11ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型のインヒビターの新規結晶性形態
3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾールの新規結晶性塩は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型の強力なインヒビターであり、メタボリックシンドロームならびに認知障害に関連する病状の治療に有用である。本発明はまた、これらの新規塩を含有する医薬組成物、これらの塩およびその医薬組成物を調製する方法、ならびに、2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害の治療のためのその使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型のインヒビターの新規な結晶性形態に関する。より詳細には、本発明は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD−1)酵素の強力なインヒビターである、3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2,2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾールの新規な結晶性無水物に関する。これらの11β−HSD−1インヒビターの新規な結晶性形態は、11β−HSD−1のインヒビターが適応である疾患および病状、特に、2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害の治療および予防のための、インヒビターを含有する医薬組成物の製剤に有用である。本発明はさらに、本発明の新規な結晶多形形態を含む医薬組成物;特定の無水物形態およびそれらの医薬組成物を調製する方法;ならびに本発明の組成物の投与を含む、11β−HSD−1のインヒビターが適応である病状を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD−1)、標的組織中の不活性11−ケト代謝物質からの活性11−ヒドロキシグルココルチコイドの再生を触媒する酵素の阻害は、高血圧、肥満、脂質異常症、および非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)としても知られている2型糖尿病を含むメタボリックシンドロームに関連する病状の治療に対する新規なアプローチを表す。この酵素のインヒビターは、加齢による認知障害の治療または予防にも有用性がある。11β−HSD−1のインヒビターの治療的可能性が検討されてきた(B.R.WalkerとJ.R.Seckl、「11β−Hydroxysteroid dehydrogenase Type 1 as a novel therapeutic target in metabolic and neurodegenerative disease」、EXPERT OPIN.THER.TARGETS、7:771−783(2003)参照)。
【0003】
米国特許第6849636号は、11β−HSD−1酵素の強力なインヒビターであり、したがって2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害の治療に有用である置換1,2,4−トリアゾールのクラスを記載している。米国特許第6849636号に具体的に記載されているのは、3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾールである。
【0004】
しかしながら、米国特許第6849636号は、下記式Iの、新たに発見された3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾールの結晶性無水物形態(以下において化合物Iと称する)については記載していない。
【0005】
本発明はまた、化合物Iの新規な結晶性メタノールおよびエタノール溶媒和物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6849636号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】B.R.WalkerとJ.R.Seckl、「11β−Hydroxysteroid dehydrogenase Type 1 as a novel therapeutic target in metabolic and neurodegenerative disease」、EXPERT OPIN.THER.TARGETS、7:771−783(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD−1)インヒビター、式Iの3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール(化合物I)の新規な結晶性無水物に関する。本発明の結晶性無水物形態は、これまでに開示されている3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾールのアモルファス形態に対して、医薬組成物の製剤において、処理、取り扱い、服用が容易であるといった利点を有している。特に、それらは、応力に対する安定性などの物理化学的特性の向上、種々の製剤の剤型の製造において特に安定性を付与している。本発明はまた、新規な結晶性多形を含有する医薬組成物;これらの多形形態およびそれらの医薬組成物を調製する方法;ならびに2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害の予防または治療のためにそれらを使用する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】形態Iと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の特有のX線回折パターンを示す図である。
【図2】形態Iと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図3】形態Iと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の典型的な示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す図である。
【図4】形態IIと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の特有のX線回折パターンを示す図である。
【図5】形態IIと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図6】形態IIIと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の特有のX線回折パターンを示す図である。
【図7】形態IIIと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図8】形態IIIと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の典型的な示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す図である。
【図9】本発明の化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物の特有のX線回折パターンを示す図である。
【図10】本発明の化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物の典型的な熱重量分析(TGA)曲線を示す図である。
【図11】本発明の化合物Iの結晶性エタノール溶媒和物の特有のX線回折パターンを示す図である。
【図12】本発明の化合物Iの結晶性エタノール溶媒和物の典型的な示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す図である。
