説明

2−メチレン−19−ノル−ビタミンD2化合物

1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-19-ノル-24(S)及び24(R)誘導体を開示する。これらの化合物は、極めて小さい骨カルシウム移動活性及び相対的に高い腸カルシウム輸送活性を特徴とする。これは、腎臓骨形成異常、自己免疫疾患、及び骨粗鬆症等の疾患の治療のための新規な治療剤となる。これらの化合物は、未分化な細胞の増殖を制止し、また単球への分化を誘起するはっきりした活性をさらに示し、抗癌剤としての用途及び乾癬等の皮膚疾患の治療の用途を証明する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(本発明の分野)
本発明は、一般的にヒドロキシル化されたビタミンD2異性体、例えば、(20R,24R)-1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビタミンD2及び(20R,24S)-1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビタミンD2及びそのような化合物を含む医薬製剤に関する。さらに本発明は、そのような化合物及び医薬製剤を使用する種々の疾患を治療する方法に関する。
(本発明の背景)
天然ホルモン、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3及びエルゴステロール系のその類縁体、即ち1α,25-ジヒドロキシビタミンD2は、動物及びヒトにおいてカルシウム恒常性の非常に強力な制御因子として既知であり、細胞分化における活性が証明されている。Ostrem et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 2610 (1987)を参照されたい。これらの代謝物の多くの構造的な類縁体は、調製及び試験されており、1α-ヒドロキシビタミンD3、1α-ヒドロキシビタミンD2、種々の側鎖がホモロゲートされたビタミン、及びフッ化類縁体を含む。これらの化合物のいくつかは、細胞分化及びカルシウム制御における興味深い活性の分離を示す。活性におけるこの差は、種々の病気、例えば腎臓骨形成異常、ビタミンD-耐性くる病、骨粗鬆症、乾癬、及び特定の悪性腫瘍の治療において有用であり得る。
ビタミンD類縁体の新たな分類、即ち、いわゆる19-ノル-ビタミンD化合物は、A-環の環外メチレン基(炭素19)、ビタミンD系の典型、二種の水素原子を特徴とする。19-ノル-類縁体(例えば、1α,25-ジヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD3)のような生物試験は、細胞分化の誘起における高い有効性、及び非常に低いカルシウム移動活性を有する選択的活性特性を示した。従って、これらの化合物は、悪性腫瘍の治療、又は種々の皮膚疾患の治療の治療剤として潜在的に有用である。19-ノル-ビタミンD類縁体の合成の2種の異なる方法は、[Perlman et al., Tetrahedron Lett. 31, 1823 (1990); Perlman et al., Tetrahedron Lett. 32, 7663 25(1991), and DeLuca et al., U.S. Pat. No. 5,086,191]に記載されている。
【0002】
米国特許第4,666,634号明細書において、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の2β-ヒドロキシ及びアルコキシ(例ED-71)類縁体が、開示され、また中外グループにより骨粗鬆症の潜在的な薬物及び抗腫瘍剤として試験されている。Okano et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 163, 1444 (1989)も参照されたい。1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の他の2-置換(ヒドロキシアルキル基を有する、例えばED-120、及びフルオロアルキル基を有する)A-環類縁体も調製及び試験されている。[Miyamoto et al., Chem. Pharm. Bull. 41, 1111 (1993); Nishii et al., Osteoporosis Int. Suppl. 1, 190 (1993); Posner et al., J. Org. Chem. 59, 7855 (1994), and J. Org. Chem. 60, 4617 (1995)]を参照されたい。最近、1α,25-ジヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD3の類似の類縁体、即ち、2-位に水酸基又はアルコキシ基で置換された化合物が合成され(DeLucaらの米国特許第5,536,713号明細書)、それは、興味深く、選択的な活性特性を示す。これらすべての研究は、ビタミンD受容体の結合部位が、合成されたビタミンD類縁体におけるC-2位の異なる置換基に適応できることを示す。
最近、直鎖ビタミンD骨格に炭素10(C-10)〜炭素2(C-2)が存在する環Aの環外メチレン基の転置を特徴とする類縁体、即ち、2-メチレン-19-ノル-ビタミンD化合物が、合成及び試験された。分子動力学研究は、そのような分子修飾は、実質的にシクロヘキサンジオール環Aの配座を変化させないことを示す。しかし、2-メチレン基の19-ノル-ビタミンD炭素骨格への導入によって、その(1α-及び3β-)A-環ヒドロキシルの特性を変化させる。これらの類縁体は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3のような受容体への類似の結合速度を示し、さらに高い細胞分化活性を特徴とした。これらの化合物は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の腸カルシウム輸送活性と比較して、もしあるとしても、僅かな、腸カルシウム輸送活性を特徴とし、一方、骨からカルシウムを移動する(mobilize)能力において、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の活性と比較して、相対的に高い活性を示す。
10年以上も前、別の興味深い1α,25-ジヒドロキシビタミンD2類縁体、即ち、1α,25-ジヒドロキシ-24-エピビタミンD2を合成し、これは骨カルシウム移動性を本質的に欠くが、予想外に1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に匹敵する受容体への結合性を示した。[DeLuca et al., 米国特許第5,036,061号明細書を参照されたい。]1α,25-ジヒドロキシ-24-エピ-ビタミンD2に言及する関連特許としては、DeLucaらの米国特許第4,769,181号明細書、DeLucaらの米国特許第54,973,584号明細書、及びDeLucaらの米国特許第4,588,716号明細書が挙げられる。薬理学的に重要なビタミンD化合物の19-ノルクラスの検討のための継続的な努力において、側鎖の炭素2(C-2)及び24Rにおけるメチレン置換基の存在を特徴とする19-ノル-ビタミンD類縁体が、今や合成及び試験されている。
