説明

2タッチ入力キーボード装置

【課題】必要最小限のキー配列にすることで、これまでQWERTY配列のキーボードを苦手としていた人にストレスのない快適な文字入力環境を提供することを可能にする。
【解決手段】2タッチ入力式キーボード装置であって、中央から順番に右に向かって1から5までの5つのキーが、中央から順番に左に向かって6から0までの5つのキーが、全体として横一列に並ぶように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの数字の組合せで1つの文字に対応させる、2タッチ入力キーボード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キーボード装置は、文字入力装置としてパーソナルコンピュータ、携帯電話をはじめとした様々な装置に搭載されている。現在主流となっているキーボードのキー配列であるQWERTY配列は、キーの数が多すぎてスムーズな文字入力ができない人がいる。図10は、QWERTY配列のキーボードのキー配列例を示す図である。図10に示すように、QWERTY配列のキーボードは、アルファベットと数字とを含む横方向に多数のキーが並ぶ4行のキー配置を有している。
【0003】
また、簡易的なキーボード入力方法として、携帯電話を用いた場合には、数字キーを使った4行3列の操作キーを用いた入力が主として行われるが、片手で小さな数字キーを押すことになるため、必ずしも使いやすいとはいえない。
尚、本発明に関連する公知技術文献としては下記先行技術文献がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~yasuoka/publications/ISCIE2003.pdf
【非特許文献2】http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~yasuoka/publications/ISCIE2004.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パソコンに付属のキーボードは、QWERTY配列と呼ばれるキー配列で英字キー26字に数字キーや記号キーを搭載したものが主流となっている。また携帯電話やスマートフォンなどの小型情報端末においては、スペースが狭いという問題から、パソコン用のキーボードは搭載できない。パソコン向けのQWERTY配列のキーボードを小型情報端末に搭載している場合もあるが、1つ1つのキーが小さく、決して使いやすいとはいえないのが現状である。
【0006】
パソコンに不慣れな人は、キーの数が多すぎて入力する文字のキーの位置を探すため入力に時間がかかっている。また、携帯電話やスマートフォンでは、スペースの問題から数字キーで文字入力を行うものや、QWERTY配列を採用しながらもキーの大きさが極端に小さいものなどがあるが、いずれも文字入力がしづらいという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、必要最小限のキー配列にすることで、これまでQWERTY配列のキーボードや携帯電話のキー入力を苦手としていた人にストレスのない快適な文字入力環境を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、2つの数字の組合せで1つの文字に対応させる2タッチ入力キーボード装置であって、中央から順番に右に向かって1から5までの5つのキーが、前記中央から順番に左に向かって6から0までの5つのキーが、全体として横一列に並ぶように配置されていることを特徴とする2タッチ入力式キーボード装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の2タッチ入力キーボード装置は、次のような効果がある。
(1)キーの数が少なく、かつ、規則であるため、キー配列を覚えることが容易である。
(2)キーの数が少ないため、文字入力のときにキーを探す時間が短縮できる。
(3)キーの数が少ないため、携帯電話やスマートフォンといった小型情報端末に搭載した場合にキーの大きさを確保でき、入力しやすい環境を提供できる。
(4)キーの配列が横一列のため、文字を入力するときに指を縦に移動する必要がなく素早い文字入力が可能となる。また、視線移動も少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態による2タッチ入力キーボード装置のキー配列例を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるパソコン用キーボードに2タッチ入力キーボード装置を搭載した具体例を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態による携帯電話、スマートフォンなどの小型情報端末に2タッチ入力キーボード装置を搭載した具体例の図である。
【図4】2タッチ入力キーボード装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図5】全角のひらがなモードで文字を入力した場合の入力キーに対応する出力図である。
【図6】半角のひらがなモードで文字を入力した場合の入力キーに対応する出力図である。
