説明

2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾ化合物及びその調製方法並びに用途

本発明は2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾ化合物及びその調製方法並びに用途を開示した。本発明の2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾ化合物は下記式(II)のような構造あり、該化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、心脳血管病気の治療または予防用薬物の調製に応用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物化学分野に属し、具体的に2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾ化合物及びその調製方法並びに用途に関する。
【背景技術】
【0002】
血栓形成は、脳卒中などのような、弊害を生じ致死性の高い心脳血管病気の病理学的基礎で、血管、血液、血流のいろいろな要因に係る病変プロセスであり、血栓形成は凝血システム、内皮細胞機能及び細胞接着機能異常などに関する。抗血栓薬物は抗凝血薬、抗血小板薬及び内皮細胞を作用ターゲットとする薬物を含む。現在臨床的に常用されている抗血小板薬物としては、アスピリン、チクロピジン及びクロピドグレル、血小板GPIIb/11Ia受容体拮抗剤である単クローン抗体アブシキシマブ(abciximab)、エプチフィバチド(eptifibatide)のような合成ペプチド類受容体拮抗剤、チロフィバン(tirofiban)のような非ペプチド類容体拮抗剤、及び非ペプチド擬似体(Lanifiban)が挙げられる。
【0003】
脳卒中の発生後、閉塞血管が短期間内に再開通して脳機能が回復する可能性はあるが、一定時間以上の持続虚血であった場合は不可逆的な脳細胞損傷に至る恐れがある。不可逆的な損傷の虚血中心部の周囲は生存可能なイケスミック・ペナンプラであり、一定の時間後例え血行が再開されても一部分は遅発性神経細胞死を発生し、興奮性アミノ酸の放出、神経細胞のカルシウム流入、ラジカル発生などの各種の相関性因子を引き起こし、特にラジカルの発生は脳機能障害を引き起こす主要な要因の1つであると認められる。虚血状態時、アラキドン酸代謝系の亢進はラジカルの発生を増加させ、細胞膜リン脂質の不飽和脂肪酸が過酸化され細胞膜の損傷を招き、ともに脳細胞の機能障害を悪化させる。
【0004】
脳神経保護は脳卒中を治療する重要な一環であり、日本の最新の脳卒中治療ガイドラインに初めてイー・ビー・エム(根拠に基づく医療evidence−based medicine、EBM)の根拠に基づいて脳保護薬エダラボンの使用が推薦され、脳卒中の治療に新たな助かる望みを提供した。脳梗塞急性期の治療は、脳保護作用を有する薬物エダラボンの使用が推薦される。臨床研究は、エダラボンは脳梗塞急性期(発生後72h以内)患者の予後改善に対して有効であり、特に発病24h以内に治療効果がより顕著であることを示している。
【0005】
【化1】

(エダラボン)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は薬用価値を有する化合物2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾまたはその薬学的に受容可能な塩を提供することにある。
【0007】
本発明のもう1つの目的は前記化合物の調製方法を提供することにある。
【0008】
本発明の更なる目的は前記化合物またはその薬学的に受容可能な塩の用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は以下の手段によって達成できる。
【0010】
式(II)の構造を有する化合物2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾまたはその薬学的に受容可能な塩である。
【0011】
【化2】

【0012】
前記薬学的に受容可能な塩は、前記化合物と一般薬学的に常用される酸またはアルカリとの反応によって生成される、その他の副作用を有せず、且つ化合物の物理化学的な性能(例えば水溶性など)を高めることができる一般意義上の塩をいう。そのうち、一般的に前記の酸またはアルカリは塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、琥珀酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたは水酸化カリウムなどから選択される。
【0013】
式II化合物の調製方法は、化合物Mをアルカリ性条件下でアセト酢酸エステルと反応させて化合物Nを調製したのち、化合物Nを塩化水素ガスの作用によって閉環されることによって式II化合物を得る。その反応式は以下の通りである。
【0014】
【化3】

