品又は食品有効成分の同義語である。
【0039】
本発明に従って、1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及びグルコマンナンを含む、食品、飲料、栄養又はビタミン補助品、及び栄養補助食品中へ配合するための組成物が提供される。
【0040】
組成物の成分を、以下により詳細に記載する。
フィトステロール/フィトスタノール
ここで使用される用語“フィトステロール”は限定することなく全てのステロール、例えば、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール(ジヒドロブラシカステロールを含む)、デスモステロール、カリノステロール(chalinosterol)、ポリフェラステロール(poriferasterol)、クリオナステロール(clionasterol)、エルゴステロール、コプロステロール、コジステロール(codisterol)、イソフコステロール(isofucosterol)、フコステロール(fucosterol)、クレロステロール(clerosterol)、ナービステロール(nervisterol)、ラトステロール(lathosterol)、ステラステロール(stellasterol)、スピナステロール、コンドリラステロール(chondrillasterol)、ぺポステロール(peposterol)、アヴェナステロール(avenasterol)、イソアヴェナステロール(isoavenasterol)、フェコステロール(fecostero
l)、ポリナスタステロール、及び異性体を含むそれらの全ての天然又は合成形態及び誘導体を含む。用語“フィトスタノール”は、全ての天然又は合成形態及びそれらの誘導体及び異性体を含む、飽和した又は水素化フィトステロールを言及する。フィトステロール及びフィトスタノールの修飾、例えば側鎖を含む修飾もまた本発明の範囲内に収まると理解される。例えば、本発明の範囲は、明らかに24β−エチルシトスタノール、24−α−エチル−22−デヒドロシトスタノールを含む。明細書を通して不確かで、他に特定されない場合、用語“フィトステロール”はステロール及びスタノールの両方を包含することもまた理解される。最も好ましい形態において、ステロールはその飽和形態にあり、シトスタノール、好ましくはβ−シトスタノールである。
【0041】
本発明に従った使用のために、これらのステロール及びスタノールは、種々の天然の供給源から入手されうる。例えば、それらはコーン油及び他の野菜油の様な植物油(水性植物を含む)、小麦の胚芽油、大豆抽出物、米抽出物、米ぬか、菜種油、ひまわり油、ゴマ油及び魚(及び他の海洋供給源)油の加工から得られうる。それらはまた、菌類、例えばエルゴステロールから誘導され得る。従って、本発明は如何なるステロールの供給源にも限定されない。米国特許第4420427号明細書は、メタノールのような溶媒を用いる野菜油スラッジからのステロールの調製を教示する。もう一つの方法として、フィトステロール及びフィトスタノールは、トール油のピッチ又は石鹸から得られうるが、それは、本願に参照として組み込む米国特許第5770749号明細書に記載されているように、林業の副産物である。
【0042】
ここで使用されるフィトステロール及びフィトスタノールは、遊離又はエステル化形態であり得り、言換えれば、任意に、フィトステロール又はフィトスタノールは、ここに記載される組成物の形成前にエステル化され得る。このエステル化工程は、フィトステロール及び/又はフィトスタノールを脂肪及び油により溶けやすくし、そしてこれは、いかなる場合においても、様々な配送系への組成物の取込みを容易にし得る。
【0043】
フィトステロール及び/又はフィトスタノールエステルを形成するために、多くの方法が従来技術で知られている。例えば、1種以上の適当な脂肪族酸又はそれらのエステルと低沸点アルコールが選択されたフィトステロール及び/又はフィトスタノールと縮合され得る。様々な種類の脂肪族酸又はそれらのエステルは、首尾よく使用され得り、1つ以上の末端カルボキシル基を有する1つ以上のアルキル鎖からなる全ての脂肪族酸を含む。これらの脂肪族酸は、天然又は合成物であり得り、以下の化学式によって表わされる:
a)R1−COOH(モノカルボン酸):
式中、R1は、CH3−、CH3CH2−又はCH3(CH2nCH2−(式中、n=3−25。)で表わされる、枝分かれしていない飽和アルキル基を表わすか;又は、
R1は、Cn2n+1(式中、n=1−25は、基R1中に含まれる炭素原子の数を表わす。)で表わされる、枝分かれした飽和アルキル基を表わすか(枝分かれは、典型的には、1つ以上のメチル基側鎖(枝分かれ)を表わすが、それに限定されない);又は、
R1は、式Cn2n-2m+1(式中、n=1−25は、R1中の炭素原子の数を表わし、m=不飽和度。)で表わされる、枝分かれしていない又は枝分かれした不飽和アルキル基を表わす。;又は、
b)HOOC−R2−COOHで表わされるジカルボン酸:
式中、R2は、−CH2−、又は−CH2CH2−、又はCH2(CH2nCH2−(式中、n=3−25。)で表わされる、枝分かれしていない飽和アルキル基を表わすか;又は、
R2は、−Cn2n−(式中、n=1−25は、基R2中に含まれる炭素原子の数を表わす。)で表わされる、枝分かれした飽和アルキル基を表わすか(枝分かれは、典型的には、1つ以上のメチル基側鎖(枝分かれ)を表わすが、それに限定されない);又は、
R2は、式Cn2n-2m(式中、n=1−25は、R2中の炭素原子の数を表わし、m=
不飽和度。)で表わされる、枝分かれしていない又は枝分かれした不飽和アルキル基を表わす。;又は、
c)式
【化1】

で表わされるトリカルボン酸:
式中、R3は、−Cn2n-1−(式中、n=1−25は、基R3中に含まれる炭素原子の数を表わす。)で表わされる、枝分かれした飽和アルキル基を表わすか(枝分かれは、典型的には、1つ以上のメチル基側鎖(枝分かれ)を表わすが、それに限定されない);又は、
R3は、式Cn2n-2m-1−(式中、n=1−25は、R3中の炭素原子の数を表わし、m=不飽和度。)で表わされる、枝分かれした不飽和アルキル基を表わす。;又は、
d)分子中に1つ、2つ又は3つのヒドロキシル基を含み得る、上記で定義したようなモノ−、ジ−又はトリ−カルボン酸。
【0044】
好ましい形態において、酸は、直鎖の又は枝分かれした、不飽和又は飽和、脂肪族又は芳香族酸である。より好ましくは、酸は、とりわけ、以下の列挙から選択される:吉草酸、イソ吉草酸、ソルビン酸、イソカプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、アスコルビン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、ペンタデカン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、パルミトレイン酸及びオレイン酸。本発明の範囲内において最も好ましい脂肪酸は、ベニバナ油、ひまわり油、オリーブ油及びコーン油(リノール油)、ベニバナ油、ひまわり油、オリーブ油及びジョジョバ油(リノレン酸及びアラキドン酸)、及び菜種油(エルカ酸)等の天然供給源から得られ得るリノール酸、リノレン酸及びアラキドン酸である。
