説明

17−(3−ヒドロキシプロピル)−17−ヒドロキシステロイドの製造方法

本発明は、式(III)で表される17−ケトステロイドから出発して、R3、R5、R6、R7、R10、R13、R15、R16、R40、R41およびR42基が、本明細書に示された意味を有する式(V)で表される中間体を経由する、式(I)で表される17α−(3−ヒドロキシプロピル)−17β−ヒドロキシステロイドの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、17α−(3−ヒドロキシプロピル)−17β−ヒドロキシステロイドの製造方法、その方法の中間体、それらの製造方法、およびステロイド21,17−スピロラクトン、特にドロスピレノンの製造のための当該中間体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
式I
【0003】
【化1】

【0004】
で表される17α−(3−ヒドロキシプロピル)−17β−ヒドロキシステロイドは、薬理学的に活性のあるステロイド21,17−カルボラクトン、例えばエプレレノン(eplerenone)(9α,11α−エポキシ−7α−メトキシ−カルボニル−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−21,17−カルボラクトン)、ドロスピレノン(6β,7β;15β,16β−ジ−メチレン−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−21,17−カルボラクトン、スピロノラクトン(7α−アセチルチオ−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−21,17−カルボラクトン、カンレノン(canrenone)(3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21,17−カルボラクトンおよびプロレノン(prorenone)(6β,7β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグン−4−エン−21,17−カルボラクトン)の合成のための出発物質として役立つ。
【0005】
かかるステロイド21,17−スピロラクトンの合成は、好適な酸化剤、例えばクロム酸(Sam他 J.Med.Chem.1995,38,4518−4528)、ピリジニウムクロロホルメート(欧州特許第075189号明細書)、ピリジニウムジクロメート(Bittler他;Angew.Chem.1982,94,718−719;Nickisch他 Liebigs Ann.Chem.1988,579−584)、ルテニウム触媒存在下での臭化カリウム(欧州特許第918791号明細書)、またはTEMPO触媒の存在下でのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の次亜塩素酸塩(国際公開第2007/009821号)を使用して;及び場合により酸触媒による脱水の後に、対応する17α−(3−ヒドロキシプロピル)−17β−ヒドロキシステロイドの酸化により行われる。
【0006】
【化2】

【0007】
17−(3−ヒドロキシプロピル)−17−ヒドロキシステロイドは、17−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17−ヒドロキシステロイドの水素化によって製造され得る。17−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−17−ヒドロキシステロイドの合成は、塩基によって誘導されるプロプ−1−イン−3−オールの、対応する17−ケトステロイドへの付加によって行われる[Bittler他;Angew.Chem.1982,94,718−719;Nickisch他;J.Med.Chem.1987,30,1403−1409;欧州特許第075189B1号明細書]。
【0008】
【化3】

【0009】
官能基化されるC3構造ユニットとしてのプロプ−1−イン−3−オール(プロパルギルアルコール)の使用における不利益は、それが塩基に対して不安定であることによって引き起こされる、非常に顕著な副生成物(特に17−エチニルステロイド)の形成である。全体として、プロパルギルアルコールの不安定性は、純粋な生成物の単離における障害、および収率の減少をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の目的は、標的化合物をより高収率かつ高純度で製造することが可能である、式IIIの対応する17−ケトステロイドから、式Iの17α−(3−ヒドロキシプロピル)−17β−ヒドロキシステロイドの代替的な製造方法を提供することにある。
【0011】
本目的は、式I
【0012】
【化4】

【0013】
で表される17α−(3−ヒドロキシプロピル)−17β−ヒドロキシステロイドの製造方法であって、以下のステップ:
a)式III
【0014】
【化5】