【0015】
ステップ1の反応において、反応溶媒はエタノールまたはメタノールなどのようなアルコールを選択してもよく、アルカリは通常ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのようなナトリウムアルコキシドを選択し、反応温度は40〜80℃である。ステップ2の反応の溶媒はジクロロメタンまたはテトラヒドロフランで、反応温度は20〜40℃である。
【0016】
本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩は製薬分野、例えば心脳血管病気の治療または予防用薬物の分野に応用できる。動物薬効実験は、本発明の化合物2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾ(以下TRと略称する)は用量依存的に、脳虚血再潅流動物の神経欠陥症状を顕著に改善し、脳梗塞の面積を縮小し、脳損傷の程度を低減し、脳水腫を軽減し、損傷した脳組織の脂質過酸化を抑制することができ、最小有効量が3mg/kgであることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】DPPHの標準曲線図である。
【図2】抗DPPHラジカル能力と反応時間との関係図である。
【図3】神経欠陥症状に対するTRの影響の柱状グラフである(図中、神経欠陥点数は、平均値X±SDで表わす。*P<0.05(偽手術群との比較) #P<0.05(モデル群との比較))。
【図4】脳梗塞面積に対するTRの影響である(図中、脳梗塞面積は、平均値X±SDで表す。*P<0.05(偽手術群との比較) #P<0.05(モデル群との比較) &P<0.05(低用量群との比較))。
【図5】脳梗塞面積に対するTRの影響の柱状グラフである(図中、脳梗塞面積は、平均値X±SDで表す。*P<0.05(偽手術群との比較) #P<0.05(モデル群との比較) &P<0.05(低用量群との比較)))。
【図6】神経欠陥症状に対するTRの影響の柱状グラフである(図中、神経欠陥(%)は、平均値X±SDで表わす。*P<0.05(偽手術群との比較)。#P<0.05(モデル群との比較))。
【図7】脳含水量に対するTRの影響の柱状グラフである(図中、脳含水量変化値(%)は、平均値X±SDで表す。*P<0.05(偽手術群との比較) #P<0.05(モデル群との比較))。
【図8】脳組織SOD(U/mgprot)活性に対するTRの影響の柱状グラフである(図中、SOD値は、平均値X±SDで表す。*P<0.05(偽手術群との比較) #P<0.05(モデル群との比較)))。
【図9】脳組織MDA(nmol/mgprot)含量に対するTRの影響の柱状グラフである(図中、MDA値は、平均値X±SDで表す。*P<0.05(偽手術群との比較)#P<0.05(モデル群との比較)))。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)
2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾ(化合物II)の調製
【0019】
2−ヒドラジノベンゾニトリル塩酸塩の調製
【0020】
【化4】

【0021】
2000mlの三角フラスコに濃塩酸600ml、砕氷500ml、2−アミノベンゾニトリル59g(0.5mol)を加え、十分に溶解するまで撹拌する。氷塩浴で−7〜−3℃にし、亜硝酸ナトリウム溶液34.5g(0.5mol)を滴下して水150mlに溶解する。滴下完了後、10min撹拌してオレンジイエローの澄明な溶液を得、使用するまで保存する。
【0022】
5000mlの三角フラスコに塩化第一スズ350g、濃塩酸1000mlを加え、十分に溶かすまで撹拌し、氷塩浴で−5℃にし、前記ジアゾニウム塩溶液を滴下して白色の沈殿を生成する。滴下完了後、続けて2h撹拌し、ろ過を行い、ケーキを大量のNaCl飽和溶液で洗浄を行い、さらに15%冷塩酸で洗浄し、乾燥を行い、2−ヒドラジノベンゾニトリル塩酸塩36gを得る。
【0023】
1−(2−シアノフェニル)−3−メチルピラゾール−5−ケトンの調製
【0024】
【化5】

【0025】
250mlの反応瓶に塩酸2−ヒドラジノベンゾニトリル8.5g(0.05mol)、アセト酢酸メチル6g(0.05mol)、メタノール100mlを加え、撹拌しながら50%ナトリウムメトキシド5.5g(0.051mol)を加えてメタノール50mlの溶液に溶解する。10min撹拌した後、6h加熱還流反応し、熱いうちにろ過を行い、メタノール20mlで固体を洗浄し、メタノールを回収して体積約50mlを残し、撹拌しながら氷水200mlに注入し、固体を析出させ、ろ過水を洗浄して淡黄色固体7gを得る。
【0026】
2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾ(化合物II)の調製
【0027】
【化6】

