説明

1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンの調製法

CFCHCHFおよびCFCHFCHFの製造プロセスを開示する。このプロセスは、(a) フッ化水素、塩素、および式CXCCl=CClX(式中、各Xは、独立して、FまたはClである)の少なくとも1つのハロプロペンを反応させて、CFCClCClFおよびCFCClFCClFの両方を含む生成物を生成する工程と、(b) 工程(a)で生成したCFCClCClFおよびCFCClFCClFを水素と反応させて、CFCHCHFおよびCFCHFCHFの両方を含む生成物を生成する工程と、(c) 工程(b)で生成した生成物から、CFCHCHFおよびCFCHFCHFを回収する工程とを含む。工程(a)において、ZnCr/結晶性α−酸化クロム組成物、フッ素化剤で処理されたZnCr/結晶性α−酸化クロム組成物、ハロゲン化亜鉛/α−酸化クロム組成物、および/またはフッ素化剤で処理されたハロゲン化亜鉛/α−酸化クロム組成物を含むクロロフルオロ化触媒の存在下で、CFCClCClFおよびCFCClFCClFが生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンの合成に関する。
【背景技術】
【0002】
地球のオゾン層に対して、多くの塩素含有ハロカーボンが有害であると考えられている。有効な代替品として役割を果たし得る、より低いオゾン枯渇潜在性を有する材料を開発する努力が世界的になされている。例えば、冷凍システムにおいて、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)の代替品として、ヒドロフルオロカーボン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)が使用されている。塩素をほとんど含有しないか、または塩素を含有しないハロゲン化炭化水素を提供する製造プロセスが必要とされている。ヒドロフルオロカーボン(すなわち、炭素、水素およびフッ素のみを含有する化合物)の生成は、溶媒、膨張剤、冷却剤、洗浄剤、エーロゾル推進剤、伝熱媒体、誘電体、消火剤およびパワーサイクル作業流体として使用するための環境的に望ましい生成物を提供するために非常に関心のある主題である。例えば、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンは膨張剤として実用性を有し、および1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンは冷却剤として、およびフルオロオレフィンを生成するための中間体として実用性を有する。
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第60/511,353号明細書
【特許文献2】米国特許第3,878,257号明細書
【特許文献3】米国特許第5,036,036号明細書
【特許文献4】米国特許第5,068,472号明細書
【特許文献5】米国特許第5,057,634号明細書
【特許文献6】米国特許出願第60/511,355号明細書
【特許文献7】米国特許第6,540,933号明細書
【特許文献8】米国特許第5,136,113号明細書
【非特許文献1】サターフィールド(Satterfield)著、ヘテロジニアス キャタリシス イン インダストリアル プラクティス(Heterogenous Catalysis in Industrial Practice),第2版(マグローヒル(McGraw−Hill),ニューヨーク(New York),1991)の第95頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)および1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb)の製造プロセスを提供する。このプロセスは、(a) フッ化水素(HF)、塩素(Cl)、および式CXCCl=CClX(式中、各Xは、独立して、FおよびClからなる群から選択される)の少なくとも1つのハロプロペンを反応させて、CFCClCClFおよびCFCClFCClFを含む生成物を生成する工程であって、前記CFCClCClFおよびCFCClFCClFが、(i)ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムを含む組成物、(ii)ハロゲン化亜鉛およびα−酸化クロムを含む組成物、ならびに(iii)フッ素化剤(例えば、無水フッ化水素)で処理された(i)または(ii)の組成物からなる群から選択される少なくとも1つの組成物を含むクロロフルオロ化触媒の存在下で生成される工程と、(b) 任意選択的にHFの存在下で、工程(a)で生成したCFCClCClFおよびCFCClFCClFを水素(H)と反応させて、CFCHCHFおよびCFCHFCHFを含む生成物を生成する工程と、(c) 工程(b)で生成した生成物から、CFCHCHFおよびCFCHFCHFを回収する工程とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、CFCHCHF(HFC−245fa)およびCFCHFCHF(HFC−245eb)の調製プロセスを提供する。HFC−245faおよびHFC−245ebを、個々の生成物として、および/または2つの生成物の1つまたは複数の混合物として回収することができる。
【0006】