【0015】
[式中、
3は水素、または以下の基
【0016】
【化6】

【0017】
(式中、
30、R31、R32は、互いに独立して、水素、C1〜C4−アルキル、またはC1〜C4−アルコキシであり得;
5は、水素、ヒドロキシルであり得、またはR6と一緒になって二重結合であり得;
6は、水素であり得、R5もしくはR7と一緒になって二重結合であり得;またはR7と一緒になってαもしくはβ−CH2基であり得;
7は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、C1〜C4−チオアシルであり得;R6と一緒になって二重結合、またはαもしくはβ−CH2基であり得;
10は、水素、メチルまたはエチルであり得;
13は、メチル、エチルであり得;
15は、水素、C1〜C4−アルキルであり得、またはR16と一緒になって−CH2基もしくは二重結合であり得;
16は、水素であり得、またはR15と一緒になって−CH2基もしくは二重結合であり得る)
であり得る]
の17−ケトステロイドを、塩基の存在下、式IV
【0018】
【化7】

【0019】
[式中、R40、R41、R42は、互いに独立して水素、C1〜C4−アルキルまたはC1〜C4−アルコキシであり得る]
で表されるプロプ−1−イン−3−オールエーテルと反応させて、一般式V
【0020】
【化8】

【0021】
で表される化合物を得、
b)式Vで表されるアルキン基の触媒的水素化を完了し、そして
c)ベンジル保護基を除去すること
を含む当該方法による本発明に従って達成された。
【発明を実施するための形態】
【0022】
プロピノールエーテルの付加(ステップa)のための好適な塩基は、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属のアルコキシドである。アルカリ金属メトキシド、エトキシド、およびtert−ブトキシドが好ましい。溶媒としてのTHF中、カリウムtert−ブトキシド(KOtBu)が特に好適であると判明した。付加は、好ましくは0℃〜50℃の範囲の温度で行われる。
【0023】
アルキン基の水素化を完了する目的のために、式Vで表される化合物は、遷移金属触媒存在下、既知の方法に従って、溶液または懸濁液において水素と反応する[V.JagerおよびH.G.Viehe“Methoden der organischen Chemie”[Methods of Organic Chemistry](Houben−Weyl)、第V巻/2a、693−700ページ]。水素化生成物はその後、例えばPd/カーボン[Larcheveque他,Tetrahedron;1988,44,6407−6418]の存在下、単離もしくは精製を必要とせずに、水素を用いて脱ベンジル化され得るか、または他にバーチ還元[Itoh他,Tetrahedron Lett.;1986;27,5405−5408]によって脱ベンジル化され得るかのいずれかで、式Iで表される化合物を与える。
【0024】
アルキレン基の水素化のために使用される触媒は、好ましくはラネーニッケル、または種々の担体材料上のパラジウムである。触媒的脱ベンジル化は、好適な遷移金属水素化触媒、好ましくはPd/カーボンまたはPd(OH)2/カーボンの存在下で行われる。このステップのために特に好適な溶媒は、プロトン性溶媒、例えばエタノールである。水素化による脱ベンジル化の代わりに、ベンジル基の除去はまた、バーチ還元によって行われ得る。このため水素化産物は、不活性溶媒混合物中、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)またはアルカリ土類金属(カルシウム)と反応される。好ましくは、使用される溶媒は、液体NH3または一級アミンと、エーテル性溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグリムなど)との混合物である。リチウムまたはナトリウムは、還元剤として好適である。本発明に従って、バーチ還元は液体NH3とジメトキシエタンとの溶媒混合物中、リチウムを用いてより好ましくは行われる。バーチ還元からの式Iで表される化合物の収率は、触媒的脱ベンジル化からのものと同程度である。
【0025】
本発明はまた、中間体としての式Vで表される化合物にさらに関し、およびそれらの製造方法、すなわち式V
【0026】
【化9】