【0028】
1−(2−シアノフェニル)−3−メチルピラゾール−5−ケトン20g(0.1mol)、無水テトラヒドロフラン20mlに、撹拌下で飽和するまで乾燥塩化水素ガスを注入し、室温で撹拌を行って一夜反応させ、乾燥まで真空濃縮を行う。無水テトラヒドロフラン100ml、無水酢酸ナトリウム10gを加えて室温で1h撹拌し、ろ過を行い、テトラヒドロフランを真空濃縮し、酢酸エチルを再結晶させ、類白色結晶13gを得る。
【0029】
M/Z[M+1]+,200;[M+Na]+,222.
HNMR: δ13.2693ppm(NH);8.0219ppm(1H,d);7.611ppm(1H,d);7.459ppm(1H,s);7.0941ppm(1H,s);5.9555ppm(1H,s);2.467(3H,s).
13CNMR: δ154.5172ppm;154.2973ppm;142.589ppm;140.0084ppm;136.0494ppm;124.4878ppm;123.4394ppm;113.0434ppm;109.6637ppm;102.6622ppm;19.7732ppm.
【0030】
(抗DPPHラジカル試験)
ジフェニルピクリルヒドラジルラジカル(DPPH)分光光度法は抗酸化剤をスクリーニングする簡単な方法である。その原理は517nmにおけるDPPH溶液の特性吸収ピークを利用し、ラジカル除去剤が存在した場合に、ラジカル除去剤とDPPHとが単電子対形成することによって吸収を徐々に消去させる。その退色の程度はそれが受け取った電子数と定量関係を持っており、サンプルの抗酸化活性は除去されたDPPHの量によって評価されることができるため、分光法によって定量分析を行うことができる。
【0031】
DPPH検量線
DPPHを精密に量り、100mlのフラスコに入れ、且つ95%のエタノールで100mlまで定容し、517nmにおける吸収値(A)を測定する。
【0032】
表1.異なる濃度のDPPH溶液の吸収値
【0033】
【表1】

【0034】
DPPH検量線は図1に示す。その一次方程式は:y=0.219x−0.0285;r=0.9994である。
【0035】
DPPH溶液の調製
DPPHを精密に量り、100mlのフラスコに入れ、且つ95%のエタノールで100mlまで定容し、DPPH溶液を調製し得る。
【0036】
試薬溶液の調製:試薬を精密に量り、100mlのフラスコに入れ、且つ95%のエタノール20mlに溶解した後、pHを約7.5に調節し、さらに95%のエタノールで100mlまで定容する。
【0037】
試薬−DPPH溶液の吸収値の測定
DPPH溶液5.0ml、試薬溶液2.0mlを量り取って、10mlフラスコに入れ、十分に振り室温約25℃において所定時間で反応させ、517nmの吸収値(A)を測定する。
【0038】
試薬のDPPHラジカル除去能力E(mgDPPH/mg)の計算式:
E(mgDPPH/mg)=[DPPH濃度(mg/100ml)×5/7−(吸収値A+0.0285)/0.219(mg/100ml)]/[試薬濃度C(mg/100ml)×2/7]
試薬のDPPHラジカル除去能力V(mmolDPPH/mmol)の計算式:
V(mmolDPPH/mmol)=[E(mgDPPH/mg)]/[394.32/試薬分子量]
【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
表2及び表3中、化合物1は2−メチル−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾ−5−ケトンで、化合物2は2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾ(すなわちTR)で、化合物3は1−(2−カルボキシフェニル)−3−メチルピラゾール−5−ケトンである。
【0042】
抗DPPHラジカル能力V(mmolDPPH/mmol)と反応時間(min)との関係は図2に示される。抗DPPHラジカル試験結果は、30min内の試薬のDPPH除去能力は化合物3が最大で、1つの分子の化合物3は1.942個の分子のDPPHラジカルを除去でき、エダラボンのDPPHラジカル除去能力よりもやや強く、1つのエダラボンは1.657個の分子のDPPHラジカルを除去できることを示している。化合物1及び化合物2のDPPHラジカル除去能力は反応時間と関係を持っており、反応時間の延長に伴って、化合物1及び化合物2は徐々に化合物3に加水分解されるため、DPPHラジカル除去能力は徐々に増強され、化合物1は30min時においてDPPHラジカル除去能力が化合物3の1/8であるが、反応150min時においてはDPPHラジカル除去能力が化合物3とほぼ同等になっている。
【0043】
(動物薬効実験)
内頸動脈栓線法でSDラット中大脳動脈閉塞(Middle cerebral artery、MCAO)モデルを作り、脳虚血再潅流損傷を引き起こさせる。虚血再潅流した後0.5h後に一回投与し、その後2h毎に一回投与して総計3回投与する。脳虚血後48hに神経欠陥症状を観察し、動物を屠殺して脳を取って、脳梗塞面積及び脳損傷程度を測定する。本発明の化合物2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾ(TRと略称する)を対象にし、ニモジピンを対照とする。
【0044】
神経欠陥症状に対するTRの影響
神経欠陥症状の重症度の評価点数が表4及び図3に示され、モデル群は偽手術群と比べると有意差(F5,41=28.05,P<0.001)があり、脳虚血再潅流は重症な神経欠陥症状を引き起こすことが示されている。また、TR高投与群(F5,41=28.05,P<0.001)、中投与群(F5,41=28.05,P<0.001)、低投与群(F5,41=28.05,P=0.001)及びニモジピン群(F5,41=28.05,P<0.001)は、モデル群との比較結果、神経欠陥症状が共に顕著に軽減された。
【0045】
【表4】

