説明

2型糖尿病を治療するための、GLP−1とFGF21との組合せ

本発明は、糖尿病、より詳細には2型糖尿病を治療するための薬剤を調製するための、線維芽細胞増殖因子21(FGF21)化合物とグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)化合物との組合せの使用、ならびに特定のFGF21とGLP-1化合物との組合せを薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物に関する。該組合せは、2型糖尿病に関連するパラメーター、すなわち、遊離脂肪酸の存在下でのベータ細胞の生体外生存能、ベータ細胞の生体外カスパーゼ活性(細胞アポトーシスの尺度)に対して有意な効果を、かつインビボでdb/dbマウスに対して血中グルコース低減効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病、より詳細には2型糖尿病を治療するための薬剤を調製するための、線維芽細胞増殖因子21(FGF21)化合物とグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)化合物との組合せの使用に関する。
【0002】
本発明は、また、特定のFGF21とGLP-1化合物との組合せを、薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
線維芽細胞増殖因子は、発育途上および成熟組織中で発現されるポリペプチドである。それらは、例えば代謝調節および細胞分化を含むいくつかの生理機構に関与している。全部で20を超える線維芽細胞増殖因子のファミリーが存在する(FGFファミリー)。FGF19、FGF21、およびFGF23を含むFGFファミリーの3つのメンバーは、代謝調節に関与する内分泌因子として機能するサブファミリーを形成する。
【0004】
FGF21は、肝臓中で優先的に発現され、ホルモン様の代謝効果を発揮することが示されている。成熟したヒトのFGF21ポリペプチドは、SEQ ID NO:1のアミノ酸1〜181からなる配列を有する。
【0005】
FGF21は、糖尿病性げっ歯類に投与されると、マウス脂肪細胞中でのグルコース取込みを活性化すること、ならびに血中グルコースおよびトリグリセリドのレベルを低下させることが立証されている(Kharitonenkovら、J.Clin.Invest.(2005),115:1627〜1635)。FGF21の血中グルコースおよびトリグリセリドに対する低下効果は、糖尿病性サルにおいても示されている。これらの結果に基づいて、FGF21は、とりわけ糖尿病を治療するための潜在能力を備えた薬理学的薬剤として提案されている。
【0006】
GLP-1は、食物摂取に続いて腸の内分泌細胞によって産生されるインクレチンホルモンである。GLP-1は、グルコール代謝の、および膵臓ランゲルハンス島のベータ細胞からのインスリン分泌の調節因子である。GLP-1は、また、糖尿病状態でインスリン分泌を引き起こす。しかし、GLP-1自体のインビボでの半減期は極めて短く、そのため、GLP-1のインビボでの半減期を延長する方法が、大いに注目されている。
【0007】
国際公開第98/08871号には、Novo Nordisk A/Sによって開発され2型糖尿病の治療のために間もなく市販されると予想される1日1回投与のためのGLP-1誘導体であるリラグルチド(liraglutide)を含む、ヒトGLP-1(7-37)(SEQ ID NO:3のアミノ酸1〜31)をベースにし、延長された半減期を有する遅延性GLP-1類似体および誘導体が開示されている。
【0008】
エクセナチド(exenatide)は、Amylin PharmaceuticalsおよびEli Lilly & Co.によって製造、市販されている2型糖尿病を治療するための市販インクレチン模擬体である。エクセナチドは、アメリカドクトカゲ(Gila monster)の唾液中に見出されるホルモンであるエキセンディン-4(7-45)(SEQ ID NO:4のアミノ酸1〜39)をベースにしている。それは、ヒトGLP-1に類似した生物学的特性を示す。米国特許第5424286号は、とりわけ、エキセンディン-4(7-45)(該米国特許中ではSEQ ID NO:1)の投与によって哺乳動物におけるインスリン放出を刺激する方法に関する。
【0009】
国際公開第2009/020802号は、主張されている相乗効果に基づいて体重を低下させるためのおよび肥満を治療するための薬剤の製造における、FGF21化合物およびGLP-1化合物の使用に関する。該組合せは、また、7頁目に1回のみ、それもごく短く、補足的であるが、「高められた血中グルコースレベルを低下させる相乗効果、したがって糖尿病の治療における潜在的用途」をもたらすと主張されている。しかし、後者の主張は完全には支持されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第98/08871号
【特許文献2】米国特許第5424286号
【特許文献3】国際公開第2009/020802号
【特許文献4】米国特許出願公開第2001/012628号
【特許文献5】国際公開第09/030771号
【特許文献6】国際公開第2006/097537号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Kharitonenkovら、J.Clin.Invest.(2005),115:1627〜1635
【非特許文献2】Needleman,S.B.およびWunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48,443〜453
【非特許文献3】「Optimal Alignments in Linear Space」CABIOS(computer applications in the biosciences)(1988)4:11〜17
【非特許文献4】W.R.PearsonおよびD.J.Lipman(1988)、「Improved Tools for Biological Sequence Analysis」PNAS 85:2444〜2448
【非特許文献5】W.R.Pearson(1990)「Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA」Method in Enzymology 183:63〜98
【非特許文献6】Nishimuraら、Biochim.Biophys.Acta 1492(1):203〜206(1000)
【非特許文献7】「Protein Purification.Principles and Practice Series:Springer Advanced Texts in Chemistry Scopes」Robert K、第3版、1994年
【非特許文献8】Poulsenら、Journal of Biomolecular Screening 12(X);p.1〜8,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、FGF21化合物とGLP-1化合物との組合せの使用による、2型糖尿病の治療に対する有意な効果のエネーブルメント(enablement)および証拠を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、2型糖尿病を治療するための薬剤を調製するための、FGF21化合物とGLP-1化合物との組合せの使用に関する。
【0014】
本出願は、遊離脂肪酸の存在下でのベータ細胞の生体外生存能力に関する研究、遊離脂肪酸の存在下でのベータ細胞の生体外カスパーゼ活性(細胞アポトーシスの尺度)に関する研究、および/またはdb/dbマウスに対するインビボでの血中グルコース低下効果を示す研究によってとりわけ支持された、この組合せの驚くべきかつ予想外の有意な効果を示している。
【0015】
FGF21と組み合わせて試験される化合物の1つが、新規な化合物であるN-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)-アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,22,35,Lys37]GLP-1-(7-37)(以後、「化合物G4」と呼ぶ)。
【0016】
本発明は、さらに、
・2型糖尿病を治療するための、FGF21化合物とGLP-1化合物との組合せ;
・FGF21化合物およびGLP-1化合物、ならびに薬学的に許容される担体を含む組成物;
・ベータ細胞の生存能を改善し、ベータ細胞のアポトーシスを低減し、かつ血中グルコースを低下させる2型糖尿病の治療方法(該方法は、すべて、患者に有効量のFGF21化合物とGLP-1化合物との組合せを投与することを含む);に関するものであり、ここで、
GLP-1化合物は、
i)デスアミノHis7、Aib8、Aib22、Arg26、Aib35、および/またはLys37の少なくとも1つを含み;
ii)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは2つの遊離カルボン酸基、またはその薬学的に許容される塩を含むアルブミン結合部分を含むGLP-1誘導体であり;
iii)C12、C14、C16、C18、C20、C22またはC24、最も好ましくはC16、C18またはC20などの、全部で12〜24個の炭素原子を好ましくは含むジカルボン酸のアシル基を含むアルブミン結合部分を含むGLP-1誘導体であり(ここで、好ましくは、a)アシル基は、GLP-1ペプチドのリシン残基のε-アミノ基にリンカーを介して結合されており、b)該リンカーは、少なくとも1つのOEG基、および/または少なくとも1つのTrx基、および任意選択で付加的に少なくとも1つのGluを含む);かつ/または
iv)化合物G1を除く請求項28の化合物から選択され;ならびに/または
FGF21化合物は、
a)-1M、S71C、K56R、K59R、K69Rおよび/またはK122Rの少なくとも1つを含み;
b)システイン残基、好ましくは71Cなどの内部システイン残基のチオール基を介して修飾されたFGF21誘導体であり;
c)アルブミン結合部分を含むFGF21誘導体であり;
d)PEG化FGF21誘導体ではなく;
e)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは2つの遊離カルボン酸基またはその薬学的に許容される塩を含むアルブミン結合部分を含むFGF21誘導体であり;
f)脂肪酸またはジカルボン酸のアシルなどのアシル基であって、C12、C14、C16、C18、C20、C22またはC24、最も好ましくはC18またはC20などの、全部で12〜24個の炭素原子を好ましくは含むアシル基を含むアルブミン結合部分を含むFGF21誘導体であり(ここで、好ましくは、i)アシル基は、FGF21ペプチドのN-末端アミノ酸残基のアミノ基、例えば-1Mのアミノ基に、またはFGF21ペプチドの内部システイン残基のチオール基、例えば71Cのチオール基にリンカーを介して結合され、かつ好ましくはb)該リンカーは、少なくとも1つのOEG基、および/または少なくとも1つのGlu基を含む);かつ/または
g)SEQ ID NO:1を有するポリペプチドを除く請求項51の化合物から選択される。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、FGF21化合物、GLP-1化合物、および薬学的に許容される担体を含む組成物に関するものあり、ここで
GLP-1は、
i)デスアミノHis7、Aib8、Aib22、Arg26、Aib35および/またはLys37の少なくとも1つを含み;
ii)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは2つの遊離カルボン酸基、またはその薬学的に許容される塩を含むアルブミン結合部分を含むGLP-1誘導体であり;
iii)C12、C14、C16、C18、C20、C22またはC24、最も好ましくはC16、C18またはC20などの、全部で12〜24個の炭素原子を好ましくは含むジカルボン酸のアシル基を含むアルブミン結合部分を含むGLP-1誘導体であり(ここで、好ましくは、a)アシル基は、GLP-1ペプチドのリシン残基のε-アミノ基にリンカーを介して結合しており、b)該リンカーは、少なくとも1つのOEG基、および/または少なくとも1つのTrx基、および任意選択で付加的に少なくとも1つのGluを含む);かつ/または
iv)化合物G1を除く請求項28の化合物から選択され;ならびに/または
FGF21化合物は、
(a)SEQ ID NO:1に比較して、次の修飾、-1G、-1C、-1A、-1S、Q27E、Q28R、A31E、K56R、K59R、K69R、S71C、D102E、D102N、D102T、N121Q、des121N、N121D、K122R、D159E、L166F、S167G、M168L、V169aT、G170T、P171L、S172E、Q173A、G174A、G174V、Y179F、A180E、S181Kおよび/またはS181R、独立に任意選択でN-末端M(例えば、-1M)の少なくとも1つを;および/または
(b)SEQ ID NO:1に比較して、25個までのアミノ酸残基、好ましくは20個までのアミノ酸残基、より好ましくは15個までのアミノ酸残基、さらにより好ましくは10個までのアミノ酸残基、または最も好ましくは6個までのアミノ酸残基からなるN-末端伸長(ここで、N-末端で伸長しているアミノ酸残基の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%は、前記FGF21類似体が、高々210個のアミノ酸残基、好ましくは高々209個のアミノ酸残基、より好ましくは高々206個のアミノ酸残基を含むとの条件で、さらにN-末端伸長が単一のアミノ酸のみからなるなら、前記アミノ酸はMetではないとの条件で、GまたはSである)を含み;このようなFGF21化合物の具体例が、[-1A,71C,121Q,166F,167G,168L,171L,172E,173A,174V,179F,180E,des181]FGF21である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
用語「FGF21化合物」とは、本明細書中で使用する場合、天然のヒトFGF21、ならびにFGF21活性を維持しているその類似体、融合ペプチド、および誘導体を指す。
【0019】
天然のヒトFGF21タンパク質の配列は、UNIPROTデータベースからQ9NSA1の受入番号で入手可能である。209個のアミノ酸前駆体タンパク質は、シグナルペプチド(アミノ酸1〜28)および成熟タンパク質(アミノ酸29〜209)を含む。成熟タンパク質はSEQ ID NO:1(アミノ酸1〜181)として、シグナルペプチドはSEQ ID NO:2(アミノ酸1〜28)として本明細書中に含められる。本明細書中の成熟タンパク質SEQ ID NO:1の146位にLeuの代わりにProを有する天然ヒトFGF21のアイソフォームまたは対立形質は、とりわけ、米国特許出願公開第2001/012628号から公知である(公開米国特許出願中のSEQ ID NO:2の残基番号174)。天然ヒトFGF21の特定例が、成熟部分、すなわちSEQ ID NO:1およびそのL146Pアイソフォームである。
【0020】
FGF21の活性は、当技術分野で公知である任意の方法、例えば、本明細書中の実施例8のアッセイ(3T3-L1脂肪細胞中でのグルコース取込み)を利用して測定することができる。
【0021】
用語「GLP-1化合物」とは、本明細書中で使用する場合、ヒトGLP-1(7-37)(SEQ ID NO:3のアミノ酸1〜31)、エキセンディン-4(7-45)(SEQ ID NO:4のアミノ酸1〜39)、ならびにGLP-1活性を維持しているその類似体、融合ペプチド、および誘導体を指す。
【0022】
GLP-1化合物中の位置の番号付けに関して、本発明の目的の場合、任意のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加は、SEQ ID NO:3および/または4の配列に対して示される。しかし、配列表中のアミノ酸残基の番号付けは、常に1番で始まるが、一方、本発明の目的では、本発明者らは、当技術分野で確立された慣例に従って、アミノ酸残基7番から始め、その残基に番号7を割り当てたい。したがって、一般に、GLP-1(7-37)またはエキセンディン-4の配列の位置番号に対する本明細書中での任意の言及は、どちらの場合も7位のHisで始まり、それぞれ37位のGlyまたは45位のSerで集結する配列に対するものである。
【0023】
GLP-1の活性は、当技術分野で公知である任意の方法、例えば本明細書中の実施例7のアッセイ(ヒトGLP-1受容体を発現する細胞系中でのcAMP形成の刺激)を利用して測定することができる。
【0024】
用語「類似体」とは、本明細書中でFGF21およびGLP-1の文脈で使用する場合、それぞれSEQ ID NO:1、3および4のFGF21、GLP-1およびエキセンディン-4から、そのアミノ酸配列の修飾によって導出または誘導される、またはされ得るポリペプチドを指す。このような修飾は、1つまたは複数のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を含むことができる。例えば、アミノ酸を、アミノ酸配列のC-末端、N-末端、または内部で付加および/または欠失することができる。好ましくは、アミノ酸を、C-末端および/またはN-末端、より好ましくはN-末端で付加および/または欠失する。C-またはN-末端で欠失されるアミノ酸を含むアミノ酸配列は、当技術分野で知られているように、切断形配列とも呼ばれる。同様に、配列中の内部に付加されるアミノ酸は、挿入と呼ばれることがある。本明細書中で使用する場合、用語「変異体」または「ムテイン」は、時には、用語「類似体」の代わりに使用される。
