説明

2−ピリジニルエチルカルボキサミド誘導体及びその殺菌剤としての使用

一般式(I)で表される化合物。その化合物の調製方法。一般式(I)で表される化合物を含んでいる殺菌剤組成物。一般式(I)で表される化合物又はその化合物を含んでいる組成物を施用することによる植物の処理方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規N−[2−(2−ピリジニル)エチル]カルボキサミド誘導体、それらを調製する方法、殺菌剤としてのそれらの使用、特に、殺菌剤組成物の形態におけるそれらの使用、及び、それら化合物又はそれらの組成物を使用して植物の植物病原性菌類を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願WO01/11965号には、2−ピリジル基が少なくとも1つのハロゲノアルキル基で置換されている殺菌性化合物の大きなファミリーが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
農業従事者が使用する活性成分に対する抵抗性系統が発達するのを回避するか又はそれと戦うために、新規農薬活性化合物を用いることには、農業分野においては常に高い関心が持たれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記特性を有する化合物の新規ファミリーを見いだした。
【0005】
従って、本発明は、一般式(I):
【0006】
【化6】

[式中、
・ nは、1、2、3又は4である;
・ Xは、同一であるか又は異なっていて、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−Cアルキルカルバモイル、ジ−C−Cアルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル又はフェニルアミノである;
・ R、R、R及びRは、同一であるか又は異なっていて、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルアミノ、フェニル基若しくはフェニルスルファニル基である;
又は、
とRは、一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル若しくはシクロヘキシルを形成していてもよい;
但し、4つの置換基R、R、R及びRのうちの3つが水素原子である場合、4番目の置換基は水素原子ではない;
・ Rは、水素原子、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−シクロアルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シアノアルキル、C−C−アミノアルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C−ベンジルオキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニルである;
・ Hetは、同一であっても又は異なっていてもよい1個、2個又は3個のヘテロ原子を含んでいる5員、6員又は7員のヘテロ環を表し;ここで、Hetは、炭素原子で結合しており、また、少なくともオルト位が置換されている]
で表されるN−[2−(2−ピリジニル)エチル]カルボキサミド誘導体、並びに、その塩、N−オキシド、金属錯体及び半金属(metalloidic)錯体に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に関連して:
・ ハロゲンは、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素を意味する;
・ ヘテロ原子は、N、O又はSを意味する;
・ カルボキシは、−C(=O)OHを意味する;
・ カルボニルは、−C(=O)−を意味する;
・ カルバモイルは、−C(=O)NHを意味する;
・ N−ヒドロキシカルバモイルは、−C(=O)NHOHを意味する;
・ アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基、並びに、これらの用語を含んでいる部分構造は、直鎖又は分枝鎖であり得る。
【0008】
本発明に関連して、2置換されているアミノ及び2置換されているカルバモイル基の場合、当該2つの置換基がそれらを担持している窒素原子と一緒に3〜7個の原子を含んでいる飽和ヘテロ環を形成していてもよいということも、理解されなくてはならない。
【0009】
本発明では、該2−ピリジルは、どの位置においても(X)で置換されることが可能であり、その際、X及びnは、上記で定義されているとおりである。好ましくは、本発明は、一般式(I)で表されるN−[2−(2−ピリジニル)エチル]カルボキサミド誘導体に関し、ここで、種々の下記特性は、単独で選択され得るか又は組み合わせて選択され得る:
・ nに関しては、nは、1、2又は3であり、さらに好ましくは、nは、2又は3である;
・ Xに関しては、X置換基のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル又はC−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニルである;
・ 2−ピリジルの置換位置に関しては、2−ピリジルは、3位、5位及び/又は6位で置換され、さらに好ましくは、2−ピリジルは、5位の置換基は、3位及び/又は5位で置換される。
【0010】
本発明では、式(I)で表される化合物の「エチルアミド部分」の2つの炭素原子及び窒素原子は、それぞれ、RとR、RとR、及び、Rによって置換されており、ここで、置換基R、R、R及びRのうちの少なくとも1つは水素ではない。好ましくは、本発明は、一般式(I)で表されるN−[2−(2−ピリジニル)エチル]カルボキサミド誘導体にも関し、ここで、以下の特性は、単独で選択され得るか又は組み合わせて選択され得る:
・ R及びRに関しては、R及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルアミノ又はフェニル基であるように選択することが可能であり、さらに好ましくは、R及びRは、互いに独立して、ハロゲン原子、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又はC−C−アルキルカルボニルアミノであるように選択することが可能である;
・ R及びRに関しては、R及びRは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルキルカルボニルアミノ又はフェニル基であるように選択することが可能であり、さらに好ましくは、R及びRは、互いに独立して、ハロゲン原子、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又はフェニル基であるように選択することが可能である;
・ Rに関しては、Rは、水素原子又はC−C−シクロアルキルであるように選択することができる。
【0011】
本発明では、一般式(I)で表される化合物の「Het」は、5員環式ヘテロ環であることができる。Hetが5員ヘテロ環である本発明化合物の特定例としては、以下のものを挙げることができる。
【0012】
* Hetは、一般式(Het−1):
【0013】
【化7】

[式中、
・ R及びRは、同一でも又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ Rは、ハロゲン原子、ニトロ基、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0014】
* Hetは、一般式(Het−2):
【0015】
【化8】

[式中、
・ Rは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R10及びR11は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
但し、RとR11が両方とも水素であることはない]
のヘテロ環を表し得る。
【0016】
* Hetは、一般式(Het−3):
【0017】
【化9】

[式中、
・ R12は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R13は、水素原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0018】
* Hetは、一般式(Het−4):
【0019】
【化10】

[式中、
・ R14及びR15は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルキルチオ又はC−C−アルキルスルホニルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいピリジルであり得る;
及び、
・ R16は、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0020】
* Hetは、一般式(Het−5):
【0021】
【化11】

[式中、
・ R17及びR18は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルキルオキシ又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R19は、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
但し、R18とR19が両方とも水素であることはない]
のヘテロ環を表し得る。
【0022】
* Hetは、一般式(Het−6):
【0023】
【化12】

[式中、
・ R20は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
・ R21及びR23は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R22は、水素原子、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニル、ジ(C−C−アルキル)アミノスルホニル又はC−C−アルキルカルボニルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルスルホニルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいベンゾイルであり得る;
但し、R20とR23が両方とも水素であることはない]
のヘテロ環を表し得る。
【0024】
* Hetは、一般式(Het−7):
【0025】
【化13】

[式中、
・ R24は、水素原子、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニル、ジ(C−C−アルキル)アミノスルホニル又はC−C−アルキルカルボニルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルスルホニルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいベンゾイルであり得る;
及び、
・ R25、R26及びR27は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又はC−C−アルキルカルボニルであり得る;
但し、R24とR27が両方とも水素であることはない]
のヘテロ環を表し得る。
【0026】
* Hetは、一般式(Het−8):
【0027】
【化14】

[式中、
・ R28は、水素原子又はC−C−アルキルであり得る;
及び、
・ R29は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0028】
* Hetは、一般式(Het−9):
【0029】
【化15】

[式中、
・ R30は、水素原子又はC−C−アルキルであり得る;
及び、
・ R31は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0030】
* Hetは、一般式(Het−10):
【0031】
【化16】

[式中、
・ R32は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルであり得る;
及び、
・ R33は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0032】
* Hetは、一般式(Het−11):
【0033】
【化17】

[式中、
・ R34は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R35は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0034】
* Hetは、一般式(Het−12):
【0035】
【化18】

[式中、
・ R36は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルチオ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ、アミノカルボニル基又はアミノカルボニル−C−C−アルキルであり得る;
・ R37は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−アルキルチオであり得る;
及び、
・ R38は、水素原子、フェニル、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ−C−C−アルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0036】
* Hetは、一般式(Het−13):
【0037】
【化19】