本発明のプロセスの工程(a)において、1つまたは複数のハロプロペン化合物CXCCl=CClX(式中、各Xは、独立して、FおよびClからなる群から選択される)を塩素(Cl)およびフッ化水素(HF)と反応させて、CFCClCClF(CFC−215aa)およびCFCClFCClF(CFC−215bb)を含む生成物の混合物を生成する。従って、本発明は、簡単に入手可能な出発材料からのCFCClCClF(CFC−215aa)およびCFCClFCClF(CFC−215bb)の混合物の調製プロセスを提供する。
【0007】
本発明のプロセスのために適切な出発材料としては、E−およびZ−CFCCl=CClF(CFC−1214xb)、CFCCl=CCl(CFC−1213xa)、CClFCCl=CCl(CFC−1212xa)、CClFCCl=CCl(CFC−1211xa)ならびにCClCCl=CCl(ヘキサクロロプロペン、HCP)またはそれらの混合物が挙げられる。
【0008】
それらの入手可能性のため、本発明のプロセスのために好ましい出発材料は、CFCCl=CCl(CFC−1213xa)およびCClCCl=CCl(ヘキサクロロプロペン、HCP)である。
【0009】
好ましくは、加熱管型反応器中、気相中で、HFおよびClとCXCCl=CClXとの反応を実行する。反応器の垂直および水平配向を含む多くの反応器の配置が可能であり、およびハロプロペン出発材料と、HFおよび塩素との様々な接触様式が可能である。好ましくは、HFおよび塩素は実質的に無水である。
【0010】
工程(a)の一実施形態において、クロロフルオロ化触媒に接触する反応器にハロプロペン出発材料を供給する。ハロプロペン出発材料を最初に蒸発させ、および気体として第1の反応領域に供給してもよい。
【0011】
工程(a)のもう1つの実施形態において、前反応器中でハロプロペン出発材料をHFと接触させてよい。前反応器は空(すなわち、未充填)であってもよいが、好ましくは、CXCCl=CClXおよびHF蒸気の効率的な混合を可能にする、モネル(Monel)(商標)またはハステロイ(Hastelloy)(商標)ニッケル合金ターニングもしくはウール、またはHClおよびHFに対して不活性な他の材料のような適切なパッキングによって充填されている。
【0012】
ハロプロペン出発材料を液体として前反応器へと供給する場合、前反応器を垂直に配向することが好ましく、CXCCl=CClXが反応器の上部から入り、および予熱されたHF蒸気は反応器の底部で導入される。
【0013】
前反応器の適切な温度は、約80℃〜約250℃、好ましくは、約100℃〜約200℃の範囲内である。これらの条件下で、例えば、ヘキサクロロプロペンは、主にCFC−1213xaを含有する混合物へと変換される。反応器の長さおよび直径、温度、ならびに前反応器内で所望されるフッ素化度によって、出発材料供給速度は決定される。所定の温度において供給速度が遅いほど、接触時間を増加させ、および出発材料の変換量を増加させる傾向があり、また生成物のフッ素化度を増加させる傾向がある。
【0014】
用語「フッ素化度」は、CXCCl=CClX出発材料中でフッ素原子が塩素置換基を置換する範囲を意味する。例えば、CFCCl=CClFは、CClFCCl=CClより高いフッ素化度を表し、およびCFCClCFは、CClFCClCFより高いフッ素化度を表す。
【0015】
前反応器または工程(a)の反応領域に供給されるHFと、工程(a)で供給されるハロプロペン出発材料とのモル比は、典型的に、ほぼ化学量論比から約50:1である。化学量論比は、ハロプロペン出発材料の平均フッ素化度次第であり、および典型的に、CClの形成を基準とする。例えば、ハロプロペンがHCPである場合、HFとHCPとの化学量論比は5:1であり、ハロプロペンがCFC−1213xaである場合、HFとCFC−1213xaとの化学量論比は2:1である。好ましくは、HFとハロプロペン出発材料とのモル比は、(CClの形成を基準として)化学量論比の約2倍から約30:1である。HFとハロプロペンとのより高い比率は特に有利ではない。より低い比率によってCCl異性体の収率減少が生じる。
【0016】
前反応器中でハロプロペン出発材料をHFと接触させる場合、クロロフルオロ化触媒の存在下で、前反応器からの流出物は塩素と接触する。
【0017】
工程(a)のもう1つの実施形態において、前反応器中でハロプロペン出発材料をClおよびHFと接触させてよい。前反応器は空(すなわち、未充填)であってもよいが、好ましくは、CXCCl=CClX、HFおよびClの効率的な混合を可能にする、モネル(Monel)(商標)またはハステロイ(Hastelloy)(商標)ニッケル合金ターニングもしくはウール、活性化炭素、またはHCl、HFおよびClに対して不活性な他の材料のような適切なパッキングによって充填されている。
【0018】
典型的に、飽和ハロプロパンが得られるようにオレフィン結合にClを添加することによって、ならびにハロプロパンおよび/またはハロプロペン中のCl置換基の少なくとも一部をFで置換することによって、前反応器中で少なくとも一部のハロプロペン出発材料をClおよびHFと反応させる。本発明の本実施形態における前反応器の適切な温度は、約80℃〜約250℃、好ましくは、約100℃〜約200℃の範囲内である。温度が高いほど、反応器に入るハロプロペンから飽和生成物への変換が高く、および前反応器生成物におけるハロゲン化度およびフッ素化度が高い。
【0019】
用語「ハロゲン化度」は、ハロカーボン中の水素置換基がハロゲンによって置換される範囲、および炭素−炭素二重結合がハロゲンによって飽和される範囲を意味する。例えば、CFCClCClFは、CFCCl=CClより高いハロゲン化度を有する。またCFCClCClFは、CFCHClCClFより高いハロゲン化度を有する。
【0020】
Clとハロプロペン出発材料とのモル比は、典型的に、約1:1〜約10:1であり、および好ましくは、約1:1〜約5:1である。1:1の比率未満でClを供給することによって、反応器流出物中に相対的に多量の不飽和材料および水素含有副生物の存在が生じる。
