説明

1,2,4,5−置換フェニル誘導体とその製造方法、及びそれらを構成成分とする有機電界発光素子

【課題】有機電界発光素子の低消費電力化を可能にする1,2,4,5−置換フェニル誘導体と、それを電子輸送材とする長寿命を備えた有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】下記


で代表される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を製造し、これを有機電界発光素子の構成成分として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,2,4,5−置換フェニル誘導体とその製造方法に関するものである。本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体は、良好な電荷輸送特性を持ち、安定な薄膜を形成することから、蛍光又は燐光有機電界発光素子の構成成分として有用である。
【0002】
また、本発明は1,2,4,5−置換フェニル誘導体を有機電界発光素子の有機化合物層の少なくとも一層に用いた、駆動性及び発光性に優れた高効率有機電界発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0003】
有機電界発光素子は、発光材料を含有する発光層を、正孔輸送層と電子輸送層で挟み、さらにその外側に陽極と陰極を取付け、発光層に注入された正孔及び電子の再結合により生ずる励起子が失活する際の光の放出(蛍光又は燐光)を利用する素子であり、ディスプレー等へ応用されている。
【0004】
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体は新規であり、1,2,4,5位のフェニル基上に、ピリジル置換フェニレン基又はフェニル置換ピリジレン基を有することを特徴とする。
【0005】
最近、1,2,4,5−置換フェニル誘導体として、ビピリジル基を導入した化合物を有機電界発光素子に用いる例(例えば、特許文献1参照)が開示されているが、ビピリジル基の結合が、フェニル基の1,2,4,5位に限定されておらず、ビピリジル基の置換がフェニル基に限定されていない。またビピリジル基に限定されており本発明の誘導体は含まれない。
【0006】
さらに、1,2,4,5−置換フェニル誘導体が有機電界発光素子に用いられている例(例えば、特許文献2参照)が開示されているが、これらは発光効率の向上のみが議論されているだけで、有機電界発光素子に必要な低消費電力・長寿命が示されておらず効果が限定的である。更に本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体は含まれていない。
【0007】
さらに、フェニル基とピリジル基を組み合わせた誘導体を有機電界発光素子に用いた例(例えば、特許文献3〜7参照)があるが、素子性能向上の効果が不十分であり、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体とは異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2009−151039号公報
【特許文献2】WO2009−081873号公報
【特許文献3】特開2008−63232号公報
【特許文献4】特開2003−336043号公報
【特許文献5】特開2007−015993号公報
【特許文献6】特開2005−255986号公報
【特許文献7】特開2008−127326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有機電界発光素子は様々な表示機器に利用されているが、電源供給に制限のある携帯機器への有機電界発光素子の利用に関しては、より低消費電力を達成することが求められている。また、同時に有機電界発光素子の商業利用を行う際には、安定した性能を得るために素子寿命をどのように伸長するかが問題となる。
【0010】
特に電子輸送材料については、素子を低電圧で駆動せしめ消費出力を低減させるための優れた電荷注入及び輸送特性と、素子の長寿命化を可能にする耐久性を併せ持った材料は、従来の化合物の中には見出すことができず、新たな材料が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、1,2,4,5位のフェニル基上に、ピリジル置換フェニレン基又はフェニル置換ピリジレン基が結合した誘導体が優れた電荷注入及び輸送特性を有することを見出した。この1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)〜(4)は、真空蒸着等の一般的な方法で薄膜形成が可能であり、またこれらを電子輸送層として用いた有機電界発光素子が、汎用の有機電界発光素子に比べて消費電力の低減、及び長寿命化が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体に関するものである。
【0015】
また、一般式(2)
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜Xは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、XとX、XとX、XとX、XとXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体に関するものである。
【0018】
また、一般式(3)
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体に関するものである。
【0021】
また、一般式(4)
【0022】
【化4】

【0023】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X、X〜X、X〜X12、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体に関するものである。
【0024】
また、本発明は一般式(5)
【0025】
【化5】

【0026】
(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。)で示される化合物と、一般式(6−1)
【0027】
【化6】

