説明

1,2−置換3,4−ジオキソ−1−シクロブテン化合物における制御された結晶サイズのための方法

本出願は、例えば、CXCケモカイン媒介疾患の治療で有用性を有する2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−[[2−[[1(R)−(5−メチル−2−フラニル)プロピル]アミノ]−3,4−ジオキソ−1−シクロブテン−1−イル]アミノ]ベンズアミドを調製する新規な方法を開示している。この方法は:(a)溶媒および反溶媒の混合物中で、式Iの化合物の溶液を得るステップと、(b)ステップ「a」からの溶液を冷却し、バッチに式Iの化合物の一水和物形4の固体結晶形を播種して、混合物を形成するステップと、(c)約0.01℃/分から約5℃/分の冷却速度を使用して、ステップ「b」からの混合物を冷却するステップと、(d)ステップ「c」からのスラリーの温度を循環させ、沈殿させた結晶を濾過により単離する場合に7.9×1011m/Kg未満のフィルターケーク固有抵抗を得るステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2007年7月5日に出願された、米国仮特許出願第60/958,636号(この記載は、その全体が参考として本明細書に援用される)に基づき、それらの優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本出願は、例えば、CXCケモカイン媒介疾患を治療する際に有用性を有する1,2−置換3,4−ジオキソ−1−シクロブテン化合物を調製する新規な方法およびその合成で有用な中間体を開示している。
【背景技術】
【0003】
この部分または本出願の任意の部分における何らかの刊行物、特許または特許出願の確認は、このような刊行物が、本発明の先行技術であることを承認するものではない。
【0004】
1,2−置換3,4−ジオキソ−1−シクロブテン化合物、例えば、2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−[[2−[[1(R)−(5−メチル−2−フラニル)プロピル]アミノ]−3,4−ジオキソ−1−シクロブテン−1−イル]アミノ]ベンズアミド(式Iの化合物)
【0005】
【化1】

の調製は、2006年11月7日発行の特許文献1および2006年7月4日発行の特許文献2に記載されており、それぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。式Iの化合物を調製する例については、’455特許の491から492欄、196から197欄および251から256欄参照ならびに特許文献2の例えば、22から24欄参照。
【0006】
1,2−置換3,4−ジオキソ−1−シクロブテン化合物を調製する他の例、2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−[[2−[[1(R)−[5−メチル−4−(1−メチルエチル)−2−フラニル]プロピル]アミノ]−3,4−ジオキソ−1−シクロブテン−1−イル]アミノ]−ベンズアミド(式IIの化合物)
【0007】
【化2】

の調製は、2006年7月7日出願の米国特許仮出願第60/819,541(’541出願)に記載されており、その開示は、その全体が参照により援用される。式IIの化合物を調製する例は、’541出願の実施例2に見ることができる。式IおよびIIの化合物のための前記の調製スキームは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0008】
特許文献2に記載されている1,2−置換3,4−ジオキソ−1−シクロブテン化合物を調製する合成方法は通常、スキームIに従う(2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−[[2−[[1(R)−(5−メチル−2−フラニル)プロピル]アミノ]−3,4−ジオキソ−1−シクロブテン−1−イル]アミノ]ベンズアミド、式Iの化合物の調製を例示している)。
【0009】
【化3】

スキームIに示されている式Iの化合物を調製するための方法は、取り扱いの難しい強力な皮膚増感剤であり刺激物であるスクエア酸ジアルキルから、中間体化合物2Cを初めに調製することにより実施される。加えて、化合物2Cおよび2DaをカップリングさせるスキームIの第2ステップにおける前記刊行物に記載の条件は、望ましくないレベルの不純物を最終生成物と混合している状態でもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,123,445号明細書
【特許文献2】米国特許第7,071,342号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記を考慮して、濾過により効率的に単離することができる式Iの化合物の一水和物形4の結晶を得る方法が求められている。また、商業的な規模での調製に適したバッチサイズまでの実用的なスケールアップをもたらす反応スキームが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的および他の目的は、本発明により有利に得られ、これは一態様では、7.9×1011m/Kg未満のフィルターケーク固有抵抗をもたらす2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−[[2−[[1(R)−(5−メチル−2−フラニル)プロピル]アミノ]−3,4−ジオキソ−1−シクロブテン−1−イル]アミノ]ベンズアミド(式Iの化合物)
【0013】
【化4】

の結晶を調製するための方法であって、この方法は:
(a)溶媒および反溶媒の混合物中で、選択された溶媒/反溶媒系により与えられる式Iの化合物の溶解温度で、式Iの化合物の溶液を得るステップと、
(b)ステップ「a」からの溶液を、式Iの化合物の核形成がステップ「a」で選択された溶媒/反溶媒混合物中で始まる温度のすぐ上の温度に冷却し、バッチに式Iの化合物の一水和物形4の固体結晶形を播種して、混合物を形成するステップと、
(c)約0.01℃/分から約5℃/分の冷却速度を使用して、ステップ「a」で溶解させた式Iの化合物の実質的に全てがスラリー中で結晶化する温度まで、ステップ「b」からの混合物を冷却するステップと、
(d)ステップ「c」からのスラリーを約0.01℃/分から約5℃/分の速度で、ステップ「b」で使用された播種温度未満の温度まで加熱し、加熱されたスラリーを約0.01℃/分から約5℃/分の速度でステップ「c」で達成された結晶化温度付近の温度に冷却することにより、ステップ「c」からのスラリーの温度を循環させ、所望の断面の結晶が得られるまで、このサイクルを繰り返して、沈殿させた結晶を濾過により単離する場合に7.9×1011m/Kg未満のフィルターケーク固有抵抗を得るステップと
を含む。
【0014】
本発明の方法の一部の実施形態では、第1の加熱ステップ「a」の前に、酸、好ましくは、酢酸を溶液に加えることが好ましい。
【0015】
一部の実施形態では、溶媒を、6個以下の炭素原子を有するアルコール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランおよびN−メチルピロリジン、好ましくは、6個以下の炭素原子を有するアルコールから選択することが好ましく、より好ましくは、溶媒は、n−プロパノールである。一部の実施形態では、溶媒:反溶媒を、およそ溶媒5体積%:反溶媒95体積%からおよそ溶媒98体積%:反溶媒2体積%の比で使用することが好ましい。一部の実施形態では、水を反溶媒として使用することが好ましい。n−プロパノールを溶媒として使用する一部の実施形態では、n−プロパノールおよび水の1:1混合物を使用することが好ましい。n−プロパノールを溶媒として使用する本発明の方法の一部の実施形態では、式Iの化合物をステップ「a」で、約70℃の温度で溶かすことが好ましい。
【0016】
n−プロパノールを使用する一部の実施形態では、溶液をステップ「b」で、溶液に播種する前に高くても約62℃の温度に冷却することが好ましい。
【0017】
n−プロパノールを使用する一部の実施形態では、ステップ「c」で、約0.01℃/分から約5℃/分の冷却速度、より好ましくは、0.1℃/分の冷却速度を使用して、約20℃の温度に混合物を冷却することが好ましい。
【0018】
n−プロパノールを使用する一部の実施形態では、循環ステップ「d」で、加熱サイクルの間には、混合物を約53℃の温度に、約0.5℃/分の加熱速度で加熱し、冷却サイクルの間には、混合物を約20℃/分の温度に、約0.1℃/分の冷却速度で冷却し、所望のサイズの結晶が生じるまで、これらの温度の間での、かつこれらの加熱および冷却速度での循環を繰り返すことが好ましい。
【0019】
本発明の方法の一部の実施形態では、4回の加熱および冷却サイクルをステップ「d」で行うことが好ましい。本発明の方法の一部の実施形態では、8回の加熱サイクルを行うことが好ましい。本発明の方法の一部の実施形態では、溶液にステップ「b」で、ステップ「d」で少なくとも4回の加熱および冷却サイクルを使用して本発明の方法により先に調製された結晶を播種することが好ましい。
【0020】
一部の実施形態では、式Iの単離された固体化合物を溶媒と混合して、化合物を溶解させ、生じた溶液に反溶媒を加えることにより、ステップ「a」での溶液を調製することが好ましい。
【0021】
本発明の方法の一部の実施形態では、n−プロパノールのアリコートを、式Iの化合物をその中で調製した反応混合物に加えることにより、ステップ「a」での溶液を得、蒸留により反応混合物を濃縮し、n−プロパノールの第2のアリコートを加え、2回目の蒸留により混合物を濃縮し、n−プロパノールの第3のアリコートおよび酢酸を加え、反応混合物を濾過し、追加のn−プロパノールを加え、混合物を加熱し、次いで、水を加え、混合物に式Iの化合物の形態4の結晶を播種し、混合物を所望の結晶化温度、好ましくは約20℃に冷却し、続いて、所望の結晶サイズが得られるまで、播種温度未満の温度、好ましくは、約62℃未満と、結晶化温度とで温度を循環させることが好ましい。
【0022】
本発明の他の態様および利点は、次の詳細な記載により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】式Iの化合物の結晶形IVの特徴的なX線粉末回折パターン[垂直の軸:強度CPS、カウント(平方根));水平の軸:2シータ(度)]を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書中の一般的なスキーム中、実施例中および明細書を通じて使用される用語には、後記でそれが使用される時点で別段に定義されていない限り、次の略語が、その意味と共に包含される:Me(メチル);Bu(ブチル);t−Bu(第3級ブチル);Et(エチル);Ac(アセチル);t−Bocまたはt−BOC(t−ブトキシカルボニル);DMF(ジメチルホルムアミド);THF(テトラヒドロフラン);DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン);MTBE(メチル第3級ブチルエーテル);2−Me−THF(2−メチルテトラヒドロフラン
【0025】
【化5】

