説明

13位にオキシム基を有するミルベマイシン27位誘導体

【課題】優れた、殺ダニ活性、殺虫活性又は/及び駆虫活性を有し、農園芸用殺虫剤又は殺ダニ剤、或は動物用駆虫剤の有効成分として有用な化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)


(式中、オキシム基の幾何異性:E、Z;R:C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル;X:O、HとOHの組み合わせ、HとC〜Cアルコキシの組み合わせ)
で表される13位にオキシム基を有するミルベマイシン27位誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、13位にオキシム基を有するミルベマイシン27位誘導体及びそれを有効成分として含有する殺虫剤、殺ダニ剤又は駆虫剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレプトミセス属のB−41−146菌株より単離された一群のマクロライド系化合物は、B−41と称され、9種類の化合物が、古くから知られている(特許文献1)。その後、B−41はミルベマイシンとも称され、類縁の化合物が相次いで発見され(特許文献2〜4及び非特許文献1)、16員環マクロライド化合物であって、ミルベマイシン類に類似する化合物も、種々知られている(特許文献5〜11)。
【0003】
また、ストレプトミセス属のB−41−146菌株の菌学的性質が、詳しく記載され、ストレプトミセス属のB−41−146菌株は工業技術院微生物工業研究所に寄託されており、その微生物受託番号は微工研菌寄第1438号である(特許文献1)。
【0004】
さらに、27位に置換基を有するミルベマイシン誘導体は、報告されているが(特許文献12)、13位にオキシム基を有しない化合物のみが記載されており、本発明の化合物とは異なり、13位にオキシム基を有するミルベマイシン誘導体も報告されているが(特許文献13〜15)、27位に置換基を有しない化合物のみが記載されており、本発明の化合物とは異なる。
【0005】
このように、本発明に関する13位にオキシム基を有するミルベマイシン27位誘導体は知られていない。
【特許文献1】特開昭50−29742号
【特許文献2】特開昭56−32461号
【特許文献3】特開昭57−77686号
【特許文献4】特開昭57−136585号
【特許文献5】特開昭52−151197号
【特許文献6】特開昭57−59892号
【特許文献7】特開昭57−150699号
【特許文献8】特開昭58−52300号
【特許文献9】特開昭61−10589号
【特許文献10】特開昭61−118387号
【特許文献11】英国特許公報第2170499号
【特許文献12】特開2001−131184号
【特許文献13】特開平8−259570号公報
【特許文献14】特開平9−143183号公報
【特許文献15】特開2000−44751号公報
【非特許文献1】J. Antibiotics 36巻(1983年)980-990頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、優れた、殺ダニ剤、殺虫剤又は駆虫剤を開発するために、長年に亘り、鋭意研究を重ねた結果、新たに、一連の13位にオキシム基を有するミルベマイシン27位誘導体が、優れた、殺ダニ、殺虫又は/及び駆虫活性を有することを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
本発明は、13位にオキシム基を有するミルベマイシン27位誘導体及びそれを有効成分として含有する殺虫剤、殺ダニ剤又は駆虫剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の一般式(I)
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、オキシム基の幾何異性は、E又はZを示し、Rは、C〜Cアルキル基又はC〜Cシクロアルキル基を示し、Xは、酸素原子、水素原子と水酸基の組み合わせ又は水素原子とC〜Cアルコキシ基の組み合わせを示す。)
で表される13位にオキシム基を有するミルベマイシン27位誘導体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のミルベマイシン27位誘導体(I)は、農園芸用殺虫剤又は殺ダニ剤、或は動物用駆虫剤として用いることができ、優れた、殺ダニ活性、殺虫活性又は/及び駆虫活性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
一般式(I)で示されるミルベマイシン27位誘導体(以下、「化合物(I)」という。)において、RのC〜Cアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル又はヘキシルであり得、好適には、メチル、エチル又はi−プロピル基であり、より好適には、メチル又はエチル基であり、最も好適には、エチル基である。
【0013】
RのC〜Cシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又は又はシクロヘキシル基であり得、好適には、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシル基であり、より好適には、シクロヘキシル基である。
【0014】
化合物(I)において、XのC〜Cアルコキシ基は、例えば,メトキシ、エトキシ、プロポキシ、i−プロポキシ、ブトキシ、s−ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、1−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、1,1−ジメチルプロポキシ、1,2−ジメチルプロポキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、1−エチルプロポキシ又は、ヘキシルオキシ基であり得、好適には、C〜Cアルコキシ基であり、より好適には、メトキシ又はエトキシ基であり、最も好適には、メトキシ基である。
【0015】
Rは、好適には、メチル、エチル又はi−プロピル基であり、より好適には、メチル又はエチル基であり、最も好適には、エチル基である。
【0016】
Xは、好適は、酸素原子、水素原子と水酸基の組み合わせ又は水素原子とメトキシ基の組み合わせであり、より好適には、酸素原子又は水素原子と水酸基の組み合わせであり、
【0017】
最も好適には、水素原子と水酸基の組み合わせである。
【0018】
側鎖オキシム基の幾何異性は、好適には、Zである。
【0019】
化合物(I)の具体例を、以下の表1に例示するが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0020】
表1において、「Me」はメチル基を示し、「Et」はエチル基を示し、「iPr」はi−プロピル基を示す。
【0021】
【表1】

【0022】
上記化合物のうち、
好適には、化合物番号1、2、4、5、7、8、10、11、15又は16の化合物であり、
より好適には、化合物番号1、2、7、8、15又は16の化合物であり、
更に好適には、化合物番号7又は8の化合物であり、
最も好適には、化合物番号8の化合物である。
【0023】
本発明の化合物(I)は、例えば、以下の製造方法に従って製造される。
【0024】
(A法)
A法は、化合物(I)において、Xが酸素原子である化合物(Ia)を製造する方法である。
【0025】
【化3】

【0026】
上記式中、Rは、前記と同意義を示し、Rは、同一又は異なって、C〜Cアルキル基又はフェニル基を示す。
【0027】
