12cmディスク専用のディスク再生装置
【課題】12cmディスクを偏って挿入するとその偏りを修正しながらディスク搬送がなされ、誤って8cmディスクが挿入されたときは、いったん受入れた後、そのディスクを排出する12cmディスク専用のディスク再生装置を提供する。
【解決手段】左右の検知レバー7L,7Rのうちの一方がそのディスク当接部をディスクに押されて検知レバーが同期回動すると、両ディスク当接部の間隔を8cmディスクは通過可能で12cmディスクは通過不能となるように検知レバーの回動量を制限し、12cmディスクによって両ディスク当接部が押されると、そのような制限せずに両検知レバーを回動させ、制限の範囲で搬送されたディスクは8cmディスクと判断して排出するようにする。
【解決手段】左右の検知レバー7L,7Rのうちの一方がそのディスク当接部をディスクに押されて検知レバーが同期回動すると、両ディスク当接部の間隔を8cmディスクは通過可能で12cmディスクは通過不能となるように検知レバーの回動量を制限し、12cmディスクによって両ディスク当接部が押されると、そのような制限せずに両検知レバーを回動させ、制限の範囲で搬送されたディスクは8cmディスクと判断して排出するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、12cmディスク専用のディスク再生装置において、12cmディスクが左右いずれかに偏って挿入されたときはその偏りを修正しながら受入れ、誤って8cmディスクが挿入されたときは、そのディスクをいったん受入れた後、自動的に排出するようにしたディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽その他の情報の記録媒体としてのディスクの直径は8cm及び12cmが規格化されている。しかしながら、8cmディスクが激減している近況において、12cmディスク専用として構成の簡素化及び低廉化を図ったディスク再生装置が出現している。このような、12cm専用のディスク再生装置にあっては、誤って8cmディスクが挿入された際の対策を講じなければならず、12cmディスクが挿入された場合であっても、左右に偏って挿入された場合の対策も講じる必要がある。
【0003】
例えば特開2005−243091号公報及び特開2006―155690号公報には次のような12cmディスク専用のディスク装置が開示されている。
すなわちこれらの公報には、誤って8cmディスク(Ds)を挿入しようとすると、ディスクが当接部(19a,18)に当接するようにして8cmディスク(Ds)の装置内部への挿入自体を禁止するディスク装置が開示されている。
【0004】
しかし、このような構成では、8cmディスクを挿入しようとして、無理にディスクを押し込んでしまい、ディスクや内部の機構を損傷してしまう恐れがあった。しかも、12cmディスクが左右に偏って挿入された際の対策については、何も講じられていない。
【0005】
また、特開平5−144151号公報には、挿入口2に3つのセンサ21,22,23を横一列に等間隔に配置して両端のセンサ21,23の間隔を8cm若干超える値とした構成が開示されている。そして、12cmディスクを挿入したときは3つのセンサ21,22,23がすべて検知し、一対のローラ12a,12bよりなる駆動ローラ12によりディスクを再生部へ向けて搬送するが、8cmディスクを挿入したときは3つのセンサで検知することはないので、8cmディスクが挿入されたと判断して駆動ローラ12を動作させない構成としている。
【0006】
しかし、このような構成では、誤って8cmディスクを挿入したときは、ディスクが一対のローラ12a,12b間に当接して挿入が禁止されるが、無理に一対のローラ12a,12b間に押込んでしまいディスクやローラ12a,12bを損傷してしまう恐れがあった。しかも、この公報にも12cmディスクが左右に偏って挿入された際の対策については、何ら開示されていない。
【0007】
さらに特開平8−241567号公報及び特開2005−71608号公報には、次のようなディスクプレーヤが開示されている。すなわち、挿入口1aに4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4が配置され、12cmディスクDLが挿入されると、第1、第2のスイッチSW1,SW2がONからOFFに切換わる。さらにディスクDLが挿入されると検知ピン11、検知レバー23が回動して第3のスイッチSW3をONからOFFに切換える。これによってモータが始動してローラ5が回転し、ディスクDLが再生部まで搬入されるとローラブラケット4に設けた検知爪4aでスイッチSW4をOFFからONに切換えて、モータを停止させる。一方、8cmディスクDSが挿入されたときには、3つのスイッチSW1,SW2,SW3が同時にOFFになることはないので、8cmディスクDSが挿入されたと判断し、ローラ5を逆回転させる。
【0008】
しかし、このような構成であっても、誤って8cmディスクを挿入したときは、ディスクがローラ5に当接したり、逆回転するローラ5に逆らって無理に押込んでしまう恐れもあり、前記特開平5−144151号公報に記載されたものと同様の問題があった。また、これらの公報にも、12cmディスクが左右に偏って挿入された際の対策は何ら開示されていない。
【0009】
特開平1−227257号公報及び特開平1−227258号公報には、次のような12cmディスクプレーヤが開示されている。
すなわち、ディスク挿入口(2)の近傍にはディスク検知センサ(5又は5b)を配置し、装置の奥には搬入完了検知センサ(10)を配置し、12cmディスクを挿入するとそれをディスク検知センサにより検知して搬送ローラによりディスク再生部へ搬送し、ディスクがディスク再生部に達するとそれを搬入完了検知センサにより検知してディスク搬送を停止し、ディスク再生を行なう。ところが、8cmディスクを挿入するとディスク検知センサにより検知してディスクを再生部へ向けて搬送するが、搬入完了検知センサがディスクを検知する前にディスク検知センサがディスクを検知しなくなるため、8cmディスクが挿入されたと判断され、その8cmディスクを排出する構成となっている。
しかし、この構成は、誤って8cmディスクが挿入された際の対策のみであり、12cmディスクが左右に偏って挿入された際の対策は何ら講じられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−243091
【特許文献2】特開2006―155690
【特許文献3】特開平5−144151
【特許文献4】特開平8−241567
【特許文献5】特開2005−71608
【特許文献6】特開平1−227257
【特許文献7】特開平1−227258
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は誤って8cmディスクが挿入されたとしても、その挿入をいったん受け入れた上で排出を行なうことにより、8cmディスクを無理に押し込もうとする無謀な操作を防止して、ディスクや内部の機構を損傷することを防止すると共に、12cmディスクが左右いずれかに偏って挿入されたときはその偏りを修正しながら受入れる機能をも同時に備えた、12cmディスク専用のディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、各回動端部にディスク当接部を有し同期して回動する左右一対の検知レバーを、付勢手段により両ディスク当接部の間隔を狭める方向に付勢し、搬送手段により、両ディスク当接部の間隔を押し広げながらディスク挿入口より挿入されたディスクを再生部へ向けて搬送し又は該ディスクを排出方向へ搬送するようにした12cmディスク専用のディスク再生装置において、一方のディスク当接部のみがディスクに押されたとき、両ディスク当接部の間隔が8cmディスクは通過可能で12cmディスクは通過不能な範囲となるように両検知レバーの回動量を制限する。そして、挿入されたディスクが8cmのときはそのまま両ディスク当接部間を通過させ、12cmのときは前記両ディスク当接部が12cmディスクに押されたことにより該制限をせずに両検知レバーを回動可能とすることにより、ディスクを通過させる。そして、制御手段により前記搬出手段を制御して、前記ディスク挿入口より挿入されたディスクを再生部へ向けて搬送させ、両ディスク当接部の間隔が前記範囲を超えずに搬送されたときは8cmディスクと判断して前記搬送手段により排出させる構成としている。
【0013】
前記回動量規制手段は、同期回動自在に連結された左右一対の連動部材と、各連動部材及びこれと同一側の前記検知レバーの一方に設けられた長溝と、各連部材及びこれと同一側の前記検知レバーの他方に設けられた突起とで構成し、同一側の長溝及び突起の嵌合により前記一対の検知レバーを同期回動自在とし、各長溝の一側面の途中にストッパ部を設け、一方の検知レバーが反付勢方向へ回動すると一方の突起が長溝の一側面に摺接してストッパ部に当接することにより一方の検知レバーの回動量を制限し、この制限を、他方の検知レバーが反付勢方向へ回動して、これに伴い一方の連動レバーが回動することにより解除するようにするとよい。
【0014】
また、前記両ディスク当接部がディスクによって反付勢方向へほぼ均等に押されたときは、予め定めた側の突起のみ、同一側のストッパ部に当接するようにするとよい。
【0015】