【0021】
工程(a)の好ましい実施形態において、好ましくはHFの存在下で、ハロプロペン出発材料を蒸発させ、および前反応器中でHFおよびClと接触させ、次いで、クロロフルオロ化触媒と接触させる。前反応器中で好ましい量のHFおよびClが供給される場合、前反応器からの流出物がクロロフルオロ化触媒に接触する時に、追加的なHFおよびClは必要とされない。
【0022】
ハロプロペン出発材料および/または前反応器中で形成されたそれらの生成物の触媒クロロフルオロ化のための適切な温度は、出発材料の所望の変換および触媒の活性次第で、約200℃〜約400℃、好ましくは、約250℃〜約350℃の範囲内である。約350℃より高い反応器温度によって、5より高いフッ素化度を有する生成物が生じ得る。つまり、より高い温度では、6以上のフッ素置換基を含有するクロロプロパン(例えば、CFCClCFまたはCFCClFCClF)の実質的な量が形成され得る。約240℃未満の反応器温度では、5未満のフッ素化度を有する生成物(すなわち、アンダーフルオリネート(underfluorinate))の実質的な収率が得られる。
【0023】
本発明の気相の実施形態のために適切な反応器圧力は、約1気圧〜約30気圧の範囲内であってよい。プロセスの工程(b)において、他の反応生成物からHClの分離を促進するために、約5気圧〜約20気圧の反応器圧力が有利に使用され得る。
【0024】
本発明のプロセスで使用されるクロロフルオロ化触媒は、好ましくは、ZnCr(亜クロム酸亜鉛)および結晶性α−Cr(α−酸化クロム)を含む組成物、またはZnCr(亜クロム酸亜鉛)およびα−Cr(α−酸化クロム)を含む前記組成物のフッ素化剤による処理によって得られる組成物である。これらの組成物中のクロムおよび亜鉛の総量に対する亜鉛の量は、好ましくは、約1原子%〜約25原子%である。
【0025】
ZnCr(亜クロム酸亜鉛)と結晶性α−酸化クロムとを含み、ZnCrが、組成物中の約10原子パーセントと67原子パーセントとの間のクロムと、組成物中の少なくとも約70原子パーセントの亜鉛とを含有し、および組成物中でクロム酸化物として存在するクロムの少なくとも約90原子パーセントが、ZnCrまたは結晶性α−酸化クロムとして存在するクロム含有触媒組成物に注目すべきである。また、ZnCr(亜クロム酸亜鉛)と結晶性α−酸化クロムとを含むかかる組成物のフッ素化剤による処理によって調製されるクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。また、ZnCrと結晶性α−酸化クロムとを含み、ZnCrが、組成物中の約20原子パーセントと約50原子パーセントとの間のクロムを含有する、かかるクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。また、ZnCrと結晶性α−酸化クロムとを含み、ZnCrが、組成物中の少なくとも約90原子パーセントの亜鉛を含有する、かかるクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。また、亜クロム酸亜鉛と結晶性α−酸化クロムとを含み、亜クロム酸亜鉛としては存在しないクロムの95原子パーセントより多くが結晶性α−酸化クロムとして存在する、かかるクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。また、ZnCr(亜クロム酸亜鉛)および結晶性α−酸化クロムから本質的になるかかるクロム含有触媒組成物にも注目すべきである。
【0026】
これらの組成物は、例えば、か焼を伴う共沈法によって調製され得る。
【0027】
典型的な共沈手順において、亜鉛およびクロム(III)塩の水溶液が調製される。水溶液中の亜鉛およびクロム(III)塩の相対濃度は、最終触媒において所望されるクロムに対しての亜鉛の容積による原子パーセントによって示される。従って、水溶液中の亜鉛の濃度は、溶液中の亜鉛およびクロムの全濃度の約1モル%〜約25モル%である。水溶液中のクロム(III)の濃度は、典型的に、1リットルあたり0.3〜3モルの範囲であり、1リットルあたり0.75〜1.5モルが好ましい濃度である。様々なクロム(III)塩を使用してよいが、硝酸クロム(III)または[Cr(NO(HO)]のようなその水和物型が前記水溶液の調製のために最も好ましいクロム(III)塩である。
【0028】
前記水溶液の調製のために様々な亜鉛塩を使用してよいが、本発明のプロセスに関する触媒の調製のために好ましい亜鉛塩としては、硝酸亜鉛(II)および[Zn(NO(HO)]のようなその水和物型が挙げられる。
【0029】
次いで、真空下または高温のいずれかで、クロム(III)および亜鉛塩の水溶液をエバポレーションし、固体を得て、次いで、これをか焼する。
【0030】
水酸化物として亜鉛およびクロムを沈殿させるために、水酸化アンモニウム(アンモニア水)のような塩基でクロム(III)および亜鉛塩の水溶液を処理することが好ましい。ナトリウムもしくはカリウムの水酸化物または炭酸塩のようなアルカリ金属を含有する塩基を使用してもよいが、好ましくない。クロム(III)および亜鉛塩の水溶液への水酸化アンモニウムの添加は、典型的に、1〜12時間の期間で徐々に実行される。塩基添加の間、溶液のpHを監視する。最終pHは、典型的に、6.0〜11.0、好ましくは、約7.5〜約9.0、最も好ましくは、約8.0〜約8.7の範囲である。亜鉛およびクロムの水酸化物混合物の沈殿は、典型的に、約15℃〜約60℃、好ましくは、約20℃〜約40℃の温度で実行される。水酸化アンモニウムの添加後、典型的に24時間まで混合物を撹拌する。沈殿されたクロムおよび亜鉛の水酸化物は、ZnCrおよびα−酸化クロムへの前駆体として有用である。
