説明

1,4−ベンゾチアゼピン1,1−ジオキシド誘導体、その製造方法、該化合物を含有する医薬、及び脂質低下薬としてのその使用

本発明は、式(A)の化合物、及びまたその生理学的に許容される塩に関する。この化合物は、例えば、脂質低下薬として好適である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換1,4−ベンゾチアゼピン1,1−ジオキシド誘導体及びその生理学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0002】
1,4−ベンゾチアゼピン1,1−ジオキシド誘導体、並びに高脂血症及び同様に動脈硬化症及び高コレステロール血症を治療するためのそれらの使用は、既に記載されている(欧州特許出願公開第1169313号)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、欧州特許出願公開第1169313号に記載された化合物と比較して、かなり良好な効能を有する化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、式A:
【化1】

の化合物、及びそれらの生理学的に許容される塩に関する。
【0005】
薬学的に許容される塩は、それらが出発化合物又は基本化合物よりも水に対してより可溶性であるので、医学的応用に特に好適である。これらの塩は、薬学的に許容される陰イオン又は陽イオンを有していなければならない。本発明による化合物の好適な薬学的に許容される酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸及び硫酸のような無機酸の塩、並びに酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸及び酒石酸のような有機酸の塩である。
【0006】
例えば、トリフルオロ酢酸のような、医薬として許容されない陰イオンを含む塩も、薬学的に許容される塩を製造するための若しくは精製するための有用な中間体として、及び/又は例えばインビトロでの応用における非治療適用に使用するため、本発明の範囲内に属する。
【0007】
本発明による化合物は、また、例えば、非晶質性の形態及び結晶多形の形態のような、異なった多形形態として存在することができる。本発明による化合物の全ての多形形態は本発明の範囲内に属し、本発明の別の態様である。
【0008】
以下において、「式Aの化合物」への全ての言及は、上に記載した式Aの化合物並びにその塩及び溶媒和物に関する。
【0009】
式Aの化合物は、別の活性化合物と組み合わせて投与することもできる。
【0010】
所望の生物学的効果を達成するために要求される式Aによる化合物の量は、多くの因子、例えば、選択された特定の化合物、使用目的、投与の型及び患者の臨床状態に依存する。一般的に、1日量は、体重1kg当たり1日につき0.01mgから100mg(典型的には、0.05mgから50mg)の範囲内にあり、例えば、0.1〜10mg/kg/日である。
【0011】
錠剤又はカプセルのような経口投与することができる単回投与剤形は、例えば、1.0から1000mg、典型的には10から600mgを含有することができる。式Aによる化合物は、それら自体、上記した状態を治療するための化合物として使用することができるが、それらは、好ましくは、許容される担体と共に、医薬組成物の形態で存在する。担体は当然、組成物の別の構成物質と適合すること、及び患者の健康に有害でないこと、という意味で、許容されるものでなければならない。担体は、固体又は液体又は両者であることができ、そして、好ましくは単回投与剤、例えば活性化合物を0.05重量%から95重量%含有することができる錠剤として、上記化合物と共に処方される。式Aの他の化合物を含め、他の医薬として活性な物質も存在させることができる。本発明による医薬組成物は、構成物質と薬理学的に許容される担体物質及び/又は補助物質とを混合することから本質的に成る、公知の製薬方法の1つを使用して製造することができる。
【0012】
本発明による医薬組成物は、たとえ、最も好適な投与様式が、それぞれの個体の場合において、治療しようとするその状態の性質及び重症度、並びにそれぞれの場合に採用される式Aの化合物の性質に依存するとしても、経口又は口腔(例えば、舌下)投与に好適なものである。糖衣製剤及び糖衣遅延放出製剤もまた、本発明の範囲内に属する。耐酸性及び耐胃液性である製剤が好ましい。好適な耐胃液性被覆剤は、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルのアニオン性ポリマーを包含する。
【0013】