);n−プロピル、n−prop(CHCHCH−);RT(室温、周囲温度、一般的に25℃);TFA(トリフルオロ酢酸);TEA(トリエチルアミン)。
【0026】
本明細書で使用される場合、別段に示されていない限り、次の用語は、次の意味を有すると理解される。
【0027】
「置換」との用語は、構造中の所定の原子または原子の基の上に位置する1個または複数の水素原子が、示されている基からの選択で置き換えられているが、但し、既存の状況下で所定の原子の通常の価を超えることはなく、置換は安定な化合物をもたらす。置換基および/または可変子の組合せが、安定な化合物をもたらす場合には、そのような組合せが示される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な純度までの単離および有効な治療剤への形成に十分に耐える化合物を意味する。
【0028】
「置換されていてもよい」との用語は、規定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。
【0029】
「患者」には、ヒトおよび動物の両方が包含される。
【0030】
「哺乳動物」は、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0031】
「アルキル」は、直鎖または分枝鎖であってよく、鎖中に約1から約10個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。分枝鎖は、1個または複数のメチル、エチルまたはプロピルなどの低級アルキル基が、直鎖アルキル鎖に結合していることを意味する。適切なアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチルおよびn−ペンチルが包含される。
【0032】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有し、直鎖または分枝鎖であってよく、鎖中に約2から約10個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。分枝鎖は、メチル、エチルまたはプロピルなどの1個または複数の低級アルキル基が、直鎖アルケニル鎖に結合していることを意味する。適切なアルケニル基の非限定的な例には、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エニルおよびn−ペンテニルが包含される。
【0033】
「アルキレン」は、「アルキル」が上記で定義される通りのアルキル基から1個の追加的な水素原子を除去することにより得られる二官能性基を意味する。アルキレンの非限定的な例には、メチレン(即ち、−CH−)、エチレン(即ち、−CH−CH−)および分枝鎖鎖、例えば、−CH(CH)−CH−が包含される。
【0034】
「アリール」は、約6から約14個の炭素原子、好ましくは、約6から約10個の炭素原子を含む芳香族単環式または多環式環系を意味する。アリール基は、同じか、または異なってよく、本明細書で定義される通りの1個または複数の「環系置換基」で置換されていてもよい。適切なアリール基の非限定的な例には、フェニルおよびナフチルが包含される。
【0035】
「シクロアルキル」は、約3から約10個の炭素原子、好ましくは、約3から約6個の炭素原子を含む非芳香族単環式または多環式環系を意味する。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが包含される。多環式シクロアルキルの非限定的な例には、これらに限られないが、1−デカリン、ノルボルニルおよび同種物(cognitor)、アダマンチルおよび同種物が包含される。
【0036】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード基から選択されるハロゲンを意味する。
【0037】
「アミノアルキル」は、アルキル部分上の少なくとも1個の水素原子がアミノ官能(即ち、−NH)基により置き換えられている上記で定義された通りのアルキルを意味する。アルキルアミノは、1個または両方の水素が、「アルキル」が上記で定義される通りのアルキル官能基により置き換えられているアミノ官能基を意味する。
【0038】
化合物中の部分(例えば、置換基、基または環)の数に関して、別段に定義されていない限り、「1個または複数」および「少なくとも1個」との語句は、化学的に許容されるだけの数の部分が存在し得ること、およびこのような部分の最大数の決定は十分に、当業者の知識の範囲内であることを意味している。
【0039】
構造上に出現し、結合位置で官能基を構造に結合する波線
【0040】
【化6】

は通常、例えば、(R)−および(S)−立体化学を含有する可能な異性体の混合物またはそのいずれかを示す。例えば、
【0041】
【化7】

は、
【0042】
【化8】

の一方または両方を含有することを意味する。
【0043】
結合の末端にある波線は、示されている構造の部分が、示されている結合の所でより大きな構造に結合していることを示し、例えば、
【0044】
【化9】

は、示されている置換ピペリジル基の窒素が、置換基がその上にある示されていない構造に結合していることを示唆している。
【0045】
環系、例えば、置換アリール基中に引かれている線:
【0046】
【化10】

は、置換基(R)が、さもなければ水素原子に結合している任意の環炭素の水素原子に置き換わっていてよいことを示している。したがって、図示されている通り、Rは、任意の炭素原子2、4、5または6に結合することができるが、メチル置換基に結合している3または置換アリールがそれを介して結合する1には結合できない。
【0047】
当分野ではよく知られている通り、結合の末端部分に部分が示されていない特定の原子から引かれた結合は、別段に述べられていない限り、その結合を介して原子に結合されているメチル基を示す。例えば、
【0048】
【化11】

は、
【0049】
【化12】

を表す。
【0050】
しかしながら、本明細書の実施例において時折、CH部分が、構造中に明示して包含されている。本明細書で使用されるように、メチル基を示すいずれの規則の使用も、同等であることが意図されており、これらの規則は本明細書では、簡便さのために相互変換可能に使用されており、その際、どちらの描写を使用しても、慣用的に理解される意味をそれによって変えることは意図されていない。
【0051】
化合物に関する「単離された」または「単離形態の」との用語は、方法から単離された後の前記化合物の物理的状態を指す。化合物に関する「精製された」または「精製された形態の」との用語は、本明細書に記載されているか、または当業者によく知られている標準的な分析技術により特徴づけられる十分な純度で、本明細書に記載されているか、または当業者によく知られている1つまたは複数の精製過程から得られた後の前記化合物の物理的状態を指している。
【0052】
任意の変数(例えば、アリール、ヘテロ環、Rなど)が任意の成分中、または式中で1回よりも多く出現する場合、各出現でのその同定は、他のどの出現での定義からも独立している。
【0053】
前記で述べた通り、式Iおよび式IIの化合物をそれぞれ調製するための方法は、米国特許第7,123,455号明細書(’455特許、両方の化合物)および米国特許第7,071,342号明細書(’342特許、式Iの化合物)に記載されている。本発明は、スキームIIaおよびIIbに示されている方法を利用して、式Iaの化合物、例えば、式IおよびIIの化合物を調製する。式IおよびIIの化合物の調製および精製の態様はまた、それぞれ2007年7月3に提出された米国特許仮出願第60/958,317号明細書、同第60/958,313号明細書および60/958,311ならびに本件とともに代理人管理番号CD06674US01のもと国際出願された同時係属中の出願で検討されており、これらの開示はそれぞれ、その全体が、参照により本明細書に援用される。
【0054】
スキームIIaは、アミノ−フレート(2Da)の塩とアミノ置換ヒドロキシル−ベンズアミド(2C)とのカップリング反応を表しており、この反応を、2−メチル−テトラヒドロフラン(2−MeTHF)中で実施する。
【0055】
【化13】