【0025】
FGF21およびGLP-1類似体の例は、本明細書中の特定の実施形態の部、実験の部、および特許請求の範囲中で開示される。
【0026】
用語「アミノ酸」または「アミノ酸残基」は、本明細書中でFGF21およびGLP-1の修飾の文脈で言及される場合、タンパク質の生合成において細胞によって使用され、かつ遺伝コードによって特定される20種の標準的α-アミノ酸:すなわち、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンを包含する。該用語は、また、やはり遺伝コードによってコードされているがタンパク質として稀なセレノシステインおよびピロリシンなどの非標準的アミノ酸を包含する。タンパク質中に見出されるその他の非標準的アミノ酸、例えば、γ-カルボキシグルタメートおよびヒドロキシプロリンは、翻訳後修飾によって形成することができる。遺伝コードによってコードされない非標準的または非天然アミノ酸のさらなる例がオルニチンおよびホスホセリンである。非標準的アミノ酸のよりさらなる例が、化学合成によって製造されるアミノ酸を含む合成アミノ酸、例えば、D-アラニン、D-グルタミン、D-ヒスチジン、およびD-ロイシン、Aib(α-アミノイソ酪酸)、Abu(α-アミノ酪酸)、Tle(tert-ブチルグリシン)、β-アラニン、3-アミノメチル安息香酸、アントラニル酸、デス-アミノ-ヒスチジン(デスアミノHis(またはDesaH)と略記され、別名Imprと略記されるイミダゾプロピオン酸)などの遺伝コードでコードされるアミノ酸のD-異性体;β-アラニン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、α,α-ジメチル-グルタミン酸、m-CF3-フェニルアラニン(m-CF3-Pheと略記される)、α,β-ジアミノプロピオン酸(Dapと略記される)、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニンもしくは4-ピリジルアラニン、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、(1-アミノシクロブチル)カルボン酸、(1-アミノシクロペンチル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘキシル)カルボン酸、(1-アミノシクロヘプチル)カルボン酸、および(1-アミノシクロオクチル)カルボン酸などのアミノ酸のβ類似体である。
【0027】
本発明の目的に関して、標準的アミノ酸の2種の認められたコード(一文字、および三文字)が、互換的に使用され、あるいは、時には、アミノ酸の名称は、略さないで記載される。これらの用語は、もちろん、完全に同義と考えられる(例えば、C=Cys=システイン)。
【0028】
用語「誘導体」は、本明細書中でFGF21およびGLP-1の文脈で使用される場合、共有結合で修飾されたポリペプチドを指す。該用語は、構成ポリペプチド化合物それ自体に対してなされる変更(「類似体」)と、該ポリペプチドへの側鎖の共有結合(それによって「誘導体化」される)との間の相違を示すことを意図しているので、それ自体限定的ではなく、むしろ説明的なものである。所望なら、用語誘導体は、他の一般的な化学用語、例えば、化合物で置き換えることができる。誘導体の例には、当技術分野で公知であるように、アシル化およびPEG化されたポリペプチドが含まれる。誘導体のさらなる例は、本明細書中の特定の実施形態の部、実験の部、および特許請求の範囲中で開示される。
【0029】
用語「アルブミン結合剤」も、それ自体限定的であることを意図していない。やはり、その用語は、側鎖の総合的な目標または目的、すなわち、生じる化合物(誘導体)が、本発明の誘導体にとって目標とされることの多い遅延化効果を提供するか少なくともそれに寄与する、ヒト血清アルブミンに結合する能力を有することを反映するので、むしろ説明的なものである。所望なら、この用語を、他の一般的な化学用語、例えば、化合物で置き換えることができる。アルブミン結合剤の例は、特定の実施形態の部、実験の部、および特許請求の範囲中で開示される。
【0030】
命名法:本明細書中で、類似体および誘導体は、当該技術事項の理解を容易にするのになにが最適かを考えて、ポリペプチド命名法、有機化学命名法、および化学式、またはこれらの組合せを互換的に使用して命名される。
【0031】
変異体の命名法:FGF21、GLP-1、およびエキセンディン-4の変異体は、当該技術事項の理解を容易にするのになにが最適かを考えて、ポリペプチド命名法、有機化学命名法、化学式、アミノ酸配列、またはこれらの組合せを互換的に使用して命名される。
【0032】
例えば、変異体中の置換は、「元のアミノ酸-位置-置換されたアミノ酸」として示すことができる。三文字または一文字コードを使用することができる。したがって、例としてFGF21を挙げれば、表記「K122C」または「Lys122Cys」は、当該FGF21変異体が、FGF21(SEQ ID NO:1)の122位のアミノ酸に対応する変異体のアミノ酸位におけるリシンのシステインでの置換を含むことを意味する。しかし、置換は、単純に、位置および生じるアミノ酸残基として示すこともでき、例えば、122Cは、それが結果として同一の分子を指すので、K122Cに同義と見なされる。必要または所望なら、位置は、変異体およびFGF21を、さらに下記で説明するように整列することによって確認することができる(「整列」)。
【0033】
多様な置換は、それらの置換が同一の変異体に属することを明確にするために、コンマによって、かつ所望なら括弧で囲って識別することができる。例としてFGF21を挙げれば、化合物F3(実施例2)を調製するのに使用されるFGF21類似体は、例えば、「K56R,K59R,K69R,K122R,Met-FGF21」と明示することができ、あるいは、「K56R、K59R、K69R、K122RおよびN-末端Mを有するSEQ ID NO:1」と呼ぶことができる。別法として、SEQ ID NO:1の変異体(-1M+56R+59R+69R+122R)中のように、「+」を使用して識別することができる。別の例が、8位(配列表中の2位)のAlaがValで置換され、22位(配列表中の16位)のGlyがGluで置換されている、SEQ ID NO:3のGLP-1変異体(8V+22E)である。
【0034】
伸長は、実際のSEQ ID NOを参照することによって、例えばMet-FGF21(-1M-FGF21)のように、位置番号を(C-末端では正の数字、およびN-末端では負の数字を続けて)付加することによって、あるいはより単純に、当該伸長アミノ酸を付加することによって、当該化合物に対してその正確な配列を使用して記述することができる。
【0035】
本発明の目的の場合、FGF21およびその類似体の配列などの、関連する2つのアミノ酸配列の整列は、EMBOSSパーケージからのNeedleプログラム(http://emboss.org)を使用して行うことができる。好ましいバージョンは2.8.0である。Needleプログラムは、Needleman,S.B.およびWunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48,443〜453中に記載の包括的整列アルゴリズムを実行する。使用される置換マトリックスは、BLOSUM62であり、ギャップ開始ペナルティは10であり、ギャップ伸長ペナルティは0.5である。
【0036】
別法において、Needleman-Wunsch整列(すなわち包括的整列)であるプログラム「align」を使用することができる。配列は、デフォルトスコアリングマトリックスBLOSUM50を使用するプログラムによって整列される。ギャップの最初の残基に対してペナルティは12、ギャップのさらなる残基に対してペナルティは2である。Needleman-Wunschアルゴリズムは、Needleman,S.B.およびWunsch,C.D.(1970)、Journal of Molecular Biology、48:443〜453、および「Optimal Alignments in Linear Space」CABIOS(computer applications in the biosciences)(1988)4:11〜17中のMyersおよびW.Millerによる整列プログラム中に記載されている。「Align」は、FASTAパーケージ・バージョンv20u6の一部である(W.R.PearsonおよびD.J.Lipman(1988)、「Improved Tools for Biological Sequence Analysis」PNAS 85:2444〜2448;およびW.R.Pearson(1990)「Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA」Method in Enzymology 183:63〜98を参照されたい)。
【0037】
本発明のFGF21化合物およびGLP-1化合物を含む医薬組成物は、さらに、薬学的に許容される担体を含むことができる。注射の場合、担体は、所望ならその他の材料、例えば、生理食塩水などの塩水で補足された水でよい。賦形剤および適切な緩衝剤などのその他の薬学的に許容される薬剤も使用することができる。所望なら、乳化剤、懸濁化剤、溶剤、充填剤、増量剤、補助薬、保存剤、抗酸化剤、着色剤、および/または香味剤などのさらなる薬学的に許容される薬剤を使用することもできる。FGF21およびGLP-1化合物は、精製されたポリペプチドの形態で使用されるか、あるいは当技術分野で公知であるような薬学的に許容される適切な添加剤を使用して製剤化することができる。該医薬組成物は、当技術分野で公知であるような任意の方法、例えば静脈内(i.v.)、または皮下(s.c.)で注射して投与することができる。
【0038】
FGF21およびGLP-1化合物は、医薬組成物中に治療上または予防上有効な量で含めることができる。その量は、治療を必要とする患者の状態、所望される投与経路などの、治療または予防対象に依存する。熟練した医療実務者は、当技術分野で定型的であるように、これらの因子に応じて投与量を調節および用法を修正しなければならない場合がある。例示的ではあるが限定するものではない投与量を、実施例中で開示する。
【0039】
本発明により使用される多くのFGF21およびGLP-1化合物は、既知化合物である。既知化合物ではないが本発明により使用されるそれらのFGF21およびGLP-1化合物は、類似化合物の調製と同様に調製することができる。
【0040】
以下は、本発明の詳細な実施形態である。
【0041】
1.2型糖尿病を治療するための薬剤を調製するための、FGF21化合物とGLP-1化合物との組合せの使用。
【0042】
2.GLP-1化合物が、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むか、あるいは最大で15個のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を有する、SEQ ID NO:3または4の類似体である、実施形態1に記載の使用。
【0043】
3. GLP-1化合物が、SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むか、あるいは最大で15個のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を有するその類似体である、実施形態2に記載の使用。
【0044】
4.GLP-1化合物が、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むか、あるいは最大で15個のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を有する類似体、例えばエクセナチドである、実施形態2に記載の使用。
【0045】
5.GLP-1化合物がGLP-1活性を有する、実施形態1から4のいずれか一つに記載の使用。
【0046】
6.GLP-1化合物が、N-ε26-((S)-4-カルボキシ-4-ヘキサデカノイルアミノブチリル)[Arg34]GLP-1-(7-37)(化合物G1)に比較して、同じ活性であるか、より活性であるか、あるいは10分の1まで活性がより低い、好ましくは8、6、5、4、3または2分の1までより活性が低く、ここで、該活性が、例えば実施例7に記載のようにヒトGLP-1受容体を含む培地中でcAMPの形成を刺激する能力として好ましくは測定される、実施形態5に記載の使用。
【0047】
7.GLP-1化合物のEC50値が、ヒトGLP-1受容体を含む培地中でcAMPの形成を刺激する能力を測定するアッセイに基づいて測定され、前記EC50値が、好ましくは1000pMを超えず、より好ましくは800、600、500、400、300または200pMを超えず、ここで、該測定が、好ましくは、実施例7に記載のように実施される、実施形態5から6のいずれか一つに記載の使用。
【0048】
8.アミノ酸の置換、欠失、および/または付加の最大数が、14、好ましくは13、より好ましくは12、さらにより好ましくは11、最も好ましくは10である、実施形態2から7のいずれか一つに記載の使用。
【0049】
9.アミノ酸の置換、欠失、および/または付加の最大数が、9、好ましくは8、より好ましくは7、さらにより好ましくは6、最も好ましくは5である、実施形態2から8のいずれか一つに記載の使用。
【0050】
10.アミノ酸の置換、欠失、および/または付加の最大数が、4、好ましくは3、より好ましくは2、最も好ましくは1である、実施形態2から9のいずれか一つに記載の使用。
【0051】
11.GLP-1化合物が、デスアミノHis7、Aib8、Aib22、Arg26、Aib35、および/またはLys37の少なくとも1つを含む、実施形態2から3および5から10のいずれか一つに記載の使用。
【0052】
12.GLP-1化合物が、Glu22および/またはArg34の少なくとも1つを含む、実施形態2から3および5から10のいずれか一つに記載の使用。
【0053】
13.GLP-1化合物が、(34R)、(8Aib+22Aib+35Aib+37K)、(8Aib+34R)、または(7DesaH+22E+26R+34R+37K)を組み合わせて含む、実施形態2から3および5から12のいずれか一つに記載の使用。
【0054】
14.GLP-1化合物が、8V、G、22E、33I、36G、37P、38S、39S、40G、41A、42P、43P、44P、45S、46S、46C-アミドの少なくとも1つを含む、好ましくは、(8V+22E)、(8G+22E+36G)、または(8V+22E+33I+36G+37P+38S+39S+40G+41A+42P+43P+44P+45S)を組み合わせて含む、実施形態2および4から10のいずれか一つに記載の使用。
【0055】
15.GLP-1化合物が、リンカーを任意選択で介した第2ポリペプチドとの融合ペプチドである、実施形態1から14のいずれか一つに記載の使用。
【0056】
16.第2ポリペプチドが、免疫グロブリンのFc部分、ヒトアルブミン、ならびにそれらの類似体およびフラグメントから選択される、実施形態15に記載の使用。
【0057】
17.GLP-1化合物が、GLP-1誘導体である、実施形態1から14のいずれか一つに記載の使用。
【0058】
18.GLP-1誘導体が、C-末端アミノ酸残基または内部アミノ酸残基の位置で修飾されている、実施形態17に記載の使用。
【0059】
19.GLP-1誘導体が、26Kまたは37Kなどのリシン残基のε-アミノ基を介して修飾されている、実施形態18に記載の使用。
【0060】
20.GLP-1誘導体が、アルブミン結合部分を含む、実施形態17から19のいずれか一つに記載の使用。
【0061】
21.アルブミン結合部分が、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは2つの遊離カルボン酸基、またはその薬学的に許容される塩を含む、実施形態20に記載の使用。
【0062】
22.アルブミン結合部分が、脂肪酸またはジカルボン酸のアシル、例えば、ヘキサデカノイル-および15-カルボキシペンタデカノイル-などのアシル基であって、C12、C14、C16、C18、C20、C22またはC24、最も好ましくはC16、C18またはC20などの、全部で12〜24個の炭素原子を好ましくは含むアシル基、あるいはその薬学的に許容される塩を含む、実施形態17から21のいずれか一つに記載の使用。
【0063】
23.アシル基が、GLP-1ペプチドのリシン残基のε-アミノ基にリンカーを介して結合されている、実施形態22に記載の使用。
【0064】
24.リンカーが、少なくとも1つのOEG基(OEGとは8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸である)、少なくとも1つのTrx基(Trxとはトラネキサム酸、またはトランス-4-(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸):
【0065】
【化1】