【図7】記号モードで文字を入力した場合の入力キーに対応する出力図である。
【図8】数字モードの場合の入力キーの対応表である。
【図9】入力キーに対応する文字に変換する処理の流れを示すフローチャート図である。
【図10】一般的なキーボードのキー配列の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態による2タッチ入力キーボード装置について図面を参照しながら説明を行う。
【0012】
一般に、2タッチ入力とは、文字入力方法の一種であり、数字キーを2回押すことにより、2つの数字の組合せでカナ・英数字・特殊文字等の1文字に対応させる方式で、「ポケベル方式」「2キー入力」等とも呼ばれている。
【0013】
本発明の2タッチ入力キーボード装置は、2タッチ入力をするためにキーの数を文字入力用に10個、入力モード変更用に4個とし、このキーボードから入力されたキーを解析し、入力された2つのキーをもとに対応する文字を出力するプログラムを設けたものである。以下においては、キー配列に着目して説明を行う。
【0014】
図1は、本実施の形態による2タッチ入力キーボード装置Aのキー配列例を示す図であり、キー群10は、文字入力キーと変換キーとからなる。10の文字入力キー11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h、11i、11jは、ひらがな、カタカナ、数字、英字を入力するときに使用する。文字入力時には、入力する文字の種類によって、入力モードを切り替える必要がある。半角と全角との切り替えを行う場合は半角/全角キー12を押下する。ひらがな、カタカナおよび英字を入力する場合は、ひらがなキー13を押下する。記号を入力する場合は、記号キー14を押下する。数字を入力する場合は、数字キー15を押下する。数字については、ひらがなキー13で切り替えた入力モードでも入力が可能である。文字入力キーは、1から5までの1タッチ目のキーと、6から0までの2タッチ目のキーとの10個のキーからなり、中央にやや広めの空間16を有している。すなわち、1と6のキーを離間する隙間が形成されている。この隙間により、右手と左手との人差し指の干渉を防止すると共に、ブラインドタッチにおける押し間違いを防止している。
【0015】
キー11a、11b、11c、11d、11eは、それぞれ、左から順番に1、2、3、4、5を右手の指で、キー11f、11g、11h、11i、11jは、それぞれ、右から順番に6、7、8、9、0を、左手の指で入力することを想定したキー配列となっている。すなわち、左右対称のキー配列になっている。左から順番に1、2、3、4、5を左手の指で、右から順番に6、7、8、9、0を、右手の指で押す配置になっていても良い(反転配置と称する)。
【0016】
また、数字キーの配列は、両手の人差し指から小指にわたって、数字が昇順になるように配置している。親指での操作は基本的には考慮していない。5つのキーを人差し指から順番に4本の指で操作することを考慮しており、指をずらしながら、すなわち、右手を右方向に、左手を左方向に、それぞれずらしながら端のキー11e、11jを操作する。キー1つ分の移動であるから比較的楽な操作になる。この操作は、ピアノの鍵盤を操作している場合と類似した操作になる。入力変換キー12から15までが、横一列の数字キーの配置の上側に隣接して配置されている。下側など隣接して設けられていれば良い。これらのキーも、人差し指等で移動を少なくして楽に打鍵することができる。
【0017】
尚、入力変換キーは、ひらがなモード、記号モード等を切り替えて、入力できる文字の種類を増やすために設けられているものなので、例えば、ひらがな、英数字、特殊文字の一部のみを全角で入力できれば良いキーボード装置においては、入力変換キーは特に設けなくても良い。
【0018】
図2は、パソコン用キーボードBに2タッチ入力キーボード装置を搭載した具体例を示す図であり、2タッチ入力キーボード装置のキー配列については、図1と同様である。その他のキー配列は、一般的なキーボード装置と同様である。
【0019】
図3は、携帯電話、スマートフォンなどの小型情報端末Cに設けられた2タッチ入力キーボード装置の配置例を示す図であり、ここでは、2つの筐体のうちの一方に表示部23が設けられ、もう一方の筐体をスライドさせて、2タッチ入力キーボード装置10が設けられている携帯端末の例を示す図であり、2タッチ入力キーボード装置のキー配列については、図1のキー配列と同様である。尚、この場合には、筐体を手で把持し、全てのキーを親指で押すと操作がしやすいように構成されている。もちろん、親指を除く4本の指で押すように操作しても良い。
【0020】
このように、本発明のキーボード装置は、パソコンのキーボード装置のように凸形状のキーが並んでいる場合のみならず、図3のように、タッチパネル式の平坦なキーが並んでいるキーボード装置にも適用できる。
【0021】
図4は、2タッチ入力キーボード装置20のシステム構成例を示す機能ブロック図であり、入力部10から2タッチで入力されたキーを、データ処理部21において、入力された2つのキーに関して、変換テーブル50等を用いて対応する文字等に変換し、表示部23に出力する。
【0022】
