2’−置換核酸のインビトロ選択のための方法
本発明は一般に、核酸の分野に、そして詳細にはアプタマー、およびアプタマーを選択するための方法、改変されたヌクレオチドを組み込むための方法に関する。本発明はさらに、例えば、特異的な標的に対するアプタマーが選択され得る、改変されたヌクレオチドを有するランダムなオリゴヌクレオチドのプールを酵素学的に産生するための材料および方法に関する。配列に組み込まれた改変ヌクレオチド三リン酸を有するアプタマー治療剤の生成のための材料および方法を提供する。本発明の方法によって産生されたアプタマーは、安定性および半減期が向上している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般に、核酸の分野に、そして詳細にはアプタマー、およびアプタマーを選択するための方法、改変されたヌクレオチドを組み込むための方法に関する。本発明はさらに、例えば、特異的な標的に対するアプタマーが選択され得る、改変されたヌクレオチドを有するランダムなオリゴヌクレオチドのプールを酵素学的に産生するための材料および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
アプタマーは、古典的なワトソン−クリック塩基対合以外の相互作用を通じて分子に対する特異的な結合親和性を有する核酸分子である。
【0003】
アプタマーは、ファージディスプレイによって生成されるペプチドまたはモノクローナル抗体(MAb)と同様に、選択された標的に対して特異的に結合し得、そして結合を通じて、それらの標的が機能する能力をブロックする。ランダム配列オリゴヌクレオチドのプールからインビトロ選択プロセスによって作製された(図1)アプタマーは、増殖因子、転写因子、酵素、免疫グロブリンおよびレセプターを含む100を超えるタンパク質について生成されている。代表的なアプタマーは10〜15kDaのサイズ(30〜45ヌクレオチド)であり、その標的とナノモル未満の親和性で結合して、密接に関連する標的と区別する(例えば、同じ遺伝子ファミリー由来の他のタンパク質には代表的には結合しない)。一連の構造的研究によって、抗体−抗原複合体において親和性および特異性を駆動する同じタイプの結合相互作用(水素結合、静電的相補性、疎水性接触、立体排除など)をアプタマーが用いることができるということが示されている。
【0004】
アプタマーは、治療剤(および診断剤)としての使用のために、高い特異性および親和性、生物学的有効性および優れた薬物動態学的特性を含む多数の所望の特徴を有する。さらに、それらによって、抗体および他のタンパク質の生物学を上回る特異的な競合的利点が得られる、例えば:
1)速度および制御。アプタマーは、完全にインビトロのプロセスによって産生され、これによって最初の(治療的)リードの迅速な生成が可能になる。インビトロの選択によって、アプタマーを厳密に制御する特異性および親和性が可能になり、そして毒性および非免疫原性標的の両方に対するリードの生成が可能になる。
【0005】
2)毒性および免疫原性。アプタマーという分類は、毒性も免疫原性もほとんど、または全く示していない。高レベルのアプタマーを用いたラットまたはマーモット(ウッドチャック)の慢性投与(90日間、毎日10mg/kg)では、臨床でも、細胞でも生化学的測定でも毒性は観察されていない。多くのモノクローナル抗体の有効性は、抗体自体に対する免疫応答によって大きく制限され得るが、アプタマーに対して抗体を惹起することは極めて困難である(この理由は主に、アプタマーがMHCを介してT細胞に提示されることができず、免疫応答は一般に核酸フラグメントを認識するようには教育されないからであろう)。
【0006】
3)投与。現在承認されている全ての抗体治療剤は静脈内注入(代表的には2〜4時間にわたる)によって投与されるが、アプタマーは皮下注射によって投与できる。この相違は主に、ほとんどの治療用MAbについて溶解度が比較的低く、従って大きい容積が必要であることに起因する。高い溶解度(>150mg/ml)および比較的低い分子量(アプタマー:10〜50kDa;抗体:150kDa)によって、アプタマーの毎週の用量は、0.5ml未満の容積で注射することによって送達され得る。皮下投与を介したアプタマーのバイオアベイラビリティーは、サルの研究では80%を超えている(Tuckerら、J.Chromatography B.732:203〜12,1999)。さらに、小さいサイズのアプタマーでは、抗体または抗体フラグメントが浸透できない高次構造の収縮の領域に浸透することが可能であり、これによって、アプタマーに基づく治療または予防法の別の利点が示される。
【0007】
4)拡大性および費用。治療用アプタマーは化学的に合成され、結果として製品の要求を満たすのに必要である場合、容易に大規模化できる。産物を大規模生産することが困難であることによっていくつかの生物製剤の利用可能性は現在限定されており、大規模なタンパク質産生プラントの資本コストが膨大であるが、単一の大規模合成器で、1年あたり100kgを超えるオリゴヌクレオチドを産生可能であり、必要な初期投資額はそれほどでもない。キログラム規模でのアプタマー合成のための現在の製品の費用は、高度に最適化された抗体についての費用と匹敵して、1gあたり500ドルと見積もられる。プロセスの開発における継続的な改良によって、5年で1gあたり100ドル未満まで製品コストを低下させることが期待される。
【0008】
5)安定性。治療用アプタマーは化学的に頑強である。それらは、熱、変性剤などに対する曝露後に活性を再獲得するようにもともと適合されており、そして凍結乾燥粉末として室温で長期間(>1年)にわたって保管できる。対照的に、抗体は凍結保存しなければならない。
【0009】
治療剤としてアプタマーを利用することを考慮すれば、インビボにおけるアプタマー治療剤の安定性を延長するか向上する材料および方法を有することが有利である。本発明によって、これらおよび他の必要性を満たす材料および方法が得られる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、オリゴヌクレオチドへの改変されたヌクレオチドの組みこみを促進する、本明細書で特定された条件下での転写による安定性の向上したオリゴヌクレオチドを産生する材料および方法を提供する。これらの改変されたオリゴヌクレオチドは、例えば、アプタマー、アンチセンス分子、RNAi分子、siRNA分子またはリボザイムであってもよい。好ましくは、オリゴヌクレオチドはアプタマーである。
【0011】
一つの実施形態では、本発明は、特定の標的に対するアプタマーを選択することができる、改変されたヌクレオチドを取り込むオリゴヌクレオチドのランダムにされたプールを用いる、改良されたSELEXTM法(「2’−OMe SELEXTM」)を提供する。
【0012】
一つの実施形態では、本発明は、所定の設定の転写条件下でオリゴヌクレオチドに改変されたヌクレオチドを組み込む、改変された酵素を用いる方法を提供する。
【0013】
一つの実施形態では、本発明は、変異したポリメラーゼを用いる方法を提供する。一つの実施形態では、この変異したポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼである。一つの実施形態では、639位において変異(チロシン残基からフェニルアラニン残基への変異、「Y639F」)および784位において変異(ヒスチジン残基からアラニン残基への変異「H784A」)を有することによって変異されたT7 RNAポリメラーゼが、本発明のオリゴヌクレオチドへの改変されたヌクレオチドの取り込みを生じる種々の転写反応条件で用いられる。
【0014】
別の実施形態では、639位における変異(チロシン残基からフェニルアラニン残基によって改変されたT7 RNAポリメラーゼが、本発明のオリゴヌクレオチドへの改変されたヌクレオチドの取り込みを生じる種々の転写反応条件で用いられる。
【0015】
別の実施形態では、784位における変異(ヒスチジン残基からアラニン残基によって改変されたT7 RNAポリメラーゼが、本発明のアプタマーへの改変されたヌクレオチドの取り込みを生じる種々の転写反応条件で用いられる。
【0016】
一つの実施形態では、本発明は、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する種々の転写反応混合物を提供する。
【0017】
一つの実施形態では、転写反応混合物にマンガンイオンを添加して、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する。
【0018】
別の実施形態では、2’−OH GTPを転写混合物に添加して、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する。
【0019】
別の実施形態では、ポリエチレングリコール、PEGを転写混合物に添加して、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する。
【0020】
別の実施形態では、GMP(または任意の置換グアノシン)を転写混合物に添加して、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する。
【0021】
一つの実施形態では、テンプレートオリゴヌクレオチドの5’末端において固定された領域(好ましくは20〜25ヌクレオチド長)の5’末端に組み込まれたリーダー配列を用いて、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する。好ましくはこのリーダー配列は、約10ヌクレオチド長より大きい。
【0022】
一つの実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成されるリーダー配列を用いる。
【0023】
別の実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成される少なくとも6ヌクレオチドのリーダー配列を用いる。
【0024】
別の実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成される少なくとも8ヌクレオチドのリーダー配列を用いる。
【0025】
別の実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成される少なくとも10ヌクレオチドのリーダー配列を用いる。
【0026】
別の実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成される少なくとも12ヌクレオチドのリーダー配列を用いる。
【0027】
別の実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成される少なくとも14ヌクレオチドのリーダー配列を用いる。
【0028】
一つの実施形態では、本発明は、改変されたヌクレオチドがそれらの配列に組み込まれているアプタマー治療剤を提供する。
【0029】
一つの実施形態では、本発明は、改変されたヌクレオチドがそれらの配列に組み込まれているアプタマー治療剤の使用を提供する。
【0030】
一つの実施形態では、本発明は、SELEXTMプロセスでのアプタマー選択のための転写の種々のヌクレオチド組成物を提供する。一つの実施形態では、本発明は、ATPヌクレオチド、GTPヌクレオチド、CTPヌクレオチド、TTPヌクレオチドおよびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、および2’−OMe改変の組み合わせを提供する。別の実施形態では、本発明は、ATPヌクレオチド、GTPヌクレオチド、CTPヌクレオチド、TTPヌクレオチドおよびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、2’−OMe、2’−NH2および2’−メトキシエチル改変の組み合わせを提供する。一つの実施形態では、本発明は、ATPヌクレオチド、GTPヌクレオチド、CTPヌクレオチド、TTPヌクレオチドおよびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、2’−OMe、2’−NH2および2’−メトキシエチル改変の56個の組み合わせを提供する。
【0031】
本発明は、標的分子に対する核酸リガンドを同定するための方法に関しており、このリガンドとしては、a)変異したポリメラーゼ、1つ以上の2’改変ヌクレオチド三リン酸(NTP)、マグネシウムイオンおよび1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを含む転写反応混合物を調製する工程;b)この変異したポリメラーゼが1つ以上の2’改変ヌクレオチドのうちの少なくとも1つを候補混合物の各々の核酸に組み込む条件下で、この1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを転写することによって一本鎖核酸の候補混合物を調製する工程であって、この候補混合物の各々の核酸が、2’位置改変ピリミジンおよび2’位置改変プリンからなる群より選択される2’改変ヌクレオチドを含む工程;c)この候補混合物と標的分子とを接触させる工程;d)この候補混合物に関して標的分子に対する親和性が増大している核酸を、この候補混合物の残りから、分画する工程と;e)インビトロにおいて親和性の増大した核酸を増幅して核酸のリガンド富化混合物を得る工程、によって改変されたヌクレオチドが挙げられる。
【0032】
2’位置改変ピリミジンおよび2’位置改変プリンとしては、2’−OH、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−NH2、2’−Fおよび2’−メトキシエチルの改変が挙げられる。好ましくは、2’改変ヌクレオチドは、2’−O−メチルまたは2’−Fヌクレオチドである。
【0033】
ある実施形態では、変異したポリメラーゼは、変異したT7 RNAポリメラーゼ、例えば、639位においてチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異(Y639F)を有するT7 RNAポリメラーゼ;784位においてヒスチジン残基からアラニン残基への変異(H784A)を有するT7 RNAポリメラーゼ;639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異、および784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(Y639F/H784A)を有するT7 RNAポリメラーゼである。
【0034】
ある実施形態では、オリゴヌクレオチド転写テンプレートとしては、オリゴヌクレオチド転写テンプレートの5’末端において固定された領域の5’末端に組み込まれたリーダー配列が挙げられる。このリーダー配列は、例えば、全てプリンのリーダー配列である。このリーダー配列は、例えば、少なくとも6ヌクレオチド長;少なくとも8ヌクレオチド長;少なくとも10ヌクレオチド長;少なくとも12ヌクレオチド長;または少なくとも14ヌクレオチド長である。
【0035】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、マンガンイオンを含む。例えば、マグネシウムイオンの濃度は、マンガンイオンの濃度よりも3.0〜3.5倍大きい。
【0036】
転写反応混合物のある実施形態では、各々のNTPは、0.5mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が5.0mMであり、かつマンガンイオンの濃度が1.5mMである。転写反応混合物の他の実施形態では、各々のNTPが1.0mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が6.5mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.0mMである。転写反応混合物の他の実施形態では、各々のNTPは、2.0mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が9.6mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.9mMである。
【0037】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、2’−OH GTPを含む。
【0038】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、ポリアルキレングリコールを含む。このポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。
【0039】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、GMPを含む。
【0040】
ある実施形態では、標的分子に対する核酸リガンドを同定するための方法はさらに、d)候補混合物に関して標的分子に対する親和性が増大している核酸を、この候補混合物の残りから分画する工程;e)インビトロにおいて親和性の増大した核酸を増幅して核酸のリガンド富化混合物を得る工程とを繰り返す工程を包含する。
【0041】
ある局面では、本発明は、本発明の方法によって同定されたトロンビンに対する核酸リガンドに関する。
【0042】
ある局面では、本発明は、本発明の方法によって同定された血管内皮増殖因子(VEGF)に対する核酸リガンドに関する。
【0043】
ある局面では、本発明は、本発明の方法によって同定されたIgEに対する核酸リガンドに関する。
【0044】
ある局面では、本発明は、本発明の方法によって同定されたIL−23に対する核酸リガンドに関する。
【0045】
ある局面では、本発明は、本発明の方法によって同定された血小板由来増殖因子BB(PDGF−BB)に対する核酸リガンドに関する。
【0046】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−OHアデノシン三リン酸(ATP)、2’−OHグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)を含む。
【0047】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−デオキシプリンヌクレオチド三リン酸および2’−O−メチルピリミジンヌクレオチド三リン酸を含む。
【0048】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−OHグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)を含む。
【0049】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)、2’−O−メチルグアノシン三リン酸(GTP)およびデオキシグアノシン三リン酸(GTP)を含むが、このデオキシグアノシン三リン酸は総グアノシン三リン酸集団のうち最大10%を含む。
【0050】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−Fグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)を含む。
【0051】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−デオキシアデノシン三リン酸(ATP)、2’−O−メチルグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)を含む。
【0052】
本発明はまた、変異したポリメラーゼ、1つ以上の2’改変ヌクレオチド三リン酸(NTP)、マグネシウムイオンおよび1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを含む転写反応混合物を調製する工程;この変異したポリメラーゼが1つ以上の2’改変ヌクレオチドを核酸転写産物に組み込む条件下で、この1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートをこの変異したポリメラーゼと接触させる工程と:によって、1つ以上の改変されたヌクレオチドを含む核酸を調製するための方法に関する。
【0053】
2’位置改変ピリミジンおよび2’位置改変プリンとしては、2’−OH、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−NH2、2’−Fおよび2’ −メトキシエチル改変が挙げられる。好ましくは、2’改変ヌクレオチドは、2’−O−メチルまたは2’−Fヌクレオチドである。
【0054】
ある実施形態では、変異したポリメラーゼは、変異したT7 RNAポリメラーゼ、例えば、639位においてチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異(Y639F)を有するT7 RNAポリメラーゼ;784位においてヒスチジン残基からアラニン残基への変異(H784A)を有するT7 RNAポリメラーゼ;639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異、および784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(Y639F/H784A)を有するT7 RNAポリメラーゼである。
【0055】
ある実施形態では、オリゴヌクレオチド転写テンプレートとしては、オリゴヌクレオチド転写テンプレートの5’末端において固定された領域の5’末端に組み込まれたリーダー配列が挙げられる。このリーダー配列は、例えば、全てプリンのリーダー配列である。このリーダー配列は、例えば、少なくとも6ヌクレオチド長;少なくとも8ヌクレオチド長;少なくとも10ヌクレオチド長;少なくとも12ヌクレオチド長;または少なくとも14ヌクレオチド長であり得る。
【0056】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、マンガンイオンを含む。例えば、マグネシウムイオンの濃度は、マンガンイオンの濃度よりも3.0〜3.5倍大きい。
【0057】
転写反応混合物のある実施形態では、各々のNTPは、0.5mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が5.0mMであり、かつマンガンイオンの濃度が1.5mMである。転写反応混合物の他の実施形態では、各々のNTPが1.0mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が6.5mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.0mMである。転写反応混合物の他の実施形態では、各々のNTPは、2.0mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が9.6mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.9mMである。
【0058】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、2’−OH GTPを含む。
【0059】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、ポリアルキレングリコールを含む。このポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。
【0060】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、GMPを含む。
【0061】
本発明はまた、実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−OHアデノシンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−OHグアノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、そして実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。別の実施形態では、アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。
【0062】
本発明はまた、実質的に全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンであり、かつ実質的に全てのピリミジンヌクレオチドが2’−O−メチルピリミジンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、アプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を有する。別の実施形態では、アプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの100%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を有する。
【0063】
本発明はまた、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−OHグアノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンであり、そして実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、アプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、アプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を有する。
【0064】
本発明はまた、実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−O−メチルグアノシンまたはデオキシグアノシンであり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンであり、このグアノシンヌクレオチドの約10%未満がデオキシグアノシンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を有する。
【0065】
本発明はまた、実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシンであり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、かつ実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−Fグアノシン配列である配列を含むアプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−Fグアノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−Fグアノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−Fグアノシンである配列組成を有する。
【0066】
本発明はまた、実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−デオキシアデノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−O−メチルグアノシンであり、かつ実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシ−アデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドのうちの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。別の実施形態は、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシ−アデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。
【0067】
本発明はまた、実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−OHアデノシンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−OHグアノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−OHシチジンであり、かつ実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−OHウリジンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OH−アデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドのうちの少なくとも80%が2’−OHシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHウリジンである配列組成を有する。別の実施形態は、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも90%が2’−OHウリジンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−OHシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、かつウリジンヌクレオチドの100%が2’−OHウリジンである配列組成を有する。
【0068】
(発明の詳細な説明)
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の付随する説明に示す。本明細書に記載されるものと同様であるかまたは等価である任意の方法および物質は、本発明の実行または試験において用いることができるが、好ましい方法および材料をここに記載している。本発明の他の特徴、目的および利点は、この説明から明らかである。本明細書では、単数形は、文脈が明確に他を示さない限り複数も包含する。他に規定しない限り、本明細書に用いる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、明細書が優先する。
【0069】
(改変されたヌクレオチド転写物)
本発明は、改変されていないオリゴヌクレオチドよりも安定なオリゴヌクレオチドを作製する、改変されたヌクレオチド(例えば、2’位置において改変を有するヌクレオチド)を含む安定化されたオリゴヌクレオチド(例えば、アプタマーを含む)を生成するための材料および方法を提供する。本発明の材料および方法によって生成された安定化されたオリゴヌクレオチドはまた、酵素分解および化学分解に対して、そして熱分解および物理的分解に対してさらに安定である。
【0070】
アプタマーが治療剤としての使用に適切であるためには、合成が安価であり、インビボにおいて安全かつ安定であることが好ましい。野生型RNAおよびDNAアプタマーは代表的には、ヌクレアーゼによる分解に感受性であるせいで、インビボでは安定ではない。ヌクレアーゼ分解に対する耐性は2’位置に改変基を組み込むことによって大きく向上できる。フルオロ基およびアミノ基は、オリゴヌクレオチドライブラリーに首尾よく組み込まれており、これからアプタマーが引き続いて選択されている。しかし、これらの改変によって、得られたアプタマーの合成の費用は大きく増大し、その改変されたオリゴヌクレオチドの分解およびDNA合成のための基質としてのそのヌクレオチドのその後の使用によって、その改変されたヌクレオチドが宿主DNA中で再循環され得る可能性のせいで、安全性の懸念が持ち上がるかもしれない。
【0071】
2’−O−メチル(2’−OMe)ヌクレオチドを含むアプタマーは、これらの欠点の多くを克服する。2’−O−メチルヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性であり、かつ合成が安価である。2’−O−メチルヌクレオチドは、生物学的な系に偏在するが、天然のポリメラーゼは、生理学的な条件下で基質として2’−O−メチルNTPを受容せず、従って、宿主DNAにおける2’−O−メチルヌクレオチドの再循環を上回る安全性の懸念はない。2’−OMeヌクレオチドの一般式は図2に示す。
【0072】
2’−OMe含有アプタマーのいくつかの例は文献にあり、例えば、Greenら、Current Biology 2,683〜695,1995を参照のこと。これらは、C残基およびU残基が2’−フルオロ(2’−F)置換され、そしてA残基およびG残基が2’OHである、改変された転写物のライブラリーのインビトロ選択によって生成された。一旦、機能的な配列を同定すると、各々のA残基およびG残基を2’−OMe置換に対する耐性について試験し、そして2’−OMe残基として2’−OMe置換に抵抗する全てのA残基およびG残基を有するアプタマーを再合成した。この2工程の方式で生成したアプタマーのA残基およびG残基のほとんどが、2’−OMe残基での置換に耐性であるが、平均して約20%が耐性ではない。結果として、この方法を用いて生成したアプタマーは、2〜4の2’−OH残基を含む傾向であり、結果として安定性および合成の費用が損なわれる。アプタマーが選択されてSELEXTM(および/または以下に記載されるその変異および改良を含む任意の変異および改良)によって富化される、オリゴヌクレオチドライブラリーにおいて用いられる、安定化されたオリゴヌクレオチドを生成する転写反応物に改変されたヌクレオチドを組み込むことによって、本発明の方法は、選択されたアプタマーオリゴヌクレオチドを安定化する必要性を排除する(例えば、改変されたヌクレオチドを用いてアプタマーオリゴヌクレオチドを再合成することによって)。
【0073】
さらに、本発明の改変されたオリゴヌクレオチドは、選択プロセスが終了した後に、さらに安定化され得る。(以下、短縮、欠失および改変を含む、「post−SELEXTM改変」を参照のこと)。
【0074】
(SELEXTM法)
アプタマーを生成するために適切な方法は、図1に一般的に描写される「Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment」(「SELEXTM」)と題されたプロセスを用いる。このSELEXTMプロセスは、標的分子に対する高度に特異的な結合を有する核酸分子のインビトロ進化のための方法であって、例えば、1990年6月11日出願の米国特許出願第07/536,428号、現在放棄された、「Nucleic Acid Ligands」と題された、米国特許第5,475,096号および「Nucleic Acid Ligands」と題された、米国特許第5,270,163号(WO91/19813も参照のこと)に記載されている。各々のSELEXTMで同定した核酸リガンドは、所定の標的化合物または分子の特定のリガンドである。SELEXTMプロセスは、核酸が、モノマーであろうとポリマーであろうと、種々の二次元構造および三次元構造を形成する十分な能力を有し、そしてそのモノマー内で利用可能な十分な化学的万能性を有して実質的に任意の化合物とのリガンドとして機能する(特定の結合対を形成する)という独創的な洞察に基づく。任意のサイズまたは組成の分子が標的として働き得る。
【0075】
SELEXTMは起点として、標準的なDNAシンセサイザーでの化学合成に由来するランダムである配列を含む単一の標準的なオリゴヌクレオチドテンプレートの大型ライブラリーに依存する。ある実施例では、100%ランダムなオリゴヌクレオチドの集団をスクリーニングする。言い換えると、この集団中の各々のオリゴヌクレオチドは、ランダムな配列、および少なくとも1つの固定された配列をその5’末端および/または3’末端に含み、これがオリゴヌクレオチド集団の全ての分子によって共有される配列を含む。固定された配列としては、PCRプライマーのハイブリダイゼーション部位のような配列、RNAポリメラーゼのプロモーター配列(例えば、T3、T4、T7、SP6など)、制限部位またはホモポリマー配列、例えば、ポリAトラクトまたはポリTトラクト、触媒性コア、アフィニティーカラムに対する選択的結合の部分、および目的のオリゴヌクレオチドのクローニングおよび/または配列決定を容易にする他の配列が挙げられる。
【0076】
オリゴヌクレオチドのランダムな配列部分は、任意の長さであり得、そしてリボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含み得、そして改変されるかまたは天然ではないヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを含み得る。例えば、米国特許第5,958,691号;同第5,660,985号;同第5,958,691号;同第5,698,687号;同第5,817,635号;および同第5,672,695号、およびPCT公開WO92/07065を参照のこと。ランダムオリゴヌクレオチドは、当該分野で周知の固相オリゴヌクレオチド合成技術を用いてホスホジエステル連結ヌクレオチドから合成し得る(Froehlerら、Nucl.Acid.Res.14:5399〜5467(1986);Froehlerら、Tet.Lett.27:5575〜5578(1986))。オリゴヌクレオチドはまた、トリエステル合成法のような溶液相法を用いて合成できる(Soodら、Nucl.Acid Res.4:2557(1977);Hiroseら、Tet.Lett,28:2449(1978))。自動DNA合成装置で行なった代表的な合成では1015〜1017個の分子が得られる。配列デザインにおけるランダムな配列の領域が十分大きければ、各々の合成された分子が固有の配列を示すと思われる確率が増大する。
【0077】
ランダムな配列を合成するために、合成プロセスの間、4つ全てのヌクレオチドの混合物を各々のヌクレオチド添加工程で添加して、ヌクレオチドのランダムな取り込みを可能にする。一つの実施形態では、ランダムオリゴヌクレオチドは、完全にランダムな配列を含む;しかし、他の実施形態では、ランダムオリゴヌクレオチドは、ランダムでないかまたは部分的にランダムな配列のストレッチを含み得る。部分的にランダムな配列は、各々の添加工程において種々のモル比で4つのヌクレオチドを添加することによって作製できる。
【0078】
テンプレート分子は代表的には、30〜50個のランダムなヌクレオチドの内部領域に隣接する、固定された5’および3’末端の配列を含む。標準的な(1μモル)規模の合成によって、ほとんどのSELEXTM装置に十分な1015〜1016個の個々のテンプレート分子が得られる。RNAライブラリーは、組み換えT7 RNAポリメラーゼを用いてインビトロ転写によってこの出発ライブラリーから生成される。次いで、このライブラリーを、結合に好適な条件下で標的と混合して、同じ一般的な選択スキームを用いて段階的な相互作用の結合、分画および増幅に供して、結合の親和性および選択性の実質的に任意の所望の基準を得る。好ましくはランダムになった配列のセグメントを含む、核酸の混合物から出発して、SELEXTM法は、結合に好適な条件下でこの混合物と標的とを接触させる工程、標的分子に特異的に結合している核酸から未結合の核酸を分画する工程、この核酸−標的複合体を解離する工程、この核酸−標的複合体から解離された核酸を増幅して核酸のリガンド富化混合物を得る工程、次いで結合、分画、解離および増幅の工程を、標的分子に対して高度に特異的に高い親和性核酸リガンドを得るために望まれる程度の回数、反復する工程とを包含する。
【0079】
多数の可能性のある配列および構造を含む核酸混合物内には、所定の標的についての広範な結合親和性が存在する。天然の未改変のヌクレオチドのみを含む、例えば20ヌクレオチドのランダムになったセグメントを含む核酸混合物は、420個の候補物の可能性を有し得る。標的に関してさらに高い親和性定数を有するものが、標的に結合する可能性が最も高い。分画、解離および増幅後、第二の核酸混合物を生成して、さらに高い結合親和性の候補物について富化する。1つまたは2〜3個のみの配列から主に構成される核酸混合物が得られるまで、選択の回数をさらに重ねて、徐々に最高のリガンドにしていく。次いで、これらをクローニングして、配列決定して、純粋なリガンドとしての結合親和性について個々に試験する。
【0080】
選択および増幅のサイクルは、所望の目標が達成されるまで繰り返す。最も一般的な場合には、サイクルを繰り返しても、結合強度において有意な改善が得られなくなるまで選択/増幅を継続する。この方法を用いて、約1018個の異なる核酸種をサンプリングすることができる。試験混合物の核酸は好ましくは、ランダムな配列部分、および効率的な増幅のために必要な保存配列を含む。核酸配列改変体は、ランダムな核酸配列の合成、および無作為に切断された細胞核酸からのサイズ選択を含む多数の方法で生成できる。可変性の配列部分は、完全にランダムな配列を含んでも、または部分的にランダムな配列を含んでもよい;この配列部分はまた、ランダムな配列と合体された保存された配列の部分を含んでもよい。試験核酸における配列の変動は、選択/増幅相互作用の前または間に突然変異誘発によって導入されても、または増大されてもよい。