[式中、
・ R39は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルチオ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ、アミノカルボニル又はアミノカルボニル−C−C−アルキルであり得る;
・ R40は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ又はC−C−アルキルチオであり得る;
及び、
・ R41は、水素原子、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ−C−C−アルキルであり得るか又はハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシアルキル若しくはニトロ基で場合により置換されていてもよいフェニルであり得る;
但し、R39とR40が両方とも水素であることはない]
のヘテロ環を表し得る。
【0038】
* Hetは、一般式(Het−14):
【0039】
【化20】

[式中、
・ R42は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルチオ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ、アミノカルボニル又はアミノカルボニル−C−C−アルキルであり得る;
・ R43は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
・ R44は、水素原子、フェニル、ベンジル、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ−C−C−アルキルであり得る;
但し、R43とR44が両方とも水素であることはない]
のヘテロ環を表し得る。
【0040】
* Hetは、一般式(Het−15):
【0041】
【化21】

[式中、
・ R45は、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R46は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0042】
* Hetは、一般式(Het−16):
【0043】
【化22】

[式中、
・ R47及びR48は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいヘテロシクリルであり得る;
但し、R47とR48が両方とも水素であることはない]
のヘテロ環を表し得る。
【0044】
* Hetは、一般式(Het−17):
【0045】
【化23】

[式中、
・ R49は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R50は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0046】
* Hetは、一般式(Het−18):
【0047】
【化24】

[式中、
・ R51は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0048】
* Hetは、一般式(Het−19):
【0049】
【化25】

[式中、
・ R52は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R53は、水素原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0050】
* Hetは、一般式(Het−20):
【0051】
【化26】

[式中、
・ R54は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0052】
本発明では、一般式(I)で表される化合物の「Het」は、6員環式ヘテロ環であることができる。Hetが6員ヘテロ環である本発明化合物の特定例としては、以下のものを挙げることができる。
【0053】
* Hetは、一般式(Het−21):
【0054】
【化27】

[式中、
・ R55は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシであり得る;
・ R56、R57及びR58は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルフィニル又はC−C−アルキルスルホニルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0055】
* Hetは、一般式(Het−22):
【0056】
【化28】

[式中、
・ R59は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルケニルチオ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルオキシであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルチオであり得る;
・ R60、R61及びR62は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルフィニル又はC−C−アルキルスルホニルであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいN−モルホリンであり得るか又はハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいチエニルであり得る;
但し、R59とR62が両方とも水素であることはない]
のヘテロ環を表し得る。
【0057】
* Hetは、一般式(Het−23):
【0058】
【化29】

[式中、
・ R63、R64、R65及びR66は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルフィニル又はC−C−アルキルスルホニルであり得る;
但し、R63とR66が両方とも水素であることはない]
のヘテロ環を表し得る。
【0059】
* Hetは、一般式(Het−24):
【0060】
【化30】

[式中、
・ R67は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
・ R68は、水素原子、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又はC−C−アルコキシカルボニルであり得るか又は1〜3個のハロゲン原子で場合により置換されていてもよいベンジルであり得るか又は1〜3個のハロゲン原子で場合により置換されていてもよいベンジルオキシカルボニルであり得るか又はヘテロシクリルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0061】
* Hetは、一般式(Het−25):
【0062】
【化31】

[式中、
・ R69は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシであり得る;
・ R70は、水素原子、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又はベンジルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0063】
* Hetは、一般式(Het−26):
【0064】
【化32】

[式中、
・ Xは、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−CH−であり得る;
・ R71は、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R72及びR73は、同一でも又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子又はC−C−アルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0065】
* Hetは、一般式(Het−27):
【0066】
【化33】

[式中、
・ R74は、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0067】
* Hetは、一般式(Het−28):
【0068】
【化34】

[式中、
・ R75は、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0069】
* Hetは、一般式(Het−29):
【0070】
【化35】

[式中、
・ R76は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る]
のヘテロ環を表し得る。
【0071】
本発明は、さらに、一般式(I)で表される化合物の調製方法にも関する。かくして、本発明のさらに別の態様では、上記で定義した一般式(I)で表される化合物の調製方法が提供され、ここで、該調製方法は、一般式(II):
【0072】
【化36】

[式中、X、n、R、R、R、R及びRは、上記で定義されているとおりである]
で表される2−ピリジン誘導体又はその塩のうちの1種類を、一般式(III):
【0073】
【化37】

[式中、
・ Hetは、上記で定義されているとおりであり;
及び、
・ Lは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−OR77又は−OCOR77であるように選択される脱離基であり、その際、R77は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル、ペンタフルオロフェニル、又は、式
【0074】
【化38】

で表される基である]
で表されるカルボン酸誘導体と、触媒の存在下で、また、Lがヒドロキシル基である場合は、縮合剤の存在下で、反応させることを含む。
【0075】
本発明の調製方法は、触媒の存在下で実施する。適切な触媒は、4−ジメチル−アミノピリジン、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール又はジメチルホルムアミドであるように選択し得る。
【0076】
がヒドロキシル基である場合、本発明の調製方法は、縮合剤の存在下で実施する。適切な縮合剤は、酸ハロゲン化物形成物質(former)、例えば、ホスゲン、三臭化リン、三塩化リン、五塩化リン、酸化三塩化リン(phosphorous trichloride oxide)若しくは塩化チオニルなど;無水物形成物質、例えば、クロロギ酸エチル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸イソプロピル、クロロギ酸イソブチル若しくはメタンスルホニルクロリドなど;カルボジイミド類、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、又は、別の慣習的な縮合剤、例えば、五酸化リン、ポリリン酸、N,N’−カルボニル−ジイミダゾール、2−エトキシ−N−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、トリフェニルホスフィン/テトラクロロメタン、4−(4,6−ジメトキシ[1.3.5]トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド水和物若しくはブロモ−トリピロリジノ−ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェートなどであるように選択することができる。
【0077】
が水素原子である場合、一般式(I)で表される化合物を調製するための上記方法は、一般式(Id)で表される化合物と一般式(XXII)で表される化合物を反応させて一般式(Ia)で表される化合物を生成させることを含む、以下の反応スキーム:
【0078】
【化39】

[式中、
・ R、R、R、X、n及びHetは、上記で定義されているとおりである;
・ R5aは、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−シクロアルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シアノアルキル、C−C−アミノアルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C−ベンジルオキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニルである;
及び、
・ Lは、ハロゲン原子、4−メチルフェニルスルホニルオキシ又はメチルスルホニルオキシであるように選択される脱離基である]
によるさらなるステップで場合により完結させることができる。
【0079】
、R、R、R又はRの定義に応じて、一般式(II)で表されるアミン誘導体は、種々の調製方法で調製することができる。そのような調製方法の1つの例(A)は、以下のとおりであり得る:
・ X及びnが、上記で定義されているとおりであり;
・ Rが、C−C−アルキルであり;
・ Rが、水素原子又はC−C−アルキルであり;
且つ、
・R、R又はRが、水素原子である場合、
一般式(II)で表されるアミン誘導体は、
− 反応スキーム(A−1):
【0080】
【化40】

[ここで、
・ X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ R78は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルであり;
・ Uは、ハロゲン、C−C−アルキルスルホネート又はC−C−ハロアルキルスルホネートであるように選択される脱離基である]
による第一ステップ(ここで、該第一ステップは、塩基の存在下、0℃〜200℃の温度で、一般式(Va)で表されるシアノアセテート誘導体を一般式(IV)で表されるピリジン誘導体でアリール化して、一般式(VIb)で表される2−(ピリジル)シアノアセテート誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(A−2):
【0081】
【化41】

[ここで、
・ X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキルであり;
・ R78は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルであり;
・ Wは、ハロゲン原子、C−C−アルキルスルホネート、C−C−ハロアルキルスルホネート又は4−メチル−フェニルスルホネートである]
による第二ステップ(ここで、該第二ステップは、一般式(VIb)で表される化合物を一般式(XVII)で表される試薬でアルキル化して、一般式(VI)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(A−3):
【0082】
【化42】

[ここで、
・ X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキルであり;
・ R78は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第三ステップ(ここで、該第三ステップは、同一のポット又は異なったポット内で、一般式(VI)で表される化合物を塩基性加水分解、酸性加水分解又はハロゲン化物による置換に付し、40℃から還流温度までの温度で加熱して、一般式(VIIa)で表される2−ピリジルアセトニトリル誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(A−4):
【0083】
【化43】