【0003】
(発明の概要)
従来知られていない、1α-ヒドロキシル化ビタミンD化合物の部類は、すべてのビタミンD系に典型的なそのA-環環外(exocyclic)メチレン基が、炭素2に転置されるビタミンD2異性体、即ち、19-ノル-ビタミンD2類縁体であり、2-位のメチレン基を有し、側鎖の炭素24(C-24)のメチレン基が、R(即ち24-エピ)及びS配置を有する。
従って、本発明は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-19-ノル-24(S)-及び24(R)-誘導体、それらの生物的活性及びそれらの化合物の種々の医薬用途を志向する。この化合物は、種々の病気又は疾患を治療するために使用され得、ここで記載されるような病気及び疾患の治療のための薬剤の調製に使用され得る。
構造的に、新規な類縁体は、以下に示す一般式I、


(式中、Y1及びY2は、同一でも異なっていてもよく、H又は水酸基保護基からそれぞれ選択され、及びRは、OH又は保護された水酸基から選択される。)を特徴とする。
C-24でのメチル置換基への波線は、炭素24におけるメチル基が、R又はS配座のいずれでよいことを示す。
上記化合物は、所望の、非常に有利なパターンの生物活性を示す。これらの化合物は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3よりもビタミンD受容体と良く結合し、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の腸カルシウム輸送活性に類似する相対的に高い腸カルシウム輸送活性を特徴とするが、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に比較して、骨からのカルシウム移動能力において、非常に極小な活性を示す。従って、これらの化合物は、カルセミック(calcemic)活性において非常に独特である。腸カルシウム吸収におけるそれらの優先的な活性により、骨粗鬆が大きな関心事である代謝性の骨の病気の治療に対するこれらの化合物のin vivo投与が可能となる。従って、いくつかの態様において、これらの化合物又は医薬製剤は、骨形成が所望される病気又は疾患、例えば、骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症又は閉経後骨粗鬆症、及び骨軟化症及び腎性骨ジストロフィーの治療のための治療剤として使用され得る。いくつかの態様において、この治療は、経皮性、経口、又は非経口でよい。いくつかの態様において、この化合物は、組成物1g当り、約0.1μg〜約100μgの量で組成物に存在し得る。いくつかのそのような態様において、この化合物は、組成物1g当り、好ましくは、約0.1μg〜約50μgの量で組成物中に存在し、約0.01μg/日〜約100μg/日、またいくつかの態様で約0.1μg/日〜約50μg/日の投与量で投与され得る。
【0004】
本発明の化合物は、さらに特に免疫系の不均衡を特徴とするヒト疾患、例えば、自己免疫疾患であって、多発性硬化症、糖尿病、ホット対グラフト反応(hot versus graft reaction)、及び移植の拒絶反応の治療及び予防、及びさらに、炎症性疾患、例えば、リウマチ様関節炎及び喘息、及び骨折治癒(bone fracture healing)の改良及び改良された骨移植に好適である。にきび、脱毛症、ドライスキンのような皮膚状態(真皮の水分補給の欠如)、過度の皮膚緩慢(不十分な皮膚の堅さ)、不十分な皮脂分泌及び皺、及び高血圧症が、本発明の化合物で治療され得る他の条件である。投与量は、代謝性骨疾患に対しての上記と同一でもよい。
上記化合物は、高い細胞分化活性をさらに特徴とする。従って、これらの化合物は、乾癬の治療のための治療剤、又は特に白血病、大腸癌、乳癌及び前立腺癌に対する抗ガン剤としての治療剤をさらに提供する。これらの化合物は、乾癬の治療のための組成物に、組成物1gに対して約0.01μg〜約100μgで、好ましくは、約0.1μg〜約50μgの量で存在し得、局所的に、経皮的に、経口的に又は非経口的に約0.01μg/日〜約100μg/日、好ましくは約0.1μg/日〜約50μg/日の投与量で投与してもよい。
【0005】
(本発明の詳細な説明)
1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-19-ノル-24 (S)及び24 (R)誘導体を合成及び試験した。構造的に、これら19-ノル類縁体は、ここに先に示した一般式Iを特徴とする。
いくつかの特徴において、本発明は、式IA、


に示される(20R,24R)-1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビタミンD2及び式IB、


に示される(20R,24S)-1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビタミンD2を提供する。
【0006】
明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「水酸基保護基」の語は、水酸基の一時的な保護のために一般的に使用されるいかなる基、例えば、アルコキシカルボニル、アシル、アルキルシリル又はアルキルアリールシリル基(以降単に「シリル」基という)、及びアルコキシアルキル基を示す。アルコキシカルボニル保護基は、アルキル-O-CO-基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はアリルオキシカルボニルである。「アシル」の語は、異性体形態のすべてにおいて、1〜6個の炭素原子のアルカノイル基、又は1〜6個の炭素原子のカルボキシアルカノイル基、例えば、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル基、又は芳香族アシル基、例えば、ベンゾイル、又はハロ、ニトロ又はアルキル置換ベンゾイル基を示す。明細書又は特許請求の範囲で使用されるような「アルキル」の語は、異性体形態のすべてにおいて1〜10個の炭素原子の直鎖又は分岐アルキル基を示す。アルコキシアルキル保護基は、例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、又はテトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニルのような分類である。好ましいシリル-保護基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニル-t-ブチルシリル又は類似のアルキル化シリル基である。「アリール」の語は、フェニル-、又はアルキル-、ニトロ-又はハロ-置換フェニル基を特定する。水酸基の官能性に対する保護基の多数のリストは、Protective Groups in Organic Synthesis, Greene, T.W.; Wuts, P. G. M., John Wiley & Sons, New York, NY, (3rd Edition,1999)に見出され得、これは、ここに示される方法を使用して、添加又は除去され得、これは、ここに参考として全体が取り込まれる。