【0031】
亜鉛およびクロムの水酸化物混合物の沈殿の完了後、エバポレーションによって混合物を乾燥する。適切な温度でホットプレートもしくはスチームバス上、またはオーブンもしくは炉中のオープンパン中で、混合物を加熱することによって、これを実行してよい。適切な温度としては、約60℃〜約130℃(例えば、約100℃〜約120℃)の温度が挙げられる。あるいは、例えば、ロータリーエバポレーターを使用して真空下で乾燥工程を実行してよい。
【0032】
任意選択的に、沈殿された亜鉛およびクロムの水酸化物混合物を回収し、および所望であれば乾燥の前に脱イオン水で洗浄してよい。好ましくは、乾燥工程の前に、沈殿された亜鉛およびクロムの水酸化物混合物を洗浄しない。
【0033】
亜鉛およびクロムの水酸化物混合物を乾燥した後、次いで、約250℃〜約350℃で固体を加熱することによって硝酸塩を分解する。次いで、得られた固体を、約400℃〜約1000℃、好ましくは、約400℃〜約900℃の温度でか焼する。
【0034】
本発明で有用な亜鉛およびクロム組成物に関するさらなる情報は、2003年10月14日出願の米国特許公報(特許文献1)[CL2244 US PRV]に提供されており、これによって、この文献は全体的に本明細書に援用される(対応する国際出願PCT/US2004/______号パンフレットも参照のこと)。
【0035】
本発明のか焼された亜クロム酸亜鉛/α−酸化クロム組成物を、パッキング反応器に使用するためのペレットのような様々な形状にプレスしてもよい。粉末の形態で使用されてもよい。
【0036】
典型的に、ハロゲン化炭素化合物のフッ素含量を変化させるための触媒として使用する前に、か焼された組成物をフッ素化剤で前処理する。典型的に、四フッ化硫黄、フッ化カルボニルおよびフッ素化炭素化合物、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、トリフルオロメタンまたは1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンのような他の材料を使用してもよいが、このようなフッ素化剤はHFである。例えば、本発明のプロセスを実行するために使用される反応器であり得る適切な容器中に触媒を配置し、その後、乾燥されたか焼触媒上にHFを通過させ、HFで触媒を部分的に飽和させることによって、このような前処理を完了することができる。例えば、約200℃〜約450℃の温度で、例えば、約0.1〜約10時間の期間で、触媒上にHFを通過させることによって、これは都合よく実行される。それにもかかわらず、この前処理は必須ではない。
【0037】
工程(a)のクロロフルオロ化に適切な他の触媒は、ハロゲン化亜鉛およびα−酸化クロムを含む組成物、ならびにハロゲン化亜鉛およびα−酸化クロムを含む前記組成物のフッ素化剤による処理によって得られた組成物である。米国特許公報(特許文献2)は、かかる触媒の例を開示している。これらの組成物中のクロムおよび亜鉛の総量に対する亜鉛量は、好ましくは、約0.1原子%〜約25原子%であり、およびより好ましくは、約2原子%〜約10原子%である。ハロゲン化亜鉛がα−酸化クロムを含む担体上に担持されている組成物に注目すべきである。好ましくは、米国特許公報(特許文献3)に従ってα−酸化クロムを調製する。か焼亜クロム酸亜鉛/α−酸化クロム組成物に関して上記された通り、フッ素化剤による前処理を実行することができる。
【0038】
工程(a)のクロロフルオロ化プロセスで生成される化合物としては、ハロプロパンCFCClCClF(CFC−215aa)およびCFCClFCClF(CFC−215bb)が挙げられる。
【0039】
工程(a)で生成され得るCFC−215aaおよびCFC−215bbよりも高いフッ素化度を有するハロプロパン副生物としては、CFCClCF(CFC−216aa)、CFCClFCClF(CFC−216ba)、CFCFCClF(CFC−216cb)、CFCClFCF(CFC−217ba)およびCFCHClCF(HCFC−226da)が挙げられる。
【0040】
CFC−215aaおよびCFC−215bbよりも低いフッ素化度を有する、工程(a)で形成され得るハロプロパン副生物としては、CFCClCClF(HCFC−214ab)が挙げられる。
【0041】
工程(a)で形成され得るハロプロペン副生物としては、CFCCl=CF(CFC−1215xc)、E−およびZ−CFCCl=CClF(CFC−1214xb)、ならびにCFCCl=CCl(CFC−1213xa)が挙げられる。
【0042】
典型的に、CFCClCClF(CFC−215aa)およびCFCClFCClF(CFC−215bb)、ならびに任意選択的にHFを含む、工程(a)からの流出物を、HCl、Cl、HF、CClFおよびCCl異性体を含む過フッ素化生成物、CClFおよびCCl異性体を含むアンダー−ハロゲン化(under−halogenated)成分、ならびにCCl異性体およびCFC−1213xaを含むアンダー−フッ素化(under−fluorinated)成分を含む低沸点成分から分離する。
【0043】
本発明の一実施形態において、工程(a)からの反応器流出物は蒸留カラムに送達され、ここで、より高沸点の成分がカラムの底部から除去されながら、HClおよびいずれのHCl共沸混合物もカラムの上部から除去される。次いで、第1の蒸留カラムの底部から除去された生成物は第2の蒸留カラムに送達され、ここで、HF、Cl、CFCClCF(CFC−216aa)、CFCClFCClF(CFC−216ba)、CFCFCClF(CFC−216cb)、CFCClFCF(CFC−217ba)およびCFCHClCF(HCFC−226da)、ならびにそれらのHF共沸混合物はカラムの上部で回収され、およびCFC−215aaおよびCFC−215bb、ならびにいずれの残留HFおよびより高沸点の成分をカラムの底部から回収する。次いで、アンダーフッ素化副生物および中間体を分離するため、およびCFC−215aaおよびCFC−215bbを単離するために、第2の蒸留カラムの底部から回収された生成物がさらなる蒸留カラムに送達されてもよい。