【0081】
SELEXTMの一つの実施形態では、選択プロセスは従って、選択された標的に対して最も強力に結合する核酸リガンドを単離するのに効率的であり、選択および増幅の工程はわずか1サイクルしか必要でない。このような効率的な選択は、例えば、クロマトグラフィー型のプロセスにおいて得られるが、ここでは核酸がカラムに結合した標的と会合する能力は、このカラムが最高の親和性の核酸リガンドの分離および単離を可能にするのに十分であるような方式で作用する。
【0082】
多くの場合に、単一の核酸リガンドが同定されるまで、SELEXTMの反復工程を行なうことは必ずしも所望されない。標的特異的核酸リガンド溶液は、多数の保存された配列、および標的に対する核酸リガンドの親和性に有意に影響することなく置換または付加され得る多数の配列を有する核酸構造またはモチーフのファミリーを含んでもよい。終了の前にSELEXTMプロセスを終わらせることによって、核酸リガンド溶液ファミリーの多数のメンバーの配列を決定することが可能になる。
【0083】
種々の核酸の一次構造、二次構造および三次構造が存在することが公知である。非ワトソンクリック型の相互作用に最も共通して関与することが示されている構造またはモチーフは、ヘアピンループ、対称性および非対称性のバルジ(bulge)、シュードノット(pseudoknot)およびそれらの多数の組み合わせとされる。このようなモチーフのほとんど全ての公知の場合に、わずか30程度のヌクレオチドの核酸配列でそれらが形成され得るということが示唆される。この理由のために、連続的なランダムなセグメントを用いるSELEXTM手順は、約20〜50ヌクレオチドのランダムなセグメントを含む核酸配列で開始されることがしばしば好ましい。
【0084】
コアSELEXTM法は、多数の特異的な目的を達成するように改変されている。例えば、米国特許第5,707,796号は、特定の構造的特徴を有する核酸分子、例えばベントDNAを選択するためのゲル電気泳動と組み合わせたSELEXTMの使用を記載している。米国特許第5,763,177号は、標的分子に結合し得るか、そして/または標的分子に光架橋し得るか、そして/または標的分子を光不活性化し得る光反応性基を含む核酸リガンドを選択するためのSELEXTMに基づく方法を記載する。米国特許第5,567,588号および米国特許出願第08/792,075号、1997年1月31日出願の「Flow Cell SELEXTM」と題されたものは、標的分子に対して高い親和性を有するオリゴヌクレオチドと低い親和性を有するオリゴヌクレオチドとの間で高度に効率的な分画を達成するSELEXTMに基づく方法を記載している。米国特許第5,496,938号は、SELEXTMプロセスを行なった後、改善された核酸リガンドを得るための方法を記載している。米国特許第5,705,337号は、その標的に対してリガンドを共有結合するための方法を記載している。
【0085】
SELEXTMはまた、標的分子上の2つ以上の部位に結合する核酸リガンドを得るため、および標的上の特定部位に結合する非核酸種を含む核酸リガンドを得るためにも用い得る。SELEXTMは、タンパク質(核酸結合タンパク質およびその生物学的機能の一部として核酸に結合することが知られていないタンパク質の両方を含む)補因子および他の低分子を含む高分子および低分子の生体分子を含む、任意の想定可能な標的に結合する核酸リガンドを単離および同定するための手段を提供する。例えば、カフェインおよびその密接に関連するアナログであるテオフィリンに対して高い親和性で結合できる、SELEXTMを通じて同定された核酸配列を開示する米国特許第5,580,737号を参照のこと。
【0086】
Counter−SELEXTMは、1つ以上の非標的分子に対する交差反応性を有する核酸リガンド配列を排除することによって標的分子に対する核酸リガンドの特異性を改善するための方法である。Counter−SELEXTMは、a)核酸の候補化合物を調製する工程;b)この候補混合物と標的とを接触させる工程であって、この候補混合物に対して標的に対する親和性が増大している核酸が残りの候補混合物から分画され得る工程;c)残りの候補混合物から親和性の増大した核酸を分画する工程;d)親和性の増大した核酸と1つ以上の非標的分子とを接触させて、非標的分子(単数または複数)に対して特異的な親和性を有する核酸リガンドを除去する工程および;e)この標的分子に対する特異的な親和性を有する核酸を増幅して、この標的分子に対する比較的高い親和性および特異性を有する核酸配列が富化された核酸混合物を得る工程とから構成される。
【0087】
治療剤およびワクチンとしての核酸の使用において遭遇する1つの潜在的な問題は、オリゴヌクレオチドがそのホスホジエステル型では、その所望の効果が現われる前に、体液中で、エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼのような細胞内酵素および/または細胞外酵素によって迅速に分解され得るということである。従って、SELEXTM法は、選択後、リガンドに改善された特徴、例えば、改善されたインビボ安定性または改善された送達特徴を付与する改変されたヌクレオチドを含むように変更される、高親和性核酸リガンドの同定を包含する。核酸リガンドの改変としては、限定はしないが、さらなる電荷、分極率、疎水性、水素結合、静電相互作用および変動性を核酸リガンド基部に対して、または核酸リガンド全体に対して組み込む他の化学基を提供する改変が挙げられる。改変としては、リボースおよび/またはリン酸および/または塩基部位での化学的置換、例えば、2’位糖改変、5位ピリミジン改変、8位プリン改変、環外アミンでの改変、4−チオウリジンの置換、5−ブロモまたは5−ヨード−ウラシルの置換;骨格改変、ホスホロチオエートまたはリン酸アルキル改変、メチル化、通常ではない塩基対の組み合わせ、例えば、イソ塩基イソシチジンおよびイソグアニジンなどが挙げられる。改変はまたキャッピングのような3’および5’の改変を含んでもよい。
【0088】
改変された糖基を含むオリゴヌクレオチドでは、例えば、1つ以上のヒドロキシル基がハロゲン、脂肪族基で置換されるか、またはエステルもしくはアミンとして官能化される。フラノース残基の2’位での置換の例としては、O−アルキル(例えば、O−メチル)、O−アリル、S−アルキル、S−アリル、またはハロ基が挙げられる。2’改変糖の合成の方法は、Sproatら、Nucl.Acid.Res.19:733〜738(1991);Cottenら、Nucl.Acid.Res.19:2629〜2635(1991);およびHobbsら Biochemistry 12:5138〜5145(1973)に記載されている。他の改変が当業者に公知である。
【0089】
改変されたヌクレオチドを含むように選択後に合成した、SELEXTMで同定した核酸リガンドは、ピリミジンの5’および2’位置において化学的に改変されたヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチドを記載している、米国特許第5,660,985号に記載されている。さらに、米国特許第5,756,703号は、種々の2’改変ピリミジンを含むオリゴヌクレオチドを記載しており;そして米国特許第5,580,737号は、2’アミノ(2’−NH2)、2’−フルオロ(2’−F)、および/または2’−O−メチル(2’OMe)置換で改変された1つ以上のヌクレオチドを含む高度に特異的な核酸リガンドを記載する。
【0090】
SELEXTM法は、米国特許第5,637,459号および米国特許第5,683,867号に記載されるように、選択されたオリゴヌクレオチドを他の選択されたオリゴヌクレオチドおよび非オリゴヌクレオチドの機能的な単位と組み合わせる工程を包含する。SELEXTM法はさらに、米国特許第6,011,020号に記載されるように、診断または治療用の複合体に、選択された核酸リガンドと親油性または非免疫原性の高分子量化合物とを合わせる工程を包含する。診断または治療用の複合体において、ジアシルグリセロールまたはジアルキルグリセロールのような親油性の化合物と会合されているVEGF核酸リガンドは、米国特許第5,859,228号に記載されている。
【0091】
グリセロール脂質のような親油性化合物、またはポリアルキレングリコールのような非免疫原性高分子量化合物と会合されるVEGF核酸リガンドはさらに、米国特許第6,051,698号に記載されている。非免疫原性高分子量化合物または親油性化合物と会合されるVEGF核酸リガンドはさらに、PCT公開番号WO98/18480に記載されている。これらの特許および出願は、広範なアレイのオリゴヌクレオチド形状および他の特性の組み合わせ、ならびに他の分子の所望の特性を有するオリゴヌクレオチドの効率的な増幅および複製の特性を記載している。
【0092】
SELEXTM法を介した小さい可撓性のペプチドに対する核酸リガンドの同定も調査されている。小型のペプチドは、可撓性の構造を有し、そして通常、複数の配座異性体の平衡している溶液に存在しており、従って、結合親和性は、可撓性のペプチドを結合する際に失われる立体配置的なエントロピーによって制限され得ると最初は考えられた。しかし、溶液中で低分子ペプチドに対する核酸リガンドを同定する実現可能性は、米国特許第5,648,214号において実証された。この特許では、11アミノ酸のペプチドであるサブスタンスPに対する高い親和性のRNA核酸リガンドが同定された。
【0093】
ヌクレアーゼおよび加水分解に対して耐性であるオリゴヌクレオチド集団を生成するために、改変されたオリゴヌクレオチドを用いてもよいし、1つ以上の置換ヌクレオチド間連結、変更された糖、変更された塩基、またはそれらの組み合わせを含み得る。一つの実施形態では、P(O)O基がP(O)S(「チオエート(thioate)」)、P(S)S(「ジチオエート(dithioate)」)、P(O)NR2(「アミデート(amidate)」)、P(O)R、R(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール(formacetal)」)または3’−アミン(−NH−CH2−CH2−)で置換されているオリゴヌクレオチドが提供されるが、ここで各々のRまたはR’は独立して、Hであるか、または置換されているか、または置換されていないアルキルである。連結基は、−O−、−N−または−S−連結を通じて隣接するヌクレオチドに結合され得る。同定されるためにオリゴヌクレオチド中の全ての連結が必要であるわけではない。
【0094】
核酸アプタマー分子は一般に、5〜20サイクルの手順で選択される。一つの実施形態では、異質性は、最初の選択段階でのみ導入され、そして複製プロセス全体を通じては生じない。
【0095】
DNA合成の出発ライブラリーは、DNAシンセサイザーでの自動的な化学合成によって生成される。配列のこのライブラリーを、T7 RNAポリメラーゼまたは改変されたT7 RNAポリメラーゼを用いてインビトロでRNAに転写して、そして精製する。一つの実施形態では、5’固定:ランダム:3’固定配列は、30〜50ヌクレオチドを有するランダムな配列を含む。
【0096】
本発明のアプタマーへの改変されたヌクレオチドの組み込みは、選択プロセスの前(プレ)(例えば、プレ−SELEXTMプロセス改変)に達成される。必要に応じて、改変されたヌクレオチドがプレ−SELEXTMプロセス改変によって組み込まれている本発明のアプタマーはさらに、ポスト−SELEXTMプロセス改変によって改変されてもよい(すなわち、プレ−SELEXTMプロセス改変後のポスト−SELEXTMプロセス改変)。プレ−SELEXTMプロセス改変によって、SELEXTM標的に特異性を有する改変された核酸リガンドが得られ、そしてまたインビボ安定性が改善される。ポスト−SELEXTMプロセス改変(例えば、プレ−SELEXTMプロセス改変によって組み込まれたヌクレオチドを有する、以前に同定されたリガンドの改変)によって、プレ−SELEXTMプロセス改変によって取り込まれたヌクレオチドを有する核酸リガンドの結合能力に有害に影響することなく、インビボ安定性のさらなる改善を得ることができる。
【0097】
(改変されたポリメラーゼ)
639位置でのチロシン残基がフェニルアラニンに変換されている単独変異体T7ポリメラーゼ(Y639F)は、基質として2’デオキシ、2’アミノ−、および2’フルオロ−ヌクレオチド三リン酸(NTP)を容易に利用して、種々の適用のための改変されたRNAを合成するために広範に用いられている。しかし、変異体T7ポリメラーゼは報告によれば、さらにバルキーな2’−置換、例えば、2’−O−メチル(2’OMe)または2’−アジド(2’−N3)置換を有するNTPを容易に利用(例えば、組み込み)できない。バルキーな2’置換の組み込みのために、Y639F変異に加えて、784位置のヒスチジンがアラニンまたは他の低分子アミノ酸残基に変化されている、二重T7ポリメラーゼ変異体(Y639F/H784A)は記載されており、そして改変されたピリミジンNTPを組み込むために用いられている。784位置のヒスチジンがアラニン残基に変化されている単独変異T7ポリメラーゼ(H784A)もまた記載されている。(Padillaら、Nucleic Acids Research,2002,30:138)。Y639F/H784A二重変異体およびH784A単独変異体T7ポリメラーゼの両方において、さらに小さいアミノ酸残基へ変化するほど、さらにバルキーなヌクレオチド基質、例えば、2’−Oメチル置換ヌクレオチドの組み込みが可能になる。
【0098】
本発明は、これら、および野生型ポリメラーゼよりも、2’位置フラノースでバルキーな置換を有する改変されたヌクレオチドの組み込み速度がさらに高い他の改変されたT7ポリメラーゼを用いるための方法および条件を提供する。一般には、本明細書において開示される条件下で、Y693F単独変異体は、GTPを除いて全ての2’−OMe置換NTPの組み込みのために用いることが可能であり、そしてY639F/H784A二重変異体は、GTPを含む全ての2’−OMe置換NTPの組み込みのために用いることが可能である。H784A単独変異体は、本明細書に開示される条件下で用いられる場合、類似の特性を保有することが期待される。
【0099】
本発明は、改変されたヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに酵素的に組み込むように改変されたT7ポリメラーゼのための方法および条件を提供する。このようなオリゴヌクレオチドは、改変されたヌクレオチドで全体に合成されてもよいし、改変されたヌクレオチドのサブセットで合成されてもよい。この改変は同じでも異なってもよい。全てのヌクレオチドが改変されてもよく、そして全てが同じ改変を含んでもよい。全てのヌクレオチドは改変されてもよいが、異なる改変を含んでもよく、例えば、同じ塩基を含む全てのヌクレオチドが1タイプの改変を有してもよく、一方他の塩基を含むヌクレオチドは異なるタイプの改変を有してもよい。全てのプリンヌクレオチドは、1タイプの改変を有してもよい(または未改変である)が、全てのピリミジンヌクレオチドは別の異なるタイプの改変を有する(または未改変である)。この方法では、転写物または転写物のライブラリーは、改変の任意の組み合わせ、例えば、リボヌクレオチド、(2’−OH、「rN」)、デオキシリボヌクレオチド(2’−デオキシ)、2’−Fおよび2’−OMeヌクレオチドを用いて生成される。2’−OMe CおよびUおよび2’−OH AおよびGを含む混合物は、「rRmY」と呼ばれる;デオキシAおよびGならびに2’−OMe UおよびCを含む混合物は、「dRmY」と呼ばれ;2’−OMe A、CおよびUならびに2’−OH Gを含む混合物は、「rGmH」と呼ばれる;2’−OMe A、C、UおよびGならびに2’−OMe A、UおよびCならびに2’−F Gを交互に含む混合物は、「トグル(toggle)」と呼ばれる;2’−OMe A、U、CおよびGを含む混合物であってGの最大10%がデオキシである混合物は「r/mGmH」と呼ばれ;2’−OMe A、UおよびCならびに2’−F Gを含む混合物は、「fGmH」と呼ばれ;そしてデオキシA、および2’−OMe C、GおよびUを含む混合物は「dAmB」と呼ばれる。
【0100】
好ましい実施形態は、2’−OH、2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組み合わせを含む。さらに好ましい実施形態は、2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組み合わせを含む。なおさらに好ましい実施形態は、ピリミジンが2’−OMeである2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組み合わせを用いる(例えば、dRmY、mNまたはdGmH)。
【0101】
(2’−改変SELEXTM)
本発明は、ポリメラーゼが2’改変NTPを受容する条件下で2’改変(例えば、2’−OMe)RNA転写物のライブラリーを生成する方法を提供する。好ましくは、ポリメラーゼはY693F/H784A二重変異体またはY693F単独変異体である。他のポリメラーゼ、特にバルキーな2’−置換に高い抵抗性を示すポリメラーゼはまた、本発明において用いられ得る。このようなポリメラーゼは、本明細書において開示される転写条件下で改変されたヌクレオチドを組み込む能力をアッセイすることによって、この能力についてスクリーニングし得る。本明細書で開示される方法において有用な転写条件については多数の要因が重要であることが決定されている。例えば、得られた転写物のうち少なくともおよそ最初の6残基が全てプリンであるようにリーダー配列がDNA転写テンプレートの5’末端で固定された配列の5’末端に取り込まれる場合、改変された転写物の収率の大きな増大が観察される。
【0102】
改変されたヌクレオチドを組み込む転写物を得るための別の重要な要因は、2’−OH GTPの存在または濃度である。転写物は2つの相に分割できる:第一の相は開始(initiation)であり、この間にNTPがGTP(または別の置換されたグアノシン)の3’−ヒドロキシル末端に付加されて、ジヌクレオチドが得られ、これが次いで約10〜12ヌクレオチドずつ伸長され、第二の相は伸長(elongation)であり、その間に転写が最初のおよそ10〜12ヌクレオチドの付加を超えて進行する。過剰の2’−OMe GTPを含む転写混合物に添加された少量の2’−OH GTPは、ポリメラーゼが2’−OH GTPを用いて転写を開始することを可能にするのに十分であるが、一旦転写物が伸長相に入れば、2’−OMeと2’−OH GTPとの間の識別の低下、および2’−OH GTPを超える過剰の2’−OMe GTPによって、主に2’−OMe GTPの取り込みが可能になる。
【0103】
転写物への2’−OMeの取り込みにおける別の重要な要因は、転写混合物における二価のマグネシウムおよびマンガンの両方の使用である。塩化マグネシウムおよび塩化マンガンの濃度の種々の組み合わせが、2’−O−メチル化転写物の収率に影響することが見出されており、塩化マグネシウムおよび塩化マンガンの最適の濃度は、複合二価金属イオンであるNTPの転写反応混合物における濃度に依存している。最大まで2’置換されたO−メチル化転写物の最大収率を得るために(すなわち、全てのA、CおよびUならびにGヌクレオチドの約90%)、各々のNTPが0.5mMの濃度で存在する場合、約5mMの塩化マグネシウムおよび1.5mMの塩化マグネシウムの濃度が好ましい。各々のNTPの濃度が1.0mMである場合、約6.5mMの塩化マグネシウム濃度および2.0mMの塩化マグネシウム濃度が好ましい。各々のNTPの濃度が2.0mMである場合、約9.6mM の塩化マグネシウム濃度および2.9mMの塩化マグネシウム濃度が好ましい。いずれの場合にも、これらの濃度から最大2倍までの逸脱であれば有意な量の改変された転写物が得られる。
【0104】
GMPまたはグアノシンでの転写のプライミングも重要である。この効果は、開始ヌクレオチドのポリメラーゼの特異性から生じる。結果として、この方式で生成された任意の転写物の5’末端ヌクレオチドは、2’−OH Gである可能性が高い。GMP(またはグアノシン)の好ましい濃度は、0.5mMであり、さらに好ましくは1mMである。転写反応物のPEG、好ましくはPEG−8000を含むことが改変されたヌクレオチドの取り込みを最大化するために有用であることも見出されている。
【0105】
転写物中への2’−OMe ATP(100%)、UTP(100%)、CTP(100%)およびGTP(約90%)の取り込みを最大化するために(「r/mGmH」)、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、TritonX−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が1.0mMである場合、6.5mM)、MnCl2 1.5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が1.0mMである場合、2.0mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(さらに好ましくは、1.0mM)、2’−OH GTP 30μM、2’−OH GMP 500μM、pH7.5、Y639F/H784A T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。本明細書において用いる場合、1単位のY639F/H784A変異体T7 RNAポリメラーゼ、または本明細書において特定される任意の他の変異体T7 RNAポリメラーゼ)とは、r/mGmH条件のもとで、転写物に1ナノモルの2’−OMe NTPを組み込むことが必要な酵素の量として規定される。本明細書において用いる場合、1単位の無機ピロホスファターゼとは、pH7.2で25℃において1分あたり1.0モルの無機オルトリン酸塩を遊離する酵素の量として規定される。
転写物への2’−OMe ATP、UTPおよびCTP(「rGmH」)の最大組み込み(100%)のためには、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合、9.6mM)、MnCl2 1.5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合、2.9mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(さらに好ましくは、2.0mM)、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。
転写物への2’−OMe UTPおよびCTP(「rRmY」)の最大組み込み(100%)のためには、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合、9.6mM)、MnCl2 1.5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合、2.9mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(さらに好ましくは、2.0mM)、pH 7.5、Y639F/H784 T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。
転写物へのデオキシATPおよびGTPおよび2’−OMe UTPおよびCTP(「dRmY」)の最大組み込み(100%)のためには、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、2’−OMe NTP(各々)2.0mM、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。
転写物への2’−OMe ATP、UTPおよびCTPおよび2’−F GTP(「fGmH」)の最大組み込み(100%)のためには、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、2’−OMe NTP(各々)2.0mM、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。
転写物へのデオキシ ATPおよび2’−OMe UTP、GTPおよびCTP(「dAmB」)の最大組み込み(100%)のためには、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、2’−OMe NTP(各々)2.0mM、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。
【0106】
上記の各々について、(1)転写は好ましくは、約30℃から約45℃の温度で少なくとも2時間行い、そして(2)50〜300nMの二本鎖DNA転写テンプレートを用いる(200nmのテンプレートを1回目に用いて多様性を増大し(300nmのテンプレートをdRmY転写物に用いた)、その後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の約50nMの、1/10希釈を用いた)。好ましいDNA転写テンプレートは、以下に記載する(ここではARC254およびARC256は全て2’−OMe条件下で転写し、ARC255はrRmY条件下で転写する)。
ARC254:
5’−CATCGATGCTAGTCGTAACGATCCNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号1)
ARC255:
5’−CATGCATCGCGACTGACTAGCCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号2)
ARC256:
5’−CATCGATCGATCGATCGACAGCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号453)
本発明のrN転写条件下で、転写反応混合物は2’−OHアデノシン三リン酸(ATP)、2’−OHグアノシン三リン酸(GTP)、2’−OHシチジン三リン酸(CTP)、および2’−OHウリジン三リン酸(UTP)を含む。本発明のrN転写混合物を用いて生成された改変されたオリゴヌクレオチドは、実質的に2’−OHアデノシン、2’−OHグアノシン、2’−OH−シチジンおよび2’−OHウリジン全てを含む。rN転写物の好ましい実施形態では、得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OH−シチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHである配列を含む。rN転写物のさらに好ましい実施形態では、本発明のこの得られた改変されたオリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHウリジンである配列を含む。rN転写物の最も好ましい実施形態では、本発明の改変されたオリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−OHシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−OHウリジンである配列を含む。
【0107】
本発明のrRmY転写条件下で、転写反応混合物は2’−OHアデノシン三リン酸、2’−OHグアノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、および2’−O−メチルウリジン三リン酸を含む。本発明のrRmY転写混合物を用いて生成された改変されたオリゴヌクレオチドは、実質的に2’−OHアデノシン、2’−OHグアノシン、2’−O−メチルシチジンおよび2’−O−メチルウリジン全てを含む。好ましい実施形態では、得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。最も好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。
【0108】
本発明のdRmY転写条件下で、転写反応混合物は2’−デオキシプリン三リン酸、および2’−O−メチルピリミジン三リン酸を含む。本発明のdRmY転写条件を用いて生成された改変されたオリゴヌクレオチドは、実質的に2’−デオキシプリンおよび2’−O−メチルピリミジン全てを含む。好ましい実施形態では、本発明の得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシプリンであり、そして全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルピリミジンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、本発明の得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシプリンであり、そして全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルピリミジンである配列を含む。最も好ましい実施形態では、本発明の得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのプリンヌクレオチドの100%が2’−デオキシプリンであり、全てのピリミジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルピリミジンである配列を含む。
【0109】
本発明のrGmH転写条件下で、転写反応混合物は2’−OHグアノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、2’−O−メチルウリジン三リン酸および2’−O−メチルアデノシン三リン酸を含む。本発明のrGmH転写混合物を用いて生成された改変されたオリゴヌクレオチドは、実質的に2’−OHグアノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルウリジンおよび2’−O−メチルアデノシンを全て含む。好ましい実施形態では、得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、そして全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、そして全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンである配列を含む。最も好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンである配列を含む。
【0110】
本発明のr/mGmH転写条件下で、転写反応混合物は2’−O−メチルアデノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、2’−O−メチルグアノシン三リン酸、2’−O−メチルウリジン三リン酸およびデオキシグアノシン三リン酸を含む。本発明のr/mGmH転写混合物を用いて生成された得られた改変オリゴヌクレオチドは、実質的に2’−O−メチルアデノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルグアノシン、および2’−O−メチルウリジンを全て含み、ここでグアノシンヌクレオチドの集団は、最大約10%のデオキシグアノシンを有する。好ましい実施形態では、本発明の得られたr/mGmH改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドのわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、そして全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列を含む。最も好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの90%が2’−O−メチルグアノシンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドのわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列を含む。
【0111】
本発明のfGmH転写条件下で、転写反応混合物は2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−Fグアノシン三リン酸を含む。本発明のfGmH転写条件を用いて生成された改変オリゴヌクレオチドは、実質的に2’−O−メチルアデノシン、2’−O−メチルウリジン、2’−O−メチルシチジン、および2’−F−グアノシンを全て含む。好ましい実施形態では、得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−Fグアノシンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−F−グアノシンである配列を含む。この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−Fグアノシンである配列を含む。
【0112】
本発明のdAmB転写条件下で、転写反応混合物は2’−デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、2’−O−メチルグアノシン三リン酸(GTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)を含む。本発明のdAmB転写混合物を用いて生成された改変オリゴヌクレオチドは、実質的に2’−デオキシアデノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルグアノシン、および2’−O−メチルウリジンを全て含む。好ましい実施形態では、得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。最も好ましい実施形態では、本発明のこの得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルグアノシンであり、そして全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。
【0113】
各々の場合に、次いで転写産物をSELEXTMプロセスにおけるライブラリーとして用いて、アプタマーを同定するか、および/または所定の標的に対して結合特異性を有する配列の保存的モチーフを決定することができる。得られた配列は既に安定化されており、これによって、安定化されたアプタマー配列に達するためにこのプロセスからこの工程を排除して、結果としてさらに高度に安定化されたアプタマーを得る。2’−OMe SELEXTMプロセスの別の利点は、得られた配列が必要な2’−OHヌクレオチドを配列中にほとんど有さず、おそらくはないと思われることである。
【0114】
以下に記載するとおり、上記の最適化条件以外の条件下でも2’−OMe置換ヌクレオチドを完全に組み込む転写物のさらに低いが依然として有用な収率を得ることができる。例えば、上記の転写条件に対応するバリエーションとしては以下が挙げられる:
HEPES緩衝液の濃度は、0〜1Mに及んでもよい。本発明はまた、pKaが5〜10の間である他の緩衝剤、例えば、限定はしないがTris(ヒドロキシメチル)アミノメタンの使用を考慮する。
【0115】
DTT濃度は、0〜400mMに及んでもよい。本発明の方法はまた、他の還元剤、例えば、限定はしないがメルカプトエタノールの使用を提供する。
【0116】
スペルミジンおよび/またはスペルミンの濃度は、0〜20mMの範囲に及んでもよい。
【0117】
PEG−8000濃度は、0〜50%(w/v)にわたってもよい。本発明の方法はまた、他の親水性ポリマー、例えば、限定はしないが、他の分子量のPEGまたは他のポリアルキレングリコールの使用を提供する。
【0118】
Triton X−100の濃度は、0〜0.1%(w/v)にわたってもよい。本発明の方法はまた、他の非イオン性界面活性剤、例えば、限定はしないが他のTriton−X界面活性剤を含む、他の界面活性剤の使用を提供する。
【0119】
MgCl2の濃度は、0.5mM〜50mMにわたってもよい。MnCl2の濃度は、0.15mM〜15mMにわたってもよい。MgCl2もMnCl2も両方とも記載の範囲内で存在しなければならず、そして好ましい実施形態では、MgCl2:MnCl2の比は約10〜約3であり、好ましくはこの比は約3〜5、さらに好ましくは、この比は約3〜約4である。
【0120】
2’−OMe NTPの濃度(各々のNTP)は、5μM〜5mMにわたってもよい。
【0121】
2’−OH GTPの濃度は、0μM〜300μMにわたってもよい。
【0122】
2’−OH GMPの濃度は、0〜5mMにわたってもよい。
【0123】
pHは、pH6からpH9にわたってもよい。本発明の方法は、改変ヌクレオチドを組み込むほとんどのポリメラーゼの活性のpH範囲内で実施され得る。
【0124】
さらに、本発明の方法は、転写反応条件においてキレート剤、例えば、限定はしないが、EDTA、EGTAおよびDTTの必要に応じた使用を行なう。
【0125】
(薬学的組成物)
本発明はまた、本明細書に記載のアプタマー分子を含む薬学的組成物を包含する。ある実施形態では、この組成物は、内部使用に適切であり、有効量の薬理学的に活性な本発明の化合物を単独で、または1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む。この化合物は、もしあればそれが極めて低い毒性を有する場合に特に有用である。
【0126】
本発明の組成物は、疾患もしくは障害のような病理を処置もしくは予防するために、または患者においてこのような疾患もしくは障害の症状を緩和するために有用であり得る。本発明の組成物は、アプタマーが特異的に結合する標的に関連するか、もしくはそのような標的に由来する疾患もしくは障害に罹患したか、またはそのような素因のある被験体に対する投与のために有用である。
【0127】
例えば、標的は、病理に関与するタンパク質であり、例えば標的タンパク質は病理を引き起こす。
【0128】
本発明の組成物は、病理を有する患者を処置するための方法において用いられ得る。この方法は、この患者に対して、病理に関与する標的(例えば、タンパク質)に結合するアプタマーを含む組成物を投与し、その結果、この標的に対する組成物の結合がこの標的の生物学的機能を変更して、それによってこの病理を処置する工程を包含する。
【0129】
ある病理を有する患者、例えば、本発明の方法によって処置される患者は、哺乳動物、さらに具体的にはヒトであり得る。
【0130】
実際には、この組成物またはその薬学的に受容可能な塩を、その所望の生物学的活性を発揮するのに十分である量で投与する。
【0131】
例えば、錠剤またはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態での経口投与のためには、活性な薬物組成物を、経口の、非毒性の薬学的に受容可能な不活性キャリア、例えば、エタノール、グリコール、水などと合わせてもよい。さらに、所望であるかまたは必要である場合、適切な結合剤、潤滑剤、崩壊剤および着色剤もこの混合物に組み込んでもよい。適切な結合剤としては、デンプン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン、天然の糖、例えば、グルコースまたはβラクトース、コーン甘味料、天然および合成のゴム、例えば、アカシアゴム、トラガカントゴムまたはアルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの投薬形態で用いられる潤滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、シリカ、滑石粉(タルカム)、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩、および/またはポリエチレングリコールなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定はしないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムデンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物などが挙げられる。希釈物としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、および/またはグリシンが挙げられる。
【0132】
注射用組成物は好ましくは、水溶性等張性溶液または懸濁液であり、そして坐剤は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から調製するのが有利である。この組成物は、滅菌されてもよいし、そして/またはアジュバント、例えば、浸透圧および/または緩衝液を調製するための防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶液促進因子(solution promoter)、塩を含んでもよい。さらに、それらの組成物はまた、他の治療上有用な物質を含んでもよい。この組成物は、それぞれ、従来の混合、顆粒化またはコーティングの方法に従って調製され、そして約0.1〜75%、好ましくは約1〜50%の活性成分を含む。