A−1工程は、13位にオキシム基を有するミルベマイシン誘導体(II)の5位水酸基を保護する工程である。ここで、原料化合物(II)は特開平8−259570号公報、特開平9−143183号公報又は特開2000−44751号公報に記載されている方法に従って、或いは記載されている方法に準じて製造することができる。
【0028】
本工程は、一般式(II)で表される化合物を、塩基の存在下、シリル化剤と反応させることによって達成される。
【0029】
使用されるシリル化剤は、通常、シリル化に用いられるシリル化剤であり、例えば、トリメチルシリルクロライド(TMSCl)、t−ブチルジメチルシリルクロライド(TBDMSCl)、t−ブチルジフェニルシリルクロライド(TBDPSCl)、t−ブチルジメチルシリルトリフレート(TBDMSOTf)、トリエチルシリルクロライド(TESCl)又はトリイソプロピルシリルクロライド(TIPSCl)であり得、好適にはt−ブチルジメチルシリルクロライドである。
【0030】
シリル化剤の使用量は、化合物(II)に対して、通常、1当量〜10当量であり、好適には、1当量〜3当量である。
【0031】
使用される塩基は、例えば、トリエチルアミン、2,6−ルチジン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、イミダゾール等の有機塩基であり得、好適には、イミダゾールである。
【0032】
塩基の使用量は、化合物(II)に対して、通常、1当量〜10当量であり、好適には、1当量〜3当量である。
【0033】
反応は、好適には溶媒の存在下で行われ、使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭素類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類、アセトニトリル等のニトリル類;又はこれらの溶媒の混合物であり得、好適には、アミド類(特に、N,N−ジメチルホルムアミド)である。
【0034】
反応温度は、通常、−78℃〜100℃であり、好適には、0℃〜50℃である。
【0035】
反応時間は、反応温度、反応試薬、反応に用いられる溶媒の種類等によって異なるが、通常、15分間〜3昼夜であり、好適には、30分間〜1昼夜である。
【0036】
A−2工程は、化合物(III)を酸化して、27位にオキソ基を有する、一般式(IV)で表される化合物を製造する工程である。
【0037】
本工程は、化合物(III)を酸化剤と反応させることにより達成される。
【0038】
使用される酸化剤は、例えば、クロム酸又はその塩であり得、好適には、クロム酸である。
【0039】
酸化剤の使用量は、化合物(III)に対して、通常、1当量〜大過剰であり、好適には、5当量〜50当量である。
【0040】
本反応は、好適には、溶媒の存在下で行われ、使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ピリジン等の有機塩基類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;又はこれらの溶媒の混合物であり得、好適には、有機塩基類(特に、ピリジン)、炭化水素類(特に、ベンゼン)又はこれらの混合物であり、更に好適には、有機塩基類(特に、ピリジン)である。
【0041】
反応温度は、通常、−78℃〜150℃であり、好適には、0℃〜100℃である。
【0042】
反応時間は、反応温度、反応試薬、反応に用いられる溶媒の種類等によって異なるが、通常、15分間〜20日間であり、好適には、3時間〜1週間である。
【0043】
A−3工程は、化合物(IV)の5位のシリル基を脱シリル化(脱保護化)し、本発明の化合物(I)において、Xが酸素原子である化合物(Ia)を製造する方法である。
【0044】
本工程は、化合物(IV)を酸又は弗化イオン源試薬と反応させることとにより達成される。
【0045】
使用される酸は、例えば、希塩酸、希硫酸等の希酸類;蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類;p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類;又は酸性イオン交換樹脂等であり得、好適には、スルホン酸類(特に、p−トルエンスルホン酸)である。
【0046】
酸の使用量は、化合物(IV)に対して、通常、1当量〜20当量であり、好適には、1当量〜5当量である。
【0047】
本反応は、好適には、溶媒の存在下で行われ、使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;水;又はこれらの溶媒の混合物であり得、好適には、アルコール類、エーテル類、水又はこれらの溶媒の混合物であり、より好適には、アルコール類(特に、メタノール)である。
【0048】
反応温度は、通常、−20℃〜70℃であり、好適には、0℃〜50℃である。
【0049】
反応時間は、反応温度、反応試薬、反応に用いられる溶媒の種類等によって異なるが、通常、15分間〜3昼夜であり、好適には、30分間〜1昼夜である。
【0050】
使用される弗化イオン源試薬は、例えば、弗化水素−ピリジン錯体又はテトラブチルアンモニウムフロライド等のアンモニウムフロライド類であり得、好適には、弗化水素−ピリジン錯体である。
【0051】
弗化イオン源試薬の使用量は、化合物(IV)に対して、通常、1当量〜大過剰であり、好適には、3当量〜大過剰である。
【0052】
本反応は、好適には、溶媒の存在下で行われ、使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭素類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;水;又はこれらの溶媒の混合物であり得、好適には、ニトリル類(特に、アセトニトリル)である。
【0053】
反応温度は、通常、−78℃〜100℃であり、好適には、0℃〜室温である。
【0054】
反応時間は、反応温度、反応試薬、反応に用いられる溶媒の種類等によって異なるが、通常、15分間〜3昼夜であり、好適には、30分間〜1昼夜である。
【0055】
反応終了後、各工程の目的化合物は、定法に従って反応混合物から採取される。例えば、反応混合液を適宜中和して、反応混合液又は反応混合液の溶剤を留去して得られる残渣に水と混和しない有機溶剤を加え、抽出し、抽出液を水洗し、溶剤を留去することによって得られる。得られた目的化合物は、必要なら、常法、例えば、再結晶、再沈殿、クロマトグラフィー等の当業者周知の方法によりさらに精製することができる。
【0056】
(B法)
B法は、化合物(I)において、Xが水素原子と水酸基の組み合わせである化合物(Ib)を製造する方法である。
【0057】
【化4】

【0058】
上記式中、R及びRは、前記と同意義を示す。
【0059】
B−1工程は、化合物(IV)を還元剤と反応させ、27位のオキソ基を選択的還元して、一般式(V)で表されるラクトール体を製造する工程である。
【0060】
使用される還元剤は、例えば、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)、リチウムトリ−t−ブトキシアルミノハイドライド(LiAl(OtBu)H)、ソディウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミナムハイドライド(NaAl(OCHCHOMe),Red−Al)等のハイドライド還元剤であり得、好適には、ジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAL)である。
【0061】
還元剤の使用量は、化合物(IV)に対して、通常、1当量〜大過剰であり、好適には、3当量〜15当量である。