【0044】
任意選択的に、工程(a)の反応器流出物からのHClの蒸留および分離後、HFおよびハロプロパンおよびハロプロペンの得られた混合物は、HFの豊富な液体相と有機物の豊富な液体相との分離を可能にするために適切な温度に制御されたデカンターに送達されてもよい。次いで、有機物の豊富な相を蒸留して、CFC−215aaおよびCFC−215bbを単離してもよい。次いで、任意選択的に蒸留によるいずれかの有機成分の除去後に、HFの豊富な相を工程(a)の反応器へと再生利用してもよい。HFが存在するCFC−215aa/CFC−215bb分離スキームにおいて、他の点でデカンテーション工程を使用してもよい。
【0045】
本発明の一実施形態において、前記アンダーフッ素化およびアンダーハロゲン化成分(例えば、CFC−214ab、CFC−1212xbおよびCFC−1213xa)を工程(a)へと戻す。
【0046】
本発明のもう1つの実施形態において、CFC−216aa、CFC−216baおよびHCFC−226da副生物をHFとさらに反応させるか、またはHCFC−226daが存在する場合、HFおよびClとさらに反応させて、CFCClFCF(CFC−217ba)を得て、続いて、米国特許公報(特許文献4)および米国特許公報(特許文献5)に開示される通り、これをヘキサフルオロプロペン(HFP)へと変換してもよい。
【0047】
本発明のもう1つの実施形態において、2003年10月14日出願の米国特許公報(特許文献6)[CL2246 US PRV](対応する国際出願PCT/US2004/______号パンフレットも参照のこと)に開示される通り、HCFC−226da、CFC−216aa、CFC−216ba、CFC−217baおよび副生物を水素(H)とさらに反応させて、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)を得る。
【0048】
本発明のプロセスの工程(b)において、工程(a)で生成したCFCClCClF(CFC−215aa)およびCFCClFCClF(CFC−215bb)を、任意選択的にHFの存在下で、水素(H)と反応させる。
【0049】
工程(b)の一実施形態において、本明細書に援用される米国特許公報(特許文献7)に記載のように、CFC−215aaおよびCFC−215bbを含む混合物を、気相中で水素(H)および任意選択的にHFと一緒に、ニッケル、鉄、チタンまたはそれらの合金製の反応器へと送達する。適切な形態で金属によって任意選択的に充填されたこれらの材料の反応容器(例えば、金属管)も使用されてよい。合金について言及される場合、ニッケル合金は1〜99.9%(重量%)のニッケルを含有し、鉄合金は0.2〜99.8%(重量%)の鉄を含有し、およびチタン合金は72〜99.8%(重量%)のチタンを含有することを意味する。ニッケル、あるいは40%〜80%のニッケルを含有するもの、例えば、インコネル(Inconel)(商標)600ニッケル合金、ハステロイ(Hastelloy)(商標)C617ニッケル合金またはハステロイ(Hastelloy)(商標)C276ニッケル合金のようなニッケルの合金製の空(すなわち、未充填)の反応容器の使用が注目される。
【0050】
充填のために使用される場合、金属または金属合金は、粒子、または穿孔プレート、リング、ワイヤ、スクリーン、チップ、パイプ、ショット、ガーゼまたはウールのような成形品であってよい。
【0051】
本実施形態における反応の温度は、約350℃と約600℃との間であり得、および好ましくは、少なくとも約450℃である。
【0052】
水素と、反応領域に供給されるCFC−215aa/CFC−215bb混合物とのモル比は、CFC−215異性体1モルあたり約0.1モルのHからCFC−215異性体1モルあたり約60モルのHの範囲、より好ましくは、CFC−215異性体1モルあたり約0.4〜10モルのHでなければならない。
【0053】
工程(b)のもう1つの実施形態において、水素化触媒の存在下で、水素と、工程(a)で生成したCFC−215aaおよびCFC−215bb、ならびに任意選択的にHFとの接触を実行する。本実施形態で使用するために適切な水素化触媒としては、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウムおよび白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む触媒が挙げられる。前記触媒金属成分は、典型的に、炭素もしくは黒鉛、または担体金属がマグネシウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄およびランタンからなる群から選択される金属酸化物、フッ素化金属酸化物または金属フッ化物のような担体上で担持される。炭素担体が酸で洗浄されており、および約0.1重量%未満の灰分を有する、炭素担持触媒が注目される。低灰分の炭素上に担持された水素化触媒は、米国特許公報(特許文献8)に記載されており、この教示は本明細書に援用される。
【0054】
(非特許文献1)で記載されるように、触媒金属の溶解性塩(例えば、塩化パラジウムまたは硝酸ロジウム)による担体の含浸によるような当該分野で既知の従来法によって、担持金属触媒を調製することができる。担体上の触媒金属の濃度は、典型的に、触媒の約0.1重量%〜約5重量%の範囲である。