この条件を満たすためには、同一側の検知レバー及び連動部材の回動支点間距離、並びに検知レバーの回動支点と同一側の突起との間の距離を左右同一とし、かつ、連動部材の回動支点と同一側のストッパ部との間の距離を左右で異ならせるとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の12cmディスク再生用のディスク再生装置は、左右のディスク当接部の間隔を、両当接部がディスクによって同時に押されない限り8cmディスクは通すが12cmディスクは通さないように制限している。したがって、誤って8cmディスクを挿入したときは、両ディスク当接部の間隔が大きく開かないまま両当接部間を通過するので8cmディスクであることを検知して排出し、12cmディスクを左右いずれかに偏って挿入したときは、その偏りが修正されない限り両当接部の間隔が大きく開かないので、偏りを修正しながら挿入することになる。よって、8cmディスクを無理に押し込まれるおそれがなく、ディスクや内部機構の損傷を防止できるとともに、操作性の向上を図ることができる。
【0017】
また、回動量規制手段を一対の連動部材と連動部材及び検知レバーに設けられた長溝及び突起とで構成することにより、回動量規制手段を簡単に構成することができる。
【0018】
また、両ディスク当接部がディスクによってほぼ均等に押されたときは予め定めた側の検知レバーのみ回動量を制限するようにしたことにより、左右の検知レバーが同時に回動を制限されてその制限を解除できなくなってしまう不具合を回避することができる。
【0019】
また、連動部材の回動支点と同一側のストッパ部との間の距離を左右で異ならせることで、左右の検知レバーが同時に回動を制限されてしまう不具合を、簡単な構成によって回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態を示す車載用ディスク再生装置の外観斜視図
【図2】ディスク再生装置の要部を示す平面図
【図3】ディスク再生装置の動作状態を示す平面図
【図4】ディスク再生装置の動作状態を示す平面図
【図5】ディスク再生装置の動作状態を示す平面図
【図6】ディスク再生装置の動作状態を示す平面図
【図7】ディスク再生装置におけるディスク排出時のディスクの動きを説明する説明図
【図8】ディスク再生装置の動作状態を示す平面図
【図9】制御手段及び搬送手段の関係を示すブロック図
【図10】8cmディスクを挿入したときのタイムチャート
【図11】12cmディスクを挿入したときのタイムチャート
【図12】本発明の別の実施の形態を示す要部平面図
【図13】本発明のさらに別の実施の形態を示す要部平面図
【図14】同実施の形態における回動部材の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、左右ほぼ対称をなす部位の符号は、左方に「L」、右方に「R」を付したものとする。
図1は本発明に係る12cmディスク専用の車載用ディスク再生装置2の外観斜視図である。ディスク再生装置2の正面には、ディスクを挿脱するディスク挿入口3が設けられている。ディスク再生装置2は、金属板よりなる箱型の固定シャーシ4内に、情報再生用のピックアップ等を装備したフローティングシャーシ5がフローティング状態に装着されている。なお、図中6は情報が記録された12cmディスクである。固定シャーシ4の天板上面には合成樹脂よりなる左右一対の検知レバー7L,7Rが回動自在に装着されている。両検知レバー7L,7R間には、左右に長い一対の合成樹脂製連動部材8L,8Rが各内方端部を回動自在に装着されている。各連動部材8L,8Rはその各内方端側に互いに噛合する歯部9L,9Rを有し、互いに同期回動するようになっている。なお、図示のように、左方の歯部9Lを1歯欠き、右方の歯部9Rに幅広の歯を設けたのは、歯部9L,9R同士の組立作業が効率よく行えるようにするためである。
【0022】
図2に示すように、各連動部材8L,8Rは内方端近傍に支点軸10L,10Rを有し、略中央から外方端近傍にかけて長溝11L,11Rが設けられ、この長溝11L,11Rのディスク挿入口3側の一側面12L,12R途中には斜面13L,13R及びストッパ部14L,14Rを有する凹部15L,15Rが設けられ、長溝11L,11Rの他側面16L,16Rは全長に亘って連続面となっている。斜面13L,13Rは長溝11L,11Rの一側面12L,12Rに対し外方端方向へ略45度の角度をもって形成され、ストッパ部14L,14Rは斜面13L,13Rの終端位置に該一側面12L,12Rに対し略直交して形成されている。なお、一側面12L,12Rとストッパ部14L,14Rとの交差する角部17L,17Rには、面取りが施されている。連動部材8L,8Rの回動支点(支点軸10L,10Rの中心)とストッパ部14L,14Rとの間の距離d1,d2は、左方の距離d1を右方の距離d2よりも短く設定している。
【0023】
各連動部材8L,8Rの奥側の側面には、その回動端に近い部位に凸部18L,18Rが設けられている。前記左右の検知レバー7L,7Rは奥側端部近傍に小円形孔を有し、各小円形孔を、固定シャーシ4の天板上面に突設された軸19L,19Rに回動自在に嵌合させている。検知レバー7L,7Rの回動端はディスク挿入口3へ向けて延び、各回動端にディスク挿入口3を塞ぐように下方へ垂下するディスク当接部20L,20Rが設けられている。また、左右の検知レバー7L,7Rには、各回動支点(軸19L,19Rの中心)近傍から内方へ延出する内方延出部21L,21Rが設けられ、各内方延出部21L,21Rを同一側の連動部材8L,8Rの長溝11L,11R下方に位置させている。そして各内方延出部21L,21Rの上面に突設した断面円形の突起22L,22Rを各連動部材8L,8Rの長溝11L,11Rに、下方より嵌合させている。なお、対応する検知レバー7L,7Rと連動部材8L,8Rとの回動支点間距離、並びに検知レバー7L,7Rの回動支点と突起22L,22Rとの間の距離は、左右同一としている。そして、ディスク6の非挿入時にあっては、各突起22L,22Rが凹部15L,15Rよりも連動部材8L,8Rの支点軸10L,10R寄りに位置するようにしている。
【0024】
前記左方の検知レバー7Lには、図1に示すように、回動支点(軸19Lの中心)の周りに第一段差部30及び第二段差部31が設けられている。また、固定シャーシ4の上板上面には、第一段差部30及び第二段差部31にそれぞれ対応する第一スイッチ32及び第二スイッチ33が配置されている。
【0025】
前記左右一対の連動部材8L,8R、長溝11L,11R、ストッパ14L,14R及び突起22L,22Rは各検知レバー7L,7Rの回動量を制限する回動量規制手段34(図3参照)を構成している。また、左右の検知レバー7L,7Rは、この回動量規制手段34により、同期回動自在ともなっている。そこで、左右いずれか一方の(例えば図2に示すように、右方の)ディスク当接部20Rがディスクに押されてその押された側の検知レバー7Rが回動するとき、反対側(左方の)の検知レバー7Lも同期回動することになるが、図3に示すように、押された側の突起22Rがストッパ部14Rに当接してその検知レバー7Rの回動量が制限されたときの左右のディスク当接部20L,20R間の間隔d3は、8cmディスクは通過させるが12cmディスク6は通過させない範囲となるように(例えば10cm前後に)設定している。
【0026】
そして、回動量規制手段34によってこのように各検知レバー7L,7Rの回動量を制限することにより、8cmディスク又は12cmディスク6を挿入したとき、両ディスク当接部20L,20R間の間隔d3が前記範囲より大きいと、すなわち両検知レバー7L,7Rの回動量が設定量より大きいと12cmディスク6、小さいと8cmディスクであると、図9に示す制御手段35において判断される。この制御手段35は前記第一スイッチ32及び第二スイッチ33を含んで構成されているもので、該制御手段35は、両スイッチ32,33のオン、オフ条件によってリバース型モータ36をオン、オフ又は反転制御する。そして、モータ36は搬送手段37を駆動し、搬送手段37は、適宜、ディスクを再生部へ向けて搬送し、又は該ディスクを排出する。
【0027】
図10及び図11は前記第一スイッチ32及び第二スイッチ33とモータ36との関係を示すタイムチャートである。
【0028】
8cmディスクが挿入されると、図10の如く、左右の検知レバー7L,7Rが回動して左方の検知レバー7Lの第一段差部30が第一スイッチ32をオフからオンに切換える。これと同期してモータ36が正方向に回転し、搬送手段37により、ディスクを再生部へ向けて搬送する。しかし、検知レバー7Lの回動量は小さいため、第二スイッチ33はオフ状態に保持される。そして、ディスクの中心が両ディスク当接部20L,20R間を通過すると、両検知レバー7L,7Rは引張りばね25L,25Rにより復帰して、第一段差部30が第一スイッチ32から離反するので、第一スイッチ32がオフとなり、これと同期してモータ36を反転させ、搬送手段37により8cmディスクを排出させる。