【0062】
本反応は、好適には、溶媒の存在下で行われ、使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;又はこれらの溶媒の混合物であり得、好適には、炭化水素類(特に、トルエン、メチルシクロヘキサン又はシクロヘキサン)、エーテル類(特に、テトラヒドロフラン)、ハロゲン化炭素類(特に、ジクロロメタン)又はこれらの混合物であり、特に好適には、炭化水素類(特に、トルエン又はシクロヘキサン)又はこれらの混合物である。
【0063】
反応温度は、通常、−78℃〜150℃であり、好適には、−78℃〜0℃である。
【0064】
反応時間は、反応温度、反応試薬、反応に用いられる溶媒の種類等によって異なるが、通常、15分間〜1昼夜であり、好適には、30分間〜6時間である。
【0065】
B−2工程は、化合物(V)の5位のシリル基を脱シリル化(脱保護化)し、本発明の化合物(I)において、Xが水素原子と水酸基の組み合わせである化合物(Ib)を製造する工程であり、前記A法A−3工程と同様に行われる。
【0066】
反応終了後、各工程の目的化合物は、定法に従って反応混合物から採取される。例えば、反応混合液を適宜中和して、反応混合液又は反応混合液の溶剤を留去して得られる残渣に水と混和しない有機溶剤を加え、抽出し、抽出液を水洗し、溶剤を留去することによって得られる。得られた目的化合物は、必要なら、常法、例えば、再結晶、再沈殿、クロマトグラフィー等の当業者周知の方法によりさらに精製することができる。
【0067】
(C法)
C法は、化合物(I)において、Xが水素原子と水酸基の組み合わせである化合物(Ib)を別途に製造する方法である。
【0068】
【化5】

【0069】
上記式中、R及びRは、前記と同意義を示す。
【0070】
C−1工程は、化合物(III)を酸化的アシルオキシ化剤と反応させ、一般式(VI)で表されるアシルオキシ体を製造する工程である。
【0071】
使用される酸化的アシルオキシ化剤は、例えば、過安息香酸C−Cアルキルエステル類と触媒量のハロゲン化銅(例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等)の組み合わせであり得、好適には、過安息香酸t−ブチルエステルと触媒量のヨウ化銅の組み合わせである。
【0072】
過安息香酸C−Cアルキルエステルの使用量は、化合物(III)に対して、通常、1当量〜大過剰であり、好適には、1当量〜2当量である。
【0073】
本反応は、好適には、溶媒の存在下で行われ、使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ピリジン等の有機塩基類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;又はこれらの溶媒の混合物であり得、好適には、炭化水素類であり、更に好適には、ベンゼンである。
【0074】
反応温度は、通常、−78℃〜150℃であり、好適には、室温〜100℃である。
【0075】
反応時間は、反応温度、反応試薬、反応に用いられる溶媒の種類等によって異なるが、通常、15分間〜7日間であり、好適には、2時間〜1昼夜である。
【0076】
C−2工程は、化合物(VI)を酸と反応させ、5位のシリル基を脱シリル化(脱保護化)すると同時に27位のアシルオキシを加水分解し、化合物(I)において、Xが水素原子と水酸基の組み合わせである化合物(Ib)を製造する工程である。
【0077】
使用される酸は、例えば、塩酸、硫酸等の鉱酸類;蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類;p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類;又はこれらの酸類と水の混合物であり得、好適には、有機酸類と水の混合物であり、最も好適には、酢酸と水の混合物である。
【0078】
酸の使用量は、化合物(VI)に対して、溶媒を兼ねて、大過剰である。
【0079】
反応温度は、通常、−10℃〜150℃であり、好適には、0℃〜50℃である。
【0080】
反応時間は、反応温度、反応試薬、反応に用いられる溶媒の種類等によって異なるが、通常、15分間〜3昼夜であり、好適には、30分間〜1昼夜である。
【0081】
反応終了後、各工程の目的化合物は、定法に従って反応混合物から採取される。例えば、反応混合液を適宜中和して、反応混合液又は反応混合液の溶剤を留去して得られる残渣に水と混和しない有機溶剤を加え、抽出し、抽出液を水洗し、溶剤を留去することによって得られる。得られた目的化合物は、必要なら、常法、例えば、再結晶、再沈殿、クロマトグラフィー等の当業者周知の方法によりさらに精製することができる。
【0082】
(D法)
D法は、化合物(I)において、Xが水素原子とC−Cアルコキシ基の組み合わせである化合物(Ic)を製造する方法である。
【0083】
【化6】

【0084】
上記式中、Rは前記と同意義を示し、RはC−Cアルキル基を示す。
【0085】
D−1工程は、化合物(Ib)を、酸の存在下、式
OH (VII)
(式中、Rは前記と同意義を示す。)
で表されるアルコールと反応させて、化合物(I)において、Xが水素原子とC−Cアルコキシ基の組み合わせである化合物(Ic)を製造する工程である。
【0086】
アルコール(VII)の使用量は、化合物(Ib)に対して、通常、1当量〜大過剰であり、更に、アルコールを溶媒を兼ねて、使用することもできる。
【0087】
使用される酸は、例えば、希塩酸、希硫酸等の希酸類;蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)等の有機酸類;p−トルエンスルホン酸(p−TsOH)、トリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)等のスルホン酸類;又は酸性イオン交換樹脂であり得、好適には、スルホン酸類(特に、p−トルエンスルホン酸)である。
【0088】
酸の使用量は、化合物(Ib)に対して、通常、1当量〜20当量であり、好適には、1当量〜5当量である。
【0089】
本反応は、好適には溶媒の存在下で行われ、使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;又はこれらの溶媒の混合物であり得、好適には、アルコール類(特に、メタノール)である。
【0090】
反応温度は。通常、−20℃〜70℃であり、好適には、0℃〜50℃であり、更に好適には、室温である。
【0091】
反応時間は、反応温度、反応試薬、反応に用いられる溶媒の種類等によって異なるが、通常、15分間〜3昼夜であり、好適には、30分間〜1昼夜である。
【0092】
反応終了後、本工程の目的化合物は、定法に従って反応混合物から採取される。例えば、反応混合液を適宜中和して、反応混合液又は反応混合液の溶剤を留去して得られる残渣に水と混和しない有機溶剤を加え、抽出し、抽出液を水洗し、溶剤を留去することによって得られる。得られた目的化合物は、必要なら、常法、例えば、再結晶、再沈殿、クロマトグラフィー等の当業者周知の方法によりさらに精製することができる。
【0093】
本発明の化合物は、果樹、野菜及び花卉に寄生するナミハダニ類(Tetranychus)、リンゴハダニやミカンハダニ(Panonychus)及びサビダニ等の成虫及び卵、動物に寄生するマダニ科(Ixodidae)、ワクモ科(Dermanysside)及びヒゼンダニ科(Sarcoptidae)等に対して優れた殺ダニ活性を有している。更に、ヒツジバエ(Oestrus)、キンバエ(Lucilia)、ウシバエ(Hypoderma)、ウマバエ(Gautrophilus)等及びのみ、しらみ等の動物や鳥類の外部寄生虫;ゴキブリ、家バエ等の衛生害虫;その他アブラ虫、コナガ、鱗翅目害虫等の各種農園芸害虫に活性がある。