【0055】
水素化触媒の存在下でCFC−215aaおよびCFC−215bbと接触する水素の相対的な量は、典型的に、トリクロロペンタフルオロプロパン異性体1モルあたり約0.5モルのHから、トリクロロペンタフルオロプロパン異性体1モルあたり約10モルのH、好ましくは、トリクロロペンタフルオロプロパン異性体1モルあたり約3モルのHから、トリクロロペンタフルオロプロパン異性体1モルあたり約8モルのHである。
【0056】
触媒水素化のための適切な温度は、典型的に、約100℃〜約350℃、好ましくは、約125℃〜約300℃の範囲である。約350℃より高い温度では脱フッ素化副反応が生じる傾向があり、約125℃未満の温度ではCCl出発材料におけるHに対するClの不完全な置換が生じる。反応は、典型的に、気圧または超大気圧で実行される。
【0057】
工程(b)の反応領域からの排出物は、典型的に、HCl、未反応水素、CFCHCHF(HFC−245fa)、CFCHFCHF(HFC−245eb)、低沸点副生物(典型的に、CFCH=CF(HFC−1225zc)、E−およびZ−CFCH=CHF(HFC−1234ze)、CFCF=CH(HFC−1234yf)、CFCHCF(HFC−236fa)、CFCHFCH(HFC−254eb)および/またはCFCHCH(HFC−263fb)を含む)、ならびに高沸点副生物および中間体(典型的に、CFCHCHCl(HCFC−253fb)、CFCHFCHCl(HCFC−244eb)、CFCClFCHF(HCFC−235bb)、CFCHClCHF(HCFC−235da)、CFCHClCClF(HCFC−225da)および/またはCFCClFCHClF(HCFC−225baジアステレオマー)を含む)、ならびに工程(a)または工程(b)から持ち越されたいずれものHFを含む。
【0058】
工程(c)において、所望の生成物は回収される。工程(b)からの反応器生成物は、個々に、混合物として、CFCHCHFおよびCFCHFCHFを回収する分離ユニットに送達されてよい。
【0059】
HCFC−235da、HCFC−235bb、HCFC−225baおよびHCFC−225daのような部分的に塩素化された成分は回収されて、工程(b)に戻されて再生利用されてもよい。
【0060】
本発明のプロセスの適用時に使用される反応器、蒸留カラム、ならびにそれらの関連供給ライン、流出ラインおよび関連装置は、フッ化水素および塩化水素に耐性を有する材料から構成されなければならない。構造の典型的な材料はフッ素化の分野で周知であり、ステンレス鋼、特に、オーステナイト型のもの、モネル(Monel)(商標)ニッケル−銅合金、ハステロイ(Hastelloy)(商標)ニッケルベース合金およびインコネル(Inconel)(商標)ニッケル−クロム合金のような周知の高ニッケル合金、ならびに銅−クラッド鋼が挙げられる。
【0061】
以下の具体的な実施形態は単なる実例として解釈されるべきであり、および本開示の残りの部分をいずれかの形式に制約することはない。
【実施例】
【0062】
【表1】

【0063】
(触媒調製)
(比較調製例1)
(100%クロム触媒の調製(400℃))
1000mLの脱イオン水中400gのCr(NO[9(HO)](1.0モル)の溶液を、477mLの7.4Mアンモニア水によって滴下処理し、pHを約8.5まで高めた。スラリーを室温で一晩撹拌した。アンモニアによってpHを8.5まで再調節した後、混合物を蒸発皿中に注ぎ入れ、および空気中120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中400℃でか焼すると、得られた固体の重量は61.15gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および比較例3で28.2g(20mL)を使用した。
【0064】
(比較調製例2)
(アルミナ触媒上の2%亜鉛の調製)
460mLの蒸留水中に溶解された20.85gのZnCl(0.153モル)の溶液に酸化アルミニウム(4.90モル、ハッーショー(Harshaw)3945、110℃で乾燥)を添加した。撹拌しながら混合物から水を蒸発させ、次いで、110℃で3日間乾燥させた。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および比較例1で21.1g(30mL)を使用した。
【0065】
(調製例1)
(クロム酸化物上に担持された2%塩化亜鉛の調製)
125mm×65mmのガラス皿中に含有される60mLの脱イオン水中1.20gのZnCl(8.81ミリモル)の溶液を、60.00g(0.357モル)の12〜20メッシュCrで処理した。この皿を加温されたホットプレート上に置き、および時々撹拌しながらスラリーを乾燥させた。次いで、得られた固体を一晩130℃で乾燥させると、得られた固体の重量は60.42gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例9で41.5g(30mL)を使用した。
【0066】
(調製例2)
(95%クロム/5%亜鉛触媒の調製(450℃))
1000mLの脱イオン水中で、380.14gのCr(NO[9(HO)](0.950モル)および14.87gのZn(NO[6(HO)](0.050モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1時間かけて処理すると、pHが1.7からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、オーブン中で120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中450℃で20時間か焼すると、得られた固体の重量は76.72gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例13で38.5g(25mL)を使用した。