スキームIIaに示されているカップリング反応は、
(a)遊離塩基アミノ−フラン化合物2Daを式2Dのアミノ−フラン塩化合物からから形成するステップ(式中、Rは、水素ならびに直鎖、分枝鎖および環式アルキル部分および置換直鎖、分枝鎖および環式アルキル部分から選択される1個の炭素原子から約10個の炭素原子を含む置換基から選択され、「アニオン」は、一価アニオン部分を表す)と、
(b)前記遊離塩基アミノ−フラン化合物2Daを式2Cのヒドロキシアミノベンズアミド化合物と反応させて、式Iaの化合物が得られるステップと、
(c)必要に応じて、
(i)蒸留し、続いて、n−プロパノールのアリコートを加えることにより連続サイクルで、ステップ「c」で形成された反応混合物を濃縮し、
(ii)酢酸およびn−プロパノールのアリコートをステップ[i」で形成された濃縮物に加え、
(iii)ステップ「ii」で形成された溶液を加熱し、
(iv)水のアリコートおよび式Iaの化合物を含む結晶をステップ「iii」からの温溶液に加え、
(v)所望のサイズの結晶を含むスラリーが形成されるまで、ステップ「iv」で調製された播種された溶液の温度を循環させ、
(vi)必要に応じて、ステップ「v」で調製されたスラリーから結晶を単離することにより、式Iaの化合物を沈殿させるステップとを含む方法である。
【0056】
本発明者らは、カップリング反応を2−メチルテトラヒドロフラン中で行うと、スキームIIa(ステップ「a」)に示されているヒドロキシアミノ−ベンズアミドとアミノフランとのカップリング反応が改善された不純物プロファイルで生じることを意外にも発見した。簡便に述べると、スキームIIaに示されているカップリング反応で使用されるアミノフランは、反応したアミノフランの遊離塩基形態をその対応する塩から遊離することにより得ることができる。したがって、アミノフラン遊離塩基の2−メチルテトラヒドロフラン溶液を、塩の2−メチル−テトラヒドロフラン懸濁液を水性強塩基で処理することにより得る。塩基水溶液と反応すると、アミノフランの遊離塩基形態が遊離して、2−メチルテトラヒドロフラン懸濁溶媒中に溶ける。次いで、反応混合物の有機層を、物理的手段、例えば、分離およびデカンテーションにより反応混合物から容易に分離する。アミノフランとカップリングさせるヒドロキシアミノベンズアミド(2C)を、アミノフラン遊離塩基を含有する2−メチルテトラヒドロフラン溶液に加え、加熱してカップリング反応を開始させる。反応を0℃を超える温度で、好ましくは少なくとも40℃の温度で実施することができ、より好ましくは、反応を約70℃の温度で実施する。
【0057】
一部の実施形態では、選択される制限試薬が、ヒドロキシアミノベンズアミドであることが好ましい。一部の実施形態では、好ましくは、かなりの部分の制限試薬が消費された後に、n−プロパノールのアリコートを反応混合物に加え、続いて、蒸留して反応混合物の体積を低減する。一部の実施形態では、反応混合物が、n−プロパノールをかなり含むようになるまで、したがって、結晶化により、反応混合物から式Iaの生成物化合物を分離することが容易になるまで、n−プロパノールを加え、続いて、揮発性物質を反応混合物から蒸留するサイクルを数回実施することが好ましい。この目的のために、n−プロパノールの最終アリコートおよび少量の酢酸を加えて、何らかの残留塩基を中和して、収率を最大化する。続いて、混合物を濾過し、濾液を追加のn−プロパノールで希釈し、少なくとも70℃に加熱する。水を反溶媒として、加熱された混合物に、温度を維持している間に加える。次いで、混合物を約60℃に冷却し、式Iaの化合物の種結晶を加え、混合物を、制御冷却に供して、式Iaの化合物の結晶化を促進する。
【0058】
本発明者らは、一部の実施形態では、例えば、式Iaの化合物が式Iの化合物である場合、播種された混合物の温度を周囲温度と約50℃から約60℃の温度との間で循環させることにより、形成される結晶のサイズを制御することができることを発見した。
【0059】
上記のスキームIIaに示されている合成を実施する際に使用するために、式2Cのアミノヒドロキシベンズアミド中間体化合物を簡便には、スクエア酸ジアルキル、例えば、スクエア酸ジメチルおよびスクエア酸ジエチル、好ましくは、スクエア酸ジメチルを2Bの化合物と、下記に示されているスキームIIbに従って反応させることにより調製する。
【0060】
【化14】