12cmディスク6が挿入されると、図11の如く左右の検知レバー7L,7Rが回動して、左方の検知レバー7Lの第一段差部30により第一スイッチ32をオフからオンに切換え、モータ36が正方向に回転し、搬送手段37によりディスク6を再生部へ向けて搬送する。続いて、両検知レバー7L,7Rが大きく回動することにより、第二段差部31が第二スイッチ33をオフからオンに切換える。これによって、12cmディスク6が挿入されたと、制御手段35において判断することになる。その後、12cmディスク6の中心が両ディスク当接部20L,20R間を通過すると、両検知レバー7L,7Rは引張ばね25L,25Rにより復帰して第二段差部31が第二スイッチ33から離反するので第二スイッチ33がオフとなり、これと同期してモータ36が停止し、搬送手段37はディスク搬送を停止する。このとき、ディスク6は再生部に到達していることになる。すると、左方の検知レバー7Lは引張りコイルばね25Lによってディスク搬送前の初期位置に復帰するので、第二段差部31による第二スイッチ33に対する押圧を解除した後、第一段差部30による第一スイッチ32に対する押圧を解除したことを制御手段35が検知して、モータ36を停止させる。
【0029】
図2の如く、前記固定シャーシ4の天板上面には、左右一対のばね掛けフック23L,23Rが設けられ、各検知レバー7L,7Rにもばね掛けフック24L,24Rが設けられて、対応するばね掛けフック間に引張ばね25L,25Rを掛渡し、両検知レバー7L,7Rを、互いのディスク当接部20L,20Rの間隔を狭める方向に回動付勢するようにしている。
また、固定シャーシ4の天板上面には、左右の連動部材8L,8Rの凸部18L,18R近傍に切起し片26L,26Rが設けられ、ディスク非挿入時においては前記引張ばね25L,25Rにより各凸部18L,18Rを同一側の切起し片26L,26Rに当接させ、左右のディスク当接部20L,20Rを最接近位置に保持するようにしている。このとき各検知レバー7L,7Rの突起22L,22Rは、各連動部材8L,8Rの長溝11L,11Rの内方端近傍に位置している。
【0030】
前記左右の連動部材8L,8Rには、各ディスク当接部20L,20Rに近い部位に、図1に示すように弾性片27L,27R(図2以降では弾性片27L,27Rを省略する。)が一体形成され、各ディスク当接部20L,20Rの側面には、図2に示すように縦長な長方形状をなす補強部28L,28Rが設けられ、各補強部28L,28Rを固定シャーシ4の天板下面側に位置させている。そして、これら弾性片27L,27Rと補強部28L,28Rとで天板を上下から挟み、検知レバー7L,7Rの上下振動を防止するようにしている。弾性片27L,27Rと補強部28L,28Rとで挟まれる天板の縁部29L,29R(図1参照)は、各検知レバー7L,7Rの回動支点である軸19L,19Rの中心を曲率の中心とする円弧状に形成されている。
【0031】
また、図1に示すように前記固定シャーシ4の底板には左右一対の保護片30L,30Rが設けられ、これらの保護片30L,30Rをディスク挿入口3の前方に位置させている。各保護片30L,30Rは上方より見てL字形をなし、ディスク非挿入時においては同一側のディスク当接部20L,20Rの下端部分の内側及び奥側に接近させている。
【0032】
以上の構成によれば、図1に示すようにディスク挿入口3よりディスク6を挿入すると、左右の検知レバー7L,7Rがそのディスク当接部20L,20Rをディスク6に押されて回動する。そして、いずれか一方(例えば左方)の検知レバー7Lの回動により制御手段35がディスク6の挿入を検知して搬送手段37を起動させ、該搬送手段37により、再生部へ向けてディスク6の搬送を行う。そしてディスク6の中心が左右のディスク当接部20L,20R間を過ぎると、左右のディスク検知レバー7L,7Rは引張りばね25L,25Rにより回動復帰し、ディスク6は、搬送手段37により所定の再生部まで搬送される。
【0033】
ところで、通常、ディスク6を挿入する際、左右いずれかに偏って挿入してしまうことが多い。例えば、ディスク6を右方へ偏った状態で挿入すると、図2に示すように右方の検知レバー7Rがそのディスク当接部20Rをディスク6に押されて(矢印a)反付勢方向(反時計方向)へ回動する(矢印b)。このとき、右方の検知レバー7Rの突起22Rが右方の連動部材8Rの長溝11Rの一側面12Rと摺接して右方の連動部材8Rを時計方向へ回動させ(矢印c)、これと同期して左方の連動部材8Lを反時計方向へ回動させる(矢印d)。左方の連動部材8Lが反時計方向へ回動すると、その長溝11Lの他側面16Lで左方の検知レバー7Lの突起22Lを押し、左方の検知レバー7Lを時計方向へ回動させる(矢印e)。要するに、右方の検知レバー7Rが反時計方向へ回動すると、これと同期して左方の検知レバー7Lが時計方向へ同期回動することになる。
【0034】
このとき、右方の検知レバー7Rの回動に伴い、その突起22Rが右方の連動部材8Rの一側面12Rから斜面13Rを経由して図3の如くストッパ部14Rに当接したところで、右方の検知レバー7Rの回動量が制限される。したがって、ディスク6を更に挿入しようとすると、右方の検知レバー7Rは反時計方向への回動を禁止されているので、ディスク6は当然の如く左方へ寄せられることとなり、図3における仮想線位置から実線位置へとその偏りを修正されながら、左方のディスク当接部20Lを押すようになる(矢印f)。これによって、図4の如く左方の検知レバー7Lは時計方向へ回動し(矢印g)、今度は、左方の検知レバー7Lの突起22Lが左方の連動部材8Lの長溝11Lの一側面12Lを押して(矢印h)該連動部材8Lを反時計方向へ回動させ(矢印i)、右方の連動部材8Rがこれと同期して、図4における仮想線位置から実線位置へと時計方向へ回動することになる(矢印j)。
【0035】
その結果、右方の検知レバー7Rの突起22Rが右方の連動部材8Rのストッパ部14Rから外れ、右方の検知レバー7Rの回動禁止が解除されるので、ディスク6は偏りが修正された状態で、搬送手段37により、所定の再生部まで搬送される。なお、一側面12Rとストッパ部14Rとの交差する角部17Rに面取りが施されているので、ストッパ部14Rから外れた突起22Rは、この角部17Rを容易に通過して一側面12Rへ移動することができる。
以上、ディスクを右方へ偏った状態で挿入した場合について述べたが、左方へ偏った状態で挿入した場合についても、左右を逆にした状態で同様となる。
【0036】
なお、ディスク6を左右に偏りなく正しく挿入した場合、左右の検知レバー7L,7Rが各ディスク当接部20L,20Rをディスク6によって同時に均等に押されることになる。このとき左右の突起22L,22Rが、仮に、対応するストッパ部14L,14Rに同時に当接することになると、それ以上ディスク6を挿入できなくなるが、本実施の形態では、連動部材8L,8Rの回動支点(支点軸10L,10Rの中心)とストッパ部14L,14Rとの間の距離d1,d2を左右で異ならせ、左の距離d1が右方の距離d2よりも短く設定されているので、突起がストッパ部に当接するとしても、それは必ず左方の突起22Lが左方のストッパ部14Lに当接することとなる。そしてその当接は、右方のディスク当接部20Rがディスク6に押されることにより直ちに解消され、ディスク6を円滑に挿入することができる。
【0037】
ディスク6を再生部から排出するときも、同様のことが言える。ディスク排出時の状況については、図5ないし図8を参照して説明する。
すなわち、ディスク6がディスク再生部にある状態でディスク排出操作を行なうと、ディスク6は図示しない搬送手段37により、装置内からディスク挿入口3へ向けて搬送される。そして、図5の如く左右の検知レバー7L,7Rがそのディスク当接部20L,20Rを内側からディスク6によって均等に押されて(矢印K,K)仮想線位置から実線位置へ回動することになる。このとき、仮に左右の連動部材8L,8Rのストッパ部14L,14Rがそれぞれの回動支点から等距離の位置に形成されていたとすると、左右の突起22L,22Rが同時に対応する側のストッパ部14L,14Rに当接し、ディスク6の排出が阻止されてしまうことになるが、本実施の形態ではd1<d2となっているので、突起がストッパ部に当接するとしても、それは図6に示すように必ず左方の突起22Lが左方のストッパ部14Lに当接することとなり、その当接は、図7に示すように、右方のディスク当接部20Rが排出方向(矢印m)へ搬送されるディスク6に押されることにより(矢印n)、図8の如く右方の検知レバー7Rが時計方向へ回動し(矢印P)、右方の突起22Rが長溝11Rの一側面12Rを押して(矢印r)連動部材8R,8Lを順次回動させ(矢印s,t)、突起22Lがストッパ部14Lから外れて直ちに左方の検知レバー7Lの回動禁止状態は解消される。したがって、常に円滑にディスク6を排出することができる。
【0038】
次に誤って8cmディスクを挿入した場合について説明する。8cmディスクを挿入しようとすると、まず左右のディスク当接部20L,20Rの間隔がディスクによって押し広げられ、左右の検知レバー7L,7Rが反付勢方向へ回動してディスクを受入れる。
【0039】
ディスクが左右いずれかに偏って挿入されたときも、ディスクに押された側の検知レバーが突起とストッパ部との当接により回動を禁止されるまでに、左右のディスク当接部20L,20Rの間隔が8cm以上となるので、ディスクは左右のディスク当接部20L,20R間を通過することができ、搬送手段37により再生部へ向けて搬送される。ところが、左右いずれの突起21L,21Rもストッパ部14L,14Rに当接せず、すなわち左右いずれの検知レバー17L,17Rも回動量規制手段34により回動量を制限されることなく両ディスク当接部20L,20R間を通過したディスクは、前記制御手段35により8cmディスクであると判断され、この判断に基き、8cmディスクは、前記搬送手段37により排出されることになる。