【0067】
(調製例3)
(90%クロム/10%亜鉛触媒の調製(900℃))
1000mLの脱イオン水中で、360.13gのCr(NO[9(HO)](0.900モル)および29.75gのZn(NO[6(HO)](0.100モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1.4時間かけて処理すると、pHが1.9からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中900℃で20時間か焼すると、得られた固体の重量は75.42gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例4、5および6で42.3g(25mL)を使用した。
【0068】
(調製例4)
(95%クロム/5%亜鉛触媒の調製(900℃))
1000mLの脱イオン水中で、380.14gのCr(NO[9(HO)](0.950モル)および14.87gのZn(NO[6(HO)](0.050モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1時間かけて処理すると、pHが1.7からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、オーブン中で120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中900℃で20時間か焼すると、得られた固体の重量は70.06gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例1および2で25.3g(14mL)を使用した。
【0069】
(調製例5)
(98%クロム/2%亜鉛触媒の調製(900℃))
1000mLの脱イオン水中で、392.15gのCr(NO[9(HO)](0.980モル)および5.94gのZn(NO[6(HO)](0.020モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で0.58時間かけて処理すると、pHが1.67からpH8.35へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、オーブン中で120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中900℃で21時間か焼すると、得られた固体の重量は66.00gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例7および8で44.9g(23mL)を使用した。
【0070】
(調製例6)
(クロム酸化物上に担持された10%塩化亜鉛の調製)
170mm×90mmのガラス皿中に含有される300mLの脱イオン水中6.0gのZnCl(44ミリモル)の溶液を、60.00g(0.357モル)の12〜20メッシュCrで処理した。この皿を加温されたホットプレート上に置き、および時々撹拌しながらスラリーを乾燥させた。次いで、得られた固体を一晩130℃で乾燥させると、得られた固体の重量は65.02gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例10および11で37.5g(25mL)を使用した。
【0071】
(調製例7)
(98.1%クロム/1.9%亜鉛触媒の調製(550℃))
ホットプレート上で静止している1Lビーカー中、500mLの脱イオン水中で、516.46gのCr(NO[9(HO)](1.29モル)および7.31gのZn(NO[6(HO)](0.0246モル)の溶液を調製した。次いで、この混合物をパイレックス(Pyrex)(商標)容器に移し、および容器を炉の中に配置した。10℃/分で容器を室温から125℃まで加熱し、次いで6時間125℃で保持した。1℃/分で容器を125℃から350℃まで加熱し、次いで6時間350℃で保持した。1℃/分で容器を350℃から550℃まで加熱し、次いで24時間550℃で保持した。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例12で29.9g(20mL)を使用した。
【0072】
(調製例8)
(80%クロム/20%亜鉛触媒の調製(900℃))
1000mLの脱イオン水中で、320.12gのCr(NO[9(HO)](0.800モル)および59.49gのZn(NO[6(HO)](0.200モル)の溶液を調製した。この溶液を450mLの7.4M水酸化アンモニウム水溶液で1時間かけて処理すると、pHが1.7からpH8.4へと増加した。スラリーを室温で一晩撹拌し、次いで、空気の存在下、オーブン中で120℃で乾燥させた。次いで、乾燥固体を空気中900℃で22時間か焼すると、得られた固体の重量は75.80gであった。触媒をペレット化し(−12〜+20メッシュ(1.68〜0.84mm));および実施例3で41.7g(25mL)を使用した。
【0073】
(実施例1〜13および比較例1〜4)
(クロロフルオロ化に関する一般手順)