スキームIIbに示される反応は、
(a)(RO)CH(オルトギ酸トリアルキル)をスクエア酸(2A)と反応させることによりその場で、式2A1のスクエア酸ジアルキル化合物を形成するステップと(式中、Rは6個以下の炭素原子の直鎖または分枝鎖アルキルである)、
(b)ステップ「a」で調製された式2A1の化合物を、式2Bの2−ヒドロキシ−2−アミノ−ベンズアミド化合物の塩と反応させるステップとを含む方法である。
【0061】
意外にも、本発明者らは、スクエア酸ジアルキルをその場で、スクエア酸(化合物2A)とオルトギ酸トリアルキル[(RO)CH]との反応から生じさせることにより、スキームIIbに図式的に示されているカップリング反応を実施することができることを発見した。好ましくは、オルトギ酸トリアルキルを、オルトギ酸トリメチルおよびオルトギ酸トリエチルから、より好ましくは、オルトギ酸トリメチルから選択する。一部の実施形態では、使用されるスクエア酸の量に比較してやや過剰のオルトギ酸トリアルキルを使用することが好ましい。一部の実施形態では、約1当量のスクエア酸および約2.1当量のオルトギ酸トリアルキルを使用することが好ましい。
【0062】
必要に応じて、エステル化反応を、少量の酸を用いて触媒する。追加の酸が使用される場合、この酸は、好ましくは、トリフルオロ酢酸である。オルトギ酸トリメチルとスクエア酸との反応を触媒するためにトリフルオロ酢酸を使用する本発明の方法の一部の実施形態では、使用されるオルトギ酸トリメチルの量に対して約1モル%のトリフルオロ酢酸を使用することが好ましい。
【0063】
スクエア酸は、例えば、Aldrichから市販されている物品である。本発明者らは、スクエア酸ジアルキル(2A1)をその場でスクエア酸(2A)から生じさせることにより、中間体化合物(2C)の調製でスクエア酸ジアルキルを単離したり、取り扱うことを必要とせずに、操作される方法が可能であることを意外にも発見した。スクエア酸ジアルキルは、刺激物および皮膚増感剤であることが知られている。したがって、本発明の方法は、中間体2Cを調製する際に使用するためにその場でスクエア酸ジアルキルを生じさせることにおいて、スクエア酸ジアルキルを取り扱う必要性を排除し、これにより、方法の安全性および規模性を改善している。
【0064】
式[(RO)CH]の任意のオルトギ酸トリアルキル(式中、Rは、6個以下の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルである)が、スキームIIbに示されているスクエア酸ジアルキル合成反応のステップ1を実施するために適しており、好ましくは、反応は、オルトギ酸トリエチル(したがって、式2A1の化合物はスクエア酸ジエチルである)およびオルトギ酸トリメチル(したがって、式2A1の化合物はスクエア酸ジメチルである)から選択されるオルトギ酸トリアルキルを用いて実施され、より好ましくは、反応をオルトギ酸トリメチルを用いて実施する。本発明反応の範囲を逸脱することなく、その場でスクエア酸ジアルキルを生じさせる他の方法を使用することもできることを理解されたい。
【0065】
好ましくは、スクエア酸ジアルキルのその場での生成を、構造(RO)CHを有する還流アルコール中で実施する(式中、R−は、スクエア酸と反応させてスクエア酸ジアルキルを生じさせるために使用されるオルトギ酸トリアルキル中に存在するアルキル部分と同じであるように選択される)。したがって例えば、オルトギ酸トリエチルを使用してスクエア酸ジエチルを調製する場合、反応をエタノール中で実施することが好ましく、オルトギ酸トリメチルを使用してスクエア酸ジメチルを調製する場合、反応をメタノール中で実施することが好ましい。簡便には、スクエア酸アジアルキルのその場での生成を実施するために、これを元に選択されるアルコールはまた、その場で生じるスクエア酸ジアルキルおよび式2Bのアミノヒドロキシベンズアミド塩化合物をスキームIIbのステップ2に従ってカップリングさせることにより、式2Cの化合物の調製を実施するために適した溶媒である。したがって、簡便には、スキームIIbのステップ1に従ってスクエア酸ジアルキルをその場で製造する場合、ステップ1で調製された溶液をそのまま、ステップ2のカップリング反応で使用することができる。
【0066】
一部の実施形態では、スクエア酸ジアルキルを調製する還流期間の終了時に、反応混合物から揮発性物質を蒸留することにより、反応混合物を濃縮することが好ましい。メタノールを反応溶媒として使用する一部の実施形態では、約70℃の温度を達成するまで、反応混合物を還流させることにより、その場で調製されたスクエア酸ジアルキルを含有する溶液を濃縮することが好ましい。
【0067】
スクエア酸ジアルキルのアルコール溶液をスキームIIbのステップ1に従って調製した後に、これをそのまま、スキームIIbのステップ2に示されている式2Cの化合物の形成で使用することができる。一部の実施形態では、反応混合物を濃縮した後で、式2Cの化合物の形成を実行する調製において、スクエア酸ジアルキルを含む濃縮された溶液を追加のアルコールのアリコートを用いて6倍の体積まで希釈することが好ましい。一部の実施形態では、カップリング反応を、約30℃未満の温度で、より好ましくは約[−10℃]から約[+10℃]の温度で、より好ましくは、約[−5℃]から約[+5℃]の温度で実施することが好ましい。
【0068】
一部の実施形態では、スクエア酸ジアルキル溶液を冷却した後に、式2Bのアミノ−ヒドロキシベンズアミド塩をスクエア酸ジアルキルのアルコール溶液に、使用されるスクエア酸ジアルキルに対して約0.5当量から約1.0当量のベンズアミド塩が、好ましくは、約0.7当量のベンズアミド塩が得られる量で加えられる。一部の実施形態では、カップリング反応を有機塩基、例えば、これらに限られないが、ピリジン、ピリジン誘導体および第3級アミン、例えば、これらに限られないが、トリエチルアミンで媒介することが好ましい。好ましくは、塩基は、第3級アミンであり、より好ましくは、ジイソプロピルエチルアミンおよびトリエチルアミンから選択され、より好ましくは、塩基は、トリエチルアミンである。使用する場合には、使用されるベンズアミド塩の量に対して少なくとも約1当量、好ましくは、約1.8当量の塩基を使用することが好ましい。
【0069】
カップリング反応を媒介するためにトリエチルアミンを使用する一部の実施形態では、トリエチルアミンを反応時間のある期間にわたって、好ましくは、反応期間の約2/3にわたって、約[−5℃]から約[+5℃]の反応混合物温度を維持しながら加えることが好ましい。トリエチルアミンを利用する一部の実施形態では、反応期間後に、反応混合物に、結晶成長の核となる式2Cの化合物の固体量(solid amount)を播種し、次いで、酢酸を加え、まだ存在する何らかの塩基が中和されることを保証して、カップリングした生成物の収率を最大にすることにより、反応を後処理することが好ましい。使用する場合、加えられるトリエチルアミンのモル量の2倍当量の酢酸量を加えることが好ましい。酢酸を使用する一部の実施形態では、酸を加えた後に、反応混合物を好ましくは、少なくとも60℃に、より好ましくは、約60Cから約70℃の温度に加熱し、次いで、温度を制御段階で、好ましくは初めは、約35℃未満の温度に、より好ましくは、約25℃から約35℃の温度に低下させ、続いてある期間、反応混合物を好ましくは、約[−5℃]から約[+5℃]の温度に冷却して、式2Cの中間体化合物の結晶を沈殿させることが好ましい。
【0070】
本発明者らは、望ましくは特性、形態4の結晶を有し、図1に示されているX線粉末回折パターンを有し、スキームIIaのステップ「a」および「b」に示されている方法から生じた反応混合物から沈殿させた式Iの化合物の結晶は、標準的なフィルターセットアップで濾過した場合、スキームIIa、ステップ「c(vi)」から得られたスラリーの固有速度(specific velocity)を測定することにより測定して約8.0×1011m/kgのフィルターケーク固有抵抗を示すことを発見した。
【0071】
本発明者らは、反応混合物に、式Iの化合物の所望の結晶形(形態4)の微結晶を播種し、スキームIIaによる方法の任意選択のステップ「c」(上記)に従って、混合物を温度循環レジメに供することにより、より低いフィルターケーク固有抵抗を有する結晶を調製することができ、市場規模へ方法を容易にスケールアップすることができ、反応混合物から式Iの化合物を単離するための長い濾過時間を回避することができることを意外にも発見した。
【0072】
スキームIIaは、n−プロパノールを溶媒として、水を反溶媒として利用するが、他のアルコール、例えば、これらに限られないが、6個以下の炭素原子を有するアルコール、例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールもまた、本発明の範囲から逸脱することなく方法で使用することができることを理解されたい。さらに、反溶媒と適切な比で使用する場合、他の溶媒、例えば、これらに限られないが、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランおよびN−メチルピロリジンもまた使用することができる。
【0073】
通常、本方法で使用される溶媒と反溶媒との比は、およそ溶媒5体積%:反溶媒95体積%からおよそ溶媒98体積%:反溶媒2体積%である。一部の実施形態では、溶媒:反溶媒を1:1の体積比で、したがって、およそ溶媒50体積%:反溶媒50体積%の比を有する溶媒系を使用することが好ましい。
【0074】
理論に拘束されることは望まないが、従来の結晶化ステップ(単一の温度変移)からの結晶形4の化合物は、容易に分解して、濾過の間に効率的にフィルターを「パック」して目詰まりさせる脆い結晶構造をもたらし、したがって高いフィルターケーク固有抵抗値を有する物質をもたらす非常に広いl/d比を有すると考えられる。本方法により、生じる結晶のl/d比を低下させて、より自由に流動するフィルターケークを形成することができると考えられる。
【0075】
一部の実施形態では、本方法は、(a)式Iの化合物と、加熱すると式Iの化合物の溶液が得られるように選択された溶媒/反溶媒混合物(結晶化媒体)とを含む溶液を得るステップと;(b)式Iの化合物の存在下で媒体を加熱することにより、式Iの化合物の溶液を形成するステップと;(c)こうして生じさせた溶液を、固体が溶液から晶出し始める温度付近の温度(播種温度)まで冷却するステップと、(d)溶液に播種し、その間、播種温度で維持して、混合物を形成するステップと;(e)混合物を制御下に、式Iの化合物の結晶化が進行する温度(結晶化温度)に冷却し、ここで、冷却速度を、約0.01℃/分から約5℃/分の速度から選択して、冷却を進めるにつれてスラリーを形成するステップと;(f)こうして得られたスラリーの温度を循環させるステップとを含む。一部の実施形態では、スラリーを約0.01℃/分から約5℃/分の速度で、ステップ「b」で使用された播種温度未満の温度に加熱し、約0.01℃/分から約5℃/分の冷却サイクル速度で、ステップ「c」で達成された結晶化温度に冷却し、所望のサイズの結晶が得られるまで、この加熱および冷却速度で温度変移を繰り返すことにより、スラリーの温度を循環させて、沈殿した結晶を濾過により単離する場合に7.9×1011m/Kg未満のフィルターケーク固有抵抗を有するフィルターケークを形成し得る結晶塊を得ることが好ましい。
【0076】
一部の実施形態では、溶媒としてのn−プロパノールを、反溶媒としての水と1:1の体積比で使用することが好ましい。n−プロパノールを使用する一部の実施形態では、スキームIIaで生じさせた反応混合物を酸処理して、加えられた塩基を除去することにより、式Iの化合物の溶液を得て、次いで、揮発性物質を蒸留することにより、反応混合物を濃縮し、続いて、n−プロパノールを濃縮物に加えることが好ましい。一部の実施形態では、蒸留により濃縮し、n−プロパノールにより希釈するサイクルを、生じる溶液が主にn−プロパノールを含むようになるまで繰り返す。濃縮/希釈法を使用する一部の実施形態では、生じた溶液を70℃に加熱し、温度を維持しながら水を加えて、結晶化媒体中の式Iの化合物の溶液を得ることが好ましい。式IIの化合物の単離された固体形態から出発する場合、固体のアリコートをn−プロパノールに入れ、溶解温度で水を加えることにより、溶液を得ることができ、本発明の範囲から逸脱しないことを理解されたい。結晶化媒体中の式Iの化合物の溶液を得るためのいずれのスキームも、本発明の方法では有用であることを理解されたい。
【0077】
溶媒としてn−プロパノールを使用する一部の実施形態では、式Iの化合物の溶液を得た後に、溶液に約62℃の温度で播種することが好ましい。一部の実施形態では、スキームIIaのステップ「c(v)」での当初の冷却サイクル(式Iの溶液に播種して混合物を得た後)のために、混合物が約20℃の温度に達するまで、約0.1℃/分の冷却速度を使用することが好ましい。一部の実施形態では、播種温度未満の温度に加熱し、再び混合物を冷却することにより温度を循環させることが好ましい。一部の実施形態では、連続する加熱サイクルで使用される高温は、好ましくは53℃であり、加熱速度は好ましくは、0.5℃/分である。一部の実施形態では、連続する冷却サイクルを使用して、好ましくは0.1℃/分の冷却速度で混合物を約20℃の結晶化温度にすることが好ましい。一部の実施形態では、スキームIIaのステップ「c(v)」での加熱および冷却を少なくとも4サイクル実施することが好ましい。一部の実施形態では、スキームIIaのステップ「c(v)」での加熱および冷却を少なくとも8サイクル実施することが好ましい。
【0078】
一部の実施形態では、ある方法で生じさせた結晶の一部を、後続の方法で種結晶として使用するために取っておくことにより、種結晶を得ることが好ましい。スキームIIaを参照すると、本方法に従って調製された種結晶を使用する一部の実施形態では、少なくとも4回の加熱および冷却サイクルを使用するステップ「c(v)」を実施して、結晶を得ることが好ましい。
【0079】
本発明の方法で使用するため、式IV(i)の化合物[3−アミノ−2−ヒドロキシ−ベンズアミド]の調製は、米国特許第7,071,342号明細書(’342特許)に記載されており、例えば、23欄、3から30行参照。
【0080】
【化15】