【0066】
および/または少なくとも1つのGlu(グルタミン)基を含む、実施形態23に記載の使用。
【0067】
25.リンカーが、2つのOEG基がアミド結合を介して結合されたジ-OEG基を含む、実施形態24に記載の使用。
【0068】
26.リンカーが、さらに、Glu基を含み、ここで、好ましくはGluのアミノ基がアシル基とアミド結合を形成し、かつより好ましくはGluのγ-アシル基がジ-OEG基のアミノ基とアミド結合を形成し、最も好ましくはそのカルボキシル基が、GLP-1ペプチドのLys残基のε-アミノ基とアミド結合を形成する、実施形態25に記載の使用。
【0069】
27.リンカーが、さらに、Trx基を含み、ここで、好ましくはTrxのアミノ基がアシル基とアミド結合を形成し、かつより好ましくはTrxのアシル基がGluのアミノ基とアミド結合を形成し、さらにより好ましくはそのγ-アシル基がジ-OEG基のアミノ基とアミド結合を形成し、最も好ましくはそのカルボキシル基が、GLP-1ペプチドのLys残基のε-アミノ基とアミド結合を形成する、実施形態24から25のいずれか一つに記載の使用。
【0070】
28.GLP-1化合物が、
・N-ε26-((S)-4-カルボキシ-4-ヘキサデカノイルアミノブチリル)[Arg34]GLP-1(7-37):
【0071】
【化2】

【0072】
(化合物G1);
・N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-({トランス-4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP-1-(7-37):
【0073】
【化3】

【0074】
(化合物G2);
・N-ε26-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37):
【0075】
【化4】

【0076】
(化合物G3);
・N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,22,35,Lys37]GLP-1-(7-37):
【0077】
【化5】