【0007】
「保護された水酸」基の語は、水酸基の一時的又は永久的に一般的に使用される上記の基のいずれか、先に定義されたような例えばシリル、アルコキシアルキル、アシル又はアルコキシカルボニル基によって誘導化又は保護される。「ヒドロキシアルキル」、「デューテロアルキル(deuteroalkyl)」及び「フルオロアルキル」の語は、それぞれ1以上の水酸基、重水素又はフルオロ基で置換されたアルキル基を意味する。
基本構造Iで示される1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン19-ノル-ビタミンD2化合物の調製は、従来の一般的方法、即ち、二環式Windaus-Grundmann型ケトンIIとアリルのホスフィンオキシドIIIの縮合、次いでスルホンIVとのJulia'sオレフィン化によって得られる。


構造II、III及びIV基において、Y1及びY2及びRは、先に定義された基を示し、Y1及びY2は、好ましくは水酸基保護基であり、Rは、水酸基又は保護された水酸基であり、縮合反応に対して高く(sensitive)又は妨げるというRのいかなる官能性(fanctionality)は、当業者に周知のように好適に保護されることも理解される。上記に示される方法は、収束性の合成コンセプトの適用を示し、これはビタミンD化合物の調製に有効に適用される。[e.g., Lythgoe et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 590 (1978); Lythgoe, Chem. Soc. Rev. 9, 449 (1983); Toh et al., J. Org. Chem. 48, 1414 (1983); Baggiolini et al., J. Org. Chem. 51, 3098 (1986); Sardina et al., J. Org. Chem. 51, 1264 (1986); J. Org. Chem. 51, 1269 (1986); DeLuca et al., U.S. Pat. No. 5,086,191; DeLuca et al., U.S. Pat. No. 5,536,713]を参照されたい。
【0008】
一般的な構造IIのヒドリンダノンは、既知であるか、又は既知の方法で調製できる。そのような既知の二環式ケトンの具体的な重要な例は、Grundmann'sケトン類縁体(a及びb)である。[Mincione et al., Synth. Commun 19, 723, 1989; Peterson et al., J. Org. Chem. 51, 1948, (1986)]を参照されたい。



2-メチレンホスフィンオキシドIIIは、Sicinski et al., J. Med. Chem., 41, 4662 (1998), DeLuca et al., U.S. Pat. No. 5,843,928に開示される手順に従って調製され得る。
保護されたヒドロキシスルホン化合物IVは、Kutner et al., J. Org. Chem. 53, 3450 (1988)に開示される手順に従って調製され得る。
【0009】
所望の一般的構造IIのGrundmann'sケトン類縁体の調製に対して、新規な合成ルートは、ジオール2から出発して構築され、Sardina et al., J. Org. Chem. 51, 1264, (1986)に記載されるように市販のビタミンD2から容易に得られる。ビタミンD類縁体10の合成の全体的工程は、スキームIに要約される。従って、ビタミンD2のオゾン分解によって得られるジオール2は、モノトリエチルシリルエーテル3として保護され、C-8の第二級水酸基は、PDCで酸化され、Grundmann'sケトン4を得た。フェニルリチウムによる脱プロトンにより生成したホスフィンオキシド5の共役塩基と保護された22-ヒドロキシ Grundmann'sケトンとのWittig-Hornerカップリングによって、予想された保護された19-ノル-プレグナカルシフェロール6を高収率で得た。化合物6のトリエチルシリル保護基は、AcOH:THF:H2Oの8:8:1混合物を使用して切断された。ヒドロキシビタミンD類縁体7(スキームII)は、その後、(COCl)2, DMSO及びTEAを使用するSwern酸化条件の下、そのカルボニル誘導体8に変換し、スルホン9とのJulia'sオレフィン化、次いで脱スルホン化によって保護された類縁体10を得た。最終工程は、テトラブチルアンモニウムフルオリドによるシリルエーテルの脱マスキングに関連し、24R-1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビタミンD2,11を得る。特に、24S-1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビタミンD2は、スキームIIで示されるスルホンのエナンチオマーを使用する同一の手順を使用して合成され得る。
この発明は、以下の例証例によって記載され、いかなる様式でも本発明を制限するように意図されていない。これらの例において、アラビア数字(例えば1、2、3等)によって特定される特定の生成物は、先述の記載及びスキームI及びスキームIIで特定されるような特定の構造を意味する。
【実施例1】
【0010】
24-R-1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビタミンD2, 11の調製
a)ビタミンD2のオゾン分解
ビタミンD2(2.00g、5.05mmol)の、無水メタノール(175mL)とピリジン(1.75mL)との溶液を電磁攪拌棒を備えるオゾン化容器に置いた。上記溶液を酸素をパージしながら、-78℃に冷却した。次いで、オゾンの流れを深青色が生じるまで通した(1時間)。オゾン流を中断し、上記反応混合物をオゾンが溶液に残らなくなるまで酸素(-78℃)でパージした。NaBH4(500mg)を一度に添加し、得られた溶液をN2の穏やかな流れを維持しながら-78℃、20分間攪拌した。上記反応は、室温で終夜攪拌してもよい。室温で、NaBH4の追加量(500mg)を添加し、得られた溶液を30分間攪拌した。上記得られた溶液を回転蒸発(rotary evaporate)させて、小体積にし、上記残渣をエーテルで抽出した。上記エーテル層を5%HCl及びH2Oで洗浄し、次いでNa2SO4上で乾燥した。真空での濾過及び濃縮によって残渣を生じさせ、それをフラッシュクロマトグラフ(25%EtOAc/75%ヘキサン)によって、ジオール2(1.2g,82%)を得た。:1H NMR (CDCl3) δ 0.958 (3H, s, 18-CH3), 1.03 (2H, d, J = 6.6 Hz, 21-CH3), 3.38 (1H, dd, J = 6.7, 10.5 Hz, 22-H), 3.64 (1H, dd, J = 3.5, 10.5 Hz, 22-H), 4.09 (1H, m, 8α-H)