塩酸と反応させると、式IV(i)の化合物を使用して、式2Bのアミノ−ヒドロキシベンズアミド塩化合物を得ることができる。一部の実施形態では、式IV(i)の化合物のメチル−t−ブチルエーテル/エタノール溶液を濃HClで処理することにより、式2Bの化合物を式IV(i)の化合物から生じさせることが好ましい。一部の実施形態では、ヘプタンを反溶媒として加えることにより、イソプロパノール/メチル−t−ブチルエーテル溶液から塩生成物を沈殿させることが好ましい。同じ手順を使用して生じさせる他の酸塩もまた、スキームIIbの反応で使用することができることを理解されたい。適切な塩には、これらに限られないが、塩酸塩、シュウ酸塩、p−トリスルホン酸塩、一塩基性酒石酸塩および酒石酸塩が包含される。
【0081】
次の非限定的な実施例は、本発明を例示するものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0082】
別段に規定されていない限り、全ての試薬は、商品であり、食品または医薬品グレードであり、受け取ったまま使用される。
【0083】
(実施例Ia)
スクエア酸ジメチル(2A2)のその場での調製および化合物(2B)と反応させての化合物(2Ca)の形成
【0084】
【化16】

熱電対、N入口および供給タンクを備えた50ガロンガラス反応器に、式2Aの化合物9.5kgを充填した。次いで、反応器に乾燥メタノール(カールフィッシャー滴定法「KF」は水<0.1%の存在を示す)65リットルを、続いて、オルトギ酸トリメチル20リットルおよびトリフルオロ酢酸0.2kgを充填した。反応混合物を還流加熱し、約1時間維持した。内部温度が70℃を超えるまで、反応混合物を1気圧で濃縮した。反応混合物を還流で約4時間維持し、次いで、温度を40℃と50℃との間に調節した。反応器に、乾燥メタノール26リットルを充填し、反応混合物温度を約20℃から30℃に調節した。反応器に乾燥メタノール78リットルを充填し、反応混合物温度を−5℃と5℃との間に調節した。反応器に、式2Bの化合物13.0kgを充填した。トリエチルアミン(TEA)11.1kgを反応器に4時間にわたって充填し、その間、バッチを−5℃と5℃との間に維持した。TEA充填を開始した約1時間半後に、反応混合物に、化合物2C130グラムを播種した。TEAの添加が完了した後に、反応混合物を、バッチ温度を−5℃と5℃との間に維持しながら約30分間撹拌した。酢酸12リットルを反応器に充填し、その間、バッチを−5℃と5℃との間の温度に維持した。反応混合物を60℃と70℃との間の温度に加熱し、この温度範囲で約1時間維持した。1時間後に、温度を25℃から35℃の範囲の温度に調節し、その温度範囲を約1時間維持し、次いで、温度を[−5℃]から[+5℃]の範囲の温度に約1時間にわたって調節した。反応混合物を濾過し、フィルターケークをメタノール65リットルで洗浄した。集められた固体を真空炉中、60℃から70℃に維持された炉温度で約24時間乾燥させた。収量は14.5kg、使用された式2Cの化合物の量に対して約81%であった。
HNMR(CDCN)
8.07(1H,s); 7.56(1H,d); 7.28(1H,d); 6.99(1H,t); 4.35(3H,s); 3.10(6H,s)。
【0085】
(実施例Ib)
市販のスクエア酸ジメチル(2A2)からの式(2Ca)の化合物の調製
式2A1の化合物(Aldrich、受け取ったままで使用)6.3グラムおよび式Iの化合物5.0グラムを、熱電対、N入口および付加漏斗を備えた250ml丸底フラスコに充填する。乾燥メタノール(KF<0.1%)41mlを充填する。バッチを−5℃と5℃との間の温度に調節する。約5時間にわたって、トリエチルアミン(TEA)4.9ml(0.98×)をバッチに加え、その間、バッチを−5℃と5℃との間の温度に維持する。TEAの添加が完了したら、バッチを[−5℃]から[+5℃]の温度で約1時間撹拌する。酢酸2.8mlを充填し、その間、バッチを[−5℃]と[+5℃]との間の温度に維持する。乾燥メタノールを加えることにより、バッチ体積を63mlに調節する。バッチを還流加熱し、約15分間維持する。温度を約[−5℃]と[+5℃]との間に約1時間にわたって調節する。バッチを濾過し、フィルターケークをメタノール25mlで洗浄する。バッチを真空炉中、60から70℃で少なくとも24時間乾燥させる。収量7.5g、88%。
【0086】
(実施例Ic)
市販のスクエア酸ジエチル(2A3)からの式(2Ca)の化合物の調製
【0087】
【化17】