[ここで、
・ X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキルであり;
・ Rは、C−C−アルキルであり;
・ Wは、ハロゲン原子、C−C−アルキルスルホネート、C−C−ハロアルキルスルホネート又は4−メチル−フェニルスルホネートである]
による第四ステップ(ここで、該第四ステップは、一般式(VIIa)で表される化合物を一般式(XVIIb)で表される試薬でアルキル化して、一般式(VIIb)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(A−5):
【0084】
【化44】

[ここで、
・ X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキルであり;
・ Rは、水素原子又はC−C−アルキルであり;
・ Lは、−OR77基又は−OCOR77基であるように選択される脱離基であり、その際、R77は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルであり;
・ PGは、保護基を表し、ここで、該保護基は、−COOR77基又は−COR77基であることができ、その際、R77は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第五ステップ(ここで、該第五ステップは、触媒の存在下、一般式(VIII)で表される化合物の存在下、0℃〜150℃の温度で、1バール〜100バールの圧力下に、一般式(VIIa)又は一般式(VIIb)で表される化合物を水素化又は水素化物供与体により還元して、一般式(IX)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(A−6):
【0085】
【化45】

[ここで、
・ X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキルであり;
・ Rは、水素原子又はC−C−アルキルであり;
・ PGは、保護基を表し、ここで、該保護基は、−COOR77基又は−COR77基であることができ、その際、R77は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第六ステップ(ここで、該第六ステップは、酸性媒体又は塩基性媒体中で、一般式(IX)で表される化合物を脱保護反応に付して、一般式(II)で表されるアミン誘導体又はその塩の1種類を生成させることを含む);
を含む調製方法により調製することができる。
【0086】
上記第一ステップ(ステップ(A−1))は、塩基の存在下で実施する。好ましくは、該塩基は、無機塩基又は有機塩基であるように選択される。そのような塩基の適切な例は、例えば、アルカリ土類金属又はアルカリ金属の水素化物、水酸化物、アミド、アルコラート、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、又は、第三級アミンであり得る。
【0087】
本発明による上記第一ステップ(ステップ(A−1))は、0℃〜200℃の温度で実施する。好ましくは、第一ステップ(ステップ(A−1))は、0℃〜120℃の温度で実施し、さらに好ましくは、0℃〜80℃の温度で実施する。
【0088】
本発明による上記第一ステップ(ステップ(A−1))は、溶媒の存在下で実施し得る。好ましくは、該溶媒は、水、有機溶媒、又は、水と有機溶媒の混合物であるように選択される。適切な有機溶媒は、例えば、脂肪族溶媒、脂環式溶媒又は芳香族溶媒であり得る。
【0089】
本発明による上記第一ステップ(ステップ(A−1))は、さらにまた、触媒の存在下でも実施し得る。好ましくは、該触媒は、パラジウム塩又はパラジウム錯体であるように選択される。さらに好ましくは、該触媒は、パラジウム錯体であるように選択される。適切なパラジウム錯体触媒は、例えば、反応混合物にパラジウム塩と錯体配位子を別々に添加することにより該反応混合物中で直接生成させ得る。適切な配位子は、例えば、バルキーなホスフィン配位子又はアルシン配位子、例えば、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;又は、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物などであり得る。
【0090】
本発明による上記第五ステップ(ステップ(A−5))は、水素化物供与体の存在下で実施する。好ましくは、該水素化物供与体は、LiAlH、NaBH、KBH、Bなどのような金属水素化物又は半金属水素化物であるように選択される。
【0091】
本発明による上記第五ステップ(ステップ(A−5))は、触媒の存在下で実施する。好ましくは、該触媒は、Co(II)塩化物、Ni(II)塩化物、アンモニア若しくはその塩のうちの1種類、炭素担持パラジウム、ラネーニッケル、ラネーコバルト又は白金であるように選択される。
【0092】
本発明による上記第五ステップ(ステップ(A−5))は、0℃〜150℃の温度で実施する。好ましくは、該温度は、10℃〜120℃である。さらに好ましくは、該温度は、10℃〜80℃である。
【0093】
本発明による上記第五ステップ(ステップ(A−5))は、1バール〜100バールの圧力下で実施する。好ましくは、該圧力は、1バール〜50バールである。
【0094】
本発明による上記第五ステップ(ステップ(A−5))は、有機溶媒の存在下、水の存在下、又は、それらの混合物の存在下で実施し得る。好ましくは、該溶媒は、エーテル、アルコール、カルボン酸、又はそれらと水の混合物、又は純粋な水であるように選択される。
【0095】
そのような調製方法の第二の例(B)は、以下のとおりであり得る:
・ R、R、X及びnが、上記で定義されているとおりであり;
且つ、
・R、R及びRが、水素原子である場合、
一般式(II)で表されるアミン誘導体は、
− 反応スキーム(B−1):
【0096】
【化46】

[ここで、
・ R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Uは、ハロゲン原子、C−C−アルキルスルホネート又はC−C−ハロアルキルスルホネートであるように選択される脱離基である]
による第一ステップ(ここで、該第一ステップは、塩基の存在下、−100℃〜200℃の温度で、一般式(Vb)で表される化合物を一般式(IV)で表されるピリジン誘導体でアリール化して、一般式(VIIb)で表される2−ピリジルアセトニトリル誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(B−2):
【0097】
【化47】

[ここで、
・ R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Lは、−OR79基又は−OCOR79基であるように選択される脱離基であり、その際、R79は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルであり;
・ PGは、保護基を表し、ここで、該保護基は、−COOR79基又は−COR79基であることができ、その際、R79は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第二ステップ(ここで、該第二ステップは、一般式(VIII)で表される化合物の存在下で、一般式(VIIa)又は一般式(VIIb)で表される化合物を、水素化又は水素化物供与体により還元して、一般式(IX)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(B−3):
【0098】
【化48】

[ここで、
・ R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ PGは、保護基を表し、ここで、該保護基は、−COOR79基又は−COR79基であることができ、その際、R79は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第三ステップ(ここで、該第三ステップは、酸性媒体又は塩基性媒体中で、一般式(IX)で表される化合物を脱保護反応に付して、一般式(II)で表されるアミン誘導体又はその塩のうちの1種類を生成させることを含む);
を含む調製方法により調製することができる。
【0099】
上記第一ステップ(ステップ(B−1))は、−100℃〜200℃の温度で実施する。好ましくは、第一ステップ(ステップ(A−1))は、−80℃〜120℃の温度で実施し、さらに好ましくは、−80℃〜80℃の温度で実施する。
【0100】
本発明による上記第一ステップ(ステップ(B−1))は、塩基の存在下で実施する。好ましくは、該塩基は、無機塩基又は有機塩基であるように選択される。そのような塩基の適切な例は、例えば、アルカリ土類金属又はアルカリ金属の水素化物、水酸化物、アミド、アルコラート、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、又は、第三級アミンであり得る。
【0101】
本発明による上記第一ステップ(ステップ(B−1))は、溶媒の存在下で実施し得る。好ましくは、該溶媒は、水、有機溶媒、又は、水と有機溶媒の混合物であるように選択される。適切な有機溶媒は、例えば、脂肪族溶媒、脂環式溶媒又は芳香族溶媒であり得る。
【0102】
本発明による上記第一ステップ(ステップ(B−1))は、さらにまた、触媒の存在下でも実施し得る。好ましくは、該触媒は、パラジウム塩又はパラジウム錯体であるように選択される。さらに好ましくは、該触媒は、パラジウム錯体であるように選択される。適切なパラジウム錯体触媒は、例えば、反応混合物にパラジウム塩と錯体配位子を別々に添加することにより該反応混合物中で直接生成させ得る。適切な配位子は、例えば、バルキーなホスフィン配位子又はアルシン配位子、例えば、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物;又は、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン及びその対応するエナンチオマー若しくはそれら両方の混合物などであり得る。
【0103】
ステップ(B−2)を実施するのに好ましい条件は、上記方法Aのステップ(A−4)を実施するのに好ましい条件と同じである。
【0104】
ステップ(B−3)を実施するのに好ましい条件は、上記方法Aのステップ(A−5)を実施するのに好ましい条件と同じである。
【0105】
そのような調製方法の第三の例(C)は、以下のとおりであり得る:
・ R、X及びnが、上記で定義されているとおりであり;
・ Rが、ホルミルアミノ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ又は2,6−ジクロロフェニルカルボニルアミノであり;
且つ、
・R、R及びRが、水素原子である場合、
一般式(II)で表されるアミン誘導体は、
− 反応スキーム(C−1):
【0106】
【化49】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Uは、ハロゲン、C−C−アルキルスルホネート又はC−C−ハロアルキルスルホネートであるように選択される脱離基である]
による第一ステップ(ここで、該第一ステップは、塩基の存在下、−100℃〜200℃の温度で、一般式(Vc)で表される化合物を一般式(IV)で表されるピリジン誘導体でアリール化して、一般式(VIIc)で表される2−(ピリジル)アセトニトリル誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(C−2):
【0107】
【化50】