【図13】本発明の化合物Iの結晶性エタノール溶媒和物の典型的な熱重量分析(TGA)曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、式Iの3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール(化合物I)の新規な結晶性無水多形形態を提供する:
【化1】
本発明の更に別の実施形態は、検出可能な量の結晶性無水物形態を含む化合物I医薬物質を提供する。「医薬物質」は、医薬品有効成分(API)を意味する。医薬物質中の結晶性無水物形態の量は、X線粉末回折(XRPD)、固体フッ素−19マジックアングルスピニング(MAS)核磁気共鳴分光法、固体炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴分光法、固体フーリエ変換赤外線分光法、およびラーマン分光法などの物理学的方法を用いて定量化することができる。本実施形態のあるクラスでは、約5重量%から約100重量%の結晶性無水物形態が医薬物質中に存在する。本実施形態の第2のクラスでは、約10重量%から約100重量%の結晶性無水物形態が医薬物質中に存在する。本実施形態の第3のクラスでは、約25重量%から約100重量%の結晶性無水物形態が医薬物質中に存在する。本実施形態の第4のクラスでは、約50重量%から約100重量%の結晶性無水物形態が医薬物質中に存在する。本実施形態の第5のクラスでは、約75重量%から約100重量%の結晶性無水物形態が医薬物質中に存在する。本実施形態の第6のクラスでは、実質的に全ての化合物I医薬物質が結晶性無水物形態である。すなわち、化合物I医薬物質は、ほぼ相純粋な結晶性無水物形態である。
【0011】
本発明の別の態様は、化合物Iの新規結晶性メタノール溶媒和物を提供する。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、化合物Iの新規結晶性エタノール溶媒和物を提供する。
【0013】
これらの結晶性溶媒和物は、本発明の結晶性無水物の調製における中間物質として有用である。
【0014】
本発明はさらに、11β−HSD−1のインヒビターが適応である臨床状態の予防または治療のための方法であり、そのような予防または治療を必要とする患者に対して予防的もしくは治療的有効量の、化合物Iの結晶性無水物、または予防的もしくは治療的有効量の化合物Iの結晶性無水物形態を含有する医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。そのような臨床状態としては、2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害が挙げられる。
【0015】
本発明はまた、11β−HSD−1のインヒビターが適応である臨床状態にある哺乳動物の予防または治療のための医薬品製造における、本発明の結晶性無水物形態の使用を提供する。
【0016】
本発明の別の態様は、11β−HSD−1のインヒビターが適応である臨床状態にある哺乳動物の予防または治療に使用される結晶性無水物形態を提供する。
【0017】
本発明はまた、結晶性無水物形態と1以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を合わせて含む医薬組成物を提供する。ある実施形態において、医薬組成物は、予防的または治療的有効量の医薬品有効成分(API)を、薬学的に許容可能な賦形剤と混合して含み、APIは、本発明の結晶性無水物形態の検出可能量を含む。第2の実施形態においては、医薬組成物は、予防的または治療的有効量のAPIを薬学的に許容可能な賦形剤と混合して含み、APIは、約5重量%から約100重量%の、本発明の結晶性無水物形態を含む。この第2の実施形態のあるクラスでは、そのような組成物中のAPIは、約10重量%から約100重量%のそのような結晶性無水物形態を含む。この実施形態の第2のクラスでは、そのような組成物中のAPIは、約25重量%から約100重量%のそのような結晶性無水物形態を含む。この実施形態の第3のクラスでは、そのような組成物中のAPIは、約50重量%から約100重量%のそのような結晶性無水物形態を含む。この実施形態の第4のクラスでは、そのような組成物中のAPIは、約75重量%から約100重量%のそのような結晶性無水物形態を含む。この実施形態の第5のクラスでは、APIの実質的にすべてが化合物Iの結晶性無水物形態中にある。すなわち、APIはほぼ相純粋な化合物Iの結晶性無水物形態である。
【0018】
本発明の組成物は、好適には、錠剤、丸剤、カプセル、散剤、顆粒、無菌の溶液もしくは懸濁液、計量供給エアゾールもしくは液体スプレー、滴剤、アンプル、自己注入デバイスまたは座薬などの単位剤形である。該組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下、もしくは直腸投与、または吸入もしくは吹送投与を意図している。本発明の組成物の製剤は、当分野において公知の方法、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、17版、1995に記載の方法によって達成され得る。
【0019】
投薬療法は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別、および医学的状態;治療される状態の重篤度;投与経路;ならびに患者の腎臓および肝臓の機能を含む種々の要因によって選択される。当業者である医師、獣医師、または臨床医は、病状の進行を予防し、阻止し、または抑えるために必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0020】
示された効能のために使用される場合、本発明の経口投薬量は、体重1kgあたり1日約0.01mg(mg/kg/日)から約100mg/kg/日の範囲、好ましくは0.01〜10mg/kg/日、最も好ましくは0.1〜5.0mg/kg/日であろう。経口投与では、治療される患者に対する投薬の、症状による調整のために、組成物は、好ましくは、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、200、および500mgのAPIを含有する錠剤として提供される。医薬品は、典型的に約0.5mg〜約500mgのAPIを含み、好ましくは、約1mg〜約200mgのAPIを含む。静脈内投与では、最も好ましい投与量は、約0.1〜約10mg/kg/分の一定の速度での注入であろう。好都合に、本発明の結晶性無水物および一水和物形態は、1日一回投与してもよいし、または、1日の投与量全体を2回、3回、もしくは4回に分けて投与してもよい。さらに、本発明の結晶性無水物形態は、好適な鼻腔内賦形剤を局所的に使用することによって、鼻腔内形状で投与することができる。または当業者に公知の経皮パッチの形態を用いて、経皮的経路を介して投与することができる。経皮送達システムの形状で投与されると、当然投薬は投与療法を通して断続的ではなく、継続的なものとなる。
【0021】
本発明の方法においては、本明細書に記載の化合物Iの結晶性無水物形態はAPIを形成することができ、典型的には、意図された投与形態、すなわち、経口錠剤、カプセル、エリキシル、シロップなど、および通常の薬学的なプラクティスと一致するという観点で、適切に選択された、適切な薬学的希釈剤、賦形剤または担体(本明細書においては、総称して、「担体」物質という)との混合物において投与される。
【0022】
例えば、錠剤またはカプセルの形状での経口投薬の場合、医薬品有効成分は、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなどの経口的で無毒性の薬学的に許容可能な不活性な担体と合わせられ得る。液体形状での経口投薬の場合、経口APIは、エタノール、グリセロール、水などの経口的で無毒性の薬学的に許容可能な不活性な担体と合わせられ得る。さらに、所望される場合または必要な場合、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤もまた、混合物中に組み込まれ得る。適切な結合剤は、テンプン、ゼラチン、グルコースもしくはベータラクトースなどの天然の糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカントゴムもしくはアルギン酸ナトリウムなどの、天然もしくは合成のガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウなどが挙げられる。これらの投薬形態で使用される滑沢剤として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤として、限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0023】