式Iの化合物44.0kg、乾燥エタノール225kgおよび式IIの化合物41.8kgを、熱電対、N入口および供給ボトルを備えた300ガロンガラス内張反応器に充填した。バッチを0℃と10℃との間の温度に調節した。約1時間にわたって、トリエチルアミン(TEA)17.1kgをバッチに充填し、その間、バッチを0℃と10℃との間の温度に維持した。TEAの添加が完了した後に、バッチを0℃と10℃との間の温度で約3時間撹拌した。約3時間にわたって、追加のトリエチルアミン(TEA)8.2kgをバッチに充填し、その間、バッチを0℃と10℃との間の温度に維持した。TEAの添加が完了した後に、バッチを0℃と10℃との間の温度で約3時間撹拌した。酢酸19リットルを充填し、その間、バッチを0℃と10℃との間の温度に維持した。乾燥エタノールを加えることにより、バッチ体積を440リットルに調節した。バッチを還流加熱し、約15分間維持した。温度を約0℃から10℃に約2時間にわたって調節した。バッチを濾過し、フィルターケークを水中50%v/vのエタノール220リットルで洗浄した。バッチを真空炉中、50から60℃で少なくとも12時間乾燥させた。収量52kg、88%。
HNMR(CDCN)
7.61(1H,d); 7.28(1H,d); 6.96(1H,t); 4.69(2H,q); 3.10(6H,s),1.44(3H,t)。
【0088】
(実施例IIa)
2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−[[2−[[1(R)−(5−メチル−2−フラニル)プロピル]アミノ]−3,4−ジオキソ−1−シクロブテン−1−イル]アミノ]ベンズアミド一水和物(形態4)の調製
【0089】
【化18】

水30mlおよび2−メチルテトラヒドロフラン40ml中の(2D1)10.1g(1.06当量)の懸濁液に、32%水酸化ナトリウム溶液6.5mlを加えた。生じた水性層をpH紙により検査した。pHが13未満であった場合には、追加の少量の苛性アルカリ溶液を加えた。有機層を分離し、水性層を2−メチルテトラヒドロフラン20mlで抽出した。合わせた有機層を(2C)10.0g(1.0当量)と混合し、残留している出発物質が1.0%未満になるまで、懸濁液を70℃で5時間加熱した。N−プロパノール(50ml)を加えた。反応混合物の体積を、部分真空下に蒸留することにより40ml(4×)に減らし、続いて、n−プロパノール50mlを加えた。溶液の体積を再び、部分真空下に60mlに減らした。混合物を、n−プロパノールで90mlに希釈し、酢酸0.3mlを充填した。次いで、溶液を濾過した。次いで、濾液をn−プロパノールで140mlに希釈し、溶液を70℃に加熱した。水(125ml)を加え、その間、バッチ温度を70℃よりも高く維持した。溶液を62℃に冷却し、式Iの化合物(形態4、予め調製)の種200mg(0.02×)を加えた。混合物を62℃で2時間撹拌し、その後、20℃に約5時間にわたって冷却した。次いで、懸濁液を55℃に30分にわたって加温し、その後、20℃に4時間にわたって徐々に冷却した。加熱および冷却操作を数回繰り返して、所望の粒度の結晶を成長させた。懸濁液を最後に20℃に冷却し、その後、濾過した。湿潤なケークをn−プロパノールおよび水の溶媒混合物(1:1)80mlで洗浄した。ケークを50℃で12時間、またはKF分析が、水含分が4.7%未満であることを示すまで乾燥させると、白色の針状物11.5g(85%)、融点83℃が得られた。XRD分析は、固体の結晶形が、形態4の一水和物であることを示した。H NMR(DMSO−D6) δ,0.91(t,3H,J=7.3),1.84(m,1H),1.94(m,1H),2.25(s,3H),2.92(S,6H),5.13(m,1H),6.01(d,1H,J=3.1),6.25(d,1H,J=3.1),6.85(m,2H),7.78(d,1H,J=7.3),8.65(d,1H,J=8.9),9.29(br,1H),9.99(br,1H). 13C NMR(DMSO−D6): 10.26,13.32,27.18,52.78,106.42,107.52,119.77,120.76,122.18,124.42,128.64,143.25,151.31,152.06,163.41,168.27,168.52,180.17,183.95,184.71. 元素分析:C1225の計算値(一水和物415.4): C,60.71; H,6.07; N,10.11. 実測値: C,60.65; H,5.93; N,9.91。
【0090】
(実施例IIb)
2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−[[2−[[1(R)−(5−メチル−2−フラニル)プロピル]アミノ]−3,4−ジオキソ−1−シクロブテン−1−イル]アミノ]ベンズアミド一水和物(形態4)の調製
【0091】
【化19】

実施例IIaで使用されたのと同じ手順に従い、2D1 40.2kgを塩基で処理して、2D1aを製造し、続いてこれを、2Cb(スクエア酸ジエチルから予め製造)39.8kgと反応させて、表題化合物43.8kg(81%)を得た。
【0092】
(実施例III)
2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−アミノ−ベンズアミド塩の調製
3−アミノ−2−ヒドロキシ−ベンズアミドの塩酸塩、シュウ酸塩、p−トリスルホン酸塩および酒石酸塩を調製する4種の実施例を続ける。
【0093】
(実施例IIIa)
化合物2B(3−アミノ−2−ヒドロキシ−ベンズアミド(化合物(IV(i))のHCl塩)の調製
【化20】

メチルt−ブチルエーテル21mlおよびエタノール49mlの混合物中の(IV)10g(34.6mmol)の懸濁液に、エタノール中のKOEt(24%)13.7mlを、続いて、5%Pd/C(50%湿潤)0.8gを加えた。次いで、混合物を水素圧120〜150psi下に約6時間撹拌した。反応が完了したら、バッチをセライトパッドで濾過し、ケークをメチルt−ブチルエーテルおよびエタノール(1:1)の溶媒混合物80mlで洗浄した。濾液を濃HCl溶液3.7mlで処理した。次いで、バッチを減圧下に約50mlまで濃縮した。イソプロパノール(100ml)を加え、生じた溶液を真空下に40mlまで濃縮した。メチルt−ブチルエーテル(50ml)を加え、続いて、ヘプタン110mlを徐々に加えた。最後に、混合物を0℃に冷却した。濾過により固体を集め、ケークを1:1のメチルt−ブチルエーテル/EtOHの溶媒混合物20mlで洗浄した。ケークを真空炉中60℃で10時間乾燥させると、式2Bの化合物のオフホワイト色の固体7.24g(96%)が得られた。H NMR(DMSO−D6): 7.50(d,1H),6.96(dd,1H),7.17(d,1H),2.9(br,6H),10.2(br,4H),13C NMR(DMSO−D6): 147.7,121.4,125.9,120.6,128.5,127.1,167.8。
【0094】
(実施例IIIb)
3−アミノ−2−ヒドロキシ−ベンズアミドシュウ酸塩(2B2)の調製
調製実施例1でHCl塩(2B)を調製するために記載された手順に従い、化合物(IV)10g(34.6mmol)を同じ条件下に水素化し、濾過された溶液をシュウ酸3.3gで処理した。上記と同じ手順に従うと、オフホワイト色の固体8.5g(90%)が生じた。H NMR(DMSO−D6): 6.45(m,2H),6.17(dd,1H),2.70(s,6H). 5.5(大広幅,4H)。
【0095】
(実施例IIIc)
3−アミノ−2−ヒドロキシ−ベンズアミドp−トリスルホン酸塩の調製
調製実施例1でHCl塩(2B)を調製するために記載された手順に従い、化合物(IV)10gを同じ条件下に水素化し、濾液をp−トルエンスルホン酸一水和物7.9g(41.1mmol)で処理した。生じた混合物を上記の通り濃縮し、混合物をヘプタン添加後に、室温で一晩撹拌すると、オフホワイト色の固体11.4g(94%)が得られた。H NMR(DMSO−D6): 7.49(d,2H),7.29(d,1H),7.15(m,3H),6.93(dd,1H),2.90(s,6H),2.31(s,3H)。
【0096】
(実施例IIId)
3−アミノ−2−ヒドロキシ−ベンズアミド酒石酸塩の調製
調製実施例1でHCl塩(2B)を調製するために記載された手順に従い、化合物(IV)10gを同じ条件下に水素化し、濾液を酒石酸5.47g(36.5mmol)で処理した。527123−PS調製に記載されている手順と同じ手順に従うと、オフホワイト色の固体9.1g(80%)が生じた。H NMR(DMSO−D6): 8.5(br,3H),6.6(dd,2H),6.38(d,1H),4.26(s,2H),3.6(b,2H),2.96(s,6H)。
【0097】
(実施例IV)
2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−[[2−[[1(R)−[5−メチル−4−(1−メチルエチル)−2−フラニル]プロピル]−アミノ]−3,4−ジオキソ−1−シクロ−ブテン−1−イル]アミノ]−ベンズアミド(式IIの化合物)の調製
【0098】
【化21】