【0045】
他の芳香族酸は、明かに、本発明の範囲内であると予期される。
【0046】
本発明に従って、脂肪酸を使用して、エステル化フィトステロール又はフィトスタノール、即ち、飽和脂肪を形成することの利点は、飽和脂肪がリポタンパク質リパーゼ活性を増加させるという事実にある。この後者の酵素の活性は、内臓脂肪の形成を減少させる。
【0047】
本発明に従って、フィトステロールエステルを形成するために、選択されたフィトステロール及び酸又はその揮発性アルコールとのエステルを、フィトステロールと酸が縮合し得る反応条件下で一緒に混合し、エステルを製造し得る。食用脂肪及び油産業で広く使用されるこれらのエステルの最も好ましい製造方法は、米国特許第5502045号明細書に記載されている(参照として本願に組み込む。)。遊離フィトステロール、脂肪酸エステル又はそれらの混合物及びナトリウムエチラートのような分子間エステル化触媒以外の物質が使用されない場合、該技術は、最終的にヒトが消費する物品を製造するために非常に適当である。一般的に、本発明の範囲内で使用するのに適応したこの好ましい方法は、90−120℃の温度において、フィトステロールと野菜油脂肪酸エステル(好ましくは、メチルエステル)を加熱し、その後、ナトリウムエチラートのような適当な触媒を添加することからなる。触媒は、その後、従来既知の技術のいずれか1つ、例えば、水の添加及び/又は濾過/遠心分離によって除去/破壊される。
【0048】
本発明に従って使用され得る他の方法は、米国特許第4588717号明細書に記載され、そしてそれも参照として本願に組み込む。好ましい方法は、フィトステロールと脂肪
酸を一緒に混合し、該混合物を、約1ないし3時間で、ほぼ大気圧下において、約15℃ないし約45℃の温度にすることである。
【0049】
従って、最も広い可能な定義は、遊離フィトステロール及びフィトスタノール、脂肪族又は芳香族酸でエステル化されたフィトステロール及びフィトスタノール(それによって形成される脂肪族又は芳香族エステル)、フェノール酸エステル、ケイ皮酸エステル、フェルラ酸エステル、フィトステロール及びフィトスタノールグリコシド、及びアシル化グリコシド又はアシルグリコシドを含むが、それに限定されない、ここで使用される用語‘‘フィトステロール及びフィトスタノール’’に合致すると理解される。
【0050】
他の好ましい態様において、ステロール及び/又はスタノールは、グルコマンナンと組み合わされる前又は組み合わされた後に、ミセル中に組み込まれる。このミセルは、レシチン又はあらゆる他の適当な乳化剤を使用して、及び従来から既知でかつ広く使用される技術を使用して製造され得る。
【0051】
グルコマンナン
グルコマンナン(グルコマンナ、コンニャク、コンニャク繊維、コンニャクグルコマンナ、コンニャク繊維グルコマンナン、コンニャクグルコマンナン及びマンナとしても言及され得る。)は、主に、多年性のコンニャク植物のコンニャク根から誘導される水溶性の食事繊維である(Amorphophallus konjak C Koch)。コンニャク根は、アジア独特の多年生植物であり、日本で多量に栽培されている。新鮮なコンニャク塊茎は、約70%がグルコマンナン(残りの30%は澱粉である。)の乾燥物質を平均13%含む。例えば、アロエ植物、酵母及びコロハ等がグルコマンナンの他の供給源であるが、これらの供給源が使用され得るとはいえ、好ましい供給源はコンニャク塊茎である。
【0052】
コンニャクの塊茎から作られる‘‘コンニャク’’は、数百年間、伝統的に日本の医薬及び食事に使用されており、そしてその主な成分はグルコマンナンである。食用コンニャクは、塊茎から誘導されるコンニャク粉から作られる。
【0053】
グルコマンナンは、1,4結合において結合したβ−Dグルコース及びβ−Dマンノースの繰返し単位からなる高分子量の多糖類である(200,000−2,000,000ダルトン)。
それは、最も高い分子量を有し、あらゆる他の食事繊維のなかでも最も強い粘性を有するものの1つである14。他の食事繊維と同様に、グルコマンナンは、‘‘塊形成’’緩下剤と考えられ、便秘症の治療のために使用されている15。それは、糖尿病患者の血清グルコース量の低下させること16及び妊娠関連糖尿病を補助すること17が示されている。補助品として摂取したグルコマンナンは、脂質及び血圧18及び糖血19を低下させる効果を有することが示されている。
【0054】
コンニャクの塊茎は、慣用的に、たたかれ、粉末にされ、ヌードル又はゼラチンにされ、シチュー、ソース及びスープに入れられる。多くの、最新の技術としては、コンニャク粉からグルコマンナンを分離する技術が知られている。その1つにおいては、コンニャク粉を、水中で沸騰させ、フェ−リング溶液で処理し、グルコマンナンをその銅錯体に転化し、そして該銅錯体を再度分解し、精製後、グルコマンナンとする。この方法は、J.Agri.Chem Soc.Japan,6,991−995(1930)により詳細に開示されている。他の技術においては、コンニャク粉を水で抽出し、エタノールで沈殿させることにより不純物を除去し、沈殿物を水に数回、再溶解させ、得られた沈殿物を乾燥させ、純粋なグルコマンナンを得る。この技術は、Bull.Chem.Soc.Japan 49,298−322(1927)に記載されている。様々な多数の他の従来技術
があり、本発明の組成物の製造は、いかなる1つの特定のグルコマンナンの抽出及び精製方法にも限定されない。
【0055】
使用方法
本発明は、動物における心臓血管疾患、及びアテローム性動脈硬化症、高脂質血症、異脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高血圧症、高コレステロール血症及び内臓型肥満を含むその根底にある状態を治療又は予防するための方法であって、1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及びグルコマンナンを含む組成物の非毒性かつ治療有効量を投与することからなる方法を提供する。
【0056】
本発明は更に、動物において、以下の予防及び治療目的:血清LDLコレステロールの低下、血清HDLコレステロールの増加、血清トリグリセリドの減少、体重増の減少及び体重減の増加、及び、II型糖尿病の原因となり得り、かつ関連した合併症及び状態の治療の少なくとも1つを達成するための方法であって、該動物に1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及びグルコマンナンを含む組成物の非毒性かつ治療有効量を投与することからなる方法を提供する。
【0057】
本発明は、更に、これらの病症に関する開示された化合物の、特に食品、飲料、栄養補助食品、栄養補助品及びビタミン補助品の形態だが、それに限定されないいずれかの使用からなる。
【0058】
特に、本発明の化合物は、心臓血管疾患の多因性発症の一因となる少なくとも2つの重要な因子、高いLDL量及び高い総コレステロール量に対処するのに特に有用であることが発見された。
【0059】
本願に記載された所望の効果は、多数の様々な方法において達成され得る。上記したように、本発明の組成物は、栄養補助食品、機能食品を含む食品、飲料等との併用において利用可能なあらゆる慣用の方法によって投与され得る。