【0040】
また、固定シャーシ4の底板に保護片30L,30Rを設けたことにより、次のような効果が得られる。例えばいたずら操作等により、右方のディスク当接部20Rの右方から、又は左方のディスク当接部20Lの左方から異物(例えばクレジットカードのような物など)をこじ入れようとした場合、保護片30L,30R(図1参照)がない場合はディスク当接部20L,20Rが折損したり異物が無理やり差し込まれてしまうおそれがあるが、保護片30L,30Rがあると、ディスク当接部20L,20Rが背後から保護片30L,30Rによって補強されるので折損を免れることができ、異物の差し込みも防止できるのである。しかも、ディスク当接部20L,20R自体、縦長な長方形状をなす補強部28L,28Rによって強化されることになる。
【0041】
以上の実施の形態では、検知レバー7L,7Rに突起22L,22R、連動部材8L,8Rに長溝11L,11Rを設けるものとしたが、図12に示すように、突起と長溝との関係を逆にしてもよい。
すなわち図12に示す実施の形態は、左右の検知レバーの内方延出部42L,42Rに長溝43L,43Rを設け、左右の連動部材44L,44Rの回動端部に突起45L,45Rを設けて、各突起45L,45Rを、対応する長溝43L,43Rに嵌合させた例である。前記実施の形態と同様に、各長溝43L,43Rの一側面46L,46R途中には斜面47L,47R及びストッパ部48L,48Rを有する凹部49L,49Rを設け、各長溝45L,45Rの他側面50L,50Rは全長に亘って連続面とする。
斜面47L,47Rは、長溝45L,45Rの一側面46L,46Rに対し、内方延出部42L,42Rの外方端方向へ略45度の角度をもって形成され、ストッパ部48L,48Rは斜面47L,47Rの終端位置に該一側面46L,46Rに対し略直交して形成される。そして一側面46L,46Rとストッパ部48L,48Rとの交差する角部51L,51Rには、面取りを施こす。
左右の凹部49L,49Rは各長溝45L,45Rの中央より左方寄りに設けられ、連動部材44L,44Rの回動支点(支点軸52L,52Rの中心)とストッパ部48L,48Rとの間の距離d1,d2を左右で異ならせ、左方を右方よりも短く(d1<d2)する。そしてディスク6の非挿入時にあっては、各突起45L,45Rが凹部49L,49Rよりも検知レバーの軸から離反する位置に位置するようにする。
【0042】
このような構成であっても、前記実施の形態と同様の効果が得られる。
すなわち、12cmディスク6が例えば右方に偏って挿入されると右方の突起45Rが長溝43Rの一側面46Rから斜面47Rを通過してストッパ部48Rに当接し、右方の検知レバーがその回動を禁止されるが、ディスク6がその偏りを修正しながら左方の検知レバーを回動させると、突起44Rがストッパ部48Rから外れ、検知レバーの回動禁止を解除するようになるのである。ディスクが左方に偏って挿入された場合も同様である。また、d1<d2の関係により、両側の突起45L,45Rがストッパ部48L,48Rに同時に当接することはなく、当接するとしても、そのときは必ず左方の突起45Lのみが当接するようにして(勿論、右方の突起45Rのみが当接するようにしてもよい。)ディスクの挿入又は排出が円滑に行えるようにすることも、前記実施の形態と同様である。
【0043】
また、前記二つの実施の形態では左右の連動部材を互いの歯部同士の噛合により同期回動するようにしたが、両連動部材の連結は必ずしも噛合によるものでなくとも、要は、同期回動自在な連結であればよい。
更に、前記二つの実施の形態では連動部材の回動支点とストッパ部との間の距離を左右で異ならせることにより、両側の突起が同時にストッパ部に当接することがないようにしたが、連動部材の回動支点とストッパ部との間の距離は左右同一とし、突起の位置を左右で異ならせても、同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、前記回動量規制手段34についても、要は、一方の検知レバーのみがそのディスク当接部をディスクに押されたときは、両検知レバーの回動量を制限し、両ディスク当接部がディスクに押されたときは該制限を超えて両検知レバーを回動させるものであればよいので、図13及び図14に示すような回動規制手段61とすることもできる。すなわち、回動規制手段61を、各検知レバー7L,7Rのディスク当接部20L,20R上方部位に回動自在に装着された回動部材62L,62R(但し、右方の回動部材62Rのみ図示する。)と、固定シャーシ4の天板に各回動部材62L,62Rに対応して設けられた変形孔63L,63R(但し、右方の変形孔63Rのみ図13に示す。)とで構成する。
【0045】
左右の回動部材62L,62Rは左右対称形となるので、右方の回動部材62Rについてのみ説明すると、この部材62Rは、図13及び図14に示すように、検知レバー7R上に回動自在に装着するための円形小孔64Rを有すると共に、この小孔64Rを中心に放射状に規制片65R、弾性片66R及び受圧片67Rを延出させている。そして、図13の如く規制片65R及び弾性片66Rを検知レバー7Rの回動端部の両端に位置させる。一方、前記変形孔63Rには段部68Rを設けるものとする。
【0046】
そこで、ディスク6の挿入時、ディスク6はディスク当接部20Rに当接する前に受圧片67Rを押圧し(図13中に矢印uで示す。)、弾性片66をたわませながら回動部材62R全体を回動させ(図13中に矢印wで示す。)、ディスク当接部20Rに当接した後は検知レバー7Rを回動させることになる。このとき、回動部材62Rがディスク6に押されて回動していると、検知レバー7Rが回動しても規制片65Rが段部68Rに当接することはなく、左右の回動部材62L,62Rがいずれもディスク6に押されて回動していると、12cmディスク6は左右の検知レバー7L,7Rを大きく同期回動させてが左右のディスク当接部20L,20R間を通過することになるが、ディスク6が左右いずれかに偏って挿入され、一方の回動部材(例えば右方の回動部材62R)のみ回動した状態で左右の検知レバー7L,7Rが同期回動と、ディスク6に押されていない方の回動部材(例えば、左方の回動部材62L)の規制片65Lが対応する段部68Lに当接して両検知レバー7L,7Rの回動量を制限するようになるのである。このとき、両ディスク当接部20L,20R間の間隔を、8cmディスクは通すが12cmディスク6は通さない間隔となるように制御しておけば、前記実施例の形態と同様の効果が得られることになる。
【符号の説明】
【0047】
2 ディスク再生装置
3 ディスク挿入口
6 12cmディスク
7L,7R 検知レバー
8L,8R 連動部材
10L,10R 支点軸
11L,11R 長溝
12L,12R 一側面
14L,14R ストッパ部
19L,19R 軸
20L,20R ディスク当接部
22L,22R 突起
25L,25R 引張りばね
34 回動量規制手段
35 制御手段
37 搬送手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、12cmディスク専用のディスク再生装置において、12cmディスクが左右いずれかに偏って挿入されたときはその偏りを修正しながら受入れ、誤って8cmディスクが挿入されたときは、そのディスクをいったん受入れた後、自動的に排出するようにしたディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽その他の情報の記録媒体としてのディスクの直径は8cm及び12cmが規格化されている。しかしながら、8cmディスクが激減している近況において、12cmディスク専用として構成の簡素化及び低廉化を図ったディスク再生装置が出現している。このような、12cm専用のディスク再生装置にあっては、誤って8cmディスクが挿入された際の対策を講じなければならず、12cmディスクが挿入された場合であっても、左右に偏って挿入された場合の対策も講じる必要がある。
【0003】
例えば特開2005−243091号公報及び特開2006―155690号公報には次のような12cmディスク専用のディスク装置が開示されている。
すなわちこれらの公報には、誤って8cmディスク(Ds)を挿入しようとすると、ディスクが当接部(19a,18)に当接するようにして8cmディスク(Ds)の装置内部への挿入自体を禁止するディスク装置が開示されている。
【0004】
しかし、このような構成では、8cmディスクを挿入しようとして、無理にディスクを押し込んでしまい、ディスクや内部の機構を損傷してしまう恐れがあった。しかも、12cmディスクが左右に偏って挿入された際の対策については、何も講じられていない。
【0005】
また、特開平5−144151号公報には、挿入口2に3つのセンサ21,22,23を横一列に等間隔に配置して両端のセンサ21,23の間隔を8cm若干超える値とした構成が開示されている。そして、12cmディスクを挿入したときは3つのセンサ21,22,23がすべて検知し、一対のローラ12a,12bよりなる駆動ローラ12によりディスクを再生部へ向けて搬送するが、8cmディスクを挿入したときは3つのセンサで検知することはないので、8cmディスクが挿入されたと判断して駆動ローラ12を動作させない構成としている。
【0006】