【0133】
本発明の化合物はまた、このような経口投薬形態において、時限性放出および徐放性の錠剤またはカプセル、丸剤、散剤、顆粒、エリキシル、チンキ剤、懸濁物、シロップおよびエマルジョンとして投与されてもよい。
【0134】
液体、特に注射可能な組成物は、例えば、溶解、分散などによって調製され得る。活性化合物は、例えば、水、生理食塩水、水溶性デキストロース、グリセロール、エタノールなどのような薬学的に純粋な溶媒中に溶解するか、またはそれらの純粋な溶媒と混合し、これによって注射可能な溶液または懸濁液を形成する。さらに、注射前に液体に溶解するのに適切な固体型を処方してもよい。注射可能な組成物は好ましくは、水溶性の等張性溶液または懸濁液である。この組成物は、滅菌されてもよいし、そして/またはアジュバント、例えば、浸透圧および/または緩衝液を調節するための防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶液促進因子、塩を含んでもよい。さらに、それらの組成物はまた、他の治療上有用な物質を含んでもよい。
【0135】
本発明の化合物は、全てが製薬業界の当業者に周知の形態を用いる、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内の形態で投与され得る。注射剤は、従来の形態で、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製され得る。
【0136】
非経口注射剤投与は一般に、皮下、筋肉内または静脈内注射および注入のために用いられる。さらに、非経口投与のための1アプローチは、徐放性(slow−release)または持続放出(sustained−released)のシステムの移植を使用し、これによって、本明細書に参考として援用される米国特許第3,710,795号に従い、一定レベルの投与量を維持することを確実にする。
【0137】
さらに、本発明に好ましい化合物は、適切な経鼻ビヒクルの局所使用を介して、経鼻形態で投与されても、または当業者に周知の経皮皮膚パッチの形態を用いて経皮経路を介して投与されてもよい。経皮送達システムの形態で投与するには、当然ながら、投与は、投薬レジメン全体にわたって間欠的ではなく連続的である。他の好ましい局所調製物としては、活性成分の濃度がw/wまたはw/vで0.01%〜15%にわたる、クリーム、軟膏、ローション、エアロゾルスプレーおよびゲルが挙げられる。
【0138】
固体組成物のためには、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石粉、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどを含む賦形剤を用いてもよい。上記の活性な化合物はまた、例えば、ポリアルキレングリコール、例えば、プロピレングリコールをキャリアとして用いる坐剤として処方されてもよい。ある実施形態では、坐剤は脂肪エマルジョンまたは懸濁物から調製することが有利である。
【0139】
本発明の化合物はまた、リポソーム送達系の形態、例えば、小型単層小胞体、大型単層小胞体および多層小胞体で投与されてもよい。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含む種々のリン脂質から形成され得る。ある実施形態では、米国特許第5,262,564号に記載のように、脂質成分のフィルムを薬物の水溶液で水和して、その薬物をカプセル化している脂質層を形成する。例えば、本明細書に記載されるアプタマー分子は、当該分野で公知の方法を用いて構築された親油性化合物または非免疫原性の高分子量化合物との複合体として提供され得る。核酸会合複合体の例は、米国特許第6,011,020号に提供される。
【0140】
本発明の化合物はまた、標的可能な薬物キャリアとして可溶性ポリマーとカップリングされ得る。このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピル−メタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパナミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを挙げることができる。さらに、本発明の化合物は、薬物の制御された放出を得るのに有用なクラスの生分解性ポリマー、例えば、ポリ酢酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋されるかまたは両親媒性ブロックコポリマーにカップリングされてもよい。
【0141】
必要に応じて、投与されるべき薬学的組成物はまた、少量の非毒性の補助物質、例えば、保湿剤または乳化剤、pH緩衝剤、および例えば酢酸ナトリウム、トリエタノールアミン、オレイン酸塩のような他の物質を含んでもよい。
【0142】
この化合物を利用する投薬レジメンは、患者のタイプ、人種、年齢、体重、性別および医学的状態;処置されるべき状態の重篤度;投与の経路;患者の腎機能および肝機能;ならびに使用される特定の化合物またはその塩を含む種々の要因に従って選択される。通常の習熟した医師または獣医師は、この状態の進行を防止、対応または停止するのに必要な薬物の有効量を容易に決定および処方できる。
【0143】
本発明の経口投薬は、示した効果のために用いる場合、経口で約0.05〜1000mg/日にわたる。組成物は好ましくは、0.5mg、1.0mg、2.5mg、5.0mg、10.0mg、15.0mg、25.0mg、50.0mg、100.0mg、250.0mg、500.0mgおよび1000.0mgの活性成分を含むスコア付けされた錠剤の形態で提供される。本発明の化合物の有効な血漿レベルは、1日あたり体重1kgあたり0.002mg〜50mgにおよぶ。
【0144】
本発明の化合物は、1日1回の用量で投与されてもよいし、または総1日投薬量は、1日に2回、3回または4回の分割用量で投与されてもよい。
【0145】
本明細書に引用される全ての刊行物および特許文書は、そのような刊行物または文書の各々が、参考として本明細書に援用されるように詳細に、かつ個々に示されるかのように、本明細書に援用される。刊行物および特許文書の引用は、先行技術に関係することの承認と解釈されるべきではなく、その内容または日付についての承認であることもない。
【0146】
本発明は、書面の説明によってここに記載しているが、当業者は、本発明が種々の実施形態において実行可能であること、ならびに前述の説明および以下の実施例が例示の目的であって、添付の特許請求の範囲の制限ではないことを理解する。
【実施例】
【0147】
(実施例)
(実施例1 トロンビンおよびVEGF標的に対する2’−OMe SELEXTM)
約3×1014個の特有の転写テンプレートのライブラリーは、各々が30個連続するヌクレオチドのランダムな領域を含むが、これは、以下に記載のように合成して、PCR増幅した。このライブラリーのクローニングおよび配列決定によって、このライブラリーにおけるランダムな領域の組成が各々のヌクレオチドの約25%であることが実証された。DNAライブラリーをゲル濾過およびエタノール沈殿によって、未取り込みのdNTPから精製した。次いで、改変された転写物を、500μMの各々の4つの2’−OMe NTP、すなわち、A、C、UおよびG、ならびに30μMの2’−OH GTPを含む混合物から生成した(「r/mGmH」)。さらに、改変された転写物は、部分改変されたヌクレオチドおよび部分リボヌクレオチドまたは全てのリボヌクレオチドを含む混合物、すなわち、全ての2’−OHヌクレオチド(rN)を含む混合物;2’−OMe CおよびUおよび2’−OH AおよびGを含む混合物(rRmY);2’−OMe A、CおよびU、ならびに2’−OH Gを含む混合物(rGmH);ならびに交互に2’−OMe A、C、UおよびGならびに2’−OMe A、UおよびCおよび2’−FGを含む混合物(「トグル(toggle)」);から生成した。次いで、これらの改変された転写物を、標的例えば、VEGFおよびトロンビンに対してSELEXTMにおいて用いた。
【0148】
一般には、ゲル精製およびDNase処理の後、これらの改変された転写物を、VEGFについてはPBSに、またはトロンビンについては1×ASB(150mM KCl、20mM HEPES、10mM MgCl2、1mM DTT、0.05% Tween20、pH7.4)に溶解して、疎水性マスチウェルプレートの空のウェル中で1時間インキュベートして、プラスチック結合配列を取り除く。次いで、VEGFについてはPBSにおいて、またはトロンビンについてはASBND(150mM KCl、20mM HEPES、10mM MgCl2、1mM DTT、pH7.4)中において室温で、事前に1時間インキュベートしておいたウェルにこの上清を移した。1時間のインキュベーション後、このウェルを洗浄して、結合した配列をサーモスクリプト(thermoscript)逆転写酵素(Invitrogen)を用いてインサイチュで1時間65℃で逆転写した。次いで、得られたcDNAをPCR増幅して、ゲル濾過によってdNTPから分離して、これを用いて次回の選択への入力のための改変された転写物を生成した。10回の選択および増幅の後、VEGFまたはトロンビンに対して得られたライブラリーが結合する能力を、Dot−Blotによって評価した。この時点で、ライブラリーをクローニングして、配列決定し、そして個々のクローンをVEGFまたはトロンビンに対する結合能力についてアッセイした。配列およびクローンの結合データのこの組み合わせを用いて、配列モチーフを同定した。
【0149】
r/mGmHおよびトグル選択の両方に共通する、ARC224によって例示される1つのVEGFアプタマーモチーフを用いて、さらに小さい合成構築物を設計して、この構築物のVEGFに対する結合についてもアッセイして、VEGFに対して最終的に最小化されたアプタマーである、両方が23ヌクレオチド長であるARC245およびARC259を同定した。全ての2’−OMe選択に共通する、ARC226によって例示される別のVEGFアプタマーモチーフも同定した。本発明の方法によって生成したARC224アプタマーは、配列
5’−mCmGmAmUmAmUmGmCmAmGmUmUmUmGmAmGmAmAmGmUmCmGmCmGmCmAmUmUmCmG−3T(配列番号184)であって、「m」は2’−O−メチル置換である、配列を有する。
【0150】
ARC226アプタマーは、配列:
5−mGmAmUmCmAmUmGmCmAmUGmUmGmGmAmUmCmGmCmGmGmAmUmC−[3T]−3’(配列番号186)を有する。
【0151】
ARC245アプタマーは、配列:
5’−mAmUmGmCmAmGmUmUmUmGmAmGmAmAmGmUmCmGmCmGmCmAmU−[3T]−3’(配列番号187)を有する。
【0152】
ARC259アプタマーは配列:
5’−mAmCmGmCmAmGmUmUmUmGmAmGmAmAmGmUmCmGmCmGmCmGMu−[3T]−3’(配列番号188)を有する。
【0153】
図3Aは、ARC224、ARC245およびARC259によるVEGF結合のグラフである。これらのアプタマーの二次構造の模式図を、図3Bに提示する。
【0154】
ARC224、ARC226およびARC245における全ての残基は、2’−OMeであり、そして全ての構築物(最初にSELEXTMによって同定された)は、固相化学合成によって生成した。PBS中のドットブロットによって決定したこれらのアプタマーのKD値は以下のとおりである:ARC224 3.9nM、ARC245 2.1nM、ARC259 1.4nM。
【0155】
(試薬)他に示さない限り、全ての試薬をSigma(St.Louis,MO)から入手した。
【0156】
(オリゴヌクレオチド合成)Expedite 8909DNAシンセサイザー(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて標準的なプロトコールによって、DNA合成を行なった。本研究において用いたDNAライブラリーは、以下の配列:ARC254:5’−CATCGATGCTAGTCGTAACGATCCNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号1)を有するが、ここで各々のNは、4つのヌクレオチドの各々である可能性が等しい。2’−OHヌクレオチドを含む、2’−OMe RNAの合成は、3900 DNA Synthesizer(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて標準的プロトコールに従って行なった。PCRおよびRTプライマーを除いてPAGEを変性することによって、全てのオリゴヌクレオチドを精製した。
【0157】
(2’−OMeライブラリーの生成)合成DNAライブラリー(1.5nmol)を以下のプライマーを用いる標準的な条件下でPCRによって増幅した:3’プライマー5’−CATCGATGCTAGTCGTAACGATCC−3’(配列番号454)および5’プライマー5’−TAATACGACTCACTATAGGGAGAGGAGAGAAACGTTCTCG−3’(配列番号455)。二本鎖転写テンプレートの得られたライブラリーを沈殿させて、ゲル濾過によって未取り込みのヌクレオチドから分離した。熱によっても、低塩条件への曝露によっても、どの時点でもライブラリーの変性はなかった。以下の条件:二本鎖DNAテンプレート200nM、HEPES 200mM、DTT 40mM、Triton X−100 0.01%スペルミジン、2mM 2’−O−メチル ATP、CTP、GTPおよびUTP 500μM各々、2’−OH GTP 30μM、GMP 500μM、MgCl2 5.0mM、MnCl2 1.5mM 無機ピロホスファターゼ0.5単位を反応物100μLあたり、Y639F/H784A T7 RNAポリメラーゼ 1.5単位を反応物pH7.5 100μlあたり、そして10% w/v PEGでr/mGmH転写を行ない、1回目の選択についてのテンプレートを生成し、そして37℃で一晩インキュベートした。得られた転写物を変性10%PSGEによって精製して、ゲルから溶出し、RQ1 DNase(Promega,Madison WI)、とともにインキュベートし、フェノール抽出し、クロロホルム抽出し、沈殿して、PBS中に採った。選択の開始のために、2’−OMe RNAの直接化学合成によって転写物をさらに生成して、これらを変性10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって精製して、ゲルから溶出し、PBS中に採った。
【0158】
rN、rRmYおよびrGmH転写物について、転写条件は以下のとおりであった、ここで1×Tc緩衝液は:200mM HEPES、40mM DTT、2mM スペルミジン、0.01% Triton X−100、pH7.5である。
【0159】
2’−OH A、C、UおよびG(rN)条件を用いる場合、転写反応条件は、MgCl2 25mM、各NTP 5mM、1× Tc緩衝液、10% w/v PEG、T7 RNAポリメラーゼ1.5単位、および50〜200nM二本鎖テンプレート(200nMのテンプレートを1回目に用いて多様性を増大し、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の約50nMの、1/10希釈を用いた)。
【0160】
2’−OMe CおよびUおよび2’−OH AおよびG(rRmY)条件を用いる場合、転写反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜200nM二本鎖テンプレート(200nMのテンプレートを1回目に用いて多様性を増大し、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化した約50nMの、PCR反応物の1/10希釈を用いた)、5.0mM MgCl2、1.5mM、MnCl2、0.5mMの各々の塩基、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F/H784A T7 RNAポリメラーゼであった。
【0161】
2’−OMe A、CおよびUおよび2’−OH G(rGmH)条件を用いる場合、転写反応条件は、100μlの容積中において、1×Tc緩衝液、50〜200nM二本鎖DNAテンプレート(200nMのテンプレートを1回目に用いて多様性を増大し、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の約50nM、1/10希釈を用いた)、5.0mM MgCl2、1.5mM、MnCl2、0.5mMの各々の塩基、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 T7 RNAポリメラーゼであった。
【0162】
2’−OMe A、C、Uおよび2’−F G条件を用いる場合、転写反応条件は、0.5mM 2’−F GTPを2’−OH GTPの代わりに用いること以外は、rGmHと同様であった。
【0163】
(逆転写)SELEXTMの間に用いる逆転写条件は以下のとおりである(100μLの反応容積):1×Thermo緩衝液(Invitrogen)、4μMのプライマー、10mM DTT、0.2mMの各々のdNTP、200μMのバナジウム酸塩ヌクレオチドインヒビター、10μg/ml tRNA、Thermoscript RT酵素1.5単位(Invitrogen)。逆転写反応の収率は、2’OMeテンプレートについては低い。PCR反応条件は、以下のとおりである:1×ThermoPol緩衝液(NEB)、0.5μM 5’プライマー、0.5μM 3’プライマー0.2mMの各々のDHTP、Taq DNAポリメラーゼ5単位(NEB)。
【0164】
(2’−OMe SELEXTMプロトコール)上述のとおり、全部で10の選択について5種の転写物を用いて、2つの標的(VEGFおよびトロンビン)の各々に対する改変された転写物でSELEXTMを行なった。5種の転写物は:「rN」(全て2’−OH)、「rRmY」(2’−OH A、G、2’−OMe C、U)、「rGmH」(2’OH G、2’−OMe C、U、A)、「r/mGmH」(2’−OMe A、U、G、C 500μM、2’−OH G 30μM)、「トグル」(あるいは、「r/mGmH」および2’−OMe A、U、C、2’−F G)であった。
【0165】
VEGFに対する選択の全てによって、VEGF特異的アプタマーを生成したが、トロンビンに対するrNおよびrRmY選択のみでは、トロンビン特異的アプタマーが生成された。これらの選択において同定されたアプタマー配列を以下の表1〜5(VEGF)および表6〜10(トロンビン)に示す。
【0166】
この配列は、トロンビンの「rGmH」、「r/mGmH」および「トグル」は5回目から、VEGF「r/mGmH」は10回目から、そしてVEGF「トグル」は8回目からであることを除けば、SELEXTMの11回目由来である。
【0167】
「NUNC MAXY」プレートに対する疎水性吸着によってタンパク質を最初に固定すること、結合しなかったタンパク質を洗い流すこと、2’−OMe置換転写物のライブラリーを固定されたタンパク質とともにインキュベートすること、結合しなかった転写物を洗い流すこと、プレート中でRTを直接実施すること、その後のPCR、およびその後得られた二本鎖DNAテンプレートを適切な転写条件下で転写することによって、選択を行なった。
【0168】
シラン処理したウェル中で種々のタンパク質濃度とともにインキュベートした微量の32Pで本体標識した転写物を用いて、結合アッセイを行ない、ついでこれらをナイロン膜上のニトロセルロース膜のサンドイッチを通過させた。タンパク質結合RNAはNC膜上で可視化され、未結合のRNAはナイロン膜上で可視化される。次いで、結合割合を用いて親和性を算出する(図4、5および6を参照のこと)。例えば、ARC224(全て2−OMe)の種々の2’−OH G改変体の結合特徴は図4に示す。命名法「mGXG」とは、5’末端から連続して番号付けした「X」位置における2’OMe Gについての2’−OH Gの置換を示す。従って、mG7G ARC224は、7位に2’−OHを有するARC224である。ARC225は、7位、10位、14位、16位、19位、22位および24位において2’−OMeから2’−OHへの置換を有するARC224である。全ての構築物(SELEXTMによって最初に同定した)は、固相化学合成によって生成した。これらのデータは、PBS中でのドット−ブロットによって生成した。完全に2’−OMeのアプタマーであるARC224は、研究したいずれの2’−OH置換改変体に比べても優れたVEGF結合特性を有する。
【0169】
図5は、VEGFに対するARC224およびARC225の結合のプロットである。このグラフによって、ARC224が、VEGFの生物学的機能を阻害する様式でVEGFに結合することが示される。125I標識VEGFをアプタマーとともにインキュベートし、次いでその混合物をヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)とともにインキュベートした。その上清を除去して、細胞を洗浄し、結合したVEGFをシンチレーションカウンターでカウントした。ARC225は、ARC224と同じ配列を有し、5’末端から番号付けした7、10、14、16、19、22および24位における2’−OMeから2’−OHへの置換を有する。これらのデータによって、ARC224のIC50が約2nMであることが示される。
【0170】
図6は、EDTAの有無によるオートクレーブの前後のVEGFに対するARC224結合の結合曲線プロットである。図6は、125℃のピーク温度で25分のオートクレーブの前後の、機能的であるアプタマーの割合およびVEGFに対する結合のIC50の両方を示す。これらのデータは、PBS中のドットブロットによって測定した、PBS中の1nM VEGFに対する5’標識ARC224の結合の未標識のARC224による阻害によって決定した。示される場合、サンプルは1mM EDTAを含んだ。全ての構築物(最初にSELEXTMによって同定した)は、固相化学合成によって生成した。このアッセイの限界内ではARC224の分解を観察しなかった。
【0171】
分解研究によって、4日にわたる37℃で血漿中でのインキュベーションによって、半減期の測定ができないが少なくとも4日以上であるようなわずかな分解が誘導される(例えば、図7を参照のこと)。図7Aおよび図7Bは、ラット血漿において37℃でインキュベートした場合の、それぞれARC224およびARC226の安定性のプロットである。この図で示すとおり、ARC224およびACR226の両方がラット血漿において4日後、検出可能な分解を示さなかった。これらの実験では、5’標識したARC224およびARC226をラット血漿中で37℃でインキュベートして、変性PAGEによって分析した。全ての構築物(SELEXTMによって最初に同定した)を固相化学合成によって生成した。半減期は、100時間を超えると思われる。
【0172】
以下の表1〜表10は、示したとおり、種々のライブラリーから単離した転写されたアプタマー、すなわちrN、rRmY、rGmHおよびr/mGmHに相当するアプタマーのDNA配列を示す。アプタマーの配列は、示したDNA配列においてチミジン残基に代わってウリジン残基を有する。表11は、本発明の方法によって得られた安定化されたアプタマー配列を示す。本明細書において用いる場合、「3T」とは、5’位においてオリゴヌクレオチドホスホジエステル骨格に結合した逆位チミジンヌクレオチドをいい、この得られたオリゴは2つの5’−OH末端を有し、従って3’ヌクレアーゼに対して耐性である。
【0173】
他に言及しない限り、種々の表に列挙した個々の配列は、提供されたSELEX条件下で選択されたアプタマーのcDNAクローンである。本発明に提供される実際のアプタマーは、本明細書に示すとおり、rN、mN、rRmY、rGmH、r/mGmH、dRmYおよび残基のトグル組み合わせを含む配列に相当する配列である。
【0174】
(2’−OMe SELEXTMの結果)
(表1−VEGFアプタマー配列の対応するcDNA−全て2’−OH(rN))
【0175】
【表1−1】
【0176】
【表1−2】
(表2−VEGFアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OH AG、2’−OMe CU(rRmY))
【0177】
【表2−1】
【0178】
【表2−2】
(表3−VEGFアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OH G、2’−OMe CUA(rGmH))
【0179】
【表3−1】
【0180】
【表3−2】
(表4−VEGFアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OMe AUGC(r/mGmH、各々のGは、その中に2’−OMe基を組み込んでいる確率が90%である))
【0181】
【表4−1】
【0182】
【表4−2】
(表5−VEGFアプタマー配列の対応するcDNA−交互に「r/mGmH」および2’−OMe AUC、2’−F G(トグル))
【0183】
【表5−1】
【0184】
【表5−2】
(表6−トロンビンアプタマー配列の対応するcDNA−全て2’−OH(rN))
【0185】
【表6−1】
【0186】
【表6−2】
(表7−トロンビンアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OH AG、2’−OMe CU(rRmY))
【0187】
【表7−1】
【0188】
【表7−2】
(表8−トロンビンアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OH G、2’−OMe CUA(rGmH))
【0189】
【表8−1】
【0190】
【表8−2】
(表9−トロンビンアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OMe AUGC(r/mGmH、各々のGは、その中に2’−OMe基を組み込んでいる確率が90%である))
【0191】
【表9−1】
【0192】
【表9−2】
(表10−トロンビンアプタマー配列の対応するcDNA−交互に「r/mGmH」および2’−OMe AUC、2’−F G(トグル))
【0193】
【表10−1】
【0194】
【表10−2】
(表11−安定化されたアプタマー配列(各々のG残基は、2’−OMe基で置換されている確率が90%であり、「3T」とは、5’位においてホスホジエステル骨格に結合した逆位チミジンヌクレオチドをいい、この得られたオリゴは2つの5’−OH末端を有し、従って3’ヌクレアーゼに対して耐性である)
【0195】
【表11】
(実施例2 2’−OMe SELEXTM)
転写テンプレートのライブラリーを用いて、種々の条件下で2’−O−メチNTPを組み込んでいるRNAオリゴヌクレオチドのプールを生成した。転写テンプレート(ARC256)および転写条件は、rRmY(配列番号456)、rGmH(配列番号462)、r/mGmH(配列番号463)、およびdRmY(配列番号464)として以下に記載する。未改変のRNA転写物を配列番号468によって示す。
ARC256:DNA転写テンプレート
5’−CATCGATCGATCGATCGACAGCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号453)
ARC256 RNA転写産物は:
5’−GGGAGAGGAGAGAACGUUCUACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCUGUCGAUCGAUCGAUCGAUG−3’(配列番号468)である。
【0196】
転写条件は、1×Tc緩衝液が200mM HEPES、40mM DTT、2mMスペルミジン、0.01% Triton X−100、pH7.5であるように変更された。
【0197】
2’−OMe CおよびUおよび2’−OH AおよびG(rRmY)条件を用いる場合、転写反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜200nMの二本鎖テンプレート(200nmテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化した、約50nMの、PCR反応物の1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2、2.9mM MnCl2、2mMの各々の塩基、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F/H784A T7 RNAポリメラーゼであった。1単位のY639F/H784A T7 RNAポリメラーゼとは、r/mGmH条件下で転写物中に1ナノモルの2’−OMe NTPを取り込むのに必要な酵素の量として規定される。1単位の無機ピロホスファターゼとは、pH7.2で25℃において1分あたり1.0モルの無機オルトリン酸塩を遊離する酵素の量として規定される。
【0198】
2’−OMe A、CおよびUおよび2’−OH G(rGmH)条件を用いる場合、転写反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜200nM二本鎖DNAテンプレート(200nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2、2.9mM、MnCl2、2mMの各々の塩基、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 T7 RNAポリメラーゼであった。1単位のY639F変異 T7 RNAポリメラーゼとは、r/mGmH条件下で転写物中に1ナノモルの2’−OMe NTPを取り込むのに必要な酵素の量として規定する。
【0199】
全ての2’−OMeヌクレオチド(r/mGmH)の条件を用いる場合、反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜200nM二本鎖テンプレート(200nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)、6.5mM MgCl2、2mM MnCl2、1mMの各々の塩基、30μM GTP、1mM GMP、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F/H784A T7 RNAポリメラーゼであった。
【0200】
デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン(dRmY)条件を用いる場合、反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜300nM二本鎖テンプレート(300nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nM、1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2、2.9mM MnCl2、2mMの各々の塩基、30μM GTP、2mM スペルミジン、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 RNAポリメラーゼであった。
【0201】
次いで、これらのプールをSELEXTMにおいて用いて以下の標的に対するアプタマーを選択した:IgE、IL−23、PDGF−BB、トロンビンおよびVEGF。標的IL−23に対して結合する6、7、8回目のdRmYおよび未選択の配列のプロットを図14に示し、そして標的PDGF−BBに結合する6、7回目のdRmYおよび未選択の配列のプロットを図14に示す。
【0202】
(実施例3 IgEに対するアプタマーのdRmY SELEXTM)
完全に2’−OMe置換したオリゴヌクレオチドは、最も安定な改変アプタマーであるが、デオキシプリンヌクレオチドでのプリンの置換によっても安定な転写物が生じる。dRmY(デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン)転写条件を用いる場合、この産物は極めてDNase耐性であり、かつ安定な治療剤として有用である。この結果は驚くべきである。なぜならdRmY転写物の組成は、ほぼ50%DNAであり、周知のとおりヌクレアーゼによって容易に分解されるからである。また、dRmY転写条件を用いる場合、2’−OH GTPスパイクの必要はない。研究によって、改変されたヌクレオチドを有するほぼ同じ量のdRmY転写物が、2’−OH GTPドーピングで2’−OH GTPドーピングなしの場合と同様に生成されることが示されている。従って、dRmY転写条件下では、2’−OH GTPドーピングは任意である。転写テンプレートのライブラリーを用いて、種々の転写条件下で、2’−O−メチルピリミジンNTP(UおよびC)およびデオキシプリン(AおよびG)NTPを組み込むオリゴヌクレオチドのプールを生成した。転写テンプレート(ARC256)および転写条件はdRmYと同様に以下に記載する。
【0203】
ARC256:DNA転写テンプレート
5’−CATCGATCGATCGATCGACAGCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号453)
ARC256 dRmY RNA転写物は:
5’−GGGAGAGGAGAGAACGUUCUACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCUGUCGAUCGAUCGAUCGAUG−3’(配列番号464)である。
【0204】
デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン(dRmY)条件を用いる場合、反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜300nM二本鎖テンプレート(300nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2、2.9mM MnCl2、2mMの各々の塩基、30μM GTP、2mM スペルミジン、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 RNAポリメラーゼであった。
【0205】
次いで、これらのプールをSELEXTMにおいて用いて標的としてIgEに対するアプタマーを選択した。上記のようにSELEXTMの6回目の後に得た配列を以下の表12に列挙する。標的IgE濃度の増大に伴って結合した6回目の配列のプロットを図8に示す。
【0206】
(表12−IgEに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の対応するcDNA)
【0207】
【表12−1】
【0208】
【表12−2】
【0209】
【表12−3】
(実施例4 トロンビンに対するアプタマーのdRmY SELEXTM)
完全に2’−OMe置換したオリゴヌクレオチドは、最も安定な改変アプタマーであるが、デオキシプリンヌクレオチドでのプリンの置換によっても安定な転写物が生じる。dRmY(デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン)転写条件を用いる場合、この産物は極めてDNase耐性であり、かつ安定な転写物として有用である。この結果は驚くべきである。なぜならdRmY転写物の組成は、ほぼ50%DNAであり、周知のとおりヌクレアーゼによって容易に分解されるからである。また、dRmY転写条件を用いる場合、2’−OH GTPスパイクの必要はない。転写テンプレートのライブラリーを用いて、種々の転写条件下で、2’−O−メチルピリミジンNTP(UおよびC)およびデオキシプリン(AおよびG)NTPを組み込むオリゴヌクレオチドのプールを生成した。転写テンプレート(ARC256)および転写条件はdRmYと同様に以下に記載する。
【0210】
ARC256:DNA転写テンプレート
5’−dCATCGATCGATCGATCGACAGCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号453)
ARC256 dRmY RNA転写産物は:
5’GGGAGAGGAGAGAACGUUCUACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCUGUCGAUCGAUCGAUCGAUG−3’(配列番号464)である。
【0211】
デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン(dRmY)条件を用いる場合、反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜300nM二本鎖テンプレート(300nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2 2.9mM、MnCl2、2mMの各々の塩基、30μM GTP、2mM スペルミジン、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 RNAポリメラーゼであった。
【0212】
次いで、これらのプールをSELEXTMにおいて用いて標的としてトロンビンに対するアプタマーを選択した。上記のようにSELEXTMの6回目の後に得た配列を以下の表13に列挙する。標的トロンビンに結合した6回目の配列のプロットを図9に示す。
【0213】
(表13−トロンビンに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の対応するcDNA)
【0214】
【表13−1】
【0215】
【表13−2】
【0216】
【表13−3】
(実施例5 VEGFに対するアプタマーのdRmY SELEXTM)
完全に2’−OMe置換したオリゴヌクレオチドは、最も安定な改変アプタマーであるが、デオキシプリンヌクレオチドでのプリンの置換によっても安定な転写物が生じる。dRmY(デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン)転写条件を用いる場合、この産物は極めてDNase耐性であり、かつ安定な転写物として有用である。この結果は驚くべきである。なぜならdRmY転写物の組成は、ほぼ50%のDNA RNAであり、周知のとおりヌクレアーゼによって容易に分解されるからである。また、dRmY転写条件を用いる場合、2’−OH GTPスパイクの必要はない。転写テンプレートのライブラリーを用いて、種々の転写条件下で、2’−O−メチルピリミジンNTP(UおよびC)およびデオキシプリン(AおよびG)NTPを組み込むオリゴヌクレオチドのプールを生成した。転写テンプレート(ARC256)および転写条件はdRmYと同様に以下に記載する。
【0217】
ARC256:DNA転写テンプレート
5’−CATCGATCGATCGATCGACAGCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA(配列番号453)
ARC256 dRmY 転写産物は:
5’−GGGAGAGGAGAGAACGUUCUACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCUGUCGAUCGAUCGAUCGAUG−3’(配列番号464)である。
【0218】
デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン(dRmY)条件を用いる場合、反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜300nM二本鎖テンプレート(300nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2、2.9mM MnCl2、2mMの各々の塩基、30μM GTP、2mM スペルミジン、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 RNAポリメラーゼであった。
【0219】
次いで、これらのプールをSELEXTMにおいて用いて標的としてVEGFに対するアプタマーを選択した。上記のようにSELEXTMの6回目の後に得た配列を以下の表14に列挙する。標的VEGF濃度に結合した6回目の配列のプロットを図10に示す。
【0220】
(表14−VEGFに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の対応するcDNA)
【0221】
【表14−1】
【0222】
【表14−2】
(実施例6 2’−OMe NTP(mN)およびdRmYオリゴヌクレオチドの血漿安定性)
ポリエチレングリコールポリマー(PEG)に連結された2つの配列のオリゴヌクレオチドを2つのバージョンで合成した:(1)全て2’−OMe NTP(mN):5’−GGAGCAGCACC−3’(配列番号457)−[PEG]−GGUGCCAAGUCGUUGCUCC−3’(配列番号458)を有するバージョン、および(2)2’−OHプリン NTPおよび2’−OMeピリミジン(dRmY)GGAGCAGCACC−3’(配列番号465)−[PEG]−GGUGCCAAGUCGUUGCUCC−3’(配列番号466)を有するバージョン。これらのオリゴヌクレオチドを全長の安定性について評価した。図11Aは、3’idTを有する全部2’−OMeのオリゴヌクレオチドの分解プロットを示しており、そして図11Bは、dRmYオリゴヌクレオチドの分解プロットを示している。オリゴヌクレオチドを37℃で95%ラット血漿中において50nMでインキュベートして、各々について48時間よりかなり長い血漿半減期、そしてそれらが極めて類似の血漿安定性プロフィールを有することを示している。