【0078】
(化合物G4);
・およびこれらの薬学的に許容される塩、アミド、アルキル、またはエステルから選択される、実施形態1から27のいずれか一つに記載の使用。
【0079】
29.FGF21化合物が、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むか、あるいは最大で30個のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を有するその類似体である、実施形態1から28のいずれか一つに記載の使用。
【0080】
30.FGF21化合物が、FGF21活性を有する、実施形態29に記載の使用。
【0081】
31.FGF21化合物が、Met-FGF21(付加されたN-末端Metを有するSEQ ID NO:1、化合物F1)の効力の少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、さらにより好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも30%の効力を有し、ここで、該効力は、3T3-L1脂肪細胞中でのグルコース取込みを測定することによって測定される、実施形態30に記載の使用。
【0082】
32.効力が、Met-FGF21(付加されたN-末端Metを有するSEQ ID NO:1、化合物F1)の効力に対して少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%である、実施形態31に記載の使用。
【0083】
33.効力が、Met-FGF21(付加されたN-末端Metを有するSEQ ID NO:1、化合物F1)の効力に対して少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも100%、さらにより好ましくは少なくとも110%、最も好ましくは少なくとも120%である、実施形態32に記載の使用。
【0084】
34.効力が、Met-FGF21(付加されたN-末端Metを有するSEQ ID NO:1、化合物F1)のEC50に対する誘導体のEC50として計算される、実施形態31から33のいずれか一つに記載の使用。
【0085】
35.3T3-L1脂肪細胞が、マウスの3T3-L1線維芽細胞、好ましくはATCC CL-173から由来し、かつアッセイが実施例8に記載のように好ましくは実施される、実施形態31から34のいずれか一つに記載の使用。
【0086】
36.アミノ酸の置換、欠失、および/または付加の最大数が、25、好ましくは20、より好ましくは15、さらにより好ましくは10、最も好ましくは9である、実施形態29から35のいずれか一つに記載の使用。
【0087】
37.アミノ酸の置換、欠失、および/または付加の最大数が、8、好ましくは7、より好ましくは6、さらにより好ましくは5、最も好ましくは4である、実施形態29から36のいずれか一つに記載の使用。
【0088】
38.アミノ酸の置換、欠失、および/または付加の最大数が、3、より好ましくは2、最も好ましくは1である、実施形態29から37のいずれか一つに記載の使用。
【0089】
39.FGF21化合物が、-1M、S71C、K56R、K59R、K69R、および/またはK122Rの少なくとも1つを含む、実施形態29から38のいずれか一つに記載の使用。
【0090】
40.FGF21化合物が、(118C+134C)、167A、(21C+33C)、(26C+122C)、121Aの少なくとも1つを含む、実施形態29から38のいずれか一つに記載の使用。
【0091】
41.FGF21化合物が、FGF21誘導体である、実施形態1から40のいずれか一つに記載の使用。
【0092】
42.FGF21誘導体が、N-末端アミノ酸残基、または内部アミノ酸残基の位置で修飾されている、実施形態41に記載の使用。
【0093】
43.FGF21誘導体が、N-末端アミノ酸残基のアミノ基を介して、またはシステイン残基、好ましくは71Cなどの内部システイン残基のチオール基を介して修飾されている、実施形態42に記載の使用。
【0094】
44.FGF21誘導体が、アルブミン結合部分を含む、実施形態41から43のいずれか一つに記載の使用。
【0095】
45.アルブミン結合部分が、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは2つの遊離カルボン酸基、またはその薬学的に許容される塩を含む、実施形態44に記載の使用。
【0096】
46.アルブミン結合部分が、脂肪酸またはジカルボン酸のアシル、例えば,17-カルボキシヘプタデカノイル-および19-カルボキシノナデカノイル-などのアシル基であって、C12、C14、C16、C18、C20、C22またはC24、最も好ましくはC18またはC20などの全部で12〜24個の炭素原子を好ましくは含むアシル基、あるいはその薬学的に許容される塩を含む、実施形態41から45のいずれか一つに記載の使用。
【0097】
47.アシル基が、FGF21ペプチドのN-末端アミノ酸残基のアミノ基に、例えば、-1Mのアミノ基に、またはFGF21ペプチドの内部システイン残基のチオール基に、例えば、71Cのチオール基に、リンカーを介して結合されている、実施形態46に記載の使用。
【0098】
48.リンカーが、少なくとも1つのOEG基(OEGとは8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸である)、および/または少なくとも1つのGlu(グルタミン)基を含む、実施形態47に記載の使用。
【0099】
49.リンカーが、2つのOEG基がアミド結合を介して結合されているジ-OEGを含む、実施形態48に記載の使用。
【0100】
50.リンカーが、さらに、Glu基を含み、ここで、好ましくはGluのアミノ基がアシル基とアミド結合を形成し、より好ましくはGluのγ-アシル基がジ-OEG基のアミノ基とアミド結合を形成し、最も好ましくはそのカルボキシル基が、FGF21ペプチドのN-末端アミノ基とアミド結合を形成し、あるいは別法として、FGF21ペプチドのシステイン残基のチオール基に-N-(CH2)2-N-C(=O)-CH2-などのスペーサーを任意選択で介して連結している、実施形態49に記載の使用。
【0101】
51.FGF21化合物が、
・SEQ ID NO:1を有するポリペプチド(ヒトFGF21);
・付加されたN-末端Metを含むSEQ ID NO:1を有するポリペプチド(Met-FGF21_ヒト、化合物F1);
・S-71-({2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エチルカルバモイル}メチル)[Cys71]Met-FGF21(化合物F2);
・N-α1-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Arg56,Arg59,Arg69,Arg122]-Met-FGF21(化合物F3);ならびに
・これらの薬学的に許容される塩、アミド、アルキル、またはエステルから選択される、実施形態1から50のいずれか一つに記載の使用。
【0102】
52.GLP-1化合物が、実施形態28に記載の化合物から選択され、かつFGF21化合物が実施形態51に記載の化合物から選択される、実施形態1から51のいずれか一つに記載の使用。
【0103】
53.FGF21およびGLP-1化合物が、
・N-ε26-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37)(化合物G3)と一緒に、付加されたN-末端Met(化合物F1)を好ましくは含むSEQ ID NO:1(ヒトFGF21)を有するポリペプチド;
・N-ε26-((S)-4-カルボキシ-4-ヘキサデカノイルアミノブチリル)[Arg34]-GLP-1-(7-37)(化合物G1)と一緒に、付加されたN-末端Metを好ましくは含むSEQ ID NO:1(ヒトFGF21)を有するポリペプチド;
・N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,22,35,Lys37]GLP-1-(7-37)(化合物G4)と一緒に、付加されたN-末端Met(化合物F1)を好ましくは含むSEQ ID NO:1(ヒトFGF21)を有するポリペプチド;あるいは
・これらの薬学的に許容される塩、アミド、アルキル、またはエステルである、実施形態52に記載の使用。
【0104】
54.化合物が、同時および/または逐次的に投与される、実施形態1から53のいずれか一つに記載の使用。
【0105】
55.GLP-1とFGF21化合物との組合せで前処理された細胞に関する0.35mM遊離脂肪酸の存在下でのベータ細胞(INS-1)の生存能が、MTTアッセイでの吸光度として測定して、同一条件下で各化合物の単独で前処理された細胞の生存能の少なくとも1.2倍(1.2×)、好ましくは1.4倍、より好ましくは1.6倍、さらにより好ましくは1.8倍、最も好ましくは少なくとも2.0倍である、実施形態1から54のいずれか一つに記載の使用。
【0106】
56.i)遊離脂肪酸を実施例4に記載のように調製し、ii)FGF21および/またはGLP-1化合物を細胞に添加して1時間後に遊離脂肪酸に暴露し、iii)細胞を48時間インキュベートした後に生存能を測定し、iv)細胞生存能を550nmでの吸光度として測定し、かつ/またはv)条件が、例えばPromega CellTiter96キットの使用によって、概括的には実施例4中で概説する通りである、実施形態55に記載の使用。
【0107】
57.GLP-1とFGF21化合物との組合せで前処理された細胞に関する0.35mM遊離脂肪酸の存在下でのベータ細胞(INS-1)のカスパーゼ活性が、カスパーゼ-3/7アッセイにおける蛍光として測定して、同一条件下で各化合物の単独で前処理された細胞のカスパーゼ活性の90%未満、好ましくは80%未満、より好ましくは70%未満、さらにより好ましくは65%未満である、実施形態1から56のいずれか一つに記載の使用。
【0108】
58.i)遊離脂肪酸を実施例4に記載のように調製し、ii)FGF21および/またはGLP-1化合物を細胞に添加して1時間後に遊離脂肪酸に暴露し、iii)細胞を48時間インキュベートした後にカスパーゼ活性を測定し、かつ/またはiv)条件が、例えばPromega Apo-One均一カスパーゼ-3/7アッセイの使用によって、概括的には実施例4で概説される通りである、実施形態57に記載の使用。
【0109】
59.db/dbマウスでの急性研究において、FGF21およびGLP-1化合物の逐次投与後の血中グルコース(曲線下面積、AUC)が、同一条件下での各化合物の単独投与後の血中グルコース(AUC)の60%未満、好ましくは50%未満、さらにより好ましくは40%未満、最も好ましくは30%未満である実施形態1から58のいずれか一つに記載の使用。
【0110】
60.FGF21およびGLP-1化合物の逐次投与についてのAUCが、化合物の予想される相加効果の90%未満、好ましくは80%未満、より好ましくは70%未満、最も好ましくは60%未満である、実施形態59に記載の使用。
【0111】
61.i)マウスにFGF21化合物を1日1回で3日間投与し、ii)GLP-1化合物をFGF21化合物の最終投与の1時間後に投与し、iii)血液サンプルを、GLP-1化合物の投与後の0〜48時間に採取し、血中グルコース(mmol/l)について分析し、iv)結果を、すべての測定値(0〜48時間)に基づくグルコースの曲線下面積(AUC)として得て、かつ/またはv)条件が、概括的には実施例5で概説する通りである、実施形態59から60のいずれか一つに記載の使用。
【0112】
62.予想される相加効果が、次式:AUCvehicle-((AUCvehicle-AUCFGF21)+(AUCvehicle-AUCGLP-1))を使用して計算される、実施形態60から61のいずれか一つに記載の使用。
【0113】
63.db/dbマウスでの亜慢性研究において、FGF21およびGLP-1化合物の同時投与後の血中グルコース(mmol/l)が、同一条件下での各化合物の単独投与後の血中グルコースの70%未満、好ましくは60%未満、さらにより好ましくは50%未満、最も好ましくは40%未満である、実施形態1から62のいずれか一つに記載の使用。
【0114】
64.i)化合物を1日2回で21日間投与し、ii)血液サンプルを0、7、14および21日目に採取し、血中グルコース(mmol/l)について分析し、かつ/またはv)条件が、概括的には実施例6で概説される通りである、実施形態63に記載の使用。
【0115】
65.2型糖尿病を治療するための、FGF21化合物とGLP-1化合物との組合せ。
【0116】
66.実施形態2から64に記載の条件のそれぞれが、必要な変更を加えて個別的に適用される、実施形態65に記載の組合せ。
【0117】
67.FGF21化合物およびGLP-1化合物、ならびに薬学的に許容される担体を含む組成物であって、
GLP-1化合物が、
i)デスアミノHis7、Aib8、Aib22、Arg26、Aib35、および/またはLys37の少なくとも1つを含み;
ii)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは2つの遊離カルボン酸基、またはその薬学的に許容される塩を含むアルブミン結合部分を含むGLP-1誘導体であり;
iii)C12、C14、C16、C18、C20、C22またはC24、最も好ましくはC16、C18またはC20などの全部で12〜24個の炭素原子を好ましくは含むジカルボン酸のアシル基を含むアルブミン結合部分を含むGLP-1誘導体であり(ここで、好ましくはa)アシル基は、GLP-1ペプチドのリシン残基のε-アミノ基にリンカーを介して結合されており、b)該リンカーは、少なくとも1つのOEG基、および/または少なくとも1つのTrx基、および任意選択で付加的に少なくとも1つのGluを含む);かつ/または
iv)化合物G1を除く実施形態28の化合物から選択され;
ならびに/または
FGF21化合物が、
a)-1M、S71C、K56R、K59R、K69R、および/またはK122Rの少なくとも1つを含み;
b)システイン残基、好ましくは71Cなどの内部システイン残基のチオール基を介して修飾されたFGF21誘導体であり;
c)アルブミン結合部分を含むFGF21誘導体であり;
d)PEG化FGF21誘導体ではなく;
e)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは2つの遊離カルボン酸基、またはその薬学的に許容される塩を含むアルブミン結合部分を含むFGF21誘導体であり;
f)脂肪酸またはジカルボン酸のアシルなどのアシル基であって、C12、C14、C16、C18、C20、C22またはC24、最も好ましくはC18またはC20などの全部で12〜24個の炭素原子を好ましくは含むアシル基、またはその薬学的に許容される塩を含むアルブミン結合部分を含むFGF21誘導体であり(ここで、好ましくはi)アシル基は、FGF21ペプチドのN-末端アミノ酸残基のアミノ基に、例えば-1Mのアミノ基に、またはFGF21ペプチドの内部システイン残基のチオール基に、例えば、71Cのチオール基にリンカーを介して結合され、かつ好ましくはb)該リンカーは、少なくとも1つのOEG基、および/または少なくとも1つのGlu基を含む);かつ/または
g)SEQ ID NO:1を有するポリペプチドを除く実施形態51に記載の化合物から選択される;組成物。
【0118】
68.FGF21化合物およびGLP-1化合物、ならびに薬学的に許容される担体を含む組成物であって、
GLP-1化合物が、
i)デスアミノHis7、Aib8、Aib22、Arg26、Aib35、および/またはLys37の少なくとも1つを含み;
ii)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは2つの遊離カルボン酸基、またはその薬学的に許容される塩を含むアルブミン結合部分を含むGLP-1誘導体であり;
iii)C12、C14、C16、C18、C20、C22またはC24、最も好ましくはC16、C18またはC20などの全部で12〜24個の炭素原子を好ましくは含むジカルボン酸のアシル基を含むアルブミン結合部分を含むGLP-1誘導体であり(ここで、好ましくはa)アシル基は、GLP-1ペプチドのリシン残基のε-アミノ基にリンカーを介して結合されており、b)該リンカーは、少なくとも1つのOEG基、および/または少なくとも1つのTrx基、および任意選択で付加的に少なくとも1つのGluを含む)、かつ/または
iv)化合物G1を除く実施形態28の化合物から選択され、
ならびに/またはFGF21化合物が、
(a)SEQ ID NO:1に比較して次の修飾:独立に任意選択でN-末端M(例えば、-1M)を伴う、-1G、-1C、-1A、-1S、Q27E、Q28R、A31E、K56R、K59R、K69R、S71C、D102E、D102N、D102T、N121Q、des121N、N121D、K122R、D159E、L166F、S167G、M168L、V169aT、G170T、P171L、S172E、Q173A、G174A、G174V、Y179F、A180E、S181Kおよび/またはS181Rの少なくとも1つ;および/または
(b)SEQ ID NO:1に比較して、25個までのアミノ酸残基、好ましくは20個までのアミノ酸残基、より好ましくは15個までのアミノ酸残基、さらにより好ましくは10個までのアミノ酸残基、最も好ましくは6個までのアミノ酸残基のN-末端伸長(ここで、N-末端から伸長するアミノ酸残基の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%は、前記FGF21類似体が、高々210個のアミノ酸残基、好ましくは高々209個のアミノ酸残基、より好ましくは高々206個のアミノ酸残基を含むとの条件、さらにN-末端伸長が単一アミノ酸のみからなるなら、前記アミノ酸はMetではないとの条件で、GまたはSである)を含む、組成物。
【0119】
69.実施形態2から66に記載の各条件が、必要な変更を加えて個別的に適用される、実施形態67および68に記載の組成物。
【0120】
70.2型糖尿病を治療するための医薬製剤である、実施形態67から69のいずれか一つに記載の組成物。
【0121】
71.GLP-1およびFGF21化合物が、有効量で存在する、実施形態67から70のいずれか一つに記載の組成物。
【0122】
72.可能な程度まで、GLP-1化合物が前記実施形態中で定義された通りであり、かつFGF21化合物が、[-1A,71C,121Q,166F,167G,168L,171L,172E,173A,174V,179F,180E,des181]FGF21の誘導体、例えば、S-71-({2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エチルカルバモイル}メチル)[71C,121Q,166F,167G,168L,171L,172E,173A,174V,179F,180E,des181]Ala-FGF21である、実施形態67から71のいずれか一つに記載の組成物。
【0123】
73.患者に有効量のFGF21化合物およびGLP-1化合物を組み合わせて投与することを含む、2型糖尿病の治療方法。
【0124】
74.有効量のFGF21化合物およびGLP-1化合物を組み合わせて投与することを含む、ベータ細胞の生存能を改善する方法。
【0125】
75.有効量のFGF21化合物およびGLP-1化合物を組み合わせて投与することを含む、ベータ細胞のアポトーシスを低下させる方法。
【0126】
76.有効量のFGF21化合物およびGLP-1化合物を組み合わせて投与することを含む、血中グルコースを低下させる方法。
【0127】
77.実施形態2から66に記載の各条件が、必要な変更を加えて個別的に適用される、実施形態73から76のいずれか一つに記載の方法。
【0128】
78.化合物N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,22,35,Lys37]GLP-1-(7-37):
【0129】
【化6】

【0130】
あるいはその薬学的に許容される塩、アミド、アルキル、またはエステル。
【0131】
79.好ましくは実施形態6から7のそれぞれに記載のようなGLP-1活性を有する、実施形態77に記載の化合物。
【0132】
80.実施形態78から79のいずれか一つに記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む組成物、好ましくは、2型糖尿病を治療するための医薬組成物、より好ましくは該化合物が有効量で存在する組成物。
【0133】
81.薬剤として使用するための、実施形態78から79のいずれか一つに記載の化合物。
【0134】
82.2型糖尿病の治療で使用するための、実施形態78から79のいずれか一つに記載の化合物。
【0135】
83.患者に実施形態78から79のいずれか一つに記載の化合物を投与することを含む、2型糖尿病の治療方法。
【0136】
84.実施形態78に記載の化合物を投与することを含む、血中グルコースを低下させる方法。
【0137】
85.本明細書に記載の任意の新規な特徴または特徴の組合せ。
【0138】
種々の参考文献が本明細書中で引用されるが、その開示は、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる。
【0139】
(実施例)
以下の実施例は本発明を説明するのに役立つ。
【0140】
省略形
本明細書中では、以下の省略形を使用する:DCMはジクロロメタンであり、DICはジイソプロピルカルボジイミドであり、DIPEAはジイソプロピルエチルアミンであり、DPBSはダルベッコのリン酸緩衝化生理食塩水であり、DVBはジビニルベンゼンであり、EDACは(3-ジメチルアミノプロピル)エチルカルボジイミド塩酸塩であり、fmocは9H-フルオレン-9-イル-メトキシカルボニルであり、hは時間であり、HEPESは4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸であり、HOAtは1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾールであり、HOBtは1-ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、HPLCは高速液体クロマトグラフィーであり、IBMXは3-イソブチル-1-メチルキサンチンであり、Inpはイソニペコチン酸であり、IPTGはイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシドチェックであり、LCMSは液体クロマトグラフィー質量分析法であり、MALDI-TOF MSはマトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析法であり、MeOHはメタノールであり、minは分であり、ナノES-MSは、ナノ-エレクトロスプレータンデム質量分析法であり、NMPは1-メチル-ピロリジン-2-オンであり、OEGは8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸であり、OtBuはtert-ブチルエステルであり、PBSはリン酸緩衝化生理食塩水であり、RTは室温であり、TFAはトリフルオロ酢酸であり、THFはテトラヒドロフランであり、TIPSはトリイソプロピルシランであり、Trisはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンまたは2-アミノ-2-ヒドロキシメチルプロパン-1,3-ジオールであり、Trxはトラネキサム酸であり、TSTUはO-(N-スクシミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレートであり、UPLCは超高速液体クロマトグラフィーである。
【0141】
一般的方法
LCMSの方法1(LCMS1)
Agilent TechnologiesのLC/MSD TOF(G1969A)質量分析計を使用して、Agilent 1200シリーズHPLCシステムから溶出した後のサンプルの質量を確認した。タンパク質スペクトルのデコンボリューションを、Agilentのタンパク質確認ソフトウェアを用いて計算した。
溶離液:
A:0.1%トリフルオロ酢酸/水
B:0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル
カラム:Zorbax 5μm、300SB-C3、4.8×50mm
グラジエント:15分で25%〜95%アセトニトリル
【0142】
LCMSの方法2(LCMS2)
Perkin Elmer Sciex API3000質量分析計を使用して、Perkin Elmerシリーズ200HPLCシステムから溶出した後のサンプルの質量を確認した。
溶離液:
A:0.05%トリフルオロ酢酸/水
B:0.05%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル
カラム:Waters Xterra MS C-18、×3mm(内径)、5μm
グラジエント: 7.5分で5%〜90%アセトニトリル、1.5ml/分
【0143】
LCMSの方法3(LCMS3)
Waters Micromass ZQ質量分析計を使用して、Waters Alliance HT HPLCシステムから溶出した後のサンプルの質量を確認した。
溶離液:
A:0.1%トリフルオロ酢酸/水
B:0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル
カラム:Phenomenex、Jupiter C4、50×4.60mm(内径)、5μm
グラジエント:7.5分で10%〜90%B、1.0ml/分
【0144】
(実施例1):GLP-1誘導体の調製
以下のGLP-1化合物を調製した(すべて、GLP-1(7-37)(SEQ ID NO:3)の類似体の誘導体である)。
・化合物G1:
N-ε26-((S)-4-カルボキシ-4-ヘキサデカノイルアミノブチリル)[Arg34]GLP-1-(7-37)、これは、Arg34Lys26(Nε-(γ-グルタミル(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)-OHとも称される:
【0145】
【化7】