しかし、このような構成では、誤って8cmディスクを挿入したときは、ディスクが一対のローラ12a,12b間に当接して挿入が禁止されるが、無理に一対のローラ12a,12b間に押込んでしまいディスクやローラ12a,12bを損傷してしまう恐れがあった。しかも、この公報にも12cmディスクが左右に偏って挿入された際の対策については、何ら開示されていない。
【0007】
さらに特開平8−241567号公報及び特開2005−71608号公報には、次のようなディスクプレーヤが開示されている。すなわち、挿入口1aに4つのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4が配置され、12cmディスクDLが挿入されると、第1、第2のスイッチSW1,SW2がONからOFFに切換わる。さらにディスクDLが挿入されると検知ピン11、検知レバー23が回動して第3のスイッチSW3をONからOFFに切換える。これによってモータが始動してローラ5が回転し、ディスクDLが再生部まで搬入されるとローラブラケット4に設けた検知爪4aでスイッチSW4をOFFからONに切換えて、モータを停止させる。一方、8cmディスクDSが挿入されたときには、3つのスイッチSW1,SW2,SW3が同時にOFFになることはないので、8cmディスクDSが挿入されたと判断し、ローラ5を逆回転させる。
【0008】
しかし、このような構成であっても、誤って8cmディスクを挿入したときは、ディスクがローラ5に当接したり、逆回転するローラ5に逆らって無理に押込んでしまう恐れもあり、前記特開平5−144151号公報に記載されたものと同様の問題があった。また、これらの公報にも、12cmディスクが左右に偏って挿入された際の対策は何ら開示されていない。
【0009】
特開平1−227257号公報及び特開平1−227258号公報には、次のような12cmディスクプレーヤが開示されている。
すなわち、ディスク挿入口(2)の近傍にはディスク検知センサ(5又は5b)を配置し、装置の奥には搬入完了検知センサ(10)を配置し、12cmディスクを挿入するとそれをディスク検知センサにより検知して搬送ローラによりディスク再生部へ搬送し、ディスクがディスク再生部に達するとそれを搬入完了検知センサにより検知してディスク搬送を停止し、ディスク再生を行なう。ところが、8cmディスクを挿入するとディスク検知センサにより検知してディスクを再生部へ向けて搬送するが、搬入完了検知センサがディスクを検知する前にディスク検知センサがディスクを検知しなくなるため、8cmディスクが挿入されたと判断され、その8cmディスクを排出する構成となっている。
しかし、この構成は、誤って8cmディスクが挿入された際の対策のみであり、12cmディスクが左右に偏って挿入された際の対策は何ら講じられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−243091
【特許文献2】特開2006―155690
【特許文献3】特開平5−144151
【特許文献4】特開平8−241567
【特許文献5】特開2005−71608
【特許文献6】特開平1−227257
【特許文献7】特開平1−227258
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は誤って8cmディスクが挿入されたとしても、その挿入をいったん受け入れた上で排出を行なうことにより、8cmディスクを無理に押し込もうとする無謀な操作を防止して、ディスクや内部の機構を損傷することを防止すると共に、12cmディスクが左右いずれかに偏って挿入されたときはその偏りを修正しながら受入れる機能をも同時に備えた、12cmディスク専用のディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、各回動端部にディスク当接部を有し同期して回動する左右一対の検知レバーを、付勢手段により両ディスク当接部の間隔を狭める方向に付勢し、搬送手段により、両ディスク当接部の間隔を押し広げながらディスク挿入口より挿入されたディスクを再生部へ向けて搬送し又は該ディスクを排出方向へ搬送するようにした12cmディスク専用のディスク再生装置において、一方のディスク当接部のみがディスクに押されたとき、両ディスク当接部の間隔が8cmディスクは通過可能で12cmディスクは通過不能な範囲となるように両検知レバーの回動量を制限する。そして、挿入されたディスクが8cmのときはそのまま両ディスク当接部間を通過させ、12cmのときは前記両ディスク当接部が12cmディスクに押されたことにより該制限をせずに両検知レバーを回動可能とすることにより、ディスクを通過させる。そして、制御手段により前記搬出手段を制御して、前記ディスク挿入口より挿入されたディスクを再生部へ向けて搬送させ、両ディスク当接部の間隔が前記範囲を超えずに搬送されたときは8cmディスクと判断して前記搬送手段により排出させる構成としている。
【0013】
前記回動量規制手段は、同期回動自在に連結された左右一対の連動部材と、各連動部材及びこれと同一側の前記検知レバーの一方に設けられた長溝と、各連部材及びこれと同一側の前記検知レバーの他方に設けられた突起とで構成し、同一側の長溝及び突起の嵌合により前記一対の検知レバーを同期回動自在とし、各長溝の一側面の途中にストッパ部を設け、一方の検知レバーが反付勢方向へ回動すると一方の突起が長溝の一側面に摺接してストッパ部に当接することにより一方の検知レバーの回動量を制限し、この制限を、他方の検知レバーが反付勢方向へ回動して、これに伴い一方の連動レバーが回動することにより解除するようにするとよい。
【0014】
また、前記両ディスク当接部がディスクによって反付勢方向へほぼ均等に押されたときは、予め定めた側の突起のみ、同一側のストッパ部に当接するようにするとよい。
【0015】
この条件を満たすためには、同一側の検知レバー及び連動部材の回動支点間距離、並びに検知レバーの回動支点と同一側の突起との間の距離を左右同一とし、かつ、連動部材の回動支点と同一側のストッパ部との間の距離を左右で異ならせるとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の12cmディスク再生用のディスク再生装置は、左右のディスク当接部の間隔を、両当接部がディスクによって同時に押されない限り8cmディスクは通すが12cmディスクは通さないように制限している。したがって、誤って8cmディスクを挿入したときは、両ディスク当接部の間隔が大きく開かないまま両当接部間を通過するので8cmディスクであることを検知して排出し、12cmディスクを左右いずれかに偏って挿入したときは、その偏りが修正されない限り両当接部の間隔が大きく開かないので、偏りを修正しながら挿入することになる。よって、8cmディスクを無理に押し込まれるおそれがなく、ディスクや内部機構の損傷を防止できるとともに、操作性の向上を図ることができる。
【0017】
また、回動量規制手段を一対の連動部材と連動部材及び検知レバーに設けられた長溝及び突起とで構成することにより、回動量規制手段を簡単に構成することができる。
【0018】
また、両ディスク当接部がディスクによってほぼ均等に押されたときは予め定めた側の検知レバーのみ回動量を制限するようにしたことにより、左右の検知レバーが同時に回動を制限されてその制限を解除できなくなってしまう不具合を回避することができる。
【0019】
また、連動部材の回動支点と同一側のストッパ部との間の距離を左右で異ならせることで、左右の検知レバーが同時に回動を制限されてしまう不具合を、簡単な構成によって回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態を示す車載用ディスク再生装置の外観斜視図
【図2】ディスク再生装置の要部を示す平面図
【図3】ディスク再生装置の動作状態を示す平面図
【図4】ディスク再生装置の動作状態を示す平面図
【図5】ディスク再生装置の動作状態を示す平面図
【図6】ディスク再生装置の動作状態を示す平面図
【図7】ディスク再生装置におけるディスク排出時のディスクの動きを説明する説明図
【図8】ディスク再生装置の動作状態を示す平面図
【図9】制御手段及び搬送手段の関係を示すブロック図
【図10】8cmディスクを挿入したときのタイムチャート
【図11】12cmディスクを挿入したときのタイムチャート
【図12】本発明の別の実施の形態を示す要部平面図
【図13】本発明のさらに別の実施の形態を示す要部平面図
【図14】同実施の形態における回動部材の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。なお、左右ほぼ対称をなす部位の符号は、左方に「L」、右方に「R」を付したものとする。
図1は本発明に係る12cmディスク専用の車載用ディスク再生装置2の外観斜視図である。ディスク再生装置2の正面には、ディスクを挿脱するディスク挿入口3が設けられている。ディスク再生装置2は、金属板よりなる箱型の固定シャーシ4内に、情報再生用のピックアップ等を装備したフローティングシャーシ5がフローティング状態に装着されている。なお、図中6は情報が記録された12cmディスクである。固定シャーシ4の天板上面には合成樹脂よりなる左右一対の検知レバー7L,7Rが回動自在に装着されている。両検知レバー7L,7R間には、左右に長い一対の合成樹脂製連動部材8L,8Rが各内方端部を回動自在に装着されている。各連動部材8L,8Rはその各内方端側に互いに噛合する歯部9L,9Rを有し、互いに同期回動するようになっている。なお、図示のように、左方の歯部9Lを1歯欠き、右方の歯部9Rに幅広の歯を設けたのは、歯部9L,9R同士の組立作業が効率よく行えるようにするためである。