【0027】
で表される化合物の製造方法であって、以下のステップ
a)式III
【0028】
【化10】

【0029】
[式中、
3は水素、または以下の基
【0030】
【化11】

【0031】
(式中、
30、R31、R32は、互いに独立して、水素、C1〜C4−アルキル、またはC1〜C4−アルコキシであり得;
5は、水素、ヒドロキシルであり得、またはR6と一緒になって二重結合であり得;
6は、水素であり得、R5もしくはR7と一緒になって二重結合であり得;またはR7と一緒になってαもしくはβ−CH2基であり得;
7は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、C1〜C4−チオアシルであり得;R6と一緒になって二重結合、またはαもしくはβ−CH2基であり得;
10は、水素、メチルまたはエチルであり得;
13は、メチル、エチルであり得;
15は、水素、C1〜C4−アルキルであり得、またはR16と一緒になって−CH2基もしくは二重結合であり得;
16は、水素であり得、またはR15と一緒になって−CH2基もしくは二重結合であり得る)
であり得る]
で表される17−ケトステロイドを、塩基の存在下、式IV
【0032】
【化12】

【0033】
[式中、R40、R41、R42は、互いに独立して水素、C1〜C4−アルキルまたはC1〜C4−アルコキシであり得る]
で表されるプロプ−1−イン−3−オールエーテルと反応させること
を含む、当該方法にさらに関する。
【0034】
本発明に従って、式IIIで表される17−ケトステロイドは、R40、R41、R42が互いに独立して水素である、式IVで表されるプロプ−1−イン−3−オールエーテルと、すなわちIVa
【0035】
【化13】

【0036】
で表されるプロプ−1−イン−3−オール−ベンジルエーテルと反応する方法が好ましい。
【0037】
式Iで表される化合物の製造のための本発明の方法であって、
5が、水素、またはヒドロキシルであり;
6が、水素であるか、またはR7と一緒になってαもしくはβ−CH2基であり;
7が、水素、またはαもしくはβ−CH2基であり;
10が、水素、メチルまたはエチルであり;
13が、メチル、エチルであり;
15が、水素、C1〜C4−アルキルであり、またはR16と一緒になって−CH2基であり;
16は、水素であり、またはR15と一緒になって−CH2基である、
式IIIで表される化合物が使用される当該方法が特に好適であり、したがって好ましい。
【0038】
本発明の特に好ましい方法は、化合物Ia
【0039】
【化14】

【0040】
の製造方法であって、ステップa)において化合物IIIa
【0041】
【化15】

【0042】
が反応して、Va
【0043】
【化16】

【0044】
を得、そしてステップb)およびc)においてさらに反応する、当該方法である。
【0045】
本発明の非常に特に好ましい方法は、化合物Ia
【0046】
【化17】

【0047】
の製造方法であって、ステップa)において化合物IIIa
【0048】
【化18】

【0049】
が、塩基の存在下、式IVa
【0050】
【化19】

【0051】
で表されるプロプ−1−イン−3−オールエーテルと反応して、化合物Vb
【0052】
【化20】

【0053】
を得、そしてステップb)およびc)においてさらに反応して化合物Iaを得る、当該方法である。
【0054】
表1:先行技術の方法と、本発明の方法との収率の比較
【0055】
【表1】

【0056】
化合物Iaは、総収率91理論%で高純度にて得られ、そして既知の方法によるさらなる精製を行わずに反応させることができ、化合物IIa(ドロスピレノン)を得る[欧州特許第075189B1号明細書、欧州特許第918791B1号明細書、国際公開第2007/009821号]。
【0057】
【化21】