【0028】
(式中、R〜R、R19〜R22は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(6−2)
【0029】
【化7】

【0030】
(式中、R〜R10、R23〜R26は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(6−3)
【0031】
【化8】

【0032】
(式中、R11〜R14、R27〜R30は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(6−4)
【0033】
【化9】

【0034】
(式中、R15〜R18、R31〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0035】
【化10】

【0036】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法に関するものである。
【0037】
また、一般式(5)
【0038】
【化11】

【0039】
(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。)で示される化合物と、一般式(7−1)
【0040】
【化12】

【0041】
(式中、R〜R、R15〜R19は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(7−2)
【0042】
【化13】

【0043】
(式中、R〜R、R20〜R24は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(7−3)
【0044】
【化14】

【0045】
(式中、R〜R11、R25〜R29は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(7−4)
【0046】
【化15】

【0047】
(式中、R12〜R14、R30〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(2)
【0048】
【化16】

【0049】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜Xは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、XとX、XとX、XとX、XとXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法に関するものである。
【0050】
また、一般式(5)
【0051】
【化17】

【0052】
(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。)で示される化合物と、一般式(8−1)
【0053】
【化18】

【0054】
(式中、R〜R、R19〜R22は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(8−2)
【0055】
【化19】

【0056】
(式中、式中、R〜R10、R23〜R26は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(8−3)
【0057】
【化20】

【0058】
(式中、式中、R11〜R14、R27〜R30は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(8−4)
【0059】
【化21】

【0060】
(式中、式中、R15〜R18、R31〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(3)
【0061】
【化22】

【0062】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法に関するものである。
【0063】
また、一般式(5)
【0064】
【化23】

【0065】
(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。)で示される化合物と、一般式(9−1)
【0066】
【化24】

【0067】
(式中、R〜R、R15〜R19は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X〜Xは窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜Xのそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(9−2)
【0068】
【化25】

【0069】
(式中、R〜R、R20〜R24は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X〜Xは窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜Xのそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(9−3)
【0070】
【化26】

【0071】
(式中、R〜R11、R25〜R29は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X13〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(9−4)
【0072】
【化27】

【0073】
(式中、R12〜R14、R30〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X〜X12は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X12のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(4)
【0074】
【化28】

【0075】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X、X〜X、X〜X12、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法に関するものである。
【0076】
また、一般式(10)
【0077】
【化29】

【0078】
(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物と、一般式(11−1)
【0079】
【化30】

【0080】
(式中、R〜R、R19〜R22は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(11−2)
【0081】
【化31】

【0082】
(式中、R〜R10、R23〜R26は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(11−3)
【0083】
【化32】

【0084】
(式中、R11〜R14、R27〜R30は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(11−4)
【0085】
【化33】

【0086】
(式中、R15〜R18、R31〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0087】
【化34】

【0088】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法に関するものである。
【0089】
また、一般式(10)
【0090】
【化35】

【0091】
(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物と、一般式(12−1)
【0092】
【化36】

【0093】
(式中、R〜R、R15〜R19は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(12−2)
【0094】
【化37】

【0095】
(式中、R〜R、R20〜R24は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(12−3)
【0096】
【化38】

【0097】
(式中、R〜R11、R25〜R29は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(12−4)
【0098】
【化39】

【0099】
(式中、R12〜R14、R3034は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(2)
【0100】
【化40】

【0101】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜Xは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、XとX、XとX、XとX、XとXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法に関するものである。
【0102】
また、一般式(10)
【0103】
【化41】

【0104】
(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物と、一般式(13−1)
【0105】
【化42】

【0106】
(式中、R〜R、R19〜R22は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(13−2)
【0107】
【化43】

【0108】
(式中、R〜R10、R23〜R26は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(13−3)
【0109】
【化44】

【0110】
(式中、R11〜R14、R27〜R30は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(13−4)
【0111】
【化45】

【0112】
(式中、R15〜R18、R31〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(3)
【0113】
【化46】