以下の非限定的な実施例は、本発明を説明することが意図されており、本発明の範囲または精神を限定するものと解釈されるべきではない。
【0024】
無水物形態を優先的に結晶化するための一般的条件
無水物形態は、多くの有機溶媒および溶媒混合物から結晶化され得る。これらには、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル、およびペンタン、ヘキサン類、ヘプタン、オクタン、およびイソオクタンとの混合物が含まれる。結晶化は、冷却、蒸発、または、ヘキサン類もしくはヘプタンなどの非極性溶媒の添加によって誘導され得る。
【0025】
結晶性メタノール溶媒和物を調製するための一般的条件
結晶性メタノール溶媒和物は、無水物のメタノール混合物を相平衡に十分な時間撹拌することによって調製され得る。以下に述べる物理的方法によって、メタノール溶媒和物は特徴づけられた。メタノール溶媒和物は、40℃で3日間真空乾燥することによって結晶性無水物に再変換され得る。
【0026】
結晶性エタノール溶媒和物を調製するための一般的条件
結晶性エタノール溶媒和物は、無水物のエタノール混合物を相平衡に十分な時間撹拌することによって調製され得る。以下に述べる物理的方法によって、エタノール溶媒和物は特徴づけられた。エタノール溶媒和物は、40℃で3日間真空乾燥することによって結晶性無水物に再変換され得る。
【0027】
合成
化合物Iは、米国特許第6849636号に記載の反応および技術によって調製され得る。
【0028】
以下の実施例において、化合物Iの結晶性無水物形態、すなわち、形態I、形態IIおよび形態IIIと称されるこれらの多形形態をさらに説明する。
【実施例1】
【0029】
3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾル結晶性無水物(形態II)
化合物I(3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール)は、過剰の水溶性NaOHを用いて化合物Iのイソプロピルアセトアミド(iPAc)スラリーを処理することによって、フリーベース化され2等分された。濾過工程後、次いでこの2つの溶液部分は混合され、形態IIの結晶性無水物としてiPAcから結晶化された。
【実施例2】
【0030】
3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール結晶性無水物(形態I)
溶媒組成物を10%のiPAcメタノールに調整し、その物質を還流しながら溶解し、50℃で播種することによって、形態II結晶性無水物は、形態I無水物に変換された。40℃で一晩熟成した後、スラリーを調べたところ、形態I無水物だけとなっていることが分かった。
【実施例3】
【0031】
3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール結晶性無水物(形態III)
上記熟成工程(40℃で一晩)を省いて、物質を室温まで冷却させた場合、得られる混合物は結晶性無水物の形態IおよびIIIとなることが分かった。形態III(0.5重量%程の少量)を用いて室温で播種すると、形態I無水物のiPAcスラリー(または10%メタノール/iPAcスラリー)は、完全に転換し、14〜16時間の熟成期間後、熱力学的により安定した形態IIIとなる。
【0032】
形態IIIはまた、iPAcまたはメタノール/iPAc溶液中の遊離塩基から、30〜35℃(もしくは室温)で形態III物質とともに播種後、直接結晶化され得る。
【0033】
分子構造、結晶度、および多形性を特徴づけるためにX線粉末回折研究が広く用いられている。本発明の結晶性多形の粉末X線回折パターンをPhilips Analytical X’Pert PRO X線回折システムでPW3040/60コンソールを使用し作成した。PW3373/00セラミックCu LEF X線管Kアルファ線を線源として使用した。
【0034】
図1は、本発明の化合物Iの結晶性無水物(形態I)の特有のX線回折パターンを示す。無水物形態は、6.56、6.33、6.19、5.63、5.27、4.93、4.74、4.65、4.51、および4.37オングストロームのd間隔に対応する特有の反射を示す。
【0035】
図4は、本発明の化合物Iの結晶性無水物(形態II)の特有のX線回折パターンを示す。無水物形態は、18.33、9.37、8.62、6.28、6.02、5.97、5.30、5.14、5.01、および4.86オングストロームのd間隔に対応する特有の反射を示す。
【0036】
図6は、本発明の結晶性無水物(形態III)の特有のX線回折パターンを示す。この無水物形態は、9.26、5.90、5.78、5.33、5.16、5.10、5.03、4.69、4.61、および4.26オングストロームのd間隔に対応する特有の反射を示す。
【0037】
図9は、本発明の化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物の特有のX線回折パターンを示す。このメタノール溶媒和物は、9.88、6.13、5.36、4.65、4.43、4.39、4.08、3.98、3.36、および3,26オングストロームのd間隔に対応する特有の反射を示す。
【0038】
図11は、本発明の化合物Iの結晶性エタノール溶媒和物の特有のX線回折パターンを示す。このエタノール溶媒和物は、10.03、6.66、6.29、5.38、4.74、4.46、4.41、4.15、4.04および3.30オングストロームのd間隔に対応する特有の反射を示す。
【0039】
上記粉末X線回折パターンに加えて、本発明の化合物Iの結晶多形形態は、さらにそれらの固体炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトルによって特徴づけられた。固体炭素−13NMRスペクトルは、Bruker 4mm二重共鳴CPMASプローブを用いたBruker DSX 400WB NMRシステムで得られた。炭素−13NMRスペクトルは、変動振幅交差分極によるプロトン/炭素−13交差分極マジックアングルスピニングを利用した。サンプルは、15.0kHzで回転され、合計1024走査が、5秒のリサイクル遅れを伴い回収された。FTを行う前にスペクトルに40Hzのラインブロードニングを適用した。グリシンのカルボニル炭素(176.03p.p.m.)を第2の基準として用いたTMSスケールに関して、化学シフトが報告されている。
【0040】
図2は、化合物Iの結晶性無水物形態(形態I)の固体炭素−13CPMAS NMRスペクトルを示す。この結晶性無水物形態は、160.2、153.6、133.4、129.8、127.6、48.0、33.4、32.7、29.6、および6.9p.p.m.の化学シフト値を有する特有の信号を示した。
【0041】
図5は、化合物Iの結晶性無水物形態(形態II)の固体炭素−13CPMAS NMRスペクトルを示す。この結晶性無水物形態は、153.2、131.6、129.0、125.4、54.4、45.8、32.3、30.6、29.4、および4.8p.p.m.の化学シフト値を有する特有の信号を示した。
【0042】
図7は、化合物Iの結晶性無水物形態(形態III)の固体炭素−13CPMAS NMRスペクトルを示す。この結晶性無水物形態は、160.1、153.9、134.0、131.4、129.5、127.0、54.8、51.5、33.4、および5.9p.p.m.の化学シフト値を有する特有の信号を示した。
【0043】
さらに、示差走査熱量測定(DSC)が行われた。DSCデータは、TA Instruments DSC2910(または同等の計器)を用いて取得された。2〜6mgのサンプルがオープンな皿上で秤量された。次いでこの皿は折り曲げられ(crimped)、熱量計セル中のサンプル位置に置かれた。空の皿が対照の位置に置かれた。この熱量計セルが閉じられ、セルに窒素流が通された。サンプルを加熱速度10℃/分で、約250℃まで加熱するように加熱プログラムが設定された。加熱プログラムが開始された。この連続工程が完了した時、システムソフトウェアに含まれるDSC分析プログラムを用いてデータが分析された。融解吸熱は、吸熱が観察される範囲の上下の温度であるベースライン温度間で積分された。データとして、開始温度、ピーク温度およびエンタルピーが報告される。