【0223】
(実施例7 ヒトIL−23に対するrRmYおよびrGmH 2’−OMe SELEXTM)
2’−OMe C、Uおよび2’−OH G、A(rRmY)、ならびに2’−O−メチルA、CおよびUおよび2’−OH G(rGmH)を含むアプタマーを同定するために選択を行なった。全ての選択は、疎水性プレート上に固定されているヒトIL−23タンパク質標的に対する直接選択であった。選択によって、ナイーブな未選択のプールに対するh−IL−23結合について有意に富化されたプールを得た。h−IL−23についての個々のクローン配列を本明細書において報告しているが、個々のクローンについてのh−IL−23結合データは示していない。
【0224】
(プール調製)ABI EXPEDITETM DNAシンセサイザーを用いて配列5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCTGTCGATCGATCGATCGATG−3’(配列番号459)を有するDNAテンプレートを合成して、標準的な方法によって脱保護した。テンプレートは、プライマーPB.118.95.G:5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTAC−3’(配列番号460)およびSTC.104.102.A(5’−CATCGATCGATCGATCGACAGC−3’(配列番号461)を用いて増幅し、次いで、Y639F単独変異体T7 RNAポリメラーゼでのインビトロ転写のためのテンプレートとして用いた(200nmのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)。転写は、200mM HEPES、40mM DTT、2mM スペルミジン、0.01% TritonX−100、10% PEG−8000、5mM MgCl2、1.5mM MnCl2、500μM NTP、500μM GMP、0.01単位/μlの無機ピロホスファターゼおよびY639F単独変異T7ポリメラーゼを用いて行なった。2つの異なる組成物であるrRmYおよびrGmHを転写した。
【0225】
(選択)各々の回の選択は、100μLの1×ダルベッコPBS中において室温で2時間のNunc Maxisorp疎水性プレートの表面に対して20ピコモルのh−IL−23を固定することによって開始した。次いで、この上清を取り出して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液(1×DPBS、0.2% BSAおよび0.05% Tween−20)を用いて4回洗浄した。プールのRNAを3分間90℃に加熱して、10分間室温に冷却して再折り畳みした。1回目には、陽性の選択工程を行なった。要するに、プールのRNAの1×1014個の分子(0.2ナノモル)を、固定されたタンパク質標的とともにウェル中において100μLの結合緩衝液(1×DPBSおよび0.05% Tween−20)中で1時間インキュベートした。次いで、上清を回収して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液を用いて4回洗浄した。その後の回には陰性の選択工程を含んだ。プールRNAをまた、空のウェル中において室温で30分間インキュベートして、陽性選択工程の前にプールから可撓性の結合配列を除いた。ストリンジェンシーを増大するために、洗浄回数は4回目の後には増やした。全ての場合において、固定されたh−IL−23に結合したプールRNAを、RT混合物(3’プライマー、STC.104.102.AおよびThermoscript RT、Invitrogen)の添加、その後の65℃での1時間のインキュベートの後に、選択プレート中に直接、逆転写した。得られたcDNAをPCRのテンプレートとして用いた(Taqポリメラーゼ、New England Biolabs)60℃のアニーリング温度と組み合わせた「Hot start(ホットスタート)」PCR条件を用いて、プライマー−ダイマー形成を最小化した。製造業者の推奨する条件に従って、Centrisepカラムを用いて、増幅したプールのテンプレートDNAを脱塩して、次回の選択のためのプールRNAの転写をプログラムするために用いた。転写されたプールは、10%ポリアクリルアミドゲル上で毎回ゲル精製した。表15は、選択1回あたりに用いたRNAプールの濃度を示す。
【0226】
(表15−選択の1回あたりのRNAプールの濃度)
【0227】
【表15】
サンドイッチフィルター結合アッセイを用いて選択の進行をモニタリングした。5’−32P標識したプールのRNAを90℃で3分間再折り畳みして、室温に10分間冷却した。次に、プールRNA(微量)をh−IL−23 DPBSに0.1mg/ml tRNAを加えたものと一緒に30分間室温でインキュベートし、次いで、ドットブロット装置(Schleicher and Schuell)中でニトロセルロースおよびナイロンフィルターサンドイッチに加えた。ニトロセルロースに結合したプールのRNAの割合を算出して、ほぼ3回ごとにシングルポイントスクリーンを用いてモニターした(+/−250nM h−IL−23)。プールKD測定は、タンパク質の滴定および上記のようなドットブロット装置を用いて測定した。
【0228】
(選択)rRmY h−IL−23選択は、4回目の選択後、h−IL−23結合対ナイーブなプールについて富化された。選択ストリンジェンシーを増大して、選択は8回以上の回について継続した。9回目にプールのKDは約500nM以上であった。rGmH選択は10回目にナイーブなプール結合を超えて富化された。プールのKDはまた、約500nM以上である。TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてプールをクローニングして、個々の配列を生成した。図12によって、rGmHの10回目およびrRmYの12回目のプールについてのh−IL−23に対するプール結合データが示される。解離定数を評価して、式:結合したRNA画分=振幅*KD/(KD+[h−IL−23])に対してデータをあてはめた。表16は、rRmY選択の12回目について個々のクローン選択を示している。48個のクローンのうちに6つの複製配列の1群および2つの複数配列の4対が存在する。48個の全てのクローンを標識して、200mM h−IL−23に対する結合について試験する。表17は、rGmH選択の10回目の個々のクローン配列を示す。結合データを図14に示す。
【0229】
(表16.rRmY選択の12回目の個々のクローン配列の対応するcDNA)
【0230】
【表16−1】
【0231】
【表16−2】
(表17.rGmH選択の10回目の個々のクローン配列の対応するcDNA)
【0232】
【表17−1】
【0233】
【表17−2】
(実施例8 ヒトIgEに対するrRmY 2’−OMe SELEXTM)
2’−OMe C、Uおよび2’−OH G、A(rRmY)を含むアプタマーを同定するために選択を行なった。全ての選択は、疎水性プレート上に固定されていたヒトIgEタンパク質標的に対する直接選択であった。選択によって、ナイーブな未選択のプールに対するh−IgE結合について有意に富化されたプールを得た。h−IgEについての個々のクローン配列を本明細書において報告しているが、個々のクローンについてのh−IgE結合データは示していない。
【0234】
(プール調製)ABI EXPEDITETM DNAシンセサイザーを用いて配列5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCTGTCGATCGATCGATCGATG−3’(配列番号459)を有するDNAテンプレートを合成して、標準的な方法によって脱保護した。テンプレートは、プライマーPB.118.95.G:5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTAC−3’(配列番号460)およびSTC.104.102.A(5’−CATCGATCGATCGATCGACAGC−3’(配列番号461)を用いて増幅し、次いで、Y639F単独変異体T7 RNAポリメラーゼでのインビトロ転写のためのテンプレートとして用いた(200nmのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)。転写は、200mM HEPES、40mM DTT、2mM スペルミジン、0.01% TritonX−100、10% PEG−8000、5mM MgCl2、1.5mM、MnCl2 500μM NTP、500μM GMP、0.01単位/μlの無機ピロホスファターゼおよびY639F単独変異T7ポリメラーゼを用いて行なった。
【0235】
(選択)各々の回の選択は、100μLの1×ダルベッコPBS中において室温で2時間のNunc Maxisorp疎水性プレートの表面に対して20ピコモルのh−IgEを固定することによって開始した。次いで、この上清を取り出して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液(1×DPBS、0.2% BSAおよび0.05% Tween−20)を用いて4回洗浄した。プールのRNAを3分間90℃に加熱して、10分間室温に冷却して再折り畳みした。1回目には、陽性の選択工程を行なった。要するに、プールのRNAの1×1014個の分子(0.2モル)を、固定されたタンパク質標的とともにウェル中において100μLの結合緩衝液(1×DPBSおよび0.05% Tween−20)中で1時間インキュベートした。次いで、上清を回収して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液を用いて4回洗浄した。その後の回には陰性の選択工程を含んだ。プールRNAをまた、空のウェル中において室温で30分間インキュベートして、陽性選択工程の前にプールから可撓性の結合配列を除いた。ストリンジェンシーを増大するために、洗浄回数は4回目の後には増やした。全ての場合において、固定されたh−IgEに結合したプールRNAを、RT混合物(3’プライマー、STC.104.102.AおよびThermoscript RT、Invitrogen)の添加、その後の65℃での1時間のインキュベートの後に、選択プレート中に直接、逆転写した。得られたcDNAをPCRのテンプレートとして用いた(Taqポリメラーゼ、New England Biolabs)60℃のアニーリング温度と組み合わせた「Hot start」PCR条件を用いて、プライマー−ダイマー形成を最小化した。製造業者の推奨する条件に従って、Centrisepカラムを用いて、増幅したプールのテンプレートDNAを脱塩して、次回の選択のためのプールRNAの転写をプログラムするために用いた。転写されたプールは、10%ポリアクリルアミドゲル上で毎回ゲル精製した。
【0236】
h−IgEに対するrRmYプール選択は、ナイーブなプール結合を超えて4回目後に富化された。選択のストリンジェンシーを増大して、選択を2回以上継続した。6回目のプールのKDは、約500nM以上である。TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてプールをクローニングして、配列決定に供した。プールは、配列決定されたクローンの71%までを構成した1つの主要なクローン(AMX(123).A1)を含んだ。これらのさらなるクローンを試験したところ、主要なクローンよりも高い程度の結合が示された。プールのKDは約500nMであると算出された。解離定数はまた上記のように算出した。表18は、h−IgEに対する選択の6回後のrRmYプールクローンを示すが、ここでは主要なクローンが、8つの他の配列ファミリーとともに、96個のクローンのうち40%までを構成している、AMX(123).A1であった。
【0237】
(表18.h−IgEに対する6回目の選択後、rRmYプールクローンの個々のクローン配列の対応するcDNA)
【0238】
【表18】
(実施例9 PDGF−BBに対するrRmYおよびrGmH 2’−OMe SELEXTM)
2’−OMe C、Uおよび2’−OH G、A(rRmY)、ならびに他の2’−O−メチルA、CおよびUおよび2’−OH G(rGmH)を含むアプタマーを同定するために選択を行なった。全ての選択は、疎水性プレート上に固定されていたヒトPDGF−BBタンパク質標的に対する直接選択であった。選択によって、ナイーブな未選択のプールに対するh−PDGF−BB結合について有意に富化されたプールを得た。PDGF−BBについての個々のクローン配列を本明細書において報告している。
【0239】
(プール調製)ABI EXPEDITETM DNAシンセサイザーを用いて配列5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCTGTCGATCGATCGATCGATG−3’(配列番号459)を有するDNAテンプレートを合成して、標準的な方法によって脱保護した。テンプレートは、プライマーPB.118.95.G:5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTAC−3’(配列番号460)およびSTC.104.102.A(5’−CATCGATCGATCGATCGACAGC−3’(配列番号461)を用いて増幅し、次いで、Y639F単独変異体T7 RNAポリメラーゼでのインビトロ転写のためのテンプレートとして用いた(200nmのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)。転写は、200mM HEPES、40mM DTT、2mM スペルミジン、0.01% TritonX−100、10% PEG−8000、5mM MgCl2、1.5mM MnCl2、500μM NTP、500μM GMP、0.01単位/μlの無機ピロホスファターゼおよびY639F単独変異T7ポリメラーゼを用いて行なった。2つの異なる組成物であるrRmYおよびrGmHを転写した。
【0240】
(選択)各々の回の選択は、100μLの1×ダルベッコPBS中における室温で2時間のNunc Maxisorp疎水性プレートの表面に対して20ピコモルのPDGF−BBを固定することによって開始した。次いで、この上清を取り出して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液(1×DPBS、0.2% BSAおよび0.05% Tween−20)を用いて4回洗浄した。プールのRNAを3分間90℃に加熱して、10分間室温に冷却して再折り畳みした。1回目には、陽性の選択工程を行なった。要するに、プールのRNAの1×1014個の分子(0.2ナノモル)を、固定されたタンパク質標的とともにウェル中において100μLの結合緩衝液(1×DPBSおよび0.05% Tween−20)中でインキュベートした。次いで、上清を回収して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液を用いて4回洗浄した。その後の回には陰性の選択工程を含んだ。プールRNAをまた、空のウェル中において室温で30分間インキュベートして、陽性選択工程の前にプールから可撓性の結合配列を除いた。ストリンジェンシーを増大するために、洗浄回数は4回目の後には増やした。全ての場合において、固定されたPDGF−BBに結合したプールRNAを、RT混合物(3’プライマー、STC.104.102.AおよびThermoscript RT、Invitrogen)の添加、その後の65℃での1時間のインキュベートの後に、選択プレート中に直接、逆転写した。得られたcDNAをPCRのテンプレートとして用いた(Taqポリメラーゼ、New England Biolabs)60℃のアニーリング温度と組み合わせた「Hot start」PCR条件を用いて、プライマー−ダイマー形成を最小化した。製造業者の推奨する条件に従って、Centrisepカラムで増幅したプールのテンプレートDNAを脱塩して、次回の選択のためのプールRNAの転写をプログラムするために用いた。転写されたプールは、10%ポリアクリルアミドゲル上で毎回精製した。
【0241】
ナイーブなプールは、PDGF−BBに結合するが、rRmY PDGF−BB選択は、ナイーブなプール結合を超えて4回目後に富化された。選択のストリンジェンシーを増大して、選択を8回以上継続した。12回目に、プールは、ナイーブなプールを超えて富化されるが、KDは極めて高い。rGmH選択は、10回目のナイーブなプール結合を超えて富化された。プールのKDはまた、約950nM以上である。TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてプールをクローニングして、配列決定に供した。PDGF−BBプール選択の12回後、クローンを転写して配列決定した。表19はクローン配列を示す。図13(A)は、rRmYプールPDGF−BB選択についての12回のプールの結合プロットを示し、そして図13(B)は、rGmHプールPDGF−BB選択についての10回のプールの結合プロットを示す。サンドイッチフィルター結合技術を用いて解離定数を再度測定した。解離定数(KD)を評価して、式:結合したRNA画分=振幅*KD/(KD+[PDGF−BB])に対してデータをあてはめてた。
【0242】
(表19.PDGF−BBに対する12回の選択後rRmYプールの個々のクローン配列の対応するcDNA)
【0243】
【表19−1】
【0244】
【表19−2】
(表20.PDGF−BBに対する10回の選択後rGmHプールの個々のクローン配列の対応するcDNA)
【0245】
【表20−1】
【0246】
【表20−2】
本発明は、詳細な説明および前述の非限定的な実施例によって記載されているが、添付の特許請求の趣旨および範囲によってここに定義している。
【図面の簡単な説明】
【0247】
【図1】図1は、ランダム配列オリゴヌクレオチドのプールからのインビトロにおけるアプタマー選択(SELEXTM)プロセスの模式図である。
【図2】図2は、2’−O−メチル(2’−OMe)改変ヌクレオチドを示しており、ここで「B」はプリン塩基またはピリミジン塩基である。
【図3】図3Aは、3つの2’−OMe VEGFアプタマーによるVEGF結合のグラフである:ARC224、ARC245およびARC259;図3Bは、これらのアプタマーの配列および推定の二次構造を示す。
【図4】図4は、ARC224およびARC225の種々の2’−OH G改変体によるVEGF結合のグラフである。
【図5】図5は、HUVECにおけるVEGFに対するARC224の結合のグラフである。
【図6】図6は、EDTAの有無における、オートクレーブの前後のVEGFに対するARC224結合のグラフである。
【図7】図7Aおよび7Bは、ラット血漿中で37℃でインキュベートした場合の、それぞれ、ARC224およびARC226の安定性のグラフである。
【図8】図8は、IgEに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の結合のグラフである。
【図9】図9は、トロンビンに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の結合のグラフである。
【図10】図10は、VEGFに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の結合のグラフである。
【図11】図11Aは、95%ラット血漿(クエン酸付加)中において37℃で3’−idTを用いた全ての2’−OMeオリゴヌクレオチドの分解プロットであり、そして図11Bは、95%ラット血漿中における37℃での対応するdRmYオリゴヌクレオチドの分解プロットである。
【図12】図12は、rGmH h−IgE結合クローンのグラフである(6回目)。
【図13】図13Aは、rRmYプールのPDGF−BB選択のための12回目のプールのグラフであり、図13Bは、rGmHプールのPDGF−BB選択のための10回目のプールのグラフである。
【図14】図14は、dRmY SELEXTMの6、7、8回目および選択されない配列のIL−23に対する結合のグラフである。
【図15】図15は、dRmY SELEXTMの6、7回目および選択されない配列のPDGF−BBに対する結合のグラフである。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般に、核酸の分野に、そして詳細にはアプタマー、およびアプタマーを選択するための方法、改変されたヌクレオチドを組み込むための方法に関する。本発明はさらに、例えば、特異的な標的に対するアプタマーが選択され得る、改変されたヌクレオチドを有するランダムなオリゴヌクレオチドのプールを酵素学的に産生するための材料および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
アプタマーは、古典的なワトソン−クリック塩基対合以外の相互作用を通じて分子に対する特異的な結合親和性を有する核酸分子である。
【0003】
アプタマーは、ファージディスプレイによって生成されるペプチドまたはモノクローナル抗体(MAb)と同様に、選択された標的に対して特異的に結合し得、そして結合を通じて、それらの標的が機能する能力をブロックする。ランダム配列オリゴヌクレオチドのプールからインビトロ選択プロセスによって作製された(図1)アプタマーは、増殖因子、転写因子、酵素、免疫グロブリンおよびレセプターを含む100を超えるタンパク質について生成されている。代表的なアプタマーは10〜15kDaのサイズ(30〜45ヌクレオチド)であり、その標的とナノモル未満の親和性で結合して、密接に関連する標的と区別する(例えば、同じ遺伝子ファミリー由来の他のタンパク質には代表的には結合しない)。一連の構造的研究によって、抗体−抗原複合体において親和性および特異性を駆動する同じタイプの結合相互作用(水素結合、静電的相補性、疎水性接触、立体排除など)をアプタマーが用いることができるということが示されている。
【0004】
アプタマーは、治療剤(および診断剤)としての使用のために、高い特異性および親和性、生物学的有効性および優れた薬物動態学的特性を含む多数の所望の特徴を有する。さらに、それらによって、抗体および他のタンパク質の生物学を上回る特異的な競合的利点が得られる、例えば:
1)速度および制御。アプタマーは、完全にインビトロのプロセスによって産生され、これによって最初の(治療的)リードの迅速な生成が可能になる。インビトロの選択によって、アプタマーを厳密に制御する特異性および親和性が可能になり、そして毒性および非免疫原性標的の両方に対するリードの生成が可能になる。
【0005】
2)毒性および免疫原性。アプタマーという分類は、毒性も免疫原性もほとんど、または全く示していない。高レベルのアプタマーを用いたラットまたはマーモット(ウッドチャック)の慢性投与(90日間、毎日10mg/kg)では、臨床でも、細胞でも生化学的測定でも毒性は観察されていない。多くのモノクローナル抗体の有効性は、抗体自体に対する免疫応答によって大きく制限され得るが、アプタマーに対して抗体を惹起することは極めて困難である(この理由は主に、アプタマーがMHCを介してT細胞に提示されることができず、免疫応答は一般に核酸フラグメントを認識するようには教育されないからであろう)。
【0006】
3)投与。現在承認されている全ての抗体治療剤は静脈内注入(代表的には2〜4時間にわたる)によって投与されるが、アプタマーは皮下注射によって投与できる。この相違は主に、ほとんどの治療用MAbについて溶解度が比較的低く、従って大きい容積が必要であることに起因する。高い溶解度(>150mg/ml)および比較的低い分子量(アプタマー:10〜50kDa;抗体:150kDa)によって、アプタマーの毎週の用量は、0.5ml未満の容積で注射することによって送達され得る。皮下投与を介したアプタマーのバイオアベイラビリティーは、サルの研究では80%を超えている(Tuckerら、J.Chromatography B.732:203〜12,1999)。さらに、小さいサイズのアプタマーでは、抗体または抗体フラグメントが浸透できない高次構造の収縮の領域に浸透することが可能であり、これによって、アプタマーに基づく治療または予防法の別の利点が示される。
【0007】
4)拡大性および費用。治療用アプタマーは化学的に合成され、結果として製品の要求を満たすのに必要である場合、容易に大規模化できる。産物を大規模生産することが困難であることによっていくつかの生物製剤の利用可能性は現在限定されており、大規模なタンパク質産生プラントの資本コストが膨大であるが、単一の大規模合成器で、1年あたり100kgを超えるオリゴヌクレオチドを産生可能であり、必要な初期投資額はそれほどでもない。キログラム規模でのアプタマー合成のための現在の製品の費用は、高度に最適化された抗体についての費用と匹敵して、1gあたり500ドルと見積もられる。プロセスの開発における継続的な改良によって、5年で1gあたり100ドル未満まで製品コストを低下させることが期待される。
【0008】
5)安定性。治療用アプタマーは化学的に頑強である。それらは、熱、変性剤などに対する曝露後に活性を再獲得するようにもともと適合されており、そして凍結乾燥粉末として室温で長期間(>1年)にわたって保管できる。対照的に、抗体は凍結保存しなければならない。
【0009】
治療剤としてアプタマーを利用することを考慮すれば、インビボにおけるアプタマー治療剤の安定性を延長するか向上する材料および方法を有することが有利である。本発明によって、これらおよび他の必要性を満たす材料および方法が得られる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、オリゴヌクレオチドへの改変されたヌクレオチドの組みこみを促進する、本明細書で特定された条件下での転写による安定性の向上したオリゴヌクレオチドを産生する材料および方法を提供する。これらの改変されたオリゴヌクレオチドは、例えば、アプタマー、アンチセンス分子、RNAi分子、siRNA分子またはリボザイムであってもよい。好ましくは、オリゴヌクレオチドはアプタマーである。
【0011】
一つの実施形態では、本発明は、特定の標的に対するアプタマーを選択することができる、改変されたヌクレオチドを取り込むオリゴヌクレオチドのランダムにされたプールを用いる、改良されたSELEXTM法(「2’−OMe SELEXTM」)を提供する。
【0012】
一つの実施形態では、本発明は、所定の設定の転写条件下でオリゴヌクレオチドに改変されたヌクレオチドを組み込む、改変された酵素を用いる方法を提供する。
【0013】
一つの実施形態では、本発明は、変異したポリメラーゼを用いる方法を提供する。一つの実施形態では、この変異したポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼである。一つの実施形態では、639位において変異(チロシン残基からフェニルアラニン残基への変異、「Y639F」)および784位において変異(ヒスチジン残基からアラニン残基への変異「H784A」)を有することによって変異されたT7 RNAポリメラーゼが、本発明のオリゴヌクレオチドへの改変されたヌクレオチドの取り込みを生じる種々の転写反応条件で用いられる。
【0014】
別の実施形態では、639位における変異(チロシン残基からフェニルアラニン残基によって改変されたT7 RNAポリメラーゼが、本発明のオリゴヌクレオチドへの改変されたヌクレオチドの取り込みを生じる種々の転写反応条件で用いられる。
【0015】
別の実施形態では、784位における変異(ヒスチジン残基からアラニン残基によって改変されたT7 RNAポリメラーゼが、本発明のアプタマーへの改変されたヌクレオチドの取り込みを生じる種々の転写反応条件で用いられる。
【0016】
一つの実施形態では、本発明は、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する種々の転写反応混合物を提供する。
【0017】
一つの実施形態では、転写反応混合物にマンガンイオンを添加して、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する。
【0018】
別の実施形態では、2’−OH GTPを転写混合物に添加して、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する。
【0019】
別の実施形態では、ポリエチレングリコール、PEGを転写混合物に添加して、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する。
【0020】
別の実施形態では、GMP(または任意の置換グアノシン)を転写混合物に添加して、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する。
【0021】
一つの実施形態では、テンプレートオリゴヌクレオチドの5’末端において固定された領域(好ましくは20〜25ヌクレオチド長)の5’末端に組み込まれたリーダー配列を用いて、本発明の改変された酵素による改変されたヌクレオチドの取り込みを増大する。好ましくはこのリーダー配列は、約10ヌクレオチド長より大きい。
【0022】
一つの実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成されるリーダー配列を用いる。
【0023】
別の実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成される少なくとも6ヌクレオチドのリーダー配列を用いる。
【0024】
別の実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成される少なくとも8ヌクレオチドのリーダー配列を用いる。
【0025】
別の実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成される少なくとも10ヌクレオチドのリーダー配列を用いる。
【0026】
別の実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成される少なくとも12ヌクレオチドのリーダー配列を用いる。
【0027】
別の実施形態では、最大で100%(100%を含む)のプリンヌクレオチドから構成される少なくとも14ヌクレオチドのリーダー配列を用いる。
【0028】
一つの実施形態では、本発明は、改変されたヌクレオチドがそれらの配列に組み込まれているアプタマー治療剤を提供する。
【0029】
一つの実施形態では、本発明は、改変されたヌクレオチドがそれらの配列に組み込まれているアプタマー治療剤の使用を提供する。
【0030】
一つの実施形態では、本発明は、SELEXTMプロセスでのアプタマー選択のための転写の種々のヌクレオチド組成物を提供する。一つの実施形態では、本発明は、ATPヌクレオチド、GTPヌクレオチド、CTPヌクレオチド、TTPヌクレオチドおよびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、および2’−OMe改変の組み合わせを提供する。別の実施形態では、本発明は、ATPヌクレオチド、GTPヌクレオチド、CTPヌクレオチド、TTPヌクレオチドおよびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、2’−OMe、2’−NH2および2’−メトキシエチル改変の組み合わせを提供する。一つの実施形態では、本発明は、ATPヌクレオチド、GTPヌクレオチド、CTPヌクレオチド、TTPヌクレオチドおよびUTPヌクレオチドの2’−OH、2’−F、2’−デオキシ、2’−OMe、2’−NH2および2’−メトキシエチル改変の56個の組み合わせを提供する。
【0031】
本発明は、標的分子に対する核酸リガンドを同定するための方法に関しており、このリガンドとしては、a)変異したポリメラーゼ、1つ以上の2’改変ヌクレオチド三リン酸(NTP)、マグネシウムイオンおよび1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを含む転写反応混合物を調製する工程;b)この変異したポリメラーゼが1つ以上の2’改変ヌクレオチドのうちの少なくとも1つを候補混合物の各々の核酸に組み込む条件下で、この1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを転写することによって一本鎖核酸の候補混合物を調製する工程であって、この候補混合物の各々の核酸が、2’位置改変ピリミジンおよび2’位置改変プリンからなる群より選択される2’改変ヌクレオチドを含む工程;c)この候補混合物と標的分子とを接触させる工程;d)この候補混合物に関して標的分子に対する親和性が増大している核酸を、この候補混合物の残りから、分画する工程と;e)インビトロにおいて親和性の増大した核酸を増幅して核酸のリガンド富化混合物を得る工程、によって改変されたヌクレオチドが挙げられる。
【0032】
2’位置改変ピリミジンおよび2’位置改変プリンとしては、2’−OH、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−NH2、2’−Fおよび2’−メトキシエチルの改変が挙げられる。好ましくは、2’改変ヌクレオチドは、2’−O−メチルまたは2’−Fヌクレオチドである。
【0033】
ある実施形態では、変異したポリメラーゼは、変異したT7 RNAポリメラーゼ、例えば、639位においてチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異(Y639F)を有するT7 RNAポリメラーゼ;784位においてヒスチジン残基からアラニン残基への変異(H784A)を有するT7 RNAポリメラーゼ;639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異、および784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(Y639F/H784A)を有するT7 RNAポリメラーゼである。
【0034】
ある実施形態では、オリゴヌクレオチド転写テンプレートとしては、オリゴヌクレオチド転写テンプレートの5’末端において固定された領域の5’末端に組み込まれたリーダー配列が挙げられる。このリーダー配列は、例えば、全てプリンのリーダー配列である。このリーダー配列は、例えば、少なくとも6ヌクレオチド長;少なくとも8ヌクレオチド長;少なくとも10ヌクレオチド長;少なくとも12ヌクレオチド長;または少なくとも14ヌクレオチド長である。
【0035】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、マンガンイオンを含む。例えば、マグネシウムイオンの濃度は、マンガンイオンの濃度よりも3.0〜3.5倍大きい。
【0036】
転写反応混合物のある実施形態では、各々のNTPは、0.5mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が5.0mMであり、かつマンガンイオンの濃度が1.5mMである。転写反応混合物の他の実施形態では、各々のNTPが1.0mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が6.5mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.0mMである。転写反応混合物の他の実施形態では、各々のNTPは、2.0mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が9.6mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.9mMである。
【0037】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、2’−OH GTPを含む。
【0038】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、ポリアルキレングリコールを含む。このポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。
【0039】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、GMPを含む。
【0040】
ある実施形態では、標的分子に対する核酸リガンドを同定するための方法はさらに、d)候補混合物に関して標的分子に対する親和性が増大している核酸を、この候補混合物の残りから分画する工程;e)インビトロにおいて親和性の増大した核酸を増幅して核酸のリガンド富化混合物を得る工程とを繰り返す工程を包含する。
【0041】
ある局面では、本発明は、本発明の方法によって同定されたトロンビンに対する核酸リガンドに関する。
【0042】
ある局面では、本発明は、本発明の方法によって同定された血管内皮増殖因子(VEGF)に対する核酸リガンドに関する。
【0043】
ある局面では、本発明は、本発明の方法によって同定されたIgEに対する核酸リガンドに関する。
【0044】
ある局面では、本発明は、本発明の方法によって同定されたIL−23に対する核酸リガンドに関する。
【0045】
ある局面では、本発明は、本発明の方法によって同定された血小板由来増殖因子BB(PDGF−BB)に対する核酸リガンドに関する。
【0046】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−OHアデノシン三リン酸(ATP)、2’−OHグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)を含む。
【0047】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−デオキシプリンヌクレオチド三リン酸および2’−O−メチルピリミジンヌクレオチド三リン酸を含む。
【0048】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−OHグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)を含む。
【0049】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)、2’−O−メチルグアノシン三リン酸(GTP)およびデオキシグアノシン三リン酸(GTP)を含むが、このデオキシグアノシン三リン酸は総グアノシン三リン酸集団のうち最大10%を含む。
【0050】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−Fグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)を含む。
【0051】
ある実施形態では、転写反応混合物は、2’−デオキシアデノシン三リン酸(ATP)、2’−O−メチルグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)を含む。
【0052】
本発明はまた、変異したポリメラーゼ、1つ以上の2’改変ヌクレオチド三リン酸(NTP)、マグネシウムイオンおよび1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを含む転写反応混合物を調製する工程;この変異したポリメラーゼが1つ以上の2’改変ヌクレオチドを核酸転写産物に組み込む条件下で、この1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートをこの変異したポリメラーゼと接触させる工程と:によって、1つ以上の改変されたヌクレオチドを含む核酸を調製するための方法に関する。
【0053】
2’位置改変ピリミジンおよび2’位置改変プリンとしては、2’−OH、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−NH2、2’−Fおよび2’ −メトキシエチル改変が挙げられる。好ましくは、2’改変ヌクレオチドは、2’−O−メチルまたは2’−Fヌクレオチドである。
【0054】
ある実施形態では、変異したポリメラーゼは、変異したT7 RNAポリメラーゼ、例えば、639位においてチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異(Y639F)を有するT7 RNAポリメラーゼ;784位においてヒスチジン残基からアラニン残基への変異(H784A)を有するT7 RNAポリメラーゼ;639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異、および784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(Y639F/H784A)を有するT7 RNAポリメラーゼである。
【0055】