【0058】
欧州特許第075189B1号明細書のp.5,I.25〜32における実施例H;欧州特許第0918791B1号明細書のp.5,I.56〜58からp.6,I.1〜22の実施例、ならびに国際公開第2007/009821号の12〜15ページおよび全ての開示内容を、本明細書において明確に参照する。それらに記載された、ドロスピレノン(化合物IIa)を得るための化合物Ibの反応方法は、本特許出願の開示内容に属する。ドロスピレノンの製造のための中間体VaおよびVbの使用によって、ドロスピレノンの総収率は少なくとも15%増加する。本発明の方法で得られた中間体Iaの高い純度は、製造工程におけるさらなる利点(中間体の単離が不要)をもたらす。
【実施例】
【0059】
製造方法
一般的な作業手順1(GWP1):式Vで表される化合物の合成
606.1mmolのアルカリ金属またはアルカリ土類金属アルコキシド、好ましくはカリウムtert−ブトキシドを、120mlのテトラヒドロフランに溶解した。121.2mmolの式IまたはIIで表される化合物、および133.3mmolの式IIIで表されるプロピノールエーテルの520mlテトラヒドロフラン溶液、または懸濁液を、−20〜50℃で、好ましくは0〜5℃で当該混合物中へ加えた。反応が完結した後、当該反応混合物を280mlの水で処理し、その後酸、好ましくは酢酸の添加により中和した。水層を分離して廃棄した。テトラヒドロフランの留去後に得られた粗生成物を好適な溶媒で再結晶し、そして乾燥した。
【0060】
実施例1 6β,7β;15β,16β−ジメチレン−17α−(3−ベンジルオキシプロピニル)アンドロスタン−3β,5β,17β−トリオール(Vb):
GWP1に従って、100g(0.303mol)の3β,5β−ジヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ジメチレンアンドロスタン−17−オンを、48.7g(0.333mol)のプロプ−1−イン−3−オールベンジルエーテルと反応させた。粗生成物を、700mlのトルエンから再結晶した。133g(0.279mol)の6β,7β;15β,16β−ジメチレン−17α−(3−ベンジルオキシプロピニル)アンドロスタン−3β,5β,17β−トリオール(92理論%)を得た。
[α]D20=−70.1°(12.15mgの1mlCHCl3溶液、T=20℃、d=100mm)。
【0061】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=0.37−0.42(1H,m,H−30エキソ*),0.63(1H,td,J=9.0Hzおよび5.1Hz,H−31エンド),0.78(1H,q,J=5.1Hz,H−31エンド),0.82−0.88(1H,m,H−6),0.85(3H,s,H−19),0.91(3H,s,H−18),1.13(1H,tt,J=8.4Hzおよび4.3Hz,H−7),1.15−1.27(4H,m,H−30エキソ,H−1,H−9,H−11),1.39−1.44(1H,m,H−2α),1.46−1.54(3H,m,H−11,H−12β,H−15),1.57(1H,dt,J=13.6Hzおよび2.9Hz,H−2β),1.66−1.74(3H,m,H−12α,H−16,H−8),1.84(1H,td,J=14.5Hzおよび2.9Hz,H−1β),1.96−2.01(1H,m,H−4β),2.04(1H,dd,J=12.1Hzおよび3.7Hz,H−1),2.23(1H,dd,J=15.0Hzおよび3.3Hz,H−4α),2.15−2.35,2.55−2.70,3.25−3.50(3H,強くブロード,3倍のOH),4.03(1H,s,br.,H−3),4.30(2H,s,H−22),4.64(2H,s,H−23),7.29−7.38(5H,m,H−25,H−26,H−27,H−28,H−29)
【0062】
13C−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.97(CH2,C−30),11.69(CH2,C−31),15.20(CH,C−7),16.67(CH,C−15),18.26(CH3,C−18),19.04(CH3,C−19),21.79(CH2,C−11),25.34(CH,C−6),26.81(CH2,C−1),27.06(CH,C−16),27.69(CH2,C−2),34.20(CH,C−8),38.62(CH2,C−12),40.42(C,C−10),42.65(C,C−13),43.04(CH2,C−4),44.59(CH,C−9),52.88(CH,C−14),57.63(CH2,C−22),67.09(CH,C−3),71.59(CH2,C−23),74.84(C,C−5),79.80(C,C−17),82.06(C,C−21),88.99(C,C−20),127.93(CH,C−27),128.06(CH,C−26,C−28),128.44(CH,C−25,C−29),137.40(C,C−24)
【0063】
MS(Cl):m/e=476(M+NH4−H2O)+,459(M+H−H2O)+,441(459−H2O),348(M+NH4−C1010O)+,331(476−C109O),313(331−H2O),295(313−H2O),164(C1116+),91(C77+
【0064】
IR:3390cm-1(O−H,アルコールの伸縮振動),3088,3018cm-1(C−H,芳香族炭化水素およびオレフィン炭化水素の伸縮振動),2937,2867cm-1(C−H,脂肪族炭化水素の伸縮振動),2225cm-1(C/C,アルキンの伸縮振動),1052cm-1(C−O,アルコールの伸縮振動),739cm-1(=C−H,芳香族炭化水素、またはオレフィン炭化水素の変形振動)
【0065】
実施例2 15β,16β−メチレン−17α−(3−ベンジルオキシプロピニル)アンドロスト−6−エン−3β,5β,17β−トリオール:
GWP1に従って、100g(0.317mol)の3β,5β−ジヒドロキシ−15β,16β−メチレン−アンドロスト−6−エン−17−オンを、50.9g(0.349mol)のプロプ−1−イン−3−オールベンジルエーテルと反応させた。粗生成物を700mlのトルエンから再結晶した。134.5g(0.291mol)の15β,16β−メチレン−17α−(3−ベンジルオキシプロピニル)アンドロスト−6−エン−5β,17β−ジオール(92理論%)を得た。
[α]D20=−120.3°(12.15mgの1mlCHCl3溶液,T=20℃,d=100mm)
【0066】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=0.35−0.42(1H,m,H−30エキソ),0.95(3H,s,H−18),0.96(3H,s,H−19),1.14(1H,ddd,J=6.8Hz,3.7Hzおよび3.5Hz,H−30エンド*),1.28−1.35(1H,m,H−11β),1.38−1.42(1H,m,H−15),1.45−1.51(2H,m,H−1β,H−2),1.50−1.60(3H,m,H−12β,H−11α,H−9),1.60−1.65(1H,m,H−2),1.67−1.73(2H,m,H−16,H−12α),1.83−1.89(1H,m,H−1α),1.88−1.97(3H,m,H−4とH−14の両方),2.15−2.19(1H,m,H−8),2.25−2.40,2.90−3.10,3.05−3.25(3H,強くブロード,3倍のOH),4.04−4.07(1H,m,H−3),4.28(2H,s,H−22),4.62(2H,s,H−23),5.49(1H,dd,J=10.0Hzおよび2.8Hz,H−6),5.68(1H,dd,J=10.0Hzおよび1.8Hz,H−7),7.29−7.36(5H,m,H−25,H−26,H−27,H−28,H−29)
【0067】
13C−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.90(CH2,C−30),16.25(CH,C−15),18.05(CH3,C−19),18.28(CH3,C−18),21.12(CH2,C−11),24.73(CH2,C−1),27.31(CH,C−16),27.89(CH2,C−2),36.53(CH,C−8),38.77(CH2,C−12),39.12(C,C−10),40.68(CH2,C−4),42.86(C,C−13),43.99(CH,C−9),51.27(CH,C−14),57.59(CH2,C−22),67.31(CH,C−3),71.56(CH2,C−23),75.93(C,C−5),79.71(C,C−17),82.13(C,C−21),88.88(C,C−20),127.93(CH,C−27),128.02(CH,C−7),128.05(CH,C−26,C−28),128.44(CH,C−25,C−29),134.52(CH,C−6),137.35(C,C−24)
【0068】
MS(Cl):m/e=480(M+NH4+,462(480−H2O),445(M+H)+,427(445−H2O),334(480−C1010O),317(462−C109O),299(317−H2O),281(299−H2O),244(C1724+),164(C1116+),91(C77+
【0069】
IR:3480,3425cm-1(O−H);3119,3025cm-1(C−H,芳香族炭化水素およびオレフィン炭化水素の伸縮振動);2950cm-1(C−H,脂肪族炭化水素の伸縮振動);2225cm-1(C/C,アルキンの伸縮振動);1055cm-1(C−O,アルコールの変形振動).
【0070】
一般的な作業手順2(GWP2):式Vで表される化合物の、式Iで表される化合物への水素化およびバーチ還元
277mmolの式Vで表される化合物を924mlのジメトキシエタンに溶解し、そして1.7重量%のPd/C(10%)で処理した。当該混合物を、初めに20℃、3barの圧力で水素と反応させた。水素の吸収が完了した後、反応混合物を50℃に温め、そして気体の吸収が終結するまで撹拌した。触媒を濾過により除去した。ろ液を、396mlのジメトキシエタン、699mlのNH3、および少なくとも1664mmolのリチウムから調製した溶液へ−40℃で加えた。その後、406mlのメタノールを複数回に分けて加えた。反応混合物を20℃に温めた後、76ml酢酸の1320ml水溶液へ加え、そして当該混合物をさらに酢酸を加えて中和し、その後真空蒸留にてジメトキシエタンおよびメタノールを除去した。沈殿した固体を単離し、水で洗浄し、そして50℃で乾燥した。
【0071】
一般的な作業手順3(GWP3):式Vで表される化合物の、式Iで表される化合物への水素化および水素化による脱ベンジル化
GWP2に従って製造されたろ液から、蒸留によって完全に溶媒を除去した。蒸留残渣を660mlのエタノールに溶解し、そして2重量%のPd(OH)2/C(15〜20%)を加えた。当該混合物を20℃、3barの圧力で水素と反応させた。水素の吸収が完了した後、触媒を濾過により分離した。660mlの水を加えた後、エタノールを蒸留により除去した。沈殿した固体を単離し、水で洗浄し、そして50℃で乾燥した。
【0072】
実施例3 6β,7β;15β,16β−ジメチレン−17α−(3−ヒドロキシプロピル)アンドロスタン−3β,5β,17β−トリオール(la):
100g(0.210mol)の6β,7β;15β,16β−ジメチレン−17α−(3−ベンジルオキシプロピニル)アンドロスタン−3β,5β,17β−トリオールを、GWP2またはGWP3に従って反応させた。81.1g(0.208mol)の6β,7β;15β,16β−ジメチレン−17α−(3−ヒドロキシプロピル)アンドロスタン−3β,5β,17β−トリオール(99重量%)を得た。
MS(Cl):m/e=389(M−H)+,373(M+H−H2O)+,355(373−H2O),337(355−H2O),319(337−H2O).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