【0011】
b)シリルエーテル3の調製
De-A,B-23,24-ジノル-22-(トリエチルシリルオキシ)-コラン-8β-オール (3)
ジオール2(100mg,0.472mmol)の、無水アセトニトリル(250μL)と2,6-ルチジン(138μL,1.17mmol)との溶液に、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(118μL,0.518mmmol)を添加した。次いで、上記反応をアルゴン下、室温で2時間攪拌し、水で急冷して、酢酸エチルで抽出した。有機層をブライン溶液で洗浄し、次いでNaSO4上で乾燥した。上記有機抽出物を蒸発させ、粗生成物を与え、これをシリカゲルクロマトグラフィーで精製してシリルエーテル3を得た(120mg,80%)。: 1H NMR (CDCl3) δ 0.575 (6H, q, 3xSiCH2), 0.947(9H, t, 3xSiCH2CH3), 0.958 (3H, s, 18-CH3), 1.03 (2H, d, J=6.6 Hz, 21- CH3), 3.24 (1H, dd, J=7.7, 9.6 Hz, 22-H), 3.59 (1H, dd, J= 3.5, 9.6 Hz, 22-H), 4.08 (1H, m, 8α-H)
【0012】
c)化合物3の8β-水酸基の酸化
De-A,B-23,24-ジノル-22-[(トリエチルシリル)オキシ]-8-オキソコラン (4)
ピリジニウムジクロメート(87.6mg,0.232mmol)をアルコール3(50mg,0.155mmol)及びピリジニウムp-トルエンスルホネート(10mg)のCH2Cl2溶液(2ml)に添加した。得られた橙色の懸濁液を室温で3時間攪拌した。エーテルを添加し、得られた懸濁液をセライトの小カラムで濾過した。濾液をCuSO4の飽和水溶液及びH2Oで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過した。減圧下で溶媒を除去し、ケトンを生じさせ、次いで、カラムクロマトグラフィーで精製した。上記化合物をさらに溶剤として90:10のヘキサン/酢酸エチル混合物を使用するHPLC(250x10mmZorbax-Silカラム,4mL/分)で精製した。純粋な保護されたケトン4(38mg,79%)をRv17mLで溶出した。: 1H NMR (CDCl3) δ 0.582 (6H, q, 3xSiCH2), 0.643 (3H, s, 18-CH3), 0.952 (9H, t, 3xSiCH2CH3), 1.036 (3H, d, J=6.1, 21-CH3), 3.29 (1H, dd, J= 6.9, 9.6 Hz, 22-Hの一つ), 3.58 (1H, dd, J=2.8, 9.6 Hz, 22-Hの一つ)
【0013】
d)ホスフィンオキシド5と保護されたGrundmann'sケトン4のWittig-Horner縮合
(3'R,5'R)-3'5'-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-(20S)-20-[(トリエチルシリル)オキシ]メチル-2-メチレン-19-ノル-プレグナカルシフェロール (6)
ホスフィンオキシド5(13mg,0.0218mmol)の無水THF(130μL)の溶液に、0℃でアルゴン下、攪拌しながらPhLi(18μL,0.0327mmol)をゆっくりと添加した。上記溶液が、深橙色に変化した。上記混合物を-78℃まで冷却し、予め冷却した(-78℃)保護したヒドロキシケトン4(8.5mg,0.0262mmol)の無水THF溶液(170μL)をゆっくりと添加した。上記混合物を-78℃で2.5時間攪拌し、その後0℃で18時間攪拌した。酢酸エチルを添加し、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、蒸発させた。この残渣をヘキサンに溶解させ、シリカSep-Pakカートリッジに適用し、ヘキサン/酢酸エチル(99.7:0.3,20mL)で洗浄して19-ノル-ビタミン誘導体6を得た。このビタミン誘導体をさらにヘキサン/酢酸エチル(99.9:0.1)溶媒系を使用するHPLC(250x10mmZorbax-Silカラム,4mL/分)によって精製した。純粋な化合物6を無色オイルとしてRv22mLで溶出した。UV (エタノール中) λmax 244, 252, 262 nm; 1H NMR (CDCl3) δ 0.026. 0.047, 0.065及び0.079 (各3H, 各s, 4xSiCH3), 0.559 (3H, s, 18-CH3), 0.593(6H, q, 3xSiCH2), 0.864及び0.894 (各9H,各s, 2xSi-t-Bu), 0.966 (9H, t, 3xSiCH2CH3), 1.019 (3H, d, J=6.5, 21-CH3), 3.25 (1H, dd, J=7.9, 9.5 Hz, 22-H), 3.624 (1H, dd, J=3.4, 9.6, 22-H), 4.42 (2H, m, lα-H, 3β-H), 4.92及び4.96 (各1H,各s, = CH2), 5.84 (1H, d, J=11.2 Hz, 7-H)及び6.21 (1H, d, J=1.2 Hz, 6-H); MS m/z (相対強度): 688 (M+, 34), 659 (M+ - CH3), 557 (M+ - OSi(CH3)2t-Bu, 50)
【0014】
e)ビタミン類縁体6におけるトリエチルシリルエーテルの切断
(3'R,5R)-3' 5'-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-(20S)-20-ヒドロキシメチル-2-メチレン-19-ノル-プレグナカルシフェロール(7)
19-ノル-ビタミン誘導体6(1.5mg,0.002mmol)の50μLのベンゼンの溶液に200μLの8:8:1のAcOH:THF:H2Oの混合物を添加した。得られる混合物を2時間攪拌した。次いで、上記反応混合物をNaHCO3の水溶液で急冷し、エーテルで抽出した。合わせたエーテル層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を蒸発させて、上記アルコールを生じ、さらに95:5のヘキサン/酢酸エチルの混合物を備えるシリカカラムクロマトグラフィーで精製して、純粋な7を得た(1mg,80%)。: 1H NMR (CDCl3) δ 0.026, 0.047, 0.064及び0.078 (各3H,各s, 4xSiCH3), 0.571 (3H, s, 18-CH3), 0.864及び0.895 (各9H,各s, 2xSit-Bu), 1.065 (3H, d, J=6.6, 21-CH3), 3.401 (1H, dd, J= 7.0, 10.4 Hz, 22-H), 3.65 (1H, dd, J=3.3, 15.4, 22-H), 4.42 (2H, m, lα-H, 3β-H), 4.92及び4.97 (各1H,各s, =CH2), 5.84 (1H, d, J=11.3 Hz, 7-H)及び6.21 (1H, d, J=11.0 Hz, 6-H); MS m/z (相対強度) 574 (M+, 17), 559 (M+ - CH3, <1), 442 (M+ - OSi(CH3)2t-Bu, 64)