図5は、ひらがなモードで全角入力する場合の入力キーの対応表50aの一例を示す図である。1打目51に入力したキーに対応するキー52と2打目53に入力したキーに対応するキー54から、該当する文字を決定する。例えば、1打目に「3」を、2打目に「2」を入力した場合は、「し」の文字となる。
【0023】
図6は、ひらがなモードで半角入力する場合の入力キーの対応表50bの一例を示す図である。1打目61に入力したキーに対応するキー62と、2打目63に入力したキーに対応するキー64から、該当する文字を決定する。例えば、1打目に「7」を、2打目に「5」を入力した場合は、「モ」の文字となる。
【0024】
図7は、記号モードの場合の入力キーの対応表50cの一例を示す図である。1打目71に入力したキーに対応するキー72と、2打目73に入力したキーに対応するキー74から、該当する文字を決定する。例えば、1打目に「2」を、2打目に「7」を入力した場合は、「@」の文字となる。記号モードの場合は全角と半角の区別はない。
【0025】
尚、図5〜図7の対応表は一例であり、これら以外の対応表であっても良い。また、変換キーを追加することにより、英数字、かな、特殊文字以外の文字(例えば、ギリシャ文字等)を入力できるようにしても良い。
【0026】
図8は、数字モードの場合の入力キーの対応表である。数字モードの場合は1打目の入力で文字が決定する。
【0027】
図9は、2タッチ入力キーボード装置からキーが入力されたときの処理部における処理の概要を示すフローチャート図である。まず、2タッチ入力キーボード装置から入力されたキーの判定(ステップ91)を行う。「半角/全角」キーが押下された場合は、入力モード変更処理(ステップ92)で半角と全角を切り替える。「ひらがな」キーが押下された場合であって、かつ、全角の場合は入力モード変更処理(ステップ92)で図5のデータを読み込み、半角の場合は図6のデータを読み込む。「記号」キーが押下された場合は図7のデータを読み込む。「数字」キーが押下された場合は図8のデータを読み込む。「1」から「0」までの数字キーが押下された場合は、文字判定処理(ステップ93)で、入力モードに対応し2タッチの数字を文字等に変換し、変換した文字等を出力し(ステップ94)、処理を終了する(END:ステップ95)。
【0028】
本実施の形態によるキーボード装置においては、以下の効果がある。
(1)キーの数が少ないため、キー配列を覚えることが容易である。
(2)キーの数が少ないため、文字入力のときにキーを探す時間が短縮できる。
(3)キーの数が少ないため、携帯電話やスマートフォンなどの小型情報端末に搭載した場合にキーの大きさを確保でき、入力しやすい環境を提供できる。
(4)キーの配列が横一列のため、文字を入力するときに指を縦に移動する必要がなく素早い文字入力が可能となる。
(5)親指以外の4本の指を横方向に少しずらしながらキーを押していく操作になり、また、縦方向への指の移動がないため、指の移動を小さくしつつ、素早く打鍵することができる。
(6)左右対称のキー配列になっており、かつ、数字も、1〜5までと、6〜0までとの折り返しの配列となっているため、キー配列を覚えやすく、ブラインドタッチでの入力が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、キーボード装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
10・・・入力部、11a・・・キー[1]、11b・・・キー[2]、11c・・・キー[3]、11d・・・キー[4]、11e・・・キー[5]、11f・・・キー[6]、11g・・・キー[7]、11h・・・キー[8]、11i・・・キー[9]、11j・・・キー[0]、12・・・キー[半角/全角]、13・・・キー[ひらがな]、14・・・キー[記号]、15・・・キー[数字]、21・・・データ処理部、23・・・表示部、50…変換テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの数字の組合せで1つの文字に対応させる2タッチ入力キーボード装置であって、
中央から順番に右に向かって1から5までの5つのキーが、前記中央から順番に左に向かって6から0までの5つのキーが、全体として横一列に並ぶように配置されていることを特徴とする2タッチ入力キーボード装置。
【請求項2】
2つの数字の組合せで1つの文字に対応させる2タッチ入力キーボード装置であって、
中央から順番に右に向かって6から0までの5つのキーが、前記中央から順番に左に向かって1から5までの5つのキーが、全体として横一列に並ぶように配置されていることを特徴とする2タッチ入力キーボード装置。
【請求項3】
さらに、入力変換キーが、前記横一列の上側又は下側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の2タッチ入力キーボード装置。
【請求項4】
前記中央に、1と6のキーを離間する隙間が形成されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の2タッチ入力キーボード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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