経口投与用に好適な医薬組成物は、粉末又は顆粒として、水性又は非水性液体の溶液又は懸濁液として、又は水中油又は油中水エマルジョンとして、それぞれの場合特定量の式Aによる化合物を含有する、カプセル剤、カシェ剤、トローチ剤又は錠剤のような別個の単位として存在することができる。既に述べたように、これらの組成物は、活性化合物と担体(1つ又はそれ以上の追加の構成物質から成ることができる)を接触させる工程を包含する、任意の好適な製薬方法を使用して製造することができる。一般的に、上記組成物は、活性化合物を液体及び/又は微粉化した固体の担体と、一様かつ均一に混合し、必要に応じて、その後製品を成形することにより製造される。従って、錠剤は、例えば化合物の粉末又は顆粒を、必要に応じて1つ又はそれ以上の追加の構成物質と共に、圧縮又は成形することによって製造することができる。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒のような自由に流動する形態の化合物を、必要に応じて、結合剤、滑沢剤、不活性な賦形剤及び/又は(幾種類かの)界面活性/分散剤と一緒に、適切な機械で打錠することによって製造することができる。湿製錠剤は、不活性な、液体希釈剤で湿らせた粉体化合物を、適切な機械で成型することにより製造することができる。
【0014】
口腔(舌下)投与に好適な医薬組成物は、着香料、通常ショ糖及びアラビアゴム又はトラガントと一緒に式Aの化合物を含有するトローチ剤、及びゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアラビアゴムのような不活性基剤に上記化合物を含有するパステル剤(pastils)を包含する。
【0015】
本発明による医薬組成物の更なる実施態様は、例えばカルシウム、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン又は亜鉛塩のような、好適な金属塩を含む。好ましいものは、例えばリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸亜鉛、乳酸亜鉛、炭酸亜鉛、グルコン酸亜鉛又は酢酸亜鉛のようなカルシウム及び亜鉛塩である。医薬組成物にこれらの塩を付加すると、患者において下痢の発生を減少させる又は予防することができる。
【0016】
以下のものには、組み合わせの調製物用の付加的な活性化合物として使用するのに好適である。Roten Liste (Red List) 2005の第12章に名前が挙げられている全ての抗糖尿病薬。それらは、特に効果を相乗的に改善する目的のために、本発明による式Aの化合物と組み合わせることができる。活性化合物の組み合わせは、患者に活性化合物を別々に投与することによるか、又はいくつかの活性化合物が1つの医薬製剤中に存在している組み合わせ製剤の形態でそれらを投与することのいずれかによって投与することができる。以下に引用する活性化合物の殆どは、USP Dictionary of USAN and International Drug Names, US Pharmacopeia, Rockville 2001に記載されている。
【0017】
抗糖尿病薬は、Lantus(登録商標)(www.lantus.comを参照)又はHMR1964のようなインスリン及びインスリン誘導体、速効性インスリン(米国特許第6,221,633号を参照)、Nove Nordisk A/Sが国際特許出願公開第98/08871号に記載しているもの、Zealandが国際特許出願公開第04156号に記載しているもの及びBeaufour-Ipsenが国際特許出願公開第0034331号に記載しているもののようなGLP−1誘導体、並びに経口で活性な血糖低下活性化合物を包含する。
【0018】
経口で活性な血糖低下活性化合物は、好ましくは、スルホニル尿素、ビグアニジン、メグリチニド、オキサジアゾリジンジオン、チアゾリジンジオン、グリコシダーゼ及びグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルカゴン拮抗薬、GLP−1作動薬、Nove Nordisk A/Sが国際特許出願公開第97/26265号及び国際特許出願公開第99/03861号に記載しているもののようなカリウム・チャンネル開口薬、インスリン抵抗性改善薬、糖新生及び/又はグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓酵素の阻害剤、グルコース取り込み、グルコース輸送及びグルコース再吸収の調節剤、抗高脂血症活性化合物及び抗脂血症活性化合物のような脂肪代謝を変える化合物、食物摂取を減少させる化合物、PPAR作動薬及びPXR作動薬、並びにβ細胞のATP依存性カリウム・チャンネルに作用する活性化合物を含む。
【0019】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、シンバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン又はロスバスタチンのようなHMGCoAレダクターゼ阻害薬と組み合わせて投与される。
【0020】
本発明の1つの実施態様において、式Iの化合物は、エゼチミブ、チクエシド、パマクエシドのようなコレステロール吸収阻害剤と組み合わせて、又はPCT/EP第2004/00269号、PCT/EP第2003/05815号、PCT/EP第2003/05814号、PCT/EP第2003/05816号、欧州特許出願公開第0114531号又は米国特許第6,498,156号に記載されているような化合物と組み合わせて投与される。
【0021】