【0146】
・化合物G2:
N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-({トランス-4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP-1-(7-37):
【0147】
【化8】

【0148】
・化合物G3:
N-ε26-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37):
【0149】
【化9】

【0150】
・化合物G4:
N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,22,35,Lys37]GLP-1-(7-37):
【0151】
【化10】

【0152】
化合物G1は、国際公開第98/08871号の実施例37に記載のように調製した。化合物G2は、国際公開第09/030771号の実施例26に記載のように調製した。化合物G3は、国際公開第2006/097537号の実施例4に記載のように調製した。
【0153】
新規化合物G4は、CEM Libertyペプチド合成装置を使用して、国際公開第09/030771号に記載の方法に類似した方式で調製した。
LCMS:m/z=1046(M/4)
計算値(M)=4184.8
【0154】
LCMSは、Waters Acquity UPLCシステムおよびMicromassからのLCT Premier XE質量分析計からなる構成で実施した。HPLCポンプを、
A:0.1%ギ酸/水
B:0.1%ギ酸/アセトニトリル
を含む2つの溶離液貯槽に連結した。
分析は、室温(RT)で、適切な容積(好ましくは2〜10μL)のサンプルをカラムに注入し、そのカラムをAとBとのグラジエントで溶離することによって実施した。使用するHPLC条件、検出器の設定、および質量分析計の設定を次表に示す:
カラム:Waters Acquity UPLC BEH、C-18、1.7μm、2.1mm×50mm
グラジエント:4.0分で線形的に5%〜95%アセトニトリル、0.4ml/分
検出:214nm(DAD(ダイオードアレイ検出器)からのアナログ出力)
MSイオン化方式:API-ES(大気圧イオン化エレクトロスプレー)、走査100〜2000amu(原子質量単位)、ステップ0.1amu。
【0155】
(実施例2):FGF21化合物の調製
以下のFGF21化合物を調製した:
・化合物F1:
天然ヒトFGF21(SEQ ID NO:1)、しかし、大腸菌(E.coli)中での発現によりN-末端Metを有する、すなわちMet-FGF21_ヒト。
【0156】
・化合物F2:
化合物F1のS71C類似体を、次の試薬:
【0157】
【化11】

【0158】
を用いて71位で修飾し、化合物S-71-({2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エチルカルバモイル}メチル)[Cys71]Met-FGF21を得た。
【0159】
・化合物F3:
化合物F1のK56R、K59R、K69R、K122R類似体を、次の試薬:
【0160】
【化12】

【0161】
を用いてN末端Met残基の位置で修飾し、化合物N-α1-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Arg56,Arg59,Arg69,Arg122]Met-FGF21を得た。
【0162】
化合物F1、F2およびF3は、2009年1月23日に出願のEP09151227.7および2009年2月5日に出願のEP09152144.3に基づく優先権を主張するPCT/EP2010/-に記載のように調製した(詳細には実施例1、3、4、6および7を参照されたい)。後者のEP優先出願の関連実施例の本文を以下に挿入する。
【0163】
ヒトFGF21に関するDNAおよびアミノ酸の配列は、例えばNishimuraらによってBiochim.Biophys.Acta 1492(1):203〜206(2000)中に開示されている。該配列は、また、それぞれ受入番号EMBL:AB021975およびUNIPROT:Q9NSA1で公開データベースから入手可能である。
【0164】
天然ポリペプチドは、分泌にかかわる28個のアミノ酸からなるシグナルペプチドを用いて合成される:
1 MDSDETGFEH SGLWVSVLAG LLLGACQAHP IPDSSPLLQF GGQVRQRYLY
51 TDDAQQTEAH LEI REDGTVG GAADQSPESL LQLKALKPGV IQILGVKTSR
101 FLCQRPDGAL YGSLHFDPEA CSFRELLLED GYNVYQSEAH GLPLH LPGNK
151 SPHRDPAPRG PARFLPLPGL PPALPEPPGI LAPQPPDVGS SDPLSMVGPS
201 QGRSPSYAS
【0165】
上にイタリック体で示したシグナルペプチドは、添付の配列表中にSEQ ID NO:2として含められる。残りの181個のアミノ酸からなる成熟FGF21ポリペプチドは、配列表中にSEQ ID NO:1として含められる。
【0166】
成熟FGF21ポリペプチドは、大腸菌(E.coli)中のシグナルペプチドを含まないが付加されたN-末端メチオニンを含む細胞内タンパク質としてクローン化され、発現された。より詳細には、3’-末端にMetのためのATGコドン、ならびに3’-および5’-末端にそれぞれNde1およびBamH1制限部位を含む550bpのコード領域を、ファージT7プロモーターの制御下にNde1-BamH1中の発現ベクターpET11c中に挿入し、大腸菌B BL21(DE3)中に移入した。細胞を、LB amp 100μg/mL中で0.5のOD450まで増殖させ、発現を、0.3mM IPTGを用いて37℃で4時間誘導した。FGF21の発現を分析するために、超音波処理によって細胞の粗抽出物を作製した。
【0167】
クーマシー染色SDS-PAGEゲルは、FGF21発現の成功を示し、該発現は、主として可溶性上清液中に認められ、不溶性ペレット中では極めて少なかった。こうして発現されたFGF21(Met-FGF21)(化合物A)のMW計算値は、19.5kDであるが、それは、ゲル上で25kDのタンパク質として移動し、これは、タンパク質の移動を遅延させるプロリンの高含有量のためと思われる。
【0168】
FGF21ポリペプチドおよびその類似体を、さらに、次のように精製した:10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)中の大腸菌のスラリー(20%w/v)を、超音波処理した(氷上で3秒のオン/オフ間隔で5分間)。ポリペプチドを、遠心分離(10,000×g、30分間)によりペレット化し、50mM Tris(pH8.0)中で超音波処理により再可溶化し、破片を遠心分離(10,000×g、30分間)により除去した。得られる上清液中のポリペプチドを、「Protein Purification.Principles and Practice Series:Springer Advanced Texts in Chemistry Scopes」Robert K、第3版、1994年中に概括的に記載されているように、Q Sepharose Fast Flow樹脂(GE Healthcare)を使用する陰イオン交換クロマトグラフィー(50mM Tris、pH8.0、50〜250mM NaCl)によって精製した。場合によっては、さらなる精製を、HiLoad 26/60 Superdex pg 75カラム(GE Healthcare)を使用し50mM Tris(pH8.0)および200mM NaClを用いて操作されるサイズ排除クロマトグラフィーによって行った。貯蔵する場合には、ポリペプチドを、50mM重炭酸アンモニウム(pH7.9)に移し、凍結乾燥し、-80℃に保った。
【0169】
マレイミドを含むアルブミン結合剤は、次のように合成することができ、FGF21および遊離システインを含むその類似体は、やはり後に記載するようなアルブミン結合剤を用いて誘導体化することができる。
【0170】
17-((S)-1-カルボキシ-3-{2-[2-({2-[2-({2-[3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロピロール-1-イル)プロピオニルアミノ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸の調製:
・ステップ1:fmoc-エチレンジアミン2-クロロトリチル樹脂
5.8g(7.5mmol)の2-クロロトリチルクロリド樹脂(100〜200メッシュ、1%DVB、1.3mmol/gの負荷量)を、DCM(80mL)中で約1時間膨潤させ、次いで、液体を排出した。Fmoc-エチレンジアミン塩化水素を、NMP(30mL)およびDCM(30mL)およびDIPEA(5当量、6.42mL)中に懸濁した。この懸濁液を樹脂に添加し、3時間振盪した。樹脂から液体を排出し、17:2:1のDCM:MeOH:DIPEA、DCM、NMP、およびDCM(3×80mL)で洗浄した。樹脂を、デシケーター中、KOH/NaOH上で乾燥した。
【0171】
・ステップ2:fmoc-OEG-エチレンジアミン2-クロロトリチル樹脂
3mmolのfmoc-エチレンジアミン2-クロロトリチル樹脂を、CEM Libertyマイクロ波ペプチド合成装置およびfmocをベースにした固相ペプチド方法論を使用して修飾した。樹脂を、NMP(60mL)中で膨潤させ、液体を排出した。
【0172】
5%ピペリジン/NMP(60mL)を使用し30秒間加熱して、樹脂からFMOCを脱保護し、液体を排出し、NMP(60ml)、続いてさらなる5%ピペリジン/NMP(60mL)で洗浄し、70〜75℃で3分間加熱し、続いて、NMP(4×60mL)で洗浄した。樹脂に、Fmoc-8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸の0.3M溶液+0.3M HOAT/NMP(45mL)、続いて、0.75M溶液DIC/NMP(18mL)を添加した。反応物を、70〜75℃に10分間加熱し、続いて、NMP(4×60mL)で洗浄した。
【0173】
・ステップ3:fmoc-OEG-OEG-エチレンジアミン2-クロロトリチル樹脂
5%ピペリジン/NMP(60mL)を使用し30秒間加熱して、樹脂からFMOCを脱保護し、液体を排出し、NMP(60ml)、続いてさらなる5%ピペリジン/NMP(60mL)で洗浄し、70〜75℃で3分間加熱し、続いて、NMP(4×60mL)で洗浄した。樹脂に、Fmoc-8-アミノ-3,6-ジ-オキサオクタン酸の0.3M溶液+0.3M HOAT/NMP(45mL)、続いて、0.75M溶液DIC/NMP(18mL)を添加した。反応物を、70〜75℃に10分間加熱し、続いて、NMP(4×60mL)で洗浄した。
【0174】
・ステップ4:fmoc-γ-Glu-OEG-OEG-エチレンジアミン2-クロロトリチル樹脂
5%ピペリジン/NMP(60mL)を使用し30秒間加熱して、樹脂からFMOCを脱保護し、液体を排出し、NMP(60ml)、続いてさらなる5%ピペリジン/NMP(60mL)で洗浄し、70〜75℃で3分間加熱し、続いて、NMP(4×60mL)で洗浄した。樹脂に、Fmoc-Glu-OtBuの0.3M溶液+0.3M HOAT/NMP(45mL)、続いて、0.75M溶液DIC/NMP(18mL)を添加した。反応物を、70〜75℃に10分間加熱し、続いて、NMP(4×60mL)で洗浄した。
【0175】
・ステップ5:C-18-二酸-γ-Glu-OEG-OEG-エチレンジアミン2-クロロトリチル樹脂
5%ピペリジン/NMP(60mL)を使用し30秒間加熱して樹脂からFMOCを脱保護し、液体を排出し、NMP(60ml)、続いてさらなる5%ピペリジン/NMP(60mL)で洗浄し、70〜75℃で3分間加熱し、続いて、NMP(4×60mL)で洗浄した。樹脂に、オクタデカン酸モノ-tert-ブチルエステルの0.3M溶液+0.3M HOAT/NMP(45mL)、続いて、0.75M溶液DIC/NMP(18mL)を添加した。反応物を、70〜75℃に10分間加熱し、続いて、NMP(4×60mL)で洗浄した。
【0176】
・ステップ6:17-[(S)-3-(2-{2-[(2-{2-[(2-アミノエチルカルバモイル)メトキシ]エトキシ}エチルカルバモイル)メトキシ]エトキシ}エチルカルバモイル)-1-カルボキシプロピルカルバモイル]ヘプタデカン酸
樹脂を95:2.5:2.5のTFA/TIPS/水で1時間処理した。樹脂を濾別し、濾液を真空下で濃縮した。アセトニトリルを添加し、サンプルを再濃縮した。粗生成物を、HPLC(10〜50%アセトニトリル、0.1%TFA、60mL/分、C18、50mm×200mm、15Å)で精製した。LCMS2 m/z:777(M+1)。
【0177】
・ステップ7:17((S)-1-カルボキシ-3-{2-[2-({2-[2-({2-[3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロピロール-1-イル)プロピオニルアミノ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸
N-マレオイル-β-アラニン(0.65mmol、110mg)をNMPに溶解した。EDAC(0.65mmol、125mg)およびHOBt(0.65mmol、88mg)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。17[(S)-3-(2-{2-[(2-{2-[(2-アミノエチルカルバモイル)メトキシ]エトキシ}エチルカルバモイル)メトキシ]エトキシ}エチルカルバモイル)-1-カルボキシプロピルカルバモイル]ヘプタデカン酸(0.65mmol、504mg)のNMP(5mL)溶液を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。粗生成物を、HPLC(25〜65%アセトニトリル、0.1%TFA、60mL/分、C18、50mm×200mm、15Å)で精製して、200mgの表題化合物を得た。LCMS2 m/z:927.8(M+1)。
【0178】
K122C Met-FGF21誘導体、S-122-[1-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エチルカルバモイル}エチル)-2,5-ジオキソピロリジン-3-イル][Cys122]-Met-FGF21の調製:
上記のように調製されたK122C Met-FGF21類似体(K122CおよびN-末端Mを有するSEQ ID NO:1)中の122位のCys残基を、チオール基の位置で上記のように調製された次の試薬で修飾した:
【0179】
【化13】