【0114】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法に関するものである。
【0115】
また、一般式(10)
【0116】
【化47】

【0117】
(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物と、一般式(14−1)
【0118】
【化48】

【0119】
(式中、R〜R、R15〜R19は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X〜Xは窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜Xのそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(14−2)
【0120】
【化49】

【0121】
(式中、R〜R、R20〜R24は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X〜Xは窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜Xのそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(14−3)
【0122】
【化50】

【0123】
(式中、R〜R11、R25〜R29は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表すYは脱離基を表す。X13〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(14−4)
【0124】
【化51】

【0125】
(式中、R12〜R14、R30〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X〜X12は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X12のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(4)
【0126】
【化52】

【0127】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X、X〜X、X〜X12、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法に関するものである。
【0128】
さらに本発明は、一般式(1)
【0129】
【化53】

【0130】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を構成成分とする有機電界発光素子に関するものである。
【0131】
また、本発明は一般式(2)
【0132】
【化54】

【0133】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜Xは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、XとX、XとX、XとX、XとXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を構成成分とする有機電界発光素子に関するものである。
【0134】
また、本発明は一般式(3)
【0135】
【化55】

【0136】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を構成成分とする有機電界発光素子に関するものである。
【0137】
また、本発明は一般式(4)
【0138】
【化56】

【0139】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X、X〜X、X〜X12、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を構成成分とする有機電界発光素子に関するものである。
【0140】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0141】
一般式(1)〜(4)で示される化合物は、好ましくはRからR34が水素原子あるいはメチル基の場合であり、更に好ましくは全て水素原子の場合である。
【0142】
一般式(1)〜(4)中に記載のR〜R34における炭素数1から6のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンタン−1−イル基、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル基、ヘキサン−1−イル基等が挙げられる。一般式(1)〜(4)中に記載のRからR34における炭素数1から6のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンタノキシ基、ヘキサノキシ基等を挙げることができる。以上に挙げた置換基はRからR34に任意の位置に任意の置換基を選択することができる。
【0143】
なお、一般式(1)〜(4)で示される化合物は、ベンゼン環の1,2,4,5位全てに同一のピリジル置換フェニレン基又はフェニル置換ピリジレン基が結合している場合が有機電界発光素子の性能が良い点で好ましい。
【0144】
一般式(1)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の具体的化合物例として以下の(A1)〜(A29)に挙げるが、本発明の化合物をこれらに限定するものではない。
【0145】
【化57】

【0146】
【化58】

【0147】
【化59】

【0148】
一般式(2)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の具体的化合物例として以下の(B1)〜(B20)に挙げるが、本発明の化合物をこれらに限定するものではない。
【0149】
【化60】

【0150】
【化61】

【0151】
一般式(3)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の具体的化合物例として以下の(C1)〜(C29)に挙げるが、本発明の化合物をこれらに限定するものではない。
【0152】
【化62】

【0153】
【化63】

【0154】
【化64】

【0155】
また、一般式(4)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の具体的化合物例として以下の(D1)〜(D32)に挙げるが、本発明の化合物をこれらに限定するものではない。
【0156】
【化65】

【0157】
【化66】

【0158】
【化67】

【0159】
次に、本発明の製造方法について説明する。
【0160】
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)は、次の反応式で示される方法で製造することができる。
【0161】
【化68】

【0162】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)
以下、本反応について具体例を出して説明するが、本発明をこれらに限定するものではない。
【0163】
化合物(6−1)〜(6−4)におけるMの例としては、ZnR35、MgR36、Sn(R37、B(OR38等が挙げられる。但し、R35及びR36は、各々独立に塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、R37は、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、R38は水素原子、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(OR38の2つのR38は同一又は異なっていてもよい。又、2つのR38は一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。
【0164】
化合物(6−1)〜(6−4)におけるB(OR38としては、B(OH)、B(OMe)、B(OPr)、B(OBu)、B(OPh)等が例示できる。又、2つのR38が一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成した場合のB(OR38の例としては、次の(I)から(VI)で示される基が例示でき、収率がよい点で(II)で示される基が好ましい。
【0165】
【化69】