ある実施形態では、オリゴヌクレオチド転写テンプレートとしては、オリゴヌクレオチド転写テンプレートの5’末端において固定された領域の5’末端に組み込まれたリーダー配列が挙げられる。このリーダー配列は、例えば、全てプリンのリーダー配列である。このリーダー配列は、例えば、少なくとも6ヌクレオチド長;少なくとも8ヌクレオチド長;少なくとも10ヌクレオチド長;少なくとも12ヌクレオチド長;または少なくとも14ヌクレオチド長であり得る。
【0056】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、マンガンイオンを含む。例えば、マグネシウムイオンの濃度は、マンガンイオンの濃度よりも3.0〜3.5倍大きい。
【0057】
転写反応混合物のある実施形態では、各々のNTPは、0.5mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が5.0mMであり、かつマンガンイオンの濃度が1.5mMである。転写反応混合物の他の実施形態では、各々のNTPが1.0mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が6.5mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.0mMである。転写反応混合物の他の実施形態では、各々のNTPは、2.0mMの濃度で存在し、マグネシウムイオンの濃度が9.6mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.9mMである。
【0058】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、2’−OH GTPを含む。
【0059】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、ポリアルキレングリコールを含む。このポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。
【0060】
ある実施形態では、転写反応混合物はまた、GMPを含む。
【0061】
本発明はまた、実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−OHアデノシンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−OHグアノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、そして実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。別の実施形態では、アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。
【0062】
本発明はまた、実質的に全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンであり、かつ実質的に全てのピリミジンヌクレオチドが2’−O−メチルピリミジンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、アプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を有する。別の実施形態では、アプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの100%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を有する。
【0063】
本発明はまた、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−OHグアノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンであり、そして実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、アプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、アプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を有する。
【0064】
本発明はまた、実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−O−メチルグアノシンまたはデオキシグアノシンであり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンであり、このグアノシンヌクレオチドの約10%未満がデオキシグアノシンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を有する。
【0065】
本発明はまた、実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシンであり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、かつ実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−Fグアノシン配列である配列を含むアプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−Fグアノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−Fグアノシンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−Fグアノシンである配列組成を有する。
【0066】
本発明はまた、実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−デオキシアデノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−O−メチルグアノシンであり、かつ実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシ−アデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドのうちの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。別の実施形態は、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシ−アデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を有する。
【0067】
本発明はまた、実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−OHアデノシンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−OHグアノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−OHシチジンであり、かつ実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−OHウリジンである配列を含む、アプタマー組成物に関する。一つの実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OH−アデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドのうちの少なくとも80%が2’−OHシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHウリジンである配列組成を有する。別の実施形態は、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも90%が2’−OHウリジンである配列組成を有する。別の実施形態では、このアプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−OHシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、かつウリジンヌクレオチドの100%が2’−OHウリジンである配列組成を有する。
【0068】
(発明の詳細な説明)
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の付随する説明に示す。本明細書に記載されるものと同様であるかまたは等価である任意の方法および物質は、本発明の実行または試験において用いることができるが、好ましい方法および材料をここに記載している。本発明の他の特徴、目的および利点は、この説明から明らかである。本明細書では、単数形は、文脈が明確に他を示さない限り複数も包含する。他に規定しない限り、本明細書に用いる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、明細書が優先する。
【0069】
(改変されたヌクレオチド転写物)
本発明は、改変されていないオリゴヌクレオチドよりも安定なオリゴヌクレオチドを作製する、改変されたヌクレオチド(例えば、2’位置において改変を有するヌクレオチド)を含む安定化されたオリゴヌクレオチド(例えば、アプタマーを含む)を生成するための材料および方法を提供する。本発明の材料および方法によって生成された安定化されたオリゴヌクレオチドはまた、酵素分解および化学分解に対して、そして熱分解および物理的分解に対してさらに安定である。
【0070】
アプタマーが治療剤としての使用に適切であるためには、合成が安価であり、インビボにおいて安全かつ安定であることが好ましい。野生型RNAおよびDNAアプタマーは代表的には、ヌクレアーゼによる分解に感受性であるせいで、インビボでは安定ではない。ヌクレアーゼ分解に対する耐性は2’位置に改変基を組み込むことによって大きく向上できる。フルオロ基およびアミノ基は、オリゴヌクレオチドライブラリーに首尾よく組み込まれており、これからアプタマーが引き続いて選択されている。しかし、これらの改変によって、得られたアプタマーの合成の費用は大きく増大し、その改変されたオリゴヌクレオチドの分解およびDNA合成のための基質としてのそのヌクレオチドのその後の使用によって、その改変されたヌクレオチドが宿主DNA中で再循環され得る可能性のせいで、安全性の懸念が持ち上がるかもしれない。
【0071】
2’−O−メチル(2’−OMe)ヌクレオチドを含むアプタマーは、これらの欠点の多くを克服する。2’−O−メチルヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性であり、かつ合成が安価である。2’−O−メチルヌクレオチドは、生物学的な系に偏在するが、天然のポリメラーゼは、生理学的な条件下で基質として2’−O−メチルNTPを受容せず、従って、宿主DNAにおける2’−O−メチルヌクレオチドの再循環を上回る安全性の懸念はない。2’−OMeヌクレオチドの一般式は図2に示す。
【0072】
2’−OMe含有アプタマーのいくつかの例は文献にあり、例えば、Greenら、Current Biology 2,683〜695,1995を参照のこと。これらは、C残基およびU残基が2’−フルオロ(2’−F)置換され、そしてA残基およびG残基が2’OHである、改変された転写物のライブラリーのインビトロ選択によって生成された。一旦、機能的な配列を同定すると、各々のA残基およびG残基を2’−OMe置換に対する耐性について試験し、そして2’−OMe残基として2’−OMe置換に抵抗する全てのA残基およびG残基を有するアプタマーを再合成した。この2工程の方式で生成したアプタマーのA残基およびG残基のほとんどが、2’−OMe残基での置換に耐性であるが、平均して約20%が耐性ではない。結果として、この方法を用いて生成したアプタマーは、2〜4の2’−OH残基を含む傾向であり、結果として安定性および合成の費用が損なわれる。アプタマーが選択されてSELEXTM(および/または以下に記載されるその変異および改良を含む任意の変異および改良)によって富化される、オリゴヌクレオチドライブラリーにおいて用いられる、安定化されたオリゴヌクレオチドを生成する転写反応物に改変されたヌクレオチドを組み込むことによって、本発明の方法は、選択されたアプタマーオリゴヌクレオチドを安定化する必要性を排除する(例えば、改変されたヌクレオチドを用いてアプタマーオリゴヌクレオチドを再合成することによって)。
【0073】
さらに、本発明の改変されたオリゴヌクレオチドは、選択プロセスが終了した後に、さらに安定化され得る。(以下、短縮、欠失および改変を含む、「post−SELEXTM改変」を参照のこと)。
【0074】
(SELEXTM法)
アプタマーを生成するために適切な方法は、図1に一般的に描写される「Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment」(「SELEXTM」)と題されたプロセスを用いる。このSELEXTMプロセスは、標的分子に対する高度に特異的な結合を有する核酸分子のインビトロ進化のための方法であって、例えば、1990年6月11日出願の米国特許出願第07/536,428号、現在放棄された、「Nucleic Acid Ligands」と題された、米国特許第5,475,096号および「Nucleic Acid Ligands」と題された、米国特許第5,270,163号(WO91/19813も参照のこと)に記載されている。各々のSELEXTMで同定した核酸リガンドは、所定の標的化合物または分子の特定のリガンドである。SELEXTMプロセスは、核酸が、モノマーであろうとポリマーであろうと、種々の二次元構造および三次元構造を形成する十分な能力を有し、そしてそのモノマー内で利用可能な十分な化学的万能性を有して実質的に任意の化合物とのリガンドとして機能する(特定の結合対を形成する)という独創的な洞察に基づく。任意のサイズまたは組成の分子が標的として働き得る。
【0075】
SELEXTMは起点として、標準的なDNAシンセサイザーでの化学合成に由来するランダムである配列を含む単一の標準的なオリゴヌクレオチドテンプレートの大型ライブラリーに依存する。ある実施例では、100%ランダムなオリゴヌクレオチドの集団をスクリーニングする。言い換えると、この集団中の各々のオリゴヌクレオチドは、ランダムな配列、および少なくとも1つの固定された配列をその5’末端および/または3’末端に含み、これがオリゴヌクレオチド集団の全ての分子によって共有される配列を含む。固定された配列としては、PCRプライマーのハイブリダイゼーション部位のような配列、RNAポリメラーゼのプロモーター配列(例えば、T3、T4、T7、SP6など)、制限部位またはホモポリマー配列、例えば、ポリAトラクトまたはポリTトラクト、触媒性コア、アフィニティーカラムに対する選択的結合の部分、および目的のオリゴヌクレオチドのクローニングおよび/または配列決定を容易にする他の配列が挙げられる。
【0076】
オリゴヌクレオチドのランダムな配列部分は、任意の長さであり得、そしてリボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含み得、そして改変されるかまたは天然ではないヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを含み得る。例えば、米国特許第5,958,691号;同第5,660,985号;同第5,958,691号;同第5,698,687号;同第5,817,635号;および同第5,672,695号、およびPCT公開WO92/07065を参照のこと。ランダムオリゴヌクレオチドは、当該分野で周知の固相オリゴヌクレオチド合成技術を用いてホスホジエステル連結ヌクレオチドから合成し得る(Froehlerら、Nucl.Acid.Res.14:5399〜5467(1986);Froehlerら、Tet.Lett.27:5575〜5578(1986))。オリゴヌクレオチドはまた、トリエステル合成法のような溶液相法を用いて合成できる(Soodら、Nucl.Acid Res.4:2557(1977);Hiroseら、Tet.Lett,28:2449(1978))。自動DNA合成装置で行なった代表的な合成では1015〜1017個の分子が得られる。配列デザインにおけるランダムな配列の領域が十分大きければ、各々の合成された分子が固有の配列を示すと思われる確率が増大する。
【0077】
ランダムな配列を合成するために、合成プロセスの間、4つ全てのヌクレオチドの混合物を各々のヌクレオチド添加工程で添加して、ヌクレオチドのランダムな取り込みを可能にする。一つの実施形態では、ランダムオリゴヌクレオチドは、完全にランダムな配列を含む;しかし、他の実施形態では、ランダムオリゴヌクレオチドは、ランダムでないかまたは部分的にランダムな配列のストレッチを含み得る。部分的にランダムな配列は、各々の添加工程において種々のモル比で4つのヌクレオチドを添加することによって作製できる。
【0078】
テンプレート分子は代表的には、30〜50個のランダムなヌクレオチドの内部領域に隣接する、固定された5’および3’末端の配列を含む。標準的な(1μモル)規模の合成によって、ほとんどのSELEXTM装置に十分な1015〜1016個の個々のテンプレート分子が得られる。RNAライブラリーは、組み換えT7 RNAポリメラーゼを用いてインビトロ転写によってこの出発ライブラリーから生成される。次いで、このライブラリーを、結合に好適な条件下で標的と混合して、同じ一般的な選択スキームを用いて段階的な相互作用の結合、分画および増幅に供して、結合の親和性および選択性の実質的に任意の所望の基準を得る。好ましくはランダムになった配列のセグメントを含む、核酸の混合物から出発して、SELEXTM法は、結合に好適な条件下でこの混合物と標的とを接触させる工程、標的分子に特異的に結合している核酸から未結合の核酸を分画する工程、この核酸−標的複合体を解離する工程、この核酸−標的複合体から解離された核酸を増幅して核酸のリガンド富化混合物を得る工程、次いで結合、分画、解離および増幅の工程を、標的分子に対して高度に特異的に高い親和性核酸リガンドを得るために望まれる程度の回数、反復する工程とを包含する。
【0079】
多数の可能性のある配列および構造を含む核酸混合物内には、所定の標的についての広範な結合親和性が存在する。天然の未改変のヌクレオチドのみを含む、例えば20ヌクレオチドのランダムになったセグメントを含む核酸混合物は、420個の候補物の可能性を有し得る。標的に関してさらに高い親和性定数を有するものが、標的に結合する可能性が最も高い。分画、解離および増幅後、第二の核酸混合物を生成して、さらに高い結合親和性の候補物について富化する。1つまたは2〜3個のみの配列から主に構成される核酸混合物が得られるまで、選択の回数をさらに重ねて、徐々に最高のリガンドにしていく。次いで、これらをクローニングして、配列決定して、純粋なリガンドとしての結合親和性について個々に試験する。
【0080】
選択および増幅のサイクルは、所望の目標が達成されるまで繰り返す。最も一般的な場合には、サイクルを繰り返しても、結合強度において有意な改善が得られなくなるまで選択/増幅を継続する。この方法を用いて、約1018個の異なる核酸種をサンプリングすることができる。試験混合物の核酸は好ましくは、ランダムな配列部分、および効率的な増幅のために必要な保存配列を含む。核酸配列改変体は、ランダムな核酸配列の合成、および無作為に切断された細胞核酸からのサイズ選択を含む多数の方法で生成できる。可変性の配列部分は、完全にランダムな配列を含んでも、または部分的にランダムな配列を含んでもよい;この配列部分はまた、ランダムな配列と合体された保存された配列の部分を含んでもよい。試験核酸における配列の変動は、選択/増幅相互作用の前または間に突然変異誘発によって導入されても、または増大されてもよい。
【0081】
SELEXTMの一つの実施形態では、選択プロセスは従って、選択された標的に対して最も強力に結合する核酸リガンドを単離するのに効率的であり、選択および増幅の工程はわずか1サイクルしか必要でない。このような効率的な選択は、例えば、クロマトグラフィー型のプロセスにおいて得られるが、ここでは核酸がカラムに結合した標的と会合する能力は、このカラムが最高の親和性の核酸リガンドの分離および単離を可能にするのに十分であるような方式で作用する。
【0082】
多くの場合に、単一の核酸リガンドが同定されるまで、SELEXTMの反復工程を行なうことは必ずしも所望されない。標的特異的核酸リガンド溶液は、多数の保存された配列、および標的に対する核酸リガンドの親和性に有意に影響することなく置換または付加され得る多数の配列を有する核酸構造またはモチーフのファミリーを含んでもよい。終了の前にSELEXTMプロセスを終わらせることによって、核酸リガンド溶液ファミリーの多数のメンバーの配列を決定することが可能になる。
【0083】
種々の核酸の一次構造、二次構造および三次構造が存在することが公知である。非ワトソンクリック型の相互作用に最も共通して関与することが示されている構造またはモチーフは、ヘアピンループ、対称性および非対称性のバルジ(bulge)、シュードノット(pseudoknot)およびそれらの多数の組み合わせとされる。このようなモチーフのほとんど全ての公知の場合に、わずか30程度のヌクレオチドの核酸配列でそれらが形成され得るということが示唆される。この理由のために、連続的なランダムなセグメントを用いるSELEXTM手順は、約20〜50ヌクレオチドのランダムなセグメントを含む核酸配列で開始されることがしばしば好ましい。
【0084】
コアSELEXTM法は、多数の特異的な目的を達成するように改変されている。例えば、米国特許第5,707,796号は、特定の構造的特徴を有する核酸分子、例えばベントDNAを選択するためのゲル電気泳動と組み合わせたSELEXTMの使用を記載している。米国特許第5,763,177号は、標的分子に結合し得るか、そして/または標的分子に光架橋し得るか、そして/または標的分子を光不活性化し得る光反応性基を含む核酸リガンドを選択するためのSELEXTMに基づく方法を記載する。米国特許第5,567,588号および米国特許出願第08/792,075号、1997年1月31日出願の「Flow Cell SELEXTM」と題されたものは、標的分子に対して高い親和性を有するオリゴヌクレオチドと低い親和性を有するオリゴヌクレオチドとの間で高度に効率的な分画を達成するSELEXTMに基づく方法を記載している。米国特許第5,496,938号は、SELEXTMプロセスを行なった後、改善された核酸リガンドを得るための方法を記載している。米国特許第5,705,337号は、その標的に対してリガンドを共有結合するための方法を記載している。
【0085】
SELEXTMはまた、標的分子上の2つ以上の部位に結合する核酸リガンドを得るため、および標的上の特定部位に結合する非核酸種を含む核酸リガンドを得るためにも用い得る。SELEXTMは、タンパク質(核酸結合タンパク質およびその生物学的機能の一部として核酸に結合することが知られていないタンパク質の両方を含む)補因子および他の低分子を含む高分子および低分子の生体分子を含む、任意の想定可能な標的に結合する核酸リガンドを単離および同定するための手段を提供する。例えば、カフェインおよびその密接に関連するアナログであるテオフィリンに対して高い親和性で結合できる、SELEXTMを通じて同定された核酸配列を開示する米国特許第5,580,737号を参照のこと。
【0086】
Counter−SELEXTMは、1つ以上の非標的分子に対する交差反応性を有する核酸リガンド配列を排除することによって標的分子に対する核酸リガンドの特異性を改善するための方法である。Counter−SELEXTMは、a)核酸の候補化合物を調製する工程;b)この候補混合物と標的とを接触させる工程であって、この候補混合物に対して標的に対する親和性が増大している核酸が残りの候補混合物から分画され得る工程;c)残りの候補混合物から親和性の増大した核酸を分画する工程;d)親和性の増大した核酸と1つ以上の非標的分子とを接触させて、非標的分子(単数または複数)に対して特異的な親和性を有する核酸リガンドを除去する工程および;e)この標的分子に対する特異的な親和性を有する核酸を増幅して、この標的分子に対する比較的高い親和性および特異性を有する核酸配列が富化された核酸混合物を得る工程とから構成される。
【0087】
治療剤およびワクチンとしての核酸の使用において遭遇する1つの潜在的な問題は、オリゴヌクレオチドがそのホスホジエステル型では、その所望の効果が現われる前に、体液中で、エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼのような細胞内酵素および/または細胞外酵素によって迅速に分解され得るということである。従って、SELEXTM法は、選択後、リガンドに改善された特徴、例えば、改善されたインビボ安定性または改善された送達特徴を付与する改変されたヌクレオチドを含むように変更される、高親和性核酸リガンドの同定を包含する。核酸リガンドの改変としては、限定はしないが、さらなる電荷、分極率、疎水性、水素結合、静電相互作用および変動性を核酸リガンド基部に対して、または核酸リガンド全体に対して組み込む他の化学基を提供する改変が挙げられる。改変としては、リボースおよび/またはリン酸および/または塩基部位での化学的置換、例えば、2’位糖改変、5位ピリミジン改変、8位プリン改変、環外アミンでの改変、4−チオウリジンの置換、5−ブロモまたは5−ヨード−ウラシルの置換;骨格改変、ホスホロチオエートまたはリン酸アルキル改変、メチル化、通常ではない塩基対の組み合わせ、例えば、イソ塩基イソシチジンおよびイソグアニジンなどが挙げられる。改変はまたキャッピングのような3’および5’の改変を含んでもよい。
【0088】
改変された糖基を含むオリゴヌクレオチドでは、例えば、1つ以上のヒドロキシル基がハロゲン、脂肪族基で置換されるか、またはエステルもしくはアミンとして官能化される。フラノース残基の2’位での置換の例としては、O−アルキル(例えば、O−メチル)、O−アリル、S−アルキル、S−アリル、またはハロ基が挙げられる。2’改変糖の合成の方法は、Sproatら、Nucl.Acid.Res.19:733〜738(1991);Cottenら、Nucl.Acid.Res.19:2629〜2635(1991);およびHobbsら Biochemistry 12:5138〜5145(1973)に記載されている。他の改変が当業者に公知である。
【0089】
改変されたヌクレオチドを含むように選択後に合成した、SELEXTMで同定した核酸リガンドは、ピリミジンの5’および2’位置において化学的に改変されたヌクレオチド誘導体を含むオリゴヌクレオチドを記載している、米国特許第5,660,985号に記載されている。さらに、米国特許第5,756,703号は、種々の2’改変ピリミジンを含むオリゴヌクレオチドを記載しており;そして米国特許第5,580,737号は、2’アミノ(2’−NH2)、2’−フルオロ(2’−F)、および/または2’−O−メチル(2’OMe)置換で改変された1つ以上のヌクレオチドを含む高度に特異的な核酸リガンドを記載する。
【0090】
SELEXTM法は、米国特許第5,637,459号および米国特許第5,683,867号に記載されるように、選択されたオリゴヌクレオチドを他の選択されたオリゴヌクレオチドおよび非オリゴヌクレオチドの機能的な単位と組み合わせる工程を包含する。SELEXTM法はさらに、米国特許第6,011,020号に記載されるように、診断または治療用の複合体に、選択された核酸リガンドと親油性または非免疫原性の高分子量化合物とを合わせる工程を包含する。診断または治療用の複合体において、ジアシルグリセロールまたはジアルキルグリセロールのような親油性の化合物と会合されているVEGF核酸リガンドは、米国特許第5,859,228号に記載されている。
【0091】
グリセロール脂質のような親油性化合物、またはポリアルキレングリコールのような非免疫原性高分子量化合物と会合されるVEGF核酸リガンドはさらに、米国特許第6,051,698号に記載されている。非免疫原性高分子量化合物または親油性化合物と会合されるVEGF核酸リガンドはさらに、PCT公開番号WO98/18480に記載されている。これらの特許および出願は、広範なアレイのオリゴヌクレオチド形状および他の特性の組み合わせ、ならびに他の分子の所望の特性を有するオリゴヌクレオチドの効率的な増幅および複製の特性を記載している。
【0092】
SELEXTM法を介した小さい可撓性のペプチドに対する核酸リガンドの同定も調査されている。小型のペプチドは、可撓性の構造を有し、そして通常、複数の配座異性体の平衡している溶液に存在しており、従って、結合親和性は、可撓性のペプチドを結合する際に失われる立体配置的なエントロピーによって制限され得ると最初は考えられた。しかし、溶液中で低分子ペプチドに対する核酸リガンドを同定する実現可能性は、米国特許第5,648,214号において実証された。この特許では、11アミノ酸のペプチドであるサブスタンスPに対する高い親和性のRNA核酸リガンドが同定された。
【0093】
ヌクレアーゼおよび加水分解に対して耐性であるオリゴヌクレオチド集団を生成するために、改変されたオリゴヌクレオチドを用いてもよいし、1つ以上の置換ヌクレオチド間連結、変更された糖、変更された塩基、またはそれらの組み合わせを含み得る。一つの実施形態では、P(O)O基がP(O)S(「チオエート(thioate)」)、P(S)S(「ジチオエート(dithioate)」)、P(O)NR2(「アミデート(amidate)」)、P(O)R、R(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール(formacetal)」)または3’−アミン(−NH−CH2−CH2−)で置換されているオリゴヌクレオチドが提供されるが、ここで各々のRまたはR’は独立して、Hであるか、または置換されているか、または置換されていないアルキルである。連結基は、−O−、−N−または−S−連結を通じて隣接するヌクレオチドに結合され得る。同定されるためにオリゴヌクレオチド中の全ての連結が必要であるわけではない。
【0094】
核酸アプタマー分子は一般に、5〜20サイクルの手順で選択される。一つの実施形態では、異質性は、最初の選択段階でのみ導入され、そして複製プロセス全体を通じては生じない。
【0095】
DNA合成の出発ライブラリーは、DNAシンセサイザーでの自動的な化学合成によって生成される。配列のこのライブラリーを、T7 RNAポリメラーゼまたは改変されたT7 RNAポリメラーゼを用いてインビトロでRNAに転写して、そして精製する。一つの実施形態では、5’固定:ランダム:3’固定配列は、30〜50ヌクレオチドを有するランダムな配列を含む。
【0096】
本発明のアプタマーへの改変されたヌクレオチドの組み込みは、選択プロセスの前(プレ)(例えば、プレ−SELEXTMプロセス改変)に達成される。必要に応じて、改変されたヌクレオチドがプレ−SELEXTMプロセス改変によって組み込まれている本発明のアプタマーはさらに、ポスト−SELEXTMプロセス改変によって改変されてもよい(すなわち、プレ−SELEXTMプロセス改変後のポスト−SELEXTMプロセス改変)。プレ−SELEXTMプロセス改変によって、SELEXTM標的に特異性を有する改変された核酸リガンドが得られ、そしてまたインビボ安定性が改善される。ポスト−SELEXTMプロセス改変(例えば、プレ−SELEXTMプロセス改変によって組み込まれたヌクレオチドを有する、以前に同定されたリガンドの改変)によって、プレ−SELEXTMプロセス改変によって取り込まれたヌクレオチドを有する核酸リガンドの結合能力に有害に影響することなく、インビボ安定性のさらなる改善を得ることができる。
【0097】
(改変されたポリメラーゼ)
639位置でのチロシン残基がフェニルアラニンに変換されている単独変異体T7ポリメラーゼ(Y639F)は、基質として2’デオキシ、2’アミノ−、および2’フルオロ−ヌクレオチド三リン酸(NTP)を容易に利用して、種々の適用のための改変されたRNAを合成するために広範に用いられている。しかし、変異体T7ポリメラーゼは報告によれば、さらにバルキーな2’−置換、例えば、2’−O−メチル(2’OMe)または2’−アジド(2’−N3)置換を有するNTPを容易に利用(例えば、組み込み)できない。バルキーな2’置換の組み込みのために、Y639F変異に加えて、784位置のヒスチジンがアラニンまたは他の低分子アミノ酸残基に変化されている、二重T7ポリメラーゼ変異体(Y639F/H784A)は記載されており、そして改変されたピリミジンNTPを組み込むために用いられている。784位置のヒスチジンがアラニン残基に変化されている単独変異T7ポリメラーゼ(H784A)もまた記載されている。(Padillaら、Nucleic Acids Research,2002,30:138)。Y639F/H784A二重変異体およびH784A単独変異体T7ポリメラーゼの両方において、さらに小さいアミノ酸残基へ変化するほど、さらにバルキーなヌクレオチド基質、例えば、2’−Oメチル置換ヌクレオチドの組み込みが可能になる。
【0098】
本発明は、これら、および野生型ポリメラーゼよりも、2’位置フラノースでバルキーな置換を有する改変されたヌクレオチドの組み込み速度がさらに高い他の改変されたT7ポリメラーゼを用いるための方法および条件を提供する。一般には、本明細書において開示される条件下で、Y693F単独変異体は、GTPを除いて全ての2’−OMe置換NTPの組み込みのために用いることが可能であり、そしてY639F/H784A二重変異体は、GTPを含む全ての2’−OMe置換NTPの組み込みのために用いることが可能である。H784A単独変異体は、本明細書に開示される条件下で用いられる場合、類似の特性を保有することが期待される。
【0099】
本発明は、改変されたヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに酵素的に組み込むように改変されたT7ポリメラーゼのための方法および条件を提供する。このようなオリゴヌクレオチドは、改変されたヌクレオチドで全体に合成されてもよいし、改変されたヌクレオチドのサブセットで合成されてもよい。この改変は同じでも異なってもよい。全てのヌクレオチドが改変されてもよく、そして全てが同じ改変を含んでもよい。全てのヌクレオチドは改変されてもよいが、異なる改変を含んでもよく、例えば、同じ塩基を含む全てのヌクレオチドが1タイプの改変を有してもよく、一方他の塩基を含むヌクレオチドは異なるタイプの改変を有してもよい。全てのプリンヌクレオチドは、1タイプの改変を有してもよい(または未改変である)が、全てのピリミジンヌクレオチドは別の異なるタイプの改変を有する(または未改変である)。この方法では、転写物または転写物のライブラリーは、改変の任意の組み合わせ、例えば、リボヌクレオチド、(2’−OH、「rN」)、デオキシリボヌクレオチド(2’−デオキシ)、2’−Fおよび2’−OMeヌクレオチドを用いて生成される。2’−OMe CおよびUおよび2’−OH AおよびGを含む混合物は、「rRmY」と呼ばれる;デオキシAおよびGならびに2’−OMe UおよびCを含む混合物は、「dRmY」と呼ばれ;2’−OMe A、CおよびUならびに2’−OH Gを含む混合物は、「rGmH」と呼ばれる;2’−OMe A、C、UおよびGならびに2’−OMe A、UおよびCならびに2’−F Gを交互に含む混合物は、「トグル(toggle)」と呼ばれる;2’−OMe A、U、CおよびGを含む混合物であってGの最大10%がデオキシである混合物は「r/mGmH」と呼ばれ;2’−OMe A、UおよびCならびに2’−F Gを含む混合物は、「fGmH」と呼ばれ;そしてデオキシA、および2’−OMe C、GおよびUを含む混合物は「dAmB」と呼ばれる。
【0100】
好ましい実施形態は、2’−OH、2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組み合わせを含む。さらに好ましい実施形態は、2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組み合わせを含む。なおさらに好ましい実施形態は、ピリミジンが2’−OMeである2’−デオキシおよび2’−OMeヌクレオチドの任意の組み合わせを用いる(例えば、dRmY、mNまたはdGmH)。
【0101】
(2’−改変SELEXTM)
本発明は、ポリメラーゼが2’改変NTPを受容する条件下で2’改変(例えば、2’−OMe)RNA転写物のライブラリーを生成する方法を提供する。好ましくは、ポリメラーゼはY693F/H784A二重変異体またはY693F単独変異体である。他のポリメラーゼ、特にバルキーな2’−置換に高い抵抗性を示すポリメラーゼはまた、本発明において用いられ得る。このようなポリメラーゼは、本明細書において開示される転写条件下で改変されたヌクレオチドを組み込む能力をアッセイすることによって、この能力についてスクリーニングし得る。本明細書で開示される方法において有用な転写条件については多数の要因が重要であることが決定されている。例えば、得られた転写物のうち少なくともおよそ最初の6残基が全てプリンであるようにリーダー配列がDNA転写テンプレートの5’末端で固定された配列の5’末端に取り込まれる場合、改変された転写物の収率の大きな増大が観察される。
【0102】
改変されたヌクレオチドを組み込む転写物を得るための別の重要な要因は、2’−OH GTPの存在または濃度である。転写物は2つの相に分割できる:第一の相は開始(initiation)であり、この間にNTPがGTP(または別の置換されたグアノシン)の3’−ヒドロキシル末端に付加されて、ジヌクレオチドが得られ、これが次いで約10〜12ヌクレオチドずつ伸長され、第二の相は伸長(elongation)であり、その間に転写が最初のおよそ10〜12ヌクレオチドの付加を超えて進行する。過剰の2’−OMe GTPを含む転写混合物に添加された少量の2’−OH GTPは、ポリメラーゼが2’−OH GTPを用いて転写を開始することを可能にするのに十分であるが、一旦転写物が伸長相に入れば、2’−OMeと2’−OH GTPとの間の識別の低下、および2’−OH GTPを超える過剰の2’−OMe GTPによって、主に2’−OMe GTPの取り込みが可能になる。
【0103】
転写物への2’−OMeの取り込みにおける別の重要な要因は、転写混合物における二価のマグネシウムおよびマンガンの両方の使用である。塩化マグネシウムおよび塩化マンガンの濃度の種々の組み合わせが、2’−O−メチル化転写物の収率に影響することが見出されており、塩化マグネシウムおよび塩化マンガンの最適の濃度は、複合二価金属イオンであるNTPの転写反応混合物における濃度に依存している。最大まで2’置換されたO−メチル化転写物の最大収率を得るために(すなわち、全てのA、CおよびUならびにGヌクレオチドの約90%)、各々のNTPが0.5mMの濃度で存在する場合、約5mMの塩化マグネシウムおよび1.5mMの塩化マグネシウムの濃度が好ましい。各々のNTPの濃度が1.0mMである場合、約6.5mMの塩化マグネシウム濃度および2.0mMの塩化マグネシウム濃度が好ましい。各々のNTPの濃度が2.0mMである場合、約9.6mM の塩化マグネシウム濃度および2.9mMの塩化マグネシウム濃度が好ましい。いずれの場合にも、これらの濃度から最大2倍までの逸脱であれば有意な量の改変された転写物が得られる。
【0104】
GMPまたはグアノシンでの転写のプライミングも重要である。この効果は、開始ヌクレオチドのポリメラーゼの特異性から生じる。結果として、この方式で生成された任意の転写物の5’末端ヌクレオチドは、2’−OH Gである可能性が高い。GMP(またはグアノシン)の好ましい濃度は、0.5mMであり、さらに好ましくは1mMである。転写反応物のPEG、好ましくはPEG−8000を含むことが改変されたヌクレオチドの取り込みを最大化するために有用であることも見出されている。
【0105】
転写物中への2’−OMe ATP(100%)、UTP(100%)、CTP(100%)およびGTP(約90%)の取り込みを最大化するために(「r/mGmH」)、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、TritonX−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が1.0mMである場合、6.5mM)、MnCl2 1.5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が1.0mMである場合、2.0mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(さらに好ましくは、1.0mM)、2’−OH GTP 30μM、2’−OH GMP 500μM、pH7.5、Y639F/H784A T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。本明細書において用いる場合、1単位のY639F/H784A変異体T7 RNAポリメラーゼ、または本明細書において特定される任意の他の変異体T7 RNAポリメラーゼ)とは、r/mGmH条件のもとで、転写物に1ナノモルの2’−OMe NTPを組み込むことが必要な酵素の量として規定される。本明細書において用いる場合、1単位の無機ピロホスファターゼとは、pH7.2で25℃において1分あたり1.0モルの無機オルトリン酸塩を遊離する酵素の量として規定される。