【0015】
f)ヒドロキシ化合物からカルボニル誘導体へのSwern酸化
(3'R,5'R)-3'5'-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-(20S)-20-アル-2-メチレン-19-ノル-プレグナカルシフェロール(8)
16.6μL(0.13mmol)のオキサリルクロライドの0.5mLの20ジクロロメタン溶液を21μL(0.26mmol)のDMSOの3mLのジクロロメタン溶液に-78℃でアルゴン下、滴下しながら添加した。上記混合物を10分間、-78℃で攪拌した後、アルコール7の11mg(0.019mmol)のジクロロメタン溶液1mLをゆっくりと添加した。上記混合物を-78℃で30分間攪拌し、0.1mLのトリエチルアミンを添加した。生成物のアルデヒド8を酢酸エチルで抽出し、飽和NaClで洗浄して、Na2SO4上で乾燥した。シリカゲルSep-Pak濾過によって純粋なアルデヒドを与えた。:1H NMR (CDCl3) δ 0.029, 0.032, 0.041及び0.059 (各3H,各s, 4xSiCH3), 0.574 (3H, s, 18-CH3), 0.838及び0.8792 (各9H,各s, 2xSit-Bu), 1.1216 (3H, d, J=6.8, 21-CH3), 4.40 (2H, m, 1β-H, 3α-H), 4.92及び4.97 (各1H,各s, CH2), 5.84 (1H, d, J=9.7 Hz, 7-H)及び6.18 (1H, d, J=12.1 Hz, 6-H); 9.57 (1H, s, 22-H)
【0016】
g)スルホン9のアルデヒド8への添加
(1α,3β-24R)-1,3-ビス[(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ]-25-(トリエチルシリル)オキシ-2-メチレン-19-ノル-ビタミンD2 (10)
1,10-フェナントロリン指示薬を含むn-BuLiのヘキサン溶液に、アルゴン下、-78℃で攪拌しながら11.1μL(0.11mmol)のジイソプロピルアミンを添加した(赤色)。上記混合物を20分間攪拌した後、23.4mg(0.11mmol)のスルホン9の0.5mLの無水THF溶液を滴下して加えた。上記混合物を-75℃で30分間攪拌し、5mgのアルデヒド8の0.5mLのTHF溶液を加えた。攪拌を1.5時間続け、飽和NH4Cl溶液を添加した。上記反応混合物を酢酸エチルで抽出し、上記有機層を飽和NaClで洗浄した。更なる精製をせずに、上記生成物をアセチル化した。上記化合物を無水ジクロロメタン及び無水酢酸に吸収させ、ピリジンを0℃の下で添加した。反応完了後、上記反応混合物を飽和CuSO4溶液で洗浄し、ジクロロメタンで抽出した。上記生成物をいかなる精製をせずに次反応に使用した。Na2HPO4のメタノール(0.5mL)飽和溶液をスルホン(1.80mg)の攪拌された0.5mLの無水THF溶液に添加した。上記混合物をアルゴン下30分間攪拌し0℃まで冷却した。次いで、新品の5%ナトリウムアマルガム(ca 200mg)を加え、上記混合物を3時間、5℃で攪拌した。上記混合物を3mLのヘキサンで希釈し、15分間攪拌し続けた。次いで、ヘキサン層をデカントし、上記メタノール層をヘキサンで洗浄した(3x2mL)。上記ヘキサン層を氷冷した飽和NaClで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。上記化合物をヘキサン/酢酸エチルの99:1混合物を使用するシリカSep-Pakカートリッジで精製し、10を得た。1H NMR (CDCl3) δ 0.007, 0.028, 0.046及び0.061 (各3H, 各s, 4xSiCH3), 0.537 (3H, s, 18-CH3), 0.56(6H, q, 3XSiCH2), 0.848及び0.877 (各9H,各s, 2xSit-Bu), 0.938 (9H, t, 3XSiCH2CH3), 0.991 (3H, d, J=6.5, 21-CH3), 4.40 (2H, m, lα-H, 3β-H), 4.902及び4.949(各1H,各s, =CH2), 5.188(1H, dd, J=8.29, 15.24 Hz, 22-H), 5.275 (1H, dd, J=8.37, 15.28 Hz, 23-H), 5.817 (1H, d, J=11.1 Hz, 7-H)及び6.191 (1H, d, J=11.0 Hz, 6-H)
【0017】
h)ビタミン類縁体10のシリルエーテルの脱保護
(24R)-1α,25-ジヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビタミンD2
保護されたビタミン10(2mg,0.0046mmol)を無水THF(350μL)に溶解し、20テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)(7.3μL,0.0116mmol)を添加し、上記反応を室温で2時間、アルゴン下で攪拌した。その後、上記反応を水で急冷し、エーテルで抽出し、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、蒸発させた。上記残渣をメタノール/水(90:10)溶媒系を使用するHPLC(250 x 6.2 mm Zorbax-ODS逆相カラム,2 mL/分)によって精製した。純粋なビタミン誘導体11をRv 15.5mL(960μg,85%)で溶出した。:UV (エタノール中) λmax 243.5, 251.5, 261 nm; 1H NMR (CDC13) δ 0.568 (3H, s, 18-CH3), 0.997 (3H, d, J=6.9 Hz, 28-CH3), 1.03403H, d, J=6.6 Hz, 21-CH3), 1.134 (3H, s, 26-CH3), 1.178 (3H, s, 27-CH3), 4.478 (2H, m, 1β-H, 3α-H), 5.09及び5.11 (各1H,各s, =CH2),5.275 (1H, dd, J=8.66, 15.24 Hz, 22-H), 5.355 (1H, dd, J8.45, 15.23 Hz, 23-H), 5.873 (1H, d, J=11.28 Hz, 7-H)及び6.354 (1H, d, J=10.99 Hz, 6-H); MS m/z (相対強度) 428 (M+, 100), 410 (M+ - H2O), 287 (M+ -サイド10チェイン, 33)






