【0044】
図3は、化合物Iの結晶性無水物形態(形態I)の示差走査熱量測定を示す。この結晶性無水物形態は、開始温度174.1℃、ピーク温度177.7℃、およびエンタルピー68.5J/gの融解吸熱を示した。
【0045】
図8は、化合物Iの結晶性無水物形態(形態III)の示差走査熱量測定を示す。この結晶性無水物形態は、開始温度177.5℃、ピーク温度179.7℃、およびエンタルピー37.3J/gの融解吸熱を示した。この最初の熱事象に続いて、開始温度189.6℃、ピーク温度191.4℃、およびエンタルピー35.8J/gの第2の吸熱が起こった。
【0046】
パーキン エルマー(Perkin Elmer)モデルTGA7(または同等の機器)を用いて熱重量分析(TGA)曲線を得た。窒素流のもとで、加熱率10℃/分で、最大温度約250℃まで加熱した。自動的に風袋を量りバランスを取った後、5〜20mgのサンプルをプラチナ皿に加えた。炉を上昇させ、加熱プログラムを開始させた。重力/温度データは計器によって自動的に集められた。結果の分析は、機器ソフトウェア中でDelta Y関数を選択し、重量損失が計算される温度を選択することによって行われた。重量損失は、分解/蒸発の開始までに報告される。
【0047】
図10は、化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物の熱重量分析(TGA)曲線を示す図である。TGAは、120℃で約5.8%の重量損失を示した。
【0048】
図13は、化合物Iの結晶性エタノール溶媒和物の熱重量分析(TGA)曲線を示す図である。TGAは、120℃で約7.8%の重量損失を示した。
【0049】
医薬組成物の実施例
本発明の結晶性無水物形態は、以下のようにしてカプセル剤形に製剤された。100mg力価のカプセル剤は、100mgのAPI、190mgの微結晶セルロース、および約95mgの#0白色不透明なゼラチンカプセル剤におけるものと同様のゼラチンで構成された。APIおよび微結晶セルロースが最初に混合され、次いでその混合物がゼラチンカプセル剤にカプセル化された。
【技術分野】
【0001】
本発明は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型のインヒビターの新規な結晶性形態に関する。より詳細には、本発明は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD−1)酵素の強力なインヒビターである、3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2,2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾールの新規な結晶性無水物に関する。これらの11β−HSD−1インヒビターの新規な結晶性形態は、11β−HSD−1のインヒビターが適応である疾患および病状、特に、2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害の治療および予防のための、インヒビターを含有する医薬組成物の製剤に有用である。本発明はさらに、本発明の新規な結晶多形形態を含む医薬組成物;特定の無水物形態およびそれらの医薬組成物を調製する方法;ならびに本発明の組成物の投与を含む、11β−HSD−1のインヒビターが適応である病状を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD−1)、標的組織中の不活性11−ケト代謝物質からの活性11−ヒドロキシグルココルチコイドの再生を触媒する酵素の阻害は、高血圧、肥満、脂質異常症、および非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)としても知られている2型糖尿病を含むメタボリックシンドロームに関連する病状の治療に対する新規なアプローチを表す。この酵素のインヒビターは、加齢による認知障害の治療または予防にも有用性がある。11β−HSD−1のインヒビターの治療的可能性が検討されてきた(B.R.WalkerとJ.R.Seckl、「11β−Hydroxysteroid dehydrogenase Type 1 as a novel therapeutic target in metabolic and neurodegenerative disease」、EXPERT OPIN.THER.TARGETS、7:771−783(2003)参照)。
【0003】
米国特許第6849636号は、11β−HSD−1酵素の強力なインヒビターであり、したがって2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害の治療に有用である置換1,2,4−トリアゾールのクラスを記載している。米国特許第6849636号に具体的に記載されているのは、3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾールである。
【0004】
しかしながら、米国特許第6849636号は、下記式Iの、新たに発見された3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾールの結晶性無水物形態(以下において化合物Iと称する)については記載していない。
【0005】
本発明はまた、化合物Iの新規な結晶性メタノールおよびエタノール溶媒和物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6849636号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】B.R.WalkerとJ.R.Seckl、「11β−Hydroxysteroid dehydrogenase Type 1 as a novel therapeutic target in metabolic and neurodegenerative disease」、EXPERT OPIN.THER.TARGETS、7:771−783(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD−1)インヒビター、式Iの3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール(化合物I)の新規な結晶性無水物に関する。本発明の結晶性無水物形態は、これまでに開示されている3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾールのアモルファス形態に対して、医薬組成物の製剤において、処理、取り扱い、服用が容易であるといった利点を有している。特に、それらは、応力に対する安定性などの物理化学的特性の向上、種々の製剤の剤型の製造において特に安定性を付与している。本発明はまた、新規な結晶性多形を含有する医薬組成物;これらの多形形態およびそれらの医薬組成物を調製する方法;ならびに2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害の予防または治療のためにそれらを使用する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】形態Iと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の特有のX線回折パターンを示す図である。
【図2】形態Iと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図3】形態Iと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の典型的な示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す図である。
【図4】形態IIと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の特有のX線回折パターンを示す図である。