[ここで、R、X及びnは、上記で定義されているとおりである]
による第二ステップ(ここで、該第二ステップは、一般式(VIIc)で表される化合物を酸性加水分解により脱保護して、一般式(VIId)で表される化合物又はその塩の1種類を生成させることを含む);
− 反応スキーム(C−3):
【0108】
【化51】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ R80は、水素原子、C−C−アルキル基、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、フェニル又は2,6−ジクロロフェニルである]
による第三ステップ(ここで、該第三ステップは、一般式(VIId)で表される化合物と一般式(X)で表される塩化アシルをカップリングさせて、一般式(VIIe)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(C−4):
【0109】
【化52】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ R80は、水素原子、C−C−アルキル基、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、フェニル又は2,6−ジクロロフェニルであり;
・ Lは、−OR79基又は−OCOR79基であるように選択される脱離基であり、その際、R79は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルであり;
・ PGは、保護基を表し、ここで、該保護基は、−COOR79基又は−COR79基であることができ、その際、R79は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第四ステップ(ここで、該第四ステップは、一般式(VIII)で表される化合物の存在下、一般式(VIIe)で表される化合物を水素化又は水素化物供与体により還元して、一般式(IXb)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(C−5):
【0110】
【化53】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ R80は、水素原子、C−C−アルキル基、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、フェニル又は2,6−ジクロロフェニルであり;
・ Lは、−OR79基又は−OCOR79基であるように選択される脱離基であり、その際、R79は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルであり;
・ PGは、保護基を表し、ここで、該保護基は、−COOR79基又は−COR79基であることができ、その際、R79は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第五ステップ(ここで、該第五ステップは、酸性媒体又は塩基性媒体中で、一般式(IXb)で表される化合物を脱保護反応に付して、一般式(II)で表されるアミン誘導体又はその塩の1種類を生成させることを含む);
を含む調製方法により調製することができる。
【0111】
そのような調製方法の第四の例(D)は、以下のとおりであり得る:
・ R、X、Y、n及びpが、上記で定義されているとおりであり;
・ Rが、水素原子であり;
・ Rが、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル又はフェニルであり;
且つ、
・Rが、水素原子、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−シクロアルキルである場合、
一般式(II)で表されるアミン誘導体は、
− 反応スキーム(D−1):
【0112】
【化54】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル又はフェニルであり;
・ R78は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルであり;
・ Uは、ハロゲン、C−C−アルキルスルホネート又はC−C−ハロアルキルスルホネートであるように選択される脱離基である]
による第一ステップ(ここで、該第一ステップは、塩基の存在下、0℃〜200℃の温度で、一般式(XI)で表されるケトアセテート誘導体を一般式(IV)で表されるピリジン誘導体でアリール化して、一般式(XII)で表される2−(ピリジル)ケトアセテート誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(D−2):
【0113】
【化55】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、水素原子であり;
・ Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル又はフェニルであり;
・ R78は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第二ステップ(ここで、該第二ステップは、同一のポット又は異なったポット内で、一般式(XII)で表される化合物を塩基性加水分解、酸性加水分解又はハロゲン化物による置換に付し、40℃から還流温度までの温度で加熱して、一般式(XIII)で表される2−ピリジルケトン誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(D−3):
【0114】
【化56】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、水素原子であり;
・ Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル又はフェニルであり;
・Rは、水素原子、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−シクロアルキルである]
による第三ステップ(ここで、該第三ステップは、一般式(XIII)で表される化合物を式R−NHで表されるアミンと反応させて、一般式(XIV)で表されるイミン誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(D−4):
【0115】
【化57】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、水素原子であり;
・ Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル又はフェニルであり;
・Rは、水素原子、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−シクロアルキルである]
による第四ステップ(ここで、該第四ステップは、同一のポット又は異なったポット内で、一般式(XIV)で表されるイミン誘導体を水素化又は水素化物供与体により還元して、一般式(II)で表されるアミン誘導体又はその塩の1種類を生成させることを含む);
を含む調製方法により調製することができる。
【0116】
そのような調製方法の第五の例(E)は、以下のとおりであり得る:
・ R、R、X、Y、n及びpが、上記で定義されているとおりであり;
・ Rが、水素原子であり;
・ Rが、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル又はフェニルであり;
且つ、
・Rが、水素原子、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−シクロアルキルである場合、
一般式(II)で表されるアミン誘導体は、
− 反応スキーム(E−1):
【0117】
【化58】

[ここで、
・ R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル又はフェニルであり;
・ Uは、ハロゲン、C−C−アルキルスルホネート又はC−C−ハロアルキルスルホネートであるように選択される脱離基である]
による第一ステップ(ここで、該第一ステップは、塩基の存在下、0℃〜200℃の温度で、一般式(XIV)で表されるケトン誘導体を一般式(IV)で表されるピリジン誘導体でアリール化して、一般式(XIIIb)で表される2−(ピリジル)ケトン誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(E−2):
【0118】
【化59】

[ここで、
・ R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル又はフェニルであり;
・Rは、水素原子、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−シクロアルキルである]
による第二ステップ(ここで、該第二ステップは、一般式(XIIIb)で表される化合物を式R−NHで表されるアミンと反応させて、一般式(XIVb)で表されるイミン誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(E−3):
【0119】
【化60】

[ここで、
・ R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル又はフェニルであり;
・ Rは、水素原子であり;
・ Rは、水素原子、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−シクロアルキルである]
による第三ステップ(ここで、該第三ステップは、同一のポット又は異なったポット内で、一般式(XIVb)で表されるイミン誘導体を水素化又は水素化物供与体により還元して、一般式(II)で表されるアミン誘導体又はその塩の1種類を生成させることを含む);
を含む調製方法により調製することができる。
【0120】
そのような調製方法の第六の例(F)は、以下のとおりであり得る:
・ R、X及びnが、上記で定義されているとおりであり;
・ Rが、シアノ基、ヒドロキシ基、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルアミノ、フェニルスルファニル基、C−C−アルキルカルボニルオキシ又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシであり;
・ R及びRが、水素原子である場合、
一般式(II)で表されるアミン誘導体は、
− 反応スキーム(F−1):
【0121】
【化61】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ R78は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルであり;
・ Uは、ハロゲン、C−C−アルキルスルホネート又はC−C−ハロアルキルスルホネートであるように選択される脱離基である]
による第一ステップ(ここで、該第一ステップは、塩基の存在下、0℃〜200℃の温度で、一般式(V)で表されるシアノアセテート誘導体を一般式(IV)で表されるピリジン誘導体でアリール化して、一般式(VI)で表される2−(ピリジル)シアノアセテート誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(F−2)
【0122】
【化62】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、水素原子であり;
・ R78は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第二ステップ(ここで、該第二ステップは、同一のポット又は異なったポット内で、一般式(VI)で表される化合物を塩基性加水分解、酸性加水分解又はハロゲン化物による置換に付し、40℃から還流温度までの温度で加熱して、一般式(VIIa)で表される2−ピリジルアセトニトリル誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(F−3):
【0123】
【化63】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Wは、水素原子である]
による第三ステップ(ここで、該第三ステップは、一般式(VIIa)で表される化合物をハロゲン化して、一般式(VIIf)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(F−4):
【0124】
【化64】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Wは、水素原子であり;
・ Rは、シアノ基、ヒドロキシ基、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルアミノ、フェニルスルファニル基、C−C−アルキルカルボニルオキシ又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシである]
による第四ステップ(ここで、該第四ステップは、塩基の存在下、一般式(XV)で表される化合物の存在下、−78℃〜150℃の温度で、一般式(VIIf)で表される化合物を求核置換に付して、一般式(VIIb)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(F−5):
【0125】
【化65】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、シアノ基、ヒドロキシ基、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルアミノ、フェニルスルファニル基、C−C−アルキルカルボニルオキシ又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシであり;
・ Lは、−OR79基又は−OCOR79基であるように選択される脱離基であり、その際、R79は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルであり;
・ PGは、保護基を表し、ここで、該保護基は、−COOR79基又は−COR79基であることができ、その際、R79は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第五ステップ(ここで、該第五ステップは、触媒の存在下、一般式(VIII)で表される化合物の存在下、0℃〜150℃の温度で、1バール〜100バールの圧力下に、一般式(VIIb)で表される化合物を水素化又は水素化物供与体により還元して、一般式(IX)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(F−6):
【0126】
【化66】