本発明の1つ実施態様において、式Aの化合物は、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、JTT−501又はGI262570のような、PPARγ作動薬と組み合わせて投与される。
【0022】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、GW9578又はGW7647のような、PPARα作動薬と組み合わせて投与される。
【0023】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、GW1536、AVE8042、AVE8134又はAVE0847のような、又はPCT/US第00/11833号、PCT/US第/11490号又は国際特許出願公開第03/020269号に記載されているようなPPARα/γ混合作動薬と組み合わせて投与される。
【0024】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、フェノフィブラート、クロフィブラート又はベンザフィブラートのような、フィブラートと組み合わせて投与される。
【0025】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、インプリタピド、BMS−201038又はR−103757のような、MTP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0026】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、JTT−705のような、CETP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0027】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、コレスチラミン又はコレセベラムのような、高分子胆汁酸吸着剤と組み合わせて投与される。
【0028】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、LDL受容体誘導剤(米国特許第6,342,512号を参照)と組み合わせて投与される。
【0029】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、アバシミブ(avasimibe)のようなACAT阻害剤と組み合わせて投与される。
【0030】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、OPC−14117のような抗酸化剤と組み合わせて投与される。
【0031】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、NO−1886のようなリポタンパク質リパーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0032】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、SB−204990のようなATPクエン酸リアーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0033】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、BMS−188494のようなスクワレンシンテターゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0034】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、CI−1027又はニコチン酸のようなリポタンパク質(a)拮抗薬と組み合わせて投与される。
【0035】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、オルリスタットのようなリパーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0036】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、インスリンと組み合わせて投与される。
【0037】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、トルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド又はグリメピリドのようなスルホニル尿素と組み合わせて投与される。
【0038】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、メトホルミンのようなビグアニドと組み合わせて投与される。
【0039】
本発明のなお別の実施態様において、式Aの化合物は、レパグリニドのようなメグリチニドと組み合わせて投与される。