【0022】
図2に示すように、各連動部材8L,8Rは内方端近傍に支点軸10L,10Rを有し、略中央から外方端近傍にかけて長溝11L,11Rが設けられ、この長溝11L,11Rのディスク挿入口3側の一側面12L,12R途中には斜面13L,13R及びストッパ部14L,14Rを有する凹部15L,15Rが設けられ、長溝11L,11Rの他側面16L,16Rは全長に亘って連続面となっている。斜面13L,13Rは長溝11L,11Rの一側面12L,12Rに対し外方端方向へ略45度の角度をもって形成され、ストッパ部14L,14Rは斜面13L,13Rの終端位置に該一側面12L,12Rに対し略直交して形成されている。なお、一側面12L,12Rとストッパ部14L,14Rとの交差する角部17L,17Rには、面取りが施されている。連動部材8L,8Rの回動支点(支点軸10L,10Rの中心)とストッパ部14L,14Rとの間の距離d1,d2は、左方の距離d1を右方の距離d2よりも短く設定している。
【0023】
各連動部材8L,8Rの奥側の側面には、その回動端に近い部位に凸部18L,18Rが設けられている。前記左右の検知レバー7L,7Rは奥側端部近傍に小円形孔を有し、各小円形孔を、固定シャーシ4の天板上面に突設された軸19L,19Rに回動自在に嵌合させている。検知レバー7L,7Rの回動端はディスク挿入口3へ向けて延び、各回動端にディスク挿入口3を塞ぐように下方へ垂下するディスク当接部20L,20Rが設けられている。また、左右の検知レバー7L,7Rには、各回動支点(軸19L,19Rの中心)近傍から内方へ延出する内方延出部21L,21Rが設けられ、各内方延出部21L,21Rを同一側の連動部材8L,8Rの長溝11L,11R下方に位置させている。そして各内方延出部21L,21Rの上面に突設した断面円形の突起22L,22Rを各連動部材8L,8Rの長溝11L,11Rに、下方より嵌合させている。なお、対応する検知レバー7L,7Rと連動部材8L,8Rとの回動支点間距離、並びに検知レバー7L,7Rの回動支点と突起22L,22Rとの間の距離は、左右同一としている。そして、ディスク6の非挿入時にあっては、各突起22L,22Rが凹部15L,15Rよりも連動部材8L,8Rの支点軸10L,10R寄りに位置するようにしている。
【0024】
前記左方の検知レバー7Lには、図1に示すように、回動支点(軸19Lの中心)の周りに第一段差部30及び第二段差部31が設けられている。また、固定シャーシ4の上板上面には、第一段差部30及び第二段差部31にそれぞれ対応する第一スイッチ32及び第二スイッチ33が配置されている。
【0025】
前記左右一対の連動部材8L,8R、長溝11L,11R、ストッパ14L,14R及び突起22L,22Rは各検知レバー7L,7Rの回動量を制限する回動量規制手段34(図3参照)を構成している。また、左右の検知レバー7L,7Rは、この回動量規制手段34により、同期回動自在ともなっている。そこで、左右いずれか一方の(例えば図2に示すように、右方の)ディスク当接部20Rがディスクに押されてその押された側の検知レバー7Rが回動するとき、反対側(左方の)の検知レバー7Lも同期回動することになるが、図3に示すように、押された側の突起22Rがストッパ部14Rに当接してその検知レバー7Rの回動量が制限されたときの左右のディスク当接部20L,20R間の間隔d3は、8cmディスクは通過させるが12cmディスク6は通過させない範囲となるように(例えば10cm前後に)設定している。
【0026】
そして、回動量規制手段34によってこのように各検知レバー7L,7Rの回動量を制限することにより、8cmディスク又は12cmディスク6を挿入したとき、両ディスク当接部20L,20R間の間隔d3が前記範囲より大きいと、すなわち両検知レバー7L,7Rの回動量が設定量より大きいと12cmディスク6、小さいと8cmディスクであると、図9に示す制御手段35において判断される。この制御手段35は前記第一スイッチ32及び第二スイッチ33を含んで構成されているもので、該制御手段35は、両スイッチ32,33のオン、オフ条件によってリバース型モータ36をオン、オフ又は反転制御する。そして、モータ36は搬送手段37を駆動し、搬送手段37は、適宜、ディスクを再生部へ向けて搬送し、又は該ディスクを排出する。
【0027】
図10及び図11は前記第一スイッチ32及び第二スイッチ33とモータ36との関係を示すタイムチャートである。
【0028】
8cmディスクが挿入されると、図10の如く、左右の検知レバー7L,7Rが回動して左方の検知レバー7Lの第一段差部30が第一スイッチ32をオフからオンに切換える。これと同期してモータ36が正方向に回転し、搬送手段37により、ディスクを再生部へ向けて搬送する。しかし、検知レバー7Lの回動量は小さいため、第二スイッチ33はオフ状態に保持される。そして、ディスクの中心が両ディスク当接部20L,20R間を通過すると、両検知レバー7L,7Rは引張りばね25L,25Rにより復帰して、第一段差部30が第一スイッチ32から離反するので、第一スイッチ32がオフとなり、これと同期してモータ36を反転させ、搬送手段37により8cmディスクを排出させる。
12cmディスク6が挿入されると、図11の如く左右の検知レバー7L,7Rが回動して、左方の検知レバー7Lの第一段差部30により第一スイッチ32をオフからオンに切換え、モータ36が正方向に回転し、搬送手段37によりディスク6を再生部へ向けて搬送する。続いて、両検知レバー7L,7Rが大きく回動することにより、第二段差部31が第二スイッチ33をオフからオンに切換える。これによって、12cmディスク6が挿入されたと、制御手段35において判断することになる。その後、12cmディスク6の中心が両ディスク当接部20L,20R間を通過すると、両検知レバー7L,7Rは引張ばね25L,25Rにより復帰して第二段差部31が第二スイッチ33から離反するので第二スイッチ33がオフとなり、これと同期してモータ36が停止し、搬送手段37はディスク搬送を停止する。このとき、ディスク6は再生部に到達していることになる。すると、左方の検知レバー7Lは引張りコイルばね25Lによってディスク搬送前の初期位置に復帰するので、第二段差部31による第二スイッチ33に対する押圧を解除した後、第一段差部30による第一スイッチ32に対する押圧を解除したことを制御手段35が検知して、モータ36を停止させる。
【0029】
図2の如く、前記固定シャーシ4の天板上面には、左右一対のばね掛けフック23L,23Rが設けられ、各検知レバー7L,7Rにもばね掛けフック24L,24Rが設けられて、対応するばね掛けフック間に引張ばね25L,25Rを掛渡し、両検知レバー7L,7Rを、互いのディスク当接部20L,20Rの間隔を狭める方向に回動付勢するようにしている。
また、固定シャーシ4の天板上面には、左右の連動部材8L,8Rの凸部18L,18R近傍に切起し片26L,26Rが設けられ、ディスク非挿入時においては前記引張ばね25L,25Rにより各凸部18L,18Rを同一側の切起し片26L,26Rに当接させ、左右のディスク当接部20L,20Rを最接近位置に保持するようにしている。このとき各検知レバー7L,7Rの突起22L,22Rは、各連動部材8L,8Rの長溝11L,11Rの内方端近傍に位置している。
【0030】
前記左右の連動部材8L,8Rには、各ディスク当接部20L,20Rに近い部位に、図1に示すように弾性片27L,27R(図2以降では弾性片27L,27Rを省略する。)が一体形成され、各ディスク当接部20L,20Rの側面には、図2に示すように縦長な長方形状をなす補強部28L,28Rが設けられ、各補強部28L,28Rを固定シャーシ4の天板下面側に位置させている。そして、これら弾性片27L,27Rと補強部28L,28Rとで天板を上下から挟み、検知レバー7L,7Rの上下振動を防止するようにしている。弾性片27L,27Rと補強部28L,28Rとで挟まれる天板の縁部29L,29R(図1参照)は、各検知レバー7L,7Rの回動支点である軸19L,19Rの中心を曲率の中心とする円弧状に形成されている。
【0031】
また、図1に示すように前記固定シャーシ4の底板には左右一対の保護片30L,30Rが設けられ、これらの保護片30L,30Rをディスク挿入口3の前方に位置させている。各保護片30L,30Rは上方より見てL字形をなし、ディスク非挿入時においては同一側のディスク当接部20L,20Rの下端部分の内側及び奥側に接近させている。
【0032】
以上の構成によれば、図1に示すようにディスク挿入口3よりディスク6を挿入すると、左右の検知レバー7L,7Rがそのディスク当接部20L,20Rをディスク6に押されて回動する。そして、いずれか一方(例えば左方)の検知レバー7Lの回動により制御手段35がディスク6の挿入を検知して搬送手段37を起動させ、該搬送手段37により、再生部へ向けてディスク6の搬送を行う。そしてディスク6の中心が左右のディスク当接部20L,20R間を過ぎると、左右のディスク検知レバー7L,7Rは引張りばね25L,25Rにより回動復帰し、ディスク6は、搬送手段37により所定の再生部まで搬送される。
【0033】