転写物への2’−OMe ATP、UTPおよびCTP(「rGmH」)の最大組み込み(100%)のためには、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合、9.6mM)、MnCl2 1.5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合、2.9mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(さらに好ましくは、2.0mM)、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。
転写物への2’−OMe UTPおよびCTP(「rRmY」)の最大組み込み(100%)のためには、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合、9.6mM)、MnCl2 1.5mM(各々の2’−OMe NTPの濃度が2.0mMである場合、2.9mM)、2’−OMe NTP(各々)500μM(さらに好ましくは、2.0mM)、pH 7.5、Y639F/H784 T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。
転写物へのデオキシATPおよびGTPおよび2’−OMe UTPおよびCTP(「dRmY」)の最大組み込み(100%)のためには、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、2’−OMe NTP(各々)2.0mM、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。
転写物への2’−OMe ATP、UTPおよびCTPおよび2’−F GTP(「fGmH」)の最大組み込み(100%)のためには、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、2’−OMe NTP(各々)2.0mM、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。
転写物へのデオキシ ATPおよび2’−OMe UTP、GTPおよびCTP(「dAmB」)の最大組み込み(100%)のためには、以下の条件が好ましい:HEPES緩衝液200mM、DTT 40mM、スペルミジン 2mM、PEG−8000 10%(w/v)、Triton X−100 0.01%(w/v)、MgCl2 9.6mM、MnCl2 2.9mM、2’−OMe NTP(各々)2.0mM、pH 7.5、Y639F T7 RNAポリメラーゼ 15単位/ml、無機ピロホスファターゼ5単位/ml、および少なくとも8ヌクレオチド長の全てプリンのリーダー配列。
【0106】
上記の各々について、(1)転写は好ましくは、約30℃から約45℃の温度で少なくとも2時間行い、そして(2)50〜300nMの二本鎖DNA転写テンプレートを用いる(200nmのテンプレートを1回目に用いて多様性を増大し(300nmのテンプレートをdRmY転写物に用いた)、その後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の約50nMの、1/10希釈を用いた)。好ましいDNA転写テンプレートは、以下に記載する(ここではARC254およびARC256は全て2’−OMe条件下で転写し、ARC255はrRmY条件下で転写する)。
ARC254:
5’−CATCGATGCTAGTCGTAACGATCCNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号1)
ARC255:
5’−CATGCATCGCGACTGACTAGCCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号2)
ARC256:
5’−CATCGATCGATCGATCGACAGCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号453)
本発明のrN転写条件下で、転写反応混合物は2’−OHアデノシン三リン酸(ATP)、2’−OHグアノシン三リン酸(GTP)、2’−OHシチジン三リン酸(CTP)、および2’−OHウリジン三リン酸(UTP)を含む。本発明のrN転写混合物を用いて生成された改変されたオリゴヌクレオチドは、実質的に2’−OHアデノシン、2’−OHグアノシン、2’−OH−シチジンおよび2’−OHウリジン全てを含む。rN転写物の好ましい実施形態では、得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OH−シチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHである配列を含む。rN転写物のさらに好ましい実施形態では、本発明のこの得られた改変されたオリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHウリジンである配列を含む。rN転写物の最も好ましい実施形態では、本発明の改変されたオリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−OHシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−OHウリジンである配列を含む。
【0107】
本発明のrRmY転写条件下で、転写反応混合物は2’−OHアデノシン三リン酸、2’−OHグアノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、および2’−O−メチルウリジン三リン酸を含む。本発明のrRmY転写混合物を用いて生成された改変されたオリゴヌクレオチドは、実質的に2’−OHアデノシン、2’−OHグアノシン、2’−O−メチルシチジンおよび2’−O−メチルウリジン全てを含む。好ましい実施形態では、得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。最も好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。
【0108】
本発明のdRmY転写条件下で、転写反応混合物は2’−デオキシプリン三リン酸、および2’−O−メチルピリミジン三リン酸を含む。本発明のdRmY転写条件を用いて生成された改変されたオリゴヌクレオチドは、実質的に2’−デオキシプリンおよび2’−O−メチルピリミジン全てを含む。好ましい実施形態では、本発明の得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシプリンであり、そして全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルピリミジンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、本発明の得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシプリンであり、そして全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルピリミジンである配列を含む。最も好ましい実施形態では、本発明の得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのプリンヌクレオチドの100%が2’−デオキシプリンであり、全てのピリミジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルピリミジンである配列を含む。
【0109】
本発明のrGmH転写条件下で、転写反応混合物は2’−OHグアノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、2’−O−メチルウリジン三リン酸および2’−O−メチルアデノシン三リン酸を含む。本発明のrGmH転写混合物を用いて生成された改変されたオリゴヌクレオチドは、実質的に2’−OHグアノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルウリジンおよび2’−O−メチルアデノシンを全て含む。好ましい実施形態では、得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、そして全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、そして全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンである配列を含む。最も好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンである配列を含む。
【0110】
本発明のr/mGmH転写条件下で、転写反応混合物は2’−O−メチルアデノシン三リン酸、2’−O−メチルシチジン三リン酸、2’−O−メチルグアノシン三リン酸、2’−O−メチルウリジン三リン酸およびデオキシグアノシン三リン酸を含む。本発明のr/mGmH転写混合物を用いて生成された得られた改変オリゴヌクレオチドは、実質的に2’−O−メチルアデノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルグアノシン、および2’−O−メチルウリジンを全て含み、ここでグアノシンヌクレオチドの集団は、最大約10%のデオキシグアノシンを有する。好ましい実施形態では、本発明の得られたr/mGmH改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドのわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、そして全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列を含む。最も好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの90%が2’−O−メチルグアノシンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドのわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列を含む。
【0111】
本発明のfGmH転写条件下で、転写反応混合物は2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−Fグアノシン三リン酸を含む。本発明のfGmH転写条件を用いて生成された改変オリゴヌクレオチドは、実質的に2’−O−メチルアデノシン、2’−O−メチルウリジン、2’−O−メチルシチジン、および2’−F−グアノシンを全て含む。好ましい実施形態では、得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−Fグアノシンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−F−グアノシンである配列を含む。この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−Fグアノシンである配列を含む。
【0112】
本発明のdAmB転写条件下で、転写反応混合物は2’−デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、2’−O−メチルグアノシン三リン酸(GTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)を含む。本発明のdAmB転写混合物を用いて生成された改変オリゴヌクレオチドは、実質的に2’−デオキシアデノシン、2’−O−メチルシチジン、2’−O−メチルグアノシン、および2’−O−メチルウリジンを全て含む。好ましい実施形態では、得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。さらに好ましい実施形態では、この得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。最も好ましい実施形態では、本発明のこの得られた改変オリゴヌクレオチドは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルグアノシンであり、そして全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列を含む。
【0113】
各々の場合に、次いで転写産物をSELEXTMプロセスにおけるライブラリーとして用いて、アプタマーを同定するか、および/または所定の標的に対して結合特異性を有する配列の保存的モチーフを決定することができる。得られた配列は既に安定化されており、これによって、安定化されたアプタマー配列に達するためにこのプロセスからこの工程を排除して、結果としてさらに高度に安定化されたアプタマーを得る。2’−OMe SELEXTMプロセスの別の利点は、得られた配列が必要な2’−OHヌクレオチドを配列中にほとんど有さず、おそらくはないと思われることである。
【0114】
以下に記載するとおり、上記の最適化条件以外の条件下でも2’−OMe置換ヌクレオチドを完全に組み込む転写物のさらに低いが依然として有用な収率を得ることができる。例えば、上記の転写条件に対応するバリエーションとしては以下が挙げられる:
HEPES緩衝液の濃度は、0〜1Mに及んでもよい。本発明はまた、pKaが5〜10の間である他の緩衝剤、例えば、限定はしないがTris(ヒドロキシメチル)アミノメタンの使用を考慮する。
【0115】
DTT濃度は、0〜400mMに及んでもよい。本発明の方法はまた、他の還元剤、例えば、限定はしないがメルカプトエタノールの使用を提供する。
【0116】
スペルミジンおよび/またはスペルミンの濃度は、0〜20mMの範囲に及んでもよい。
【0117】
PEG−8000濃度は、0〜50%(w/v)にわたってもよい。本発明の方法はまた、他の親水性ポリマー、例えば、限定はしないが、他の分子量のPEGまたは他のポリアルキレングリコールの使用を提供する。
【0118】
Triton X−100の濃度は、0〜0.1%(w/v)にわたってもよい。本発明の方法はまた、他の非イオン性界面活性剤、例えば、限定はしないが他のTriton−X界面活性剤を含む、他の界面活性剤の使用を提供する。
【0119】
MgCl2の濃度は、0.5mM〜50mMにわたってもよい。MnCl2の濃度は、0.15mM〜15mMにわたってもよい。MgCl2もMnCl2も両方とも記載の範囲内で存在しなければならず、そして好ましい実施形態では、MgCl2:MnCl2の比は約10〜約3であり、好ましくはこの比は約3〜5、さらに好ましくは、この比は約3〜約4である。
【0120】
2’−OMe NTPの濃度(各々のNTP)は、5μM〜5mMにわたってもよい。
【0121】
2’−OH GTPの濃度は、0μM〜300μMにわたってもよい。
【0122】
2’−OH GMPの濃度は、0〜5mMにわたってもよい。
【0123】
pHは、pH6からpH9にわたってもよい。本発明の方法は、改変ヌクレオチドを組み込むほとんどのポリメラーゼの活性のpH範囲内で実施され得る。
【0124】
さらに、本発明の方法は、転写反応条件においてキレート剤、例えば、限定はしないが、EDTA、EGTAおよびDTTの必要に応じた使用を行なう。
【0125】
(薬学的組成物)
本発明はまた、本明細書に記載のアプタマー分子を含む薬学的組成物を包含する。ある実施形態では、この組成物は、内部使用に適切であり、有効量の薬理学的に活性な本発明の化合物を単独で、または1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む。この化合物は、もしあればそれが極めて低い毒性を有する場合に特に有用である。
【0126】
本発明の組成物は、疾患もしくは障害のような病理を処置もしくは予防するために、または患者においてこのような疾患もしくは障害の症状を緩和するために有用であり得る。本発明の組成物は、アプタマーが特異的に結合する標的に関連するか、もしくはそのような標的に由来する疾患もしくは障害に罹患したか、またはそのような素因のある被験体に対する投与のために有用である。
【0127】
例えば、標的は、病理に関与するタンパク質であり、例えば標的タンパク質は病理を引き起こす。
【0128】
本発明の組成物は、病理を有する患者を処置するための方法において用いられ得る。この方法は、この患者に対して、病理に関与する標的(例えば、タンパク質)に結合するアプタマーを含む組成物を投与し、その結果、この標的に対する組成物の結合がこの標的の生物学的機能を変更して、それによってこの病理を処置する工程を包含する。
【0129】
ある病理を有する患者、例えば、本発明の方法によって処置される患者は、哺乳動物、さらに具体的にはヒトであり得る。
【0130】
実際には、この組成物またはその薬学的に受容可能な塩を、その所望の生物学的活性を発揮するのに十分である量で投与する。
【0131】
例えば、錠剤またはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態での経口投与のためには、活性な薬物組成物を、経口の、非毒性の薬学的に受容可能な不活性キャリア、例えば、エタノール、グリコール、水などと合わせてもよい。さらに、所望であるかまたは必要である場合、適切な結合剤、潤滑剤、崩壊剤および着色剤もこの混合物に組み込んでもよい。適切な結合剤としては、デンプン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン、天然の糖、例えば、グルコースまたはβラクトース、コーン甘味料、天然および合成のゴム、例えば、アカシアゴム、トラガカントゴムまたはアルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの投薬形態で用いられる潤滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、シリカ、滑石粉(タルカム)、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩、および/またはポリエチレングリコールなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定はしないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムデンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物などが挙げられる。希釈物としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、および/またはグリシンが挙げられる。
【0132】
注射用組成物は好ましくは、水溶性等張性溶液または懸濁液であり、そして坐剤は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から調製するのが有利である。この組成物は、滅菌されてもよいし、そして/またはアジュバント、例えば、浸透圧および/または緩衝液を調製するための防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶液促進因子(solution promoter)、塩を含んでもよい。さらに、それらの組成物はまた、他の治療上有用な物質を含んでもよい。この組成物は、それぞれ、従来の混合、顆粒化またはコーティングの方法に従って調製され、そして約0.1〜75%、好ましくは約1〜50%の活性成分を含む。
【0133】
本発明の化合物はまた、このような経口投薬形態において、時限性放出および徐放性の錠剤またはカプセル、丸剤、散剤、顆粒、エリキシル、チンキ剤、懸濁物、シロップおよびエマルジョンとして投与されてもよい。
【0134】
液体、特に注射可能な組成物は、例えば、溶解、分散などによって調製され得る。活性化合物は、例えば、水、生理食塩水、水溶性デキストロース、グリセロール、エタノールなどのような薬学的に純粋な溶媒中に溶解するか、またはそれらの純粋な溶媒と混合し、これによって注射可能な溶液または懸濁液を形成する。さらに、注射前に液体に溶解するのに適切な固体型を処方してもよい。注射可能な組成物は好ましくは、水溶性の等張性溶液または懸濁液である。この組成物は、滅菌されてもよいし、そして/またはアジュバント、例えば、浸透圧および/または緩衝液を調節するための防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶液促進因子、塩を含んでもよい。さらに、それらの組成物はまた、他の治療上有用な物質を含んでもよい。
【0135】
本発明の化合物は、全てが製薬業界の当業者に周知の形態を用いる、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内の形態で投与され得る。注射剤は、従来の形態で、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製され得る。
【0136】
非経口注射剤投与は一般に、皮下、筋肉内または静脈内注射および注入のために用いられる。さらに、非経口投与のための1アプローチは、徐放性(slow−release)または持続放出(sustained−released)のシステムの移植を使用し、これによって、本明細書に参考として援用される米国特許第3,710,795号に従い、一定レベルの投与量を維持することを確実にする。
【0137】
さらに、本発明に好ましい化合物は、適切な経鼻ビヒクルの局所使用を介して、経鼻形態で投与されても、または当業者に周知の経皮皮膚パッチの形態を用いて経皮経路を介して投与されてもよい。経皮送達システムの形態で投与するには、当然ながら、投与は、投薬レジメン全体にわたって間欠的ではなく連続的である。他の好ましい局所調製物としては、活性成分の濃度がw/wまたはw/vで0.01%〜15%にわたる、クリーム、軟膏、ローション、エアロゾルスプレーおよびゲルが挙げられる。
【0138】
固体組成物のためには、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石粉、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどを含む賦形剤を用いてもよい。上記の活性な化合物はまた、例えば、ポリアルキレングリコール、例えば、プロピレングリコールをキャリアとして用いる坐剤として処方されてもよい。ある実施形態では、坐剤は脂肪エマルジョンまたは懸濁物から調製することが有利である。
【0139】
本発明の化合物はまた、リポソーム送達系の形態、例えば、小型単層小胞体、大型単層小胞体および多層小胞体で投与されてもよい。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含む種々のリン脂質から形成され得る。ある実施形態では、米国特許第5,262,564号に記載のように、脂質成分のフィルムを薬物の水溶液で水和して、その薬物をカプセル化している脂質層を形成する。例えば、本明細書に記載されるアプタマー分子は、当該分野で公知の方法を用いて構築された親油性化合物または非免疫原性の高分子量化合物との複合体として提供され得る。核酸会合複合体の例は、米国特許第6,011,020号に提供される。
【0140】
本発明の化合物はまた、標的可能な薬物キャリアとして可溶性ポリマーとカップリングされ得る。このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピル−メタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパナミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを挙げることができる。さらに、本発明の化合物は、薬物の制御された放出を得るのに有用なクラスの生分解性ポリマー、例えば、ポリ酢酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋されるかまたは両親媒性ブロックコポリマーにカップリングされてもよい。
【0141】
必要に応じて、投与されるべき薬学的組成物はまた、少量の非毒性の補助物質、例えば、保湿剤または乳化剤、pH緩衝剤、および例えば酢酸ナトリウム、トリエタノールアミン、オレイン酸塩のような他の物質を含んでもよい。
【0142】
この化合物を利用する投薬レジメンは、患者のタイプ、人種、年齢、体重、性別および医学的状態;処置されるべき状態の重篤度;投与の経路;患者の腎機能および肝機能;ならびに使用される特定の化合物またはその塩を含む種々の要因に従って選択される。通常の習熟した医師または獣医師は、この状態の進行を防止、対応または停止するのに必要な薬物の有効量を容易に決定および処方できる。
【0143】
本発明の経口投薬は、示した効果のために用いる場合、経口で約0.05〜1000mg/日にわたる。組成物は好ましくは、0.5mg、1.0mg、2.5mg、5.0mg、10.0mg、15.0mg、25.0mg、50.0mg、100.0mg、250.0mg、500.0mgおよび1000.0mgの活性成分を含むスコア付けされた錠剤の形態で提供される。本発明の化合物の有効な血漿レベルは、1日あたり体重1kgあたり0.002mg〜50mgにおよぶ。
【0144】
本発明の化合物は、1日1回の用量で投与されてもよいし、または総1日投薬量は、1日に2回、3回または4回の分割用量で投与されてもよい。
【0145】
本明細書に引用される全ての刊行物および特許文書は、そのような刊行物または文書の各々が、参考として本明細書に援用されるように詳細に、かつ個々に示されるかのように、本明細書に援用される。刊行物および特許文書の引用は、先行技術に関係することの承認と解釈されるべきではなく、その内容または日付についての承認であることもない。
【0146】
本発明は、書面の説明によってここに記載しているが、当業者は、本発明が種々の実施形態において実行可能であること、ならびに前述の説明および以下の実施例が例示の目的であって、添付の特許請求の範囲の制限ではないことを理解する。
【実施例】
【0147】
(実施例)
(実施例1 トロンビンおよびVEGF標的に対する2’−OMe SELEXTM)
約3×1014個の特有の転写テンプレートのライブラリーは、各々が30個連続するヌクレオチドのランダムな領域を含むが、これは、以下に記載のように合成して、PCR増幅した。このライブラリーのクローニングおよび配列決定によって、このライブラリーにおけるランダムな領域の組成が各々のヌクレオチドの約25%であることが実証された。DNAライブラリーをゲル濾過およびエタノール沈殿によって、未取り込みのdNTPから精製した。次いで、改変された転写物を、500μMの各々の4つの2’−OMe NTP、すなわち、A、C、UおよびG、ならびに30μMの2’−OH GTPを含む混合物から生成した(「r/mGmH」)。さらに、改変された転写物は、部分改変されたヌクレオチドおよび部分リボヌクレオチドまたは全てのリボヌクレオチドを含む混合物、すなわち、全ての2’−OHヌクレオチド(rN)を含む混合物;2’−OMe CおよびUおよび2’−OH AおよびGを含む混合物(rRmY);2’−OMe A、CおよびU、ならびに2’−OH Gを含む混合物(rGmH);ならびに交互に2’−OMe A、C、UおよびGならびに2’−OMe A、UおよびCおよび2’−FGを含む混合物(「トグル(toggle)」);から生成した。次いで、これらの改変された転写物を、標的例えば、VEGFおよびトロンビンに対してSELEXTMにおいて用いた。
【0148】
一般には、ゲル精製およびDNase処理の後、これらの改変された転写物を、VEGFについてはPBSに、またはトロンビンについては1×ASB(150mM KCl、20mM HEPES、10mM MgCl2、1mM DTT、0.05% Tween20、pH7.4)に溶解して、疎水性マスチウェルプレートの空のウェル中で1時間インキュベートして、プラスチック結合配列を取り除く。次いで、VEGFについてはPBSにおいて、またはトロンビンについてはASBND(150mM KCl、20mM HEPES、10mM MgCl2、1mM DTT、pH7.4)中において室温で、事前に1時間インキュベートしておいたウェルにこの上清を移した。1時間のインキュベーション後、このウェルを洗浄して、結合した配列をサーモスクリプト(thermoscript)逆転写酵素(Invitrogen)を用いてインサイチュで1時間65℃で逆転写した。次いで、得られたcDNAをPCR増幅して、ゲル濾過によってdNTPから分離して、これを用いて次回の選択への入力のための改変された転写物を生成した。10回の選択および増幅の後、VEGFまたはトロンビンに対して得られたライブラリーが結合する能力を、Dot−Blotによって評価した。この時点で、ライブラリーをクローニングして、配列決定し、そして個々のクローンをVEGFまたはトロンビンに対する結合能力についてアッセイした。配列およびクローンの結合データのこの組み合わせを用いて、配列モチーフを同定した。
【0149】
r/mGmHおよびトグル選択の両方に共通する、ARC224によって例示される1つのVEGFアプタマーモチーフを用いて、さらに小さい合成構築物を設計して、この構築物のVEGFに対する結合についてもアッセイして、VEGFに対して最終的に最小化されたアプタマーである、両方が23ヌクレオチド長であるARC245およびARC259を同定した。全ての2’−OMe選択に共通する、ARC226によって例示される別のVEGFアプタマーモチーフも同定した。本発明の方法によって生成したARC224アプタマーは、配列
5’−mCmGmAmUmAmUmGmCmAmGmUmUmUmGmAmGmAmAmGmUmCmGmCmGmCmAmUmUmCmG−3T(配列番号184)であって、「m」は2’−O−メチル置換である、配列を有する。
【0150】
ARC226アプタマーは、配列:
5−mGmAmUmCmAmUmGmCmAmUGmUmGmGmAmUmCmGmCmGmGmAmUmC−[3T]−3’(配列番号186)を有する。
【0151】
ARC245アプタマーは、配列:
5’−mAmUmGmCmAmGmUmUmUmGmAmGmAmAmGmUmCmGmCmGmCmAmU−[3T]−3’(配列番号187)を有する。
【0152】
ARC259アプタマーは配列:
5’−mAmCmGmCmAmGmUmUmUmGmAmGmAmAmGmUmCmGmCmGmCmGMu−[3T]−3’(配列番号188)を有する。
【0153】
図3Aは、ARC224、ARC245およびARC259によるVEGF結合のグラフである。これらのアプタマーの二次構造の模式図を、図3Bに提示する。
【0154】
ARC224、ARC226およびARC245における全ての残基は、2’−OMeであり、そして全ての構築物(最初にSELEXTMによって同定された)は、固相化学合成によって生成した。PBS中のドットブロットによって決定したこれらのアプタマーのKD値は以下のとおりである:ARC224 3.9nM、ARC245 2.1nM、ARC259 1.4nM。
【0155】
(試薬)他に示さない限り、全ての試薬をSigma(St.Louis,MO)から入手した。
【0156】
(オリゴヌクレオチド合成)Expedite 8909DNAシンセサイザー(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて標準的なプロトコールによって、DNA合成を行なった。本研究において用いたDNAライブラリーは、以下の配列:ARC254:5’−CATCGATGCTAGTCGTAACGATCCNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号1)を有するが、ここで各々のNは、4つのヌクレオチドの各々である可能性が等しい。2’−OHヌクレオチドを含む、2’−OMe RNAの合成は、3900 DNA Synthesizer(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて標準的プロトコールに従って行なった。PCRおよびRTプライマーを除いてPAGEを変性することによって、全てのオリゴヌクレオチドを精製した。
【0157】
(2’−OMeライブラリーの生成)合成DNAライブラリー(1.5nmol)を以下のプライマーを用いる標準的な条件下でPCRによって増幅した:3’プライマー5’−CATCGATGCTAGTCGTAACGATCC−3’(配列番号454)および5’プライマー5’−TAATACGACTCACTATAGGGAGAGGAGAGAAACGTTCTCG−3’(配列番号455)。二本鎖転写テンプレートの得られたライブラリーを沈殿させて、ゲル濾過によって未取り込みのヌクレオチドから分離した。熱によっても、低塩条件への曝露によっても、どの時点でもライブラリーの変性はなかった。以下の条件:二本鎖DNAテンプレート200nM、HEPES 200mM、DTT 40mM、Triton X−100 0.01%スペルミジン、2mM 2’−O−メチル ATP、CTP、GTPおよびUTP 500μM各々、2’−OH GTP 30μM、GMP 500μM、MgCl2 5.0mM、MnCl2 1.5mM 無機ピロホスファターゼ0.5単位を反応物100μLあたり、Y639F/H784A T7 RNAポリメラーゼ 1.5単位を反応物pH7.5 100μlあたり、そして10% w/v PEGでr/mGmH転写を行ない、1回目の選択についてのテンプレートを生成し、そして37℃で一晩インキュベートした。得られた転写物を変性10%PSGEによって精製して、ゲルから溶出し、RQ1 DNase(Promega,Madison WI)、とともにインキュベートし、フェノール抽出し、クロロホルム抽出し、沈殿して、PBS中に採った。選択の開始のために、2’−OMe RNAの直接化学合成によって転写物をさらに生成して、これらを変性10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって精製して、ゲルから溶出し、PBS中に採った。
【0158】
rN、rRmYおよびrGmH転写物について、転写条件は以下のとおりであった、ここで1×Tc緩衝液は:200mM HEPES、40mM DTT、2mM スペルミジン、0.01% Triton X−100、pH7.5である。
【0159】
2’−OH A、C、UおよびG(rN)条件を用いる場合、転写反応条件は、MgCl2 25mM、各NTP 5mM、1× Tc緩衝液、10% w/v PEG、T7 RNAポリメラーゼ1.5単位、および50〜200nM二本鎖テンプレート(200nMのテンプレートを1回目に用いて多様性を増大し、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の約50nMの、1/10希釈を用いた)。
【0160】
2’−OMe CおよびUおよび2’−OH AおよびG(rRmY)条件を用いる場合、転写反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜200nM二本鎖テンプレート(200nMのテンプレートを1回目に用いて多様性を増大し、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化した約50nMの、PCR反応物の1/10希釈を用いた)、5.0mM MgCl2、1.5mM、MnCl2、0.5mMの各々の塩基、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F/H784A T7 RNAポリメラーゼであった。
【0161】
2’−OMe A、CおよびUおよび2’−OH G(rGmH)条件を用いる場合、転写反応条件は、100μlの容積中において、1×Tc緩衝液、50〜200nM二本鎖DNAテンプレート(200nMのテンプレートを1回目に用いて多様性を増大し、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の約50nM、1/10希釈を用いた)、5.0mM MgCl2、1.5mM、MnCl2、0.5mMの各々の塩基、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 T7 RNAポリメラーゼであった。
【0162】
2’−OMe A、C、Uおよび2’−F G条件を用いる場合、転写反応条件は、0.5mM 2’−F GTPを2’−OH GTPの代わりに用いること以外は、rGmHと同様であった。
【0163】
(逆転写)SELEXTMの間に用いる逆転写条件は以下のとおりである(100μLの反応容積):1×Thermo緩衝液(Invitrogen)、4μMのプライマー、10mM DTT、0.2mMの各々のdNTP、200μMのバナジウム酸塩ヌクレオチドインヒビター、10μg/ml tRNA、Thermoscript RT酵素1.5単位(Invitrogen)。逆転写反応の収率は、2’OMeテンプレートについては低い。PCR反応条件は、以下のとおりである:1×ThermoPol緩衝液(NEB)、0.5μM 5’プライマー、0.5μM 3’プライマー0.2mMの各々のDHTP、Taq DNAポリメラーゼ5単位(NEB)。
【0164】
(2’−OMe SELEXTMプロトコール)上述のとおり、全部で10の選択について5種の転写物を用いて、2つの標的(VEGFおよびトロンビン)の各々に対する改変された転写物でSELEXTMを行なった。5種の転写物は:「rN」(全て2’−OH)、「rRmY」(2’−OH A、G、2’−OMe C、U)、「rGmH」(2’OH G、2’−OMe C、U、A)、「r/mGmH」(2’−OMe A、U、G、C 500μM、2’−OH G 30μM)、「トグル」(あるいは、「r/mGmH」および2’−OMe A、U、C、2’−F G)であった。
【0165】
VEGFに対する選択の全てによって、VEGF特異的アプタマーを生成したが、トロンビンに対するrNおよびrRmY選択のみでは、トロンビン特異的アプタマーが生成された。これらの選択において同定されたアプタマー配列を以下の表1〜5(VEGF)および表6〜10(トロンビン)に示す。
【0166】
この配列は、トロンビンの「rGmH」、「r/mGmH」および「トグル」は5回目から、VEGF「r/mGmH」は10回目から、そしてVEGF「トグル」は8回目からであることを除けば、SELEXTMの11回目由来である。
【0167】
「NUNC MAXY」プレートに対する疎水性吸着によってタンパク質を最初に固定すること、結合しなかったタンパク質を洗い流すこと、2’−OMe置換転写物のライブラリーを固定されたタンパク質とともにインキュベートすること、結合しなかった転写物を洗い流すこと、プレート中でRTを直接実施すること、その後のPCR、およびその後得られた二本鎖DNAテンプレートを適切な転写条件下で転写することによって、選択を行なった。
【0168】
シラン処理したウェル中で種々のタンパク質濃度とともにインキュベートした微量の32Pで本体標識した転写物を用いて、結合アッセイを行ない、ついでこれらをナイロン膜上のニトロセルロース膜のサンドイッチを通過させた。タンパク質結合RNAはNC膜上で可視化され、未結合のRNAはナイロン膜上で可視化される。次いで、結合割合を用いて親和性を算出する(図4、5および6を参照のこと)。例えば、ARC224(全て2−OMe)の種々の2’−OH G改変体の結合特徴は図4に示す。命名法「mGXG」とは、5’末端から連続して番号付けした「X」位置における2’OMe Gについての2’−OH Gの置換を示す。従って、mG7G ARC224は、7位に2’−OHを有するARC224である。ARC225は、7位、10位、14位、16位、19位、22位および24位において2’−OMeから2’−OHへの置換を有するARC224である。全ての構築物(SELEXTMによって最初に同定した)は、固相化学合成によって生成した。これらのデータは、PBS中でのドット−ブロットによって生成した。完全に2’−OMeのアプタマーであるARC224は、研究したいずれの2’−OH置換改変体に比べても優れたVEGF結合特性を有する。
【0169】
図5は、VEGFに対するARC224およびARC225の結合のプロットである。このグラフによって、ARC224が、VEGFの生物学的機能を阻害する様式でVEGFに結合することが示される。125I標識VEGFをアプタマーとともにインキュベートし、次いでその混合物をヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)とともにインキュベートした。その上清を除去して、細胞を洗浄し、結合したVEGFをシンチレーションカウンターでカウントした。ARC225は、ARC224と同じ配列を有し、5’末端から番号付けした7、10、14、16、19、22および24位における2’−OMeから2’−OHへの置換を有する。これらのデータによって、ARC224のIC50が約2nMであることが示される。
【0170】