【0040】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、トログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、又は国際特許出願公開第97/41097号においてDr. Reddy's Research Foundationによって記載された化合物、特に、5−[[4−[(3,4−ジヒドロ−3−メチル−4−オキソ−2−キナゾリニルメトキシ]フェニル]メチル]―2,4−チアゾリジンジオンのような、チアゾリジンジオンと組み合わせて投与される。
【0041】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、ミグリトール又はアカルボースのような、α−グリコシダーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0042】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、欧州特許出願公開第0912520号又はPCT/EP第06749号に記載されているような、アデノシンA1作動薬と組み合わせて投与される。
【0043】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、トルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド又はグリメピリド又はレパグリニドのような、β細胞のATP依存性カリウム・チャンネルに作用する活性化合物と組み合わせて投与される。
【0044】
本発明の1つの実施態様において、式Aの化合物は、先に述べた化合物の2つ以上と組み合わせて、例えばスルホニル尿素とメトホルミン、スルホニル尿素とアカルボース、レパグリニドとメトホルミン、インスリンとスルホニル尿素、インスリンとメトホルミン、インスリンとトログリタゾン、インスリンとロバスタチン等と組み合わせて投与される。
【0045】
本発明の別の実施態様において、式Aの化合物は、CART調節剤(“cocaine-amphetamine-regulated transcript influences energy metabolism, anxiety and gastric emptying in mice”, Asakawa, A, et al., M.: Hormone and Metabolic Research (2001), 33(9), 554-558を参照)、NPY拮抗薬(例えばナフタレン−1−スルホン酸−{4−[(4−アミノキナゾリン−2−イルアミノ)メチル]シクロヘキシルメチル}アミド塩酸塩(CGP71683A)、カンナビノイド受容体1拮抗薬(例えば欧州特許出願公開第0656354号、国際特許出願公開第00/15609号又は国際特許出願公開第02/076949号を参照)、MC4作動薬(例えば1−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸[2−(3a−ベンジル−2−メチル−3−オキソ−2,3,3a,4,6,7−ヘキサヒドロピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル)−1−(4−クロロフェニル)−2−オキソエチル]アミド;(国際特許出願公開第01/91752号))、オレキシン拮抗薬(例えば1−(2−メチルベンゾオキサゾール−6−イル)−3−[1,5]ナフチリジン−4−イル尿素塩酸塩(SB−334867−A))、H3作動薬(3−シクロヘキシル−1−(4,4−ジメチル−1,4,6,7−テトラヒドロイミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−イル)−プロパン−1−オンシュウ酸塩(国際特許出願公開第00/63208号));TNF作動薬、CRF拮抗薬(例えば[2−メチル−9−(2,4,6−トリメチルフェニル)−9H−1,3,9−トリアザフルオレン−4−イル]ジプロピルアミン(国際特許出願公開第00/66585号))、CRF BP拮抗薬(例えばウロコルチン)、ウロコルチン作動薬、β3−作動薬(例えば1−(4−クロロ−3−メタンスルホニル−メチルフェニル)−2−[2−(2,3−ジメチル−1H−インドール−6−イルオキシ)エチルアミノ]エタノール塩酸塩(国際特許出願公開第01/83451号))、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)作動薬、MCH(メラニン凝集ホルモン)受容体拮抗薬(例えば国際特許出願公開第03/15769号を参照)、CCK−A作動薬(例えば{2−[4−(4−クロロ−2,5−ジメトキシフェニル)−5−(2−シクロヘキシルエチル)チアゾール−2−イルカルバモイル]−5,7−ジメチルインドール−1−イル}酢酸トリフルオロ酢酸塩(国際特許出願公開第99/15525号)、又はSR−146131(国際特許出願公開第02/44150号)又はSSR−125180)、セロトニン再取り込み阻害剤(例えばデクスフェンフルラミン)、混合セロトニン作動性・ノルアドレナリン作動性化合物(例えば国際特許出願公開第00/71549号)、5HT作動薬、例えば1−(3−エチルベンゾフラン−7−イル)ピペラジンシュウ酸塩(国際特許出願公開第01/09111号)、ボンベシン作動薬、ガラニン拮抗薬、成長ホルモン(例えばヒト成長ホルモン)、成長ホルモン放出化合物(tert−ブチル6−ベンジルオキシ−1−(2−ジイソプロピルアミノエチルカルバモイル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボキシラート(国際特許出願公開第01/85695号))、TRH作動薬(例えば欧州特許出願公開第0462884号を参照)、非共役タンパク質−2又はタンパク質−3調節剤、レプチン作動薬(Lee, Daniel