ところで、通常、ディスク6を挿入する際、左右いずれかに偏って挿入してしまうことが多い。例えば、ディスク6を右方へ偏った状態で挿入すると、図2に示すように右方の検知レバー7Rがそのディスク当接部20Rをディスク6に押されて(矢印a)反付勢方向(反時計方向)へ回動する(矢印b)。このとき、右方の検知レバー7Rの突起22Rが右方の連動部材8Rの長溝11Rの一側面12Rと摺接して右方の連動部材8Rを時計方向へ回動させ(矢印c)、これと同期して左方の連動部材8Lを反時計方向へ回動させる(矢印d)。左方の連動部材8Lが反時計方向へ回動すると、その長溝11Lの他側面16Lで左方の検知レバー7Lの突起22Lを押し、左方の検知レバー7Lを時計方向へ回動させる(矢印e)。要するに、右方の検知レバー7Rが反時計方向へ回動すると、これと同期して左方の検知レバー7Lが時計方向へ同期回動することになる。
【0034】
このとき、右方の検知レバー7Rの回動に伴い、その突起22Rが右方の連動部材8Rの一側面12Rから斜面13Rを経由して図3の如くストッパ部14Rに当接したところで、右方の検知レバー7Rの回動量が制限される。したがって、ディスク6を更に挿入しようとすると、右方の検知レバー7Rは反時計方向への回動を禁止されているので、ディスク6は当然の如く左方へ寄せられることとなり、図3における仮想線位置から実線位置へとその偏りを修正されながら、左方のディスク当接部20Lを押すようになる(矢印f)。これによって、図4の如く左方の検知レバー7Lは時計方向へ回動し(矢印g)、今度は、左方の検知レバー7Lの突起22Lが左方の連動部材8Lの長溝11Lの一側面12Lを押して(矢印h)該連動部材8Lを反時計方向へ回動させ(矢印i)、右方の連動部材8Rがこれと同期して、図4における仮想線位置から実線位置へと時計方向へ回動することになる(矢印j)。
【0035】
その結果、右方の検知レバー7Rの突起22Rが右方の連動部材8Rのストッパ部14Rから外れ、右方の検知レバー7Rの回動禁止が解除されるので、ディスク6は偏りが修正された状態で、搬送手段37により、所定の再生部まで搬送される。なお、一側面12Rとストッパ部14Rとの交差する角部17Rに面取りが施されているので、ストッパ部14Rから外れた突起22Rは、この角部17Rを容易に通過して一側面12Rへ移動することができる。
以上、ディスクを右方へ偏った状態で挿入した場合について述べたが、左方へ偏った状態で挿入した場合についても、左右を逆にした状態で同様となる。
【0036】
なお、ディスク6を左右に偏りなく正しく挿入した場合、左右の検知レバー7L,7Rが各ディスク当接部20L,20Rをディスク6によって同時に均等に押されることになる。このとき左右の突起22L,22Rが、仮に、対応するストッパ部14L,14Rに同時に当接することになると、それ以上ディスク6を挿入できなくなるが、本実施の形態では、連動部材8L,8Rの回動支点(支点軸10L,10Rの中心)とストッパ部14L,14Rとの間の距離d1,d2を左右で異ならせ、左の距離d1が右方の距離d2よりも短く設定されているので、突起がストッパ部に当接するとしても、それは必ず左方の突起22Lが左方のストッパ部14Lに当接することとなる。そしてその当接は、右方のディスク当接部20Rがディスク6に押されることにより直ちに解消され、ディスク6を円滑に挿入することができる。
【0037】
ディスク6を再生部から排出するときも、同様のことが言える。ディスク排出時の状況については、図5ないし図8を参照して説明する。
すなわち、ディスク6がディスク再生部にある状態でディスク排出操作を行なうと、ディスク6は図示しない搬送手段37により、装置内からディスク挿入口3へ向けて搬送される。そして、図5の如く左右の検知レバー7L,7Rがそのディスク当接部20L,20Rを内側からディスク6によって均等に押されて(矢印K,K)仮想線位置から実線位置へ回動することになる。このとき、仮に左右の連動部材8L,8Rのストッパ部14L,14Rがそれぞれの回動支点から等距離の位置に形成されていたとすると、左右の突起22L,22Rが同時に対応する側のストッパ部14L,14Rに当接し、ディスク6の排出が阻止されてしまうことになるが、本実施の形態ではd1<d2となっているので、突起がストッパ部に当接するとしても、それは図6に示すように必ず左方の突起22Lが左方のストッパ部14Lに当接することとなり、その当接は、図7に示すように、右方のディスク当接部20Rが排出方向(矢印m)へ搬送されるディスク6に押されることにより(矢印n)、図8の如く右方の検知レバー7Rが時計方向へ回動し(矢印P)、右方の突起22Rが長溝11Rの一側面12Rを押して(矢印r)連動部材8R,8Lを順次回動させ(矢印s,t)、突起22Lがストッパ部14Lから外れて直ちに左方の検知レバー7Lの回動禁止状態は解消される。したがって、常に円滑にディスク6を排出することができる。
【0038】
次に誤って8cmディスクを挿入した場合について説明する。8cmディスクを挿入しようとすると、まず左右のディスク当接部20L,20Rの間隔がディスクによって押し広げられ、左右の検知レバー7L,7Rが反付勢方向へ回動してディスクを受入れる。
【0039】
ディスクが左右いずれかに偏って挿入されたときも、ディスクに押された側の検知レバーが突起とストッパ部との当接により回動を禁止されるまでに、左右のディスク当接部20L,20Rの間隔が8cm以上となるので、ディスクは左右のディスク当接部20L,20R間を通過することができ、搬送手段37により再生部へ向けて搬送される。ところが、左右いずれの突起21L,21Rもストッパ部14L,14Rに当接せず、すなわち左右いずれの検知レバー17L,17Rも回動量規制手段34により回動量を制限されることなく両ディスク当接部20L,20R間を通過したディスクは、前記制御手段35により8cmディスクであると判断され、この判断に基き、8cmディスクは、前記搬送手段37により排出されることになる。
【0040】
また、固定シャーシ4の底板に保護片30L,30Rを設けたことにより、次のような効果が得られる。例えばいたずら操作等により、右方のディスク当接部20Rの右方から、又は左方のディスク当接部20Lの左方から異物(例えばクレジットカードのような物など)をこじ入れようとした場合、保護片30L,30R(図1参照)がない場合はディスク当接部20L,20Rが折損したり異物が無理やり差し込まれてしまうおそれがあるが、保護片30L,30Rがあると、ディスク当接部20L,20Rが背後から保護片30L,30Rによって補強されるので折損を免れることができ、異物の差し込みも防止できるのである。しかも、ディスク当接部20L,20R自体、縦長な長方形状をなす補強部28L,28Rによって強化されることになる。
【0041】
以上の実施の形態では、検知レバー7L,7Rに突起22L,22R、連動部材8L,8Rに長溝11L,11Rを設けるものとしたが、図12に示すように、突起と長溝との関係を逆にしてもよい。
すなわち図12に示す実施の形態は、左右の検知レバーの内方延出部42L,42Rに長溝43L,43Rを設け、左右の連動部材44L,44Rの回動端部に突起45L,45Rを設けて、各突起45L,45Rを、対応する長溝43L,43Rに嵌合させた例である。前記実施の形態と同様に、各長溝43L,43Rの一側面46L,46R途中には斜面47L,47R及びストッパ部48L,48Rを有する凹部49L,49Rを設け、各長溝45L,45Rの他側面50L,50Rは全長に亘って連続面とする。
斜面47L,47Rは、長溝45L,45Rの一側面46L,46Rに対し、内方延出部42L,42Rの外方端方向へ略45度の角度をもって形成され、ストッパ部48L,48Rは斜面47L,47Rの終端位置に該一側面46L,46Rに対し略直交して形成される。そして一側面46L,46Rとストッパ部48L,48Rとの交差する角部51L,51Rには、面取りを施こす。
左右の凹部49L,49Rは各長溝45L,45Rの中央より左方寄りに設けられ、連動部材44L,44Rの回動支点(支点軸52L,52Rの中心)とストッパ部48L,48Rとの間の距離d1,d2を左右で異ならせ、左方を右方よりも短く(d1<d2)する。そしてディスク6の非挿入時にあっては、各突起45L,45Rが凹部49L,49Rよりも検知レバーの軸から離反する位置に位置するようにする。
【0042】
このような構成であっても、前記実施の形態と同様の効果が得られる。
すなわち、12cmディスク6が例えば右方に偏って挿入されると右方の突起45Rが長溝43Rの一側面46Rから斜面47Rを通過してストッパ部48Rに当接し、右方の検知レバーがその回動を禁止されるが、ディスク6がその偏りを修正しながら左方の検知レバーを回動させると、突起44Rがストッパ部48Rから外れ、検知レバーの回動禁止を解除するようになるのである。ディスクが左方に偏って挿入された場合も同様である。また、d1<d2の関係により、両側の突起45L,45Rがストッパ部48L,48Rに同時に当接することはなく、当接するとしても、そのときは必ず左方の突起45Lのみが当接するようにして(勿論、右方の突起45Rのみが当接するようにしてもよい。)ディスクの挿入又は排出が円滑に行えるようにすることも、前記実施の形態と同様である。
【0043】
また、前記二つの実施の形態では左右の連動部材を互いの歯部同士の噛合により同期回動するようにしたが、両連動部材の連結は必ずしも噛合によるものでなくとも、要は、同期回動自在な連結であればよい。