【0060】
用語‘‘治療有効’’は、以下の予防及び/又は治療目的:
a)血清LDLコレステロールの低下
b)血清HDLコレステロールの増加
c)血清トリグリセリド量の減少
d)一般的に、CVDに関連した状態の治療
e)アテローム性動脈硬化症の治療
f)高コレステロール血症の治療
g)高脂質血症の治療
h)高血圧症の治療
i)コレステロール合成の減少
j)体重増の減少
k)体重減の増加
l)異脂質血症状態又は疾患の予防、減少、治療又は改善
m)高コレステロール血症、低アルファリポタンパク質血症の予防、減少、治療又は改善n)アテローム性動脈硬化症障害の発達の予防、減少、治療又は改善
o)その根底にある又は血漿HDLの不足、又は過剰なLDL、VLDL、Lp(a)、β−VLDL、IDL又は残余リポタンパク質によって悪化させられるあらゆる状態、症状又は疾患の予防、減少、治療又は改善
p)糖尿病及び糖尿病に関連した状態の治療
q)グルコース耐性の改善
r)血清グルコース量の調節、及び
s)細胞のインシュリン感受性の強化
の1つ以上を達成するために、動物、特にヒトに摂取又は投与される組成物の量を限定することを意図する。
【0061】
70kgのヒトに基づき、1日の投与のために、1つ以上の形態で、少なくとも0.8gのフィトステロール/フィトスタノール及び13gまでのグルコマンナンが組成物中に含有され得ることが好ましい。より好ましくは、70kgのヒトに基づき、1日の投与のために、1つ以上の形態で、1.0gないし3gのフィトステロール/フィトスタノール及び約2ないし10gのグルコマンナンが組成物中に含有され得ることが好ましい。
【0062】
作用機構
本願に記載された組成物の様々な治療効果については、いかなる1つの理論によっても限定されることを意図しないが、本願に記載された、独特なステロール/グルコマンナンの組み合わせの有益な効果は、各々の成分が作用するらしい相補的かつ異なる機構に基づくと思われる。
【0063】
GI路中の非−又は半−消化性炭水化物の存在は、血流中への消化性炭水化物からのグルコースの放出及び摂取速度に有益な作用を有することが文献に示唆されている。食事炭水化物の放出速度が鈍くなることは、膵臓からのインシュリン放出速度を抑制し、かつ血液グルコースホメオスタシスの全プロセスを助けると考えられている。血液におけるインシュリンの上昇速度の抑制もまた、インシュリンが体におけるコレステロールの生産を強化することが証明されていることから、体全体におけるコレステロール生合成の活性を抑制すると考えられている。他の食事繊維を用いるように、グルコマンナンによる腸のコレステロール吸収の更なる抑制があり得る。
【0064】
対照的に、フィトステロールは、ミセル相からのコレステロールに置き換わり、それによって、その吸収を減少させるか、又はコレステロール吸収プロセスにおいてレセプター及び/又はキャリヤー部位で競合する可能性があると推測される。
【0065】
ステロールは、多くの投与量においてでさえ、非毒性で、かつ摂取において完全に安全であることが分かっているが(フィトステロール血症と呼ばれるまれな症状を有する患者以外)、同様のことは、グルコマンナンについては言うことができず、そしてそれは、多くの投与量において、腹部の苦痛を引き起こし得る。この相補的な作用に基づき、本発明者達は、所望の治療結果を達成するために、異なる作用機構を利用し、同時に、多量の繊維投与による不快な副作用を最小化するこれら2つの成分の組み合わせを発見したと確信される。
【0066】
使用方法
本願に記載された所望の効果は、多数の様々な方法で達成され得る。これらの化合物は、医薬、栄養補助食品、食品、飲料等との併用において使用するために利用可能ないかなる慣用の方法によっても投与され得る。
【0067】
所望の効果を達成するために必要とされる化合物の量は、もちろん、選択された特定の化合物、投与方法及び患者の状態等の多数の因子に依存し得る。
【0068】
本発明の化合物は、それら自体、又はそれらが適当なキャリヤー又は賦形剤と混合された組成物により患者に投与され得る。
【0069】
本発明の組成物は、それ自体が既知の方法によって、例えば、慣用の混合、溶解、粒状化、乳化、カプセル化、閉じ込め又は凍結乾燥プロセスの方法によって製造され得る。
【0070】
本発明の他の形態において、本発明の組成物は、限定なしに、以下のものを含む食品、飲料、栄養補助品及び栄養補助食品によって投与され得る:
1)酪農製品−例えば、チーズ、バター、ミルク及び他の酪農飲料、スプレッド及び酪農混合物、アイスクリーム及びヨーグルト、
2)脂肪をベースとする製品−例えば、マーガリン、スプレッド、マヨネーズ、ショートニング、料理及び揚げ油、及びドレッシング、
3)シリアルをベースとする製品−穀類からなる(例えば、パン及びパスタ)もの、これらの物品は、調理、焼き、又は他の加工がされているにかかわらない、4)菓子類−例えば、チョコレート、キャンディ、チューインガム、デザート、非酪農トッピング(例えば、クール・フィップ,登録商標:Cool・Whip)、シャーベット、糖衣及び他の詰め物、
5)飲料−アルコール又は非アルコール飲料であり、そしてコーラ及び他のソフト飲料、ジュース、ダイエット補助食品並びに商標名ブースト(Boost)及び商標名エンシュア(Ensure)の下で販売されるもののような食事代替飲料を含む、及び
6)種々雑多な製品−卵及び卵製品、加工食品、例えば、スープ、調理済パスタソース、調理済食事等を含む。
【0071】
本発明の組成物は、混合、浸出、注入、配合、分散、乳化、浸漬、噴霧及び混練等の技術により、直接かつさらなる変性なしに、食品、栄養補助食品又は飲料等に組み込まれ得る。さもなくば、該化合物は、摂取前に消費者により食品上に又は飲料中に直接適用され得る。これらは、配送の単純かつ経済的な方法である。
【実施例】
【0072】
実施例
本発明を以下の非限定的実施例によって説明する。
実施例1−ヒトの総コレステロール及びLDLコレステロールにおける組成物の効果の研究
概要及び結果:本研究の目的は、II型糖尿病を有する及び有さない穏やかな高コレステロール血症患者における脂質プロフィールに対するそれらの効果を試験することであった。13人のII型糖尿病患者(年齢=56.31±10.77、BMI=30.96±3.37)及び16人の対照(年齢=55.19±6.46、BMI=27.70±4.32)が、それぞれ21日の食事期間を4回含むランダム化クロスオーバー試験に含まれた。それぞれの期間は、28日のウォッシュアウト期間によって分けられた。
それぞれ4回の治療期間の間に、患者は、無作為な順序で、I)植物ステロール(1.8g/日)、2)グルコマンナン(10g/日)、3)2つの組み合わせ、又は4)プラシーボを消費した。
植物ステロール及びグルコマンナンはグラノーラバーとして与えられた。患者は、研究中、かれらの通常の食事を維持した。総コレステロールの全平均減少は、−7.8%(植物ステロール)、−10.4%(グルコマンナン)、−13.1%(組み合わせ)及び−2.4%(プラシーボ)であった。組み合せとプラシーボ治療間には有意差があった(p<0.05)。これらの状態における低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール量の全平均減少は、それぞれ、−9.8%(PA)、−14.3%、−21.4%及び−2.4%であった。コレステロール合成の指標である血漿ラトステロール(lathosterol)量は、プラシーボに比べて、グルコマンナン/フィトステロール組成物の投与後、減少した(−23.3%、p<0.05)。コレステロール吸収の指標である血漿カンペステロール量の全平均は、非糖尿病患者群に対して糖尿病患者においてより低下した(p<0.05)。