[ここで、
・ R、X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Rは、シアノ基、ヒドロキシ基、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、フェニルアミノ、フェニルスルファニル基、C−C−アルキルカルボニルオキシ又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシであり;
・ PGは、保護基を表し、ここで、該保護基は、−COOR79基又は−COR79基であることができ、その際、R79は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル又はペンタフルオロフェニルである]
による第六ステップ(ここで、該第六ステップは、酸性媒体又は塩基性媒体中で、一般式(IX)で表される化合物を脱保護反応に付して、一般式(II)で表されるアミン誘導体又はその塩の1種類を生成させることを含む);
を含む調製方法により調製することができる。
【0127】
そのような調製方法の第七の例(G)は、以下のとおりであり得る:
・ X及びnが、上記で定義されているとおりであり;
・ Rが、ヒドロキシ基であり;
・ R、R及びRが、水素原子である場合、
一般式(II)で表されるアミン誘導体は、
− 反応スキーム(G−1):
【0128】
【化67】

[ここで、
・ X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Zは、ハロゲン原子である]
による第一ステップ(ここで、該第一ステップは、一般式(XVI)で表されるピリジン誘導体に一般式(XVII)で表されるハロゲン化メチルマグネシウムを付加して、一般式(XVIII)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(G−2):
【0129】
【化68】

[ここで、
・ X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Zは、ハロゲン原子である]
による第二ステップ(ここで、該第二ステップは、塩素、臭素、次亜塩素酸イオン、次亜臭素酸イオン、三塩化物イオン、三臭化物イオン、N−クロロイミド、N−クロロアミド、N−クロロアミン、N−ブロモイミド、N−ブロモアミド又はN−ブロモアミンなどのハロゲン化剤を用いて、一般式(XVIII)で表される化合物をハロゲン化して、一般式(XIX)で表される化合物とすることを含む);
− 反応スキーム(G−3):
【0130】
【化69】

[ここで、
・ X及びnは、上記で定義されているとおりであり;
・ Zは、ハロゲン原子である]
による第三ステップ(ここで、該第三ステップは、一般式(XIX)で表される化合物をフタルイミド塩による求核置換に付して、一般式(XX)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(G−4):
【0131】
【化70】

[ここで、X及びnは、上記で定義されているとおりである]
による第四ステップ(ここで、該第四ステップは、一般式(XX)で表される化合物を水素化物供与体で還元して、一般式(XXI)で表される化合物を生成させることを含む);
− 反応スキーム(G−5):
【0132】
【化71】