W.; Leinung, Matthew C.; Rozhavskaya-Arena, Marina; Grasso, Patricia. Leptin agonists as a potential approach to the treatment of obesity. Drugs of the Future (2001), 26(9), 873-881を参照)、DA作動薬(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤(例えば国際特許出願公開第00/40569号)、PPAR調節剤(例えば国際特許出願公開第00/78312号)、11β−HSD1(11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型)阻害剤(例えば国際特許出願公開第01/90094号又はT. Barf et al., J. Med. Chem. (2002), 45, 3813-3815を参照)、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC;例えば国際特許出願公開第99/46262号を参照)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV;例えば欧州特許出願公開第1259246号を参照)阻害剤、RXR調節剤又はTR−β−作動薬と組み合わせて投与される。
【0046】
本発明の1つの実施態様において、他の活性化合物はレプチンである。例えば、“Perspectives in the therapeutic use of leptin”, Salvador, Javier; Gomez-Ambrosi, Javier; Fruhbeck, Gema, Expert Opinion on Pharmacotherapy (2001), 2(10), 1615-1622を参照。
【0047】
1つの実施態様において、他の活性化合物は、デクスアンフェタミン又はアンフェタミンである。
【0048】
1つの実施態様において、他の活性化合物は、フェンフルラミン又はデクスフェンフルラミンである。
【0049】
なお別の実施態様において、他の活性化合物は、シブトラミンである。
【0050】
1つの実施態様において、他の活性化合物は、オルリスタットである。
【0051】
1つの実施態様において、他の活性化合物は、マジンドール又はフェンテルミンである。
【0052】
1つの実施態様において、式Aの化合物は、バラスト物質(ballast substances)、好ましくは、不溶性バラスト物質[例えば、イナゴマメ(carob)/Caromax(登録商標)(Zunft H J; et al., Carob pulp preparation for treatment of hypercholesterolemia, ADVANCES IN THERAPY (2001 Sep-Oct), 18(5), 230-6)を参照]と組み合わせて投与される。Caromaxは、Nutrinova, Nutrition Specialties & Food Ingredients GmbH (Industriepark Hoechst, 65926 Frankfurt/Main)製のイナゴマメ含有製品である。 Caromax(登録商標)との組み合わせは、1つの製剤として、又は式Aの化合物とCaromax(登録商標)を別々に投与することによって達成することができる。ここで、Caromax(登録商標)は、食品、例えばパン、ケーキ及びペストリー(pastries)又はミューズリ・バー(Muesli Bars)の形態で投与することもできる。
【0053】
本発明化合物と1つ又はそれ以上の上に述べた化合物、及び所望ならば1つ又はそれ以上のさらなる薬理学的に活性な物質とのそれぞれの好適な組み合わせは、本発明の保護範囲内にはいるものとされることは当然のことと思われる。
【化2】

【0054】
〔実施例A〕
【化3】

【0055】
化合物Aを、以下のように製造した。
【化4】

【0056】
化合物1aの合成
鏡像異性的に純粋な化合物1aを、Chiralpak・AS-H76を使用し、移動相にn−ヘプタン/メタノール/エタノール(10/1/1)プラス0.1%DEAを用いるキラル・クロマトグラフィーにより、ラセミ体のアニリド1(欧州特許出願公開第1169313号、化合物8a/b)から得た。THF/EA/n−ヘプタンから結晶化することによって、化合物1aを、更にもっと精製することができた(鏡像体余剰ee99.9%)。ユートマーは正の旋光度を有しており、絶対立体化学を単結晶X線構造によって決定した。
【0057】
化合物3の合成