図6は、EDTAの有無によるオートクレーブの前後のVEGFに対するARC224結合の結合曲線プロットである。図6は、125℃のピーク温度で25分のオートクレーブの前後の、機能的であるアプタマーの割合およびVEGFに対する結合のIC50の両方を示す。これらのデータは、PBS中のドットブロットによって測定した、PBS中の1nM VEGFに対する5’標識ARC224の結合の未標識のARC224による阻害によって決定した。示される場合、サンプルは1mM EDTAを含んだ。全ての構築物(最初にSELEXTMによって同定した)は、固相化学合成によって生成した。このアッセイの限界内ではARC224の分解を観察しなかった。
【0171】
分解研究によって、4日にわたる37℃で血漿中でのインキュベーションによって、半減期の測定ができないが少なくとも4日以上であるようなわずかな分解が誘導される(例えば、図7を参照のこと)。図7Aおよび図7Bは、ラット血漿において37℃でインキュベートした場合の、それぞれARC224およびARC226の安定性のプロットである。この図で示すとおり、ARC224およびACR226の両方がラット血漿において4日後、検出可能な分解を示さなかった。これらの実験では、5’標識したARC224およびARC226をラット血漿中で37℃でインキュベートして、変性PAGEによって分析した。全ての構築物(SELEXTMによって最初に同定した)を固相化学合成によって生成した。半減期は、100時間を超えると思われる。
【0172】
以下の表1〜表10は、示したとおり、種々のライブラリーから単離した転写されたアプタマー、すなわちrN、rRmY、rGmHおよびr/mGmHに相当するアプタマーのDNA配列を示す。アプタマーの配列は、示したDNA配列においてチミジン残基に代わってウリジン残基を有する。表11は、本発明の方法によって得られた安定化されたアプタマー配列を示す。本明細書において用いる場合、「3T」とは、5’位においてオリゴヌクレオチドホスホジエステル骨格に結合した逆位チミジンヌクレオチドをいい、この得られたオリゴは2つの5’−OH末端を有し、従って3’ヌクレアーゼに対して耐性である。
【0173】
他に言及しない限り、種々の表に列挙した個々の配列は、提供されたSELEX条件下で選択されたアプタマーのcDNAクローンである。本発明に提供される実際のアプタマーは、本明細書に示すとおり、rN、mN、rRmY、rGmH、r/mGmH、dRmYおよび残基のトグル組み合わせを含む配列に相当する配列である。
【0174】
(2’−OMe SELEXTMの結果)
(表1−VEGFアプタマー配列の対応するcDNA−全て2’−OH(rN))
【0175】
【表1−1】
【0176】
【表1−2】
(表2−VEGFアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OH AG、2’−OMe CU(rRmY))
【0177】
【表2−1】
【0178】
【表2−2】
(表3−VEGFアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OH G、2’−OMe CUA(rGmH))
【0179】
【表3−1】
【0180】
【表3−2】
(表4−VEGFアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OMe AUGC(r/mGmH、各々のGは、その中に2’−OMe基を組み込んでいる確率が90%である))
【0181】
【表4−1】
【0182】
【表4−2】
(表5−VEGFアプタマー配列の対応するcDNA−交互に「r/mGmH」および2’−OMe AUC、2’−F G(トグル))
【0183】
【表5−1】
【0184】
【表5−2】
(表6−トロンビンアプタマー配列の対応するcDNA−全て2’−OH(rN))
【0185】
【表6−1】
【0186】
【表6−2】
(表7−トロンビンアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OH AG、2’−OMe CU(rRmY))
【0187】
【表7−1】
【0188】
【表7−2】
(表8−トロンビンアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OH G、2’−OMe CUA(rGmH))
【0189】
【表8−1】
【0190】
【表8−2】
(表9−トロンビンアプタマー配列の対応するcDNA−2’−OMe AUGC(r/mGmH、各々のGは、その中に2’−OMe基を組み込んでいる確率が90%である))
【0191】
【表9−1】
【0192】
【表9−2】
(表10−トロンビンアプタマー配列の対応するcDNA−交互に「r/mGmH」および2’−OMe AUC、2’−F G(トグル))
【0193】
【表10−1】
【0194】
【表10−2】
(表11−安定化されたアプタマー配列(各々のG残基は、2’−OMe基で置換されている確率が90%であり、「3T」とは、5’位においてホスホジエステル骨格に結合した逆位チミジンヌクレオチドをいい、この得られたオリゴは2つの5’−OH末端を有し、従って3’ヌクレアーゼに対して耐性である)
【0195】
【表11】
(実施例2 2’−OMe SELEXTM)
転写テンプレートのライブラリーを用いて、種々の条件下で2’−O−メチNTPを組み込んでいるRNAオリゴヌクレオチドのプールを生成した。転写テンプレート(ARC256)および転写条件は、rRmY(配列番号456)、rGmH(配列番号462)、r/mGmH(配列番号463)、およびdRmY(配列番号464)として以下に記載する。未改変のRNA転写物を配列番号468によって示す。
ARC256:DNA転写テンプレート
5’−CATCGATCGATCGATCGACAGCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号453)
ARC256 RNA転写産物は:
5’−GGGAGAGGAGAGAACGUUCUACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCUGUCGAUCGAUCGAUCGAUG−3’(配列番号468)である。
【0196】
転写条件は、1×Tc緩衝液が200mM HEPES、40mM DTT、2mMスペルミジン、0.01% Triton X−100、pH7.5であるように変更された。
【0197】
2’−OMe CおよびUおよび2’−OH AおよびG(rRmY)条件を用いる場合、転写反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜200nMの二本鎖テンプレート(200nmテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化した、約50nMの、PCR反応物の1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2、2.9mM MnCl2、2mMの各々の塩基、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F/H784A T7 RNAポリメラーゼであった。1単位のY639F/H784A T7 RNAポリメラーゼとは、r/mGmH条件下で転写物中に1ナノモルの2’−OMe NTPを取り込むのに必要な酵素の量として規定される。1単位の無機ピロホスファターゼとは、pH7.2で25℃において1分あたり1.0モルの無機オルトリン酸塩を遊離する酵素の量として規定される。
【0198】
2’−OMe A、CおよびUおよび2’−OH G(rGmH)条件を用いる場合、転写反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜200nM二本鎖DNAテンプレート(200nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2、2.9mM、MnCl2、2mMの各々の塩基、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 T7 RNAポリメラーゼであった。1単位のY639F変異 T7 RNAポリメラーゼとは、r/mGmH条件下で転写物中に1ナノモルの2’−OMe NTPを取り込むのに必要な酵素の量として規定する。
【0199】
全ての2’−OMeヌクレオチド(r/mGmH)の条件を用いる場合、反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜200nM二本鎖テンプレート(200nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)、6.5mM MgCl2、2mM MnCl2、1mMの各々の塩基、30μM GTP、1mM GMP、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F/H784A T7 RNAポリメラーゼであった。
【0200】
デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン(dRmY)条件を用いる場合、反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜300nM二本鎖テンプレート(300nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nM、1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2、2.9mM MnCl2、2mMの各々の塩基、30μM GTP、2mM スペルミジン、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 RNAポリメラーゼであった。
【0201】
次いで、これらのプールをSELEXTMにおいて用いて以下の標的に対するアプタマーを選択した:IgE、IL−23、PDGF−BB、トロンビンおよびVEGF。標的IL−23に対して結合する6、7、8回目のdRmYおよび未選択の配列のプロットを図14に示し、そして標的PDGF−BBに結合する6、7回目のdRmYおよび未選択の配列のプロットを図14に示す。
【0202】
(実施例3 IgEに対するアプタマーのdRmY SELEXTM)
完全に2’−OMe置換したオリゴヌクレオチドは、最も安定な改変アプタマーであるが、デオキシプリンヌクレオチドでのプリンの置換によっても安定な転写物が生じる。dRmY(デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン)転写条件を用いる場合、この産物は極めてDNase耐性であり、かつ安定な治療剤として有用である。この結果は驚くべきである。なぜならdRmY転写物の組成は、ほぼ50%DNAであり、周知のとおりヌクレアーゼによって容易に分解されるからである。また、dRmY転写条件を用いる場合、2’−OH GTPスパイクの必要はない。研究によって、改変されたヌクレオチドを有するほぼ同じ量のdRmY転写物が、2’−OH GTPドーピングで2’−OH GTPドーピングなしの場合と同様に生成されることが示されている。従って、dRmY転写条件下では、2’−OH GTPドーピングは任意である。転写テンプレートのライブラリーを用いて、種々の転写条件下で、2’−O−メチルピリミジンNTP(UおよびC)およびデオキシプリン(AおよびG)NTPを組み込むオリゴヌクレオチドのプールを生成した。転写テンプレート(ARC256)および転写条件はdRmYと同様に以下に記載する。
【0203】
ARC256:DNA転写テンプレート
5’−CATCGATCGATCGATCGACAGCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号453)
ARC256 dRmY RNA転写物は:
5’−GGGAGAGGAGAGAACGUUCUACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCUGUCGAUCGAUCGAUCGAUG−3’(配列番号464)である。
【0204】
デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン(dRmY)条件を用いる場合、反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜300nM二本鎖テンプレート(300nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2、2.9mM MnCl2、2mMの各々の塩基、30μM GTP、2mM スペルミジン、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 RNAポリメラーゼであった。
【0205】
次いで、これらのプールをSELEXTMにおいて用いて標的としてIgEに対するアプタマーを選択した。上記のようにSELEXTMの6回目の後に得た配列を以下の表12に列挙する。標的IgE濃度の増大に伴って結合した6回目の配列のプロットを図8に示す。
【0206】
(表12−IgEに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の対応するcDNA)
【0207】
【表12−1】
【0208】
【表12−2】
【0209】
【表12−3】
(実施例4 トロンビンに対するアプタマーのdRmY SELEXTM)
完全に2’−OMe置換したオリゴヌクレオチドは、最も安定な改変アプタマーであるが、デオキシプリンヌクレオチドでのプリンの置換によっても安定な転写物が生じる。dRmY(デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン)転写条件を用いる場合、この産物は極めてDNase耐性であり、かつ安定な転写物として有用である。この結果は驚くべきである。なぜならdRmY転写物の組成は、ほぼ50%DNAであり、周知のとおりヌクレアーゼによって容易に分解されるからである。また、dRmY転写条件を用いる場合、2’−OH GTPスパイクの必要はない。転写テンプレートのライブラリーを用いて、種々の転写条件下で、2’−O−メチルピリミジンNTP(UおよびC)およびデオキシプリン(AおよびG)NTPを組み込むオリゴヌクレオチドのプールを生成した。転写テンプレート(ARC256)および転写条件はdRmYと同様に以下に記載する。
【0210】
ARC256:DNA転写テンプレート
5’−dCATCGATCGATCGATCGACAGCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号453)
ARC256 dRmY RNA転写産物は:
5’GGGAGAGGAGAGAACGUUCUACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCUGUCGAUCGAUCGAUCGAUG−3’(配列番号464)である。
【0211】
デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン(dRmY)条件を用いる場合、反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜300nM二本鎖テンプレート(300nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2 2.9mM、MnCl2、2mMの各々の塩基、30μM GTP、2mM スペルミジン、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 RNAポリメラーゼであった。
【0212】
次いで、これらのプールをSELEXTMにおいて用いて標的としてトロンビンに対するアプタマーを選択した。上記のようにSELEXTMの6回目の後に得た配列を以下の表13に列挙する。標的トロンビンに結合した6回目の配列のプロットを図9に示す。
【0213】
(表13−トロンビンに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の対応するcDNA)
【0214】
【表13−1】
【0215】
【表13−2】
【0216】
【表13−3】
(実施例5 VEGFに対するアプタマーのdRmY SELEXTM)
完全に2’−OMe置換したオリゴヌクレオチドは、最も安定な改変アプタマーであるが、デオキシプリンヌクレオチドでのプリンの置換によっても安定な転写物が生じる。dRmY(デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン)転写条件を用いる場合、この産物は極めてDNase耐性であり、かつ安定な転写物として有用である。この結果は驚くべきである。なぜならdRmY転写物の組成は、ほぼ50%のDNA RNAであり、周知のとおりヌクレアーゼによって容易に分解されるからである。また、dRmY転写条件を用いる場合、2’−OH GTPスパイクの必要はない。転写テンプレートのライブラリーを用いて、種々の転写条件下で、2’−O−メチルピリミジンNTP(UおよびC)およびデオキシプリン(AおよびG)NTPを組み込むオリゴヌクレオチドのプールを生成した。転写テンプレート(ARC256)および転写条件はdRmYと同様に以下に記載する。
【0217】
ARC256:DNA転写テンプレート
5’−CATCGATCGATCGATCGACAGCGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGTAGAACGTTCTCTCCTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA(配列番号453)
ARC256 dRmY 転写産物は:
5’−GGGAGAGGAGAGAACGUUCUACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCUGUCGAUCGAUCGAUCGAUG−3’(配列番号464)である。
【0218】
デオキシプリン、AおよびG、ならびに2’−OMeピリミジン(dRmY)条件を用いる場合、反応条件は、1×Tc緩衝液、50〜300nM二本鎖テンプレート(300nMのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の1/10希釈を用いた)、9.6mM MgCl2、2.9mM MnCl2、2mMの各々の塩基、30μM GTP、2mM スペルミジン、10% PEG−8000、0.25単位の無機ピロホスファターゼおよび1.5単位のY639F単独変異 RNAポリメラーゼであった。
【0219】
次いで、これらのプールをSELEXTMにおいて用いて標的としてVEGFに対するアプタマーを選択した。上記のようにSELEXTMの6回目の後に得た配列を以下の表14に列挙する。標的VEGF濃度に結合した6回目の配列のプロットを図10に示す。
【0220】
(表14−VEGFに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の対応するcDNA)
【0221】
【表14−1】
【0222】
【表14−2】
(実施例6 2’−OMe NTP(mN)およびdRmYオリゴヌクレオチドの血漿安定性)
ポリエチレングリコールポリマー(PEG)に連結された2つの配列のオリゴヌクレオチドを2つのバージョンで合成した:(1)全て2’−OMe NTP(mN):5’−GGAGCAGCACC−3’(配列番号457)−[PEG]−GGUGCCAAGUCGUUGCUCC−3’(配列番号458)を有するバージョン、および(2)2’−OHプリン NTPおよび2’−OMeピリミジン(dRmY)GGAGCAGCACC−3’(配列番号465)−[PEG]−GGUGCCAAGUCGUUGCUCC−3’(配列番号466)を有するバージョン。これらのオリゴヌクレオチドを全長の安定性について評価した。図11Aは、3’idTを有する全部2’−OMeのオリゴヌクレオチドの分解プロットを示しており、そして図11Bは、dRmYオリゴヌクレオチドの分解プロットを示している。オリゴヌクレオチドを37℃で95%ラット血漿中において50nMでインキュベートして、各々について48時間よりかなり長い血漿半減期、そしてそれらが極めて類似の血漿安定性プロフィールを有することを示している。
【0223】
(実施例7 ヒトIL−23に対するrRmYおよびrGmH 2’−OMe SELEXTM)
2’−OMe C、Uおよび2’−OH G、A(rRmY)、ならびに2’−O−メチルA、CおよびUおよび2’−OH G(rGmH)を含むアプタマーを同定するために選択を行なった。全ての選択は、疎水性プレート上に固定されているヒトIL−23タンパク質標的に対する直接選択であった。選択によって、ナイーブな未選択のプールに対するh−IL−23結合について有意に富化されたプールを得た。h−IL−23についての個々のクローン配列を本明細書において報告しているが、個々のクローンについてのh−IL−23結合データは示していない。
【0224】
(プール調製)ABI EXPEDITETM DNAシンセサイザーを用いて配列5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCTGTCGATCGATCGATCGATG−3’(配列番号459)を有するDNAテンプレートを合成して、標準的な方法によって脱保護した。テンプレートは、プライマーPB.118.95.G:5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTAC−3’(配列番号460)およびSTC.104.102.A(5’−CATCGATCGATCGATCGACAGC−3’(配列番号461)を用いて増幅し、次いで、Y639F単独変異体T7 RNAポリメラーゼでのインビトロ転写のためのテンプレートとして用いた(200nmのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)。転写は、200mM HEPES、40mM DTT、2mM スペルミジン、0.01% TritonX−100、10% PEG−8000、5mM MgCl2、1.5mM MnCl2、500μM NTP、500μM GMP、0.01単位/μlの無機ピロホスファターゼおよびY639F単独変異T7ポリメラーゼを用いて行なった。2つの異なる組成物であるrRmYおよびrGmHを転写した。
【0225】
(選択)各々の回の選択は、100μLの1×ダルベッコPBS中において室温で2時間のNunc Maxisorp疎水性プレートの表面に対して20ピコモルのh−IL−23を固定することによって開始した。次いで、この上清を取り出して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液(1×DPBS、0.2% BSAおよび0.05% Tween−20)を用いて4回洗浄した。プールのRNAを3分間90℃に加熱して、10分間室温に冷却して再折り畳みした。1回目には、陽性の選択工程を行なった。要するに、プールのRNAの1×1014個の分子(0.2ナノモル)を、固定されたタンパク質標的とともにウェル中において100μLの結合緩衝液(1×DPBSおよび0.05% Tween−20)中で1時間インキュベートした。次いで、上清を回収して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液を用いて4回洗浄した。その後の回には陰性の選択工程を含んだ。プールRNAをまた、空のウェル中において室温で30分間インキュベートして、陽性選択工程の前にプールから可撓性の結合配列を除いた。ストリンジェンシーを増大するために、洗浄回数は4回目の後には増やした。全ての場合において、固定されたh−IL−23に結合したプールRNAを、RT混合物(3’プライマー、STC.104.102.AおよびThermoscript RT、Invitrogen)の添加、その後の65℃での1時間のインキュベートの後に、選択プレート中に直接、逆転写した。得られたcDNAをPCRのテンプレートとして用いた(Taqポリメラーゼ、New England Biolabs)60℃のアニーリング温度と組み合わせた「Hot start(ホットスタート)」PCR条件を用いて、プライマー−ダイマー形成を最小化した。製造業者の推奨する条件に従って、Centrisepカラムを用いて、増幅したプールのテンプレートDNAを脱塩して、次回の選択のためのプールRNAの転写をプログラムするために用いた。転写されたプールは、10%ポリアクリルアミドゲル上で毎回ゲル精製した。表15は、選択1回あたりに用いたRNAプールの濃度を示す。
【0226】
(表15−選択の1回あたりのRNAプールの濃度)
【0227】
【表15】
サンドイッチフィルター結合アッセイを用いて選択の進行をモニタリングした。5’−32P標識したプールのRNAを90℃で3分間再折り畳みして、室温に10分間冷却した。次に、プールRNA(微量)をh−IL−23 DPBSに0.1mg/ml tRNAを加えたものと一緒に30分間室温でインキュベートし、次いで、ドットブロット装置(Schleicher and Schuell)中でニトロセルロースおよびナイロンフィルターサンドイッチに加えた。ニトロセルロースに結合したプールのRNAの割合を算出して、ほぼ3回ごとにシングルポイントスクリーンを用いてモニターした(+/−250nM h−IL−23)。プールKD測定は、タンパク質の滴定および上記のようなドットブロット装置を用いて測定した。
【0228】
(選択)rRmY h−IL−23選択は、4回目の選択後、h−IL−23結合対ナイーブなプールについて富化された。選択ストリンジェンシーを増大して、選択は8回以上の回について継続した。9回目にプールのKDは約500nM以上であった。rGmH選択は10回目にナイーブなプール結合を超えて富化された。プールのKDはまた、約500nM以上である。TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてプールをクローニングして、個々の配列を生成した。図12によって、rGmHの10回目およびrRmYの12回目のプールについてのh−IL−23に対するプール結合データが示される。解離定数を評価して、式:結合したRNA画分=振幅*KD/(KD+[h−IL−23])に対してデータをあてはめた。表16は、rRmY選択の12回目について個々のクローン選択を示している。48個のクローンのうちに6つの複製配列の1群および2つの複数配列の4対が存在する。48個の全てのクローンを標識して、200mM h−IL−23に対する結合について試験する。表17は、rGmH選択の10回目の個々のクローン配列を示す。結合データを図14に示す。
【0229】
(表16.rRmY選択の12回目の個々のクローン配列の対応するcDNA)
【0230】
【表16−1】
【0231】
【表16−2】
(表17.rGmH選択の10回目の個々のクローン配列の対応するcDNA)
【0232】
【表17−1】
【0233】
【表17−2】
(実施例8 ヒトIgEに対するrRmY 2’−OMe SELEXTM)
2’−OMe C、Uおよび2’−OH G、A(rRmY)を含むアプタマーを同定するために選択を行なった。全ての選択は、疎水性プレート上に固定されていたヒトIgEタンパク質標的に対する直接選択であった。選択によって、ナイーブな未選択のプールに対するh−IgE結合について有意に富化されたプールを得た。h−IgEについての個々のクローン配列を本明細書において報告しているが、個々のクローンについてのh−IgE結合データは示していない。
【0234】
(プール調製)ABI EXPEDITETM DNAシンセサイザーを用いて配列5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCTGTCGATCGATCGATCGATG−3’(配列番号459)を有するDNAテンプレートを合成して、標準的な方法によって脱保護した。テンプレートは、プライマーPB.118.95.G:5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTAC−3’(配列番号460)およびSTC.104.102.A(5’−CATCGATCGATCGATCGACAGC−3’(配列番号461)を用いて増幅し、次いで、Y639F単独変異体T7 RNAポリメラーゼでのインビトロ転写のためのテンプレートとして用いた(200nmのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)。転写は、200mM HEPES、40mM DTT、2mM スペルミジン、0.01% TritonX−100、10% PEG−8000、5mM MgCl2、1.5mM、MnCl2 500μM NTP、500μM GMP、0.01単位/μlの無機ピロホスファターゼおよびY639F単独変異T7ポリメラーゼを用いて行なった。
【0235】
(選択)各々の回の選択は、100μLの1×ダルベッコPBS中において室温で2時間のNunc Maxisorp疎水性プレートの表面に対して20ピコモルのh−IgEを固定することによって開始した。次いで、この上清を取り出して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液(1×DPBS、0.2% BSAおよび0.05% Tween−20)を用いて4回洗浄した。プールのRNAを3分間90℃に加熱して、10分間室温に冷却して再折り畳みした。1回目には、陽性の選択工程を行なった。要するに、プールのRNAの1×1014個の分子(0.2モル)を、固定されたタンパク質標的とともにウェル中において100μLの結合緩衝液(1×DPBSおよび0.05% Tween−20)中で1時間インキュベートした。次いで、上清を回収して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液を用いて4回洗浄した。その後の回には陰性の選択工程を含んだ。プールRNAをまた、空のウェル中において室温で30分間インキュベートして、陽性選択工程の前にプールから可撓性の結合配列を除いた。ストリンジェンシーを増大するために、洗浄回数は4回目の後には増やした。全ての場合において、固定されたh−IgEに結合したプールRNAを、RT混合物(3’プライマー、STC.104.102.AおよびThermoscript RT、Invitrogen)の添加、その後の65℃での1時間のインキュベートの後に、選択プレート中に直接、逆転写した。得られたcDNAをPCRのテンプレートとして用いた(Taqポリメラーゼ、New England Biolabs)60℃のアニーリング温度と組み合わせた「Hot start」PCR条件を用いて、プライマー−ダイマー形成を最小化した。製造業者の推奨する条件に従って、Centrisepカラムを用いて、増幅したプールのテンプレートDNAを脱塩して、次回の選択のためのプールRNAの転写をプログラムするために用いた。転写されたプールは、10%ポリアクリルアミドゲル上で毎回ゲル精製した。
【0236】
h−IgEに対するrRmYプール選択は、ナイーブなプール結合を超えて4回目後に富化された。選択のストリンジェンシーを増大して、選択を2回以上継続した。6回目のプールのKDは、約500nM以上である。TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてプールをクローニングして、配列決定に供した。プールは、配列決定されたクローンの71%までを構成した1つの主要なクローン(AMX(123).A1)を含んだ。これらのさらなるクローンを試験したところ、主要なクローンよりも高い程度の結合が示された。プールのKDは約500nMであると算出された。解離定数はまた上記のように算出した。表18は、h−IgEに対する選択の6回後のrRmYプールクローンを示すが、ここでは主要なクローンが、8つの他の配列ファミリーとともに、96個のクローンのうち40%までを構成している、AMX(123).A1であった。
【0237】
(表18.h−IgEに対する6回目の選択後、rRmYプールクローンの個々のクローン配列の対応するcDNA)
【0238】
【表18】
(実施例9 PDGF−BBに対するrRmYおよびrGmH 2’−OMe SELEXTM)
2’−OMe C、Uおよび2’−OH G、A(rRmY)、ならびに他の2’−O−メチルA、CおよびUおよび2’−OH G(rGmH)を含むアプタマーを同定するために選択を行なった。全ての選択は、疎水性プレート上に固定されていたヒトPDGF−BBタンパク質標的に対する直接選択であった。選択によって、ナイーブな未選択のプールに対するh−PDGF−BB結合について有意に富化されたプールを得た。PDGF−BBについての個々のクローン配列を本明細書において報告している。
【0239】
(プール調製)ABI EXPEDITETM DNAシンセサイザーを用いて配列5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTACNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGCTGTCGATCGATCGATCGATG−3’(配列番号459)を有するDNAテンプレートを合成して、標準的な方法によって脱保護した。テンプレートは、プライマーPB.118.95.G:5’−GGGAGAGGAGAGAACGTTCTAC−3’(配列番号460)およびSTC.104.102.A(5’−CATCGATCGATCGATCGACAGC−3’(配列番号461)を用いて増幅し、次いで、Y639F単独変異体T7 RNAポリメラーゼでのインビトロ転写のためのテンプレートとして用いた(200nmのテンプレートを1回目に用いて、そしてその後の回には、本明細書に記載の条件を用いて、最適化したPCR反応物の50nMの、1/10希釈を用いた)。転写は、200mM HEPES、40mM DTT、2mM スペルミジン、0.01% TritonX−100、10% PEG−8000、5mM MgCl2、1.5mM MnCl2、500μM NTP、500μM GMP、0.01単位/μlの無機ピロホスファターゼおよびY639F単独変異T7ポリメラーゼを用いて行なった。2つの異なる組成物であるrRmYおよびrGmHを転写した。
【0240】
(選択)各々の回の選択は、100μLの1×ダルベッコPBS中における室温で2時間のNunc Maxisorp疎水性プレートの表面に対して20ピコモルのPDGF−BBを固定することによって開始した。次いで、この上清を取り出して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液(1×DPBS、0.2% BSAおよび0.05% Tween−20)を用いて4回洗浄した。プールのRNAを3分間90℃に加熱して、10分間室温に冷却して再折り畳みした。1回目には、陽性の選択工程を行なった。要するに、プールのRNAの1×1014個の分子(0.2ナノモル)を、固定されたタンパク質標的とともにウェル中において100μLの結合緩衝液(1×DPBSおよび0.05% Tween−20)中でインキュベートした。次いで、上清を回収して、ウェルを120μLの洗浄緩衝液を用いて4回洗浄した。その後の回には陰性の選択工程を含んだ。プールRNAをまた、空のウェル中において室温で30分間インキュベートして、陽性選択工程の前にプールから可撓性の結合配列を除いた。ストリンジェンシーを増大するために、洗浄回数は4回目の後には増やした。全ての場合において、固定されたPDGF−BBに結合したプールRNAを、RT混合物(3’プライマー、STC.104.102.AおよびThermoscript RT、Invitrogen)の添加、その後の65℃での1時間のインキュベートの後に、選択プレート中に直接、逆転写した。得られたcDNAをPCRのテンプレートとして用いた(Taqポリメラーゼ、New England Biolabs)60℃のアニーリング温度と組み合わせた「Hot start」PCR条件を用いて、プライマー−ダイマー形成を最小化した。製造業者の推奨する条件に従って、Centrisepカラムで増幅したプールのテンプレートDNAを脱塩して、次回の選択のためのプールRNAの転写をプログラムするために用いた。転写されたプールは、10%ポリアクリルアミドゲル上で毎回精製した。
【0241】
ナイーブなプールは、PDGF−BBに結合するが、rRmY PDGF−BB選択は、ナイーブなプール結合を超えて4回目後に富化された。選択のストリンジェンシーを増大して、選択を8回以上継続した。12回目に、プールは、ナイーブなプールを超えて富化されるが、KDは極めて高い。rGmH選択は、10回目のナイーブなプール結合を超えて富化された。プールのKDはまた、約950nM以上である。TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてプールをクローニングして、配列決定に供した。PDGF−BBプール選択の12回後、クローンを転写して配列決定した。表19はクローン配列を示す。図13(A)は、rRmYプールPDGF−BB選択についての12回のプールの結合プロットを示し、そして図13(B)は、rGmHプールPDGF−BB選択についての10回のプールの結合プロットを示す。サンドイッチフィルター結合技術を用いて解離定数を再度測定した。解離定数(KD)を評価して、式:結合したRNA画分=振幅*KD/(KD+[PDGF−BB])に対してデータをあてはめてた。
【0242】
(表19.PDGF−BBに対する12回の選択後rRmYプールの個々のクローン配列の対応するcDNA)
【0243】
【表19−1】
【0244】
【表19−2】
(表20.PDGF−BBに対する10回の選択後rGmHプールの個々のクローン配列の対応するcDNA)
【0245】
【表20−1】
【0246】
【表20−2】
本発明は、詳細な説明および前述の非限定的な実施例によって記載されているが、添付の特許請求の趣旨および範囲によってここに定義している。
【図面の簡単な説明】
【0247】
【図1】図1は、ランダム配列オリゴヌクレオチドのプールからのインビトロにおけるアプタマー選択(SELEXTM)プロセスの模式図である。
【図2】図2は、2’−O−メチル(2’−OMe)改変ヌクレオチドを示しており、ここで「B」はプリン塩基またはピリミジン塩基である。
【図3】図3Aは、3つの2’−OMe VEGFアプタマーによるVEGF結合のグラフである:ARC224、ARC245およびARC259;図3Bは、これらのアプタマーの配列および推定の二次構造を示す。
【図4】図4は、ARC224およびARC225の種々の2’−OH G改変体によるVEGF結合のグラフである。
【図5】図5は、HUVECにおけるVEGFに対するARC224の結合のグラフである。
【図6】図6は、EDTAの有無における、オートクレーブの前後のVEGFに対するARC224結合のグラフである。
【図7】図7Aおよび7Bは、ラット血漿中で37℃でインキュベートした場合の、それぞれ、ARC224およびARC226の安定性のグラフである。
【図8】図8は、IgEに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の結合のグラフである。
【図9】図9は、トロンビンに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の結合のグラフである。
【図10】図10は、VEGFに対するdRmY SELEXTMの6回目の配列の結合のグラフである。
【図11】図11Aは、95%ラット血漿(クエン酸付加)中において37℃で3’−idTを用いた全ての2’−OMeオリゴヌクレオチドの分解プロットであり、そして図11Bは、95%ラット血漿中における37℃での対応するdRmYオリゴヌクレオチドの分解プロットである。
【図12】図12は、rGmH h−IgE結合クローンのグラフである(6回目)。
【図13】図13Aは、rRmYプールのPDGF−BB選択のための12回目のプールのグラフであり、図13Bは、rGmHプールのPDGF−BB選択のための10回目のプールのグラフである。
【図14】図14は、dRmY SELEXTMの6、7、8回目および選択されない配列のIL−23に対する結合のグラフである。
【図15】図15は、dRmY SELEXTMの6、7回目および選択されない配列のPDGF−BBに対する結合のグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的分子に対する修飾ヌクレオチドを含む核酸リガンドを同定するための方法であって、該方法は、以下:
a)変異したポリメラーゼ、1つ以上の2’修飾ヌクレオチド三リン酸(NTP)、マグネシウムイオンおよび1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを含む転写反応混合物を調製する工程;
b)該変異したポリメラーゼが、1つ以上の修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも1つを候補混合物の各々の核酸に組み込む条件下で、該1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを転写することによって、一本鎖核酸の該候補混合物を調製する工程であって、該候補混合物の各々の核酸が、2’位修飾ピリミジンおよび2’位修飾プリンからなる群より選択される2’修飾ヌクレオチドを含む、工程;