【図5】形態IIと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図6】形態IIIと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の特有のX線回折パターンを示す図である。
【図7】形態IIIと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【図8】形態IIIと称する、本発明の化合物Iの結晶性無水物の典型的な示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す図である。
【図9】本発明の化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物の特有のX線回折パターンを示す図である。
【図10】本発明の化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物の典型的な熱重量分析(TGA)曲線を示す図である。
【図11】本発明の化合物Iの結晶性エタノール溶媒和物の特有のX線回折パターンを示す図である。
【図12】本発明の化合物Iの結晶性エタノール溶媒和物の典型的な示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す図である。
【図13】本発明の化合物Iの結晶性エタノール溶媒和物の典型的な熱重量分析(TGA)曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、式Iの3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール(化合物I)の新規な結晶性無水多形形態を提供する:
【化1】
本発明の更に別の実施形態は、検出可能な量の結晶性無水物形態を含む化合物I医薬物質を提供する。「医薬物質」は、医薬品有効成分(API)を意味する。医薬物質中の結晶性無水物形態の量は、X線粉末回折(XRPD)、固体フッ素−19マジックアングルスピニング(MAS)核磁気共鳴分光法、固体炭素−13交差分極マジックアングルスピニング(CPMAS)核磁気共鳴分光法、固体フーリエ変換赤外線分光法、およびラーマン分光法などの物理学的方法を用いて定量化することができる。本実施形態のあるクラスでは、約5重量%から約100重量%の結晶性無水物形態が医薬物質中に存在する。本実施形態の第2のクラスでは、約10重量%から約100重量%の結晶性無水物形態が医薬物質中に存在する。本実施形態の第3のクラスでは、約25重量%から約100重量%の結晶性無水物形態が医薬物質中に存在する。本実施形態の第4のクラスでは、約50重量%から約100重量%の結晶性無水物形態が医薬物質中に存在する。本実施形態の第5のクラスでは、約75重量%から約100重量%の結晶性無水物形態が医薬物質中に存在する。本実施形態の第6のクラスでは、実質的に全ての化合物I医薬物質が結晶性無水物形態である。すなわち、化合物I医薬物質は、ほぼ相純粋な結晶性無水物形態である。
【0011】
本発明の別の態様は、化合物Iの新規結晶性メタノール溶媒和物を提供する。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、化合物Iの新規結晶性エタノール溶媒和物を提供する。
【0013】
これらの結晶性溶媒和物は、本発明の結晶性無水物の調製における中間物質として有用である。
【0014】
本発明はさらに、11β−HSD−1のインヒビターが適応である臨床状態の予防または治療のための方法であり、そのような予防または治療を必要とする患者に対して予防的もしくは治療的有効量の、化合物Iの結晶性無水物、または予防的もしくは治療的有効量の化合物Iの結晶性無水物形態を含有する医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。そのような臨床状態としては、2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害が挙げられる。
【0015】
本発明はまた、11β−HSD−1のインヒビターが適応である臨床状態にある哺乳動物の予防または治療のための医薬品製造における、本発明の結晶性無水物形態の使用を提供する。
【0016】
本発明の別の態様は、11β−HSD−1のインヒビターが適応である臨床状態にある哺乳動物の予防または治療に使用される結晶性無水物形態を提供する。
【0017】
本発明はまた、結晶性無水物形態と1以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を合わせて含む医薬組成物を提供する。ある実施形態において、医薬組成物は、予防的または治療的有効量の医薬品有効成分(API)を、薬学的に許容可能な賦形剤と混合して含み、APIは、本発明の結晶性無水物形態の検出可能量を含む。第2の実施形態においては、医薬組成物は、予防的または治療的有効量のAPIを薬学的に許容可能な賦形剤と混合して含み、APIは、約5重量%から約100重量%の、本発明の結晶性無水物形態を含む。この第2の実施形態のあるクラスでは、そのような組成物中のAPIは、約10重量%から約100重量%のそのような結晶性無水物形態を含む。この実施形態の第2のクラスでは、そのような組成物中のAPIは、約25重量%から約100重量%のそのような結晶性無水物形態を含む。この実施形態の第3のクラスでは、そのような組成物中のAPIは、約50重量%から約100重量%のそのような結晶性無水物形態を含む。この実施形態の第4のクラスでは、そのような組成物中のAPIは、約75重量%から約100重量%のそのような結晶性無水物形態を含む。この実施形態の第5のクラスでは、APIの実質的にすべてが化合物Iの結晶性無水物形態中にある。すなわち、APIはほぼ相純粋な化合物Iの結晶性無水物形態である。
【0018】
本発明の組成物は、好適には、錠剤、丸剤、カプセル、散剤、顆粒、無菌の溶液もしくは懸濁液、計量供給エアゾールもしくは液体スプレー、滴剤、アンプル、自己注入デバイスまたは座薬などの単位剤形である。該組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下、もしくは直腸投与、または吸入もしくは吹送投与を意図している。本発明の組成物の製剤は、当分野において公知の方法、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、17版、1995に記載の方法によって達成され得る。
【0019】
投薬療法は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別、および医学的状態;治療される状態の重篤度;投与経路;ならびに患者の腎臓および肝臓の機能を含む種々の要因によって選択される。当業者である医師、獣医師、または臨床医は、病状の進行を予防し、阻止し、または抑えるために必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0020】
示された効能のために使用される場合、本発明の経口投薬量は、体重1kgあたり1日約0.01mg(mg/kg/日)から約100mg/kg/日の範囲、好ましくは0.01〜10mg/kg/日、最も好ましくは0.1〜5.0mg/kg/日であろう。経口投与では、治療される患者に対する投薬の、症状による調整のために、組成物は、好ましくは、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、200、および500mgのAPIを含有する錠剤として提供される。医薬品は、典型的に約0.5mg〜約500mgのAPIを含み、好ましくは、約1mg〜約200mgのAPIを含む。静脈内投与では、最も好ましい投与量は、約0.1〜約10mg/kg/分の一定の速度での注入であろう。好都合に、本発明の結晶性無水物および一水和物形態は、1日一回投与してもよいし、または、1日の投与量全体を2回、3回、もしくは4回に分けて投与してもよい。さらに、本発明の結晶性無水物形態は、好適な鼻腔内賦形剤を局所的に使用することによって、鼻腔内形状で投与することができる。または当業者に公知の経皮パッチの形態を用いて、経皮的経路を介して投与することができる。経皮送達システムの形状で投与されると、当然投薬は投与療法を通して断続的ではなく、継続的なものとなる。
【0021】