[ここで、X及びnは、上記で定義されているとおりである]
による第五ステップ(ここで、該第五ステップは、ヒドラジン水和物又はヒドラジン塩と反応させることにより一般式(XXI)で表される化合物を脱保護して、一般式(II)で表されるアミン誘導体又はその塩の1種類を生成させることを含む);
を含む調製方法により調製することができる。
【0133】
本発明の化合物は、上記で記述した調製方法に準じて調製することができる。しかしながら、当業者が、自分の一般的な知識及び利用可能な刊行物に基づいて、合成することが望まれる化合物のそれぞれの特性に応じて該方法を適合させることができるということは理解されるであろう。
【0134】
本発明は、さらに、有効量の一般式(I)で表される活性物質を含んでいる殺菌剤組成物にも関する。従って、本発明により、活性成分としての有効量の上記で定義されている一般式(I)の化合物、及び、農業上許容される支持体、担体又は増量剤を含んでいる殺菌剤組成物が提供される。
【0135】
本明細書において、用語「支持体(support)」は、該活性物質と組み合わせて、特に植物の一部分に対して、より容易に施用できるようにする、天然又は合成の有機物質又は無機物質を意味する。このような支持体は、従って、一般に不活性であり、また、農業上許容されるものであるべきである。支持体は、固体であってもよいし、又は、液体であってもよい。適切な支持体の例としては、クレー、天然又は合成のシリケート、シリカ、樹脂、蝋、固形肥料、水、アルコール(特に、ブタノール)、有機溶媒、鉱油及び植物油、並びに、それらの誘導体などを挙げることができる。このような支持体の混合物を使用することもできる。
【0136】
上記組成物は、さらにまた、付加的な成分も含有することができる。特に、該組成物は、さらに、界面活性剤を含有することができる。該界面活性剤は、イオン性若しくは非イオン性のタイプの乳化剤、分散剤若しくは湿潤剤であることが可能であるか、又は、そのような界面活性剤の混合物であることが可能である。例えば、以下のものを挙げることができる:ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩若しくはナフタレンスルホン酸塩、エチレンオキシドと脂肪アルコールの重縮合物、エチレンオキシドと脂肪酸の重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪アミンの重縮合物、置換されているフェノール(特に、アルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特に、アルキルタウレート)、ポリオキシエチル化アルコールのリン酸エステル若しくはポリオキシエチル化フェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステル、並びに、硫酸官能基、スルホン酸官能基又はリン酸官能基を含んでいる上記化合物の誘導体。該活性物質及び/又は該不活性支持体が水不溶性である場合、及び、施用のための媒介物(vector agent)が水である場合、一般に、少なくとも1種類の界面活性剤を存在させることが必要である。好ましくは、界面活性剤の含有量は、該組成物の5〜40重量%であり得る。
【0137】
場合により、さらなる成分、例えば、保護コロイド、粘着剤、増粘剤、揺変剤、浸透剤、安定化剤、金属イオン封鎖剤などを含ませることもできる。さらに一般的には、該活性物質は、通常の製剤技術に従う固体又は液体の任意の添加剤と組み合わせることが可能である。
【0138】
一般に、本発明の組成物は、0.05〜99%(重量基準)の活性物質、好ましくは、10〜70重量%の活性物質を含有することができる。
【0139】
本発明の組成物は、エーロゾルディスペンサー、カプセル懸濁液剤、冷煙霧濃厚剤(cold fogging concentrate)、散粉性粉剤、乳剤、水中油型エマルション剤、油中水型エマルション剤、カプセル化粒剤、細粒剤、種子処理用フロアブル剤、ガス剤(加圧下)、ガス生成剤(gas generating product)、粒剤、温煙霧濃厚剤(hot fogging concentrate)、大型粒剤、微粒剤、油分散性粉剤、油混和性フロアブル剤、油混和性液剤、ペースト剤、植物用棒状剤(plant rodlet)、乾燥種子処理用粉剤、農薬粉衣種子、可溶性濃厚剤(soluble concentrate)、可溶性粉剤、種子処理用溶液剤、懸濁液剤(フロアブル剤)、微量散布用液剤(ultra low volume (ulv) liquid)、微量散布用懸濁液剤(ultra low volume (ulv) suspension)、顆粒水和剤、水分散性錠剤、泥水処理用水和剤、水溶性顆粒剤、水溶性錠剤、種子処理用水溶性粉剤及び水和剤のような、さまざまな形態で使用することが可能である。
【0140】
これらの組成物には、処理対象の植物又は種子に対して噴霧装置又は散粉装置のような適切な装置により施用される状態にある組成物のみではなく、作物に対して施用する前に希釈することが必要な商業的な濃厚組成物も包含される。
【0141】
さらにまた、本発明の化合物は、1種類以上の殺虫剤、殺菌剤、殺細菌剤、誘引性殺ダニ剤若しくはフェロモン、又は、生物学的活性を有する別の化合物と混合することもできる。そのようにして得られた混合物は、拡大された活性スペクトルを有する。別の殺菌剤との混合物が特に有利である。
【0142】
本発明の殺菌剤組成物を使用して、作物の植物病原性菌類を治療的又は予防的に防除することができる。従って、本発明のさらに別の態様により、作物の植物病原性菌類を治療的又は予防的に防除する方法が提供され、ここで、該方法は、上記で定義した殺菌剤組成物を、種子、植物及び/若しくは植物の果実に施用するか、又は、植物が成育している土壌若しくは植物を栽培するのが望ましい土壌に施用することを特徴とする。
【0143】
作物の植物病原性菌類に対して使用する本発明の組成物は、有効で且つ植物に対して毒性を示さない量の一般式(I)の活性物質を含有している。
【0144】
「有効で且つ植物に対して毒性を示さない量」という表現は、作物上に存在しているか又はおそらく出現するであろう菌類を防除又は駆除するのに充分で、且つ、該作物について植物毒性の感知可能などのような症状も引き起こすことのない、本発明組成物の量を意味する。そのような量は、防除対象の菌類、作物のタイプ、気候条件、及び、本発明の殺菌剤組成物に含まれている化合物に応じて、広い範囲で変動し得る。
【0145】
そのような量は、当業者が実行可能な範囲内にある体系的な圃場試験により決定することが可能である。
【0146】
本発明による処置方法は、塊茎又は根茎のような繁殖材料を処置するのに有効であるのみではなく、種子、実生又は移植実生(seedlings pricking out)及び植物又は移植植物(plants pricking out)を処置するのにも有効である。この処置方法は、根を処置するのにも有効であり得る。本発明による処置方法は、関係している植物の樹幹、茎又は柄、葉、花及び果実のような植物の地上部を処置するのにも有効であり得る。
【0147】
本発明の方法で保護可能な植物の中で、以下のものを挙げることができる:ワタ;アマ;ブドウ;果実作物、例えば、Rosaceae sp.(例えば、種子果(pip fruit)、例えば、リンゴ及びナシ、さらに、石果、例えば、アンズ、アーモンド及びモモ)、 Ribesioidae sp.、 Juglandaceae sp.、 Betulaceae sp.、 Anacardiaceae sp.、 Fagaceae sp.、 Moraceae sp.、 Oleaceae sp.、 Actinidaceae sp.、 Lauraceae sp.、 Musaceae sp.(例えば、バナナの木及びプランタン)、 Rubiaceae sp.、 Theaceae sp.、 Sterculiceae sp.、 Rutaceae sp.(例えば、レモン、オレンジ及びグレープフルーツ); マメ科作物、例えば、Solanaceae sp.(例えば、トマト)、 Liliaceae sp.、 Asteraceae sp.(例えば、レタス)、 Umbelliferae sp.、 Cruciferae sp.、 Chenopodiaceae sp.、 Cucurbitaceae sp.、 Papilionaceae sp.(例えば、エンドウ)、 Rosaceae sp.(例えば、イチゴ); 大型作物(big crop)、例えば、Graminae sp.(例えば、トウモロコシ、禾穀類、例えば、コムギ、イネ、オオムギ及びライコムギ)、 Asteraceae sp.(例えば、ヒマワリ)、 Cruciferae sp.(例えば、ナタネ)、 Papilionaceae sp.(例えば、ダイズ)、 Solanaceae sp.(例えば、ジャガイモ)、 Chenopodiaceae sp.(例えば、ビート(beetroot)); 園芸作物及び森林作物(forest crops);さらに、これら作物の遺伝的に修飾された相同物。
【0148】
本発明の方法で保護される植物及びそれら植物の可能性のある病害の中で、以下のものを挙げることができる:
・ コムギ〔以下に示す種子の病害の防除に関して〕:フザリア(fusaria)(Microdochium nivale、及び、Fusarium roseum)、なまぐさ黒穂病(Tilletia cariesTilletia controversa、又は、Tilletia indica)、セプトリア病(Septoria nodorum)、及び、裸黒穂病;
・ コムギ〔以下に示すコムギ植物の地上部の病害の防除に関して〕:穀類眼紋病(cereal eyespot)(Tapesia yallundaeTapesia acuiformis)、立枯病(Gaeumannomyces graminis)、赤かび病(foot blight)(F.culmorumF.graminearum)、ブラックスペック(black speck)(Rhizoctonia cerealis)、うどんこ病(Erysiphe graminis forma specie tritici)、さび病(Puccinia striiformis、及び、Puccinia recondita)、及び、セプトリア病(Septoria tritici、及び、Septoria nodorum);
・ コムギ及びオオムギ〔細菌病及びウイルス病の防除に関して〕:例えば、オオムギ縞萎縮病(barley yellow mosaic);
・ オオムギ〔以下に示す種子の病害の防除に関して):網斑病(Pyrenophora gramineaPyrenophora teres、及び、Cochliobolus sativus)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、及び、フザリア(fusaria)(Microdochium nivale、及び、Fusarium roseum);
・ オオムギ〔以下に示すオオムギ植物の地上部の病害の防除に関して〕:穀類眼紋病(cereal eyespot)(Tapesia yallundae)、網斑病(Pyrenophora teres、及び、Cochliobolus sativus)、うどんこ病(Erysiphe graminis forma specie hordei)、小さび病(Puccinia hordei)、及び、雲形病(Rhynchosporium secalis);
・ ジャガイモ〔塊茎の病害の防除に関して〕:(特に、Helminthosporium solaniPhoma tuberosaRhizoctonia solaniFusarium solani)、べと病(Phytopthora infestans)、及び、特定のウイルス(ウイルスY);
・ ジャガイモ〔以下に示す茎葉部の病害の防除に関して〕:夏疫病(Alternaria solani)、べと病(Phytophthora infestans);
・ ワタ〔種子から生育した幼植物の以下に示す病害の防除に関して〕:立枯病及び地際部腐敗(collar rot)(Rhizoctonia solaniFusarium oxysporum)、及び、黒根腐病(black root rot)(Thielaviopsis basicola);
・ タンパク質産生作物(protein yielding crop)、例えば、エンドウ〔以下に示す種子の病害の防除に関して〕:炭疽病(Ascochyta pisiMycosphaerella pinodes)、フザリア(fusaria)(Fusarium oxysporum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、及び、べと病(Peronospora pisi);
・ 油料作物(oil-bearing crop)、例えば、ナタネ〔以下に示す種子の病害の防除に関して〕:Phoma lingamAlternaria brassicae、及び、Sclerotinia sclerotiorum
・ トウモロコシ〔種子の病害の防除に関して〕:(Rhizopus sp.、Penicillium sp.、Trichoderma sp.、Aspergillus sp.、及び、Gibberella fujikuroi);
・ アマ〔種子の病害の防除に関して〕:Alternaria linicola
・ 森林樹〔立枯病の防除に関して〕:(Fusarium oxysporumRhizoctonia solani);
・ イネ〔以下に示す地上部の病害の防除に関して〕:いもち病(Magnaporthe grisea)、紋枯病(bordered sheath spot)(Rhizoctonia solani);
・ マメ科作物〔種子又は種子から生育した幼植物の以下に示す病害の防除に関して〕:立枯病及び地際部腐敗(collar rot)(Fusarium oxysporumFusarium roseumRhizoctonia solaniPythium sp.);
・ マメ科作物〔以下に示す地上部の病害の防除に関して〕:灰色かび病(Botrytis sp.)、うどんこ病(特に、Erysiphe cichoracearumSphaerotheca fuliginea、及び、Leveillula taurica)、フザリア(fusaria)(Fusarium oxysporumFusarium roseum)、斑点病(Cladosporium sp.)、褐点病(alternaria leaf spot)(Alternaria sp.)、炭疽病(Colletotrichum sp.)、セプトリア斑点病(septoria leaf spot)(Septoria sp.)、ブラックスペック(black speck)(Rhizoctonia solani)、べと病(例えば、Bremia lactucaePeronospora sp.、Pseudoperonospora sp.、Phytophthora sp.);
・ 果樹〔地上部の病害に関して〕:モニリア病(Monilia fructigenaeM.laxa)、瘡痂病(Venturia inaequalis)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha);
・ ブドウ〔茎葉部の病害に関して〕:特に、灰色かび病(Botrytis cinerea)、うどんこ病(Uncinula necator)、黒腐病(Guignardia biwelli)、及び、べと病(Plasmopara viticola);
・ ビート(beetroot)〔以下に示す地上部の病害に関して〕:サーコスポラ葉枯病(cercospora blight)(Cercospora beticola)、うどんこ病(Erysiphe beticola)、斑点病(Ramularia beticola)。
【0149】
本発明の殺菌剤組成物は、材木の表面又は内部で発生するであろう菌類病に対しても使用することができる。用語「材木」は、全ての種類の木、そのような木を建築用に加工した全てのタイプのもの、例えば、ソリッドウッド、高密度木材、積層木材及び合板などを意味する。本発明による材木の処理方法は、主に、本発明の1種類以上の化合物又は本発明の組成物を接触させることにより行う。これには、例えば、直接的な塗布、噴霧、浸漬、注入、又は、別の適切な任意の方法が包含される。
【0150】
本発明の処置において通常施用される活性物質の薬量は、茎葉処理における施用では、一般に、また、有利には、10〜800g/ha、好ましくは、50〜300g/haである。種子処理の場合は、活性物質の施用薬量は、一般に、また、有利には、種子100kg当たり2〜200g、好ましくは、種子100kg当たり3〜150gである。上記で示されている薬量が本発明を例証するための例として挙げられていることは、明確に理解される。当業者は、処理対象の作物の種類に基づいて、該施用薬量を適合させる方法を理解するであろう。
【0151】
さらにまた、本発明の殺菌剤組成物は、遺伝的に修飾されている生物の本発明化合物又は本発明農薬組成物による処理においても使用することができる。遺伝的に修飾されている植物は、関心タンパク質をコードする異種の遺伝子がゲノムに安定的に組み込まれている植物である。「関心タンパク質をコードする異種の遺伝子(heterologous gene encoding a protein of interest)」という表現は、本質的に、形質転換された植物に新しい農業的特性を付与する遺伝子を意味するか、又は、形質転換された植物の農業的特性を改善する遺伝子を意味する。
【0152】
さらにまた、本発明の組成物は、例えば、真菌症、皮膚病、白癬菌性疾患(trichophyton disease)及びカンジダ症、又は、Aspergillus spp.(例えば、Aspergillus fumigatus)に起因する疾患のようなヒト及び動物の菌類病を治療的又は予防的に処置するのに有用な組成物を調製するのに使用することもできる。
【実施例】
【0153】
本発明の態様について、化合物についての下記表及び下記実施例を参照して説明する。以下の表A〜表Cは、本発明の殺菌性化合物の例について非限定的に例証している。下記実施例において、「M+1」(又は、「M−1」)は、それぞれ、質量分析において観察された分子イオンピークプラス1a.m.u.(原子質量単位)又はマイナス1a.m.u.(原子質量単位)を意味し、m.p.は、融点を意味する。
【0154】
【表1】