計量された量のペレット化された触媒を、流動砂浴中で加熱された直径5/8インチ(1.58cm)インコネル(Inconel)(商標)ニッケル合金反応管中に配置した。窒素流(50cc/分;8.3(10)−7/秒)中で約1時間かけて、管を50℃から175℃まで加熱した。次いで、50cc/分(8.3(10)−7/秒)の流速でHFを反応器に加えた。0.5〜2時間後、窒素流を20cc/分(3.3(10)−7/秒)まで減少させ、HF流を80cc/分(1.3(10)−6/秒)に増加させ、この流れを約1時間維持した。次いで、3〜5時間かけて、徐々に反応器温度を400℃まで増加させた。この期間の終わりに、HF流を停止し、および20sccm(3.3(10)−7/秒)の窒素流の下で反応器を300℃まで冷却させた。ポンプから、約118℃に維持された蒸発器までCFC−1213xaを供給した。モネル(Monel)(商標)ターニングによって充填された直径0.5インチ(1.27cm)のモネル(Monel)(商標)ニッケル合金管において、CFC−1213xa蒸気を適切なモル比のHFおよびClと組み合わせた。次いで、反応剤の混合物を反応器に加えた。特記されない限り、接触時間は30秒であった。1気圧の公称圧力で全反応を実行した。いくつかの触媒上でクロロフルオロ化されたCFC−1213xaの結果を表1に示す。分析データはGC面積%の単位で与えられる。
【0074】
(実施例14〜17)
(CFCClCClFのヒドロ脱塩素化)
炭素上に担持された0.5%Pd触媒上でのCFCClCClF混合物のヒドロ脱塩素化の結果を表2に示す。生成物の分析データはGC面積%の単位で与えられる。公称触媒床体積は15mLであり、接触時間は30秒であった。ヒドロ脱塩素化を開始する前に、300℃で水素流中で触媒を還元した。
【0075】
(実施例18〜19)
(CFCClFCClFのヒドロ脱塩素化)
実施例14〜17で使用された炭素上0.5%Pd触媒上でのCFCClFCClFのヒドロ脱塩素化の結果を表3に示す。生成物の分析データはGC面積%の単位で与えられる。
【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンおよび1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法であって、
(a) フッ化水素、塩素、および式CXCCl=CClX(式中、各Xは、独立して、FおよびClからなる群から選択される)の少なくとも1つのハロプロペンを反応させて、CFCClCClFおよびCFCClFCClFを含む生成物を生成する工程であって、前記CFCClCClFおよびCFCClFCClFが、(i)ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムを含む組成物、(ii)ハロゲン化亜鉛およびα−酸化クロムを含む組成物、ならびに(iii)フッ素化剤で処理された(i)または(ii)の組成物からなる群から選択される少なくとも1つの組成物を含むクロロフルオロ化触媒の存在下で生成される工程と、
(b) 工程(a)で生成したCFCClCClFおよびCFCClFCClFを水素と反応させて、CFCHCHFおよびCFCHFCHFを含む生成物を生成する工程と、
(c) 工程(b)で生成した生成物から、CFCHCHFおよびCFCHFCHFを回収する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
工程(a)において、前記触媒が、(i)ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムを含む組成物、ならびに(iii)フッ素化剤で処理された(i)の組成物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒組成物中のクロムおよび亜鉛の総量に対する亜鉛の量が、約1原子%〜約25原子%であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒が、(i)ZnCrおよび結晶性α−酸化クロムを含む組成物であって、ZnCrが、前記組成物中の約10原子パーセントと67原子パーセントとの間のクロムと、前記組成物中の少なくとも約70原子パーセントの亜鉛とを含有し、および前記組成物中でクロム酸化物として存在するクロムの少なくとも約90原子パーセントが、ZnCrまたは結晶性α−酸化クロムとして存在する組成物、および(iii)フッ素化剤で処理された(i)の組成物からなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)において、前記触媒が、(ii)ハロゲン化亜鉛およびα−酸化クロムを含む組成物、ならびに(iii)フッ素化剤で処理された(ii)の組成物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
触媒組成物中のクロムおよび亜鉛の総量に対する亜鉛の量が、約0.1原子%〜約25原子%であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が、(ii)α−酸化クロムを含む担体上にハロゲン化亜鉛が担持されている組成物、および(iii)フッ素化剤で処理された(ii)の組成物からなる群から選択され;および、触媒組成物中のクロムおよび亜鉛の総量に対する亜鉛の量が、約2原子%〜約10原子%であることを特徴とする請求項5に記載の方法。

【公表番号】特表2007−508376(P2007−508376A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535424(P2006−535424)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/034454
【国際公開番号】WO2005/037743
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】