ステップ1:1−(4−イソプロピル−5−メチル−2−フリル)プロパン−1−オン(206)
窒素下で、2−メチル−5−プロピオニルフラン(100g、0.72モル)を0〜30℃で、塩化アルミニウム(131g、0.96モル)に滴下して加えた。生じた懸濁液を室温でさらに30分間撹拌し、次いで、0〜5℃に冷却した。1時間以内に、塩化イソプロピル(76g、0.96モル)を0〜10℃で滴下して加え、完全な変換が達成されるまで(HPLC)、混合物を撹拌した。混合物を水/氷2Lで加水分解した。水酸化ナトリウム溶液(60mL)を加えることにより、pHを1に調節し、生成物をTBME500mLに抽出した。水性層を分離し、TBME200mLで再抽出した。合わせた有機層をブライン500mLで洗浄し、蒸発させて最小体積にした。収量:黄色から茶色の液体132.5g(102%)。アッセイ(HPLC:YMC Pack Pro C18 150×4.6mm、5μm;220nm;ACN/0.05%TFA:水/0.05%TFAを23分以内に20:80から95:5へ):純度60%(面積)、RT17.2分。
【0099】
ステップ2:[1−(4−イソプロピル−5−メチル−2−フリル)プロピル]アミン(207)
窒素下に、粗製の1−(4−イソプロピル−5−メチル−2−フリル)プロパン−1−オン(100g)、ホルムアミド(100g、2.22モル)およびギ酸(28.7g、0.61モル)の混合物を、中間体N−(1−(4−イソプロピル−5−メチルフラン−2−イル)プロピル)ホルムアミドへの完全な変換が達成されるまで140℃に約2日間加熱した。混合物を20〜25℃に冷却し、メタノール400mLおよびジイソプロピルエーテル400mLで希釈した。水酸化ナトリウム水溶液(1.2kg、水中25%)を加え、混合物を、[1−(4−イソプロピル−5−メチル−2−フリル)プロピル]アミンへの完全な変換が達成されるまで約1日間還流加熱した(55〜60℃)。混合物を20〜25℃に冷却し、相を分離した。有機層をブライン400mL(水中5%)で洗浄した。合わせた水性層をジイソプロピルエーテル200mLで再抽出した。合わせた有機層を蒸発させて最小体積にした。収量:黄色から茶色の液体94.6g(45%abs(絶対)、2−メチル−5−プロピオニルフランから)。
【0100】
アッセイ(HPLC:YMC Pack Pro C18 150×4.6mm、5μm;220nm;ACN/0.05%TFA:水/0.05%TFAを23分以内に20:80から95:5へ):標準に対して純度48.5%、RT9.2分。
【0101】
ステップ3:(R)−1−(4−イソプロピル−5−メチルフラン−2−イル)プロパン−1−アミン(2S,3S)−2,3−ジヒドロキシスクシネート(208)
窒素下に、粗製の[1−(4−イソプロピル−5−メチル−2−フリル)プロピル]アミン(51g、135mmol活性な(active))を乾燥エタノール204mLに60℃で溶かした。エタノール/水(15:1)102mLの混合物中のD−(−)−酒石酸(20.3g、135mmol)溶液のうちの20%を55℃で加えた。溶液に播種した。残りの酒石酸溶液を10分以内に加えた。懸濁液を20℃に冷却し、室温で一晩撹拌した。塩を濾別し、無色の母液が得られるまで、乾燥エタノールで洗浄した。生成物を真空中50℃で一定の重量になるまで乾燥させた。収量:白色の結晶16.9g(38%abs.)。アッセイ(HPLC:YMC Pack Pro C18 150×4.6mm、5μm;220nm;ACN:0.01MのKHPOpH=2.5(HPO)を25分以内に15:85から80:20へ):95.8%(面積)、RT8.8分。
【0102】
光学純度(HPLC:Chiralcel OD−R 250×4.6mm;226nm;ACN:0.5MのNaClO 40:60):dr98:2、RT12.6分(R)、16.3分(S)。ここで、「dr」はジアステレオ異性体比を表す。
【0103】
ステップ4:2−ヒドロキシ−3−[(2−{[(1R)−1−(4−イソプロピル−5−メチル−2−フリル)プロピル]アミノ}−3,4−ジオキソシクロブト−1−エン−1−イル)アミノ]−N,N−ジメチルベンズアミド(化合物II)
窒素下に、(R)−1−(4−イソプロピル−5−メチルフラン−2−イル)プロパン−1−アミン(2S,3S)−2,3−ジヒドロキシ−スクシネート(208)(2.0g、6mmol)を水6mlおよび2−メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)8mLに20〜25℃で懸濁させた。水酸化ナトリウム水溶液(30%)1.3mLを加え、有機層を5分後に分離した。水性層をMeTHF4mLで抽出した。合わせた有機層を(209B)(1.74g、5.7mmol)に加え、MeTHF4mLを加えた。混合物を65℃に4.5時間加熱し、次いで、20〜25℃に冷却した。20〜25℃での16時間の後に、生成物が結晶化し、濾過により単離した。生成物をMeTHFで洗浄し、真空中50℃で、一定の重量になるまで乾燥させた。収量:オフホワイト色の固体として1.25g(47%)。アッセイ(NMR):純度95%。
【0104】
実施例IVのステップ4で、化合物(209A)を化合物(209B)の代わりに使用すると、この同じ手順を使用して、化合物(II)も得られるであろう。
【0105】
改善されたフィルターケーク固有抵抗を有する結晶物質をもたらす本発明の制御結晶化方法の例を続ける。これらの各実施例で、フィルターケーク固有抵抗を、次の手順に従って測定した。
【0106】
固有ケーク抵抗測定手順V(i):
加圧フィルターに、結晶スラリーを充填した。次いで、濾過を一定の圧力下に実施し、その間、濾過時間と共に濾液体積を記録した。
【0107】
ケーク形成の間、濾液体積と濾過時間との関係は、Tiller式により記載することができる:
【0108】
【化22】