【0180】
[Cys122]-Met-FGF21(凍結乾燥された)を20mM Tris緩衝液(pH7.5)に溶解し、PD-10カラム(GE Healthcare 170851-01)を使用して、緩衝液を20mM Tris緩衝液に交換した。この溶液(4.1mg/ml)の7ml(1.48マイクロモル)に、17-((S)-1-カルボキシ-3-{2-[2-({2-[2-({2-[3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロピロール-1-イル)プロピオニルアミノ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸を含むアセトニトリル/Tris緩衝液(1.3:1)溶液1.5ml(2.96マイクロモル)を添加した。反応物を室温で1時間反応させた。反応混合物を、0.22μmフィルターを通して濾過し、20mM Tris緩衝液(pH7.5)で溶離するサイズ排除クロマトグラフィー(GE Healthcare、Superdex200、26/60)、続いて、イオン交換クロマトグラフィー(Mono-Q 5/50、カラムの60倍容を超える0〜0.5M NaCl/20mM Tris(pH7.5)でのグラジエント)を使用して精製した。LCMSおよびSDS-PAGEでの分析の後に、関連する画分を集め、緩衝液を50mM NH4HCO3に交換し、凍結乾燥した。LCMS1:理論質量=20442.2、測定値=20442.3。
【0181】
S71C Met-FGF21誘導体、S-71-({2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エチルカルバモイル}メチル)[Cys71]Met-FGF21を次のように調製した:
19-{(S)-1-カルボキシ-3-[2-(2-{[2-(2-{[2-(2-ヨードアセチルアミノ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]プロピルカルバモイル}ノナデカン酸の調製:
・ステップ1:19-[(S)-3-(2-{2-[(2-{2-[(2-アミノエチルカルバモイル)メトキシ]エトキシ}エチルカルバモイル)メトキシ]エトキシ}エチルカルバモイル)-1-tert-ブトキシカルボニルプロピルカルバモイル]ノナデカン酸tert-ブチルエステル
19-{(S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3-[2-(2-{[2-(2-カルボキシメトキシエトキシ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]プロピルカルバモイル}ノナデカン酸tert-ブチルエステル(500mg)のアセトニトリル(15ml)溶液に、TSTU(224mg)およびDIPEA(0.13ml)を添加した。室温で2時間撹拌した後、この混合物を、エチレンジアミン(0.50ml)のアセトニトリル(5ml)溶液中に注いだ。2時間撹拌した後、混合物を真空で濃縮した。残留物を、1N NaOH(100ml)および酢酸エチル(400ml)中で撹拌した。層を分離した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮して、白色固体を得た。この固体を、エタノール中で撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮してシロップを得た。収量:250mg(48%)。LCMS3:理論質量=916.26、実測値=926.7。
【0182】
・ステップ2:19-{(S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3-[2-(2-{[2-(2-{[2-(2-ヨードアセチルアミノ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]プロピルカルバモイル}ノナデカン酸tert-ブチルエステル
ヨード酢酸(60mg)のDCM(8ml)溶液に、TSTU(90mg)およびDIPEA(0.05ml)を添加した。室温で60分間撹拌した後、19-[(S)-3-(2-{2-[(2-{2-[(2-アミノエチルカルバモイル)メトキシ]エトキシ}エチルカルバモイル)メトキシ]エトキシ}エチルカルバモイル)-1-tert-ブトキシカルボニルプロピルカルバモイル]ノナデカン酸tert-ブチルエステル(0.25g)のDCM(8ml)溶液およびDIPEA(0.05ml)を添加した。120分間撹拌した後、混合物をDCM(100ml)で希釈し、1N HCl(50ml)を添加した。層を分離した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物を、エタノールと共に共濃縮して固体化合物を得た。収量225mg(76%)。LCMS3:理論質量=1084.2、実測値=1084.8。
【0183】
・ステップ3:19-{(S)-1-カルボキシ-3-[2-(2-{[2-(2-{[2-(2-ヨードアセチルアミノ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]プロピルカルバモイル}ノナデカン酸
19-{(S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3-[2-(2-{[2-(2-{[2-(2-ヨードアセチルアミノ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]プロピルカルバモイル}ノナデカン酸tert-ブチルエステル(225mg)をTFA(10ml)で90分間処理した。混合物を真空で濃縮し、トルエンと共に2回共濃縮した。残留物を、A-緩衝液:0.1%TFA/水、B-緩衝液:0.1%TFA/アセトニトリル、45分にわたる10〜80%Bのグラジエント、流速:20ml/分、C18カラム、30mm×250mm、110Åを使用するHPLCで精製した。収量45mg(22%)。LCMS3:理論質量:971.98、実測値:972.6。
【0184】
一般には上記のように調製されるS71C Met-FGF21類似体中(S71CおよびN-末端Mを有するSEQ ID NO:1)の71位のCys残基を、チオール基の位置で次の試薬で修飾した:
【0185】
【化14】

【0186】
NH4HCO3から凍結乾燥された[Cys71]Met-FGF21(7.53mg、385ナノモル)を3×350μlの0.02M TRIS(pH7.8)に溶解し、緩衝液を、PD10カラムを通して0.02M TRIS(pH7.8)に交換した。ほぼ3.5mlを捕集した。上記のように調製された19-{(S)-1-カルボキシ-3-[2-(2-{[2-(2-{[2-(2-ヨードアセチルアミノ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]メトキシ}エトキシ)エチルカルバモイル]プロピルカルバモイル}ノナデカン酸(1.5mg)を、1:1(0.75ml)の0.02M TRIS緩衝液(pH7.8)/アセトニトリルに溶解した。[Cys71]Met-FGF21の溶液にヨードアセトアミド溶液(0.561ml、3当量)を添加した。アセトニトリルの濃度は7%であった。混合物を室温で70時間放置した。混合物を、Amicon Ultra-4遠心濾過装置(MWCO 10000)中、4000gで10分間限外濾過を行った。ほぼ4mlのA-緩衝液での限外濾過を、さらに4回繰り返し、試薬を除去した。サンプルを、A-緩衝液(20mM TRIS、pH7.8)、B-緩衝液(20mM TRIS、50mM NaCl、pH7.8)、流量0.5ml、60CVを超える0〜100%Bのグラジエントを使用するmonoQ 5/50GLカラムでの陰イオン交換によって精製した。単離された生成物を含む画分を集め、Amicon Ultra-4遠心分離装置(MWCO 10000)中、6000rpmで2×10分間の超遠心によって濃縮した。
【0187】
PD10(GE 179851-01)カラムを使用して、緩衝液を50mM NH4HCO3に交換した。ほぼ4.0mlの溶離液を捕集した。これを、Millex GV滅菌0.22μmフィルターを通して濾過し、凍結乾燥した。収量2.18mg。LCMS1:理論質量:20400.2、実測値:20400.13。
【0188】
K56R、K59R、K69R、K122R Met-FGF21誘導体、N-α1-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Arg56,Arg59,Arg69,Arg122]-Met-FGF21を次のように調製した:
一般には上記のように調製されるK56R、K59R、K69R、K122R Met-FGF21類似体(K56R、K59R、K69R、K122RおよびN-末端Mを有するSEQ ID NO:1)中のN-末端Met残基を、α-アミノ基の位置で、次の試薬を用いて修飾した:
【0189】
【化15】

【0190】
[Arg56,Arg59,Arg69,Arg122]-Met-FGF21(凍結乾燥された)をDPBS緩衝液に溶解し、緩衝液を、PD-10カラム(GE Healthcare170851-01)を使用してDPBS緩衝液に交換し、3.5ml(4.3mg/ml、0.77μモル)とした。サンプルをDPBS緩衝液(10.5ml)で希釈し、一般には上記のように調製される17-((S)-1-カルボキシ-3-{2-[2-({2-[2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシカルボニルメトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}メトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル}プロピルカルバモイル)ヘプタデカン酸(6.2マイクロモル)のアセトニトリル(7.5ml)溶液を添加した。室温で1時間保持した後、混合物を0℃まで冷却し、冷たい0.2M NaOH(21ml)を添加した。0℃で30分間保持した後、混合物を塩酸で中和した。混合物を、Amicon CentriprepウルトラセルYM10遠心フィルター(MWCO 10000)を使用して濃縮し、次いで、5mlの20mM Tris緩衝液(pH7.5)で希釈し、2回再濃縮した(最終容積はほぼ5ml)。溶液混合物を、0.22μmのフィルターを通して濾過し、イオン交換クロマトグラフィーで精製し、上記のように凍結乾燥した。LCMS1:理論質量:20368.1、測定値:20367.2。
【0191】
(実施例3):グルコースで刺激されるインスリン放出の生体外での回復
この生体外での実施例は、FGF21およびGLP-1化合物での処置に応答して、糖尿病性db/dbマウス由来の膵島がグルコース刺激に応答してインスリンを放出する能力を回復する能力を調べるものである。
【0192】
15週齢の25匹のdb/dbマウス(Charles River)から膵島を、次の手順により分離した:
動物を、頚椎脱臼法によって屠殺し、発泡ポリスチレン(Styrofoam)プレート上にピンで固定した。膵臓を取り出し、5mlのコラゲナーゼ(Life Science、グレードII、カタログ番号100502、300単位/ml)を含むPackardバイアルに移し(1膵臓/バイアル)、このバイアルはすべての膵臓を除去するまで氷上に保持した。次いで、膵臓を、Grant/Edmund S25サーモシェーカー中、200ストローク/分、37℃で5分間振盪した。組織を、5mlのコラゲナーゼ(150単位/ml、上清液を廃棄)を含む新たなバイアルに移し、サーモシェーカー中で再び5分間振盪した。組織を、さらに、サーモシェーカー上で3〜5分間振盪し、以後、振盪はすべて、そのたびごとに手で5〜10秒間行う。これらのステップを、すべての組織が消化されるまで繰り返した。経過を、実体顕微鏡下で継続的に追跡し、消化されたら、組織を集め、漸次より少数のチューブ中に捕集した。すべての上清液を、HBSS+0.5%NCS(Gibcoカタログ番号14060からのHBSS(10×)を使用前にH2Oで10倍希釈する、Gibcoカタログ番号26010-066からの新生ウシ血清(NCS))で3回洗浄し、各洗浄の間に氷上で5分間放置して沈降させ、それに続いて、膵島を採集するよう準備した。膵島を、少量の上清液をペトリ皿に移し、HBSS+NCSで満たし、続いてコンストリクションピペットで新たなペトリ皿に(マウスピペット操作で)移すことによって精製した。そこから、膵島を、純粋になるまで再採集し、次いでRPMI 1640培地(Gibcoカタログ番号61870-010)+10%NCS中、37℃でインキュベートした。
【0193】
分離した翌日に、すべての動物からの膵島を混合し、3つの部分に分割し、それぞれ50nM FGF21化合物(化合物F1)、100nM GLP-1化合物(化合物G3)、および緩衝液(対照)と共に48時間インキュベートした。インキュベートした後、膵島を、クレブス・リンガー液(115mM NaCl、4.7mM KCl、2.6mM CaCl2、1.2mM KH2PO4、1.2mM MgSO4、10mM HEPES、0.2%BSA、2mMグルタミン、5mM NaHCO3、pH7.4)中で洗浄し、続いてペリフュージョン実験(BrandelからのSuprafusion 2500)に使用した。3つのプレインキュベーション条件のそれぞれに対して、それぞれ60の膵島を含む4つのペリフュージョンカラムを使用した。膵島を、ゲルの上下にナイロン網目を備えたカラム中のBio-gel P2(Bio-Radカタログ番号150-4114)中に入れた。膵島を、最初に3mMグルコースを含むクレブス・リンガー液で40分間ペリフューズして、インスリン放出の安定なベースラインを得た。40分後、緩衝液を15mMグルコースに30分間(時刻40〜70分)で交換した。次いで、緩衝液を、10μMのフォルスコリン(Tocris 1099、バッチ3A/86008)を含む15mMグルコースに40分間(時刻70〜110分)で交換した。最後に、緩衝液を低グルコース(3mM)に30分間(時刻110〜140分)で交換した。緩衝液は、0.3ml/分の速度でペリフュージョンシステムを通って流れるように設定した。サンプルを、時刻30〜140分に5分毎に採取した。サンプルを-20℃で貯蔵し、続いて、インスリンについて本質的にはJournal of Biomolecular Screening 12(×);1〜8頁、2007中にPoulsenらが記載しているように分析した(LOCI(蛍光酸素チャネリング免疫アッセイ)サンドイッチ免疫アッセイ)。
【0194】
結果(ng/mlインスリン)を、下のTable 1(表1)に平均±平均の標準誤差(SEM)として示す。対照およびFGF21化合物に関する数字は、3回の繰り返し(これらの2つの実験における4つのカラムの1つでの問題のため)に基づき、一方、GLP-1化合物に関する数字は、4回の繰り返しに基づく。
【0195】
【表1】