室温で、アニリド1a(6g)及びイソシアネート2(7.5g、Synlett 2003, 1, 47-50)を、塩化メチレン(150ml)に溶解した。室温で1時間後、混合物を濃縮し、残留物をフラッシュ・クロマトグラフィーで精製した。化合物3を無色固体として、収量10.5g(95%)で得た。TLC(n−ヘプタン/酢酸エチル=1:2)、Rf=0.3。C4056412S (816.98)、MS(M+H)+= 817.33。
【0058】
化合物Aの合成
化合物3(9.7g)をメタノール(120ml)及びトリエチルアミン(40ml)に溶解し、室温にて16時間放置した。溶液を濃縮し、残留物を熱酢酸エチル(60ml)に溶解した。室温に冷却し、酢酸エチル/n−ヘプタン(4:1)(50ml)を加えた。懸濁液を30分間撹拌し、沈殿物を吸引濾過し、酢酸エチル/n−ヘプタン(4:1)(30ml)で洗浄した。化合物Aを、収量7.01g(91%)で非晶質固体として、及び母液(450mg)(40〜50%の化合物Aを含有)を得た。TLC(塩化メチレン/メタノール/濃アンモニア=30:10:3)、Rf=0.5。C324848S(648.83)、MS(M+H)+=649.26。
本発明により得られた化合物Aの生物学的試験を、インビトロIBAT阻害試験を用いて実施した。この試験は、遺伝子組み換えで発現した、ヒトナトリウム依存性回腸胆汁酸輸送体(IBAT=回腸Na+/胆汁酸共輸送体、ASBT=回腸先端ナトリウム依存性胆汁酸輸送体、SLC10A2=溶質運搬体ファミリー10、メンバー2)の輸送活性に対する、本発明の化合物の効果を試験するものである。
【0059】
インビトロIBAT阻害試験のための準備及び実施
1.ヒトIBAT用の発現ベクターのクローニング
ヒトIBATのcDNA(相補性デオキシリボ核酸)を、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, by Joseph Sambrook and David Russellに記載されたような分子生物学の標準的方法を使用してクローン化し、Invitrogenから入手したpcDNA1ベクターに導入した。その後に続く挿入物の配列決定では、GenBank配列データバンク(GenBank登録番号U10417)に寄託されている、P.A.Dawsonによって記載されたヒトIBATの塩基配列の599から1645の塩基と完全に一致することが示された。塩基599から1645は、ヒトIBATの完全コーディング領域に相当する。
【0060】
2.ヒトIBATの構成的発現を有する組換え細胞株の調製
ヒトIBAT用の発現ベクターを、安定なトランスフェクションによってCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞に導入した。単細胞クローンを選別するため、ジェネティシン(400μg/ml)を細胞培養培地(10%ウシ胎仔血清、ペニシリン100単位/ml、ストレプトマイシン100単位/mlを補充したハムF12培地)に加えた。上記選別から得られた単細胞クローンの機能性を、放射能標識タウロコール酸([3H]−TCA)の取り込み活性を通じて試験した。[3H]−TCAの最高の取り込み活性を有する細胞クローン(以下にCHO−hIBATとして示す)を更なる試験のために選別し、ジェネティシン(400μg/ml)の存在下に更に培養した。
【0061】
3.タウロコール酸の細胞へのIBAT依存的取り込みに対する本発明による化合物の阻害効果の測定
CHO−hIBAT細胞を、ポリ−D−リジン被覆96ウエルプレートの細胞培養培地に、1ウエル当たり40,000細胞濃度で播種し、24時間培養した。次いで細胞を、ナトリウムを含まない輸送アッセイ緩衝(140mMの塩化コリン、2mMの塩化カリウム、1mMの塩化マグネシウム、1mMの塩化カルシウム、10mMのHEPES/トリス、pH7.5)で1回洗浄し、次いで陰性対照としてナトリウムを含まない輸送アッセイ緩衝液で、又は陽性対照としてナトリウムを含む輸送アッセイ緩衝液(140mMの塩化ナトリウム、2mMの塩化カリウム、1mMの塩化マグネシウム、1mMの塩化カルシウム、10mMのHEPES/トリス、pH7.5)のいずれかで、室温にて30分間インキュベートした。同時に、試験ウエルも、異なった濃度の被検化合物の存在下、ナトリウムを含む輸送アッセイ緩衝液中で、室温にて30分間インキュベートした。ジメチルスルホキシド中の10mMのストック溶液を用いて、被検物質を、輸送アッセイ緩衝液(40μl/ウエル)で適切に希釈した。次いで、放射能標識タウロコール酸([3H]−TCA)と非標識タウロコール酸の混合物(10μl/ウエル)を加えて、試験を開始した。試験でのタウロコール酸の最終濃度は10μMであった。室温で60分間インキュベーションした後、ナトリウムを含有しない輸送アッセイ緩衝液(100μl/ウエル)(4℃)を加えることにより、反応を停止させ、各ウエルをナトリウムを含有しない輸送アッセイ緩衝液で3回洗浄した。最後に、各ウエルにシンチレーション液(100μl)を加え、細胞に取り込まれた放射活性を、MicroBetaシンチレーションマイクロプレートリーダー(Wallac)で測定した。被検化合物の50%最大阻害効果(IC50値、阻害濃度50)は以下のようにして決定した。