X±SD;*P<0.05(偽手術群との比較) P<0.05(モデル群との比較)
【0046】
脳梗塞面積に対するTRの影響
各群の脳梗塞面積が表5及び図4に示され、モデル群は偽手術群と比べると有意差(F5,41=23.34,P<0.001)があり、脳虚血再潅流は顕著な脳梗塞を引き起こすことが示された。また、TR高投与群(F5,41=23.34,P<0.001)、中投与群(F5,41=23.34,P<0.001)、低投与群(F5,41=23.34,P=0.044)及びニモジピン群(F5,41=23.34,P<0.001)では、モデル群との比較結果、脳梗塞面積が共に顕著に減少し、TR高投与群とTR低投与群とを比較すると、有意差が認められる(F5,41=23.34,P=0.009)。
【0047】
【表5】

X±SD;*P<0.05(偽手術群との比較) P<0.05(モデル群との比較) P<0.05(低投与群との比較)
【0048】
脳損傷に対するTRの影響
各群の脳損傷が表6及び図5に示され、モデル群は偽手術群と比べると有意差(F5,41=20.52,P<0.001)があり、脳虚血再潅流は顕著な脳損傷を引き起こすことが示された。また、TR高投与群(F5,41=20.52,P<0.001)、中投与群(F5,41=20.52,P<0.001)及びニモジピン群(F5,41=20.52,P<0.001)では、モデル群との比較結果、脳損傷の程度が共に顕著に減少した。TR高投与群とTR低投与群では、有意差が認められた(F5,41=20.52,P=0.004)。
【0049】
【表6】

X±SD;*P<0.05(偽手術群との比較) P<0.05(モデル群との比較)。P<0.05(低投与群との比較)。
【0050】
神経欠陥症状の重症度の評価点数が表1及び図1に示され、モデル群は偽手術群と比べると共に有意差(F5,41=28.05,P<0.001)があり、脳虚血再潅流は重症な神経欠陥症状を引き起こすことが示された。また、TR高投与群(F5,41=28.05,P<0.001)、中投与群(F5,41=28.05,P<0.001)、低投与群(F5,41=28.05,P=0.001)及びニモジピン群(F5,41=28.05,P<0.001)では、モデル群との比較結果、神経欠陥症状が共に顕著に軽減された。結果は、TRが脳虚血再潅流動物の神経欠陥症状を改善できることを示している。
【0051】
【表7】