【0196】
対応する曲線下面積(AUCと呼ばれる)の数字も計算し、統計量については、スチューデントのT-検定を使用した。時刻=35〜75分(グルコース増加への応答)および時刻=75〜140分の時間間隔に対するAUCの結果を、それぞれTable 2(表2)および3(表3)に示す。
【0197】
【表2】

【0198】
FGF21のAUC結果は、対照に比べて有意により大きく(p=0.0057、二重アステリスク(**)に相当)、このことは、対照に比較したGLP-1のAUC結果の場合でもそうである(p=0.0010、やはり二重アステリスク(**)に相当)。
【0199】
【表3】

【0200】
このことは、FGF21のAUC結果が、対照に比べてより大きい可能性があることを意味する(p=0.067は傾向を指摘するが、有意ではない)。このことは、GLP-1のAUC結果でもそうであるとは思われない(p=0.28)。しかし、FGF21に対するAUC結果は、GLP-1に対するそれに比べて有意により大きく(p=0.02)、Table 3(表3)中で使用した一重アステリスク(*)に相当する。
【0201】
結論として、FGF21化合物およびGLP-1化合物は、db/dbマウスの膵島からのグルコースで刺激されるインスリン放出を生体外で回復する能力がある(Table 2(表2)の結果)。このことは、第一に、膵島への直接的な肯定的効果を伴うこれらの化合物の2型糖尿病の治療に対する潜在的有用性の証拠である。
【0202】
次いでフォルスコリンでの結果について考えると、フォルスコリンは、アデニレートシクラーゼ活性化因子であり、サイクリックAMP(cAMP)のレベルを高めるのに役立つ。cAMPは、細胞のホルモンおよびその他の細胞外シグナルに対する適切な生物学的応答に必須である重要なシグナル担体である。それは、視床下部/下垂体軸中での細胞コミュニケーションのために、およびホルモンのフィードバック制御のために必要とされる。それは、プロテインキナーゼAを活性化することによって作用する。
【0203】
さらに、インクレチン様GLP-1の効果の1つが、実際に、cAMPの産生であることは、周知である。
【0204】
Table 3(表3)の結果(FGF21とインキュベートされた膵島は、GLP-1とインキュベートされた膵島に比べてフォルスコリンに対して有意により良好に応答することを示す)は、したがって、FGF21とGLP-1との組合せの潜在的相乗効果を示すものと解釈することができる(FGF21は、GLP-1によって提供されるcAMP形成効果に比較すると、インスリン放出に対してボーナス効果を提供する)。
【0205】
(実施例4):生体外でのベータ細胞のアポトーシスからの保護
この生体外での実施例は、ラット膵島細胞腫ベータ細胞(INS-1)のFFA(遊離脂肪酸)誘発性アポトーシスに対するFGF21およびGLP-1化合物の影響について調べるものである。
【0206】
化合物F1(Prospecカタログ番号CYT-474)をFGF21化合物として使用し、化合物G1をGLP-1化合物として使用した。
【0207】
INS-1細胞を、96-ウェルプレートに播種し(50000細胞/ウェル)、10%FCS(Gibcoカタログ番号10085-140)、1%Pen/Strep(Gibcoカタログ番号15140-114)および0.5mlβ-メルカプトエタノール(Gibcoカタログ番号31350-010(50mM))で補足された細胞培地(RPMI 1640培地、Gibcoカタログ番号61870-010)中で一夜インキュベートした。FGF21化合物(50nM)およびGLP-1化合物(50nM)を細胞に添加してから1時間後に、細胞をFFAに暴露した。FFAは次のように調製した:DMSO中の1Mのパルミチン酸(Sigma P5585)およびオレイン酸(Sigma O1383)原液を、1:2で混合し、60℃に加熱した。次いで、FFA混合物を0.1M NaOHで10倍に希釈した。次いで、この混合物を、細胞培地でさらに希釈して1mMのFFA濃度とした。次いで、細胞にFFAを0.35mMの最終濃度まで添加した。細胞を48時間インキュベートし、次いで、次の3種のアッセイを実施した:1)細胞の生存能を、PromegaからのCellTiter 96(登録商標)非放射性細胞増殖アッセイ(MTT)(製造業者の説明書に従って実施)を使用して評価し(550nmでの吸光度、A550)、2)アポトーシスを、PromegaからのApo-ONE(登録商標)Homogeneousカスパーゼ-3/7アッセイを製造業者の説明書に従って使用して評価し(蛍光)、かつ3)FFAと一緒の48時間のインキュベーション中に培地中に蓄積されるインスリンを分析した(実施例3に記載のように、ng/mlインスリン)。
【0208】
1)、2)および3)の結果をそれぞれTable 4(表4)、5(表5)および6(表6)に示す。すべての数字は、平均±平均の標準誤差(SEM)である。すべての実験を4回の繰り返しで設定したが、いくつかは、実験の誤りのため3回だけで終わった(すなわち、生存能では0.35mM FFA:GLP-1で;アポトーシスでは0.35mM FFA:対照およびFGF21、0.00mM FFA:GLP-1で;蓄積インスリンでは、0.35mM FFA:、対照、FGF21およびGLP-1、0.00mM FFA:対照で)。
【0209】
【表4】

【0210】
Table 4(表4)は、遊離脂肪酸の不在下(FFA=0.00mM)での細胞生存能が、4種の処置の間で有意に異なることはないことを示す。一方、遊離脂肪酸の存在下(FFA=0.35mM)での細胞生存能は、対照に対して、GLP-1およびFGF21のそれぞれによって、ならびにそれらの組合せによって有意に改善される(それぞれ、p=0.0014、0.0031および0.0057、各々二重アステリスクの有意水準(**、スチューデントのt検定)に相当する)。
【0211】
さらに、興味深いことに、組合せ実験での細胞生存能は、GLP-1およびFGF21の単独のそれぞれに比較して、有意に改善された(それぞれp=0.042および0.016、各々一重アステリスクの有意水準(*、スチューデントのt検定)に相当する)。したがって、FGF21とGLP-1化合物との組合せは、各化合物の単独に比べて、ベータ細胞(INS-1)を、遊離脂肪酸によって誘導されMTTアッセイで細胞生存能として測定されるアポトーシスからより良好に保護する。
【0212】
【表5】

【0213】
カスパーゼまたはシステイン-アスパラギン酸プロテアーゼは、システインプロテアーゼのファミリーであり、アポトーシス(プログラムされた細胞死)において本質的な役割を演じる。カスパーゼ活性の上昇は、したがって、アポトーシスの増大を暗示する。
【0214】
Table 5(表5)の結果は、遊離脂肪酸の不在下(FFA=0.00mM)で、カスパーゼレベルは、4処置群のそれぞれで同一であることを示す。一方、遊離脂肪酸の存在(FFA=0.35mM)は、4つのすべての群においてカスパーゼ活性の増大につながる。しかし、FGF21群におけるカスパーゼ活性は、対照群に比べて(p=0.002、二重アステリスクの有意水準(**、スチューデントのt-検定)に相当)、およびGLP-1群に比較しても(p=0.049、一重アステリスクの有意水準(*、スチューデントのt-検定)に相当)有意により小さい。
【0215】
さらに、組合せ処置を受けている群におけるカスパーゼ活性は、GLP-1群に比較して有意により低い(p=0.0059、二重アステリスクの有意水準(**、スチューデントのt-検定)に相当)。また、対照と比較して、組合せは、有意に異なる(二重アステリスク、**、p=0.002、スチューデントのt-検定)。最終的に、これらの結果は、組合せ処置対FGF21単独に関して有意な結論をもたらさないが(p=0.09、スチューデントのt-検定)、ここでも、やはり、低下させる傾向が存在する可能性がある。
【0216】
したがって、GLP-1とFGF21化合物との組合せは、GLP-1化合物の単独および対照に比べてより優れており、カスパーゼ3/7活性を、そしてそれによってアポトーシスを低下させる。
【0217】
【表6】

【0218】
Table 6(表6)は、遊離脂肪酸の不在下(FFA=0.00mM)で、GLP-1化合物の単独および組合せが、対照に比較してインスリン分泌の有意な増大につながることを示す(それぞれ、二重アステリスク(**)に相当するp=0.009、および三重アステリスク(***)に相当するp=0.0009)。FGF21の単独で観察される数値の増加は、有意でない(p=0.08、有意でない(ns))。
【0219】
さらに、遊離脂肪酸の不在下で、組合せを受け入れている群でのインスリンレベルは、FGF21の単独に対して有意により高いが(二重アステリスク(**)に相当するp=0.002)、GLP-1の単独と比較して数値的にわずかにより高いだけである(p=0.08、ns)。
【0220】
遊離脂肪酸の存在下(FFA=0.35mM)で、GLP-1化合物、FGF21化合物、およびそれらの組合せは、対照と比較して、インスリン分泌の有意な増大につながる(それぞれ、三重アステリスク(***)に相当するp=0.0005、二重アステリスク(**)に相当するp=0.007、および二重アステリスク(**)に相当するp=0.0016)。
【0221】
さらに、遊離脂肪酸の存在下(FFA=0.35mM)で、組合せ処置を受けている群のインスリンレベルは、FGF21の単独に比較して有意により高いが(二重アステリスク(**)に相当するp=0.0046)、GLP-1の単独に比較して数値的にわずかにより高いだけである(p=0.30、ns)。
【0222】
これらの結果は、48時間にわたって蓄積されたインスリンを反映する。なんらかの理論によって拘束されることを望むのもではないが、蓄積されるインスリンが遊離脂肪酸の存在下でより多い理由は、1)化合物(FGF21およびGLP-1)が存在するため、より多くの細胞が生き残り、かくしてインスリンを放出する能力があり、かつ/または2)それらの化合物が、個々の細胞を刺激してより多くのインスリンを放出することができることにある可能性がある。GLP-1の場合、理由1)および2)は効果の一因である。FGF21の場合、少なくとも理由1)は効果の一因である(Table 4(表4)および5(表5)のMTTおよびカスパーゼの結果を比較されたい)。遊離脂肪酸の不在下でのFGF21の結果は、この化合物がインスリン放出を刺激しないことを確証している。それにもかかわらず、このような効果が遊離脂肪酸の存在下で観察されることは、この理論によって拘束されることを望むものではないが、やはり、細胞生存能を改善するFGF21の能力、すなわち理由1)のためである可能性がある。
【0223】
結論として、これらの結果は、FGF21およびGLP-1化合物が存在するために、遊離脂肪酸の存在下で生き残る細胞が機能性であることを確証している。
【0224】
(実施例5):血中グルコースに対するインビボでの効果、db/dbマウスでの急性研究
このインビボでの急性研究は、FGF21およびGLP-1化合物のdb/dbマウスの血中グルコースレベルに対する効果を調べるものである。
【0225】
db/dbマウスは、2型糖尿病の高血糖、高インスリン血、過食および肥満のモデルである。
【0226】
以下の研究計画を使用した:
23匹のdb/dbマウス(デンマークTaconic社からの、雄性C57BLKS db/db、15〜16週齢)
0.125mg/kgのヒトFGF21(化合物F1)(n=11)、または媒質(n=12)を1日1回で3日間皮下投与した。媒質は、滅菌PBS-緩衝液(DPBS、Gibcoカタログ番号14190)とした。
次いで、双方の動物群に媒質またはGLP-1化合物G4のどちらかを1ナノモル/kgで投与した(n=5〜6)。G4化合物とは、アルブミン結合剤でのその誘導体化のために延長された半減期を有するGLP-1類似体である。GLP-1または媒質の投与は、最後のFGF21または媒質を投与して1時間後に、皮下で与えられた。
GLP-1化合物を投与して0〜48時間後の血中グルコースを測定するために、尾部先端から10μlの血液サンプルを採取した。
結果は、媒質群、GLP-1群、FGF21群、および組合せ群についてのグルコース曲線下面積(AUC)を使用して分析した。
【0227】
下のTable 7(表7)は、4つの異なる群についてのAUC0-48hを示す。
【0228】
【表7】