【0018】
【化1】

【化2】

【0019】
(19-ノル-1,25-(OH)2D2のメチレン-24(S)及び24(R)誘導体の生物活性)
雄、離乳児のSprague-Dawleyラットを食餌11(0.47%Ca)+AEKに11日間置き、その後食餌11(0.02%Ca)+AEKに31日間置いた。殺す前7日に投与(i.p.)を開始した。投与量を日基準で24時間間隔で与えた。腸の最初の10cmを腸輸送研究用に収集し、血清を骨Ca移動解析のために収集した。上記結果を表1に報告し、図3及び4のグラフに説明した。
(表1)
1,25(OH)2D3、類縁体(20R,24S)D2及び(20R,24R)D2の腸カルシウム輸送及び血清カルシウム(骨カルシウム移動)活性の応答

*上記データは、5匹の動物に由来する平均及び標準誤差(SE)である。
19-ノル-1,25-(OH)2D2の24(S)及び24(R)異性体の2-位へのメチレン基の導入によって、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3と比較して、ブタ5腸ビタミンD受容体への結合性を増大させた。これらの化合物は、標準的な1,25-(OH)2D3と比較して、ブタの受容体により良く結合した(図1)。これらの結果から、これらの化合物が、腸カルシウム輸送及び骨カルシウム移動を刺激する生物活性を増加させることが期待され得る。驚くことに、2-メチレン及び24-エピ置換によって、腸カルシウム輸送における一次作用を有する高選択性類縁体を生成する。
図2は、19-ノル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-24(S)及び24(R)誘導体が、HL-60分化において1,25(OH)2D3より有意により強力であり、それらを乾癬及び癌、特に白血病、大腸癌、乳癌及び前立腺癌に対する治療のための優れた候補にすることを示す。
図3は、19-ノル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-24(S)及び24(R)誘導体が、腸カルシウム輸送の刺激において天然ホルモンである1α,25-ジヒドロキシビタミンD3のとほぼ同一の活性を有することを示す。
図4は、19-ノル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-24(S)及び24(R)誘導体が、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3と比較して、骨における極わずかな活性、即ち、骨からのカルシウム移動を有することを示す。
ブタの腸受容体に対する上記類縁体の競合性結合をDame et al. (Biochemistry 25, 4523-4534, 1986)に記載の方法によって実施した。
HL-60前骨髄球の単球への分化は、Ostrem et al. (J. Biol. Chem. 262, 14164-14171, 1987)に記載されるように決定された。
【0020】
(データの解釈)
0カルシウム食餌におけるラットの血清カルシウムのin vivo試験によって、19-ノル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-24(S)及び24(R)誘導体の造骨細胞の又は骨活性への病識を提供する。図4における投与量応答データは、19-ノル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-24(S)及び24(R)誘導体が、骨芽細胞の刺激を経由した血漿中のカルシウム上昇において1,25-(OH)2D3と比較して、極僅かな(あるとしても、殆ど少なく)活性を有することを示す。同時に、腸カルシウム輸送における19-ノル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-24(S)及び24(R)誘導体の活性は、ほぼ1,25-(OH)2D3の活性と等しい(図3)。従って、これらのデータと合わせて、19-ノル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-24(S)及び24(R)誘導体が、骨に対してでなく、腸カルシウム輸送の刺激への選択的活性を有することを示す。
19-ノル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-24(S)及び24(R)誘導体が、ビタミンD受容体に対する結合性において1,25-(OH)2D3より多くの活性を有し(図1)、これらの化合物が、前骨髄球、HL-60の単球への分化させる際に、1,25-(OH)2D3より活性を有する(図2)。この結果は、19-ノル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-24(S)及び24(R)誘導体が、分化を引き起こし、また増殖の抑止における直接的な細胞活性を有するので、乾癬に非常に有効であることを示唆する。これらの化合物が、抗癌剤として、白血病、大腸癌、乳癌及び前立腺癌に対して有意な活性を有するであろうことも示す。
治療目的に対して、式I、式IA、及び式IBによって定義される本発明の化合物は、医薬的適用に対して、当業者に既知の従来の方法に従って、無害な溶媒の溶液として、好適な溶媒又はキャリヤ中の乳濁液、懸濁液又は分散液として、固体キャリヤを伴う丸薬、錠剤又はカプセルとして製剤化され得る。いかなるそのような製剤は、さらに他の医薬的に許容され、また非毒性の賦形剤、例えば、安定剤、抗酸化剤、結合剤、着色剤又は乳化剤又は味覚変性剤(taste-modifying agent)も含み得る。医薬的に許容され得る賦形剤及びキャリヤは、一般的に既知であり、本発明に含まれる。そのような賦形剤及びキャリヤは、例えば、“Remingtons Pharmaceutical Sciences” Mack Pub. Co., New Jersey (1991)に記載され、ここに参考として取り込まれる。
【0021】
本化合物は、経口的に、局所的に、非経口的に、又は経皮的に投与され得る。本化合物は、有利なことに注射又は静脈内注入又は好適な無菌溶液、又は消化管を経由する液体又は固体投与の形態で、又はクリーム、軟膏、パッチ、又は経皮性適用に好適な類似のビヒクルの形態で投与される。1日当たり0.01μgから100μgの投与量の化合物が、治療目的、治療されるべき疾患に従って調節される投与量、その重症度、及び当業者に周知なような被験者への応答に好適である。この化合物は、作用の特異性を示すので、様々な程度の骨ミネラル移動及びカルシウム輸送刺激が有利と見出される状況において、それぞれは、好適に、単独で又は段階的投与量の別の活性ビタミンD化合物、例えば1α-ヒドロキシビタミンD2又はD3、又は1α,25-ジヒドロキシビタミンD3を伴って投与され得る。