【0094】
本発明の化合物は、更にまた、根こぶ線虫(Meloidogyne)、マツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus)、ネダニ(Phizoglyphus)等に対しても活性がある。
【0095】
本発明の化合物は動物及び人間の内部寄生虫に対しても優れた活性を有している。特にぶた、ひつじ、山羊、牛、馬、犬、猫及び鶏のような家畜及びペットに感染する線虫のほか、フィラリア科(Filariidae)やナタリア科(Setariidae)の寄生虫、人間の消化管、血液又は他の組織及び臓器に見出される寄生虫に対しても有効である。
【0096】
本発明の化合物を農園芸用に供するには、担体及び必要に応じて他の補助剤と混合して、農薬として、通常用いられる製剤形態、例えば、粉剤、水和剤、乳剤、水若しくは油性懸濁液、エアゾール等の組成物に調製されて使用される。
【0097】
種々の剤型に調製された本発明の化合物を有効成分として含む組成物を、例えば、果樹園又は畑地において有害昆虫(例えば、ハダニ類)の寄生した農作物又は家畜に散布するときは、有効成分濃度として、0.5〜100ppmを農作物の茎葉、土壌又は家畜に処理することにより、有害昆虫を有効に防除することができる。
【0098】
本発明の化合物を動物及び人における駆虫剤として使用する場合は、液体飲料として、経口的に投与することができる。飲料は、普通ベントナイトのような懸濁剤及び湿潤剤、又はその他の賦形剤と共に適当な非毒性の溶剤又は水における、溶液、懸濁液又は分散剤である。一般に、飲料は、また消泡剤を含有する。飲料処方は、一般に、活性化合物を0.01〜0.5重量%を含有し、好適には、0.01〜0.1重量%を含有する。
【0099】
本発明の化合物を動物飼料を用いて投与する場合は、本発明の化合物を飼料に均質に分散させるか、トップドレッシングとして使用されるか、又はペレットの形態として使用される。普通、望ましい抗寄生虫効果を達成するためには、最終飼料中に、活性化合物を0.0001〜0.02%含有する。
【0100】
また、本発明の化合物を液体担体賦形剤に溶解又は分散させたものは、胃内、筋肉内、気管内又は皮下に注射することによって、非経口的に動物に投与することができる。非経口投与のために、活性化合物は、好適には、落花生油、綿実油等の適当な植物油と混合する。このような処方は、一般に、活性化合物を0.05〜50重量%含有する。
【0101】
本発明の化合物は、また、ジメチルスルホキシド、炭化水素溶剤等の適当な担体と混合することによって局所的に投与し得る。この製剤は、スプレー又は直接的注加によって、動物の外部表面に直接適用される。最善の結果を得るための活性化合物の最適使用量は、治癒される動物の種類及び寄生虫感染の型及び程度によってきまるが、一般に、動物体重1kg当たり約0.01〜100mg(好適には、0.5〜50mg)を経口投与することによって得られる。このような使用量は、一度に又は分割した使用量であり、1〜5日のような比較的短期間に亘って投与される。
【実施例】
【0102】
以下、本発明を実施例及び試験例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0103】
実施例1
13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA(化合物番号1)
(1)5−O−t−ブチルジメチルシリル−13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−ミルベマイシンA
13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−ミルベマイシンA(10.0g,14.2mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)(100ml)に溶解し、窒素気流下、室温で攪拌した。これにt−ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMSCl:2.57g,17.0mmol)とイミダゾール(1.16g,17.0mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水で2回洗浄し、飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン−酢酸エチルグラジエント)で精製し、10.79gの標記化合物を得た(収率93%)。
1H-NMRスペクトル (200MHz, CDCl3) δ: 7.52 (2H, m), 7.33 (3H, m), 5.74-5.91 (2H, m), 5.53 (1H, m), 5.30-5.41 (3H, m), 5.19 (1H, d, J=10.6Hz), 4.70 (1H, d, J=14.8Hz), 4.60 (1H, d, J=14.8Hz), 4.42 (1H, m), 4.12 (1H, s), 3.99 (3H, s), 3.81 (1H, d, J=5.5Hz), 3.60 (1H, m), 3.36 (1H, m), 3.25 (1H, dd, J=9.5Hz, 6.2Hz), 2.61 (1H, m), 2.25-2.45 (2H, m), 2.01 (1H, m), 1.80 (3H, br), 1.56 (3H, br), 1.15 (3H, d, J=6.2Hz), 1.09 (3H, d, J=6.2Hz), 0.93 (9H, s), 0.83 (3H, d, J=6.6Hz), 0.13 (6H, s)。
EI-マススペクトル (m/z): 819 (M+), 801, 762, 744, 622, 583。
【0104】
(2)5−O−t−ブチルジメチルシリル−13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA
上記(1)の化合物(500mg,0.61mmol)をピリジン10mlに溶解し、窒素気流下、氷浴で冷却しつつ攪拌した。これにクロム酸(531mg,5.31mmol)を添加し、室温で終夜攪拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水で2回洗浄し、1規定塩酸水溶液で1回洗浄し、更に水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣を分取高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、144.9mg標記化合物を得た(収率29%、原料回収含めて37%)。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.51 (2H, m), 7.38 (4H, m), 6.52 (1H, d, J=11.0Hz), 5.80 (1H, dd, J=15.3Hz, 10.1Hz), 5.66 (1H, br), 5.48-5.59 (2H, m), 5.23 (1H, d, J=10.6Hz), 4.62 (1H, s), 4.37 (1H, d, J=5.1Hz), 4.22 (1H, d, J=5.1Hz), 4.00 (3H, s), 3.70 (1H, m), 3.63 (1H, m), 3.27 (1H, dd, J=9.5Hz, 6.6Hz), 2.79 (1H, m), 2.39 (2H, m), 2.01 (1H, m), 1.90 (3H, br), 1.58 (3H, br), 1.16 (3H, d, J=6.6Hz), 1.12 (3H, d, J=6.6Hz), 0.86 (9H, s), 0.83 (3H, d, J=6.6Hz), 0.15 (3H, s), 0.10 (3H, s)。