本発明の方法においては、本明細書に記載の化合物Iの結晶性無水物形態はAPIを形成することができ、典型的には、意図された投与形態、すなわち、経口錠剤、カプセル、エリキシル、シロップなど、および通常の薬学的なプラクティスと一致するという観点で、適切に選択された、適切な薬学的希釈剤、賦形剤または担体(本明細書においては、総称して、「担体」物質という)との混合物において投与される。
【0022】
例えば、錠剤またはカプセルの形状での経口投薬の場合、医薬品有効成分は、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなどの経口的で無毒性の薬学的に許容可能な不活性な担体と合わせられ得る。液体形状での経口投薬の場合、経口APIは、エタノール、グリセロール、水などの経口的で無毒性の薬学的に許容可能な不活性な担体と合わせられ得る。さらに、所望される場合または必要な場合、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤もまた、混合物中に組み込まれ得る。適切な結合剤は、テンプン、ゼラチン、グルコースもしくはベータラクトースなどの天然の糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカントゴムもしくはアルギン酸ナトリウムなどの、天然もしくは合成のガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウなどが挙げられる。これらの投薬形態で使用される滑沢剤として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤として、限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0023】
以下の非限定的な実施例は、本発明を説明することが意図されており、本発明の範囲または精神を限定するものと解釈されるべきではない。
【0024】
無水物形態を優先的に結晶化するための一般的条件
無水物形態は、多くの有機溶媒および溶媒混合物から結晶化され得る。これらには、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、メチルt−ブチルエーテル、およびペンタン、ヘキサン類、ヘプタン、オクタン、およびイソオクタンとの混合物が含まれる。結晶化は、冷却、蒸発、または、ヘキサン類もしくはヘプタンなどの非極性溶媒の添加によって誘導され得る。
【0025】
結晶性メタノール溶媒和物を調製するための一般的条件
結晶性メタノール溶媒和物は、無水物のメタノール混合物を相平衡に十分な時間撹拌することによって調製され得る。以下に述べる物理的方法によって、メタノール溶媒和物は特徴づけられた。メタノール溶媒和物は、40℃で3日間真空乾燥することによって結晶性無水物に再変換され得る。
【0026】
結晶性エタノール溶媒和物を調製するための一般的条件
結晶性エタノール溶媒和物は、無水物のエタノール混合物を相平衡に十分な時間撹拌することによって調製され得る。以下に述べる物理的方法によって、エタノール溶媒和物は特徴づけられた。エタノール溶媒和物は、40℃で3日間真空乾燥することによって結晶性無水物に再変換され得る。
【0027】
合成
化合物Iは、米国特許第6849636号に記載の反応および技術によって調製され得る。
【0028】
以下の実施例において、化合物Iの結晶性無水物形態、すなわち、形態I、形態IIおよび形態IIIと称されるこれらの多形形態をさらに説明する。
【実施例1】
【0029】
3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾル結晶性無水物(形態II)
化合物I(3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール)は、過剰の水溶性NaOHを用いて化合物Iのイソプロピルアセトアミド(iPAc)スラリーを処理することによって、フリーベース化され2等分された。濾過工程後、次いでこの2つの溶液部分は混合され、形態IIの結晶性無水物としてiPAcから結晶化された。
【実施例2】
【0030】
3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール結晶性無水物(形態I)
溶媒組成物を10%のiPAcメタノールに調整し、その物質を還流しながら溶解し、50℃で播種することによって、形態II結晶性無水物は、形態I無水物に変換された。40℃で一晩熟成した後、スラリーを調べたところ、形態I無水物だけとなっていることが分かった。
【実施例3】
【0031】
3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール結晶性無水物(形態III)
上記熟成工程(40℃で一晩)を省いて、物質を室温まで冷却させた場合、得られる混合物は結晶性無水物の形態IおよびIIIとなることが分かった。形態III(0.5重量%程の少量)を用いて室温で播種すると、形態I無水物のiPAcスラリー(または10%メタノール/iPAcスラリー)は、完全に転換し、14〜16時間の熟成期間後、熱力学的により安定した形態IIIとなる。
【0032】
形態IIIはまた、iPAcまたはメタノール/iPAc溶液中の遊離塩基から、30〜35℃(もしくは室温)で形態III物質とともに播種後、直接結晶化され得る。
【0033】
分子構造、結晶度、および多形性を特徴づけるためにX線粉末回折研究が広く用いられている。本発明の結晶性多形の粉末X線回折パターンをPhilips Analytical X’Pert PRO X線回折システムでPW3040/60コンソールを使用し作成した。PW3373/00セラミックCu LEF X線管Kアルファ線を線源として使用した。
【0034】
図1は、本発明の化合物Iの結晶性無水物(形態I)の特有のX線回折パターンを示す。無水物形態は、6.56、6.33、6.19、5.63、5.27、4.93、4.74、4.65、4.51、および4.37オングストロームのd間隔に対応する特有の反射を示す。
【0035】
図4は、本発明の化合物Iの結晶性無水物(形態II)の特有のX線回折パターンを示す。無水物形態は、18.33、9.37、8.62、6.28、6.02、5.97、5.30、5.14、5.01、および4.86オングストロームのd間隔に対応する特有の反射を示す。
【0036】
図6は、本発明の結晶性無水物(形態III)の特有のX線回折パターンを示す。この無水物形態は、9.26、5.90、5.78、5.33、5.16、5.10、5.03、4.69、4.61、および4.26オングストロームのd間隔に対応する特有の反射を示す。
【0037】
図9は、本発明の化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物の特有のX線回折パターンを示す。このメタノール溶媒和物は、9.88、6.13、5.36、4.65、4.43、4.39、4.08、3.98、3.36、および3,26オングストロームのd間隔に対応する特有の反射を示す。
【0038】
図11は、本発明の化合物Iの結晶性エタノール溶媒和物の特有のX線回折パターンを示す。このエタノール溶媒和物は、10.03、6.66、6.29、5.38、4.74、4.46、4.41、4.15、4.04および3.30オングストロームのd間隔に対応する特有の反射を示す。
【0039】
上記粉末X線回折パターンに加えて、本発明の化合物Iの結晶多形形態は、さらにそれらの固体炭素−13核磁気共鳴(NMR)スペクトルによって特徴づけられた。固体炭素−13NMRスペクトルは、Bruker 4mm二重共鳴CPMASプローブを用いたBruker DSX 400WB NMRシステムで得られた。炭素−13NMRスペクトルは、変動振幅交差分極によるプロトン/炭素−13交差分極マジックアングルスピニングを利用した。サンプルは、15.0kHzで回転され、合計1024走査が、5秒のリサイクル遅れを伴い回収された。FTを行う前にスペクトルに40Hzのラインブロードニングを適用した。グリシンのカルボニル炭素(176.03p.p.m.)を第2の基準として用いたTMSスケールに関して、化学シフトが報告されている。
【0040】