組み合わせ治療は、糖尿病患者及び対照群の双方において、LDLコレステロール量を有意に減少させた(p<0.05)。結果は、明らかに、本発明の組成物を使用した組み
合わせ治療が、植物ステロール又はグルコマンナンのみよりも大きな効果をもたらすことを示した。つまり、植物ステロール及びグルコマンナンの組成物は、II型糖尿病を有する又は有さない穏やかな高コレステロール血症患者における総コレステロール及びLDLコレステロール量を減少させるのに非常に効果的である。
【0073】
研究詳細
対象者を、対照クロスオーバー臨床試験を使用して試験した。対象者は、自己選択した食事を消費した。栄養士が、上記した目的を対処するのに必要な、各期間中の、脂肪(30%)、炭水化物(55%)、タンパク質(15%)の栄養的に適当な食事を摂取することを患者に指示した。食品摂取は、各期間中、3日間、24時間の食品を記録すること用いて評価した。この実験は、脂肪摂取量が実験の各2期間に渡り一定であることを維持するランダム化クロスオーバーデザインを使用して、15人の健康だが、高コレステロール血症の、わずかに標準体重を超えたII型糖尿病を有する患者、及び15人の脂質量と体重が合った対象者における、脂質代謝に対する4つの別の食事の効果を試験することを含む:
i) 対照。
ii) 1.8g/日のステロールをマーガリンで与えた。
iii) 10g/日のグルコマンナンをバーで与えた。
iv) 1.8g/日のステロール及び10g/日のグルコマンナンをマーガリン及
びバーで与えた。
【0074】
患者選択:健康な男性及び閉経後の女性、年齢40−80歳を、空腹時循環総コレステロール、トリグリセリド及びグルコース量の決定によって選抜した。受容可能な患者は、3.4−5mmol/Lの血漿LDLコレステロール量、4mmol/Lより低いトリグリセリド量を有し、かつアポリポタンパク質E3においてヘテロ−又はホモ−接合性を有する。II型糖尿病のための診断基準は、≧7mmol/Lの空腹時血漿グルコース量を示し、かつ標準化経口グルコース耐性試験後、2時間のサンプルにおいて、≧11.1mmol/Lの血漿グルコース量を示すものを含む(75)。糖尿病患者は、6−9%のHbA1c量を有した。対照群の患者の基準は、絶食及びポストグルコース(post−glucose)耐性試験において、上記カットオフ値より少なくとも20%低い血液グルコース量を含む。II型糖尿病及び対照患者は、研究への参加において、性別及び23ないし30kg/m2の範囲内でのボディ マス インデックス(BMI)において釣り合わせた。
【0075】
プロトコル及び食事:患者は、それぞれの期間中を、少なくとも4週間のウォッシュアウト間隔で分けられた、それぞれ21日の食事期間を4回含むランダム化クロスオーバー試験を受け、患者は、制限なしにかれらの通常の食事を消費した。各治療期間中、患者は、栄養士の指示に従った栄養的に適当な固体食品の食事を消費した。炭水化物として与えられるエネルギーの55%の内、少なくとも75%が、可能であれば選択された低い血糖指数食品の複合炭水化物である。患者の食事摂取は、各期間中、3日間の食品記録を使用して測定した。マーガリン中に混合したフィトステロール(シトステロール[40%]、カンペステロール[30%]、ジヒドロブラシカステロール[20%]、その他[10%])が患者に与えられ、そしてかれらは、フィトステロールを1.8g/日与える量においてマーガリン(ii)を消費することを指示された。グルコマンナンは、スナックバーにおいて、10g/日の量で与えられた。対照マーガリン及びバーを治療が含まれない相において利用された。患者は、各患者の体重、身長、年齢、活性レベル及び性別に基づき、予測式を使用して、個々の体重バランスを維持するように食事を消費することを勧められた。研究中、体重変化に対する食事干渉による可能な効果を試験するために、体重は、毎週、測定された。
血液サンプルは、グルコース、インシュリン、総コレステロール、及びLDLサブフラ
クションの血漿リポタンパク質量の評価のために、試験期間中、毎週、0時に採取され、主なフィトステロール量も、GLCを使用して、食事及び血漿中において測定された(40)。
LDL−C濃度を計算するために、フリードワルド式が使用された。植物ステロール、シトステロール、カンペステロール及びジヒドロブラシカステロールがGLCを使用し、5−α−コレスタンを内標として、定量された。
【0076】
二重同位体比方法学(Dual Isotope Ratio Methodology)を使用したコレステロール吸収の決定:RBCsから抽出した遊離コレステロールが、13C−及びD7−コレステロール濃度を決定するために使用された。
【0077】
コレステロール生合成の決定:コレステロール生合成は、各処理の終了後、72時間(20日間)ないし96時間(21日間)の期間にわたる、体内水からRBC膜遊離コレステロール中への重水素の配合率として決定される。重水素濃度は、RBC遊離コレステロール及び血漿水において測定された。
【0078】
統計力及び分析:群サイズ(1群当りn=15)を15−20%の群内変化係数(CV)を使用して計算したところ、試験パラメーターにおいて、20%の予測差異が検出する確率が80%であることが分かった。先の実験における、重水素配合を使用した、穏やかな高コレステロール血症の患者の群において測定された合成は、18%のCVを示した。
【0079】
実施例2II型糖尿病を有する及び有さない患者におけるコレステロール吸収、生合成、及び血漿脂質量並びに血糖調節における植物ステロールグルコマンナンの効果
II型糖尿病患者は、非糖尿病患者よりも3倍高いCVD発症危険性を有する。異脂質血症は、しばしば、II型糖尿病患者において起こり、そしてコレステロール代謝が、インシュリン感受性の減少及びグルコース代謝の妨害のために、II型糖尿病において変化させられる。いくつかの研究は、非糖尿病患者と比較して、II型糖尿病患者におけるより高いコレステロール合成及びより低い吸収速度を報告している。植物ステロールは、腸のコレステロール吸収を減少させることによって、循環コレステロール量を低下させる。しかしながら、このコレステロール低下効力は、しばしば、コレステロール合成における同時増加によって、一部相殺される。可溶性繊維として、グルコマンナンは、消化速度及び食後のインシュリン分泌の減少によりコレステロール生合成速度を減少させることによって、コレステロール量を低下させる。植物ステロール及びグルコマンナンが異なる機構を通して循環コレステロール量を減少させるという事実を考えて、II型糖尿病患者及び非糖尿病患者における植物ステロールとグルコマンナンのこの組み合わせの低コレステロール血効果を評価することは重要である。
目的は、
i)II型糖尿病及び非糖尿病固体における、1)植物ステロール、2)グルコマンナン、3)各々の組み合わせの補給に対する応答における循環脂質量、植物ステロールプロフィール並びに血糖調節の決定、