[式中、μは濾液の粘度であり(lb/ft−sまたはPa・s);αは固有ケーク抵抗であり(ft、lbまたはm/kg);cは濾液単位体積当たりのフィルターに堆積した塊の固体であり(lb/ftまたはkg/m);Aは濾過面積であり(ftまたはm);gはニュートンの法則比例定数であり;pは圧力であり(lbf/ft2またはatm);Rは濾過媒体抵抗である(ft−1またはm−1)]。
【0109】
固有ケーク抵抗αは、t/V対Vの線形プロットの傾斜から算出することができる。
【0110】
(実施例V)
式Iの化合物、2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−[[2−[[1(R)−(5−メチル−2−フラニル)プロピル]アミノ]−3,4−ジオキソ−1−シクロブテン−1−イル]アミノ]−ベンズアミド一水和物(形態4)の制御結晶化
実施例Iibの一般的な手順に従い、2L丸底フラスコに、2Da1 50.01g、2Cb50.0g、n−プロパノール375mlおよびトリエチルアミン62.5mlを入れた。次いで、バッチを撹拌し、最高65℃まで3時間加熱した。反応が完了した後に、バッチを25℃に冷却し、濾過した。濾液を集め、酢酸20mlを加えた。次いで、バッチ体積をn−プロパノールで540mlに調節した。
【0111】
(実施例Va)
再結晶化手順
反応混合物を2つの等分の部分に分けた。第1の部分を70℃に加熱した。精製水(183mL)を第1の部分に徐々に加え、その間、温度を70℃で維持した。次いで、混合物を62℃に徐々に冷却し、形態4の種を播種した。62℃で1時間保持した後に、バッチを20℃まで速度−0.1℃/分で冷却した。次いで、バッチを53℃と20℃との間で、加熱速度0.5℃/分および冷却速度−0.1℃/分で4回温度循環させた。次いで、バッチを単離し、湿潤なケークをn−プロパノール/水混合物で洗浄し、完全真空下に50℃で14時間乾燥させた。乾燥生成物20.16gが得られた。PXRD結果は、乾燥生成物が結晶形4物質であることを示した。こうして生じさせた結晶生成物は、上記フィルター抵抗検査を実施すると、フィルターケーク固有抵抗6.4×1011m/Kgを有することが判明した。
【0112】
(実施例Vb)
温度循環手順
実施例Vaからの反応混合物の第2の部分を、第1の部分と同じ手順に供したが、しかしながら、このバッチを、4回ではなく8回の温度循環に供した。乾燥生成物28.99gの収量が得られた。こうして生じさせた結晶生成物は、上記フィルター抵抗検査を実施すると、フィルターケーク固有抵抗2.5×1011m/Kgを有することが判明した。
【0113】
(実施例Vc)
温度循環手順
実施例Vbの手順に従って得られた式Iの化合物の部分(20.9g)を、70℃に加熱されたn−プロパノール250.8mlおよび精製水229.9mlに溶かした。この溶液を60℃に冷却し、形態4の一水和物の結晶を播種した。播種された溶液を60℃で1時間保持し、20℃に0.1℃/分の速度で冷却した。最初の冷却期間の後に、バッチ温度を、43℃と20℃との間で、19サイクル循環させて、粒度を高めた。生じた結晶を単離し、n−プロパノール/水溶媒混合物で洗浄した。湿潤なケークを完全真空下に50℃で4時間乾燥させた。乾燥生成物17.8gが得られた。こうして生じさせた結晶生成物は、上記フィルター抵抗検査を実施すると、フィルターケーク固有抵抗1.99×1011m/Kgを有することが判明した。
【0114】
本発明の上記記載は、説明を意図しており、制限は意図していない。当業者であれば、本明細書に記載されている実施形態の様々な変化または変更を思いつくであろう。本発明の範囲または意図から逸脱することなく、これらの変化を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の固有ケーク抵抗測定手順「V(i)」に従って測定した場合に7.9×1011m/Kg未満のフィルターケーク固有抵抗をもたらす式Iの化合物
【化23】

の一水和物形4の結晶塊を得る方法であって、前記方法は:
(a)溶媒および反溶媒の混合物中で、選択された前記溶媒/反溶媒系により与えられる式Iの化合物の溶解温度で、式Iの化合物の溶液を得るステップと、
(b)ステップ「a」からの前記溶液を、式Iの化合物の核形成がステップ「a」で選択された前記溶媒/反溶媒混合物中で始まる温度のすぐ上の温度に冷却し、バッチに式Iの化合物の一水和物形4の固体結晶形を播種して、混合物を形成するステップと、
(c)約0.01℃/分から約5℃/分の冷却速度を使用して、ステップ「a」で溶解させた式Iの化合物の実質的に全てがスラリー中で結晶化する温度まで、ステップ「b」からの前記混合物を冷却するステップと、
(d)ステップ「c」からの前記スラリーを約0.01℃/分から約5℃/分の速度で、ステップ「b」で使用された播種温度未満の温度まで加熱し、前記加熱されたスラリーを約0.01℃/分から約5℃/分の速度でステップ「c」で達成された結晶化温度付近の温度に冷却することにより、ステップ「c」からの前記スラリーの温度を循環させ、所望の断面の結晶が得られるまで繰り返して、沈殿させた結晶を濾過により単離する場合に7.9×1011m/Kg未満のフィルターケーク固有抵抗を得るステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記溶媒が、6個以下の炭素原子を有するアルコール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリジンまたはその2種以上の混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、3個以下の炭素原子を有するアルコールである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒がn−プロパノールである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記反溶媒が水である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステップ「a」で使用される式Iの化合物を含む前記溶液を、
(a)(R−O−)CHをスクエア酸と反応させることによりその場で、式A1のスクエア酸ジアルキル
【化24】

を形成するステップであって、式中、Rは、10個までの炭素原子の直鎖、分枝鎖および環式アルキルから選択される、ステップと、
(b)式Cの化合物
【化25】

を、式Dの遊離塩基アミノ−フラン化合物
【化26】

と反応させて、式Iの化合物を得るステップであって、式中、Rは、上記で定義される通りである、ステップと、
(c)
(1)蒸留し、続いて、n−プロパノールのアリコートを加えることにより、ステップ「c」で形成された前記反応混合物を連続サイクルで濃縮し、
(2)酢酸およびn−プロパノールのアリコートを、ステップ「1」で形成された前記濃縮物に加え、
(3)ステップ「2」で形成された前記溶液を加熱することにより、式Iの化合物のn−プロパノール溶液を得るステップと
を含む過程により得る、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記反溶媒が水であり、これをn−プロパノールおよそ5体積%:水95体積%からn−プロパノールおよそ98体積%:水2体積%の溶媒:反溶媒比が得られる量で使用する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ「a」で使用される溶媒:反溶媒の前記体積比が、1:1のn−プロパノール:水である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ「a」で使用される前記溶解温度が約70℃である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶液をステップ「b」で冷却する、核形成のすぐ上の前記温度が62℃である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ「b」で調製された前記播種混合物をステップ「c」で、約20℃の温度に約0.01℃/分の速度で冷却する、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記混合物を約53℃の温度に、約0.5℃/分の速度で加熱する加熱サイクルおよび前記混合物を約20℃/分の温度に、0.1℃/分の速度で冷却する冷却サイクルを使用することにより、ステップ「d」を実施する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ「b」で前記溶液に播種するために使用される前記結晶が、少なくとも4回の加熱/冷却サイクルを有するステップ「d」を使用して請求項1に記載の方法により予め調製された、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ「d」において、少なくとも4回の加熱/冷却サイクルを行う、請求項1および8から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
少なくとも8回の加熱/冷却サイクルがステップ「d」で行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
図1のPXRDパターンおよび7.9×1011m/Kg未満のフィルターケーク固有抵抗を有する、請求項1に記載の方法により調製された結晶塊。
【請求項17】
6.4×1011m/Kg未満のフィルターケーク固有抵抗を有する、請求項16に記載の結晶塊。
【請求項18】
2.5×1011m/Kg未満のフィルターケーク固有抵抗を有する、請求項16に記載の結晶塊。
【請求項19】
2.5×1011m/Kg未満のフィルターケーク固有抵抗を有する、請求項16に記載の結晶塊。

【図1】
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【公表番号】特表2010−532357(P2010−532357A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514859(P2010−514859)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/008188
【国際公開番号】WO2009/005802
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】