図2は、化合物Iの結晶性無水物形態(形態I)の固体炭素−13CPMAS NMRスペクトルを示す。この結晶性無水物形態は、160.2、153.6、133.4、129.8、127.6、48.0、33.4、32.7、29.6、および6.9p.p.m.の化学シフト値を有する特有の信号を示した。
【0041】
図5は、化合物Iの結晶性無水物形態(形態II)の固体炭素−13CPMAS NMRスペクトルを示す。この結晶性無水物形態は、153.2、131.6、129.0、125.4、54.4、45.8、32.3、30.6、29.4、および4.8p.p.m.の化学シフト値を有する特有の信号を示した。
【0042】
図7は、化合物Iの結晶性無水物形態(形態III)の固体炭素−13CPMAS NMRスペクトルを示す。この結晶性無水物形態は、160.1、153.9、134.0、131.4、129.5、127.0、54.8、51.5、33.4、および5.9p.p.m.の化学シフト値を有する特有の信号を示した。
【0043】
さらに、示差走査熱量測定(DSC)が行われた。DSCデータは、TA Instruments DSC2910(または同等の計器)を用いて取得された。2〜6mgのサンプルがオープンな皿上で秤量された。次いでこの皿は折り曲げられ(crimped)、熱量計セル中のサンプル位置に置かれた。空の皿が対照の位置に置かれた。この熱量計セルが閉じられ、セルに窒素流が通された。サンプルを加熱速度10℃/分で、約250℃まで加熱するように加熱プログラムが設定された。加熱プログラムが開始された。この連続工程が完了した時、システムソフトウェアに含まれるDSC分析プログラムを用いてデータが分析された。融解吸熱は、吸熱が観察される範囲の上下の温度であるベースライン温度間で積分された。データとして、開始温度、ピーク温度およびエンタルピーが報告される。
【0044】
図3は、化合物Iの結晶性無水物形態(形態I)の示差走査熱量測定を示す。この結晶性無水物形態は、開始温度174.1℃、ピーク温度177.7℃、およびエンタルピー68.5J/gの融解吸熱を示した。
【0045】
図8は、化合物Iの結晶性無水物形態(形態III)の示差走査熱量測定を示す。この結晶性無水物形態は、開始温度177.5℃、ピーク温度179.7℃、およびエンタルピー37.3J/gの融解吸熱を示した。この最初の熱事象に続いて、開始温度189.6℃、ピーク温度191.4℃、およびエンタルピー35.8J/gの第2の吸熱が起こった。
【0046】
パーキン エルマー(Perkin Elmer)モデルTGA7(または同等の機器)を用いて熱重量分析(TGA)曲線を得た。窒素流のもとで、加熱率10℃/分で、最大温度約250℃まで加熱した。自動的に風袋を量りバランスを取った後、5〜20mgのサンプルをプラチナ皿に加えた。炉を上昇させ、加熱プログラムを開始させた。重力/温度データは計器によって自動的に集められた。結果の分析は、機器ソフトウェア中でDelta Y関数を選択し、重量損失が計算される温度を選択することによって行われた。重量損失は、分解/蒸発の開始までに報告される。
【0047】
図10は、化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物の熱重量分析(TGA)曲線を示す図である。TGAは、120℃で約5.8%の重量損失を示した。
【0048】
図13は、化合物Iの結晶性エタノール溶媒和物の熱重量分析(TGA)曲線を示す図である。TGAは、120℃で約7.8%の重量損失を示した。
【0049】
医薬組成物の実施例
本発明の結晶性無水物形態は、以下のようにしてカプセル剤形に製剤された。100mg力価のカプセル剤は、100mgのAPI、190mgの微結晶セルロース、および約95mgの#0白色不透明なゼラチンカプセル剤におけるものと同様のゼラチンで構成された。APIおよび微結晶セルロースが最初に混合され、次いでその混合物がゼラチンカプセル剤にカプセル化された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性無水物であることを特徴とする、式I:
【化1】
の3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール。
【請求項2】
約6.56、6.33、6.19、5.63、5.27、4.93、4.74、4.65、4.51、および4.37オングストロームのスペクトルd−間隔における、粉末X線回折パターンから得られる特有の反射を特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項3】
図1の粉末X線回折パターンをさらに特徴とする、請求項2に記載の結晶性無水物。
【請求項4】
約160.2、153.6、133.4、129.8、127.6、48.0、33.4、32.7、29.6、および6.9p.p.mの化学シフト値を有するシグナルを示す固体炭素−13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項5】
図2の固体炭素−13 CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項4に記載の結晶性無水物。
【請求項6】
図3の示差走査熱量測定(DSC)曲線を特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項7】
約18.33、9.37、8.62、6.28、6.02、8.08、6.49、5.43、5.39、4.38、4.10、3.18、および2.74オングストロームのスペクトルd−間隔における、粉末X線回折パターンから得られる特有の反射を特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項8】
図4の粉末X線回折パターンをさらに特徴とする、請求項7に記載の結晶性無水物。
【請求項9】
約153.2、131.6、129.0、125.4、54.4、45.8、32.3、30.6、29.4、および4.8p.p.mの化学シフト値を有するシグナルを示す固体炭素−13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項10】
図5の固体炭素−13 CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項9に記載の結晶性無水物。
【請求項11】
約9.26、5.90、5.78、5.33、5.16、5.10、5.03、4.69、4.61、および4.26オングストロームのスペクトルd−間隔における、粉末X線回折パターンから得られる特有の反射を特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項12】
図6の粉末X線回折パターンをさらに特徴とする、請求項11に記載の結晶性無水物。
【請求項13】
約160.1、153.9、134.0、131.4、129.5、127.0、54.8、51.5、33.4、および5.9p.p.mの化学シフト値を有するシグナルを示す固体炭素−13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項14】
図7の固体炭素−13 CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項13に記載の結晶性無水物。
【請求項15】
図8の示差走査熱量測定(DSC)曲線を特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項16】
1または複数の薬学的に許容可能な担体または賦形剤と組み合わせて、請求項1に記載の結晶性無水物の治療的有効量を含む、医薬組成物。
【請求項17】
2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害の治療方法であって、このような治療を必要とする哺乳動物に請求項1に記載の結晶性無水物の治療的有効量を投与することを含む、方法。
【請求項18】
哺乳動物における2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害の治療に使用される医薬品の製造における、請求項1に記載の結晶性無水物の使用。
【請求項19】
結晶性メタノール溶媒和物であることを特徴とする、式I:
【化2】
の3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール。
【請求項20】