ii)循環脂質及びステロール量並びに血糖調節の応答度が、II型糖尿病固体及び非糖尿病固体間で異なるかどうかの決定である。
【0080】
実験デザイン及び方法
16人の非糖尿病患者(7人の男性及び9人の女性)及び穏やかな高コレステロール血症を有する13人のII型糖尿病患者(4人の男性及び9人の女性)の志願者を、地方新聞を通して募集した。患者は、38ないし74歳の年齢であった。女性患者は、閉経後であった。患者は、研究中に受け入れる前に病歴を提供すること及び身体検査を終えることを要求された。空腹時血液及び尿サンプルが採取され、生化学、血液学及び尿素分析のためにLDS診断研究所(カナダ国、ケベック州、ポインテ クレア)へ送られた。2.7
5ないし6.9mmol/Lの血清LDLコレステロール量及び4mmol/Lより低いトリグリセリド量の患者が研究のために選択された。II型糖尿病患者においては、≧7mmol/Lの空腹時血液グルコース量及び6ないし9%のHbA1c量が要求された。非糖尿病患者においては、空腹時血液グルコース量の診断基準は、6.1mmol/L未満であった。低脂質血症の又はインシュリン治療、胃腸の、腎臓の、肺の、肝性の又は胆管の疾患等の慢性の疾患及び狭心症、認知の心臓不全、緩下剤の慢性使用の病歴を有する患者は、研究から除外された。患者は、全研究中、メトホルミン、スルホニルウレア、甲状腺ホルモン、抗高血圧薬及び閉経後のエストロゲンの投薬を続けることは許された。
【0081】
実験デザイン及びプロトコル
研究は、21日の治療期間を4回含み、かつ治療期間の間を、4週間のウォッシュアウト期間によって分けられたランダム化クロスオーバー臨床試験である。患者は、無作為な順序において全部で4つの異なる治療に割当てられ、1.8g/日の植物ステロール、10g/日のグルコマンナン及び、双方の組み合わせを消費するか又は対照としてなにも消費しなかった。植物ステロール混合物は、シトステロール67.3%、シトスタノール10.8%、カンペステロール8.2%、カンペスタノール1.6%及び他のもの12.1%を含む。植物ステロール及びグルコマンナンは、グラノーラバーの形態において与えられた(カナダ国、ブリティッシュ・コロンビア州、バンクーバー、フォーブス メディティック社製)。グラノーラバーの栄養組成を表1に示す。患者は、250mLの飲料と一緒に1日3回、スナックとして、食事の間、1本のバーを摂取することを指示された。該バーは、McGill大学のマリーエミリー臨床栄養研究室(カナダ国、ケベック州、モントリオール)において、各週(0日、8日及び15日)、患者に与えられた。コンプライアンスは、毎週、返却されたグラノーラバーの量を計量することによって評価された。全ての参与者の健康状態を確実にするために、身体検査が、研究医師によって各期間の開始(0日)と終わり(21日)に行われた。研究中、患者は、かれらの食事習慣を維持することを要求された。体重は、毎週(0日、8日、15日及び21日)、測定された、研究期間中の副作用及び食事の変化は、各処理期間の開始(0日)と終わり(21日)において、質問票によって検討された。
【0082】
空腹時血液サンプルは、各期間中の0日、8日、15日及び21日に採取された。血漿及び赤血球が、瀉血の30分内の1500rpmにおける15分間の遠心分離によって分離され、分析まで−20℃において貯蔵された。植物ステロール、インシュリン及びフルクトサミン量が各期間の開始(0日)と終わり(21日)において測定された。各期間の最終日(21日)において、空腹時血液サンプルを採取した後、2時間の経口グルコース耐性試験が行われた。グルコース50gを含む液体が、各患者に経口により与えられ、そして、指を刺すこと(fingerprick)による血液サンプルを、2時間で、30分毎に採取した。治療グラノーラバーの嗜好性が、各処理期間の終わりにおいて、質問票によって評価された。
【0083】
血漿脂質濃度の決定
血漿総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール及びトリグリセリド濃度が、ラチン病院(カナダ国、ケベック州、モントリオール)において、ハイタッチ/991化学分析装置(インディアナ州、インディアナ、ローチェ ダイアグノスティック社製)を使用して、酵素により決定された。血漿LDLコレステロール量は、フリードワルド式を使用して計算された。
【0084】
血漿植物ステロール濃度の決定
血漿植物ステロール濃度を、この分野で通常使用される気液クロマトグラフィーによって、二度測定した。簡単に言えば、血漿1.0mLを。100℃において、2時間、メタノール系KOHでけん化した。非けん化脂質を石油エーテルで抽出した。5−α−コレス
タンの内標を、脂質抽出の開始において添加した。脂質抽出物を、0.25mm径の30mキャピラリーカラム(SAC−5;スペルコ、ベルフォンテ PA)を使用して、炎イオン化検出器(HP5890シリーズII;ヒューレットパッカード、パロ アルトCA)を備えた気液クロマトグラフィーによって分析した。検出器及びインジェクター温度は、各々、310℃及び300℃であった。サンプルは、285℃において等温的に流した。植物ステロールのピークは、認証標準物質(カナダ国、オンタリオ州、オークビル、シグマ−アルドリッチ カナダ リミテッド製)との比較によって同定した。
【0085】
血漿インシュリン、血清フルクトサミン及び血液グルコース濃度の決定
血漿インシュリン濃度は、トレーサとしてI125を利用した、市販で入手可能な放射免疫測定キット(カナダ国、コスタメサ、ICNファーマセウティカルインコーポレーテッド製)を使用して、2度測定した。放射能は、γ線計数器(カナダ国、ケベック州、モントリオール、フィッシャーサイエンティフィック、1282コンプガンマCS、LKBウォーラック)によって測定し、1分当りの計数(CPM)として示した。血漿インシュリン濃度を、標準曲線を基準にして、定量化した。血清フルクトサミン濃度は、LDS診断研究所(カナダ国、ケベック州、ポインテ クレア)で決定した。血液グルコース量は、携帯用のグルコメーター、グルコメーターエライト(登録商標:Glucometer
Elite)XL(カナダ国、オンタリオ州、トロント、バイエルインコーポレーテッド製)を使用して決定した。
【0086】
結果
計16人のII型糖尿病個体及び18人の非糖尿病個体が研究に参加し、それぞれ、13人のII型糖尿病個体及び16人の非糖尿病個体が、全ての治療をうまく終えた。2人の患者(1人の非糖尿病患者及び1人のII型糖尿病患者)が胃の不快のため、グルコマンナン補給後、参加を取りやめた。3人の患者(1人の非糖尿病患者及び2人のII型糖尿病患者)の結果は、低いコンプライアンス(50%未満)のため、統計分析から除外した。患者の基準特性を表2に示す。
ボディ マス インデックス、血漿トリグリセリド、及び、グルコース、インシュリン、HbA1c及びフルクトサミンを含む全ての糖尿病指標が、非糖尿病患者群より、II型糖尿病患者群において高かった(p<0.05)。しかしながら、血漿LDLコレステロール量は、非糖尿病患者と比べ、糖尿病患者の方が低下した(p<0.01)。