EI-マススペクトル (m/z): 833 (M+), 776, 597。
【0105】
(3)13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA(化合物番号1)
上記(2)の化合物(50mg,0.07mmol)をアセトニトリル2mlに溶解し、窒素気流下、氷浴で冷却しつつ攪拌した。これにフッ化水素(HF)−ピリジン(Py)(0.5ml)を添加し、氷冷下、1時間攪拌した。反応液を重曹水にあけ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を重曹水及び水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣を分取高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/2)で精製し、26mgの標記化合物を得た(収率60%)。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.49-7.54 (2H, m), 7.27-7.44 (4H, m), 6.58 (1H, d, J=11.4Hz), 5.84 (1H, dd, J=15.4Hz, 10.3Hz), 5.73 (1H, br), 5.46-5.60 (2H, m), 5.24 (1H, d, J=10.3Hz), 4.65 (1H, s), 4.49 (1H, d, J=5.9Hz), 4.32 (1H, d, J=5.9Hz), 4.00 (3H, s), 3.55-3.72 (2H, m), 3.27 (1H, dd, J=9.5Hz, 6.2Hz), 2.83 (1H, m), 2.20-2.50 (3H, m), 1.96 (3H, br), 1.56 (3H, br), 1.16 (3H, d, J=6.2Hz), 1.13 (3H, d, J=6.6Hz), 0.84 ( 3H, d, J=6.2Hz)。
EI-マススペクトル (m/z): 719 (M+), 675, 540。
【0106】
実施例2
13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA(化合物番号4)
(1)5−O−t−ブチルジメチルシリル−13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−ミルベマイシンA
13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−ミルベマイシンAを用いて、前記実施例1(1)と同様にして、標記化合物を製造した。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.40 (5H, s), 5.67-5.90 (2H, m), 5.25-5.52 (4H, m), 5.09 (1H, d, J=10.6Hz), 4.68 (1H, d, J=13.9Hz), 4.55 (1H, d, J=13.9Hz), 4.42 (1H, m), 4.04 (4H, s), 3.80 (1H, d, J=5.5Hz), 3.55 (1H, m), 3.35 (1H, m), 3.24 (1H, dd, J=9.5Hz, 6.2Hz), 2.58 (1H, m), 2.15-2.38 (2H, m), 2.02 (1H, m), 1.79 (3H, br), 1.51 (3H, br), 1.13 (3H, d, J=6.2Hz), 1.00 (3H, d, J=6.6Hz), 0.93 (9H, s), 0.83 (3H, d, J=6.2Hz), 0.13 (6H, s)。
EI-マススペクトル (m/z): 819 (M+), 801, 762, 744, 640, 622。
【0107】
(2)5−O−t−ブチルジメチルシリル−13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA
上記(1)の化合物を用いて、前記実施例1(2)と同様にして、標記化合物を製造した。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.40 (5H, s), 7.30 (1H, m), 6.48 (1H, d, J=11.0Hz), 5.78 (1H, dd, J=15.0Hz, 10.1Hz), 5.66 (1H, m), 5.49 (2H, m), 5.13 (1H, d, J=10.3Hz), 4.56 (1H, s), 4.36 (1H, d, J=5.1Hz), 4.21 (1H, d, J=5.1Hz), 4.05 (3H, s), 3.69 (1H, m), 3.60 (1H, m), 3.25 (1H, dd, J=9.5Hz, 6.2Hz), 2.78 (1H, m), 2.20-2.41 (2H, m), 1.98 (1H, m), 1.89 (3H, m), 1.53 (3H, br), 1.15 (3H, d, J=6.2Hz), 1.05 (3H, d, J=6.6Hz), 0.86 (9H, s), 0.84 (3H, d, J=6.6Hz), 0.15 (3H, s), 0.10 (3H, s)。
EI-マススペクトル (m/z): 833 (M+), 802, 776, 648, 597, 469, 412, 181, 153。
【0108】
(3)13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA(化合物番号4)
上記(2)の化合物(40.5mg,0.05mmol)をメタノール2mlに溶解し、室温で攪拌した。これにp−トルエンスルホン酸一水和物(27.7mg,0.15mmol)を添加し、室温で終夜攪拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水及び飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣を分取高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/2)で精製し、25.5mgの標記化合物を得た(収率73%)。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.40 (5H, s), 7.33 (1H, m), 6.54 (1H, d, J=11.4Hz), 5.82 (1H, dd, J=15.0Hz, 10.3Hz), 5.73 (1H, br), 5.40-5.55 (2H, m), 5.14 (1H, d, J=10.3Hz), 4.58 (1H, s), 4.48 (1H, d, J=5.5Hz), 4.31 (1H, d, J=5.5Hz), 4.05 (3H, s), 3.51-3.68 (2H, m), 3.25 (1H, dd, J=9.5Hz, 6.2Hz), 2.80 (1H, m), 2.15-2.45 (3H, m), 1.95 (3H, br), 1.52 (3H, br), 1.15 (3H, d, J=6.2Hz), 1.05 (3H, d, J=6.6Hz), 0.83 (3H, d, J=6.2Hz)。
EI-マススペクトル (m/z): 719 (M+), 540, 522, 504, 486。
【0109】
実施例3
13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA(化合物番号2)