【0166】
化合物(5)におけるY〜Yで表される脱離基としては、塩素基、臭素基、ヨウ素基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ(OTf)基、メタンスルホニルオキシ(OMs)基、クロロメタンスルホニルオキシ基及びp−トルエンスルホニルオキシ(OTs)基等を挙げることができる。これらの脱離基は反応の選択性を持たせるため、Y〜Yの異なる位置に異なる置換基を適宜選択することが可能である。
【0167】
以下に化合物(5)の例として、次のE1〜E289(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0168】
【化70】

【0169】
【化71】

【0170】
【化72】

【0171】
【化73】

【0172】
【化74】

【0173】
【化75】

【0174】
【化76】

【0175】
【化77】

【0176】
【化78】

【0177】
【化79】

【0178】
【化80】

【0179】
【化81】

【0180】
「工程1」は化合物(6−1)〜(6−4)を、場合によっては塩基の存在下に、パラジウム触媒あるいはニッケル触媒の存在下に化合物(5)と反応させ、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)を得る方法であり、鈴木−宮浦反応、根岸反応、玉尾−熊田反応、スティレ反応等の、一般的なカップリング反応の反応条件を適用することにより、収率よく目的物を得ることができる。
【0181】
「工程1」で用いることのできるパラジウム触媒としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム等の塩を例示することができる。さらに、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及びジクロロ(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム等の錯化合物を例示することができる。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は反応収率がよい点で好ましい。
【0182】
なお、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。この際用いることのできる第三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリス(2,5−キシリル)ホスフィン、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル等が例示できる。入手容易であり、反応収率がよい点で、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルが好ましい。
【0183】
第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。また、ニッケル触媒としては[1,1’ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,1’ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド等が挙げられる
「工程1」で用いることのできる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、収率がよい点でリン酸三カリウムが望ましい。塩基と化合物(6−1)、(6−2)、(6−3)又は(6−4)とのモル比は、1:2から10:1が望ましく、収率がよい点で1:1から3:1がさらに望ましい。
【0184】
「工程1」で用いる化合物(5)と化合物(6−1)、(6−2)、(6−3)又は(6−4)とのモル比は、1:5から2:1が望ましく、収率がよい点で1:2から2:1がさらに望ましい。また、化合物(6−1)、(6−2)、(6−3)又は(6−4)は同一であっても相異なっていてもよく、場合によっては中間体を単離して順次反応させても、単離せずに順次加えていってもよい。
【0185】
「工程1」で用いることのできる溶媒として、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノール、メタノール又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。収率がよい点でトルエン及びエタノールの混合溶媒を用いることが望ましい。
【0186】
「工程1」は、0℃から150℃から適宜選ばれた温度で実施することができ、収率がよい点で60℃から100℃で行うことがさらに望ましい。
【0187】
化合物(1)は、「工程1」の終了後に通常の処理をすることで得られる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0188】
また、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(2)〜(4)についても、以下の「工程2」〜「工程4」で表される反応式で製造することが可能である。
【0189】
【化82】

【0190】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜Xは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、XとX、XとX、XとX、XとXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)
【0191】
【化83】

【0192】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)
【0193】
【化84】

【0194】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X、X〜X、X〜X12、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)
これらの工程2〜4の反応は、1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)の合成方法である「工程1」と同様な手法を用いて合成することが可能である。
【0195】
さらに、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)〜(4)は、次の「工程5」〜「工程8」で示す方法によっても製造することができる。
【0196】
【化85】

【0197】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。Yは脱離基を表す。)
【0198】
【化86】

【0199】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜Xは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、XとX、XとX、XとX、XとXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。Yは脱離基を表す。)
【0200】
【化87】

【0201】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。Yは脱離基を表す。)
【0202】
【化88】