乾癬及び他の悪性腫瘍の上記治療における用途の組成物は、活性成分として上記式I、式IA及び式IBによって定義されるような有効量の2-メチレン-24-エピ-19-ノル-ビタミンD化合物を含む。本発明のいくつかの態様に従う有効量のそのような化合物は、組成物のgmに対して約0.01μg〜約100μgであり、約0.1μg/日〜約100μg/日の投与量で局所的に、経皮的に、経口的に、又は非経口的に投与され得る。
この化合物は、クリーム、ローション、軟膏、経皮パッチ、丸薬、カプセル又は錠剤、又は溶液、乳濁液、分散液又は医薬的に無害で許容される溶媒中の懸濁液又は油のような液体形態で処方され得、またそのような調製物は、さらに、医薬的に無害又は有用な組成物、例えば、安定剤、抗酸化剤、乳化剤、着色剤、結合剤又は味覚変性剤を含んでも良い。
【0022】
いくつかの態様において、この化合物は、有利なことに、前骨髄球から正常なマクロファージへの分化を生じさせるのに十分な量で投与される。上記の投与量は、好適であり、与えられる量は、疾患の重症度、及び当業者に周知なように被験者の状態及び応答に従って調節されることが理解される。
本発明の製剤は、医薬的に許容できるキャリヤと関連する活性成分及び任意に他の治療成分を含む。このキャリヤは、製剤の他の成分に相溶性であり、その受容者にとって有害でないという意味で「許容できる」でなくてはならない。
経口投与に好適な本発明の製剤は、カプセル、サチェット(sachet)、錠剤又はロゼンジのような分離した単位の形態でよく、それぞれは、粉末又は顆粒の形態で、水溶液又は水溶性液体又は非水溶性液体中の懸濁液の形態で、又は水中油乳濁液又は油中水乳濁液の形態で予め決められた量の活性成分を含む。
直腸投与に対する製剤は、活性成分及びココアバターのようなキャリヤを混和する座剤の形態、又は浣腸剤の形態でもよい。
非経口的投与に対する好適な製剤は、受容者の血液に好ましく等張である活性成分の殺菌された油状の又は水溶性の調製物を便利なことに含む。
局所的投与に好適な製剤としては、液体又は半液体調製物例えば、リニメント剤、ローション、アプリカント(applicants)、水中油乳濁液又は例えば、クリーム、軟膏又はペーストのような油中水乳濁液、又は溶液又はドロップのような懸濁液、又はスプレーが挙げられる。
喘息の治療に対して、スプレー缶、噴霧器又はアトマイザーを不要にする粉末、自己発射薬(self-propelling)又はスプレー製剤が使用され得る。不要となるとき、この製剤は、好ましくは、10〜100μの範囲の粒径を有する。
この製剤は、投与単位形態で便利なことに存在し得、薬学の当業界で周知ないかなる方法で調製され得る。「投与単位」の語によって、単一、即ち単一投与を意味し、これによって、患者に、そのような活性成分又はそれと固体又は液体の医薬希釈剤又はキャリヤとの混合物を含む物理的又は化学的に安定な単位投与量を投与できる。
本発明は、説明のためにここに示される態様に限定されず、以下の特許請求の範囲の範囲内にあるようなそのすべての形態を包含することが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】[3H]-1α,25-(OH)2-D3のビタミンDブタ腸核受容体への結合に競合する2-メチレン-19-ノル-24(S)-20(R)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2、2-メチレン-19-ノル-24(R)-20(R)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2及び1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の相対的活性を示すグラフである。
【図2】2-メチレン-19-ノル-24(S)-20(R)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2、2-メチレン-19-ノル-24(R)-20(R)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD2及び1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の濃度の関数としてパーセントHL-60細胞分化を示すグラフである。
【図3】19-ノル-lα,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-24(S)及び24(R)誘導体が、腸カルシウム輸送の刺激において天然ホルモンであるlα,25-ジヒドロキシビタミンD3の活性とほぼ同一の活性を有することを示すグラフである。
【図4】19-ノル-lα,25-ジヒドロキシビタミンD2の2-メチレン-24(S)及び24(R)誘導体が、lα,25-ジヒドロキシビタミンD3と比較して、骨における最少活性、即ち、骨からのカルシウム移動を有することを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I、

(式中、Y1及びY2は、同一でも異なっていてもよく、H、又は水酸基保護基から選択され、かつRは、OH、又は保護された水酸基から選択される。)
で示される化合物、前記化合物の医薬的に許容される塩、前記化合物又は前記医薬的に許容される塩のいずれかを含む混合物、又はそれらの混合物。
【請求項2】
医薬的に許容できる賦形剤と、前記化合物、前記化合物の医薬的に許容される塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容される塩を含む混合物、又は請求項1に記載の混合物とを含む医薬組成物。
【請求項3】
式IA、

で示される化合物、前記化合物の医薬的に許容される塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容される塩のいずれかを含む混合物、又は請求項1に記載の混合物。
【請求項4】
医薬的に許容できる賦形剤と、前記化合物、前記化合物の医薬的に許容できる塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを含む混合物、又は請求項3に記載の混合物とを含む医薬組成物。
【請求項5】
組成物のグラム当たり約0.01μg〜約100μgの量の式IAの化合物又は等量の式IAの前記化合物の医薬的に許容できる塩を含む請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
式IB、

で示される化合物、前記化合物の医薬的に許容できる塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを含む混合物、又は請求項1に記載の混合物。
【請求項7】
医薬的に許容できる賦形剤と、前記化合物、前記化合物の医薬的に許容できる塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを含む混合物、又は請求項6に記載の混合物とを含む医薬組成物。