試験グラノーラバーの消費は、対照、植物ステロール、グルコマンナン及び組み合わせ処理において、それぞれ、98.8%、99.4%、98.4%及び98.8%であった(表3)。グラノーラバーの消費において、2つの患者群間又は食事治療間に差はなかった。
【0087】
治療グラノーラバーの嗜好性
治療グラノーラバーの嗜好性を、0ないし10で評価した。より高い評点は、より大きな嗜好性を示す。表4に示したように、グラノーラバーの嗜好性は、対照、植物ステロール、グルコマンナン及び組み合わせ処理において、それぞれ、7.16±0.39、7.63±0.38、6.36±0.48及び6.04±0.36であった。植物ステロール含有グラノーラバーは、グルコマンナン含有バー又はグルコマンナン及び植物ステロールの双方を含有するバーよりも高い(p<0.05)嗜好性を示した。II型糖尿病患者は、非糖尿病患者よりも、試験グラノーラバーにおいて、より高い評価を示した。
【0088】
体重に対する食事治療の効果
基準からの平均体重変化は、対照、植物ステロール、グルコマンナン及び組み合わせ処理において、それぞれ、−0.22±0.32、−0.10±0.18、−0.05±0.18及び−0.70±0.24kgであった(表5)。組み合わせ治療中、非糖尿病患者は、体重を維持したのに対し(−0.29±0.33kg)、II型糖尿病患者は、体
重を減少させた(−1.34±0.24kg)(p<0.05)。他の治療期間においては、基準と比較して、及び2つの患者群間で、体重における有意な変化は観察されなかった(表5)。全研究期間中、有意な食事変化は報告されなかった。
【0089】
血漿脂質に対する食事治療の効果
治療期間中の非糖尿病患者群とII型糖尿病患者群の血漿脂質量を表6に示す。植物ステロールと組み合わせたグルコマンナンの供給は、対照(5.38±0.18mmol/L)と比較して、血漿総コレステロール量を減少させた(4.77±0.20mmol/L)(p<0.05)。基準からの総コレステロール量のパーセント変化は、対照(−3.20±1.49%)と比較して、グルコマンナン(−12.40±2.32%)及び組み合わせ(−14.80±3.86%)治療において、より低下した(p<0.05)。治療に対する応答において、患者群間で差はなかった。血漿総コレステロール量の週毎の変化を図1に示す。1週間後、血漿総コレステロール量は、対照と比較して、植物ステロール、グルコマンナン及び組み合わせ治療において、減少した(p<0.05)。植物ステロール及びグルコマンナン治療の2週間後、総コレステロールの減少度は徐々に減少したが、組み合わせ治療においては、総コレステロール濃度の減少がなおも観察された。
【0090】
0日において、血漿LDLコレステロール量は、非糖尿病患者群(3.47±0.17mmol/L)と比較して、II型糖尿病患者群(4.06±0.20mmol/L)においてより低下した(p<0.05)。補給から21日後、グルコマンナン(3.18±0.14mmol/L)及びグルコマンナンと植物ステロールの組み合わせ(3.00±0.16mmol/L)は、対照(3.53±0.16mmol/L)と比較して、LDLコレステロール量を減少させた(p<0.05)。血漿LDLコレステロール量はまた、植物ステロール治療後(3.43±0.13mmol/L)と比較して、組み合わせ治療後(3.00±0.16mmol/L)において、より低下した(p<0.05)。研究中のLDLコレステロール量の週毎の変化を図2に示す。LDLコレステロールは、組み合わせ治療の2週間後に減少した(p<0.05)。1日から21日までのLDLコレステロール量のパーセント変化は、対照(−4.51±3.02%)に対し、組み合わせ治療(−21.27±3.76%)において減少した(p<0.05)。各食事治療後のLDLコレステロール量の変化において、2つの患者群間に差はなかった。
【0091】
血漿HDLコレステロール量は、治療期間中、異ならなかった。HDL量の変化において、2つの患者群間に差はなかった。血漿LDLコレステロール対HDLコレステロール比は、対照(3.68±0.19)と比較して、植物ステロール(3.41±0.19)及びグルコマンナン治療後(3.27±0.17)に、より低下した。更に、組み合わせ治療における血漿LDLコレステロール対HDLコレステロール比(3.11±0.17)は、対照(3.68±0.19)及び植物ステロール治療(3.41±0.19)の双方よりも、低下した(p<0.05)。LDLコレステロール対HDLコレステロール比において、2つの群間に差は観察されかった。
【0092】
総コレステロール対HDLコレステロール比は、21日後、対照(5.65±0.25)及び植物ステロール治療(5.36±0.28)より、組み合わせ治療(5.03±0.22)において、より低下した(p<0.05)。総コレステロール対HDLコレステロール比は、対照治療(5.65±0.25)と比較して、グルコマンナンを摂取する患者(5.20±0.24)において、より低下した(p<0.05)。
【0093】
トリグリセリド量は、食事治療による影響を受けなかった。しかしながら、血漿トリグリセリド量は、全研究期間中、一貫して、非糖尿病患者群においてよりも、糖尿病患者群においてより高かった(p<0.05)。
【0094】
血漿植物ステロールに対する食事治療の効果
II型糖尿病患者群及び非糖尿病患者群における血漿植物ステロールを表7にまとめる。血漿カンペステロール量の全平均は、非糖尿病患者群(7.59±0.38μmol/L)においてよりも、糖尿病患者群(5.77±0.42μmol/L)においてより低下した(p<0.05)。治療間に差はなかった。
治療に対する応答において、2つの群間の血漿ラトステロール量に差はなかった。しかしながら、21日後の減少は、植物ステロール治療(0.17±0.40μmol/L)と比較して、組み合わせ治療(−1.25±0.36μmol/L)において、より大きかった(p<0.05)。21日において、β−シトステロール量及びβ−シトステロール対総コレステロールの比は、グルコマンナン治療(3.81±0.45μmol/L及び0.75±0.45mmol/mol)と比較して、植物ステロール治療(5.50±0.76μmol/L及び1.11±0.18mmol/mol)において、より高かった(p<0.05)。それは、重要ではないが、組み合わせ治療におけるβ−シトステロール量及びβ−シトステロール対総コレステロールの比(4.72±0.51μmol/L及び1.03±0.12mmol/mol)は、対照(4.53±0.47μmol/L及び0.88±0.10mmol/mol)及びグルコマンナン治療よりも高かった。血漿β−シトステロール量は、各治療後のII型糖尿病患者群及び非糖尿病患者群間において差はなかった。
【0095】
インシュリン、フルクトサミン及び2時間の経口グルコース耐性試験に対する食事治療の効果
血漿インシュリン量は、非糖尿病患者群(21.01±1.00μlU/mL)においてよりも、糖尿病患者群(39.16±2.24μlU/mL)において、より高かった(p<0.01)(表8)。対照治療に対する血漿インシュリン量の比は、植物ステロール(1.71±6.16%)及び組み合わせ治療(−5.64±4.81%)よりもグルコマンナンにおいて(−79.7±25.08%)より低下した(p<0.05)。血清フルクトサミン量は、非糖尿病患者(3.40±0.03μmol/g)よりも、糖尿病患者(3.95±0.07μmol/g)において、より高かった(p<0.01)(表9)。しかしながら、食事治療は、血清フルクトサミン濃度に影響を及ぼさなかった。