X±SD;*P<0.05(偽手術群との比較) P<0.05(モデル群との比較)
【0052】
脳含水量に対するTRの影響
各群の脳含水量が表8及び図7に示され、モデル群は偽手術群と比べると有意差(F5,42=20.06,P<0.001)があり、脳虚血再潅流は重症な脳水腫を引き起こすことが示されている。また、TR高投与群(F5,42=20.06,P<0.001)、中投与群(F5,42=20.06,P=0.039)及びニモジピン群(F5,42=20.06,P=0.03)では、モデル群と比較すると、脳含水量が顕著に減少されたが、低投与群(F5,42=20.06,P=0.039)とモデル群とでは、有意差は認められなかった(F5,42=20.06,P=0.086)。
【0053】
【表8】

X±SD;*P<0.05(偽手術群との比較) P<0.05(モデル群との比較)
【0054】
損傷した脳組織SOD活性及びMDAレベルに対するTRの影響
各群の脳組織SOD活性及びMDAレベルが表9及び図8、9に示され、モデル群は偽手術群と比べると有意差があり、MDA含量が顕著に上昇し(F5,42=26.96,P<0.001)、SOD活性が顕著に減少し((F5,42=17.13,P<0.001)、脳虚血再潅流は損傷した脳組織脂質の過酸化を引き起こすことが示された。また、TR高投与群ではモデル群と比較すると、MDA含量が顕著に減少し(F5,42=26.96,P<0.001)、TR中投与群(F5,42=26.96,P=0.141)、低投与群(F5,42=26.96,P=0.211)及びニモジピン群(F5,42=26.96,P=0.961)では、モデル群との比較結果、有意差が認められなかった。TR高投与群はモデル群と比較すると、SOD活性が顕著に増加した(F5,42=17.13,P=0.007)。TR中投与群(F5,42=17.13,P=0.157)、低投与群(F5,42=17.13,P=0.826)及びニモジピン群(F5,42=17.13,P=0.435)とモデル群では、有意差が認められなかった。
【0055】
【表9】

X±SD;*P<0.05(偽手術群との比較) P<0.05(モデル群との比較)
【0056】
SDラット大脳中動脈閉塞再潅流モデルの結果は、TRが用量依存的に脳虚血再潅流動物の神経欠陥症状を顕著に改善し、脳梗塞の面積を縮小し、脳損傷の程度を低減し、脳水腫を軽減し、損傷した脳組織の脂質過酸化を抑制することができ、最小有効量が3mg/kgであることを示している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の構造を有する化合物2−メチル−5−イミド−ベンゾ[d][1,3]オキサジニル[5−b]ピラゾまたはその薬学的に受容可能な塩。
【化1】

【請求項2】
下記反応式に示すように、化合物Mをアルカリ性条件下でアセト酢酸エステルと反応させて化合物Nを調製するステップ1と、ステップ1後に、化合物Nを塩化水素ガスの作用によって閉環させるステップ2を含むことを特徴とする、請求項1に記載の式II化合物の調製方法。
【化2】

【請求項3】
前記ステップ1の反応において、反応溶媒はエタノールまたはメタノールであり、アルカリはナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドであり、反応温度は40〜80℃であることを特徴とする、請求項2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記ステップ2の反応において、反応溶媒はジクロロメタンまたはテトラヒドロフランであり、反応温度は20〜40℃であることを特徴とする、請求項2に記載の調製方法。
【請求項5】
心脳血管病気の治療または予防用薬物の調製における請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の用途。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−528323(P2011−528323A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517738(P2011−517738)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/CN2009/070905
【国際公開番号】WO2010/006521
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(511016235)
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HUANGHAI PHARMACEUTICAL CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.17, Jingsi Road,Keyuan,Laoshan,Qingdao,Shandong,266101 China
【出願人】(511016246)南京中瑞▲薬▼▲業▼有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】NANJING ZHONGRUI MEDICINE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.420,Zhonghua Road,Nanjing,Jiangsu,210001 China
【Fターム(参考)】