【請求項8】
組成物のグラム当たり約0.01μg〜約100μgの量の式IBの化合物又は等量の式IBの前記化合物の医薬的に許容できる塩を含む請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
骨疾患の患者に、有効量の前記化合物、前記化合物の医薬的に許容できる塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを含む混合物、又は請求項1、3、又は6のいずれか1項に記載の混合物又は前記化合物、前記化合物の医薬的に許容できる塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを含む混合物、又は請求項1、3、又は6のいずれか1項に記載の混合物を投与する工程を含む骨疾患の治療方法であって、前記骨疾患が、骨軟化症又は骨形成異常症であることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記化合物が、式Iを有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、式IAを有する請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、式IBを有する請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、経口的、非経口的、又は経皮的に投与される請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、1日当たり0.01μg〜100μgの投与量で投与される請求項9に記載の方法。
【請求項15】
乾癬患者に、有効量の前記化合物、前記化合物の医薬的に許容できる塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを含む混合物、又は請求項1、3、又は6のいずれか1項に記載の混合物又は前記化合物、前記化合物の医薬的に許容できる塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを含む混合物、又は請求項1、3、又は6のいずれか1項に記載の混合物を投与する工程を含む乾癬の治療方法。
【請求項16】
前記化合物が、経口的、非経口的、経皮的、又は局所的に投与される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、前記患者に約0.01μg/日〜約100μg/日の投与量で投与される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、式Iを有する請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、式IAを有する請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、式IBを有する請求項15に記載の方法。
【請求項21】
患者における白血病、結腸癌、乳癌、又は前立腺癌の治療方法であって、前記白血病、結腸癌、乳癌、又は前立腺癌の患者に、有効量の前記化合物、前記化合物の医薬的に許容できる塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを含む混合物、又は請求項1、3、又は6のいずれか1項に記載の混合物又は前記化合物、前記化合物の医薬的に許容できる塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを含む混合物、又は請求項1、3、又は6のいずれか1項に記載の混合物を含む医薬製剤を投与する工程を含む方法。
【請求項22】
前記化合物が、経口的、非経口的、又は経皮的に投与される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が、約0.01μg/日〜約100μg/日の投与量で投与される請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が、式Iを有する請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、式IAを有する請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が、式IBを有する請求項21に記載の方法。
【請求項27】
自己免疫疾患又は病気の治療方法であって、自己免疫病又は疾患の患者に、有効量の化合物、前記化合物の医薬的に許容できる塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを含む混合物、又は請求項1、3、又は6のいずれか1項に記載の混合物又は前記化合物、前記化合物の医薬的に許容できる塩、前記化合物又は前記化合物の医薬的に許容できる塩のいずれかを含む混合物、又は請求項1、3、又は6のいずれか1項に記載の混合物を含む医薬製剤を投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
前記疾患又は病気が、多発性硬化症である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記疾患又は病気が、糖尿病である請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記疾患又は病気が、移植拒否反応である請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記化合物が、経口的、非経口的、又は経皮的に投与される請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が、約0.01μg/日〜約100μg/日の投与量で投与される請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記化合物が、式Iを有する請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が、式IAを有する請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が、式IBを有する請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−502832(P2007−502832A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524037(P2006−524037)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/026925
【国際公開番号】WO2005/018658
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(500517248)ウイスコンシン アラムニ リサーチ ファンデーション (18)
【Fターム(参考)】