血液グルコース量は、50g、2時間の経口グルコース試験中、非糖尿病患者においてよりも、II型糖尿病患者においてより高かった(図3)。食事治療はグルコース耐性に影響を及ぼさなかった。
【0096】
討議
本研究による主要な発見は、植物ステロールとグルコマンナンの組み合わせが、II型糖尿病の及び非糖尿病の穏やかな高コレステロール血症の個体の双方において、植物ステロール及びグルコマンナンのみよりも、大きなコレステロール低下効果を有したことにある。本研究は、植物ステロール、グルコマンナン及び組み合わせ治療において、それぞれ、10.6%、14.5%及び21.3%の血漿LDLコレステロール量の減少を示した。これらの結果は、植物ステロール及びグルコマンナンが、コレステロール濃度を低下させることにおいて、少なくとも相加的な効果を有することを示す。植物ステロールは、ミセル中へのコレステロールの配合を減少させるため、腸における食事の及び胆汁のコレステロール吸収を抑制する。他方、グルコマンナンは、小腸における栄養の吸収を遅らせることによって、食後のインシュリンピークを抑制する。減少した食後のインシュリン濃度は、HMG−CoA活性が増加することによると考えられる、コレステロール生合成を減少させる。そのため、結果として、植物ステロール及びグルコマンナンのみと比較して、植物ステロール及びグルコマンナンの組み合せにおいて、より大きな低コレステロール血効果が生じる。本研究において、血漿ラトステロール量(0.17±0.40μmol/L)は、植物ステロール治療を行った場合は、基準から増加したが、植物ステロールとグルコマンナンの組み合わせ治療を行った場合は減少し、そしてこのことは、グルコマンナ
ンが植物ステロールによって引き起こされるコレステロール合成の増加を抑制することを示唆している。II型糖尿病個体において、コレステロール代謝の変化があることが観察された。非糖尿病患者と比較して、II型糖尿病患者はより高い肝性コレステロール合成及びより低い腸吸収を有する。患者が植物ステロールなしに食事を摂取する又はおよそ等量の植物ステロールを有する場合、血清植物ステロール量はコレステロール吸収速度の指標である。実際、血清植物ステロール濃度は非糖尿病患者においてよりも、II型糖尿病患者においてより低いことが報告されており、そしてこれは、コレステロール吸収がこの集団において減少するという事実を支持している。糖尿病患者群における血漿カンペステロール量(5.77±0.42μmol/L)は、非糖尿病患者群(7.60±0.38μmol/L)においてよりもより低下し(p<0.05)、そしてそれは、先の観察結果を支持している。糖尿病個体におけるより低いインシュリン感受性がコレステロール代謝の変化に関連していることが仮定される。本研究において、より低い(p<0.05)血漿カンペステロール量が、非糖尿病患者(7.59±0.38μmol/L)と比較して、糖尿病患者(5.77±0.42μmol/L)において観察され、そしてこのことは、コレステロールホメオスタシスがこれらの患者において本当に変化したことを示す。
【0097】
本研究において、グルコマンナンの食事補給は、空腹時インシュリン及びフルクトサミン量等の血糖指数を改善しなかった。しかしながら、健康な個体及びII型糖尿病患者個体の双方におけるグルコマンナンの低血糖効果が先の研究により証明されている。ホプマン他、(1988)は、2.6g及び5.2gのグルコマンナンの食事補給が以前に胃の手術を行った患者における食後の血漿インシュリンの上昇を減少させることを報告している。これらの結果は、6g/日のグルコマンナンの投与において、同様の結果を発見したスカルフィ他、(1987)によって支持される。グルコマンナン補給から30日及び65日後、空腹時血液グルコース量及び食後、2時間後の血液グルコース量は有意に減少した(ハング、1990)。本研究と従来の研究間の矛盾は、食事調節の欠如のためであり得る。
【0098】
要するに、本研究の結果は、植物ステロール及びグルコマンナンの双方は循環コレステロール量を低下させるが、植物ステロール及びグルコマンナンの組み合わせは相加的な又はより大きな効果を有し、かつ植物ステロール及びグルコマンナンのみよりも総コレステロール量及びLDLコレステロール量におけるより大きな減少を誘導することを示す。予期に反して、血糖調節における変化は、植物ステロール及び/又はグルコマンナン治療を行うことによっては観察されなかった。血漿ラトステロール量は植物ステロールの摂取後に増加したが、植物ステロールへグルコマンナンを加えることによって、これらの変化は逆になった。従って、植物ステロールとグルコマンナンの組み合わせは、II型糖尿病患者及び非糖尿病患者の高コレステロール血症個体におけるLDLコレステロール量を低下させる薬理学的治療法に代わるものとして使用できると考えられ得る。
【0099】
表1.グラノーラバーの栄養組成
【表1】

【0100】
表2.患者1の基準特性
【表2】

1値は平均±SEとして示される。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001;非糖尿病患者群との有意差。
2低密度リポタンパク質コレステロール。
3高密度リポタンパク質コレステロール。
【0101】
表3.グラノーラバー1の平均消費
【表3】

1値は平均±SEとして示される。パーセント変化は個々のデータに基づく。対照に対するパーセント変化は21日の平均に基づく。
【0102】
表4.グラノーラバー1の嗜好性
【表4】

1値は平均±SEとして示される。異なる上付き文字を有する値は治療間の有意差を示す(p<0.05)。
**P<0.01;非糖尿病患者群との有意差。
【0103】
表5.各治療期間1の0日及び21日における体重変化
【表5】

1値は平均±SEとして示される。パーセント変化は個々のデータに基づく。対照に対するパーセント変化は21日の平均に基づく。
*P<0.05;非糖尿病患者群との有意差。
21日及び21日の差。
【0104】
表6.各治療期間1の0日及び21日における血漿脂質量
【表6】

【表7】

【表8】

1値は平均±SEとして示される。異なる上付き文字を有する値は治療間の有意差を示す(p<0.05)。パーセント変化は個々のデータに基づく。対照に対するパーセント変化は21日の平均に基づく。
*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001;非糖尿病患者群との有意差。
2対照治療。
3低密度リポタンパク質コレステロール。
4高密度リポタンパク質コレステロール。
5総コレステロール。
【0105】
表7.各治療期間1の0日及び21日における血漿植物ステロール量
【表9】

【表10】

1値は平均±SEとして示される。異なる上付き文字を有する値は群間の有意差を示す(p<0.05)。パーセント変化は個々のデータに基づく。対照に対するパーセント変化は21日の平均に基づく。
*P<0.05;非糖尿病患者群との有意差。
20日及び21日の差。
3コレステロール1mol当りの植物ステロール。