【0229】
右の縦列は、2種の化合物の相加効果が存在する場合に予想されるAUCを示す。予想されるAUCは、次式:
AUCvehicle-((AUCvehicle-AUCFGF21)+(AUCvehicle-AUCGLP-1))
を使用して計算した。
【0230】
この予想されるAUCは、組合せで観察された効果に比べて有意により大きいので、2種の化合物間に相乗効果が存在すると結論付けられる。しかし、2元ANOVAを使用する相互作用に関する検定は、有意でない結果をもたらした。これは、比較的小さなサンプルサイズのためであろう。
【0231】
したがって、1日1回で3日間のFGF21化合物での処置、それに続くGLP-1化合物の1回の投与は、血中グルコースの低下に関して予想外のボーナス効果につながる。
【0232】
(実施例6):血中グルコースに対するインビボでの効果、db/dbマウスにおける亜慢性研究
このインビボでの亜慢性投与研究は、GLP-1およびFGF21化合物の血中グルコースに対する効果を調べるものである。研究は、db/dbマウス(実施例5に記載のような)で実施した。
【0233】
研究計画は次の通りである:
48匹のdb/dbマウス、雄性、研究開示時点で11〜12週齢。
(i)0.5mg/kgのヒトFGF21(化合物F1、n=12)、(ii)30ナノモル/kgのGLP-1化合物G1(n=12)、(iii)0.5mg/kgの化合物F1と30ナノモル/kgの化合物G1との組合せ(n=12)、または(iv)媒質(滅菌PBS緩衝液、n=12)のどれかを、1日2回皮下で投与した。
すべての群に21日間投与した。
週1回の血中グルコースの測定のために、尾部先端から10μlの血液サンプルを採取した。
【0234】
下のTable 8(表8)に、亜慢性投与研究中の0、7、14および21日目に測定される血中グルコース値(mmol/l)を示す。
【0235】
【表8】

【0236】
7、14および21日目の時点でのFGF21化合物とGLP-1化合物との効果間の相互作用に関して検定する2元ANOVAは、有意な相互作用を示さなかった。
【0237】
FGF21化合物、GLP-1化合物、および組合せの効果に関してそれぞれ媒質に対して検定する1元ANOVAは、FGF21化合物の単独に関する7日目を除くすべての時点において、双方の化合物の有意な効果を示した。
【0238】
FGF21化合物の単独をそのGLP-1化合物との組合せと比較する1元ANOVAは、7、14および21日目に、組合せの有意により優れた効果を示した(p=0.0001、すべての日数で)。GLP-1化合物の単独をそのFGF21化合物との組合せと比較すると、やはり、7日目(p=0.01)、14日目(p=0.001)および21日目(p=0.0001)の時点で組合せの有意により優れた効果を示した。
【0239】
したがって、FGF21とGLP-1化合物との組合せでの処置は、各化合物の単独での処置に比較して、血中グルコースの統計的に有意な改善を提供する。
【0240】
(実施例7):GLP-1活性のアッセイ-クローン化ヒトGLP-1受容体を発現する細胞系中でのcAMP形成の刺激
次のアッセイは、GLP-1化合物の活性(能力)を測定するのに使用することができる。簡潔には、GLP-1化合物が、ヒトGLP-1受容体を含む媒質中でサイクリックAMP(cAMP)の形成を刺激する能力を測定する。
【0241】
原理的には、ヒトGLP-1受容体を発現する安定な遺伝子移入細胞系、BHK467-12A(tk-ts13)から精製された形質膜を、当該GLP-1化合物で刺激し、cAMP産生能力を、Perkin Elmer Life SciencesからのAlphaScreen(商標)cAMPアッセイキットを使用して測定する。
【0242】
細胞を、DMEM、5%FCS、1%Pen/Strep(ペニシリン/ストレプトマイシン)および0.5mg/mlの選択マーカーG418中、5%CO2で増殖させる。
【0243】
細胞を、ほぼ80%集密の時点でPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で2回洗浄し、Versene(エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩の水溶液)で採取し、1000rpmで5分間遠心し、上清液を除去する。さらなる段階は、すべて氷上で行う。細胞ペレットを、10mlの緩衝液1(20mM Na-HEPES、10mM EDTA、pH=7.4)中、Ultrathuraxでホモジナイズし、20〜30秒間混合し、20,000rpmで15分間遠心し、10mlの緩衝液2(20mM Na-HEPES、0.1mM EDTA、pH=7.4)に再懸濁する。懸濁液を、20〜30秒間ホモジナイズし、20,000rpmで15分遠心する。緩衝液2への懸濁、ホモジナイズ、および遠心を1回繰り返し、膜を、緩衝液2に再懸濁し、さらなる分析に備えるか、あるいは-80℃で貯蔵した。
【0244】
機能性受容体のアッセイを、ペプチドで誘導されるcAMP産生をAlphaScreen技術で測定することによって実施する。AlphaScreen技術の基本原理は、内因性cAMPと外来的に添加されるビオチン-cAMPとの間の競合である。cAMPの捕獲は、受容体ビーズに複合された特異抗体を使用して達成される。形成されたcAMPを、AlphaFusionミクロプレートアナライザーで計数、測定する。EC50値を、例えばGraph-Pad Prismソフトウェア(バージョン5)を使用して計算する。
【0245】
EC50値は、例えば、化合物G1のEC50に対して示すことができる。化合物G2およびG3のEC50値は、それぞれ、化合物G1のそれに対して約5倍および3倍大きく、一方、SEQ ID NO:4の化合物のEC50値は、化合物G1のそれの約0.3倍であった。
【0246】
(実施例8):FGF21活性のアッセイ-3T3-L1脂肪細胞中でのグルコース取込み
次のアッセイは、FGF21化合物の生物学的活性または能力を測定するのに使用することができる。
【0247】
マウスの3T3-L1線維芽細胞(例えば、ATCCから入手可能、カタログ番号CL-173)を、基本培地(10%ウシ胎児血清(FBS)、およびペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM(4500mg/lグルコース))中に維持する。細胞を、集密に到達させず、ほぼ60%の集密度(肉眼検査で)に到達する前に、(新たなバイアルに移して)経過させるべきである。
【0248】
グルコース取込みアッセイでは、細胞を、24ウェルプレートに80,000細胞/ウェル、または96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルで播種し、それらが集密(観察で分化脂肪細胞が形成される高密度)に到達するなら、培地を、基本培地からトログリタゾン、IBMX、デキサメタゾン(例えば、Sigma社から市販)、およびヒトのインスリン(例えば、Novo Nordisk A/Sから市販)を含む基本培地へ変更する。
【0249】
細胞は、分化開始後の7〜14日目、好ましくは7〜10日目に使用される。細胞を、基本培地中で増加する濃度(0〜300nM)のFGF21化合物で20時間刺激する。3H-デオキシグルコースを添加する(それにトレーサーが続く)前に、細胞を、温い(ほぼ37℃)アッセイ緩衝液(1mM MgCl2および2mM CaCl2を含むPBS)、HEPESおよび0.1%ヒト血清アルブミン中で洗浄し、細胞を、トレーサーと共に1時間インキュベートする。このインキュベーションは、氷冷アッセイ緩衝液中で2回洗浄することによって終結される。細胞を、Triton X-100で溶解し、溶解物を96ウェルプレートに移し、microscint-40(例えば、Perkin Elmerから市販)を添加し、トレーサーの量を、TOP-カウンター(例えば、Perkin ElmerからのPackardトップカウンター)中で計数する。
【0250】
当該FGF21化合物のEC50を、計算し、例えば、化合物F1のそれに対して示すことができる。化合物F2およびF3のEC50は、化合物F1のそれに対して、それぞれ、11%および30%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2型糖尿病を治療するための薬剤を調製するための、FGF21化合物とGLP-1化合物との組合せの使用。
【請求項2】
GLP-1化合物が、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むか、あるいは最大で15個のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を有するSEQ ID NO:3または4の類似体である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
GLP-1化合物が、アルブミン結合部分を含むGLP-1誘導体である、請求項1から2のいずれか一項に記載の使用。
【請求項4】
アルブミン結合部分が、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは2つの遊離カルボン酸基を、またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
アルブミン結合部分が、脂肪酸またはジカルボン酸のアシル、例えばヘキサデカノイル-および15-カルボキシペンタデカノイル-などのアシル基であって、C12、C14、C16、C18、C20、C22またはC24、最も好ましくはC16、C18またはC20など、全部で12〜24個の炭素原子を好ましくは含むアシル基、あるいはその薬学的に許容される塩を含む、請求項3から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
アシル基が、GLP-1ペプチドのリシン残基のε-アミノ基にリンカーを介して結合されており、ここで、該リンカーは、少なくとも1つのOEG基(OEGとは8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸である)、少なくとも1つのTrx基(Trxとはトラネキサム酸、またはトランス-4-(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸:
【化1】

である)、および/または少なくとも1つのGlu(グルタミン)基を好ましくは含む、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
GLP-1化合物が、
・N-ε26-((S)-4-カルボキシ-4-ヘキサデカノイルアミノブチリル)[Arg34]GLP-1-(7-37):
【化2】

(化合物G1);
・N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-({トランス-4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル}アミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][デスアミノHis7,Glu22,Arg26,Arg34,Lys37]GLP-1-(7-37):
【化3】

(化合物G2);
・N-ε26-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,Arg34]GLP-1-(7-37):
【化4】

(化合物G3);
・N-ε37-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Aib8,22,35,Lys37]GLP-1-(7-37):
【化5】

(化合物G4);
および
・これらの薬学的に許容される塩、アミド、アルキル、またはエステル;
から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
FGF21化合物が、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むか、あるいはその最大で30個のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を有する類似体である、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
FGF21化合物が、アルブミン結合部分を含むFGF21誘導体である、請求項1から40のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
アルブミン結合部分が、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは2つの遊離カルボン酸基、またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
アルブミン結合部分が、脂肪酸またはジカルボン酸のアシル、例えば17-カルボキシヘプタデカノイル-および19-カルボキシノナデカノイル-などのアシル基であって、C12、C14、C16、C18、C20、C22またはC24、最も好ましくはC18またはC20など、全部で12〜24個の炭素原子を好ましくは含むアシル基、あるいはその薬学的に許容される塩を含む、請求項9から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
アシル基が、FGF21ペプチドのN-末端アミノ酸残基のアミノ基、例えば-1Mのアミノ基に、またはFGF21ペプチドの内部システイン残基のチオール基、例えば71Cのチオール基にリンカーを介して結合されており、ここで、該リンカーは、少なくとも1つのOEG基(OEGとは8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸である)、および/または少なくとも1つのGlu(グルタミン)基を好ましくは含む、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
FGF21化合物が、
・SEQ ID NO:1を有するポリペプチド(ヒトFGF21);
・付加されたN-末端Metを有するSEQ ID NO:1を有するポリペプチド(Met-FGF21_ヒト化合物F1);
・S-71-({2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エチルカルバモイル}メチル)[Cys71]Met-FGF21(化合物F2);および
・N-α1-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[(S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブチリルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)アセチル][Arg56,Arg59,Arg69,Arg122]-Met-FGF21(化合物F3);ならびに
・これらの薬学的に許容される塩、アミド、アルキル、またはエステル;
から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
化合物が、同時および/または逐次的に投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
2型糖尿病を治療するための、FGF21化合物とGLP-1化合物との組合せ。

【公表番号】特表2012−529463(P2012−529463A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514442(P2012−514442)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057986
【国際公開番号】WO2010/142665
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(509091848)ノヴォ ノルディスク アー/エス (42)
【Fターム(参考)】