【0203】
(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X、X〜X、X〜X12、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。Yは脱離基を表す。)
化合物(10)におけるZ〜Zで表される金属基又はヘテロ原子基としては、Sn(R37、B(OR38等が挙げられる。但し、R37は、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、R38は水素原子、炭素数1から4のアルキル基又はフェニル基を表し、B(OR38の2つのR38は同一又は異なっていてもよい。又、2つのR38は一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成することもできる。
【0204】
化合物(10)におけるB(OR38としては、B(OH)、B(OMe)、B(OPr)、B(OBu)、B(OPh)等が例示できる。又、2つのR38が一体となって酸素原子及びホウ素原子を含んで環を形成した場合のB(OR38の例としては、次の(I)から(VI)で示される基が例示でき、収率がよい点で(II)で示される基が好ましい。
【0205】
【化89】

【0206】
化合物(11)〜(14)におけるYで表される脱離基としては、塩素基、臭素基、ヨウ素基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、クロロメタンスルホニルオキシ基及びp−トルエンスルホニルオキシ等を挙げることができる。
【0207】
「工程5」〜「工程8」は、「工程1」と同様な反応条件を用いることができる。また、化合物(1)〜(4)は、「工程5」〜「工程8」の終了後に通常の処理をすることで得られる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0208】
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)〜(4)を構成成分とする有機電界発光素子の製造方法に特に限定はないが、真空蒸着法による成膜が可能である。真空蒸着法による成膜は、汎用の真空蒸着装置を用いることにより行うことができる。真空蒸着法で膜を形成する際の真空槽の真空度は、有機電界発光素子作製の製造タクトタイムや製造コストを考慮すると、一般的に用いられる拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ等により到達し得る1×10−2〜1×10−5Pa程度が好ましい。蒸着速度は、形成する膜の厚さによるが0.005〜1.0nm/秒が好ましい。
【0209】
また、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)〜(4)は、汎用の装置を用いたスピンコート法、インクジェット法、キャスト法又はディップ法等による成膜も可能である。
【発明の効果】
【0210】
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)〜(4)は、良好な電荷注入、輸送特性を持つことから、蛍光又は燐光有機電界発光素子の材料として有用であり、とりわけホスト材や電子輸送材等として用いることができる。
【0211】
また、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)〜(4)のバンドギャップは3.2eV以上であり、パネルを構成する3原色(赤:1.9eV、緑:2.4eV、青:2.8eV)の各色のエネルギーを閉じ込めるのに十分なワイドバンドギャップ材料である。よって、単色の表示素子、3原色のカラー表示素子、照明用途などの白色素子など様々な素子への応用が可能である。さらに置換基の変更によって溶解性の制御も可能であるため、蒸着素子ばかりでなく塗布素子への応用も可能である。蛍光又は燐光有機電界発光素子を低電圧で駆動せしめ消費出力を低減すること、及び各素子の寿命を伸長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】試験例−1で作製する有機電界発光素子の断面図である。
【実施例】
【0213】
以下、実験例及び試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0214】
実施例−1
【0215】
【化90】

【0216】
アルゴン気流下、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン1.00g(2.5mmol)、4−(2−ピリジル)フェニルボロン酸4.04g(20mmol)、酢酸パラジウム28.5mg(0.13mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル121mg(0.25mmol)、リン酸三カリウム5.39g(25mmol)を10mLのトルエン、1mlの水に溶解し、加熱還流下で44時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノールで希釈し、固体をろ別した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム:ヘキサン=2:1〜1:0)で精製し、目的の4,4’’−ジ(2−ピリジル)−4’,5’−ビス[4−(2−ピリジル)フェニル]−1,1’;2’,1’’−ターフェニルの白色固体(収量1.38g、収率79%)を得た。
【0217】
H−NMR(CDCl):δ7.21−7.53(m,4H),7.44(d,J=8.44Hz,8H),7.69(s,2H),7.53−7.79(m,8H),7.94(d,J=8.48Hz,8H),8.70(d,J=4.56Hz,4H).
実施例−2
【0218】
【化91】