(1)5−O−t−ブチルジメチルシリル−13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−ミルベマイシンA
13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−ミルベマイシンAを用いて、前記実施例1(1)と同様にして、標記化合物を製造した。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.52 (2H, m), 7.39 (3H, m), 5.72-5.95 (2H, m), 5,55 (1H, m), 5.25-5.45 (3H, m), 5.20 (1H, d, J=10.6Hz), 4.64 (2H, m), 4.42 (1H, m), 4.12 (1H, s), 3.99 (3H, s), 3.82 (1H, d, J=5.5Hz), 3.62 (1H, m), 3.37 (1H, m), 3.07 (1H, m), 2.62 (1H, m), 2.25-2.48 (2H, m), 2.05 (1H, m), 1.80 (3H, br), 1.56 (3H, br), 1.08 (3H, d, J=6.6Hz), 1.00 (3H, t, J=7.3Hz), 0.93 (9H, s), 0.82 (3H, d, J=6.2Hz), 0.13 (6H, s)。
EI-マススペクトル (m/z): 833 (M+), 815, 776, 758。
【0110】
(2)5−O−t−ブチルジメチルシリル−13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA
上記(1)の化合物を用いて、前記実施例1(2)と同様にして、標記化合物を製造した。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.52 (2H, m), 7.38 (4H, m), 6.53 (1H, d, J=11.4Hz), 5.82 (1H, dd, J=15.0Hz, 9.9Hz), 5.68 (1H, br), 5.52 (2H, m), 5.24 (1H, d, J=10.3Hz), 4.61 (1H, s), 4.37 (1H, d, J=4.9Hz), 4.23 (1H, d, J=4.9Hz), 4.00 (3H, s), 3.71 (1H, m), 3.63 (1H, m), 3.07 (1H, m), 2.82 (1H, m), 2.40 (2H, m), 2.01 (1H, m), 1.90 (3H, br), 1.58 (3H, br), 1.13 (3H, d, J=6.2Hz), 1.02 (3H, t, J=7.0Hz), 0.86 (9H, s), 0.83 (3H, d, J=7.6Hz), 0.16 (3H, s), 0.10 (3H, s)。
EI-マススペクトル (m/z): 847 (M+), 790, 611。
【0111】
(3)13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA(化合物番号2)
上記(2)の化合物を用いて、前記実施例2(3)と同様にして、標記化合物を製造した。
1H-NMRスペクトル (200MHz, CDCl3) δ: 7.50 (2H, m), 7.27-7.45 (4H, m), 6.58 (1H, d, J=11.4Hz), 5.87 (1H, dd, J=15.4Hz, 10.6Hz), 5.74 (1H, br), 5.40-5.60 (2H, m), 5.25 (1H, d, J=10.6Hz), 4.64 (1H, s), 4.47 (1H, m), 4.32 (1H, d, J=5.9Hz), 4.00 (3H, s), 3.55-3.70 (2H, m), 3.06 (1H, m), 2.87 (1H, m), 2.20-2.50 (3H, m), 1.96 (3H, t, J=2.0Hz), 1.56 (3H, br), 1.13 (3H, d, J=6.6Hz), 1.01 (3H, t, J=7.3Hz), 0.83 (3H, d, J=6.6Hz)。
EI-マススペクトル (m/z): 733 (M+), 675, 554。
【0112】
実施例4
13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA(化合物番号5)
(1)5−O−t−ブチルジメチルシリル−13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−ミルベマイシンA
13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−ミルベマイシンAを用いて、前記実施例1(1)と同様にして、標記化合物を製造した。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.40 (5H, s), 5.76-5.88 (2H, m), 5.31-5.46 (4H, m), 5.09 (1H, m, J=10.6Hz), 4.68 (1H, d, J=14.4Hz), 4.58 (1H, d, J=14.4Hz), 4.43 (1H, m), 4.06 (1H, s), 4.04 (3H, s), 3.81 (1H, d, J=5.1Hz), 3.56 (1H, m), 3.36 (1H, m), 3.05 (1H, m), 2.59 (1H, m), 2.30 (2H, m), 2.02 (1H, m), 1.79 (3H, br), 1.52 (3H, br), 1.01 (3H, d, J=6.6Hz), 0.92 (9H, s), 0.83 (3H, d, J=6.2Hz), 0.13 (3H, s), 0.10 (3H, s)。
EI-マススペクトル (m/z): 833 (M+), 776, 758, 597。
【0113】
(2)5−O−t−ブチルジメチルシリル−13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA
上記(1)の化合物を用いて、前記実施例1(2)と同様にして、標記化合物を製造した。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.40 (5H, s), 7.32 (1H, m), 6.50 (1H, d, J=11.4Hz), 5.79 (1H, dd, J=15.0Hz, 9.9Hz), 5.67 (1H, m), 5.48 (2H, m), 5.13 (1H, d, J=10.3Hz), 4.55 (1H, s), 4.36 (1H, d, J=5.2Hz), 4.21 (1H, d, J=5.2Hz), 4.05 (3H, s), 3.69 (1H, t, J=2.6Hz), 3.62 (1H, m), 3.05 (1H, m), 2.77 (1H, m), 2.30 (2H, m), 1.99 (1H, m), 1.89 (3H, br), 1.53 (3H, br), 1.05 (3H, d, J=6.6Hz), 1.00 (3H, t, J=7.3Hz), 0.86 (9H, s), 0.83 (3H, d, J=6.3Hz), 0.15 (3H, s), 0.10 (3H, s)。
EI-マススペクトル (m/z): 847 (M+), 790, 650。
【0114】
(3)13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−オキソミルベマイシンA(化合物番号5)