更に、前記二つの実施の形態では連動部材の回動支点とストッパ部との間の距離を左右で異ならせることにより、両側の突起が同時にストッパ部に当接することがないようにしたが、連動部材の回動支点とストッパ部との間の距離は左右同一とし、突起の位置を左右で異ならせても、同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、前記回動量規制手段34についても、要は、一方の検知レバーのみがそのディスク当接部をディスクに押されたときは、両検知レバーの回動量を制限し、両ディスク当接部がディスクに押されたときは該制限を超えて両検知レバーを回動させるものであればよいので、図13及び図14に示すような回動規制手段61とすることもできる。すなわち、回動規制手段61を、各検知レバー7L,7Rのディスク当接部20L,20R上方部位に回動自在に装着された回動部材62L,62R(但し、右方の回動部材62Rのみ図示する。)と、固定シャーシ4の天板に各回動部材62L,62Rに対応して設けられた変形孔63L,63R(但し、右方の変形孔63Rのみ図13に示す。)とで構成する。
【0045】
左右の回動部材62L,62Rは左右対称形となるので、右方の回動部材62Rについてのみ説明すると、この部材62Rは、図13及び図14に示すように、検知レバー7R上に回動自在に装着するための円形小孔64Rを有すると共に、この小孔64Rを中心に放射状に規制片65R、弾性片66R及び受圧片67Rを延出させている。そして、図13の如く規制片65R及び弾性片66Rを検知レバー7Rの回動端部の両端に位置させる。一方、前記変形孔63Rには段部68Rを設けるものとする。
【0046】
そこで、ディスク6の挿入時、ディスク6はディスク当接部20Rに当接する前に受圧片67Rを押圧し(図13中に矢印uで示す。)、弾性片66をたわませながら回動部材62R全体を回動させ(図13中に矢印wで示す。)、ディスク当接部20Rに当接した後は検知レバー7Rを回動させることになる。このとき、回動部材62Rがディスク6に押されて回動していると、検知レバー7Rが回動しても規制片65Rが段部68Rに当接することはなく、左右の回動部材62L,62Rがいずれもディスク6に押されて回動していると、12cmディスク6は左右の検知レバー7L,7Rを大きく同期回動させてが左右のディスク当接部20L,20R間を通過することになるが、ディスク6が左右いずれかに偏って挿入され、一方の回動部材(例えば右方の回動部材62R)のみ回動した状態で左右の検知レバー7L,7Rが同期回動と、ディスク6に押されていない方の回動部材(例えば、左方の回動部材62L)の規制片65Lが対応する段部68Lに当接して両検知レバー7L,7Rの回動量を制限するようになるのである。このとき、両ディスク当接部20L,20R間の間隔を、8cmディスクは通すが12cmディスク6は通さない間隔となるように制御しておけば、前記実施例の形態と同様の効果が得られることになる。
【符号の説明】
【0047】
2 ディスク再生装置
3 ディスク挿入口
6 12cmディスク
7L,7R 検知レバー
8L,8R 連動部材
10L,10R 支点軸
11L,11R 長溝
12L,12R 一側面
14L,14R ストッパ部
19L,19R 軸
20L,20R ディスク当接部
22L,22R 突起
25L,25R 引張りばね
34 回動量規制手段
35 制御手段
37 搬送手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各回動端部にディスク当接部(20L,20R)を有し同期して回動する左右一対の検知レバー(7L,7R)を、付勢手段(25L,25R)により両ディスク当接部の間隔を狭める方向に付勢し、搬送手段(37)により、両ディスク当接部の間隔を押し広げながらディスク挿入口(3)より挿入されたディスクを再生部へ向けて搬送し又は該ディスクを排出する12cmディスク専用のディスク再生装置において、
一方のディスク当接部のみがディスクに押されたとき、両ディスク当接部の間隔が8cmディスクは通過可能で12cmディスク(6)は通過不能な範囲となるように両検知レバーの回動量を制限し、前記両ディスク当接部がディスクに押されたときは該制限をせずに両検知レバーを回動可能とする回動量規制手段(34)と、
前記ディスク挿入口より挿入されたディスクを前記搬送手段により再生部へ向けて搬送させ、両ディスク当接部の間隔が前記範囲を超えずに搬送されたディスクは8cmディスクと判断して前記搬送手段により排出させる制御手段(35)とを具備したことを特徴とする12cmディスク専用のディスク再生装置。
【請求項2】
前記回動量規制手段は、同期回動自在に連結された左右一対の連動部材(8L,8R)と、各連動部材及びこれと同一側の前記検知レバーの一方に設けられた長溝(11L,11R)と、各連部材及びこれと同一側の前記検知レバーの他方に設けられた突起(22L,22R)とで構成し、同一側の長溝及び突起の嵌合により前記一対の検知レバーを同期回動自在とし、各長溝の一側面(12L,12R)の途中にストッパ部(14L,14R)を設け、一方の検知レバーが反付勢方向へ回動すると一方の突起が長溝の一側面に摺接してストッパ部に当接することにより一方の検知レバーの回動量を制限し、この制限を、他方の検知レバーが反付勢方向へ回動して、これに伴い一方の連動レバーが回動することにより解除するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の12cmディスク専用のディスク再生装置。
【請求項3】
前記両ディスク当接部がディスクによって反付勢方向へほぼ均等に押されたときは、予め定めた側の突起のみ、同一側のストッパ部に当接するようにした請求項2に記載の12cmディスク専用のディスク再生装置。
【請求項4】
同一側の検知レバー及び連動部材の回動支点(19L,10L、19R,10R)間距離、並びに検知レバーの回動支点と同一側の突起との間の距離を左右同一とし、かつ、連動部材の回動支点と同一側のストッパ部との間の距離を左右で異ならせたことを特徴とする請求項3に記載の12cmディスク専用のディスク再生装置。
【請求項1】
各回動端部にディスク当接部(20L,20R)を有し同期して回動する左右一対の検知レバー(7L,7R)を、付勢手段(25L,25R)により両ディスク当接部の間隔を狭める方向に付勢し、搬送手段(37)により、両ディスク当接部の間隔を押し広げながらディスク挿入口(3)より挿入されたディスクを再生部へ向けて搬送し又は該ディスクを排出する12cmディスク専用のディスク再生装置において、
一方のディスク当接部のみがディスクに押されたとき、両ディスク当接部の間隔が8cmディスクは通過可能で12cmディスク(6)は通過不能な範囲となるように両検知レバーの回動量を制限し、前記両ディスク当接部がディスクに押されたときは該制限をせずに両検知レバーを回動可能とする回動量規制手段(34)と、
前記ディスク挿入口より挿入されたディスクを前記搬送手段により再生部へ向けて搬送させ、両ディスク当接部の間隔が前記範囲を超えずに搬送されたディスクは8cmディスクと判断して前記搬送手段により排出させる制御手段(35)とを具備したことを特徴とする12cmディスク専用のディスク再生装置。
【請求項2】
前記回動量規制手段は、同期回動自在に連結された左右一対の連動部材(8L,8R)と、各連動部材及びこれと同一側の前記検知レバーの一方に設けられた長溝(11L,11R)と、各連部材及びこれと同一側の前記検知レバーの他方に設けられた突起(22L,22R)とで構成し、同一側の長溝及び突起の嵌合により前記一対の検知レバーを同期回動自在とし、各長溝の一側面(12L,12R)の途中にストッパ部(14L,14R)を設け、一方の検知レバーが反付勢方向へ回動すると一方の突起が長溝の一側面に摺接してストッパ部に当接することにより一方の検知レバーの回動量を制限し、この制限を、他方の検知レバーが反付勢方向へ回動して、これに伴い一方の連動レバーが回動することにより解除するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の12cmディスク専用のディスク再生装置。
【請求項3】
前記両ディスク当接部がディスクによって反付勢方向へほぼ均等に押されたときは、予め定めた側の突起のみ、同一側のストッパ部に当接するようにした請求項2に記載の12cmディスク専用のディスク再生装置。
【請求項4】
同一側の検知レバー及び連動部材の回動支点(19L,10L、19R,10R)間距離、並びに検知レバーの回動支点と同一側の突起との間の距離を左右同一とし、かつ、連動部材の回動支点と同一側のストッパ部との間の距離を左右で異ならせたことを特徴とする請求項3に記載の12cmディスク専用のディスク再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−176722(P2010−176722A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15201(P2009−15201)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000108786)タナシン電機株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000108786)タナシン電機株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]