【0219】
アルゴン気流下、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン1.00g(2.5mmol)、4−(ピリジン−3−イル)フェニルボロン酸4.04g(20mmol)、酢酸パラジウム28.5mg(0.13mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル121mg(0.25mmol)、リン酸三カリウム5.39g(25mmol)を20mLのジオキサン、6mlの水に溶解し、加熱還流下で21時間攪拌した。室温まで冷却後、水で希釈し、固体をろ別した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム)で精製し、目的の4,4’’−ジ(3−ピリジル)−[4−(3−ピリジル)フェニル]−1,1’;2’,1’’−ターフェニルの白色固体(収量1.35g、収率77%)を得た。
【0220】
H−NMR(CDCl):δ7.46(d,J=8.28Hz,8H),7.48−7.56(m,4H),7.57(d,J=8.32Hz,8H),7.69(s、2H),8.07(d,J=7.12Hz,4H),8.63(dd,J=1.48,4.96Hz,4H),8.92(d,J=1.96Hz,4H).
実施例−3
【0221】
【化92】

【0222】
アルゴン気流下、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン65.9mg(0.17mmol)、4−(4−ピリジル)フェニルボロン酸200mg(1.01mmol)、酢酸パラジウム1.88mg(0.0084mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル8.60mg(0.021mmol)、リン酸三カリウム640mg(3.02mmol)、を100mLのトルエンに溶解し、過熱還流下で48時間攪拌した。室温まで冷却後、300mLのクロロホルムで希釈し、固体をろ別した。有機層を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム:メタノール=99:1〜20:1)で精製し、目的の4,4’’−ジ(4−ピリジル)−4’,5’−ビス[4−(4−ピリジル)フェニル]−1,1’;2’,1’’−ターフェニルの白色固体(収量20mg、収率17%)を得た。
【0223】
H−NMR(CDCl):δ7.52(s,2H),7.54(d,J=6.21Hz,8H),7.65(d,J=8.28Hz,8H),7.85(d,J=8.28Hz,8H),8.68(d,J=6.21Hz,8H).
実施例−4
【0224】
【化93】

【0225】
アルゴン気流下、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン0.50g(1.3mmol)、3−(2−ピリジル)フェニルボロン酸2.02g(10mmol)、酢酸パラジウム14.3mg(0.06mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル60.5mg(0.13mmol)、リン酸三カリウム2.70g(13mmol)を10mLのトルエン、2mlの水に溶解し、加熱還流下で48時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノールで希釈し、固体をろ別した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム)で精製し、目的の3,3’’−ジ(2−ピリジル)−4’,5’−ビス[3−(2−ピリジル)フェニル]−1,1’;2’,1’’−ターフェニルの白色固体(収量0.83g、収率95%)を得た。
【0226】
H−NMR(CDCl):δ7.17−7.25(m,4H),7.30(d,J=7.76Hz,4H),7.36(t,J=7.62Hz,4H),7.55(d,J=8.00Hz,4H),7.69(t,J=7.72Hz,4H),7.79(s,2H),7.93(d,J=7.92Hz,4H),8.02(s,4H).
実施例−5
【0227】
【化94】