上記(2)の化合物を用いて、前記実施例2(3)と同様にして、標記化合物を製造した。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.40 (5H, s), 7.30 (1H, m), 6.55 (1H, d, J=11.4Hz), 5.85 (1H, dd, J=15.0Hz, 10.3Hz), 5.74 (1H, br), 5.40-5.58 (2H, m), 5.15 (1H, d, J=10.3Hz), 4.59 (1H, s), 4.47 (1H, m), 4.31 (1H, d, J=5.5Hz), 4.05 (3H, s), 3.52-3.70 (2H, m), 3.05 (1H, m), 2.80 (1H, m), 2.18-2.40 (3H, m), 1.96 (3H, t, J=2.0Hz), 1.52 (3H, br), 1.04 (3H, d, J=6.6Hz), 1.00 (3H, t, J=7.3Hz), 0.83 (3H, d, J=6.6Hz)。
EI-マススペクトル (m/z): 733 (M+), 675, 554, 410。
【0115】
実施例5
13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−ヒドロキシミルベマイシンA(化合物番号7)
(1)5−O−t−ブチルジメチルシリル−13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−ヒドロキシミルベマイシンA
前記実施例1(2)の化合物(50mg,0.06mmol)をトルエン2mlに溶解し、窒素気流下、−78℃で攪拌した。これにジイソブチルアルミニウムハイドライド(1規定シクロヘキサン溶液:0.18ml,0.18mmol)を滴下し、−78℃で1時間攪拌した。反応液を塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩化アンモニウム水溶液で1回及び水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣を分取高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、18.6mgの標記化合物を得た(収率37%)。
IRスペクトルνmax (film) cm-1: 3475, 2950, 2930, 2880, 2860, 1740, 1715, 1690。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 10.05 (d, J=2.2Hz, CHO)。
EI-マススペクトルMS (m/z): 835 (M+), 778, 760, 656, 599。
HREI-マススペクトル (m/z): [M+]: calcd for C46H65NO11Si, 835.4327; found, 835.4325。
【0116】
(2)13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−ヒドロキシミルベマイシンA(化合物番号7)
上記(1)の化合物を用いて、前記実施例2(3)と同様にして、標記化合物を製造した。
IRスペクトルνmax (film) cm-1: 3440, 2960, 2930, 2875, 1735, 1715。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 10.09 (s, CHO)。
EI-マススペクトル (m/z): 721 (M+), 703, 685, 542。
HREI-マススペクトル (m/z): [M+]: calcd for C40H51NO11, 721.3462; found, 721.3462。
【0117】
実施例6
13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−ヒドロキシミルベマイシンA(化合物番号8)
(1)5−O−t−ブチルジメチルシリル−13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−ヒドロキシミルベマイシンA
前記実施例3(2)の化合物を用いて、前記実施例5(1)と同様にして、標記化合物を製造した。
IRスペクトルνmax (film) cm-1: 3480, 2955, 2930, 2880, 2860, 1735, 1705。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 10.05 (d, J=2.2Hz, CHO)。
EI-マススペクトル (m/z): 849 (M+), 831, 792, 670, 652, 613。
HREI-マススペクトル (m/z): [M+]: calcd for C47H67NO11Si, 849.4483; found, 849.4484。
【0118】
(2)13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−ヒドロキシミルベマイシンA(化合物番号8)
上記(1)の化合物を用いて、前記実施例5(2)と同様にして、標記化合物を製造した。
IRスペクトルνmax (film) cm-1: 3420, 2960, 2930, 2875, 1735。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 10.09 (s, CHO)。
EI-マススペクトル (m/z): 735 (M+), 717, 556。
HREI-マススペクトル (m/z): [M+]: calcd for C41H53NO11, 735.3619; found, 735.3617。
【0119】
実施例7
13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−ヒドロキシミルベマイシンA(化合物番号10)
(1)5−O−t−ブチルジメチルシリル−13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−ベンゾイルオキシミルベマイシンA
前記実施例2(1)の化合物 (1.30g,1.59mmol)をベンゼン20mlに溶解し、室温で攪拌した。これにヨウ化銅(2.1mg,0.01mmol)と過安息香酸t−ブチル(0.36ml,1.87mmol)を添加し、室温で終夜加熱還流しつつ攪拌した。反応液を重曹水にあけ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水及び飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣(1.34g)をそのまま次の工程に使用した。
【0120】
(2)13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−ヒドロキシミルベマイシンA(化合物番号10)
上記(1)で得られた残渣(1.34g)を酢酸70ml及び水15mlに溶解し、室温で終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、水、重曹水及び飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン−酢酸エチルグラジエント)で精製し、337.2mgの標記化合物を得た(収率30%)。
IRスペクトルνmax (film) cm-1: 3430, 2970, 2930, 2870, 1720。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 10.07 (s, CHO)。
EI-マススペクトル (m/z): 721 (M+), 703, 685, 672, 542, 524, 506, 396, 181, 153。