1.0%阻害値の決定。これは、物質なしで測定した値であり、ナトリウムを含む輸送アッセイ緩衝液中で測定した。
2.100%阻害値の決定。これは物質なしで測定した値であり、ナトリウムを含まない輸送アッセイ緩衝液中で測定した。
3.種々の濃度の被検化合物で実施された測定の、パーセントで表された阻害値の計算。これらの値を用いて、その後タウロコール酸取り込みが50%まで減少した(IC50値)化合物の濃度を決定することが可能であった。
【0062】
実施例Aについては、IC50(ヒトIBAT)は、0.057μMであることが分かった。
【0063】
比較のために、欧州特許出願公開第1169313号からの構造的に最も類似した化合物についても測定した。下記の式:
【化5】

を有する化合物11a(実施例5から)については、IC50(ヒトIBAT)は、0.319μMであることが分かった。
【0064】
欧州特許出願公開第1169313号からのこの比較例と比べて、本発明による化合物Aの活性は、560%高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式A:
【化1】

の化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含む、医薬。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物及び少なくとも1つの更なる活性な化合物を含む、医薬。
【請求項4】
更なる活性な化合物として、脂質代謝を正常化する1つ又はそれ以上の化合物を含む、請求項3に記載の医薬。
【請求項5】
更なる活性な化合物として、1つ又はそれ以上の抗糖尿病薬、血糖低下活性化合物、抗脂肪薬(anti-adipose drugs)、食欲抑制薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、PPARγ作動薬、PPARα作動薬、PPARα/γ作動薬、フィブラート、MTP阻害剤、CETP阻害剤、高分子胆汁酸吸着剤、LDL受容体誘導剤、ACAT阻害剤、抗酸化剤、リポタンパク質リパーゼ阻害剤、ATPクエン酸リアーゼ阻害剤、スクアレンシンテターゼ阻害剤、リポタンパク質(a)拮抗薬、リパーゼ阻害剤、インスリン類、スルホニル尿素、ビグアニド、メグリチニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、β細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する活性化合物、CART作動薬、NPY作動薬、カンナビノイド受容体1拮抗薬、MCH受容体拮抗薬、MC4作動薬、オレキシン作動薬、H3作動薬、TNF作動薬、CRF作動薬、CRF−BP拮抗薬、GLP−1誘導体、ウロコルチン作動薬、β3作動薬、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)作動薬、CCK−A作動薬、セロトニン再取り込み阻害剤、混合セロトニン・ノルアドレナリン作動性化合物、5−HT作動薬、ボンベシン作動薬、ガラニン拮抗薬、成長ホルモン、成長ホルモン放出化合物、TRH作動薬、脱共役タンパク質−2又は−3調節薬、レプチン作動薬、DA作動薬(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、11β−HSD1阻害剤、ACC阻害剤、DPP−IV阻害剤、PPAR調節薬、RXR調節薬又はTR−β作動薬又はアンフェタミン類を含む、請求項3又は4に記載の医薬。
【請求項6】
更に補助剤として、1つ又はそれ以上の金属塩を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項7】
脂質代謝の障害の治療用医薬として使用するための、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物を含む医薬を製造する方法であって、活性化合物を薬学的に許容される担体と混合し、この混合物を投与に適した形態にすることを含む方法。
【請求項9】
高脂血症の治療用の医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項10】
血清コレステロール濃度を低下させる医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項11】
動脈硬化性症状を治療する医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項12】
インスリン抵抗性を治療する医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−501177(P2009−501177A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520794(P2008−520794)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006848
【国際公開番号】WO2007/009655
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】