【0228】
アルゴン気流下、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン0.50g(1.3mmol)、2−(4−メチルフェニル)ピリジン−5−イルボロン酸2.16g(10.2mmol)、酢酸パラジウム14.3mg(0.06mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル60.5mg(0.13mmol)、リン酸三カリウム2.70g(13mmol)を20mLのトルエン、2mlの水に溶解し、加熱還流下で72時間攪拌した。その後水を加え、クロロホルムで抽出後、溶媒を減圧除去した。析出した固体を25mlのo−キシレンで再結晶し、目的の1,2,4,5−テトラキス[2−(4−メチルフェニル)ピリジン‐5−イル]ベンゼンの白色固体(収量901mg、収率95%)を得た。
【0229】
H−NMR(CDCl):δ2.44(s,12H),7.30(d,J=8.28Hz,8H),7.63(d,J=8.24Hz,4H),7.68(d,J=8.40Hz,4H),7.69(s,2H),7.91(d,J=8.20Hz、8H),8.67(s,4H).
試験例−1
基板には、2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、断面図を図1に示すような発光面積4mm有機電界発光素子を作製した。
【0230】
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10−4Paまで減圧した。その後、図1の1で示す前記ガラス基板上に有機化合物層として、正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5を順次成膜し、その後陰極層6を成膜した。正孔注入層2としては、昇華精製したフタロシアニン銅(II)を25nmの膜厚で真空蒸着した。正孔輸送層3としては、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)を45nmの膜厚で真空蒸着した。発光層4としては、2―t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)と4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニルエテン−1−イル]ビフェニル(DPAVBi)を97:3(質量%)の割合で40nmの膜厚で真空蒸着した。電子輸送層5としては、本発明の実施例−1で合成した4,4’’−ジ(2−ピリジル)−4’,5’−ビス[4−(2−ピリジル)フェニル]1,1’;2’,1’’−ターフェニルを20nmの膜厚で真空蒸着した。
【0231】
なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜し、加熱した化合物を0.3〜0.5nm/秒の成膜速度で真空蒸着した。最後に、ITOストライプと直交するようにメタルマスクを配し、陰極層6を成膜する。陰極層6は、フッ化リチウムとアルミニウムをそれぞれ1.0nmと100nmの膜厚で真空蒸着し、2層構造とした。それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと前記成膜基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
【0232】
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度20mA/cmを流した時の電圧(V)、輝度(cd/m)、電流効率(cd/A)、電力効率(lm/W)を測定し、連続点灯時の輝度半減時間を測定した。
【0233】
作製した素子の測定値は、3.8V、2070cd/m、10.4cd/A、8.5lm/Wであった。また、この素子の輝度半減時間は、1550時間であった。
【0234】
比較例−1
試験例−1の電子輸送層5に代えて、既存材料のトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq)を20nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を、試験例1と同様に作製した。
【0235】
作製した素子の測定値は、6.4V、1664cd/m、8.3cd/A、4.1lm/Wであった。またこの素子の輝度半減時間は、1500時間であった。
【産業上の利用可能性】
【0236】
本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)〜(4)を用いた蛍光又は燐光有機電界発光素子は、既存材料を用いた素子に比較して、低消費電力化、長寿命化を達成できることを確認した。また、本発明の1,2,4,5−置換フェニル誘導体(1)〜(4)は、本実施例の電子輸送層以外にも、他の蛍光発光材料や燐光材料を用いた有機電界発光素子への適用も可能である。さらに、フラットパネルディスプレイなどの用途以外にも、低消費電力と長寿命の両立が求められる照明用途などにも有用である。
【符号の説明】
【0237】
1.ITO透明電極付きガラス基板
2.正孔注入層
3.正孔輸送層
4.発光層
5.電子輸送層
6.陰極層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体。
【請求項2】
一般式(2)
【化2】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜Xは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、XとX、XとX、XとX、XとXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体。
【請求項3】
一般式(3)
【化3】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体。
【請求項4】
一般式(4)
【化4】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X、X〜X、X〜X12、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体。
【請求項5】
一般式(5)
【化5】

(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。)で示される化合物と、一般式(6−1)
【化6】

(式中、R〜R、R19〜R22は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(6−2)
【化7】

(式中、R〜R10、R23〜R26は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(6−3)
【化8】

(式中、R11〜R14、R27〜R30は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(6−4)
【化9】

(式中、R15〜R18、R31〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化10】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法。
【請求項6】
一般式(5)
【化11】

(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。)で示される化合物と、一般式(7−1)
【化12】

(式中、R〜R、R15〜R19は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(7−2)
【化13】

(式中、R〜R、R20〜R24は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(7−3)
【化14】

(式中、R〜R11、R25〜R29は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(7−4)
【化15】

(式中、R12〜R14、R30〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(2)
【化16】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜Xは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、XとX、XとX、XとX、XとXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法。
【請求項7】
一般式(5)
【化17】

(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。)で示される化合物と、一般式(8−1)
【化18】

(式中、R〜R、R19〜R22は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(8−2)
【化19】

(式中、R〜R10、R23〜R26は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(8−3)
【化20】