HREI-マススペクトル (m/z): [M+]: calcd for C40H51NO11, 721.3462; found, 721.3463。
【0121】
実施例8
13β−[(2E)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27−ヒドロキシミルベマイシンA(化合物番号11)
前記実施例4(1)の化合物の化合物を用いて、前記実施例7(1)及び(2)と同様にして、標記化合物を製造した。
IRスペクトルνmax (film) cm-1: 3430, 2960, 2930, 2875, 1720。
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 10.07 (s, CHO)。
EI-マススペクトル (m/z): 735 (M+), 717, 699, 686, 556, 538, 520, 195, 167。
HREI-マススペクトル (m/z): [M+]: calcd for C41H53NO11, 735.3619; found, 735.3618。
【0122】
実施例9
13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27β−メトキシミルベマイシンA(化合物番号15)及び13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27α−メトキシミルベマイシンA(化合物番号16)
実施例6の化合物(170mg,0.23mmol)をメタノール(6ml)に溶解し、室温で攪拌した。これにp−トルエンスルホン酸(132mg,0.69mmol)を添加し、室温で終夜攪拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水及び飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣を分取高速液体クロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、26.4mgの13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27β−メトキシミルベマイシンA(化合物番号15、収率15%)と113.8mgの13β−[(2Z)−メトキシイミノ−2−フェニルアセトキシ]−27α−メトキシミルベマイシンA(化合物番号16、収率66%)をそれぞれ得た。
27β−メトキシ体(化合物番号15)
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.50-7.54 (2H, m), 7.26-7.40 (3H, m), 6.01-6.21 (2H, m), 5.38-5.64 (5H, m), 5.22 (1H, d, J=10.6Hz), 4.29 (1H, dd, J=6.0Hz, 3.3Hz), 4.22 (1H, s), 4.08 (1H, d, J=6.0Hz), 3.99 (3H, s), 3.68 (1H, m), 3.62 (1H, m), 3.47 (3H, s), 3.06 (1H, m), 2.94 (1H, d, J=3.3Hz), 2.65 (1H, m), 2.18-2.49 (2H, m), 2.02 (1H, m), 1.93 (3H, br), 1.54 (3H, br), 1.11 (3H, d, J=6.6Hz), 1.00 (3H, t, J=7.1Hz), 0.83 (3H, d, J=6.2Hz)。
EI-マススペクトル (m/z): 749 (M+), 717, 589, 538, 195, 167。
27α−メトキシ体(化合物番号16)
1H-NMRスペクトル(200MHz, CDCl3) δ: 7.50 (2H, m), 7.30-7.43 (3H, m), 6.16 (1H, dd, J=15.0Hz, 11.0Hz), 6.00 (1H, dd, J=11.0Hz, 1.6Hz), 5.59 (1H, br), 5.40 (1H, br), 5.28-5.60 (3H, m), 5.21 (1H, d, J=10.3Hz), 4.33 (1H, m), 4.23 (1H, d, J=6.2Hz), 4.06 (1H, s), 3.99 (3H, s), 3.63 (1H, m), 3.50 (3H, s), 3.17 (1H, m), 3.06 (1H, m), 2.68 (1H, m), 2.23-2.50 (3H, m), 2.01 (1H, m), 1.88 (3H, br), 1.57 (3H, br), 1.12 (3H, d, J=6.2Hz), 1.00 (3H, t, J=7.3Hz), 0.82 (3H, d, J=6.2Hz)。
EI-マススペクトル (m/z): 749 (M+), 717, 621, 570, 538, 195, 167。
【0123】
試験例1
抵抗性ハダニに対する殺ダニ効力
ササゲ(Vigna sinensis Savi)の初生葉にナミハダニ(Tetranychus urticae)を接種した。接種1日後、接種葉に、10ppm濃度の試験化合物を含む10ppm溶液及び1ppmの濃度の試験化合物を含む1ppm溶液(該10ppm溶液は、展着剤(ニッコール710F)0.004%、展着剤(グラミンS)0.01%、分散剤(ポリビニルアルコール)0.06%及びアセトン0.2%を含む水溶液100mlに試験化合物1mgを含み、該1ppm溶液は、上記10ppm溶液を水で10倍希釈した溶液である)の各々の7mlをミズホ回転散布塔にて、散布液量が3.5mg/cm葉面積になるように散布した。3日後に双眼顕微鏡によって、成虫の生死(反応率:苦悶虫含む)を調べた。各化合物について二連制で試験を行い、試験中、薬液処理葉は25℃の恒温室内に保存した。結果を表2に示す。
【0124】
【表2】

【0125】
これらの結果から、本発明の化合物(I)は、微量で抵抗性ハダニに対して高い殺ダニ効力を示した。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の13位にオキシム基を有するミルベマイシン27位誘導体(I)は、農園芸用殺虫剤又は殺ダニ剤、或は動物用駆虫剤として用いることができ、優れた、殺ダニ活性、殺虫活性又は/及び駆虫活性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)
【化1】


(式中、オキシム基の幾何異性は、E又はZを示し、Rは、C〜Cアルキル基又はC〜Cシクロアルキル基を示し、Xは、酸素原子、水素原子と水酸基の組み合わせ又は水素原子とC〜Cアルコキシ基の組み合わせを示す。)
で表される13位にオキシム基を有するミルベマイシン27位誘導体。
【請求項2】
Rがメチル基、エチル基又はi−プロピル基である、請求項1記載のミルベマイシン27位誘導体。
【請求項3】
Rがメチル基又はエチル基である、請求項1又は2記載のミルベマイシン27位誘導体。
【請求項4】
Xが水素原子と水酸基の組み合わせである、請求項1〜3記載のミルベマイシン27位誘導体。
【請求項5】
オキシム基の幾何異性がZである、請求項1〜4記載のミルベマイシン27位誘導体。
【請求項6】
請求項1〜5記載のミルベマイシン27位誘導体を有効成分として含有する殺虫剤、殺ダニ剤又は駆虫剤。

【公開番号】特開2008−120711(P2008−120711A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304826(P2006−304826)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(303020956)三共アグロ株式会社 (70)
【Fターム(参考)】