【0106】
表8.各治療期間1の0日及び21日における血漿インシュリン量
【表11】

1値は平均±SEとして示される。異なる上付き文字を有する値は治療間の有意差を示す(p<0.05)。パーセント変化は個々のデータに基づく。対照に対するパーセント変化は21日の平均に基づく。
*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001;非糖尿病患者群との有意差。
2対照治療。
【0107】
表9.各治療期間1の0日及び21日における血清フラクトサミン量
【表12】

1値は平均±SEとして示される。異なる上付き文字を有する値は治療間の有意差を示す(p<0.05)。パーセント変化は個々のデータに基づく。対照に対するパーセント変化は21日の平均に基づく。
**P<0.01;***P<0.001;非糖尿病患者群との有意差。
2対照治療。
【0108】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及び更にグルコマンナンを含む、食品、飲料、栄養又はビタミン補助品、及び栄養補助食品(nutraceutical)中へ配合するための組成物。
【請求項2】
フィトステロールが、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール(ジヒドロブラシカステロールを含む)、デスモステロール、カリノステロール(chalinosterol)、ポリフェラステロール(poriferasterol)、クリオナステロール(clionasterol)、エルゴステロール、コプロステロール、コジステロール(codisterol)、イソフコステロール(isofucosterol)、フコステロール(fucosterol)、クレロステロール(clerosterol)、ナービステロール(nervisterol)、ラトステロール(lathosterol)、ステラステロール(stellasterol)、スピナステロール、コンドリラステロール(chondrillasterol)、ぺポステロール(peposterol)、アヴェナステロール(avenasterol)、イソアヴェナステロール(isoavenasterol)、フェコステロール(fecosterol)、ポリナスタステロール、及び異性体を含むそれらの全ての天然又は合成形態及び誘導体からなる群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項3】
フィトスタノールが、全ての飽和又は水素化フィトステロール、及び異性体を含むそれらの全ての天然又は合成形態及び誘導体からなる群から選択される請求項1記載の組成物。
【請求項4】
フィトステロール及び/又はフィトスタノールが、脂肪族酸エステル、芳香族酸エステル、フェノール酸エステル、ケイ皮酸エステル、フェルラ酸エステル、フィトステロール/フィトスタノールグリコシド、及びフィトステロール/フィトスタノールアシルグリコシドからなる群から選択される形態である請求項1記載の組成物。
【請求項5】
動物における心臓血管疾患、及びアテローム性動脈硬化、高脂質血症、異脂質血症、低アルファリポタンパク質血症、高血圧症、高コレステロール血症及び内臓型肥満を含むその根底にある状態を治療又は予防するための方法であって、1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及び更にグルコマンナンを含む組成物の非毒性かつ治療有効量を投与することからなる方法。
【請求項6】
フィトステロールが、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール(ジヒドロブラシカステロールを含む)、デスモステロール、カリノステロール、ポリフェラステロール、クリオナステロール、エルゴステロール、コプロステロール、コジステロール、イソフコステロール、フコステロール、クレロステロール、ナービステロール、ラトステロール、ステラステロール、スピナステロール、コンドリラステロール、ぺポステロール、アヴェナステロール、イソアヴェナステロール、フェコステロール、ポリナスタステロール、及び異性体を含むそれらの全ての天然又は合成形態及び誘導体からなる群から選択される請求項5記載の方法。
【請求項7】
フィトスタノールが、全ての飽和又は水素化フィトステロール、及び異性体を含むそれらの全ての天然又は合成形態及び誘導体からなる群から選択される請求項5記載の方法。
【請求項8】
フィトステロール及び/又はフィトスタノールが、脂肪族酸エステル、芳香族酸エステル、フェノール酸エステル、ケイ皮酸エステル、フェルラ酸エステル、フィトステロール/フィトスタノールグリコシド、及びフィトステロール/フィトスタノールアシルグリコ
シドからなる群から選択される形態である請求項5記載の方法。
【請求項9】
動物がヒトである請求項5記載の方法。
【請求項10】
動物において、その治療目的:血清LDLコレステロールの低下、血清HDLコレステロールの増加及び血清トリグリセリドの減少の少なくとも1つを達成するための方法であって、該動物に1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及びグルコマンナンを含む組成物の非毒性かつ治療有効量を投与することからなる方法。
【請求項11】
動物における体重増を減少又は体重減を増加するための方法であって、該動物に1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及びグルコマンナンを含む組成物の非毒性かつ治療有効量を投与することからなる方法。
【請求項12】
1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及び更にグルコマンナンを含む組成物が配合された食品。
【請求項13】
1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及び更にグルコマンナンを含む組成物が配合された飲料。
【請求項14】
1種以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノール、及び更にグルコマンナンを含む組成物が配合された栄養補助食品又は機能食品。
【請求項15】
動物がヒトであり、かつII型糖尿病を有する請求項5、10又は11記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−523849(P2007−523849A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508091(P2006−508091)
【出願日】平成16年5月31日(2004.5.31)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000807
【国際公開番号】WO2004/105770
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(501309163)フォーブス メディ−テック インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】