【0155】
【表2】

【0156】
【表3】

【0157】
一般式(I)で表される化合物の調製方法についての実施例
N−[2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロピル]−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドの調製
2−シアノ−2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロパン酸t−ブチルの調製
150mLのジメトキシエタンに、0℃で、11.6g(0.29mol)の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液)を少量ずつゆっくりと添加した。この懸濁液に、5℃で、さらに、50mLのジメトキシエタン中の21.1g(0.149mol)のシアノ酢酸t−ブチルを滴下して加えた。得られた懸濁液を室温で45分間撹拌した。この懸濁液に、20g(0.136mol)の2,5−ジクロロピリジン、0.73g(1.36mmol)の(S)−(+)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチル−t−ブチルホスフィン、及び、1.56g(2.7mmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を順次添加した。その黒色の混合物を4時間加熱還流した。室温で冷却後、12.7mL(0.2mol)ヨウ化メチルを滴下して加え、得られた混合物を、室温でさらに17時間撹拌した。その反応混合物を100mLの1N塩酸に注ぎ入れた。水相をスーパーセル(supersel)で濾過し、酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。
【0158】
有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。減圧下に溶媒を蒸発させて、44.56gの粗生成物を褐色の油状物として得た。この粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン/酢酸エチル:8/2)で精製して、2−シアノ−2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロパン酸t−ブチル(23.44g;64%)を黄色の油状物として得た。
質量スペクトル:[M+1]=267。
【0159】
2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロパンニトリルの調製
23g(0.086mol)の2−シアノ−2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロパン酸t−ブチルを150mLのトルエンに溶解させた溶液に、7.4g(0.043mol)のp−トルエンスルホン酸一水和物を添加した。その混合物を110℃で1.5時間撹拌した。冷却後、その反応混合物を氷水中に注ぎ入れ、水性炭酸水素ナトリウムを添加してpHを8とした。
【0160】
水相を酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を減圧下に蒸発させて、15.4gの粗生成物を橙色の油状物として得た。この粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン/酢酸エチル:8/2)で精製して、2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロパンニトリル(7.8g;54%)を黄色の油状物として得た。
質量スペクトル:[M+1]=167。
【0161】
2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロピルカルバミン酸t−ブチルの調製
5.2g(0.031mol)の2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロパンニトリルを60mLのメタノールに溶解させた溶液に、8g(0.034mol)の塩化コバルト(II)六水和物及び13.5g(0.062mol)の二炭酸二t−ブチルを素早く添加した。得られた暗色の溶液を−5℃に冷却し、8.2g(0.217mol)の水素化ホウ素ナトリウムを0℃で少量ずつ添加した。その反応混合物を室温で1時間撹拌した。その反応混合物を100mLの1N塩酸で中和し、減圧下にメタノールを除去した。水相を酢酸エチル(2×150mL)で再抽出し、有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。
【0162】
溶媒を減圧下に蒸発させて、11.7gの粗生成物を黒色の油状物として得た。この粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン/酢酸エチル:9/1)で精製して、2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロピルカルバミン酸t−ブチル(4.8g;57%)を黄色の油状物として得た。
質量スペクトル:[M+1]=271。
【0163】
2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロピルアミン塩酸塩の調製
4.8g(0.018mol)の2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロピルカルバミン酸t−ブチルを30mLのジエチルエーテルに溶解させた溶液に、ジエチルエーテル中の塩化水素の2M溶液44mL(0.089mol)を添加した。その混合物を室温で3時間撹拌した。
【0164】
固体を濾過し、減圧下に一晩乾燥させて、2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロピルアミン塩酸塩(3.5g;94%)を黄色の固体として得た。
質量スペクトル:[M+1]=169。
【0165】
N−[2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロピル]−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドの調製
100mg(0.48mmol)の2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロピルアミン塩酸塩を3mLのジクロロメタンに懸濁させた懸濁液に、240□L(1.68mmol)のトリエチルアミン及び113mg(0.58mmol)の1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボニルクロリドを順次添加した。その混合物を室温で4時間撹拌した。その反応混合物を水の中に注ぎ入れ、pHを4とした。
【0166】
溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン/酢酸エチル:8/2)で精製して、N−[2−(5−クロロ−2−ピリジニル)プロピル]−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(40mg;24%)を黄色の油状物として得た。
質量スペクトル:[M+1]=347。
【0167】
一般式(I)で表される化合物の生物学的活性についての実施例
実施例A: Alternaria brassicae(アブラナ科の植物の斑点病(leaf spot))に対するインビボ試験
被験活性成分を、ポッター均質化(potter homogenisation)により100g/Lの濃厚懸濁液型製剤として調製する。次いで、この懸濁液を水で希釈して、所望の活性物質濃度とする。
【0168】
50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、18〜20℃で生育させたスターターカップ(starter cup)内のハツカダイコン植物(品種 Pernot)を、子葉期で、上記水性懸濁液を噴霧することにより処理する。
【0169】
対照として使用する植物は、活性物質を含んでいない水溶液で処理する。
【0170】
24時間経過した後、Alternaria brassicaeの胞子の水性懸濁液(1cm当たり40,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。その胞子は、12〜13日間培養したものから採取する。
【0171】
汚染されたハツカダイコン植物を、湿潤雰囲気下、約18℃で、6〜7日間インキュベートする。
【0172】
上記汚染から6〜7日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。
【0173】
これらの条件下、以下の化合物を330ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも50%)又は完全な保護が観察される:A1。
【0174】
これらの条件下、以下の化合物を125ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも50%)又は完全な保護が観察される:C4。
【0175】
実施例B: Pyrenophora teres(オオムギの網斑病)に対するインビボ試験
被験活性成分を、ポッター均質化により100g/Lの濃厚懸濁液型製剤として調製する。次いで、この懸濁液を水で希釈して、所望の活性物質濃度とする。
【0176】
50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、12℃で生育させたスターターカップ内のオオムギ植物(品種 Express)を、1葉期(草丈10cm)で、上記水性懸濁液を噴霧することにより処理する。対照として使用する植物は、活性物質を含んでいない水溶液で処理する。
【0177】
24時間経過した後、Pyrenophora teresの胞子の水性懸濁液(1mL当たり12,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。その胞子は、12日間培養したものから採取する。汚染されたオオムギ植物を、約20℃、相対湿度100%で24時間インキュベートし、次いで、相対湿度80%で12日間インキュベートする。
【0178】
上記汚染から12日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。
【0179】
これらの条件下、以下の化合物を330ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも50%)又は完全な保護が観察される:A1、B1、C1、C2及びD1。
【0180】
これらの条件下、以下の化合物を125ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも50%)又は完全な保護が観察される:C4。
【0181】
特許出願W001/11965により開示されたN−{1−メチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−4−フェニルベンズアミド(表Dの化合物316を参照されたい)は、330ppmで、Alternaria brassicaeに対して不充分な効果しか示さず、また、Botrytis cinereaに対しては効果を示さなかった。同様に、特許出願WO01/11965により開示されたN−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−3−ニトロベンズアミド(表Dの化合物307を参照されたい)も、330ppmで、Alternaria brassicaeに対して不充分な効果しか示さず、また、Botrytis cinereaに対しては効果を示さなかった。同様に、特許出願WO01/11965により開示されてたN−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−ベンズアミド及びN−{1−メチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−ベンズアミド(表Dの化合物304及び化合物314を参照されたい)も、330ppmで、Botrytis cinereaに対して効果を示さなかった。同様に、特許出願WO01/11965により開示されたN−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−4−クロロベンズアミド、N−{1−エチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−2−ブロモベンズアミド及びN−{1−メチルカルバモイル−2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]エチル}−4−メトキシベンズアミド(表Dの化合物306、化合物310及び化合物315を参照されたい)も、330ppmで、Botrytis cinereaに対して効果を示さなかった。
【0182】
特許出願WO01/11965により開示されたN−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]メチル)−5−チエニルアセトアミド(表Bの化合物101を参照されたい)は、330ppmで、Alternaria brassicaeに対して不充分な効果しか示さず、また、Botrytis cinerea及びPeronospora parasiticaに対しては効果を示さなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される化合物、
【化1】