約9.88、6.13、5.36、4.65、4.43、4.39、4.08、3.98、3.36、および3.26オングストロームのスペクトルd−間隔における、粉末X線回折パターンから得られる特有の反射を特徴とする、請求項19に記載の結晶性メタノール溶媒和物。
【請求項21】
図9の粉末X線回折パターンをさらに特徴とする、請求項20に記載の結晶性メタノール溶媒和物。
【請求項22】
図10の熱重量分析(TGA)曲線を特徴とする、請求項19に記載の結晶性メタノール溶媒和物。
【請求項23】
結晶性エタノール溶媒和物であることを特徴とする、式I:
【化3】
の3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール。
【請求項24】
約10.03、6.66、6.29、5.38、4.74、4.46、4.41、4.15、4.04、および3.30オングストロームのスペクトルd−間隔における、粉末X線回折パターンから得られる特有の反射を特徴とする、請求項23に記載の結晶性エタノール溶媒和物。
【請求項25】
図11の粉末X線回折パターンをさらに特徴とする、請求項24に記載の結晶性エタノール溶媒和物。
【請求項26】
図12の示差走査熱量測定(DSC)曲線を特徴とする、請求項23に記載の結晶性エタノール溶媒和物。
【請求項27】
図13の熱重量分析(TGA)曲線を特徴とする、請求項23に記載の結晶性エタノール溶媒和物。
【請求項1】
結晶性無水物であることを特徴とする、式I:
【化1】
の3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール。
【請求項2】
約6.56、6.33、6.19、5.63、5.27、4.93、4.74、4.65、4.51、および4.37オングストロームのスペクトルd−間隔における、粉末X線回折パターンから得られる特有の反射を特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項3】
図1の粉末X線回折パターンをさらに特徴とする、請求項2に記載の結晶性無水物。
【請求項4】
約160.2、153.6、133.4、129.8、127.6、48.0、33.4、32.7、29.6、および6.9p.p.mの化学シフト値を有するシグナルを示す固体炭素−13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項5】
図2の固体炭素−13 CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項4に記載の結晶性無水物。
【請求項6】
図3の示差走査熱量測定(DSC)曲線を特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項7】
約18.33、9.37、8.62、6.28、6.02、8.08、6.49、5.43、5.39、4.38、4.10、3.18、および2.74オングストロームのスペクトルd−間隔における、粉末X線回折パターンから得られる特有の反射を特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項8】
図4の粉末X線回折パターンをさらに特徴とする、請求項7に記載の結晶性無水物。
【請求項9】
約153.2、131.6、129.0、125.4、54.4、45.8、32.3、30.6、29.4、および4.8p.p.mの化学シフト値を有するシグナルを示す固体炭素−13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項10】
図5の固体炭素−13 CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項9に記載の結晶性無水物。
【請求項11】
約9.26、5.90、5.78、5.33、5.16、5.10、5.03、4.69、4.61、および4.26オングストロームのスペクトルd−間隔における、粉末X線回折パターンから得られる特有の反射を特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項12】
図6の粉末X線回折パターンをさらに特徴とする、請求項11に記載の結晶性無水物。
【請求項13】
約160.1、153.9、134.0、131.4、129.5、127.0、54.8、51.5、33.4、および5.9p.p.mの化学シフト値を有するシグナルを示す固体炭素−13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項14】
図7の固体炭素−13 CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする、請求項13に記載の結晶性無水物。
【請求項15】
図8の示差走査熱量測定(DSC)曲線を特徴とする、請求項1に記載の結晶性無水物。
【請求項16】
1または複数の薬学的に許容可能な担体または賦形剤と組み合わせて、請求項1に記載の結晶性無水物の治療的有効量を含む、医薬組成物。
【請求項17】
2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害の治療方法であって、このような治療を必要とする哺乳動物に請求項1に記載の結晶性無水物の治療的有効量を投与することを含む、方法。
【請求項18】
哺乳動物における2型糖尿病、高血糖、肥満、脂質異常症、高血圧、および認知障害の治療に使用される医薬品の製造における、請求項1に記載の結晶性無水物の使用。
【請求項19】
結晶性メタノール溶媒和物であることを特徴とする、式I:
【化2】
の3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール。
【請求項20】
約9.88、6.13、5.36、4.65、4.43、4.39、4.08、3.98、3.36、および3.26オングストロームのスペクトルd−間隔における、粉末X線回折パターンから得られる特有の反射を特徴とする、請求項19に記載の結晶性メタノール溶媒和物。
【請求項21】
図9の粉末X線回折パターンをさらに特徴とする、請求項20に記載の結晶性メタノール溶媒和物。
【請求項22】
図10の熱重量分析(TGA)曲線を特徴とする、請求項19に記載の結晶性メタノール溶媒和物。
【請求項23】
結晶性エタノール溶媒和物であることを特徴とする、式I:
【化3】
の3−[4−(3−エタンスルホニル−プロピル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−4−メチル−5−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール。
【請求項24】
約10.03、6.66、6.29、5.38、4.74、4.46、4.41、4.15、4.04、および3.30オングストロームのスペクトルd−間隔における、粉末X線回折パターンから得られる特有の反射を特徴とする、請求項23に記載の結晶性エタノール溶媒和物。
【請求項25】
図11の粉末X線回折パターンをさらに特徴とする、請求項24に記載の結晶性エタノール溶媒和物。
【請求項26】
図12の示差走査熱量測定(DSC)曲線を特徴とする、請求項23に記載の結晶性エタノール溶媒和物。
【請求項27】
図13の熱重量分析(TGA)曲線を特徴とする、請求項23に記載の結晶性エタノール溶媒和物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−511576(P2012−511576A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540797(P2011−540797)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/066939
【国際公開番号】WO2010/068580
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/066939
【国際公開番号】WO2010/068580
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】
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