で表される17α−(3−ヒドロキシプロピル)−17β−ヒドロキシステロイドの製造方法であって、以下のステップ:
a)式III
【化2】

[式中、
3は水素、または以下の基
【化3】

(式中、
30、R31、R32は、互いに独立して、水素、C1〜C4−アルキル、またはC1〜C4−アルコキシであり得;
5は、水素、ヒドロキシルであり得、またはR6と一緒になって二重結合であり得;
6は、水素であり得、R5もしくはR7と一緒になって二重結合であり得;またはR7と一緒になってαもしくはβ−CH2基であり得;
7は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、C1〜C4−チオアシルであり得;R6と一緒になって二重結合、またはαもしくはβ−CH2基であり得;
10は、水素、メチル、またはエチルであり得;
13は、メチル、エチルであり得;
15は、水素、C1〜C4−アルキルであり得、またはR16と一緒になって−CH2基もしくは二重結合であり得;
16は、水素であり得、またはR15と一緒になって−CH2基もしくは二重結合であり得る)
であり得る]
で表される17−ケトステロイドを、塩基の存在下、式IV
【化4】

[式中、R40、R41、R42は、互いに独立して水素、C1〜C4−アルキル、またはC1〜C4−アルコキシであり得る]
で表されるプロプ−1−イン−3−オールエーテルと反応させて、一般式V
【化5】