[式中、
・ nは、1、2、3又は4である;
・ Xは、同一であるか又は異なっていて、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−Cアルキルカルバモイル、ジ−C−Cアルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル又はフェニルアミノである;
・ R、R、R及びRは、同一であるか又は異なっていて、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル、若しくはフェニルアミノ、フェニル基、フェニルスルファニル基である;
又は、RとRは、一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル若しくはシクロヘキシルを形成していてもよい;
但し、4つの置換基R、R、R及びRのうちの3つが水素原子である場合、4番目の置換基は水素原子ではない;
・ Rは、水素原子、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−シクロアルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シアノアルキル、C−C−アミノアルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C−ベンジルオキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニルである;
・ Hetは、同一であっても又は異なっていてもよい1個、2個又は3個のヘテロ原子を含んでいる5員、6員又は7員のヘテロ環を表し;ここで、Hetは、炭素原子で結合しており、また、少なくともオルト位が置換されている]
並びに、その塩、N−オキシド、金属及び半金属錯体。
【請求項2】
nが、1、2又は3であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X置換基のうちの少なくとも1つが、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシイミノ、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル又はC−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
2−ピリジルが、3位、5位及び/又は6位で置換されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
及びRが、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、C−C−アルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルアミノ、C−C−アルコキシカルボニルオキシ、C−C−アルコキシカルボニルアミノ又はフェニル基であるように選択されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
及びRが、互いに独立して、ハロゲン原子、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又はC−C−アルキルカルボニルアミノであるように選択されることを特徴とする、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
及びRが、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルキルカルボニルアミノ又はフェニル基であるように選択されることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
及びRが、互いに独立して、ハロゲン原子、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又はフェニル基であるように選択されることを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、水素原子又はC−C−シクロアルキルであることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
Hetが、5員環式ヘテロ環であることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
Hetが、6員環式ヘテロ環であることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかで定義されている一般式(I)で表される化合物を調製する方法であって、一般式(II):
【化2】

[式中、X、n、R、R、R、R及びRは、請求項1ないし11のいずれかにおけるのと同様である]
で表される2−ピリジン誘導体又はその塩のうちの1種類を、一般式(III):
【化3】

[式中、
・ Hetは、請求項1ないし11のいずれかで定義されているとおりであり;
及び、
・ Lは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−OR、−OCORであるように選択される脱離基であり、Rは、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル、ペンタフルオロフェニル、又は、式
【化4】

で表される基である]
で表されるカルボン酸誘導体と、触媒の存在下で、また、Lがヒドロキシル基である場合は、縮合剤の存在下で、反応させることを含む、前記方法。
【請求項13】
が水素原子であり、且つ、該調製方法が、一般式(Id)で表される化合物を一般式(XXII)で表される化合物と反応させて一般式(Ia)で表される化合物を生成させることを含む以下の反応スキーム:
【化5】

[ここで、
・ R、R、R、R、X、n及びHetは、請求項1ないし15のいずれかで定義されているとおりであり;
・ R5aは、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、C−C−アルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−シクロアルキル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シアノアルキル、C−C−アミノアルキル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、ジ−C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲンアルキルカルボニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C−ベンジルオキシカルボニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニル又は1ないし5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルホニルであり;
・ Lは、ハロゲン原子、4−メチルフェニルスルホニルオキシ又はメチルスルホニルオキシであるように選択される脱離基である]
に従うさらなるステップにより完結されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
有効量の請求項1ないし11のいずれかに記載の化合物及び農業上許容される支持体を含んでいる、殺菌剤組成物。
【請求項15】
作物の植物病原性菌類を予防的又は治療的に防除する方法であって、有効で且つ植物に対して毒性を示さない量の請求項14に記載の組成物を、植物の種子、又は、植物の葉及び/若しくは植物の果実、又は、植物がそこで生育している土壌若しくは植物をそこで栽培するのが望ましい土壌に施用することを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2007−526279(P2007−526279A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501251(P2007−501251)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003282
【国際公開番号】WO2005/085238
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(503325538)バイエル・クロツプサイエンス・エス・アー (73)
【Fターム(参考)】