c)該候補混合物と該標的分子とを接触させる工程;
d)候補混合物の残部から、該候補混合物に関連する該標的分子に対する親和性が増大している核酸を分配する工程;ならびに、
e)該親和性が増大した核酸をインビトロで増幅して、核酸のリガンド富化混合物を得て、それによって該標的分子の核酸リガンドが同定される工程;
を包含する、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−OH、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−NH2、2’−F、および2’−メトキシエチル修飾からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−F修飾である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変異したポリメラーゼが、変異したT7 RNAポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異(Y639F)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(H784A)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異、および784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(Y639F/H784A)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチド転写テンプレートが、オリゴヌクレオチド転写テンプレートの5’末端において固定された領域に組み込まれたリーダー配列をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記リーダー配列が、全てのプリンリーダー配列を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記全てのプリンリーダー配列が、少なくとも6ヌクレオチド長;少なくとも8ヌクレオチド長;少なくとも10ヌクレオチド長;少なくとも12ヌクレオチド長;および少なくとも14ヌクレオチド長からなる群より選択される長さを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記転写反応混合物が、マンガンイオンをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
マグネシウムイオンの濃度が、前記マンガンイオンの濃度よりも3.0倍と3.5倍との間で大きい、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
各々のNTPが0.5mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が5.0mMであり、かつマンガンイオンの濃度が1.5mMである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
各々のNTPが1.0mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が6.5mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.0mMである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
各々のNTPが2.0mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が9.6mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.9mMである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記転写反応混合物が、2’−OH GTPをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記転写反応混合物が、ポリアルキレングリコールをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール(PEG)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記転写反応混合物が、さらにGMPを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、さらに、以下:
f)工程d)および工程e)を反復する工程、
を包含する、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法に従って同定されたトロンビンに対する核酸リガンド。
【請求項23】
請求項1に記載の方法に従って同定された血管内皮増殖因子(VEGF)に対する核酸リガンド。
【請求項24】
請求項1に記載の方法に従って同定されたIgEに対する核酸リガンド。
【請求項25】
請求項1に記載の方法に従って同定されたIL−23に対する核酸リガンド。
【請求項26】
請求項1に記載の方法に従って同定された血小板由来増殖因子−BB(PDGF−BB)に対する核酸リガンド。
【請求項27】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−OHアデノシン三リン酸(ATP)、2’−OHグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−デオキシプリンヌクレオチド三リン酸、および2’−O−メチルピリミジンヌクレオチド三リン酸の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−OHグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)、2’−O−メチルグアノシン三リン酸(GTP)およびデオキシグアノシン三リン酸(GTP)の混合物を含み、ここで、該デオキシグアノシン三リン酸が、グアノシン三リン酸集団全体のうち最大10%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−Fグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−デオキシアデノシン三リン酸(ATP)、2’−O−メチルグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む核酸を調製する方法であって、該方法は、以下:
(a)変異したポリメラーゼ、1つ以上の2’修飾ヌクレオチド三リン酸(NTP)、マグネシウムイオンおよび1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを含む転写反応混合物を調製する工程;ならびに、
(b)該変異したポリメラーゼが1つ以上の2’修飾ヌクレオチドを核酸転写産物に組み込む条件下で、該1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを、該変異したポリメラーゼとを接触させる工程;
を包含する、方法。
【請求項34】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−OH、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−NH2、2’−Fおよび2’−メトキシエチル修飾からなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−F修飾である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記変異したポリメラーゼが、変異したT7 RNAポリメラーゼである、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異(Y639F)を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(H784A)を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異、および784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(Y639F/H784A)を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記オリゴヌクレオチド転写テンプレートが、該オリゴヌクレオチド転写テンプレートの5’末端における固定された領域に組み込まれたリーダー配列をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記リーダー配列が、全てのプリンリーダー配列を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記全てのプリンリーダー配列が、少なくとも6ヌクレオチド長;少なくとも8ヌクレオチド長;少なくとも10ヌクレオチド長;少なくとも12ヌクレオチド長;および少なくとも14ヌクレオチド長からなる群より選択される長さを有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記転写反応混合物が、マンガンイオンをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
マグネシウムイオンの濃度が、前記マンガンイオンの濃度よりも3.0倍と3.5倍との間で大きい、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
各々のNTPが各々0.5mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が5.0mMであり、かつマンガンイオンの濃度が1.5mMである、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
各々のNTPが各々1.0mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が6.5mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.0mMである、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
各々のNTPが各々2.0mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が9.6mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.9mMである、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
前記転写反応混合物が、2’−OH GTPをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
前記転写反応混合物が、ポリアルキレングリコールをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項51】
前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール(PEG)である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記転写反応混合物が、さらにGMPを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項53】
実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−OHアデノシンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−OHグアノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、かつ実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンである配列を含む、アプタマー組成物。
【請求項54】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項53に記載のアプタマー組成物。
【請求項55】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項53に記載のアプタマー組成物。
【請求項56】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項53に記載のアプタマー組成物。
【請求項57】
実質的に全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンであり、かつ実質的に全てのピリミジンヌクレオチドが2’−O−メチルピリミジンである配列を含む、アプタマー組成物。
【請求項58】
前記アプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を含む、請求項57に記載のアプタマー組成物。
【請求項59】
前記アプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を含む、請求項57に記載のアプタマー組成物。
【請求項60】
前記アプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの100%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を含む、請求項57に記載のアプタマー組成物。
【請求項61】
実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−OHグアノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンであり、かつ実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシンである配列組成を含む、アプタマー組成物。
【請求項62】
前記アプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を含む、請求項61に記載のアプタマー組成物。
【請求項63】
前記アプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を含む、請求項61に記載のアプタマー組成物。
【請求項64】
前記アプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を含む、請求項61に記載のアプタマー組成物。
【請求項65】
実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−O−メチルグアノシンまたはデオキシグアノシンであり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンであり、ここで、該グアノシンヌクレオチドの約10%未満がデオキシグアノシンである配列を含む、アプタマー組成物。
【請求項66】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を含む、請求項65に記載のアプタマー組成物。
【請求項67】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を含む、請求項65に記載のアプタマー組成物。
【請求項68】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの90%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を含む、請求項65に記載のアプタマー組成物。
【請求項69】
実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシン配列であり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジン配列であり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジン配列であり、かつ実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−Fグアノシン配列である配列を含む、アプタマー組成物。
【請求項70】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−Fグアノシンである配列組成を含む、請求項69に記載のアプタマー組成物。
【請求項71】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−Fグアノシンである配列組成を含む、請求項69に記載のアプタマー組成物。
【請求項72】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも100%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−Fグアノシンである配列組成を含む、請求項69に記載のアプタマー組成物。
【請求項73】
実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−デオキシアデノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−O−メチルグアノシンであり、かつ実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンである配列を含む、アプタマー組成物。
【請求項74】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシ−アデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドのうちの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項73に記載のアプタマー組成物。
【請求項75】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項73に記載のアプタマー組成物。
【請求項76】
全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシ−アデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項73に記載のアプタマー組成物。
【請求項1】
標的分子に対する修飾ヌクレオチドを含む核酸リガンドを同定するための方法であって、該方法は、以下:
a)変異したポリメラーゼ、1つ以上の2’修飾ヌクレオチド三リン酸(NTP)、マグネシウムイオンおよび1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを含む転写反応混合物を調製する工程;
b)該変異したポリメラーゼが、1つ以上の修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも1つを候補混合物の各々の核酸に組み込む条件下で、該1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを転写することによって、一本鎖核酸の該候補混合物を調製する工程であって、該候補混合物の各々の核酸が、2’位修飾ピリミジンおよび2’位修飾プリンからなる群より選択される2’修飾ヌクレオチドを含む、工程;
c)該候補混合物と該標的分子とを接触させる工程;
d)候補混合物の残部から、該候補混合物に関連する該標的分子に対する親和性が増大している核酸を分配する工程;ならびに、
e)該親和性が増大した核酸をインビトロで増幅して、核酸のリガンド富化混合物を得て、それによって該標的分子の核酸リガンドが同定される工程;
を包含する、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−OH、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−NH2、2’−F、および2’−メトキシエチル修飾からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−F修飾である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変異したポリメラーゼが、変異したT7 RNAポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異(Y639F)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(H784A)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異、および784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(Y639F/H784A)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチド転写テンプレートが、オリゴヌクレオチド転写テンプレートの5’末端において固定された領域に組み込まれたリーダー配列をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記リーダー配列が、全てのプリンリーダー配列を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記全てのプリンリーダー配列が、少なくとも6ヌクレオチド長;少なくとも8ヌクレオチド長;少なくとも10ヌクレオチド長;少なくとも12ヌクレオチド長;および少なくとも14ヌクレオチド長からなる群より選択される長さを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記転写反応混合物が、マンガンイオンをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
マグネシウムイオンの濃度が、前記マンガンイオンの濃度よりも3.0倍と3.5倍との間で大きい、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
各々のNTPが0.5mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が5.0mMであり、かつマンガンイオンの濃度が1.5mMである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
各々のNTPが1.0mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が6.5mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.0mMである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
各々のNTPが2.0mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が9.6mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.9mMである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記転写反応混合物が、2’−OH GTPをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記転写反応混合物が、ポリアルキレングリコールをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール(PEG)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記転写反応混合物が、さらにGMPを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、さらに、以下:
f)工程d)および工程e)を反復する工程、
を包含する、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法に従って同定されたトロンビンに対する核酸リガンド。
【請求項23】
請求項1に記載の方法に従って同定された血管内皮増殖因子(VEGF)に対する核酸リガンド。
【請求項24】
請求項1に記載の方法に従って同定されたIgEに対する核酸リガンド。
【請求項25】
請求項1に記載の方法に従って同定されたIL−23に対する核酸リガンド。
【請求項26】
請求項1に記載の方法に従って同定された血小板由来増殖因子−BB(PDGF−BB)に対する核酸リガンド。
【請求項27】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−OHアデノシン三リン酸(ATP)、2’−OHグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−デオキシプリンヌクレオチド三リン酸、および2’−O−メチルピリミジンヌクレオチド三リン酸の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−OHグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)、2’−O−メチルグアノシン三リン酸(GTP)およびデオキシグアノシン三リン酸(GTP)の混合物を含み、ここで、該デオキシグアノシン三リン酸が、グアノシン三リン酸集団全体のうち最大10%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−O−メチルアデノシン三リン酸(ATP)、2’−Fグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記2’修飾ヌクレオチド三リン酸が、2’−デオキシアデノシン三リン酸(ATP)、2’−O−メチルグアノシン三リン酸(GTP)、2’−O−メチルシチジン三リン酸(CTP)、および2’−O−メチルウリジン三リン酸(UTP)の混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む核酸を調製する方法であって、該方法は、以下:
(a)変異したポリメラーゼ、1つ以上の2’修飾ヌクレオチド三リン酸(NTP)、マグネシウムイオンおよび1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを含む転写反応混合物を調製する工程;ならびに、
(b)該変異したポリメラーゼが1つ以上の2’修飾ヌクレオチドを核酸転写産物に組み込む条件下で、該1つ以上のオリゴヌクレオチド転写テンプレートを、該変異したポリメラーゼとを接触させる工程;
を包含する、方法。
【請求項34】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−OH、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−NH2、2’−Fおよび2’−メトキシエチル修飾からなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上の2’修飾ヌクレオチドが、2’−F修飾である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記変異したポリメラーゼが、変異したT7 RNAポリメラーゼである、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異(Y639F)を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(H784A)を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記変異したT7 RNAポリメラーゼが、639位におけるチロシン残基からフェニルアラニン残基への変異、および784位におけるヒスチジン残基からアラニン残基への変異(Y639F/H784A)を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記オリゴヌクレオチド転写テンプレートが、該オリゴヌクレオチド転写テンプレートの5’末端における固定された領域に組み込まれたリーダー配列をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記リーダー配列が、全てのプリンリーダー配列を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記全てのプリンリーダー配列が、少なくとも6ヌクレオチド長;少なくとも8ヌクレオチド長;少なくとも10ヌクレオチド長;少なくとも12ヌクレオチド長;および少なくとも14ヌクレオチド長からなる群より選択される長さを有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記転写反応混合物が、マンガンイオンをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
マグネシウムイオンの濃度が、前記マンガンイオンの濃度よりも3.0倍と3.5倍との間で大きい、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
各々のNTPが各々0.5mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が5.0mMであり、かつマンガンイオンの濃度が1.5mMである、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
各々のNTPが各々1.0mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が6.5mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.0mMである、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
各々のNTPが各々2.0mMの濃度で存在し、前記マグネシウムイオンの濃度が9.6mMであり、かつマンガンイオンの濃度が2.9mMである、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
前記転写反応混合物が、2’−OH GTPをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
前記転写反応混合物が、ポリアルキレングリコールをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項51】
前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール(PEG)である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記転写反応混合物が、さらにGMPを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項53】
実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−OHアデノシンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−OHグアノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、かつ実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンである配列を含む、アプタマー組成物。
【請求項54】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項53に記載のアプタマー組成物。
【請求項55】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、そして全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項53に記載のアプタマー組成物。
【請求項56】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−OHアデノシンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項53に記載のアプタマー組成物。
【請求項57】
実質的に全てのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンであり、かつ実質的に全てのピリミジンヌクレオチドが2’−O−メチルピリミジンである配列を含む、アプタマー組成物。
【請求項58】
前記アプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を含む、請求項57に記載のアプタマー組成物。
【請求項59】
前記アプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を含む、請求項57に記載のアプタマー組成物。
【請求項60】
前記アプタマーは、全てのプリンヌクレオチドの100%が2’−デオキシプリンであり、かつ全てのピリミジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルピリミジンである配列組成を含む、請求項57に記載のアプタマー組成物。
【請求項61】
実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−OHグアノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンであり、かつ実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシンである配列組成を含む、アプタマー組成物。
【請求項62】
前記アプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を含む、請求項61に記載のアプタマー組成物。
【請求項63】
前記アプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を含む、請求項61に記載のアプタマー組成物。
【請求項64】
前記アプタマーは、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−OHグアノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンである配列組成を含む、請求項61に記載のアプタマー組成物。
【請求項65】
実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−O−メチルグアノシンまたはデオキシグアノシンであり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンであり、ここで、該グアノシンヌクレオチドの約10%未満がデオキシグアノシンである配列を含む、アプタマー組成物。
【請求項66】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を含む、請求項65に記載のアプタマー組成物。
【請求項67】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を含む、請求項65に記載のアプタマー組成物。
【請求項68】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの90%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドのうちわずか約10%だけがデオキシグアノシンである配列組成を含む、請求項65に記載のアプタマー組成物。
【請求項69】
実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−O−メチルアデノシン配列であり、実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジン配列であり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジン配列であり、かつ実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−Fグアノシン配列である配列を含む、アプタマー組成物。
【請求項70】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−Fグアノシンである配列組成を含む、請求項69に記載のアプタマー組成物。
【請求項71】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−Fグアノシンである配列組成を含む、請求項69に記載のアプタマー組成物。
【請求項72】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルアデノシンであり、全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも100%が2’−O−メチルシチジンであり、かつ全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−Fグアノシンである配列組成を含む、請求項69に記載のアプタマー組成物。
【請求項73】
実質的に全てのアデノシンヌクレオチドが2’−デオキシアデノシンであり、実質的に全てのシチジンヌクレオチドが2’−O−メチルシチジンであり、実質的に全てのグアノシンヌクレオチドが2’−O−メチルグアノシンであり、かつ実質的に全てのウリジンヌクレオチドが2’−O−メチルウリジンである配列を含む、アプタマー組成物。
【請求項74】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−デオキシ−アデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドのうちの少なくとも80%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの少なくとも80%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項73に記載のアプタマー組成物。
【請求項75】
前記アプタマーは、全てのアデノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−デオキシアデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの少なくとも90%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドのうちの少なくとも90%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項73に記載のアプタマー組成物。
【請求項76】
全てのアデノシンヌクレオチドの100%が2’−デオキシ−アデノシンであり、全てのシチジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルシチジンであり、全てのグアノシンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルグアノシンであり、かつ全てのウリジンヌクレオチドの100%が2’−O−メチルウリジンである配列組成を含む、請求項73に記載のアプタマー組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2006−508688(P2006−508688A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−571010(P2004−571010)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/038733
【国際公開番号】WO2004/050899
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(504466487)アーケミックス コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/038733
【国際公開番号】WO2004/050899
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(504466487)アーケミックス コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】
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