(式中、R11〜R14、R27〜R30は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物及び、一般式(8−4)
【化21】

(式中、R15〜R18、R31〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。)示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(3)
【化22】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法。
【請求項8】
一般式(5)
【化23】

(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Y〜Yは各々独立に脱離基を表す。)で示される化合物と、一般式(9−1)
【化24】

(式中、R〜R、R15〜R19は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X〜Xは窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜Xのそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(9−2)
【化25】

(式中、R〜R、R20〜R24は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X〜Xは窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜Xのそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(9−3)
【化26】

(式中、R〜R11、R25〜R29は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X13〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(9−4)
【化27】

(式中、R12〜R14、R30〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Mは、金属基又はヘテロ原子基を表す。X〜X12は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X12のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(4)
【化28】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X、X〜X、X〜X12、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法。
【請求項9】
一般式(10)
【化29】

(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物と、一般式(11−1)
【化30】

(式中、R〜R、R19〜R22は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(11−2)
【化31】

(式中、R〜R10、R23〜R26は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(11−3)
【化32】

(式中、R11〜R14、R27〜R30は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(11−4)
【化33】

(式中、R15〜R18、R31〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【化34】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法。
【請求項10】
一般式(10)
【化35】

(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物と、一般式(12−1)
【化36】

(式中、R〜R、R15〜R19は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(12−2)
【化37】

(式中、R〜R、R20〜R24は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(12−3)
【化38】

(式中、R〜R11、R25〜R29は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物及び、一般式(12−4)
【化39】

(式中、R12〜R14、R30〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X及びXは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、X及びXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(2)
【化40】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜Xは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、XとX、XとX、XとX、XとXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法。
【請求項11】
一般式(10)
【化41】

(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物と、一般式(13−1)
【化42】

(式中、R〜R、R19〜R22は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(13−2)
【化43】

(式中、R〜R10、R23〜R26は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(13−3)
【化44】

(式中、R11〜R14、R27〜R30は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物及び、一般式(13−4)
【化45】

(式中、R15〜R18、R31〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(3)
【化46】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法。
【請求項12】
一般式(10)
【化47】

(式中、R及びRは各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Z〜Zは各々独立に、金属基又はヘテロ原子基を表す。)で示される化合物と、一般式(14−1)
【化48】

(式中、R〜R、R15〜R19は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X〜Xは窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜Xのそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(14−2)
【化49】

(式中、R〜R、R20〜R24は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X〜Xは窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜Xのそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(14−3)
【化50】

(式中、R〜R11、R25〜R29は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表すYは脱離基を表す。X13〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物及び、一般式(14−4)
【化51】

(式中、R12〜R14、R30〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。Yは脱離基を表す。X〜X12は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X12のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される化合物とを、塩基及び金属触媒の存在下にカップリング反応させることを特徴とする、一般式(4)
【化52】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X、X〜X、X〜X12、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体の製造方法。
【請求項13】
一般式(1)
【化53】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を構成成分とする有機電界発光素子。
【請求項14】
一般式(2)
【化54】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基、又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜Xは炭素原子又は窒素原子を表す。但し、XとX、XとX、XとX、XとXは同時に窒素原子又は炭素原子にはなり得ない。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を構成成分とする有機電界発光素子。
【請求項15】
一般式(3)
【化55】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を構成成分とする有機電界発光素子。
【請求項16】
一般式(4)
【化56】

(式中、R〜R34は各々独立に水素、炭素数1から6のアルキル基又は炭素数1から6のアルコキシ基を表す。X〜X16は窒素原子又は炭素原子を表す。但し、X〜X、X〜X、X〜X12、X13〜X16のそれぞれ4つの原子のうち、1つの原子を窒素原子とし、他の3つの原子は炭素原子を表す。)で示される1,2,4,5−置換フェニル誘導体を構成成分とする有機電界発光素子。

【図1】
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【公開番号】特開2011−190229(P2011−190229A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59889(P2010−59889)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】