で表される化合物を得;
b)前記化合物Vのアルキン基の触媒的水素化を完了し、そして
c)ベンジル保護基を除去すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記ステップa)において、
5が、水素、またはヒドロキシルであり;
6が、水素であるか、またはR7と一緒になってαもしくはβ−CH2基であり;
7が、水素、またはαもしくはβ−CH2基であり;
10が、水素、メチル、またはエチルであり;
13が、メチル、エチルであり;
15が、水素、C1〜C4−アルキルであり、またはR16と一緒になって−CH2基であり;
16が、水素であり、またはR15と一緒になって−CH2基である、
式IIIで表される化合物が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物Ia
【化6】

の製造であって、前記ステップa)において化合物IIIa
【化7】

が反応して化合物Va
【化8】

を得、そして前記ステップb)およびc)においてさらに反応して、化合物1aを得る前記製造のための、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップa)において、プロプ−1−イン−3−オールエーテルが式IVa
【化9】

で表される化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
化合物Ia
【化10】

の製造であって、前記ステップa)において、化合物IIIa
【化11】

が、塩基の存在下、式IVa
【化12】

で表されるプロプ−1−イン−3−オールエーテルと反応して化合物Vb
【化13】

を得、そして前記ステップb)およびc)においてさらに反応して化合物Iaを得る前記製造のための、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
式V
【化14】

[式中、R3、R5、R6、R7、R10、R13、R15、R16、R40、R41およびR42基は、請求項1において定義されたものと同一の意味を有する]
で表される中間体。
【請求項7】
すなわち、式Va
【化15】

[式中、R3、R40、R41、およびR42基は、請求項1において定義されたものと同一の意味を有する]
で表される化合物である、請求項6に記載の中間体。
【請求項8】
すなわち、式Vb
【化16】

[式中、R3基は、請求項1において定義されたものと同一の意味を有する]
で表される化合物である、請求項6または7に記載の中間体。
【請求項9】
すなわち、6β,7β;15β,16β−ジメチレン−17α−(3−ベンジルオキシプロピニル)アンドロスタン−3β,5β,17β−トリオールである、請求項6〜8のいずれか一項に記載の中間体。
【請求項10】
式V
【化17】

で表される中間体の製造方法であって、以下のステップ
a)式III
【化18】

[式中、
3は水素、または以下の基
【化19】

(式中、
30、R31、R32は、互いに独立して、水素、C1〜C4−アルキル、またはC1〜C4−アルコキシであり得;
5は、水素、ヒドロキシルであり得、またはR6と一緒になって二重結合であり得;
6は、水素であり得、R5もしくはR7と一緒になって二重結合であり得;またはR7と一緒になってαもしくはβ−CH2基であり得;
7は、水素、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシカルボニル、C1〜C4−チオアシルであり得;R6と一緒になって二重結合、またはαもしくはβ−CH2基であり得;
10は、水素、メチル、またはエチルであり得;
13は、メチル、エチルであり得;
15は、水素、C1〜C4−アルキルであり得、またはR16と一緒になって−CH2基もしくは二重結合であり得;
16は、水素であり得、またはR15と一緒になって−CH2基もしくは二重結合であり得る)
であり得る]
で表される17−ケトステロイドを、塩基の存在下、式IV
【化20】

[式中、R40、R41、R42は、互いに独立して水素、C1〜C4−アルキルまたはC1〜C4−アルコキシであり得る]
で表されるプロプ−1−イン−3−オールエーテルと反応させること
を含む、前記方法。
【請求項11】
前記式IIで表される化合物の製造のための、請求項6に記載の式Vで表される中間体の使用。
【請求項12】
ドロスピレノンの製造のための、請求項7に記載の中間体Vaの使用。
【請求項13】
ドロスピレノンの製造のための、請求項8に記載の中間体Vbの使用。

【公表番号】特表2010−531337(P2010−531337A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513942(P2010−513942)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058296
【国際公開番号】WO2009/000923
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】